説明

データ送受信サービスシステムおよび方法

【課題】 クライアント端末のユーザは、配信された対象ファイルを参照するだけでなく、その内容を変更する必要がある。しかし、変更された対象ファイルをラッピングするためには、クライアント端末にラッピングツールをインストールする必要がある。ラッピングツールのバージョンアップ等に伴う変更も予想される。これらの作業をクライアント端末のユーザが行うのは、負担が大きいという課題を有していた。
【解決手段】 本発明は、対象ファイルを配信する際に、対象ファイルの更新及び再ラッピングを行うためのリプレースモジュールを、対象ファイルと一緒にラッピングし、クライアント端末のユーザが、対象ファイルを更新すること及び更新された対象ファイルを再ラッピングすることを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ送受信サービスシステムおよびその方法に係り、特に、配信対象のデータファイル(以下対象ファイルと呼ぶ)と、展開モジュールと、認証モジュールと、リプレースモジュールと、アップロードモジュールとを含む、ラッピングファイルを作成して、データ送受信サーバから、対象ファイルの配信を要求したクライアント端末に、通信ネットワークを介してラッピングファイルを配信し、クライアント端末上で更新された配信対象ファイルを、再ラッピング及びサーバにアップロードすることが可能な、データ送受信サービスシステムおよびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、暗号化情報を用いてライセンス管理を実行するシステムが提案されている。クライアント端末から暗号化固有情報が送信されたライセンス管理サーバは、当該情報を登録するとともに、正規のユーザがクライアント端末を操作しているか否かを判定する。正規のユーザであると認められた場合には、サーバは、クライアント端末にキーとなる情報を送信する。クライアント端末は、このキー情報に基づいて各種環境情報を設定する。これによりクライアント端末は、ライセンスの付与された、すなわち使用許諾されたアプリケーションプログラムを実行することが可能となる。
【0003】
特許文献2には、ライセンス管理サーバが、クライアント端末から要求された対象ファイルと、展開用モジュールと、認証用モジュールと、監視用モジュールとを含むラッピングファイルを配信するライセンス管理システムが提案されている。クライアント端末は、展開用モジュールを実行してラッピング状態を解除し、認証用モジュールを実行して認証情報を送信し、ライセンス管理サーバからライセンスを付与されると、監視用モジュールを実行した状態で対象ファイルを使用する。監視用モジュールにより、対象ファイルの使用期間が終了したことが検知されると、クライアント端末は対象ファイルを削除するシステムが提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−38247号公報
【特許文献2】特開2008−117191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、本願明細書において使用する用語について以下のように定義する。対象ファイルとは、クライアント端末からデータ送受信サーバへ配信要求がなされた配信の対象となるデータファイルをいう。対象ファイルとして、拡張子「.EXE」が付された実行形式ファイル、ワープロ、表計算ソフト等のアプリケーションプログラムで使用されるデータファイル、静止画像、動画像ファイルとして与えられるデジタルコンテンツ、各種CADツールで使用される特定の様式のファイル等が想定される。
【0006】
ラッピングファイルとは、ラッピングを解除する機能を有する展開モジュールと、認証モジュールと、対象ファイルと、対象ファイルを更新及び/又は再ラッピングする機能を有するリプレースモジュールと、再ラッピングされた情報を、データ送受信サーバへアップロードするアップロードモジュールとのいずれかを含むファイルを結合して作成された、みかけ上単一のファイルをいう。以下、本明細書では、最初のラッピングを単にラッピングあるいは最初のラッピングと呼び、クライアント端末で再度ラッピングされることを再ラッピングと呼んで区別する。
【0007】
展開とは、対象ファイルがデータ変換されることなく、そのままラッピングされている場合には、そのラッピングされた状態を解除して、ラッピングファイルをもとのファイルに分解し、展開モジュール、認証モジュール、対象ファイル、リプレースモジュール等を、それぞれ個別のファイルとして取り扱える状態にすることをいう。展開モジュールは、自己解凍機能及びランチャー機能から構成されていてもよい。
【0008】
また対象ファイルに、暗号化処理、圧縮処理、または暗号化処理と圧縮処理との組み合わせ等の、所定のアルゴリズムに基づいたデータ変換処理が適用されている場合には、展開とは、ラッピング状態を解除するとともに、対象ファイルに適用されたデータ変換が暗号化処理である場合には復号化処理を行い、適用されたデータ変換が圧縮処理である場合には解凍処理を行うなど、対象ファイルに所定のアルゴリズムに基づく逆データ変換処理を適用して、対象ファイルを使用可能な状態に復元することをいう。
【0009】
対象ファイルの使用とは、対象ファイルが実行形式ファイルである場合には、当該対象ファイルを実行することをいう。対象ファイルが実行形式ファイル以外のファイルである場合には、既存のアプリケーションプログラム等の実行形式ファイルに、当該対象ファイルを適用して実行することをいう。対象ファイルが実行形式ファイルである第1の対象ファイルと実行形式ファイル以外の1または複数のファイルである第2の対象ファイルとから構成される場合には、第1の対象ファイルに第2の対象ファイルを適用して実行することをいう。ここで、既存のアプリケーションプログラムには、例えばワープロソフト、表計算ソフト、静止画像、動画像の参照、編集ソフト、あるいは図面の参照、編集、更新等を行うためのCADソフトなど、幅広い分野のアプリケーションソフトが含まれる。
【0010】
