データ伝送制御装置、ゲートウェイ装置、予測装置およびデータ伝送制御方法
【課題】異なる伝送仕様の制御装置間で、制御装置を改造することなくデータ伝送を行えるようにする。
【解決手段】データ伝送制御装置は、複数の制御装置6〜9がそれぞれゲートウェイ装置2a〜2dを介して接続されたネットワーク1に接続される。データ伝送制御装置3は、受付部12、整合部13、命令作成部14、命令送信部16を有する。前記受付部12はデータを送る側の例えば制御装置7と前記データを受ける側の例えば制御装置6の伝送フォーマットの入力を受け付ける。前記整合部13は前記受付部12により受け付けられた2つの伝送フォーマットを比較して、前記伝送フォーマットに含まれるデータのうち、互いに異なるデータを整合する。前記命令作成部14は互いに異なるデータを整合した前記伝送フォーマットからデータ変更命令を作成し、前記命令送信部16を通じて送信側の制御装置7に接続されたゲートウェイ装置2bへ送信する。
【解決手段】データ伝送制御装置は、複数の制御装置6〜9がそれぞれゲートウェイ装置2a〜2dを介して接続されたネットワーク1に接続される。データ伝送制御装置3は、受付部12、整合部13、命令作成部14、命令送信部16を有する。前記受付部12はデータを送る側の例えば制御装置7と前記データを受ける側の例えば制御装置6の伝送フォーマットの入力を受け付ける。前記整合部13は前記受付部12により受け付けられた2つの伝送フォーマットを比較して、前記伝送フォーマットに含まれるデータのうち、互いに異なるデータを整合する。前記命令作成部14は互いに異なるデータを整合した前記伝送フォーマットからデータ変更命令を作成し、前記命令送信部16を通じて送信側の制御装置7に接続されたゲートウェイ装置2bへ送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、データ伝送制御装置、ゲートウェイ装置、予測装置およびデータ伝送制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所などのプラントにおいては、出力領域モニタなどに代表される制御(監視)装置により処理されたプロセスデータをイーサネット(登録商標)などのネットワークを通じてプロセス計算機へ伝送し、プラントの状態を監視している。
【0003】
このような伝送システムにおいて、各制御装置は異なるベンダーにより設計・製作され、ベンダー毎に伝送仕様が異なっていることが多い。また、プラントでは、ベンダーが変更されることで、制御装置も入れ変えるため、ベンダーが変更されるたびに伝送仕様を合わすように制御装置を改造する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3651742号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、異なる伝送仕様の制御装置間で、制御装置を改造することなくデータ伝送を行うことができるデータ伝送制御装置、ゲートウェイ装置、予測装置およびデータ伝送制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のデータ伝送制御装置は、複数の制御装置がそれぞれゲートウェイ装置を介して接続されたネットワークに接続される。データ伝送制御装置は、受付部、整合部、命令作成部、命令送信部を有する。前記受付部は、データを送る側の制御装置と前記データを受ける側の制御装置の伝送フォーマットの入力を受け付ける。前記整合部は、前記受付部により受け付けられた2つの伝送フォーマットを比較して、前記伝送フォーマットに含まれるデータのうち、互いに異なるデータを整合する。前記命令作成部は前記ゲートウェイ装置に対する命令を作成する。前記制御部は前記整合部により互いに異なるデータを整合した前記伝送フォーマットにするよう指示するデータ変更命令を前記命令作成部に作成させる。前記命令送信部は、前記命令作成部により作成された命令を、前記送信側の制御装置に接続されたゲートウェイ装置または前記受信側の制御装置に接続されたゲートウェイ装置へ送信する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、異なる伝送仕様の制御装置間で、制御装置を改造することなくデータ伝送を行うことができるデータ伝送制御装置、ゲートウェイ装置、予測装置およびデータ伝送制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態のマルチプラットホーム対応データ伝送システムの概要構成を示す図である。
【図2】異なる伝送仕様の制御装置間のデータ伝送動作を示すフローチャートである。
【図3】各信号に対する固有の信号IDとその信号のビット数を示す図である。
【図4】伝送フォーマットの例を示す図である。
【図5】データ変換処理の様子の一例を示す図である。
【図6】伝送速度の決定からデータ伝送までの流れを示すフローチャートである。
【図7】受信側の制御装置の受信周期Si、伝送データの伝送容量Biを示す図である。
【図8】第2実施形態のマルチプラットホーム対応データ伝送システムの構成を示す図である。
【図9】ある制御装置にてイベントが発生したときの処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】信号に対するイベント番号、イベント発生値、イベント発生時の伝送周期を示す図である。
【図11】第3実施形態のマルチプラットホーム対応データ伝送システムの構成を示す図である。
【図12】イベントの発生を予測したときの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態のマルチプラットホーム対応データ伝送システムの構成を示す図である。
【0010】
図1に示すように、この実施形態のマルチプラットホーム対応データ伝送システムは、ネットワーク1に、複数のゲートウェイ2a〜2d(以下「GW2a〜2d」と称す)を介して接続された複数の制御装置6〜9と、これらGW2a〜2dにネットワーク1を介してまたは専用の通信ケーブルなどで接続されたデータ伝送制御装置3とを備えている。
【0011】
複数の制御装置6〜9は原子力発電所内に設置される制御装置であり、各制御装置6〜9は異なるベンダーにより設計・製造されているため、他のベンダーの制御装置とデータをやり取りすることを考慮して設計されてはいない。また、制御装置6〜9は計算機なども含まれる。
【0012】
各制御装置6〜9にはそれぞれGW2a〜2dが接続されており、制御装置6〜9間でのデータ伝送はGW2a〜2d、ネットワーク1を介して行われる。
【0013】
GW2a〜2dは、通信部21と伝送速度変更部22を有している。なお図面上は、GW2bに代表して通信部21と伝送速度変更部22を示しているが、他のGW2a,2c,2dにも同様の要素が設けられている。
【0014】
通信部21は、データ伝送制御装置3から各種命令を受信し、受信された命令に応じた処理を行う。受信された命令が、例えば監視命令の場合、通信部21は、監視命令に従い、自装置(自機)に接続されている制御装置6〜9の信号を監視し、イベントの発生が感知されたときにその旨をデータ伝送制御装置3へ通知するイベント発生通知部として機能する。
【0015】
伝送速度変更部22は、通信部21によりデータ伝送制御装置3から受信された命令が例えば伝送速度変更命令の場合、伝送速度変更命令に従い、自装置(自機)に接続されている制御装置6〜9から受け取った送信用のデータの伝送速度を変更し、受信側の制御装置6〜9へデータを送信する。なお自機とはGW2a〜2dそれぞれを指す。
【0016】
また、データ伝送制御装置3から受信された命令が例えばデータ変更命令の場合、伝送速度変更部22は、データ変更命令に従い自装置(自機)に接続されている制御装置6〜9から受け取った送信フォーマット(のデータ)を変更し、受信側の制御装置6〜9へデータを送信する。
【0017】
GW2a〜2dにはそれぞれ固有のIDが任意に設定されており、製品としての通信仕様は同じであるが、それぞれのGW2a〜2dが接続される制御装置6〜9は、伝送するデータの配置(伝送仕様)がベンダー毎に異なる場合がある。
【0018】
データ伝送制御装置3は、例えばコンピュータなどであり、キーボードなどの入力装置4、モニタなどの表示装置5、メモリなどの記憶部11、受付部12、整合部13、命令作成部14、制御部15、通信部16、伝送速度計算部17などを有している。なお、受付部12、整合部13、命令作成部14、制御部15、通信部16、伝送速度計算部17などの要素は、ハードディスク装置にインストールされたソフトウェア(プログラム)により実現されている。この他、各要素はハードウェアで実現してもよい。
【0019】
記憶部11へのデータ入力/アクセス、閲覧など、人とのインターフェース部分には入力装置4と表示装置5が用いられる。記憶部11には入力装置4から入力された各制御装置6〜9の伝送フォーマットが記憶される。
【0020】
データ伝送制御装置3には、入力装置4からのキー入力操作で各制御装置6〜9の伝送データフォーマット、データ受信周期などが入力され、制御部15により記憶部11に記憶される。
【0021】
受付部12は、データを送る側の制御装置とデータを受ける側の制御装置の伝送フォーマット、データ受信周期などの入力を受け付ける。
【0022】
