説明

データ伝送装置、データ伝送方法、およびデータ伝送装置制御プログラム

【課題】光信号の受信側で送信側の光部品の異常を判定する。
【解決手段】送信部100と、受信部300と、送信部100と受信部300を接続し光信号を伝送する光伝送路204と、送信部100と受信部300を接続し電気信号を伝送する電気伝送路205と、を備えるデータ転送装置1であって、送信部100は、外部から入力された電気信号を光信号に変換して光伝送路へ送出する光源部160と、光源部160が送出する光信号の光パワーに影響を与える物理量の情報を電気伝送路205へ送出する送信側制御部130と、を備え、受信部300は、光伝送路204を伝送された光信号を受光して電気信号に変換する受光部320と、電気伝送路205を伝送された物理量の情報を受信し、該受信した物理量の情報に基づいて前記光源部の異常の判定を行う受信側制御部350と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ伝送装置、データ伝送方法、およびデータ伝送装置制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラと処理装置間の信号を伝送する方式としてカメラリンクインタフェース(非特許文献1、特許文献1)が規格化されている。この方式はカメラからの映像信号(映像信号4対とクロック信号1対)用の信号線、シャッター信号用などの制御線(4対)、およびカメラとのシリアル信号線(送信信号と受信信号の2対)の計11対の信号線と複数のシールド線とを1本のケーブルに収納したものである。また、メタルケーブル内における信号伝送はノイズ耐性を高めるため、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)と呼ばれる信号方式を用いて非反転信号と反転信号とを対で伝送する。
【0003】
図14は、従来のカメラリンクインタフェースの1例(カメラリンク規格の1種であるBase Configuration)の内部配線図である。カメラリンクインタフェース2は、カメラ側コネクタケース部400と、メタルケーブル500と、処理装置側コネクタケース部600とを備える。同図において、カメラ側コネクタケース部400のそれぞれの端子は、カメラ側コネクタケース部400内部の信号線を介して、メタルケーブル500内のそれぞれの差動線またはシールド線に接続されている。また、メタルケーブル500内のそれぞれの差動線またはシールド線は、処理装置側コネクタケース部600内部の信号線を介して、処理装置側コネクタケース部600のそれぞれの端子に接続されている。また、カメラリンクインタフェース2のカメラ側コネクタケース部400および処理装置側コネクタケース部600は、それぞれ26ピンコネクタ端子を有する。
【0004】
カメラリンク以外のインタフェースとしてUSB(Universal SerialBus)やIEEE1394といった高速シリアルバス規格もある。しかし、カメラリンクは、USBやIEEE1394と異なり、カメラ特有の撮像タイミングを伝送する制御線や露光時間を処理装置からカメラに指示する制御線を独立して有しているので、現在、カメラと処理装置間の信号を伝送する方式として一般的なインタフェースになりつつある。
【0005】
カメラリンクインタフェース規格では伝送距離が最大10[m]と規定されているが、高解像度の映像信号を伝送しようとした場合、7〜8[m]が限界と言われている。また、伝送品質を上げようとするとケーブルの直径が太くなってしまい、ケーブルの柔軟性が損なわれる上、省スペース性と可動性を要求する用途には向かないという問題があった。
【0006】
そこで、特許文献1では複数の差動信号線を時分割多重方式で1本にまとめ、信号線の本数を減らす提案がなされている。また、DVDレコーダ等のビデオ信号源と大型ディスプレイとの間の伝送において、DVIのコネクタケース内に電気光変換部を設けて映像信号を光化する方式(特許文献2参照)や、特許文献1の方式と特許文献2の方式とを組合せた方式も提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−116734号公報
【特許文献2】特許第4345652号公報
【特許文献3】特開2010−50847号公報
【特許文献4】特許第3822861号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】“CameraLink,Specifications of the Camera Link Interface Standard for Digital Cameras and Frame Grabbers”,October2000
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2の方式を採用し、カメラリンクインタフェースのコネクタケース内に電気光変換部を設けて高速の映像信号を光信号に変換し光ファイバを伝送路として光信号を伝送する場合、カメラリンクインタフェースとしてのデータ伝送装置は、その光信号を長距離に渡って伝送でき、光信号に雑音が混入することが少なく、伝送用のケーブルの細径化が可能となるといったメリットがある。しかし、LD(Laser Diode:レーザダイオード)やPD(Photo Diode:フォトダイオード)といった光部品の寿命はケーブルや電子部品の寿命と比べて1/10程度と言われており、光部品の故障に起因した信号伝送停止のリスクが高くなる。そのため、内部の伝送を光信号を用いて実現する場合、カメラリンクインタフェースとしてのデータ伝送装置は内部の光部品の異常を検出し外部に通知する機能が必要となる。
【0010】
通信用の光モジュールにおいて、内部の状態を診断しシリアルインタフェースを経由して外部装置(ホスト)にアラームを通知する機能(特許文献4参照)が知られている。しかし、カメラリンクインタフェースの場合は光部品を搭載することが想定されていなかったため、光部品の状態を含む内部の状態を外部装置に通知する機能をどのように搭載するかが問題であった。
【0011】
そこで本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、光信号の受信側で送信側の光部品の異常を判定することを可能とするデータ伝送装置、データ伝送方法およびデータ伝送装置制御プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様であるデータ伝送装置は、送信部と、受信部と、前記送信部と前記受信部を接続し光信号を伝送する光伝送路と、前記送信部と前記受信部を接続し電気信号を伝送する電気伝送路と、を備えるデータ伝送装置であって、前記送信部は、外部から入力された電気信号を光信号に変換して前記光伝送路へ送出する光源部と、前記光源部が送出する光信号の強度に影響を与える物理量の情報を前記電気伝送路へ送出する送信側制御部と、を備え、前記受信部は、前記光伝送路を伝送された光信号を受光して電気信号に変換する受光部と、前記電気伝送路を伝送された前記物理量の情報を受信し、該受信した物理量の情報に基づいて前記光源部の異常を判定する受信側制御部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様であるデータ伝送方法は、上記に記載のデータ伝送装置が実行するデータ伝送方法であって、前記光源部が送出する光信号の強度に影響を与える物理量の情報を前記電気伝送路へ送出する送信側制御手順と、前記電気伝送路を伝送された前記物理量の情報を受信し、該受信した物理量の情報に基づいて前記光源部の異常を判定する受信側制御手順と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様であるデータ伝送装置制御プログラムは、送信部と、受信部と、前記送信部と前記受信部を接続し電気信号を伝送する電気伝送路と、を備えるデータ伝送装置であって、前記送信部は外部から入力された電気信号を光信号に変換して前記光伝送路へ送出する光源部と、前記光源部が送出する光信号の強度に影響を与える物理量の情報を前記電気伝送路へ送出する送信側制御部と、を備えるデータ伝送装置の前記受信部が備える受信側制御部のコンピュータに、前記電気伝送路を伝送された前記物理量の情報を受信し、該受信した物理量の情報に基づいて前記光源部の異常を判定するステップを実行させるためのデータ伝送装置制御プログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光信号の受信側で送信側の光部品の異常を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるデータ伝送装置の機能ブロック図である。
【図2】映像信号フォーマットとクロック信号のタイミングを説明するためのタイミングチャートである。
【図3】カメラ側MCU(送信側制御部)の機能ブロック図である。
【図4】VCSELにおいて入力電流信号と光出力信号の関係を説明するための図である。
【図5】VCSELのバイアス電流による光出力パワーの変化を示した図である。
【図6】処理装置側MCU(受信側制御部)の機能ブロック図である。
【図7】処理装置側MCU(受信側制御部)のメモリに記憶されているルックアップテーブルの1例を示した図である。
【図8】LVDSシリアライザ(テスト信号生成部)とLVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)との間の同期の確立手順を説明するための図である。
【図9】データ伝送装置の入出力端子のピン配置の1例を説明するためのテーブルである。
【図10】カメラ側MCU(送信側制御部)の処理の流れを示したフローチャートである。
【図11】処理装置側MCU(受信側制御部)の処理の流れを示したフローチャートである。
