説明

データ処理装置及びデータ処理方法

【課題】 特性が異なるフラッシュメモリ毎に最適なフォーマット処理を行うことができるようにする。
【解決手段】 電気的に消去、書き込みを行うことが可能なフラッシュメモリ利用した記憶媒体のファイル管理領域を論理的にフォーマットする論理フォーマット手段と、前記記憶媒体のデータ領域に記録されているデータを電気的に消去するデータ消去手段と、前記データ領域における所定サイズの単位ブロックを電気的に消去するのに要する時間を計測する消去時間計測手段と、前記論理フォーマット手段のみを用いた論理フォーマット、または前記論理フォーマット手段と前記データ消去手段の両方を用いて、前記論理フォーマットと前記データ領域の消去とを併せて実行する論理・物理フォーマットの何れを行うのかを選択するフォーマット方法選択手段とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ処理装置及びデータ処理方法に関し、特に、デジタルカメラ等で撮影した画像データを記憶しておくメモリをフォーマット処理するために用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラ等の記録媒体として、コンパクトフラッシュ(登録商標)やSD(Secure Digital)メモリカードといったフラッシュメモリが広く普及している。フラッシュメモリの特徴としては、不揮発性であることや、繰り返しデータの消去、書き込みが行えることが挙げられる。
【0003】
フラッシュメモリにおけるデータの消去、書き込みは、フラッシュメモリを構成しているブロックと呼ばれるある一定サイズの単位で実行される。例えば、既にデータが書き込まれているブロックに対して、データの書き換えを行う場合は、前のデータをブロックサイズ分だけ一旦消去し、全てのデータを電気的にクリアした後に、新しいデータが書き込むという処理が行われている。一方で、消去済みのブロックであれば、単に新しいデータをブロックサイズ分書き込むだけでよい。
【0004】
また、前記のフラッシュメモリでは、パソコン等の様々な情報機器でも使用されるため、一般的にFAT(File Allocation Table)などのファイルシステムが構築されている。そのため、フラッシュメモリはファイルシステムのための管理領域と実際にデータが存在するデータ領域とに論理的に区別することができる。
【0005】
このため、デジタルカメラ等でフラッシュメモリを論理フォーマットする際の方法として、フォーマット対象を管理領域のみとする場合と、管理領域に加えデータ領域も行う場合という2つの方法が考えられる。当然のことながら、管理領域の初期化のみを行う前者の方法は、管理領域の初期化に加えデータ領域の消去を行う後者の方法に比べ、フォーマットに要する時間が大幅に短縮できる。
【0006】
一方、特許文献1でも示されているように、既にデータが書き込まれているブロックよりも消去済みのブロックに書き込みを行う方が、消去を行わない分だけ高速に書き込みが行える。このようなフラッシュメモリの性質上、データ領域の消去を行わない前者の方法では、すでにデータ領域にデータが書き込まれている場合、書き込みに要する時間が後者に比して不利になる。さらに、消去、書き込みに要する時間がフラッシュメモリ製品ごとに差があることが知られている。
【0007】
【特許文献1】特開2003−224809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のフォーマット処理は、ファイルシステムの管理領域の初期化のみをもって行うのが一般的であった。一方、フラッシュメモリの特性上、残りのデータ領域に対して物理フォーマットを行えば、その後の運用時の書き込みで時間的に優位になる可能性があった。しかしながら、フラッシュメモリの製品毎に、それに要す時間が異なるため、物理フォーマットを行った際の時間的な見積もりが困難である。このため、画一的にデータ領域の消去を行うと、場合によってはフォーマットに要する時間が予想外に過大になる可能性があった。
【0009】
本発明は前述の問題点にかんがみ、特性が異なるフラッシュメモリ毎に最適なフォーマット処理を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のデータ処理装置は、電気的に消去、書き込みを行うことが可能なフラッシュメモリ利用した記憶媒体のファイル管理領域を論理的にフォーマットする論理フォーマット手段と、前記記憶媒体のデータ領域に記録されているデータを電気的に消去するデータ消去手段と、前記データ消去手段が前記データ領域における所定サイズの単位ブロックを電気的に消去するのに要する時間を計測する消去時間計測手段と、前記データ領域の単位ブロックを消去するのに要した時間を評価し、前記論理フォーマット手段のみを用いた論理フォーマット、または前記論理フォーマット手段と前記データ消去手段の両