受付部12は、入力された送信側と受信側の制御装置(例えば制御装置7と制御装置6)の伝送フォーマットのデータを受け付け、その受け付けた2つの伝送フォーマットのデータを整合部13に渡す。
【0023】
整合部13は、受付部12からそれぞれの制御装置6,7の伝送フォーマットを受け取り、その伝送フォーマットに含まれる信号ID同士を比較し、この比較結果が、互いが一致する場合はそのまま、不一致の場合は、例えば受信側に合わす形で送信側の制御装置7の送信フォーマットを修正し、修正した制御装置7の送信フォーマット(変換後の伝送フォーマット)を生成し、生成したフォーマットを表示装置5に表示し、修正がない場合はそれを命令作成部14に渡す。
すなわち、整合部13は、制御部15により受け付けられた2つの伝送フォーマットを比較して、伝送フォーマットに含まれるデータのうち、互いに異なるデータを整合する。
【0024】
ここで整合とは、互いの伝送フォーマットが不一致の場合に受信側に合わす形で送信側の制御装置7の送信フォーマットを修正する場合以外に、送信側に合わす形で受信側の制御装置7の受信フォーマットを修正する場合も含む。この場合、修正した制御装置6の受信フォーマット(変換後の伝送フォーマット)を生成し、生成したフォーマットを表示装置5に表示し、修正がない場合はそれを命令作成部14に渡す。またここでの整合とは、データの入れ替え(置換、交換)、配列変更等も含む。
【0025】
命令作成部14は、制御部15により制御されてGW2a〜2dに対する各種命令を作成する。例えば命令作成部14は、整合部13から、互いに異なるデータを整合した伝送フォーマットを受け取り、その伝送フォーマットの中で、送信側と受信側で相違する部分の変更を指示するデータ変更命令を作成し、通信部16から送信側の制御装置7に接続されたGW2bへ送信する。
【0026】
すなわち、命令作成部14が、整合部13により生成されたデータ整合後の伝送フォーマットの修正部(互いのデータの相違部分)を入れ替える送信データ変更(追加、削除、配列)命令や、伝送速度変更命令などを生成し、該当するGW2a〜2dへ送信することで、仕様の異なる制御装置(例えば制御装置6,7)間のデータ伝送を制御装置6,7の改造なしに実現している。
【0027】
通信部16は、ネットワーク1を通じてGW2a〜2dと通信する。例えば通信部16は、命令作成部14により作成された命令を、送信側の制御装置に接続されたGWまたは受信側の制御装置に接続されたGWへ送信する命令送信部として機能する。
【0028】
伝送速度計算部17は、制御部15により制御されて、予めキー入力され記憶部11に記憶された受信側の制御装置の受信周期と伝送容量から伝送速度を計算する。
【0029】
制御部15は、上記各部を統括的に制御するものである。例えば制御部15は、命令作成部14を制御し、整合部13により整合された伝送フォーマットにするよう指示するデータ変更命令を命令作成部14に作成させる。また、制御部15は、伝送速度計算部17を制御し、伝送速度計算部17に伝送速度を計算させる。
【0030】
原子力発電所等のプラントにおいては安定した伝送速度が求められる。このため、伝送プロトコルはUDP/IPを用いるものとし、これ以降の説明は説明を分かり易くするためにデータ部のみを対象とする。
【0031】
以下、図2乃至図7を参照してこのマルチプラットホーム対応データ伝送システムにおける制御装置間のデータ伝送動作を説明する。
【0032】
まず、図2のフローチャートを参照して一組の制御装置間のデータ伝送動作を説明する。一例として制御装置7〜制御装置6間のデータ伝送動作を説明する。ここでは既存の制御装置7,8,9に対して異なるベンダーの制御装置6が追加導入されたものとし、制御装置7を送信側とし、制御装置6を受信側とする。このため、制御装置7と制御装置6とはベンダーが異なり、送受信するデータの伝送フォーマットが異なるためにそのままでは通信できない。なお既存の制御装置6が、他の制御装置7,8,9とは異なるベンダーのものに入れ替えられた場合も同じである。
【0033】
図2のフローチャートのステップS101〜S106の処理はオフライン(メンテナンス時)で行われ、ステップS107〜S110の処理はオンライン(運転時)で行われる。
【0034】
まず、ステップS101にて送受信する各信号のIDを決定する。図3に示す例のように、各制御装置6〜9からの各信号に対して固有の信号IDとその信号のビット数を入力装置4から入力すると、受付部12は、プラント運用中に発生するイベント(警報など)の各信号に対する固有の信号IDとその信号IDのビット数を受け付け(ステップS101)、送信する信号IDを決定する。
【0035】
プラントのイベントの一つである、例えばAPRMレベルの関する信号であれば、ID「1」、ビット数は「8」、FLOWレベルに関する信号であれば、ID「2」、ビット数は「6」等のように重複しない数字(および/または英文字)などである。これは一例であり、これ以外にも信号に対してIDを様々な方法で付与することが可能である。
【0036】
次に、制御装置6、7の伝送フォーマットを入力装置4から入力すると、受付部12は制御装置6、7の伝送フォーマットを受け付ける(ステップS102、ステップS103)。
【0037】
ここで、制御装置7の送信フォーマット(変換前)とは、実際に制御装置7からGW2aに伝送されるデータフォーマットを指す。図4に受付部12により受け付けられる伝送フォーマットの例を示す。
【0038】
伝送フォーマットの入力は、ステップS101の処理で定義されたビット長を持つ信号IDを任意の場所に配置することで行う。ここでは8ビット(1バイト)毎のデータ列を例にあげているが、ビット数は、特に制限を設けるものではない。
【0039】
整合部13は、受付部12により伝送フォーマットが受け付けられると、整合部11は、受け付けられた伝送フォーマット上の信号ID同士を比較し、この比較結果が、互いが一致する場合はそのまま、不一致の場合は受信側に合わす形で制御装置7の送信フォーマットを修正し、修正した制御装置7の送信フォーマット(変換後)を生成し(ステップS104)、生成したフォーマットを表示装置5に表示する。
【0040】
表示装置5に表示された修正後の送信フォーマット(変換後)を、オペレータが確認し、正しくなければ(ステップS105)、つまりさらなる修正点があれば、その送信フォーマット(変換後)を修正する(ステップS106)。
【0041】
そして、修正確定の操作(例えばエンターキーを押すなど)をすると、命令作成部14は、修正された送信フォーマットにするためのデータ変更命令を作成し、通信部16を通じて制御装置7に接続されたGW2bへ送信する(ステップS107)。これにより、データ伝送制御装置3からネットワーク1を通じてGW2bへデータ変更命令が送信される。
【0042】
図5にステップS104〜S106までのデータ変換処理の様子を示す。ステップS102、S103の受付処理で、図5に示す受信側の伝送フォーマットF1と送信側の伝送フォーマットF2が受け付けられると、互いの伝送フォーマットが整合部13により比較され、その比較結果、異なる部分(信号ID)を一致(整合)させたフォーマットF1aとフォーマットF2aが生成される。この例では、信号ID「3」と信号ID「9」の部分が交換される。
【0043】
またフォーマットF1aはフォーマットF1と同じ伝送フォーマットであり、フォーマットF1にあり、フォーマットF2にない信号ID(「5」、「6」)については、例えば色付けされるなどして表示装置5の画面に表示(明示)される。
【0044】
フォーマットF2aはフォーマットF1と同様のデータ配列となるようにフォーマットF2のデータを並び替えた結果であり、フォーマットF1にない信号ID(「10」、「11」)についてはフォーマットF1aと同様に表示装置5の画面に表示(明示)される。
【0045】
次に、画面上でオペレータがフォーマットF1a、F2aをそれぞれ確認し、修正が必要な場合はキー入力によりデータの追加、削除、配列変更を行う。この例では、例えば伝送フォーマットF2bの信号ID「10」に“0”、信号ID「11」に“1”が追加される。
【0046】
この結果、図5の例では、制御装置7の送信フォーマット上でByte1の1ビット目とByte1の3ビット目の交換命令、Byte3の0ビット目、1ビット目の信号の削除命令、‘1’、‘0’の追加命令が生成され、GW2bに送信される。
【0047】
以上、ここまでの処理についてはオフラインにて行い、伝送の健全性を確認した後、オンライン(運転時)にてステップS107〜S110の処理を実行する。
【0048】
GW2bは、ステップS106の処理でデータ伝送制御装置3からGW2bへ送信されたデータ変更命令を通信部21が受信すると、伝送速度変更部22は、以降、そのデータ変更命令に従い制御装置7から受け取った送信データに対して並べ替え(置換)を行った上でデータを送信する(ステップS108〜ステップS110)。
【0049】
すなわち、GW2bでは、通信部21がデータ伝送制御装置3からのデータ変更命令(または伝送速度送信命令)を受信し、伝送速度変更部22が、受信した命令に従い、自装置に接続されている制御装置7から受信した送信用のデータを変更または伝送速度を変更し、ネットワーク1を介して受信側の制御装置6へデータを送信する。
【0050】
