説明

データ通信装置及びその通信方法

【課題】回路規模を増大させることなく、複数のLSI間の双方向通信を1線で実現するデータ通信装置を提供する。
【解決手段】データ通信装置は、複数のLSI100、107、114と、複数のLSI100、107、114を相互に接続する一本のデータ信号線121と、を備え、複数のLSI100、107、114は、データ信号線121からデータを受信するA/D変換器101、108、115と、データを処理するロジック部102、109、116と、ロジック部102、109、116が処理したデータをデータ信号線121へ送信するD/A変換器106、113、120と、A/D変換器と前記D/A変換器との間に挿入され、D/A変換器106、113、120への逆電流を阻止する逆流防止回路122、123、124と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ通信に関し、特にLSI(Large Scale Integration)間の通信においてアナログ信号を用いて1線でマルチマスタの双方向通信を行う装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、製品の高機能化に伴い、1つのセット内に複数のLSIを搭載している製品が増えている。複数LSI間の通信は複数の信号線によって行われているが、通信を行うLSIの増加に伴い、LSI間の信号線がネックとなり、セットの小型化が困難となっている。更なるセットの小型化に伴い、1線で双方向通信を行える技術が求められている。
【0003】
図4は特許文献1に開示された伝送システムを示した構成図である。送信器1は、所定数Nのビットからなるデジタルデータを1ブロックとした送信データを格納する。
送信器1は、送信データブロック2、送信データブロック2からの1ブロックのデジタルデータが転送されて格納されるマスタ側のデータレジスタ3、データレジスタ3からのデジタルデータを、2N種類の電圧データ(アナログデータ)の内の対応する電圧データ(アナログデータ)にアナログ変換しデータ信号線11に送出するマスタ側のタップデコーダ4、並びに同期をとるためのクロック信号を生成しクロック信号線12に送出するクロック発生器5から構成される。
【0004】
また受信器6は、送信器1から受信した電圧データ(アナログデータ)をスレーブ側のタップデコーダ9からの電圧に基づいてデジタル変換する比較器10、比較器10により変換されたデジタルデータを格納するスレーブ側のデータレジスタ8、並びに所定数Nのビットを1ブロックとした受信データを格納する受信データブロック7から構成される。送信器1と受信器6との間はデータ信号線11、及びクロック信号線12により接続されている。
【0005】
次に伝送システムの動作を説明する。まず送信器1において、送信データブロック2のA/D変換精度内のビット数を1ブロックとしたデジタルデータを、クロック発生器5のクロック信号に同期して、データレジスタ3に転送する。この1ブロックのデジタルデータはタップデコーダ4においてアナログ変換される。即ち、タップデコーダ4において電圧VDDとGNDとの間で分圧された電圧に適宜変換され、データ信号線11により受信器6に転送される。
データ信号線11からの入力電圧は受信器6において比較器10に入力される。比較器10はこの入力電圧とタップデコーダ9からの電圧とを逐次比較してアナログデータをデジタル変換する。この変換結果はデジタルデータとしてデータレジスタ8に転送される。データレジスタ8の内容は、クロック発生器5のクロック信号に同期して受信データブロック7に格納される。
【0006】
特許文献1の技術は通信を行うLSIのマスタ/スレーブが定まっており、通信が単方向である場合にのみ有効な技術である。特許文献1の技術を用いて複数LSI間で双方向通信を行うためには、複数のデータ信号線が必要である。従って、特許文献1の技術を用いて複数LSI間を1線で双方向通信を行う場合に、複数LSIから同時にデータが送信されるとデータが衝突してしまい正常に通信できないという問題があった。
【0007】
その理由としては、通信を行うLSIに送信器と受信器を1つずつ設け、各LSI間は1本のデータ信号線で接続するため、それぞれの送信器から同時にデータを送信した場合、送信データが衝突する。衝突したデータの電位が違う場合、送信データの電位が分圧されてしまい、正しい送信データが得られないためである。また、もう一つの理由として、特許文献1の技術にデータの衝突を検知する仕組みがないことが挙げられる。
