説明

データ再生装置、及び、利得調整器

【課題】入力信号の雑音が増加しても出力信号を劣化させない。
【解決手段】データ再生装置1は、磁気記録媒体から読み出した再生信号をVGA3で増幅し、ADコンバータ5で量子化し、適応等化FIRフィルタ6で等化し、ITR7でビット同期し、再生信号をデジタルデータに変換する。利得調整部10は、VGA3の利得制御信号を算出する際、ITR7の出力y(n)を(g+λMSE)/g倍する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体から読み出された再生信号をデジタルデータに変換するデータ再生装置、及び、データ再生装置の利得調整器に関する。
【背景技術】
【0002】
データ再生装置は、磁気ディスク、光ディスクなどの記録媒体から読み出した再生信号をデジタル信号に変換する。デジタルデータ再生装置は、読み出した再生信号を等化し、等化した再生信号を量子化し、量子化した再生信号のビット同期をとり各ビットを識別する。
【0003】
このビット同期の精度を上げるためには、再生信号が十分に等化されていることが望ましい。そこで、従来、精度のよい等化を行うために、FIR(Finite Impulse Response)フィルタ等を使用し、ビット同期の前段で精度の高い等化をしている。
【0004】
図4に従来のデータ再生装置100の構成を示す。磁気テープや磁気ディスクから再生された再生信号は、プリアンプ102で増幅され、VGA(Voltage Gain Amp)103により所望の値へ増幅される。増幅された再生信号は、低域通過フィルタ104によって、アンチエイリアス及び粗い等化がなされ、ADコンバータ105によって量子化される。量子化された再生信号は、FIRフィルタ106で精度のよい等化が行われ、ビット同期部としてのITR(Interpolated Timing Recovery)107によって、ビット同期が行われる。ITR107でビット同期された再生信号は、ビタビ検出器等のシークエンス検出器へと送られる。
【0005】
また、ITR107の出力は、誤差計算部108に送られる。誤差計算部108は、位相誤差と振幅誤差とを計算する。そして、位相誤差はITR107にフィードバックされ、振幅誤差はVGA103の利得調整部110に送られる。利得調整部110は、入力した振幅誤差を基に所望の利得を計算し、利得制御信号をVGA103に送る。
【0006】
【特許文献1】Li Du, Mark Spurbeck, Richard T. Behrens. "A Linearly Constrained Adaptive FIR Filter For Hard Disk Drive Read Channels". IEEE,pp 1613-16617,1997.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のデータ再生装置100において、FIRフィルタ106の係数を固定にすると、信号の時間変動に追従できず、十分な性能が得られない。また、LMS(Least Mean Square;最小自乗誤差)等を用いてFIRフィルタ106を適応等化させると、時間経過に従いFIRフィルタ106においての位相が変化してしまい、FIRフィルタ106とITR107との位相干渉が発生する。
【0008】
更に、利得調整部110では、周波数応答を考慮すると等化及びビット同期後の信号で振幅誤差を計算することから、適応等化によって、FIRフィルタ106での利得が変わり、FIRフィルタ106と利得調整部110の利得の干渉が発生する。図4のデータ再生装置100では、これらの干渉によって、所望の特性が得られない。
【0009】
干渉の発生を防止する方法として、FIRフィルタ106で最も利得の大きい中心係数を固定にしてLMSを行う方法がある。しかし、この方法を用いても、利得方向の干渉は抑えられるが、位相方向には依然として干渉が残り、LMSの更新ゲインを大きくすると、位相が不安定になる。
【0010】
そこで、近年、新しいLMSアルゴリズムが提案されている。このLMSアルゴリズムは、DCやナイキスト周波数を除くある周波数でのFIRフィルタの応答を固定する方法である。
【0011】
従来のLMSアルゴリズムでは、FIRフィルタの応答を調整するための特別な信号パターンとして、ハードディスクのプリアンブルを利用している。図5は、ハードディスクの基本的な記録フォーマット200である。ハードディスクの記録フォーマット200は、プリアンブル201、SYNCデータ202、ユーザデータ203とからなる。ユーザデータ203は記録対象のデータそのものであり、SYNCデータ202は同期信号である。
【0012】
プリアンブル201は、一般的に、利得調整やビット同期の引き込みに使用され、パーシャルレスポンスのPR4に等化する場合、ハーフナイキスト周波数の連続パターンが用いられている。
【0013】
従来のデータ再生装置では、プリアンブル201に記録されたデータを利用してハーフナイキスト周波数における応答を調整する。そして、応答が安定した状態で、プリアンブル201に続くユーザデータを再生する。
【0014】
ここで、FIRフィルタの係数の計算方法について説明する。なお、以下の説明では簡単のため、ビット同期はとられているものとする。すなわち、位相誤差はゼロである。
【0015】
をフィルタの係数、Tをサンプリング間隔とし、T=1とすると、FIRフィルタの周波数応答Fは、(数式1)のように表すことができる。
【0016】
【数1】