並べ替え(置換)とは、データの追加、削除、配列変更を行うことである。これにより、伝送フォーマットの異なる制御装置6,7間のデータ伝送において制御装置6,7側の改造をすることなくデータ伝送を行うことができる。
【0051】
次に、伝送速度の決定について説明する。各制御装置6〜9は、各々の送信周期で、対応するGW2a〜2dへデータを送信し、各々の受信周期でデータを処理している。ここでも例として制御装置7と制御装置6との間のデータ伝送を考えてみると、伝送速度の決定〜データ伝送までの流れは、図6のフローチャートで示すようになる。
【0052】
まず、伝送速度をオフラインにて決定する。図7に示すように、各伝送データにおける受信側の制御装置6の受信周期Si、伝送データの伝送容量Biを、入力装置4から入力することで、受付部12は、これらのデータ(受信周期Si、伝送データの伝送容量Bi)を受け付け(ステップS201)、伝送速度計算部17に渡す。伝送速度計算部17は、受け取った伝送容量Biを受信周期Siで割り算することで、伝送速度Xi(bps)を算出する(ステップS202)。
【0053】
伝送データの数はデータを送受信する装置のパターン数だけ存在することから、受信周期、伝送容量は全て入力されなければならない。受信周期、伝送容量が入力されると、データ伝送制御装置3では、伝送速度計算部17により伝送速度Xiが計算され、その伝送速度Xiに変更する(切り替える)よう指示する伝送速度変更命令が命令作成部14により作成されて、制御対象のGW2bに伝送速度変更命令と受信周期が送信される(ステップS203)。以上の処理をオフラインにて実行する。
【0054】
次に、オンライン(運転)時の制御装置6〜制御装置7間のデータ伝送の流れについて説明する。GW2bはデータ伝送制御装置3からの伝送速度変更命令を受け取ると(ステップS204)、以降、制御装置7より受け取った送信用のデータに対して、伝送速度を変更する。
【0055】
GW2bでは、通信部21が制御装置7よりデータを任意の周期で受信しており、ステップS204にてデータ伝送制御装置3より受け取った伝送速度変更命令に従い、その命令によって指示された伝送速度で、制御装置7からのデータを、制御装置6のGW2aへ送信する(ステップS205)。
【0056】
GW2aでは、GW2bより送信されたデータを通信部21が受信し(ステップS206)、データ伝送制御装置3より命令(指示)された受信周期で、制御装置7(GW2b)へデータを送信することで(ステップS207)、制御装置7の改造なしに制御装置6の受信周期要求を満たしたデータの伝送が可能となる。
【0057】
このようにこの第1実施形態によれば、入力された送信側の制御装置7と受信側の制御装置6の伝送フォーマットを比較して、不一致の箇所のデータを変換または修正し、送信データ変更(追加、削除、配列)命令および伝送速度変更命令を、制御対象のGW(GW2b等)へ送信する機能を持つデータ伝送制御装置3と、このデータ伝送制御装置3から送信された伝送速度変更命令に従い伝送フォーマットおよび伝送速度を変更する機能を有するGW2a〜2dとを用いることで、仕様の異なる制御装置6〜9間のデータ伝送を、制御装置6〜9の改造や伝送のインターフェースを担う機器であるGW2a〜2dを新たに設計または設定変更することなく実現できるデータ伝送システムを提供できる。
【0058】
(第2の実施形態)
次に図8乃至図10を参照して第2実施形態を説明する。なお第2実施形態を説明するにあたり第1実施形態と同じ構成には同一の符号を付しその説明は省略する。図8は第2実施形態のマルチプラットホーム対応データ伝送システムの構成を示す図である。
【0059】
図8に示すように、この第2実施形態のマルチプラットホーム対応データ伝送システムは、予め設定したイベントの発生時に、発生したイベントに関するデータの伝送速度を高速化する機能を有する。
【0060】
制御部15は、GW2a〜2dからイベント発生通知を受けた場合、伝送速度計算部17を制御して、イベントに関わる信号が含まれるデータの伝送を最優先とする、制御対象のGWの伝送速度を再計算させる。計算結果のGWの伝送速度は命令作成部14に渡される。
【0061】
命令作成部14は、伝送速度計算部17により再計算された伝送速度で信号を送信または受信するための命令を作成し、通信部16を通じてGW2a〜2dへ送信する。すなわち、命令作成部14および通信部16は、伝送速度計算部17により再計算された伝送速度でデータを送るよう送信側の制御装置(例えば制御装置7など)に接続されたGW2bへ伝送速度命令を送信する伝送速度命令送信部として機能する。
【0062】
また、命令作成部14および通信部16は、事前にキー入力により設定された信号毎のイベントの発生感知の閾値に従い、信号を監視することを指示する監視命令を作成し、作成した監視命令を各制御装置6〜9に接続されたGW2a〜2dへ送信する送信部として機能する。
【0063】
これら命令作成部14および通信部16により、設定したイベントの発生時に、発生したイベントに関するデータの伝送速度を高速化する。なおイベントの例としてはスクラム、制御棒引抜阻止などがあるが、特にイベントの種類に制限は設けない。
【0064】
すなわち、この第2実施形態で追加となった機能は、信号毎のイベントの設定とイベントの発生値、イベント発生時の伝送周期などが入力装置4から入力された場合に、それを受け付ける機能と、監視すべき信号とその発生値を対象のGW2a〜2dに伝送する機能、イベント発生時に発生したイベントに関するデータの伝送速度を高速化するために対象のGW2a,2bの伝送速度を再計算し、その再計算した伝送速度でデータを送信するよう指示する命令を制御対象のGW2a,2bへ送信する機能である。
【0065】
またGW2a〜2dは、データ伝送制御装置3より伝送された信号を監視し、イベントが発生したときにイベントの発生をデータ伝送制御装置へ通知(報告)する機能を備える。
【0066】
図9に制御装置7にてイベントが発生したときの処理の流れを示す。まず、事前準備としてオフラインにて、図10に示すように、信号に対してイベント番号、イベント発生値、イベント発生時の伝送周期をデータ伝送制御装置3に入力する。
【0067】
データ入力後、エンターキーなどが押されると、受付部12は、入力されたデータ(信号に対するイベント番号、イベント発生値、イベント発生時の伝送周期など)を受け付け(ステップS301)、制御部15に渡す。制御部15は、受け付けられたデータにより記憶部11に予め記憶しておいた各制御装置6〜9の伝送フォーマットを参照して、イベント発生値が入力された信号を特定し、各GW2a〜2dへ監視すべき信号の場所(Byte1の2ビット目など)とイベントの発生値を通信部16から送信する(ステップS302)。
【0068】
これにより、各GW2a〜2dが各制御装置6〜9から受信したデータの監視が可能となる。以上、ここまでがオフラインにて実行される項目である。以降の処理は、プラントの運転時に実行される。
【0069】
例えばGW2bの通信部21が、制御装置7からデータを受信すると(ステップS303)、データ伝送制御装置3より送信された場所の信号を監視する(ステップS304)。監視によりイベントの発生をGW2bが感知すると(ステップS305)、通信部21は発生が感知されたイベント番号をデータ伝送制御装置3へ通知(イベント発生通知または報告という)する(ステップS306)。
【0070】
ここで、プラントにおけるイベントには、いくつかのレベルがあり、例えば異常警報などの異常を示す報知信号の発生は、通常よりも緊急度が高い。
【0071】
データ伝送制御装置3では、通信部16にてイベント発生通知が受信されると、制御部15は、そのイベント発生通知に含まれるイベント番号に対応した信号を、オフラインの際に既に入力済で記憶部11に記憶されている各制御装置6〜9の伝送フォーマットから探索し(ステップS307)、発生が報告されたイベント番号に対応した信号が伝送フォーマットに含まれている制御装置を特定する。なお、特定される制御装置は複数存在する場合がある。
【0072】
制御部15は、イベント発生通知を受けた際に伝送速度計算部17を制御して伝送速度を再計算させる。すなわち、伝送速度計算部17は、予めステップS301にて受け付けた伝送周期を、図7に示した送信/受信周期に置き換えて該当データの伝送速度を再計算し(ステップS308)、命令作成部14へ渡し、命令作成部14が作成した伝送速度変更命令を制御対象のGW2a〜2dに送信する。
制御対象のGW2a〜2dでは、通信部21で命令を受信すると、受信した命令が伝送速度変更命令の場合、その伝送速度変更命令に従い、自装置に接続されている制御装置6〜9から受信したデータの伝送速度を変更して送信することにより、イベント発生時のデータ伝送が高速化される。
【0073】
このようにこの第2実施形態によれば、データ伝送制御装置3からの命令で各制御装置6〜9からの信号の監視を行いイベントの発生時に通知するGW2a〜2dと、各GW2a〜2dからのイベント発生通知によりデータ伝送速度の再計算を行い制御対象のGW(GW2a〜2dのいずれか)の伝送速度を変更させるデータ伝送制御装置3を用いることで、イベント発生時にイベントに関するデータ伝送を自動的に高速化することができる。
【0074】
(第3の実施形態)
次に、図11、図12を参照して第3実施形態を説明する。なお第3実施形態を説明するにあたり第2実施形態と同じ構成には同一の符号を付しその説明は省略する。図11は第3実施形態のマルチプラットホーム対応データ伝送システムの構成を示す図である。
