説明

データ転送システム、受信装置及び再生専用装置

【課題】放送波に多重されたアップデートプログラムを、放送波を受信可能な受信装置を介して高速に取得できるデータ転送システム、受信装置及び再生専用装置を提供する。
【解決手段】再生専用装置2のファームウェアアップデートを、再生専用装置2に接続された、放送波を受信可能な受信装置1を介してアップデートを取得することにより実行する。受信装置1と再生専用装置2との間のアップデートプログラムの転送は、HDMIインタフェースのCECチャネル3を介して行われる。ここで、CECチャネル3を接続するインタフェース部16及びインタフェース部21に専用のインタフェースを実装することにより、従来のCECチャネルによる転送よりも高速な高速転送モードによるデータ転送を可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファームウェアのアップデートが可能な機器を含むデータ転送システム、受信装置及び再生専用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器は、発売後しばらく経ってから、ソフトウェア的な不具合を解消したり、ユーザの要望に応えたりするために、ファームウェアのアップデートを行うことができるものが増えてきている。
電子機器のファームウェアアップデートの方法としては、例えばメーカからアップデートプログラムが記録されたメディアを取得し、当該メディアを再生する方法や、ネットワーク経由でアップデートプログラムを取得する方法がある。
【0003】
しかし、このような方法は、メディア再生設備やネットワーク設備を有していない電子機器では採用することができない。
このため、メディア再生設備やネットワーク設備を有する他の電子機器にアップデートプログラムを取得させ、これを転送させることによりメディア再生設備やネットワーク設備を有していない電子機器がアップデートプログラムの取得を行う方法が開発されている。
このような方法の一例として、例えば特許文献1に開示された技術がある。
【0004】
【特許文献1】特開2007−274375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、映像データや音声データといったコンテンツデータを供給するソース機器から、コンテンツデータを受け取るシンク機器やリピータ機器といった受信機器のアップデートを行うAVシステムが開示されている。
なお、ソース機器は、たとえば、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤやBD(Blu-ray Disc)プレーヤ、HDDVD(High Definition DVD)プレーヤ、CDプレーヤ等である。また、シンク機器は、たとえば、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、プロジェクタ等である。リピータ機器は、たとえば、AVアンプや、AVレシーバである。
【0006】
特許文献1に開示された技術では、ソース機器からシンク機器やリピータ機器へとアップデートプログラムを転送するために、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)というインタフェースが使用されている。
特に、特許文献1では、HDMIのTMDS(Transition Minimized Differential Signaling)という伝送チャネルによりアップデートプログラムの転送が行われる。
【0007】
近年、DVDプレーヤやBDプレーヤなど、再生専用装置においても、ファームウェアアップデートを行いたい、という要求がある。
再生専用装置は、必ずしもネットワーク設備を備えているとは限らないため、ネットワーク経由のアップデートを行うことができるとは限らない。
また、メディアの再生によるアップデートは可能ではあるが、ユーザはメーカに連絡をとり、アップデートプログラムが記録されたメディアを送付させる必要があり、ユーザに多大な労力を強いてしまう。
【0008】
上述したような事情を鑑みた結果、再生専用装置のアップデートプログラム取得方法として、放送波を受信可能な受信装置と再生専用装置とを接続し、放送波に多重されたアップデートプログラムを受信装置経由で取得する方法が考えられる。
テレビやレコーダなどの受信装置において、放送波に多重されたアップデートプログラムを取得することは、すでによく行われている。
【0009】
しかし、受信装置が取得したアップデートプログラムを、再生専用装置に伝送する際に問題が生じる。
例えば、上述した特許文献1に開示された技術において使用されるTDMSという伝送チャネルは、ソース機器からシンク機器への伝送には使用できるが、その反対のシンク機器からソース機器への伝送には使用できない。
HDMIの他の伝送チャネル、例えばCEC(Consumer Electronics Control)を利用すれば、シンク機器からソース機器への伝送、すなわち受信装置から再生専用装置への伝送も可能である。
