説明

デンプン及びポリマーを含む高伸長で分裂可能な多成分繊維

分裂可能な多成分繊維、かかる分裂可能な繊維から作製されるスプリット繊維、かかる分裂可能な繊維及びスプリット繊維を作製するための方法、並びにスプリット繊維から作製される不織布及び他の基材。
分裂可能な多成分繊維は、熱可塑性デンプンを含む1つの構成成分と、非デンプン熱可塑性ポリマーを含む別の構成成分を含むことができ、(i)前記第二の構成成分は、前記第一の構成成分から分裂されるか又は除去されて、前記第一構成成分から本質的に成る少なくとも1つのスプリット繊維を提供することが可能であり、及び(ii)前記第一の構成成分のスプリット繊維は、良い伸び特性を有することができる。分裂可能な多成分繊維はまた、熱可塑性デンプン構成成分のスプリット繊維を提供することができる。熱可塑性ポリマー構成成分に相当するスプリット繊維は、多成分繊維の熱可塑性ポリマー構成成分と同等の質量処理量を有し、スプリット繊維と同じ直径を有する直接紡糸された熱可塑性繊維よりも大きな伸びを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デンプン及びポリマーを含む分裂可能な多成分繊維と、かかる分裂可能な繊維から得られるスプリット繊維に関する。本発明はまた、スプリット繊維を作製する方法に関する。スプリット繊維は高い伸びを有することができ、不織布ウェブ及び使い捨て物品を作製するために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
柔軟性と伸張性をもたらし得る不織布に対する必要性がある。柔軟な不織布は、皮膚に優しく、使い捨て製品において特に有用である。一般に、繊維の直径を小さくすることにより、不織布及び他の基材の柔軟性を向上させることができる。比較的低い力で高い伸張性を可能とする不織布も所望される。これらは、製品における合い具合を持続させ、多様な機械的後処理の使用を容易にするために使用することができる。典型的には、小さい繊維直径及び高い伸張性の両方を有するものを達成するのが困難であることが分かった。これは、繊維の直径を小さくすると、通常、紡糸速度又は延伸比が高くなり、繊維の伸張性を低下させるからである。極細繊維の繊維伸張性を高める他の方法としては、より高価な材料及び/又は特殊な混合要件を使用することが挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
今日、従来の熱可塑性ポリマーで作製できる極細繊維で作製される伸張可能な不織布に対する必要性、並びに、かかる不織布及び他の基材を作製するために使用することができる繊維に対する必要性が存在する。本発明は、費用効率的で加工しやすい分裂可能な繊維から得られるスプリット繊維の形態をなす小径で伸張可能な繊維を提供することができる。分裂可能な繊維は、天然デンプンと、熱可塑性ポリマーから作製される。本発明はまた、かかるスプリット繊維から作製される不織布物品及び他の基材も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、分裂可能な多成分繊維と、かかる分裂可能な繊維から作製されるスプリット繊維と、かかる分裂可能な繊維及びスプリット繊維を作製するための方法と、スプリット繊維から作製される不織布及び他の基材とに関する。分裂可能な多成分繊維は、熱可塑性デンプンを含む1つの構成成分の少なくとも1つの非包囲セグメントと、非デンプン熱可塑性ポリマーを含む別の構成成分の少なくとも1つの非包囲セグメントとを含むことができ、(i)前記第二の構成成分は、前記第一の構成成分から分裂されるか又は除去されて、前記第一の構成成分から本質的に成る少なくとも1つのスプリット繊維を提供することが可能であり、及び(ii)前記第一の構成成分のスプリット繊維は1.0よりも大きい破断までの伸び比を有する。本明細書で使用する時、「非包囲セグメント」は、多成分繊維のセグメントが、多成分繊維の別のセグメントによって包囲されない、その側面の少なくとも1つの領域を有することを意味する。分裂可能な多成分繊維は、熱可塑性ポリマーを含む少なくとも1つのスプリット繊維を作り出し、また、複数の熱可塑性ポリマースプリット繊維を作り出すこともできる。分裂可能な多成分繊維はまた、熱可塑性デンプン構成成分を含むスプリット繊維を作り出すこともできる。熱可塑性ポリマー構成成分に相当するスプリット繊維は、多成分繊維の熱可塑性ポリマー構成成分と同等の質量処理量を有し、スプリット繊維と同じ直径を有する直接紡糸された熱可塑性繊維よりも大きな伸びを有する。これにより、低い紡糸速度で小径の繊維が製造され、故に、高い紡糸速度で行われる費用効率的な方法が、結果としてより乏しい伸び特性を招く傾向にある従来の方法、又は、良好な伸びを有する小径繊維の形成が、質量処理量が低く、その結果として費用効率が低い方法に従って行われる従来の方法と比べて、伸び特性が向上する。
【0005】
分裂可能な多成分繊維の形状は、サイド・バイ・サイド、区分化されたパイ、中空の区分化されたパイ、海島型、区分化されたリボン、先端のある(tipped)多葉断面型、又はこれら形状のいかなる組み合わせであってもよい。一般に、セグメントは、隣接する1以上のセグメントが、多成分繊維の異なる構成要素を構成している隣接する繊維のセグメントから分裂するか、又は分裂可能である。
【0006】
スプリット繊維は、化学的、機械的、熱的又は他のプロセスを通して、本明細書の多成分繊維から得られる。スプリット繊維はまた、多成分繊維が形成されるとすぐに、スピナレットの毛管から出る際に得られる。本明細書の繊維の分裂可能な性質は、少なくとも部分的に、多成分繊維の構成成分間のレオロジー的、熱的、溶解度、表面エネルギー、伸張性及び/又は固化の挙動の違いに起因する。
【0007】
いかなる特定の理論にも制限されるつもりはないが、分裂可能な多成分繊維は、繊維が比較的低い分子の配向性及び比較的大きい直径を有するような条件の下で紡糸され得るので、スプリット繊維における伸張性を向上させると考えられている。これは、繊維を大きな延伸力に供さず、比較的遅い紡糸速度を利用することにより、及び/又は、スピナレットの穴当りの処理量を増大させることにより起こり得る。典型的には、繊維の強度を高めるため、及び不織布で使用する時のより柔軟な感触のために、繊維を延伸してより小さな繊維直径にする。しかしながら、この延伸方法は、分子の配向性を高め、それは繊維の破断までの伸びの減少を招く。故に、本発明のスプリット繊維は、同等の質量処理量で直接紡糸により製造された直径が同じ繊維と比べて、より高い破断までの伸びを有する。更に、本発明のスプリット繊維はまた、伸張性が向上した結果として、不織布で使用する時に向上した柔軟性を有することができる。
本発明はまた、スプリット繊維を含む不織布ウェブ及び使い捨て物品を対象とする。不織布ウェブはまた、本発明のスプリット繊維とブレンドされる他の合成繊維又は天然繊維を含有してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のこれら及びその他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の請求の範囲、及び添付図を考慮することにより、更によく理解されるであろう。
本明細書で使用される全てのパーセント、比率、及び割合は、特に指定しない限り、組成物の重量パーセントによる。全ての平均値は、特に明示的な指示がない限り、組成物又はその構成成分の「重量で」計算される。ポリマーに関する「平均分子量」又は「分子量」は、指示がない限り、数平均分子量を指す。数平均分子量は、特記しない限り、ゲル透過クロマトグラフィーにより測定される。本明細書にて引用される全ての特許又は他の刊行物は、参考文献を引用した目的のために、そこに含まれる全ての本文に関して、本明細書に参考として組み込まれる。かかる特許又は刊行物を含むことは、引用した参考文献が、先行技術として引用可能であること、又はその主題が本発明に対する材料の先行技術であることの承認であることを意図していない。本明細書中に記載される組成物、製品及び方法は、本明細書に記載される所要の及び/若しくは任意の構成要素、成分、組成物又は工程のいずれか、あるいは全てを含む、それらから本質的に成る、あるいはそれらから成ることができる。
本明細書は、(1)本発明の材料、(2)多成分繊維の形状、(3)多成分繊維及びスプリット繊維の材料特性、(4)プロセス及び(5)物品の詳細な説明を含む。
【0009】
(1)材料
(構成成分A:熱可塑性ポリマー)
熱可塑性ポリマー並びに熱可塑性ポリマー構成成分の好適な融解温度は、約60℃〜約300℃、好ましくは約80℃〜約250℃、及び好ましくは100℃〜215℃である。熱可塑性ポリマー含有構成成分の組成物の融解温度が上述の範囲内になるように、観察される融解温度を下げるべく可塑剤又は希釈剤又は他のポリマーを使用する場合、250℃よりも高い融解温度(Tm)を有する熱可塑性ポリマーを使用してもよい。0℃未満のガラス転移(Tg)温度を有する熱可塑性ポリマーを使用することが望ましいことがある。熱可塑性ポリマー構成成分は、溶融紡糸に適するレオロジー特性を有する。ポリマーの分子量は、ポリマー分子間のからみ合いを可能にするのに十分に高く、しかし溶融紡糸可能であるべく十分に低いものでなければならない。溶融紡糸に適する熱可塑性ポリマーは、約1,000,000g/mol以下、好ましくは約5,000g/mol〜約800,000g/mol、より好ましくは約10,000g/mol〜約700,000g/mol、及び最も好ましくは約20,000g/mol〜約500,000g/molの分子量を有することができる。
【0010】
