説明

データ処理システム、その上位処理装置とユーザ端末装置、そのコンピュータプログラムとデータ処理方法

【課題】エンドユーザに様々に利用されるユーザ端末装置を簡単かつ確実に省電力化することができるデータ処理システムを提供する。
【解決手段】上位処理装置200は、記憶している省電力化プログラムPEPをユーザ端末装置100に配信してインストールさせる。インストールされた省電力化プログラムPEPにより検出されて送信されるユーザ端末装置100の各種動作を反映した動作パターンデータUPDを受信し、受信された動作パターンデータUPDを所定のアルゴリズムで解析して省電力化プログラムPEPにユーザ端末装置100を省電力に制御させる端末制御データTCDを生成する。生成された端末制御データTCDを対応するユーザ端末装置100に送信してインストールされている省電力化プログラムPEPに設定させる。このため、エンドユーザに様々に利用されるユーザ端末装置100を簡単かつ確実に省電力化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インストールされているアプリケーションプログラムによりエンドユーザの入力操作に対応して各種動作を実行する複数のユーザ端末装置と、複数の前記ユーザ端末装置とデータ通信する少なくとも一個の上位処理装置と、を有するデータ処理システム、その上位処理装置およびユーザ端末装置、そのコンピュータプログラムおよびデータ処理方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、いわゆるパーソナルコンピュータなどのユーザ端末装置が様々な作業に利用されており、その個数は膨大なものとなっている。また、近年のユーザ端末装置は多機能化および高性能化するとともに消費電力も増大している。このため、現在では膨大な個数のユーザ端末装置により、多大な電力が消費されている。
【0003】
一方、現状では電力を生成するためには温室効果ガスであるCOを排出することになる。換言すると、現在は膨大な個数のユーザ端末装置が様々な作業で利用されることにより、膨大な容量のCOが排出されていることになる。
【0004】
しかし、地球温暖化の抑止は急務である。このため、ユーザ端末装置の省電力化が要求されている。このユーザ端末装置の省電力化を実現するために各種の提案がある(例えば、特許文献1,2参照)。
【特許文献1】特開2006−085570号公報
【特許文献2】特開2006−050505号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ユーザ端末装置の動作状況はエンドユーザにより様々である。このため、エンドユーザに様々に利用されるユーザ端末装置を、簡単かつ確実に省電力化することは困難である。
【0006】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、エンドユーザに様々に利用されるユーザ端末装置を簡単かつ確実に省電力化することができるデータ処理システム、その上位処理装置およびユーザ端末装置、そのコンピュータプログラムおよびデータ処理方法、を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のデータ処理システムは、インストールされているアプリケーションプログラムによりエンドユーザの入力操作に対応して各種動作を実行する複数のユーザ端末装置と、複数のユーザ端末装置とデータ通信する少なくとも一個の上位処理装置と、を有するデータ処理システムであって、上位処理装置は、アプリケーションプログラムの一つである省電力化プログラムを記憶するプログラム記憶手段と、記憶されている省電力化プログラムをユーザ端末装置に配信してインストールさせるプログラム配信手段と、インストールされた省電力化プログラムにより検出されて送信されるユーザ端末装置の各種動作を反映した動作パターンデータを受信するパターン受信手段と、受信された動作パターンデータを所定のアルゴリズムで解析して省電力化プログラムにユーザ端末装置を省電力に制御させる端末制御データを生成するデータ生成手段と、生成された端末制御データを対応するユーザ端末装置に送信してインストールされている省電力化プログラムに設定させるデータ配信手段と、を有する。
【0008】
本発明の上位処理装置は、本発明のデータ処理システムの上位処理装置であって、アプリケーションプログラムの一つである省電力化プログラムを記憶するプログラム記憶手段と、記憶されている省電力化プログラムをユーザ端末装置に配信してインストールさせるプログラム配信手段と、インストールされた省電力化プログラムにより検出されて送信されるユーザ端末装置の各種動作を反映した動作パターンデータを受信するパターン受信手段と、受信された動作パターンデータを所定のアルゴリズムで解析して省電力化プログラムにユーザ端末装置を省電力に制御させる端末制御データを生成するデータ生成手段と、生成された端末制御データを対応するユーザ端末装置に送信してインストールされている省電力化プログラムに設定させるデータ配信手段と、を有する。
【0009】
本発明のユーザ端末装置は、本発明のデータ処理システムのユーザ端末装置であって、上位処理装置から配信される省電力化プログラムを受信するプログラム受信手段と、受信された省電力化プログラムをインストールするプログラムインストール手段と、各種動作を反映した動作パターンデータを検出する使用検出手段と、検出された動作パターンデータを上位処理装置に送信するパターン送信手段と、動作パターンデータの送信に対応して上位処理装置から端末制御データを受信するデータ受信手段と、受信された端末制御データを省電力化プログラムに設定するデータ設定手段と、端末制御データが設定された省電力化プログラムによる制御を許容する端末制御手段と、を有する。
【0010】
本発明の第一のコンピュータプログラムは、本発明の上位処理装置のためのコンピュータプログラムであって、アプリケーションプログラムの一つである省電力化プログラムを記憶するプログラム記憶処理と、記憶されている省電力化プログラムをユーザ端末装置に配信してインストールさせるプログラム配信処理と、インストールされた省電力化プログラムにより検出されて送信されるユーザ端末装置の各種動作を反映した動作パターンデータを受信するパターン受信処理と、受信された動作パターンデータを所定のアルゴリズムで解析して省電力化プログラムにユーザ端末装置を省電力に制御させる端末制御データを生成するデータ生成処理と、生成された端末制御データを対応するユーザ端末装置に送信してインストールされている省電力化プログラムに設定させるデータ配信処理と、を上位処理装置に実行させる。
【0011】
本発明の第二のコンピュータプログラムは、本発明のユーザ端末装置のためのコンピュータプログラムであって、上位処理装置から配信される省電力化プログラムを受信するプログラム受信処理と、受信された省電力化プログラムをインストールするプログラムインストール処理と、各種動作を反映した動作パターンデータを検出する使用検出処理と、検出された動作パターンデータを上位処理装置に送信するパターン送信処理と、動作パターンデータの送信に対応して上位処理装置から端末制御データを受信するデータ受信処理と、受信された端末制御データを省電力化プログラムに設定するデータ設定処理と、端末制御データが設定された省電力化プログラムによる制御を許容する端末制御処理と、をユーザ端末装置に実行させる。
【0012】
本発明の第一のデータ処理方法は、本発明の上位処理装置のデータ処理方法であって、アプリケーションプログラムの一つである省電力化プログラムを記憶するプログラム記憶工程と、記憶されている省電力化プログラムをユーザ端末装置に配信してインストールさせるプログラム配信工程と、インストールされた省電力化プログラムにより検出されて送信されるユーザ端末装置の各種動作を反映した動作パターンデータを受信するパターン受信工程と、受信された動作パターンデータを所定のアルゴリズムで解析して省電力化プログラムにユーザ端末装置を省電力に制御させる端末制御データを生成するデータ生成工程と、生成された端末制御データを対応するユーザ端末装置に送信してインストールされている省電力化プログラムに設定させるデータ配信工程と、を有する。
【0013】
本発明の第二のデータ処理方法は、本発明のユーザ端末装置のデータ処理方法であって、上位処理装置から配信される省電力化プログラムを受信するプログラム受信工程と、受信された省電力化プログラムをインストールするプログラムインストール工程と、各種動作を反映した動作パターンデータを検出する使用検出工程と、検出された動作パターンデータを上位処理装置に送信するパターン送信工程と、動作パターンデータの送信に対応して上位処理装置から端末制御データを受信するデータ受信工程と、受信された端末制御データを省電力化プログラムに設定するデータ設定工程と、端末制御データが設定された省電力化プログラムによる制御を許容する端末制御工程と、を有する。
【0014】
本発明の上位処理装置は、複数のユーザ端末装置における電力削減目標量を取得する目標取得手段と、複数のユーザ端末装置それぞれの動作パターンデータを受信するパターン受信手段と、複数のユーザ端末それぞれの動作履歴を解析し、省電力のための端末制御データを複数のユーザ端末それぞれごとに生成するデータ生成手段と、複数のユーザ端末に、端末制御データを配信するデータ配信手段と、を備え、パターン受信手段は、複数のユーザ端末から、端末制御データ配信後の動作パターンデータを受信し、さらに、端末制御データ配信前後の動作パターンデータに基づいて電力削減量を算出する結果生成手段と、電力削減量と、電力削減目標量を対比可能に出力表示する結果表示手段とを備える。
【0015】
なお、本発明の各種の構成要素は、その機能を実現するように形成されていればよく、例えば、所定の機能を発揮する専用のハードウェア、所定の機能がコンピュータプログラムにより付与された上位処理装置、コンピュータプログラムにより上位処理装置に実現された所定の機能、これらの任意の組み合わせ、等として実現することができる。
【0016】
また、本発明の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要もなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でよい。
【0017】
また、本発明のデータ処理方法は、複数の工程を順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の工程を実行する順番を限定するものではない。このため、本発明のデータ処理方法を実施するときには、その複数の工程の順番は内容的に支障しない範囲で変更することができる。
【0018】
さらに、本発明のデータ処理方法は、複数の工程が個々に相違するタイミングで実行されることに限定されない。このため、ある工程の実行中に他の工程が発生すること、ある工程の実行タイミングと他の工程の実行タイミングとの一部ないし全部が重複していること、等でもよい。
【0019】
また、本発明で云う上位処理装置およびユーザ端末装置は、コンピュータプログラムを読み取って対応する処理動作を実行できるように、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/F(Interface)ユニット、等の汎用デバイスで構築されたハードウェア、所定の処理動作を実行するように構築された専用の論理回路、これらの組み合わせ、等として実施することができる。
【0020】
上述のような上位処理装置は、例えば、ユーザ端末装置となるパーソナルコンピュータやワークステーションとデータ通信するネットワークサーバやメインフレームなどとして実施することができる。
【0021】
ユーザ端末装置は、上位処理装置となるネットワークサーバやメインフレームとデータ通信するパーソナルコンピュータやワークステーションなどとして実施することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のデータ処理システムでは、ユーザ端末装置がインストールされているアプリケーションプログラムによりエンドユーザの入力操作に対応して各種動作を実行し、上位処理装置がユーザ端末装置とデータ通信する。この上位処理装置は、アプリケーションプログラムの一つである省電力化プログラムをプログラム記憶手段で記憶し、記憶されている省電力化プログラムをプログラム配信手段がユーザ端末装置に配信してインストールさせる。インストールされた省電力化プログラムにより検出されて送信されるユーザ端末装置の各種動作を反映した動作パターンデータをパターン受信手段が受信し、受信された動作パターンデータを所定のアルゴリズムで解析して省電力化プログラムにユーザ端末装置を省電力に制御させる端末制御データをデータ生成手段が生成する。生成された端末制御データをデータ配信手段が対応するユーザ端末装置に送信してインストールされている省電力化プログラムに設定させるので、そのユーザ端末装置は端末制御データが設定された省電力化プログラムにより動作が省電力に制御されることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施の一形態を図面を参照して以下に説明する。本実施の形態のデータ処理システム1000は、図1および図2に示すように、インストールされているアプリケーションプログラムによりエンドユーザEUの入力操作に対応して各種動作を実行する複数のユーザ端末装置100と、複数のユーザ端末装置100とデータ通信する少なくとも一個の上位処理装置200と、を有する。
【0024】
この上位処理装置200は、アプリケーションプログラムの一つである省電力化プログラムPEPを記憶するプログラム記憶部210と、記憶されている省電力化プログラムPEPをユーザ端末装置100に配信してインストールさせるプログラム配信部220と、インストールされた省電力化プログラムPEPにより検出されて送信されるユーザ端末装置100の各種動作を反映した動作パターンデータUPDを受信するパターン受信部230と、受信された動作パターンデータUPDを所定のアルゴリズムで解析して省電力化プログラムPEPにユーザ端末装置100を省電力に制御させる端末制御データTCDを生成するデータ生成部240と、生成された端末制御データTCDを対応するユーザ端末装置100に送信してインストールされている省電力化プログラムPEPに設定させるデータ配信部250と、を有する。
【0025】
ユーザ端末装置100は、搭載されているハードウェアと実装されているソフトウェアからなるコンピュータリソース(図示せず)でエンドユーザEUの入力操作に対応して各種動作を実行する。
【0026】
このユーザ端末装置100は、上位処理装置200から配信される省電力化プログラムPEPを受信するプログラム受信部110と、受信された省電力化プログラムPEPをコンピュータリソースの一部としてインストールするプログラムインストール部120と、を有する。
【0027】
そして、省電力化プログラムPEPがインストールされたユーザ端末装置100は、インストールされた省電力化プログラムPEPによりコンピュータリソースのエンドユーザEUによる各種使用を検出して動作パターンデータUPDを生成する使用検出部130と、生成された動作パターンデータUPDを所定の上位処理装置に送信するパターン送信部140と、動作パターンデータUPDの送信に対応して上位処理装置から各種動作を省電力化する端末制御データTCDを受信するデータ受信部150と、受信された端末制御データTCDを省電力化プログラムPEPに設定するデータ設定部160と、端末制御データTCDが設定された省電力化プログラムPEPによるコンピュータリソースの制御を許容する端末制御部170と、を有する。
【0028】
より具体的には、上位処理装置200は、いわゆるネットワークサーバなどと称呼されるコンピュータ装置からなる。ユーザ端末装置100は、いわゆるパーソナルコンピュータなどと称呼されるコンピュータ装置からなる。
【0029】
従って、本実施の形態のデータ処理システム1000では、少なくとも一台の上位処理装置200と複数のユーザ端末装置100とが、いわゆるインターネットなどの通信ネットワークINにより接続されている。
【0030】
なお、ユーザ端末装置100のパターン送信部140は、端末制御データTCDが設定された省電力化プログラムPEPにより検出された動作パターンデータUPDも上位処理装置200に送信する。またパターン送信部140は、当該ユーザ端末装置100を使用するエンドユーザを他のエンドユーザから識別するユーザ識別情報を、動作パターンデータUPDに対応付けて送信する。これにより、一つのユーザ端末装置100を複数のエンドユーザが共用する場合においても、複数のエンドユーザそれぞれごとに動作パターンデータUPDを生成し、かつ端末制御データTCDを生成及び設定することができる。
【0031】
上位処理装置200のパターン受信部230は、端末制御データTCDが設定された省電力化プログラムPEPにより検出されて送信される動作パターンデータUPDも受信する。
【0032】
なお、本実施の形態のデータ処理システム1000が適用されるエンドユーザEUは、例えば、企業ごとなどの複数のユーザグループUGに事前に区分されている。このため、上位処理装置200は、省電力化プログラムPEPを配信するユーザ端末装置100を複数のユーザグループUGに区分して記憶するグループ記憶部260も有する。
【0033】
そこで、データ生成部240は、受信された動作パターンデータUPDをユーザグループUGごとに統合(例えば平均化)してから端末制御データTCDを生成する。データ配信部250は、生成された端末制御データTCDを対応するユーザグループUGのユーザ端末装置100に送信する。
【0034】
またデータ生成部240は、上位処理装置200のスケジュールデータ記憶部242が記憶しているエンドユーザのスケジュールデータを取得し、このスケジュールデータを用いて端末制御データを生成する。スケジュールデータ記憶部242は、エンドユーザそれぞれごとに、そのエンドユーザのスケジュールを示すスケジュールデータをユーザ識別情報に対応付けて記憶している。スケジュールデータを参照すれば、エンドユーザがユーザ端末装置100を操作できない場所にいると想定される時間帯(例えば外出中、会議中など)が予めわかる。端末制御データTCDは、このような時間帯の直前にユーザ端末装置100の動作レベルを省電力モードに移行させ(たとえばモニタの電源をオフする、ユーザ端末装置100をスタンバイ状態に落とすなど)、かつこの時間帯の直後にユーザ端末装置100の動作レベルを通常の動作レベルに戻すようになっている。このようにすることで、端末制御データTCDに基づく省電力化プログラムの制御の精度が向上する。
【0035】
さらに、端末制御データTCDは、ユーザ端末装置100の動作レベルを省電力モードに移行させる直前に、省電力モードに移行する旨のメッセージをユーザ端末装置100のモニタに表示させても良いし、省電力モードから立ち上がった後に、省電力モードに移行していた旨のメッセージをユーザ端末装置100のモニタに表示させても良い。
【0036】
さらに端末制御データTCDは、エンドユーザがユーザ端末装置100を操作できない場所にいると想定される時間帯になる直前に、省電力モードに移行すべき旨のメッセージをユーザ端末装置100のモニタに表示させても良いし、エンドユーザがユーザ端末装置100を操作できない場所にいると想定される時間帯において省電力モードに移行していなかった場合に、警告メッセージをユーザ端末装置100のモニタに表示させても良い。
【0037】
また上位処理装置200は、複数の日それぞれごとに動作パターンデータUPDを記憶するパターン記憶部235を備えていてもよい。この場合、ユーザ端末装置100の使用検出部130は、日単位で動作パターンデータUPDを生成して上位処理装置200に送信する。そして上位処理装置200のデータ生成部240は、複数の日それぞれに重み付け定数を設定し、重み付け定数を用いて複数の日における動作パターンデータUPDを加重平均することにより、端末制御データを生成するときに用いる動作パターンデータUPDを生成する。例えばデータ生成部240は、新しい日ほど重み付け定数が大きくなるようにしても良いし、平日のみの動作パターンデータUPDを抽出できるように、休日の重み付け定数を0にしても良いし、曜日単位で動作パターンデータUPDを抽出できるように、所望する曜日以外の曜日における重み付け定数を0にしても良い。このようにすると、動作パターンデータUPDの精度が向上し、その結果、端末制御データTCDに基づく省電力化プログラムの制御の精度が向上する。
【0038】
また、上位処理装置200は、電力料金及び単位電力あたりの二酸化炭素排出量を時間帯別に示す電力料金データを記憶する電力料金データ記憶部244を備えていても良い。この場合、データ生成部240は、電力料金データ記憶部244から電力料金データを読み出し、読み出した電力料金データを用いて端末制御データTCDを生成する。例えばデータ生成部240は、電力料金が安い時間帯、または単位電力あたりの二酸化炭素排出量が少ない時間帯において、省電力モードの時間が短くなるように端末制御データTCDを生成する。またデータ生成部240は、電力料金が高い時間帯、または単位電力あたりの二酸化炭素排出量が多い時間帯のみ省電力化プログラムが動作するように端末制御データTCDを生成してもよい。
【0039】