特許文献1に開示される、暗号化情報を利用したライセンス管理方法では、暗号化プログラム等のライセンスを管理する、関連プログラムのインストール作業が必要となり、ライセンス管理システムを構築するために、クライアント端末のユーザが種々の手続きを行わなければならず、ユーザの利便性がよくなかった。特に、サーバから不特定のユーザに、対象となるファイルを配信する場合には、クライアント端末のユーザに種々の手続きを要求することがユーザに敬遠されて、システムを広範囲に利用してもらう上での障害となっていた。また、ライセンス管理サーバでは、クライアント端末から配信を要求された対象ファイルを配信する際に、対象ファイルに係るライセンス管理を実施するために対象ファイルを改変し、あるいは対象ファイルにライセンス管理用のサブモジュールを付加する処理等が必要となるが、対象ファイルの種別に応じて、それぞれ改変・付加用プログラム等を開発する必要があり、大きな開発コストを要していた。
【0011】
また、配信先のユーザ(アプリケーションサービスの利用者)は、アプリケーション機能と直接関わらない部分の変更・更新があった場合でもアップデート作業が必要となり、バージョンの違いがわかりにくい上に手間もかかっていた。さらに、MicrosoftExcel(登録商標)のマクロアプリケーションに代表される、データをセルに保存する実行アプリケーションでは、入力データをラッピングファイルに反映させることができず、システムの適用範囲を狭めていた。
【0012】
クライアント端末のユーザは、単に配信された対象ファイルを参照するだけでなく、対象ファイルの内容を変更する作業も生じる。この改変された対象ファイルのセキュリティ対策をすること、改変された対象ファイルを再び管理サーバに登録することなども必要となってきた。しかし、改変された対象ファイルをラッピングするためには、クライアント端末にラッピングツールをインストールする必要がある。更に、ラッピングツール自身のバージョンアップ等に伴う変更も予想される。これらの作業をクライアント端末のユーザが行うのは、負担が大きいという課題を有していた。
【0013】
サーバからクライアント端末のユーザに配信された対象ファイルは、その使用期限を監視することはできても、使用許諾期間の更新、変更など使用権の柔軟な設定、変更が困難であった。また、配信後の対象ファイルのバージョンアップ(交換)、対象ファイルの使用頻度に基づく課金などを自由に行うことが難しかった。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものである。対象ファイルを配信する際に、クライアント端末で、対象ファイルの更新及び再ラッピングを行うためのリプレースモジュールを対象ファイルと一緒にラッピングし、対象ファイルを使用するクライアント端末のユーザが、対象ファイルを更新すること及び更新された対象ファイルを再ラッピングすることを可能とすることを目的とする。
【0015】
更に、クライアント端末のユーザの認証を行う際に、サーバでラッピングツール(展開モジュール、リプレースモジュール等)のバージョン情報をチェックし、自動的に最新のバージョンのモジュールに更新して、クライアント端末のユーザの利便性を向上させることを目的とする。
【0016】
また、再ラッピングされたファイルをサーバにアップロードするための、アップロードモジュールをラッピングファイルに含ませることにより、クライアント端末のユーザが、更新された対象ファイルを再ラッピングしてサーバに送信することが可能となる。このことにより、更新された対象ファイルを、他のクライアント端末のユーザが使用することが可能となる。すなわち更新された対象ファイルを他のユーザと共有することが可能となる。
【0017】
更に、クライアント端末のユーザによる再ラッピングを可能とすることにより、再ラッピング後の使用には、所定の認証手続が必要となり、その手続きにおいて使用許諾期間の更新、変更など使用権の柔軟な設定、変更が可能となる。また、配信後の対象ファイルのバージョンアップ(交換)、対象ファイルの使用頻度に基づく課金なども可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一実施の形態は、クライアント端末からの対象ファイルの配信要求に応じて、通信ネットワークを介して、当該対象ファイルが最初にラッピングされたラッピングファイルを送信するサーバと、当該ラッピングファイルを、前記通信ネットワークを介して受信し、当該対象ファイルを使用する前記クライアント端末とから構成され、前記最初のラッピングにより、前記対象ファイルと、展開モジュールと、認証モジュールと、リプレースモジュールとを含むラッピングファイルが作成され、前記展開モジュールにより、当該ラッピングファイルが展開され、ラッピングされていた各ファイルは個別のファイルとして取り扱える状態となり、前記認証モジュールにより、前記サーバに問合せることで前記対象ファイルの正規使用者であることが認証され、前記リプレースモジュールにより、当該リプレースモジュールがコピーされ、当該リプレースモジュール(あるいはコピーされたリプレースモジュール)により、前記対象ファイルが、更新された対象ファイルでリプレースされ、前記対象ファイル(あるいは更新後の対象ファイル)、前記展開モジュール、前記認証モジュール及び、前記コピーされたリプレースモジュール(あるいはリプレースモジュール)が再ラッピングされ、前記最初のラッピングは所定の端末あるいは前記サーバで行われ、前記展開、認証、リプレース、再ラッピングは、前記クライアント端末で行われることを特徴とする。
【0019】
上記特徴を有することにより、クライアント端末のユーザは、配信された対象ファイルの内容を更新することができ、更新された対象ファイルを更ラッピングすることができる。再ラッピングされた対象ファイルは、再度サーバを通じた認証手続を踏まない限り、使用することはできなく、更新された対象ファイルのセキュリティを確保することができる。
【0020】
本発明の一実施の形態は、前記最初のラッピングにより、更にアップロードモジュールがラッピングされ、前記クライアント端末で、前記リプレースモジュール(あるいはコピーされたリプレースモジュール)により再ラッピングされ、当該アップロードモジュールがコピーされ、当該アップロードモジュール(あるいはコピーされたアップロードモジュール)が、前記展開モージュール等と共に再ラッピングされ、前記コピーされたアップロードモジュール(あるいはアップロードモジュール)により、前記サーバにアップロードされることを特徴とする。
【0021】
上記特徴を有することにより、更新された対象ファイルを再ラッピングした後、サーバにアップロードすることができる。アップロードされたラッピングファイルは、サーバに保管され、更新された対象ファイルの確実な保存が可能となり、更に、他のユーザによる使用も可能となるので、対象ファイルの複数のユーザにより共有が実現できる。
【0022】