熱可塑性ポリマーは、好ましくは、典型的には短繊維として既知の方法(紡糸延伸方法)又はスパンボンド/メルトブロウン連続フィラメント方法で遭遇するように、伸張流動下で、かなり迅速に固化し得ることが望ましく、また、熱的に安定な繊維構造を形成し得ることが望ましい。「熱的に安定な繊維構造」は、本明細書で使用する時、25℃及び雰囲気圧力で、24時間の期間に亘って、50%の相対湿度にて、直径が測定され、繊維がその形成中5分以内にその環境に置かれる時に、著しい溶融又は寸法変化を呈しないものとして定義される。対応する原繊維直径の測定値を基準として用い、測定された繊維直径が25%よりも大きく異なるのが、著しい寸法変化であると考えられる。原繊維が丸形でない場合、最も小さい直径を計算に使用するべきである。最も小さい直径は、24時間測定にも使用されるべきである。
【0011】
好適な熱可塑性ポリマーとしては、ポリエチレン又はそのコポリマーなどのポリオレフィン類(低密度、高密度、線状低密度又は超低密度ポリエチレン類、ポリプロピレン又はそれらのコポリマー、例えば、アタクチックポリプロピレン);ポリブチレン又はそのコポリマー;ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66などのポリアミド類又はそのコポリマー;ポリエチレンテレフタレート類などのポリエステル類又はそれらのコポリマー;エチレン/アクリル酸コポリマー、エチレン/マレイン酸コポリマー、エチレン/メタクリル酸コポリマー、エチレン/ビニルアセテートコポリマー又はそれらの組み合わせなどのオレフィンカルボン酸コポリマー類;ポリアクリレート類、ポリメタクリレート類、及びポリ(メチルメタクリレート)類などのそれらのコポリマーが挙げられる。ポリマーの他の非限定例としては、ポリカーボネート類、ポリビニルアセテート類、ポリ(オキシメチレン)、スチレンコポリマー類、ポリアクリレート類、ポリメタクリレート類、ポリ(メチルメタクリレート)類、ポリスチレン/メチルメタクリレートコポリマー類、ポリエーテルイミド類、ポリスルホン類又はこれらの組み合わせが挙げられる。幾つかの実施形態において、熱可塑性ポリマーとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド類、ポリビニルアルコール、エチレンアクリル酸、ポリオレフィンカルボン酸コポリマー類、ポリエステル類及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0012】
生分解性の熱可塑性ポリマーも本明細書に用いるのに好適である。生分解性材料は、その生分解性材料が地中に埋められるか、さもなければ微生物と接触(微生物の成長を助長する環境条件下での接触を含む)した時に、カビ類、菌類及び細菌類などの微生物によって同化されやすい。好適な生分解性ポリマーには、好気性若しくは嫌気性消化処理を用いて、又は日光、雨、湿気、風、温度などの環境要素への曝露で環境で分解可能であるような生分解性の材料も含まれる。生分解性の熱可塑性ポリマーは、個々に、又は生分解性若しくは非生分解性ポリマーの組み合わせとして使用することができる。生分解性ポリマーとしては、脂肪族構成成分を含有するポリエステル類が挙げられる。ポリエステル類の中では、脂肪族構成要素及びポリ(ヒドロキシカルボン)酸を含有するエステル重縮合物類である。エステル重縮合物類としては、ポリブチレンコハク酸、ポリブチレンコハク酸アジピン酸共重合物などの二酸/ジオール脂肪族ポリエステル類、ブチレンジオール、アジピン酸及びテレフタル酸から作製されるターポリマーなどの脂肪族/芳香族ポリエステル類が挙げられる。ポリ(ヒドロキシカルボン)酸としては、乳酸ベースのホモポリマー及びコポリマー、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、又は他のポリヒドロキシアルカノエートホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。かかるポリヒドロキシアルカノエート類としては、米国再発行特許第36,548号(US Patent RE 36,548)及び米国特許第5,990,271号に開示されている、C6〜C12及びそれ以上のより高鎖長のモノマーを有するPHBと、ポリヒドロキシアルカノエート類とのコポリマーが挙げられる。
【0013】
市販されている好適なポリ乳酸の例は、カーギル・ダウ(Cargill Dow)からのネイチャーワークス(NATUREWORKS)及び三井化学(Mitsui Chemical)からのレイシア(LACEA)である。市販されている好適な二酸/ジオール脂肪族ポリエステルの例は、日本の東京にある昭和高分子株式会社(Showa Highpolmer Company,Ltd.)からビオノーレ(BIONOLLE)1000及びビオノーレ3000として販売されているポリブチレンコハク酸/アジピン酸コポリマーである。市販されている好適な脂肪族/芳香族コポリエステルの例は、イーストマン化学(Eastman Chemical)からイースター・バイオ(EASTAR BIO)コポリエステルとして、又はバスフ(BASF)からのエコフレックス(ECOFLEX)として販売されている、ポリ(テトラメチレンアジピン酸−コ−テレフタル酸)である。
【0014】
ポリマー及びポリマーの量の選択は、当業者により理解されるように、最終製品の柔軟性、質感及び特性に影響を及ぼす。熱可塑性ポリマー構成成分は、単一のポリマー種、又は2以上の非デンプン熱可塑性ポリマーのブレンドを含有することができる。更に、熱可塑性デンプンを含むがこれに限定されない他の材料も、熱可塑性ポリマー構成成分中に存在することができる。典型的には、非デンプン熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリマー構成成分の総重量の約51%〜100%、好ましくは約60%〜95%、より好ましくは約70%〜約90%の量で存在する。
【0015】
(構成成分B:熱可塑性デンプン)
本発明は、低コストの天然に生じるバイオポリマーであるデンプンの使用に関する。本発明で使用されるデンプンは、熱可塑性の非構造化(destructured)デンプンである。用語「非構造化(destructurized)デンプン」は、もはやその天然に生じる粒状構造ではないデンプンを意味するのに使用される。用語「熱可塑性デンプン」又は「TPS」は、それが紡糸されて繊維になることができるように、その熱可塑性流動特性を向上させるための可塑剤を有するデンプンを意味するのに使用される。天然デンプンは、従来の熱可塑性ポリマーのように溶融したり、流動したりしない。天然デンプンは一般に粒状構造を有するため、望ましくは天然デンプンが「非構造化((destructurized)又は(destructured))」されてから、熱可塑性材料のように溶融加工及び紡糸されるべきである。理論に束縛されるつもりはないが、デンプンの粒状構造は、デンプン粒子内に別個のアミロペクチン及びアミロース領域の構造を具備する粒子を特徴とする。この粒状構造は非構造化中に破壊され、その後、溶媒又は可塑剤の存在下でデンプン構成成分の容量が拡張され得る。溶媒又は可塑剤の存在下で非構造化を受けるデンプンはまた、典型的には、溶媒又は可塑剤を用いて非構造化されていないデンプンよりも粘度が高くなる。結果として生じる非構造化デンプンはゼラチン化形態をなすか、又は乾燥及び/若しくは徐冷されると結晶形態をなし得る。しかしながら、一旦破壊されると、デンプンの天然の粒状構造は一般には元に戻らない。デンプンは、繊維紡糸プロセスに影響を与える塊が存在しないように十分に非構造化されることが望ましい。デンプンを非構造化するのに使用される非構造化剤は、デンプンと共に紡糸される繊維中に残存しないように除去されるのであれば、更なる加工中デンプンと共に残存してもよいし、一時的なものであってもよい。
【0016】
デンプンは様々な異なる方法で非構造化され得る。デンプンは溶媒で非構造化され得る。例えば、デンプンと溶媒との混合物を熱に付して(加圧条件及び剪断力下であり得る)デンプンをゼラチン化して、非構造化に至らせることにより、デンプンを非構造化することができる。溶媒はまた可塑剤としても作用することができ、後の加工中に可塑剤として機能すべく、組成物中に望ましく保持されてもよい。デンプンを非構造化するための溶媒として作用し得る多様な可塑化剤が本明細書に記載されている。これらとしては、例えばマンニトール、ソルビトール及びグリセリンなどのポリオール類を含むがこれらに限定されないヒドロキシル含有可塑剤などの(しかしこれに限定されない)低分子量又はモノマー可塑剤が挙げられる。水もデンプンのための溶媒及び可塑剤として作用し得る。
【0017】
デンプンが従来の熱可塑性ポリマーのように流動し、溶融紡糸可能であるために、デンプンは可塑剤を存在させなければならない。非構造化剤が除去される場合、一般に非構造化されたままであるのがデンプンの性質であるが、可塑剤は、熱可塑性特性をデンプン構成成分に付与し、繊維の紡糸を容易にするために、デンプン構成成分に添加されるか、さもなければ別の方法でその中に含まれるべきである。従って、紡糸中に存在する可塑剤は、デンプンを非構造化するのに使用されるものと同じであってもよい。あるいは、特に非構造化剤が上述のように一時的なものである時(例えば水)、別個の又は追加の可塑剤がデンプンに添加されてもよい。かかる追加の可塑剤が繊維紡糸工程のためにデンプン内に残存する限り、デンプンが非構造化される前、間、又は後に可塑剤を添加することができる。
【0018】