【0008】
また、特許文献2には、2つのLSI間で異なる電位(データ)が出力されて衝突した場合、両者の信号出力であるデータ信号線上の電位がVDD/2に分圧されることでデータの衝突を検知し、片方のLSIがデータ出力を取りやめることにより通信を行うことが記載されている。
【0009】
特許文献2記載の構成で3つ以上の複数LSI間で通信を行う場合、衝突する電位の組み合わせによって分圧値が変わるため、データの衝突状態により検出電位が異なり、データの衝突検知が困難となる。よって、正常に通信が行えない。
【0010】
さらに、特許文献3には、バス信号線数の増加を抑止するとともに多重通信を実現させる技術が開示されている。特許文献3には、複数の2値論理信号が同時に入力されたときに各2値論理信号のバスレベルに応じて変換したアナログ信号を重畳することによって多値論理信号を生成することで多重通信を実現する技術が開示されている。
特許文献3技術は、バス上の電位が3種類以上ある多値レベルのバスを用いてデータを重畳し、複数端末の同時通信を可能とするものであり、非常に複雑な構成となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平6−078003号公報
【特許文献2】特開平3−220938号公報
【特許文献3】特開2000−47768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、特許文献1、2に開示された技術では、複数のLSI間で双方向通信を行うことが困難であった。また、特許文献3に開示された技術では、複雑な構成を必要とするため、回路規模が大きくなるという問題があった。
このように、回路規模を増大させることなく、複数のLSI間の双方向通信を1線で実現する仕組みがないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るデータ通信装置の一態様は、複数のLSI(Large Scale Integration)と、前記複数のLSIを相互に接続する一本のデータ信号線と、を備え、前記複数のLSIは、前記データ信号線からデータを受信するA/D(analog/digital)変換器と、前記データを処理するロジック部と、前記ロジック部が処理したデータを前記データ信号線へ送信するD/A(digital/analog)部と、前記A/D変換器と前記D/A変換器との間に挿入され、前記D/A変換器への逆電流を阻止する逆流防止部と、を備える。逆流防止部によってD/A変換器への逆電流を阻止することにより、複数の要求信号が衝突した場合に、データ信号線を伝送する要求信号の電位を用いて実行する要求を調整する。これにより、複数LSI間の双方向通信を1線で行うことができる。従って、複数線による通信を行った場合に比べ信号線を削減でき、セットの小型化が実現できる。
【0014】
また、本発明に係るデータ通信装置の通信方法の一態様は、データを受信するA/D変換器と、データを送信するD/A変換器とを備える複数のLSIが、一本の信号線によって相互に接続されたデータ通信装置の通信方法であって、前記複数のLSIは、データの送受信を行わない期間に、前記D/A変換器への逆電流を阻止し、相互に異なる電位の送信要求信号を前記データ信号線に送信し、前記相互に異なる電位の送信要求信号に基づいて、データ送信を行うLSIを調整する。D/A変換器への逆電流を阻止することにより、複数の送信要求信号が衝突した場合に、データ信号線を伝送する送信要求信号の電位を用いて実行する要求を調整する。これにより、複数LSI間の双方向通信を1線で行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、回路規模を増大させることなく、複数のLSI間の双方向通信を1線で実現する仕組みを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態1に係るデータ通信装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】実施形態1のデータ通信装置の動作例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態2の電位帯割り当てイメージ図である。