【図12】第1の実施形態における割込み時の処理装置側MCU(受信側制御部)の処理の流れを示したフローチャートである。
【図13】本発明の第2の実施形態におけるデータ伝送装置の機能ブロック図である。
【図14】従来のカメラリンクインタフェースの内部配線図の1例(カメラリンク規格の1種であるBase Configuration)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態におけるデータ伝送装置の機能ブロック図である。データ伝送装置1は、カメラ側コネクタケース部(送信部)100と、複合ケーブル200と、処理装置側コネクタケース部(受信部)300とを備える。また、光送受信部220は、レーザ駆動部(光源駆動部)140と、レーザ部(光源部)160と、光ファイバ(光伝送路)204と、受光部320と、電流電圧変換部330とを備える。また、制御部230は、カメラ側MCU(送信側制御部)130と、差動線(電気伝送路)205と、処理装置側MCU(受信側制御部)350とを備える。
【0018】
カメラ側コネクタケース部(送信部)100は、DC/DC変換器110と、LVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120と、クロック生成部121と、カメラ側MCU(送信側制御部)130と、温度センサ138と、レーザ駆動部(光源駆動部)140と、レーザ部(光源部)160と、クロック生成部170と、デシリアライザ171と、レベル変換部180とを備える。ここで、カメラ側MCU(送信側制御部)130のMCUとは、Micro Control Unit(マイクロコントローラー)の略である。カメラ側コネクタケース部(送信部)100の各部は、例えば、SDR−26コネクタケースに収容されている。
【0019】
DC/DC変換器110は、不図示の処理装置からシールド線201を経由して供給された直流電圧(+12V)を所定の電圧に変換し、変換後の電圧を正の電源電圧VCCとする。
LVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120は、4つの入力映像信号Xi+/−(iは0から3)および映像信号用クロック信号XCLK+/−を時分割にて多重化し、シリアル信号に変換する。
【0020】
図2は、映像信号フォーマットとクロック信号のタイミングを説明するためのタイミングチャートである。同図において、クロック信号XCLK+/−の電圧変化と、入力映像信号X0+/−と、入力映像信号X1+/−と、入力映像信号X2+/−と、入力映像信号X3+/−とが示されている。
【0021】
入力映像信号Xi+/−(iは0から3までの整数)の1つのサイクルの信号は、Xi[6]とXi[5]とXi[4]とXi[3]とXi[2]とXi[1]とXi[0]とからなる。クロック信号XCLK+/−が1周期変化する間に、各入力映像信号Xi[j]+/−(jは0から6までの整数)が、1つずつ入力される。
【0022】
例えば、クロック信号XCLK+/−の周波数が85MHzの映像信号がLVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120に入力された場合、入力映像信号Xi+/−(iは0から3)の各データ速度は7倍の595Mbpsとなる。LVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120は、前記入力映像信号を多重化し、その上で8B/10Bエンコード方式を用いてデータを変換する。LVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120は、変換後のデータをLVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120の出力端子TX+/−から、レーザ駆動部(光源駆動部)140に出力する。
【0023】
ここで、8B/10Bエンコード方式とは、所定の符号化により8ビットの信号を10ビットの信号に変換し、マーク率(符号0と符号1の比率)を50%にする方式である。その結果、光伝送路のラインレートは実効レートの10/8=1.25[倍]となる。よって、LVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120の出力端子TX+/−から出力される変換後のデータの速度は595[Mbps]×4×1.25=2975[Mbps]となる。
【0024】
続いて、カメラ側MCU(送信側制御部)130について説明する。図3は、カメラ側MCU(送信側制御部)の機能ブロック図である。カメラ側MCU(送信側制御部)130は、AD変換部131と、送信側制御信号送受信部(マスター)132と、DA変換部134と、メモリ135と、タイマー136と、演算部137とを備える。
【0025】
カメラ側MCU(送信側制御部)の役割は、(1)レーザ部(光源部)160の周囲温度を示す情報である温度モニタAD値(アナログ・デジタル変換された値)、レーザ部(光源部)160に出力するバイアス電流の大きさをモニタした情報であるバイアス電流AD値を取得すること、(2)温度モニタAD値、バイアス電流AD値を送信側制御信号送受信部132から差動線(電気伝送路)205(以下、インナーリンクと称する)を経由して後述する処理装置側MCU(受信側制御部)350に送信すること、(3)レーザ部(光源部)160の光信号の強度を制御するためのバイアス電流の設定値と変調電流の設定値とをインナーリンクを経由して後述する処理装置側MCU(受信側制御部)350から取得すること、(4)バイアス電流の設定値と変調電流の設定値とをDA変換部134にてアナログ電圧に変換し、後述するレーザ駆動部(光源駆動部)140に出力し、バイアス電流、変調電流を設定すること、(5)処理装置側コネクタケース部(受信部)300内の後述するLVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340の受信クロックの再生が完了したことを通知するLOCK情報をインナーリンクを経由して後述する処理装置側MCU(受信側制御部)350から取得すること、(6)LOCK情報をLVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120に出力すること、である。
【0026】
送信側制御信号送受信部(マスター)132は、インナーリンクを経由して処理装置側コネクタケース(受信部)300内の処理装置側MCU(受信側制御部)350にある後述する受信側制御信号送受信部(スレーブ)352との間で通信を行う。その通信において、カメラ側MCU(送信側制御部)130がマスター(要求を出す方)、処理装置側MCU(受信側制御部)350がスレーブ(要求を受けて処理をする方)の関係となる。なお、本実施形態では2線シリアルインタフェース(I2C:Inter−Integrated Circuit)を使用しているが、RS−422または独自規格の通信方式を使用しても良い。
【0027】
カメラの小型化に伴い、カメラ側コネクタケース部100は処理装置側コネクタケース部300と比べてコネクタのサイズが小さいため、電子部品を配置できる領域が処理装置側に比べて小さくなる。このため、カメラ側MCU(送信側制御部)を出来るだけ小さくする必要がある。
本実施形態では、カメラ側MCU(送信側制御部)130を出来るだけ小さくするため、カメラ側MCU(送信側制御部)130は、割込み処理や、数式に従った数値の算出およびその計算結果の判定などは行わない。これにより、例えば、プログラム領域が2Kbyte以下の小型MCU(3mm×3mmパッケージ)で処理することが出来る。
【0028】
一方、処理装置側MCU(受信側制御部)350は、インナーリンク間の通信においてスレーブとなるため、マスターであるカメラ側MCU(送信側制御部)130からの要求に対する処理は割込みにて行う。処理装置側MCU(受信側制御部)350は、割込み処理や、数式に従った数値の算出およびその計算結果の判定などが必要となるため、プログラム領域が4〜8Kbyte程度のプログラム領域を持ったMCU(5[mm]×5[mm]パッケージ)である必要がある。処理装置側コネクタケース部(受信部)300はカメラ側コネクタケース部(送信部)100に比べて実装スペースに余裕があるため、処理装置側MCU(受信側制御部)350はカメラ側MCU(送信側制御部)130と比べて負荷の大きい処理を行うことが出来る。
【0029】
AD変換部131は、温度センサ138から入力されたレーザ部(光源部)160の周囲温度を示すアナログの電圧を、レーザ周囲の温度を示す温度情報である温度モニタAD値に変換する。AD変換部131は、変換後の温度モニタAD値を演算部137を経由して後述のメモリ135内のRAMエリア(不図示)に格納する。
【0030】
また、AD変換部131は、レーザ駆動部(光源駆動部)140から入力されたレーザ部(光源部)160の現在のバイアス電流の値を表す電圧VBIASMONをAD変換してバイアス電流AD値を生成し、バイアス電流AD値を演算部137を経由して後述のメモリ135内のRAMエリア(不図示)に格納する。
【0031】
送信側制御信号送受信部(マスター)132は、処理装置側コネクタケース部(受信部)300内の処理装置側MCU(受信側制御部)350にデータを送信するために、もしくは処理装置側MCU(受信側制御部)350からのデータを受信するために、基準となるクロック信号CLKを出力し、当該クロック信号CLKに同期してデータ信号DATAを送信もしくは受信する。また、送信側制御信号送受信部(マスター)132は処理装置側MCU(受信側制御部)350からLVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340のクロックの再生が完了したことを通知するLOCK信号を取得し、そのLOCK信号を演算部137を経由してLVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120へ出力する。