本発明の一実施の形態は、前記認証モジュールにより、対象ファイルの正規使用者であることが認証され、前記サーバで、当該ラッピングファイルに含まれる前記展開モジュール、前記認証モジュール、前記リプレースモジュール、前記アップロードモジュールの各バージョン情報が確認され、最新のモジュールが前記クライアント端末にダウンロードされ、ラッピングされていた各モジュールが、当該最新モジュールで置き換えられることを特徴とする。
【0023】
上記特徴を有することにより、ラッピングツールの各モジュールのバージョン管理がなされ、対象ファイルの正規使用者であることが認証されたとき、ラッピングファイルに含まれた各モジュールが最新のモジュールに自動的に置き換わる。クライアント端末のユーザは、ラッピングツールのバージョンアップ作業を行う必要がなく、対象ファイルの使用、編集、更新作業等に専念することができる。
【0024】
本発明の一実施の形態は、前記対象ファイルに暗号化処理、圧縮処理等、所定のアルゴリズムに基づいたデータ変換処理が適用され、前記展開モジュールにより、ラッピングファイルが展開されたあと、前記対象ファイルの復号化処理、解凍処理が行われ、前記リプレースモジュール(あるいはコピーされたリプレースモジュール)により、再ラッピングが行われるときに、前記対象ファイル(あるいは更新後の対象ファイル)に暗号化処理、圧縮処理等、所定のアルゴリズムに基づいたデータ変換処理が適用されることを特徴とする。
【0025】
上記特徴を有することにより、配信されたデータのセキュリティの確保、データの圧縮化ができるので、クライアント端末のユーザは、安心して当該対象ファイルの使用、編集、更新作業に専念することができる。
【0026】
本発明の一実施の形態は、サーバによる使用者の認証の際に、認証手続が行われた時期、回数、頻度などに関する記録を、サーバで記憶することを特徴とする。
【0027】
上記特徴を有することにより、対象ファイルの使用可能期間の柔軟な管理、使用回数に応じた課金、使用頻度に関するデータの収集などが可能となる。
【0028】
本発明の一実施の形態は、前記ラッピングファイルを受信する少なくとも1人の前記使用者のメールアドレスを、前記対象ファイルの提供元から受け取り、前記ラッピングファイルをダウンロードするためのURL情報、当該使用者のメールアドレス、当該使用者用のID、パスワードを前記サーバで記憶し、当該使用者に、当該ID,パスワードを送信し、あるいは、前記再ラッピングしたファイルをアップロードするためのURL情報を、前記サーバで前記使用者用のID毎に記憶し、当該使用者に前記アップロード用URL情報を送信することを特徴とする。
【0029】
上記特徴を有することにより、対象ファイルの使用者ごとのURL情報、ID情報、パスワード情報等の管理が可能となる。
【0030】
本発明の一実施の形態は、前記最初のラッピングが、所定の端末において行われ、当該ラッピングされたファイルが前記サーバに送信されることを特徴とする。
【0031】
上記特徴を有することにより、サーバ以外の場所でラッピング作業をすることが可能となり、対象ファイルを提供する者とサーバを管理する者が異なる形態でも本システムを使用することが可能となる。
【0032】
本発明の一実施の形態は、通信ネットワークを介して、最初にラッピングされた対象ファイルをクライアント端末に送信するサーバと、当該最初にラッピングされたラッピングファイルを前記ネットワークを介して受信し、当該対象ファイルを使用する前記クライアント端末とから構成されるデータ送受信サービスシステムにおいて、
(A)前記対象ファイルと、ラッピングを解除する展開モジュールと、前記対象ファイルの使用者を認証する認証モジュールと、前記対象ファイルを更新して再ラッピングするリプレースモジュールとを最初にラッピングするステップと、
(B)前記ラッピングされたファイルが、前記サーバから、前記通信ネットワークを介して、前記クライアント端末に送信されるステップと、
(C)前記受信されたラッピングファイルが、前記展開モジュールによりラッピング状態が解除され、前記認証モジュールが実行されるステップと、
(D)前記認証モジュールが、前記サーバに対して前記対象ファイルの使用者の認証を行うステップと、
(E)前記認証が行われた後、前記クライアント端末のユーザが、当該対象ファイルの使用、内容の変更、当該ファイルの更新のいずれか一つ以上を行うステップと、
(F)前記リプレースモジュールが当該リプレースモジュールをコピーし、必要であれば前記対象ファイルを更新し、前記対象ファイル(あるいは更新された対象ファイル)と、前記展開モジュールと、前記認証モジュールと、前記リプレースモジュール(あるいはコピーされたリプレースモジュール)とを再ラッピングするステップとからなることを特徴とする。
【0033】
上記特徴を有することにより、クライアント端末のユーザは、配信された対象ファイルの内容を更新することができ、更新された対象ファイルを更ラッピングすることができる。再ラッピングされた対象ファイルは、再度サーバを通じた認証手続を踏まない限り、使用することはできなく、更新された対象ファイルのセキュリティを確保することができる。
【0034】
本発明の一実施の形態は、前記(A)のステップで、更にアップロードモジュールがラッピングされ、前記(F)のステップで、更に前記アップロードモジュールが当該アップロードモジュールをコピーし、前記(F)のステップの後、(G)前記アップロードモジュール(あるいはコピーされたアップロードモジュール)が、前記再ラッピングされたファイルを前記サーバにアップロードするステップと、からなることを特徴とする。
【0035】
上記特徴を有することにより、更新された対象ファイルを再ラッピングした後、サーバにアップロードすることができる。アップロードされた再ラッピングファイルは、サーバに保管され、更新された対象ファイルの確実な保存が可能となり、更に、他のユーザによる使用も可能となるので、対象ファイルの複数のユーザにより共有が実現できる。
【0036】
本発明の一実施の形態は、前記(D)のステップにおいて、対象ファイルの正規使用者であることが認証された際、さらに、(D1)前記サーバで、当該ラッピングファイルに含まれる前記展開モジュール、認証モジュール、リプレースモジュール、アップロードモジュールの各バージョン情報が確認され、最新のモジュールが前記クライアント端末にダウンロードされ、ラッピングされていた各モジュールが、当該最新モジュールで置き換えられるステップと、からなることを特徴とする。
【0037】
