説明

データストリーム再生装置及びデータストリーム復号装置

【課題】再生対象の多重化ストリーム内に特定の再生装置では復号処理が不可能なデータストリームが多重化されていた場合でも、そのデータストリームの復号を可能とし、ユーザに違和感を与えない同期再生を実現する。
【解決手段】記録媒体101から読み出した多重化ストリームに含まれるデータストリームの中で、自再生装置100aで復号が不可能なデータストリームが存在しているか否かを判断する。復号不可能なデータストリームが存在している場合には、データストリームの復号が可能な外部装置を検索し、この外部装置にネットワーク400を通じて送信する。そして、外部装置で復号処理された復号後のデータストリームを受信し、受信した復号後のデータストリームと、自再生装置が所有するデコーダ107、108で復号を行った他のデータストリームとを同期制御を行いながら出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送又は記録されているデータストリームの復号、再生を行うデータストリーム再生装置及びデータストリーム復号装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、符号化手法の発展などに伴って、次々と新しい圧縮フォーマットが提案されている。例えば映像データを扱う圧縮フォーマットとしては、MPEG-2、MPEG-4、H.264などが存在しており、音声データを扱う圧縮フォーマットとしては、MPEG-1 Layer3、Dolby Digital AC-3、DTS-HDなどが存在している。コンテンツの作成者は、用途・目的や記録媒体の種類(DVD、Blu-ray Disc(登録商標)など)によって、こうした様々な種類の圧縮フォーマットを使い分けることが可能である。
【0003】
例えば、Blu-ray Disc Read Only Formatでは、下記の非特許文献1に記載されているように、映像データの圧縮フォーマットとしては、MPEG-2 Video、H.264 AVC、VC-1 (MS)など、音声データの圧縮フォーマットとしては、Dolby Digital AC-3、DTS、Dolby Digital Plus、DTS HDなどを始めとして様々なデータストリームを用途・目的に従ってコンテンツ作成者が任意に選択し、下記の非特許文献2で規定されているようなMPEG-2 TS(トランスポートストリーム)形式に従って各データストリームを多重化して、多重化ストリームとして記録できるようになっている。
【0004】
しかし、再生装置が、そのような様々な圧縮フォーマットのデータストリームが多重化されている多重化ストリームを再生するためには、それらの選択可能なすべての圧縮フォーマットを復号することが可能な復号器を備える必要がある。
【0005】
また、ユーザは異なる種類の記録媒体(DVDやBlu-Rayなど)を再生して視聴するためにそれぞれの記録媒体の種類に対応した再生装置を購入することが一般的である。このとき、異なる種類の記録媒体に同一の圧縮フォーマットで圧縮されたデータストリームが記録されているにもかかわらず、それぞれの再生装置内に同一の圧縮フォーマットのデータストリームを復号するための復号器が備えられることになる。その結果、各再生装置に特定の圧縮フォーマットに対応した復号器が設けられることになり、コストの上昇などにおいてユーザに対して不利益が発生してしまうことになる。
【0006】
上記の問題は、なるべく各種圧縮フォーマットの復号器を機器間で共通して使用することで解決できると考えられる。例えば、下記の特許文献1には、複数のデジタルAV機器を有するシステムにおいて、各AV機器間で個別に映像及び音声の復号を行うとともに、復号処理の際の時間情報を交換することで、映像と音声の同期出力を可能とする技術が記載されている。
【特許文献1】特開2001−128167号公報(段落0019−0027)
【非特許文献1】White paper Blu-ray Disc Format 2.B Audio Visual Application Format Specifications for BD-ROM March 2005、参考URL:http://www.blu-raydisc.com/assets/downloadablefile/2b_bdrom_audiovisualapplication_0305-12955.pdf
【非特許文献2】ITU-T recommendation H.222.0, "Information technology - Generic coding of moving pictures and associated audio information: systems"
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の技術によれば、例えばある2つのAV(Audio-Visual)機器が異なる部屋に設置されている場合などのように、2つのAV機器が離れた位置に存在している場合には、同期出力される場所(部屋)が異なるため、同期再生の有用性が十分に実現されないことになる。また、ユーザがどのAV機器でどのような圧縮フォーマットが復号され出力されるかを認識する必要があるため、AV機器間の接続が複雑化してしまうという問題も生じることになる。
【0008】
上記の問題を解決するため、本発明は、ある再生装置が再生する多重化ストリーム内に、その再生装置では復号処理が不可能なデータストリームが多重化されていた場合でも、そのデータストリームの復号を可能とし、ユーザに違和感を与えないようなデータストリームの同期再生を実現することが可能なデータストリーム再生装置及びデータストリーム復号装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明によれば、複数種類以上のデータストリームが多重化された多重化ストリームを再生するデータストリーム再生装置であって、
外部装置との相互通信を行うための通信路に接続する接続手段と、
前記多重化ストリームを取得する多重化ストリーム取得手段と、
特定の種類の前記データストリームの復号処理を行う1つ以上の復号手段と、
前記多重化ストリーム取得手段で取得した前記多重化ストリームに含まれる前記データストリームの復号が前記復号手段によって可能か否かを判断する復号可能性判断手段と、
前記復号可能性判断手段によって前記復号手段による復号が不可能と判断された前記データストリームが存在する場合に、前記通信路に接続されている前記外部装置から、前記外部装置によって復号処理が可能なデータストリームの種類を示す情報を前記接続手段を通じて取得することで、前記データストリームの復号が可能な外部装置を特定する外部装置特定手段と、
前記外部装置特定手段で特定された前記外部装置に対して、前記復号手段による復号が不可能な前記データストリームを送信する送信手段と、
前記外部装置に対して送信した前記データストリームを前記外部装置が復号することによって生成された復号データを受信して格納する受信手段と、
前記多重化ストリームに多重化されている前記データストリームのそれぞれが復号された後の復号データの最小再生単位のデータ量と前記最小再生単位の再生時間とを取得して保持する再生単位情報保持手段と、
前記外部装置で復号された前記復号データの先頭データを前記受信手段で受信して格納した時刻から、前記最小再生単位のデータ量分だけ前記復号データを前記外部装置から受信して格納した時刻までの時間と、前記再生単位情報保持手段で保持されている前記最小再生単位の再生時間とを比較し、前記最小再生単位の再生時間が前記時間幅よりも小さい場合に、前記外部装置による前記データストリームの復号処理を停止するよう制御する転送時間判断手段と、
