説明

データ処理装置及びそのためのプログラム

【課題】文章及び動画を用いたマルチメディアマニュアルを作成するときに、マニュアルのテキストデータと、動画データとの対応付けに要する負担及びコストを低減する。
【解決手段】ビデオ解析ソフトウェア311は、組立マニュアルに記載されている作業を実行中の作業者をビデオカメラで撮像して生成したビデオデータを解析することにより、作業者が所定の工具、部品などを使用しているときの時刻情報を工具情報などに対応付けて、イベントリスト315を作成する。マルチメディア作成ソフトウェア312は、イベントリスト315を順次読み出し、対応する作業を組立作業マニュアルのデータファイル314から検索して、その作業に対して、イベントデータの時刻情報を付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチメディアマニュアルの作成が可能なデータ処理装置及びそのためのプログラムに関し、特に、製造ラインにおける部品の組み立て手順などのような、作業時間が定められている手順のためのマルチメディアマニュアルの作成に好適なデータ処理装置及びそのためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製造業では、生産拠点の海外シフトや派遣社員の雇用増加に伴い、新たに技術の習得が必要な作業者が増加しており、生産性及び品質の向上のため、これらの作業者に対する教育環境の整備が重要な課題となっている。
【0003】
このような問題に対し、マルチメディアマニュアル及びその作成支援システムが知られている(特許文献1)。このようなマルチメディアマニュアルによれば、組立手順が文章とともに動画で提示されるため、作業者は組立手順を視覚的に容易に認識し、把握でき、教育期間の短縮、及び教育要員の削減、技術の伝承などに有用である。また、動画の推移により組立作業のペース配分をナビゲートするように構成すれば、生産ラインでは、決められた作業時間で組立作業を実施できる環境を構築することができるため、作業効率の向上及び生産リードタイムの短縮が期待できる。
【0004】
ところで、このようなマルチメディアマニュアルを作成するためには、マニュアルのテキストデータに動画データを対応付けることが必要である。特許文献1に開示されている作成支援システムでは、マニュアルのテキストデータから名詞と動詞を抽出し、名詞の外見を示す静止画データと、動詞が表す動作データとをアニメーション辞書データから読み出し、マニュアルのテキストデータに対応する動画データを生成することで、対応付けを行っている。また、名詞と動詞とから動画データ生成できないときは、ビデオカメラを用いて動画データ(ビデオデータ)を生成している。
【0005】
しかしながら、この作成支援システムでは、アニメーション辞書データの作成に手間及びコストがかかるという問題がある。また、名詞と動詞とから動画データを生成できない度にビデオカメラで動画データを作成する必要があるため、マニュアルの作成者の負担が大きいという問題がある。
【0006】
【特許文献1】特開平8−320876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、文章及び動画を用いたマルチメディアマニュアルを作成するときに、マニュアルのテキストデータと、動画データとの対応付けに要する負担及びコストを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、作業マニュアルに記載されている一連の作業を実行中の作業者をビデオカメラで撮像して生成した動画データ中の前記作業者の動きを解析することにより、前記作業者が所定の工具、部品などの対象物を使用しているときの時刻情報を各対象物の情報に対応付けて、イベントデータのリストを生成する手段と、前記イベントデータ中の前記対象物の情報と前記作業マニュアルの内容を示すマニュアルデータとに基づいて、前記マニュアルデータの各作業を示すデータと前記イベントデータの時刻情報とを対応付ける手段とを有することを特徴とするデータ処理装置である。
請求項2の発明は、請求項1記載のデータ処理装置において、前記時刻情報は、前記作業者が前記対象物に対する接触を開始した時刻を示すことを特徴とするデータ処理装置である。
請求項3の発明は、請求項1記載のデータ処理装置において、前記一連の作業は、一つ以上の作業からなる複数の工程により構成されていることを特徴とするデータ処理装置である。
請求項4の発明は、請求項1記載のデータ処理装置において、前記対応付ける手段は、前記作業者が前記作業マニュアルに記載されたとおりの順序で前記各作業を実行した場合のイベントデータの時刻情報を、前記各作業を示すデータに対応付けることを特徴とするデータ処理装置である。
請求項5の発明は、請求項1記載のデータ処理装置において、前記対応付ける手段は、前記作業者が前記作業マニュアルに記載された順序を変更して前記各作業を実行した場合のイベントデータの時刻情報を、前記各作業を示すデータに対応付けることを特徴とするデータ処理装置である。
請求項6の発明は、請求項3記載のデータ処理装置において、前記対応付ける手段は、前記作業者が前記作業マニュアルに記載された各工程の順序を変更して前記各作業を実行した場合のイベントデータの時刻情報を、前記各作業を示すデータに対応付けることを特徴とするデータ処理装置である。
請求項7の発明は、請求項3記載のデータ処理装置において、前記対応付ける手段は、前記作業者が前記作業マニュアルに記載された各工程内の作業の順序を変更して前記各作業を実行した場合のイベントデータの時刻情報を、前記各作業を示すデータに対応付けることを特徴とするデータ処理装置である。
請求項8の発明は、文章及び動画を用いた電子マニュアルであるマルチメディアマニュアルを作成する装置のコンピュータを、作業マニュアルに記載されている一連の作業を実行中の作業者をビデオカメラで撮像して生成した動画データ中の前記作業者の動きを解析することにより、前記作業者が所定の工具、部品などの対象物を使用しているときの時刻情報を各対象物の情報に対応付けて、イベントデータのリストを生成する手段と、前記イベントデータ中の前記対象物の情報と前記作業マニュアルの内容を示すマニュアルデータとに基づいて、前記マニュアルデータの各作業を示すデータと前記イベントデータの時刻情報とを対応付ける手段として機能させるためのコンピュータプログラムである。
