説明

トップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子

【課題】端部から侵入する水分の影響を長期にわたり抑制し、長寿命な薄型・軽量化のトップエミッション型有機EL素子を提供することを目的とする。
【解決手段】トップエミッション型有機EL素子100は、図2(b)に示す基板11上に第1電極21と、発光層含む機能層31と、透明な第2電極41とからなる発光部と、隔壁61とが形成された有機EL素子基材10と、図2(a)に示す基板12上に酸素又は水分を吸着または除去するゲッター層61と、パターン状の接着層71aとが形成された透明かつ平面性を有する封止基材60とを貼り合わせて一体構造としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示端末などのディスプレイや面発光光源として幅広い用途が期待されるトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、トップエミッション型有機EL素子と称す)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話やPDA等の携帯機器やパーソナルコンピュータ等の表示部に、エレクトロルミネッセンス(以下、単にELともいう)表示装置を用いたものが開発されている。
EL表示装置は、EL層(発光層)を有する発光部を基板面内に複数備えて構成され、各発光部を独立に駆動することで所望の表示を行っている。このEL表示装置は、発光層からの光の取り出し方向の違いにより、例えば素子基板側から光を取り出すボトムエミッション型と、封止部材側から光を取り出すトップエミッション型のものとに分類できるが、材料選択の自由度等の理由から、これまで主にボトムエミッション型の構造について研究されてきた。
【0003】
一方、表示装置の分野では、大型化、高精細化、高輝度化に対するニーズが高く、EL表示装置についても大型化を目指した研究開発が盛んに行われている。
しかし、上述のボトムエミッション型のEL表示装置を大型化した場合、電極に信号を供給する配線電極を制御するかトランジスタを太くする必要があり、これにより画素の開口率が低下するという問題があった。
また、このように開口率が低下した場合、画素の輝度を確保するために発光層に大きな電流を流す結果、製品寿命が短くなるという問題も生じる。
このため、近年、画素の開口率が配線等の構造に影響されないトップエミッション型の構造が注目され、盛んに研究されている。
【0004】
有機EL素子は、どちらか一方が透光性を有する2枚の電極(陽極と陰極)の間に、有機発光媒体層を挟持した構造であり、両電極間に電流を流すことにより有機発光媒体層で発光が生じる自発光型の表示素子である。
有機発光媒体層は、通常機能分離された複数の層から構成され、その典型的な例としては、正孔注入層に銅フタロシアニン、正孔輸送層にN,N‘-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-1,1‘-ビフェニル-4,4’-ジアミン、蛍光体層にトリス(8-キノリノール)アルミニウムをそれぞれ積層した低分子型EL素子や、正孔輸送層にポリチオフェン誘導体、発光層にポリアルキルフルオレン誘導体を積層した高分子型EL素子がある
有機EL素子は、発光媒体層や陰極層を大気暴露させた状態で放置すると、大気中の水分や酸素により劣化することが知られている。具体的な代表例として、ダークスポットと呼ばれる非発光領域が発生し、時間の経過と共に拡大するといった現象がある。
【0005】
この問題を解決する方法として、乾燥剤を内包したガラス製もしくは金属製の封止キャップにより、乾燥窒素雰囲気下で有機EL素子を被覆封止する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この方法では、乾燥剤を内包する空間を設けるために封止キャップを加工するコストが高いといった問題や、有機EL素子を薄型・軽量化する際に障害となる等の問題を有している。
【特許文献1】特開平5−36475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み考案されたもので、端部から侵入する水分の影響を長期にわたり抑制し、長寿命な薄型・軽量化のトップエミッション型有機EL素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を達成するために、まず請求項1においては、基板上に第1電極と、発光層を含む機能層と、透明な第2電極とからなる発光領域と隔壁とが複数形成された有機EL素子基材と、封止基材とを貼り合わせてなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記封止基材の基板上の所定位置に酸素または水分を吸着又は除去するゲッター層と、接着層とが形成されていることを特徴とするトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子としたものである。
【0008】
また、請求項2においては、前記有機EL素子基材と前記封止基材とを対向配置させたとき、前記封止基材のゲッター層は、前記有機EL素子基材の隔壁に相当する位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子としたものである。
【0009】
また、請求項3においては、前記ゲッター層は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、シリカゲル、ゼオライト系化合物から選ばれる少なくとも一つの材料を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子としたものである。
【0010】
また、請求項4においては、前記ゲッター層は真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法のいずれかのプロセスにより形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子としたものである。
