説明

データ処理システム及びデータ処理装置

【課題】 複数の通信方式の何れかを選択してデータ通信を行うことができるデータ処理システム及びデータ処理装置を提供する。
【解決手段】 データを記憶する携帯端末(データ記憶装置)40と、データを処理する複合機(データ処理装置)1とを備えるデータ処理システムにおいて、複合機1に、複数の通信方式でデータ通信を行うことが可能なI/F部11を設け、前記複数の通信方式の何れかを制御部8で選択する。I/F部11は制御部8が選択した通信方式でデータ通信を行い、I/F部11が携帯端末40から受信したデータを処理、又は、処理したデータをI/F部11から携帯端末40へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを記憶するデータ記憶装置と、データを処理するデータ処理装置とを備えるデータ処理システム、及び、データを処理するデータ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
データの処理を行うデータ処理装置として、画像データの処理を行う画像処理装置がある。例えば複写機、プリンタ、ファクシミリ、複合機などの画像処理装置がある。また、外部に設けられた外部装置との間でデータ通信を行うことによって外部装置から送信されたプリントデータのプリント処理を行う画像処理装置もある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−193509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、外部装置と画像処理装置との間でデータ通信を行う通信方式には、複数の種類があり、外部装置がデータ通信を行う通信方式と画像処理装置がデータ通信を行う通信方式とが異なる場合は、外部装置と画像処理装置との間でデータ通信が行えないという問題がある。この問題を解決する方法として、画像処理装置及び/又は外部装置に、複数の通信方式でデータ通信を行うことが可能な通信部を設けることが考えられる。しかし、複数の通信方式でデータ通信を行うことが可能な場合は、使用する通信方式を選択する必要が生じるという問題がある。また、使用する通信方式を適切に選択する必要が生じるという問題がある。
【0004】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、複数の通信方式でデータ通信を行うことが可能な通信部と、前記複数の通信方式の何れかを選択する選択手段とをデータ処理装置が備えることにより、複数の通信方式の何れかを選択してデータ通信を行うことができるデータ処理システム及びデータ処理装置を提供することを目的とする。
【0005】
また、本発明は、データ記憶装置がデータ通信を行うことが可能な通信方式を判別する判別手段を備え、判別手段の判別結果に基づいて通信方式を選択する構成にしたことにより、データ処理装置が種々のデータ記憶装置とデータ通信を行うことができるデータ処理システムを提供することを他の目的とする。
【0006】
また、本発明は、データ記憶装置が複数の通信方式でデータ通信を行うことが可能な通信部を備えることにより、より適切な通信方式を選択することが可能なデータ処理システムを提供することを他の目的とする。
【0007】
また、本発明は、データ処理装置の通信部及びデータ記憶装置の両方がデータ通信を行うことが可能な通信方式を選択する構成にしたことにより、データ処理装置とデータ記憶装置とのデータ通信を確実に行うことができるデータ処理システムを提供することを他の目的とする。
【0008】
また、本発明は、データ記憶装置の電池残量を取得する取得手段をデータ処理装置に備え、取得手段が取得した電池残量に基づいて通信方式を選択する構成にしたことにより、データ記憶装置の電池の寿命を延ばすことができるデータ処理システムを提供することを他の目的とする。
【0009】
また、本発明は、データ記憶装置から受信すべきデータのサイズに基づいて、通信方式を選択する構成にしたことにより、サイズの大きいデータを短時間で送受信することができるデータ処理システムを提供することを他の目的とする。
【0010】
また、本発明は、データ記憶装置から受信すべきデータの種類に基づいて、通信方式を選択する構成にしたことにより、画像データなどのサイズの大きいデータを短時間で送受信することができるデータ処理システムを提供することを他の目的とする。
【0011】