上記特徴を有することにより、ラッピングツールの各モジュールのバージョン管理がサーバでなされ、対象ファイルの正規使用者であることが認証されたとき、ラッピングファイルに含まれた各モジュールが、最新のモジュールに自動的に置き換わる。クライアント端末のユーザは、ラッピングツールのバージョンアップ作業を行う必要がなく、対象ファイルの使用、編集、更新作業に専念することができる。
【0038】
本発明の一実施の形態は、前記(D)のステップにおいて、対象ファイルの正規使用者であることが認証された際、さらに前記対象ファイルに暗号化処理、圧縮処理等、所定のアルゴリズムに基づいたデータ変換処理が適用され、前記展開モジュールにより、ラッピングファイルが展開されたあと、前記対象ファイルの復号化処理、解凍処理が行われ、
前記(F)のステップにおいて、前記リプレースモジュール(あるいはコピーされたリプレースモジュール)により、再ラッピングが行われるときに、前記対象ファイル(あるいは更新後の対象ファイル)に暗号化処理、圧縮処理等、所定のアルゴリズムに基づいたデータ変換処理が適用されることを特徴とする。
【0039】
上記特徴を有することにより、配信されたデータのセキュリティの確保、データの圧縮化ができるので、クライアント端末のユーザは、安心して当該対象ファイルの使用、編集、更新作業に専念することができる。
【0040】
本発明の一実施の形態は、前記(A)の最初のラッピングを行うステップが、所定の端末において行われ、当該ラッピングされたファイルが前記サーバに送信されることを特徴とする。
【0041】
上記特徴を有することにより、サーバ以外の場所でラッピング作業をすることが可能となり、対象ファイルを提供する者とサーバを管理する者が異なる形態でも本システムを使用することが可能となる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、クライアント端末のユーザが、サーバから配信された対象ファイルを更新した後、再ラッピングすることが可能となり、ラッピングツールのインストール作業、ラッピングツールのバージョンアップ作業等から開放される。より具体的には、最初にラッピングされた情報には、展開モジュール、認証モジュールの他に、リプレースモジュール、アップロードモジュールが包含されるので、クライアント端末のユーザは、配信された対象ファイルのダウンロード、対象ファイルの更新、アップロード、再度のダウンロード等の一連の作業を、ラッピングツールのバージョンを意識することなく、行うことができる。
【0043】
本発明によれば、クライアント端末のユーザが使用、編集、更新した対象ファイルを作業終了後に再ラッピングすることにより、当該対象ファイルのセキュリティ管理を、データ送受信サーバに委ねることができる。
本発明によれば、クライアント端末のユーザは、自ら編集、更新した対象ファイルを、再ラッピングして送受信サーバにアップロードすることにより、他のクライアント端末のユーザと当該対象ファイルを共有することができる。より具体的には、物理的に離れた複数の作業者が、データ送受信サーバを介して、対象ファイルの使用、編集、更新作業を共同で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係るデータ送受信サービスシステムのネットワーク構成の例を示す図である。
【図2】本願発明に係るデータ送受信サービスシステムのデータ送受信サーバのハードウエア構成の一例を示すシステム構成図である。
【図3】本願発明に係るデータ送受信サービスシステムのクライアント端末のハードウエア構成の一例を示すシステム構成図である。
【図4】本発明に係るデータ送受信サービスシステムの実施の形態を示す、概念図である。
【図5】本発明に係るラッピングファイルを作成する手順の一例を示すフローチャート図である。
【図6】本発明に係る対象ファイルの使用者を認証する手順の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0045】
1 データ送受信サーバ
2 通信ネットワーク
3 クライアント端末(3a、3b、・・3n)
11 キーボード
12 マウス
13 ディスプレイ
14 ネットワークインタフェース部
15 入出力インタフェース部
16 制御部
17 ファイル送受信部
18 ファイル記憶部
19 展開モジュール記憶部
20 認証モジュール記憶部
21 リプレースモジュール他記憶部
22 一時記憶部
23 認証情報記憶部
24 クライアント端末情報記憶部
31 ネットワークインタフェース部
32 入出力インタフェース部
33 制御部
34 ファイル送受信部
35 主記憶装置
36 ファイル記憶部
37 認証情報記憶部
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下に、本発明に係るデータ送受信サービスシステムおよびその方法を、実施形態に基づいて説明するが、これらの実施形態は本発明の理解を助けるために記載するものであって、本発明を以下に記載されたものに限定する趣旨ではない。
【0047】
以下、添付の図面を参照して本願発明に係る実施の形態を説明する。図1は、本願発明に係るデータ送受信サービスシステムのネットワーク構成の一例を示す図である。データ送受信サーバ1は、通信ネットワーク2を介してクライアント端末3a、3b、・・3nと接続される。本発明では、インターネットを介した対象ファイルの配信において、個々のユーザに係る対象ファイルの使用許諾を管理するデータ送受信サービスシステムや、イントラネットを介した企業内ネットワークにおいて、サーバに格納されたファイルの、社員による不正使用を防止する、データ送受信サービスシステム、あるいは複数の企業がそれぞれのクライアント端末3a、3b、・・3nを使用して、データ送受信サーバ1から配信された、対象ファイルの更新作業を共同で行う、作業形態等への適用などが意図されている。
【0048】
図2は、本願発明に係るデータ送受信サーバのシステム構成の一例を示す図である。図2において、14はネットワークインタフェース部、16はCPU等の制御部である。例えば、一時記憶部22に記憶されたラッピングファイルは、ファイル送受信部17により、通信ネットワーク2を介してクライアント端末3へ配信される。18はクライアント端末へ配信される対象ファイルが記憶されたファイル記憶部、19は展開モジュール、20は認証モジュール、21はリプレースモジュール及びアップロードモジュール等がそれぞれ記憶される記憶部(例えばハードディスク)である。