【0032】
また、送信側制御信号送受信部(マスター)132は、温度モニタAD値と、バイアス電流AD値とをインナーリンクを経由して処理装置側MCU(受信側制御部)300に送信する。また、送信側制御信号送受信部(マスター)132は、処理装置側MCU(受信側制御部)300から受信したバイアス電流の設定値の情報と、変調電流の設定値の情報とを演算部137を経由して後述のメモリ135内のRAMエリア(不図示)に格納する。
【0033】
DA変換部134は、演算部137を経由して後述のメモリ135内のRAMエリア(不図示)から取得した変調電流の設定値の情報をデジタル・アナログ(DA)変換し、変換後の電流DAC0を後述するレーザ駆動部(光源駆動部)140へ出力する。
また、DA変換部134は、演算部137を経由して後述のメモリ135内のRAMエリア(不図示)から取得したバイアス電流の設定値の情報をDA変換し、変換後の電流DAC1を後述するレーザ駆動部(光源駆動部)140へ出力する。
【0034】
メモリ135は、RAM(Read Access Memory)エリア(不図示)とFlash ROM(Read Only Memory)エリア(不図示)とに分かれている。RAMエリア(不図示)には一次保管するデータ、ROMエリア(不図示)には、演算部137が処理を行うための所定のプログラムが記憶されている。
タイマー136は、所定の間隔(例えば、10[ms])毎に要求フラグを発生させる。演算部137はフラグの状態を常に監視しており、要求フラグをトリガにして前記データの授受やAD/DA変換、通信等の処理を開始する。
【0035】
演算部137は、電源が投入されるとメモリ135内のROMエリア(不図示)からプログラムの読出しを開始し、プログラムの手順に従って演算部137の入出力信号端子を初期化し、AD変換部131、送信側制御信号送受信部(マスター)132、DA変換部134、タイマー136を初期化した後、タイマー136を起動する。
【0036】
演算部137は、タイマー136からの要求フラグを常に監視し、要求フラグの発生をトリガにして、タイマー136のタイマー初期値をリセットする。また、演算部137は、AD変換部131の動作を開始させ、AD変換部131が出力する温度モニタAD値とバイアス電流AD値とをメモリ135のRAMエリア(不図示)に格納する。また、演算部137は送信側制御信号送受信部(マスター)132を制御して、メモリ135のRAMエリア(不図示)に格納した温度モニタAD値とバイアス電流AD値とを処理装置側MCU(受信側制御部)350に出力する。
【0037】
また、演算部137は、送信側制御信号送受信部(マスター)132を制御して、処理装置側MCU(受信側制御部)350から出力されたバイアス電流の設定情報と変調電流の設定情報とを受け取る。受け取ったデータはメモリ135のRAMエリア(不図示)に格納する。
また、演算部137は、DA変換部134を制御して、メモリ135のRAMエリア(不図示)に格納されたバイアス電流の設定情報と変調電流の設定情報とをアナログ電流値として出力する。
【0038】
また、演算部137は、送信側制御信号送受信部(マスター)132を制御して、処理装置側MCU(受信側制御部)350から出力された処理装置側コネクタケース部(受信部)300内の後述するLVDSデシリアライザ(クロック信号生成部)340のLOCK情報を、LVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120へ出力する。
【0039】
続いて、レーザ駆動部(光源駆動部)140について説明する。レーザ駆動部(光源駆動部)140は、カメラ側MCU(送信側制御部)130から入力されたバイアス電流の設定値を指示するアナログ電圧と変調電流の設定値を指示するアナログ電圧とを用いて、LVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120から入力されたデータをバイアス電流IBIASと変調電流IMODとに変換する。レーザ駆動部(光源駆動部)140は、レーザ部(光源部)160にバイアス電流IBIASと変調電流IMODとの和である電流信号を出力する。
【0040】
レーザ駆動部(光源駆動部)140は、カメラ側MCU(送信側制御部)130から供給されたバイアス電流の設定値を指示するアナログ電圧を用いて、レーザ部(光源部)160の現在のバイアス電流の値を表す電圧VBIASMONを生成し、生成した現在のバイアス電流の値を表す電圧VBIASMONをカメラ側MCU(送信側制御部)130へ出力する。
【0041】
続いて、レーザ部(光源部)160は、垂直共振器面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting LASER、以下、VCSELと称する)161を備える。VCSEL161は、レーザ駆動部(光源駆動部)140から出力されたバイアス電流IBIASと変調電流IBIASとの和である電流信号が入力されることにより、発光パワーの強度によって変調された光信号を光ファイバ(光伝送路)204へ出力する。
【0042】
図4は、VCSELにおいて入力電流信号と光出力信号の関係を説明するための図である。同図において、横軸は、VCSELにかかる順方向電流Iであり、縦軸は、レーザ光の発光パワーPである。入力電流信号が、バイアス電流を中心として、変調電流の幅で、矩形波で変動する。その場合、レーザ光の発光パワーは、バイアス電流に応じた発光パワーを中心として変動する。
【0043】
VCSEL161に劣化が生じると、閾値電流が大きくなり、単位順方向電流Iあたりに変化する発光パワーPの量(同図における傾き)が小さくなる。その場合、同一の入力電流が供給されても、VCSEL161のレーザ光の発光パワーPの中点レベル(バイアス電流入力時の発光パワー)は、小さくなる。
【0044】
前述したVCSEL161劣化時の現象は、VCSEL161の温度が上昇したときと同じ傾向である。これは、VCSEL161の結晶欠陥によって発光効率が落ち、その分のエネルギーが熱に変化されるためである。つまり、発光効率の低下によって発熱量が上昇し、その結果、VCSEL161の結晶欠陥が増殖する。結晶欠陥が増殖すれば、更に発光効率が低下する。これら一連の流れを繰り返すことにより、最後には発光が停止する。
【0045】
なお、本実施形態におけるレーザ部(光源部)160の異常は、VCSEL161の劣化だけでなく、VCSEL161と光ファイバ(光伝送路)204との光結合部(レンズなど)の位置ずれなどが発生した場合や、レーザ部(光源部)160の周囲温度がレーザ部(光源部)160の正常に動作できる温度範囲を外れた場合なども含むこととする。そしてこれらの異常により、同一の入力電流が供給されても、VCSEL161の劣化時とは逆に発光パワーが大きくなることがある。
【0046】
図1に戻って、レーザ駆動部(光源駆動部)140は、光出力信号の中点レベル(バイアス電流入力時の発光パワー)および消光比が一定になるように入力電流信号を制御する。
【0047】
ここで、VCSELから出力される光信号の消光比E(dB)は、以下の式(1)で表される。
E=10×log(PHigh/PLow) …(1)
ここで、PHighは、ある入力電流信号が供給された場合の最大発光パワーであり、PLowは、その入力電流信号が供給された場合の最小発光パワーである。
【0048】
図5は、VCSELのバイアス電流による光出力パワーの変化を示した図である。同図において、横軸はバイアス電流[mA]であり、縦軸は、波長850[nm]のVCSEL161の光出力パワー[mW]である。同図において、バイアス電流に対して、光出力パワーは線形に変化している。また、VCSELの温度が上昇すると、温度の上昇に伴い、レーザ光を出力する閾値電流が上昇する。また、VCSELの温度上昇に伴い、光出力パワーが減少する。
【0049】
続いて、図1に戻って、クロック生成部170は、クロック信号をデシリアライザ171へ出力する。デシリアライザ171は、クロック信号に同期して、処理装置側コネクタケース部(受信部)300の後述するシリアライザ383から差動線208を介して出力された時分割多重された制御信号であるLVDS信号(SDI+/−)を、4つのTTL(Transistor Transistor Logic)信号(DOUT0、DOUT1、DOUT2、DOUT3)に変換する。ここで、制御信号は、例えば、カメラのシャッタータイミングを制御するトリガ信号である。
【0050】
デシリアライザ171は、変換したTTL信号DOUT0をレベル変換部180の後述するバッファ181へ出力する。同様に、シリアライザ171は、変換したTTL信号DOUT1をレベル変換部180の後述するバッファ182へ出力する。同様に、シリアライザ171は、変換したTTL信号DOUT2をレベル変換部180の後述するバッファ183へ出力する。同様に、シリアライザ171は、変換したTTL信号DOUT3をレベル変換部180の後述するバッファ184へ出力する。
【0051】
レベル変換部180は、バッファ181と、バッファ182と、バッファ183と、バッファ184とを備える。
バッファ181は、デシリアライザ171から入力されたTTL信号DOUT0を差動信号であるLVDS信号に変換して、そのLVDS信号を出力端子CC1+/−へ出力する。同様に、バッファ182は、デシリアライザ171から入力されたTTL信号DOUT0を差動信号であるLVDS信号に変換して、そのLVDS信号を出力端子CC2+/−へ出力する。
【0052】