【0017】
(数式1)にハーフナイキスト周波数f=1/4Tでの応答は、(数式2)のようになる。
【0018】
【数2】

【0019】
フィルタ係数Cを(数式3)のような行列Cとおく。(数式3)において、Tは転置を表し、Nはフィルタのタップ数を表す。
【0020】
【数3】

【0021】
(数式3)より、(数式2)は、(数式4)とおける。すなわち、実数部と虚数部に分けることができる。
【0022】
【数4】

【0023】
ここで、(数式4)のV及びVは、(数式5)である。
【0024】
【数5】

【0025】
虚数部が0のとき位相が固定するため、Cは、(数式6)を満たす。
【0026】
【数6】

【0027】
また、利得は一定であるため、Cは、(数式7)を満たす。
【0028】
【数7】

【0029】
(数式6)及び(数式7)より、VrとViの制約が与えられる。そこで、VrとViとを(数式8)とおく。
【0030】
【数8】

【0031】
行列Vに直交する行列Pを求める。Vに直交する行列Pは、(数式9)から導かれる。ここで、Iは単位行列とする。
【0032】
【数9】

【0033】
フィルタ係数Cの更新は、(数式10)で与えられる。(数式10)において、uはフィルタ入力信号ベクトル、μは更新ゲイン、eは誤差ベクトルである。(数式10)に示すように、行列Pを誤差ベクトルeと掛け合わせて係数Cを更新することで、FIRフィルタの制約条件を満たすことができる。
【0034】
【数10】

【0035】
しかしながら、これまで説明した方法では、入力信号の雑音の増加とともに、信号と雑音の電力比であるSDNR(Signal to Distortion and Noise Ratio)が劣化してしまうという問題が発生する。
【0036】
この問題の原因について説明する。(数式7)で表される制約条件の自乗平均gは、信号成分の電力σと、雑音成分の分散σとおけば(数式11)となる。
【0037】
【数11】