しかし、CECで規定される転送プロトコルでは転送速度が非常に遅く、最大で約400bpsしかない。近年の電子機器のアップデートプログラムは例えば数十メガバイトに達するものも多く、CECで伝送すると何日もかかってしまうことになる。
【0010】
本発明は、放送波に多重されたアップデートプログラムを、放送波を受信可能な受信装置を介して高速に取得できるデータ転送システム、受信装置及び再生専用装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明のデータ転送システムは、HDMIにより接続され、転送速度を速めた高速転送モードにより互いにデータ転送が可能な第1の機器及び第2の機器を有し、前記第1の機器は、放送波を受信する放送波受信部と、前記放送波受信部が前記放送波を介して取得した前記第2の機器に対応するファームウェアアップデートプログラムを前記高速転送モードにより前記第2の機器に転送する第1のインタフェース部と、を有し、前記第2の機器は、前記第1の機器の前記第1のインタフェースから転送される前記ファームウェアアップデートプログラムを前記高速転送モードで取得する第2のインタフェース部と、前記ファームウェアアップデートプログラムを格納するフラッシュメモリと、制御部と、を有し、前記制御部は、前記フラッシュメモリに対して、前記第2のインタフェース部が前記高速転送モードにより取得した前記ファームウェアアップデートプログラムを上書きする。
【0012】
第2の発明の受信装置は、所定の電子機器とHDMIにより接続され、転送速度を速めた高速転送モードにより互いにデータ転送が可能な受信装置が、放送波を受信する放送波受信部と、前記放送波受信部が前記放送波を介して取得した前記電子機器に対応するファームウェアアップデートプログラムを前記高速転送モードにより前記電子機器に転送する第1のインタフェース部と、を有する。
【0013】
第3の発明の再生専用装置は、放送波を受信する放送波受信部を有する受信装置とHDMIにより接続された再生専用装置が、前記受信装置において、前記放送波受信部が前記放送波を介して取得した、当該再生専用装置に対応するファームウェアアップデートプログラムを、前記受信装置が高速転送モードに対応した第1のインタフェース部を介して転送してきた場合に、前記高速転送モードによる受信が可能な第2のインタフェース部と、前記ファームウェアアップデートプログラムを格納するフラッシュメモリと、制御部と、を有し、前記制御部は、前記フラッシュメモリに対して、前記第2のインタフェース部が前記高速転送モードにより取得した前記ファームウェアアップデートプログラムを上書きする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、放送波に多重されたアップデートプログラムを、放送波を受信可能な受信装置を介して高速に取得できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態のデータ転送システム100の構成の一例を説明するためのブロック図である。
図1に示すように、本実施形態のデータ転送システム100は、HDMIシンク機器としての受信装置1(本発明の第1の機器に対応)と、HDMIソース機器としての再生専用装置2(本発明の第2の機器及び電子機器に対応)とを有する。
受信装置1と、再生専用装置2との間は、HDMIのCECに準拠した伝送チャネル(図1に示すHDMI CECチャネル3)で接続されている。
【0016】
まず、受信装置1の構成について説明する。
図1に示すように、受信装置1は、システムメモリ11、システムコントローラ12、放送波受信部13、CECコマンド生成・解析部14、送信FIFO15、インタフェース部16(本発明の第1のインタフェース部に対応)を有する。図1に示すように、システムメモリ11、システムコントローラ12、放送波受信部13、CECコマンド生成・解析部14、送信FIFO15は、例えばシステムバス10により互いに接続されている。
本実施携帯のシステムコントローラ12は、本発明の制御部に対応している。
【0017】
放送波受信部13は、図示しないアンテナなどを介して放送波を取得し、復調して放送波に含まれるデジタルデータを抽出する。
システムメモリ11は、放送波受信部13が受信したデータや、受信装置1の各動作のためのプログラム類を記憶する。
システムコントローラ12は、例えばCPUなどの制御ユニットであり、受信装置1全体の動作を統括的に制御する。
【0018】
インタフェース部16は、再生専用装置2と接続可能なHDMIインタフェースを有する。このHDMIインタフェースは、CECチャネルにおける双方向通信が可能なインタフェースである。
インタフェース部16は、低速転送モードと高速転送モードの2つの動作モードを有する。これら2つのモードは、CECコマンド生成・解析部14からの指示に応じて切り替えが可能となっている。
