説明

データ処理装置、データ処理装置における表示制御方法、および、プログラム

【課題】表示部と制御部が離れて配置された構成において画像データのリフレッシュ表示を行う場合に、回路規模や転送データの増大を防ぐデータ処理装置を提供する。
【解決手段】制御部は、一画面を複数のパーツデータで構成された画像データを生成し、制御部内に画像データを格納しておく。複数のパーツデータそれぞれについてチェックサムを算出し、表示部に、画像データと算出されたチェックサムとを送信する。表示部は、画像データとチェックサムとを受信して表示部内に格納する。表示部は、画像データを読み出し、複数のパーツデータそれぞれについてチェックサムを算出して、制御部から受信したチェックサムと比較し、差があるかを判定する。差があると判定されたパーツデータをエラーデータとして特定し、そのパーツデータの再送を制御部に要求する。制御部は、再送要求の受信後、エラーデータとして特定されたパーツデータを表示部に再送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データのリフレッシュ表示処理を行うデータ処理装置、データ処理装置における表示制御方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
記録装置等のデータ処理装置内でLCDが搭載された操作パネルとメインコントローラとが離れて配置された構成では、LCDを制御するLCDコントローラと表示用データを格納するビデオRAM(VRAM)は、一般的に操作パネル側に配置される。そのような構成において、LCDコントローラがLCDのフレームレート制御やVRAM制御を行なうことで、メインコントローラの負荷を低減することができ、また、メインコントローラと操作パネル間のデータ転送量を削減することができる。従って、メインコントローラは、表示用データをLCDコントローラに転送するだけで、LCDに所定の画像を表示させることができる。
【0003】
しかしながら、上記の構成では、静電気等の電磁ノイズによりVRAMに格納されたデータが破壊された場合、メインコントローラがVRAMに格納されたデータの異常を検知できないので、所望の画像とは異なる画像がLCDに表示され続けられてしまう。一般的に、ノイズの発生タイミングは不定期であるので、従来では、この不具合を回避するために、一定間隔で表示用データを操作パネルに配置されたLCDコントローラに転送して、表示用データを更新している。しかしながら、そのために、表示用データの転送のための処理負荷や消費電力の増大等の問題が発生していた。また、特許文献1では、操作パネルに転送した表示用データを一定間隔でチェックする方法が提案されている。
【0004】
図5は、従来におけるメインコントローラと操作パネルの構成を示す図である。メインコントローラ505において、CPU507がLCD表示送信レジスタ508に表示用データを書き込むと、表示用データは、通信ポート506を介して操作パネル501に転送される。操作パネル501上の操作部マイコン504は、通信ポート504bで受信した表示用データをLCDコントローラ503に転送する。LCDコントローラ503は表示用データを内部のLCD表示内容レジスタ503aに書き込み、さらにLCD502に転送することで画像を表示する。操作部マイコン504は、LCD表示内容レジスタ503aから表示用データを読み込み、操作部マイコン504内のワークメモリ504aにおいてチェックサムを計算する(計算された結果をsumAとする)。操作部マイコン504は、操作部マイコン504内の通信ポート504bからsumAをメインコントローラ505の通信ポート506に送信する。操作部マイコン504内のタイマ504cはインターバルタイマであり、このタイマ間隔で表示内容レジスタ503aのチェックサムを計算して、sumAをメインコントローラ505に送信する。sumAを受信したメインコントローラ505では、CPU507がそのsumAをワークメモリ509に格納する。また、CPU507は、LCD表示送信レジスタ508に書き込む表示用データのチェックサム値を予め計算しておき、ワークメモリ509に格納している。
【0005】
CPU507は、操作パネル501から送信されたsumAと、予め計算された表示用データのチェックサム値とを比較する。ここで、sumAが表示用データのチェックサム値と一致しない場合には、LCD表示内容レジスタ503aの内容が破壊され、LCD502で誤表示を引き起こしていると判断する。判断後、CPU507は、操作パネル501にLCD表示送信レジスタ508に保存されている表示用データを通信ポート506から再送信する。