説明

デバイスのパッケージ方法及びパッケージ構造

【課題】機械的衝撃に強く、搬送中や実装中等に、デバイスが欠けることを可及的に抑制できるデバイスのパッケージ構造を提供すること
【解決手段】 デバイス10の表面にデバイス電極11が形成され、その表面を覆うようにして保護樹脂層12が形成される。保護樹脂層の内部に、デバイス電極と導通する再配線メタル13が配置され、さらに外部に露出する接合金属突起14が再配線メタルと接続されている。そして、デバイスの側面、つまり、配線面(デバイス電極,再配線の形成面)と垂直な側面にも保護樹脂層15を形成している。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、デバイスのパッケージ方法及びパッケージ構造に関するもので、より具体的には、ウエハレベルCSPに関する。
【0002】
【従来の技術】半導体デバイスのパッケージ・プロセスとして、近年、ウエハレベルCSP(chip size package)と称されるものが用いられている。このウエハレベルCSPは、例えば雑誌「日経マイクロデバイス」の1998年8月号の52頁以降に詳しく説明されているように、従来のチップ毎に分離切断した後、個別処理するチップ・レベルCSPに代わるもので、ウエハ状態のまま処理するようにしている。
【0003】そして、そのプロセスを簡単に説明すると、まず、通常の半導体プロセスを用いてウエハ上で配線等を施す。次いで、ダイシングすることなくそのウエハ表面に保護樹脂層を形成する。次いで、ウエハをチップサイズに切断することにより、個々のチップに分断される。
【0004】これにより、図1に示すようなチップが形成される。すなわち、デバイス1の表面にデバイス電極2が形成され、そのデバイス電極2の形成面に保護樹脂層3が形成され、表面を覆うようになっている。さらに、デバイス電極2には、再配線メタル4が接続されるように形成され、保護樹脂3から露出する再配線メタル4の端部に接合金属突起5を接合するようにしている。そして、デバイス1は、この接合金属突起5を介して外部回路と導通するようになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した従来のシステムでは以下に示す問題があった。すなわち、その製造プロセス上の要請から、図1に示すように、デバイス1の側面には保護樹脂層を形成することはできなかった。その結果、側面はデバイス1の構造材が露出するので、機械的衝撃に弱いという問題がある。よって、搬送中に発生する振動などにより搬送容器の中でデバイスに欠けが生じたり、実装時のハンドリングでデバイスに欠けが生じるという問題がある。
【0006】本発明は、上記した背景に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、上記した問題を解決し、機械的衝撃に強く、搬送中や実装中等に、デバイスが欠けることを可及的に抑制できるデバイスのパッケージ構造及び係るパッケージ構造を簡単に製造することのできるデバイスのパッケージ方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するために、本発明に係るパッケージ構造では、ウエハレベルのパッケージプロセスで形成されるデバイスのパッケージ構造であって、デバイスの表面の配線面(実施の形態では、「再配線メタル13等が形成された面」に相当)と、その配線面につながる側面を保護材(実施の形態では、保護樹脂層12,15)で被覆するように構成した(請求項1)。
【0008】このようにすると、デバイスの配線面とともに、側面にも保護材が形成されるので、デバイスの側面が露出せず、機械的衝撃に強く、搬送中や実装中等に、デバイスが欠けることを可及的に抑制される。
【0009】また、本発明に係るデバイスのパッケージ方法では、ウエハ状態のまま複数のデバイス(「チップ」とも称する)のパッケージを行うパッケージ方法であって、裏面に分離阻止材(実施の形態では、「ダイシングテープ22」に相当)が貼り付けられたウエハの表面側に対し、デバイス形成領域の周囲を前記分離阻止材を残して切断する第1カット工程(実施の形態では、「ファーストダイシング」)と、その第1カット工程の後に、前記ウエハの表面側を保護層で被う保護層形成工程と、その後、前記ウエハの表面側に対し、前記デバイス形成領域の周囲を前記分離阻止材を残して切断する第2カット工程(実施の形態では、「セカンドダイシング」)とを含み、前記第2カット工程のカット位置の少なくとも一部が、前記第1カット工程のカット位置を含み、前記第2カット工程で形成される溝の幅は、前記第1カット工程で形成される溝の幅よりも小さくし、前記第1カット工程で形成された前記溝内に充填された保護材の一部を残すようにした(請求項2)。