方を用いて、前記論理フォーマットと前記データ領域の消去とを併せて実行する論理・物理フォーマットの何れを行うのかを選択するフォーマット方法選択手段とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明のデータ処理方法は、電気的に消去、書き込みを行うことが可能なフラッシュメモリ利用した記憶媒体のファイル管理領域を論理的にフォーマットする論理フォーマット工程と、前記記憶媒体のデータ領域に記録されているデータを電気的に消去するデータ消去工程と、前記データ消去工程において前記データ領域における所定サイズの単位ブロックを電気的に消去するのに要する時間を計測する消去時間計測工程と、前記データ領域の単位ブロックを消去するのに要した時間を評価し、前記論理フォーマット工程のみを行った論理フォーマット、または前記論理フォーマット工程と前記データ消去工程の両方を行って、前記論理フォーマットと前記データ領域の消去とを併せて実行するのかを選択するフォーマット方法選択工程とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明のコンピュータプログラムは、電気的に消去、書き込みを行うことが可能なフラッシュメモリ利用した記憶媒体のファイル管理領域を論理的にフォーマットする論理フォーマット工程と、前記記憶媒体のデータ領域に記録されているデータを電気的に消去するデータ消去工程と、前記データ消去工程において前記データ領域における所定サイズの単位ブロックを電気的に消去するのに要する時間を計測する消去時間計測工程と、前記データ領域の単位ブロックを消去するのに要した時間を評価し、前記論理フォーマット工程のみを行った論理フォーマット、または前記論理フォーマット工程と前記データ消去工程の両方を行って、前記論理フォーマットと前記データ領域の消去とを併せて実行するのかを選択するフォーマット方法選択工程とを有するデータ処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0013】
本発明の記録媒体は、前記に記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フォーマット処理に先立ち単位ブロックの消去に要する時間を計測し、その評価に従って、データ領域の物理フォーマットを行うか選択するようにしたので、フラッシュメモリの特性に合わせた最適なフォーマット処理を行うようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明のデータ処理装置の実施の形態の構成を示すブロック図である。図1において、100はデジタルカメラである。
10は撮影レンズ、12は絞り機能を備えるシャッター、14は光学像を電気信号に変換する撮像素子、16は撮像素子14のアナログ信号出力をディジタル信号に変換するA/D変換器である。
【0016】
18は撮像素子14、A/D変換器16、D/A変換器26にクロック信号や制御信号を供給するタイミング発生回路であり、メモリ制御回路22及びシステム制御回路50により制御される。
【0017】
20は画像処理回路であり、A/D変換器16からのデータ或いはメモリ制御回路22からのデータに対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。また、画像処理回路20においては、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてシステム制御回路50が露光制御手段40、測距制御手段42に対して制御を行う、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理を行っている。さらに、画像処理回路20においては、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。
【0018】
22はメモリ制御回路であり、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30、圧縮・伸長回路32を制御する。
【0019】
A/D変換器16のデータが画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して、或いはA/D変換器16のデータが直接メモリ制御回路22を介して、画像表示メモリ24或いはメモリ30に書き込まれる。
【0020】
24は画像表示メモリ、26はD/A変換器、28はTFT LCD等から成る画像表示部であり、画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器26を介して画像表示部28により表示される。画像表示部28を用いて撮像した画像データを逐次表示すれば、電子ファインダ機能を実現することが可能である。また、画像表示部28は、システム制御回路50の指示により任意に表示をON/OFFすることが可能であり、表示をOFFにした場合にはデジタルカメラ100の電力消費を大幅に低減することができる。