また、本発明は、データ記憶装置から受信すべきデータに設定されている重要度に基づいて、通信方式を選択する構成にしたことにより、重要なデータを送受信する場合のセキュリティを向上させることができるデータ処理システムを提供することを他の目的とする。
【0012】
また、本発明は、画像データに基づく画像をシートに形成する画像形成手段をデータ処理装置に備えることにより、データ処理装置が、原稿を読取った画像をシートに形成する複写機、受信した画像をシートに形成するファクシミリ機又はプリンタなどの画像処理装置として動作することができるデータ処理システムを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るデータ処理システムは、データを記憶するデータ記憶装置と、データを処理するデータ処理装置とを備えるデータ処理システムにおいて、前記データ処理装置は、複数の通信方式でデータ通信を行うことが可能な通信部と、前記複数の通信方式の何れかを選択する選択手段とを備え、通信部は選択手段が選択した通信方式でデータ通信を行い、通信部がデータ記憶装置から受信したデータを処理、又は、処理したデータを通信部からデータ記憶装置へ送信するように構成してあることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るデータ処理システムは、前記データ記憶装置がデータ通信を行うことが可能な通信方式を判別する判別手段を備え、前記選択手段は、判別手段の判別結果に基づいて通信方式を選択するように構成してあることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るデータ処理システムは、前記データ記憶装置は、複数の通信方式でデータ通信を行うことが可能な通信部を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係るデータ処理システムは、前記選択手段は、データ処理装置の通信部及びデータ記憶装置の両方がデータ通信を行うことが可能な通信方式を選択するように構成してあることを特徴とする。
【0017】
本発明に係るデータ処理システムは、前記データ記憶装置は電池を備え、前記データ処理装置は、データ記憶装置の電池残量を取得する取得手段を備え、前記選択手段は、さらに取得手段が取得した電池残量に基づいて通信方式を選択するように構成してあることを特徴とする。
【0018】
本発明に係るデータ処理システムは、前記選択手段は、さらに前記データ記憶装置から受信すべきデータのサイズに基づいて、通信方式を選択するように構成してあることを特徴とする。
【0019】
本発明に係るデータ処理システムは、前記選択手段は、さらに前記データ記憶装置から受信すべきデータの種類に基づいて、通信方式を選択するように構成してあることを特徴とする。
【0020】
本発明に係るデータ処理システムは、前記データ記憶装置には、重要度が設定されたデータが記憶されており、前記選択手段は、さらに前記データ記憶装置から受信すべきデータに設定されている重要度に基づいて、通信方式を選択するように構成してあることを特徴とする。
【0021】
本発明に係るデータ処理システムは、前記データ記憶装置には画像データが記憶されており、前記データ処理装置は、画像データに基づく画像をシートに形成する画像形成手段を備え、画像データの処理を行うように構成してあることを特徴とする。
【0022】
本発明に係るデータ処理装置は、複数の通信方式でデータ通信を行うことが可能な通信部と、前記複数の通信方式の何れかを選択する選択手段とを備え、通信部は選択手段が選択した通信方式でデータ通信を行い、通信部が受信したデータを処理、又は、処理したデータを通信部から送信するように構成してあることを特徴とする。
【0023】
本発明においては、データ処理システム及びデータ処理装置は、複数の通信方式でデータ通信を行うことが可能な通信部を備え、前記複数の通信方式の何れかを選択手段で選択する。通信部は、例えば通信方式が異なる複数の通信手段を備える。また、通信部は選択手段が選択した通信方式でデータ通信を行い、通信部がデータ記憶装置から受信したデータを処理、又は、処理したデータを通信部からデータ記憶装置へ送信する。データ処理装置は、複数の通信方式の何れかを選択してデータ通信を行うことができる。
【0024】
本発明においては、データ記憶装置がデータ通信を行うことが可能な通信方式を判別手段で判別し、判別結果に基づいて選択手段で通信方式を選択する。例えば、選択手段は、データ処理装置がデータ通信を行うことが可能な複数の通信方式の中から、データ記憶装置がデータ通信を行うことが可能な通信方式を選択する。これにより、データ処理装置は、種々のデータ記憶装置とデータ通信を行うことができる。