【0049】
図3は、クライアント端末3のシステム構成の一例を示す図である。31は、通信ネットワーク2との間における通信等を制御するネットワークインタフェース部、33は、CPU等で構成される制御部である。37は、ユーザIDやパスワード等の認証情報が記憶される認証情報記憶部である(例えばハードディスク)。
【0050】
(実施例1)
図4は、本発明に係るデータ送受信サービスシステムを用いた、作業形態の一例を示す図である。図の右上にデータ送受信サーバを、右下にクライアント端末を示す。図の左上には、ラッピングツールの処理概要が示されている。ラッピングツールは、クライアント端末と同等のハード構成からなるコンピュータ端末上での動作が想定されるが、データ送受信サーバ内でも動作可能である。なお、以下の説明においては、対象ファイルを実行可能なアプリケーションファイルとして説明するが、設計図面、CAD図面、静止画像、動画像、文章ファイル他、様々なファイルが対象となりうる。
【0051】
本発明のシステムの実施形態の一例として、例えば、ラッピングツールは配信対象ファイルの提供元であるA社の端末(図示せず)上で動作し、データ送受信サーバは、データ送受信サービスを提供するB社に設置され、クライアント端末は、当該サービスを受ける、複数の会社のうちの一社、例えばC社に設置された状況が想定される。ラッピングツールは、B社のサーバで動作する形態であってもよく、クライアント端末はC社以外にD社、E社など複数の組織あるいは個人により使用される形態であってもよい。
【0052】
A社はB社との契約により、B社のデータ送受信サーバに、自社で作成した対象データを管理委託することができる。A社はまず、B社が提供するラッピングツールの正規の利用者であることを確認する手順として、インターネットなどのネットワークを通じてB社のサーバにアクセスし、正規の利用者であることの認証手続を行う((1)ツール利用者認証)。当該手続により認証されたA社の使用者は、B社が提供するラッピングツールにより、配信対象データをラッピングする((2)ラッピング)。
【0053】
ラッピングは、ラッピングされた情報を展開する展開モジュール、データ送受信サーバに対して認証手続を行う認証モジュール、配信された対象ファイルの更新(リプレース)及び再ラッピングを行うリプレースモジュール、ラッピングされた情報をデータ送受信サーバにアップロードするアップロードモジュールのいずれかを含むファイルを結合することにより、見かけ上単一のファイルとする。
【0054】
ラッピングされた情報を、データ送受信サーバにアップロードするための送信情報が設定され((3)送信情報の設定)、A社の端末からB社のデータ送受信サーバに、(最初に)ラッピングされた情報がアップロードされる((4)アップロード)。アップロードされた情報は、例えば、リクエストDBと名づけられたB社のサーバのデータベースに格納され、当該データ送受信サーバにより保管、管理される。
【0055】
B社のサーバに保管された、ラッピングされた情報を使用、編集、更新等するC社は、ネットワークを通じて、B社のデータ送受信サーバにアクセスする。所定の手続の後、ラッピングされた情報をクライアント端末にダウンロードする((5)ダウンロード)。
【0056】
ダウンロードされたラッピング情報は、展開モジュールの自己解凍機能により、ラッピング状態が解除され、ラッピングされていた対象ファイル及び各種モジュールが展開される。図4では、ダウンロードされたラッピング情報のうち、対象ファイル(図中、データと表示)と認証モジュール(認証Mと表示)のみ示されているが、実際には、ラッピングツールの図(図4の左側)に示されているラッピングされた情報と同一の情報が一括してダウンロードされる。
【0057】
ラッピングされた情報は、展開モジュールにより展開(自己解凍)されることにより、展開モジュール、認証モジュール、対象ファイル、リプレースモジュール等は、それぞれ個別のファイルとして取り扱える状態となる。
【0058】
展開された認証モジュールが、展開モジュールのランチャー機能により実行されることにより、クライアント端末からデータ送受信サーバに対して、当該ユーザが正規のユーザであるか否かの認証が、ID、パスワード、使用許諾期間などをもとに行われる((6)認証)。正規のユーザであると認められた場合、ダウンロードされた対象ファイルは、必要に応じて復号化、解凍処理等がなされる((7)解凍)。それ以降、対象モジュールの使用、編集等の作業が可能となる((8)編集)。
【0059】
この認証の過程で、データ送受信サーバが、当該最初のラッピングファイルに含まれる、展開モジュール、認証モジュール、リプレースモジュール等のバージョン管理をすることが可能である。すなわち、それぞれのモジュールのバージョン情報を調べ、最新のバージョンとなっていないモジュールがあれば、その最新モジュールをクライアント端末にダウンロードする。ダウンロードされた最新モジュールは、ラッピングされていた対応モジュールとそれぞれ置き換えられる。クライアント端末のユーザは、自動的にラッピングツールの各モジュールが最新のバージョンのものに置き換えられる。従って、ユーザはラッピングツールのインストール作業及びバージョンアップ作業を行う必要がなく、配信された対象ファイルの使用、編集等の作業に専念できる。
【0060】
クライアント端末のユーザは、以降、配信された対象ファイルを使用等する。すなわち、対象ファイルが実行形式ファイルである場合には、当該ファイルを実行する。実行形式ファイル以外のファイルである場合には、既存のアプリケーションプログラム(たとえばCADツール)等に適用して実行する。
【0061】
クライアント端末のユーザが、当該配信された対象ファイルを使用等する形態として様々な形態がありうる。例えば、
(a)対象ファイルの使用はするが、その内容を変更しないケース
(b)対象ファイルの使用すると共にその一部を変更するケース
(c)対象ファイルの内容を変更し、その変更された対象ファイルで、配信された対象ファイルを更新する(置き換える)ケース
(d)対象ファイルを使用あるいは更新した後、次に使用、更新するまで、第三者の閲覧、使用等を阻止したい(セキュリティ対策をする)ケース
等が想定できる。上記(c)、(d)のケースなどの場合に、クライアント端末のユーザによる、対象ファイルの再ラッピング作業が特に必要となる。
【0062】