前記送信手段が前記外部装置に対して前記データストリームの送信を開始した時刻から、前記最小再生単位のデータ量分だけ前記復号データを前記外部装置から受信して格納した時刻までの時間幅を遅延時間として、前記復号手段によって復号された前記復号データの出力基準時刻を前記遅延時間分だけ補正し、前記補正された基準時刻に従って前記復号手段で復号された前記復号データを出力する一方、前記受信手段で前記外部装置から受信した前記復号データに関しては、前記受信手段で前記外部装置から受信した前記復号データの先頭データの出力を前記前記復号手段で復号された前記復号データに出力と合わせるとともに、その後は前記最小再生単位の再生時間に従って出力するように制御する同期制御手段とを、
有するデータストリーム再生装置が提供される。
【0010】
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、多重化ストリームに多重化されているデータストリームの復号処理を行うデータストリーム復号装置であって、
外部装置との相互通信を行うための通信路に接続する接続手段と、
特定の種類の前記データストリームの復号処理を行う1つ以上の復号手段と、
前記1つ以上の復号手段によって復号可能なデータストリームの種類を示す情報を前記接続手段を通じて前記外部装置に開示する情報開示手段と、
前記接続手段を通じて前記外部装置から前記データストリームを受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記データストリームを、前記データストリームの種類に対応した前記復号手段を用いて復号させる復号制御手段と、
前記復号制御手段によって前記復号手段で前記データストリームが復号されて生成された復号データを前記外部装置に送信する送信手段とを、
有するデータストリーム復号装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記構成を有しており、ある再生装置が再生する多重化ストリーム内に、その再生装置では復号処理が不可能なデータストリームが多重化されていた場合でも、そのデータストリームの復号を可能とするという効果を有している。また、特にユーザから見ると、すべてのデータストリームに対する復号処理が1つのデータストリーム再生装置内で行われているかのように感じられ、ユーザに違和感を与えないようなデータストリームの同期再生を実現するという効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。図1には、本発明の実施の形態におけるシステム構成の一例が図示されている。図1に図示されているシステム構成では、再生装置(データストリーム再生装置)100a、外部装置(データストリーム復号装置)100b、サーバ100cがネットワーク400に接続されている。なお、ネットワーク400に接続されている外部装置100bは、再生装置100aにとって別の装置であることを示すために『外部』という言葉が用いられている。また、ネットワーク400は任意のネットワークであり、例えば、ユーザのホームネットワーク(家庭内のネットワーク)であってもよく、インターネットなどのグローバルネットワークであってもよい。
【0013】
次に、図1に図示されている再生装置100a、外部装置100b、サーバ100cのそれぞれの内部構成について説明する。
【0014】
図2には、本発明の実施の形態における再生装置の内部構成の一例が図示されている。図2に図示されている再生装置100aは、記録媒体読み出し部102、命令部103、DEMUX部104、バッファA105、106、122、デコーダ107、108、バッファB109、110、125、STC(System Time Clock)出力部111、外部接続情報メモリ120、デコーダ所有情報メモリ121、外部出力バッファ検知器123、外部入力バッファ検知器124、遅延時間メモリ127、外部入出力インタフェース131を有している。
【0015】
記録媒体読み出し部102は、命令部103からの再生命令に基づいて、記録媒体101に記録されている複数のデータストリームが多重化された多重化ストリームを読み出して、読み出した多重化ストリームをDEMUX部104に供給する機能を有している。
【0016】
また、命令部103は、タイマによる起動やユーザ操作による再生指示などの所定のトリガに基づいて、記録媒体101の再生命令を発行し、記録媒体読み出し部102に供給する機能を有している。
【0017】
また、DEMUX部104は、1種類以上のビデオやオーディオなどに特化したデータストリームが多重化されている多重化ストリームに関して、種類別に分離(DEMUX)した後に、後述のデータストリームのPMT(Program Map Table:プログラムマップテーブル)とデコーダ所有情報とを参照して、自再生装置100aで復号処理が可能なデータストリームと復号処理が不可能なデータストリームとの判別を行う機能を有している。そして、復号可能な各データストリームをバッファA105、106に振り分けて格納する一方、復号不可能なデータストリームに関してはバッファA122に格納する機能を有している。
【0018】
また、データストリームとしてPCR(Program Clock Reference:プログラムクロックリファレンス)を含むパケットが入力された場合には、STC出力部111に供給されて、PCR内の情報に基づく時刻合わせが行われる。
【0019】
また、バッファA105、106は、DEMUX部104で分離された復号可能なデータストリームを格納する機能を有している。バッファA105、106に格納された各種類のデータストリームは、その後、デコーダ107、108に転送される。また、バッファA122は、DEMUX部104で分離された復号不可能なデータストリームを格納する機能を有している。バッファA122に格納されたデータストリームは、その後、外部接続情報メモリ120に格納されている外部接続情報(後述)に基づいて、外部入出力インタフェースを通じて、復号可能な外部装置100bに転送される。
【0020】
また、デコーダ107、108は、それぞれバッファA105、106及びバッファB109、110に対応しており、各バッファA105、106に格納されているデータストリームの復号処理を行って、それぞれが対応するバッファB109、110に復号後のデータストリーム(復号データ)を格納する機能を有している。
【0021】
また、バッファB109、110は、それぞれデコーダ107、108で復号された復号データを格納し、格納する機能を有している。バッファB109、110に格納された復号データは、その後、出力装置(画像出力用のディスプレイや音声出力用のスピーカなど)140を通じて外部に出力される。なお、本発明では遅延時間T2を考慮して、バッファB109、110からの復号データ(デコードデータ)の出力を一時的に遅らせることがあるため、バッファB109、110は、この遅延を考慮して、オーバーフローが発生しないようなバッファサイズを持つ必要がある。
【0022】
なお、バッファA105、デコーダ107、バッファB109やバッファA106、デコーダ108、バッファB110は1つの圧縮フォーマットに対応したデコーダの1セットとして定義される。ここでは、再生装置100aが2つのデコーダ107、108を有しているが、より多くのデコーダ及びそのデコーダに付随するバッファを有していてもよい。
【0023】
また、STC出力部111は、当該再生装置100a内部における基準時刻(STC:System Time Clock)を刻む計時機能を有している。なお、STCは、例えば多重化ストリームに含まれているPCR(Program Clock Reference:プログラムクロックリファレンス)が供給された場合には、このPCR内の情報に基づいて基準時刻の時刻合わせを行うことが可能である。