またユーザ端末装置100が複数の電力供給元から電力の供給を受けることがある。電力供給元としては、電力会社に加えて、建物に取り付けられた太陽光発電や自家発電機もある。この場合、電力料金データ記憶部244は、複数の電力供給元それぞれの単位電力あたりの電力料金又は二酸化炭素排出量を示す電力データを記憶している。そしてデータ生成部240は、電力料金データ記憶部244から電力データを読み出し、読み出した電力データを用いて端末制御データTCDを生成する。例えばデータ生成部240は、電力が安い電力供給元、または単位電力あたりの二酸化炭素排出量が少ない電力供給元を選択するようにする。またデータ生成部240は、電力料金または二酸化炭素排出量が基準以下の電力供給元を選択しているとき、省電力モードの時間が短くなるように端末制御データTCDを生成してもよい。
【0040】
さらに、上位処理装置200は、端末制御データTCDの設定以前と設定以後との少なくとも動作パターンデータUPDを可視化した結果画像データRGDをユーザグループUGごとに生成する結果生成部270と、生成された結果画像データRGDをユーザグループUGごとに表示出力する結果表示部280と、も有する。
【0041】
なお、結果生成部270は、端末制御データTCDの設定以前と設定以後との少なくとも動作パターンデータUPDの差分を可視化した結果画像データRGDを生成する。さらに、結果生成部270は、動作パターンデータUPDを温室効果ガスであるCOの少なくとも排出量に換算した結果画像データRGDも生成する。
【0042】
また結果生成部270は、端末制御データの設定による電力の削減率または削減量を示す削減データを生成し、結果表示部280は削減データを表示出力しても良い。例えば結果生成部270は、一日あたりのユーザ端末装置100の消費電力量を、端末制御データの設定前後で比較する(例えば一方の消費電力量を他方の消費電力量で除する)ことにより、削減データを生成してもよいし、端末制御データTCDに従って省電力モードに切り替わっていた時間をカウントし、この時間と((通常モードの消費電力)−(省電力モードの消費電力))の積を算出することにより削減データを生成しても良い。また結果生成部270は、通常モードとして動作していた時間に基づいて削減データを生成しても良い。この場合、削減データは、例えば通常モードとして動作していた時間を、端末制御データTCDの設定前後で比較する(例えば一方の時間を他方の時間で除する)ことにより、削減データを生成してもよい。
【0043】
ユーザ端末装置100は、端末制御データTCDによる制御が行われない場合でも、第1の時間操作が行われなかったときに第1省電力モードに移行する場合がある。この場合、端末制御データは、第1の時間以下の時間である第2の時間ユーザ端末装置100の操作が行われなかったときに、ユーザ端末装置100を第1省電力モードより消費電力が少ない第2省電力モードに移行させる。そして結果生成部270は、端末制御データによる省電力化が行われた時間、第1省電力モードにおける消費電力量、及び第2省電力モードにおける消費電力量に基づいて、削減データを生成する。
【0044】
具体例を図32及び図33を用いて説明する。図32及び図33に示す例において、ユーザ端末装置100は、不使用モード、モニタOFFモード、スタンバイモード、休止状態モード、及び電源OFFモードという複数の省電力モードを有している。これら省電力モードにおける消費電力は、この順に多い。
【0045】
ここで不使用モードとは、1)キーボードやマウス等の入力機器を操作している状態、2)画面等の出力機器を使用している(閲覧等)状態、3)バックグラウンドにてプログラムが何らかの処理を行っている状態、4)モニタOFFモード、5)スタンバイモード、6)休止状態モード、7)電源OFFモード、の何れでもない状態を示す。
【0046】
図32に示す例において、端末制御データによる制御が行われる場合、ユーザ端末装置100は、操作が行われない時間が長くなるにつれて、不使用モード、モニタOFFモード、スタンバイモード、休止状態モード、電源OFFモードの順に、段階的に省電力モードに移行する(図32(a))。このような制御が行われた場合、各省電力モードに移行していた時間を実測することにより、実際の消費電力を求めることができる。この実測値をSとする。
【0047】
一方、ユーザ端末装置100は、端末制御データによる制御が行われない場合、一定時間操作が行われなかった場合に、不使用モードのみに移行するように設定されている(図32(b))。このため、不使用モードにおける単位時間当たりの消費電力と、省電力化プログラムによる省電力化が行われていた時間の積を、端末制御データによる制御が行われなかった場合におけるユーザ端末装置100の消費電力として推定することができる。この推定値をSとする。
【0048】
上位処理装置200は、各ユーザ端末装置100において端末制御データによる省電力化が行われたときに、ユーザ端末装置100が使用されていた時間及び各省電力モードに移行していた時間を各ユーザ端末装置100から受信する。そして結果生成部270は、上記したS及びSを算出し、((S−S)/S)×100をエコスコアとして算出する。また結果生成部270は、S及びSに加えて、使用中における消費電力Sを算出し、((S−S)/S+S)×100を削減率として算出する。
【0049】
また図33に示す例において、ユーザ端末装置100は、端末制御データによる制御が行われない場合においても、操作が行われない時間が長くなるにつれて、不使用モード、モニタOFFモード、スタンバイモード、休止状態モード、電源OFFモードの順に、段階的に省電力モードに移行する。ただしユーザ端末装置100は、端末制御データによる制御が行われたとき、より早いタイミングで、不使用モード、モニタOFFモード、スタンバイモード、休止状態モード、電源OFFモードの順に、段階的に省電力モードに移行する。このような場合においても、上位処理装置200の結果生成部270は、図32に示した例と同様の方法により、S及びSを算出し、さらにエコスコア及び削減率を算出する。
【0050】
なお、ユーザ端末装置100は、少なくとも各種データを表示出力するデータ表示機能を有する。そこで、上位処理装置200のデータ配信部250は、生成された結果画像データRGD及び削減データを対応するユーザ端末装置100に送信して表示出力させる。
【0051】
なお、ユーザ端末装置100は、少なくとも一部のコンピュータリソースの動作に対応してカウント値を発生するパフォーマンスモニタがソフトウェアの少なくとも一部として実装されている。
【0052】
なお、ユーザ端末装置100は、ソフトウェアの一部としてオペレーティングシステムであるOS(Operating System)が実装されており、このOSにパフォーマンスモニタとAPI関数とが標準機能として実装されている。
【0053】
このため、詳細には実施例として後述するが、省電力化プログラムPEPが実装されたユーザ端末装置100の使用検出部130は、上述のパフォーマンスモニタのカウント値により少なくとも一部のコンピュータリソースの稼働状態を各種使用として検出することで動作パターンデータUPDを生成する。
【0054】
また、ユーザ端末装置100は、ハードウェアの一部としてCPUが搭載されている。このため、使用検出部130は、パフォーマンスモニタによるCPUのカウント値により少なくともCPUの稼働状態を検出して動作パターンデータUPDを生成する。
【0055】
さらに、ユーザ端末装置100は、ハードウェアの一部としてRAM等の物理メモリが実装されている。このため、使用検出部130は、パフォーマンスモニタによるCPUの特定のカウント値から物理メモリの稼働状態を所定の演算式で算出して動作パターンデータUPDを生成する。
【0056】
また、ユーザ端末装置100は、ハードウェアの少なくとも一部としてGPUが搭載されている。このため、使用検出部130は、パフォーマンスモニタによるCPUの特定のカウント値からGPUの稼働状態を所定の演算式で算出して動作パターンデータUPDを生成する。
【0057】
また、ユーザ端末装置100は、ソフトウェアの少なくとも一部としてAPI関数が実装されており、ハードウェアの少なくとも一部としてディスプレイユニットが搭載されている。このため、使用検出部130は、特定のAPI関数によりディスプレイユニットの稼働状態を検出して動作パターンデータUPDを生成する。
【0058】
また、上位処理装置200は、標準パターン記憶部246を有している。標準パターン記憶部246は、標準動作パターンデータを記憶している。標準動作パターンデータは、ユーザ端末装置100の使用目的(仕事の属性又は私用目的など)それぞれごとに設けられており、その使用目的における標準的なユーザ端末装置100の動作パターンを示している。なお、標準動作パターンデータは、エンドユーザの入力に従って生成され、パターン送信部140を介して上位処理装置200に送信され、最初の動作パターンデータとしてパターン記憶部235に記憶されてもよい。エンドユーザは、例えば勤務する曜日、始業時刻、終業時刻、及び昼休みの時間帯を入力することにより、標準動作パターンデータの入力を行う。
【0059】
そして上位処理装置200のデータ生成部240は、動作パターンデータUPDがユーザ端末装置100から送信される前に、まず標準動作パターンデータを用いて端末制御データTCDを生成し、この端末制御データTCDをユーザ端末装置100に送信しても良い。ここでどの標準動作パターンデータを用いるかは、例えばエンドユーザがユーザ端末装置100を介して選択する。その後、端末制御データTCDが設定された省電力化プログラムによってユーザ端末装置100の制御が行われた状態において使用検出部130は動作パターンデータUPDを生成し、生成した動作パターンデータUPDを上位処理装置200に送信する。このようにすると、後述するように端末制御データTCDを修正していくときに、早く端末制御データの精度が向上する。
【0060】
また、省電力化プログラムPEPは、様々なユーザ端末装置100の構築に利用される各種のコンピュータリソースの主要製品の各種動作と消費電力との関係からなるリソース電力データが登録されている。
【0061】
このため、使用検出部130は、リソース電力データにより搭載されているハードウェアを特定する。そして、データ生成部240は、リソース電力データに対応して端末制御データTCDを生成する。
【0062】
省電力化プログラムPEPは、ハードウェアの各種条件から消費電力を推算する演算式も登録されている。このため、使用検出部130は、搭載されているハードウェアの各種条件を検出する。そして、データ生成部240は、演算式によりハードウェアの消費電力を推算して端末制御データTCDを生成する。
【0063】
上述のような上位処理装置200とユーザ端末装置100とは、各々に専用のコンピュータプログラムが実装されており、そのコンピュータプログラムに対応して各種動作を実行することにより、上述の各部210〜,110〜が論理的に実現されている。
【0064】
例えば、プログラム記憶部210とグループ記憶部260とは、上位処理装置200が実装されているコンピュータプログラムに対応して認識するように、HDD(Hard Disc Drive)等の記憶デバイス(図示せず)に構築された記憶エリアなどに相当する。
【0065】
また、プログラム配信部220とパターン受信部230とデータ配信部250とは、上位処理装置200がコンピュータプログラムに対応して、通信I/F(Interface)等の通信デバイス(図示せず)にデータ通信を実行させる機能などに相当する。
【0066】
データ生成部240と結果生成部270とは、上位処理装置200がコンピュータプログラムに対応して、CPU等からなるコンピュータユニット(図示せず)に所定のデータ処理を実行させる機能などに相当する。
【0067】
結果表示部280は、上位処理装置200がコンピュータプログラムに対応してLCD(Liquid Crystal Display)等のディスプレイデバイス(図示せず)にデータ表示を実行させる機能などに相当する。
【0068】
また、プログラム受信部110は、例えば、ユーザ端末装置100が実装されているコンピュータプログラムであるOSに対応して通信I/F等の通信デバイス(図示せず)にデータ通信を実行させる機能などに相当する。
【0069】
プログラムインストール部120は、例えば、ユーザ端末装置100が実装されているコンピュータプログラムであるOSに対応してアプリケーションプログラムをインストールする機能などに相当する。
【0070】
使用検出部130とデータ設定部160と端末制御部170とは、例えば、ユーザ端末装置100がインストールされたアプリケーションプログラムである省電力化プログラムPEPに対応して、コンピュータユニット(図示せず)に所定のデータ処理を実行させる機能などに相当する。
【0071】
パターン送信部140とデータ受信部150とは、例えば、ユーザ端末装置100がインストールされた省電力化プログラムPEPに対応して通信I/F等の通信デバイスにデータ通信を実行させる機能などに相当する。
【0072】
上述のような上位処理装置200のためのコンピュータプログラムは、例えば、アプリケーションプログラムの一つである省電力化プログラムPEPを記憶するプログラム記憶処理と、記憶されている省電力化プログラムPEPをユーザ端末装置100に配信してインストールさせるプログラム配信処理と、インストールされた省電力化プログラムPEPにより検出されて送信されるユーザ端末装置100の各種動作を反映した動作パターンデータUPDを受信するパターン受信処理と、受信された動作パターンデータUPDを所定のアルゴリズムで解析して省電力化プログラムPEPにユーザ端末装置100を省電力に制御させる端末制御データTCDを生成するデータ生成処理と、生成された端末制御データTCDを対応するユーザ端末装置100に送信してインストールされている省電力化プログラムPEPに設定させるデータ配信処理と、省電力化プログラムPEPを配信するユーザ端末装置100を複数のユーザグループUGに区分して記憶するグループ記憶処理と、端末制御データTCDの設定以前と設定以後との少なくとも動作パターンデータUPDを可視化した結果画像データRGDをユーザグループUGごとに生成する結果生成処理と、生成された結果画像データRGDをユーザグループUGごとに表示出力する結果表示処理と、を上位処理装置200に実行させるように記述されている。
【0073】
また、初期状態のユーザ端末装置100のためのOS等のコンピュータプログラムは、例えば、上位処理装置200から配信される省電力化プログラムPEPを受信するプログラム受信処理と、受信された省電力化プログラムPEPをインストールするプログラムインストール処理と、をユーザ端末装置100に実行させるように記述されている。
【0074】
そして、上述のように上位処理装置200に記憶されていてユーザ端末装置100にインストールされる省電力化プログラムPEPは、例えば、各種動作を反映した動作パターンデータUPDを検出する使用検出処理と、検出された動作パターンデータUPDを上位処理装置200に送信するパターン送信処理と、動作パターンデータUPDの送信に対応して上位処理装置200から端末制御データTCDを受信するデータ受信処理と、受信された端末制御データTCDを省電力化プログラムに設定するデータ設定処理と、端末制御データTCDが設定された省電力化プログラムによる制御を許容する端末制御処理と、をユーザ端末装置100に実行させるように記述されている。
【0075】
上述のような構成において、本実施の形態のデータ処理システム1000では、例えば、各種企業などの複数のユーザグループUGのエンドユーザEUごとにユーザ端末装置100があり、複数のユーザグループUGと業務提携するサービスプロバイダSPに上位処理装置200がある。
【0076】
このサービスプロバイダSPは、図3に示すように、いわゆるインターネットなどの通信ネットワークINに、省電力化プログラムPEPを無償や有償で配布するウェブサイト(図示せず)を上位処理装置200により開設している(ステップS1)。
【0077】
そこで、例えば、そのサービスプロバイダSPと業務提携するユーザグループUGのユーザ端末装置100は、図4に示すように、指定されたユーザID所定のアルゴリズムによりデータとパスワードの入力などにより、上述のウェブサイトを閲覧することができる(ステップT1)。
【0078】
このウェブサイトには、例えば、省電力化プログラムPEPのダウンロード方法などの各種の案内が表記されている。そこで、エンドユーザEUがユーザ端末装置100から上位処理装置200に省電力化プログラムPEPの要求を送信すると(ステップT2−Y,S2−Y)、これを受信した上位処理装置200からユーザ端末装置100に省電力化プログラムPEPが配信される(ステップS3,T3)。
【0079】
このユーザ端末装置100では、受信した省電力化プログラムPEPがインストールされる(ステップT4)。このユーザ端末装置100では、図5に示すように、例えば、起動されると省電力化プログラムPEPが自動実行されて常駐される(ステップT11)。
【0080】
すると、その省電力化プログラムPEPは、各種動作を反映した動作パターンデータUPDを検出する(ステップT12)。この動作パターンデータUPDの検出は所定のアルゴリズムにより、例えば、エンドユーザEUが起動するコンピュータプログラムの種類や個数、そのコンピュータプログラムへのエンドユーザEUの入力操作の時間や頻度、上述のようなコンピュータプログラムに対応して動作する各種のハードウェアの種類や時間、等をリアルタイムに記録することなどで実行される。一つのユーザ端末装置100を複数のエンドユーザが共用する場合、動作パターンデータUPDの検出は現在ユーザ端末装置100を使用しているエンドユーザのユーザ識別情報に対応付けて行われる。ユーザ識別情報は、例えばエンドユーザがユーザ端末装置100の使用を開始するときにユーザ端末装置100に入力する。
【0081】
より具体的には、実施例として後述するが、省電力化プログラムPEPが実装されたユーザ端末装置100は、OSのパフォーマンスモニタのカウント値により、CPUおよびGPUの稼働状態を検出する。
【0082】
また、パフォーマンスモニタによるCPUの特定のカウント値から物理メモリの稼働状態を所定の演算式で算出する。さらに、特定のAPI関数によりディスプレイユニットの稼働状態を検出する。そこで、上述のような各種のコンピュータリソースの稼働状態の検出結果から、そのエンドユーザEUの動作パターンデータUPDを生成する。
【0083】
上述のように検出される動作パターンデータUPDは、例えば、一週間などの所定タイミングごとに(ステップT13−Y)、省電力化プログラムPEPによりユーザ端末装置100から上位処理装置200に送信される(ステップT14)。
【0084】
このとき、当然ながら送信される動作パターンデータUPDには、そのエンドユーザEUごとのユーザ識別情報(ユーザIDデータ)、ユーザグループUGごとのグループ識別情報(グループIDデータ)、などが付与される。
【0085】
図3に示すように、この動作パターンデータUPDを受信した上位処理装置200では(ステップS4−Y)、その動作パターンデータUPDがユーザグループUGおよびエンドユーザEUごとにパターン記憶部235に保存される(ステップS5)。なお、動作パターンデータUPDがユーザグループUGごとにパターン記憶部235に保存される場合、動作パターンデータUPDは、ユーザグループUG単位で平均化された状態でパターン記憶部235に保存されても良い。このようにすると、エンドユーザ個人の行動パターンを特定したくない場合に、エンドユーザ個人の行動パターンを特定できなくなる。この場合、ユーザグループUGは会社単位ではなく、さらに細かい単位(例えば部単位や課単位)で設定されているのが好ましい。
【0086】
そして、この保存された動作パターンデータUPDが解析され(ステップS6)、端末制御データTCDが例えばユーザグループUG単位又はエンドユーザEUそれぞれごとに生成される(ステップS7)。この端末制御データTCDの生成は所定のアルゴリズムにより、例えば、エンドユーザEUが起動しても操作頻度が低いコンピュータプログラムを検出することなどで実行される。
【0087】
より具体的には実施例として後述するが、ユーザ端末装置100では、必要により省電力化プログラムPEPによりリソース電力データでコンピュータリソースが特定されて動作パターンデータUPDに設定される。そこで、上位処理装置200では、動作パターンデータUPDに設定されているリソース電力データも利用して端末制御データTCDを生成する。
【0088】
さらに、ユーザ端末装置100では、必要により省電力化プログラムPEPにより搭載されているハードウェアの各種条件も検出されて動作パターンデータUPDに設定される。そこで、上位処理装置200では、動作パターンデータUPDから所定の演算式によりハードウェアの消費電力を推算して端末制御データTCDを生成する。
【0089】
なお、上位処理装置200のデータ生成部240は、端末制御データTCDをユーザグループUGそれぞれごと又はエンドユーザEUそれぞれごとに生成する場合、複数のユーザグループUG又はエンドユーザEUそれぞれごとに、異なる基準で端末制御データTCDを生成してもよい。例えばデータ生成部240は、動作パターンデータUPDから削減余地が大きいと推定されるユーザグループUG又はエンドユーザEUに対しては、省電力モードの時間が長くなるような基準を使用して端末制御データTCDを生成する。
【0090】
上位処理装置200は、上述のように生成した端末制御データTCDを対応するユーザ端末装置100に返信する(ステップS8)。端末制御データTCDがエンドユーザEU単位で生成している場合、上位処理装置200は端末制御データTCDとともにユーザ識別情報もユーザ端末装置100に返信する。図5に示すように、この端末制御データTCDを受信したユーザ端末装置100では(ステップT15−Y)、受信された端末制御データTCDが省電力化プログラムPEPに設定される(ステップT16)。ユーザ端末装置100を複数のエンドユーザが共用する場合、ユーザ端末装置100では、現在のエンドユーザから入力されたユーザ識別情報に対応する端末制御データTCDが省電力化プログラムPEPに設定される。