【0038】
(数式11)を変形すると信号成分の電力σは、g−σとなる。従来のデータ再生装置では、(数式7)に示すようにハーフナイキスト周波数での利得を特定の目標値gに制約しているが、入力信号にノイズ成分が含まれると、信号成分の電力が(g−σ1/2倍だけ減少してしまいSDNRが劣化してしまう。
【0039】
また、従来のデータ再生装置では、利得調整にプリアンブルを利用することでSDNRの劣化を防止しているが、プリアンブルでないランダムデータで利得調整を行うと、SDNRの劣化が顕著となるという問題がある。
【0040】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、入力信号の雑音が増加しても、出力信号を劣化させないデータ再生装置、及び、利得調整器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0041】
上述した目的を達成するため、本発明にかかるデータ再生装置は、入力信号を増幅し入力信号の振幅を一定に保つ信号増幅部と、増幅した入力信号を量子化する量子化部と、特定に周波数における応答を固定した状態で量子化した入力信号を等化するフィルタと、等化した入力信号のビット同期をとる同期部と、同期部の出力信号を基に信号増幅部の利得を調整する利得調整部とを備え、利得調整部は、出力信号の振幅誤差を求める際、入力信号に含まれる雑音による信号電力の減少を補正する。
【0042】
また、本発明にかかる利得調整器は、周波数応答を固定した状態で信号を等化し、等化した信号のビット同期をとる同期部に出力するフィルタへの入力信号の振幅を一定に保つ利得調整器であって、同期部の出力信号の振幅誤差を求める際、入力信号に含まれる雑音による信号電力の減少を補正する。
【発明の効果】
【0043】
本発明を適用したデータ再生装置、及び、利得調整器は、振幅誤差を求める際、入力信号に含まれる雑音による信号電力の減少を補正することにより、出力信号を劣化させない。また、追従性を持たせることを可能にしたことで耐性を向上させた。
【0044】
また、本発明を適用したデータ再生装置、及び、利得調整器は、プリアンブルのようなトレーニング用の信号を用いずとも、出力信号の特性を劣化させない。ランダムデータを再生したときにも安定した特性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、図を参照して本発明を用いたデータ再生装置1を説明する。図1は、データ再生装置1の構成を示すブロック図である。
【0046】
データ再生装置1は、磁気記録媒体から読み出された再生信号が入力され、入力した再生信号を増幅するプリアンプ2、増幅された再生信号の利得を調整するVGA(Voltage Gain Amp)3、再生信号に粗い等化を行う低域通過フィルタ4、再生信号を量子化するADコンバータ5、再生信号に高精度の等化を行う適応等化FIRフィルタ6、再生信号のビット同期をとるITR(Interpolated Timing Recovery)7、再生信号の誤差を算出する誤差計算部8、FIRフィルタの係数を算出する係数計算部9、VGA3の利得を調整する利得調整部10から構成される。
【0047】
磁気テープや磁気ディスク等の磁気記録媒体から読み出された再生信号は、プリアンプ2で増幅され、VGA3により所望の値へ増幅される。VGA3により増幅された再生信号は、低域通過フィルタ4によって、アンチエイリアス及び粗い等化がなされ、ADコンバータ5によって量子化される。量子化された再生信号は、適応等化FIRフィルタ6で精度のよい等化が行われ、ITR7によってビット同期が行われる。ビット同期後の再生信号は、例えば、ビタビ検出器等のシークエンス検出器に送られる。
【0048】
一方、ビット同期後の再生信号は、誤差計算部8に出力される。誤差計算部8は、再生信号を入力すると、位相誤差、等化誤差を算出する。誤差計算部8は、位相誤差をITR7に出力し、等化誤差を係数計算部9に出力する。ITR7は、誤差計算部8から入力した位相誤差をもとにビット同期を行う。
【0049】
係数計算部9は、ITR7から入力した再生信号y(n)を基に適応等化FIRフィルタ6の係数を算出する。係数の算出では、従来のデータ再生装置と同じ方法を用いる。
【0050】
係数計算部9の演算について説明する。適応等化フィルタの係数c、Tをサンプリング間隔とすると、適応等化FIRフィルタ6の周波数応答Fは、(数式1)で表すことができる。
【0051】
【数12】

【0052】
T=1、ハーフナイキスト周波数f=1/4における応答は、(数式2)のようになる。
【0053】
【数13】

【0054】
フィルタ係数cを行列Cで表すと(数式3)となる。なお、Tは転置を表し、Nはフィルタのタップ数である。
【0055】
【数14】

【0056】
(数式3)より、(数式2)は、(数式4)とおける。
【0057】
【数15】

【0058】
ここで、(数式4)のV及びVは、(数式5)である。
【0059】
【数16】

【0060】
虚数部が0のとき位相が固定するため、Cは、(数式6)を満たす。
【0061】
【数17】

【0062】
また、振幅は一定であるため、Cは、(数式7)を満たす。
【0063】
【数18】

【0064】
(数式6)及び(数式7)より、VrとViの制約が与えられる。そこで、VrとViとを(数式8)とおく。
【0065】
【数19】

【0066】
行列Vに直交する行列Pを求める。Vに直交する行列Pは、(数式9)から導かれる。ここで、Iは単位行列とする。
【0067】
【数20】

【0068】
フィルタ係数cの更新は、(数式10)で与えられる。(数式10)において、uはフィルタ入力信号ベクトル、μは更新ゲイン、eは誤差ベクトルである。(数式10)に示すように、行列Pを誤差ベクトルeと掛け合わせて係数cを更新することで、適応等化FIRフィルタ6の制約条件を満たすことができる。
【0069】
【数21】

【0070】
利得調整部10は、ITR7から入力した再生信号y(n)を基に、利得制御信号を算出し、VGA3に出力する。利得制御信号は、振幅誤差e(n)によって決まる。(数式12)は、振幅誤差e(n)の評価関数である。(数式12)においてd(n)は、再生信号y(n)の所望の応答である。等化をPR4とする、d(n)は、規格化して{−1,0,1}の3値をとる。但し、0のときは、信号がないので計算を行わない。
【0071】
【数22】

