説明

トナー組成物

【課題】幅広い定着ラティチュード、高光沢、および非印字オフセット性を有する、堅固なトナーを提供する。
【解決手段】トナーとして好適に適応しうる組成物は、重合開始剤および不飽和スルホポリエステルアミン樹脂を含む。不飽和スルホポリエステルアミン樹脂は、好ましくは(i)アミン残基と、(ii)アルカリスルホネート残基と、(iii)不飽和残基と、を含む。また、好ましくは、不飽和スルホポリエステルアミン樹脂は、次の化学式で表される。


前記化学式において、Aは、アリーレンであり、Bは、有機アルカリスルホネートであり、Cは、不飽和アルケンであり、Rは、アルキレンであり、l,m,nは、それぞれ、セグメント数を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、重合開始剤および不飽和スルホポリエステルアミン樹脂を含む組成物に関し、また、その組成物を調製および使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷業界における最近の動向は、電子写真(xerographic)パッケージング用途(applications)に向かっている。そのような用途では一般に熱溶融トナーを使用する。しかしながら、それらの用途において熱溶融トナーを使用することに伴って、いくつかの問題が発生する。1つの問題は、たとえば厚紙素材のような粗面または厚手の基材、またはアルミニウム基材の上にトナーを定着させることに関する。それに加えて、加熱ロール定着器(heat−roll fuser)システムの熱を、重質で表面の粗い紙を通して移動させるのは困難であり、カラー印刷のような非常に印刷面積が極めて広いような場合には、なおさらである。
【0003】
さらに、パッケージング用途で数多く印刷しようとすると、耐久性があって、各種の条件や環境要因に耐えうる材料を使用する必要がある。従来のパッケージ印刷では、硬化可能なインキ、たとえば紫外線硬化または加熱硬化可能なインキを使用して、結果として印刷される画像または表示(indicia)を「強化(toughen)」して、それによって最終的なパッケージの上のその画像または表示が、耐久性で耐摩耗性があるようにする。さらに、多くのオフセット印刷では、加熱オーバーコートを使用して、画像を摩耗(abrasion)から保護する。しかしながら、定着させた(fused)画像および未定着の(unfused)画像にオーバーコートを塗布することによって、画像品質の低下が起きる可能性もある。したがって、実施の態様において保護オーバーコートを必要としないようなトナー組成物が求められている。
【0004】
電子写真の(electrophotographic)トナーには一般に、樹脂たとえばスチレン−アクリレートまたはポリエステル、着色剤および場合によっては電荷調節剤が含まれる。多くのトナー配合(formulation)が公知であり、より具体的には、1つのトナー配合では、不飽和ポリエステル樹脂を含み、それによって、目的とする低定着温度(low fixing temperatures)およびオフセット性を得ている。これについては、たとえば、特許文献1を参照されたい。
【0005】
不飽和ポリエステル系のトナー樹脂を含むいくつかのトナーでは、定着させた後で(after fusing)、UV重合開始剤の存在下高温で、UV光によって架橋させることができる。そのUV重合開始剤は、後塗布(post application)でラッカーとしてトナー画像の上に塗布することもできるし、あるいは、外部添加剤の形でトナー現像剤に塗布することもできるし、あるいは、製造プロセスの間にトナー分散体の中に加えることもできる。しかしながら、UV硬化可能なトナーの場合には、後定着用のUV装置システムを使用する必要があり、それは、市販されている電子写真エンジン(xerographic engine)の中では、現時点では入手できない。
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,227,460号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
幅広い定着ラティチュード(fusing latitude)、高光沢、および非印字オフセット性(non−document offset properties)を有する、堅固なトナーが必要とされている。定着させた画像を硬化させることが可能で、それによって得られる画像が摩耗や汚れを受けないようにするということも依然として必要とされている。UV光を必要とせずに、定着プロセスの間に架橋させることが可能なトナーも依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の組成物は、重合開始剤および不飽和スルホポリエステルアミン樹脂を含む。
【0009】
また、上記組成物において、前記不飽和スルホポリエステルアミン樹脂は、好ましくは(i)アミン残基と、(ii)アルカリスルホネート残基と、(iii)不飽和残基と、を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
いくつかの態様において、開示されているのは、重合開始剤および不飽和スルホポリエステルアミン樹脂を含む組成物;着色剤、重合開始剤、および不飽和スルホポリエステルアミン樹脂を含むトナー組成物;ならびにトナー組成物を調製するためのプロセスであって、そのプロセスに含まれるのは、(a)不飽和スルホポリエステルアミン樹脂からの粒子を含むラテックスエマルションを調製する工程、(b)前記ラテックスエマルションを着色剤分散体および重合開始剤分散体と組み合わせる(combine)工程、(c)それにフロキュレーティング剤(flocculating agent)を添加し、その混合物を前記樹脂のガラス転移温度よりは低い温度に加熱する工程、および(d)樹脂を含むラテックスエマルションを、前記樹脂のガラス転移温度よりは低い温度に加熱した後で、その樹脂を含むラテックスエマルションを、樹脂のガラス転移温度よりも高い温度に加熱する工程、である。
【0011】
他の態様において開示されるのは、画像を形成する工程と、着色剤、重合開始剤、および不飽和スルホポリエステルアミン樹脂を含むトナー組成物を用いてその画像を現像する工程と、そのトナーにより形成された画像を定着する工程と、を含む画像形成プロセス;着色剤、重合開始剤、および不飽和スルホポリエステルアミン樹脂を含むトナー組成物を定着させる工程を含むトナー硬化プロセス;前記重合開始剤は、樹脂の不飽和残基を架橋させる;および、乳化(重合)凝集法(emulsion aggregation process)によって形成されたトナー組成物を定着させる工程を含み、前記トナー組成物は、着色剤、重合開始剤、および不飽和スルホポリエステルアミン樹脂を含む、トナー組成物を架橋させる方法。
【0012】
開示される組成物には、重合開始剤および不飽和スルホポリエステルアミン樹脂を含むことができる。その不飽和スルホポリエステルアミン樹脂には、そのポリエステル主鎖の中に重合されたアミン残基を有するポリエステル主鎖が含まれる。開示されるトナー組成物は、乳化重合凝集法によって調製することができる。
【0013】
重合開始剤は、熱重合開始剤、フリーラジカル重合開始剤、および紫外線重合開始剤などからなる群より選択することができる。重合開始剤の例を非限定的に挙げれば、ベンゾインエーテル、アセトフェノン誘導体たとえば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2,2−トリクロロアセトフェノンなどがある。好適な水素引抜きタイプ(hydrogen abstraction type)の重合開始剤としては、ベンゾフェノンおよびその誘導体、アントラキノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、チオキサントンとキノリンスルホニルクロリド(quinoline sulfonylchloride)との組合せ、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド、(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン)、(ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルケトン、(2−ベンジル−2−N−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン)、(ベンジルジメチルケタール)、2−(カルバモイルアゾ)−置換体(−substituted)、2−n−プロポキシ−9H−チオキサンテン−9−オン、および4−(ジメチルアミノ)安息香酸エチルなどが挙げられる。好適なドナー・アクセプター錯体(donor−acceptor complexes)としては、トリエタノールアミンのようなドナーとベンゾフェノンのようなアクセプターとの組合せが挙げられる。その他好適な増感剤または重合開始剤を挙げれば、チオキサントンとキノリンスルホニルクロリドとの組合せ;アルシン類、ホスホン類、チオ尿素類(thioureas)、ベンジルアセタール類、α−ハロアセトフェノン類、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン)、(ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルケトン、(2−ベンジル−2−N−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン)、(ベンジルジメチルケタール)、2−(カルバモイルアゾ)−置換体、2−n−プロポキシ−9H−チオキサンテン−9−オンおよび4−(ジメチルアミノ)安息香酸エチルなどがある。