【図4】特許文献1のデータ伝送方式のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0018】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係るデータ通信装置の構成例を示すブロック図である。図1に示す構成例は、3つのLSI間通信を例にした構成図であり、複数のLSI間通信の数を限定するものではない。以降、図1に示す3つのLSI間通信を例に説明する。
【0019】
図1のデータ通信装置は、独立した複数のLSI100、107、114と、複数のLSIを100、107、114相互に接続するデータ信号線121を備える。
LSI100、107、114それぞれは、A/D(analog/digital)変換器101、108、115、D/A(digital/analog)変換器106、113、120、ロジック部102、109、116、及び逆流防止回路(逆流防止部)122、123、124を備える。また、データ通信装置は、待機モード、データ送信モード、及びデータ受信モード、を有する。待機モードは、データの送受信を行っていない状態である。データ送信モードは、データを送信している状態である。データ受信モードは、データを受信している状態である。
【0020】
A/D変換器101、108、115は、データ信号線121からアナログデータを受信し、デジタルデータへ変換する。
D/A変換器106、113、120は、デジタルデータをアナログデータへ変換し、アナログデータをデータ信号線121へ送信する。
ロジック部102、109、116は、送信や受信データの処理、格納を行う。また、送信するデジタルデータをD/A変換器106、113、120へ伝送する。さらに、データ通信装置全体の制御を行う。
逆流防止回路122、123、124は、D/A変換器106、113、120へ電流が逆流しないようにする。
【0021】
逆流防止回路122、123、124それぞれは、保護ダイオード105、112、119を備え、データ送信時にONとなるスイッチ(第一のスイッチ)104、111、118、待機モード時にONとなるスイッチ(第二のスイッチ)103、110、117とを有する。
LSI100の逆流防止回路122は、スイッチ104と保護ダイオード105は直列に接続し、スイッチ103と並列に接続する。LSI107、114においても同様な接続構成である。
【0022】
逆流防止回路122、123、124は、ロジック部102、109、116によって制御される。具体的には、LSI100では、ロジック部102は、A/D変換器101がアナログ−デジタル変換した時の信号の電位に基づいて、待機モードとデータ送信モードとを判断する(詳細は図2を用いて後述する)。そして、判断結果に応じて、ロジック部102は、逆流防止回路122のスイッチ103、104のON、OFFを制御する。待機モードでは、スイッチ103がON、スイッチ104がOFFに制御される。データ送信モード及びデータ受信モードでは、スイッチ103がOFF、スイッチ104がONに制御される。なお、LSI107、114も同様に動作する。
【0023】
逆流防止回路122は、D/A変換器106とA/D変換器101との間に挿入され、D/A変換器106の出力、A/D変換器101の入力と接続する。また、逆流防止回路122は、とデータ信号線121で接続し、D/A変換器106が逆流防止回路122を介してデジタルデータをデータ信号線121へ送信するように接続される。LSI107、114においても同様な接続構成とする。
LSI100、LSI107、LSI114間もデータ信号線121によって相互に接続される。
ロジック部102はA/D変換器101の出力、D/A変換器106の入力とそれぞれ接続し、LSI107、114においても同様な接続構成である。
【0024】
図1に示した構成により、データ通信装置のLSI100、107、114は、(1)データの送受信を行わない期間に、D/A変換器106、113、120への逆電流を阻止し、(2)相互に異なる電位の送信要求信号をデータ信号線121に送信し、(3)相互に異なる電位の送信要求信号に基づいて、データ送信を行うLSIを調整する、という機能を実現する。
【0025】
続いて、本実施形態のデータ通信装置の動作例を説明する。図2は、実施形態1のデータ通信装置の動作例を示すフローチャートである。図1のブロック図、図2のフローチャートを用いて、本発明の動作を説明する。図2中、「A/D変換器」または「D/A変換器」を、それぞれ「A/D」または「D/A」とも表している。
【0026】
