説明

データ暗号化システム、データ暗号化装置、データ復号化装置、データ暗号化プログラム、データ復号化プログラム、データ暗号化方法および画像データ構造

【課題】 簡易な処理で実現可能なセキュリティ技術を提供すること。
【解決手段】 コンテンツ暗号化システム1は、コンテンツデータを提供するPC10が、コンテンツを表示する文書表示端末20におけるゲートドライバのゲート電極方向に画像を分割し、複数の矩形の画像データとする。さらに、PC10は、矩形の画像データの順序を入れ替えると共に、各矩形の画像データが、初期の状態において配置されていた順序を示すデータ分割テーブルを作成し、順序を入れ替えた暗号化画像データと、暗号化したデータ分割テーブルとが文書表示端末20に引き渡される。この結果、暗号化画像データを通常通り表示すると、矩形の画像データが入れ替わった状態となり、適切な画像が表示されない結果となる。したがって、簡易な処理で実現可能なセキュリティ技術を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データの暗号化および復号化に関する処理を行うデータ暗号化システム、データ暗号化装置、データ復号化装置、データ暗号化プログラム、データ復号化プログラム、データ暗号化方法および画像データ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子ブック等のコンテンツを閲覧するための携帯型の端末(以下、「携帯端末」と言う。)が利用されるようになりつつある。
このような携帯端末に提供されるコンテンツは、メモリカードあるいはネットワークを介してデジタルデータとして提供される。
また、携帯端末は、コンテンツを表示する目的に即した専用の端末として構成され、高解像度および低消費電力を志向した設計とされる。
【0003】
ところで、デジタルデータとして提供されるコンテンツについては、著作権等の関係から、暗号化等によってデータの不正コピー防止を行う必要があり、データのセキュリティを如何に確保するかが問題となる。
ここで、デジタルデータとして提供されるコンテンツのセキュリティを確保するための技術としては、例えば、デジタル著作物の流通システムとして、特開平9−138827号公報に記載されている。
【特許文献1】特開平9−138827号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のように、電子ブック等のコンテンツを閲覧するための携帯端末は、低消費電力を実現するために、処理能力を抑えたプロセッサを備えることが一般的であり、また、より高解像度の表示を行うために、プロセッサの処理能力の多くをデジタルデータの表示処理に費やすこととなる。
そのため、特許文献1に記載された技術を含め、従来のセキュリティ技術は、携帯端末に備えられたプロセッサとっては処理負荷の大きい暗号化等の処理を要するものとなり、上述の携帯端末において採用することが困難であった。
【0005】
また、セキュリティ技術については、高いセキュリティを確保する程、暗号化等を行うプロセッサの処理負荷が増大する傾向にある。
しかし、データが直ちにコピーされることのみを防ぐといった程度の比較的低いセキュリティを実現すれば足りる場合もあり、従来、このような要求に適するセキュリティ技術が提案されていなかった。
【0006】
即ち、従来の技術においては、携帯端末等に適した、簡易な処理で実現可能なセキュリティ技術が提供されていなかった。
本発明の課題は、簡易な処理で実現可能なセキュリティ技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、本発明は、
画像のコンテンツデータを暗号化処理するデータ暗号化装置(例えば、図1のPC10)および暗号化処理されたデータを復号化処理し、ゲートドライバによってゲート電極を駆動しつつ表示画面に画像のコンテンツを表示するデータ復号化装置(例えば、図1の文書表示端末20)を含むデータ暗号化システムであって、前記データ暗号化装置は、前記データ復号化装置のゲート電極に沿う方向にコンテンツの表示対象画像を分割し、複数の矩形の画像データを作成する画像分割手段(例えば、図1のコンテンツ暗号化モジュール10a)と、前記画像分割手段によって作成された複数の矩形の画像データの配列順序を変更し、暗号化画像データを作成するデータ並び替え手段(例えば、図1のコンテンツ暗号化モジュール10a)と、前記暗号化画像データに含まれる複数の矩形の画像データについて、初期の配列順序と、並び替えられた後の配列順序とを対応付けるデータ分割テーブルを作成するデータ分割テーブル作成手段(例えば、図1のコンテンツ暗号化モジュール10a)とを含み、前記データ復号化装置は、前記データ分割テーブルを参照して、前記暗号化画像データに含まれる複数の矩形の画像データを初期の配列順序で前記表示画面に表示する画像表示手段(例えば、図1のコンテンツ復号化モジュール20c)を含むことを特徴としている。