【0014】
重合開始剤はさらに、ペルオキシド(peroxide、過酸化物)類、アゾ化合物類、およびピナコール類などからなる群より選択してもよい。ペルオキシド類の例を非限定的に挙げれば、無機または有機ペルオキシド類で、たとえば、カリウムペルオキシドサルフェート、有機ヒドロペルオキシド類、ベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、1,1−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ−(t−ブチルペルオキシ)バレレート(valerate)、ジクミルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジ−(n−プロピル)ペルオキシジカーボネート、t−ブチルベンゾエート、t−アミル(2−エチルヘキシル)モノペルオキシジカーボネート、2,2−ジ−(t−ブチル−ペルオキシ)ブタン、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス(クミルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、カプリリルペルオキシド(caprylyl peroxide)、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシイソブチレート、p−クロロベンゾイルペルオキシド、ヒドロキシヘプチルペルオキシド、ジ−t−ブチルジペルフタレート、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド類、ラウリルペルオキシド、n−ブチル−4,4−ジ−(t−ブチルペルオキシ)バレレート、過酸化水素、アセチルペルオキシド、クミルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシド、プロピオニルペルオキシド、クロロベンゾイルペルオキシド、ジクロロベンゾイルペルオキシド、ブロモメチルベンゾイルペルオキシド、過硫酸アンモニウム(ammonium persulfate)、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過酢酸tert−ブチルトリフェニル(tert-butyl triphenylperacetate)ヒドロペルオキシド、過ギ酸tert−ブチル(tert−butyl performate)、過酢酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチル(tert−butyl perbenzoate)、過酢酸tert−ブチルフェニル、過酢酸tert−ブチルメトキシ、およびtert−ブチル N−(3−トルイル)ペルカルバメート(percarbamate)、およびそれらの混合物などがある。
【0015】
アゾ化合物およびジアゾ化合物の例を非限定的に挙げれば、2,2’−アゾビスプロパン、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスプロパン、1,1’−アゾ(メチルエチル)ジアセテート、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ヒドロクロリド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ナイトレート、2,2’−アゾビスイソブタン、2,2’−アゾビスイソブチルアミド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオン酸メチル、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスブタン、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、2−(4−メチルフェニルアゾ)−2−メチルマロノジニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、3,5−ジヒドロキシメチルフェニルアゾ−2−メチルマロノジニトリル、2−(4−ブロモフェニルアゾ)−2−アリルマロノニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジメチル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2’−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1’−アゾビス−1−クロロフェニルエタン、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロヘプタンニトリル、1,1’−アゾビス−1−フェニルエタン、1,1’−アゾビスクメン、4−ニトロフェニルアゾベンジルシアノ酢酸エチル、フェニルアゾジフェニルメタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、4−ニトロフェニルアゾトリフェニルメタン、1,1’−アゾビス−1,2−ジフェニルエタン、ポリ(ビスフェノールA−4,4−アゾビス−4−シアノペンタノエート)、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2’−アゾビスイソブチレート)、アゾイソブチロニトリル、アゾジメチルバレロニトリル、ジアゾアミンアゾベンゼン、2,2’−アゾジメチルバレロニトリル(diazoamineazobenzene 2,2'-azodimethylvaleronitrile)、2,2’−アゾイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンニトリル、2−メチルブチロニトリル、2−t−ブチルアゾ−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、およびそれらの混合物などがある。
【0016】
置換または非置換のピナコール類(pinacols)を含めて、ピナコール類の例を非限定的に挙げれば、ベンゾピナコール、4,4’−ジクロロベンゾピナコール、4,4’−ジブロモベンゾピナコール、4,4’−ジヨードベンゾピナコール、4,4’,4’’,4’’’−テトラクロロベンゾピナコール、2,2’,4,4’−テトラクロロベンゾピナコール、4,4’−ジメチルベンゾピナコール、3,3’−ジメチルベンゾピナコール、2,2’−ジメチルベンゾピナコール、3,3’,4、4’−テトラメチルベンゾピナコール、4,4’−ジメトキシベンゾピナコール、4,4’,4’’,4’’’−テトラメトキシベンゾピナコール、4,4’−ジフェニルベンゾピナコール、4,4’−ジクロロ−4’’,4’’’−ジメチルベンゾピナコール、4,4’−ジメチル−4’’,4’’’−ジフェニルベンゾピナコール、キサントンピナコール(xanthonpinacol)、フルオレノンピナコール、アセトフェノンピナコール、4,4’−ジメチルアセトフェノン−ピナコール、4,4’−ジクロロアセトフェノンピナコール、1,1,2−トリフェニル−プロパン−1,2−ジオール、1,2,3,4−テトラフェニルブタン−2,3−ジオール、1,2−ジフェニルシクロブタン−1,2−ジオール、プロピオフェノン−ピナコール、4,4’−ジメチルプロピオフェノンピナコール、2,2’−ジエチル−3,3’−ジメトキシプロピオフェノン−ピナコール、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2,3−ジフェニル−ブタン−2,3−ジオール、ベンゾピナコール−モノメチルエーテル、ベンゾピナコール−モノ−フェニルエーテル、ベンゾピナコールおよびモノイソプロピルエーテル、ベンゾピナコールモノイソブチルエーテル、ベンゾピナコールモノ(ジエトキシメチル)エーテル、およびそれらの混合物などがある。
【0017】
重合開始剤はトナー組成物中に、トナー組成物の全重量を基準にして、約1〜約10重量パーセント、たとえば約2〜約7重量パーセントの量で存在させることができる。重合開始剤が樹脂の不飽和残基の架橋重合を開始させることさえ可能であれば、重合開始剤の量が上述の範囲から外れていてもよい。重合開始剤の半減期は、約80℃〜120℃であるのがよい。
【0018】