発明の実施形態の一つとして、LSI100とLSI107の間で送信要求が同時に発生した場合のデータ転送方法について説明する。なお、A/D変換器101、108、D/A変換器106、113の変換レートは全て統一する。
【0027】
本発明は各LSIが共通のVDD/GNDを使用していることが望ましいが、各LSI間のVDD/GNDレベルに差がある場合は、各LSIに内蔵しているA/D変換器の変換結果を補正する必要がある(S1)。補正方法の一例として、LSI100に内蔵しているD/A変換器106からフルスケール/ゼロスケールの電位を出力し、LSI107に内蔵しているA/D変換器108ではフルスケール/ゼロスケール電位との差からA/D変換結果を補正することが挙げられる。A/D変換器108で得た補正値はD/A変換器113へも反映する。
【0028】
LSI100とLSI107はA/D変換結果の補正後、各LSIで送信要求がない場合は待機モードへ移行し、D/A変換器106、113は0Vを出力する(S2)。また、スイッチ104、111はON、スイッチ103、110はOFFにする。待機モードは送信要求が発生するか、他のLSIからの送信要求を検知するまで維持される(S3、S4)。
【0029】
図2のS3の処理によりLSI100とLSI107で同時にデータ送信要求があった場合(S3でYes)、LSI100とLSI107のD/A変換器106、113は、送信要求信号を出力する(S5)。ここで、送信要求信号はアナログ信号を用い、保護ダイオードによる降下電位をVとして、送信要求信号の電位をそれぞれX+V、Y+Vと定義する(X>Y)。D/A変換器106からX+V、D/A変換器113からY+Vの電位による送信要求信号が出力されたことを前提とする。この場合、データ信号線121において送信要求信号が衝突するが、保護ダイオード105、112によって電流の逃げ道がないため、データ信号線121上の電位はXとなる。
【0030】
図2のS6の処理によってLSI100のロジック部102は、データ信号線121上の電位がD/A変換器106から出力している電位と等しいことを検知するが(S6でYes)、他のLSIが同時に送信要求を出力している可能性があるため、再度A/D変換を行いデータ信号線121上の電位がXであることを再確認し(S7でYes)、データ送信モードへ移行する(S9)。LSI100のロジック部102は、データ送信に備えてスイッチ104をOFFし、スイッチ103をONする。
【0031】
データ送信モードでは、D/A変換器106は、送信相手を示すチップIDを送信して、データ送信先を決定する(S10)。次にデータ送信開始を示す電位であるSTARTビットを送信して(S11)データ送信を開始する(S12)。使用する送信データは、送信するデジタルデータをD/A変換器106でアナログ信号へ変換したものとする。データ送信終了後、データ送信終了を示す電位であるENDビットの発行により(S13)、データ送信モードを終了する(S14)。なお、STARTビット/ENDビットに用いる電位は送信要求信号、送信データとは異なる電位とする。
【0032】
一方、LSI107のロジック部109は図2のS6の処理によって、データ信号線121上の電位がD/A変換器113から出力した電位とは違うことにより(S6でNo)、他のLSIから送信要求があることを検知し、再度A/D変換を行い(S8)、他のLSIからの送信要求を再確認した上で、データ受信モードへ移行する。受信モードへ移行したため、LSI107の送信要求は受信モード終了まで保留する(S15)。
【0033】
データ受信モードでは、LSI107のロジック部109は、スイッチ111をOFFする。また、A/D変換器108は、チップID、STARTビットの受信後(S16、S17)、データを受信し(S10)、ENDビットの受信によってデータ受信モードを終了する(S19、S20)。受信データはLSI100内のD/A変換器106によってアナログ信号に変換されたデータをLSI107内のA/D変換器108によってデジタルデータへ再変換したものである。
【0034】
LSI100のデータ送信終了後、LSI107で保留されていた送信要求を再度出力し(S21でYes)、LSI107からデータ送信を行う(S5以降の処理の繰り返し)。
なお、LSI100においても、保留されている送信要求がある場合(S21でYes)、ステップS5の処理以降を繰り返す。
【0035】
データ送信の衝突が発生しない場合の送信動作は、上述したLSI100の動作と同様である。