好適な天然に生じるデンプンとしては、コーンスターチ(例えば、ワクシートウモロコシデンプン(waxy maize starch)を含む)、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、小麦デンプン、サゴヤシデンプン、タピオカデンプン、米デンプン、大豆デンプン、クズウコンデンプン、ワラビデンプン、ハスデンプン、キャッサバデンプン、高アミロースコーンスターチ、及び市販のアミロース粉末が挙げられるが、これらに限定されない。デンプンのブレンドもまた使用してもよい。全てのデンプンは本明細書中で有用であるが、本発明は、豊富に供給され、容易に補充可能であり、安価であるという利点を提供する農作物源に由来する天然デンプンを用いて、最も一般的に実施される。天然に生じるデンプン、特にコーンスターチ(例えば、ワクシートウモロコシデンプンを含む)及び小麦デンプンが、それらの経済性及び入手可能性の理由から選択するデンプンポリマーである。加工デンプンも使用してよい。加工デンプンは、その元来の分子量特性を変化させた、置換されていないデンプン又は置換されたデンプンとして定義される(即ち、分子量は変化しているが、その他の変化は、必ずしもデンプンに対してなされていない)。それらの多くが、当該技法分野において周知の技法のいずれかによって、分子量を修正、好ましくは低減されてもよい。例えば、これらとしては、酸又はアルカリ加水分解、酸還元、酸化還元、酵素還元などによるデンプンの化学的修飾、物理的/機械的分解(例えば、加工機器のサーモメカニカルエネルギー投入による)、又はこれらの組み合わせが挙げられる。サーモメカニカル法及び酸化法は、原位置(in situ)で行われる場合、さらなる利点を提供する。デンプンの正確な化学的性質及び分子量を低減させる方法は、平均分子量が所望のレベル又は範囲で提供される限りは重要ではない。かかる技法もまた分子量分布を低減し得る。
【0019】
天然の加工されていないデンプンは、一般的に非常に高い平均分子量を有し、広い分子量分布を有する(例えば、天然コーンスターチは、約60,000,000グラム/モル(g/mol)までの平均分子量を有する)。本発明で使用するデンプンの分子量を低減させることが望ましい。分子量の低減は、上述のものを含む当該技術分野において既知のいかなる技法によっても達成することができる。溶融物に添加される非構造化デンプン又はデンプンのブレンドについての分子量範囲は、約3,000g/mol〜約8,000,000g/mol、好ましくは約10,000g/mol〜約5,000,000g/mol、及びより好ましくは約20,000g/mol〜約3,000,000g/molであり得る。
【0020】
任意に、置換されたデンプンを使用することができる。置換されたデンプンを提供するためのデンプンの化学修飾としては、エーテル化及びエステル化が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、メチル、エチル又はプロピル(又はそれより大きな脂肪族基)が、当該技術分野において周知であるような従来のエーテル化及びエステル化技法を用いてデンプン上に置換され得る。かかる置換は、デンプンが天然の粒状形態である時、又はデンプンが非構造化された後に行うことができる。置換は、デンプンの生分解速度を低下させ得るだけでなく、非構造化のための時間、温度、剪断力及び/又は圧力条件をも低下させ得ることが理解される。化学的に置換されたデンプンの置換度は、典型的には約0.01〜約3.0であるが、必ずしもそうであるとは限らず、約0.01〜約0.06でもあり得る。
【0021】
典型的には、熱可塑性デンプンは、約51重量%〜約100重量%、好ましくは約60重量%〜約95重量%、より好ましくは約70重量%〜約90重量%の熱可塑性デンプン構成成分を含む。デンプン構成成分の熱可塑性ポリマーに対する比は、2成分繊維構成要素における熱可塑性デンプンの割合を決定する。組成物中のデンプンの重量は、デンプン及びその天然に生じる結合水含有量を含む。用語「結合水」とは、本発明の組成物を作るためにデンプンと他の構成成分とを混合する前に、デンプンに自然に生じると見出された水を意味する。用語「遊離水」とは、本発明の組成物の製造において添加される水を意味する。構成成分が一旦組成物中に混合されると、水はもはやその発生源によって区別することはできないことを、当業者は理解するであろう。天然デンプンは、典型的にはデンプンの約5重量%〜約16重量%の結合水含有量を有する。
【0022】
(可塑剤)
デンプンを非構造化し、デンプンを流動可能にするために、即ち、熱可塑性デンプンを作製するために、本発明では1以上の可塑剤を使用することができる。上述のように、可塑剤をデンプンのための非構造化剤として使用してもよい。その可塑剤は、熱可塑性デンプンのための可塑剤として機能するべく非構造化デンプン構成成分内に残存してもよく、又は除去されて、熱可塑性デンプン構成成分において別の可塑剤と置換されてもよい。可塑剤はまた、最終製品の可撓性を向上させることができ、これは組成物のガラス転移温度の低下に起因するものと考えられる。熱可塑性ポリマー構成成分のための可塑剤又は希釈剤は、ポリマーの融解温度を低下させ、最終製品の可撓性を修正し、又は熱可塑性デンプンのブレンドとの全体的な相溶性を向上させるために存在してもよい。更に、より高い融解温度を有する熱可塑性ポリマーは、ポリマーの融解温度を抑える可塑剤又は希釈剤が存在する場合に使用されてもよい。
【0023】
一般に、可塑剤は、それらが混合される本発明のポリマー構成成分と実質的に相溶性であるべきである。本明細書で使用する時、用語「実質的に相溶性」は、組成物の軟化温度及び/又は融解温度よりも高い温度まで加熱される時、可塑剤は、それが混合される構成成分中に存在するポリマーとの均質な混合物を形成することができるということを意味する。
【0024】
本明細書における可塑剤は、モノマー化合物及びポリマーを含み得る。ポリマー可塑剤は、典型的には約100,000g/mol以下の分子量を有する。ポリマー可塑剤は、ブロックコポリマー及びランダムコポリマー(それらのターポリマーを含む)を含み得る。幾つかの実施形態において、可塑剤は、例えば、分子量が約20,000g/mol以下、又は約5,000g/mol以下、又は約1,000g/mol以下の低分子量可塑剤を有する。可塑剤は単独で使用されてもよく、又は2以上の可塑剤が、本発明のいかなる特定の構成成分中で使用されてもよい。
【0025】
可塑剤は、例えば、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機化合物であることができ、2以上のヒドロキシルを有するポリオールが挙げられる。有用なヒドロキシル可塑剤の非限定的な例としては、グルコース、スクロース、フルクトース、ラフィノース、マルトデキストロース、ガラクトース、キシロース、マルトース、ラクトース、マンノースエリトロース及びペンタエリスリトールなどの糖類;エリスリトール、キシリトール、マリトール、マンニトール及びソルビトールなどの糖アルコール類;グリセロール(グリセリン)、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサントリオールなどのポリオール類及びこれらのポリマー;並びにこれらの混合物が挙げられる。好適な可塑剤としては、特に、グリセリン、マンニトール及びソルビトールが挙げられる。
【0026】
また本明細書で有用であるのは、ポロキソマー類(poloxomers)(ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)及びポロキサミン類(poloxamines)(エチレンジアミンのポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)などのヒドロキシルポリマー可塑剤である。これらのコポリマーは、ニュージャージー州パーシッパニー(Parsippany,NJ)にあるバスフ社(BASF Corp.)からプルロニック(Pluronic)(登録商標)として入手可能である。好適なポロキサマー類及びポロキサミン類は、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,DE)にあるICIケミカルズ(ICI Chemicals)からシンペロニック(Synperonic)(登録商標)として、又はニュージャージー州パーシッパニーにあるバスフ社からテトロニック(Tetronic)(登録商標)として入手可能である。また使用するのに好適なのは、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコールなどのヒドロキシ含有ポリマー、並びにこれらのコポリマー及びブレンドである。
【0027】
また本明細書に用いるのに好適なのは、ヒドロキシル基を有さず、尿素及び尿素誘導体を含む、水素結合を形成する有機化合物;ソルビタンなどの糖アルコールの無水物;ゼラチンなどの動物性タンパク質;ヒマワリタンパク質、大豆タンパク質、綿実タンパク質などの植物性タンパク質;並びにこれらの混合物である。他の好適な可塑剤は、フタル酸エステル類、コハク酸ジメチル及びコハク酸ジエチル及び関連エステル類、グリセロールトリアセテート、グリセロールモノアセテート及びジアセテート類、グリセロールモノプロピオネート、グリセロールジプロピオネート及びグリセロールトリプロピオネート類、ブタノエート類、ステアレート類、乳酸エステル類、クエン酸エステル類、アジピン酸エステル類、ステアリン酸エステル類、オレイン酸エステル類、並びに生分解性である他の原酸(father acid)エステル類である。脂肪族の酸(例えば、エチレンアクリル酸、エチレンマレイン酸、ブタジエンアクリル酸、ブタジエンマレイン酸、プロピレンアクリル酸、プロピレンマレイン酸、及び他の炭化水素に基づく酸)。