【0091】
すると、このユーザ端末装置100では、端末制御データTCDが設定された省電力化プログラムPEPにより省電力化制御が実行される(ステップT17)。この省電力化制御は、例えば、起動されても操作頻度が低いコンピュータプログラムをシャットダウンすることなどで実行される。
【0092】
このユーザ端末装置100は、上述のように省電力化制御が実行された状態でも(ステップT17)、その省電力化制御が実行された状態での動作パターンデータUPDを検出する(ステップT12)。なおユーザ端末装置100の使用検出部130は、端末制御データTCDが設定された省電力化プログラムPEPによりユーザ端末装置100が制御された後、エンドユーザが省電力化プログラムPEPによる制御とは異なるユーザ端末装置100の使用を行った場合に、当該使用に基づいてエラー情報を生成する。たとえば端末制御データTCDに従ってユーザ端末装置100が省電力モードに移行した後、端末制御データTCDに従ってユーザ端末装置100が通常モードに復帰する前に、エンドユーザがユーザ端末装置100を通常モードに復帰させた場合、エラー情報が生成される。また端末制御データTCDに従ってユーザ端末装置100が省電力モードから通常モードに復帰した後、エンドユーザがユーザ端末装置100を所定時間以上使用しなかった場合も、エラー情報が生成される。
【0093】
そして、この動作パターンデータUPDが一週間などの所定タイミングごとに(ステップT13−Y)、省電力化プログラムPEPによりユーザ端末装置100から上位処理装置200に送信される(ステップT14)。使用検出部130がエラー情報を検出している場合、動作パターンデータUPDとともにエラー情報も上位処理装置200に送信される。
【0094】
このとき、送信される動作パターンデータUPD及びエラー情報には、例えば、現在設定されている端末制御データTCDも付与される。図3に示すように、この動作パターンデータUPD及びエラー情報を受信した上位処理装置200では(ステップS4−Y)、その動作パターンデータUPD及びエラー情報がユーザグループUGおよびエンドユーザEUごとに保存される(ステップS5)。
【0095】
そして、この保存された動作パターンデータUPD及びエラー情報が解析されて端末制御データTCDが再度生成(修整)され(ステップS6,S7)、対応するユーザ端末装置100に返信される(ステップS8)。例えば端末制御データTCDに従ってユーザ端末装置100が省電力モードに移行してから通常モードに復帰する前に、エンドユーザがユーザ端末装置100を通常モードに復帰させた場合、端末制御データTCDは、省電力モードに移行するための条件がきつくなるように修整される。また端末制御データTCDに従ってユーザ端末装置100が省電力モードから通常モードに復帰した後、エンドユーザがユーザ端末装置100を所定時間以上使用しなかった場合、端末制御データTCDは、省電力モードから通常モードに復帰するための条件がきつくなるように修整される。
【0096】
図5に示すように、この端末制御データTCDを受信したユーザ端末装置100では(ステップT15−Y)、再度受信された端末制御データTCDが省電力化プログラムPEPに再度設定される(ステップT16)。
【0097】
上述のようにユーザ端末装置100と上位処理装置200とが動作パターンデータUPDの送信と端末制御データTCDの送信とを繰り返すことにより、この端末制御データTCDが段階的に最適化される。
【0098】
さらに、上位処理装置200は、例えば、一月経過のタイミング検出などにより、動作パターンデータUPDを充分に収集したと判断する(ステップS9)。すると、前述のように蓄積した動作パターンデータUPDを読み出し(ステップS10)、結果画像データRGDを生成する(ステップS11)。
【0099】
より具体的には、上位処理装置200は、前述のように多数のユーザ端末装置100から受信する動作パターンデータUPDをユーザグループUGおよびエンドユーザEUごとに保存する(ステップS5)。
【0100】
そして、例えば、端末制御データTCDの設定以前と設定以後との少なくとも動作パターンデータUPDを可視化した結果画像データRGDをエンドユーザEUごとに生成する。このとき、動作パターンデータUPDを温室効果ガスであるCOの排出量に換算した結果画像データRGDも生成される(図示せず)。なお、結果画像データRGDに加えて、上記した削減データを生成しても良い。
【0101】
このように生成された結果画像データRGDは、図6に示すように、そのエンドユーザEUの氏名などのユーザ識別データとともに上位処理装置200のディスプレイデバイス(図示せず)に表示出力される(ステップS12)。削減データが生成されている場合、削減データもディスプレイデバイスに表示出力される。
【0102】
このため、サービスプロバイダSPでは、端末制御データTCDの設定以前と設定以後とのユーザ端末装置100の動作パターンデータUPDが、エンドユーザEUごとに結果画像データRGDにより確認される。
【0103】
さらに、上位処理装置200は、上述のようにエンドユーザEUごとに生成した結果画像データRGDを対応するユーザ端末装置100に送信する(ステップS13)。そのユーザ端末装置100では、受信した自身の結果画像データRGDが保存される(ステップT18−Y,T19)。削減データが生成されている場合、削減データもユーザ端末装置100に送信され、ユーザ端末装置100で保存される。
【0104】
そこで、そのエンドユーザEUが所望により結果画像の表示出力をユーザ端末装置100に入力操作すると(ステップT20−Y)、結果表示部180によって、その結果画像データRGDがディスプレイデバイス(図示せず)に表示出力される(ステップT21)。削減データが生成されている場合、削減データも結果表示部180によってディスプレイデバイスに表示される。
【0105】
このため、エンドユーザEUでも、自身のユーザ端末装置100の端末制御データTCDの設定以前と設定以後との動作パターンデータUPDが結果画像データRGDにより確認される。また削減データが表示されている場合、消費電力量の削減の度合いが確認される。
【0106】
また、上位処理装置200は、端末制御データTCDの設定以前と設定以後との少なくとも動作パターンデータUPDを可視化した結果画像データRGDをユーザグループUGごとにも生成する。
【0107】
このように生成された結果画像データRGDは、図7に示すように、そのユーザグループUGの社名などのグループ識別データとともに上位処理装置200のディスプレイデバイスに表示出力される(ステップS12)。
【0108】
このため、サービスプロバイダSPでは、例えば、端末制御データTCDの設定以前と設定以後との複数のユーザ端末装置100の各種動作を反映した動作パターンデータUPDの変化が、ユーザグループUGごとに結果画像データRGDにより確認される。
【0109】
さらに、上位処理装置200は、上述のようにユーザグループUGごとに生成した結果画像データRGDを、例えば、業務提携しているユーザグループUGの特定のユーザ端末装置100に送信する(ステップS13)。
【0110】
そのユーザ端末装置100では、受信した自身の結果画像データRGDが保存される(ステップT18−Y,T19)。そこで、そのエンドユーザEUが所望により結果画像の表示出力をユーザ端末装置100に入力操作すると(ステップT20−Y)、その結果画像データRGDがディスプレイデバイスに表示出力される(ステップT21)。
【0111】
このため、例えば、関連する複数のユーザグループUGごとの端末制御データTCDの設定以前と設定以後との複数のユーザ端末装置100の動作パターンデータUPDの変化が結果画像データRGDにより確認される。
【0112】
本実施の形態のデータ処理システム1000では、上述のようにユーザ端末装置100がインストールされているアプリケーションプログラムによりエンドユーザEUの入力操作に対応して各種動作を実行し、上位処理装置200がユーザ端末装置100とデータ通信する。
【0113】
この上位処理装置200は、アプリケーションプログラムの一つである省電力化プログラムPEPをプログラム記憶部210で記憶し、記憶されている省電力化プログラムPEPをプログラム配信部220がユーザ端末装置100に配信してインストールさせる。
【0114】
インストールされた省電力化プログラムPEPにより検出されて送信されるユーザ端末装置100の各種動作を反映した動作パターンデータUPDをパターン受信部230が受信する。
【0115】
受信された動作パターンデータUPDを所定のアルゴリズムで解析して省電力化プログラムPEPにユーザ端末装置100を省電力に制御させる端末制御データTCDをデータ生成部240が生成する。
【0116】
生成された端末制御データTCDをデータ配信部250が対応するユーザ端末装置100に送信してインストールされている省電力化プログラムPEPに設定させるので、そのユーザ端末装置100は端末制御データTCDが設定された省電力化プログラムPEPにより動作が省電力に制御されることになる。
【0117】
さらに、本実施の形態のデータ処理システム1000では、上位処理装置200は、端末制御データTCDが設定された省電力化プログラムPEPにより検出されて送信される動作パターンデータUPDも受信する。
【0118】
そして、受信された動作パターンデータUPDを解析して端末制御データTCDを修正し、修正された端末制御データTCDを対応するユーザ端末装置100に送信して省電力化プログラムPEPに設定させる。
【0119】
このようにユーザ端末装置100と上位処理装置200とが動作パターンデータUPDの送信と端末制御データTCDの送信とを繰り返すことにより、この端末制御データTCDを段階的に最適化することができる。このため、ユーザ端末装置100をエンドユーザEUの使用状態に対応して最適に省電力化することができる。
【0120】
しかも、本実施の形態のデータ処理システム1000では、上述のように上位処理装置200が、ユーザ端末装置100から収集して蓄積した動作パターンデータUPDから結果画像データRGDを生成して表示出力する。
【0121】
特に、端末制御データTCDの設定以前と設定以後との少なくとも動作パターンデータUPDを可視化した結果画像データRGDをエンドユーザEUごとに生成する。このため、省電力化プログラムPEPによるユーザ端末装置100の省電力化の結果を、複数のエンドユーザEUごとに一目で確認することができる。
【0122】
さらに、上位処理装置200は、上述のようにエンドユーザEUごとに生成した結果画像データRGDを対応するユーザ端末装置100に送信する。このため、エンドユーザEUは、自身のユーザ端末装置100の省電力化プログラムPEPによる省電力化の結果を一目で確認することができる。
【0123】
また、上位処理装置200は、端末制御データTCDの設定以前と設定以後との少なくとも動作パターンデータUPDを可視化した結果画像データRGDをユーザグループUGごとにも生成する。
【0124】
このため、省電力化プログラムPEPによるユーザ端末装置100の省電力化の結果を、複数のユーザグループUGごとに一目で確認することができる。従って、省電力化プログラムPEPによる省電力化の効果の相違を、例えば、業種や勤務形態で比較検討するようなこともできる。
【0125】
しかも、上位処理装置200は、上述のようなユーザグループUGごとの結果画像データRGDを、そのユーザグループUGの特定のユーザ端末装置100に送信することもできる。
【0126】
このため、例えば、ユーザグループUGの責任者が、そのユーザグループUGの複数のユーザ端末装置100の省電力化プログラムPEPによる省電力化の結果を一目で確認するようなこともできる。
【0127】
さらに、上位処理装置200は、動作パターンデータUPDを温室効果ガスであるCOの排出量に換算した結果画像データRGDも生成する。このため、省電力化プログラムPEPによる省電力化の結果を、地球温暖化の抑止効果として一目で確認することができる。
【0128】
しかも、ユーザ端末装置100は、少なくとも一部のコンピュータリソースの動作に対応してカウント値を発生するパフォーマンスモニタがソフトウェアの少なくとも一部として実装されており、パフォーマンスモニタのカウント値により少なくとも一部のコンピュータリソースの稼働状態を各種使用として検出する。
【0129】
特に、ユーザ端末装置100は、ハードウェアの一部としてCPUが搭載されており、パフォーマンスモニタによるCPUのカウント値により少なくともCPUの稼働状態を検出する。このため、簡単かつ確実にユーザ端末装置100のCPUの稼働状態を検出してユーザ端末装置100を効果的に省電力化することができる。
【0130】
さらに、ユーザ端末装置100は、ハードウェアの一部としてRAM等の物理メモリが実装されており、パフォーマンスモニタによるCPUの特定のカウント値から物理メモリの稼働状態を所定の演算式で算出する。
【0131】
また、ユーザ端末装置100は、ハードウェアの少なくとも一部としてGPUが搭載されており、パフォーマンスモニタによるCPUの特定のカウント値からGPUの稼働状態を所定の演算式で算出する。
【0132】
このため、直接には検出が困難なユーザ端末装置100の物理メモリやGPUの稼働状態を簡単に推算することができ、ユーザ端末装置100を効果的に省電力化することができる。
【0133】
また、ユーザ端末装置100は、ソフトウェアの少なくとも一部としてAPI関数が実装されており、ハードウェアの少なくとも一部としてディスプレイユニットが搭載されており、特定のAPI関数によりディスプレイユニットの稼働状態を検出する。
【0134】
このため、パフォーマンスモニタでは検出が困難なディスプレイユニットの稼働状態を簡単に検出することができ、ユーザ端末装置100を効果的に省電力化することができる。
【0135】
なお、ユーザ端末装置100は、ソフトウェアの一部としてオペレーティングシステムであるOSが実装されており、このOSにAPI関数が実装されている。従って、省電力化プログラムPEPはOSの機能を利用してユーザ端末装置100の稼働状態を検出することができる。
【0136】
また、省電力化プログラムPEPは、コンピュータリソースの主要製品の各種動作と消費電力との関係からなるリソース電力データが登録されている。そして、省電力化プログラムPEPは、リソース電力データにより搭載されているコンピュータリソースを特定し、上位処理装置200は、リソース電力データに対応して端末制御データTCDを生成する。このため、既存の主要製品で構築されているユーザ端末装置100の稼働状態を簡単かつ確実に検出して効果的に省電力化することができる。
【0137】
さらに、省電力化プログラムPEPは、ハードウェアの各種条件から消費電力を推算する演算式も登録されており、ユーザ端末装置100に搭載されているハードウェアの各種条件を検出する。
【0138】
そして、上位処理装置200は、演算式によりハードウェアの消費電力を推算して端末制御データTCDを生成する。このため、ユーザ端末装置100に搭載されているハードウェアの各種データが不明でも、その稼働状態を簡単に推算して効果的に省電力化することができる。
【0139】
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記形態ではユーザ端末装置100が上位処理装置200から省電力化プログラムPEPを受信してインストールし、その省電力化プログラムPEPで動作パターンデータUPDを生成して上位処理装置200に送信し、この上位処理装置200から受信する端末制御データTCDを省電力化プログラムPEPに設定することを例示した。
【0140】
しかし、上述のような省電力化プログラムPEPが、スタンドアロンのユーザ端末装置100にオフラインで実装されてもよい(図示せず)。その場合、ユーザ端末装置100は、省電力化プログラムPEPをコンピュータリソースの一部としてインストールするプログラムインストール部120と、インストールされた省電力化プログラムPEPによりコンピュータリソースのエンドユーザEUによる各種使用を検出して動作パターンデータUPDを生成する使用検出部130だけでなく、生成された動作パターンデータUPDを所定のアルゴリズムで解析して各種動作を省電力化する端末制御データTCDを生成するデータ生成部を、さらに有することになる(図示せず)。
【0141】
またこのユーザ端末装置100は、パターン記憶部235、スケジュールデータ記憶部242、電力料金データ記憶部244、及び標準パターン記憶部246それぞれに該当する記憶部を、さらに有することになる(図示せず)。そしてユーザ端末装置100のデータ生成部が行う動作は、上記したデータ生成部240が行う動作と同じになる。
【0142】
このユーザ端末装置100では、データ設定部160は、生成された端末制御データTCDを省電力化プログラムPEPに設定し、端末制御部170は、端末制御データTCDが設定された省電力化プログラムPEPによるコンピュータリソースの制御を許容する。このようなユーザ端末装置100では、上位処理装置200に依存することなくスタンドアロンで省電力化を実現することができる。
【0143】
当然ながら、このユーザ端末装置100は、少なくとも端末制御データTCDの設定以前と設定以後との動作パターンデータUPDを可視化した結果画像データRGDを生成する結果生成部と、生成された結果画像データRGDを表示出力する結果表示部とを、さらに有してもよい(図示せず)。この場合、やはりユーザ端末装置100が、上位処理装置200に依存することなくスタンドアロンで結果画像データRGDを生成して表示出力できることになる。
【0144】
さらに、上記形態では上位処理装置200が省電力化プログラムPEPを配信するユーザ端末装置100を複数のユーザグループUGに区分して記憶するが、端末制御データTCDはユーザ端末装置100ごとに生成されて送信されることを例示した。
【0145】
しかし、受信された動作パターンデータUPDをユーザグループUGごとに統合して端末制御データTCDを生成し、生成された端末制御データTCDを対応するユーザグループUGのユーザ端末装置100に送信してもよい。
【0146】
この場合、エンドユーザEUごとでなはくユーザグループUGごとに動作パターンデータUPDが解析されて端末制御データTCDが生成されるので、その解析と生成の処理負担を軽減することができ、省電力化をユーザグループUGごとに実現することができる。
【0147】
また、上記形態では、上位処理装置200が、エンドユーザEUごとユーザグループUGごとに結果画像データRGDを生成することを例示した。しかし、省電力化プログラムPEPを配信した全部のユーザ端末装置100で統合した結果画像データRGDを生成してもよい。この場合、例えば、省電力化プロジェクトの全体結果を一目で確認することができる。
【0148】
さらに、本実施の形態では上位処理装置200の各部がコンピュータプログラムにより各種機能として論理的に実現されることを例示した。しかし、このような各部の各々を固有のハードウェアとして形成することもでき、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせとして実現することもできる。
【0149】
また、上記形態では通信ネットワークINとして現状のインターネットを例示したが、これが次世代のインターネットであるNGN(Next Generation Network)でもよい。
【0150】
なお、当然ながら、上述した実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態および変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。例えばパターン記憶部235に記憶されているエンドユーザに関する情報を、ユーザ識別情報又はグループ識別情報のみにした上で、上位処理装置200の管理者を複数設け、パターン記憶部235にのみアクセスできる管理者と、グループ記憶部260にアクセスできる管理者とに分けても良い。このようにすると、パターン記憶部235及びグループ記憶部260の双方にアクセスできる管理者がいなくなるため、管理者がエンドユーザを具体的に特定した上で動作パターンデータUPDを見ることができなくなり、個人情報を保護する観点で望ましくなる。
【0151】
また、上位処理装置は、複数のユーザ端末装置100における電力削減目標量を取得する目標取得部(図示せず)を有していても良い。そして結果生成部270は、端末制御データTCDの配信前後の動作パターンデータUPDに基づいて電力削減量を算出し、結果表示部280は、電力削減量と、電力削減目標量を対比可能に出力表示してもよい。
【0152】
[実施例]
なお、本発明者は実際に上述のような省電力化プログラムPEPを実際に試作し、パーソナルコンピュータからなるユーザ端末装置100に実装した。そこで、その省電力化の検証実験の結果を以下に本発明の実施例として例示する。
【0153】
[パフォーマンスモニタ利用]
オペレーティングシステムのパフォーマンスモニタには、ユーザ端末装置100を構成する各種ユニットの様々な挙動についてモニタリング可能なカウンタが用意されている。特定ユニットおよび本研究に関係のありそうなユニットに関する各種カウンタを表1にまとめた。
【0154】
表1より、GPU、ディスプレイユニット以外の特定ユニットには何らかのカウンタがあることがわかる。ただし、OSによって利用できるカウンタには差がある。カウンタは新規に作成することが可能であるが、これもOSによって作成可能なものと不可能なものがある。カウンタでモニタリングされたデータはログとして残すことが可能なので、分析等も容易である。