【0008】
このような構成により、コンテンツデータを提供するデータ暗号化装置が、コンテンツを表示するデータ復号化装置におけるゲートドライバのゲート電極方向に画像を分割し、複数の矩形の画像データとする。さらに、データ暗号化装置は、矩形の画像データの順序を入れ替えると共に、各矩形の画像データが、初期の状態において配置されていた順序を示すデータ分割テーブルを作成し、順序を入れ替えた暗号化画像データと、データ分割テーブルとがデータ復号化装置に引き渡される。
【0009】
この結果、暗号化画像データを通常通り表示すると、矩形の画像データが入れ替わった状態となり、適切な画像が表示されない結果となる。
したがって、データ暗号化装置から提供されるコンテンツデータを暗号化する上で、画像について矩形の画像データの順序を入れ替える処理を施せば良いため、コンテンツ全体を所定の暗号化方式に従って暗号化する場合に比べ、暗号化処理に要する処理を軽減することができる。
【0010】
即ち、本発明を適用したデータ暗号化システムによれば、簡易な処理で実現可能なセキュリティ技術を提供することが可能となる。
また、前記データ暗号化装置は、前記データ分割テーブルを所定の暗号化方式に基づいて暗号化するテーブル暗号化手段(例えば、図1のテーブル暗号化モジュール10b)をさらに含み、前記データ復号化装置は、前記テーブル暗号化手段によって暗号化された前記データ分割テーブルを復号化するテーブル復号化手段(例えば、図1のテーブル復号化モジュール20b)をさらに含むことを特徴としている。
【0011】
これにより、データ分割テーブルを復号化できるユーザのみが暗号化画像データを初期の状態(表示対象画像)に戻すことができるため、セキュリティをより高めることが可能となる。
また、前記画像表示手段は、前記データ分割テーブルを参照して、前記暗号化画像データに含まれる複数の矩形の画像データを初期の配列順序に並び替えて前記表示対象画像を再構成し、再構成した前記表示対象画像を前記表示画面に表示することを特徴としている。
【0012】
これにより、データ復号化装置において、暗号化画像データから表示対象画像を再生成して表示することができる。
また、前記画像表示手段は、前記データ分割テーブルを参照して、前記暗号化画像データに含まれる複数の矩形の画像データを、初期の配列順序で前記ゲートドライバに指定させることにより、前記表示対象画像を前記表示画面に表示することを特徴としている。
【0013】
これにより、暗号化画像データの状態のまま、ゲートドライバによるゲート電極の指定順序を所定の順序とすることで、表示対象画像を表示することができるため、表示対象画像を再生成する処理を省略することができる。
また、本発明は、
画像のコンテンツデータを暗号化処理するデータ暗号化装置および暗号化処理されたデータを復号化処理し、ゲートドライバによってゲート電極を駆動しつつ表示画面に画像のコンテンツを表示するデータ復号化装置を含むデータ暗号化システムにおけるデータ暗号化装置であって、前記データ復号化装置のゲート電極に沿う方向にコンテンツの表示対象画像を分割し、複数の矩形の画像データを作成する画像分割手段と、前記画像分割手段によって作成された複数の矩形の画像データの配列順序を変更し、暗号化画像データを作成するデータ並び替え手段と、前記暗号化画像データに含まれる複数の矩形の画像データについて、初期の配列順序と、並び替えられた後の配列順序とを対応付けるデータ分割テーブルを作成するデータ分割テーブル作成手段とを含むことを特徴としている。
【0014】
また、本発明は、
画像のコンテンツデータを暗号化処理するデータ暗号化装置および暗号化処理されたデータを復号化処理し、ゲートドライバによってゲート電極を駆動しつつ表示画面に画像のコンテンツを表示するデータ復号化装置を含むデータ暗号化システムにおけるデータ復号化装置であって、前記データ暗号化装置において、前記ゲート電極に沿う方向に表示対象画像が分割され、複数の矩形の画像データとされた上で、矩形の画像データの配列順序が変更された暗号化画像データを、該複数の矩形の画像データの初期の配列順序と、並び替えられた後の配列順序とを対応付けるデータ分割テーブルを参照して、初期の配列順序で前記表示画面に表示する画像表示手段を含むことを特徴としている。
【0015】
また、本発明は、
画像のコンテンツデータを暗号化処理するデータ暗号化装置および暗号化処理されたデータを復号化処理し、ゲートドライバによってゲート電極を駆動しつつ表示画面に画像のコンテンツを表示するデータ復号化装置を含むデータ暗号化システムのためのデータ暗号化プログラムであって、前記データ復号化装置のゲート電極に沿う方向にコンテンツの表示対象画像を分割し、複数の矩形の画像データを作成する画像分割機能と、