【0075】
図11に示すように、この第3実施形態のマルチプラットホーム対応データ伝送システムは、ネットワーク1に接続された予測装置30を備えることで、第2実施形態で説明したデータ伝送速度の高速化を、イベント発生前にイベントの発生を予測して行うものである。
【0076】
予測装置30は、ネットワーク1上を流通するデータを監視し、予測装置30に格納された過去の時系列データと比較し、実際に流通するデータが時系列データの閾値の範囲を超えるとき、イベントの発生を予測する機能を有している。
【0077】
すなわち、予測装置30は、ネットワーク1上を流通するデータを監視して予め設定された時系列的なデータ流通量に従いイベント発生の予測を行い、イベントの発生が予測されたときにイベント番号を含むイベント発生予測通知を、データ伝送制御装置3へ送信(報告)する通知部として機能する。
【0078】
データ伝送制御装置3では、通信部16によりイベント発生予測通知が受信されたとき、伝送速度計算部17は、第2実施形態と同様に、入力されるイベント毎の伝送周期より伝送速度を再計算しデータ伝送を高速化する。
【0079】
この第3実施形態の場合、事前準備として、オフラインにて、データ入力用の端末からネットワーク1上の予測装置30にアクセスし、過去のイベント発生時の時系列データを予測装置30に入力し(図12のステップS401)、予測装置30のメモリに記憶しておく。また、データ伝送制御装置3には、第2実施形態と同様に各信号に対してイベント番号、イベント発生値、イベント発生時の伝送周期を入力装置4から入力し(ステップS402)、記憶部11に記憶する。
【0080】
データの入力が完了すると、制御部15は、信号IDとイベント番号を、通信部16を通じて予測装置30へ送信する。これにより、予測装置30にてイベントの発生が予測されたときに、そのイベント番号をデータ伝送制御装置3へ送信する(ステップS403)。
【0081】
オンライン(運転)時には、予測装置30はネットワーク1上を流通するデータを監視し、過去のイベント発生時の時系列データと常に比較する(ステップS404)。そして、あるとき予測装置30はイベントの発生を予測すると(ステップS405)、データ伝送制御装置3へ発生予測したイベント番号を通知(報告)する(ステップS406)。
【0082】
データ伝送制御装置3では、制御部15が、発生が通知されたイベント番号に対応した信号を、予め保存されている伝送フォーマットから探索して(ステップS407)、伝送速度計算部17に伝え、伝送速度計算部17は、信号に含まれているデータの伝送速度をステップS401にて予め入力された伝送周期から再計算し、命令作成部14に渡し、命令作成部14が作成した伝送速度変更命令を、制御対象のGW(GW2a〜2dのうち一つ以上)へ送信する(ステップS408)。制御対象のGWは複数の場合もある。
【0083】
制御対象のGW(GW2a〜2dのうち一つ以上)では、通信部21が伝送速度変更命令を受信すると、伝送速度変更部22が、受信した伝送速度変更命令に従い、それぞれの制御装置6〜9から受信したデータの伝送速度を変更し、通信部21から送信することにより、イベント発生が予測されるときに、該当する制御装置間のデータ伝送のみが高速化されるようになる。
【0084】
このようにこの第3実施形態によれば、ネットワーク1上を伝送されるデータを監視し、イベント発生の予測を行う予測装置30と、予測装置30によりイベント発生が予測されたときにデータ伝送速度の再計算を行い、対象のGWへ伝送速度変更命令を送出するデータ伝送制御装置3を用いることで、イベント発生が予測されるときにイベントに関するデータ伝送の高速化を自動的に行うことができ、イベント発生前に予めネットワーク1が高速化されるので、データ伝送を効率よく行うことができる。
【0085】
すなわち、上記した実施の形態によれば、データの配列や伝送周期をフレキシブルに変更できるデータ伝送制御装置3およびGW2a〜2dを用いることで、異なる伝送仕様の制御装置間6〜9で、伝送のインターフェースとなる機器(GW)を都度新設計することなく、また制御装置6〜9を改造することなく、データ伝送を行うことができるようになる。
【0086】
なお、本願発明の実施形態は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形してもよい。例えば実施形態で説明した各要素の拡張、一部の削除を含む変更を行った形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0087】
すなわち、上記実施形態に開示した複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。また実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0088】
また上記実施形態に示した各構成要素を、コンピュータのハードディスク装置などのストレージにインストールしたプログラムで実現してもよく、また上記プログラムを、コンピュータ読取可能な電子媒体:electronic mediaに記憶しておき、プログラムを電子媒体からコンピュータに読み取らせることで本発明の機能をコンピュータが実現するようにしてもよい。電子媒体としては、例えばCD−ROM等の記録媒体やフラッシュメモリ、リムーバブルメディア:Removable media等が含まれる。さらに、ネットワークを介して接続した異なるコンピュータに構成要素を分散して記憶し、各構成要素を機能させたコンピュータ間で通信することで実現してもよい。
【符号の説明】
【0089】
1…ネットワーク、2a〜2d…ゲートウェイ装置、3…データ伝送制御装置、4…入力装置、5…表示装置、6〜9…制御装置、11…記憶部、12…受付部、13…整合部、14…命令作成部、15…制御部、16…通信部、17…伝送速度計算部、21…通信部、22…伝送速度変更部、30…予測装置。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、データ伝送制御装置、ゲートウェイ装置、予測装置およびデータ伝送制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所などのプラントにおいては、出力領域モニタなどに代表される制御(監視)装置により処理されたプロセスデータをイーサネット(登録商標)などのネットワークを通じてプロセス計算機へ伝送し、プラントの状態を監視している。
【0003】
このような伝送システムにおいて、各制御装置は異なるベンダーにより設計・製作され、ベンダー毎に伝送仕様が異なっていることが多い。また、プラントでは、ベンダーが変更されることで、制御装置も入れ変えるため、ベンダーが変更されるたびに伝送仕様を合わすように制御装置を改造する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3651742号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、異なる伝送仕様の制御装置間で、制御装置を改造することなくデータ伝送を行うことができるデータ伝送制御装置、ゲートウェイ装置、予測装置およびデータ伝送制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のデータ伝送制御装置は、複数の制御装置がそれぞれゲートウェイ装置を介して接続されたネットワークに接続される。データ伝送制御装置は、受付部、整合部、命令作成部、命令送信部を有する。前記受付部は、データを送る側の制御装置と前記データを受ける側の制御装置の伝送フォーマットの入力を受け付ける。前記整合部は、前記受付部により受け付けられた2つの伝送フォーマットを比較して、前記伝送フォーマットに含まれるデータのうち、互いに異なるデータを整合する。前記命令作成部は前記ゲートウェイ装置に対する命令を作成する。前記制御部は前記整合部により互いに異なるデータを整合した前記伝送フォーマットにするよう指示するデータ変更命令を前記命令作成部に作成させる。前記命令送信部は、前記命令作成部により作成された命令を、前記送信側の制御装置に接続されたゲートウェイ装置または前記受信側の制御装置に接続されたゲートウェイ装置へ送信する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、異なる伝送仕様の制御装置間で、制御装置を改造することなくデータ伝送を行うことができるデータ伝送制御装置、ゲートウェイ装置、予測装置およびデータ伝送制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態のマルチプラットホーム対応データ伝送システムの概要構成を示す図である。
【図2】異なる伝送仕様の制御装置間のデータ伝送動作を示すフローチャートである。
【図3】各信号に対する固有の信号IDとその信号のビット数を示す図である。
【図4】伝送フォーマットの例を示す図である。
【図5】データ変換処理の様子の一例を示す図である。
【図6】伝送速度の決定からデータ伝送までの流れを示すフローチャートである。
【図7】受信側の制御装置の受信周期Si、伝送データの伝送容量Biを示す図である。