【0009】
(作用)
請求項1、8の発明によれば、作業マニュアルに記載されている一連の作業を実行中の作業者をビデオカメラで撮像して生成した動画データ中の前記作業者の動きを解析することにより、前記作業者が所定の工具、部品などの対象物を使用しているときの時刻情報を各対象物の情報に対応付けて、イベントデータのリストを生成し、そのイベントデータ中の前記対象物の情報と前記作業マニュアルの内容を示すマニュアルデータとに基づいて、前記マニュアルデータの各作業を示すデータと前記イベントデータの時刻情報とを対応付ける。
請求項2の発明によれば、作業者が前記対象物に対する接触を開始した時刻の情報を前記作業マニュアルにおける前記各作業を示すデータに対応付ける。
請求項3の発明によれば、一つ以上の作業からなる複数の工程の各作業示すデータに前記イベントデータの時刻情報を対応付ける。
請求項4の発明によれば、作業者が前記作業マニュアルに記載されたとおりの順序で前記各作業を実行した場合のイベントデータの時刻情報を、前記各作業を示すデータに対応付ける。
請求項5の発明によれば、前記作業者が前記作業マニュアルに記載された順序を変更して前記各作業を実行した場合のイベントデータの時刻情報を、前記各作業を示すデータに対応付ける。
請求項6の発明によれば、前記作業者が前記作業マニュアルに記載された各工程の順序を変更して前記各作業を実行した場合のイベントデータの時刻情報を、前記各作業を示すデータに対応付ける。
請求項7の発明によれば、前記作業者が前記作業マニュアルに記載された各工程内の作業の順序を変更して前記各作業を実行した場合のイベントデータの時刻情報を、前記各作業を示すデータに対応付ける。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、文章及び動画を用いたマルチメディアマニュアルを作成するときに、マニュアルのテキストデータと、動画データとの対応付けに要する負担及びコストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態のデータ処理装置により作成されるマルチメディアマニュアルが使用されるシステムを示す図である。このシステムは、作業者が製品製造を行うラインを備えた生産区と、管理者が製品の製造工程を管理運用する技術区とを有する製品製造及び工程管理運用を行う環境下で利用される。
【0012】
このシステムにおいて、生産区には、管理者が作業者へ提示するマニュアルコンテンツを制御するための管理者端末として使用する情報処理装置(以下、「管理者端末」と言う。)10と、マニュアルコンテンツを表示するための作業者端末として使用する情報処理装置(以下、「作業者端末」と言う。)20、20とが設けられており、技術区には、管理者が作業者へ提示するマニュアルコンテンツの素材を収集するための管理者端末として使用する情報処理装置30(以下、「管理者端末30」と言う。)、管理者が作業者へ提示するマニュアルコンテンツを作成及び編集を行うための管理者端末として使用する情報処理装置30(以下、「管理者端末30」と言う。)、作業者端末10へ表示するマニュアルコンテンツと作業者情報等を管理するデータベース機能を備えた管理サーバ40、作業者の認証処理を行う管理サーバ40とが設けられている。そして、生産区に設けられた各端末と、技術区に設けられた各端末及びサーバとは、LAN(Local Area Network)、公衆回線及び無線回線等のネットワーク50に接続されており、管理者端末10から、ネットワーク50を介して、管理サーバ40が管理するマニュアルコンテンツを、作業者情報を基に制御することで、作業者端末20に、作業者毎の作業工程や習熟度に合わせたマニュアルコンテンツを表示させることができる。
【0013】
このように、図1に示すシステムを、製品製造環境下に整備し、作業者毎の技術習得レベルである習熟度にあわせたマニュアルコンテンツを表示することで、技術習得が未熟な作業者を短期間に習熟させることができ、また、ある程度習熟した作業者へ、生産性向上や品質維持を意識した作業を行わせることができる。
【0014】
図2は、図1における管理者端末10の構成例を示すブロック図である。この管理者端末10は、制御部101、通信部102、記憶部103、及び表示部104を備えている。
【0015】
制御部101は、管理者端末10に搭載(インストール)されたOS(Operating System)により、キーボード入力や画面出力などの入出力機能やハードディスクやメモリの管理機能等、各種アプリケーションから共通に利用される基本的な機能を提供し、管理者端末10のシムテム全体を制御する。
【0016】
通信部102は、ネットワーク50上の通信機能を有する装置(作業者端末20、管理者端末30、30、管理サーバ40、認証サーバ40)との間で、作業者情報、マニュアルコンテンツに関する情報、動画、静止画、音声、文字等のコンテンツデータを双方向通信によって送受する。
【0017】
記憶部103は、ハードディスクやメモリ等の記憶装置及び媒体である。ハードディスクは、各種アプリケーションソフトウェア(マニュアルコンテンツ制御機能を実現するソフトウェアを含む。)及び各種アプリケーションソフトウェアに関するデータ(管理サーバ40から取得した作業者情報及びマニュアルコンテンツを含む。)等を、ディスク領域に保存する。また、メモリは、各種アプリケーションソフトウェアの実行プログラム(マニュアルコンテンツ制御機能を実現するソフトウェアの実行プログラムを含む。)、実行されているプログラムに係るデータ等を、一時的に保存する。
【0018】
表示部104は、文字、図形及び画像等を表示する装置で、管理者端末10に導入された各種アプリケーションソフトウェアの実行プログラムが生成する2次元、3次元グラフィック(ビットマップ、文字及び図形等を含む。)等を表示する。
【0019】
また、制御部201は、作業者情報取得部601、マニュアルコンテンツ選択部602、習熟度判定部603、コンテンツ設定部604で構成されたマニュアルコンテンツ制御部60を有している。