前記画像分割機能によって作成された複数の矩形の画像データの配列順序を変更し、暗号化画像データを作成するデータ並び替え機能と、前記暗号化画像データに含まれる複数の矩形の画像データについて、初期の配列順序と、並び替えられた後の配列順序とを対応付けるデータ分割テーブルを作成するデータ分割テーブル作成機能とを前記データ暗号化装置に実現させることを特徴としている。
【0016】
また、本発明は、
画像のコンテンツデータを暗号化処理するデータ暗号化装置および暗号化処理されたデータを復号化処理し、ゲートドライバによってゲート電極を駆動しつつ表示画面に画像のコンテンツを表示するデータ復号化装置を含むデータ暗号化システムのためのデータ復号化プログラムであって、前記データ暗号化装置において、前記ゲート電極に沿う方向に表示対象画像が分割され、複数の矩形の画像データとされた上で、矩形の画像データの配列順序が変更された暗号化画像データを、該複数の矩形の画像データの初期の配列順序と、並び替えられた後の配列順序とを対応付けるデータ分割テーブルを参照して、初期の配列順序で前記表示画面に表示する画像表示機能を前記データ復号化装置に実現させることを特徴としている。
【0017】
また、本発明は、
画像のコンテンツデータを暗号化処理するデータ暗号化装置および暗号化処理されたデータを復号化処理し、ゲートドライバによってゲート電極を駆動しつつ表示画面に画像のコンテンツを表示するデータ復号化装置を含むデータ暗号化システムにおけるデータ暗号化方法であって、前記データ暗号化装置が、前記データ復号化装置のゲート電極に沿う方向にコンテンツの表示対象画像を分割し、複数の矩形の画像データを作成する画像分割ステップと、前記画像分割ステップにおいて作成された複数の矩形の画像データの配列順序を変更し、暗号化画像データを作成するデータ並び替えステップと、前記暗号化画像データに含まれる複数の矩形の画像データについて、初期の配列順序と、並び替えられた後の配列順序とを対応付けるデータ分割テーブルを作成するデータ分割テーブル作成ステップとを実行し、前記データ復号化装置が、前記データ分割テーブルを参照して、前記暗号化画像データに含まれる複数の矩形の画像データを初期の配列順序で前記表示画面に表示する画像表示ステップを実行することを特徴としている。
【0018】
また、本発明は、
ゲートドライバによってゲート電極を駆動しつつ表示画面に画像のコンテンツを表示する表示装置において表示される画像データ構造であって、前記ゲート電極に沿う方向に前記画像が分割された複数の矩形の画像データを、所定の配列順序に変更した状態の暗号化画像データと、前記暗号化画像データに含まれる複数の矩形の画像データについて、初期の配列順序と、並び替えられた後の配列順序とを対応付けるデータ分割テーブルとを含むことを特徴としている。
【0019】
このように、本発明によれば、簡易な処理で実現可能なセキュリティ技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図を参照して本発明に係るデータ暗号化システムの実施の形態を説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、本発明に係るデータ暗号化システム1のシステム構成を示す概略図である。
図1において、データ暗号化システム1は、コンテンツデータを提供するPC(Personal Computer)10と、コンテンツデータを表示する携帯端末である文書表示端末20とを含んで構成される。なお、ここでは、コンテンツデータとして、ページ単位の画像データによって構成された電子ブックを想定して説明する。
【0021】
PC10は、機能構成として、コンテンツ暗号化モジュール10aと、テーブル暗号化モジュール10bと、データ保存部10cとをさらに含んで構成される。
コンテンツ暗号化モジュール10aは、データ保存部10cに格納されている画像データを取得し、所定ライン数毎の矩形データに分割する。このとき生成される矩形データのライン数は、画素列の1ライン単位で任意に設定することが可能である。
【0022】
ここで、処理対象となるページ単位の画像データは、文書表示端末20において表示される際、ゲートドライバ(行を選択するドライバ)によって駆動されたゲート電極のラインに対し、ソースドライバ(画素データを書き込むドライバ)によって、書き込みデータに対応する電圧が印加されることにより、そのラインの各画素が表示されることとなる。そして、このような動作を順次繰り返すことにより、1ページ分の画像が表示される。
【0023】