【0021】
30は撮影した静止画像や動画像を格納するためのメモリであり、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶量を備えている。これにより、複数枚の静止画像を連続して撮影する連射撮影やパノラマ撮影の場合にも、高速かつ大量の画像書き込みをメモリ30に対して行うことが可能となる。また、メモリ30はシステム制御回路50の作業領域としても使用することが可能である。
【0022】
32は適応離散コサイン変換(ADCT)等により画像データを圧縮伸長する圧縮・伸長回路であり、メモリ30に格納された画像を読み込んで圧縮処理或いは伸長処理を行い、処理を終えたデータをメモリ30に書き込む機能を有している。
【0023】
40は絞り機能を備えるシャッター12を制御する露光制御手段であり、フラッシュ48と連携することによりフラッシュ調光機能も有するものである。
42は撮影レンズ10のフォーカシングを制御する測距制御手段、44は撮影レンズ10のズーミングを制御するズーム制御手段、46はバリアである保護手段102の動作を制御するバリア制御手段である。
【0024】
48はフラッシュであり、AF補助光の投光機能、フラッシュ調光機能も有している。露光制御手段40、測距制御手段42はTTL方式を用いて制御されており、撮像した画像データを画像処理回路20によって演算した演算結果に基づき、システム制御回路50が露光制御手段40、測距制御手段42に対して制御を行う。
【0025】
50はデジタルカメラ100全体を制御するシステム制御回路、52はシステム制御回路50の動作用の定数、変数、プログラム等を記憶するメモリである。
54はシステム制御回路50でのプログラムの実行に応じて、文字、画像、音声等を用いて動作状態やメッセージ等を表示する液晶表示装置、スピーカー等の表示部であり、デジタルカメラ100の操作部近辺の視認し易い位置に単数或いは複数個所設置され、例えばLCDやLED、発音素子等の組み合わせにより構成されている。また、表示部54は、その一部の機能が光学ファインダ104内に設置されている。
【0026】
表示部54の表示内容のうち、LCD等に表示するものとしては、シングルショット/連写撮影表示、セルフタイマー表示、圧縮率表示、記録画素数表示、記録枚数表示、残撮影可能枚数表示、シャッタースピード表示、絞り値表示、露出補正表示、フラッシュ表示、赤目緩和表示、マクロ撮影表示、ブザー設定表示、時計用電池残量表示、電池残量表示、エラー表示、複数桁の数字による情報表示、外部記録媒体200の着脱状態表示、通信I/F動作表示、日付・時刻表示等がある。
【0027】
また、表示部54の表示内容のうち、光学ファインダ104内に表示するものとしては、合焦表示、手振れ警告表示、フラッシュ充電表示、シャッタースピード表示、絞り値表示、露出補正表示、等がある。
【0028】
56は電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。60、62、64、66、68及び70は、システム制御回路50の各種の動作指示を入力するための操作手段であり、スイッチやダイアル、タッチパネル、視線検知によるポインティング、音声認識装置等の単数或いは複数の組み合わせで構成される。
【0029】
以下に、これらの操作手段の具体的に説明すると、60はモードダイアルスイッチで、電源オフ、自動撮影モード、撮影モード、パノラマ撮影モード、再生モード、マルチ画面再生・消去モード、PC接続モード等の各機能モードを切り替え設定することができる。
【0030】
62は第1のシャッタースイッチ(SW1)であり、不図示のシャッターボタンの操作途中でONとなり、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の動作開始を指示する。
【0031】
64は第2のシャッタースイッチ(SW2)であり、不図示のシャッターボタンの操作完了でONとなり、撮像素子12から読み出した信号をA/D変換器16、メモリ制御回路22を介してメモリ30に画像データを書き込む露光処理、画像処理回路20やメモリ制御回路22での演算を用いた現像処理、メモリ30から画像データを読み出し、圧縮・伸長回路32で圧縮を行い、記録媒体200或いは210に画像データを書き込む記録処理という一連の処理の動作開始を指示する。
【0032】
66は画像表示ON/OFFスイッチで、画像表示部28のON/OFFを設定することができる。この機能により、光学ファインダ104を用いて撮影を行う際に、TFT LCD等から成る画像表示部への電流供給を遮断することにより、省電力を図ることが可能となる。
【0033】