【0011】
また、請求項5においては、前記接着層は、熱硬化性または可視光硬化性、かつ透明性に優れた樹脂からなり、常温では固体で、50〜100℃の範囲で流動性を発現することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子としたものである。
【0012】
また、請求項6においては、前記封止基材の接着層はパターン状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子としたものである。
【0013】
また、請求項7においては、前記有機EL素子基材と前記封止基材とを対向配置させたとき、前記封止基材の接着層は、少なくとも前記有機EL素子基材の発光領域に形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明のトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子は、ゲッター層を封止基材に設けているので、酸素や水分吸着による有機発光媒体層の劣化を防止することができ、薄型・軽量化のトップエミッション型有機EL素子を提供することが可能となる。また、ゲッター層が有機発光媒体層の上面(光取り出し面)に存在しないので、発光効率の良いトップエミッション型有機EL素子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明のトップエミッション型有機EL素子の一実施例を示す部分模式構成断面図である。
本発明のトップエミッション型有機EL素子100は、図2(b)に示す基板11上に第1電極21と、発光層含む機能層31と、透明な第2電極41とからなる発光部と、隔壁61とが形成された有機EL素子基材10と、図2(a)に示す基板12上に酸素又は水分を吸着または除去するゲッター層61と、パターン状の接着層71aとが形成された透明かつ平面性を有する封止基材60とを貼り合わせ、接着封止して一体構造としたものである。
基板11上に形成された第1電極21と、発光層含む機能層31と、透明な第2電極41とからなる発光領域は、隔壁51にて仕切られている。
【0016】
以下、有機EL素子基材10の作製法について説明する。
まず、基板11上にITO(インジウムスズ複合酸化物)やインジウム亜鉛複合酸化物、亜鉛アルミニウム複合酸化物などの金属複合酸化物や、金、白金などの金属材料等を抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの乾式成膜法で成膜してパターニング処理するか、金属酸化物や金属材料の微粒子をエポキシ樹脂やアクリル樹脂などに分散した微粒子分散溶液をグラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法などを用いてパターン印刷して第1電極21を形成する。
【0017】
基板11は、ガラスや石英、プラスチックシート等の透光性基材の他に、アルミニウムやステンレスなどの金属箔やシート、シリコン基板、前記プラスチックフィルムやシートにアルミニウム、銅、ニッケル、ステンレスなどの金属膜を積層させた非透光性基材などを用いることができる。
また、基板11上には必要に応じて、薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、駆動用基板として用いても良い。該TFTの材料としては、ポリチオフェンやポリアニリン、銅フタロシアニンやペリレン誘導体等の有機TFTを用いてもよく、アモルファスシリコンやポリシリコンTFTを用いてもよい。
【0018】
次に、第1電極21が形成された基板11上にアクリル樹脂あるいはポリイミド樹脂をベース樹脂とした感光性樹脂溶液をロールコート、スピンコート、スクリーン印刷、スプレーコート等のコーティング法を用いて所定厚の感光層を形成し、パターン露光、現像等のパターニング処理を行って、第1電極21間の所定位置に隔壁51を形成する。
ここで、隔壁51の高さは1μm前後である。
【0019】
次に、発光物質を含む単層膜、あるいは多層膜を形成して機能層31を形成する。
機能層31を多層膜で形成する場合の構成例としては、正孔注入輸送層、電子輸送性発光層または正孔輸送性発光層、電子輸送層からなる2層構成や正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層からなる3層構成、さらには、注入層と輸送層を分けたり、電子ブロック層や正孔ブロック層などを挿入することにより、さらに多層で形成することも可能である。なお、発光層含む機能層31は、例えば、発光層と、この発光層に電子や正孔を輸送/注入するための電子輸送/注入層や正孔輸送/注入層等との積層体として構成される。また、発光層単体で機能層を構成してもよい。
【0020】
さらに、機能層31上に第2電極41を形成して、有機EL素子基材10を得る。
第2電極41の材料としては電子注入効率の高い物質を用いる。具体的にはMg,Al,Yb等の金属単体を用いたり、機能層31と接する界面にLiや酸化Li,LiF等の化合物を1nm程度挟んで、安定性・導電性の高いAlやCuを積層して用いる。
または、電子注入効率と安定性を両立させるため、仕事関数が低いLi,Mg,Ca,S
r,La,Ce,Er,Eu,Sc,Y,Yb等の金属1種以上と、安定なAg,Al,Cu等の金属元素との合金系が用いられる。具体的にはMg,Ag,Al,Li,Cu,Li等の合金が使用できる。
【0021】
第2電極41の形成方法は、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法を用いることができる。
第2電極41の厚さは、10nm〜1000nm程度が望ましいが、透光性電極として用いる場合には、これら金属材料を1〜10nm程度の薄膜として積層した後に、ITO(インジウムスズ複合酸化物)やインジウム亜鉛複合酸化物、亜鉛アルミニウム複合酸化物などの金属複合酸化物を10〜150nm積層し、電子注入性と透光性の両立を図ることが好ましい。