【0028】
可塑剤の量は、デンプンの分子量及び量、並びにデンプン又は熱可塑性ポリマーに関する可塑剤の親和性に依存する。デンプンを効果的に可塑化する任意の量を使用することができる。可塑剤は、デンプン構成成分が効果的に加工されて繊維を形成することができるように、デンプン構成成分を十分に可塑化しなければならない。一般的に、デンプンの分子量が増加すると、可塑剤の量は増加する。典型的には、可塑剤は、それが混合される構成成分の約2%〜約70%の量で存在することができ、また、約5%〜約55%、又は約10%〜約50%でもあり得る。デンプンのための可塑剤として機能する、デンプン構成成分中に組み込まれるポリマーは、本発明のその構成成分の可塑剤構成成分の一部としてみなされるべきである。可塑剤は、上述の範囲を含むどのような効果的な濃度ででも、本発明における熱可塑性ポリマー構成成分にとって任意であり、2%未満の量も含まれる。
【0029】
(任意物質)
任意には、他の成分も、熱可塑性デンプン及び熱可塑性ポリマー組成物に組み込まれてもよい。これらの任意成分は、構成成分の約49重量%以下、又は約0.1重量%〜約30重量%、又は約0.1重量%〜約10重量%の量で存在してもよい。加工性を改変するため、並びに/又は最終製品の弾性、引張強度、及び弾性率のような物理的特性を改変するために、任意の材料を使用してもよい。他の効果としては、酸化安定性を含む安定性、輝度、色、可撓性、弾力性、作業性、加工助剤、粘度調節剤、及び抑臭が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい加工助剤は、ステアリン酸マグネシウムである。特にデンプン構成成分において所望され得る別の任意材料はエチレンアクリル酸であり、これはダウケミカル社(Dow Chemical Company)によりプリマコア(Primacore)として市販されている。任意成分の例は、米国特許出願09/853,131に見られる。
【0030】
(2)形状
多構成成分という用語は、本明細書で使用する時、押出成形機器からの出口で、互いに空間的な関係で2以上の別個の部分を有する繊維として定義される。本明細書で用いる時、構成成分とは、繊維の別の部分と空間的関係を有する繊維の別個の部分として定義される。本発明の繊維は、少なくとも2成分繊維である。用語、多構成成分は、互いに空間的な関係で2つの別個の部分を有する繊維として定義される2構成成分を含む。多成分繊維の異なった構成成分は、繊維の断面を横切る実質的に識別可能な区域に配置され、繊維の長さに沿って連続して伸張する。
【0031】
上述のように、所要構成成分のいずれか又は両方が、多構成要素の構成成分であってもよい。構成要素は、本明細書で用いる時、物質又は材料の化学種を意味するとして定義される。多構成要素繊維は、本明細書で使用する時、2以上の化学種若しくは材料を含有する繊維、又は繊維の構成成分を意味するように定義される。
本発明の多成分繊維は、多くの異なる形状であってもよい。
【0032】
上述のように、本発明の多成分繊維は分裂可能な繊維である。レオロジー的、熱的、及び固化の挙動差は潜在的に分裂を引き起こすことができる。リングロール、応力若しくはひずみ、研磨剤の使用、又は差動的伸張などの機械的手段により、及び/あるいは流体力学的又は空体力学的などの流体により誘発される歪みにより分裂が生じることもある。スパンボンド構造、短繊維、中空繊維、多葉断面繊維のような成形繊維、及び多成分繊維は全て、本発明の組成物及び方法を用いて製造できる。多成分繊維は、サイド・バイ・サイド、中空の区分化されたパイ、区分化されたパイ(即ち、中実の区分化されたパイ)、リボン、海島型形状、先端のある(tipped)多葉断面型、又はこれらのいかなる組み合わせであってもよい。本発明の繊維は、円形、楕円形、星型、方形、三角形、及び他の様々な偏心を含む異なる形状を有してもよい。本発明の分裂可能な多成分繊維の多様な形状が、図面に示されている。特記しない限り、以下に記載される図面中のセグメントXは、デンプン構成成分又は熱可塑性ポリマー構成成分のいずれに対応してもよく、セグメントYは、デンプン構成成分又は熱可塑性ポリマー構成成分のいずれに対応してもよいが、X及びYの両方が同じ構成成分に対応することはない。
【0033】
図1は、中実の8区分されたパイ形状を示す。
図2は、中空の8区分されたパイ形状を示す。
図3は、リボン形状を有する2成分繊維の断面図を示した概略図である。
図4は、サイド・バイ・サイド形状を有する2成分繊維の断面図を示した概略図である。
図4Aは、サイド・バイ・サイド形状を示す。
図4Bは、曲線的な隣接線を有するサイド・バイ・サイド形状を示す。この隣接線は、2つのセグメントが交わるところである。セグメントYは、セグメントXよりもより多量に存在する。
図4Cは、セグメントYが曲線的な隣接線を有してセグメントXの両側に位置しているサイド・バイ・サイド形状である。
図4Dは、セグメントYがセグメントXの両側に位置しているサイド・バイ・サイド形状である。
図4Eは、YがXの先端に位置している成形されたサイド・バイ・サイド形状である。
図5は、セグメントX、Y及びZを有するリボン形状を有する3成分繊維の断面図を示す概略図であり、X及びYは上述の通りであることができ、ZはX及び/又はYから分裂可能な別の構成成分であり得る。
【0034】
単一のスピナレット穴を通る異なるセグメントフローの数はいかなる数であってもよく、典型的には(制限なく)、セグメントの数は、2〜約256、あるいは4〜約400、又は8〜約164、又は約16〜約64の範囲であり得る。熱可塑性デンプン構成成分の熱可塑性ポリマー構成成分に対する重量比は、一般に、約5:95〜約95:5である。熱可塑性ポリマー構成成分から作製される繊維の向上した製造効率を得るために、多成分繊維の総重量を基準とする熱可塑性デンプン構成成分の重量パーセントは、熱可塑性ポリマー構成成分の重量パーセントよりも低い可能性がある。その理由は、これが熱可塑性ポリマーを含むスプリット繊維をより多く作り出すか、又は除去される多成分繊維(デンプン構成成分)の量を低下させるからである。かかる多成分繊維に関する熱可塑性デンプン構成成分と熱可塑性ポリマー構成成分との重量比は、例えば、約10:90〜約65:35であることができ、あるいは約15:85〜約50:50であり得る。多成分繊維から分裂したデンプン繊維を保持し、使用することも所望される他の実施形態において、デンプン構成成分の熱可塑性ポリマー構成成分に対する重量比は、所望の割合及び大きさの分裂したデンプン構成成分及び熱可塑性ポリマー構成成分繊維を付与すべく、多成分繊維に関して所望されるように調節することができる。
【0035】
(3)材料特性
本発明は分裂可能な多成分繊維、並びにその多成分繊維から得られるスプリット繊維に関するので、2種類の繊維直径について言及することができる。用語「スプリット繊維」は、多成分繊維の1以上の構成成分を分離させることによって多成分繊維を1以上の繊維に分離又は分裂して得られる繊維を含むように使用される。分裂は、例えば、構成成分の化学的除去(例えば、構成成分の溶解又は繊維の構成成分の分離を促進する助剤の含有などであるが、これらに限定されない)並びに構成成分の機械的除去、及びこれらの組み合わせなどの当該技術分野におけるいかなる技法によっても達成させることができる。機械的分裂は、力の印加(延伸、水流交絡、伸張などを含むが、これらに限定されない)により達成させることができる。互いに高い相溶性を有さない構成成分を有する多成分繊維は、繊維の紡糸によるか、又は一旦成形された繊維の通常処理により自然に分裂し得る。構成成分は、当該技術分野において既知の多数の技法により溶解除去され得る。これらには、例として、可塑剤、又は溶媒若しくは反応性媒体(液体又は気体)で溶解されるべきポリマーを曝すことが含まれる。また、表面エネルギーに関して著しい差異がある構成成分から作製され、互いに隣接するセグメントは、より容易に分裂できる傾向があり、成形時又はスピナレットの毛管から出た時に、自然に分裂し得る。多成分繊維を分裂させる技法は、以下により詳細に説明される。
【0036】
以下に言及される第一の繊維直径は、「親」又は分裂可能な多成分繊維である。親繊維は、分裂すると、親繊維よりも直径が小さい1以上の「子」又はスプリット繊維を作り出す。一般に、分裂可能な多成分繊維の直径は、約400ミクロン以下であることができ、また約200ミクロン以下、又は約100ミクロン以下でもあり得る。スプリット繊維の直径は、常に多成分繊維の直径よりも小さく、一般には約50ミクロン以下であり、また約40ミクロン以下、約30ミクロン、又は約25ミクロン以下であることもできる。スプリット繊維の直径は、典型的には、約2ミクロン以上であることができ、本明細書の実施形態では約5ミクロン以上である。繊維直径は、紡糸速度、質量処理量及びブレンドの組成などを含むがこれらに限定されない当該技術分野において周知のパラメータにより制御される。
【0037】
円形でない繊維の場合、直径は等価直径として決定される。構成成分、例えば構成成分(i)が熱可塑性ポリマー構成成分であり得る場合か、また熱可塑性デンプン構成成分が分裂後に繊維形態で残存する場合の繊維断面における構成成分(i)の各セグメントの等価直径(dsi)は、以下のように計算される。
【0038】
【数1】

式中、ATは、繊維断面におけるポリマーの総面積であり、Fpは、ポリマーが占める繊維断面の分画(全体から中空の中心部分を引いたもの)であり、dfは、繊維の外径である。成分iの各セグメントの断面積(Ai)は、次いで以下の式に従って計算される。
【0039】
【数2】

式中、Xは繊維中の構成成分iの分画であり、nは繊維中の構成成分iのセグメントの数である(16区分されたパイ状繊維の場合は8である)。