また、データ送信の衝突が発生しない場合の受信動作を、LSI100がデータ受信する場合を一例として説明する。 LSI100はA/D変換結果の補正後(S1)、各LSIで送信要求がない場合は待機モードへ移行し、D/A変換器106は0Vを出力する(S2)。また、スイッチ104はON、スイッチ103はOFFにする。待機モードは送信要求が発生するか、他のLSIからの送信要求を検知するまで維持される(S3、S4)。送信要求がなく(S3でNo)、A/D変換結果が0Vでないことを検出すると(S4でYes)、A/D変換を行い、他のLSIから送信要求があることを再確認する(S8)。LSI100は、データ送信モードへ移行する。このとき送信要求がない場合は、保留動作は実施しない(S15)。ステップS16以降の動作は上述した動作と同様である。
【0036】
上述したように、従来技術の問題であった、回路規模を増大させることなく、1線で双方向通信が行えない問題に対して、本発明ではアナログ信号を用いて送信要求信号に電位差を持たせ、送信要求信号の電位の高いLSIが優先してデータ送信を行うことにより複数のLSI間通信における1線での双方向通信を実現する。具体的には、まず、アナログ電圧レベルの比較で端末間の優先度の調停を行う。その後、通信は優先する端末が先にデータ送信を行うというバスの制御を行う。
【0037】
(実施形態2)
データ信号線121上の電位によって、転送の状態を把握するために、待機状態、STARTビット/ENDビット(制御信号)、送信要求/送信データの電位帯を分ける。
例えば、待機状態モードは図3 S2で示した電位帯、チップIDと送信要求信号、送信データは図3 S5、S10、S16、S12、S18で示した電位帯、STARTビット/ENDビットは図3 S11、S17、S13、S19で示した電位帯に割り当てる。
各LSIにおいて、ロジック部はA/D変換を行った結果が、どの電位帯にあるかによって、転送のどの状態にあるかを認識することができる。
【0038】
以上説明したように、上記各実施形態では、データ通信装置は、複数のLSI夫々にA/D変換器、D/A変換器、送受信データの処理及び格納を行なうロジック部、及びD/A変換器への逆電流を阻止する逆流防止回路を備える。そして、逆流防止回路はD/A変換器の出力とA/D変換器の入力との間に挿入される。ロジック部の入力はA/D変換器の出力を接続する。ロジック部の出力はD/A変換器の入力に接続する。これらの接続とともにD/A変換器の出力をデータ信号線とし、複数のLSI各々のデータ信号線を共通接続する。
複数のLSI間のデータ通信装置は、通信を行う複数のLSI間を1本のデータ信号線で接続し、通信を行うLSIは、データ送信を行う前にデータ信号線上に送信要求信号を出力する。送信要求信号は、アナログ信号を用い、各LSIで電位差を持たせる。送信要求信号が同時に発生した場合に、送信要求信号の電位が高いLSIが優先してデータ送信を行い、送信要求信号の電位が低いLSIは送信を保留し、データを受信することにより、1線で双方向通信が実現できる。
【0039】
本発明は複数LSI間の双方向通信を1線で行えるため、複数線による通信を行った場合に比べ信号線を削減でき、セットの小型化が実現できる。
【0040】
なお、本発明は上記に示す実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲において、上記実施形態の各要素を、当業者であれば容易に考えうる内容に変更、追加、変換することが可能である。
【符号の説明】
【0041】
100、107、114 LSI
101、108、115 A/D変換器
102、109、116 ロジック部
103、110、117 データ送信時にONとするスイッチ
104、111、118 待機モード時にONとするスイッチ
105、112、119 D/A変換器に電流が逆流するのを防ぐ保護ダイオード
106、113、120 D/A変換器
121 データ信号線
122、123、124 逆流防止回路
1 送信器、2 送信データブロック、3、8 データレジスタ、4、9 タップデコーダ、5 クロック発生器、6 受信器、7 受信データブロック、10 比較器、11 データ信号線、12 クロック信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLSI(Large Scale Integration)と、
前記複数のLSIを相互に接続する一本のデータ信号線と、を備え、
前記複数のLSIは、