そこで、コンテンツ暗号化モジュール10aは、処理対象となるページ単位の画像データを文書表示端末20におけるゲートドライバのゲート電極に沿って矩形に分割する。
図2は、処理対象となるページ単位の画像データがゲート電極に沿って矩形に分割された状態を示す図である。
さらに、コンテンツ暗号化モジュール10aは、図2のように分割した矩形の画像データを並び替え、初期の順序と、並び替えた後の順序とを対応付けるデータ分割テーブルを併せて作成する。なお、文書表示端末20におけるゲートドライバのゲート電極の方向と表示される画像の向きとの関係は、PC10において予め把握されている。
【0024】
図3は、矩形の画像データが並び替えられた状態の画像データ(以下、「暗号化画像データ」と言う。)と、データ分割テーブルとを示す図である。
図3において、暗号化画像テーブルは、初期の状態から矩形の画像データが並び替えられており、データ分割テーブルは、各矩形の画像データが、初期の状態において配置されていた順序を示している。
【0025】
そして、コンテンツ暗号化モジュール10aは、暗号化画像データをデータ保存部10cに格納すると共に、データ分割テーブルをテーブル暗号化モジュール10bに出力する。
上述のように処理された結果、暗号化画像データを通常通り(例えば、通常のブラウザ等によって)表示するのみでは、適正な画像を表示することができない状態となる。
【0026】
テーブル暗号化モジュール10bは、コンテンツ暗号化モジュール10aによって作成されたデータ分割テーブルを所定の暗号化方式によって暗号化し、データ保存部10cに格納する。
なお、テーブル暗号化モジュール10bにおいて用いる暗号化方式は、従来用いられている公開鍵暗号化方式あるいは秘密鍵暗号化方式等、種々の方式を用いることが可能である。
【0027】
データ保存部10cは、暗号化の対象となる画像データを格納している。また、データ保存部10cは、コンテンツ暗号化モジュールによって作成された暗号化画像データと、テーブル暗号化モジュールによって暗号化されたデータ分割テーブルを格納する。そして、データ保存部10cは、格納している暗号化画像データおよび暗号化されたデータ分割テーブルを、ネットワークあるいはメモリカード等の記憶媒体に出力する。
【0028】
文書表示端末20は、機能構成として、データ受信部20aと、テーブル復号化モジュール20bと、コンテンツ復号化モジュール20cと、文書表示部20dとをさらに含んで構成される。
データ受信部20aは、ネットワークあるいはメモリカード等の記憶媒体から、暗号化画像データおよび暗号化されたデータ分割テーブルを受信する。そして、データ受信部20aは、暗号化されたデータ分割テーブルをテーブル復号化モジュール20bに出力すると共に、暗号化画像データをコンテンツ復号化モジュール20cに出力する。
【0029】
テーブル復号化モジュール20bは、データ受信部20aから暗号化されたデータ分割テーブルが入力されると、所定の暗号化方式に基づく復号化を行い、復号化したデータ分割テーブルをコンテンツ復号化モジュール20cに出力する。
コンテンツ復号化モジュール20cは、テーブル復号化モジュール20bによって入力されたデータ分割テーブルを参照して、データ受信部20aによって入力された暗号化画像データを、暗号化前の画像に戻す。具体的には、コンテンツ復号化モジュール20cは、データ分割テーブルにおいて、矩形の画像データの順序(ラインデータNo)の欄を上から順に参照し、暗号化画像データにおける各矩形の画像データを並び替える。その結果、PC10において暗号化される前の状態に画像が戻り、通常通り表示することで適正な画像が表示できることとなる。
【0030】
このように、暗号化画像データは、暗号化対象の画像データが矩形の画像データに分割され、順序が入れ替えられているデータ構造であるため、復号化処理としては矩形の画像データ単位で順序を戻すのみとなり、復号化処理を極めて低負荷なものとすることができる。
そして、コンテンツ復号化モジュール20bは、暗号化前の状態に戻した画像データを文書表示部20dに出力する。
【0031】
文書表示部20dは、コンテンツ復号化モジュール20dから入力された画像データを表示する。
次に、上述のような機能構成を実現するためのPC10および文書表示端末20のハードウェア構成について説明する。
図4は、PC10のハードウェア構成を示す図であり、図5は、文書表示端末20のハードウェア構成を示す図である。
【0032】
図4において、PC10は、入力部11と、CPU(Central Processing Unit)12と、ハードディスク装置13と、メモリカードスロット14と、RAM(Random Access Memory)15と、ディスプレイ16と、ネットワークインターフェース17とを含んで構成される。