【表1−1】



【表1−2】



【表1−3】



以上の結果により、GPU、ディスプレイユニット以外の特定ユニットの稼働ステートのモニタリングについてはパフォーマンスモニタの利用を検討し、利用が不可能な場合のみ、他の方法を検討した。
【0155】
[CPUのモニタリング方法]
CPUの稼働に関するカウンタは「Processor Performance」、「Processor」というパフォーマンスオブジェクトに整理されている。各カウンタの詳細を調査すると、「Processor」のパフォーマンスオブジェクトにCPUの稼働ステート別の時間、比率を表示するカウンタが存在した。各カウンタの概要と対応機種などを表2に示す。

【表2】

上記の表2より、一部の機種については、CPUの全ての稼働ステート(C0〜C3)の存在時間をモニタリングできることが分かった。
【0156】
また、全ての機種について、CPUが通常稼働(C0)か、アイドリング状態(C1〜C3)かという区別であれば稼働ステートの存在時間をモニタリングできることが分かった。
【0157】
汎用性の高いシステムとするためには、全機種で利用可能な後者のカウンタの利用が望ましい。しかし、後者のカウンタを利用するためには、C1〜C3の稼働ステートを集約する必要がある。
【0158】
そこで、C1〜C3の稼働ステートの集約が消費電力の推算に与える影響を検討した。本発明者の調査結果により、CPUの各稼働ステートの消費電力は、C0とC1以上のステートの間に大きな開きがあり、C1〜C3の差は小刻みであることがわかっている。
【0159】
また、機種やOSによってステートは異なるが、アイドリング時に移行するステートは略指定(例えば、PC(Personal Computer)用の特定のOSではC2が多い)されており、C1〜C3の利用頻度は1種のステートに偏っていると想定される。
【0160】
よって、C1〜C3の区別の有無が消費電力の推算結果に与える影響は小さいと考えられた。そこで、C1〜C3をまとめてアイドリングという稼働ステートとして考えることとし、C0の通常稼働と合わせて二つにモニタリングする稼働ステートを集約した。
【0161】
以上のことから、CPUの稼働ステートのモニタリングは、全機種で利用可能な「%Processor Time」のカウンタを利用し、%Processor Timeで計上されるステートを通常稼働、%Idle Time(=100%−%Processor Time)で計上されるステートをアイドリングと割り当てることとした。
【0162】
なお、「Processor Performance」のパフォーマンスオブジェクトには、CPUの消費電力を直接表示するカウンタが存在する。しかし、現時点では対応機種が一部のノートタイプのユーザ端末装置100などに限られており汎用性が低い。このため、今回はこのカウンタの利用を見送った。
【0163】
[物理メモリのモニタリング方法]
RAMなどの物理メモリの稼働に関するカウンタは「Memory」というパフォーマンスオブジェクトに整理されている。しかし、このオブジェクトには、物理メモリのサイズに対する使用率や残量など、記憶容量に関するカウンタがほとんどで、稼働率や消費電力に関連するカウンタは存在しなかった。
【0164】
また、その他のモニタリング方法も調査したが、可能な方法は見つからなかった。このため、稼働ステートのモニタリングについては、物理メモリの動作に相関が最も強いと考えられるCPUのモニタリング結果から推測を行うこととした。
【0165】
CPUのカウンタを利用するためには、物理メモリの稼働ステートをカウンタに合わせて集約する必要がある。そこで、消費電力の推算に大きな影響を与えない稼働ステートの集約が可能かを検討した。
【0166】
本発明者の調査により、物理メモリの稼働ステートの内で消費電力に顕著な差が見られるのはリード・ライトとリフレッシュの間であり、リードとライトの差は小さいことが判明した。
【0167】
よって、リードとライトの区別の有無が消費電力の推算結果に差を与えるとは考えにくい。そこで、リードとライトをまとめて通常稼働という稼働ステートとして考えることとし、リフレッシュと合わせて二つにモニタリングする稼働ステートを集約した。
【0168】
以上のことから、物理メモリの稼働ステートのモニタリングは、CPUの「%Processor Time」のカウンタを利用し、%Processor Timeで計上されるステートを通常稼働、%Idle Time(=100%−%Processor Time)で計上されるステートをリフレッシュと割り当てることとした。
【0169】
[HDDのモニタリング方法]
HDDの稼働に関するカウンタは「Physical Disk」というパフォーマンスオブジェクトに整理されているため、これを利用することを検討した。各カウンタの詳細を調査すると、HDDの稼働ステート別の時間を表示するカウンタが存在した。各カウンタの概要を以下の表3に示す。

【表3】

表3より、HDDの消費電力に関連するカウンタは存在しないが全ての機種について、HDDのリード、ライト、アイドリングの稼働ステートの存在時間をモニタリングできることが分かった。
【0170】
しかし、このカウンタを利用するだけでは、スピンアップ、シーク、サスペンドのステートである場合が取得できない。そこで、稼働ステートの集約が消費電力の推算に与える影響を検討し、これらの稼働ステートの集約を試みた。
【0171】
調査した結果から、シーク、リード、ライトの消費電力差は小さいことがわかっている。さらに、概要からシークはカウンタ「%Disk Read Time」、「%Disk Write Time」に含まれていると考えられるため、区別しないこととした。
【0172】
また、スピンアップについては、他の稼働ステートに比べ消費電力に顕著な差が見られるが、実行される機会が少なく、HDDの稼働期間における比率は非常に低いと考えられることから、ユーザ端末装置100の消費電力には大きく影響しないとして、無視することとした。同様に、サスペンドについても、消費電力が小さく、ユーザ端末装置100の消費電力には大きく影響しないとして、オフと同一視することとした。
【0173】
以上のことから、HDDの稼働ステートのモニタリングは、全機種で利用可能な「%Disk Read Time」、「%Disk Write Time」、「%Idle Time」のカウンタを利用し、それぞれ、リード、ライト、アイドリングの稼働ステートを割り当てることとした。
【0174】
なおHDDは、大きく内蔵タイプと外付けタイプに分類されるため、内蔵HDDと同様にパフォーマンスモニタを利用した稼働ステートの把握可能性について調査を行った。
【0175】
調査結果から、パフォーマンスモニタのオブジェクト「PhysicalDisk」のカウンタを利用することで、USBなどを利用した外付けHDDも含めた、個々の物理的なHDDの稼働状況を把握することが可能と考えられた。そこで、接続形態の異なる四機種の外付けHDDについてパフォーマンスモニタによる稼働ステートの可否を実験した。この結果を表4に示す。
【0176】
【表4】

上記の表4より、LANケーブルによる接続形式の外付けHDD以外では、外付けHDDの稼働ステートをモニタリングできることが分かった。
【0177】
ただし、LANケーブルによる接続形式の外付けHDDは表4でもネットワークドライブとしてユーザ端末装置100に認識されているようにファイル共有サーバと同様の用途が一般的である。
【0178】
よって、複数のユーザ端末装置100と接続され個別のユーザ端末装置100に従属したユニットとみなしにくく、省電力化プログラムPEPで考慮すべきユニットとして適当でないと考え、今回は対応不要と考えた。
【0179】
[モニタリング方法]
パフォーマンスモニタにはGPUの稼働ステート・消費電力に関連するカウンタは存在しない。そこで、グラフィック処理が行われやすいソフトウェアの起動状況から稼働を推測することを検討したが、「ウインドウが開く」などの処理でもGPUは稼働してしまうため、適切でないと判断した。
【0180】
その他のモニタリング方法も調査したが、可能な方法は見つからなかった。このため、稼働ステートのモニタリングについては、GPUの動作に相関が最も強いと考えられるCPUのモニタリング結果から推測を行うこととした。
【0181】
CPUのカウンタを利用するためには、GPUの稼働ステートをカウンタに合わせて集約する必要がある。そこで、消費電力の推算に大きな影響を与えない稼働ステートの集約が可能かを検討した。
【0182】
本発明者が調査した結果、GPUの稼働ステートの内で消費電力に顕著な差が見られるのは通常稼働とアイドリングの間で、アイドリングとスタンバイ、サスペンド、オフの差は小さく、消費電力が小さいことがわかっている。
【0183】
また、スタンバイ、サスペンドについてはベンダによって任意に設定されるステートで、ベンダや種類によってない場合もある。よって、スタンバイ、サスペンドは、ユーザ端末装置100の消費電力には大きく影響しないとして、オフと同一視することとした。
【0184】
以上のことから、GPUの稼働ステートのモニタリングは、CPUの「%Processor Time」のカウンタを利用し、%Processor Timeで計上されるステートを通常稼働、%Idle Time(=100%−%Processor Time)で計上されるステートをアイドリングと割り当てることとした。
【0185】
[ディスプレイユニットのモニタリング方法]
パフォーマンスモニタにはディスプレイユニットの稼働ステート・消費電力に関連するカウンタは存在しない。基本的にディスプレイユニットはユーザ端末装置100の内蔵機器ではないため、他のユニットよりもユーザ端末装置100側から情報を取ることは難しい。
【0186】
そこで、ディスプレイユニットの稼働状況の把握方法について、新たにAPI関数を使用したいくつかの方法について調査を行った結果、三種類の関数等が有効とわかった。それぞれの関数の概要を以下の表5に示す。
【0187】
【表5】

[GetDevicePowerState]
ディスプレイユニットの稼働ステートが表示中かそれ以外であるかを取得できる関数。API関数「GetDevicePowerState」を消費電力計測、ユーザ端末装置100状態計測のたびに実行することで、リアルタイムな把握が可能である。直接的な把握方法であるため信頼性が高い。ただし、この関数は、例えば、PC用の特定のOSでディスプレイユニットがLCDの場合のみに活用可能である。
【0188】
[WM_POWERBROADCASTメッセージ]
ユーザ端末装置100の稼働ステートがサスペンドか表示中かを把握できるメッセージ。パワーマネージメントイベントの生起、もしくはアプリケーションがサスペンドへの移行や復帰などの操作のためにSetSystemPowerState機能を呼び出す時に、システムは常に全てのアプリケーションとインストールドライバにメッセージを送信するように設定されている。
【0189】
また、メッセージはパワーマネージメントのイベント毎に適切なwParamパラメータが設定され送信される。よって、wParamを調べることで、稼働ステートの変化を把握できる。
【0190】
ただし、このメッセージはディスプレイユニットではなく、システム(ユーザ端末装置100全体)の稼働を監視しているため、ディスプレイユニット単体の稼働ステートは把握できない。このメッセージはサーバ系の特定のOSで利用可能である。
【0191】
[SystemParametersInfo]
電源オプションの項目[ディスプレイユニットの電源を切る]が設定されているかどうかを取得できる関数。また、同関数でSPI_GETLOWPOWERTIMEOUTフラグを使用することによってタイムアウト値も取得できる。
【0192】
API関数「SystemParametersInfo」でSPI_GETLOWPOWERACTIVEフラグを使用することによって把握が可能である。ただし、設定の把握だけなので、ユーザ端末装置100の操作状況は別に把握する必要がある。この関数はサーバ系の特定のOSで利用可能である。
【0193】
調査結果から、ディスプレイユニットの稼働ステートのモニタリングは、ソフトウェア起動時に、例えば、PC用の特定のOSでディスプレイユニットがLCDであるかどうかを取得し、該当する機種については、1)の関数を利用することで表示中とサスペンドの稼働ステートをモニタリングすることとした。
【0194】
残りの機種(特定のOSと、特定のディスプレイユニットと、の組み合わせ)については、3)の関数とユーザ端末装置100の操作状況を利用し、以下の手順でディスプレイユニットの稼働ステートを判断することとした。
【0195】
1.ソフトウェア起動時に[アイドル開始時刻]を現在の時刻に設定する
2.マウスまたはキーボード操作があれば[アイドル開始時刻]をリセット(現在の時刻を設定)する。マウスまたはキーボード操作の監視はシステムフックを利用
3.計測時に[ディスプレイユニットの電源を切る]が設定されているか確認し、設定されていれば[タイムアウト値]を取得する。[アイドル開始時刻]と現在の時刻との差から[アイドル間隔]を取得する
4.計測時に[ディスプレイユニットの電源を切る]が設定されていない場合は、自動的にディスプレイユニットは表示中と判断する
5.計測時に[ディスプレイユニットの電源を切る]が設定されている場合は、[アイドル間隔]と[タイムアウト値]を比較
6.[アイドル間隔]≧[タイムアウト値]の場合、ディスプレイユニットはサスペンドと判断する
7.[アイドル間隔]<[タイムアウト値]の場合、ディスプレイユニットは表示中と判断する。
【0196】
また、マウスとキーボードの操作の監視にはシステムフック(グローバルフック)を使用した。ただし、フックの効力は特定の関数の呼び出しを行ったデスクトップ上のみに限られるため、以下の状況では操作を検出できないが、いずれも特殊な状況であるため、対処不要と考えた。
【0197】
Ctl+Alt+Del画面上
特殊なアプリケーション上
ログインするまで
パスワード付スクリーンセーバ起動時(パスワードなしのスクリーンセーバでは把握可能)。
【0198】
なお、スタンバイのステートについては、ベンダによって任意に設定されるステートで、消費電力値の公開もサスペンドと区別して行われていないことがヒアリング調査で明らかになっているため、サスペンドと同一とみなした。
【0199】
[電源のモニタリング方法]
定義した電源の稼働ステータスは、「電力負荷の高低」というユーザ端末装置100の稼働状態と「充電の有無」という電源の稼働状態との組み合わせで把握可能である。
【0200】
1)「電力負荷の高低」のモニタリング
ユーザ端末装置100の電力負荷の高低は高負荷、低負荷の定義に基づき、稼働状況がサスペンド以下(サスペンド、ハイバーネーション、オフ)の場合が低負荷、それ以上の場合が高負荷となる。
【0201】
ユーザ端末装置100がサスペンド以下であるかどうかのモニタリングについては、ディスプレイユニット同様、キーボードやマウスなどの未操作期間を把握、ユーザ端末装置100の電源設定(稼働ステートを移行させる未操作期間の設定)と照らし合わせることにより、移行対象となっている各ユニットの稼働ステートを把握する手法を利用することとした。
【0202】
2)「充電の有無」のモニタリング
ここで、充電の有無というステートの分類には、「充電時の電力ロス」、「バッテリ使用時の稼働変化」、「電力の供給元・用途の変化」という三つの意義が考えられる。それぞれについて、本研究の目的と照らし合わせて、ステートを分類する意義について検討した。
【0203】
充電時の電源ロス:電池メーカへのヒアリング結果から、電源ロスはACからDCへ変換する際に発生するものがほとんどであり、充電によるロスはほとんどないことが分かっている。よって、この側面ではステートを分類する意義はない。
【0204】
バッテリ使用時の稼働変化:バッテリ使用時は、CPUの消費電力がSpeedStepなどの省電力機能によって変化する。また、ディスプレイユニットも明るさが自動で変更される設定がされている場合がある。
【0205】
よって、純粋に消費電力のモニタリングだけを行う場合、充電の有無は消費電力に影響を与える要因となり、モニタリングする必要がある。ただし、本研究では来年度以降の開発で各ユニットの制御も行うこととしており、そこではこれらの既存の制御アルゴリズムは踏襲しない予定である。また、これらの既存の省電力機能は手動で変更できるため、本開発における消費電力のモニタリングではステートを分類する必要はない。
【0206】
電力の供給元・用途の変化:バッテリを使用するということは電力が供給された場所と利用する場所が異なる可能性がある。
【0207】
これは、仕事で使用するユーザ端末装置100の充電が家庭で行われたり、外出先でユーザ端末装置100が使用されたりと、時間的・空間的な相違が起きるため、集計を行う際に整理が複雑になる。
【0208】
よって、事業所などの空間で厳密な集計を行う際には充電の有無は消費電力の集計に考慮する必要があり、モニタリングする必要がある。ただし、本研究の目的は全体的な省エネ効果であり、利用目的に対する電力消費を下げることが重要である。よって、本開発における消費電力のモニタリングではこの側面でもステートを分類する必要はない。
【0209】
以上のことから、本開発の目的では充電の有無はステートとして区別する必要がなく、モニタリングも不要であることがわかった。以上のことから、電源の稼働ステートのモニタリングは、ユーザ端末装置100の未操作期間の把握を利用し、高負荷時と低負荷時を把握することとした。
【0210】
なお、今回の開発では使用しないが、電源の稼働に関するカウンタは「BatteryStatus」というパフォーマンスオブジェクトに整理されている。参考までに、電源の充電の有無を表示する各カウンタの概要を以下の表6に示す。
【0211】
【表6】

以上の表6より、一部の機種については、充電の有無等をモニタリングできることが分かった。
【0212】
[複数のユニットが接続された場合のモニタリング]
ユニット構成の取得は、同一種のユニットを複数接続したユーザ端末装置100の消費電力を推算するためには、挙動が独立しているかどうかにかかわらず、接続している全てのユニットそれぞれについて、対応する消費電力性能を登録する必要がある。
【0213】
また、消費電力の変動が少ないまたはユーザ端末装置100全体への寄与が小さいことから一定値としている一般ユニットの消費電力を、ユーザ端末装置100の標準消費電力と、デフォルトの構成に含まれている特定ユニットの標準消費電力の差で算出するため、デフォルトの構成に含まれているユニットか、後から付け足されたユニットかの区別も必要である。これらの情報は利用者の登録により取得することとした。
【0214】
また、複数接続された同一種のユニットの挙動は、ユニットによって独立しているものと連動しているものが考えられる。各ユニットの稼働ステートをモニタリングする際、おのおの独立した挙動を示すユニットについては、稼働ステートのモニタリングをそれぞれ行う必要がある。
【0215】
HDD、物理メモリ、ディスプレイユニットの内、物理メモリは複数枚のモジュールで構成されているが、挙動は連動しており、実質的にはメモリ容量を合計した一つのユニットとして扱える。
【0216】
また、ディスプレイユニットも電源管理機能がこれらを区別せず連動するため、別々に把握する必要はない。このため、個別のモニタリングが必要なユニットはHDDのみである。
【0217】
HDDの稼働ステートは、内蔵、外付けを問わず、パフォーマンスモニタを利用することで個別にモニタリングできる。よって、これを利用することとした。ディスプレイユニット、物理メモリに関しては単独の場合と同じ稼働ステートのモニタリング結果を適用することとした。
【0218】
[ユーザ端末装置の消費電力の推算式構築]
これまでの調査結果である、具体化した特定ユニット、デスクトップ型とノート型の相違等を所定の演算式に反映させると、各稼働状態Kでのユーザ端末装置100の消費電力の推算式は、デスクトップ型は数1の数式、ノート型は数2の数式のように表される。

[デスクトップ型]
【数1】

ここで、一般ユニットの項({}内)は、測定条件が安定しており、かつカタログ等から入手しやすい標準消費電力の値の利用を優先して構築している。また、電源ロスはユーザ端末装置100全体の電力消費に対応して発生しているため、補正項として加えた。

[ノート型]
【数2】

一般ユニットの項({}内)は、デスクトップ型同様に、測定条件が安定しており、かつカタログ等から入手しやすい標準消費電力の値の利用を優先して構築している。デスクトップ型との違いはディスプレイユニットを内部機器として扱っている点と、電源ロス(効率)の値の違いである。
【0219】
[CPUの消費電力の推算]
CPUの各稼働ステートの消費電力は以下の推算式・推算値で表される。
【0220】
【数3】