低速転送モードとは、現状のCECの規格に則った転送モードであり、最大で約400bpsの転送速度での転送を行うモードである。
高速転送モードとは、放送波受信部13が取得した再生専用装置用のアップデートプログラムの転送時にのみ使用される、高速な転送を可能とするモードである。
高速転送モードの詳細については後述する。
【0019】
CECコマンド生成・解析部14は、インタフェース部16における再生専用装置2とのCEC規格での転送を可能とするブロックである。CECコマンド生成・解析部14は、インタフェース部16で受信したビット列をシリアルtoパラレル変換して、コマンドデータ列としてシステムコントローラ12に入力する。或いは、システムコントローラ12からのコマンドやデータをパラレルtoシリアル変換してインタフェース部16から転送する。
【0020】
送信FIFO(First In First Out)15は、インタフェース部16における高速転送モードのための一時データ記憶部である。高速転送モードにおいては、データを連続して送信するために、予め分割したデータを送信FIFO15に一時記憶しておく。これにより、高速転送が可能となる。
【0021】
次に、再生専用装置2の構成について説明する。
図1に示すように、再生専用装置2は、インタフェース部21(本発明の第2のインタフェース部に対応)、CECコマンド生成・解析部22、受信FIFO23、システムメモリ24、システムコントローラ25、フラッシュメモリ26を有する。
CECコマンド生成・解析部22、受信FIFO23、システムメモリ24、システムコントローラ25、フラッシュメモリ26は、例えばシステムバス20により互いに接続されている。
【0022】
インタフェース部21は、受信装置1のインタフェース部16と同様の構成であり、受信装置1と接続可能なHDMIインタフェースを有する。このHDMIインタフェースは、CECチャネルにおける双方向通信が可能なインタフェースである。
インタフェース部21は、低速転送モードと高速転送モードの2つの動作モードを有する。これら2つのモードは、CECコマンド生成・解析部22からの指示に応じて切り替えが可能となっている。
【0023】
CECコマンド生成・解析部22は、インタフェース部21における受信装置1とのCEC規格での転送を可能とするブロックである。CECコマンド生成・解析部22は、インタフェース部21で受信したビット列をシリアルtoパラレル変換して、コマンドデータ列としてシステムコントローラ25に入力する。或いは、システムコントローラ25からのコマンドやデータをパラレルtoシリアル変換してインタフェース部21から転送する。
【0024】
受信FIFO23は、CECコマンド生成・解析部14により高速転送モードでの受信装置1からのデータ転送時に、高速転送のために一時的に分割されたデータを記憶しておくメモリである。これにより、高速転送モードによる転送が可能となる。
システムメモリ24は、例えばインタフェース部21を介して受信装置1から取得したデータや、再生専用装置2の各動作のためのプログラム類を記憶する。
システムコントローラ25は、例えばCPUなどの制御ユニットであり、再生専用装置2全体の動作を統括的に制御する。
フラッシュメモリ26は、例えば再生専用装置2のファームウェア等が格納されている不揮発性メモリである。
本実施形態においては、受信装置1が放送波を介して取得した再生専用装置2のアップデートプログラムを、HDMIインタフェースを介して高速に転送し、フラッシュメモリ26に格納されたファームウェアをアップデートすることが目的である。
【0025】
次に、受信装置1のインタフェース部16及び再生専用装置2のインタフェース部21による、高速転送モードについて説明する。
現行のCECの規定ではデータ1ビットの転送に2.4ミリ秒かかる。
すなわち、この場合の転送速度はおよそ416bpsほどしかない。
これは現行のCECの規定が、コマンドやタイトル名の転送などごく短いデータの通信を想定して設計されているためである。
このため、本来アップデートプログラムのような大容量のデータ転送には適していない。
【0026】
高速転送モードでは、例えば、インタフェース部16及びインタフェース部21が信号波形を変化させて高速転送を可能にする。
すなわち、例えば、現行のCECの規定を踏襲した信号の波形を所定の割合で圧縮すればよい。
現状では1ビットの転送が2.4ミリ秒と規定されているので、例えば1ビットの転送を1マイクロ秒で行うようにすれば、1メガビット毎秒の転送速度が得られる。
【0027】
このような高速転送モードを実現するために、インタフェース部16及びインタフェース部21に、専用のインタフェースをハードウェアで実装する方法が考えられる。
従来のCEC規定では、転送速度が遅いため、ソフトウェア制御によって信号波形を生成することが可能であったが、上述した高速転送モードにおいてソフト処理で波形生成をすると、高価かつ高速なマイクロプロセッサが必要となってしまう。