【図8】第2実施形態のマルチプラットホーム対応データ伝送システムの構成を示す図である。
【図9】ある制御装置にてイベントが発生したときの処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】信号に対するイベント番号、イベント発生値、イベント発生時の伝送周期を示す図である。
【図11】第3実施形態のマルチプラットホーム対応データ伝送システムの構成を示す図である。
【図12】イベントの発生を予測したときの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態のマルチプラットホーム対応データ伝送システムの構成を示す図である。
【0010】
図1に示すように、この実施形態のマルチプラットホーム対応データ伝送システムは、ネットワーク1に、複数のゲートウェイ2a〜2d(以下「GW2a〜2d」と称す)を介して接続された複数の制御装置6〜9と、これらGW2a〜2dにネットワーク1を介してまたは専用の通信ケーブルなどで接続されたデータ伝送制御装置3とを備えている。
【0011】
複数の制御装置6〜9は原子力発電所内に設置される制御装置であり、各制御装置6〜9は異なるベンダーにより設計・製造されているため、他のベンダーの制御装置とデータをやり取りすることを考慮して設計されてはいない。また、制御装置6〜9は計算機なども含まれる。
【0012】
各制御装置6〜9にはそれぞれGW2a〜2dが接続されており、制御装置6〜9間でのデータ伝送はGW2a〜2d、ネットワーク1を介して行われる。
【0013】
GW2a〜2dは、通信部21と伝送速度変更部22を有している。なお図面上は、GW2bに代表して通信部21と伝送速度変更部22を示しているが、他のGW2a,2c,2dにも同様の要素が設けられている。
【0014】
通信部21は、データ伝送制御装置3から各種命令を受信し、受信された命令に応じた処理を行う。受信された命令が、例えば監視命令の場合、通信部21は、監視命令に従い、自装置(自機)に接続されている制御装置6〜9の信号を監視し、イベントの発生が感知されたときにその旨をデータ伝送制御装置3へ通知するイベント発生通知部として機能する。
【0015】
伝送速度変更部22は、通信部21によりデータ伝送制御装置3から受信された命令が例えば伝送速度変更命令の場合、伝送速度変更命令に従い、自装置(自機)に接続されている制御装置6〜9から受け取った送信用のデータの伝送速度を変更し、受信側の制御装置6〜9へデータを送信する。なお自機とはGW2a〜2dそれぞれを指す。
【0016】
また、データ伝送制御装置3から受信された命令が例えばデータ変更命令の場合、伝送速度変更部22は、データ変更命令に従い自装置(自機)に接続されている制御装置6〜9から受け取った送信フォーマット(のデータ)を変更し、受信側の制御装置6〜9へデータを送信する。
【0017】
GW2a〜2dにはそれぞれ固有のIDが任意に設定されており、製品としての通信仕様は同じであるが、それぞれのGW2a〜2dが接続される制御装置6〜9は、伝送するデータの配置(伝送仕様)がベンダー毎に異なる場合がある。
【0018】
データ伝送制御装置3は、例えばコンピュータなどであり、キーボードなどの入力装置4、モニタなどの表示装置5、メモリなどの記憶部11、受付部12、整合部13、命令作成部14、制御部15、通信部16、伝送速度計算部17などを有している。なお、受付部12、整合部13、命令作成部14、制御部15、通信部16、伝送速度計算部17などの要素は、ハードディスク装置にインストールされたソフトウェア(プログラム)により実現されている。この他、各要素はハードウェアで実現してもよい。
【0019】
記憶部11へのデータ入力/アクセス、閲覧など、人とのインターフェース部分には入力装置4と表示装置5が用いられる。記憶部11には入力装置4から入力された各制御装置6〜9の伝送フォーマットが記憶される。
【0020】
データ伝送制御装置3には、入力装置4からのキー入力操作で各制御装置6〜9の伝送データフォーマット、データ受信周期などが入力され、制御部15により記憶部11に記憶される。
【0021】
受付部12は、データを送る側の制御装置とデータを受ける側の制御装置の伝送フォーマット、データ受信周期などの入力を受け付ける。
【0022】
受付部12は、入力された送信側と受信側の制御装置(例えば制御装置7と制御装置6)の伝送フォーマットのデータを受け付け、その受け付けた2つの伝送フォーマットのデータを整合部13に渡す。
【0023】
整合部13は、受付部12からそれぞれの制御装置6,7の伝送フォーマットを受け取り、その伝送フォーマットに含まれる信号ID同士を比較し、この比較結果が、互いが一致する場合はそのまま、不一致の場合は、例えば受信側に合わす形で送信側の制御装置7の送信フォーマットを修正し、修正した制御装置7の送信フォーマット(変換後の伝送フォーマット)を生成し、生成したフォーマットを表示装置5に表示し、修正がない場合はそれを命令作成部14に渡す。
すなわち、整合部13は、制御部15により受け付けられた2つの伝送フォーマットを比較して、伝送フォーマットに含まれるデータのうち、互いに異なるデータを整合する。
【0024】
ここで整合とは、互いの伝送フォーマットが不一致の場合に受信側に合わす形で送信側の制御装置7の送信フォーマットを修正する場合以外に、送信側に合わす形で受信側の制御装置7の受信フォーマットを修正する場合も含む。この場合、修正した制御装置6の受信フォーマット(変換後の伝送フォーマット)を生成し、生成したフォーマットを表示装置5に表示し、修正がない場合はそれを命令作成部14に渡す。またここでの整合とは、データの入れ替え(置換、交換)、配列変更等も含む。
【0025】
命令作成部14は、制御部15により制御されてGW2a〜2dに対する各種命令を作成する。例えば命令作成部14は、整合部13から、互いに異なるデータを整合した伝送フォーマットを受け取り、その伝送フォーマットの中で、送信側と受信側で相違する部分の変更を指示するデータ変更命令を作成し、通信部16から送信側の制御装置7に接続されたGW2bへ送信する。
【0026】
すなわち、命令作成部14が、整合部13により生成されたデータ整合後の伝送フォーマットの修正部(互いのデータの相違部分)を入れ替える送信データ変更(追加、削除、配列)命令や、伝送速度変更命令などを生成し、該当するGW2a〜2dへ送信することで、仕様の異なる制御装置(例えば制御装置6,7)間のデータ伝送を制御装置6,7の改造なしに実現している。
【0027】
通信部16は、ネットワーク1を通じてGW2a〜2dと通信する。例えば通信部16は、命令作成部14により作成された命令を、送信側の制御装置に接続されたGWまたは受信側の制御装置に接続されたGWへ送信する命令送信部として機能する。
【0028】
伝送速度計算部17は、制御部15により制御されて、予めキー入力され記憶部11に記憶された受信側の制御装置の受信周期と伝送容量から伝送速度を計算する。
【0029】
制御部15は、上記各部を統括的に制御するものである。例えば制御部15は、命令作成部14を制御し、整合部13により整合された伝送フォーマットにするよう指示するデータ変更命令を命令作成部14に作成させる。また、制御部15は、伝送速度計算部17を制御し、伝送速度計算部17に伝送速度を計算させる。
【0030】
原子力発電所等のプラントにおいては安定した伝送速度が求められる。このため、伝送プロトコルはUDP/IPを用いるものとし、これ以降の説明は説明を分かり易くするためにデータ部のみを対象とする。
【0031】
以下、図2乃至図7を参照してこのマルチプラットホーム対応データ伝送システムにおける制御装置間のデータ伝送動作を説明する。
【0032】
まず、図2のフローチャートを参照して一組の制御装置間のデータ伝送動作を説明する。一例として制御装置7〜制御装置6間のデータ伝送動作を説明する。ここでは既存の制御装置7,8,9に対して異なるベンダーの制御装置6が追加導入されたものとし、制御装置7を送信側とし、制御装置6を受信側とする。このため、制御装置7と制御装置6とはベンダーが異なり、送受信するデータの伝送フォーマットが異なるためにそのままでは通信できない。なお既存の制御装置6が、他の制御装置7,8,9とは異なるベンダーのものに入れ替えられた場合も同じである。
【0033】
図2のフローチャートのステップS101〜S106の処理はオフライン(メンテナンス時)で行われ、ステップS107〜S110の処理はオンライン(運転時)で行われる。
【0034】
まず、ステップS101にて送受信する各信号のIDを決定する。図3に示す例のように、各制御装置6〜9からの各信号に対して固有の信号IDとその信号のビット数を入力装置4から入力すると、受付部12は、プラント運用中に発生するイベント(警報など)の各信号に対する固有の信号IDとその信号IDのビット数を受け付け(ステップS101)、送信する信号IDを決定する。
【0035】
プラントのイベントの一つである、例えばAPRMレベルの関する信号であれば、ID「1」、ビット数は「8」、FLOWレベルに関する信号であれば、ID「2」、ビット数は「6」等のように重複しない数字(および/または英文字)などである。これは一例であり、これ以外にも信号に対してIDを様々な方法で付与することが可能である。
【0036】