操作パネル501においては、再送信された表示用データを通信ポート504bから受信して、LCDコントローラ503内の表示内容レジスタ503aに書き込むことで、LCD502の表示画像をリフレッシュする(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−318567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のようにメインコントローラ側(制御部)でチェックサムの比較を実行すると、表示用データのチェックサム値を一定間隔で操作パネル(表示部)からメインコントローラ側に転送する必要がある。従って、メインコントローラと操作パネル間のデータ転送量やデータ転送のための処理負荷が増大してしまう。また、操作パネルの操作部マイコンにおいて、チェックサムの演算を一定間隔で実施するための専用のインターバルタイマが必要となり、回路規模が増大してしまう。さらに、チェックサム値の比較により誤表示が発生したと判断された場合、LCDの全表示用の画像データを再送する必要があり、特に、大画面のLCDの場合には、画像データ量が膨大となるので、誤表示発生時の復旧(リフレッシュ)に時間がかかってしまう。
【0008】
本発明の目的は、このような従来の問題点を解決することにある。上記の点に鑑み、本発明は、表示部と制御部が離れて配置された構成において画像データのリフレッシュ表示を行う場合、回路規模や転送データの増大を防ぐデータ処理装置、データ処理装置における表示制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係るデータ処理装置は、ディスプレイに画像データをリフレッシュ表示する表示部と、前記表示部を制御する制御部とを含むデータ処理装置であって、
前記制御部は、
前記表示部の一画面を複数のパーツデータで構成された画像データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された画像データを格納する第1の格納手段と、
前記複数のパーツデータそれぞれについてチェックサムを算出する第1の算出手段と、
前記表示部に、前記画像データと前記第1の算出手段により算出されたチェックサムとを送信する送信手段と、
前記表示部から、前記表示部においてエラーデータとして特定されたパーツデータについて該パーツデータの再送の要求を受信する再送要求受信手段と、
前記再送要求受信手段により前記再送の要求を受信した後、前記第1の格納手段により格納された前記画像データのうち、前記エラーデータとして特定されたパーツデータを前記表示部に再送する再送手段とを備え、
前記表示部は、
前記画像データと前記第1の算出手段により算出されたチェックサムとを受信する受信手段と、
前記画像データを格納する第2の格納手段と、
前記第1の算出手段により算出されたチェックサムを格納する第3の格納手段と、
前記第2の格納手段から前記画像データを読み出し、前記画像データを構成する前記複数のパーツデータそれぞれについてチェックサムを算出する第2の算出手段と、
前記第3の格納手段により格納されたチェックサムと、前記第2の算出手段により算出されたチェックサムとを、前記複数のパーツデータそれぞれについて比較して差があるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により差があると判定された場合に、該差があると判定されたパーツデータをエラーデータとして特定し、該特定されたパーツデータの再送を前記制御部に要求する再送要求手段と、
前記制御部の前記再送手段により再送されたパーツデータを受信する第2の受信手段とを備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、表示部と制御部が離れて配置された構成において画像データのリフレッシュ表示を行う場合に、回路規模や転送データの増大を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施例におけるメインコントローラ(制御部)と操作パネル(表示部)の構成を示す図である。
【図2】第2の実施例におけるメインコントローラ(制御部)と操作パネル(表示部)の構成を示す図である。
【図3】メインコントローラの処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】操作パネルの処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】従来におけるメインコントローラと操作パネルの構成を示す図である。
【図6】記録装置の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例を詳しく説明する。尚、以下の実施例は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施例で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
【0013】
以下に説明する実施例では、インクジェット方式に従う記録ヘッドを用いた記録装置をデータ処理装置の一例として説明する。
【0014】