68はクイックレビューON/OFFスイッチで、撮影直後に撮影した画像データを自動再生するクイックレビュー機能を設定する。なお、本実施の形態では特に、画像表示部28をOFFとした場合におけるクイックレビュー機能の設定をする機能を備えるものとする。
【0034】
70は各種ボタンやタッチパネル等からなる操作部で、メニューボタン、セットボタン、マクロボタン、マルチ画面再生改ページボタン、フラッシュ設定ボタン、単写/連写/セルフタイマー切り替えボタン、メニュー移動+(プラス)ボタン、メニュー移動−(マイナス)ボタン、再生画像移動+(プラス)ボタン、再生画像移動−(マイナス)ボタン、撮影画質選択ボタン、露出補正ボタン、日付/時間設定ボタン等がある。
【0035】
80は電源制御手段で、電池検出回路、DC-DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成されており、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行い、検出結果及びシステム制御回路50の指示に基づいてDC-DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体を含む各部へ供給する。
【0036】
82及び84はコネクタ、86はアルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等からなる電源手段である。90はメモリカード等の外部記録媒体とデータの送受信を行うカードコントローラ、91はメモリカード等の外部記録媒体とのインタフェース、92はメモリカード等の外部記録媒体と接続を行うコネクタ、98はコネクタ92に外部記録媒体200が装着されているか否かを検知する記録媒体着脱検知手段である。また、110は通信を行うための通信手段、112は通信用アンテナを接続するためのコネクタである。
【0037】
なお、本実施の形態では記録媒体を取り付けるインタフェースやコネクタは、単数或いは複数、いずれの系統数を備える構成としても構わない。また、異なる規格のインタフェース及びコネクタを組み合わせて備える構成としても構わない。
【0038】
インタフェース及びコネクタとしては、PCMCIAカードやCF(コンパクトフラッシュ(登録商標))カード等の規格に準拠したものを用いて構成して構わない。さらに、インタフェース91、そしてコネクタ92をPCMCIAカードやCF(コンパクトフラッシュ(登録商標))カード等の規格に準拠したものを用いて構成した場合、LANカードやモデムカード、USBカード、IEEE1394カード、P1284カード、SCSIカード、PHS等の通信カード、等の各種通信カードを接続することにより、他のコンピュータやプリンタ等の周辺機器との間で画像データや画像データに付属した管理情報を転送し合うことができる。
【0039】
102は、デジタルカメラ100のレンズ10を含む撮像部を覆う事により、撮像部の汚れや破損を防止するバリアである保護手段である。104は光学ファインダであり、画像表示部28による電子ファインダ機能を使用すること無しに、光学ファインダのみを用いて撮影を行うことが可能である。
【0040】
また、光学ファインダ104内には、表示部54の一部の機能、例えば、合焦表示、手振れ警告表示、フラッシュ充電表示、シャッタースピード表示、絞り値表示、露出補正表示などが設置されている。200はメモリカード等の外部記録媒体である。以上がデジタルカメラ100の全体のシステム構成である。
【0041】
図2は、本実施の形態での外部記録媒体200内に構築されているファイルシステムの論理的な構成を簡略に示した図である。
図2に示すように、外部記録媒体200の記憶領域は、ファイルシステムの管理領域210とデータ領域220とに分けられる。管理領域210には、マスターブートレコード(MBR)211、ブートセクタ212、ファット(FAT:file allocation table)213、ルートディレクトリエントリ214が含まれている。
【0042】
マスターブートレコード211には、パーティションテーブルが記載されている。パーティションテーブルは、ブートセクタ212の位置やデータ領域220のサイズなど、パーティションと呼ばれる論理領域を示すテーブルである。
【0043】
ブートセクタ212は、クラスタサイズやファット213のサイズなどファイルシステムがデータ領域220に置かれたデータを扱うための基本的な情報が記載されている。クラスタとは、データ領域220でデータを扱う論理的な最小サイズである。
【0044】
最後に、ファット213は、クラスタを基準として、データ領域220中のファイルの位置を示しているテーブルである。ファット213を解析することにより、どのクラスタがどのクラスタとどういった順序でファイルを形成しているのか、または、どこのクラスタが未使用なのか(テーブル中では「0」でクリアされているエントリ)といったデータ領域220の使用状況を知ることができる。
【0045】
