説明

データ伝送中継システム及びデータ伝送中継方法

【課題】 複数の異なる通信網に対する円滑なデータ伝送を可能とするデータ伝送中継システム及びデータ伝送中継方法を提供する。
【解決手段】 データ伝送中継システム1は、接続元側のデータ伝送装置31と、接続先側のデータ伝送装置51等とを備え、データ伝送装置31には、データ伝送装置51等の仮想伝送装置アドレスと、その携帯電話番号と、が関連づけられた電話番号テーブルが格納されている。また、データ伝送装置51等には、プリンタ50a等の仮想アドレスと、そのローカルアドレスと、が関連づけられたアドレステーブルが格納されている。データ伝送装置31では、電話番号テーブルに基づき接続先側のデータ伝送装置51等が選択されてパソコン3pからの送信データが転送され、接続先側のデータ伝送装置51等では、アドレステーブルに基づきプリンタが選択されて当該送信データが転送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、異なる通信網に属する端末同士を電話網を介して接続させることに利用されるデータ伝送中継システム及びデータ伝送中継方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
互いに異なる通信網に属する端末同士を接続し、一方の通信網に属する端末によって、例えば、他方の通信網に属する端末の遠隔診断や遠隔監視を、電話網等の公衆の通信網を介して行う技術が求められている。従来、このように、異なる通信網に属する端末同士を接続する技術として、特開2003−224580号公報に示されるものがある。この公報に記載されたネットワークシステムは、私設通信網に属する接続先端末に対して、この私設通信網外の接続元端末からの接続をインターネット網経由で行わせるためのシステムである。このシステムは、プライベートアドレスを用いる私設通信網とグローバルアドレスを用いるインターネット網との境界にネットワークアドレス変換装置を備えており、この装置によって、IPパケット内に格納された宛先情報のプライベートアドレスとグローバルアドレスとを相互変換することにより、異なるIPネットワーク間でのデータの伝送を可能にしている。
【特許文献1】特開2003−224580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この種の私設通信網では、各々独自のIPアドレス体系が採用され個別に運用されているので、各私設通信網内において重複したネットワークアドレスが用いられている場合があり得る。このようなネットワークアドレスのユニーク性が保証されない複数の私設通信網に対する接続を行いたい場合、接続先を一元的に指定することができないので、上記ネットワークシステムでは、このような複数の私設通信網に対する接続を円滑に確立し円滑なデータ伝送を行うことができなかった。
【0004】
そこで、本発明は、複数の異なる通信網に対する円滑なデータ伝送を可能とするデータ伝送中継システム及びデータ伝送中継方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るデータ伝送中継システムは、第1の通信網に属する第1の端末と第1の通信網とは異なる複数の第2の通信網の各々に属する第2の端末とを、電話網を介して接続し、第1の端末と第2の端末との間のデータ伝送を中継するデータ伝送中継システムであって、第1の通信網と電話網との境界に存在する第1の伝送装置と、各々の第2の通信網と電話網との境界にそれぞれ存在する複数の第2の伝送装置とを備え、第1の伝送装置は、各々の第2の伝送装置に割り振られた仮想伝送装置アドレスと、第2の伝送装置の電話網における電話番号と、が関連づけられた電話番号テーブルを格納する電話番号テーブル格納手段と、第1の端末から送信データを受け、当該送信データに含まれる送信先端末の仮想アドレスに基づいて、当該送信データを中継する第2の伝送装置の仮想伝送装置アドレスを算出するアドレス算出手段と、算出された当該仮想伝送装置アドレスに基づいて、電話番号テーブルを参照し、送信データを中継する第2の伝送装置の電話番号を選択する電話番号選択手段と、選択された当該電話番号に基づき、送信データを中継する第2の伝送装置との接続を、電話網を介して確立し、送信データを当該第2の伝送装置に転送する第1のデータ転送手段と、を有し、第2の通信網と電話網との間に存在する第2の伝送装置は、当該第2の通信網に属する第2の端末の仮想アドレスと、当該第2の通信網における第2の端末のローカルアドレスと、が関連づけられたアドレステーブルを格納するアドレステーブル格納手段と、第1のデータ転送手段からの送信データを受信するデータ受信手段と、受信した当該送信データに含まれる送信先端末の仮想アドレスに基づいて、アドレステーブルを参照し、送信先端末である第2の端末のローカルアドレスを選択するアドレス選択手段と、選択された当該ローカルアドレスに基づき、当該ローカルアドレスに対応する第2の端末に送信データを転送する第2のデータ転送手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係るデータ伝送中継方法は、第1の通信網に属する第1の端末と第1の通信網とは異なる複数の第2の通信網の各々に属する第2の端末とを、電話網を介して接続し、第1の端末と第2の端末との間のデータ伝送を中継するデータ伝送中継方法であって、第1の通信網と電話網との境界に存在する第1の伝送装置が、各々の第2の通信網と電話網との境界にそれぞれ存在する複数の第2の伝送装置に割り振られた仮想伝送装置アドレスと、第2の伝送装置の電話網における電話番号と、が関連づけられた電話番号テーブルを格納しており、第1の端末からの送信データを受け、当該送信データに含まれる送信先端末の仮想アドレスに基づいて、当該送信データを中継する第2の伝送装置の仮想伝送装置アドレスを算出し、算出された当該仮想伝送装置アドレスに基づいて、電話番号テーブルを参照し、送信データを中継する第2の伝送装置の電話番号を選択し、選択された当該電話番号に基づき、送信データを中継する第2の伝送装置との接続を、電話網を介して確立し、送信データを当該第2の伝送装置に転送し、当該第2の伝送装置が、第2の通信網に属する第2の端末の仮想アドレスと、当該第2の通信網における第2の端末のローカルアドレスと、が関連づけられたアドレステーブルを格納しており、第1の伝送装置からの送信データを受信し、受信した当該送信データに含まれる送信先端末の仮想アドレスに基づいて、アドレステーブルを参照し、送信先端末である第2の端末のローカルアドレスを選択し、選択された当該ローカルアドレスに基づき、当該ローカルアドレスに対応する第2の端末に送信データを転送することを特徴とする。
【0007】
このデータ伝送中継システム及びデータ伝送中継方法において、第1の端末からの送信データを受ける第1の伝送装置は、各第2の伝送装置に割り振られた仮想伝送装置アドレスと第2の伝送装置の電話番号とが関連づけられた電話番号テーブルを格納している。そして、第1の伝送装置は、第1の端末からの送信データを受け、この送信データに含まれる送信先の端末の仮想アドレスに基づいて、その送信データを中継する第2の伝送装置の仮想伝送装置アドレスを算出する。そして、算出されたこの仮想伝送装置アドレスに対応する電話番号を電話番号テーブルから選択し、この電話番号に基づいて第2の伝送装置との接続を確立し、この第2の伝送装置に上記送信データを転送する。転送された送信データを受ける第2の伝送装置は、第2の端末の仮想アドレスと第2の端末のローカルアドレスとが関連付けられたアドレステーブルを格納している。そして、第2の伝送装置では、受けた送信データに含まれる送信先の端末の仮想アドレスに対応するローカルアドレスを選択し、そのローカルアドレスに対応する第2の端末に上記送信データを転送する。以上のように、上記データ伝送中継システム及びデータ伝送中継方法によれば、各第2の通信網に属する第2の端末を、仮想アドレスを用いて、接続先として一元的に指定することができる。このため、第1の端末から第1の通信網及び第2の通信網に円滑に接続を確立することが可能となり、第1の端末と各々の第2の端末との間で円滑なデータ伝送が可能になる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のデータ伝送中継システム及びデータ伝送中継方法によれば、複数の異なる通信網に対する円滑なデータ伝送が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るデータ伝送中継システムの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0010】
図1に示すデータ伝送中継システム1が適用される通信網群において、Z社の社内LAN(第1の通信網)3には、複数のパソコン3pが属しており、A社の社内LAN(第2の通信網)5、B社の社内LAN(第2の通信網)7及びC社の社内LAN(第2の通信網)9には、それぞれ、複数のパソコン5p等及び複数のネットワークプリンタ50a等が属している。そして、このデータ伝送中継システム1は、Z社の社内LAN3に属するパソコン(第1の端末)3pからA社の社内LAN5、B社の社内LAN7、C社の社内LAN9に属するネットワークプリンタ(第2の端末)50a等へ、携帯電話網11を介してリモートアクセスさせるようにしたシステムである。例えば、プリンタメーカであるZ社が、A社、B社及びC社内においてネットワークプリンタとして使用されているZ社製のプリンタの遠隔診断や遠隔監視を行う場合に、このようなデータ伝送中継システム1が有用である。