クライアント端末のユーザは、ラッピングされ、その後解凍されたリプレースモジュール(図中リプレースMと表示)を使用して、再ラッピングを行う((9)リプレース)。この際、配信された作業ファイル(データ)の内容を変更しており、変更後の作業ファイルで置き換えたいときには、当該リプレースモジュールで、ファイルの更新(置き換え)を行った後に再ラッピングを行う。図4において、更新前の作業ファイルのデータを「データ」と示し、更新された作業ファイルのデータを「データ2」と示している。なお、当該図において、再ラッピングされた情報として、更新された作業ファイル(データ2)、リプレースモジュール(リプレースM)、アップロードモジュール(アップロードM)の3つのみ示しているが、ラッピングツールの説明図にあるとおり、ここで再ラッピングされた情報には展開モジュール、認証モジュールも含まれている。
【0063】
上記(d)のケース(セキュリティ対策)では、例えば、対象ファイルの更新作業中であるが作業を中断する際などに、その時点で更新された対象ファイルを再ラッピングする作業の形態が考えられる。一旦ラッピングされた情報を解凍するためには、上述した、データ送受信サーバに対する認証手続((6)認証)が必要となり、夜間、あるいは休日に、万一作業中の対象ファイルが流出しても、当該ファイルがラッピングされていることにより、対象ファイルの内容が第三者に知られることを防止することができる。
【0064】
クライアント端末上での、配信された対象ファイルの編集、更新作業が完了した時点で、更新された作業ファイルを再ラッピングして、更にこのラッピングされた情報を、データ送受信サーバにアップロードしてもよい。その際には、最初のラッピングされた情報に含まれるアップロードモジュールを実行する((10)アップロード)。
【0065】
B社が管理するデータ送受信サーバにアップロードされた、上記更新された作業ファイルは、例えばA社あるいは、C社以外のユーザにより使用等することが可能となる。その際の手続は、クライアント端末での作業((5)ダウンロード、(6)認証、(7)解凍)と同一となるが、その対象ファイルの内容が「データ」から「データ2」に変更されていることから、図4左上に、(11)ダウンロード(データ2)及び(12)解凍(データ2)で示した。
【0066】
本発明によれば、C社等のユーザが配信された対象ファイルの使用等を行うことを管理、課金等することが可能となる。すなわち、ラッピングあるいは再ラッピングされた対象ファイルをユーザが使用するためには、認証モジュールによる認証手続が必要となる。上述した認証手続((6)認証)において、配信された対象ファイルの使用を制限する必要があるときには、データ送受信サーバが、「当該対象ファイルは使用許諾期間を過ぎているので、使用できません。」等の通知をクライアント端末に送信することが可能となる(後述する図6のステップS25)。
【0067】
あるいは、対象ファイルの使用回数に応じた課金制度を採用する形態では、上記認証手続を経て行った対象ファイルのダウンロード回数を、データ受信サーバの、例えば「リクエストDB」に記録し、当該回数に応じてユーザに課金する態様も可能である。「リクエストDB」に記録するデータとしては、認証手続が行われた時期、回数、頻度などの他、対象ファイルのダウンロード、アップロード回数、各種モジュールの更新回数、送受信したデータの総容量他、各種の管理データを記録することが可能である。
【0068】
更にB社は、配信対象ファイルの提供元であるA社に対する、当該ファイルの使用料金を支払うときの根拠となるデータを提供することが可能となる。配信対象ファイルが、各ユーザにどの様な頻度で利用されているか、対象ファイルの提供元のA社は知ることが可能となり、当該対象ファイルのマーケッティング調査等にも利用することができるなど、様々なビジネス形態で活用することが可能となる。
【0069】
データ送受信サーバは、配信対象ファイルの提供元であるA社から、対象ファイルの配信先である、少なくとも1人の使用者のメールアドレスを受け取り、対象ファイルのラッピングファイルをダウンロードするためのURL(Uniform Resource Locator)情報、使用者毎のID、パスワード情報と共に記憶、管理する。当該サーバは、各使用者に、当該使用者用のID、パスワード情報を送信する。
【0070】
更に、データ送受信サーバは、再ラッピングされたファイルをアップロードするためのURL情報を当該使用者用のID毎に記憶、管理する。当該URL情報は、使用者毎に異なるURLとすることができる。データ送受信サーバは、当該アップロード用のURL情報を、各使用者に送信する。
【0071】
以上、説明の便宜上、「展開モジュール」、「認証モジュール」、「リプレースモジュール」、「アップロードモジュール」と区別して説明したが、これらモジュール構成及び各モジュールの機能を具体的にどのように分けるかは、自由に設計できる。例えば、展開モジュールを「自己解凍モジュール」と「ランチャーモジュール」と分けたり、リプレースモジュールを「リプレースモジュール」と「再ラッピングモジュール」と分けることなどである。また、対象ファイルの復号化処理、解凍処理を、「認証モジュール」で実行したり「展開モジュール」で実行したりすることも本発明の範囲内で十分可能である。
【0072】
次に、例えば、所定の端末あるいはデータ送受信サーバ内で、ラッピングツールよりラッピングファイルが作成される手順の一例を、図5のフローチャートに基づいて説明する。展開モジュール、認証モジュール、リプレースモジュール等を、それぞれの記憶部(19、20、21)から取り出す(ステップS11、S12、S13)。展開モジュールは、更に自己解凍モジュール及びランチャーモジュールから構成されていてもよい。自己解凍モジュールは、ラッピングされた自己モジュールをラッピング状態から解除するモジュールである。ランチャーモジュールは、認証モジュール、対象ファイルの実行、リプレースモジュール、アップロードモジュール等を起動するモジュールであってもよい。例えば、対象ファイルの種別に応じた起動、使用状態の監視、対象ファイルの削除等を実施する。次に対象ファイルをファイル記憶部(18)から取り出す(ステップS14)。最後に、これらモジュールの集合体に、配信対象となる各種ファイルを結合して、ラッピングファイルを作成する(ステップS17)。
【0073】