一般的に、このような外部記録媒体200に対して、通常の(論理)フォーマットを実行した場合、ファイルシステムの動作としては、外部記録媒体200のデバイス情報からマスターブートレコード211とブートセクタ212を再構成し、書き込んだ後にファット213の領域とルートディレクトリエントリを「0」でクリアすることで外部記録媒体200を見かけ上すべて未使用としている。
【0046】
本実施の形態においては、このようなフォーマットを論理フォーマットと呼ぶこととする。この論理フォーマットは、前述したようにファイルシステムの管理領域210のみを書き換えるだけで、データ領域220に書かれているデータは、書き換えられることなく以前のデータがそのまま書き込まれている。
【0047】
これに対して、物理フォーマットと呼ばれるフォーマットが存在する。物理フォーマットとは、ファイルシステムの管理領域210の書き換えだけでなく、データ領域220に対しても値のクリアを行うフォーマットである。
【0048】
一方、指定領域を電気的な手段を用いて、消去する手段を物理フォーマットとよぶ。本実施の形態では、フラッシュメモリを利用した外部記憶媒体200であるから、本実施の形態での物理フォーマットでは、データ領域220の値をクリアする代わりに、データ領域220のデータを消去することとする。
【0049】
本実施の形態であるデジタルカメラ100では、外部記録媒体200のフォーマットが実行可能であり、フォーマットを選択する際には表示部54に図3のようフォーマット用メニューを表示する。
【0050】
図3のフォーマットメニューで「OK」が選択された際の処理を示したものが図4である。「キャンセル」が選択された場合は無処理とし、表示部54のフォーマット用メニューを消去して通常動作に復帰する。
【0051】
以下、図4に示す処理について詳細に説明する。
ステップS401では外部記録媒体200に対して、データ領域220の単位ブロックに対する物理フォーマットの時間計測を行った実績があるか判断する。本実施の形態においては、計測時間を以前に行った場合には、メモリ30の任意の領域に計測時間を記憶しておく計測時間記憶手段を有しており、この計測時間記憶手段により記憶された計測時間の有無をもって行う。
【0052】
前記物理フォーマットの時間計測の実績は、デジタルカメラ100の電源が遮断された場合、または記録媒体着脱検知98によって、外部記憶媒体200が抜かれたと判断された際にクリアされる。ここで、計測実績があったと判断されると、次のステップS402の処理はスキップされる。
【0053】
ステップS402では、外部記録媒体200の任意の1ブロック(単位ブロック)を物理フォーマットし、それに要した時間を計測する。ここで計測された時間はメモリ30の任意の領域に記憶される。
【0054】
ステップS403では、論理フォーマットを実行する。前記で述べたように、論理フォーマットは、外部記録媒体200のデバイス情報からMBRとブートセクタの再構築を行い、FAT領域213とルートディレクトリエントリ214とをクリアすることで実現される。本実施の形態においては、フォーマットを行っている期間は、フォーマット処理中であることを表示部54に表示している。
【0055】
図5は、フォーマット処理が進行中であることを使用者に示すために、表示部54に表示する画面表示の一例を示す図である。図5において、501はプログレスバーで、処理の進行状況を視覚的に使用者に通知する。また、502は残り時間表示部で、フォーマット完了までに要する時間を表示する。残り時間とプログレスバーは、フォーマット処理進行中に適当な時間間隔で更新される。
【0056】
次に、ステップS404では、ステップS402で単位ブロックを物理フォーマットする際に計測された時間を評価する。この時間が「所定の時間値T」以下であった場合は、その後の書き込み処理で時間的に優位となり得るデータ領域220の物理フォーマットを行う。一方、計測された時間が前記「所定の時間値T」より大きいと判断された場合は、フォーマット時間短縮のため、フォーマット処理は終了する。ここで、判断基準となる「所定の時間値T」は設計値である。
【0057】
ステップS405では物理フォーマット対象となる領域数と、ステップS403で計測された時間とから、ステップS406で行う消去に要する時間を予測する。そして、図5に示したように、その予測結果を、表示部54上の残り時間表示部502に表示する。
【0058】
ステップS406では、データ領域220の物理フォーマットを実際に行う。この際、残り時間表示部502及びプログレスバー501の表示状態を適当な間隔で更新する。すべての動作が終了したら、表示部54を通常動作に戻し、フォーマット処理を終了する。
【0059】
以上の処理動作を行うことにより、フラッシュメモリ毎に適切なフォーマット処理を実行することができるので、物理フォーマットに要する時間がフラッシュメモリの製品毎に異なっていても、物理フォーマット処理に要する時間が予想外に過大になる不都合を防止することができる。