図6は、本発明の代表的な実施例であるインクジェット記録装置の構成の概要を示す外観斜視図である。図6に示すように、インクジェット記録装置(以下、記録装置600という)は、インクジェット方式に従ってインクを吐出して記録を行なう記録ヘッド603を搭載したキャリッジ602にキャリッジモータM1によって発生する駆動力を伝達機構604より伝え、キャリッジ602を矢印A方向に往復移動させるとともに、例えば、記録紙などの記録媒体Pを給紙機構605を介して給紙し、記録位置まで搬送し、その記録位置において記録ヘッド603から記録媒体Pにインクを吐出することで記録を行なう。
【0015】
また、記録ヘッド603の状態を良好に維持するためにキャリッジ602を回復装置610の位置まで移動させ、間欠的に記録ヘッド603の吐出回復処理を行う。
【0016】
記録装置600のキャリッジ602には記録ヘッド603を搭載するのみならず、記録ヘッド603に供給するインクを貯留するインクカートリッジ606を装着する。インクカートリッジ606はキャリッジ602に対して着脱自在になっている。
【0017】
図6に示した記録装置600はカラー記録が可能であり、そのためにキャリッジ602にはマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロ(Y)、ブラック(K)のインクを夫々、収容した4つのインクカートリッジを搭載している。これら4つのインクカートリッジは夫々独立に着脱可能である。
【0018】
さて、キャリッジ602と記録ヘッド603とは、両部材の接合面が適正に接触されて所要の電気的接続を達成維持できるようになっている。記録ヘッド603は、記録信号に応じてエネルギーを印加することにより、複数の吐出口からインクを選択的に吐出して記録する。特に、この実施例の記録ヘッド603は、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット方式を採用し、熱エネルギーを発生するために電気熱変換体を備え、その電気熱変換体に印加される電気エネルギーが熱エネルギーへと変換され、その熱エネルギーをインクに与えることにより生じる膜沸騰による気泡の成長、収縮によって生じる圧力変化を利用して、吐出口よりインクを吐出させる。この電気熱変換体は各吐出口のそれぞれに対応して設けられ、記録信号に応じて対応する電気熱変換体にパルス電圧を印加することによって対応する吐出口からインクを吐出する。
【0019】
図6に示されているように、キャリッジ602はキャリッジモータM1の駆動力を伝達する伝達機構604の駆動ベルト607の一部に連結されており、ガイドシャフト613に沿って矢印A方向に摺動自在に案内支持されるようになっている。従って、キャリッジ602は、キャリッジモータM1の正転及び逆転によってガイドシャフト613に沿って往復移動する。また、キャリッジ602の移動方向(矢印A方向)に沿ってキャリッジ602の絶対位置を示すためのスケール608が備えられている。この実施例では、スケール608は透明なPETフィルムに必要なピッチで黒色のバーを印刷したものを用いており、その一方はシャーシ609に固着され、他方は板バネ(不図示)で支持されている。
【0020】
また、記録装置600には、記録ヘッド603の吐出口(不図示)が形成された吐出口面に対向してプラテン(不図示)が設けられており、キャリッジモータM1の駆動力によって記録ヘッド603を搭載したキャリッジ602が往復移動されると同時に、記録ヘッド603に記録信号を与えてインクを吐出することによって、プラテン上に搬送された記録媒体Pの全幅にわたって記録が行われる。
【0021】
さらに、図6において、614は記録媒体Pを搬送するために搬送モータM2によって駆動される搬送ローラ、615はバネ(不図示)により記録媒体Pを搬送ローラ614に当接するピンチローラ、616はピンチローラ615を回転自在に支持するピンチローラホルダ、617は搬送ローラ614の一端に固着された搬送ローラギアである。そして、搬送ローラギア617に中間ギア(不図示)を介して伝達された搬送モータM2の回転により、搬送ローラ614が駆動される。
【0022】
またさらに、620は記録ヘッド603によって画像が形成された記録媒体Pを記録装置外ヘ排出するための排出ローラであり、搬送モータM2の回転が伝達されることで駆動されるようになっている。なお、排出ローラ620は記録媒体Pをバネ(不図示)により圧接する拍車ローラ(不図示)により当接する。622は拍車ローラを回転自在に支持する拍車ホルダである。
【0023】
またさらに、記録装置600には、図6に示されているように、記録ヘッド603を搭載するキャリッジ602の記録動作のための往復運動の範囲外(記録領域外)の所望位置(例えば、ホームポジションに対応する位置)に、記録ヘッド603の吐出不良を回復するための回復装置610が配設されている。
【0024】