同様に、バッファ183は、デシリアライザ171から入力されたTTL信号DOUT0を差動信号であるLVDS信号に変換して、そのLVDS信号を出力端子CC3+/−へ出力する。同様に、バッファ184は、デシリアライザ171から入力されたTTL信号DOUT3を差動信号であるLVDS信号に変換して、そのLVDS信号を出力端子CC4+/−へ出力する。
【0053】
続いて、複合ケーブル200について説明する。複合ケーブル200は、光ケーブルとメタルケーブルとを含むケーブルである。複合ケーブル200は、光ケーブル204と、メタル線であるシールド線201と、シールド線202と、差動線(電気伝送路)205と、差動線206と、差動線207と、差動線208とを備える。
シールド線201は処理装置(不図示)からカメラ(不図示)およびカメラ側コネクタケース部100内の電子部品に電源を供給するための電源線である。また、シールド線202はカメラ(不図示)およびカメラ側コネクタケース部100内の電子部品のシグナルグランド(GND)線である。
【0054】
光ファイバ(光伝送路)204は、一例として、コア径50[μm]、クラッド外径125[μm]のマルチモード光ファイバ(MMF)である。このMMFのコア径は、一般的なシングルモードファイバ(SMF)のコア径(例えば、10[μm])よりも太いので、VCSEL161から発光された光信号をコアに結合し易いという利点がある。
【0055】
差動線(電気伝送路)205は、カメラ側MCU(送信側制御部)130から出力された情報を処理装置側MCU(受信側制御部)350へ伝送し、処理装置側MCU(受信側制御部)350から出力された情報をカメラ側MCU(送信側制御部)130に伝送する。
差動線206は、シリアル信号SerTC+/−を処理装置側コネクタケース部(受信部)300からカメラ側コネクタケース部(送信部)100へ伝送する。
【0056】
差動線207は、シリアル信号SerTFG+/−をカメラ側コネクタケース部(送信部)100から処理装置側コネクタケース部(受信部)300へ伝送する。
差動線208は、処理装置側コネクタケース部(受信部)300の後述するシリアライザ383から出力されたLVDS信号を、カメラ側コネクタケース部(送信部)100のデシリアライザ171へ伝送する。
【0057】
続いて、処理装置側コネクタケース部(受信部)300について説明する。処理装置側コネクタケース部(受信部)300は、DC/DC変換器310と、受光部320と、電流電圧変換部330と、LVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340と、クロック生成部341と、処理装置側MCU(受信側制御部)350と、外部表示LED360と、レベル変換部370と、クロック生成部381と、DFF(Delay Flip−Flop)382と、シリアライザ383とを備える。処理装置側コネクタケース部(受信部)300の各部は、例えば、MDR−26コネクタケースに収容されている。
【0058】
DC/DC変換器310は、処理装置(不図示)から供給された直流電圧(+12V)を所定の電圧に変換し、変換後の電圧を正の電源電圧VCCとする。
受光部320は、一例として、GaAsのPIN型フォトダイオード(PIN−PD)である。受光部320は、レーザ部(光源部)160から光ファイバ(光伝送路)204を介して入力されたレーザ光を受け取り、その光を変換効率γでフォトダイオード電流IPDに変換する。ここで、受光部320に入力されるレーザ光のパワーをPINとすると、変換後のフォトダイオード電流IPDは以下の式(2)で表される。
PD=PIN/γ …(2)
【0059】
続いて、電流電圧変換部330について説明する。電流電圧変換部330は、受光部320から供給されたフォトダイオード電流IPDが大きくなるほど小さくなる出力電圧VTIAOUTを生成し、さらにその出力電圧VTIAOUTを差動電気信号DataOUT+/−に変換する。電流電圧変換部330は、変換した差動電気信号DataOUT+/−をLVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340に出力する。
また、電流電圧変換部330は、受光部320から供給されたフォトダイオード電流IPDの平均値に比例したモニタ電圧VRXPWRMONを生成し、そのモニタ電圧VRXPWRMONを処理装置側MCU(受信側制御部)350へ出力する。
【0060】
続いて、クロック生成部341はクロック信号を生成し、LVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340へ出力する。
LVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340は、入力されたクロック信号に同期して、電流電圧変換部330から入力された差動電気信号(DataOUT+/−)を4つのLVDS信号(X0+/−、X1+/−、X2+/−、X3+/−)に変換する。LVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340は、変換した4つのLVDS信号と、クロック信号(XCLK+/−)とを不図示の処理装置へ出力する。
【0061】
続いて、処理装置側MCU(受信側制御部)350について説明する。処理装置側MCU(受信側制御部)350の役割は、(1)モニタ電圧VRXPWRMONをデジタル信号にした受信パワーAD値を取得すること、(2)受信パワーAD値と予め後述のメモリ353内のROMエリア(不図示)に保存しておいた初期状態の受信パワーAD値との比を計算すること、(3)(2)で計算した比が0.6倍以下もしくは1.6倍以上の時は後述の外部表示LED360を点灯させること、(4)LVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340からLOCK情報を取得すること、(5)カメラ側MCU(送信側制御部)130からインナーリンクを経由して後述のメモリ353内のRAMエリア(不図示)に格納されたVCSEL161の周囲温度を表すデジタル信号である温度モニタAD値から、バイアス電流の設定値および変調電流の設定値を計算することである。
【0062】
図6は、処理装置側MCU(受信側制御部)の機能ブロック図である。処理装置側MCU(受信側制御部)350は、AD変換部351と、受信側制御信号送受信部352と、メモリ353と、タイマー354と、演算部355とを備える。
AD変換部351は、電流電圧変換部330から入力されたモニタ電圧VRXPWRMONをデジタル信号である受信パワーAD値に変換し、変換した受信パワーAD値を演算部355を経由してメモリ353内のRAM領域(不図示)に格納する。
【0063】
受信側制御信号送受信部(スレーブ)352は、カメラ側コネクタケース部(送信部)100内のカメラ側MCU(送信側制御部)130から出力されたクロック信号CLKの立ち上がりエッジを基準にして、入力したデータ信号DATAの論理を識別する。
また、受信側制御信号送受信部(スレーブ)352はカメラ側コネクタケース部(送信部)100内のカメラ側MCU(送信側制御部)130から受信した温度モニタAD値を演算部355を経由してメモリ353内のRAMエリア(不図示)に保存する。
また、受信側制御信号送受信部(スレーブ)352はLVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340から入力されたLOCK信号と、バイアス電流の設定値の情報と、変調電流の設定値の情報とをカメラ側コネクタケース部(送信部)100内のカメラ側MCU(送信側制御部)130からの要求に従って出力する。
【0064】
メモリ353は、カメラ側MCU内のメモリ135と同様にRAMエリア(不図示)とFlash ROMエリア(不図示)とに分かれている。RAMエリア(不図示)には一次保管するデータ、ROMエリア(不図示)には、演算部355が処理を行うための所定のプログラムが記憶されている。また、メモリ353のROMエリア(不図示)には、データ伝送装置1の出荷前に予め測定された初期状態の受信パワーAD値(以下、初期受信パワーAD値と称する)が記憶されている。演算部355は前記プログラムに従ってメモリ353、タイマー354、受信側制御信号送受信部(スレーブ)352、AD変換部351に対して、データの授受や命令、状態の監視等を行う。
また、メモリ353のROMエリア(不図示)には、処理装置側MCU(受信側制御部)350が温度モニタAD値を用いてバイアス電流および変調電流を温度によらず平均発光パワーおよび消光比を一定に保つよう補正するため、VCSEL161の周囲温度を示す温度情報とバイアス電流および変調電流の設定値の情報とが関連付けられたルックアップテーブル(Look Up Table)が記憶されている。
【0065】
図7は、処理装置側MCU(受信側制御部)のメモリに記憶されているルックアップテーブルの1例を示した図である。テーブルT1において、レーザ部(光源部)160の周囲温度[℃]とバイアス電流および変調電流の設定値[mA]とが1対1に関係付けられている。バイアス電流および変調電流の設定値は、レーザ部(光源部)160の平均発光パワーおよび消光比が一定になるように、テーブルT1で設定されている。例えば、メモリ353において、テーブルT1の各バイアス電流および各変調電流の設定値の情報は、1byteで記憶されている。
【0066】
図6に戻って、タイマー354は、一定間隔(例えば、10ms)毎に要求フラグを発生する。演算部355はフラグの状態を常に監視しており、要求フラグをトリガにして前記データ授受やAD変換、演算等の処理を開始する。
【0067】
演算部355は、電源が投入されるとメモリ353内のROMエリア(不図示)からプログラムの読出しを開始し、プログラムの手順に従って演算部355の入出力信号端子を初期化し、AD変換部351、受信側制御信号送受信部(スレーブ)352、タイマー354を初期化した後、タイマー354を起動する。