【0072】
また、利得調整部10は、(数式12)の係数σを算出する。σは、雑音成分の電力である。σは、λを定数として、自乗誤差平均値MSE(Mean Square Error)を用いて(数式13)から算出できる。なお、定数λは、等化をPR4のとき、λ=2となる。さらに、あるサンプル間隔でMSEを更新することによって、追従性を持たせることもできる。
【0073】
【数23】

【0074】
本発明は、振幅誤差e(n)の演算式、すなわち、(数式12)を特徴とする。(数式12)では、単純にd(n)とy(n)の差をとるのではなく、y(n)を(g+σ)/g倍している。(g+σ)/gは、(数式7)の制約条件において右辺の利得gを雑音電力分σだけ増加させたときの電力を、雑音のない状態の電力で規格化した値である。これを、y(n)に掛けることで、雑音が加わった分だけ(数式7)の利得を大きくして信号成分の利得を変えないようにしている。これによりSDNRの劣化が防止される。
【0075】
図2を参照して、従来のデータ再生装置の出力と本発明を適用したデータ再生装置1の出力とを比較する。図2は、横軸をクロック数、縦軸をSDNRとしたグラフである。実線は本発明を適用したデータ再生装置1から出力される再生信号のSDNR、点線は従来のデータ再生装置から出力される再生信号のSDNRであり、細実線はSDNRの目標値である。
【0076】
従来のデータ再生装置から出力される再生信号のSDNRは、最初の立ち上がりで目標値に近づくが、目標値より低い値をピークとして徐々に減少し、目標値よりも低い値で安定する。言い換えれば、従来のデータ再生装置では、SDNRの変化が過渡応答を示し、目標値よりも低い値で安定してしまう。
【0077】
これは、従来のデータ再生装置で、評価関数として(数式14)を使用しており、(数式7)の制約を満たそうとするために、信号成分が(g−σ1/2倍だけ減少してしまい、SDNRが劣化するという問題が発生していたためである。
【0078】
【数24】