【0022】
請求項1に係わる発明は、基板12上の所定位置に酸素または水分を吸着又は除去するゲッター層61と、接着層71aとを形成して封止基材60を作製し、上記有機EL素子基材10と貼り合わせてトップエミッション型有機EL素子を構成したもので、ゲッター層61は表示に寄与しない非発光領域(隣接する発光部の間の領域)に配置しているため、表示品質を損なうことはない。
また、ゲッター層を有効画素領域の周辺部に配置した場合でも、ゲッター層61の配置面積を一定以上に確保できるため、発光部への酸素や水分の浸入を防止でき、トップエミッション型有機EL素子の高輝度化及び長寿命化を図ることが出来る。
【0023】
封止基材60の基板12は、透明性かつ平面性を有する透光性基材を用いる必要があり、例えば、ガラスや石英、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリアリレート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルムやシート、または、これらプラスチックフィルムやシートに酸化珪素、酸化アルミニウム等の金属酸化物や、弗化アルミニウム、弗化マグネシウム等の金属弗化物、窒化珪素、窒化アルミニウムなどの金属窒化物、酸窒化珪素などの金属酸窒化物、アクリル樹脂やエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂などの高分子樹脂膜を単層もしくは積層させた透光性基材を用いることができる。
【0024】
請求項2に係わる発明は、有機EL素子基材10と封止基材60とを対向配置させたとき、封止基材60のゲッター層61が、有機EL素子基材10の隔壁51上に形成されるようにしたもので、有機EL素子基材10と封止基材60とを貼り合わせてトップエミッション型有機EL素子を作製したとき、封止基材60のゲッター層61は有機EL素子基材10の発光領域と重ならないため、明るい表示を実現できる。
また、ゲッター層61に透明な材料を用いた場合、発光領域が狭くなることを抑えることができる。
【0025】
請求項3に係わる発明は、封止基材60の基板12に形成されたゲッター層61がアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、シリカゲル、ゼオライト系化合物から選ばれる少なくとも一つを含む材料から形成されているため、薄膜で酸素または水分を吸着又は除去する効果が得られるようにしたものである
請求項4に係わる発明は、封止基材60の基板12上のゲッター層61が、上記アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、シリカゲル、ゼオライト系化合物から選ばれる少なくとも一つを含む材料をマスクを用いた真空蒸着法あるいはスパッタリング法、CVD法等によりパターン形成するようにしたもので、ゲッター層61の配置精度を高めることが出来るようにしたものである。
【0026】
請求項5に係わる発明は、封止基材60の接着層71aが、熱硬化性または可視光硬化性、かつ透明性に優れた樹脂からなり、常温では固体で、50〜100℃の範囲で流動性を発現する材料を用いるようにしたものである。
接着層71aの材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン、フェノール樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱硬化型接着性樹脂、光硬化型接着性樹脂などを用いることができ、特に、常温では非流動性を示し、かつ、50〜100℃の範囲で流動性を発現する樹脂を使用する。
【0027】
請求項6に係わる発明は、封止基材60の基板12上の接着層71aをパターン状に形成するようにしたものである。
接着層71aの形成方法としては、材料に応じて、ロールコート、スピンコート、スクリーン印刷法、スプレーコートなどのコーティング法にて感光層を形成し、パターニング処理するか、スクリーン印刷法等にてパターン形成する等の方法を適用することができる。接着層71aは、ゲッター層61の形成前に行うことが好ましい。
また、接着層71a内部には、硬化時の残留応力を緩和し接着性を向上するために、プラスチック微粒子、アクリルゴム、ニトリルゴムなどのゴム微粒子を、単成分もしくは多成分のフィラーを混入しても良い。
接着層71aの厚みとしては、特に制限はないが、なるべく薄膜であることが好ましく、1〜100μm程度、より好ましくは5〜20μmである。
【0028】
接着層71aの形成方法について説明する。パターン化された接着層71aの形成方法の一例を図3(a)〜(c)に示す。
まず、透明性かつ熱硬化性樹脂または可視光硬化性樹脂からなる接着剤をロールコート、スピンコート、スクリーン印刷、スプレーコートなどのコーティング法を用いて、基板12上に所定厚の接着剤層71を形成する(図3(a)参照)。
【0029】
次に、接着剤層71が形成された基板12をホットプレート91上に載置し、80℃前後に加熱する。一方、凸版82が形成されたシリンダー81を対向配置し、押圧、回転しながら接着剤層71上を移動すると、接着剤層71の一部は凸版82で掻き取られ(図3(b)参照)、基板12上の所定位置にパターン化された接着層71aが形成される(図3(c)参照)。
【0030】
請求項7に係わる発明は、有機EL素子基材10と封止基材60とを対向配置させたとき、封止基材60の接着層71aが、少なくとも有機EL素子基材10の発光領域に形成されることにより、隔壁61上にあるゲッター層71aを露出させることができるため、トップエミッション型有機EL素子内の酸素または水分の除去効果を保持することができるようにしたものである。
【0031】