また、演算部355はタイマー354からの要求フラグを常に監視し、要求フラグの発生をトリガにして、タイマー354のタイマー初期値をリセットする。
また、演算部355は、AD変換部351の動作を開始し、AD変換部351が出力する受信パワーモニタAD値をメモリ353のRAMエリア(不図示)に格納する。
また、演算部355は、メモリ353内のROMエリア(不図示)に記憶されている初期受信パワーAD値を読出し、受信パワーAD値を初期受信パワーAD値で割り算する。
【0068】
割り算後の値(受信パワーAD値/初期受信パワーAD値)が0.6以下または1.6以上である場合、演算部355は、レーザ部(光源部)160が異常であると判定し、外部表示LED360に電流を供給することにより、外部表示LED360を点灯させる。一方、割り算後の値(受信パワーAD値/初期受信パワーAD値)が0.6を超え、1.6未満である場合、レーザ部(光源部)160が正常であると判定し、演算部355は、外部表示LED360への電流を供給しないことにより、外部表示LED360を点灯させない。
【0069】
また、演算部355は、カメラ側コネクタケース部(送信部)100内のカメラ側MCU(送信側制御部)130からの要求に応じて以下の処理をおこなう。
(1)カメラ側コネクタケース部(送信部)100内のカメラ側MCU(送信側制御部)130から送信された温度モニタAD値をメモリ353内のRAMエリア(不図示)に格納し、温度モニタAD値に対応するバイアス電流の設定値と変調電流の設定値の情報とをメモリ353内のROMエリア(不図示)のテーブルT1から読み出し、メモリ353内のRAMエリア(不図示)に格納する。
(2)受信側制御信号送受信部(スレーブ)352を制御して、メモリ353内のRAMエリア(不図示)に格納されたバイアス電流の設定値と変調電流の設定値とをカメラ側コネクタケース部(送信部)100内のカメラ側MCU(送信側制御部)130に返送する。
(3)LVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340から出力されたLOCK信号を取得し、受信側制御信号送受信部(スレーブ)352を制御して、LOCK信号をカメラ側コネクタケース部(送信部)100内のカメラ側MCU(送信側制御部)130に返送する。
【0070】
外部表示LED360は、レーザ部(光源部)160が異常である場合、演算部355から供給された電流により点灯する。なお、外部表示LED360は、演算部355から供給された信号に基づいて、点灯状態を変更してもよい。例えば、正常時に点灯、異常時に点滅としたり、2色発光LEDを用いて正常時に緑色点灯、異常時に赤色点灯としたりしてもよい。
【0071】
本実施形態で扱われる映像信号のように、カメラ側コネクタケース部100に入力される電気信号の伝送レートが変動する信号の場合、データ伝送装置1は、変動する伝送レートに応じて、所定の時間間隔でLVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120のクロック信号のレートと、LVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340のクロック信号のレートとを合わせる必要がある。そのため、データ伝送装置1は、LVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120と、LVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340との間で、後述するLOCK信号のやり取りを行う。
【0072】
そこで、LVDSシリアライザ(テスト信号生成部)とLVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)との間の同期の確立手順を説明する。図8は、LVDSシリアライザ(テスト信号生成部)とLVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)との間の同期の確立手順を説明するための図である。図8(a)は、LVDSシリアライザ(テスト信号生成部)とLVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)との間のデータのやり取りを説明するために、図1に示されたデータ伝送装置1を簡略化したものである。同図において、LVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120と、LVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340と、クロック生成部121と、クロック生成部341とが示されている。
【0073】
図8(a)において、クロック生成部121はクロック信号をLVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120に出力する。LVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120は入力されたクロック信号REFCLKから送信クロックを生成し、送信クロックに同期したカメラ(不図示)から入力されたパラレルデータをシリアル化したデータDOUT+/−をLVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340に向けて出力する。LVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340はクロック生成部341から入力されたクロック信号REFCLKと受信データから受信クロックを再生し、受信クロックに同期して、シリアルデータDIN+/−をパラレルデータに変換し、その変換後のパラレルデータを処理装置(不図示)に出力する。
【0074】
LVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340はLVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120に向けて、後述する受信クロックが再生したことを通知するLOCK信号(例えば、LOCK時High、UnLOCK時Low)を出力する。
LVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120は、LVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340からのLOCK信号を受信した後に、カメラ(不図示)から入力された85[MHz]のデータ信号Xi+/−(iは0から3までの整数)をシリアル変換した信号をLVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340へ出力する。
【0075】
LVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120とLVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340との間で、シリアル伝送が可能となるためにはLVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340が受信したデータから受信クロックを再生する必要がある。1例としてLVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120から送信されるテストパターンを用いて受信クロックを再生させる方法について説明する。
【0076】
図8(b)は、LVDSシリアライザ(テスト信号生成部)とLVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)の同期の確立のタイミングチャートである。まず、電源投入後、LVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120はリファレンスクロックを用いて送信クロックを生成する(T101)。送信クロックの生成が完了した後、LVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120はLVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340に向けてテストパターン(例として固定周期の01の連続信号)を送信する(T102)。
【0077】
LVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340は受信した連続信号を用いてクロックを再生する(T103)。クロックの再生が完了した後、LVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340はLVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120に向けてクロックの再生が完了したこと(LOCK信号、例えばLOCK時High、UnLOCK時Low)を通知する(T104)。LVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120はLVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340からのLOCK信号を受けて本来のデータを送信する(T105)。以上で、本タイミングチャートの処理を終了する。
【0078】