【0011】
データ伝送中継システム1は、社内LAN3と携帯電話網11との境界に存在する接続元側のデータ伝送装置(第1の伝送装置)31、社内LAN5と携帯電話網11との境界に存在する接続先側のデータ伝送装置(第2の伝送装置)51、社内LAN7と携帯電話網11との境界に存在する接続先側のデータ伝送装置(第2の伝送装置)71、及び社内LAN9と携帯電話網11との境界に存在する接続先側のデータ伝送装置(第2の伝送装置)91を備えている。これらの接続先側の各データ伝送装置51,71,91には、携帯電話網11内においてデータ伝送装置を特定するための携帯電話番号が割り振られており、携帯電話回線を介して、接続元側のデータ伝送装置31と、接続元のデータ伝送装置51,71,91との接続を図ることが可能である。
【0012】
社内LAN3に接続されたパソコン3pには、社内LAN3におけるそれぞれユニークなローカルアドレスが割り振られており、このローカルアドレス体系で社内LAN3が運用されている。例えば、社内LAN3の環境下で、各パソコン3pは、互いのローカルアドレスを指定することで、所望の何れかの他のパソコンに対してデータを送信することが可能である。そして、この社内LAN3は、上記のデータ伝送装置31を介して携帯電話網11に接続されている。
【0013】
社内LAN5に接続されたパソコン5p及びネットワークプリンタ50a,50b,50cには、社内LAN5におけるそれぞれユニークなローカルアドレスが割り振られており、このローカルアドレス体系で社内LAN5が運用されている。例えば、社内LAN5の環境下で、各パソコン5pは、ネットワークプリンタ50a,50b,50cに割り振られたローカルアドレスを指定することで、所望の何れかのネットワークプリンタに対してデータを送信し、そのデータをプリントアウトさせることが可能である。ここでは、プリンタ50aのローカルアドレスとして(192.168.10.1)、プリンタ50bのローカルアドレスとして(192.168.10.2)、プリンタ50cのローカルアドレスとして(192.168.10.3)が割り振られている(図3参照)。そして、この社内LAN5は、上記のデータ伝送装置51を介して携帯電話網11に接続されている。
【0014】
社内LAN7には、複数のパソコン7p及び3台のネットワークプリンタ70a,70b,70cが接続されており、上述した社内LAN5と同様に構成され同様の運用がなされている。社内LAN7は、上記のデータ伝送装置71を介して携帯電話網11に接続されている。また、社内LAN9には、複数のパソコン9p及び3台のネットワークプリンタ90a,90b,90cが接続されており、上述した社内LAN5と同様に構成されると共に、社内LAN5と同様の運用がなされている。社内LAN9は、上記のデータ伝送装置91を介して携帯電話網11に接続されている。
【0015】
上記のような社内LAN3,5,7,9は、それぞれZ社、A社、B社、C社によって個別に運用されているので、社内LAN3,5,7,9では、それぞれ独自のローカルアドレス体系が採用されている。このため、社内LAN3,5,7,9全体において、各パソコン及び各プリンタに割り振られたローカルアドレスが重複する可能性もある。従って、社内LAN3に属するパソコン3pから、社内LAN5,7,9の何れかに属する何れかのネットワークプリンタの遠隔診断を行いたい場合に、これらのローカルアドレスを用いて接続を図ろうとしても、接続先を一元的に指定することができない。このように、複数の通信網に亘るアドレス体系のユニーク性が保証されていないネットワークプリンタへの円滑な接続を図るため、データ伝送中継システム1は、データ伝送装置31及びデータ伝送装置51,71,91を備えている。
【0016】
上記のデータ伝送装置31について説明する。データ伝送装置31は、機能的な構成要素として、アドレス算出部(アドレス算出手段)33、電話番号選択部(電話番号算出手段)35、データ通信部(第1のデータ転送手段)37及び電話番号テーブル格納部(電話番号テーブル格納手段)39を備えている。電話番号テーブル格納部39には、図2に示すように、データ伝送装置51,71,91の仮想伝送装置アドレスと、これらのデータ伝送装置51,71,91の携帯電話番号とが関連づけられた電話番号テーブル39aが格納されている。