【0024】
また、外部接続情報メモリ120は、外部装置100bを識別することが可能な識別情報(例えばIPアドレスなど)を基本的に保持し、また、この識別情報に関連付けて、その外部装置100bが復号可能なデータストリームの圧縮フォーマットの情報(圧縮フォーマットを特定する情報やPIDなど)を外部接続情報として格納する機能を有している。
【0025】
また、デコーダ所有情報メモリ121は、当該再生装置100a内に備えられているデコーダ107、108の情報(例えば、デコーダ107、108でデコード可能な圧縮フォーマットの情報)を格納する機能を有している。図7には、デコーダ所有情報メモリ122に格納されているデコーダ所有情報の一例が図示されている。図7に図示されているように、デコーダ所有情報は、自再生装置100a(ここでは、MODEL AB-CD100、IPアドレス:10.0.0.3で特定される装置)は、stream_typeがMPEG-2 Video及びDolby Digital AC-3の2種類のデコーダを有しており、それぞれのデコーダのタイプ、転送形式、状態を保持している。
【0026】
なお、例えば当該再生装置100aと相互通信が可能なネットワーク400上にあるサーバ100cなどが、このデコーダ所有情報を所有し、再生装置100aが必要に応じてサーバ100cからデコーダ所有情報を取得できるようにしてもよい。この場合には、サーバ100cは後述のようにネットワーク400上のすべての装置のデコーダ所有情報を全デコーダ所有情報として保持することが保持する可能である。
【0027】
また、外部出力バッファ検知器123は、 バッファA122に格納されたデータストリームの出力制御機能を有し、前記再生装置100a内のバッファ122からデータストリームが転送開始された時刻(後述の時刻t1)を出力する機能を有している。
【0028】
また、外部入力バッファ検知器124は、バッファB125に格納されるデータストリームの入力制御機能を有し、外部装置100cでの復号処理によって得られた復号データのうちのアクセスユニット表示分の復号データが再生装置100a内のバッファB125に格納された時刻(後述の時刻t3)を出力する機能を有している。
【0029】
さらに、外部入力バッファ検知器124は、バッファB125に復号データが最初に入力された時刻(後述の時刻t2)を取得して、外部装置100cから再生装置100aにアクセスユニット表示分の復号データを転送するために必要な時間(時間幅T1=時刻t3−時刻t2)を算出し、アクセスユニット表示情報メモリ126に格納されているアクセスユニット表示情報と時間幅T1とを比較して、外部装置100cによる復号処理が可能か否かを判断する機能を有している。なお、外部装置100cによる復号処理が不可能であると判断した場合には、外部入力バッファ検知器124は、再生装置100a内の復号処理やデータストリーム転送処理などを停止するよう指示を行うことが可能である。
【0030】
また、アクセスユニット表示情報メモリ126は、記録媒体101に記録されている各データストリームのアクセスユニット表示情報を格納する機能を有している。なお、アクセスユニット表示情報とは、後述の図10に図示されているようなアクセスユニット(すなわち、再生最小単位)の時間幅やそのデコードデータ量などを表す情報である。
【0031】
また、遅延時間メモリ127は、外部出力バッファ検知器123の出力値と外部入力バッファ検知器の出力値との差分値(遅延時間幅T2=時刻t3−時刻t1)を格納及び出力する機能を有している。なお、STC出力部111から出力される基準時刻から、当該遅延時間メモリから出力される遅延時間幅T2を減算した変更時刻がバッファA109、110、125に供給され、復号データを出力する際の基準時刻として利用されることで、バッファA109、110、125からの同期出力が実現される。
【0032】
また、外部入出力インタフェース131は、ネットワーク400に対応した伝送形式に変換してデータストリームをネットワーク400(例えばネットワーク400上の外部装置100b)に送信するとともに、ネットワーク400から受信したデータストリームを受信、変換してバッファA125に格納する機能を有している。なお、外部入出力インタフェース131が外部接続情報を受信した場合には、この外部雪像情報は外部接続情報メモリ120に格納される。
【0033】
また、図3には、本発明の実施の形態における外部装置の内部構成の一例が図示されている。図3に図示されている外部装置100bは、DEMUX部151、バッファC152、デコーダ153、バッファD154、STC出力部155、外部入出力インタフェース181、デコーダ所有情報メモリ182を有している。
【0034】
DEMUX部151は、上述の再生装置100aのDEMUX部104と同様に、1種類以上のビデオやオーディオなどに特化したデータストリームが多重化されている多重化ストリームに関して、種類別に分離(DEMUX)する機能を有している。なお、データストリームにPCRを含むパケットが入力された場合には、STC出力部155に供給されて、PCR内の情報に基づく時刻合わせが行われる。
【0035】
また、バッファC152は、DEMUX部104で分離された復号可能なデータストリームを格納する機能を有している。また、デコーダ153は、対応するバッファC152に格納されているデータストリームの復号処理を行って、対応するバッファD154に復号後のデータストリーム(復号データ)を格納する機能を有している。また、バッファD154は、デコーダ153で復号された復号データを格納する機能を有している。なお、ここでは、1つのバッファC152、デコーダ153、バッファD154のセットを有しているが、外部装置100bが2つ以上のデコーダ及びそのデコーダに対応するバッファを有していてもよい。
【0036】
また、STC出力部155は、当該外部装置100b内部における基準時刻(STC:System Time Clock)を刻む計時機能を有している。なお、STCは、例えば多重化ストリームに含まれているPCR(Program Clock Reference:プログラムクロックリファレンス)が供給された場合には、このPCR内の情報に基づいて基準時刻の時刻合わせを行うことが可能である。
【0037】
また、外部入出力インタフェース181は、ネットワーク400上の再生装置100aから受信したデータストリームを受信、変換してDEMUX部151に供給するとともに、バッファD154に格納された復号データをネットワーク400に対応した伝送形式のデータストリームに変換して、ネットワーク400上の再生装置100aに送信する機能を有している。
【0038】
また、デコーダ所有情報メモリ182は、再生装置100aのデコーダ所有情報メモリ121と同様に(すなわち、上述の図7に図示されているデコード所有情報と同様に)、当該外部装置100b内に備えられているデコーダ153の情報(例えば、デコーダ153でデコード可能な圧縮フォーマットの情報)を格納する機能を有している。
【0039】
なお、再生装置100aが、外部装置100bのデコーダ所有情報メモリ182に格納されているデコーダ所有情報を取得して参照することで、再生装置100aでは復号不可能なデータストリームの復号が可能な外部装置を検索することが可能となる。
【0040】
また、図4には、本発明の実施の形態におけるサーバの内部構成の一例が図示されている。図4に図示されているサーバ100cは、外部入出力インタフェース191、全デコーダ所有情報メモリ192を有している。
【0041】