不飽和スルホポリエステルアミン樹脂は、(i)樹脂の全重量を基準にして約0.1〜約10重量パーセント、たとえば約2〜約7重量パーセントの量で存在するアミン残基;(ii)樹脂の全重量を基準にして約1.5〜約5重量パーセント、たとえば約2〜約4重量パーセントの量で存在するアルカリスルホネート残基(alkali sulfonate residue);および(iii)樹脂の全重量を基準にして約5〜約45重量パーセント、たとえば約15〜約30重量パーセントの量で存在する不飽和残基、を含んでよい。そのアミン残基は、ペルオキシドのような重合開始剤と共に、架橋促進剤または増感剤として機能してよく、また樹脂の不飽和残基は、トナーの架橋を可能としてよい。ブラウアー(Brauer)ら、「歯科用樹脂のための重合開始剤−促進剤システム(Initiator-Accelerator Systems for Dental Resin)」(F.E.Jr.編)ACS、p.359〜371(1983)を参照されたい。
【0019】
アミン残基は、ペルオキシドのような重合開始剤の、フリーラジカルを生成するための開裂(dissociation)が起きる時間を短縮したり温度を下げたりすることができる。アミン残基は、通常のポリエステル主鎖の中に組み込む(incorporate)ことが可能で、たとえば、基材たとえば紙の上にトナーを定着する際や後定着工程(post fusing process)で画像を形成させる場合などで、架橋させたトナー樹脂の調製を容易にすることができる。
【0020】
いくつかの実施態様においては、不飽和スルホポリエステルアミン樹脂を調製する際に使用することが可能なアミン残基としては、一級官能性(primary functional)アルキルアミン類、二級(secondary)官能性アルキルアミン類および三級(tertiary)官能性アルキルアミン類が挙げられる。1つの実施態様においては、三級官能性アルキルアミン類が使用できる。また別な実施態様においては、芳香族官能性アミン類が使用できる。さらに、アミン残基には、そのアミン残基をポリエステル主鎖の中に組み込むための化学反応性官能基(chemical functional group)を含んでいてもよい。たとえば、化学反応性官能基はヒドロキシル基であってよく、さらなる例としては、主鎖全体の中に組み込むことを可能とするために、1分子あたり2個のヒドロキシル官能基であってもよい。芳香族官能性アミン類の例としては、N−フェニルジエタノールアミン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ジ(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、2,6−ジメタノールピリジン、2,4−ジヒドロキシ−5,6−ジメチルピリミジン、2,4−ジヒドロキシジヒドロキシ−6−メチルピリミジン、2,4−ジヒドロキシ−6−メチルピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジヒドロキシピリジン、フェニルエチルエタノールアミンなどが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。三級アルキルアミンの例としては、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、およびジイソプロピルエタノールアミンなどが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。二級および一級官能性アミンの例としては、以下のアルカノールアミン類が挙げられるが、これらに限定される訳ではない:ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジ−sec−ブタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、メチルエタノールアミン、フェニルエタノールアミン、2−アミノエタノール、および2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール。
【0021】
アルカリスルホネート残基は、米国特許第5,227,460号明細書に開示されているような水性媒体(aqueous media)において、公知のアグリゲーションコアレセンス(aggregation coalescence)プロセスによりトナーを調製するために、必要な親水性を付与することができる。さらに詳しくは、アルカリスルホネート残基は、樹脂を水の中に放散させる(dissipatable)のに役立ち、それによって、樹脂のTgより高い温度に水中で加熱したときに、約5nm〜約250nmの範囲のサブミクロンサイズのポリエステル粒子を生成させることができる。
【0022】
不飽和残基は直鎖状の不飽和ポリエステルであってよく、また低分子量(low molecular weight)の縮合ポリマーであってもよい。ここで低分子量とは、約4000〜約20,000を意味していると理解されたい。このポリマーは、重縮合(polycondensation)触媒の存在下で、飽和および不飽和二酸類(または酸無水物類)の両方と、二価アルコール類(グリコールまたはジオール)を反応させることにより、形成することができる。得られる不飽和ポリエステル類は、2つの部位(front)で反応(たとえば、架橋)することができる:(i)ポリエステル主鎖の中の不飽和部位(unsaturation sites)(二重結合)、および(ii)カルボキシル基、ヒドロキシ基などのような官能基で、これは酸−塩基反応に加わることができる。
【0023】
本明細書の開示の不飽和スルホポリエステルアミン樹脂を形成させるためには、各種の二酸または二酸のエステルを選択することが可能であり、たとえば以下のようなものからなる群より選択される:フマル酸、マロン酸、イタコン酸、2−メチルイタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アジピン酸、コハク酸、スベリン酸、2−エチルコハク酸、グルタル酸、ドデシルコハク酸、2−メチルアジピン酸、ピメリン酸(pimelic acid)、アゼライン酸(azelaic acid)、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,2−シクロヘキサン二酸、1,3−シクロヘキサン二酸、1,4−シクロヘキサン二酸、ジアルキルエステルであって、そのアルキルが、約2〜約22個の炭素原子を含み、マロン酸エステル(malonate)、コハク酸エステル(succinate)、フマル酸エステル(fumarate)、イタコン酸エステル(itaconate)、テレフタル酸エステル、イソフタル酸エステル、フタル酸エステル、シクロヘキサン二酸エステル(cyclohexanedioate)、およびそれらの混合物であってよい。二酸は、場合によっては、樹脂約100モルパーセントを基準にして、35モルパーセント〜約0.45モルパーセントの量で選択することができるが、ただし、本明細書の開示の不飽和スルホポリエステルアミン樹脂等、その選択された酸残基の内の少なくとも約5〜約35モルパーセントは不飽和である必要がある。実施態様において、二酸は、フマル酸、マロン酸、イタコン酸、2−メチルイタコン酸、マレイン酸、および無水マレイン酸からなる群より選択することができる。
【0024】
実施態様において、スルホネート化有機二酸類(sulfonated organic diacids)または二酸のエステルの例としては、5−スルホイソフタル酸ナトリウム(sodio)、5−スルホイソフタル酸カリウム(potasio)、2−スルホテレフタル酸ナトリウム、2−スルホテレフタル酸カリウム、ジメチル5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、ジメチル5−スルホイソフタル酸カリウム塩、およびそれらの混合物を含む群より選択されるものが挙げられる。場合によってはそれら二酸は、樹脂約100モルパーセントを基準にして、1モルパーセント〜約10モルパーセントの量で存在させることができる。
【0025】
不飽和スルホポリエステルアミン樹脂を調製するのに使用してよい有機ジオール類の例としては、たとえば、炭素鎖の長さがたとえば炭素原子約1〜約25個のアルキレングリコール、さらには、たとえば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,2−ペンチレングリコール、1,3−ペンチレングリコール、1,4−ペンチレングリコール、1,5−ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ヘプタレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジオール、2,2−ジメチルプロパンジオール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチレングリコール、オクチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、およびそれらの混合物など、のようなジオール類またはグリコール類が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。ジオール類またはグリコール類を含む、有機ジオール類は、各種有効な量、たとえば樹脂の約45〜約55モルパーセントの量で使用することができる。