回復装置610は、記録ヘッド603の吐出口面をキャッピングするキャッピング機構611と記録ヘッド603の吐出口面をクリーニングするワイピング機構612を備えており、キャッピング機構611による吐出口面のキャッピングに連動して回復装置内の吸引手段(吸引ポンプ等)により吐出口からインクを強制的に排出させ、それによって、記録ヘッド603のインク流路内の粘度の増したインクや気泡等を除去するなどの吐出回復処理を行う。
【0025】
また、非記録動作時等には、記録ヘッド603の吐出口面をキャッピング機構611によるキャッピングすることによって、記録ヘッド603を保護するとともにインクの蒸発や乾燥を防止することができる。一方、ワイピング機構612はキャッピング機構611の近傍に配され、記録ヘッド603の吐出口面に付着したインク液滴を拭き取るようになっている。これらキャッピング機構611及びワイピング機構612により、記録ヘッド603のインク吐出状態を正常に保つことが可能となっている。
【0026】
なお、図6に示す構成は、インクカートリッジ606と記録ヘッド603とが分離可能な構成であるが、これらが一体的に形成されて交換可能なヘッドカートリッジを構成しても良い。さらに、本発明に係る記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の画像出力端末として一体または別体に設けられるものの他、リーダ等と組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を取るものであっても良い。
【0027】
図1は、図6に示す記録装置の制御構成(メインコントローラ(制御部)と操作パネル(表示部))を示す図である。
【0028】
操作パネル100は、LCDコントローラ101、LCD102、VRAM103を含む。LCD102(ディスプレイ)とVRAM103は、LCDコントローラ101により制御される。VRAM103は、LCD102の表示用データを格納するメモリであり、一般的には、汎用のDRAM等が用いられる。LCDコントローラ101は、通信ポート104、サムレジスタ105、比較器106、FRC107、加算器108、RAMコントローラ109を含む。通信ポート104は、メインコントローラ110との通信を行う。また、RAMコントローラ109は、VRAM103を制御する。また、FRC107は、LCD102のフレームレート制御を行う。また、サムレジスタ105は、表示用データのチェックサム値を格納する。また、加算器108は、LCD102に表示する表示用データのチェックサム値をフレームレート分、加算する。また、比較器106は、加算器108による加算結果とサムレジスタ105のチェックサム値とを比較する。
【0029】
メインコントローラ110は、図1に示すシステム全体の制御を行うCPU111、CPU111の動作プログラムを格納するROM112を含む。また、メインコントローラ110は、画像データの処理とその格納(第1の格納の一例)を行うためのワークRAM113、操作パネル100との通信を行う通信ポート114を含む。メインコントローラ110は、LCD102に表示する表示用データを一旦、ワークRAM113に生成する。さらに、ワークRAM113に生成した一画面分の表示用データのチェックサム値を計算し、通信ポート114を介して、その計算されたチェックサム値と生成した表示用データとを操作パネル100に転送する。
【0030】
LCDコントローラ101は、通信ポート104を介して受信したチェックサム値をサムレジスタ105に格納する。また、通信ポート104を介して受信した表示用データは、RAMコントローラ109を介してVRAM103に格納する。また、RAMコントローラ109は、1画面分の表示用データをVRAM103から読み出して、FRC107と加算器108に転送する。FRC107は、フレームレート制御を行い、所定のフレーム周期で表示用データを更新処理することで残像効果により擬似的に色を表現する。また、FRC107は、表示用データをLCD102が対応するデータフォーマットに変換して転送する。加算器108は、VRAM103から読み出された表示用データを順次加算し、一画面分の加算値を比較器106に転送する。比較器106は、サムレジスタ105に格納された表示用データのチェックサム値と加算器108の加算結果とを一画面ごとに比較し、その比較の結果、差異が発生している場合には、エラー信号を生成して通信ポート104に送信する。通信ポート104は、比較器106からエラー信号を受信すると、メインコントローラ110に対して表示用データの再送要求を送信する。
【0031】