図9は、データ伝送装置の入出力端子のピン配置の1例を説明するためのテーブルである。同図において、カメラ側コネクタケース部(送信部)100の端子番号と、処理装置側コネクタケース部(受信部)300の端子番号と、カメラリンク信号と、カメラ側(SDR−26)の仕様と、処理装置側(MDR−26)の仕様と、が関連付けられている。
【0079】
カメラ側コネクタケース部(送信部)100の端子は、図14で示された従来のカメラリンクインタフェースのカメラ側の端子と同じ構成である。カメラ側コネクタケース部(送信部)100は、4対の差動映像信号入力端子(端子番号2、15、3、16、4、17、6、19)、1対の差動クロック信号入力端子(端子番号5、18)、1対の差動シリアル信号出力端子(端子番号7、20)、1対の差動シリアル信号入力端子(端子番号8、21)と、4対の制御信号出力端子(端子番号9、22、10、23、11、24、12、25)と、12[V]の電源をカメラへ供給する2つの出力端子(端子番号13、26)と、2つのGND端子(端子番号1、14)とを有する。
【0080】
同様に、処理装置側コネクタケース部(受信部)300は、4対の差動映像信号出力端子(端子番号25、12、24、11、23、10、21、8)、1対の差動クロック信号出力端子(端子番号22、9)、1対の差動シリアル信号入力端子(端子番号20、7)、1対の差動シリアル信号出力端子(端子番号19、6)と、4対の制御信号出力端子(端子番号18、5、17、4、16、3、15、2)と、12[V]の電源を処理装置から供給される2つの入力端子(端子番号13、26)と、2つのGND端子(端子番号1、14)とを有する。
【0081】
データ伝送装置1は、各映像信号Xi+/−(iは0から3までの整数)を、カメラ側コネクタケース部100の映像信号入力端子(LVDSインタフェース)のレーンiから処理装置側コネクタケース部300の映像信号出力端子(LVDS インタフェース)のレーンiへ伝送する。データ伝送装置1は、クロック信号XCLK+/−を、カメラ側コネクタケース部100のクロック入力端子から処理装置側コネクタケース部300のクロック出力端子へ伝送する。
【0082】
データ伝送装置1は、シリアル信号SerTC+/−を、処理装置側コネクタケース部300のシリアル信号入力端子からカメラ側コネクタケース部100のシリアル信号出力端子へ伝送する。一方、データ伝送装置1は、シリアル信号SerTFG+/−を、カメラ側コネクタケース部100のシリアル信号入力端子から処理装置側コネクタケース部300のシリアル信号出力端子へ伝送する。
【0083】
データ伝送装置1は、各制御信号CCk+/−(kは1から4までの整数)を処理装置側コネクタケース部300の制御信号入力端子からカメラ側コネクタケース部100の制御信号出力端子へ伝送する。データ伝送装置1は、処理装置から供給された12[V]の電源を、処理装置側コネクタケース部300の入力端子(端子番号13、26)から、それぞれカメラ側コネクタケース部100の出力端子(端子番号13、26)へ供給する。
また、カメラ側コネクタケース部100のGND端子(端子番号1、14)は、処理装置側コネクタケース部300のGND端子(端子番号1、14)と接続されている。
【0084】
図10は、カメラ側MCU(送信側制御部)の処理の流れを示したフローチャートである。まず、カメラ側MCU(送信側制御部)130は、入出力信号を初期化する(ステップS101)。次に、カメラ側MCU(送信側制御部)130は、周辺機能(送信側制御信号送受信部(マスター)132、AD変換部131、DA変換部134、タイマー136)を初期化する(ステップS102)。次に、カメラ側MCU(送信側制御部)130は、カメラ側MCU(送信側制御部)130内部のタイマー136を起動する(ステップS103)。
【0085】
カメラ側MCU(受信側制御部)は、以下に示すステップS104からステップS111までの処理を繰り返す。まず、カメラ側MCU(送信側制御部)130は、タイマー136が所定の時刻(例えば、10[ms])を過ぎた(タイマーオーバフロー)か否か判定する(ステップS104)。タイマー136がオーバフローしていていない場合(ステップS104 NO)、カメラ側MCU(送信側制御部)130は更に時刻が経過するのを待つ。一方、タイマー136がオーバフローしていた場合(ステップS104 YES)、カメラ側MCU(送信側制御部)130は、タイマー136を初期値にセットする(ステップS105)。
【0086】
次に、カメラ側MCU(送信側制御部)130は、現在のレーザ部(光源部)160の温度モニタAD値とバイアス電流AD値とを取得する(ステップS106)。次に、カメラ側MCU(送信側制御部)130は、温度モニタAD値およびバイアス電流AD値のライト要求をインナーリンクを経由して処理装置側MCU(受信側制御部)350へ送信する(ステップS107)。
【0087】
次に、カメラ側MCU(送信側制御部)130は、バイアス電流の設定値の情報と、変調電流の設定値の情報のリード要求を処理装置側MCU(受信側制御部)350に送信し、処理装置側MCU(受信側制御部)350より返送される前記設定値の情報をメモリ135のRAMエリア(不図示)に保存する(ステップS108)。
次に、カメラ側MCU(送信側制御部)130は、前記メモリ135のRAMエリア(不図示)に保存された前記設定値の情報から、レーザ駆動部(光源駆動部)140が出力する目的のバイアス電流および変調電流に対応する電流DAC0および電流DAC1を出力する(ステップS109)。
【0088】
次に、カメラ側MCU(送信側制御部)130は、LOCK情報のリード要求を処理装置側MCU(受信側制御部)350に送信し、処理装置側MCU(受信側制御部)350より返送される前記LOCK情報を受信する(ステップS110)。次に、カメラ側MCU(送信側制御部)130は、受信したLOCK情報をLVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120に出力する(ステップS111)。これにより、LVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120は、本来送信すべきデータをレーザ駆動部(光源駆動部)140に出力し、処理装置側コネクタケース部(受信部)300にデータを送信させる。以上で、本フローチャートの処理を終了する。
【0089】
これにより、データ伝送装置1は、光信号の強度に影響を与える物理量の情報の送受信信号とLOCK信号とを、お互いに衝突させることなく効率的に送受信できる。
【0090】
図11は、処理装置側MCU(受信側制御部)の処理の流れを示したフローチャートである。処理装置側MCU(受信側制御部)350は、入出力信号を初期化する(ステップS201)。次に、処理装置側MCU(受信側制御部)350は周辺機能(受信部制御信号受信部(スレーブ)352、AD変換部351、タイマー354)を初期化する。(ステップS202)。次に処理装置側MCU(受信側制御部)350は、処理装置側MCU(受信側制御部)350のタイマー354を起動する(ステップS203)。
【0091】
処理装置側MCU(受信側制御部)は、以下に示すステップS204からステップS212までの処理を繰り返す。まず、処理装置側MCU(受信側制御部)350は、タイマー354が所定の時刻(10[ms])を過ぎた(タイマーオーバフロー)か否か判定する(ステップS204)。タイマーがオーバフローしていていない場合(ステップS204 NO)、処理装置側MCU(受信側制御部)350は更に時刻が経過するのを待つ。一方、タイマー354がオーバフローしていた場合(ステップS204 YES)、処理装置側MCU(受信側制御部)350は、タイマー354を初期値にセットする(ステップS205)。
【0092】
次に、処理装置側MCU(受信側制御部)350は、受信したレーザ光の受信パワーに基づく受信パワーAD値を取得する(ステップS206)。次に、処理装置側MCU(受信側制御部)350は、メモリ353に記憶された初期受信パワーAD値を読み出す(ステップS207)。次に、処理装置側MCU(受信側制御部)350は、受信パワーAD値/初期受信パワーAD値を計算する(ステップS208)。
【0093】
計算結果(受信パワーAD値/初期受信パワーAD値)が0.6以下または1.6以上である場合(ステップS209 YES)、処理装置側MCU(受信側制御部)350は、外部表示LED360に電流を供給し、点灯させる(ステップS210)。一方、計算結果(受信パワーAD値/初期受信AD値)が0.6を超えかつ1.6未満である場合(ステップS209 NO)、処理装置側MCU(受信側制御部)350は、外部表示LEDに電流を供給せず、外部表示LEDを点灯させない(ステップS211)。
【0094】
次に、処理装置側MCU(受信側制御部)350は、インナーリンクを経由してカメラ側MCU(送信側制御部)130から送信される信号によって開始する、後述する割込み処理によってメモリ353内のRAMエリア(不図示)に格納された温度モニタAD値を用いて、その温度モニタAD値と受信パワーAD値とに対応するバイアス電流と変調電流の設定値をメモリ353内のROMエリア(不図示)から読み出す(ステップS212)。以上で、本フローチャートの処理を終了する。
【0095】
図12は、第1の実施形態における割込み時の処理装置側MCU(受信側制御部)の処理の流れを示したフローチャートである。カメラ側MCU(送信側制御部)130からインナーリンクを経由して送信された信号を処理装置側MCU(受信側制御部)350の受信側制御信号送受信部352が受信することによって割込み処理(例外処理)が開始する。まず、処理装置側MCU(受信側制御部)350は、カメラ側MCU(送信側制御部)140から送信された信号がリード要求か否かを判定する(ステップS301)。その信号がリード要求であり(ステップS301 YES)、かつ、LOCK情報の返送要求である場合は(ステップS302 YES)、処理装置側MCU(受信側制御部)350は、LVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340のLOCK情報をカメラ側MCU(送信側制御部)に返送する(ステップS303)。