【0026】
好適な重縮合触媒は、チタン酸テトラアルキル、たとえばジブチルスズオキシド(dibutyltin oxide)のようなジアルキルスズオキシド、たとえばジブチルスズジラウレート(dibutyltin dilaurate)のようなテトラアルキルスズ(tetraalkyltin)、たとえばブチルスズオキシドヒドロキシド(butyltin oxide hydroxide)のようなジアルキルスズオキシドヒドロキシド(dialkyltin oxide hydroxide)、アルミニウムアルコキシド、アルキル亜鉛、ジアルキル亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一スズ(stannous oxide)、またはそれらの混合物を含む群より選択されてよい。重縮合触媒は、ポリエステルを生成するために使用される出発物質の二酸またはジエステルを基準にして、約0.01モルパーセント〜約5モルパーセントの量で存在させることができる。
【0027】
不飽和スルホポリエステルアミン樹脂は、実施態様においては次式で表すことができる:
【化1】

【0028】
化1において、Aは、約6〜約36個、たとえば約10〜約28個の炭素原子を含む、たとえばベンジレン、ビスフェノーレンまたはビスフェニレン(bisphenylene)、ビス(アルキルオキシ)ビスフェノーレン、などのようなアリーレン(arylene)であってよく;l(エル)は約10〜約1,000、たとえば、約100〜約700の数のセグメントであってよく;Bは、約2〜約25個の炭素原子を含む、たとえばメタロ5−スルホイソフタレート(metalo 5−sulfoisophthalte)、メタロスルホエチレン、メタロスルホプロピレンなどのような有機アルカリスルホネート(organo alkali sulfonate)でよく、ここでメタロイオン(metalo ion)は、たとえばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムのようなアルカリ金属、または亜鉛のような遷移金属などであってよく;mは約10〜約1,000、たとえば、約100〜約700の数のセグメントであってよく;Cは、約2〜約25個の炭素原子を含む、たとえばエテン、プロペン、ブテンなどのような不飽和アルケン(unsaturated alkene)であってよく;Rは、約2〜約25個の炭素原子を含む、たとえばエチレン、プロピレン、ブチレン、オキシアルキレンジエチレンオキシド(oxyalkylene diethyleneoxide)のようなアルキレン(alkylene)、または次式で表されるようなジアルカノールアミン;
【化2】

【0029】
化2において、Rは、先に定義したいかなる好適な置換基であってもよく、R’は、たとえばフェニル、ベンジル、メチル、エチル、プロピルなどのような、約2〜約25個の炭素原子、たとえば約8〜約16個の炭素原子を含むアルキル、または、約2〜約25個の炭素原子、たとえば約8〜約16個の炭素原子を含む、アリールであってよく;n(化1)は、約10〜約1,000、たとえば、約100〜約700の数のセグメントであってよい。
【0030】
本明細書に開示の実施態様において、不飽和スルホポリエステルアミン樹脂は次式で表すことができ;
【化3】

【0031】
ここでRは、約2〜約25個の炭素原子を含む、たとえばエチレン、プロピレン、ブチレン、オキシアルキレンジエチレンオキシドのようなアルキレン、またはたとえば次式で表される、ジアルカノールアミン(dialkanol amine);
【化4】

【0032】
ここでRは先に定義したものであってよく、そしてR’は、約2〜約25個の炭素原子を含むアルキルまたはアリール、たとえばフェニル、であってよい。
【0033】
その不飽和スルホポリエステルアミン樹脂は、数平均分子量(Mn)が約1,500〜約50,000グラム/モルの範囲、標準物質としてポリスチレンを使用したゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography)により測定した重量平均分子量(Mw)が約6,000グラム/モル〜約150,000グラム/モルの範囲であって、その多分散性(polydispersity)が約2〜約12であるのがよい。
【0034】
この不飽和スルホポリエステルアミン樹脂は、組成物中に、トナー組成物の全重量を基準にして、約75〜約95重量パーセント、たとえば約80〜約90重量パーセントの量で存在させることができる。
【0035】
場合によっては、しかし通常は、このトナー組成物には着色剤を含んでいてよい。その着色剤は、たとえば、米国特許第4,788,123号明細書;米国特許第4,828,956明細書;米国特許第4,894,308明細書;米国特許第4,948,686号明細書;米国特許第4,963,455号明細書;および米国特許第4,965,158号明細書などに開示されている、染料および顔料からなる群より選択することができる。顔料の例を非限定的に挙げれば、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、グリーン、オレンジ、ブラウン、バイオレット、ブルー、レッド、パープル、ホワイトおよびシルバーなどがある。着色剤の例を非限定的に挙げれば、カーボンブラック(たとえば、リーガル3300(REGAL 3300、登録商標))、フレキシバース・ピグメント(Flexiverse Pigment)BFD1121、ニグロシン染料、アニリンブルー、マグネタイトおよび着色マグネタイト、たとえば、モーベイ(Mobay)のマグネタイト、MO8029(商標)、MO8060(商標);コロンビアン(Columbian)のマグネタイトであるマピコ・ブラックス(MAPICO BLACKS、商標)および表面処理マグネタイト;ファイザー(Pfizer)のマグネタイトであるCB4799(商標)、CB5300(商標)、CB5600(商標)、MCX6369(商標);バイエル(Bayer)のマグネタイト、ベイフェロックス8600(BAYFERROX 8600、商標)、8610(商標);ノーザン・ピグメンツ(Northern Pigments)のマグネタイト、NP−604(商標)、NP−608(商標);マグノックス(Magnox)のマグネタイトTMB−100(商標)またはTMB−104(商標);フタロシアニン、2,9−ジメチル−置換キナクリドン(quinacridone)およびアントラキノン染料でカラーインデックスにおいてCI60710と分類されているもの、CIディスパースト・レッド15、ジアゾ染料でカラーインデックスにおいてCI26050と分類されているもの、CIソルベント・レッド19、銅テトラ(オクタデシルスルホンアミド)フタロシアニン、x−銅フタロシアニン顔料でカラーインデックスにおいてCI74160と分類されているもの、CIピグメント・ブルー、アントラダントレン・ブルー(Anthradanthrene Blue)でカラーインデックスにおいてCI69810と分類されているもの、スペシャル・ブルー・X−2137(Special Blue X-2137)、ジアリーリド・イエロー3,3−ジクロロベンジジンアセトアセトアニリド、モノアゾ顔料でカラーインデックスにおいてCI12700と分類されているもの、CIソルベント・イエロー16、ニトロフェニルアミンスルホンアミドでカラーインデックスにおいてフォロン・イエローSE/GLN(Foron Yellow SE/GLN)と分類されているもの、CIディスパースト・イエロー33、2,5−ジメトキシ−4−スルホンアニリドフェニルアゾ−4’−クロロ−2,5−ジメトキシアセトアセトアニリド、パーマネント・イエローFGL、ピグメント・イエロー74、B15:3シアン顔料分散体(サン・ケミカルズ(Sun Chemicals)から市販)、マゼンタ・レッド81:3顔料分散体(サン・ケミカルズから市販)、イエロー180顔料分散体(サン・ケミカルズから市販)、シアン成分など、さらにはそれらの混合物などがある。その他の市販されている顔料原料としては、サン・ケミカル(Sun Chemical)またはチバ(Ciba)のいずれかから水性顔料分散体として入手可能なもので、ピグメント・イエロー17、ピグメント・イエロー14、ピグメント・イエロー93、ピグメント・イエロー74、ピグメント・バイオレット23、ピグメント・バイオレット1、ピグメント・グリーン7、ピグメント・オレンジ36、ピグメント・オレンジ21、ピグメント・オレンジ16、ピグメント・レッド185、ピグメント・レッド122、ピグメント・レッド81:3、ピグメント・ブルー15:3、およびピグメント・ブルー61、および最高パントンカラースペース(maximum Pantone color space)を再現させることを可能とするその他の顔料などがあるが、これらに限定される訳ではない。