【0025】
本発明においては、データ記憶装置は、複数の通信方式でデータ通信を行うことが可能な通信部を備える。そのため、データ記憶装置は、種々のデータ処理装置とデータ通信を行うことが可能である。また、データ記憶装置がデータ通信を行うことが可能な複数の通信方式の夫々が、データ処理装置がデータ通信を行うことが可能な複数の通信方式に含まれている場合、使用可能な複数の通信方式の中から通信方式を選択することが可能となり、より適切な通信方式を選択することが可能になる。
【0026】
本発明においては、データ処理装置の通信部及びデータ記憶装置の両方がデータ通信を行うことが可能な通信方式を選択手段で選択する。例えば、データ処理装置の通信部がデータ通信を行うことが可能な複数の通信方式、及び、データ記憶装置の通信部がデータ通信を行うことが可能な複数の通信方式の両方に含まれている通信方式を選択することが可能である。これにより、データ処理装置とデータ記憶装置とのデータ通信を確実に行うことができる。
【0027】
本発明においては、データ記憶装置は電池を備え、電池により給電が行われている。データ処理装置は、データ記憶装置の電池残量を取得手段で取得し、選択手段は、さらに取得した電池残量に基づいて通信方式を選択する。通信方式の中には、消費電力が高い通信方式もあれば、消費電力が低い通信方式もある。選択手段は、データ記憶装置の電池の残量が少ない場合、選択可能な通信方式の中から消費電力が低い通信方式を選択する。これにより、データ記憶装置の電池の寿命を延ばすことができる。
【0028】
本発明においては、選択手段は、さらにデータ記憶装置から受信すべきデータのサイズに基づいて、通信方式を選択する。通信方式の中には、データ転送速度が高い通信方式もあれば、データ転送速度が低い通信方式もある。選択手段は、受信すべきデータのサイズが大きい場合、選択可能な通信方式の中からデータ転送速度が高い通信方式を選択する。これにより、サイズの大きいデータを短時間で送受信することができる。
【0029】
本発明においては、選択手段は、さらにデータ記憶装置から受信すべきデータの種類に基づいて、通信方式を選択する。データの種類には、テキストデータなどのサイズの小さいデータもあれば、画像データなどのサイズの大きいデータもある。選択手段は、受信すべきデータが画像データの場合、選択可能な通信方式の中からデータ転送速度が高い通信方式を選択する。これにより、画像データなどのサイズの大きいデータを短時間で送受信することができる。
【0030】
本発明においては、データ記憶装置には、重要度が設定されたデータが記憶されている。選択手段は、さらにデータ記憶装置から受信すべきデータに設定されている重要度に基づいて、通信方式を選択する。通信方式の中には、セキュリティの高い通信方式もあれば、セキュリティの低い通信方式もある。選択手段は、受信すべきデータに設定されている重要度が高い場合、選択可能な通信方式の中からセキュリティの高い通信方式を選択する。これにより、機密性の高い重要なデータを送受信する場合のセキュリティを向上させることができる。
【0031】
本発明においては、データ記憶装置には画像データが記憶されており、データ処理装置は、画像データに基づく画像をシートに形成する画像形成手段を備え、画像データの処理を行う。そのため、データ処理装置は、原稿を読取った画像をシートに形成する複写機、受信した画像をシートに形成するファクシミリ機又はプリンタなどの画像処理装置として動作できる。画像データは、原稿の画像を読取るイメージスキャナなどの画像読取装置から受付けたり、LAN(Local Area Network)などを介して接続されたコンピュータから受付けることが可能である。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、複数の通信方式の何れかを選択してデータ通信を行うことができる。
【0033】
本発明によれば、データ処理装置が種々のデータ記憶装置とデータ通信を行うことができる。
【0034】
本発明によれば、より適切な通信方式を選択することが可能になる。
【0035】
本発明によれば、データ処理装置とデータ記憶装置とのデータ通信を確実に行うことができる。
【0036】
本発明によれば、データ記憶装置の電池の寿命を延ばすことができる。
【0037】
本発明によれば、サイズの大きいデータを短時間で送受信することができる。
【0038】
本発明によれば、画像データなどのサイズの大きいデータを短時間で送受信することができる。