図3は、LCD102の更新表示制御(リフレッシュ表示)の際のメインコントローラ110の処理の手順を示すフローチャートである。まず、メインコントローラ110において、LCD102に表示する表示用データ(画像データ)をワークRAM113に生成する(S301)。さらに、ワークRAM113に生成した表示用データのチェックサム値を1画面毎に算出する(第1の算出の一例、S302)。算出されたチェックサム値は、通信ポート114を介して操作パネル100に転送される(S303)。また、その際に、表示用データも操作パネル100に転送される(S304)。その後、新たな一画面の表示用データを生成するまで、操作パネル100における表示用データのデータエラー発生を監視し、操作パネル100からの表示用データの再送要求を受信したか否かにより、データエラーが発生したか否かを判定する(S305)。ここで、操作パネル100から表示用データの再送要求を受信した場合(再送要求受信の一例)、データエラーが発生したと判定する。メインコントローラ110は、その場合に、メインコントローラ110のワークRAM113上に生成した表示用データを再度、通信ポート114を介して操作パネル100に転送する(S306)。一方、操作パネル100から表示用データの再送要求を受信しなかった場合には、データエラーが発生しなかったと判定して、S307に進む。S305では、予め定められた時間内で再送要求を受信したか否かを判定するようにしても良い。S307において、メインコントローラ110から操作パネル100に転送した表示用データでLCD102の更新表示(リフレッシュ表示)がされたか否かが判定される。ここで、更新されていないと判定された場合には、S305の処理に戻る。例えば、更新されていない場合とは、再送された表示用データで、再びデータエラーが発生したと判定されて表示用データの再送要求が再度送信された場合である。一方、更新されたと判定された場合には、本処理を終了し、次の一画面分の表示用データを対象として、S301の処理が行われる。
【0032】
図4は、LCD102の更新表示制御(リフレッシュ表示)の際の操作パネル100の処理の手順を示すフローチャートである。まず、操作パネル100において、メインコントローラ110から受信した一画面分の表示用データ(画像データ)のチェックサム値をサムレジスタ105に格納する(S401)。さらに、メインコントローラ110から受信した表示用データをVRAM103に格納する(S402)。VRAM103に格納された表示用データは、RAMコントローラ109により一画面毎に読み出され、FRC107に転送されると共に、加算器108において一画面毎の表示用データのチェックサム値を算出する(S403)。S403で算出されたチェックサム値とS401でサムレジスタ105に格納されたチェックサム値とが比較器106に転送されて、チェックサム値の比較が行なわれる(S404)。比較器106においてチェックサム値に差異が発生したか否か、即ち、データエラーが発生したか否かが判定される(S405)。ここで、差異があってデータエラーが発生したと判定された場合には、通信ポート104を介してメインコントローラ110に表示用データの再送要求を送信する(S406)。一方、差異がなくデータエラーが発生しなかったと判定された場合には、S408に進む。S407において、通信ポート104を介して表示用データをメインコントローラ110から再度、受信し、表示用データをVRAM103に格納する(S407)。S405においてデータエラーが発生していないと判定された場合には、LCD102の更新表示が行なわれる。
【0033】
S408において、メインコントローラ110から操作パネル100に転送した表示用データでLCD102の更新表示(リフレッシュ表示)がされたか否かが判定される。ここで、更新表示がされたと判定された場合には、本処理を終了する。一方、更新表示がされていないと判定された場合には、S403からの処理を繰り返し、再度、チェックサム値の比較が行われる。その場合には、S407において再度受信した表示用データがVRAM103が読み出されて比較が行なわれる。
【0034】
次に、第2の実施例について説明する。
【0035】
図2は、第2の実施例におけるメインコントローラ(制御部)と操作パネル(表示部)の構成を示す図である。操作パネル200は、LCDコントローラ201、LCD102、VRAM203を含む。第1の実施例と同様に、LCD102とVRAM203は、LCDコントローラ201により制御される。VRAM203は、LCD102の表示用データを格納するメモリである。但し、本実施例において、その表示用データは、複数のパーツ単位のデータ(以下、パーツデータという)から構成される。LCDコントローラ201は、通信ポート104、サムレジスタ205、比較器106、FRC107、加算器208、RAMコントローラ109を含む。本実施例において、サムレジスタ205は、パーツデータ毎にチェックサム値を格納する複数のレジスタである。また、加算器208は、パーツデータ毎にチェックサム値を計算する複数の加算器208である。また、通信ポート104、RAMコントローラ109、LCD102、FRC107、比較器106は、第1の実施例における説明と同じである。
【0036】