【0010】このようにすると、2回のカット工程の間に保護材形成を行い、しかも、第2カット工程で形成される溝の幅のほうを狭くするようにしたため、第1カット工程により形成された溝内に充填された保護材の一部が、第2カット工程で除去されるので、分離阻止材を外すと、個々のデバイスに分離される。また、第2カット工程のカット幅(溝幅)のほうを狭くしたため、デバイスの周囲に位置する溝内にも保護材が残る。よって、分離された個々のデバイスの側面に保護材が形成される。
【0011】
【発明の実施の形態】図2は、本発明に係るパッケージ構造の好適な一実施の形態を示している。同図に示すように、デバイス10の表面にデバイス電極11が形成されており、その表面を覆うようにして保護樹脂層12が形成されている。この保護樹脂層12の内部に、デバイス電極11と導通するように接続された再配線メタル13が配置されている。そして、再配線メタル13の形成領域に位置する保護樹脂層12の一部は開口しており、その開口部12aを介して再配線メタル13の一部が露出し、その露出部分にて接合金属突起14が再配線メタル13と接続されている。これにより、デバイス10内の回路が、接合金属突起14を介して外部回路と導通が可能となる。
【0012】ここで本発明では、デバイス10の側面、つまり、配線面(デバイス電極11,再配線13の形成面)と垂直な面の全周(4つの面)にも保護樹脂層15を形成している。これにより、その保護樹脂層15によりデバイス10の側面が保護されるので、機械的衝撃を受けても、デバイスが欠けたりするおそれが可及的になくなる。
【0013】次に、上記した構成のパッケージ構造(デバイス10の側面に保護樹脂層15を設ける構造)を製造する製造方法の好適な一実施の形態について説明する。まず、図3に示すように、通常の半導体プロセスにより、内部配線等を行ったウエハ20の表面所定位置に再配線メタル13を形成したものを用意する。そして、そのウエハ20の裏面(再配線メタル13の未形成面)の全面に、分離阻止材であるダイシングテープ22を貼り付ける。
【0014】このとき用いるダイシングテープ22は、たとえば後述する保護樹脂層の形成工程における保護樹脂の硬化時に高温(100℃以上)にならない場合には、通常の高分子のダイシングテープを用いることができる。また、硬化時に高温になる場合には、分離阻止材として高分子ダイシングテープに替えてガラス基板またはセラミック基板を用い、係る基板を接着剤を介してデバイスのウエハ20に貼り付けるようにしてもよい。このようにすると、熱によるテープの変形を抑止し、最終的なデバイスチップの外形寸法を精度よくすることができる。
【0015】次に、図4に示すように、ファーストダイシングを行い、ウエハ20の所定位置を格子状に切断する。このとき、ダイシングテープ22は切断しない。これにより、格子状の溝24が形成される。そして、ウエハ20のうち、この溝24で仕切られる各部分が、最終製品の各デバイス(図2における符号10)を構成することになる。さらに、このファーストダイシングで用いるブレードは、比較的厚いものを用いる。これにより、溝24はブレードに応じた幅d1となる。
【0016】次いで、図5に示すように、ウエハ20の表面を保護樹脂25で覆う。つまり、この保護樹脂25でデバイスの封止を行う。この保護樹脂25の形成工程は、再配線メタル13の電極部が保護樹脂25で被覆されないようにし、保護樹脂25の表面に再配線メタル13が露出するようにする。このとき、保護樹脂25の表面はほぼ面一になり、溝24内にも樹脂が充填される。
【0017】この処理は、予め再配線メタル13の上には樹脂注入されないような所定の型を用い、その型内に樹脂注入するようにしてもよいし、或いは、一旦再配線メタル13を含めて表面全面を保護樹脂で被膜した後、樹脂表面を研磨して再配線メタル13の表面を露出するようにしてもよく、各種の方法がとれる。さらに、保護樹脂の形成は、注型に限らず、トランスファモールドや射出成形など各種の方法をとることができるのは言うまでもない。
【0018】その後、図6に示すように、露出した再配線メタル13の上に接合金属突起14を形成する。この接合金属突起14は、例えば接合金属突起14の上にハンダなどの低融点金属を印刷した後に溶融したり、金属ボールを置いた後加熱することによりその金属ボールと再配線メタル13とを接合するようにしてもよい等、各種の手法を用いることができる。