【0039】
本発明によれば、機密性の高い重要なデータを送受信する場合のセキュリティを向上させることができる。
【0040】
本発明によれば、データ処理装置は、原稿を読取った画像をシートに形成する複写機、受信した画像をシートに形成するファクシミリ機又はプリンタなどの画像処理装置として動作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。図1は、本発明に係る複合機(データ処理装置)を含む通信ネットワーク(データ処理システム)の構成例を示すブロック図である。通信ネットワークは、例えば社内LAN(Local Area Network)などの内部ネットワークN1と、例えばインターネットなどの外部ネットワークN2とを含む。内部ネットワークN1には、複合機1及びパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)32が接続されている。外部ネットワークN2には、インターネットファックス機(以下、iFAX機)34及びパソコン32が接続されている。
【0042】
複合機1は、原稿の画像を読取ってシート(記録紙)にプリント(画像形成)するコピー機能、外部から受信した画像データをシートにプリントするプリンタ機能、外部へ画像データを送信するネットワークスキャナ機能、及び、外部のファクシミリ装置との間でファクシミリデータを送受信するファクシミリ機能などを有する。また、複合機1は、読取った画像データ又は受信した画像データをハードディスクドライブ(以下、ハードディスクという)などの記録媒体に記憶する機能を有し、記憶した画像データをシートにプリントしたり、外部へ送信することが可能である。
【0043】
複合機1は、原稿の画像を読み取る画像読み取り部2と、入力部4a及び表示部4bを有する操作部4と、ハードディスク12と、シートに画像を形成する画像形成部6と、ハードディスク12に記憶されているデータを無効化する消去部16と、内部ネットワークN1及び外部ネットワークN2との通信制御を行う通信部10と、携帯端末40との通信制御を行うI/F(インタフェイス)部11と、制御プログラム及び設定情報などを記憶する管理部14と、制御プログラム及び設定情報に従って前記各構成部2,4,6,10,11,12,14,16を制御する制御部8とを備える。
【0044】
管理部14は、制御部8に接続されており、制御部8が実行する制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、及び、装置1の各構成部の動作に関する設定情報等を記憶するためのRAM等からなる。ただし、前記RAMは、フラッシュメモリ,EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の書換え可能な不揮発性の記憶媒体であってもよい。
【0045】
制御部8は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有し、管理部14に格納されている制御プログラム及び設定情報に従って、画像読み取り部2、操作部4、画像形成部6、通信部10、I/F部11、ハードディスク12、及び消去部16などの複合機1の各構成部の動作を制御する。
【0046】
操作部4の入力部4aは、表示部4bに隣接して配置されたキー群を有する。例えば、コピーのスタートなどを指示するためのスタートキー、実行中の処理の中止を指示するためのキャンセルキー、コピー枚数などを指示するためのテンキー、装置の動作モードを切換えるモード切換キー(コピーモードキー、プリンタモードキー、スキャンモードキー、ファックスモードキー)などを備える。入力部4aは制御部8と接続されており、各キーに対する操作信号などを制御部8に与える。
【0047】
操作部4の表示部4bは、ドットマトリックスタイプの液晶パネルを有し、利用者に対して必要な情報の表示を行う。液晶パネルの画面上には、透明なタッチパネルが設けられており、液晶パネル上に表示される情報に従ってタッチパネルを操作することにより、各種指示を入力することが可能であり、液晶パネルは入力部4aの一部として機能する。表示部4bは制御部8に接続されており、制御部8から表示制御信号を受取ったり、タッチパネルに対する操作信号を制御部8に与える。
【0048】