外部入出力インタフェース191は、ネットワーク400に接続し、ネットワーク400上の装置(再生装置100aや外部装置100b)との間で情報(例えば、各装置のデコーダ所有情報やネットワーク400上の全装置の全デコーダ所有情報)の送受信を行う機能を有している。
【0042】
また、全デコーダ所有情報メモリ192は、各装置(再生装置100aや外部装置100b)のデコーダ所有情報を取得してまとめたネットワーク400上の全装置の全デコーダ所有情報を格納する機能を有している。図8には、全デコーダ所有情報メモリ192に格納されている全デコーダ所有情報の一例が図示されている。図8に図示されているように、全デコーダ所有情報は、ネットワーク400に接続されている各装置100の機器名及びアドレスと、それぞれの復号可能なstream_type、デコーダのタイプ、転送形式、状態を保持している。
【0043】
なお、サーバ100cは、デコーダ所有情報をシステム上で統合管理する機能を有しているが、例えば再生装置100aがネットワーク400上の他の外部装置すべてにデコード所有情報の問い合わせを行う場合には、必ずしもサーバ100cを設ける必要はない。
【0044】
次に、図5を参照しながら、図1に図示されているシステム(各構成要素が図2〜図4に図示されている内部構成を有するシステム)の動作の概要について説明する。図5には、本発明の実施の形態における再生装置の動作の一例を示すフローチャートが図示されている。
【0045】
記録媒体101に記録されている所定のデータストリーム(以下、単にストリームと記載することもある)の再生開始が指示され、記録媒体読み出し部102に命令部103から再生命令が発行された場合には、記録媒体読み出し部102は記録媒体101に記録されている再生対象の多重化ストリームを読み出して、読み出した多重化ストリームをDEMUX部104に供給する。
【0046】
DEMUX部104は、再生対象の多重化ストリーム(再生多重化ストリーム)内に自再生装置100aでは復号が不可能なデータストリームが含まれているか否かを判断する振り分け処理を行う(図5のステップS1001)。
【0047】
ここで、ステップS1001の振り分け処理について説明する。多重化ストリームには、複数種類のデータストリームと共に、どのようなデータストリームが多重化されているかを示す情報も多重化されている場合がある。例えば、データストリームがMPEG−2 TS(Transport Stream:トランスポートストリーム)の構造を有する場合には、多重化ストリームは188バイトを1単位とするパケットの整数個で構成され、その各パケットには、パケットがどのデータストリームを構成するパケットであるかを識別するための識別子(PID:パケット識別子と呼ばれる識別子)がデータストリームごとに異なる値で付加されている。
【0048】
またデータストリームを構成するパケットとは別に、PMT(プログラムマップテーブル)と呼ばれる情報がパケットとして多重化ストリームに多重化されている。このPMTには、多重化ストリームに含まれる全データストリームのPID(パケット識別子)とstream_type(ストリームの種別を示すストリームタイプ識別子)が記述されている。DEMUX部104は、このPMTと多重化ストリーム内の各パケットのPIDとを参照するとともに、再生装置100aのデコーダ所有情報メモリ121に格納されているデコーダ所有情報を参照して確認することで、自再生装置100aにおいてデータストリームの復号が可能か否かを判断する振り分け処理を行う。
【0049】
また、多重化ストリームには、PCR(Program Clock Reference:プログラムクロックリファレンス)がパケットとして多重化されている。なお、PCRとは、各表示アクセスユニット(例えばMPEG Videoでのピクチャやオーディオフレームに相当する最小の表示・再生単位)の符号化処理の開始時刻(DTS:Decoding Time Stamp)や、デコード後の復号データの表示開始時刻(PTS:Presentation Time Stamp)の基準時間情報などである。このようなPCRを含むパケットのPIDもPMT内に記述されており、PCRを含むパケットがDEMUX部104に入力された場合には、再生装置100a内での基準時刻を刻むSTC出力部111にPCRを含むパケットが転送され、時刻合わせが行われる。
【0050】
図6には、上述のPMTの構造の一例が図示されている。図6に図示されているように、PMTはPIDとstream_typeとの対応関係を保持している。図3では、PID=0x1001のパケットはPCR、PID=0x1011のパケットはMPEG-2 Video、PID=0x1021のパケットはDolby Digital AC-3、PID=0x10A1のパケットはMPEG-1 Audio Layer 3、PID=0x1101のパケットはText Subtitle(字幕)の関係がPMTによって規定されている。
【0051】
DEMUX部104は、上述のPMTに代表されるような情報(他の装置におけるデコーダの情報)とデコーダ所有情報(自再生装置100aにおけるデコーダの情報)とを比較し、再生装置100a内で復号処理が可能なデータストリームと、再生装置100a内で復号処理が不可能なデータストリームとの判別を行うことで、ステップS1001の振り分け処理を実行することが可能である。
【0052】
なお、別の手法として、PMTのような多重化ストリーム中に存在する情報に代わって、記録媒体101内に多重化ストリームとは別領域にPMTと同様の情報を持つ属性情報を記録しておき、多重化ストリームの読み出し処理開始以前に属性情報をあらかじめ読み出しておき、デコード所有情報と属性情報とを比較することによって、振り分け処理を行うことも可能である。この場合、多重化ストリームを記録媒体101から読み出す前に、自再生装置100aにおいてデータストリームの復号が可能か否かを判断する振り分け処理を実行することが可能となる。
【0053】
振り分け処理による判別の結果、再生装置100aで復号処理が可能なデータストリームのパケットはバッファA105、106にPIDごとに振り分けられて格納される。一方、再生装置100aで復号処理が不可能と判断されたデータストリームのパケットはバッファA122に格納される。
【0054】
再生装置100aで復号処理が不可能と判断されたデータストリームが存在する場合には、このデータストリームの復号処理が可能なネットワーク400上の装置(外部装置)を検索する。ここで、再生装置100aと相互通信が可能なネットワーク400上に存在し、かつ再生装置100a内で復号処理が不可能と判断されたデータストリームの復号処理が可能な外部装置を発見する方法について説明する。
【0055】
ネットワーク400上に存在する外部装置100bが、自身のデコーダ所有情報をデコーダ所有情報メモリ182に格納している場合には、再生装置100aはその外部装置100bのデコーダ所有情報メモリ182に格納されているデコーダ所有情報を取得し(図5のステップS1002)、このデコーダ所有情報を参照することによって、再生装置100aで復号が不可能と判断されたデータストリームを外部装置100bが復号することが可能か否かを確認する(図5のステップS1003)。
【0056】
なお、例えばサーバ100cなどのネットワーク400上の特定の装置に、ネットワーク400上の全装置のデコーダ所有情報が全デコーダ所有情報として保持されている場合には、再生装置100aは、サーバ100cから全デコーダ所有情報を取得し、この全デコーダ所有情報を参照することによって、再生装置100aで復号が不可能と判断されたデータストリームの復号処理が可能な外部装置100bを検索することが可能である。
【0057】