【0040】
構成成分iの各セグメントの等価直径(ds1)は、次いで以下の式により計算される。
【0041】
【数3】

親繊維は、比較的低いドローダウン率を有する繊維として定義される。全繊維ドローダウン率は、最終用途における最終的な繊維直径に対する最大直径の繊維(一般的には毛管を出た直後に生じる)の比として定義される。ステープル、スパンボンド又はメルトブロウン加工のいずれかを経た親繊維の全ドローダウン率は、約50以下、及び本明細書の実施形態においては約30以下、又は約20以下、又は約15以下であり得る。
【0042】
本発明において製造される繊維は、存在するデンプンの量、使用するポリマー、繊維の具体的な形状に応じて環境分解性であることができる。「環境分解性」は、生分解性、崩壊性、分散性、水洗可能性、若しくは堆肥化可能性、又はこれらの組み合わせとして定義される。本発明において、繊維、不織布ウェブ、及び物品は環境分解性であることができる。
【0043】
本明細書に記載されている繊維は、一般的に、使い捨ての不織布物品の製造に使用される。前記物品は、通常は水洗可能である。用語「水洗可能」は、本明細書で使用する時、トイレのような汚水処理システム内で溶解、分散、崩壊、及び/又は分解して、トイレに流した時にトイレ又はその他のいかなる下水管にも詰まることなく除去される材料を指す。繊維及び得られる物品はまた、水反応性であってもよい。水反応性という用語は、本明細書で使用する時、水中に入れられるか流された時に、観察可能及び測定可能な変化が生じることを意味する。典型的な観察には、物品の膨潤、解体、溶解、又は一般的な脆弱化した構造に気付くことが挙げられる。
【0044】
本発明の多成分繊維及びスプリット繊維は、低い脆性を有し、高い強靭性、例えば約2MPa以上の強靭性を有することができる。強靭性は、応力−歪み曲線下の領域として定義される。
本発明の構成成分を含有する非デンプン熱可塑性ポリマーに相当する本発明のスプリット繊維は、高められた伸張性又は伸びを有する。伸張性又は伸びは、破断までの伸びにより測定される。伸張性又は伸びは、印加された力の下で伸長可能であるものとして定義されるが、必ずしも回復しない。破断までの伸びは、繊維が分離するまで伸張することができる距離として測定される。
【0045】
本発明の繊維の破断までの伸びは、歪み速度200%/分を使用することを除いては、ASTM標準D3822に従って試験される。10Nのロードセル及び空気圧式グリップを用いてMTSシナジー(Synergie)400引張試験機で試験を実施する。試験は、1インチ(2.54cm)のゲージ長を有する試料上で2インチ/分(5.08cm/分)の速度で行われる。試料を引っ張って破断する。ピーク応力及び破断時の%伸びを記録し、10試験片について平均する。繊維の「破断までの伸び」は、上述の試験及び条件に従って測定される破断までの伸びとして定義される。
【0046】
本発明のスプリット繊維の破断までの伸び比は、本発明のスプリット繊維の破断までの伸びを、以下に示されるようなものを除いて本質的に同じ繊維紡糸条件及びパラメータ下でスプリット繊維と同じ組成物から作製される単一成分繊維の破断までの伸びで割ったものとして定義される。単一成分繊維の質量処理量は、多成分繊維の対応する構成成分と同じ総質量処理量であるべきである。例えば、熱可塑性ポリマー構成成分についての総質量処理量が「x」であり、単一成分繊維が3つのスプリット繊維形成セグメントを含有する場合、多成分繊維を形成するための質量処理量は、やはり「x」であるべきである。単一成分繊維の直径は、スプリット繊維の等価直径と同じであるべきである。当該技術分野において理解されるように、単一成分繊維に関する紡糸速度は、特に多成分繊維が2つのセグメント又はスプリット繊維を形成するセグメントを含有する時、多成分繊維に関する紡糸速度よりも大きいことがある。単一成分(moncomponent)繊維を調製するのに使用されるスピナレット毛管の直径は、多成分繊維を調製するのに使用されるものと同じであるべきである。本発明の多成分繊維の熱可塑性ポリマー構成成分に対応するスプリット繊維に関する破断までの伸び比は、1.0よりも大きくあるべきであり、約1.5以上、又は約2.0以上でもあり得る。本発明の1つの利点は、比較的高い質量処理量で伸張性が高い小径の繊維を製造できるということである。これは、小径繊維を単一成分繊維として直接的に作製する従来の方法(細い繊維のための費用効率的な高紡糸速度/高処理量方法は低伸張性をもたらす傾向があるか、又は改善された伸張性を生み出すことができる低紡糸速度/低処理量方法は効率的ではない)と比べて利点である。
【0047】
本発明の繊維から製造される不織布製品は、所望の機械的特性、特に、強度、可撓性、柔軟性及び吸収性を呈し得る。強度の測定は、乾燥引張強度及び/又は湿潤引張強度を含む。可撓性は、剛性と関連し、柔軟性に起因し得る。柔軟性は、一般的に、可撓性及び質感の両方に関連する生理的に認識される属性として記載される。一般に、繊維の直径がより小さいと、不織布製品はより柔軟になる。吸収性は、製品が流体を吸い取る能力並びにその流体を保持する能力に関する。
【0048】
典型的には、本発明の多成分繊維の熱可塑性ポリマー構成成分に相当するスプリット繊維は、本発明により提供される。しかしながら、デンプン構成成分を多成分繊維から機械的に除去するか、又はデンプン構成成分が成形時に多成分繊維から自然に分離する実施形態において、本発明はまた、熱可塑性デンプン構成成分のスプリット繊維を提供し得る。これらを、熱可塑性ポリマー構成成分のスプリット繊維と組み合わせて、又はそれから分離して使用してもよい。
【0049】
(4)プロセス
多成分繊維を製造する第一工程は、配合又は混合工程であることができる。配合工程において、原材料は、典型的には剪断力の下で加熱される。熱の存在下での剪断は、組成物の適切な選択と共に、均質な溶融物を生じさせ得る。溶融物は、続いて繊維が形成される押出成形機に入れられる。繊維の収集物は、結果として不織布ウェブを形成する熱、圧力、化学的バインダー、機械的なからみ合い、及びこれらの組み合わせを用いて共に組み合わされる。続いて、不織布は物品へと組み立てられる。
【0050】
(配合)
配合工程の目的は、繊維の各構成成分に関する均質な溶融組成物を生成することである。好ましくは、溶融組成物は均質であり、これは溶融物の成分の均一な分布が存在するということを意味する。結果として生じた1又は複数の溶融組成物は、紡糸する繊維に対して本質的には水を含まないはずである。本質的に存在しないということは、紡糸の間に繊維を最終的に破壊し得る泡を生じさせるような、実質的な問題を起こさないこととして定義される。溶融組成物の遊離水含有量は、約1%以下、約0.5%以下、又は約0.15%以下であり得る。全水分含有量は、結合水及び遊離水を含む。好ましくは全水分含有量(結合水及び遊離水を含む)は、約1%以下である。この低い水分含有量を達成するには、デンプン又はポリマーを、加工前に乾燥させる必要がある場合があり、及び/又はいかなる遊離水をも除去すべく加工中に真空が適用される。本明細書の熱可塑性デンプン又は他の構成成分は、高温、例えば約60℃で紡糸前に乾燥され得る。乾燥温度は、構成成分の構成要素の化学的性質により決定される。故に、異なる組成物は、異なる乾燥温度を用いることができ、これは20℃から150℃の範囲であり得、一般的にはポリマーの融解温度よりも低い。構成成分の乾燥は、例えば、連続していてもよいし、又は紡糸と組み合わせた別個の工程としてでもよい。当該技術分野において周知であるような乾燥のためのこのような技法を、本発明の目的のために使用することができる。
【0051】
一般に、当該技術分野において既知であるか、又は本明細書の目的のために好適である方法を用いて、本発明の構成要素の成分を組み合わせることができる。典型的には、かかる技法としては、熱、混合及び圧力が挙げられる。特定の順番又は混合、温度、混合速度若しくは時間、及び機器は、当業者が理解するように変更可能であるが、温度は、デンプンが著しく分解しないように制御すべきである。結果として生じた溶融物は均質であるべきである。デンプン及び可塑剤のブレンドを混合する好適な方法は、以下の通りである。
【0052】
1.可塑剤を添加してデンプンを非構造化する。可塑剤は、ソルビトール又はマンニトールのように固体である場合、デンプン(粉末形態)と共に二軸式押出成形機に添加することができる。グリセリンのような液体は、容量変位ポンプを介してデンプンと組み合わせることができる。
2.押出成形機内で熱及び剪断力を加えることにより、デンプンを完全に非構造化する。デンプン及び可塑剤の混合物は、典型的には、デンプンがゼラチン化するまで、約10秒〜約15分の期間に亘って120℃〜180℃に加熱される。
3.典型的には少なくとも一回、押出成形機中の溶融物に真空を適用して遊離水を除去することができる。真空は、例えば、押出成形機の長さのおよそ3分の2の距離まで、又は操作者が所望するその他の点に適用することができる。
4.あるいは、複数の可塑剤又はデンプンのブレンドを導入するために、複数の供給領域を用いることができる。
5.あるいは、デンプンを液体の可塑剤と事前に混合し、押出成形機内にポンプで送り込むことができる。
【0053】
配合分野の当業者により認識されるように、デンプンの非構造化、デンプン溶融物の形成のために、多数の変形並びに代替方法及び条件(制限するものではないが、供給ポートの位置及びスクリュー押出成形機のプロファイルによるものを含む)を使用することができる。
【0054】