[物理メモリの消費電力の推算]
物理メモリの各稼働ステートの消費電力は以下の推算式・推算値で表される。
【0221】
【数4】


[HDDの消費電力の推算]
内蔵HDD、外付けHDDともに、各稼働ステートの消費電力は以下の推算式・推算値で表される。
【0222】
【数5】

[GPUの消費電力の推算]
GPUの各稼働ステートの消費電力は以下の推算式・推算値で表される。
【0223】
【数6】

[ディスプレイユニットの消費電力の推算]
ディスプレイユニットの各稼働ステートの消費電力は以下の推算値で表される。
【0224】
【数7】

[消費電力性能データの収集システム]
最大消費電力や標準消費電力など、一定の条件で測定・算出された消費電力データを消費電力性能と呼ぶこととする。省電力化プログラムPEPは正確な消費電力性能の把握を前提として構築している。
【0225】
前章の消費電力の推算式の構造からも明らかなように、消費電力性能は消費電力量推算の柱となる数値であり、また消費電力での小さなズレは消費電力量のような積分値を量る上では大きな誤差の原因となりうる。開発した省電力化プログラムPEPを実用するためには、消費電力性能の取得は重要な課題である。
【0226】
現時点での各機種・ユニットの消費電力性能の公開状況を見ると、ユーザ端末装置100に関しては多くのベンダが何らかの媒体で最大および標準消費電力を公開しているが、ユニットに関しては充分な情報が得られないことが多い。
【0227】
HDDのような単独での購入、交換頻度が高いユニットはユーザ端末装置100同様にベンダが何らかの媒体で消費電力性能を公開されているが、GPUなどのユニットではほとんど情報が公開されていないのが実態である。
【0228】
消費電力性能の取得には、機種別の測定等も含めいくつかの方法が考えられるが、省電力化プログラムPEPを利用する際に、各利用者に全ユニットの消費電力性能の調査と入力を求める方法は現実的には不可能であり、システムの普及は難しい。
【0229】
システムの普及を進めるためには、多様なユーザ端末装置100の機種・ユニットに対応した消費電力性能を簡易に抽出できるようにする必要があり、これにはデータベースを利用する方法が最も有効であると考えられる。また、ユーザ端末装置100は新機種の投入が非常に早いため、データベースを利用したシステムを構築する際、定期的な更新が重要である。
【0230】
よって、将来的にはベンダなどへ働きかけを進め、新機種の発売時に対応する消費電力性能が追加・更新される共有データベースの構築し、型番などから簡単に機種別の正確な消費電力性能データをダウンロードできるようなシステムが必要である。
【0231】
ただし、上述のようなシステムを現時点で構築するのは難しいため、ソフトウェアを実用的なものにするためには、各機種・ユニットの消費電力性能データベースを準備し、ソフトウェアに添付する必要がある。
【0232】
今回、様々な機種・ユニットの消費電力性能データのうち、公開されているものを収集し、消費電力性能データベースを構築した。この消費電力性能データベースは、上述のシステムのプロトタイプとなるものである。また、データベースに対応する機種・ユニットが無かった場合に備え、それぞれの製品・ユニットの消費電力性能の推算式・代用値の作成方法について検討した。
【0233】
[ユーザ端末装置の消費電力性能データベース]
ユーザ端末装置100の消費電力性能は、最大消費電力と標準消費電力、スタンバイ時消費電力、ハイバネーション時消費電力などとして公開される。開発したシステムに必要なデータは前者の二情報であるため、調査項目としては、最大消費電力と標準消費電力を必須情報とし、これに対応する型番および付帯情報を含めて調査した。
【0234】
調査方法は、現在販売中の製品に関してはユーザ端末装置100ベンダのウェブサイトなどの公開リソース電力データを調査した。また、過去の製品については、ベンダの生産部門がストックしているデータの収集を行った。
【0235】
調査の結果、現在販売中の製品に関してはG社およびH社のウェブサイトからデータを抽出することができた。また、過去の製品については、G社の製品に関するリソース電力データを得ることができた。
【0236】
以上の結果に基づいて、3000種弱の機種についてのデータベースを作成した。ユーザ端末装置100に関しては、ほとんどの場合にベンダによって消費電力性能がウェブ上などに公開されている。
【0237】
また、取り扱い説明書や本体背面などにも記載されている機種も多いため、他のベンダについても同様にデータを取得することは容易である。なお、今後、スタンドアロン型の運用等、ウェブ情報が得にくい環境を考慮する場合、残りのベンダに関するデータの整備も必要である。
【0238】
[CPUの消費電力性能データベース]
CPUの消費電力性能はC0、C1、C2、C3時の稼働ステートとして公開される。開発したシステムに必要なデータはC0時とアイドリング時の二情報で、定義よりアイドリング時消費電力は、C1からC3の消費電力の内で把握できたデータを使用して問題ない。
【0239】
よって、C0時消費電力とアイドリング時消費電力を調査必須項目とし、これに対応する型番および付帯情報を含めて調査した。調査方法は、現在販売中のCPUのシェアを調査し、シェアの多いベンダの製品についてリソース電力データを調査した。
【0240】
すると、現在販売中のCPUのほとんどはA社とB社で製造されていることがわかった。そこで、対象製品はA社とB社の製品に限り、各社のウェブサイトなどから消費電力性能などを調査し、データベースを作成した。以下に各社のデータの調査について詳細を解説する。
【0241】
[A社のCPUのデータ]
A社自身がウェブサイトで詳細な情報を公開しているため、これを利用した。ただし、C0時、アイドリング時といった分類でのデータは無かったため、C0時は熱設計電力(TDP:Thermal Design Power)と同じと仮定した。
【0242】
TDPは、CPUからの発熱を外部に逃がす冷却機構を設計する際に想定する消費電力であり、一般的にピーク時の最大消費電力に相当(正確な定義がないためA社とB社では算出方法が異なる)する。A社の定義では一定の温度を超えないために推奨する稼働状態での消費電力としているため、実際の最大消費電力より二割から三割少ない値となっている様である。
【0243】
[B社のCPUのデータ]
B社自身のウェブサイトに詳細な情報を公開しているため、これを利用した。また、古い製品に関してはユーザ端末装置100を自作するために実測などを行った結果を公開している一般のウェブサイトからも情報を引用した。
【0244】
最大時の消費電力はA社の製品同様に熱設計電力(TDP:Thermal Design Power)と同じと仮定した。また、アイドリング時の消費電力性能は、CPUB2以降の製品についてはC1ステートでの最大電流が公開されていたため、電圧と掛け合わせて算出した。
【0245】
またそれ以前の旧式の製品については公式のウェブサイトでもS1に相当する消費電力しか公開されておらず、その他のサイトでも対応するステートでの消費電力は公開されていなかった。そこで、C1ステートの消費電力を算出できた製品の消費電力から最大時と待機時の比を求め、この比率を利用して推算した。
【0246】
[物理メモリの消費電力性能データベース]
物理メモリの消費電力性能は、最大消費電力、アイドリング時消費電力として公開されている。開発したシステムに必要なデータは通常稼働(リードorライト)、リフレッシュ時の消費電力であり、それぞれ対応していると推定される。
【0247】
よって、調査項目は、最大消費電力による通常稼働時消費電力と、アイドリング時消費電力によるリフレッシュ時消費電力を必須情報とし、それぞれについて対応する型番および付帯情報を含めて調査した。
【0248】
調査方法は、現在販売中の物理メモリのシェアを調査し、シェアの多いベンダの製品についてリソース電力データを調査した。調査の結果、上位の四社(I社、J社、K社、L社)で、全体の3/4を超える供給量であることがわかった。
【0249】
そこで、これら四社の製品を中心に各社のウェブサイトなどから消費電力性能などの調査を試みた。この結果、J社、L社のデータは得られなかったが、I社、K社の製品についてはリソース電力データを得ることができた。また、シェアは小さいがD社のデータも比較的容易に得ることができたためこれもデータベースに加えた。以下に各社のデータの調査について詳細を解説する。
【0250】
[I社、K社の物理メモリのデータ]
一般に物理メモリと呼ばれている製品は複数のメモリチップを合わせたメモリモジュールのことである。メモリモジュールの消費電力性能はメモリチップの消費電力性能と構成しているメモリチップの個数の積で算出できる。
【0251】
各メモリモジュールに使用されているメモリチップの型番および個数などの情報は、各メーカのウェブサイトからデータシートをダウンロードすることで把握した。メモリチップの消費電力性能はI社がウェブサイトで公開している消費電力算出プログラムを利用し、該当する型番のメモリチップの各種属性を入力することで算出した。消費電力算出に入力が必要なメモリチップの各種属性を以下の表7に示す。

【表7−1】

【表7−2】

以上の表7に示した入力データのほとんどは、チップのベンダのウェブサイトにデータシートの形で公開されていたため、これを利用した。また、データシートから取得できない一部のパラメータについてはメーカへのヒアリングを行ない調査した。
【0252】
[D社の物理メモリのデータ]
D社のウェブサイトには、電源電圧定格および、最大時の消費電流が公開されていた。このため、これらの積を取ることで直接、メモリモジュールの消費電力性能を算出した。
【0253】
[HDDの消費電力性能データベース]
[内蔵HDD]
内蔵HDDの消費電力性能は、スピンアップ、シーク、リード・ライト、アイドリング、スタンバイ、スリープ時などの消費電力として公開される。開発したシステムに必要なデータは通常稼働(リードorライト)、アイドリング時の消費電力であり、それぞれ対応している消費電力性能が存在する。よって、通常稼働時消費電力とアイドリング時消費電力をそのまま調査必須項目とし、これに対応する型番および付帯情報を含めて調査した。
【0254】
調査方法は、シェアに関する調査が困難であったため、比較的シェアの多いと考えられるベンダの内、ウェブサイトなどでデータを調査できた各社の製品についてリソース電力データを調査した。
【0255】
[外付けHDD]
外付けHDDは一般的に電源供給に不安のない状況(オフィスや家庭などの卓上)で利用される可能性が高く、また独自のAC電源を用いて外部から給電するものも多い。このため、消費電力性能およびそれに関連する情報把握の必要性が低く、これらの情報公開は内蔵HDDに比べて少ない。
【0256】
ウェブサイトなどで何らかの情報を公開しているいくつかのベンダの製品について調査した結果、多くの情報源で共通して得られる情報は、定格電力およびエネルギー消費効率、ディスク容量だけであった。
【0257】
ここで、エネルギー消費効率は「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(省エネ法)で定義された用語で、HDDに関しては平成16年1月22日 経済産業省告示第8号として告示されている「磁気ディスク装置の性能の向上に関する製造事業者等の判断の基準等」において、以下の条件で測定した消費電力(単位:W)で表した数値を、記憶容量(単位:GB)で表した数値で除した数値とすると定義されている。
【0258】
[エネルギー消費効率の算出条件]
1.周囲温度は16℃〜32℃とすること
2.電源電圧は定格入力電圧±10%の範囲とすること。ただし、100ボルトの定格入力電圧を有するものについては、100ボルト±10%の範囲とすること
3.電源周波数は、定格周波数とすること
4.単体ディスクについては、内蔵する制御装置、バッファ用のキャッシュメモリ及びディスクドライブの範囲で測定する
5.サブシステムについては、制御装置、バッファ用のキャッシュメモリ、磁気ディスク装置を動作させるために必要な電源及び制御装置に接続可能な最大数のディスクドライブ及び最大数の入出力用信号伝送路の範囲で測定する
6.電源を入力し、直ちにデータの書き込み及び読み取りをすることが可能な状態で測定する。
【0259】
この条件の内、(6)の条件はHDDがアイドリング状態であることを示している。このため、アイドリング時の消費電力性能にはエネルギー消費効率とディスク容量との積を利用することとした。
【0260】
また、定格電力とは抵抗器が耐えられる消費電力で、略最大消費電力に相当すると考えられるため、リードもしくはライトに相当する消費電力としては定格電力を利用することとし、これに対応する型番および付帯情報を調査した。調査方法は、シェアに関する調査が困難であったため、比較的シェアの多いと考えられるベンダの内、ウェブサイトなどで各社の製品についてリソース電力データを調査した。
【0261】
[GPUの消費電力性能データベース]
開発したシステムに必要なGPUのデータは最大稼働時、アイドリング時の消費電力であるため、これらを調査必須項目とし、対応する型番および付帯情報を含めて調査した。
【0262】
調査方法は、現在販売中の物理メモリのシェアを調査し、シェアの多いベンダの製品についてリソース電力データを調査した。調査した結果、現在販売中のGPUは上位の三社で、全体の80%を超える供給量であることがわかった。
【0263】
そこで、これら三社の製品を中心に消費電力性能の調査を試みた。いずれのベンダもウェブサイトにはデータを公開しておらず、データを得ることができなかったため、ヒアリング調査を行い、一部の製品についてのリソース電力データを得ることができた。
【0264】
[ディスプレイユニットの消費電力性能データベース]
ディスプレイユニットには大きくブラウン管を用いて画像を表示するCRT(Cathode−Ray Tube)タイプと液晶を用いて画像を表示するLCDタイプの二種類が存在する。
【0265】
CRTタイプは全て、デスクトップ型のユーザ端末装置100などに外付けする形で利用されるが、LCDタイプには外付け利用以外にノートタイプのユーザ端末装置100などに内蔵されているタイプが存在する。
【0266】
CRT、LCDを問わず、外付け利用を前提とした製品は独立した製品として販売されているため、消費電力性能等の仕様が一般にも公開されているケースが多い。一方、内蔵利用を前提とした製品は独立した製品としては販売されないため、消費電力性能等の仕様も一般には公開されていないことが多い。そこで、CRT、LCD(外付け)とLCD(内蔵)を別けてデータの調査を行なった。
【0267】
[CRT、LCD(外付け)の消費電力性能データ]
CRT、LCD(外付け)ディスプレイユニットの消費電力性能は、最大時、サスペンド時などの消費電力で公開されることが多い。開発したシステムに必要なデータは表示時、サスペンド時の消費電力であり、それぞれ対応している。よって、表示時、サスペンド時消費電力をそのまま調査必須項目とし、これに対応する型番および付帯情報を含めて調査した。
【0268】
調査方法は、シェアに関する調査が困難であったため、比較的シェアの多いと考えられるベンダの内、ウェブサイトなどでデータを調査できたベンダの製品についてリソース電力データを調査した。九社の31種類のCRTディスプレイユニットに関する、消費電力性能、型番、および付帯情報をデータベース化した。同様に、四社の17種類のLCDディスプレイユニット(外付け)に関する、消費電力性能、型番、および付帯情報をデータベース化した(図示せず)。
【0269】
[LCD(内蔵)の消費電力性能データ]
LCD(内蔵)ディスプレイユニットの消費電力性能は、一般には公開されていない。また、ユーザ端末装置100のセットメーカへヒアリング調査を試みたが、データを得ることができなかった。このため、実測によりリソース電力データを調査した。
【0270】
実測には、12.1インチ、15インチのLCDディスプレイユニットを有する二種類のノートタイプのユーザ端末装置100を利用した。測定は、バックライトの光量を最高に設定(PLMAX)、最低に設定(PLMIN)、オフ(PL0FF)の三つの状態で行い、バックライトオフ時との差分(PLMAX―PLMIN、PLMIN―PL0FF)を表示時の消費電力性能とした。
【0271】
また、サスペンド時の消費電力性能については、ノートタイプのユーザ端末装置100が高い省電力性能を要求されている製品であること、および外付けタイプのLCDの一部でサスペンド時の消費電力が0になるという実測結果があったことから、0と考えた。
【0272】
[消費電力性能の近似式・近似値]
作成したデータベースは、現在使用されている製品の一部について調査されたもので、データベースに対応する機種・ユニットのデータがない場合も多く想定される。開発したシステムの実用性を考えれば、このような場合に備え、何らかの代用値が必要である。
【0273】
ユーザ端末装置100、構成ユニットのデータベースには消費電力性能の他にも様々な情報が含まれており、消費電力性能との間に相関が見られるケースも多い。そこで、ユーザ端末装置100および各ユニットのデータベースを分析し、消費電力性能と相関のある要因との相関性を利用して消費電力性能の代用値を推算する推算式および代用値の作成を検討した。推算式・代用値の作成は以下の分析手順で行った。
【0274】
ベンダや種類などの質的な相関要因については、要因内の分類別の消費電力性能の分布が、グラフの目視などで明らかに異なる場合、または有意差検定によって異なると判定された場合は、それぞれの分類を独立した種類とみなし、種類毎に他の要因との関係を分析した。
【0275】
サイズや速度などの量的な相関要因については、消費電力性能との相関分析により、相関係数が0.6以上の場合は直線回帰による近似式を作成した。
【0276】
相関係数が0.6以上の要因が複数存在する場合は、最も相関係数の高い要因を優先した。
【0277】
相関係数が0.6未満の要因しかない場合、もしくは調査したデータが少なく、要因別の相関分析ができない場合は、平均値による近似値を作成した。
【0278】
[ユーザ端末装置の消費電力性能の代用値]
前節で作成したユーザ端末装置100の消費電力性能データベースは1980年代の旧式の機種も含まれている。このような製品は様々な面で現在利用されている機器と特徴が異なるため、相関要因の分析に混乱を与える可能性がある。
【0279】
また、ある程度以上旧式の製品はすでに製品寿命が過ぎており、今後のシステム導入において適応される可能性が低い。そこで、対象としているOSとの連動を考え、2000年以降登録の製品のデータのみに限定して分析を行った。
【0280】
また、ユーザ端末装置100にはいくつかのタイプがあるが、このタイプ分けはメーカによって定義が異なることが予想されるため、定義付けを行い、改めてタイプ分けを行った。
【0281】
デスクトップ型については、ディスプレイユニットが分離しており、幅および高さの小さい方が120mm(CD−ROMの直径)以下の製品を省スペース、120mmより大きい製品をタワー等、ディスプレイユニットと分離されていない製品を液晶一体型と定義し、タイプ別けした。ノート型についても、幅が300mm以下の製品をモバイル用、300mmより大きい製品を卓上用と定義し、タイプ別けした。
【0282】
データベースより、質的な相関要因については、タイプの分類別の消費電力性能の分布が、明らかに異なることがわかった。一方、量的な相関要因については、消費電力性能との間に定量的な相関が見られる要因は見られなかった。
【0283】
以上の結果より、ユーザ端末装置100については、タイプ別(デスクトップ型:省スペース・ミニタワー・液晶一体型、ノート型:卓上用、モバイル用、デスクトップリプレイス)に平均値を算出し、これを代用値として利用することとした。それぞれのタイプ別に算出した代用値を表8に示す。
【0284】
【表8】