次に、制御装置6、7の伝送フォーマットを入力装置4から入力すると、受付部12は制御装置6、7の伝送フォーマットを受け付ける(ステップS102、ステップS103)。
【0037】
ここで、制御装置7の送信フォーマット(変換前)とは、実際に制御装置7からGW2aに伝送されるデータフォーマットを指す。図4に受付部12により受け付けられる伝送フォーマットの例を示す。
【0038】
伝送フォーマットの入力は、ステップS101の処理で定義されたビット長を持つ信号IDを任意の場所に配置することで行う。ここでは8ビット(1バイト)毎のデータ列を例にあげているが、ビット数は、特に制限を設けるものではない。
【0039】
整合部13は、受付部12により伝送フォーマットが受け付けられると、整合部11は、受け付けられた伝送フォーマット上の信号ID同士を比較し、この比較結果が、互いが一致する場合はそのまま、不一致の場合は受信側に合わす形で制御装置7の送信フォーマットを修正し、修正した制御装置7の送信フォーマット(変換後)を生成し(ステップS104)、生成したフォーマットを表示装置5に表示する。
【0040】
表示装置5に表示された修正後の送信フォーマット(変換後)を、オペレータが確認し、正しくなければ(ステップS105)、つまりさらなる修正点があれば、その送信フォーマット(変換後)を修正する(ステップS106)。
【0041】
そして、修正確定の操作(例えばエンターキーを押すなど)をすると、命令作成部14は、修正された送信フォーマットにするためのデータ変更命令を作成し、通信部16を通じて制御装置7に接続されたGW2bへ送信する(ステップS107)。これにより、データ伝送制御装置3からネットワーク1を通じてGW2bへデータ変更命令が送信される。
【0042】
図5にステップS104〜S106までのデータ変換処理の様子を示す。ステップS102、S103の受付処理で、図5に示す受信側の伝送フォーマットF1と送信側の伝送フォーマットF2が受け付けられると、互いの伝送フォーマットが整合部13により比較され、その比較結果、異なる部分(信号ID)を一致(整合)させたフォーマットF1aとフォーマットF2aが生成される。この例では、信号ID「3」と信号ID「9」の部分が交換される。
【0043】
またフォーマットF1aはフォーマットF1と同じ伝送フォーマットであり、フォーマットF1にあり、フォーマットF2にない信号ID(「5」、「6」)については、例えば色付けされるなどして表示装置5の画面に表示(明示)される。
【0044】
フォーマットF2aはフォーマットF1と同様のデータ配列となるようにフォーマットF2のデータを並び替えた結果であり、フォーマットF1にない信号ID(「10」、「11」)についてはフォーマットF1aと同様に表示装置5の画面に表示(明示)される。
【0045】
次に、画面上でオペレータがフォーマットF1a、F2aをそれぞれ確認し、修正が必要な場合はキー入力によりデータの追加、削除、配列変更を行う。この例では、例えば伝送フォーマットF2bの信号ID「10」に“0”、信号ID「11」に“1”が追加される。
【0046】
この結果、図5の例では、制御装置7の送信フォーマット上でByte1の1ビット目とByte1の3ビット目の交換命令、Byte3の0ビット目、1ビット目の信号の削除命令、‘1’、‘0’の追加命令が生成され、GW2bに送信される。
【0047】
以上、ここまでの処理についてはオフラインにて行い、伝送の健全性を確認した後、オンライン(運転時)にてステップS107〜S110の処理を実行する。
【0048】
GW2bは、ステップS106の処理でデータ伝送制御装置3からGW2bへ送信されたデータ変更命令を通信部21が受信すると、伝送速度変更部22は、以降、そのデータ変更命令に従い制御装置7から受け取った送信データに対して並べ替え(置換)を行った上でデータを送信する(ステップS108〜ステップS110)。
【0049】
すなわち、GW2bでは、通信部21がデータ伝送制御装置3からのデータ変更命令(または伝送速度送信命令)を受信し、伝送速度変更部22が、受信した命令に従い、自装置に接続されている制御装置7から受信した送信用のデータを変更または伝送速度を変更し、ネットワーク1を介して受信側の制御装置6へデータを送信する。
【0050】
並べ替え(置換)とは、データの追加、削除、配列変更を行うことである。これにより、伝送フォーマットの異なる制御装置6,7間のデータ伝送において制御装置6,7側の改造をすることなくデータ伝送を行うことができる。
【0051】
次に、伝送速度の決定について説明する。各制御装置6〜9は、各々の送信周期で、対応するGW2a〜2dへデータを送信し、各々の受信周期でデータを処理している。ここでも例として制御装置7と制御装置6との間のデータ伝送を考えてみると、伝送速度の決定〜データ伝送までの流れは、図6のフローチャートで示すようになる。
【0052】
まず、伝送速度をオフラインにて決定する。図7に示すように、各伝送データにおける受信側の制御装置6の受信周期Si、伝送データの伝送容量Biを、入力装置4から入力することで、受付部12は、これらのデータ(受信周期Si、伝送データの伝送容量Bi)を受け付け(ステップS201)、伝送速度計算部17に渡す。伝送速度計算部17は、受け取った伝送容量Biを受信周期Siで割り算することで、伝送速度Xi(bps)を算出する(ステップS202)。
【0053】
伝送データの数はデータを送受信する装置のパターン数だけ存在することから、受信周期、伝送容量は全て入力されなければならない。受信周期、伝送容量が入力されると、データ伝送制御装置3では、伝送速度計算部17により伝送速度Xiが計算され、その伝送速度Xiに変更する(切り替える)よう指示する伝送速度変更命令が命令作成部14により作成されて、制御対象のGW2bに伝送速度変更命令と受信周期が送信される(ステップS203)。以上の処理をオフラインにて実行する。
【0054】
次に、オンライン(運転)時の制御装置6〜制御装置7間のデータ伝送の流れについて説明する。GW2bはデータ伝送制御装置3からの伝送速度変更命令を受け取ると(ステップS204)、以降、制御装置7より受け取った送信用のデータに対して、伝送速度を変更する。
【0055】
GW2bでは、通信部21が制御装置7よりデータを任意の周期で受信しており、ステップS204にてデータ伝送制御装置3より受け取った伝送速度変更命令に従い、その命令によって指示された伝送速度で、制御装置7からのデータを、制御装置6のGW2aへ送信する(ステップS205)。
【0056】
GW2aでは、GW2bより送信されたデータを通信部21が受信し(ステップS206)、データ伝送制御装置3より命令(指示)された受信周期で、制御装置7(GW2b)へデータを送信することで(ステップS207)、制御装置7の改造なしに制御装置6の受信周期要求を満たしたデータの伝送が可能となる。
【0057】
このようにこの第1実施形態によれば、入力された送信側の制御装置7と受信側の制御装置6の伝送フォーマットを比較して、不一致の箇所のデータを変換または修正し、送信データ変更(追加、削除、配列)命令および伝送速度変更命令を、制御対象のGW(GW2b等)へ送信する機能を持つデータ伝送制御装置3と、このデータ伝送制御装置3から送信された伝送速度変更命令に従い伝送フォーマットおよび伝送速度を変更する機能を有するGW2a〜2dとを用いることで、仕様の異なる制御装置6〜9間のデータ伝送を、制御装置6〜9の改造や伝送のインターフェースを担う機器であるGW2a〜2dを新たに設計または設定変更することなく実現できるデータ伝送システムを提供できる。
【0058】
(第2の実施形態)
次に図8乃至図10を参照して第2実施形態を説明する。なお第2実施形態を説明するにあたり第1実施形態と同じ構成には同一の符号を付しその説明は省略する。図8は第2実施形態のマルチプラットホーム対応データ伝送システムの構成を示す図である。
【0059】
図8に示すように、この第2実施形態のマルチプラットホーム対応データ伝送システムは、予め設定したイベントの発生時に、発生したイベントに関するデータの伝送速度を高速化する機能を有する。
【0060】
制御部15は、GW2a〜2dからイベント発生通知を受けた場合、伝送速度計算部17を制御して、イベントに関わる信号が含まれるデータの伝送を最優先とする、制御対象のGWの伝送速度を再計算させる。計算結果のGWの伝送速度は命令作成部14に渡される。
【0061】
命令作成部14は、伝送速度計算部17により再計算された伝送速度で信号を送信または受信するための命令を作成し、通信部16を通じてGW2a〜2dへ送信する。すなわち、命令作成部14および通信部16は、伝送速度計算部17により再計算された伝送速度でデータを送るよう送信側の制御装置(例えば制御装置7など)に接続されたGW2bへ伝送速度命令を送信する伝送速度命令送信部として機能する。
【0062】
また、命令作成部14および通信部16は、事前にキー入力により設定された信号毎のイベントの発生感知の閾値に従い、信号を監視することを指示する監視命令を作成し、作成した監視命令を各制御装置6〜9に接続されたGW2a〜2dへ送信する送信部として機能する。
【0063】
これら命令作成部14および通信部16により、設定したイベントの発生時に、発生したイベントに関するデータの伝送速度を高速化する。なおイベントの例としてはスクラム、制御棒引抜阻止などがあるが、特にイベントの種類に制限は設けない。