【0060】
(本発明に係る他の実施の形態)
上記ステップS404での時間値Tは、予め複数の特性の異なるフラッシュメモリ毎の単位ブロック消去時間を統計した上で、使用者にとって最も好ましい値を設定することができるが、ステップS404の判断条件はこれに限るものではない。例えば、使用者または装置にとっての上限の待ち時間W(例えば、3分間)を設定しておき、単位ブロック消去時間とフォーマット対象領域数の積(消去に要する時間)が、この待ち時間Wを超えない場合にのみ、ステップS405の処理に進むようにしてもよい。
【0061】
また、ステップS403の論理フォーマットの前に、ステップS404の判断を行ってもよいし、ステップS405の後に、ステップS403の論理フォーマットを行っても良い。
【0062】
前述した本発明の実施の形態におけるデータ処理装置を構成する各手段、並びにデータ処理方法の各ステップは、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。
【0063】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施の形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0064】
なお、本発明は、前述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施の形態では図4に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムあるいは装置に直接、あるいは遠隔から供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0065】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0066】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であっても良い。
【0067】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0068】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0069】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0070】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0071】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施の形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現され得る。
【0072】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施の形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本実施の形態でのデジタルカメラのシステムの一例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態での外部記録媒体における論理的な構成を示す図である。
【図3】本実施の形態でのフォーマットメニュー時に表示される画面の一例を示す図である。
【図4】本実施の形態でのフォーマットメニューでの処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】本実施の形態でのフォーマット時に表示される画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
10 撮影レンズ
12 シャッター
14 撮像素子
16 A/D変換器
18 タイミング発生回路
20 画像処理回路
22 メモリ制御回路
24 画像表示メモリ
26 D/A変換器
28 画像表示部
30 メモリ
32 画像圧縮・伸長回路
40 露光制御手段
42 測距制御手段
44 ズーム制御手段
46 バリア制御手段
48 フラッシュ
50 システム制御回路
52 メモリ
54 表示部
56 不揮発性メモリ
60 モードダイアルスイッチ
62 第1のシャッタースイッチ(SW1)
64 第2のシャッタースイッチ(SW2)
66 画像表示ON/OFFスイッチ
68 クイックレビューON/OFFスイッチ
70 操作部
80 電源制御手段
82 コネクタ
84 コネクタ
86 電源手段
90 カードコントローラ
91 インタフェース
92 コネクタ
98 記録媒体着脱検知手段
100 デジタルカメラ
102 保護手段
104 光学ファインダ