[CPUの消費電力性能の代用値]
CPUの消費電力性能と相関のある要因について、ユーザ端末装置100のセットメーカへのヒアリングやウェブなどでの調査を行なった結果、自動制御機能の有無、種類の違い、電圧、クロック周波数などが挙がった。ここで、自動制御機能の有無、種類の違いは質的な要因であり、電圧、クロック周波数は量的な要因に分類される。
【0285】
質的な要因の内、自動制御機能の有無は省電力を目的とした機能で、本開発システムでは電源制御の際にこの機能を解除し、別のアルゴリズムによる管理を行う予定であるため今回は考慮しないこととした。
【0286】
一方、種類の違いはCPUの製法などにも関係し、また運用中に変更できるものではないため、検証が必要である。種類の違いが消費電力性能に与える影響を把握するために、各CPUの種類別での消費電力性能の分布を調査した。
【0287】
すると、製造メーカに関係なく、いずれのCPUについてもモバイル系か否かで消費電力が大きく異なることが分かった。また、A社の製品群の中では、ある製品の消費電力性能が他の非モバイル系のCPUの傾向と比べても極端に高いことがわかった。
【0288】
一方、B社の製品群の中では消費電力の大きい最近の製品群で、消費電力性能がクロック数によらず変化しない製品が存在した。これはB社がモデルナンバー性能の向上を、FSBクロックやL2キャッシュの改良によって行っており、実クロックをほとんど変えていないためと考えられる。このように、CPUの消費電力性能はCPUの種類によって、明らかに異なることがわかった。
【0289】
つぎに、量的な相関要因について把握するために、ヒアリング結果で相関があると挙げられていた電圧、クロック周波数とCPUの消費電力性能との定量的な関係を調査した。調査により、CPUの消費電力性能Pはリーク電流等が無視できる範囲で、電圧、クロック周波数と以下の関係にあることが分かった。
【0290】
P=α×C×V<SUP>2</SUP>×F・・・(6)
ここで、α:動作係数 C:回路のトランジスタ数 V:電圧 F:クロック周波数である。式より動作係数と回路のトランジスタ数も定量的な相関要因となりうるが、消費電力性能以上に把握が困難な情報であるため、ここでは考慮しない。
【0291】
式より、消費電力性能の代替値の推算には電圧の2乗もしくはクロック周波数との相関の利用が選択肢となる。そこで、電圧の2乗と動作周波数それぞれについて消費電力性能との相関分析を行った。得られた相関係数を以下の表9にまとめた。
【0292】
【表9】

以上の表9より、クロック周波数と消費電力性能の間には相関係数0.6以上の関係があり、線形な相関があるといえた。一方、電圧の2乗と消費電力性能の間の相関係数は小さく、相関は認められなかった。
【0293】
ここで、CPUのクロック周波数の取得容易性を検討した結果、簡易な取得手段であるデバイスマネージャやユーザ端末装置100自体の仕様書などから把握することが可能であること明らかになった。
【0294】
また、インラインアセンブラなどのRDTSC命令を使用して、CPUへ命令を送って処理する時間を実測し、クロック周波数を自動的に取得することも可能である。よって、CPUのクロック周波数は推算を行う情報として適切である。
【0295】
以上の結果より、CPUの消費電力性能については、種類別にクロック周波数による直線回帰式を作成し、これを代用値の推算式として利用することとした。以下の表10に種類別のクロック周波数による代用値の推算式をまとめた。

【表10】

[物理メモリの消費電力性能の代用値]
物理メモリの消費電力性能と相関のある要因について、ユーザ端末装置100のセットメーカへのヒアリングやウェブ検索などの調査を行なったが、具体的な情報は得られなかった。
【0296】
そこで、データベースの付帯情報として得られている、ベンダ、種類の違い、メモリ容量、チップ数に関して相関性を調査した。ここで、ベンダ、種類の違いは質的な要因であり、メモリ容量、チップ数は量的な要因に分類される。
【0297】
質的な要因の内、ベンダによる違いは、今回作成したデータベースを見る限りでは明確な差が見られないこと、およびベンダ別のデータが少なく分析を行なうには充分な数がないことから今回は考慮しないこととした。
【0298】
一方、種類については、DDR(Double−Data−Rate)とDDR2の消費電力性能の平均値に差が見られたため、有意差検定を行った。この結果、DDRとDDR2の消費電力性能の間には有意差があることが明らかになった。
【0299】
つぎに、量的な相関要因について把握するために、メモリ容量、チップ数それぞれについて消費電力性能との相関分析を行った。得られた相関係数を以下の表11にまとめた。
【0300】
【表11】

以上の表11より、チップ数と消費電力性能の間には相関係数0.6以上の関係があり、線形な相関があるといえた。一方、メモリ容量と消費電力性能の間の相関係数はDDRに限れば0.6以上であるが、全体としては0.6以下であり、充分な相関は認められなかった。
【0301】
ここで、物理メモリのチップ数の取得容易性を検討した結果、メモリモジュールのベンダのウェブサイトなどから把握することは可能であるが、簡易な取得手段であるデバイスマネージャやユーザ端末装置100自体の仕様書などからは把握することができないことがわかった。
【0302】
これらの簡易な取得手段で得られる物理メモリに関連する情報はメモリ容量のみであった。よって、チップ数のみを推算を行う情報として考えるのは現実的でなく、メモリ容量による推算も必要と考えられた。
【0303】
以上の結果より、物理メモリの消費電力性能については、種類別にチップ数による直線回帰式を作成し、これを代用値の推算式として利用することとした。なお、現在の種類別のシェアではDDRが95%以上を占めることから、種類が不明な場合はDDRのデータを利用することとした。
【0304】
さらに、メモリ容量による推算も可能にするために、チップ数とメモリ容量の相関を利用して、メモリ容量からチップ数を推算する式を作成した。以下に種類別のクロック周波数による代用値の推算式を表12にまとめた。
【0305】
物理メモリの消費電力性能の代用値の推算式
【表12】

さらに、チップ数による推算値に対する実値のばらつきを把握するために、推算式とデータベースの値をグラフで比較した。チップ数に対する推算式の直線とデータベースのプロットを図8および図9に示す。
【0306】
推算式の直線とデータベースの値に極端な相違が生じる製品は見られなかったが、DDRタイプの製品についてはばらつきが大きく、型番に対応した消費電力性能の登録の必要性が高いといえた。
【0307】
現在のデータベースでは、70種の製品しかデータベース化しておらず、またシェア下位の多くのベンダの製品を含むことができていない。現状では、型番に対応した消費電力性能の登録は利用者に与える負担が大きく、今後、データベースの拡充が必要である。
【0308】
[HDDの消費電力性能の代用値]
[内蔵HDD]
内蔵HDDの消費電力性能と相関のある要因について、ユーザ端末装置100のセットメーカへのヒアリングやウェブなどでの調査を行なった結果、キャッシュ機能の有無、ディスクサイズ、プラッタ枚数、回転速度が挙がった。ここで、キャッシュ機能の有無は質的な要因であり、ディスクサイズ、プラッタ枚数、回転速度は量的な要因に分類される。
【0309】
質的な要因のキャッシュ機能の有無については、今回の調査では全ての内蔵HDDにキャッシュ機能があり、キャッシュ機能のない内蔵HDDがデータベース上にないため、検証できなかった。
【0310】
つぎに、量的な相関要因について把握するために、ディスクサイズ、プラッタ枚数、回転速度、それぞれについて消費電力性能との相関分析を行った。得られた相関係数を以下の表13にまとめた。
【0311】
【表13】

以上の表13より、ディスクサイズ、回転速度と消費電力性能の間には相関係数0.6以上の関係があり、線形な相関があるといえた。一方、プラッタ枚数と消費電力性能の間の相関係数は小さく、線形の相関は認められなかった。
【0312】
ここで、内蔵HDDのディスクサイズおよび回転速度の取得容易性を検討した結果、いずれも簡易な取得手段であるデバイスマネージャやユーザ端末装置100自体の仕様書などからは把握することができないことがわかった。
【0313】
ただし、いずれもベンダのウェブサイトなどからは把握可能で、さらにディスクサイズはユーザ端末装置100のタイプによって略推測(デスクトップ型のユーザ端末装置100の場合はほとんどが3.5インチ、ノート型のユーザ端末装置100の場合はほとんどが2.5インチである)できる。よって、ディスクサイズおよび回転速度は推算を行う情報として適切であると言える。
【0314】
以上の結果より、内蔵HDDの消費電力性能については、ディスクサイズおよび回転速度、それぞれによる直線回帰式を作成し、これを代用値の推算式として利用することとした。
【0315】
推算式の優先度は相関係数がより1に近かったディスクサイズの推算式を優先することとした。以下の表14にディスクサイズおよび回転速度、それぞれによる代用値の推算式をまとめた。
【0316】
【表14】

さらに、ディスクサイズおよび回転速度による推算値に対する実値のばらつきを把握するために、推算式とデータベースの値をグラフで比較した。ディスクサイズに対する推算式の直線とデータベースのプロットを図10および図11に、回転速度に対する推算式の直線とデータベースのプロットを図12および図13に示す。
【0317】
図10ないし図13より、ディスクサイズおよび回転速度のいずれについても、推算式の直線とデータベースの値の間に極端な相違が生じる製品はほとんど見られなかったが、数値が大きい製品ほどばらつきが大きく、型番に対応した消費電力性能の登録の必要性が高いといえた。現在のデータベースでは、78種の製品しかデータベース化していない。現状では、型番に対応した消費電力性能の登録は利用者に与える負担が大きく、今後、データベースの拡充が必要と考えられる。
【0318】
[外付けHDD]
外付けHDDに関する情報が内蔵HDDに比べて乏しいため、消費電力性能と相関のある要因についても、内蔵HDDの場合と同じ情報を用意することができていない。例えば内蔵HDDの代用値を算出する際に相関が高いとしたディスクサイズ、プラッタ枚数などの情報はほとんどの製品について得ることができなかった。
【0319】
内蔵HDDの場合はPCへ実装するため外形寸法に規格が存在し、そのデータからディスクサイズを推定できたが、外付けHDDの場合、外形寸法は自由であるため、この推定も不可能である。外付けHDDに関して、データベースに収集できた情報の内、消費電力性能と相関が考えられる要因は回転速度およびディスク数である。
【0320】
ディスク数とは製品中にいくつのHDDを組み込んでいるかを示す値で、プラッタ枚数とは異なる。これらの要因はいずれも量的な要因に分類される。それぞれの量的な相関要因について把握するために、回転速度、ディスク数それぞれについて消費電力性能との相関分析を行った。結果を表15に示す。
【0321】
【表15】


以上の表15より、ディスク数と消費電力性能の間には相関係数0.6以上の関係があり、線形な相関があるといえた。一方、回転速度については、リード/ライト時の消費電力性能のみ相関係数0.6以上の関係があり、線形な相関があるといえた。
【0322】
ここで、外付けHDDのディスク数および回転速度の取得容易性を検討した結果、いずれも簡易な取得手段であるデバイスマネージャやユーザ端末装置100自体の仕様書などからは把握することができないことがわかった。ただし、いずれもベンダのウェブサイトなどからは把握可能である。よって、ディスク数および回転速度は推算を行う情報として利用可能であると言える。
【0323】
以上の結果より、外付けHDDの消費電力性能については、ディスク数および回転速度それぞれによる直線回帰式を作成し、これを代用値の推算式として利用することとした。推算式の優先度はリード/ライト時の消費電力性能は相関係数がより1に近かった回転速度を優先し、アイドリング時はディスク数の推算式を利用することとした。表16にディスクサイズおよび回転速度、それぞれによる代用値の推算式をまとめた。
【0324】
【表16】

さらに、ディスク数および回転速度による推算値に対する実値のばらつきを把握するために、推算式とデータベースの値をグラフで比較した。ディスク数に対する推算式の直線とデータベースのプロットを、図14および図15に、回転速度に対する推算式の直線とデータベースのプロットを図16に示す。
【0325】
図14〜図16より、ディスクサイズおよび回転速度のいずれについても、推算式の直線とデータベースの値の間に極端な相違が生じる製品は見られなかったが、回転速度による分布はばらつきが広く、型番に対応した消費電力性能の登録の必要性が高いといえた。
【0326】
現在のデータベースでは、45種の製品しかデータベース化していないため、型番に対応した消費電力性能の登録は利用者に与える負担が大きく、今後、データベースの拡充が必要と考えられる。
【0327】
[GPUの消費電力性能の代用値]
GPUの消費電力性能と相関のある要因について、ユーザ端末装置100のセットメーカへのヒアリングやウェブなどでの調査を行なった結果、ベンダの違い、種類の違い、最大解像度が挙がった。ここで、ベンダおよび種類の違いは質的な要因であり、最大解像度は量的な要因に分類される。
【0328】
質的な要因の内、ベンダの違いについては、データベースのデータが少ないため、検定は行えなかったが、A社とM社で消費電力性能の平均値に差が見られた。また、種類の違いについては、データベースの全ての製品が同じチップ型であり、分析が行なえなかった。また、最大解像度との量的な相関についても、データベースのほとんどの製品が同じ最大解像度であり、分析が行なえなかった。
【0329】
以上の結果より、データベースのデータが少ないため、充分な分析が行なえていないが、GPUの消費電力性能については、ベンダ別の平均値を作成し、これを代用値として利用することとした。なお、ベンダが不明な場合に備え、シェアで重み付けを行い、全体の平均値も作成した。作成した代用値を表17にまとめた。
【0330】
GPUの消費電力性能の代用値
【表17】

[ディスプレイユニットの消費電力性能の代用値]
CRTタイプとLCDタイプは内部の構成等が根本的に異なり、相関要因なども同一には扱えない。また、内蔵利用のLCDと外付け利用のLCDでは各要素との相関は同様と考えられるが用いるデータが異なる。そこで、CRTとLCD(外付け)、LCD(内蔵)を別けて代用値の検討を行なった。
【0331】
[CRT]
CRTディスプレイユニットの消費電力性能と相関のある要因について、ユーザ端末装置100のセットメーカへのヒアリングやウェブなどでの調査を行なった結果、ベンダの違い、画面サイズ、最大解像度が挙がった。ここで、ベンダの違いは質的な要因に、画面サイズ、最大解像度は量的な要因に分類される。
【0332】
質的な要因のベンダの違いについては、今回作成したデータベースを見る限りでは明確な差が見られないこと、およびベンダ別のデータが少なく分析を行なうには充分な数がないことから今回は考慮しないこととした。
【0333】
つぎに、量的な相関要因について把握するために、画面サイズ、最大解像度、それぞれについて消費電力性能との相関分析を行った。得られた相関係数を以下の表18にまとめた。
【0334】
【表18】

上記の表18より、画面サイズ、最大解像度と表示時の消費電力性能の間には相関係数0.6以上の関係があり、線形な相関があるといえた。一方、いずれの要因ともサスペンド時の消費電力性能との相関係数は小さく、線形の相関は認められなかった。
【0335】
つぎに、CRTディスプレイユニットの画面サイズおよび最大解像度の取得容易性を検討した結果、いずれも簡易な取得手段であるデバイスマネージャや仕様書などから把握することができることがわかった。
【0336】
また、最大解像度はEnumDisplaySettings関数の第一引数をNULLとして実行する方法で自動的に取得することも可能である。よって、画面サイズおよび最大解像度は推算を行う情報として適切であると言える。
【0337】
以上の結果より、CRTディスプレイユニットの表示時の消費電力性能については、画面サイズおよび最大解像度、それぞれによる直線回帰式を作成し、これを代用値の推算式として利用することとした。
【0338】
推算式の優先度は相関係数がより1に近かった画面サイズの推算式を優先することとした。また、サスペンド時の消費電力性能については、全機種のアイドリング消費電力平均値7.05を代用値として利用することとした。以下の表19に画面サイズおよび最大解像度、それぞれによる代用値の推算式をまとめた。
【0339】
【表19】

さらに、画面サイズおよび最大解像度による推算値に対する実値のばらつきを把握するために、推算式とデータベースの値をグラフで比較した。画面サイズに対する推算式の直線とデータベースのプロットを図17に、最大解像度に対する推算式の直線とデータベースのプロットを図18に示す。
【0340】
図より、画面サイズ、最大解像度のいずれについても、推算式の直線とデータベースの値の間に極端な相違が生じる製品はほとんど見られなかったが、ばらつきが大きく、型番に対応した消費電力性能の登録の必要性が高いといえた。
【0341】
現在のデータベースでは、31種の製品しかデータベース化していないため、データベースの拡充も必要である。しかし、CRTディスプレイユニットはカタログ等で容易に消費電力性能が把握できる場合が多いので、利用者に安易な代替値の利用を行なわず、実値の調査を行なうことを強く推奨することが重要と考えられる。
【0342】
[LCD(外付け)]
外付けのLCDディスプレイユニットの消費電力性能と相関のある要因について、ユーザ端末装置100のセットメーカへのヒアリングやウェブなどでの調査を行なった結果、ベンダの違い、バックライトの光量、画面サイズ、最大解像度が挙がった。
【0343】
ここで、ベンダの違いは質的な要因であり、バックライトの光量、画面サイズ、最大解像度は量的な要因に分類される。質的な要因のベンダの違いについては、今回作成したデータベースを見る限りでは明確な差が見られないこと、およびベンダ別のデータが少なく分析を行なうには充分な数がないことから今回は考慮しないこととした。
【0344】
つぎに、量的な相関要因について把握するために、データベースに対応するデータがある画面サイズ、最大解像度、それぞれについて消費電力性能との相関分析を行った。得られた相関係数を以下の表20にまとめた。
【0345】
【表20】

上記の表20より、画面サイズ、最大解像度と表示時の消費電力性能の間には相関係数0.6以上の関係があり、線形な相関があるといえた。一方、いずれの要因ともサスペンド時の消費電力性能との相関係数は小さく、線形の相関は認められなかった。
【0346】
データベースに対応するデータが無かったバックライトの光量については、実測を行なうことで相関を把握した。実測には、14から17インチの四種類のLCDディスプレイユニットを利用し、バックライトの光量を最低とした状態から最高となる状態までの消費電力を測定した。
【0347】
バックライトの光量を最低とした状態を0%、最高とした状態を100%とする光量設定比率を定義し、光量設定比率毎に測定した消費電力をグラフにプロットしたものを図19に示す。
【0348】
グラフから、消費電力とバックライトの光量の関係は略線形の関係にあることがわかった。また、光量の制御プログラムの相違などにより、光量設定比率を100%としても、消費電力が最大消費電力に達しない製品があったが、基本的には光量設定比率100%での消費電力が最大消費電力に対応しているようであった。
【0349】
つぎに、LCDディスプレイユニットの画面サイズ、最大解像度およびバックライトの光量の取得容易性を検討した結果、CRTディスプレイユニット同様に、画面サイズおよび最大解像度は簡易な取得手段であるデバイスマネージャや仕様書などから把握することができることがわかった。
【0350】
また、最大解像度は自動的に取得することも可能である。バックライトの光量についても利用者が自由に設定するものであるため、容易に把握可能である。よって、これらの相関要因は全て推算を行う情報として適切であると言えた。
【0351】
以上の結果より、外付けのLCDディスプレイユニットの表示時の消費電力性能については、画面サイズおよび最大解像度、それぞれによる直線回帰式を作成し、これを代用値の推算式として利用することとした。推算式の優先度は相関係数がより1に近かった最大解像度の推算式を優先することとした。
【0352】
また、設定されている光量設定比率による消費電力性能の変化を反映できるように、光量設定比率100%と0%での消費電力性能を推算し、この間を線形として光量設定比率で消費電力性能を変化させるようにした。
【0353】
ここで、光量設定比率100%の消費電力性能は、略表示時の消費電力性能に対応すると考え、同じとした。光量設定比率0%の消費電力性能は、実測で光量設定比率0%での消費電力が最大消費電力の38%〜53%(平均値:44%)であったという結果を利用し、表示時の消費電力性能の44%とすることとした。
【0354】
サスペンド時の消費電力性能については、全機種のアイドリング消費電力平均値2.65を代用値として利用することとした。以下の表21に画面サイズ、最大解像度およびバックライトの光量、それぞれによる代用値の推算式をまとめた。
【0355】
【表21】