【0064】
すなわち、この第2実施形態で追加となった機能は、信号毎のイベントの設定とイベントの発生値、イベント発生時の伝送周期などが入力装置4から入力された場合に、それを受け付ける機能と、監視すべき信号とその発生値を対象のGW2a〜2dに伝送する機能、イベント発生時に発生したイベントに関するデータの伝送速度を高速化するために対象のGW2a,2bの伝送速度を再計算し、その再計算した伝送速度でデータを送信するよう指示する命令を制御対象のGW2a,2bへ送信する機能である。
【0065】
またGW2a〜2dは、データ伝送制御装置3より伝送された信号を監視し、イベントが発生したときにイベントの発生をデータ伝送制御装置へ通知(報告)する機能を備える。
【0066】
図9に制御装置7にてイベントが発生したときの処理の流れを示す。まず、事前準備としてオフラインにて、図10に示すように、信号に対してイベント番号、イベント発生値、イベント発生時の伝送周期をデータ伝送制御装置3に入力する。
【0067】
データ入力後、エンターキーなどが押されると、受付部12は、入力されたデータ(信号に対するイベント番号、イベント発生値、イベント発生時の伝送周期など)を受け付け(ステップS301)、制御部15に渡す。制御部15は、受け付けられたデータにより記憶部11に予め記憶しておいた各制御装置6〜9の伝送フォーマットを参照して、イベント発生値が入力された信号を特定し、各GW2a〜2dへ監視すべき信号の場所(Byte1の2ビット目など)とイベントの発生値を通信部16から送信する(ステップS302)。
【0068】
これにより、各GW2a〜2dが各制御装置6〜9から受信したデータの監視が可能となる。以上、ここまでがオフラインにて実行される項目である。以降の処理は、プラントの運転時に実行される。
【0069】
例えばGW2bの通信部21が、制御装置7からデータを受信すると(ステップS303)、データ伝送制御装置3より送信された場所の信号を監視する(ステップS304)。監視によりイベントの発生をGW2bが感知すると(ステップS305)、通信部21は発生が感知されたイベント番号をデータ伝送制御装置3へ通知(イベント発生通知または報告という)する(ステップS306)。
【0070】
ここで、プラントにおけるイベントには、いくつかのレベルがあり、例えば異常警報などの異常を示す報知信号の発生は、通常よりも緊急度が高い。
【0071】
データ伝送制御装置3では、通信部16にてイベント発生通知が受信されると、制御部15は、そのイベント発生通知に含まれるイベント番号に対応した信号を、オフラインの際に既に入力済で記憶部11に記憶されている各制御装置6〜9の伝送フォーマットから探索し(ステップS307)、発生が報告されたイベント番号に対応した信号が伝送フォーマットに含まれている制御装置を特定する。なお、特定される制御装置は複数存在する場合がある。
【0072】
制御部15は、イベント発生通知を受けた際に伝送速度計算部17を制御して伝送速度を再計算させる。すなわち、伝送速度計算部17は、予めステップS301にて受け付けた伝送周期を、図7に示した送信/受信周期に置き換えて該当データの伝送速度を再計算し(ステップS308)、命令作成部14へ渡し、命令作成部14が作成した伝送速度変更命令を制御対象のGW2a〜2dに送信する。
制御対象のGW2a〜2dでは、通信部21で命令を受信すると、受信した命令が伝送速度変更命令の場合、その伝送速度変更命令に従い、自装置に接続されている制御装置6〜9から受信したデータの伝送速度を変更して送信することにより、イベント発生時のデータ伝送が高速化される。
【0073】
このようにこの第2実施形態によれば、データ伝送制御装置3からの命令で各制御装置6〜9からの信号の監視を行いイベントの発生時に通知するGW2a〜2dと、各GW2a〜2dからのイベント発生通知によりデータ伝送速度の再計算を行い制御対象のGW(GW2a〜2dのいずれか)の伝送速度を変更させるデータ伝送制御装置3を用いることで、イベント発生時にイベントに関するデータ伝送を自動的に高速化することができる。
【0074】
(第3の実施形態)
次に、図11、図12を参照して第3実施形態を説明する。なお第3実施形態を説明するにあたり第2実施形態と同じ構成には同一の符号を付しその説明は省略する。図11は第3実施形態のマルチプラットホーム対応データ伝送システムの構成を示す図である。
【0075】
図11に示すように、この第3実施形態のマルチプラットホーム対応データ伝送システムは、ネットワーク1に接続された予測装置30を備えることで、第2実施形態で説明したデータ伝送速度の高速化を、イベント発生前にイベントの発生を予測して行うものである。
【0076】
予測装置30は、ネットワーク1上を流通するデータを監視し、予測装置30に格納された過去の時系列データと比較し、実際に流通するデータが時系列データの閾値の範囲を超えるとき、イベントの発生を予測する機能を有している。
【0077】
すなわち、予測装置30は、ネットワーク1上を流通するデータを監視して予め設定された時系列的なデータ流通量に従いイベント発生の予測を行い、イベントの発生が予測されたときにイベント番号を含むイベント発生予測通知を、データ伝送制御装置3へ送信(報告)する通知部として機能する。
【0078】
データ伝送制御装置3では、通信部16によりイベント発生予測通知が受信されたとき、伝送速度計算部17は、第2実施形態と同様に、入力されるイベント毎の伝送周期より伝送速度を再計算しデータ伝送を高速化する。
【0079】
この第3実施形態の場合、事前準備として、オフラインにて、データ入力用の端末からネットワーク1上の予測装置30にアクセスし、過去のイベント発生時の時系列データを予測装置30に入力し(図12のステップS401)、予測装置30のメモリに記憶しておく。また、データ伝送制御装置3には、第2実施形態と同様に各信号に対してイベント番号、イベント発生値、イベント発生時の伝送周期を入力装置4から入力し(ステップS402)、記憶部11に記憶する。
【0080】
データの入力が完了すると、制御部15は、信号IDとイベント番号を、通信部16を通じて予測装置30へ送信する。これにより、予測装置30にてイベントの発生が予測されたときに、そのイベント番号をデータ伝送制御装置3へ送信する(ステップS403)。
【0081】
オンライン(運転)時には、予測装置30はネットワーク1上を流通するデータを監視し、過去のイベント発生時の時系列データと常に比較する(ステップS404)。そして、あるとき予測装置30はイベントの発生を予測すると(ステップS405)、データ伝送制御装置3へ発生予測したイベント番号を通知(報告)する(ステップS406)。
【0082】
データ伝送制御装置3では、制御部15が、発生が通知されたイベント番号に対応した信号を、予め保存されている伝送フォーマットから探索して(ステップS407)、伝送速度計算部17に伝え、伝送速度計算部17は、信号に含まれているデータの伝送速度をステップS401にて予め入力された伝送周期から再計算し、命令作成部14に渡し、命令作成部14が作成した伝送速度変更命令を、制御対象のGW(GW2a〜2dのうち一つ以上)へ送信する(ステップS408)。制御対象のGWは複数の場合もある。
【0083】
制御対象のGW(GW2a〜2dのうち一つ以上)では、通信部21が伝送速度変更命令を受信すると、伝送速度変更部22が、受信した伝送速度変更命令に従い、それぞれの制御装置6〜9から受信したデータの伝送速度を変更し、通信部21から送信することにより、イベント発生が予測されるときに、該当する制御装置間のデータ伝送のみが高速化されるようになる。
【0084】
このようにこの第3実施形態によれば、ネットワーク1上を伝送されるデータを監視し、イベント発生の予測を行う予測装置30と、予測装置30によりイベント発生が予測されたときにデータ伝送速度の再計算を行い、対象のGWへ伝送速度変更命令を送出するデータ伝送制御装置3を用いることで、イベント発生が予測されるときにイベントに関するデータ伝送の高速化を自動的に行うことができ、イベント発生前に予めネットワーク1が高速化されるので、データ伝送を効率よく行うことができる。
【0085】
すなわち、上記した実施の形態によれば、データの配列や伝送周期をフレキシブルに変更できるデータ伝送制御装置3およびGW2a〜2dを用いることで、異なる伝送仕様の制御装置間6〜9で、伝送のインターフェースとなる機器(GW)を都度新設計することなく、また制御装置6〜9を改造することなく、データ伝送を行うことができるようになる。
【0086】
なお、本願発明の実施形態は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形してもよい。例えば実施形態で説明した各要素の拡張、一部の削除を含む変更を行った形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0087】
すなわち、上記実施形態に開示した複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。また実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0088】