画像形成部6は、画像読み取り部2及びハードディスク12と接続され、また、制御部8を介して通信部10及びI/F部11と接続されている。画像形成部6は、画像データを記憶するDRAM(Dynamic Random Access Memory)等のメモリ6aと、メモリ6aから受取った画像データに基づく画像をシートに形成する印字部(LSU:Laser Scanning Unit、画像形成手段)6bと、メモリ6aからハードディスク12に転送する画像データを暗号化する暗号化部6cと、ハードディスク12からメモリ6aに転送する暗号化された画像データを復号化する復号化部6dとを有する。メモリ6aには、制御部8の制御により、画像読み取り部2から受取った画像データと、ハードディスク12、通信部10、及びI/F部11から夫々受取った画像データが記憶される。また、メモリ6aに記憶されている画像データを、制御部8の制御により、ハードディスク12、通信部10、及びI/F部11に送ることも可能である。なお、本実施の形態では印字部6bはLSU(レーザ走査ユニット)で構成してあるが、インクジェット方式などのプリンタ装置であってもよい。
【0049】
画像読み取り部2は、画像形成部6に接続されており、たとえばCCD(Charge Coupled Device)2aなどの光学的な画像読み取り手段によって原稿の画像を読み取る。制御部8の制御によって、画像読み取り部2が読み取った原稿の画像データはメモリ6aにページ単位(原稿1枚単位)で記憶されると共に、読み取った原稿の枚数(ページ数)は管理部14に記憶される。また、画像読み取り部2は、読取原稿の検出信号を制御部8へ送る原稿センサ2bを備える。
【0050】
通信部10は、制御部8に接続されると共に、内部ネットワークN1及び外部ネットワークN2のパソコン32などと例えばLANケーブルなどで接続されており、前記外部装置との間でデータ通信を行い、例えば画像データを送受信する。
【0051】
I/F部(通信部)11は、制御部8に接続されており、携帯電話などの携帯端末40と例えば赤外線通信などの光通信などを行う。赤外線通信を行う場合、複合機1のI/F部11と携帯端末40が備える後述するI/F部とは、対向させる必要がある。なお、複合機1の通信部10と内部ネットワークN1のパソコン32とは有線接続で通信を行うため、対向させる必要は特にない。また、I/F部11が電波を用いた無線通信を行う場合、複合機1のI/F部11と携帯端末40が備える後述するI/F部とは、特に対向させる必要はない。
【0052】
ハードディスク12は、画像形成部6及び制御部8に接続され、画像読み取り部2、通信部10又はI/F部11から入力されて画像形成部6でプリント(画像形成)される画像データ、及び、通信部10又はI/F部11から外部へ送信される画像データが記憶される。
【0053】
消去部16は、ハードディスク12及び制御部8に接続され、ハードディスク12に記憶した画像データのプリント又は送信が完了して消去可能になった場合、制御部8の制御により、消去可能になった画像データをランダムデータなどで上書して無効化する。従って、本発明の複合機1においては、画像データのセキュリティが確保される。なお、メモリ6a及びハードディスク12には、画像データ以外の各種データも記憶することが可能である。
【0054】
制御部8は、操作部4の入力部4a又は表示部4bへの操作に従って、前記各構成部を制御して画像処理などのデータ処理を実行すると共に、表示部4bに複合機1の状態に関する情報及びユーザに通知すべき情報等を出力する。また、制御部8は、画像読み取り部2からの画像データの入力制御、及び、通信部10又はI/F部11を介しての外部からの画像データの入力制御、入力された画像データのメモリ6a及びハードディスク12への入出力制御、画像形成部6、通信部10又はI/F部11からの画像データの出力制御等を行う。
【0055】
操作部4でコピーモードの選択を受付けるなどして、複合機1を複写機として動作させる場合、制御部8の制御によって、画像読み取り部2にセットされた原稿を電子的に読み取り、読み取った画像データをメモリ6aに記憶した後、ハードディスク12に記憶する。原稿が複数ある場合は、同様の処理を繰り返す。その後、制御部8の制御によって、ハードディスク12に記憶した画像データが適切なタイミングで順次メモリ6aに送られ、印字部6bの印字タイミングに合わせて画像データがメモリ6aから印字部6bへと送られ、プリントが行われる。画像データを複数部印字する場合は、出力部数の分だけ画像データが繰り返し印字部6bへ送られる。
【0056】