さらに、画面サイズおよび最大解像度による推算値と実値のばらつきによる相違を把握するために、推算式とデータベースの値をグラフで比較した。画面サイズに対する推算式の直線とデータベースのプロットを図20に、最大解像度に対する推算式の直線とデータベースのプロットを図21に示す。
【0356】
図20および図21より、画面サイズ、最大解像度のいずれについても、推算式の直線とデータベースの値の間に極端な相違が生じる製品はほとんど見られなかったが、ばらつきが大きく、型番に対応した消費電力性能の登録の必要性が高いといえた。
【0357】
現在のデータベースでは、17種の製品しかデータベース化していないため、データベースの拡充も必要である。しかし、外付けのLCDディスプレイユニットはカタログ等で容易に消費電力性能が把握できる場合が多いので、利用者に安易な代替値の利用を行なわず、実値の調査を行なうことを強く推奨することが重要と考えられる。
【0358】
[LCD(内蔵)]
内蔵型のLCDディスプレイユニットの消費電力性能と相関のある要因については、データベースに実測による二機種分しかデータがなかったため、分析は行なわなかった。機器の稼働原理は外付けタイプのLCDディスプレイユニットと差がないと考えられるため、消費電力性能と相関のある要因についても同様であると判断した。
【0359】
つぎに、内蔵型のLCDディスプレイユニットの画面サイズ、最大解像度およびバックライトの光量の取得容易性を検討した結果、他のディスプレイユニット同様に、画面サイズおよび最大解像度は簡易な取得手段であるデバイスマネージャやユーザ端末装置100自体の仕様書などから把握することができることがわかった。
【0360】
また、最大解像度は自動的に取得することも可能である。バックライトの光量についても利用者が自由に設定するものであるため、容易に把握可能である。よって、これらの相関要因は全て推算を行う情報として適切であると言えた。
【0361】
以上の結果より、内蔵型のLCDディスプレイユニットの表示時の消費電力性能についても、画面サイズおよび最大解像度、それぞれによる直線回帰式を作成し、これを代用値の推算式として利用することとした。推算式の優先度は最大解像度の推算式を優先することとした。
【0362】
また、設定されている光量設定比率による消費電力性能の変化の反映についても、外付けのLCDディスプレイユニットと同様に、光量設定比率100%と0%での消費電力性能を推算し、この間を線形として光量設定比率で消費電力性能を変化させるようにした。
【0363】
ここで、光量設定比率100%および0%の消費電力性能は、実測で得られているデータを利用した。サスペンド時の消費電力性能については、データベース作成時に推算した値0Wを代用値として利用することとした。以下の表22に画面サイズ、最大解像度およびバックライトの光量、それぞれによる代用値の推算式をまとめた。
【0364】
【表22】

[実測による省電力化プログラムの検証と修正]
[省電力化プログラムの精度検証]
開発した省電力化プログラムPEPの精度を把握するために、ユーザ端末装置100の消費電力を実測するシステムを構築し、ソフトウェアによるモニタリング値と実測値の比較を行った。
【0365】
なお、この検証は平成16年度に行なったものであり、それ以降に行なった、外付けHDDおよび複数のユニット接続時のモニタリング機能追加やシステム負荷の低減などの改良の効果は含んでいない。
【0366】
[実験条件]
[評価対象製品]
デスクトップ型のユーザ端末装置100を二機種、ノート型のユーザ端末装置100を一機種、評価対象製品とした。各評価対象のユーザ端末装置100の構成・型番・性能等を以下の表23にまとめた。

【表23】

[登録値]
前述のように作成したデータベースは市場で販売される製品の一部しか登録されていないため、実際に開発した消費電力モニタリングシステムを使用する際には、型番に適合した消費電力性能データではなく、代用値が利用される可能性が高い。
【0367】
一方、データベースに登録されていない製品でも、利用者が公開された消費電力性能データを調査することができれば、公開値が利用される可能性がある。さらに、公開されている消費電力性能のデータと実測値の間に違いがあるケースも見られる。
【0368】
そこで、実用重視、精度重視、評価用という消費電力性能の登録値が異なる三つのシナリオを考え、実測値との比較と合わせて、それぞれの登録値の違いがモニタリング結果に与える影響を評価することとした。以下に三つのシナリオで登録するデータの概要を解説した。
【0369】
[実用重視]
実際の使用場面では利用できない消費電力の実測装置を用いず、また時間や手間を要求するウェブ調査なども必要としない範囲で、ユーザ端末装置100の取扱説明書やデータベースの代用値などのデータを登録することで、構築したモニタリングシステムおよびデータベースの精度を把握するシナリオ。具体的には、入手が容易なユーザ端末装置100、ディスプレイユニットの消費電力性能は公開値を登録、それ以外のユニットの消費電力性能は全て代用値を登録した。
【0370】
[精度重視]
実際の使用場面では利用できない消費電力の実測装置を用いない範囲で、ウェブ調査などを行い、可能な限り実値に近いデータを登録することで、構築したモニタリングシステムおよびデータベースの精度を把握するシナリオ。
【0371】
具体的には、入手が容易なユーザ端末装置100、ディスプレイユニット(デスクトップ型の場合のみ)の他、時間を掛ければウェブなどで取得が可能なCPU、HDDの消費電力性能は公開値を登録、それ以外のユニットの消費電力性能は代用値を登録した。
【0372】
[評価用]
消費電力の測定器も利用して可能な限り実値に近いデータを登録することで、構築したモニタリングシステムの精度の評価用に利用するシナリオ。具体的には、実測が可能なユーザ端末装置100、ディスプレイユニット(デスクトップ型の場合のみ)の消費電力性能は実測値を登録、時間を掛ければ調査が可能なCPU、HDDの消費電力性能は公開値を登録、それ以外のユニットの消費電力性能は代用値を登録した。実際の使用場面では取得が困難な実測値を利用しているため、現実には把握不可能な結果となる。
【0373】
各評価対象のユーザ端末装置100に関する各シナリオでの消費電力性能の登録値を以下の表24に示す。

【表24】

[測定間隔]
ソフトウェア、実測とも、開発した省電力化プログラムPEPのデフォルトの測定間隔である二秒間隔で測定した。
【0374】
[測定条件]
各特定ユニットの様々な稼働状況を反映するような仮想的使用状況を作成し、これを測定条件とした。仮想的使用状況は、CPU、GPU、HDDについては負荷率を任意に変更できる環境生成ソフトを作成し、このソフトによって生成した。
【0375】
また、ユーザ端末装置100、ディスプレイユニットについてはユーザ端末装置100の電源設定の機能を利用して目的の状況を生成した。なお、物理メモリについては独立して稼働を制御する手法がなく、ここでは考慮していない。生成させた仮想的使用状況を以下の表25に整理した。

【表25】

[比較結果]
各評価対象のユーザ端末装置100について、実用重視、精度重視、評価用の三つのシナリオ別に、省電力化プログラムPEPおよび消費電力測定装置による消費電力の測定を行なった。
【0376】
それぞれの消費電力を比較しやすくするために、各測定結果の経時変化を同一のグラフ上にプロットした。PC製品1の各シナリオの測定結果を図22〜図24に、PC製品2の各シナリオの測定結果を図25〜図27に、PC製品3の各シナリオの測定結果を図28〜図30に示す。
【0377】
また、時間で積算した消費電力量を比較するために、全測定期間および各ユニットの制御区間毎の消費電力量を算出した。PC製品1の各シナリオの算出結果を表26に、PC製品2の各シナリオの算出結果を表27に、PC製品3の各シナリオの算出結果を表28に示す。

【表26】

【表27】

【表28】

[結果評価]
[要求精度]
省電力化プログラムPEPによる消費電力のモニタリング結果は、絶対値としての利用より、一月、一年といった任意の期間の消費電力量を削減する際の指標として利用することを念頭においている。
【0378】
よって、実測値とソフトウェアによるモニタリング値(推算値)の間のずれは、二割から三割程度であれば、実用には大きな問題とならないと考えられる。そこで、モニタリング結果が実用に耐えうるかどうかの検証としては、実測値とモニタリング値の間のずれが±20%以内の範囲に収まっていることを一つの目安とした。
【0379】
[実用性の評価]
前述のように、省電力化プログラムPEPによる消費電力のモニタリング結果は、消費電力測定装置による消費電力の測定結果と良く似た軌跡を描くことがわかった。さらに、測定期間全体での消費電力量の比較でも、デスクトップ型で±10%以内、ノート型で±20%以内の範囲に収まっており、開発したソフトウェアは実用に耐える精度を持っているといえた。
【0380】
また、シナリオ別の比較でも、代用値の利用が多い実用重視シナリオとより実測値に近づけている評価用シナリオの結果には大きな違いは見られず、今回作成した代用値および代用値の推算式の有効性が確認された。より詳細な比較を行なうために、各ユニットの制御区間別での比較による誤差とその原因について以下に整理した。
【0381】
[CPU制御区間]
実測値では、いずれの評価対象のユーザ端末装置100でも負荷率の増加と消費電力の増加の間には線形に近い相関が見られ、構築した消費電力の推算式が適用可能であるとわかった。
【0382】
評価用シナリオのモニタリング値との比較でも、グラフはよく重なっている。PC製品3については高負荷率となった場合のモニタリング値が実測値より大きくなっているが、これはCPUの負荷率と完全に連動すると仮定している物理メモリ、GPUの寄与がデスクトップ型に比べて大きく、連動しなかった部分のずれが相対的に大きくなったためで、CPU自体の推算には問題はないと考えられる。
【0383】
また消費電力量の比較でも、測定した全ての条件で±20%以内に収まっており、充分な精度でのモニタリングが期待できる。なお、今回の測定ではCPUのSpeedStep機能を無効にした際の結果を表示しているが、この機能が有効な場合の実測結果では、負荷率が低い区間での実測値がモニタリング値より大幅に小さくなっており、モニタリング値とのずれが大きかった。次年度以降に開発予定の制御システムにおいて、この機能を利用する場合、補正を考慮する必要がある。
【0384】
[GPU制御区間]
GPUは通常稼働時とアイドリング時の消費電力性能の差が3W程度しかないため、グラフでは識別困難だが、実測値では、いずれの評価対象のユーザ端末装置100でも負荷率の増加と消費電力の増加の間には線形に近い相関が見られ、構築した消費電力の推算式が適用可能であるとわかった。
【0385】
評価用シナリオのモニタリング値との比較では、グラフの挙動はよく似ているが、数値自体ではずれが見られた。これは、今回利用した環境生成ソフトは制御を指定したユニット以外のユニットの稼働を制御できず、GPUの稼働を制御する際、CPUがGPUの負荷率以上に稼働してしまうとモニタリング値が大きくなってしまい、逆にCPUがGPUの負荷率より低い稼働だとモニタリング値が小さくなってしまうという測定上の問題である。とはいえ、消費電力量の比較では、測定した全ての条件で±20%以内に収まっており、モニタリングの精度は問題ないレベルにある。
【0386】
[HDD制御区間]
実測値では、いずれの評価対象のユーザ端末装置100でもReadおよびWriteの負荷率の増加と消費電力の増加の間には線形に近い相関が見られ、構築した消費電力の推算式が適用可能であるとわかった。
【0387】
評価用シナリオのモニタリング値との比較でも、グラフはよく重なっている。また、消費電力量の比較では、PC製品3の評価用シナリオで+20%を僅かに上回るずれが見られたが、ほとんどの測定条件では±20%以内に収まっており、モニタリングの精度は問題ないレベルにある。
【0388】
PC製品3の評価用シナリオのずれについては、GPUの項で解説した環境生成ソフトの問題が原因で、HDDの制御に伴いCPUが100%稼働したため、実際にはほとんど稼働していないGPU、物理メモリなどの稼働も100%として計上されたためと考えられた。よって、HDD自体の推算には問題はないと考えられる。
【0389】
[本体標準状態区間]
この区間は特に命令を処理していないため、消費電力の挙動は一定で、実測でもこれが確認された。評価用シナリオのモニタリング値との比較でも、グラフは良く重なっていた。
【0390】
また、消費電力量の比較でも、PC製品2の実用重視および精度重視シナリオで+20%を僅かに上回るずれが見られたが、ほとんどの測定条件では±20%以内に収まっており、モニタリングの精度は問題ないレベルにある。
【0391】
PC製品2の実用重視および精度重視シナリオのずれについては、ユーザ端末装置100の標準消費電力性能の公開値と実値に違いがあることが原因で、より正確なデータがベンダから公開されることが望まれる。
【0392】
なお、PC製品3の実用重視および精度重視シナリオでも−20%に近いずれが見られるが、これはCPUのSpeedStep機能を無効にしたことで、標準消費電力が10W近く上昇したためで、この機能を操作する際はこの補正も考慮することが望ましい。
【0393】
[ディスプレイユニット切れ区間]
この区間は特に命令を処理していないため、消費電力の挙動は一定で、実測でもこれが確認された。評価用シナリオのモニタリング値との比較でも、グラフは良く重なっていた。
【0394】
また、消費電力量の比較でも、PC製品3の実用重視および精度重視シナリオで−20%を僅かに下回るずれが見られたが、ほとんどの測定条件では±20%以内に収まっており、モニタリングの精度は問題ないレベルにある。
【0395】
PC製品3の実用重視および精度重視シナリオのずれについては、ディスプレイユニットの表示時(最大)消費電力性能の公開値と実値に違いがあることが原因で、より正確なデータがベンダから公開されることが望まれる。
【0396】
スタンバイ区間:この区間は特に命令を処理していないため、消費電力の挙動は一定で、実測でもこれが確認された。評価用シナリオのモニタリング値との比較でも、グラフは良く重なっていた。
【0397】
ただし、消費電力量の比較では、約半数のシナリオで±20%を大きく上回るずれが見られた。スタンバイ区間の消費電力は他の区間に比べて極端に消費電力が小さいため、これらの差が全体のモニタリング結果に与える影響はほとんどないと考えられるが、区間自体のモニタリング精度は充分とは言えない。
【0398】
このずれは、ディスプレイユニットのサスペンド時の消費電力性能が上限値の形で公開されているため推算時に一律に半分として扱っているが、この比率が機種によって大きく異なることが原因である。今後、より正確なデータがベンダから公開されることが望まれる。
【0399】
[最大消費電力による補正の検討]
前述した消費電力の推算式(1)式、(2)式は、ユーザ端末装置100の消費電力性能としてはアイドリング時に対応する標準消費電力のみを利用しており、最大消費電力は考慮していない。
【0400】
よって、アイドリング時の消費電力のモニタリング結果は実値と近い値となっても、高い負荷がかかった状態ではズレが生じる可能性がある。公開されている最大消費電力のデータを利用すれば、このような高負荷時の消費電力の推算値を補正できる可能性がある。
【0401】
(1)式、(2)式で推算される特定ユニットのフル稼働時の消費電力の積上げ値が、公開されているユーザ端末装置100全体の最大消費電力と整合すると仮定すると、以下の様な補正係数が考えられる。
【0402】
1.デスクトップ型
【数8】

2.ノート型
【数9】

ここで、デスクトップ型のユーザ端末装置100の最大消費電力は、ユーザ端末装置100のメーカへのヒアリングによって、各ユニットの最大消費電力の総和に0.8を掛けることで求めているということがわかっているため、補正係数の作成時に0.8を戻す係数を考慮している。
【0403】
消費電力のモニタリングにおいて、この補正係数の利用の必要性を把握するために、それぞれの測定評価用のユーザ端末装置100に前節で利用した環境作成ソフトウェアを用いて様々なパターンの負荷を与えて、消費電力の変化を実測した。
【0404】
この結果、ほとんどの利用状況ではユーザ端末装置100の消費電力の実測値は公開されている最大消費電力の1/3〜1/2程度の小さい値で推移していた。また、最大消費電力の値には及ばないもの、CD−RドライブやHDDといった回転系のユニットのスピンアップなどの稼働状況にある場合に、極短期間だけ消費電力が急上昇することがわかった。
【0405】
よって、最大消費電力の値は構成ユニット毎に稀に起こりうる状況を組み合わせたもので、現実には起こらない状況と考えられた。今回のモニタリングソフトの開発では、スピンアップなどの非常に短期間の動作は、趣旨である消費電力量の集計には影響を与えないことから考慮していない。
【0406】
よって、HDDのフル稼働時にもスピンアップは考慮しておらず、先の「特定ユニットのフル稼働時の消費電力の積上げ値が、公開されているユーザ端末装置100全体の最大消費電力と整合する」とした仮定に基づく補正は意味がない。また、最大消費電力のデータ自体についても消費電力のモニタリングへの利用が適当でないことが確認された。
【0407】
[モニタリングによる負荷]
開発した省電力化プログラムPEPは、ユーザ端末装置100の使用に伴う消費電力を削減させることが目的である。しかし、モニタリングを行なうためには、ユーザ端末装置100に新たな情報を処理させる必要があるため、消費電力の増加を引き起こす可能性がある。
【0408】
この消費電力の増加は処理させる情報を減らすことで低減できるはずなので、モニタリング間隔を調節することで最小限に抑えることができる。そこで、モニタリング間隔に伴う消費電力の増加について実測を行ない、消費電力に影響を与えない測定間隔を調査した。
【0409】
1.実験条件
評価対象製品には、前述のデスクトップ型のユーザ端末装置100のPC製品2を利用した
2.測定間隔
測定間隔は、前述のように二秒間隔で実測した
3.測定条件
測定条件には、前述の表25に整理した仮想的使用状況を利用し、この状況で同時に省電力化プログラムPEPを用いたモニタリングを行なっている状況を測定した。モニタリング間隔は、一秒、二秒、十秒、一分およびモニタリングなしの五つの場合を想定した。
【0410】
[測定結果]
各モニタリング間隔別に消費電力測定装置を用いて消費電力を測定した。それぞれの消費電力を比較しやすくするために、各測定結果の経時変化を同一のグラフ上にプロットした。各モニタリング間隔による消費電力の測定結果を図31に示す。
【0411】
また、時間で積算した消費電力量を比較するために、全測定期間および各ユニットの制御区間毎の消費電力量を算出した。各モニタリング間隔による消費電力量の算出結果を表29に示す。