200 外部記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に消去、書き込みを行うことが可能なフラッシュメモリ利用した記憶媒体のファイル管理領域を論理的にフォーマットする論理フォーマット手段と、
前記記憶媒体のデータ領域に記録されているデータを電気的に消去するデータ消去手段と、
前記データ消去手段が前記データ領域における所定サイズの単位ブロックを電気的に消去するのに要する時間を計測する消去時間計測手段と、
前記データ領域の単位ブロックを消去するのに要した時間を評価し、前記論理フォーマット手段のみを用いた論理フォーマット、または前記論理フォーマット手段と前記データ消去手段の両方を用いて、前記論理フォーマットと前記データ領域の消去とを併せて実行する論理・物理フォーマットの何れを行うのかを選択するフォーマット方法選択手段とを有することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記消去時間計測手段により計測された、前記データ領域の単位ブロックの消去に要した時間に基づいて、記憶媒体全体のフォーマット処理に要する時間を予測する処理時間予測手段を有することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記処理時間予測手段による予測結果に基づいてフォーマット完了までの時間を算出し、前記算出した結果を表示部に表示する処理経過表示手段を有することを特徴とする請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記処理経過表示手段は、前記フォーマット完了までの時間を一定周期で更新しながら前記表示部に表示することを特徴とする請求項3に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記消去時間計測手段による計測結果を内部記憶媒体に記憶する計測時間記憶手段を有し、
前記内部記憶媒体に計測時間が記憶されている場合には前記消去時間計測手段による計測を省略することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記内部記憶媒体に記憶されている前記物理フォーマットの時間計測の実績は、電源供給が断たれた場合、または前記フォーマット対象の記憶媒体が外された場合にクリアされることを特徴とする請求項5に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
電気的に消去、書き込みを行うことが可能なフラッシュメモリ利用した記憶媒体のファイル管理領域を論理的にフォーマットする論理フォーマット工程と、
前記記憶媒体のデータ領域に記録されているデータを電気的に消去するデータ消去工程と、
前記データ消去工程において前記データ領域における所定サイズの単位ブロックを電気的に消去するのに要する時間を計測する消去時間計測工程と、
前記データ領域の単位ブロックを消去するのに要した時間を評価し、前記論理フォーマット工程のみを行った論理フォーマット、または前記論理フォーマット工程と前記データ消去工程の両方を行って、前記論理フォーマットと前記データ領域の消去とを併せて実行するのかを選択するフォーマット方法選択工程とを有することを特徴とするデータ処理方法。
【請求項8】
前記消去時間計測工程により計測された、前記データ領域の単位ブロックの消去に要した時間に基づいて、記憶媒体全体のフォーマット処理に要する時間を予測する処理時間予測工程を有することを特徴とする請求項7に記載のデータ処理方法。
【請求項9】
電気的に消去、書き込みを行うことが可能なフラッシュメモリ利用した記憶媒体のファイル管理領域を論理的にフォーマットする論理フォーマット工程と、
前記記憶媒体のデータ領域に記録されているデータを電気的に消去するデータ消去工程と、
前記データ消去工程において前記データ領域における所定サイズの単位ブロックを電気的に消去するのに要する時間を計測する消去時間計測工程と、
前記データ領域の単位ブロックを消去するのに要した時間を評価し、前記論理フォーマット工程のみを行った論理フォーマット、または前記論理フォーマット工程と前記データ消去工程の両方を行って、前記論理フォーマットと前記データ領域の消去とを併せて実行するのかを選択するフォーマット方法選択工程とを有するデータ処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記請求項9に記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−202051(P2006−202051A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−13133(P2005−13133)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】