通信部10又はI/F部11でプリント対象のデータを受付けるなどして、複合機1をプリンタとして動作させる場合、例えば内部ネットワークN1に接続されたパソコン32から送信された画像データは通信部10で受信され、制御部8の制御によって、メモリ6aに送られてページ単位で記憶された後、ハードディスク12に記憶される。その後、制御部8の制御によって、ハードディスク12に記憶された画像データはメモリ6aに送られ、上述した複写機として使用する場合と同様にして、印字部6bに送られ、プリントが行われる。
【0057】
操作部4でスキャンモードの選択を受付けるなどして、複合機1をネットワークスキャナとして動作させる場合、制御部8の制御によって、画像読み取り部2にセットされた原稿を電子的に読み取り、読み取った原稿の画像データをメモリ6aに記憶した後、ハードディスク12に記憶する。その後、制御部8の制御によって、ハードディスク12に記憶した画像データはメモリ6aに送られ、操作部4で受付けた送信先へ通信部10又はI/F部11から送信される。画像データの送信先としては、内部ネットワークN1内のパソコン32、外部ネットワークN2のパソコン32、又は携帯端末40を指定することが可能である。また、ファックスモードの場合は、スキャンモードとほぼ同様の処理が行われるが、画像データの送信先としてiFAX機34を指定することが可能である。
【0058】
図2は携帯端末(データ記憶装置)40の構成例を示すブロック図である。携帯端末40は、例えば携帯電話であり、液晶表示パネルなどを有する表示部43と、数字キー及び通話キーなどを有する操作部44と、電波を用いた通話などの通信を行う通信部45と、例えば赤外線を用いたデータ通信などを行うI/F部(通信部)46と、データを記憶する記憶部42と、CCDなどを有する撮像部47と、前記各部42〜47の制御を行う制御部41とを備える。
【0059】
図3は携帯端末40の記億部42に記憶されているデータの例を示す概念図である。記憶部42には、端末情報、所有者情報、認証情報、文書情報、電話情報、メール情報などが記憶されている。前記端末情報は、複合機1のメンテナンスを行うサービス員、複合機1が設置されている店の店員、又は、複合機1を利用する一般ユーザなどを表す情報である。前記所有者情報は名前又は会社名などの情報である。前記認証情報はID(identification)などのコード情報である。前記文書情報は、記憶部42に記憶されている文書データに関するデータ名、重要度(一般又は重要など)、所属(社内、社外、又は個人など)、色(カラー又は白黒など)などの情報である。前記電話情報は名前及び電話番号を含み、前記メール情報は名前及びメールアドレスを含む。また、記憶部42には、撮像部47で撮像した画像データ、通信部45又はI/F部46で受信した画像データ又は文書データ、操作部44から入力した文書データなどのデータも記憶されている。
【0060】
携帯端末40は、データを記憶するデータ記憶装置として動作し、複合機1は、データを処理するデータ処理装置として動作する。複合機1のI/F部11は、複数の通信方式でデータ通信を行うことが可能な通信部として動作し、制御部8は、前記複数の通信方式の何れかを選択する選択手段として動作する。本説明では、I/F部11は、図2に示すように、夫々通信方式が異なるI/F・A、I/F・B、及びI/F・Cを有し、I/F・A、I/F・B、又はI/F・Cを選択することで通信方式を選択する。I/F部11は、制御部8が選択した通信方式でデータ通信を行い、複合機1は、I/F部11が携帯端末40から受信したデータを処理し、また、処理したデータをI/F部11から携帯端末40へ送信する。
【0061】
携帯端末40のI/F部46は、複数の通信方式でデータ通信を行うことが可能な通信部として動作する。本説明では、携帯端末40のI/F部46は、夫々通信方式が異なるI/F・A及びI/F・Bを有する。複合機1の制御部8は、携帯端末40がデータ通信を行うことが可能な通信方式を判別する判別手段として動作し、判別結果に基づいて通信方式(I/F・A、I/F・B、又はI/F・C)を選択する。例えば携帯端末40が1種類の通信方式(例えばI/F・A)でデータ通信を行う場合、制御部8は前記通信方式(例えばI/F・A)を選択する。また、複合機1の制御部8は、複合機1のI/F部11及び携帯端末40のI/F部46の両方がデータ通信を行うことが可能な通信方式を選択する。本説明では、I/F・A又はI/F・Bの何れかが選択される。
【0062】
また、携帯端末40は、装置内の各構成部に給電を行う二次電池などの電池49を備え、複合機1の制御部8は、携帯端末40の制御部41が管理する電池残量を取得する取得手段として動作し、取得した電池残量に基づいて通信方式(I/F・A、I/F・B、又はI/F・C)を選択する。例えば、電池残量が所定値以下の場合、複合機1の制御部8は、両装置がデータ通信可能なI/F・A又はI/F・Bのうち、消費電力が低いものを選択する。