復号処理が可能な外部装置100bの検索処理によって、再生装置100aでの復号処理が不可能なデータストリームを復号可能な外部装置100bが発見された場合には、再生装置100aは外部装置100bの接続に必要な外部接続情報(例えば、IPアドレスなどの装置の識別が可能な一意の情報と、そのデータストリームの情報(stream_typeやPIDなど)とを関連付けた情報)を外部接続情報メモリ120に格納するとともに、外部装置100bにおける対象デコーダの使用手続きを行って、この外部装置100bに転送するデータストリームがバッファ122に格納される(図5のステップS1004)。その後、バッファ122に格納されたデータストリームの外部装置への転送が開始される(図5のステップS1005)。
【0058】
図9には、上述の外部接続情報の一例が図示されている。図9に図示されているように、外部接続情報では外部装置の名称(外部装置名)に、その外部装置のIPアドレスが関連付けられており、さらに各外部装置の転送stream_type、対象PID、転送形式、状態が保持されている。
【0059】
なお、データストリームの復号処理が可能な外部装置を検索する上述の検索処理は、例えばPMTと同様の情報を持つ属性情報が多重化ストリームとは別の領域に記録されている場合には、必ずしも再生時直前に行う必要はなく、例えば再生装置100aに記録媒体101が挿入された直後に属性情報を記録媒体101から読み出して、あらかじめ検索しておくことも可能である。
【0060】
また、再生装置100aの外部接続情報メモリ120として不揮発性メモリなどを使用し、この可搬性記憶媒体に外部接続情報を格納しておくことによって、この記録媒体101を今後再生する際に検索処理を迅速に行うことが可能となり、利便性が向上する。
【0061】
バッファA105、106にPIDごとに格納された再生装置100aで復号処理が可能なデータストリームは、デコーダ107、108で復号されて、バッファB109、110に格納される。のパケットは振り分けられて格納される。一方、再生装置100aで復号処理がバッファA122bに格納された再生装置100aで復号不可能なデータストリームは、外部入出力インタフェース131でネットワーク400における転送に適したデータ型に変換された後、外部接続情報メモリ120に格納されている情報に従って、外部装置100bへ転送される。
【0062】
この際、外部接続情報メモリ120に格納されている外部接続情報が、外部装置100bが再生装置100aとほぼ同様の処理(すなわち、復号処理)を行うためには、多重化ストリームと同様の形式でデータストリームの転送を行う必要があると考えられる。例えばMPEG-2 TSの場合、データストリームのみではなく、PMTやPCRが多重化された状態の多重化ストリームを外部装置100bに転送しないと、外部装置100bで復号処理を行うことができない場合が想定される。このように、各外部装置100bにおいて、どのようなストリーム形式で転送されることが望まれているかに関しても、デコーダ所有情報野外部接続情報で判断できるようにすることが望ましい。
【0063】
例えば、上述のようにMPEG-2 TSの形式による転送が望まれる場合には、多重化ストリーム内のPMTやPCRなどの必要なパケットもDEMUX部104でコピーしてバッファ122に転送することが望ましい。
【0064】
その後、外部装置100bに転送されたデータストリームは、外部装置100b内の外部入出力インタフェース181で受信された後、ネットワーク400上での転送に適したデータ型から実際のデータストリームの形式に変換される。そして、データストリームはDEMUX部151に入力され、バッファC152を経由して、デコーダ153で復号され、その結果得られた復号データがバッファD154に格納される。
【0065】
そして、バッファD154に格納された復号データは、外部装置100bの外部入力インタフェース181においてネットワーク400における転送に適したデータ型に変換され、ネットワーク400を経由して、再生装置100aの外部入出力インタフェース131に転送される。
【0066】
そして、外部装置10bから再生装置100aの外部入出力インタフェース131に転送された復号データは、ネットワーク400のおける転送に適したデータ型から実際の復号データに変換され、外部装置100bから受信した復号データ用のバッファB125に格納される。
【0067】
なお、バッファB109、110、125に格納された復号データをそのまま出力装置140に供給して外部出力してもよいが、外部装置100bに復号させてバッファB125に格納された復号データに関しては、自再生装置100aで復号処理を行った場合に対して遅延が発生している可能性が高い。
【0068】
したがって、再生装置100aと外部装置100bとの間のネットワーク400におけるデータストリームの転送における遅延時間が一定時間に納まる必要があり、そのためには、ネットワーク400において最低限のデータ転送速度を満足していることを確認するための確認処理が必要となる。
【0069】
以下に、その確認処理の動作の一例について説明する。まず、振り分け処理によって外部装置100bに転送すると判断されたデータストリームは、まずバッファ122に格納される。その後、バッファ122から外部入出力インタフェース131に転送されるが、外部出力バッファ検知器123は、バッファ122から外部入出力インタフェース131に転送が開始された時刻(転送開始時刻t1)を記憶しておく。その後、データストリームは、外部入出力インタフェース131でネットワーク400における転送に適したデータ型に変換されて、外部装置100bの外部入出力インタフェース181に転送される。
【0070】
また同時に、再生装置100aは、あらかじめ多重化ストリームの再生開始前に、記録媒体101から読み出されて、アクセスユニット表示情報メモリ126に格納された各データストリームのアクセスユニット表示情報を取得しておく。
【0071】
例えば、MPEG-2 Videoストリームの場合には、アクセスユニット表示情報によって、1フレーム分の表示時間と映像ストリームのデコード後のあるフレーム(I、P、Bフレーム)1枚分に対するデータ量とが示される。解像度640×480の色深度24bitsの場合には、1フレーム分の表示時間は約30分の1秒となり、1フレーム分の最大デコードデータ量は約1MB程度となる。ただし、これらの値はデータストリームの種類や属性によって異なるものである。
【0072】
図10には、上述のアクセスユニット表示情報の一例が図示されている。図10に図示されているように、アクセスユニット表示情報は、PIDとそのstream_typeとの対応情報に加えて、各アクセスユニットの時間幅やそのデコードデータ量などを示す情報である。
【0073】
外部装置100bへ転送されたデータストリームは、外部装置100b内で復号され、その結果得られた復号データは再生装置100aに転送され、バッファB125に格納される。外部入力バッファ検知部124は、バッファB125に最初に復号データが入力された時刻t2と、その後、外部装置100bへ転送されたデータストリームに対するアクセスユニット表示情報で取得したデータ量がバッファB125に格納された時刻t3とを記憶しておく。
【0074】
外部入力バッファ検知部124は、時刻t2、t3を取得すると、バッファB125に復号データが最初に格納されてから、アクセスユニットに対応するデータ量が格納されるまでの時間幅T1=t3−t2を算出する(図5のステップS1006)。なお、時間幅T1は、外部装置100bから再生装置100aに対してアクセスユニット表示分の復号データを転送するために必要な時間である。この時間幅T1を用いて、最低限のデータ転送速度が満たされているか否かを確認する確認処理が行われる(図5のステップS1007)。
【0075】