【0017】
ここで、仮想伝送装置アドレスとは、社内LAN3からの接続先としてのデータ伝送装置51,71,91に対して、仮想的に割り振られたアドレスである。データ伝送中継システム1では、データ伝送装置51の仮想伝送装置アドレスとして(192.68.1.0/24)、データ伝送装置71の仮想伝送装置アドレスとして(192.68.2.0/24)、データ伝送装置91の仮想伝送装置アドレスとして(192.68.3.0/24)が割り振られている。この仮想伝送装置アドレスは、32ビットで構成され、32ビットのうち下位の8ビットは「0」に設定されている。また、各仮想伝送装置アドレスは、社内LAN5に属する他の機器に割り振られたアドレスと重複しないように設定される。
【0018】
アドレス算出部33は、ネットワークプリンタ50a等に接続しようとするパソコン3pから送信されるパケット(送信データ)を受け、そのパケットに含まれる送信先のプリンタの仮想アドレスを取得する。そして、取得した仮想アドレスを基にして、このパケットの伝送を中継するべきデータ伝送装置(すなわち、このパケットの送信先のプリンタが属する社内LANと携帯電話網11との境界に存在するデータ伝送装置)の仮想伝送装置アドレスを算出する。
【0019】
ここで、上記仮想アドレスとは、各社内LANに属する各ネットワークプリンタ50a,50b,50c,70a,70b,70c,90a,90b,90cに対して、仮想的に割り振られたアドレスである。この仮想アドレスは、32ビットで構成され、その上位の24ビットが、そのプリンタが属する社内LANと携帯電話網11との境界に存在するデータ伝送装置の仮想伝送装置アドレスと一致するように設定される。例えば、ここでは、プリンタ50aの仮想アドレスとして(192.168.1.1)、プリンタ50bの仮想アドレスとして(192.168.1.2)、プリンタ50cの仮想アドレスとして(192.168.1.3)が割り振られている(図3参照)。
【0020】
電話番号選択部35は、アドレス算出部33が算出した仮想伝送装置アドレスを基にして、電話番号テーブル格納部39に格納された電話番号テーブル39aを参照し、この仮想伝送装置アドレスに対応する携帯電話番号を選択する。
【0021】
データ通信部37は、電話番号選択部35が選択した携帯電話番号に基づき、携帯電話番号に対応するデータ伝送装置51,71,91の何れかと、携帯電話網11を介して接続を確立する。このようにして、データ伝送装置31と、データ伝送装置51,71,91のうち何れかとが携帯電話回線によって接続されることになる。そして、データ通信部37は、パソコン3pからのパケットを、接続が確立した上記のデータ伝送装置に転送する。
【0022】
続いて、上記のデータ伝送装置51について説明する。データ伝送装置51は、データ通信部(データ受信手段)53、アドレス選択部(アドレス選択手段)55、データ転送部(第2のデータ転送手段)57、及びアドレステーブル格納部(アドレステーブル格納手段)59を備えている。アドレステーブル格納部59には、図3に示すように、社内LAN5に属するネットワークプリンタ50a,50b,50cの仮想アドレスと、これらのネットワークプリンタの社内LAN5内におけるローカルアドレスとが関連づけられたアドレステーブル59aが格納されている。
【0023】
データ通信部53は、上述のデータ伝送装置31からのパケットを受信する部分である。そして、アドレス選択部55は、このパケットに含まれている送信先のプリンタの仮想アドレスを取得し、アドレステーブル59aを参照して、この仮想アドレスに対応するローカルアドレスを選択する。データ転送部57は、アドレス選択部55で選択されたローカルアドレスに対応するネットワークプリンタに上記のパケットを転送する。
【0024】
データ伝送装置71は、データ通信部73、アドレス選択部75、データ転送部77、及びアドレステーブル格納部79を備えており、データ伝送装置91は、データ通信部93、アドレス選択部95、データ転送部97、及びアドレステーブル格納部99を備えている。そして、データ伝送装置71,91は、それぞれ、データ伝送装置51と同様に構成されているので、説明を省略する。
【0025】
以上のようなデータ伝送中継システム1において、社内LAN3に属するパソコン3pから、社内LAN5,7,9の何れかに属するネットワークプリンタ50a等の何れか(以下の例では、社内LAN5に属するネットワークプリンタ50bとする。)へのデータ伝送を中継する処理について説明する。
【0026】