【0020】
作業者情報取得部601は、管理サーバ40に登録されている作業者の情報である作業者情報を取得する。作業者情報取得部601が取得する作業者情報データの構成例を図3に示す。
【0021】
この図に示すように、作業者情報は、作業者ID、習熟度、担当作業、再生スピードの各データで構成されており、作業者毎にこれらのデータが対応付けられ、管理サーバ40で管理されている。
【0022】
作業者IDは、作業者を識別するためのIDであり、作業者を登録する際に設定される。また、作業者IDは、作業者情報取得部601により取得され、マニュアルコンテンツ制御部60内で、マニュアルコンテンツ提示対象である作業者を特定する際に参照される。
【0023】
習熟度は、作業スピード、製品不良発生率のデータで構成されている。作業スピードは、作業者が作業を開始して終了するまでに掛かった時間(T)で、作業中に、作業者端末20nへ提示されるマニュアルコンテンツである動画の総フレーム数(F)を除算したFPS(Frame Per Second)の値(F/T)である。FPSは、一般的に、動画の滑らかさを表す指標であり、1秒間に何枚の画像を表示しているかを示す。また、製品不良発生率は、作業者が作業中に製造した製品の内、不良品を発生した率を示すものである。
【0024】
習熟度は、作業者が作業を終えた際に、作業者端末20nにおけるマニュアルコンテンツ提示機能により更新される。また、習熟度は、作業者情報取得部601により取得され、マニュアルコンテンツ制御部60内で、マニュアルコンテンツ提示対象である作業者の作業技術及び作業手順における習得状況を判断する際に参照される。
【0025】
担当作業は、作業者が担当する作業を示すものである。担当作業は、作業者が生産区のラインにおいて、実際の製品の製造工程で行う作業を想定し設定する。また、担当作業は、作業者情報取得部601により取得され、マニュアルコンテンツ制御部60内で、マニュアルコンテンツ提示対象である作業者の担当作業の変更や習熟度変化を基に、変更が必要な場合に担当作業が変更される。
【0026】
再生スピードは、作業者の習熟度にあわせた技術習得や作業のペース配分等を目的とし、作業者端末20nにマニュアルコンテンツを提示するため、前述したFPSの値に動画再生スピードを調整する係数(w)(又は、重み係数とも言う。)を乗算した値(w×(F/T))である。また、再生スピードは、作業者情報取得部601により取得され、マニュアルコンテンツ制御部60内で、マニュアルコンテンツ提示対象である作業者の習熟度に合わせて変更される。
【0027】
習熟度判定部602は、作業者情報取得部601により取得された作業者情報内に含まれる習熟度(「作業スピード」、「製品不良発生率」)を基に、マニュアルコンテンツ提示対象である作業者の作業技術及び作業手順における習得状況を判断し、作業者に対し、技術習得を目的とする(以下、「訓練モード」と言う。)か、作業のペース配分を目的とする(以下、「ペース配分モード」と言う。)か、作業者端末20nによるマニュアルコンテンツの提示目的(以下、「動作モード」と言う。)を決定する。習熟度判定部602は、作業者の習得状況を判断するため、予め、複数の作業者からサンプリングしたデータ(時間経過と伴に変化する作業スピード、製品不良発生率を採取したデータ)を分析し、作成した基準値を用いる。例えば、作業スピードの場合には、目標時間内で担当作業が完了するスピードを最終目標値とし、その前の段階の基準値に、最終目標値の2倍のスピード、さらに前の段階の基準値に、2.5倍のスピードを用いる等のように、習熟段階に応じた複数の基準を設けておく。
【0028】
コンテンツ設定部603は、習熟度判定部602により決定された動作モードに従い、作業者端末20nによるマニュアルコンテンツの提示の仕方を制御する作業者情報を設定する。コンテンツ設定部603は、作業者情報取得部601により取得された作業者情報に含まれる担当作業、再生スピードを設定し、管理サーバ40が管理する作業者情報へ設定内容を反映させる。
【0029】
このように、マニュアルコンテンツ制御部60は、作業者情報取得部601により作業者情報を取得し、作業者情報に含まれる習熟度を基に、習熟度判定部602により、作業者端末20へ提示するマニュアルコンテンツの動作モードを決定し、決定された動作モードに従って、コンテンツ設定部603により、管理サーバ40が管理する作業者情報に含まれる担当作業、再生スピードを設定する。
【0030】
以上のように、図2に示す管理者端末10は、マニュアルコンテンツ制御部60により、作業者端末20に対し、作業者の習熟度に合わせてマニュアルコンテンツを表示するように制御することができる。
【0031】
図4は、図1における作業者端末20の構成例を示すブロック図である。
作業者端末20は、制御部201、通信部202、記憶部203、及び表示部204を備えている。これらの処理部の基本構成及び機能は図2に示す管理者端末10の構成例と同じであるから、その説明は省略し、図2と異なる点、即ち制御部201が有するマニュアルコンテンツ提示部70について説明する。
【0032】
マニュアルコンテンツ提示部70は、作業者情報取得部701、マニュアルコンテンツ取得部702、作業再生処理部703、表示処理部704、習熟度更新部705で構成されている。
【0033】
作業者情報取得部701は、管理者端末10が有するマニュアルコンテンツ制御部60により設定された、管理サーバ40に登録されている作業者情報を取得する。作業者情報取得部701により取得される作業者情報は、図2に示すマニュアルコンテンツ制御部60における作業者情報取得部601で説明した作業者情報と同じである。
【0034】
マニュアルコンテンツ取得部702は、作業者情報取得部701により取得された作業者情報に含まれる担当作業に基づき、管理サーバ40が管理するマニュアルコンテンツ関連データを取得する。管理サーバ40が管理するマニュアルコンテンツ関連データは、図5に示すマニュアルコンテンツ情報データである。
【0035】