ラッピングファイルを作成する処理は、データ送受信サーバでなく、対象ファイルの作成元(A社)の端末で行う実施形態も可能である。この場合には、予めB社のデータ送受信サーバより、ラッピングされた情報として送られてきた、展開モジュール、認証モジュール、リプレースモジュール、アップロードモジュールを元に、これらのモジュールにA社で作成された対象モジュールを結合することにより、ラッピングファイルが作成されてもよい。B社から最新バージョンのモジュールがラッピングされたラッピングファイルがダウンロードされることにより、A社は、ラッピングツールのインストール作業、バージョン更新作業等を行う必要がなくなる。
【0074】
一方、ラッピングファイルがダウンロードされたクライアント端末での、展開、認証、解凍、対象ファイルの実行の手順の例を図6に示す。データ送受信サーバからダウンロードされたラッピングファイルは、展開モジュールの自己解凍機能を実行することにより、ラッピング状態が解除される(ステップS21)。展開モジュールは、ランチャーモジュールを起動する(ステップS22)。更にランチャーモジュールが認証モジュールを起動し、認証モジュールにより認証情報がデータ送受信サーバに送信される(ステップS23)。対象ファイルの復元は、認証モジュールにより行われてもよい(ステップS26)。クライアント端末のユーザが、正規のユーザであることがデータ送受信サーバにより認証されると、ランチャーモジュールにより対象ファイルが実行されてもよい(ステップS27)。
【0075】
クライアント端末のユーザが、配信された対象ファイルの使用、編集、更新を行った後、再ラッピングを行うときには、上記コピーされたリプレースモジュールを実行する。当該リプレースモジュールは、配信された対象ファイルを更新された対象ファイルで置き換える。その後、ラッピングファイルに含まれていた展開モジュール、認証モジュール、対象モジュール(あるいは更新された対象モジュール)、リプレースモジュール(あるいはコピーされたリプレースモジュール)、アップロードモジュール(あるいはコピーされたアップロードモジュール)を再ラッピングする。
【0076】
この際、対象ファイルに暗号化処理、圧縮処理等、所定のアルゴリズムに基づいたデータ変換処理が適用されている場合には、リプレースモジュールにより、ラッピングが行われるときに、対象ファイル(あるいは更新後の対象ファイル)に暗号化処理、圧縮処理等、所定のアルゴリズムに基づいたデータ変換処理が適用される。
【0077】
リプレースモジュール、アップロードモジュールのコピーは、再ラッピングを行うため、及び再ラッピング後にアップロードを行うために、自己と同一のモジュールをコピーするものである。実際に、再ラッピングやアップロードを行うモジュールは、当初ラッピングされていたモジュールであっても、コピーされたモジュールであってもよい。再ラッピングやアップロードを実行したモジュールは、その後消滅してもよい。
【0078】
対象ファイルを使用するだけで、編集、更新を行わない形態では、再ラッピングは、その対象ファイルのセキュリティ対策のために行われる形態も考えられる。端末上で対象ファイルを使用していたユーザが、端末から離れるときには、再ラッピングすることにより、万一その対象ファイルが流出したりしても、ラッピング状態を解除するためには認証作業が必要となり、対象ファイルのセキュリティが守られやすいという利点がある。
(実施例2)
【0079】
上記実施例では、ネットワークを介したサーバとクライアント端末の間での、対象ファイルの配信の形態を想定したものであるが、ネットワークを介さない、閉じた計算機システムの中でも、重要ファイルのラッピング、展開、認証、使用、編集、更新、そして再ラッピングという実施形態も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、データ送受信サービスシステムおよびその方法に係り、特に、配信対象のデータファイルと、展開モジュールと、認証モジュールと、リプレースモジュールと、アップロードモジュールを含むラッピングファイルを作成して、データ送受信サーバから、対象ファイルの配信を要求したクライアント端末に、通信ネットワークを介してラッピングファイルを配信し、クライアント端末上で更新された対象ファイルを、再ラッピング及びサーバにアップロードすることが可能な、データ送受信サービスシステムおよびその方法に関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント端末からの対象ファイルの配信要求に応じて、通信ネットワークを介して、当該対象ファイルが最初にラッピングされたラッピングファイルを送信するサーバと、当該ラッピングファイルを、前記通信ネットワークを介して受信し、当該対象ファイルを使用する前記クライアント端末とから構成され、
前記最初のラッピングにより、前記対象ファイルと、展開モジュールと、認証モジュールと、リプレースモジュールとを含むラッピングファイルが作成され、
前記展開モジュールにより、当該ラッピングファイルが展開され、ラッピングされていた各ファイルは個別のファイルとして取り扱える状態となり、
前記認証モジュールにより、前記サーバに問合せることで前記対象ファイルの正規使用者であることが認証され、
前記リプレースモジュールにより、当該リプレースモジュールがコピーされ、当該リプレースモジュール(あるいはコピーされたリプレースモジュール)により、前記対象ファイルが、更新された対象ファイルでリプレースされ、前記対象ファイル(あるいは更新後の対象ファイル)、展開モジュール、認証モジュール及び、前記コピーされたリプレースモジュール(あるいはリプレースモジュール)が再ラッピングされ、
前記最初のラッピングは所定の端末あるいは前記サーバで行われ、前記展開、認証、リプレース、再ラッピングは、前記クライアント端末で行われることを特徴とするデータ送受信サービスシステム。
【請求項2】
前記最初のラッピングにより、更にアップロードモジュールがラッピングされ、前記クライアント端末で、前記リプレースモジュール(あるいはコピーされたリプレースモジュール)により再ラッピングされ、当該アップロードモジュールがコピーされ、当該アップロードモジュール(あるいはコピーされたアップロードモジュール)が、前記展開モージュール、認証モジュール、対象ファイル、リプレースモジュールと共に再ラッピングされ、当該再ラッピングされたファイルが、前記コピーされたアップロードモジュール(あるいはアップロードモジュール)により、前記サーバにアップロードされることを特徴とする、請求項1に記載のデータ送受信サービスシステム。
【請求項3】