好適な混合装置は、複数の注入点を有する複数の混合領域を備えた二軸式押出成形機である。複数の注入点を、非構造化デンプン及びポリマーを添加するために使用することができる。二軸式バッチミキサー又は一軸式押出成形システムも使用できる。十分な混合及び熱が発生する限り、使用される具体的な装置は重要ではない。
【0055】
材料を配合する代替方法は、可塑剤、デンプン及びポリマーを押出成形システムに添加することを含み、ここで、それらは徐々に高くなる温度にて混合される。例えば、6つの加熱領域を有する二軸式押出成形機においては、最初の3領域が90℃、120℃、及び130℃に加熱され、後の3領域がポリマーの融点より高く加熱される。この手順により、デンプンの最小の熱分解が生じ、デンプンが完全に非構造化されてから熱可塑性材料と緊密に混合される。
【0056】
非構造化した熱可塑性デンプンを配合する例は、250RPM(26rad/秒)で設定されたワーナー・アンド・フライデラー(Werner & Pfleiderer)(直径30mm、長さ:直径比40:1)の共回転式二軸式押出成形機を用いることであり、最初の2つの加熱領域は50℃に設定されており、残り5つの加熱領域は150℃に設定されている。最後から二番目及び最後の加熱部分間に真空が取り付けられ、10atmの真空を引く。デンプン粉末及び可塑剤(例えば、ソルビトール)は、例えば質量損失フィーダーを使用して、組み合わせた速度が30ポンド/時間(13.6kg/時間)、デンプン/可塑剤の重量比が60/40で、押出成形機の基部にある供給スロート(feed throat)内に個々に供給される。デンプン又は可塑剤と共に、加工助剤を添加することができる。例えば、マグネシウムセパレート(magnesium separate)を、例えば熱可塑性デンプン構成成分の0重量%〜1重量%の濃度で添加することができる。
【0057】
(紡糸)
本発明の繊維は、溶融紡糸により作製することができる。溶融紡糸は、溶液からの湿式又は乾式紡糸などの他の紡糸とは区別され、かかる代替方法においては、溶媒が溶融物中に存在し、押出物からそれを揮発させるか、又は放散させることにより排除される。
溶融物に関する紡糸温度は、約105℃〜約300℃の範囲であることができ、幾つかの実施形態においては、約130℃〜約250℃、又は約150℃〜約210℃であり得る。加工温度は、各構成成分の化学的性質、分子量、及び濃度によって決まる。
一般に、本発明には、高い繊維紡糸速度が所望される。約10メートル/分以上の繊維紡糸速度を使用することができる。本明細書の幾つかの実施形態において、繊維紡糸速度は、約100〜約7,000メートル/分、又は約300〜約3,000メートル/分、又は約500〜約2,000メートル/分である。
【0058】
繊維は、高いドローダウン率を特徴とする繊維紡糸プロセスにより作製される。ドローダウン率は、最大直径での繊維(従来の紡糸プロセスにおいて、典型的にはスピナレットの毛管から出た直後に生じる)と、形成された繊維の最終直径との比として定義される。ステープル、スパンボンド又はメルトブロウン方法のいずれかによる繊維のドローダウン率は、典型的には1.5以上であり、約5以上、約10以上又は約12以上であることができる。
【0059】
連続する繊維は、例えばスパンボンド法又はメルトブロウン方法により製造することができる。あるいは、非連続繊維(短繊維)は、当該技術分野において周知の従来の短繊維方法に従って製造することができる。当業者により理解されるように、多様な繊維製造方法を組み合わせて、組み合わせ技法とすることもできる。例えば、中空繊維は、米国特許第6,368,990号に記載されるように製造することができる。繊維紡糸のための上述のような方法は、当該技術分野において周知であり、理解されている。紡糸された繊維は、形成されてから従来のゴデットワインディングシステム又は空気通過抵抗減衰装置(through air drag attenuation devices)を用いて集められることができる。ゴデットシステムを使用する場合、繊維は約50℃〜約200℃の温度での押出成形後延伸によって更に配向され得る。延伸した繊維は、続いて捲縮及び/又は切断して、カーディング、エアレイド、又は流動体載置(fluidlaid)方法において使用される非連続繊維(短繊維)を形成してもよい。
【0060】
繊維を紡糸するプロセスにおいて、特に温度を105℃よりも高くする時、残留水分量は、典型的には、繊維の1重量%以下、あるいは0.5重量%以下、又は0.15重量%以下であることが望ましい。
好適な多成分溶融紡糸機器は、例えば米国フロリダ州メルボルン(Melbourne,Florida USA)にあるヒルズ社(Hills Inc.)から市販され、米国特許第5,162,074号(ヒルズ社)に記載されている。
スピナレットの毛管の寸法は、所望の繊維の大きさ及び作り(design)、紡糸条件、並びにポリマー特性に応じて変更できる。好適な毛管の寸法には、長さ対直径比4(直径0.350mm)が挙げられるが、これに限定されない。
当業者により理解されるように、繊維の紡糸及び構成成分の配合は、任意にはインラインで行うことができ、配合、乾燥及び紡糸は連続するプロセスである。
【0061】
紡糸線における各構成成分の滞留時間は、高融解温度の熱可塑性ポリマーが非構造化デンプンと紡糸されるように選択される時、特別な重要性を有し得る。紡糸機器は、スピナレット内にて曝露される非構造化の時間及び容量を最小にすることによって、高い加工温度に非構造化されたデンプン構成成分を曝露することを最小にするべく設計することができる。例えば、スピナレットへのポリマー供給線は、2成分パックに導入されるまで、封止され、分離されることができる。更に、多成分繊維の紡糸分野の当業者であれば、スピナレットに導入されるまで、少なくとも2つの構成成分が、異なる温度で別個の押出成形機に導入されて加工され得ることを理解するであろう。
【0062】
例えば、少なくとも1つの非構造化デンプンセグメントと、少なくとも1つのポリプロピレンセグメントとを有する2成分区分化パイ形状の繊維を紡糸する好適な方法は、以下の通りである。非構造化されたデンプン構成成分の押出成形機のプロファイルは、実施例5と同様のデンプン組成物を有する3つのヒータ領域を備えた押出成形機の最初の3つの領域では80℃、150℃及び150℃であってもよい。移動ライン及び溶融ポンプヒータ温度は、デンプン組成物に関しては150℃であってもよい。ポリプロピレン構成成分の押出成形機温度プロファイルは、3つのヒータ領域を備えた押出成形機の最初の3つの領域では180℃、230℃及び230℃であってもよい。移動ライン及び溶融ポンプを、230℃まで加熱することができる。この場合、スピナレットの温度は180℃〜230℃の範囲であることができる。
【0063】
繊維の分裂は、多様な方法で達成させることができる。1つの実施形態において、多成分繊維は、繊維紡糸プロセスにもともと存在する条件ではない繊維分裂技法を適用することなく、成形時又はスピナレットの毛管から出た時に分裂してスプリット繊維となる。繊維速度がゼロに達した時、スプリット繊維は既に存在し得る。かかる繊維分裂は、多成分繊維の隣接するセグメントの異なる構成成分のレオロジー、相溶性(compatability)又は固化の動力学の違いから生じる。実質的に異なる表面エネルギーを有する構成成分は、通常の繊維紡糸プロセス中に存在するような低レベルの力を印加すると互いに分裂する傾向にある。例えば、ポリプロピレンは、非置換デンプンと比べて低い表面エネルギーを有し、非置換デンプンで多成分繊維を形成することができ、スプリット繊維はスピナレットの毛管から出た時に自然に形成する。ポリマー構成成分の伸び又は剛性における違いもまた、スピナレットから出た時の多成分繊維の分裂を強化する。例えば、デンプンの分子量を低減させることは、デンプンの脆性を増大させ、それによりデンプン及び熱可塑性ポリマー間の伸長特性に関する差異を増大させ、スピナレットから出た時に多成分繊維が分裂する能力を高める。
【0064】
例えば、16区分されたパイにおいて、各毛管に対して、1つの大きな繊維の代わりに16の個々の繊維が存在する。デンプン構成成分の繊維は、所望であれば保持されるか、又は溶媒抽出、ニードルパンチングによる機械的な破壊、高圧流動体曝露若しくはその他好適な手段により除去され得る。第二の実施形態において、多成分繊維の1以上の構成成分は、機械的エネルギーの印加であり得る繊維形成後工程を適用することにより多成分繊維から分離され、それによりまたスプリット繊維の形態の少なくとも1つの構成成分を提供する。繊維が分裂された後に繊維内にてデンプン構成成分を除去する上述の方法に加え、繊維は、デンプン構成成分を除去することなく、機械的変形によって分裂され得る。機械的変形は、例えば、伸び、屈曲、繊維の表面上での剪断(例えば、表皮剥離)又はその他好適な方法から生じ得る。デンプン構成成分の繊維は、所望であれば保持されるか、又は溶媒抽出、例えばニードルパンチングによる機械的な破壊、高圧流体曝露若しくはその他好適な手段により除去され得る。1つの代表的な実施形態において、デンプン構成成分の構成要素はデンプン構成成分が非常に脆性であるように配合され、これはデンプン構成成分の機械的除去をより容易にする。
【0065】
別の実施形態において、典型的にはデンプン構成成分を含む1以上の構成成分を、スプリット繊維の形態の少なくとも1つの構成成分を残して、多成分繊維から分離させることができる。デンプンは、例えば水又は他の極性溶媒(例えば、C1〜C3アルコール)などの溶媒に溶解することができ、それ故、繊維(不織布及び織布は、本明細書において除去操作のために、以下組み込まれる)は、デンプン構成成分を除去するために、溶媒槽に通されるか、又は高圧流体溶媒と共に噴霧され得る。