【0079】
本発明を適用したデータ再生装置1では、クロック数が増加するにつれてSDNRが目標値に近づき、10万クロック付近で目標値にほぼ一致し安定する。このように、本発明を適用したデータ再生装置1では、再生信号y(n)を(g+σ)/g倍して振幅誤差e(n)を求めるため、再生信号の特性が向上する。
【0080】
また、図2は、ランダムデータを再生したときに得られた特性である。従来のデータ再生装置では、プリアンブルの使用を前提としていたが、本発明を適用したデータ再生装置1は、プリアンブルを用いずとも、安定した特性が得られることが図より明らかである。
【0081】
例えば、CDやDVDなどの光ディスク、磁気テープなどの記録媒体には、プリアンブルが記録されていない。本発明を適用したデータ再生装置1では、これらの記録媒体の再生にも適用することができる。
【0082】
次いで、図3に利得調整部10の内部構成を示す。利得調整部10は、再生信号y(n)の所望の応答d(n)を算出するスライサ11、再生信号y(n)とスライサ出力d(n)との差を算出する加算器12、再生信号y(n)の絶対値を算出する絶対値回路13、スライサ出力d(n)の絶対値を算出する絶対値回路14、y(n)の係数を算出するMSE計算部15、y(n)の係数をy(n)に掛ける乗算器16、d(n)と乗算器16の出力との差を算出する加算器17、ループ利得を記憶する利得記憶部18、加算器17の出力とループ利得とを乗算する乗算器19、入力を1クロック遅延する遅延素子20、遅延素子20からの出力と乗算器19の出力との差を算出する加算器21、遅延素子20の出力をアナログ信号に変換するDAコンバータ22とを備える。
【0083】
スライサ11は、ITR7から入力した再生信号y(n)が{−1,0,1}の何れのシンボルに対応するかという仮判定を行う。スライサ11には、正の閾値Thと負の閾値Thの2つの閾値が設定されており、y(n)がThを超えると“1”を出力し、y(n)がThより低いと“−1”を出力し、y(n)がThとThとの間であると“0”を出力する。スライサ11の出力は、y(n)の所望の値d(n)となる。
【0084】
加算器12は、ITR7から入力し再生信号y(n)とスライサ11の出力d(n)から誤差信号を算出する。加算器12は、算出した誤差信号をMSE計算部15に出力する。
【0085】
MSE計算部15は、誤差信号を基にMSEを算出し、MSEに定数λを掛ける。λMSEは、(数式13)に示すように雑音成分の分散σに相当する。更に、MSE計算部15は、定数gとλMSEとを基に(数式12)における再生信号y(n)の係数(g+λMSE)/gを算出し、乗算器16に出力する。
【0086】
乗算器16は、再生信号y(n)の絶対値|y(n)|とMSE計算部15の出力(g+λMSE)/gとを乗算し、計算結果を加算器17に出力する。加算器17は、絶対値回路14からの出力|d(n)|と乗算器16の出力(g+λMSE)/g・|y(n)|の差をとり、振幅誤差e(n)を算出する。
【0087】
加算器17からの出力e(n)は、乗算器19でループ利得と乗算される。この演算結果は、加算器21と遅延素子20によって構成される1タップのIIR(Infinite Impulse Response)のループフィルタに送られる。加算器21は、遅延素子20から出力された1クロック手前の振幅誤差e(n)と乗算器19の出力との差を算出して遅延素子20に出力する。遅延素子20は、振幅誤差e(n)をDAコンバータ22に出力する。DAコンバータ22は、振幅誤差e(n)をアナログ信号に変換増幅した利得制御信号をVGA3に送る。
【0088】
以上説明したように、本発明を適用したデータ再生装置1では、振幅誤差e(n)を算出するとき、再生信号y(n)を(g+λMSE)/g倍する。これにより、雑音が加わった分だけ利得gを大きくする。これにより、雑音再生特性を改善させた。また、誤り特性の支配的要因であるITR7の特性も向上した。追従性を持たせることを可能にしたことで、更に耐性を向上させた。
【0089】
また、本発明を適用したデータ再生装置1では、プリアンブルを用いずとも、SDNRを劣化させない。そのため、CD、DVDなどの光ディスクや磁気テープのようにプリアンブルが記録されていない記録媒体のデータ再生にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】データ再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用したデータ再生装置と従来のデータ再生装置のSDNRの差を示すグラフである。
【図3】利得調整部の構成を示すブロック図である。
【図4】従来のデータ再生装置の構成を示すブロック図である。
【図5】ハードディスクの記録フォーマットの構成を示す概念図である。
【符号の説明】
【0091】
1 データ再生装置、2 プリアンプ、3 VGA、4 低域通過フィルタ、5 ADコンバータ、6 適応等化FIRフィルタ、7 ITR、8 誤差計算部、9 係数計算部、10 利得調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を増幅し該入力信号の振幅を一定に保つ信号増幅部と、
上記増幅した入力信号を量子化する量子化部と、
特定の周波数における応答を固定した状態で上記量子化した入力信号を等化するフィルタと、
上記等化した入力信号のビット同期をとる同期部と、
上記同期部の出力信号を基に上記信号増幅部の利得を調整する利得調整部と、
を備え、
上記利得調整部は、上記出力信号の振幅誤差を求める際、上記入力信号に含まれる雑音による信号電力の減少を補正することを特徴とするデータ再生装置。
【請求項2】
上記利得調整部は、上記振幅誤差の計算に自乗誤差平均値(MSE)を利用することを特徴とする請求項1記載のデータ再生装置。
【請求項3】
上記利得調整部は、上記出力信号の振幅誤差を求める際、該出力信号に、上記特定周波数において固定された利得g及び定数λからなる係数(g+λMSE)/gを、掛け合わせることを特徴とする請求項2記載のデータ再生装置。
【請求項4】
上記利得調整部は、雑音の時間変動に対して追従性を持つことを特徴とする請求項1記載のデータ再生装置。
【請求項5】
上記利得調整部は、上記特定周波数のトレーニング用の信号を持たない入力信号に対しても、上記信号増幅部の利得を調整することを特徴とする請求項1記載のデータ再生装置。
【請求項6】
周波数応答を固定した状態で信号を等化し、上記等化した信号のビット同期をとる同期部に出力するフィルタへの入力信号の振幅を一定に保つ利得調整器であって、
上記同期部の出力信号の振幅誤差を求める際、上記入力信号に含まれる雑音による信号電力の減少を補正することを特徴とする利得調整器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−172685(P2007−172685A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−365235(P2005−365235)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】