最後に、有機EL素子基材10と封止基材60とを貼り合わせて、熱圧着ロール、真空ラミネータ等を用いて加圧、加熱し、接着層71aにて接着封止してトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子100を得る(図1参照)。
【実施例1】
【0032】
まず、ガラスからなる基板11上にインジウム・錫合金酸化物をスパッタリングして150nm厚のITO膜を成膜し、パターニング処理して第1電極21を形成した。
次に、第1電極21が形成された基板11上にポリイミド樹脂からなる感光性樹脂溶液をスピンコーターにて塗布して感光層を形成し、パターン露光、現像等の一連のパターニング処理を行って、1μm厚の隔壁51を形成した。
【0033】
次に、第1電極21上にポリ(3,4エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物からなる20nm厚の正孔輸送層と、ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチル−ヘキシロキシ)―1,4−フェニレンビュレン](MEMPPV)からなる100nm厚の蛍光体層とからなる2層構成の120nm厚の機能層31を形成した。
【0034】
次に、インジウム・錫合金化合物をスパッタリングして60nm厚のITO膜を成膜し、パターニング処理して機能層31上に第2電極41を形成し、有機EL素子基材10を作製した(図2(b)参照)。
【0035】
次に、ガラスからなる基板12上にエポキシ樹脂ペーストをスクリーン印刷し、30μm厚の接着材層71を形成した(図3(a)参照)。
次に、接着材層71が形成された基板12をホットプレート上に載置し、80℃に加熱し接着材層71を溶融させた。
【0036】
次に、凸版82が形成されたシリンダー81を対向配置し、押圧、回転しながら溶融した接着剤層71上を移動することにより(図3(b)参照)、基板12上の所定位置にパターン化された接着層71aを形成した(図3(c)参照)。
【0037】
次に、カルシウムを真空蒸着にてマスク成膜し、接着層71a間に0.1μm厚のゲッター層61を形成し、基板12上の所定位置に接着層71aとゲッター層61が形成された封止基材60を作製した(図2(a)参照)。
【0038】
最後に、有機EL素子基材10と封止基材60とを真空ラミネーターにて、温度90℃、圧力5kg/cm2、加圧時間3分の条件で接着封止して、トップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子100を得た(図1参照)。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子の一実施例を示す模式構成断面図である。
【図2】(a)は、封止基材の一実施例を示す模式構成断面図である。(b)は、有機EL素子基材の一実施例を示す模式構成断面図である。
【図3】(a)〜(c)は、パターン状の接着層の形成方法の一実施例を示す模式構成断面図である。
【符号の説明】
【0040】
10……有機EL素子基材
11、12……基板
21……第1電極
31……機能層
41……第2電極
51……隔壁
60……封止基材
61……ゲッター層
71……接着剤層
71a……接着層
71b……掻き取られた接着層
81……シリンダー
82……凸版
91……ホットプレート
100……トップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に第1電極と発光層を含む機能層と透明な第2電極とからなる発光領域と、隔壁とが複数形成された有機EL素子基材と、封止基材とを貼り合わせてなる有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記封止基材の基板上の所定位置に酸素または水分を吸着又は除去するゲッター層と、接着層とが形成されていることを特徴とするトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項2】
前記有機EL素子基材と前記封止基材とを対向配置させたとき、前記封止基材のゲッター層は、前記有機EL素子基材の隔壁に相当する位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
前記ゲッター層は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、シリカゲル、ゼオライト系化合物から選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
前記ゲッター層は真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法のいずれかのプロセスにより形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
前記接着層は、熱硬化性または可視光硬化性、かつ透明性に優れた樹脂からなり、常温では固体で、50〜100℃の範囲で流動性を発現することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
前記封止基材上の接着層はパターン状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
前記有機EL素子基材と前記封止基材とを対向配置させたとき、前記封止基材の接着層は、少なくとも前記有機EL素子基材の発光領域に形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のトップエミッション型有機エレクトロルミネッセンス素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−95412(P2007−95412A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−281294(P2005−281294)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】