【0063】
また、制御部8は、携帯端末40から受信すべきデータのサイズに基づいて、通信方式(I/F・A、I/F・B、又はI/F・C)を選択する。例えば、データのサイズが所定値以上の場合、複合機1の制御部8は、両装置がデータ通信可能なI/F・A又はI/F・Bのうち、データ転送が高速のものを選択する。また、制御部8は、携帯端末40から受信すべきデータの種類に基づいて、通信方式(I/F・A、I/F・B、又はI/F・C)を選択する。例えば、画像データを受信する場合、複合機1の制御部8は、両装置がデータ通信可能なI/F・A又はI/F・Bのうち、データ転送が高速のものを選択する。
【0064】
また、携帯端末40の記憶部42には、例えば図3に示した文書情報の重要度が設定されたデータが記憶されており、複合機1の制御部8は、携帯端末40から受信すべきデータに設定されている重要度に基づいて、通信方式(I/F・A、I/F・B、又はI/F・C)を選択する。例えば、文書情報の重要度が“重要”のデータA1,A2などの重要データを送受信する場合、複合機1の制御部8は、両装置がデータ通信可能なI/F・A又はI/F・Bのうち、セキュリティが高いものを選択する。
【0065】
ここで、I/F・Aは、赤外線通信などの光通信を行い、I/F・Bは、IEEE802.11aなどの無線通信を行うものとする。この場合、一般的に、消費電力はI/F・Aの方が低く、データ転送速度はI/F・Bの方が高速である。また、無線通信は広範囲に通信データが伝搬するが、赤外線は周囲に通信データが伝搬し難いため、I/F・Aの方がセキュリティは高い。
【0066】
図4は、I/Fの選択手順の例を示すフローチャートである。複合機1の制御部8は、I/F部11から携帯端末40にアクセスして、携帯端末40が備えるI/Fを判別する(S10)。携帯端末40が備えるI/Fの判別は、例えば携帯端末40の制御部41が管理するI/F情報を取得して判別することが可能である。本説明では、携帯端末40がI/F・A及びI/F・Bを備えていることが判別される。次に、複合機1の制御部8は、I/F部11と通信可能な携帯端末40のI/Fを判別する(S12)。通信可能なI/Fの判別は、例えば管理部14が管理する複合機1のI/F情報に基づいて判別することが可能である。本説明では、複合機1のI/F部11は、携帯端末40が備えるI/F・A及びI/F・Bの両方とも通信可能である。
【0067】
次に、複合機1の制御部8は、使用するI/Fを選択する(S14)。例えば、制御部8は、まず、複合機1と携帯端末40との間でデータ通信が行えるI/F・A及びI/F・Bを選択する。次に、重要度の高いデータA1、A2などを受信する場合は、セキュリティの高いI/F・Aを選択する。また、画像データを受信するなどデータサイズの大きいデータを受信する場合は、データ転送が高速なI/F・Bを選択する。
【0068】
制御部8は、表示部4bに、選択したI/Fを使用するかユーザに確認する画面を表示し、操作部4で確認を受付ける(例えば“1”:使用する、“0”:使用しない)。または、I/F部11から携帯端末40へ確認画面を送信し、携帯端末40の表示部43に表示し、操作部44で確認を受付ける。選択したI/Fを使用しない場合(S16:NO)、制御部8は、他のI/Fを選択し(S22)、再度確認を受付ける。選択したI/Fを使用する場合(S16:YES)、制御部8は、選択したI/Fを表示部4bに表示し(S18)、選択したI/Fでデータ通信を行う(S20)。例えばI/F・Aが選択された場合、複合機1のI/F部11のI/F・Aと携帯端末40のI/F部46のI/F・Aとの間でデータ通信が行われる。
【0069】
上述した実施の形態においては複合機1のI/F部11は3種類の通信方式でデータ通信を行うことが可能であるが、3種類に限定はされず、1又は複数の任意種類の通信方式でデータ通信を行う構成にすることが可能である。また、上述した実施の形態において、携帯端末40のI/F部46は、2種類の通信方式でデータ通信を行うことが可能であるが、2種類に限定はされず、1又は複数の任意種類の通信方式でデータ通信を行う構成にすることが可能である。また、携帯端末40は、携帯電話に限定はされず、PDA(Personal Digital Assistant)又はノート型コンピュータなど任意の携帯端末装置を用いることが可能である。また、I/F部11,46は、赤外線通信又はIEEE802.11bに限定はされず、Bluetooth又はIEEE802.11aなどの任意の通信方式を用いることが可能である。また、2種類の通信方式として、データ転送速度が異なる2種類の赤外線通信I/Fを用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る複合機を含む通信ネットワークの構成例を示すブロック図である。