入力部11は、カーソルキーや数字入力キー等を備えたキーボード及びマウス等のポインティングデバイスを含み、キーボードにおいて押下されたキーの押下信号やマウスの位置信号をCPU12に出力する。例えば、後述するコンテンツ暗号化処理において、コンテンツを暗号化するための各種情報等が、入力部11から入力される。
【0033】
CPU12は、PC10全体を制御するもので、入力部11から入力される各種の指示信号に従って、ハードディスク装置13に記憶された各種処理に関するプログラムを読み出して実行する。例えば、CPU12は、ハードディスク装置13に記憶されたコンテンツ暗号化処理プログラムを読み出し、コンテンツ暗号化処理(後述)を実行する。
そして、CPU12は、各種プログラム等を実行した処理結果をハードディスク装置13やRAM15、あるいは、メモリカードスロット24に挿入されたメモリカードの所定の領域に格納したり、ディスプレイ16に表示させたりする。
【0034】
ハードディスク装置13は、コンテンツ暗号化処理プログラムやPC10の制御のための各種処理に関するプログラムを記憶する。
メモリカードスロット14は、メモリカードに対するデータの書き込みあるいは読み出しを行うためのインターフェースであり、暗号化対象となる画像データを記憶している。
なお、メモリカードを介して暗号化画像データを文書表示端末20に渡す場合、暗号化画像データがメモリカードに記憶される。
【0035】
RAM15は、CPU12における処理に伴う各種データを記憶するもので、PC10を制御するためのシステムエリアや、CPU12により実行される各種処理において生成されたデータを一時的に格納するワークエリアを形成する。
ディスプレイ16は、例えばドットマトリクスタイプのカラー液晶表示セル等から構成され、CPU12の指示に従って各種データを表示する。
【0036】
ネットワークインターフェース17は、CPU12から送信指示された各種データに対し、所定の形式へのデータ変換処理および変調処理を施して、ネットワークを介して送信したり、ネットワークを介して受信した信号に対し、原信号への復調処理およびオリジナルデータ形式へのデータ変換処理を施して、CPU12に出力したりする。
このようなハードウェア構成の下、CPU12がコンテンツ暗号化処理を実行することにより、主としてCPU12およびRAM15がコンテンツ暗号化モジュール10a、テーブル暗号化モジュール10bを構成し、ハードディスク装置13、あるいは、メモリカードスロット14とそれに挿入されたメモリカードがデータ保存部10cを構成する。
【0037】
また、図5において、文書表示端末20は、入力部21と、CPU22と、ROM(Read Only Memory)23と、メモリカードスロット24と、RAM25と、ディスプレイ26と、ネットワークインターフェース27とを含んで構成される。
入力部21は、感圧式あるいは静電式のタッチパネルによって構成され、ディスプレイ26の表示領域に重ねて備えられる。即ち、入力部21とディスプレイ26とによってタッチスクリーンが形成され、この入力部21を介して、後述するコンテンツ復号化処理において、コンテンツを復号化するための各種情報等が入力される。なお、文書表示端末20に指示入力を行うためのボタン等をさらに備えておくこととしても良い。
【0038】
CPU22は、文書表示端末20全体を制御するもので、入力部21から入力される各種の指示信号に従って、ROM23に記憶された各種処理に関するプログラムを読み出して実行する。例えば、CPU22は、ROM23に記憶されたコンテンツ復号化処理プログラムを読み出し、コンテンツ復号化処理(後述)を実行する。
そして、CPU22は、各種プログラム等を実行した処理結果をROM23やRAM25、あるいは、メモリカードスロット24に挿入されたメモリカードの所定の領域に格納したり、ディスプレイ26に表示させたりする。
【0039】
ROM23は、フラッシュROM等の不揮発性の記憶装置で構成される。このROM23は、PC10からダウンロードされたコンテンツや、コンテンツ復号化処理プログラム等、文書表示端末20の制御のための各種処理に関するプログラムを記憶する。
ROM24は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性の半導体メモリによって構成され、文書表示端末20の起動時に実行されるプログラムコード等を記憶している。
【0040】
RAM25は、CPU22における処理に伴う各種データを記憶するもので、文書表示端末20を制御するためのシステムエリアや、CPU22により実行される各種処理において生成されたデータを一時的に格納するワークエリアを形成する。
ディスプレイ26は、例えばドットマトリクスタイプのカラー液晶表示セル等から構成され、CPU22の指示に従って各種データを表示する。