また上記実施形態に示した各構成要素を、コンピュータのハードディスク装置などのストレージにインストールしたプログラムで実現してもよく、また上記プログラムを、コンピュータ読取可能な電子媒体:electronic mediaに記憶しておき、プログラムを電子媒体からコンピュータに読み取らせることで本発明の機能をコンピュータが実現するようにしてもよい。電子媒体としては、例えばCD−ROM等の記録媒体やフラッシュメモリ、リムーバブルメディア:Removable media等が含まれる。さらに、ネットワークを介して接続した異なるコンピュータに構成要素を分散して記憶し、各構成要素を機能させたコンピュータ間で通信することで実現してもよい。
【符号の説明】
【0089】
1…ネットワーク、2a〜2d…ゲートウェイ装置、3…データ伝送制御装置、4…入力装置、5…表示装置、6〜9…制御装置、11…記憶部、12…受付部、13…整合部、14…命令作成部、15…制御部、16…通信部、17…伝送速度計算部、21…通信部、22…伝送速度変更部、30…予測装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の制御装置がそれぞれゲートウェイ装置を介して接続されたネットワークに接続されるデータ伝送制御装置において、
データを送る側の制御装置と前記データを受ける側の制御装置の伝送フォーマットの入力を受け付ける受付部と、
前記受付部により受け付けられた2つの伝送フォーマットを比較して、前記伝送フォーマットに含まれるデータのうち、互いに異なるデータを整合する整合部と、
前記ゲートウェイ装置に対する命令を作成する命令作成部と、
前記整合部により互いに異なるデータを整合した前記伝送フォーマットにするよう指示するデータ変更命令を前記命令作成部に作成させる制御部と、
前記命令作成部により作成された命令を、前記送信側の制御装置に接続されたゲートウェイ装置または前記受信側の制御装置に接続されたゲートウェイ装置へ送信する命令送信部と
を具備することを特徴とするデータ伝送制御装置。
【請求項2】
前記受信側の制御装置の受信周期と伝送容量から伝送速度を計算する伝送速度計算部を備え、
前記制御部は、
前記伝送速度計算部により計算された伝送速度でデータを送るよう指示する伝送速度変更命令を前記命令作成部に作成させることを特徴とする請求項1記載のデータ伝送制御装置。
【請求項3】
請求項1記載のデータ伝送制御装置から受信したデータ変更命令に従い、自装置に接続されている制御装置から受信した送信用のデータを変更し、前記ネットワークを介して前記受信側の制御装置へデータを送信することを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項4】
前記制御部は、
予め設定された信号毎のイベントの発生感知の閾値に従い、前記信号を監視することを指示する監視命令を前記命令作成部に作成させることを特徴とする請求項1記載のデータ伝送制御装置。
【請求項5】
請求項4記載のデータ伝送制御装置から受信された前記監視命令に従い前記制御装置の信号を監視し、イベントの発生が感知されたときにその旨を前記データ伝送制御装置へ通知するイベント発生通知部を具備することを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項6】
請求項2記載のデータ伝送制御装置から受信された前記伝送速度変更命令に従い、自装置に接続されている制御装置から受け取った送信用のデータの伝送速度を変更し、前記受信側の制御装置へデータを送信する伝送速度変更部を具備することを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項7】
前記制御部は、
請求項5記載のゲートウェイ装置からの前記通知を受けた場合、前記イベントに関わる信号が含まれるデータの伝送を最優先とするよう前記ゲートウェイ装置の伝送速度を前記伝送速度計算部に再計算させることを特徴とする請求項2記載のデータ伝送制御装置。
【請求項8】
ネットワーク上を流通するデータを監視して予め設定された時系列的なデータ流通量に従いイベント発生の予測を行い、イベントの発生が予測されたときにイベント発生予測通知を、請求項6記載のデータ伝送制御装置へ送信する通知部を具備することを特徴とする予測装置。
【請求項9】
複数の制御装置がそれぞれゲートウェイ装置を介して接続されるネットワークに接続されたデータ伝送制御装置におけるデータ伝送制御方法において、
データを送る側の制御装置と前記データを受ける側の制御装置の伝送フォーマットの入力を前記データ伝送制御装置が受け付け、
前記データ伝送制御装置が受け付けた2つの伝送フォーマットを比較して、前記伝送フォーマットに含まれるデータのうち、互いに異なるデータを整合し、
互いに異なるデータを整合した前記伝送フォーマットになるよう前記データ伝送制御装置がデータ変更命令を作成し、
前記データ伝送制御装置が作成したデータ変更命令を前記送信側の制御装置に接続されたゲートウェイ装置へ送信する
ことを特徴とするデータ伝送制御方法。
【請求項1】
複数の制御装置がそれぞれゲートウェイ装置を介して接続されたネットワークに接続されるデータ伝送制御装置において、
データを送る側の制御装置と前記データを受ける側の制御装置の伝送フォーマットの入力を受け付ける受付部と、
前記受付部により受け付けられた2つの伝送フォーマットを比較して、前記伝送フォーマットに含まれるデータのうち、互いに異なるデータを整合する整合部と、
前記ゲートウェイ装置に対する命令を作成する命令作成部と、
前記整合部により互いに異なるデータを整合した前記伝送フォーマットにするよう指示するデータ変更命令を前記命令作成部に作成させる制御部と、
前記命令作成部により作成された命令を、前記送信側の制御装置に接続されたゲートウェイ装置または前記受信側の制御装置に接続されたゲートウェイ装置へ送信する命令送信部と
を具備することを特徴とするデータ伝送制御装置。
【請求項2】
前記受信側の制御装置の受信周期と伝送容量から伝送速度を計算する伝送速度計算部を備え、
前記制御部は、
前記伝送速度計算部により計算された伝送速度でデータを送るよう指示する伝送速度変更命令を前記命令作成部に作成させることを特徴とする請求項1記載のデータ伝送制御装置。
【請求項3】
請求項1記載のデータ伝送制御装置から受信したデータ変更命令に従い、自装置に接続されている制御装置から受信した送信用のデータを変更し、前記ネットワークを介して前記受信側の制御装置へデータを送信することを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項4】
前記制御部は、
予め設定された信号毎のイベントの発生感知の閾値に従い、前記信号を監視することを指示する監視命令を前記命令作成部に作成させることを特徴とする請求項1記載のデータ伝送制御装置。
【請求項5】
請求項4記載のデータ伝送制御装置から受信された前記監視命令に従い前記制御装置の信号を監視し、イベントの発生が感知されたときにその旨を前記データ伝送制御装置へ通知するイベント発生通知部を具備することを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項6】
請求項2記載のデータ伝送制御装置から受信された前記伝送速度変更命令に従い、自装置に接続されている制御装置から受け取った送信用のデータの伝送速度を変更し、前記受信側の制御装置へデータを送信する伝送速度変更部を具備することを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項7】
前記制御部は、
請求項5記載のゲートウェイ装置からの前記通知を受けた場合、前記イベントに関わる信号が含まれるデータの伝送を最優先とするよう前記ゲートウェイ装置の伝送速度を前記伝送速度計算部に再計算させることを特徴とする請求項2記載のデータ伝送制御装置。
【請求項8】
ネットワーク上を流通するデータを監視して予め設定された時系列的なデータ流通量に従いイベント発生の予測を行い、イベントの発生が予測されたときにイベント発生予測通知を、請求項6記載のデータ伝送制御装置へ送信する通知部を具備することを特徴とする予測装置。
【請求項9】
複数の制御装置がそれぞれゲートウェイ装置を介して接続されるネットワークに接続されたデータ伝送制御装置におけるデータ伝送制御方法において、
データを送る側の制御装置と前記データを受ける側の制御装置の伝送フォーマットの入力を前記データ伝送制御装置が受け付け、
前記データ伝送制御装置が受け付けた2つの伝送フォーマットを比較して、前記伝送フォーマットに含まれるデータのうち、互いに異なるデータを整合し、
互いに異なるデータを整合した前記伝送フォーマットになるよう前記データ伝送制御装置がデータ変更命令を作成し、
前記データ伝送制御装置が作成したデータ変更命令を前記送信側の制御装置に接続されたゲートウェイ装置へ送信する
ことを特徴とするデータ伝送制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−5004(P2012−5004A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140064(P2010−140064)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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