【0096】
一方、カメラ側MCU(送信側制御部)140から送信された信号がLOCK情報の返送要求でない場合(ステップS302 NO)、処理装置側MCU(受信側制御部)350は、カメラ側MCU(送信側制御部)140から送信された信号がバイアス電流および変調電流の返送要求であるか否か判定する(ステップS304)。カメラ側MCU(送信側制御部)140から送信された信号がバイアス電流および変調電流の返送要求である場合(ステップS304 YES)、処理装置側MCU(受信側制御部)350は、バイアス電流の設定値の情報と変調電流の設定値の情報とをカメラ側MCU(送信側制御部)130へ返送する(ステップS305)。一方、カメラ側MCU(送信側処理部)からの要求がバイアス電流および変調電流の返送要求ではない場合(ステップS304 NO)、処理装置側MCU(受信側制御部)350は、無効な要求であったことを示すデータ(例えば、0xFF)を返送する(ステップS306)。
【0097】
ステップS301に戻って、カメラ側MCU(送信部制御部)140から送信された信号がリード要求ではない場合(ステップS301 NO)、処理装置側MCU(受信側制御部)350は、前記信号がライト要求か否かを判定する(ステップS307)。要求がライト要求ではない場合(ステップS307 NO)、処理装置側MCU(受信側制御部)350は、無効な要求であったことを示すデータ(例えば、0xFF)を返送する(ステップS310)。
【0098】
一方、前記信号がライト要求であり(ステップS307 YES)、かつ温度モニタAD値の格納要求である場合(ステップS308 YES)、温度モニタAD値をメモリ353のRAMエリア(不図示)に格納する(ステップS309)。一方、温度モニタAD値の格納要求でない場合(ステップS308 NO)、無効な要求であったことを示すデータ(例えば、0xFF)を返送する(ステップS310)。以上で、本フローチャートの処理を終了する。
【0099】
以上により、第1の実施形態によれば、処理装置側MCU(受信側制御部)350は、現在の光出力を反映する光パワーAD値を初期の光パワーAD値と比較する。処理装置側MCU(受信側制御部)350は、現在の光出力が初期の光パワーAD値を基準として定まる所定の範囲から外れた場合は、LEDを点灯させることでレーザ部(光源部)160の異常を通知することができる。
【0100】
すなわち、処理装置側MCU(受信側制御部)350は、受光部320が受光した光のパワーを示す情報に基づいて、前記光源部の異常を判定することができる。さらに、データ伝送装置は、受信側に情報を集約できることから、カメラ側コネクタケース部100の回路規模を小さくすることができる。
また、処理装置側コネクタケース部300の処理装置側MCU(受信側制御部)350がレーザ部(光源部)160の発光パワーを制御することが出来るため、カメラ側コネクタケース部100内にレーザ部(光源部)160の光パワーを計測するモニタ用PDを搭載する必要がなくなる。したがって、カメラ側コネクタケース部100の回路規模を小さくすることができる。
【0101】
なお、第1の実施形態によれば、受光部320が異常である場合においても、受光部320から供給されたフォトダイオード電流IPDが変動し、その結果としてモニタ電圧VRXPWRMONが変動するため、現在の光パワーAD値が初期の光パワーAD値を基準として所定の範囲から外れることになる。したがって、第1の実施形態によれば、データ伝送装置1は、レーザ部(光源部)160または受光部320のいずれかが異常であるかもしくは両方が異常である場合に、それらの異常を外部に通知することが出来る。
【0102】
伝送レートが変動する信号(例えば、映像信号)の場合、LVDSシリアライザ120と、LVDSデシリアライザ340との間でのシリアル伝送を可能とするには、LVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)340からLVDSシリアライザ(テスト信号生成部)120に向けてLOCK信号を送信する必要がある。その際、データ伝送装置は、LOCK信号を伝送するための電気伝送路と、温度モニタAD値とバイアス電流AD値とを伝送するための電気伝送路とを電気伝送路205で共通化することにより、電気伝送路の省略化を図ることができる。
【0103】
なお、レーザ部(光源部)160が、VCSELからの光出力の一部をモニタPDが受信し、モニタPD出力電流が一定になるようにバイアス電流を調整する機能(Auto Power Control、 APC)を搭載したとき、レーザ部(光源部)160が劣化状態になるとバイアス電流AD値が上昇するため、処理装置側MCU(受信側制御部)350はバイアス電流AD値の変動でレーザ部(光源部)160の異常を判断してもよい。
【0104】
具体的には、例えば、カメラ側コネクタケース部(送信部)100は、レーザ部(光源部)160が出力する光信号の光パワーを検出するモニタPD(光検出部)と、モニタPD(光検出部)によって検出される光パワーが一定となるように前記光源部へ供給するバイアス電流を制御するレーザ駆動部(光源駆動部)140と、を備える。カメラ側MCU(送信側制御部)130は、レーザ駆動部(光源駆動部)140がレーザ部(光源部)160へ供給するバイアス電流を示す情報であるバイアス電流AD値をインナーリンクを経由して処理装置側MCU(受信側制御部)350に送信する。
【0105】
処理装置側MCU(受信側制御部)350は、受信したバイアス電流AD値を基準バイアス電流AD値(例えば、5.5[mA])で割り算し、割り算した値が0.6以下(3.3[mA]以下)または1.6以上(8.8[mA]以上)の場合はレーザ部(光源部)160が異常であると判定する。この範囲は、レーザ部(光源部)160の光パワーを温度によらず一定に保つために、バイアス電流を変動させることも考慮した範囲である。
これにより、データ伝送装置1は、バイアス電流を示す情報に基づいて、レーザ部(光源部)160の異常を判定することができる。
【0106】
また、処理装置側MCU(受信側制御部)350は、受光部320が受光した光のパワーを示す情報と、レーザ部(光源部)160の周囲温度を示す情報とに基づいて、レーザ部(光源部)160の異常を判定してもよい。
例えば、バイアス電流IBIASを一定とした場合、温度Tにおける受信パワーP(T)は、基準温度における受信パワーP0と発光パワーの温度変動係数f(T)とを引数とする下記の関係式で表される。
P(T) = f(T)×P0 …(3)
ここで、f(T)はTに関する多項式である。
【0107】
処理装置側MCU(受信側制御部)350は、関係式をP0と一緒にメモリ353内のROM領域に格納しておく。処理装置側MCU(受信側制御部)350は、光検出部160が受光した光のパワーを示す情報P(T)と発光パワーに影響を与える物理量の1つであるレーザ部(光源部)160の周囲温度Tとを用いて、式(3)から基準温度におけるP0を算出する。
【0108】
処理装置側MCU(受信側制御部)350は、初期状態の時の受信パワーP0InitとP0との比P0/P0Initを算出し、算出した比P0/P0Initが所定の範囲を外れる場合(例えば、0.6以下または1.6以上の場合)、レーザ部(光源部)160が異常であると判定する。
これにより、処理装置側MCU(受信側制御部)350は、レーザ部(光源部)160の発光パワーがレーザ部(光源部)160の発光パワーに影響を与える物理量(例えば、周囲温度)によって変動したとしても、レーザ部(光源部)160の異常を判定することができる。
【0109】
なお、この方法においても、受光部320が異常である場合にも、P0/P0Initが所定の範囲から外れることになる。したがって、データ伝送装置1は、レーザ部(光源部)160または受光部320のいずれかが異常であるかもしくは両方が異常である場合に、それらの異常を外部に通知することが出来る。
【0110】
また、処理装置側MCU(受信側制御部)350は、上記レーザ部(光源部)160の発光パワーに影響を与える物理量の1つであるレーザ部(光源部)160の周囲温度を示す温度モニタAD値に基づいて、レーザ部(光源部)160の異常を判定するようにしてもよい。例えば、現在の温度モニタAD値と基準の温度モニタAD値との比が所定の範囲を外れた場合に、処理装置側MCU(受信側制御部)350はレーザ部(光源部)160が異常であると判定してもよい。
【0111】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図13は、本発明の第2の実施形態におけるデータ伝送装置の機能ブロック図である。なお、図1と共通する要素には同一の符号を付し、その具体的な説明を省略する。
データ伝送装置1bの構成中の処理装置側コネクタケース部(受信部)300bは、第1の実施形態に対して、図1の処理装置側コネクタケース部(受信部)300にLVDSレベル入力をTTLレベル出力に変換するバッファ361およびTTLレベル入力をLVDSレベル出力に変換するバッファ362とクロスポイントスイッチ(Cross Point Switch)363を追加したものとなっている。クロスポイントスイッチ363は、電源投入後の初期状態では、カメラ(不図示)から入力した信号を処理装置(不図示)に出力するように設定する。
【0112】