【0041】
このディスプレイ26は、表示画面の横方向の各ラインを選択するゲート電極を備えたゲートドライバと、ゲート電極によって選択されたラインの画素に画素データを書き込むソースドライバとを備えている。
そして、PC10において、暗号化対象の画像データが、ゲートドライバのゲート電極に沿う方向に矩形に分割され、順序を入れ替えられることにより暗号化されている。
【0042】
なお、ここでは、暗号化画像データを復号化する方法として、矩形の画像データの順序を入れ替えて元に戻し、暗号化される以前の画像データと同一の画像を再構成するものとする。
ただし、暗号化画像データを、矩形の画像データの順序が入れ替えられた状態のまま取り扱い、データ分割テーブルを参照して、ゲートドライバに所定の順序でゲート電極を選択させることで、暗号化前の画像を表示させることも可能である。
【0043】
この場合、暗号化画像データにおける各矩形の画像データを並び替えて再構成する処理を省略できるため、消費電力および復号化処理時間を低減することが可能となる。
ネットワークインターフェース27は、CPU22から送信指示された各種データに対し、所定の形式へのデータ変換処理および変調処理を施して、ネットワークを介して送信したり、ネットワークを介して受信した信号に対し、原信号への復調処理およびオリジナルデータ形式へのデータ変換処理を施して、CPU22に出力したりする。
【0044】
このようなハードウェア構成の下、CPU22がコンテンツ暗号化処理を実行することにより、主としてCPU22およびRAM15がテーブル復号化モジュール20b、コンテンツ復号化モジュール20cおよび文書表示部20dを構成し、ネットワークインターフェース27、あるいは、メモリカードスロット24とそれに挿入されたメモリカードがデータ受信部20aを構成する。
【0045】
次に、動作を説明する。
初めに、PC10において実行されるコンテンツ暗号化処理について説明する。
図6は、PC10のCPU12が実行するコンテンツ暗号化処理を示すフローチャートである。コンテンツ暗号化処理は、入力部11によって処理の実行が指示入力されることに対応して開始される。
【0046】
図6において、コンテンツ暗号化処理が開始されると、CPU12は、暗号化対象の画像データを、文書表示端末20のゲートドライバにおけるゲート電極に沿う方向に画像データを分割し、矩形の画像データを生成する(ステップS1)。
そして、CPU12は、矩形の画像データを乱数等に基づいて並び替え(ステップS2)、矩形の画像データについて、初期の順序と、並び替えた後の順序とを対応付けるデータ分割テーブルを作成する(ステップS3)。
【0047】
さらに、CPU12は、データ分割テーブルを所定の暗号化方式によって暗号化し(ステップS4)、コンテンツ暗号化処理を終了する。
次に、文書表示端末20において実行されるコンテンツ復号化処理について説明する。
図7は、文書表示端末20のCPU22が実行するコンテンツ復号化処理を示すフローチャートである。コンテンツ復号化処理は、入力部21によって処理の実行が指示入力されることに対応して開始される。
【0048】
図7において、コンテンツ復号化処理が開始されると、CPU22は、データ受信部20aによって受信された、暗号化されたデータ分割テーブルを復号化処理し(ステップS101)、復号化したデータ分割テーブルを参照して、暗号化画像データにおける矩形の画像データを、暗号化前の状態に並び替える(ステップS102)。
そして、CPU22は、コンテンツ復号化処理を終了する。
【0049】
このようにして復号化処理された画像データは、文書表示部20dによってディスプレイ26に表示される。
以上のように、本発明を適用したコンテンツ暗号化システム1は、コンテンツデータを提供するPC10が、コンテンツを表示する文書表示端末20におけるゲートドライバのゲート電極方向に画像を分割し、複数の矩形の画像データとする。さらに、PC10は、矩形の画像データの順序を入れ替えると共に、各矩形の画像データが、初期の状態において配置されていた順序を示すデータ分割テーブルを作成し、順序を入れ替えた暗号化画像データと、暗号化したデータ分割テーブルとが文書表示端末20に引き渡される。
【0050】
この結果、暗号化画像データを通常通り表示すると、矩形の画像データが入れ替わった状態となり、適切な画像が表示されない結果となる。
したがって、PC10から提供されるコンテンツデータを暗号化する上で、画像については矩形の画像データの順序を入れ替える処理を施し、データ分割テーブルについてのみ所定の暗号化方式に従って暗号化すれば良いため、コンテンツ全体を所定の暗号化方式に従って暗号化する場合に比べ、暗号化処理に要する処理を軽減することができる。