前記データ信号線からデータを受信するA/D(analog/digital)変換器と、
前記データを処理するロジック部と、
前記ロジック部が処理したデータを前記データ信号線へ送信するD/A(digital/analog)部と、
前記A/D変換器と前記D/A変換器との間に挿入され、前記D/A変換器への逆電流を阻止する逆流防止部と、
を備えるデータ通信装置。
【請求項2】
前記逆流防止部は、データ送信モードでは前記A/D変換器から前記D/A変換器への電流を阻止し、待機モードでは、前記A/D変換器の入力と前記D/A変換器の出力との接続を制御することを特徴とする請求項1記載のデータ通信装置。
【請求項3】
前記複数のLSIは、それぞれ異なる電位を有する送信要求信号を前記データ信号線へ出力することを特徴とする請求項1または2記載のデータ通信装置。
【請求項4】
前記複数のLSIは、複数の送信要求信号が発生した場合、送信要求信号の電位に基づいて、データ送信を優先させるLSIを調整することを特徴とする請求項3記載のデータ通信装置。
【請求項5】
前記複数のLSIは、複数の送信要求信号が発生した場合、電位の高い送信要求信号を出力したLSIのデータ送信を優先させ、
電位の低い送信要求信号を出力したLSIは、データ送信を保留するとともにデータ受信を行うことを特徴とする請求項4記載のデータ通信装置。
【請求項6】
前記D/A変換器は、データを送信する場合、前記送信要求信号を送信し、
前記A/D変換器は、前記データ信号線から受信した送信要求信号をデジタル信号に変換し、
前記ロジック部は、前記A/D変換器の変換結果に基づいて、前記送信要求信号の電圧が自己の送信要求信号と一致する場合、データ送信モードへ移行し、前記送信要求信号の電圧が自己の送信要求信号と一致しない場合、他のLSIから送信されたデータを受信することを特徴とする請求項4または5記載のデータ通信装置。
【請求項7】
前記逆流防止部は、
前記データ送信モードにおいてONにする第一のスイッチと、
前記待機モードにおいてONにする第二のスイッチと、
前記第一のスイッチと直列に接続され、前記第二のスイッチと並列に接続される保護ダイオードと、を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のデータ通信装置。
【請求項8】
前記複数のLSIは、送信要求信号、送信データ、及び制御信号それぞれについて、電位帯を分けて使用し、
前記ロジック部は、前記A/D変換器の変換結果に基づいて、自己のLSIの状態を検出することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のデータ通信装置。
【請求項9】
データを受信するA/D変換器と、データを送信するD/A変換器とを備える複数のLSIが、一本の信号線によって相互に接続されたデータ通信装置の通信方法であって、
前記複数のLSIは、
データの送受信を行わない期間に、前記D/A変換器への逆電流を阻止し、
相互に異なる電位の送信要求信号を前記データ信号線に送信し、
前記送信要求信号の電位に基づいて、データ送信を行うLSIを調整するデータ通信装置の通信方法。
【請求項10】
前記データ送信を行うLSIの調整は、前記送信要求信号の電位が高いLSIを優先することを特徴とする請求項9記載のデータ通信装置の通信方法。
【請求項11】
前記データ信号線から受信した送信要求信号の電位が、自己が送信した送信要求信号の電位と一致する場合、データ送信を開始し、
前記データ信号線から受信した送信要求信号の電位が、ゼロより大きく、自己が送信した送信要求信号の電位と一致しない場合、他のLSIから送信されるデータを受信する請求項10記載のデータ通信装置の通信方法。
【請求項12】
前記データ信号線から受信した送信要求信号の電位が、自己が送信した送信要求信号の電位と一致しない場合であって、自己のLSIから送信要求信号を送信していたとき、自己のデータ送信を保留にして、他のLSIから送信されるデータを受信することを特徴とする請求項11記載のデータ通信装置の通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−55312(P2011−55312A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203228(P2009−203228)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】