図5に示すように、マニュアルコンテンツ情報データは、マニュアル名、動画ID、製品名、及び作業情報で構成され、製品を製造する上で必要な各製造工程に関連する情報である。ここで、マニュアル名は、製品を製造する上で必要な各作業工程を示す名前である。動画IDは、マニュアルコンテンツ提示の際に再生される動画データを識別するためのIDである。製品名は、製造する製品の名前である。
【0036】
作業情報は、作業ID、作業名、開始フレーム番号、終了フレーム番号、及びアクション情報で構成され、作業工程内の各作業に関連する情報である。ここで、作業IDは、作業を識別するためのIDである。作業名は、作業を示す名前である。開始フレーム番号及び終了フレーム番号は、動画データにおける作業単位での開始及び終了に対応するフレーム番号である。
【0037】
アクション情報は、アクションID、アクション名、部品ID、工具ID、及び説明文で構成され、作業内の各手順に関する情報である。ここで、アクションIDは、手順を識別するためのIDである。アクション名は、手順を示す名前である。部品IDは、手順内で組立対象となる部品を識別するためのIDである。工具IDは、手順内で組立対象となる部品を組み立てるときに使用する工具を識別するためのIDである。説明文は、手順が行う内容を簡単にまとめたものである。
【0038】
このように、マニュアルコンテンツ情報データは、製品を製造する上で必要な各作業工程、作業工程を構成する各作業、作業を構成する各手順のような階層構造を持ったデータとなっている。また、マニュアルコンテンツ情報データは、管理者端末302により、マルチメディアマニュアルデータを生成する際に参照される。
【0039】
マルチメディアマニュアルデータは、マニュアルコンテンツ情報データを、予め決めておいたタグで囲うデータ構造になっており、XML(Extensible Markup Language)形式で記述される。XMLのようなマークアップ言語で記述されたデータは、表示機能を有するソフトウェアにより、データ内に埋め込まれたタグが解読され、タグで囲まれたデータに対し、解読した処理命令を実行することができる。
【0040】
マニュアルコンテンツ取得部702は、マニュアルコンテンツ関連データとして、作業者の担当作業に該当するXML形式のマルチメディアマニュアルデータを取得する。マニュアルコンテンツ取得部702は、取得したマルチメディアマニュアルデータを基に、動画、静止画、音声、文字情報等のマニュアルコンテンツを、管理サーバ40が有するデータベースを操作するコマンド(例えば、データ検索、取得等。)を使用し取得する(この場合、データを取得する代わりに選択してもよい。)。
【0041】
作業再生処理部703は、マニュアルコンテンツ取得部702により取得されたマルチメディアマニュアルデータに従い、該当する動画、静止画、音声、文字情報等のマニュアルコンテンツを再生する。作業再生処理部703は、作業者情報取得部701により取得された作業者情報の担当範囲、再生スピードを基に、マニュアルコンテンツを再生する。また、作業再生処理部703は、管理者端末10により決定された動作モードに従い、マニュアルコンテンツ再生時の「一時停止」、「繰り返し再生」、「早送り」、「巻き戻し」等、再生の仕方を制御する。
【0042】
表示処理部704は、作業再生処理部703により再生されたマニュアルコンテンツを、作業者端末20が備える表示部204へ表示する。また、表示処理部704は、作業上のポイントや次作業への移行等の作業工程に関する情報を作業者へ知らせるため、作業工程に関する情報を示す静止画、音声、文字情報を、再生中の動画コンテンツ上に重畳させ表示する。
【0043】
習熟度更新部705は、作業者が担当作業を終えた際、作業者の最新の作業スピード、製品不良発生率を、管理サーバ40が管理する作業者情報を更新する。
【0044】
このように、マニュアルコンテンツ提示部70は、作業者情報取得部701により作業者情報を取得し、作業者情報に含まれる担当作業を基に、マニュアルコンテンツ取得部702により取得したマルチメディアマニュアルデータに従い、作業再生処理部703により、作業者情報に含まれる再生スピードでマニュアルコンテンツを再生する。また、マニュアルコンテンツ提示部70は、作業再生処理部703によりマニュアルコンテンツを再生した際、管理者端末10により決定された動作モードに従い、「一時停止」、「繰り返し再生」、「早送り」、「巻き戻し」等、再生の仕方を制御する。また、マニュアルコンテンツ提示部70は、表示処理部704により、作業上のポイントや次作業への移行等の作業工程に関する情報を示す静止画、音声、文字情報を、再生中の動画コンテンツ上に重畳させ表示する。また、マニュアルコンテンツ提示部70は、習熟度更新部705により、作業者の作業終了後、作業者の最新の作業スピード、製品不良発生率を、管理サーバ40が管理する作業者情報を更新する。
【0045】
以上のように、図4に示す作業端末20は、マニュアルコンテンツ提示部70を、制御部201で動作させることで、作業者の習熟度にあわせたマニュアルコンテンツを表示することができる。
【0046】
図6は、管理者端末302にてマルチメディアマニュアルデータを生成するための構成を示す図である。管理者端末302は、制御部301、入力部301、記憶部303、表示部304、及び通信部305を有する。
【0047】
入力部302は、管理者などが管理者端末302を動作させるときに使用するキーボードやマウスなどである。通信部303、記憶部304、及び表示部305は、それぞれ図2で示した管理者端末10における通信部102、記憶部103、及び表示部104と同様に構成されている。
【0048】
制御部301は、イベントリスト作成部306及びイベント−作業対応付け処理部307を備えている。これらは制御部301の機能を示す機能ブロックである。
【0049】
記憶部304には、アプリケーションとしてビデオ解析ソフトウェア311及びマルチメディア作成ソフトウェア312が格納されており、データとして組立作業のビデオデータファイル(以下、ビデオデータファイルと言う)313及び組立作業マニュアルの内容を示すデータファイル(以下、マニュアルデータファイルと言う)314が格納されている。
【0050】