メインコントローラ110は、図1に示す構成と同じであり、LCD102に表示する表示用データをパーツデータ単位でワークRAM113上に生成する。さらに、ワークRAM113上において生成した各パーツデータのチェックサム値を計算し、通信ポート114を介して、その計算されたチェックサム値と生成されたパーツデータとを対応付けて操作パネル200に転送する。
【0037】
操作パネル200のLCDコントローラ201は、通信ポート104を介して受信した各パーツデータのチェックサム値を複数のサムレジスタ205に格納する(第3の格納の一例)。また、通信ポート104を介して受信した各パーツデータは、RAMコントローラ109を介してVRAM203に格納される(第2の格納の一例)。RAMコントローラ109は、フレームレートで1画面分のパーツデータをVRAM103から読み出して1画面分の表示用データを生成し、FRC107と加算器208に転送する。
【0038】
FRC107は、第1の実施例と同様に、所定のフレーム周期でLCD102に表示用データを転送する。また、VRAM103から読み出された表示用データは、パーツデータ毎に異なる加算器に転送される。例えば、1画面中のパーツAに対応するパーツデータはパーツA用の加算器に転送され、パーツBに対応するパーツデータはパーツB用の加算器に転送される。加算器208は、VRAM203から読み出されたパーツデータ毎にチェックサムを算出し(第2の算出の一例)、その値を比較器106に転送する。比較器106は、サムレジスタ205に格納されたチェックサム値と加算器208での算出結果とをパーツデータ毎に比較し、チェックサム値に差異が発生したパーツデータをエラーデータと特定し、エラー信号を生成して通信ポート104に送信する。通信ポート104は、比較器106からエラー信号を受信すると、メインコントローラ110に対して、チェックサム値に差異が発生したパーツデータの再送要求を送出する。
【0039】
本実施例では、メインコントローラ110は、図3に示すS301〜S304の処理をパーツデータ毎に実行し、データエラーが発生したと判定された場合に(S305)、S306においてデータエラーが発生したと判定されたパーツデータの再送処理を行う。また、操作パネル200は、図4に示すS401〜S407の処理をパーツデータ毎に実行する。S405においてデータエラーが発生したと判定された場合には、データエラーが発生したと判定されたパーツデータの再送要求(S406)およびパーツデータの再受信処理(第2の受信の一例、S407)を行う。
【0040】
以上のように、操作パネル100および200側でチェックサム値の比較を行うので、操作パネル100および200から表示用データのチェックサム値をメインコントローラ110に転送する必要がない。また、操作パネル200においては、メインコントローラ110から送信された表示用データについて、パーツデータ毎にチェックサム値の比較を行う。従って、従来における、チェックサムの演算を一定間隔で実行するための専用のインターバルタイマ等は必要ない。また、チェックサム値の比較によりデータエラーが発生したと判定された場合には、その判定されたパーツデータを再送するので、1画面分の表示用データを再送しなくてすむ。
【0041】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイに画像データをリフレッシュ表示する表示部と、前記表示部を制御する制御部とを含むデータ処理装置であって、
前記制御部は、
前記表示部の一画面を複数のパーツデータで構成された画像データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された画像データを格納する第1の格納手段と、
前記複数のパーツデータそれぞれについてチェックサムを算出する第1の算出手段と、
前記表示部に、前記画像データと前記第1の算出手段により算出されたチェックサムとを送信する送信手段と、
前記表示部から、前記表示部においてエラーデータとして特定されたパーツデータについて該パーツデータの再送の要求を受信する再送要求受信手段と、
前記再送要求受信手段により前記再送の要求を受信した後、前記第1の格納手段により格納された前記画像データのうち、前記エラーデータとして特定されたパーツデータを前記表示部に再送する再送手段とを備え、
前記表示部は、
前記画像データと前記第1の算出手段により算出されたチェックサムとを受信する受信手段と、
前記画像データを格納する第2の格納手段と、
前記第1の算出手段により算出されたチェックサムを格納する第3の格納手段と、
前記第2の格納手段から前記画像データを読み出し、前記画像データを構成する前記複数のパーツデータそれぞれについてチェックサムを算出する第2の算出手段と、