その他の好適な着色剤の例を非限定的に挙げてみれば、チンクアジア・マゼンタ(Cinquasia Magenta)(デュポン(DuPont)製)、レバニル・ブラック・A−SF(Levanyl Black A−SF)(マイルス(Miles)、バイエル製)、サンスパース・カーボンブラックLHD9303(Sunsperse Carbon Black LHD 9303)、サンスパース・ブルーBHD6000(Sunsperse Blue BHD 6000)およびサンスパース・イエローYHD6001(Sunsperse Yellow YHD 6001)(サン・ケミカルズから入手可能);ノルマンディ・マゼンタ・RD−2400(Normandy Magenta RD-2400)、パーマネント・イエロー・YE0305(Permanent Yellow YE 0305)、パーマネント・バイオレット・VT2645(Permanent Violet VT2645)、アルガイル・グリーン・XP−111−S(Argyle Green XP-111-S)、リソール・ルバイン・トナー(Lithol Rubine Toner)、ロイヤル・ブリリアント・レッド・RD−8192(Royal Brilliant Red RD-8192)、ブリリアント・グリーン・トナー・GR0991(Brilliant Green Toner GR 0991)、およびオルト・オレンジ・OR2673(Ortho Orange OR 2673)(すべて、パウル・ウーリッヒ(Paul Uhlich)から入手可能);スーダン・オレンジ・G(Sudan Orange G)、トリジン・レッド(Tolidine Red)、およびE.D.トルイジン・レッド(E.D.Toluidine Red)(アルドリッチ(Aldrich)から入手可能);スーダンIII(Sudan III)、スーダンII(Sudan II)およびスーダンIV(Sudan IV)(すべて、マテソン(Matheson)、コールマン(Coleman)、ベル(Bell)から入手可能);スカーレット・フォア・サーモプラスト・NSD・PS・PA(Scarlet for Thermoplast NSD PS PA)(カナダのユージン・クールマン(Ugine Kuhlman)から入手可能);ボン・レッド・C(Bon Red C)(ドミニオン・カラー・カンパニー(Dominion Color Co.)から入手可能;ルモゲン・イエロー・D0790(Lumogen Yellow D0790)、スコ−ゲルプ・L1250(Suco-Gelb L1250)、スコ−イエロー・D1355(Suco-Yellow D1355)、パリオゲン・バイオレット・5100(Paliogen Violet 5100)、パリオゲン・オレンジ・3040(Paliogen Orange 3040)、パリオゲン・イエロー・152(Paliogen Yellow 152)、ネオペン・イエロー(Neopen Yellow)、パリオゲン・レッド・3871K(Paliogen Red 3871 K)、パリオゲン・レッド・3340(Paliogen Red 3340)、パリオゲン・イエロー・1560(Paliogen Yellow 1560)、パリオゲン・バイオレット・5890(Paliogen Violet 5890)、パリオゲン・ブルー・6470(Paliogen Blue 6470)、リソール・スカーレット・4440(Lithol Scarlet 4440)、リソール・ファスト・スカーレット・L4300(Lithol Fast Scarlet L4300)、リソール・スカーレット・D3700(Lithol Scarlet D3700)、リソール・ファスト・イエロー・0991K(Lithol Fast Yellow 0991K)、パリオトール・イエロー・1840(Paliotol Yellow 1840)、ヘリオゲン・グリーン・L8730(Heliogen Green L8730)、ヘリオゲン・ブルー・L6900(Heliogen Blue L6900)、L7202、D6840、D7080、ネオペン・ブルー(Neopen Blue)、スーダン・ブルー・OS(Sudan Blue OS)、スーダン・オレンジ・220(Sudan Orange 220)、およびファナル・ピンク・D4830(Fanal Pink D4830)(以上すべて、ビーエーエスエフ(BASF)から入手可能);チンクアジア・マゼンタ(Cinquasia Magenta)(デュポンから入手可能);ノボパーム・イエロー・FG1(Novoperm Yellow FG1)(ヘキスト(Hoechst)から入手可能);ホスタパーム・ピンク・E(Hostaperm Pink E)およびPV・ファスト・ブルー・B2G01(PV Fast Blue B2G01)(すべてアメリカン・ヘキスト(American Hoechst)から入手可能);イルガライト・ブルー・BCA(Irgalite Blue BCA)、およびオラセット・ピンク・RF(Oracet pink RF)(すべてチバ−ガイギー(Ciba-Geigy)から入手可能)などがある。着色剤の混合物もまた使用することができる。
【0036】
存在させる場合、任意成分の着色剤はトナー組成物中に、いかなる所望の量または有効量で存在させてもよいが、たとえば、トナー組成物の約1〜約25重量%、たとえば約2〜約15重量%、さらなる例を挙げればトナー組成物の全重量を基準にして約5〜約12重量%の量で存在させる。しかしながら、その量は上記の範囲から外れていてもよい。
【0037】
トナー組成物には、場合によっては、電荷調節用添加剤が含まれていてもよいが、そのようなものとしてはたとえば、米国特許第4,298,672号明細書に開示されている、たとえばセチルピリジニウムクロリド、その他を含む、アルキルピリジニウムハライド;たとえば米国特許第4,560,635号明細書に開示されているような、ジステアリルジメチルアンモニウムメチルサルフェートや、米国特許第4,937,157号明細書;米国特許第4,560,635号明細書、および同時係属出願中の米国特許出願第07/396,497号明細書(放棄)に開示されているような、ジステアリルジメチルアンモニウムバイスルフェートを含む、硫酸塩および重硫酸塩;たとえばボントロン・E−84(Bontron E-84)(日本のオリエント化学工業(株)(Orient Chemical Company)から入手可能)のような、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸亜鉛化合物、または米国特許第4,656,112号明細書に開示されているような亜鉛化合物;たとえばボントロン・E−88(Bontron E-88)(日本国のオリエント化学工業(Orient Chemical Company)から入手可能)のような、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物、または米国特許第4,845,003号明細書に開示されているようなアルミニウム化合物;米国特許第3,944,493号明細書;米国特許第4,007,293号明細書;米国特許第4,079,014号明細書;米国特許第4,394,430号明細書;米国特許第4,464,452号明細書;米国特許第4,480,021号明細書;米国特許第4,560,635号明細書などに開示されているような電荷調節用添加剤、さらにはそれらの混合物などが挙げられる。
【0038】
任意成分の電荷調節用添加剤は、トナー組成物中に、トナー組成物の全重量を基準にして、約0.1〜約10重量%、たとえば約1〜約5重量%の量で存在させるのがよい。しかしながら、その量は上述の範囲から外れていてもよい。
【0039】
場合によっては、トナー組成物にはさらに、外部表面添加剤(external surface additive)が含まれていてもよいが、そのようなものとしてはたとえば流動促進添加剤(flow aid additives)が挙げられ、その添加剤は、そのトナー表面上に存在させる。外部表面添加剤の例を非限定的に挙げれば、酸化チタン、酸化スズなどのような金属酸化物およびそれらの混合物など、コロイダルシリカたとえばアエロジル(AEROSIL、登録商標)、脂肪酸の金属塩、たとえば、ステアリン酸亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、およびそれらの混合物などがある。上述の添加剤のいくつかについては、米国特許第3,590,000号明細書および米国特許第3,800,588号明細書に説明がある。さらに、その外部表面添加剤は、米国特許第6,004,714号明細書、米国特許第6,190,815号明細書および米国特許第6,214,507号明細書に記載のコーテッドシリカであってもよい。この外部表面添加剤は、アグリゲーション工程(aggregation process)で添加してもよいし、あるいは形成させたトナー粒子の上にブレンドしてもよい。
【0040】
任意成分の外部表面添加剤は、いかなる所望の量または有効量で存在させてもよいが、たとえば、トナー組成物の全重量を基準にして約0.1〜約5重量%、さらなる例としては約0.1〜約1重量%の量で存在させる。しかしながら、その量は上述の範囲から外れていてもよい。