もしアクセスユニット表示情報に格納されているデータストリームに対するアクセスユニット表示時間幅が時間幅T1より小さい場合(すなわち、1つのアクセスユニット表示分の復号データの転送時間である時間幅T1が大きい場合)は、再生装置100aに代わって外部装置100bがそのデータストリームの復号処理を行うと、必要時間内にデータストリームの表示が行われない(すなわち、表示が間に合わない)ことを意味する。この場合、必要なタイミングでデータストリームの復号データを表示できる保証がないので、再生装置100aは、データストリームに対して、その外部装置100bを用いた復号処理は不可能であるという判断を下すことが望ましい。
【0076】
なお、ネットワーク400において最低限のデータ転送速度を満足していることを確認するための上述の確認処理の詳細に関しては、後で図11を参照しながら説明する。
【0077】
また、ネットワーク400を経由してデータストリームや復号データの転送を行うため、外部入出力インタフェース131、181でのネットワーク400に適したデータ型への変換処理、ネットワーク400での転送、再生装置100aと同様に外部装置100bにおけるSTCに従った復号処理などが行われることによって発生する遅延により、再生装置100aのバッファB109、110に格納された復号データの出力すべき時刻に、バッファB125に格納される同期出力すべき復号データが格納されていない場合が生じる可能性もある。そのため、バッファB109、110に格納される復号データの出力は、遅延時間を考慮して行われる必要がある。
【0078】
その遅延時間幅T2は、上記の時刻t3から転送開始時刻t1を減算した差分値によって求めることが可能である。すなわち、遅延時間幅T2は、再生装置100aのバッファA122からデータストリームが転送開始された転送開始時刻t1から、外部装置100bでの復号処理で得られたデコードデータのアクセスユニット表示分の復号データが再生装置100aのバッファB125に格納された時刻t3までの時間幅である。この遅延時間幅T2は、算出後に遅延時間メモリ127に格納される。
【0079】
遅延時間幅T2は、再生装置100aでデータストリームの復号処理が行われる場合に比べて、外部装置100bに復号処理を行わせた場合にどれだけデータストリームに遅延が発生するかを示す時間である。この遅延時間幅T2は、再生装置100aのデコーダ107、108で復号されてバッファB105、106に格納された復号データと、外部装置100bで復号されてバッファB125に格納される復号データとのずれを補正して同期出力を実現するために使用される。
【0080】
例えばMPEG-2 Videoストリームの場合には、上述のように、各ピクチャに対して、DTS、PTSと呼ばれる時刻情報がMPEG-2 Videoデータストリーム中に格納されている。例えば図2の構成においては、バッファA105からあるピクチャデータの出力を開始する時刻がDTS、バッファB109からあるピクチャのデコードデータ(復号データ)が出力される時刻がPTSとなる。そして、STC出力部111は、多重化ストリーム中に存在するPCRと呼ばれる基準時間情報を取得することでSTCの時刻合わせが行われ、再生装置100aは、PTSやDTSに基づいて、それぞれの振る舞い(復号処理、出力表示)の開始時刻を認識することが可能となる。
【0081】
本発明においては、本来再生装置100a内のみで復号処理とデコードデータの出力を行うための基準時刻を持つSTC出力部111が示す時刻から、遅延時間メモリ127に格納されている遅延時間T2を減算した変更時刻を、再生装置100aからの出力制御における基準時刻として取り扱われるようにする。
【0082】
そして、この補正された基準時刻に基づいて、バッファB109、110から自再生装置100aでデコードされたデコードデータが出力されるとともに、バッファB125から外部装置100bでデコードされたデコードデータが出力されることによって、同期出力が行われる(図5のステップS1200)。
【0083】
すなわち、本来STC出力部111の示す時刻に同期して出力されるバッファB109、110内のデータを、変更時刻に同期させて出力する一方、バッファB125内のデータの最初の出力時刻は、バッファB109、110が最初にデコードデータを出力する時刻と同期させ、その後はアクセスユニット表示情報に記載されているアクセスユニットの表示時間ごとにアクセスユニット表示分のデータ量を出力させることにより、再生装置100a内で復号されたデータと外部装置100bで復号されたデータとを同期して出力することが可能となる。
【0084】
ただし、遅延時間T2は、ネットワーク400の状態により、外部装置100bからアクセスユニットのデコードデータを取得するごとに変動する可能性がある。そのため、その都度遅延時間メモリ127に記憶される時間幅を変更すると、バッファB109、110、125から出力装置140へアクセスユニットのデコードデータ出力を開始する時間幅も変動するため、再生出力の品質低下を招く可能性がある。
【0085】
その問題を回避するため、例えば、再生開始直後に外部装置100bから取得したアクセスユニットに対する遅延時間幅にマージン時間幅を加算した値を遅延時間メモリ127に設定し、その後、外部装置100bからアクセスユニットのデコードデータ取得ごとに算出する遅延時間が、遅延時間メモリ127に記憶させた時間より小さい場合は、遅延時間メモリ127に記憶される値を変更しない。
【0086】
その結果、外部装置100bから取得するアクセスユニットごとの遅延時間幅の微小な変動に影響されず、再生出力の品質低下を防ぐことができる。
【0087】
なお、マージン時間幅は、再生装置100a内のバッファB109、110、125の最大容量などの条件を考慮して算出する必要がある。
【0088】
この例以外にも、遅延時間メモリ127に設定する値に閾レベルを設け、外部装置100bからアクセスユニットのデコードデータ取得ごとに算出される遅延時間T2から、遅延時間メモリ127に設定する値を閾レベルから選択して設定するといった方法も有効と考えられる。
【0089】
なお、自再生装置100aによるデコードデータと、外部装置100bによるデコードデータとの同期出力を実現するために算出される遅延時間幅の取得処理の詳細に関しては、後で図13を参照しながら説明する。
【0090】
また、図5のステップS1001で再生装置100aが復号不可能なストリームが存在しなかった場合(すなわち、多重化ストリームを構成するすべてのデータストリームが復号可能な場合)には、外部装置100bへのストリームの転送は行われず、通常と同様に、STC出力部111が出力する基準時刻に基づいて、デコードデータの出力が行われる(図5のステップS1300)。
【0091】
また、図5のステップS1003で特定のストリームに関して復号可能な外部装置100bが存在しなかった場合や、復号可能な外部装置100bとの間の通信において必要な転送速度が確保できない場合には、その復号不可能なストリームを外部装置100bに転送しない(停止する)ようにする(図5のステップS1101)とともに、その復号不可能なストリームをバッファ122に格納している場合には破棄(クリア)する(図5のステップS1102)。
【0092】
また、この場合には、外部装置にデコードしてもらうストリームの有無によって処理が分かれる(図5のステップS1103)。外部装置にデコードしてもらうストリームが存在する場合には、遅延時刻T2を用いて補正された基準時刻に基づいて、バッファB109、110から自再生装置100aでデコードされたデコードデータが出力されるとともに、バッファB125から外部装置100bでデコードされたデコードデータが出力されることによって、同期出力が行われる(図5のステップS1200)。一方、外部装置にデコードしてもらうストリームが存在しない場合には、通常と同様に、STC出力部111が出力する基準時刻に基づいて、デコードデータの出力が行われる(図5のステップS1300)。