また、上述の実施形態の組み合わせが多成分繊維に存在してもよく、又は多成分繊維に適用されてもよい。当業者に既知であろう他の方法を使用してもよい。所望であれば、仕上げ材の塗布又は他の材料での含浸により、これらの繊維を更に処理することができる。
【0066】
(5)物品
当該技術分野において既知のいかなる好適な方法によって、スプリット繊維を繊維性ウェブ及び不織布に変換してもよい。不織布の基材は、例えば、様々な異なる結合方法を利用して形成されてもよい。連続繊維は産業界で標準的なスパンボンド又はメルトブロウンタイプの技術を使用してウェブに形成でき、一方、短繊維は産業界で標準的なカーディング、エアレイド又は湿式載置技術を使用してウェブに形成できる。代表的な結合方法には、カレンダ(圧力及び熱)、通気加熱、機械的なからみ合い、流体力学的なからみ合い、ニードルパンチ、並びに化学結合及び/又は樹脂結合が挙げられる。熱結合可能な繊維は、加圧熱及び通気熱結合方法に必要である。本明細書の不織布ウェブ及び基材は、熱可塑性ポリマー構成成分のスプリット繊維、デンプン構成成分のスプリット繊維又はこれらの組み合わせを使用して作製することができる。更に、本発明のスプリット繊維は、合成繊維及び天然繊維を含むがこれらに限定されない当該技術分野において既知の他の繊維と組み合わせることができる。本明細書のスプリット繊維は、本発明に従って得られるスプリット繊維に含まれる構成要素を含む繊維に関する当該技術分野において既知のいかなる目的のためにも使用することができる。
【0067】
例えば、本発明のスプリット繊維はまた、他の合成又は天然繊維と結合又は組み合わされて不織布物品を作ることもできる。合成繊維又は天然繊維は、形成プロセスで共にブレンドされてもよく、又は別個の層で使用されてもよい。適切な合成繊維としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアクリレート、並びにこれらのコポリマー及びこれらの混合物から作られる繊維が挙げられる。天然繊維には、セルロース繊維及びその誘導体が挙げられる。適切なセルロース繊維としては、広葉樹の繊維、針葉樹の繊維、麻、及び綿を含む、任意の樹木又は植物に由来するものが挙げられる。レーヨンのような加工された天然セルロース資源から作られる繊維もまた含まれる。
【0068】
上述のように、本発明のスプリット繊維は不織布を作製するのに使用されてもよく、連続するか、又は連続しておらず、物理的及び/若しくは化学的に互いに接着される複数の繊維を15重量%以上含有するものを含むが、これらに限定されない。不織布は、保護層、バリア層、液体及び/若しくは気体不透過性層、又は吸収性コア若しくはウェブの形態であってもよい。不織布は、それ自体で、又は他の材料の複合体の組み合わせの一構成成分としてのいずれかで使用される層状製品(例えば、乳児用おむつ又は女性用生理用パッド)を製造するために、追加の不織布又はフィルムと組み合わされてもよい。本明細書で想定される特定の実施形態としては、使い捨て不織布物品が挙げられる。この製品は、多くの異なる用途の1つに用途を見出してもよい。本発明の好適な物品としては、衛生、清掃、表面処理及び医療的用途のための使い捨て不織布が挙げられる。衛生用途としては、拭き取り布;おむつ(特に、トップシート若しくはバックシート、又はおむつの弾性材又は他の構成要素を被覆する保護層として);及び女性用パッド又は製品(特にトップシート又はバックシート)などの品目が挙げられる。
【実施例】
【0069】
以下の実施例は、本発明を更に説明する。以下の実施例で使用するデンプンは、スタードライ(StarDri)1、スタードライ100、エチレックス(Ethylex)2015又はエチレックス2035であり、これらは全てステーリーケミカル社(Staley materials)のものである。後者のステーリーの材料は、置換デンプンである。ポリプロピレン(PP)は、ベーセルプロファックス(Basell Profax)PH−835、ベーセルPDC1298、又はエクソン/モービルアチーブ(Exxon/Mobil Achieve)3854である。ポリエチレン(PE)は、ダウケミカルズアスパン(Dow Chemicals Aspun)6811A、ダウケミカルアスパン6830A又はダウケミカルアスパン6842Aである。グリセリンは、ダウケミカル社(Dow Chemical Company)からのコシャーグレード(Kosher Grade)BUオプティム(OPTIM)*グリセリン99.7%である。ソルビトールは、アーチャー−ダニエルズ−ミッドランド社(Archer-Daniels-Midland Co.)(ADM)からのクリスタライン(Crystalline)NF/FCC177440−2Sである。ポリエチレンアクリル酸は、ダウケミカル社(Dow Chemical Co.)からのプリマコール(PRIMACOR)5980Iである。分子量、分子量分布、及び/又はコモノマー若しくは欠陥レベルが異なる同様の化学的組成を有する他のポリマーを使用することもできる。比較例1及び実施例1〜12において使用する加工条件は、0.8ghmの質量処理量を用いる。質量処理量の典型的な範囲は、約0.1ghm〜約8ghmである。
【0070】
比較例1:1分当り1穴につき0.8グラム(ghm)の処理量で、ベーセルプロファックス(Basell Profax)PH−835から成る固体のポリプロピレン(PP)単一成分繊維を調製し、190℃の溶融押出成形温度で連続フィラメント方法により繊維に溶融紡糸された時の繊維直径が18μmであった時、この繊維の破断までの伸びは、181%であった。
【0071】
(実施例1)
中空区分化パイ:2成分パックのセットアップは、16区分されたパイ形状を含有する。構成成分Aは、ベーセルプロファックス(Basell Profax)PH−835である。構成成分BはTPS構成成分であり、60部のスタードライ(StarDri)1、40部のソルビトール、15部のプリマコア(Primacore)5980−I及び1部のステアリン酸マグネシウムを用いて配合される。各成分を温度を徐々に上げながら溶融及び混合する押出システムに同時に添加する。この手順は、デンプンがかなりの時間180℃を超えて加熱される場合に生じるデンプンの熱分解を最小にする。スピナレットの加工温度は190℃である。構成成分A対構成成分Bの比は4:1である。質量処理量は0.8ghmである。機械的なワインディングによる繊維速度は500メートル/分(m/分)である。構成成分Aは、機械的変形の下で構成成分Bから容易に分裂する。破断までの伸びが複合繊維において測定される時、その値は、平均構成成分Aフィラメント直径16μmで643%である。故に、繊維の伸びを比較例1と比較すると、破断までの伸びは、同等の質量処理量で全体的な直径がより小さい実施例1における方が著しく高い。TPS構成成分である構成成分Bは、水に浸漬させることにより容易に除去され、多成分繊維と同様の伸びを有する8PPの繊維を生じることができる。
【0072】
(実施例2)
中空区分化パイ:2成分パックのセットアップは、16区分されたパイ形状を含有する。構成成分Aは、ベーセルプロファックス(Basell Profax)PH−835である。構成成分BはTPS構成成分であり、60部のスタードライ(StarDri)1、40部のソルビトール及び1部のステアリン酸マグネシウムを用いて配合される。各成分を温度を徐々に上げながら溶融及び混合する押出システムに同時に添加する。この手順は、デンプンがかなりの時間180℃を超えて加熱される場合に生じるデンプンの熱分解を最小にする。スピナレットの加工温度は190℃である。構成成分A対構成成分Bの比は2.33:1である。質量処理量は0.8ghmである。機械的なワインディングによる繊維速度は500m/分である。構成成分Aは、機械的変形の下で構成成分Bから容易に分裂する。破断までの伸びを複合繊維において測定する時、その値は、平均構成成分Aフィラメント直径16μmで678%である。故に、繊維の伸びを比較例1と比較すると、破断までの伸びは、全体的な直径がより小さい実施例1における方が著しく高い。TPS構成成分である構成成分Bは、水に浸漬させることにより容易に除去され、多成分繊維と同様の伸びを有する8PPの繊維を生じることができる。
【0073】
(実施例3)
中空区分化パイ:2成分パックのセットアップは、16区分されたパイ形状を含有する。構成成分Aは、ベーセルプロファックス(Basell Profax)PH−835である。構成成分BはTPS構成成分であり、60部のスタードライ(StarDri)1、40部のソルビトール及び1部のステアリン酸マグネシウムを用いて配合される。各成分を温度を徐々に上げながら溶融及び混合する押出システムに同時に添加する。この手順は、デンプンがかなりの時間180℃を超えて加熱される場合に生じるデンプンの熱分解を最小にする。スピナレットの加工温度は190℃である。構成成分A対構成成分Bの比は9:1である。質量処理量は0.7ghmである。機械的なワインディングによる繊維速度は500m/分である。構成成分Aは、機械的変形の下で構成成分Bから容易に分裂する。破断までの伸びを複合繊維において測定する時、その値は、平均構成成分Aフィラメント直径16μmで620%である。故に、繊維の伸びを比較例1と比較すると、破断までの伸びは、全体的な直径がより小さい実施例1における方が著しく高い。TPS構成成分である構成成分Bは、水に浸漬させることにより容易に除去され、多成分繊維と同様の伸びを有する8PPの繊維を生じることができる。
【0074】
(実施例4)