前記認証モジュールにより、対象ファイルの正規使用者であることが認証され、前記サーバで、当該ラッピングファイルに含まれる前記展開モジュール、認証モジュール、リプレースモジュール、アップロードモジュールの各バージョン情報が確認され、各モジュールの最新のモジュールが、前記クライアント端末にダウンロードされ、ラッピングされていた各モジュールが、当該最新モジュールで置き換えられることを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ送受信サービスシステム。
【請求項4】
前記対象ファイルに暗号化処理、圧縮処理等、所定のアルゴリズムに基づいたデータ変換処理が適用され、前記展開モジュールにより、ラッピングファイルが展開されたあと、前記対象ファイルの復号化処理、解凍処理が行われ、前記リプレースモジュール(あるいはコピーされたリプレースモジュール)により、再ラッピングが行われるときに、前記対象ファイル(あるいは更新後の対象ファイル)に暗号化処理、圧縮処理等、所定のアルゴリズムに基づいたデータ変換処理が適用されることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のデータ送受信サービスシステム。
【請求項5】
前記サーバによる使用者の認証の際に、当該認証手続が行われた時期、回数、頻度などの各種の管理データ、あるいはマーケッティング情報を、当該サーバで記憶することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のデータ送受信サービスシステム。
【請求項6】
前記ラッピングファイルを受信する少なくとも1人の前記使用者のメールアドレスを、前記対象ファイルの提供元から受け取り、前記ラッピングファイルをダウンロードするためのURL情報、当該使用者のメールアドレス、当該使用者用のID、パスワードを前記サーバで記憶し、当該使用者に、当該ID,パスワードを送信し、あるいは、
前記再ラッピングしたファイルをアップロードするためのURL情報を、前記サーバで前記使用者用のID毎に記憶し、当該使用者に前記アップロード用URL情報を送信することを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のデータ送受信サービスシステム。
【請求項7】
前記最初のラッピングが、所定の端末において行われ、当該ラッピングされたファイルが前記サーバに送信されることを特徴とする請求項1に記載のデータ送受信サービスシステム。
【請求項8】
最初にラッピングされた対象ファイルを、通信ネットワークを介してクライアント端末に送信するサーバと、当該最初にラッピングされたラッピングファイルを前記ネットワークを介して受信し、当該対象ファイルを使用する前記クライアント端末とから構成されるデータ送受信サービスシステムにおいて、
(A)前記対象ファイルと、ラッピングを解除する展開モジュールと、前記対象ファイルの使用者を認証する認証モジュールと、前記対象ファイルを更新して再ラッピングするリプレースモジュールとを最初にラッピングするステップと、
(B)前記ラッピングされたファイルが、前記サーバから、前記通信ネットワークを介して、前記クライアント端末に送信されるステップと、
(C)前記受信されたラッピングファイルが、前記展開モジュールによりラッピング状態が解除され、前記認証モジュールが実行されるステップと、
(D)前記認証モジュールが、前記サーバに対して前記対象ファイルの使用者の認証を行うステップと、
(E)前記認証が行われた後、前記クライアント端末のユーザが、当該対象ファイルの使用、内容の変更、当該ファイルの更新のいずれか一つ以上を行うステップと、
(F)前記リプレースモジュールが当該リプレースモジュールをコピーし、必要であれば前記対象ファイルを更新し、前記対象ファイル(あるいは更新された対象ファイル)、展開モジュール、認証モジュール、リプレースモジュール(あるいはコピーされたリプレースモジュール)とを再ラッピングするステップと
からなることを特徴とするデータ送受信サービス方法。
【請求項9】
前記(A)のステップで、更にアップロードモジュールがラッピングされ、前記(F)のステップで、更に前記アップロードモジュールが当該アップロードモジュールをコピーし、前記(F)のステップの後、
(G)前記アップロードモジュール(あるいはコピーされたアップロードモジュール)が、前記再ラッピングされたファイルを前記サーバにアップロードするステップと、
からなることを特徴とする、請求項8に記載のデータ送受信サービス方法。
【請求項10】
前記(D)のステップにおいて、対象ファイルの正規使用者であることが認証された際、さらに、
(D1)前記サーバで、当該ラッピングファイルに含まれる前記展開モジュール、認証モジュール、リプレースモジュール、アップロードモジュールの各バージョン情報が確認され、各モジュールの最新のモジュールが、前記クライアント端末にダウンロードされ、ラッピングされていた各モジュールが、当該最新モジュールで置き換えられるステップと、
からなることを特徴とする、請求項8又は9に記載のデータ送受信サービス方法。
【請求項11】
前記(D)のステップにおいて、対象ファイルの正規使用者であることが認証された際、さらに前記対象ファイルに暗号化処理、圧縮処理等、所定のアルゴリズムに基づいたデータ変換処理が適用されていたときには、前記展開モジュールにより、ラッピングファイルが展開されたあとに、前記対象ファイルの復号化処理、解凍処理が行われ、
前記(F)のステップにおいて、前記リプレースモジュール(あるいはコピーされたリプレースモジュール)により、再ラッピングが行われるときに、前記対象ファイル(あるいは更新後の対象ファイル)に暗号化処理、圧縮処理等、所定のアルゴリズムに基づいたデータ変換処理が適用されることを特徴とする、請求項8ないし10のいずれか一項に記載のデータ送受信サービス方法。
【請求項12】
前記(A)の最初のラッピングを行うステップが、所定の端末において行われ、当該ラッピングされたファイルが前記サーバに送信されることを特徴とする請求項8に記載のデータ送受信サービス方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−78935(P2012−78935A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221561(P2010−221561)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(591106864)富士通エフ・アイ・ピー株式会社 (95)
【Fターム(参考)】