従って、専用のハードウェアインタフェース回路をインタフェース部16及びインタフェース部21に実装することにより、比較的安価に高速転送モードでの転送を実現することができる。
【0028】
これに加えて、上述したように、受信装置1内にてプログラムデータをシステムメモリ11からCECチャネル3に送出する場合の、受信装置1内部のデータ転送速度とCECチャネル3での転送速度の差を吸収するために、送信FIFO15を実装する。
受信装置1内部のデータ転送速度は、高速転送モードのCECチャネル3の転送速度よりも遥かに高速である。このため、その中間にFIFOを実装することにより、まとまったデータを断続的に供給することによってシステム負荷を下げつつ、かつCECチャネル3の転送効率を向上させることができる。
同様な理由で、再生専用装置2もデータを連続的に受信するための受信FIFO23を実装している。
【0029】
以上説明したように、本実施形態では、受信装置1のインタフェース部16と再生専用装置2のインタフェース部21とが専用のハードウェアインタフェースを実装することにより、CECチャネル3を介した高速転送モードが使用可能である。
【0030】
以下、上述した高速転送モードを使用した再生専用装置2のファームウェアアップデート時のデータ転送システム100の動作例について説明する。
図2は、再生専用装置2のファームウェアアップデート時のデータ転送システム100の動作例について説明するためのシーケンス図である。
なお、図2に示す動作例では、受信装置1側及び再生専用装置2側の起動時には、低速転送モードが設定されているとする。
【0031】
ステップST1:
受信装置1が再生専用装置2の起動を検出したとき、受信装置1は再生専用装置2に対して、機器情報の問い合わせを行う。この問い合わせは現状のCECの規格では定義されていない新しいコマンド(専用の問い合わせコマンド)を定義して使用する。
ステップST2:
再生専用装置2は、ステップST1における受信装置1からの問い合わせコマンドを受信し、高速転送モードに対応している場合に、上記の問い合わせに応答する。
応答の際には、
(1)再生専用装置2を識別するための商品型名情報
(2)再生専用装置2の現在のファームウェアバージョン情報
(3)連続転送が可能なデータ量
等の情報を受信装置1に対して送信する。
【0032】
ステップST3:
受信装置1は、ステップST2における再生専用装置2からの応答を正常に受信できた場合には、再生専用装置2が高速転送モードに対応した装置であると認識する。
正常に受信できなかった場合には、通常のCEC機器として認識し、高速転送モードによるアップデート処理を中止する。
正常に受信できた場合は、受信した情報をシステムメモリ11に格納する。
ステップST4:
受信装置1は、放送波を介して、再生専用装置2のファームウェアのアップデートプログラムを受信する。
【0033】
ステップST5:
受信装置1は、放送波を介して受信したアップデートプログラムが再生専用装置2に対応しているか否かを確認する必要がある。そこで、受信装置1は、プログラムデータに付加されている再生専用装置2の型名情報やプログラムのバージョン情報と、ステップST3において再生専用装置2から受信した型名情報やバージョン情報との比較を行う。
これにより、受信装置1は、放送波から取得したアップデートプログラムが再生専用装置2に対応しているか否かを確認する。
受信装置1は、対応していることを確認した場合は再生専用装置2のアップデート処理を続行し、対応していなかった場合は、他の機種用のプログラムデータを受信したことになるので、受信データを破棄し、処理を中止する。
また、受信装置1は、ステップST3において再生専用装置2から受信したプログラムのバージョン情報と、放送波を介して取得したアップデートプログラムのバージョン情報とを比較する。
放送波を介して取得したプログラムの方がより新しいバージョンであった場合には、再生専用装置2のアップデート処理を続行する。同じバージョンであったり、古いバージョンであったりした場合は、バージョンアップ動作は不要であるため受信したデータを破棄し、アップデート処理を中断する。
ステップST6:
受信装置1は、再生専用装置2に対してアップデート処理開始命令を送る。
【0034】
ステップST7:
再生専用装置2は、ステップST6においてアップデート処理開始命令を受信したら、アップデートプログラム受信のための準備処理を行う。
準備処理が終了したら、再生専用装置2は、受信装置1に対してアップデート処理準備完了通知を行う。
ステップST8:
再生専用装置2は、ステップST7においてアップデート処理準備完了通知を行った直後に、インタフェース部21の動作モードを高速転送モードに切り替える。
【0035】
ステップST9:
受信装置1は、アップデート処理準備完了通知を受信したら、インタフェース部16の動作モードを高速転送モードに切り替える。
ステップST10:
受信装置1は、システムメモリ11に格納された再生専用装置2のアップデートプログラムをいくつかの転送単位に分割する。