ビデオデータファイル313は、作業者が組立マニュアルに基づいて、組立作業を実行した様子をビデオカメラで撮像して生成したビデオデータ(動画データ)及び時刻情報(タイムインデックス)のファイルである。マニュアルデータファイル314は、図5に示すアクション情報のファイルである。
【0051】
ビデオ解析ソフトウェア311は、ビデオデータファイル313を読み込み、そのビデオデータを解析することにより、作業者の手が所定の部品や工具に触れたり、持ったりしている状態を検出するとともに、そのときの時刻情報を、部品情報や工具情報と対応付けたイベントデータを作成する。つまり、ビデオ解析ソフトウェア311は、イベント作成部306を実現するためのソフトウェアである。
【0052】
マルチメディア作成ソフトウェア312は、イベント作成部306により作成されたイベントデータと、マニュアルデータファイル314とに基づいて、そのデータファイル中の各作業に対応するイベントデータの時刻情報を付与することにより、マニュアルデータファイル314にビデオデータファイル313を対応付ける機能を持っている。つまり、マルチメディア作成ソフトウェア312は、イベント−作業対応付け処理部307を実現するためのソフトウェアである。
【0053】
図7は、図6におけるイベントリスト作成部306及びイベント−作業対応付け処理部307の処理の流れを示す図である。
ビデオ解析ソフトウェア311は、ビデオデータファイル313により表示される動画上の作業者の両手にマーカーを設定する機能、そのマーカーが動画上の工具t1,t2、部品p1,p2,p3などと重なっていることを、ビデオデータを解析することにより検出する機能、及び重なっているときの時刻情報を工具、部品に対応付けたイベントデータのリスト(イベントリスト)を作成する機能を備えている。ここでは、イベントリスト315は、時刻0分2秒、時刻0分4秒、時刻0分9秒、時刻0分15秒、時刻0分17秒で、作業者がそれぞれ部品p1、工具t1、部品p2、部品p3、工具t2に対する接触を開始したことを示すイベントデータを有している。
【0054】
マルチメディアマニュアル作成ソフトウェア312は、イベントリスト315からイベントデータを順次読み出し、そのイベントデータ中の部品情報、工具情報をキーとして、マニュアルデータファイル314を検索し、発見した対応する作業に開始時刻情報を付与して、イベント時刻と対応付けされたマニュアルデータファイル316を作成する。ここでは、作業1、2、3のそれぞれの開始時刻情報として、作業者が部品p1、p2、p3に対する接触を開始した時刻、換言すれば部品p1、p2、p3の使用を開始した時刻、を示す情報が付与されている。
【0055】
このデータファイル316は、マルチメディア作成ソフトウェア312の機能により、ビデオデータファイル313と対応付けられ、マルチメディアマニュアルデータファイル317が生成される。なお、ここでは、ビデオデータファイル313は予め取得したものであるが、ビデオデータファイル313の取得からデータファイル316の作成迄をリアルタイムで実行するように構成してもよい。
【0056】
本実施形態は2種類の作業マニュアルに対応している。一つは各作業がフラット構造、即ち1つ以上の作業が工程(ステップ)としてグループ化されていない作業マニュアルであり、もう一つは各作業がツリー構造、即ちそのようにグループ化されている作業マニュアルである。さらに、前者において、(1)作業者が作業マニュアルの作業順に組立作業を実行した場合と、(2)作業マニュアルの作業順を変更して組立作業を実行した場合の2通りがあり、後者において、(3)作業者が作業マニュアルの工程順を変更し、かつ各工程内の作業順を変更しない場合と、(4)作業マニュアルの工程順を変更せず、かつ各工程内の作業順を変更した場合の2通りがあるので、合計4通りの場合に対応している。以下、これらを順に説明する。
【0057】
図8は上記(1)の場合のイベント−作業対応付け処理部307の処理を示すフローチャートである。この処理は、作業マニュアルが理想的に出来ており作業者が作業マニュアルどおりに作業することで、マルチメディアマニュアルを作成することが出来る場合に実行する。
【0058】
まず、イベントリスト315(図7)からイベントデータを読み出す(ステップS1)。イベントデータが存在した場合は(ステップS2:YES)、そのイベントデータ中の対象物情報(ここでは工具情報と部品情報)を検索キーとして、対応する最初の作業、即ちその対象物を扱う最初の作業をマニュアルデータファイル314から検索する(ステップS3)。検索範囲は現在の作業から最終作業迄である。
【0059】
検索の結果、対応する作業を発見した場合は(ステップS4:YES)、その作業が現在の作業か否かを判断し、現在の作業でなかった場合は(ステップS5:NO)、その作業を現在の作業として設定するとともに、その作業に対し、イベントデータ中の時刻情報を付与する(ステップS6)。一方、現在の作業であった場合は、そのイベントを廃棄する(ステップS7)。現在の作業が最終作業となるまで(ステップS8:YES)、又はイベントリスト315のイベントデータを全て読み出し終わる迄(ステップS2:NO)、ステップS1〜S6の処理を繰り返す。
【0060】
例えば図7の場合、イベントリスト315から最初に読み出されるイベントデータは「部品p1」に関するものであるから、マニュアルデータファイル314中の対応する作業として「作業1」を発見する(ステップS4:YES)。最初にイベントを読み出す場合は、「現在の作業」は未設定であるから(ステップS5:NO)、「作業1」を現在の作業として設定するとともに、「作業1」に対し、その開始時刻情報として「部品p1」に関するイベントデータの時刻である「0分2秒」を付与する(ステップS6)。次のイベントデータは「工具t1」に関するものであるから、マニュアルデータファイル314中の対応する作業として「作業1」を発見する。「作業1」は現在の作業であるから(ステップS5:YES)、そのイベントデータを廃棄する(ステップS7)。以下、同様の処理を繰り返す。
【0061】
図9は上記(2)の場合のイベント−作業対応付け処理部307の処理の流れを示す図である。この図において、図7と同一又は対応する部分には図7と同じ符号を付した。