まず、図4に示すように、パソコン3pは、C社の社内LAN9に属するネットワークプリンタ50bに割り振られた仮想アドレス(192.168.1.2)を送信先のアドレスとしてパケットに含め、このパケットを送信する(ステップS402)。このパケットはデータ伝送装置31で受信され、アドレス算出部33は、パケットに含まれる仮想アドレスの上位24ビット(192.168.1)の後に、「0」を示す8ビットを加えて、パケットの送信先となるデータ伝送装置の仮想伝送装置アドレスを算出する(ステップS404)。ここでは、仮想伝送装置アドレスとして(192.168.1.0/24)が算出され、この仮想伝送装置アドレスは、パケットの送信先であるネットワークプリンタ50bが属する社内LAN5と携帯電話網11との境界に存在するデータ伝送装置51の仮想伝送装置アドレスに該当する。
【0027】
電話番号選択部35は、電話番号テーブル39aを参照し(ステップS406)、算出された上記の仮想伝送装置アドレス(192.168.1.0/24)に対応する携帯電話番号「090−AAAA−AAAA」を選択する(ステップS408)。この携帯電話番号は、データ伝送装置51の携帯電話番号に該当する。続いて、データ通信部37は、選択した携帯電話番号「090−AAAA−AAAA」に基づいて接続信号を発信する(ステップS410)。このようにして、携帯電話網11を介し、データ伝送装置31とデータ伝送装置51との(すなわち、社内LAN3と社内LAN5との)TCP/IPによる接続が確立される(ステップS412)。そして、データ通信部37は、接続が確立されたデータ伝送装置51に向けて上記のパケットを送信する(ステップS414)。
【0028】
データ伝送装置51のデータ通信部53は、上記のパケットを、携帯電話網11を介して受信する。アドレス選択部55は、このパケットに含まれる送信先のプリンタの仮想アドレス(192.168.1.2)を取得し、アドレステーブル59aを参照して(ステップS414)、この仮想アドレスに対応するローカルアドレス(192.168.10.2)を選択する(ステップS418)。このローカルアドレスは、社内LAN5においてネットワークプリンタ50bに割り振られているローカルアドレスに該当する。そして、データ転送部57は、このパケットに含まれる上記送信先の仮想アドレスを、選択したローカルアドレス(192.168.10.2)に書き換える。そして、データ転送部57は、社内LAN5内において、当該ローカルアドレスに対応するネットワークプリンタ50bに向けてこのパケットを送信し(ステップS420)、ネットワークプリンタ50bは、このパケットを受信する。以上のような処理によって、パソコン3pからネットワークプリンタ50bへのパケットデータの伝送が中継される。
【0029】
上述したデータ伝送中継システム1及びデータ伝送中継方法によれば、社内LAN3に属するパソコン3pが、携帯電話網11を意識することなく、ネットワークプリンタ50a等の仮想アドレスを社内LAN3内におけるローカルアドレスと同様に取り扱うことができる。また、各社内LAN5,7,9において、各ネットワークプリンタ70a等に割り振られているローカルアドレスに重複がある場合であっても、この仮想アドレスを用いて一元的に接続先のプリンタを指定することができる。このため、パソコン3pは、異なる通信網である社内LAN5,7,9に属するネットワークプリンタ50a,70a,90a等に対し、携帯電話網11を介して、円滑な接続を確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るデータ伝送中継システムの一実施形態を示すブロック図である。
【図2】電話番号テーブルの一例を示す図である。
【図3】アドレステーブルの一例を示す図である。
【図4】パソコンから他の通信網のネットワークプリンタに接続し、パケットを送信するための処理を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0031】
1…データ伝送中継システム、3…社内LAN(第1の通信網)、3p…パソコン(第1の端末)、5,7,9…社内LAN(第2の通信網)、50a,50b,50c,70a,70b,70c,90a,90b,90c…ネットワークプリンタ(第2の端末)、11…携帯電話網、31…データ伝送装置(第1の伝送装置)、33…アドレス算出部(アドレス算出手段)、35…電話番号選択部(電話番号選択手段)、37…データ通信部(第1のデータ転送手段)、39a…電話番号テーブル、39…電話番号テーブル格納部(電話番号テーブル格納手段)、51,71,91…データ伝送装置(第2の伝送装置)、53,73,93…データ通信部(データ受信手段)、55、75,95…アドレス選択部(アドレス選択手段)、57,77,97…データ転送部(第2のデータ転送手段)、59a,79a,99a…アドレステーブル、59,79,99…アドレステーブル格納部(アドレステーブル格納手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信網に属する第1の端末と前記第1の通信網とは異なる複数の第2の通信網の各々に属する第2の端末とを、電話網を介して接続し、前記第1の端末と前記第2の端末との間のデータ伝送を中継するデータ伝送中継システムであって、