1転送単位は、ステップST3において、再生専用装置2から取得した連続転送が可能なデータ量の情報を基に決定する。
【0036】
ステップST11:
受信装置1は、1転送単位分に分割されたアップデートプログラムを送信FIFO15へ転送し、格納する。
ステップST12:
受信装置1は、インタフェース部16による高速転送モードで、送信FIFO15にデータが蓄積され次第、再生専用装置2へ1回目のアップデートプログラムの転送を開始する。
【0037】
ステップST13:
再生専用装置2は1転送単位分のデータを受け取り、受信FIFO23に一時保持したのち、システムコントローラ25によってシステムメモリ24へ転送して格納する。
転送が完了したら、受信装置1に対して受信完了通知を行う。
なお、ステップST12及びステップST13における、1転送単位分のアップデートプログラムの一部に、チェックサムなどの確認用付加データを定義して受信装置1がこれを付加し、再生専用装置2側でチェックするようにしてもよい。これにより、通信エラーがあった場合は再送や中断処理が可能となる。
ステップST14:
ステップST12及びステップST13の1転送単位分のデータ送受信を複数回繰り返し、アップデートプログラム全体の転送が終了したら、受信装置1はデータ転送終了命令を再生専用装置2に送信する。
【0038】
ステップST15:
受信装置1からデータ転送終了命令を受信した再生専用装置2は、転送モードを低速転送モードに切り替える。
ステップST16:
ステップST14においてデータ転送終了命令を送信した受信装置1は、転送モードを低速転送モードに切り替える。
【0039】
ステップST17:
再生専用装置2は、システムメモリ24内に蓄積されたアップデートプログラムを結合して、フラッシュメモリ26に書き込む。
これにより、再生専用装置2のファームウェアアップデートが完了する。
ステップST18:
再生専用装置2は、ステップST17においてファームウェアアップデートが完了したことを受信装置1に対して通知する。
ステップST19:
受信装置1は、再生専用装置2からアップデート完了通知を受け取ったら、システムメモリ11に記憶されている再生専用装置2のソフトウェアバージョン情報を更新し、次回のアップデートに備えて処理を終了する。
【0040】
以上説明したように、本実施形態のデータ転送システム100によれば、再生専用装置2のファームウェアアップデートを、再生専用装置2に接続された、放送波を受信可能な受信装置1を介してアップデートを取得することにより実行することができる。
その際、受信装置1と再生専用装置2との間のアップデートプログラムの転送は、HDMIインタフェースのCECチャネル3を介して行われる。ここで、CECチャネル3を接続するインタフェース部16及びインタフェース部21に専用のインタフェースを実装することにより、従来のCECチャネルによる転送よりも高速な高速転送モードによるデータ転送を可能とした。
【0041】
受信装置1と再生専用装置2との間で高速転送モードによる転送が行われている最中は、受信装置1と再生専用装置2の双方において、例えば、受信装置1における受信動作や、再生専用装置2における再生動作など、高速転送以外の動作が禁止される。すなわち、再生専用装置2のファームウェアバージョンアップ処理中は、受信装置1も再生専用装置2も高速転送モード専用の動作状態へ移行するように構成される。
そして、高速転送のみを行っている状態であることをユーザに通知する。すなわち、例えば図示しない表示部等に「バージョンアップ中です。しばらくお待ちください」等の表示を行うことによる通知を行う。
なお、上述した実施形態では、データ転送システム100がどちらも高速転送モードに対応したインタフェース部を有する受信装置1と再生専用装置2とにより構成されていた。
しかし、例えば図3に示すように、受信装置に2つ以上の再生専用装置が接続されており、かついずれかの再生専用装置は高速転送モードに対応していないような場合には、上述した本願発明が適用できない。
図3は、高速転送モードに対応しない機器が含まれるデータ転送システムの一例を示すブロック図である。
【0042】
なぜなら、高速転送モードに対応していない機器に対して、高速転送モードの波形を入力した場合は、何らかの誤動作を引き起こす可能性があるからである。
そのため、1つでもCECトポロジ上に高速転送モードに非対応である機器が存在する場合は、本発明の機能を動作させないようにする必要がある。
【0043】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、本発明の実施に際しては、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し様々な変更並びに代替を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、データ転送システムの構成の一例を説明するためのブロック図である。