【0062】
図9に示すように、作業者は、組立マニュアルの作業1と2の順序を反対にして作業を行うため、イベントリスト315には、作業2に対応するイベントである「部品p2」に関するイベントデータが、作業1に対応するイベントデータである「工具t1」及び「部品p1」よりも先に作成される。従って、イベント時刻と対応付けされたマニュアルデータファイル316においても、作業2に付与された時刻情報は作業1よりも早くなる。
【0063】
この処理は、例えば作業マニュアルの内容が不完全であり、作業者が作業マニュアルの作業順を改善しつつマルチメディアマニュアルを作成する場合などに有効である。
【0064】
図10は図9の処理を実行するためのフローチャートである。
まず、イベントリスト315からイベントデータを読み出す(ステップS11)。イベントデータが存在した場合は(ステップS12:YES)、対応する作業をマニュアルデータファイル314から検索する(ステップS13)。検索範囲は現在の作業からその10個後の作業迄であり、その範囲内で時刻情報の付与されていない最初の作業を検索する。
【0065】
検索の結果、対応する作業を発見した場合は(ステップS14:YES)、その作業が現在の作業か否かを判断し、現在の作業でなかった場合は(ステップS19:NO)、現在の作業として設定するとともに、その作業に対し、イベントデータ中の時刻情報を付与する(ステップS20)。一方、現在の作業であった場合は、そのイベントを廃棄する(ステップS21)。
【0066】
検索の結果、対応する作業を発見しなかった場合は(ステップS14:NO)、検索範囲を最初の作業から現在の作業の1個前の作業に変更して検索を行い(ステップS15)、発見した場合は(ステップS16:YES)、前述したステップS19、及びS20又はS21を実行し、発見しなかった場合は(ステップS16:NO)は、検索範囲を現在の作業の11個後の作業から最終作業迄に設定して検索を行う(ステップS17)。そして、発見した場合は(ステップS18:YES)、前述したステップS19、及びS20又はS21を実行し、発見しなかった場合は(ステップS18:NO)は、次のイベントデータを読み出す(ステップS11)。
【0067】
時刻情報が付与されていない作業がなくなるか(ステップS22:NO)、又はイベントリスト315のイベントデータを全て読み出し終わる迄(ステップS12:NO)、ステップS11〜S21の処理を繰り返す。
【0068】
例えば図9の場合は、イベントリスト315から最初に読み出されるイベントデータは「部品p2」に関するものであるから、マニュアルデータファイル314中の対応する作業として「作業2」を発見する(ステップS14:YES)。最初にイベントデータを読み出す場合は、「現在の作業」は未設定であるから(ステップS19:NO)、「作業2」を現在の作業として設定するとともに、「作業2」に対し、開始時刻情報として「部品p2」に関するイベントデータの時刻である「0分2秒」を付与する(ステップS20)。
【0069】
イベントリスト315から次に読み出されるイベントデータは「部品p1」に関するものである。ここで、「部品p1」は「作業1」に対応するものであり、「作業1」は現在の作業よりも前の作業であるから、検索範囲が現在の作業よりも前であるステップS15にて発見する(ステップS13→S14:NO→S15→S16:YES)。そして、「作業1」を現在の作業として設定するとともに、「作業1」に対し、その開始時刻情報として「部品p1」に関するイベントデータの時刻である「0分4秒」を付与する(ステップS19:NO→S20)。以下、同様の処理を繰り返す。
【0070】
図11は上記(3)の場合のイベント−作業対応付け処理部307の処理の流れを示す図である。この図において、図7と同一又は対応する部分には図7と同じ符号を付した。この処理は、例えば作業者が作業マニュアルの工程順を改善しつつマルチメディアマニュアルを作成する場合などに有効である。
【0071】
図11に示すように、組立マニュアルの一連の作業は、1個の作業1からなる工程1と、2個の作業2、3からなる工程2とを有する。作業者は、工程1と2の順序を変更し、かつ工程2内の作業2、3の順序を変更せずに作業を行う。その結果、イベントリスト315は、「部品p2」、「部品p3」、「工具t2」、「部品p1」、「工具t1」に関する順となる。マルチメディアマニュアル作成ソフトウェア312は、マニュアルデータファイル314の各作業に開始時刻情報を付与するとともに、各工程に時刻付与済みであることを示す情報を付与する。
【0072】
図12は図11の処理を実行するためのフローチャートである。
まず、イベントリスト315からイベントデータを読み出す(ステップS31)。イベントデータが存在した場合は(ステップS32:YES)、対応する作業をマニュアルデータファイル314から検索する(ステップS33)。検索範囲は現在の工程の現在の作業から現在の工程の最終作業迄であり、その範囲内で対応する最初の作業を検索する。
【0073】
検索の結果、対応する作業を発見した場合は(ステップS34:YES)、その作業が現在の作業か否かを判断し、現在の作業でなかった場合は(ステップS41:NO)、現在の作業として設定するとともに、その作業に対し、イベントデータ中の時刻情報を付与する(ステップS42)。一方、現在の作業であった場合は、そのイベントを廃棄する(ステップS43)。
【0074】
検索の結果、対応する作業を発見しなかった場合は(ステップS34:NO)、検索範囲を現在の工程の1個後の工程から3個後の工程に設定して検索を行い(ステップS35)、発見した場合は(ステップS36:YES)、ステップS41:NOを経て、その作業を現在の作業として設定し、かつその作業に対してイベントデータ中の時刻情報を付与するとともに、その作業の属する工程に対して時刻情報が付与済であることを示す情報を付与する(ステップS42)。
【0075】
ステップS36にて発見しなかった場合は、検索範囲を最初の工程から現在の工程の1個前の工程に設定して検索を行い(ステップS37)、発見した場合は(ステップS38:YES)、ステップS36にて発見した場合と同様に処理する(ステップS41→S42又はS43)。