前記第1の通信網と前記電話網との境界に存在する第1の伝送装置と、
各々の前記第2の通信網と前記電話網との境界にそれぞれ存在する複数の第2の伝送装置とを備え、
前記第1の伝送装置は、
各々の前記第2の伝送装置に割り振られた仮想伝送装置アドレスと、前記第2の伝送装置の前記電話網における電話番号と、が関連づけられた電話番号テーブルを格納する電話番号テーブル格納手段と、
前記第1の端末から送信データを受け、当該送信データに含まれる送信先端末の仮想アドレスに基づいて、当該送信データを中継する前記第2の伝送装置の仮想伝送装置アドレスを算出するアドレス算出手段と、
算出された当該仮想伝送装置アドレスに基づいて、前記電話番号テーブルを参照し、前記送信データを中継する前記第2の伝送装置の電話番号を選択する電話番号選択手段と、
選択された当該電話番号に基づき、前記送信データを中継する前記第2の伝送装置との接続を、前記電話網を介して確立し、前記送信データを当該第2の伝送装置に転送する第1のデータ転送手段と、を有し、
前記第2の通信網と前記電話網との間に存在する前記第2の伝送装置は、
当該第2の通信網に属する前記第2の端末の前記仮想アドレスと、当該第2の通信網における前記第2の端末のローカルアドレスと、が関連づけられたアドレステーブルを格納するアドレステーブル格納手段と、
前記第1のデータ転送手段からの前記送信データを受信するデータ受信手段と、
受信した当該送信データに含まれる前記送信先端末の前記仮想アドレスに基づいて、前記アドレステーブルを参照し、前記送信先端末である前記第2の端末の前記ローカルアドレスを選択するアドレス選択手段と、
選択された当該ローカルアドレスに基づき、当該ローカルアドレスに対応する前記第2の端末に前記送信データを転送する第2のデータ転送手段と、を有することを特徴とするデータ転送中継システム。
【請求項2】
第1の通信網に属する第1の端末と前記第1の通信網とは異なる複数の第2の通信網の各々に属する第2の端末とを、電話網を介して接続し、前記第1の端末と前記第2の端末との間のデータ伝送を中継するデータ伝送中継方法であって、
前記第1の通信網と前記電話網との境界に存在する第1の伝送装置が、
各々の前記第2の通信網と前記電話網との境界にそれぞれ存在する複数の第2の伝送装置に割り振られた仮想伝送装置アドレスと、前記第2の伝送装置の前記電話網における電話番号と、が関連づけられた電話番号テーブルを格納しており、
前記第1の端末からの送信データを受け、当該送信データに含まれる送信先端末の仮想アドレスに基づいて、当該送信データを中継する前記第2の伝送装置の仮想伝送装置アドレスを算出し、
算出された当該仮想伝送装置アドレスに基づいて、前記電話番号テーブルを参照し、前記送信データを中継する前記第2の伝送装置の電話番号を選択し、
選択された当該電話番号に基づき、前記送信データを中継する前記第2の伝送装置との接続を、前記電話網を介して確立し、前記送信データを当該第2の伝送装置に転送し、
当該第2の伝送装置が、
前記第2の通信網に属する前記第2の端末の前記仮想アドレスと、当該第2の通信網における前記第2の端末のローカルアドレスと、が関連づけられたアドレステーブルを格納しており、
前記第1の伝送装置からの前記送信データを受信し、
受信した当該送信データに含まれる前記送信先端末の前記仮想アドレスに基づいて、前記アドレステーブルを参照し、前記送信先端末である前記第2の端末の前記ローカルアドレスを選択し、
選択された当該ローカルアドレスに基づき、当該ローカルアドレスに対応する前記第2の端末に前記送信データを転送することを特徴とするデータ転送中継方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−229489(P2006−229489A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−39671(P2005−39671)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】