【0041】
このトナー組成物には、ワックスが含まれていてもよい。ワックスの例を非限定的に挙げれば、ポリプロピレンおよびポリエチレン(アライド・ケミカル・アンド・ペトロライト・コーポレーション(Allied Chemical and Petrolite Corporation)から市販)、ワックスエマルション(マイケルマン・インコーポレーテッド(Michaelman Inc.)およびダニエルス・プロダクツ・カンパニー(Daniels Products Company)から入手可能)、エポリーン・N−15(EPOLENE N-15、商標)(イーストマン・ケミカル・プロダクツ・インコーポレーテッド(Eastman Chemical Products, Inc.)から市販)、ビスコール550−P(VISCOL 550-P、商標)、低重量平均分子量ポリプロピレン(三洋化成工業(株)(Sanyo Kasei K.K.)から入手可能)およびそれらの同等物などがある。選択することが可能な市販のポリエチレンは、分子量Mwが約700〜約2,500のものであるが、それに対して、市販のポリプロピレンではその分子量が約4,000〜約7,000のものがよい。たとえばアミン類、アミド類など、官能基を有するワックス(functionalized waxes)としては、たとえば、アクア・スーパースリップ・6550(AQUA SUPERSLIP 6550、商標)、スーパースリップ・6530(SUPERSLIP 6530、商標)(マイクロ・パウダー・インコーポレーテッド(Micro Powder Inc.)から入手可能)、フッ素化ワックス、たとえばポリフルオ・190(POLYFLUO 190、商標)、ポリフルオ・200(POLYFLUO 200、商標)、ポリフルオ・523XF(POLYFLUO 523XF、商標)、アクア・ポリフルオ・411(AQUA POLYFLUO 411、商標)、アクア・ポリシルク・19(AQUA POLYSILK 19、商標)、ポリシルク・14(POLYSILK 14、商標)(マイクロ・パウダー・インコーポレーテッド(Micro Powder Inc.)から入手可能)、混合フッ素化アミドワックス(mixed fluorinated, amide waxes)、たとえばマイクロスパージョン・19(MICROSPERSION 19、商標)(これまたマイクロ・パウダー・インコーポレーテッド(Micro Powder Inc.)から入手可能)、イミド類、エステル類、四級アミン類(quaternary amines)、カルボン酸またはアクリルポリマーエマルション、たとえばジョンクリル・74(JONCRYL 74、商標)、同89、同130、同537および同538(すべて、SC・ジョンソン・ワックス(SC Johnson Wax)から入手可能)、塩素化ポリプロピレンおよびポリエチレン(アライド・ケミカル・アンド・ペトロライト・コーポレーションおよびSC・ジョンソン・ワックスから入手可能)、などが挙げられる。
【0042】
開示されるトナー組成物は、乳化(重合)凝集法によって調製することができる。この乳化(重合)凝集法に一般に含まれるのは、(a)樹脂粒子を含むラテックスエマルションを調製する工程、(b)そのラテックスエマルションを必要に応じて着色剤と、そして場合によっては重合開始剤と組み合わせる工程、(c)その樹脂を含むラテックスエマルションを、その樹脂のガラス転移温度よりも低い(below)温度に加熱する工程、および(d)樹脂を含むラテックスエマルションを、前記樹脂のガラス転移温度よりは低い温度に加熱した後で、その樹脂を含むラテックスエマルションを、樹脂のガラス転移温度よりも高い(above)温度に加熱する工程、である。ある実施態様においては、その乳化(重合)凝集法に含まれるのは、(a)任意成分である着色剤の分散体を調製する工程、(b)その分散体を樹脂粒子および任意成分のフロキュレーティング剤を含むラテックスエマルションと混合し、それによって、形成された着色剤および樹脂の粒子のフロキュレーションまたはヘテロコアギュレーション(heterocoagulation)を起こさせて、静電的に結合されたアグリゲートを形成させる工程、(c)その静電的に結合されたアグリゲートをその樹脂のガラス転移温度(T)よりも低い(below)温度に加熱して、安定なアグリゲートを形成させる工程、および(d)その安定なアグリゲートをその樹脂のガラス転移温度(T)よりも高い(above)温度に加熱して、その安定なアグリゲートをトナー粒子の中にコアレスさせる(coalesce)工程、である。
【0043】
また別な実施態様においては、その乳化(重合)凝集法に含まれるのは、(a)溶媒、たとえば水、の中で、任意成分のイオン性界面活性剤、任意成分の着色剤、および任意成分の電荷調節剤、を含む分散体、を調製する工程;(b)(i)(1)前記イオン性界面活性剤の極性とは逆の符号を有する電荷極性を有する対イオン性(counterionic)であるか、または(2)ノニオン性であるかのいずれかである、界面活性剤、および、(ii)樹脂であって、それにより、着色剤、樹脂、および任意成分の電荷調節剤から形成された粒子のフロキュレーションまたはヘテロコアギュレーションを起こさせて、静電的に結合されたアグリゲートを形成させる樹脂、を含むラテックスエマルションを用いてその分散体を剪断する工程;(c)安定なアグリゲート(このアグリゲートは、約1μm〜約25μm、たとえば、約2μm〜約10μmの範囲の平均粒子直径を有するが、その粒径は、この範囲から外れていてもよい;その安定なアグリゲートは、典型的には、GSDが約1.16〜約1.25の比較的狭い粒径分布(particle size distribution)を有するが、その粒径分布は、この範囲から外れていてもよい)を形成するよう、静電的に結合されたアグリゲートをその樹脂のガラス転移温度よりも低い温度に加熱する工程、および(d)それらをさらに安定化し、さらなる成長を抑制し、そして目的とする狭い粒径分布が失われないように、そのアグリゲートに追加の量のイオン性界面活性剤を添加する工程、そして、コアレスさせた、樹脂、任意成分の着色剤および任意成分の電荷調節剤を含むトナー粒子を得るように、そのアグリゲートを樹脂のガラス転移温度よりも高い温度に加熱する工程、である。
【0044】
静電的に結合されたアグリゲートをコアレスさせるための加熱は、その樹脂のガラス転移温度よりも約5℃から約50℃高い(above)範囲の温度にすればよいが、その温度がこの範囲から外れていてもよい。
【0045】
コアレスさせた粒子が、コアレスさせる前のアグリゲートと異なっている点は主としてそのモルホロジーにある;すなわち、コアレス前の粒子はその表面積が大きく、たとえば「ブドウの房(grape cluster)」状であるが、それに対してコアレスさせた後の粒子では表面積が減り、たとえば「ジャガイモ」状、あるいはさらに球状の形となっている。この粒子のモルホロジーを調節することは可能であって、コアレシングプロセス(coalescing process)の際の条件、すなわち温度、コアレセンス時間、などの調節による。次いでこのトナー粒子を洗浄して、過剰な水溶性界面活性剤や表面に付着している界面活性剤を除去し、さらに乾燥させると、トナー粒子が得られる。
【0046】
乳化(重合)凝集法のまた別な実施態様には、ラテックスを形成させる際における少なくとも1種のイオン性界面活性剤とは逆の極性を有する対イオン界面活性剤(counterionic surfactant)の代わりに、ポリ塩化アルミニウムまたはポリ(アルミニウムスルホシリケート)のようなフロキュレーティング剤またはコアギュレーティング剤を使用する工程が含まれる。このプロセスでは、サブミクロンサイズのラテックスおよび着色剤およびその他の任意成分の添加剤のアグリゲーションは、添加するコアギュラントの量と、その後で、得られたブレンド物を加熱する温度によって調節する。たとえば、その温度が樹脂のTgに近いほど、粒径は大きくなる。このプロセスに含まれるのは、(1)イオン性界面活性剤を含む分散体を調製する工程;(2)(a)フロキュレーティング剤、(b)ノニオン性界面活性剤、および(c)樹脂、を含むラテックスエマルションを用いてその分散体を剪断し(shareing)、それによって、静電的に結合されたアグリゲートを形成させるよう、形成されたフロキュレーティング剤および樹脂の粒子の、フロキュレーションまたはヘテロコアギュレーションを起こさせる工程(causing);および(3)安定なアグリゲートを形成させるよう、静電的に結合されたアグリゲートを加熱する工程、である。こうして得られるアグリゲートは一般に、その平均粒子径が約1〜約25μm、たとえば約2〜約10のμmの範囲であるが、その粒子径はこれらの範囲から外れていてもよく、そしてその粒子径分布は比較的狭い。
【0047】