【0076】
ステップS38にて発見しなかった場合は、検索範囲を現在の工程の4個後の工程から最終工程に設定して検索を行い(ステップS39)、発見した場合は(ステップS40:YES)、ステップS36にて発見した場合と同様に処理する(ステップS41→S42又はS43)。一方、発見しなかった場合は(ステップS40:NO)は、次のイベントデータを読み出す(ステップS31)。
【0077】
現在の作業が現在の工程の最終作業となり(ステップS44:YES)、かつ時刻情報が付与されていない工程が無くなる(ステップS45:NO)か、又はイベントリスト315のイベントデータを全て読み出し終わる迄(ステップS32:NO)、ステップS31〜S43の処理を繰り返す。
【0078】
例えば図11の場合は、イベントリスト315から最初に読み出されるイベントデータは「部品p2」に関するものであるから、マニュアルデータファイル314中の対応する作業として「工程2」の「作業2」を発見する(ステップS34:YES)。最初にイベントデータを読み出す場合は、「現在の工程」、「現在の作業」は未設定であるから(ステップS41:NO)、「作業2」を現在の作業として設定し、かつ「工程2」を現在の工程として設定するとともに、「作業2」に対し、その開始時刻情報として「部品p2」に関するイベントデータの時刻情報である「0分2秒」を付与し、かつ「工程2」に対して時刻情報が付与済であることを示す情報を付与する(ステップS20)。
【0079】
「作業2」は「工程2」の最終作業ではないから(ステップS44:NO)、次のイベントデータを読み出す(ステップS31)。次のイベントデータは「部品p3」に関するものであるから、ステップS33の検索で発見される。「部品p3」は「作業3」に関するものであるから、ステップS41:NOを経て、「作業3」を現在の作業として設定し、その「作業3」に対し、「部品p3」に関するイベントデータの時刻である「0分4秒」を付与する。
【0080】
次いで、「作業3」が「工程2」の最終作業であると判断(ステップS44:NO)し、時刻の付与されていない工程が有ると判断(ステップS45:YES)した後に、次のイベントデータを読み出す(ステップS31)。次のイベントデータは、「部品p1」に関するものであるから、現在の工程(工程2)の1個前の工程の作業である。従って、ステップS33、S35では発見せず、S37にて発見する。この作業は現在の作業(「作業2」)ではなく、かつそれが属する工程も現在の工程(「工程2」)ではないから、ステップS41:NOを経て、ステップS42にて、「作業1」を現在の作業として設定し、かつその「作業1」に対してイベントデータ中の時刻情報である0分15秒を付与するとともに、「工程1」に対して時刻情報が付与済であることを示す情報を付与する。以下、同様の処理を繰り返す。
【0081】
図13は上記(4)の場合のイベント−作業対応付け処理部307の処理の流れを示す図である。この図において、図7と同一又は対応する部分には図7と同じ符号を付した。この処理は、例えば作業者が作業マニュアルの工程内の作業順を改善しつつマルチメディアマニュアルを作成する場合などに有効である。
【0082】
図13に示すように、組立マニュアルの内容は図11と同じである。作業者は、工程の順序は変更せず、工程2内の作業2、3の順序を変更して作業を行う。その結果、イベントリスト315は、「部品p1」、「工具t1」、「部品p3」、「工具t2」、「部品p2」に関する順となる。マルチメディアマニュアル作成ソフトウェア312は、各作業に開始時刻情報を付与する。
【0083】
図14は図13の処理を実行するためのフローチャートである。
まず、イベントリスト315からイベントデータを読み出す(ステップS51)。イベントデータが存在した場合は(ステップS52:YES)、対応する作業をマニュアルデータファイル314から検索する(ステップS53)。検索範囲は現在の工程(ただし現在の作業を除く)から最終工程迄であり、その範囲内で時刻情報の付与されていない最初の作業を検索する。
【0084】
検索の結果、対応する作業を発見した場合は(ステップS54:YES)、ステップS57:NOを経て、その作業を現在の作業として設定するとともに、その作業に対し、その開始時刻情報としてイベントデータ中の時刻情報を付与する(ステップS58)。一方、発見しなかった場合は(ステップS54:NO)、検索範囲を現在の工程から最終工程に変更して、検索を行う(ステップS55)。
【0085】
検索の結果、対応する作業を発見した場合は(ステップS56:YES)、その作業が現在の作業か否かを判断し、現在の作業でなかった場合は(ステップS57:NO)、現在の作業として設定するとともに、その作業に対し、その開始時刻情報としてイベントデータ中の時刻情報を付与する(ステップS58)。一方、現在の作業であった場合は、そのイベントを廃棄する(ステップS59)。時刻情報の付与されていない作業がなくなるか(ステップS60:NO)、又はイベントリスト315のイベントデータを全て読み出し終わる迄(ステップS52:NO)、ステップS51〜S59の処理を繰り返す。
【0086】
例えば図13の場合は、イベントリスト315から最初に読み出されるイベントデータは「部品p1」に関するものであるから、マニュアルデータファイル314中の対応する作業として「工程1」の「作業1」を発見する(ステップS54:YES)。最初にイベントデータを読み出す場合は、「現在の作業」は未設定であるから(ステップS57:NO)、「作業1」を現在の作業として設定し、かつ「作業1」に対し、その開始時刻情報として「部品p1」に関するイベントデータの時刻である「0分2秒」を付与する(ステップS58)。
【0087】
次に読み出されるイベントデータは「工具t1」に関するものであるから、マニュアルデータファイル314中の対応する作業は「工程1」の「作業1」である。しかし、「作業1」は現在の作業であるから、ステップS53の検索範囲外となり、ステップS55にて発見される。そして、ステップS57:YESを経て、イベントデータを廃棄し(ステップS59)、次のイベントデータを読み出す(ステップS51)。