【0019】次いで、図7に示すように、セカンドダイシング処理を行い、ファーストダイシングで形成した溝24の位置を再度カットする。このダイシングにより、保護樹脂層25に格子状の溝26を形成することになり、その溝26の底面はダイシングテープ22が露出するようにする。換言すると、ダイシングテープ22を残して保護樹脂25の厚さ分だけカットする。
【0020】このとき用いるブレードはファーストダイシングで用いたブレードよりも薄いものを用いる。これにより、図示するようにセカンドダイシングにより形成される溝26の幅d2は、溝24の幅d1よりも狭くなる。その結果、ウエハ20の垂直な側面の周囲にも保護樹脂25が残る。
【0021】その後、ダイシングテープ22を剥離することにより、図8に示すように、個々のデバイス10に分離し、チップデバイスが製造される。そして、上記したようにセカンドダイシングで薄いブレードを用いることにより、側面にも保護樹脂25が残ったため、最終製品のデバイス10の側面にも保護樹脂層15が形成されることになる。
【0022】
【発明の効果】以上のように、本発明に係るパッケージ構造では、ウエハレベルCSPであってもデバイスの側面に保護樹脂層が形成されるため、機械的強度が増す。その結果、たとえデバイスに搬送中や実装中等に力がかかることがあっても、デバイスが欠けることを可及的に抑制できる。さらに、デバイスの表面及び側面が保護樹脂層で覆われるため、耐湿性も向上する。
【0023】そして、係るパッケージ構造を製造するパッケージ方法では、2回ダイシングを行い、しかも、1回目と2回目の間に保護樹脂層を形成する工程を行うとともに、2回目のカット幅を短く(狭く)することにより、簡単にデバイスの側面に保護樹脂層を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例を示す図である。
【図2】本発明に係るパッケージ構造の好適な一実施の形態を示す図である。
【図3】本発明に係るパッケージ方法の好適な一実施の形態を示す工程図(その1)である。
【図4】本発明に係るパッケージ方法の好適な一実施の形態を示す工程図(その2)である。
【図5】本発明に係るパッケージ方法の好適な一実施の形態を示す工程図(その3)である。
【図6】本発明に係るパッケージ方法の好適な一実施の形態を示す工程図(その4)である。
【図7】本発明に係るパッケージ方法の好適な一実施の形態を示す工程図(その5)である。
【図8】本発明に係るパッケージ方法の好適な一実施の形態を示す工程図(その6)である。
【符号の説明】
10 デバイス
11 デバイス電極
12 保護樹脂層(保護材)
13 再配線メタル
14 接合金属突起
15 保護樹脂層(保護材)
20 ウエハ
22 ダイシングテープ(分離阻止材)
24 溝
25 保護樹脂
26 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ウエハ状態のまま複数のデバイスのパッケージを行うパッケージ方法であって、裏面に分離阻止材が貼り付けられたウエハの表面側に対し、デバイス形成領域の周囲を前記分離阻止材を残して切断する第1カット工程と、その第1カット工程の後に、前記ウエハの表面側を保護層で被う保護層形成工程と、その後、前記ウエハの表面側に対し、前記チップ形成領域の周囲を前記分離阻止材を残して切断する第2カット工程とを含み、前記第2カット工程のカット位置の少なくとも一部が、前記第1カット工程のカット位置を含み、前記第2カット工程で形成される溝の幅は、前記第1カット工程で形成される溝の幅よりも小さくし、前記第1カット工程で形成された前記溝内に充填された保護材の一部を残すことを特徴とするデバイスのパッケージ方法。
【請求項2】 ウエハレベルのパッケージプロセスで形成されるデバイスのパッケージ構造であって、デバイスの表面の配線面と、その配線面につながる側面を保護材で被覆してなることを特徴とするデバイスのパッケージ構造。

【図1】
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【図2】
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【図8】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2000−138245(P2000−138245A)
【公開日】平成12年5月16日(2000.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−312602
【出願日】平成10年11月2日(1998.11.2)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】