【0051】
即ち、本発明を適用したデータ暗号化システム1によれば、簡易な処理で実現可能なセキュリティ技術を提供することができる。
なお、本実施の形態においては、データ分割テーブルを暗号化し、暗号化画像データと共に文書表示端末20に引き渡すこととして説明したが、データ分割テーブルを暗号化せずに、暗号化画像データと別のルートで(例えば、暗号化画像データをネットワークによって、データ分割テーブルをメモリカードによって引き渡す等)引き渡すことで、暗号化画像データを復号化するための鍵とすることも可能である。
【0052】
このような場合、データ分割テーブルを暗号化する処理も不要となり、より簡易な処理とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係るデータ暗号化システム1のシステム構成を示す概略図である。
【図2】処理対象となるページ単位の画像データがゲート電極に沿って矩形に分割された状態を示す図である。
【図3】暗号化画像データと、データ分割テーブルとを示す図である。
【図4】PC10のハードウェア構成を示す図である。
【図5】文書表示端末20のハードウェア構成を示す図である。
【図6】PC10のCPU12が実行するコンテンツ暗号化処理を示すフローチャートである。
【図7】文書表示端末20のCPU22が実行するコンテンツ復号化処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1 コンテンツ暗号化システム、10 PC、10a コンテンツ暗号化モジュール、10b テーブル暗号化モジュール、10c データ保存部、20 文書表示端末、20a データ受信部、20b テーブル復号化モジュール、20c コンテンツ復号化モジュール、20d 文書表示部、11,21 入力部、12,22 CPU、13 ハードディスク装置、23 ROM、14,24 メモリカードスロット、15,25 RAM、16,26 ディスプレイ、17,27 ネットワークインターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像のコンテンツデータを暗号化処理するデータ暗号化装置および暗号化処理されたデータを復号化処理し、ゲートドライバによってゲート電極を駆動しつつ表示画面に画像のコンテンツを表示するデータ復号化装置を含むデータ暗号化システムであって、
前記データ暗号化装置は、
前記データ復号化装置のゲート電極に沿う方向にコンテンツの表示対象画像を分割し、複数の矩形の画像データを作成する画像分割手段と、
前記画像分割手段によって作成された複数の矩形の画像データの配列順序を変更し、暗号化画像データを作成するデータ並び替え手段と、
前記暗号化画像データに含まれる複数の矩形の画像データについて、初期の配列順序と、並び替えられた後の配列順序とを対応付けるデータ分割テーブルを作成するデータ分割テーブル作成手段とを含み、
前記データ復号化装置は、
前記データ分割テーブルを参照して、前記暗号化画像データに含まれる複数の矩形の画像データを初期の配列順序で前記表示画面に表示する画像表示手段を含むことを特徴とするデータ暗号化システム。
【請求項2】
前記データ暗号化装置は、
前記データ分割テーブルを所定の暗号化方式に基づいて暗号化するテーブル暗号化手段をさらに含み、
前記データ復号化装置は、
前記テーブル暗号化手段によって暗号化された前記データ分割テーブルを復号化するテーブル復号化手段をさらに含むことを特徴とする請求項1記載のデータ暗号化システム。
【請求項3】
前記画像表示手段は、
前記データ分割テーブルを参照して、前記暗号化画像データに含まれる複数の矩形の画像データを初期の配列順序に並び替えて前記表示対象画像を再構成し、再構成した前記表示対象画像を前記表示画面に表示することを特徴とする請求項1または2記載のデータ暗号化システム。
【請求項4】
前記画像表示手段は、
前記データ分割テーブルを参照して、前記暗号化画像データに含まれる複数の矩形の画像データを、初期の配列順序で前記ゲートドライバに指定させることにより、前記表示対象画像を前記表示画面に表示することを特徴とする請求項1または2記載のデータ暗号化システム。
【請求項5】
画像のコンテンツデータを暗号化処理するデータ暗号化装置および暗号化処理されたデータを復号化処理し、ゲートドライバによってゲート電極を駆動しつつ表示画面に画像のコンテンツを表示するデータ復号化装置を含むデータ暗号化システムにおけるデータ暗号化装置であって、
前記データ復号化装置のゲート電極に沿う方向にコンテンツの表示対象画像を分割し、複数の矩形の画像データを作成する画像分割手段と、
前記画像分割手段によって作成された複数の矩形の画像データの配列順序を変更し、暗号化画像データを作成するデータ並び替え手段と、