【表29】

[結果評価]
図31より、各モニタリング間隔での消費電力の測定結果は、いずれも略同じ軌跡を描くことがわかった。さらに、表29より、消費電力量の比較でも、全測定期間および各区間単位のいずれの区間でも測定誤差以上の差は見られなかった。
【0412】
よって、モニタリング間隔は任意で選択することが可能であるといえた。なお、参考までにタスクマネージャーで、省電力化プログラムPEPのCPU占有率も確認したが、略1%程度であり、処理にもほとんど負荷を与えないことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0413】
【図1】本発明の実施の形態のデータ処理システムの論理構造を示す模式図である。
【図2】データ処理システムの物理構造を示すブロック図である。
【図3】上位処理装置によるデータ処理方法を示すフローチャートである。
【図4】ユーザ端末装置によるデータ処理方法の一部を示すサブルーチンのフローチャートである。
【図5】ユーザ端末装置によるデータ処理方法の一部を示すサブルーチンのフローチャートである。
【図6】表示出力された結果画像データを示す模式的な正面図である。
【図7】表示出力された結果画像データを示す模式的な正面図である。
【図8】物理メモリの最大時消費電力性能とチップ数の関係を示す特性図である。
【図9】物理メモリのアイドリング時消費電力性能とチップ数の関係を示す特性図である。
【図10】内蔵HDDの最大時消費電力性能とディスクサイズの関係を示す特性図である。
【図11】内蔵HDDのアイドリング時消費電力性能とディスクサイズの関係を示す特性図である。
【図12】内蔵HDDの最大時消費電力性能と回転速度の関係を示す特性図である。
【図13】内蔵HDDのアイドリング時消費電力性能と回転速度の関係を示す特性図である。
【図14】外付けHDDの最大時消費電力性能とディスク数の関係を示す特性図である。
【図15】外付けHDDのアイドリング時消費電力性能とディスク数の関係を示す特性図である。
【図16】外付けHDDの最大時消費電力性能と回転速度の関係を示す特性図である。
【図17】CRTディスプレイユニットの表示時消費電力性能と画面サイズの関係を示す特性図である。
【図18】CRTディスプレイユニットの表示時消費電力性能と最大解像度の関係を示す特性図である。
【図19】LCDディスプレイユニットの消費電力性能とバックライト光量の関係を示す特性図である。
【図20】LCDディスプレイユニットの表示時消費電力性能と画面サイズの関係を示す特性図である。
【図21】LCDディスプレイユニットの表示時消費電力性能と最大解像度の関係を示す特性図である。
【図22】PC製品1の実用重視シナリオでの消費電力測定値の比較結果を示す特性図である。
【図23】PC製品1の精度重視シナリオでの消費電力測定値の比較結果を示す特性図である。
【図24】PC製品1の評価用シナリオでの消費電力測定値の比較結果を示す特性図である。
【図25】PC製品2の実用重視シナリオでの消費電力測定値の比較結果を示す特性図である。
【図26】PC製品2の精度重視シナリオでの消費電力測定値の比較結果を示す特性図である。
【図27】PC製品2の評価用シナリオでの消費電力測定値の比較結果を示す特性図である。
【図28】PC製品3の実用重視シナリオでの消費電力測定値の比較結果を示す特性図である。
【図29】PC製品3の精度重視シナリオでの消費電力測定値の比較結果を示す特性図である。
【図30】PC製品3の評価用シナリオでの消費電力測定値の比較結果を示す特性図である。
【図31】モニタリング間隔による消費電力測定値の比較結果を示す特性図である。
【図32】結果生成部が行う処理を説明するためのチャートである。
【図33】結果生成部が行う処理を説明するためのチャートである。
【符号の説明】
【0414】
100 ユーザ端末装置
110 プログラム受信部
120 プログラムインストール部
130 使用検出部
140 パターン送信部
150 データ受信部
160 データ設定部
170 端末制御部
200 上位処理装置
210 プログラム記憶部
220 プログラム配信部
230 パターン受信部
235 パターン記憶部
240 データ生成部
242 スケジュールデータ記憶部
244 電力料金データ記憶部
246 標準パターン記憶部
250 データ配信部
260 グループ記憶部
270 結果生成部
280 結果表示部
1000 データ処理システム
EU エンドユーザ
IN 通信ネットワーク
PEP 省電力化プログラム
RGD 結果画像データ
TCD 端末制御データ
UG ユーザグループ
UPD 動作パターンデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インストールされているアプリケーションプログラムによりエンドユーザの入力操作に対応して各種動作を実行する複数のユーザ端末装置と、複数の前記ユーザ端末装置とデータ通信する少なくとも一個の上位処理装置と、を有するデータ処理システムであって、
前記上位処理装置は、
前記アプリケーションプログラムの一つである省電力化プログラムを記憶するプログラム記憶手段と、
記憶されている前記省電力化プログラムを前記ユーザ端末装置に配信してインストールさせるプログラム配信手段と、
インストールされた前記省電力化プログラムにより検出されて送信される前記ユーザ端末装置の各種動作を反映した動作パターンデータを受信するパターン受信手段と、
受信された前記動作パターンデータを所定のアルゴリズムで解析して前記省電力化プログラムに前記ユーザ端末装置を省電力に制御させる端末制御データを生成するデータ生成手段と、
生成された前記端末制御データを対応する前記ユーザ端末装置に送信してインストールされている前記省電力化プログラムに設定させるデータ配信手段と、
を有するデータ処理システム。
【請求項2】
前記パターン受信手段は、前記端末制御データが設定された前記省電力化プログラムにより検出されて送信される前記動作パターンデータも受信し、
前記データ生成手段は、受信された前記動作パターンデータを解析して前記端末制御データを修正し、
前記データ配信手段は、修正された前記端末制御データを対応する前記ユーザ端末装置に送信して前記省電力化プログラムに設定させる請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項3】
前記上位処理装置は、前記省電力化プログラムを配信する前記ユーザ端末装置を複数のユーザグループに区分して記憶するグループ記憶手段を、さらに有し、
前記データ生成手段は、受信された前記動作パターンデータを前記ユーザグループごとに統合して端末制御データを生成し、
前記データ配信手段は、生成された前記端末制御データを対応する前記ユーザグループの前記ユーザ端末装置に送信する請求項1または2に記載のデータ処理システム。
【請求項4】
前記上位処理装置は、
前記端末制御データの設定以前と設定以後との少なくとも前記動作パターンデータを可視化した結果画像データを前記ユーザグループごとに生成する結果生成手段と、
生成された前記結果画像データを前記ユーザグループごとに表示出力する結果表示手段とを、さらに有する請求項3に記載のデータ処理システム。
【請求項5】
前記上位処理装置は、
前記端末制御データの設定以前と設定以後との少なくとも前記動作パターンデータを可視化した結果画像データを生成する結果生成手段と、
生成された前記結果画像データを表示出力する結果表示手段と、
を有する請求項1ないし3の何れか一項に記載のデータ処理システム。
【請求項6】
前記結果生成手段は、前記省電力化プログラムを配信した前記ユーザ端末装置ごとに前記結果画像データを個々に生成し、
前記結果表示手段は、生成された前記結果画像データを対応する前記ユーザ端末装置ごとに表示出力する請求項5に記載のデータ処理システム。
【請求項7】
前記結果生成手段は、前記省電力化プログラムを配信した全部の前記ユーザ端末装置で統合した前記結果画像データを生成する請求項5または6に記載のデータ処理システム。
【請求項8】
前記ユーザ端末装置は、少なくとも各種データを表示出力するデータ表示機能を有し、
前記データ配信手段は、生成された前記結果画像データを対応する前記ユーザ端末装置に送信して表示出力させる請求項4ないし7の何れか一項に記載のデータ処理システム。
【請求項9】
前記結果生成手段は、前記端末制御データの設定以前と設定以後との少なくとも前記動作パターンデータの差分を可視化した前記結果画像データを生成する請求項4ないし8の何れか一項に記載のデータ処理システム。
【請求項10】
前記結果生成手段は、前記動作パターンデータを温室効果ガスの少なくとも排出量に換算した前記結果画像データを生成する請求項4ないし9の何れか一項に記載のデータ処理システム。
【請求項11】
前記ユーザ端末装置は、
前記上位処理装置から配信される前記省電力化プログラムを受信するプログラム受信手段と、
受信された前記省電力化プログラムをインストールするプログラムインストール手段と、を有し、
前記省電力化プログラムがインストールされた前記ユーザ端末装置が、
各種動作を反映した動作パターンデータを検出する使用検出手段と、
検出された前記動作パターンデータを前記上位処理装置に送信するパターン送信手段と、
前記動作パターンデータの送信に対応して前記上位処理装置から前記端末制御データを受信するデータ受信手段と、
受信された前記端末制御データを前記省電力化プログラムに設定するデータ設定手段と、
前記端末制御データが設定された前記省電力化プログラムによる制御を許容する端末制御手段と、
を有する請求項1ないし9の何れか一項に記載のデータ処理システム。
【請求項12】
前記パターン送信手段は、前記端末制御データが設定された前記省電力化プログラムにより検出された前記動作パターンデータも前記上位処理装置に送信する請求項11に記載のデータ処理システム。
【請求項13】
前記ユーザ端末装置は、
前記端末制御データの設定以前と設定以後との少なくとも前記動作パターンデータを可視化した結果画像データを生成する結果生成手段と、
生成された前記結果画像データを表示出力する結果表示手段と、
を有する請求項11または12に記載のデータ処理システム。
【請求項14】
前記データ受信手段は、前記上位処理装置から、前記端末制御データの設定による電力の削減率を示す削減データを受信し、
受信された前記削減データを表示出力する第2結果表示手段をさらに有する請求項11ないし13の何れか一項に記載のデータ処理システム。
【請求項15】
前記データ受信手段は、前記動作パターンデータの送信前に、前記上位処理装置から、標準的な動作パターンを示す標準動作パターンデータを用いて生成された前記端末制御データを受信し、
前記データ設定手段は、前記標準動作パターンデータを用いて生成された前記端末制御データを前記省電力化プログラムに設定し、
その後、前記使用検出手段は、前記端末制御データが設定された前記省電力化プログラムによる前記ユーザ端末装置の制御が行われた状態において前記動作パターンデータを生成する請求項11ないし14の何れか一項に記載のデータ処理システム。
【請求項16】
前記使用検出手段は、前記端末制御データが設定された前記省電力化プログラムにより前記ユーザ端末装置が制御された後、前記エンドユーザが前記省電力化プログラムによる制御とは異なる前記ユーザ端末装置の使用を行った場合に、当該使用をエラー情報として検出し、
前記パターン送信手段は、前記使用検出手段が検出した前記エラー情報を前記上位処理装置に送信し、
前記データ受信手段は、前記上位処理装置が前記エラー情報に基づいて修整した前記端末制御データを受信し、
前記データ設定手段は、前記修整後の端末制御データを前記省電力化プログラムに設定する請求項11ないし15の何れか一項に記載のデータ処理システム。
【請求項17】
前記エンドユーザは複数存在し、
前記使用検出手段は、前記複数のエンドユーザそれぞれごとに、前記動作パターンデータを生成し、
前記パターン送信手段は、前記複数のエンドユーザを特定するユーザ識別情報に対応付けて、前記複数のエンドユーザそれぞれごとの前記動作パターンデータを前記上位処理装置に送信し、
前記データ受信手段は、前記端末制御データを前記ユーザ識別情報に対応付けて受信し、
前記データ設定手段は、前記ユーザ端末装置を操作している前記エンドユーザの前記ユーザ識別情報を取得し、取得した前記ユーザ識別情報に対応する前記端末制御データを前記省電力化プログラムに設定する請求項11ないし16の何れか一項に記載のデータ処理システム。
【請求項18】
前記上位処理装置は、
前記端末制御データの設定による電力の削減率または削減量を示す削減データを生成する第2結果生成手段と、
前記削減データを表示出力する第2結果表示手段をさらに有する請求項1ないし17の何れか一項に記載のデータ処理システム。
【請求項19】
前記ユーザ端末装置は、前記端末制御データによる制御が行われない場合でも、第1の時間操作が行われなかったときに第1省電力モードに移行し、
前記端末制御データは、前記第1の時間以下の時間である第2の時間前記ユーザ端末装置の操作が行われなかったときに、前記ユーザ端末装置を前記第1省電力モードより消費電力が少ない第2省電力モードに移行させ、
前記第2結果生成手段は、前記端末制御データによる省電力化が行われた時間、前記第1省電力モードにおける消費電力量、及び前記第2省電力モードにおける消費電力量に基づいて、前記削減データを生成する請求項18に記載のデータ処理システム。
【請求項20】
前記データ生成手段は、前記エンドユーザのスケジュールを示すスケジュールデータを取得し、前記スケジュールデータを用いて前記端末制御データを生成する請求項1ないし19の何れか一項に記載のデータ処理システム。
【請求項21】
前記データ生成手段は、前記動作パターンデータの受信前に、標準的な前記ユーザ端末装置の動作パターンを示す標準動作パターンデータを用いて前記端末制御データを生成し、
前記データ配信手段は、前記標準動作パターンデータを用いて生成された前記端末制御データを前記ユーザ端末装置に送信し、
前記パターン受信手段は、前記端末制御データが設定された前記省電力化プログラムによる前記ユーザ端末装置の制御が行われた状態において生成された前記動作パターンデータを受信する請求項1ないし20の何れか一項に記載のデータ処理システム。
【請求項22】
複数の日における前記ユーザ端末装置の前記エンドユーザによる各種使用を日時に対応付けて記憶するパターン記憶手段をさらに備え、
前記データ生成手段は、前記複数の日それぞれに重み付け定数を設定し、前記重み付け定数を用いて前記複数の日における各種使用を加重平均することにより、前記動作パターンデータを生成する請求項1ないし21の何れか一項に記載のデータ処理システム。
【請求項23】
前記エンドユーザは複数存在し、
前記パターン受信手段は、前記複数のエンドユーザそれぞれごと生成された前記動作パターンデータを、前記複数のエンドユーザを相互に識別するユーザ識別情報に対応付けて受信し、
前記データ生成手段は、前記複数のエンドユーザそれぞれごとに前記端末制御データを生成し、
前記データ配信手段は前記端末制御データを前記ユーザ識別情報に対応付けて前記ユーザ端末装置に送信する請求項1ないし22の何れか一項に記載のデータ処理システム。
【請求項24】
前記データ生成手段は、前記複数のエンドユーザそれぞれごとに、異なる基準で前記端末制御データを生成する請求項23に記載のデータ処理システム。
【請求項25】
前記データ生成手段は、時間帯別の電力料金を示す電力料金データを取得し、前記電力料金データを用いて前記端末制御データを生成する請求項1ないし24のいずれか一項に記載のデータ処理システム。
【請求項26】
前記ユーザ端末装置は、複数の電力供給元から電力の供給を受け、
前記データ生成手段は、前記複数の電力供給元それぞれの単位電力あたりの電力料金又は二酸化炭素排出量を示す電力データを取得し、前記電力データを用いて前記端末制御データを生成する請求項1ないし25のいずれか一項に記載のデータ処理システム。
【請求項27】
請求項1ないし26の何れか一項に記載のデータ処理システムの上位処理装置であって、
前記アプリケーションプログラムの一つである省電力化プログラムを記憶するプログラム記憶手段と、
記憶されている前記省電力化プログラムを前記ユーザ端末装置に配信してインストールさせるプログラム配信手段と、
インストールされた前記省電力化プログラムにより検出されて送信される前記ユーザ端末装置の各種動作を反映した動作パターンデータを受信するパターン受信手段と、
受信された前記動作パターンデータを所定のアルゴリズムで解析して前記省電力化プログラムに前記ユーザ端末装置を省電力に制御させる端末制御データを生成するデータ生成手段と、
生成された前記端末制御データを対応する前記ユーザ端末装置に送信してインストールされている前記省電力化プログラムに設定させるデータ配信手段と、
を有する上位処理装置。
【請求項28】
請求項11ないし17の何れか一項に記載のデータ処理システムのユーザ端末装置であって、
前記上位処理装置から配信される前記省電力化プログラムを受信するプログラム受信手段と、
受信された前記省電力化プログラムをインストールするプログラムインストール手段と、
各種動作を反映した動作パターンデータを検出する使用検出手段と、
検出された前記動作パターンデータを前記上位処理装置に送信するパターン送信手段と、
前記動作パターンデータの送信に対応して前記上位処理装置から前記端末制御データを受信するデータ受信手段と、
受信された前記端末制御データを前記省電力化プログラムに設定するデータ設定手段と、
前記端末制御データが設定された前記省電力化プログラムによる制御を許容する端末制御手段と、
を有するユーザ端末装置。
【請求項29】
請求項27に記載の上位処理装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記アプリケーションプログラムの一つである省電力化プログラムを記憶するプログラム記憶処理と、
記憶されている前記省電力化プログラムを前記ユーザ端末装置に配信してインストールさせるプログラム配信処理と、
インストールされた前記省電力化プログラムにより検出されて送信される前記ユーザ端末装置の各種動作を反映した動作パターンデータを受信するパターン受信処理と、
受信された前記動作パターンデータを所定のアルゴリズムで解析して前記省電力化プログラムに前記ユーザ端末装置を省電力に制御させる端末制御データを生成するデータ生成処理と、
生成された前記端末制御データを対応する前記ユーザ端末装置に送信してインストールされている前記省電力化プログラムに設定させるデータ配信処理と、
を前記上位処理装置に実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項30】
請求項28に記載のユーザ端末装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記上位処理装置から配信される前記省電力化プログラムを受信するプログラム受信処理と、
受信された前記省電力化プログラムをインストールするプログラムインストール処理と、
各種動作を反映した動作パターンデータを検出する使用検出処理と、
検出された前記動作パターンデータを前記上位処理装置に送信するパターン送信処理と、
前記動作パターンデータの送信に対応して前記上位処理装置から前記端末制御データを受信するデータ受信処理と、
受信された前記端末制御データを前記省電力化プログラムに設定するデータ設定処理と、
前記端末制御データが設定された前記省電力化プログラムによる制御を許容する端末制御処理と、
を前記ユーザ端末装置に実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項31】
請求項27に記載の上位処理装置のデータ処理方法であって、
前記アプリケーションプログラムの一つである省電力化プログラムを記憶するプログラム記憶工程と、
記憶されている前記省電力化プログラムを前記ユーザ端末装置に配信してインストールさせるプログラム配信工程と、
インストールされた前記省電力化プログラムにより検出されて送信される前記ユーザ端末装置の各種動作を反映した動作パターンデータを受信するパターン受信工程と、
受信された前記動作パターンデータを所定のアルゴリズムで解析して前記省電力化プログラムに前記ユーザ端末装置を省電力に制御させる端末制御データを生成するデータ生成工程と、
生成された前記端末制御データを対応する前記ユーザ端末装置に送信してインストールされている前記省電力化プログラムに設定させるデータ配信工程と、
を有するデータ処理方法。
【請求項32】
請求項28に記載のユーザ端末装置のデータ処理方法であって、
前記上位処理装置から配信される前記省電力化プログラムを受信するプログラム受信工程と、
受信された前記省電力化プログラムをインストールするプログラムインストール工程と、
各種動作を反映した動作パターンデータを検出する使用検出工程と、
検出された前記動作パターンデータを前記上位処理装置に送信するパターン送信工程と、
前記動作パターンデータの送信に対応して前記上位処理装置から前記端末制御データを受信するデータ受信工程と、
受信された前記端末制御データを前記省電力化プログラムに設定するデータ設定工程と、
前記端末制御データが設定された前記省電力化プログラムによる制御を許容する端末制御工程と、
を有するデータ処理方法。
【請求項33】
複数のユーザ端末装置における電力削減目標量を取得する目標取得手段と、
前記複数のユーザ端末装置それぞれの動作パターンデータを受信するパターン受信手段と、
前記複数のユーザ端末それぞれの動作履歴を解析し、省電力のための端末制御データを前記複数のユーザ端末それぞれごとに生成するデータ生成手段と、
前記複数のユーザ端末に、前記端末制御データを配信するデータ配信手段と、
を備え、
前記パターン受信手段は、前記複数のユーザ端末から、前記端末制御データ配信後の動作パターンデータを受信し、
さらに、前記端末制御データ配信前後の前記動作パターンデータに基づいて電力削減量を算出する結果生成手段と、
前記電力削減量と、前記電力削減目標量を対比可能に出力表示する結果表示手段と、
を備える上位処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2009−259195(P2009−259195A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244960(P2008−244960)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】