【0093】
次に、図11及び図12A〜図12Cを参照しながら、ネットワーク400において最低限のデータ転送速度を満足していることを確認するための確認処理の詳細について説明する。
【0094】
まず再生装置100aは、例えば多重化ストリームや外部からの情報により、外部装置100bに転送するデータストリームのデコード後の1アクセスユニット(1表示単位)のデータサイズと表示時間を取得する(図11のステップS2001)。
【0095】
そして、再生装置100aは、再生装置100a内のバッファB125に外部装置100bからのデコードデータの格納が開始されると同時に、その転送開始時刻t2を記憶する(図11のステップS2002)。なお、このときのデータの転送状態は、図12Aに図示されているようにバッファA122に格納されているデータ(図中斜線で表示)が外部装置100bを経由してバッファB125に格納され始めた状態となる。
【0096】
再生装置100aは、外部装置100bからのデコードデータを引き続き再生装置100a内のバッファB125に格納していき、1アクセスユニット(1表示単位)のデータサイズ分の入力が完了した時刻t3を取得する(図11のステップS2003)。なお、このときのデータの転送状態は、図12Bに図示されているようにバッファB125に格納されるデータが増加し、図12Cに図示されているようにバッファB125に1表示単位に必要なデータ量だけデータが格納された状態となる。
【0097】
そして、再生装置100aは、差分時間幅T1=時刻t3−時刻t2を計算し、差分時間幅が1アクセスユニットの表示時間幅(1表示単位の時間幅)以下の大きさか否かをチェックする(図11のステップS2004)。
【0098】
差分時間幅が1表示単位の時間幅以下の場合には、必要な転送速度が満たされていると判断され(図11のステップS2005)、差分時間幅が1表示単位の時間幅より大きい場合には、必要な転送速度が満たされていないと判断される(図11のステップS2006)。
【0099】
次に、図13及び図14A〜図14Cを参照しながら、自再生装置100aによるデコードデータと、外部装置100bによるデコードデータとの同期出力を実現するために算出される遅延時間幅の取得処理の詳細について説明する。
【0100】
まず再生装置100aは、外部装置100bに転送するデータストリームのデコード後の1表示単位分(1アクセスユニット分)のデータサイズと表示時間をアクセスユニット表示情報メモリ126から取得する(図13のステップS3001)。
【0101】
そして、再生装置100aは、再生装置100a内のバッファA122から外部装置100bへのデータストリームの転送を開始すると同時に、その転送開始時刻t1を記憶する(図13のステップS3002)。なお、このときのデータの転送状態は、図14Aに図示されているようにバッファA122に格納されているデータ(図中斜線で表示)が外部装置100bに送信され始めた状態となる。
【0102】
再生装置100aは、外部装置100bでデコードされて再生装置100aに転送されるデコードデータを再生装置100a内のバッファB125に格納していき、1アクセスユニット(1表示単位)のデータサイズ分の入力が完了した時刻t3を取得する(図13のステップS3003)。なお、このときのデータの転送状態は、図14Bに図示されているようにバッファB125にデータが格納されていき、図14Cに図示されているようにバッファB125に1表示単位に必要なデータ量だけデータが格納された状態となる。
【0103】
そして、再生装置100aは、差分時間幅T2=時刻t3−時刻t1を計算し、この差分時間幅T2を遅延時間として遅延時間メモリ127に格納する(図13のステップS3004)。
【0104】
なお、図1〜図4では各装置の機能を機能ブロックによって模式的にあらわしているが、これらの各機能はハードウェア及び/又はソフトウェア(プログラム)によって実現可能である。
【0105】
また、図1〜図4に図示されているシステム構成例では、再生装置100aに備え付けられているデコーダが2種類であり、外部装置100bに転送するデータストリームが1種類の場合を一例に挙げているが、デコーダの種類の数や、再生装置100aから外部装置100bに転送するデータストリームの数などに制限はない。
【0106】
したがって、実際は、再生装置100aで復号処理が可能なデータストリームの経路となるバッファA105、デコーダ107、バッファB109のセットが再生装置100aに備えられるデコーダ個数分用意されることとなり、外部装置100bに転送するデータストリームが複数存在する場合には、再生装置100aにバッファA122、バッファB125のセットが、少なくとも外部装置100bに転送するデータストリームの個数分だけ用意されることが望ましい。
【0107】
ただし、外部装置100bに転送するデータストリームが複数個存在する場合には、時間幅T1に対する転送速度の確認処理は各データストリームに対して行われる必要がある。また、遅延時間メモリ127)に格納されるべき遅延時間T2に関しては、データストリームごとに遅延時間が算出され、その中で最も遅延が大きいものが遅延時間T2として遅延時間メモリ127に設定することが望ましい。
【0108】
また、外部装置100bは、再生装置100aと同様のシステム構成を有する場合が考えられる。すなわち、外部装置100bも再生装置100aと同様に、記録媒体101を能動的に読み出す記録媒体再生装置である場合が考えられる。このような外部装置100bに対して例えばユーザから再生命令が発行され、外部装置100b内の記録媒体101から読み出した多重化ストリーム内に、現在再生装置100aから転送されており、復号処理が行われているデータストリームと同一種類のデータストリームが含まれている場合がある。この場合には、再生装置100aに対する復号処理を停止して、外部装置100bにおいて記録媒体1010から読み出されたデータストリームの復号処理が行われることが望ましい。
【0109】
上記のように、再生装置100aから外部装置100bに転送されるデータストリームの復号処理を、外部装置100bにおける何らかの理由で停止したい場合には、外部装置100bは、まず、復号処理の停止とその停止対象となるデータストリームの種類を識別可能とするメッセージを再生装置100aに通知することが可能である。また、再生装置100aが常に転送中の外部装置100bのデコード所有情報を参照して、デコーダの使用状態をチェックする場合には、外部装置100bが停止対象データストリームに対するデコーダに関する状態情報を使用中から使用していない状態へ変更することで、再生装置100aは、この情報を参照して外部接続情報メモリ120に格納される停止対象データストリームに関する情報を消去し、停止対象データストリームの転送を停止できるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、上記構成を有しており、ある再生装置が再生する多重化ストリーム内に、その再生装置では復号処理が不可能なデータストリームが多重化されていた場合でも、そのデータストリームの復号を可能とするという効果を有しており、放送又は記録されているデータストリームの復号、再生を行うデータストリーム復号技術及びデータストリーム再生技術に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施の形態におけるシステム構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるデータストリーム再生装置の内部構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における外部装置の内部構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるサーバの内部構成の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における再生装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態におけるデータストリーム再生装置で用いられるPMTの構造の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるデータストリーム再生装置のデコーダ所有情報メモリに格納されているデコーダ所有情報の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるサーバの全デコーダ所有情報メモリに格納されている全デコーダ所有情報の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるデータストリーム再生装置ので用いられる外部接続情報の一例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態におけるデータストリーム再生装置で用いられるアクセスユニット表示情報の一例を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態におけるデータストリーム再生装置において、データストリームの転送速度を確認するための確認処理の一例を示すフローチャートである。
【図12A】図11に図示されている確認処理におけるデータ転送状態の第1の例を示す図である。
【図12B】図11に図示されている確認処理におけるデータ転送状態の第2の例を示す図である。
【図12C】図11に図示されている確認処理におけるデータ転送状態の第3の例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態におけるデータストリーム再生装置において、自再生装置によるデコードデータと、外部装置によるデコードデータとの同期出力を実現するために算出される遅延時間幅の取得処理の一例を示すフローチャートである。
【図14A】図13に図示されている遅延時間幅の取得処理におけるデータ転送状態の第1の例を示す図である。
【図14B】図13に図示されている遅延時間幅の取得処理におけるデータ転送状態の第2の例を示す図である。
【図14C】図13に図示されている遅延時間幅の取得処理におけるデータ転送状態の第3の例を示す図である。
【符号の説明】
【0112】
100a 再生装置(データストリーム再生装置)
100b 外部装置(データストリーム復号装置)
100c サーバ
101 記録媒体
102 記録媒体読み出し部
103 命令部
104、151 DEMUX部
105、106、122 バッファA
107、108、153 デコーダ
109、110、125 バッファB
111、155 STC出力部
120 外部接続情報メモリ
121、182 デコーダ所有情報メモリ
123 外部出力バッファ検知器
124 外部入力バッファ検知器
126 アクセスユニット表示情報メモリ
127 遅延時間メモリ
131、181、191 外部入出力インタフェース
140 出力装置
152 バッファC
154 バッファD
192 全デコーダ所有情報メモリ
400 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類以上のデータストリームが多重化された多重化ストリームを再生するデータストリーム再生装置であって、
外部装置との相互通信を行うための通信路に接続する接続手段と、
前記多重化ストリームを取得する多重化ストリーム取得手段と、
特定の種類の前記データストリームの復号処理を行う1つ以上の復号手段と、
前記多重化ストリーム取得手段で取得した前記多重化ストリームに含まれる前記データストリームの復号が前記復号手段によって可能か否かを判断する復号可能性判断手段と、
前記復号可能性判断手段によって前記復号手段による復号が不可能と判断された前記データストリームが存在する場合に、前記通信路に接続されている前記外部装置から、前記外部装置によって復号処理が可能なデータストリームの種類を示す情報を前記接続手段を通じて取得することで、前記データストリームの復号が可能な外部装置を特定する外部装置特定手段と、
前記外部装置特定手段で特定された前記外部装置に対して、前記復号手段による復号が不可能な前記データストリームを送信する送信手段と、
前記外部装置に対して送信した前記データストリームを前記外部装置が復号することによって生成された復号データを受信して格納する受信手段と、
前記多重化ストリームに多重化されている前記データストリームのそれぞれが復号された後の復号データの最小再生単位のデータ量と前記最小再生単位の再生時間とを取得して保持する再生単位情報保持手段と、
前記外部装置で復号された前記復号データの先頭データを前記受信手段で受信して格納した時刻から、前記最小再生単位のデータ量分だけ前記復号データを前記外部装置から受信して格納した時刻までの時間と、前記再生単位情報保持手段で保持されている前記最小再生単位の再生時間とを比較し、前記最小再生単位の再生時間が前記時間幅よりも小さい場合に、前記外部装置による前記データストリームの復号処理を停止するよう制御する転送時間判断手段と、
前記送信手段が前記外部装置に対して前記データストリームの送信を開始した時刻から、前記最小再生単位のデータ量分だけ前記復号データを前記外部装置から受信して格納した時刻までの時間幅を遅延時間として、前記復号手段によって復号された前記復号データの出力基準時刻を前記遅延時間分だけ補正し、前記補正された基準時刻に従って前記復号手段で復号された前記復号データを出力する一方、前記受信手段で前記外部装置から受信した前記復号データに関しては、前記受信手段で前記外部装置から受信した前記復号データの先頭データの出力を前記前記復号手段で復号された前記復号データに出力と合わせるとともに、その後は前記最小再生単位の再生時間に従って出力するように制御する同期制御手段とを、
有するデータストリーム再生装置。
【請求項2】
多重化ストリームに多重化されているデータストリームの復号処理を行うデータストリーム復号装置であって、
外部装置との相互通信を行うための通信路に接続する接続手段と、
特定の種類の前記データストリームの復号処理を行う1つ以上の復号手段と、
前記1つ以上の復号手段によって復号可能なデータストリームの種類を示す情報を前記接続手段を通じて前記外部装置に開示する情報開示手段と、
前記接続手段を通じて前記外部装置から前記データストリームを受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記データストリームを、前記データストリームの種類に対応した前記復号手段を用いて復号させる復号制御手段と、
前記復号制御手段によって前記復号手段で前記データストリームが復号されて生成された復号データを前記外部装置に送信する送信手段とを、
有するデータストリーム復号装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【公開番号】特開2008−236694(P2008−236694A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−77437(P2007−77437)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】