このアグリゲーションに、水酸化ナトリウム水溶液のようなアルカリ金属塩基を添加して、アグリゲートのpHを、約2.0から約3.0のpH範囲から、約7.0から約9.0のpH範囲にまで上げてやるが、所望ならば、コアレセンスの工程の間に、粒子のモルホロジーを調節するために、溶液においてpHをより酸性側に合わせることも可能である。このコアグレーション剤は酸性溶液(たとえば、1M(molar)硝酸溶液)として、イオン性ラテックスおよび分散体の混合物に添加するが、添加をしている間に混合物の粘度が上昇する。次いで、加熱・撹拌することで、アグリゲーションを進め、ミクロンサイズの粒子を形成させる。所望の粒子サイズに達したら、混合物のpHを、たとえば約7〜約9の範囲にまで上げることによって、このサイズに凍結させる(frozen)ことができるが、pHがこの範囲から外れていてもよい。その後に、混合物の温度を、所望のコアレセンス温度、たとえば約80℃〜約95℃にあげることもできるが、その温度がこの範囲から外れていてもよい。次いで、粒子のモルホロジーを調整するために、混合物のpHを、たとえば約3.5〜約5.5のpH値に下げることできるが、そのpHがこの範囲から外れていてもよい。
【0048】
そのようなイオン性界面活性剤の例を挙げれば、アニオン界面活性剤ではたとえば、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム、ベンゼンアルキル硫酸ジアルキルおよびベンゼンアルキルスルホン酸ジアルキル、アビト酸(abitic acid)、ネオゲンR(NEOGEN R、登録商標)およびネオゲンSC(NEOGEN SC、登録商標)(花王(Kao)から入手可能)、ダウファクス(DOWFAX、登録商標)(ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Co.)から入手可能)など、およびそれらの混合物があるが、これらに限定される訳ではない。アニオン性界面活性剤は、いかなる所望の量または有効量で用いてもよく、たとえば、コポリマー樹脂を調製するために用いたモノマーの約0.01〜約10重量%、たとえば約0.1〜約5重量%を用いるが、ただし、その量がこれらの範囲から外れていてもよい。
【0049】
イオン性界面活性剤の例をさらに挙げれば、カチオン性界面活性剤、たとえばジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、ベンザルコニウムクロリド、セチルピリジニウムブロミド、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、四級(quaternized)ポリオキシエチルアルキルアミンのハライド塩、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ミラポール(MIRAPOL、登録商標)およびアルカクアット(ALKAQUAT、登録商標)(アクラリル・ケミカル・カンパニー(Aklaril Chemical Company)から入手可能)、サニゾール(SANIZOL、登録商標)(ベンザルコニウムクロリド、カオー・ケミカルズ(Kao Chemicals)から入手可能)など、さらにはそれらの混合物などがあるが、これらに限定される訳ではない。カチオン性界面活性剤は、いかなる所望の量または有効量で用いてもよく、たとえば、水の約0.1%〜約5重量%で用いるが、その量がこの範囲から外れていてもよい。フロキュレーションに用いるカチオン界面活性剤の、ラテックス調製に用いるアニオン界面活性剤に対するモル比は、約0.5:1から約4:1、たとえば約0.5:1から約2:1でよいが、この相対比がこれらの範囲から外れていてもよい。
【0050】
好適なノニオン性界面活性剤の例としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、メタロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール(ローヌ−プーラン(Rhone-Poulenc)から入手可能な、イゲパール・CA−210(IGEPAL CA-210、登録商標)、イゲパール・CA−520(IGEPAL CA-520、登録商標)、イゲパール・CA−720(IGEPAL CA-720、登録商標)、イゲパール・CO−890(IGEPAL CO-890、登録商標)、イゲパール・CO−720(IGEPAL CO-720、登録商標)、イゲパール・CO−290(IGEPAL CO-290、登録商標)、アンタロックス・890(ANTAROX 890、登録商標)、およびアンタロックス・897(ANTAROX 897、登録商標))、など、さらにはそれらの混合物が挙げられる。ノニオン性界面活性剤は、いかなる所望の量または有効量で存在させてもよく、たとえば、コポリマー樹脂を調製するために用いたモノマーの約0.01〜約10重量%、さらなる例としては約0.1〜約5重量%で存在させることができるが、ただし、その量がこれらの範囲から外れていてもよい。
【0051】
本明細書に開示されたトナー粒子を製造するのに好適なエマルション・アグリゲーションプロセスは、多くの特許に説明されており、それらの特許における開示はすべて参考として引用し本明細書に組み入れるが、そのような特許を列記すれば、たとえば、米国特許第5,278,020号明細書;米国特許第5,290,654号明細書;米国特許第5,308,734号明細書;米国特許第5,344,738号明細書;米国特許第5,346,797号明細書;米国特許第5,348,832号明細書;米国特許第5,364,729号明細書;米国特許第5,366,841号明細書;米国特許第5,370,963号明細書;米国特許第5,376,172号明細書;米国特許第5,403,693号明細書;米国特許第5,418,108号明細書;米国特許第5,405,728号明細書;米国特許第5,482,812号明細書;米国特許第5,496,676号明細書;米国特許第5,501,935号明細書;米国特許第5,527,658号明細書;米国特許第5,585,215号明細書;米国特許第5,593,807号明細書;米国特許第5,604,076号明細書;米国特許第5,622,806号明細書;米国特許第5,648,193号明細書;米国特許第5,650,255号明細書;米国特許第5,650,256号明細書;米国特許第5,658,704号明細書;米国特許第5,660,965号明細書;米国特許第5,723,253号明細書;米国特許第5,744,520号明細書;米国特許第5,763,133号明細書;米国特許第5,766,818号明細書;米国特許第5,747,215号明細書;米国特許第5,804,349号明細書;米国特許第5,827,633号明細書;米国特許第5,853,944号明細書;米国特許第5,840,462号明細書;米国特許第5,863,698号明細書;米国特許第5,869,215号明細書;米国特許第5,902,710号明細書;米国特許第5,910,387号明細書;米国特許第5,916,725号明細書;米国特許第5,919,595号明細書;米国特許第5,922,501号明細書;米国特許第5,925,488号明細書;米国特許第5,945,245号明細書;米国特許第5,977,210号明細書;米国特許第6,017,671号明細書;米国特許第6,020,101号明細書;米国特許第6,045,240号明細書;米国特許第6,132,924号明細書;米国特許第6,143,457号明細書;および米国特許第6,210,853号明細書などがある。それらの特許における成分およびプロセスは、本発明の実施態様における開示のために選択することができる。
【0052】
適当な、通常の電子写真(electrophotographic)現像方法を用いて、画像形成部材上の静電潜像の上に本発明に開示されたトナー組成物を付着させ、画像を形成した後で、それによって形成した画像を現像することができる。公知の電子写真(electrophotographic)現像方法としては、磁気ブラシ現像法、カスケード現像法、パウダー・クラウド(powder cloud)現像法、電気泳動現像法などが挙げられる。
【0053】
その付着させたトナー画像を、受像部材たとえば紙またはOHPシート材料(transparency material)に、電子写真(electrophotographic)において従来使用されている任意の適当な方法、たとえばコロナ転写法、加圧転写法、接着転写法、バイアスロール転写法などによって、転写させることができる。転写をさせた後で、その転写したトナー画像を基材に定着させることができる。その定着工程(fixing step)は、電子写真(electrophotographic)画像形成に従来から用いられている工程と同じであってもよい。周知の電子写真(electrographic)定着法(fusing techniques)としては、加熱ロール定着法(fusing)、フラッシュ定着法、オーブン定着法、積層法(laminating)、接着スプレー定着法(adhesive spray fixing)などが挙げられる。たとえば、トナーにより形成される画像は、電子写真(xerographic)プロセスまたはデジタル画像形成プロセスにより、生成させることができる。
【0054】
本明細書に開示されたトナー組成物は、各種広い範囲(wide array)の基材の上に塗布することができる。たとえば、そのような基材は、紙、厚紙、プラスチック、フォイル、金属、およびそれらの組合せであってよい。