【図2】図2は、再生専用装置2のファームウェアアップデート時のデータ転送システムの動作例について説明するためのシーケンス図である。
【図3】図3は、高速転送モードに対応しない機器が含まれるデータ転送システムの一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0045】
100…データ転送システム、1…受信装置、2…再生専用装置、3…CECチャネル、10…システムバス、11…システムメモリ、12…システムコントローラ、13…放送波受信部、14…CECコマンド生成・解析部、15…送信FIFO、16…インタフェース部、20…システムバス、21…インタフェース部、22…CECコマンド生成・解析部、23…受信FIFO、24…システムメモリ、25…システムコントローラ、26…フラッシュメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HDMIにより接続され、転送速度を速めた高速転送モードにより互いにデータ転送が可能な第1の機器及び第2の機器を有し、
前記第1の機器は、
放送波を受信する放送波受信部と、
前記放送波受信部が前記放送波を介して取得した前記第2の機器に対応するファームウェアアップデートプログラムを前記高速転送モードにより前記第2の機器に転送する第1のインタフェース部と、
を有し、
前記第2の機器は、
前記第1の機器の前記第1のインタフェースから転送される前記ファームウェアアップデートプログラムを前記高速転送モードで取得する第2のインタフェース部と、
前記ファームウェアアップデートプログラムを格納するフラッシュメモリと、
制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記フラッシュメモリに対して、前記第2のインタフェース部が前記高速転送モードにより取得した前記ファームウェアアップデートプログラムを上書きする
データ転送システム。
【請求項2】
前記第2の機器は、前記第1の機器に対して、当該第2の機器のファームウェアバージョン情報、型式情報のうち少なくとも1つを、前記放送波受信部が前記第2に対応する機器のファームウェアアップデートプログラムを取得する以前に転送し、
前記第1の機器は、前記放送波受信部が前記第1の機器の型式情報を基に、第2の機器に対応するファームウェアアップデートプログラムを取得できなかった場合、或いは、前記放送波受信部が取得したファームウェアアップデートプログラムを前記第2の機器のファームウェアバージョン情報と比較して、前記放送波受信部が取得したファームウェアアップデートプログラムが第2の機器のファームウェアバージョン情報よりも新しいバージョンのファームウェアではなかった場合には、前記放送波受信部が取得した前記ファームウェアアップデートプログラムを破棄する
請求項1に記載のデータ転送システム。
【請求項3】
前記第1の機器は、前記放送波受信部が取得した第2の機器に対応するファームウェアアップデートプログラムを前記高速転送モードで前記第2の機器に転送する際に、当該アップデートプログラムが分割されて記憶される送信FIFOを有し、
前記第2の機器は、前記第1の機器から分割されて高速転送モードで転送される前記アップデートプログラムを一時記憶する受信FIFOを有する
請求項1に記載のデータ転送システム。
【請求項4】
所定の電子機器とHDMIにより接続され、転送速度を速めた高速転送モードにより互いにデータ転送が可能な受信装置が、
放送波を受信する放送波受信部と、
前記放送波受信部が前記放送波を介して取得した前記電子機器に対応するファームウェアアップデートプログラムを前記高速転送モードにより前記電子機器に転送する第1のインタフェース部と、
を有する受信装置。
【請求項5】
放送波を受信する放送波受信部を有する受信装置とHDMIにより接続された再生専用装置が、
前記受信装置において、前記放送波受信部が前記放送波を介して取得した、当該再生専用装置に対応するファームウェアアップデートプログラムを、前記受信装置が高速転送モードに対応した第1のインタフェース部を介して転送してきた場合に、
前記高速転送モードによる受信が可能な第2のインタフェース部と、
前記ファームウェアアップデートプログラムを格納するフラッシュメモリと、
制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記フラッシュメモリに対して、前記第2のインタフェース部が前記高速転送モードにより取得した前記ファームウェアアップデートプログラムを上書きする
再生専用装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−92354(P2010−92354A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−262965(P2008−262965)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】