バッファ361は処理装置(不図示)からカメラ(不図示)へのLVDSレベルの制御信号をTTLレベルに変換し、その出力RXを処理装置側MCU(受信側制御部)350に入力する。処理装置側MCU(受信側制御部)350は常に処理装置(不図示)からの信号を受信する。処理装置側MCU(受信側制御部)350は処理装置(不図示)からレーザ部(光源部)160の状態を示す計算結果の情報を返信する要求を受信した時、処理装置側MCU(受信側制御部)350はクロスポイントスイッチ363を処理装置MCU(受信側制御部)350から入力した信号を処理装置(不図示)に出力するように切り替える信号SELを出力する。
【0113】
処理装置側MCU(受信側制御部)350からの出力信号TXはTTLレベルのため、バッファ362を用いてLVDSレベル出力に変換する。バッファ362の出力をクロスポイントスイッチ361に入力する。処理装置側MCU(受信側制御部)350がレーザ部(光源部)160の状態を示す計算結果の情報(例えば、異常状態0x01、正常状態0x00)を処理装置(不図示)に出力する。
【0114】
以上により、第2の実施形態によれば、処理装置とカメラの間のシリアル通信ラインにクロスポイントスイッチを配置することで、レーザ部(光源部)160の異常の有無を処理装置が要求したときは、処理装置側MCU(受信側制御部)350はシリアル通信ラインにその情報を流すことができる。その結果、処理装置がディスプレイに異常である旨を表示させたり、スピーカに警告音を鳴らせたりすることによって、処理装置はレーザ部(光源部)160の異常をユーザに対して報知することができる。
【0115】
なお、本発明の実施形態では、レーザとしてVCSELを用いて説明したが、これに限らず、他の半導体レーザ(例えば、ファブリペローレーザダイオード(Fabry−Perot Lazer Diode、FP−LD)、分布帰還型レーザダイオード(Distributed−Feedbak Lazer Diode、DFB−LD))を用いても良い。
【0116】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0117】
1、1b データ伝送装置(カメラリンクインタフェース)
2 カメラリンクインタフェース
100 カメラ側コネクタケース部(送信部)
110 DC/DC変換器
120 LVDSシリアライザ(テスト信号生成部)
121 クロック生成部
130 カメラ側MCU(送信側制御部)
131 AD変換部
132 送信側制御信号送受信部(マスター)
134 DA変換部
135 メモリ
136 タイマー
137 演算部
138 温度センサ
140 レーザ駆動部(光源駆動部)
160 レーザ部(光源部)
170 クロック生成部
171 デシリアライザ
180 レベル変換部
181、182、183、184 バッファ
200 複合ケーブル
201、202 シールド線
205 差動線(電気伝送路)
206、207、208 差動線
204 光ファイバ(光伝送路)
220 光送受信部
230 制御部
300 処理装置側コネクタケース部(受信部)
310 DC/DC変換器
320 受光部
330 電流電圧変換部
340 LVDSデシリアライザ(クロック信号再生部)
341 クロック生成部
350 処理装置側MCU(受信側制御部)
351 AD変換部
352 受信側制御信号送受信部(スレーブ)
353 メモリ
354 タイマー
355 演算部
360 外部表示LED
370 レベル変換部
371、372、373、374 バッファ
381 クロック生成部
382 DFF
383 シリアライザ
400 カメラ側コネクタケース部
500 メタルケーブル
600 処理装置側コネクタケース部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信部と、受信部と、前記送信部と前記受信部を接続し光信号を伝送する光伝送路と、
前記送信部と前記受信部を接続し電気信号を伝送する電気伝送路と、を備えるデータ伝送装置であって、
前記送信部は、
外部から入力された電気信号を光信号に変換して前記光伝送路へ送出する光源部と、
前記光源部が送出する光信号の強度に影響を与える物理量の情報を前記電気伝送路へ送出する送信側制御部と、
を備え、
前記受信部は、
前記光伝送路を伝送された光信号を受光して電気信号に変換する受光部と、
前記電気伝送路を伝送された前記物理量の情報を受信し、該受信した物理量の情報に基づいて前記光源部の異常の判定を行う受信側制御部と、
を備えることを特徴とするデータ伝送装置。
【請求項2】
前記送信部は、前記光源部へ供給するバイアス電流を制御する光源駆動部を更に備
え、
前記物理量の情報は前記光源部の周囲温度を示す情報であり、
前記受信側制御部は受信した前記周囲温度を示す情報に基づいて前記光源部の光信号の強度を制御するための前記バイアス電流の設定値を前記送信側制御部に送信し、
前記送信側制御部は前記受信側制御部から受信した前記バイアス電流の設定値に基づ
いて前記光源駆動部を制御し、
前記受信側制御部は前記受光部が受光した光信号の強度を示す情報に基づいて前記光源部の異常の判定を行うことを特徴とする請求項1に記載のデータ伝送装置。
【請求項3】
前記受信側制御部は、基準の光信号の強度と現在の時刻における光信号の強度との比が
あらかじめ定められた所定の範囲を外れると、前記光源部が異常であると判定することを特徴とする請求項
2に記載のデータ伝送装置。
【請求項4】
前記送信部は、前記光源部が出力する光信号の強度を検出する光検出部と、
前記光検出部によって検出される光信号の強度が一定となるように前記光源部へ供給するバイアス電流を制御する光源駆動部と、
を更に備え、
前記物理量の情報は前記光源部のバイアス電流を示す情報であり、
前記受信側制御部は、受信した該バイアス電流を示す情報に基づいて、前記光源部の
異常を判定することを特徴とする請求項1に記載のデータ伝送装置。
【請求項5】
前記受信側制御部は、基準のバイアス電流と現在の時刻におけるバイアス電流との比が
あらかじめ定められた所定の範囲を外れると、前記光源部が異常であると判定することを特徴とする請求項
4に記載のデータ伝送装置。
【請求項6】
前記物理量の情報は前記光源部の周囲温度を示す情報であり、
前記受信側制御部は前記周囲温度を示す情報により、受信した光信号の強度を基準の温度における光信号の強度に補正し、該補正した光信号の強度を示す情報に基づいて前記光源部の異常の判定を行うことを特徴とする請求項1に記載のデータ伝送装置。
【請求項7】
前記受信側制御部は、基準の光信号の強度と現在の時刻における前記補正した光信号の強度との比があらかじめ定められた所定の範囲を外れると、前記光源部が異常であると判定すること
を特徴とする請求項6に記載のデータ伝送装置。
【請求項8】
前記外部から入力された電気信号が、伝送レートが変動する信号である場合において、
前記光送信部は、クロック信号に同期してテスト用の電気信号を生成するテスト信号生成部を更に備え、
前記光源部は、前記光送信部により生成された前記テスト用の電気信号をテスト用の光信号に変換して前記光伝送路へ送出し、
前記受光部は、前記光伝送路を伝送されたテスト用の光信号を受光し、前記テスト用の電気信号に変換し、
前記光受信部は、前記受光部により変換された前記テスト用の電気信号から前記クロック信号を再生するクロック信号再生部を更に備え、
前記クロック信号再生部は、前記クロック信号を再生できた場合、前記クロック信号の再生が完了したことを示す完了信号を前記受信側制御部に送信し、
前記受信側制御部は、前記クロック信号再生部により送信された前記完了信号を、前記電気伝送路へ送出し、
前記送信側制御部は、前記電気伝送路を伝送された前記完了信号を、前記テスト信号生成部に送信することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のデータ伝送装置。
【請求項9】
光を発する発光素子を更に備え、
前記受信側制御部は、前記光源部が異常であると判定すると前記発光素子の点灯状態を変化させるよう制御すること特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のデータ伝送装置。
【請求項10】
前記受信側制御部から入力された信号を外部装置へ出力するスイッチ部を更に備え、
前記受信側制御部は、前記光源部の異常を示す情報の要求があった場合、前記スイッチ部を介して前記情報を前記外部装置へ出力するよう制御することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のデータ伝送装置。
【請求項11】
請求項1に記載のデータ伝送装置が実行するデータ伝送方法であって、
前記光源部が送出する光信号の強度に影響を与える物理量の情報を前記電気伝送路へ送出する送信側制御手順と、
前記電気伝送路を伝送された前記物理量の情報を受信し、該受信した物理量の情報に基づいて前記光源部の異常の判定を行う受信側制御手順と、
を有することを特徴とするデータ伝送方法。
【請求項12】
送信部と、受信部と、前記送信部と前記受信部を接続し電気信号を伝送する電気伝送路と、を備えるデータ伝送装置であって、前記送信部は外部から入力された電気信号を光信号に変換して前記光伝送路へ送出する光源部と、前記光源部が送出する光信号の強度に影響を与える物理量の情報を前記電気伝送路へ送出する送信側制御部と、を備えるデータ伝送装置の前記受信部が備える受信側制御部のコンピュータに、
前記電気伝送路を伝送された前記物理量の情報を受信し、該受信した物理量の情報に基づいて前記光源部の異常の判定を行うステップを実行させるためのデータ伝送装置制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−60522(P2012−60522A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203349(P2010−203349)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】