【実施例】
【0055】
[不飽和樹脂Aの調製]
機械式の二重タービン撹拌器(mechanical double turbine agitator)、蒸留装置および底部ドレインバルブ(bottom drain valve)を取り付けた1リットル容のパール・リアクタ(Parr Reactor)に、テレフタル酸ジメチル(dimethyl terephthalate)(263g)、フマル酸(27.75g)、5−スルホ−イソフタル酸ジメチル(dimethyl 5−sulfo−isophthalate)のナトリウム塩(38.5g)、1,2−プロパンジオール(243g)、ジエチレングリコール(36.3g)、N−フェニルジエタノールアミン(2.9g)、ファスキャット・4100(fascat 4100)(1g)、およびヒドロキノン(0.2g)を仕込んだ。このリアクタを、(架橋を防止するために)二酸化炭素でパージしながら加熱して、温度約140℃とすると、固形分が溶融した。撹拌器の回転速度は約100rpmとした。次いで、反応器の温度を20分かけて165℃まで上げると、そこでメタノール/水の副生物の留去が始まった。次いで、3時間かけて反応温度を190℃まで徐々に上げていき、撹拌器の速度も200rpmまで上げた。次いで温度を200℃まで上げ、圧力を2時間かけて大気圧から約1トール(torr、1トールは約133.32パスカル)まで徐々に下げ、その条件でさらに2時間保ってから、二酸化炭素を用いて反応器を加圧して大気圧とし、その反応混合物を、底部ドレインバルブを通して、冷却した金属製のパンの中に排出した。(そのパンは、その外側をドライアイスを用いて冷却した。)次いでその樹脂(つまり、反応混合物)の物性測定をすると、Tg(立上り(onset))が52℃、軟化点が137℃であった。この樹脂を、以下、不飽和樹脂Aとする。
【0056】
[不飽和樹脂Bの調製]
機械式の二重タービン撹拌器、蒸留装置および底部ドレインバルブを取り付けた1リットル容のパール・リアクタに、テレフタル酸ジメチル(263g)、フマル酸(27.75g)、5−スルホ−イソフタル酸ジメチルのナトリウム塩(41g)、1,2−プロパンジオール(249g)、ジエチレングリコール(31.3g)、N−フェニルジエタノールアミン(2.9g)、ファスキャット・4100(1g)、およびヒドロキノン(0.2g)を仕込んだ。この反応器を、(架橋を防止するために)二酸化炭素でパージしながら加熱していき、温度約140℃とすると、固形分が溶融した。撹拌器の回転速度は約100rpmとした。次いで、リアクタの温度を20分かけて165℃まで上げると、そこでメタノール/水の副生物の留去が始まった。次いで、3時間かけて反応温度を190℃まで徐々に上げていき、撹拌器の速度も200rpmまで上げた。次いで温度を200℃まで上げ、圧力を2時間かけて大気圧から約1トールまで徐々に下げ、その条件でさらに2時間保ってから、二酸化炭素を用いて反応器を加圧して大気圧とし、その反応混合物を、底部ドレインバルブを通して、冷却した金属製のパンの中に排出した。(そのパンは、その外側をドライアイスを用いて冷却した。)次いでその樹脂(つまり、反応混合物)の物性測定をすると、Tg(立上り)が61℃、軟化点が155℃であった。この樹脂を、以下、不飽和樹脂Bとする。
【0057】
[エマルション・アグリゲーション(Emulsion Aggregation)トナー複合材料(Composite)Iの調製]
機械的撹拌器(mechanical stirrer)、マントルヒータ(heating mantle)、蒸留装置を取り付けた1リットル容のケトルに、1リットルの水を入れ、加熱して60℃とした。不飽和樹脂A(105g)および熱重合開始剤(thermal initiator)であるバゾ・88(VAZO 88)(2g)を1500gのアセトンに溶解させた溶液を、3時間かけて滴下により添加した。その混合物の加熱をさらに2時間続けてから、冷却すると、粒径(particle size)が54nmのエマルションが得られた。
【0058】
オーバーヘッド式撹拌器(overhead stirrer)およびマントルヒータを取り付けた2リットル容のガラス製反応器(glass reactor)に、上述のエマルション956.02g(固形分含量:10.46%)およびシアン・フレキシバース・ピグメント・BFD1121(cyan Flexiverse pigment BFD1121)10.49g(固形分含量:48.9%)を仕込んだ。その混合物を200rpmで撹拌しながら加熱して58℃とした。266.67gの酢酸亜鉛(3重量%水溶液)を5.5時間かけて滴下により添加した。その粒径をコールター・カウンタを用いて測定すると、その体積平均粒径が5.7μm、GSDが1.18、円形度(circularity)が0.9になっていた。次いで、そのトナースラリーを室温にまで冷却し、篩(sieving)(25μm)濾過(filtration)により分離し、次いで洗浄、凍結乾燥させると、エマルション・アグリゲーショントナー複合材料Iが得られた。
【0059】
[エマルション・アグリゲーショントナー複合材料IIの調製]
機械的撹拌器、マントルヒータ、蒸留装置を取り付けた1リットル容のケトルに、1リットルの水を入れ、加熱して60℃とした。結晶性樹脂(30g)と熱重合開始剤のBPO(5.28g)を300gのアセトンに溶解させた溶液を、1時間かけて滴下により添加した。その混合物の加熱をさらに2時間続けてから、冷却すると、粒径62.7nmのエマルションが得られた。
【0060】
オーバーヘッド式撹拌器およびマントルヒータを取り付けた2リットル容のガラス製反応器に、上述のエマルション302.34g(固形分含量:6.96%)、不飽和樹脂Aのエマルション908.97g(固形分含量:9.26%)、ワックス55.48g(固形分含量:20.08%)およびシアン顔料28.35g(固形分含量:26.20%)を仕込んだ。酢酸亜鉛210.43g(3重量%水溶液)を、均一化(homogenization)しながら、上記の混合物の中に滴下により添加した。その混合物を、60℃まで加熱し、600rpmで2時間以上撹拌した。その粒径を、コールター・カウンタを用いて測定する(monitor)と、その体積平均粒径が4.31μm、GSDが1.27になっていた。次いでそのトナースラリーを冷却して約23℃〜約25℃とし、篩(25μm)濾過により分離し、次いで水を用いて3回洗浄してから、凍結乾燥させると、エマルション・アグリゲーショントナー複合材料IIが得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合開始剤および不飽和スルホポリエステルアミン樹脂を含む、組成物。
【請求項2】
前記不飽和スルホポリエステルアミン樹脂は、
(i)アミン残基と、
(ii)アルカリスルホネート残基と、
(iii)不飽和残基と、
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記不飽和スルホポリエステルアミン樹脂は、次の化学式で表され、
【化1】

前記化学式において、
Aは、約6〜約36個の炭素原子を含むアリーレンであり、
lは、約10〜約1,000の範囲のセグメント数であり、
Bは、約2〜約25個の炭素原子を含む有機アルカリスルホネートであり、
mは、約10〜約1,000の範囲のセグメント数であり、
Cは、約2〜約25個の炭素原子を含む不飽和アルケンであり、
Rは、約2〜約25個の炭素原子を含むアルキレンであり、
nは、約10〜約1,000の範囲のセグメント数である、
請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
トナー組成物を調製するプロセスであって、
(a)不飽和スルホポリエステルアミン樹脂からの粒子を含むラテックスエマルションを調製する工程と、
(b)前記ラテックスエマルションを、着色剤分散体および重合開始剤分散体と組み合わせる工程と、
(c)それにフロキュレーティング剤を添加し、混合物を前記不飽和スルホポリエステルアミン樹脂のガラス転移温度よりは低い温度に加熱する工程と、
(d)前記不飽和スルホポリエステルアミン樹脂を含む前記ラテックスエマルションを、前記不飽和スルホポリエステルアミン樹脂のガラス転移温度よりは低い温度に加熱した後で、前記不飽和スルホポリエステルアミン樹脂を含む前記ラテックスエマルションを、前記不飽和スルホポリエステルアミン樹脂のガラス転移温度よりも高い温度に加熱する工程と、
を含む、プロセス。
【請求項5】
画像を形成する工程と、
トナー組成物を用いて前記画像を現像する工程と、
前記トナー組成物により形成された画像を基材に定着させる工程と、
を含み、
前記トナー組成物は、着色剤、重合開始剤、および不飽和スルホポリエステルアミン樹脂を含む、
画像形成プロセス。

【公開番号】特開2006−131907(P2006−131907A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318899(P2005−318899)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】