【0088】
次のイベントデータは「部品p3」に関するものであるから、マニュアルデータファイル314中の対応する作業は「工程2」の「作業2」である。従って、ステップS53にて発見され、ステップS57:NOを経て、ステップS58にて、「作業2」を現在の作業として設定し、かつ「作業2」に対し、「部品p3」に関するイベントデータの時刻情報である「0分9秒」を付与する(ステップS58)。以下、同様の処理を繰り返す。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施形態のデータ処理装置により作成されるマルチメディアマニュアルが使用されるシステムを示す図である。
【図2】図1における管理者端末の構成例を示すブロック図である。
【図3】図2の作業者情報取得部が取得する作業者情報データの構成例を示す図である。
【図4】図1における作業者端末の構成例を示すブロック図である。
【図5】マニュアルコンテンツ情報データの構成例を示す図である。
【図6】図1における管理者端末にてマルチメディアマニュアルデータを生成するための構成を示す図である。
【図7】図6におけるイベントリスト作成部及びイベント−作業対応付け処理部の処理の流れの一例を示す図である。
【図8】イベント−作業対応付け処理部の処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】図6におけるイベント−作業対応付け処理部の処理の流れの別の一例を示す図である。
【図10】図9の処理を実行するためのフローチャートである。
【図11】図6におけるイベント−作業対応付け処理部の処理の流れのさらに別の一例を示す図である。
【図12】図11の処理を実行するためのフローチャートである。
【図13】図6におけるイベント−作業対応付け処理部の処理の流れのその他の一例を示す図である。
【図14】図13の処理を実行するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
306・・・イベントリスト作成部、307・・・イベント−作業対応付け処理部、311・・・ビデオ解析ソフトウェア、312・・・マルチメディアマニュアル作成ソフトウェア、313・・・組立作業のビデオデータファイル、314・・・組立作業マニュアルのデータファイル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業マニュアルに記載されている一連の作業を実行中の作業者をビデオカメラで撮像して生成した動画データ中の前記作業者の動きを解析することにより、前記作業者が所定の工具、部品などの対象物を使用しているときの時刻情報を各対象物の情報に対応付けて、イベントデータのリストを生成する手段と、
前記イベントデータ中の前記対象物の情報と前記作業マニュアルの内容を示すマニュアルデータとに基づいて、前記マニュアルデータの各作業を示すデータと前記イベントデータの時刻情報とを対応付ける手段と
を有することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
請求項1記載のデータ処理装置において、
前記時刻情報は、前記作業者が前記対象物に対する接触を開始した時刻を示すことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項3】
請求項1記載のデータ処理装置において、
前記一連の作業は、一つ以上の作業からなる複数の工程により構成されていることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項4】
請求項1記載のデータ処理装置において、
前記対応付ける手段は、前記作業者が前記作業マニュアルに記載されたとおりの順序で前記各作業を実行した場合のイベントデータの時刻情報を、前記各作業を示すデータに対応付けることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項5】
請求項1記載のデータ処理装置において、
前記対応付ける手段は、前記作業者が前記作業マニュアルに記載された順序を変更して前記各作業を実行した場合のイベントデータの時刻情報を、前記各作業を示すデータに対応付けることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項6】
請求項3記載のデータ処理装置において、
前記対応付ける手段は、前記作業者が前記作業マニュアルに記載された各工程の順序を変更して前記各作業を実行した場合のイベントデータの時刻情報を、前記各作業を示すデータに対応付けることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項7】
請求項3記載のデータ処理装置において、
前記対応付ける手段は、前記作業者が前記作業マニュアルに記載された各工程内の作業の順序を変更して前記各作業を実行した場合のイベントデータの時刻情報を、前記各作業を示すデータに対応付けることを特徴とするデータ処理装置。
【請求項8】
文章及び動画を用いた電子マニュアルであるマルチメディアマニュアルを作成する装置のコンピュータを、作業マニュアルに記載されている一連の作業を実行中の作業者をビデオカメラで撮像して生成した動画データ中の前記作業者の動きを解析することにより、前記作業者が所定の工具、部品などの対象物を使用しているときの時刻情報を各対象物の情報に対応付けて、イベントデータのリストを生成する手段と、前記イベントデータ中の前記対象物の情報と前記作業マニュアルの内容を示すマニュアルデータとに基づいて、前記マニュアルデータの各作業を示すデータと前記イベントデータの時刻情報とを対応付ける手段として機能させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−225883(P2008−225883A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−63761(P2007−63761)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】