前記暗号化画像データに含まれる複数の矩形の画像データについて、初期の配列順序と、並び替えられた後の配列順序とを対応付けるデータ分割テーブルを作成するデータ分割テーブル作成手段と、
を含むことを特徴とするデータ暗号化装置。
【請求項6】
画像のコンテンツデータを暗号化処理するデータ暗号化装置および暗号化処理されたデータを復号化処理し、ゲートドライバによってゲート電極を駆動しつつ表示画面に画像のコンテンツを表示するデータ復号化装置を含むデータ暗号化システムにおけるデータ復号化装置であって、
前記データ暗号化装置において、前記ゲート電極に沿う方向に表示対象画像が分割され、複数の矩形の画像データとされた上で、矩形の画像データの配列順序が変更された暗号化画像データを、該複数の矩形の画像データの初期の配列順序と、並び替えられた後の配列順序とを対応付けるデータ分割テーブルを参照して、初期の配列順序で前記表示画面に表示する画像表示手段を含むことを特徴とするデータ復号化装置。
【請求項7】
画像のコンテンツデータを暗号化処理するデータ暗号化装置および暗号化処理されたデータを復号化処理し、ゲートドライバによってゲート電極を駆動しつつ表示画面に画像のコンテンツを表示するデータ復号化装置を含むデータ暗号化システムのためのデータ暗号化プログラムであって、
前記データ復号化装置のゲート電極に沿う方向にコンテンツの表示対象画像を分割し、複数の矩形の画像データを作成する画像分割機能と、
前記画像分割機能によって作成された複数の矩形の画像データの配列順序を変更し、暗号化画像データを作成するデータ並び替え機能と、
前記暗号化画像データに含まれる複数の矩形の画像データについて、初期の配列順序と、並び替えられた後の配列順序とを対応付けるデータ分割テーブルを作成するデータ分割テーブル作成機能と、
を前記データ暗号化装置に実現させることを特徴とするデータ暗号化プログラム。
【請求項8】
画像のコンテンツデータを暗号化処理するデータ暗号化装置および暗号化処理されたデータを復号化処理し、ゲートドライバによってゲート電極を駆動しつつ表示画面に画像のコンテンツを表示するデータ復号化装置を含むデータ暗号化システムのためのデータ復号化プログラムであって、
前記データ暗号化装置において、前記ゲート電極に沿う方向に表示対象画像が分割され、複数の矩形の画像データとされた上で、矩形の画像データの配列順序が変更された暗号化画像データを、該複数の矩形の画像データの初期の配列順序と、並び替えられた後の配列順序とを対応付けるデータ分割テーブルを参照して、初期の配列順序で前記表示画面に表示する画像表示機能を前記データ復号化装置に実現させることを特徴とするデータ復号化プログラム。
【請求項9】
画像のコンテンツデータを暗号化処理するデータ暗号化装置および暗号化処理されたデータを復号化処理し、ゲートドライバによってゲート電極を駆動しつつ表示画面に画像のコンテンツを表示するデータ復号化装置を含むデータ暗号化システムにおけるデータ暗号化方法であって、
前記データ暗号化装置が、
前記データ復号化装置のゲート電極に沿う方向にコンテンツの表示対象画像を分割し、複数の矩形の画像データを作成する画像分割ステップと、
前記画像分割ステップにおいて作成された複数の矩形の画像データの配列順序を変更し、暗号化画像データを作成するデータ並び替えステップと、
前記暗号化画像データに含まれる複数の矩形の画像データについて、初期の配列順序と、並び替えられた後の配列順序とを対応付けるデータ分割テーブルを作成するデータ分割テーブル作成ステップとを実行し、
前記データ復号化装置が、
前記データ分割テーブルを参照して、前記暗号化画像データに含まれる複数の矩形の画像データを初期の配列順序で前記表示画面に表示する画像表示ステップを実行することを特徴とするデータ暗号化方法。
【請求項10】
ゲートドライバによってゲート電極を駆動しつつ表示画面に画像のコンテンツを表示する表示装置において表示される画像データ構造であって、
前記ゲート電極に沿う方向に前記画像が分割された複数の矩形の画像データを、所定の配列順序に変更した状態の暗号化画像データと、
前記暗号化画像データに含まれる複数の矩形の画像データについて、初期の配列順序と、並び替えられた後の配列順序とを対応付けるデータ分割テーブルと、
を含むことを特徴とする画像データ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−259046(P2006−259046A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−74472(P2005−74472)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】