中空区分化パイ:2成分パックのセットアップは、16区分されたパイ形状を含有する。構成成分Aは、ベーセルプロファックス(Basell Profax)PH−835である。構成成分BはTPS構成成分であり、60部のスタードライ(StarDri)1、40部のソルビトール及び1部のステアリン酸マグネシウムを用いて配合される。各成分を温度を徐々に上げながら溶融及び混合する押出システムに同時に添加する。この手順は、デンプンがかなりの時間180℃を超えて加熱される場合に生じるデンプンの熱分解を最小にする。スピナレットの加工温度は190℃である。構成成分A対構成成分Bの比は1:1である。質量処理量は1.2ghmである。機械的なワインディングによる繊維速度は500m/分である。構成成分Aは、機械的変形の下で構成成分Bから容易に分裂する。破断までの伸びが複合繊維において測定される時、その値は、平均構成成分Aフィラメント直径16μmで790%である。故に、繊維の伸びを比較例1と比較すると、破断までの伸びは、全体的な直径がより小さい実施例1における方が著しく高い。TPS構成成分である構成成分Bは、水に浸漬させることにより容易に除去され、多成分繊維としての伸びを有する8PPの繊維を生じることができる。
【0075】
(実施例5)
中空区分化パイ:2成分パックのセットアップは、16区分されたパイ形状を含有する。構成成分Aは、ベーセルプロファックス(Basell Profax)PH−835である。構成成分BはTPS構成成分であり、60部のスタードライ(StarDri)1、40部のソルビトール、12部のダウプリマコア(Dow Primacore)5980−I及び1部のステアリン酸マグネシウムを用いて配合される。各成分を温度を徐々に上げながら溶融及び混合する押出システムに同時に添加する。この手順は、デンプンがかなりの時間180℃を超えて加熱される場合に生じるデンプンの熱分解を最小にする。スピナレットの加工温度は190℃である。構成成分A対構成成分Bの比は4:1である。質量処理量は0.8ghmである。機械的なワインディングによる繊維速度は500m/分である。構成成分Aは、機械的変形の下で構成成分Bから容易に分裂する。破断までの伸びが複合繊維において測定される時、その値は、平均構成成分Aフィラメント直径16μmで640%である。故に、繊維の伸びを比較例1と比較すると、破断までの伸びは、同等の質量処理量で全体的な直径がより小さい実施例1における方が著しく高い。TPS構成成分である構成成分Bは、水に浸漬させることにより容易に除去され、多成分繊維と同様の伸びを有する8PPの繊維を生じることができる。
【0076】
本発明の特定の実施形態を例示し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。本発明の範囲内におけるこのような変形及び変更の全ては、添付の請求項に包含されることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】中実の8区分されたパイ形状を有する分裂可能な繊維の断面図。
【図2】中空の8区分されたパイ形状を有する分裂可能な繊維の断面図。
【図3】リボン形状を有する2成分繊維の断面図を有する分裂可能な繊維の断面図。
【図4A】サイド・バイ・サイド形状を有する2成分繊維の断面図を有する分裂可能な繊維の断面図。サイド・バイ・サイド形状を有する分裂可能な繊維の断面図。
【図4B】サイド・バイ・サイド形状を有する2成分繊維の断面図を有する分裂可能な繊維の断面図。曲線的な隣接線を有するサイド・バイ・サイド形状を有する分裂可能な繊維の断面図。
【図4C】サイド・バイ・サイド形状を有する2成分繊維の断面図を有する分裂可能な繊維の断面図。曲線的な隣接線を有する分裂可能な繊維の断面図。
【図4D】サイド・バイ・サイド形状を有する2成分繊維の断面図を有する分裂可能な繊維の断面図。サイド・バイ・サイド形状を有する分裂可能な繊維の断面図。
【図4E】サイド・バイ・サイド形状を有する2成分繊維の断面図を有する分裂可能な繊維の断面図。成形されたサイド・バイ・サイド形状を有する分裂可能な繊維の断面図。
【図5】3成分繊維の断面図を有する分裂可能な繊維の断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A.非デンプン熱可塑性ポリマーを含む第一の構成成分の少なくとも1つの非包囲セグメントと、
B.熱可塑性デンプンを含む第二の構成成分の少なくとも1つの非包囲セグメントと
を含む分裂可能な多成分繊維であって、
(i)前記第二の構成成分は、前記第一の構成成分から分裂されるか又は除去されて、前記第一の構成成分から本質的に成る少なくとも1つのスプリット繊維を提供することが可能であり、および
(ii)前記第一の構成成分のスプリット繊維は1.0よりも大きい破断までの伸び比を有する
多成分繊維。
【請求項2】
前記分裂可能な多成分繊維が、海島型、区分化されたパイ、中空の区分化されたパイ、サイド・バイ・サイド、区分化されたリボン、先端のある多葉断面型及びこれらの組み合わせから成る群から選択される形状を有する請求項1に記載の分裂可能な多成分繊維。
【請求項3】
前記分裂可能な多成分繊維が、約400マイクロメートル以下、あるいは約200マイクロメートル以下の直径を有する請求項1又は2に記載の多成分繊維。
【請求項4】
前記第一の構成成分が複数の別個のセグメントを含み、前記セグメントの各々が、約50マイクロメートル以下、あるいは約25マイクロメートル以下の直径を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の多成分繊維。
【請求項5】
前記構成成分Aの熱可塑性ポリマーが、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリアミド類、及びこれらのコポリマー並びにこれらの組み合わせから成る群から選択される請求項1〜4のいずれか一項に記載の分裂可能な多成分繊維。
【請求項6】
前記熱可塑性デンプンが、非構造化されたデンプンと、可塑剤とを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の分裂可能な多成分繊維。
【請求項7】
前記第一の構成成分が最大約49%のデンプンを含み、前記第二の構成成分が最大約49重量%の非デンプン熱可塑性ポリマーを含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の分裂可能な多成分繊維。
【請求項8】
前記破断までの伸び比が約2.0以上である請求項1〜7のいずれか一項に記載の分裂可能な多成分繊維。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の分裂可能な多成分繊維に由来するスプリット繊維。
【請求項10】
前記スプリット繊維が、前記第一の構成成分に由来する請求項9に記載のスプリット繊維。
【請求項11】
前記スプリット繊維が、前記第二の構成成分に由来するスプリット繊維を更に含む請求項10に記載のスプリット繊維。
【請求項12】
(a)(i)非デンプン熱可塑性ポリマーを含む第一の構成成分の少なくとも1つの非包囲セグメントと、
(ii)熱可塑性デンプンを含む第二の構成成分の少なくとも1つの非包囲セグメントと
を有する多成分繊維を提供する工程、及び
(b)前記多成分繊維から少なくとも前記第二の構成成分を分裂して、前記第一の構成成分に由来する少なくとも1つのスプリット繊維を提供する工程
を含む、繊維を作製する方法であって、
前記第一の構成成分のスプリット繊維は1.0よりも大きい破断までの伸び比を有する方法。
【請求項13】
前記破断までの伸び比が約1.5以上である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第一の構成成分が複数の別個のセグメントを含み、前記方法が前記第一の構成成分に由来する複数のスプリット繊維を提供する請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記分裂工程(b)が、前記第二の構成成分に由来するスプリット繊維を更に提供する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記多成分繊維がスピナレットから形成され、前記多成分繊維が前記スピナレットから出る時に分裂する請求項12〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記分裂工程が、機械的エネルギーの印加を含む請求項12〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記分裂工程が、前記第二の構成成分を溶解することを含む請求項12〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項12に記載のスプリット繊維を含む不織布ウェブ。
【請求項20】
請求項19に記載の不織布ウェブを含む使い捨て物品。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図4D】
image rotate

【図4E】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2006−505710(P2006−505710A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−551376(P2004−551376)
【出願日】平成14年11月14日(2002.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2002/036592
【国際公開番号】WO2004/044287
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】