前記第3の格納手段により格納されたチェックサムと、前記第2の算出手段により算出されたチェックサムとを、前記複数のパーツデータそれぞれについて比較して差があるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により差があると判定された場合に、該差があると判定されたパーツデータをエラーデータとして特定し、該特定されたパーツデータの再送を前記制御部に要求する再送要求手段と、
前記制御部の前記再送手段により再送されたパーツデータを受信する第2の受信手段とを備える、
ことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
ディスプレイに画像データをリフレッシュ表示する表示部と、前記表示部を制御する制御部とを含むデータ処理装置において実行される表示制御方法であって、
前記制御部が、
前記表示部の一画面を複数のパーツデータで構成された画像データを生成する生成工程と、
前記生成工程において生成された画像データを格納する第1の格納工程と、
前記複数のパーツデータそれぞれについてチェックサムを算出する第1の算出工程と、
前記表示部に、前記画像データと前記第1の算出工程において算出されたチェックサムとを送信する送信工程と、
前記表示部が、
前記画像データと前記第1の算出工程において算出されたチェックサムとを受信する受信工程と、
前記画像データを格納する第2の格納工程と、
前記第1の算出工程において算出されたチェックサムを格納する第3の格納工程と、
前記第2の格納工程において格納された前記画像データを読み出し、前記画像データを構成する前記複数のパーツデータそれぞれについてチェックサムを算出する第2の算出工程と、
前記第3の格納工程において格納されたチェックサムと、前記第2の算出工程において算出されたチェックサムとを、前記複数のパーツデータそれぞれについて比較して差があるか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程において差があると判定された場合に、該差があると判定されたパーツデータをエラーデータとして特定し、該特定されたパーツデータの再送を前記制御部に要求する再送要求工程と、
前記制御部が、
前記表示部から、前記表示部においてエラーデータとして特定されたパーツデータについて該パーツデータの再送の要求を受信する再送要求受信工程と、
前記再送要求受信工程において前記再送の要求を受信した後、前記第1の格納工程において格納された前記画像データのうち、前記エラーデータとして特定されたパーツデータを前記表示部に再送する再送工程と、
前記表示部が、
前記制御部の前記再送工程において再送されたパーツデータを受信する第2の受信工程と
を備えることを特徴とする表示制御方法。
【請求項3】
ディスプレイに画像データをリフレッシュ表示する表示部と、前記表示部を制御する制御部とを含むコンピュータにおいて、
前記コンピュータの前記制御部を、
前記表示部の一画面を複数のパーツデータで構成された画像データを生成する生成手段、
前記生成手段により生成された画像データを格納する第1の格納手段、
前記複数のパーツデータそれぞれについてチェックサムを算出する第1の算出手段、
前記表示部に、前記画像データと前記第1の算出手段により算出されたチェックサムとを送信する送信手段、
前記表示部から、前記表示部においてエラーデータとして特定されたパーツデータについて該パーツデータの再送の要求を受信する再送要求受信手段、
前記再送要求受信手段により前記再送の要求を受信した後、前記第1の格納手段により格納された前記画像データのうち、前記エラーデータとして特定されたパーツデータを前記表示部に再送する再送手段として機能させ、
前記コンピュータの前記表示部を、
前記画像データと前記第1の算出手段により算出されたチェックサムとを受信する受信手段、
前記画像データを格納する第2の格納手段、
前記第1の算出手段により算出されたチェックサムを格納する第3の格納手段、
前記第2の格納手段から前記画像データを読み出し、前記画像データを構成する前記複数のパーツデータそれぞれについてチェックサムを算出する第2の算出手段、
前記第3の格納手段により格納されたチェックサムと、前記第2の算出手段により算出されたチェックサムとを、前記複数のパーツデータそれぞれについて比較して差があるか否かを判定する判定手段、
前記判定手段により差があると判定された場合に、該差があると判定されたパーツデータをエラーデータとして特定し、該特定されたパーツデータの再送を前記制御部に要求する再送要求手段、
前記制御部の前記再送手段により再送されたパーツデータを受信する第2の受信手段ととして機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−237490(P2011−237490A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106661(P2010−106661)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】