【図2】携帯端末の構成例を示すブロック図である。
【図3】携帯端末の記億部に記憶されているデータの例を示す概念図である。
【図4】I/Fの選択手順の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
1 複合機
2 画像読み取り部
4 操作部
6 画像形成部
8 制御部
10 通信部
11 I/F部
12 ハードディスク
14 管理部
16 消去部
32 パソコン
34 iFAX機
40 携帯端末
41 制御部
42 記憶部
43 表示部
44 操作部
45 通信部
46 I/F部
47 撮像部
N1 内部ネットワーク
N2 外部ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを記憶するデータ記憶装置と、データを処理するデータ処理装置とを備えるデータ処理システムにおいて、
前記データ処理装置は、
複数の通信方式でデータ通信を行うことが可能な通信部と、
前記複数の通信方式の何れかを選択する選択手段と
を備え、
通信部は選択手段が選択した通信方式でデータ通信を行い、通信部がデータ記憶装置から受信したデータを処理、又は、処理したデータを通信部からデータ記憶装置へ送信するように構成してあることを特徴とするデータ処理システム。
【請求項2】
前記データ記憶装置がデータ通信を行うことが可能な通信方式を判別する判別手段を備え、
前記選択手段は、判別手段の判別結果に基づいて通信方式を選択するように構成してあることを特徴とする請求項1記載のデータ処理システム。
【請求項3】
前記データ記憶装置は、複数の通信方式でデータ通信を行うことが可能な通信部を備えることを特徴とする請求項2記載のデータ処理システム。
【請求項4】
前記選択手段は、データ処理装置の通信部及びデータ記憶装置の両方がデータ通信を行うことが可能な通信方式を選択するように構成してあることを特徴とする請求項3記載のデータ処理システム。
【請求項5】
前記データ記憶装置は電池を備え、
前記データ処理装置は、データ記憶装置の電池残量を取得する取得手段を備え、
前記選択手段は、さらに取得手段が取得した電池残量に基づいて通信方式を選択するように構成してあることを特徴とする請求項2乃至4の何れかひとつに記載のデータ処理システム。
【請求項6】
前記選択手段は、さらに前記データ記憶装置から受信すべきデータのサイズに基づいて、通信方式を選択するように構成してあることを特徴とする請求項2乃至4の何れかひとつに記載のデータ処理システム。
【請求項7】
前記選択手段は、さらに前記データ記憶装置から受信すべきデータの種類に基づいて、通信方式を選択するように構成してあることを特徴とする請求項2乃至4の何れかひとつに記載のデータ処理システム。
【請求項8】
前記データ記憶装置には、重要度が設定されたデータが記憶されており、
前記選択手段は、さらに前記データ記憶装置から受信すべきデータに設定されている重要度に基づいて、通信方式を選択するように構成してあることを特徴とする請求項2乃至4の何れかひとつに記載のデータ処理システム。
【請求項9】
前記データ記憶装置には画像データが記憶されており、
前記データ処理装置は、画像データに基づく画像をシートに形成する画像形成手段を備え、画像データの処理を行うように構成してあることを特徴とする請求項1乃至8の何れかひとつに記載のデータ処理システム。
【請求項10】
複数の通信方式でデータ通信を行うことが可能な通信部と、
前記複数の通信方式の何れかを選択する選択手段と
を備え、
通信部は選択手段が選択した通信方式でデータ通信を行い、通信部が受信したデータを処理、又は、処理したデータを通信部から送信するように構成してあることを特徴とするデータ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−72538(P2006−72538A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−253037(P2004−253037)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】