説明

トラクタのエンジンボンネット

【課題】 横ボンネットや前ボンネットの製作や組み付け誤差が発生しても、前ボンネットと横ボンネットとの相対位置や相対姿勢に設計のものとの大きな変化が発生しにくいトラクタのエンジンボンネットを提供する。
【解決手段】 左右一対の横ボンネット21,21と、左右一対の横ボンネット21,21の前方に位置する前ボンネット22と、左右一対の横ボンネット21,21の上方に開閉自在に位置する上ボンネットとを備えている。前ボンネット22と各横ボンネット21とにわたり、前ボンネット22と横ボンネット21の一方に設けた係止部91と他方に設けた係合部92とによって前ボンネット22と横ボンネット21とを連結する連結手段90を設けてある。前ボンネット22の横ボンネット21に対する寄せ操作によって係止部91と係合部92とが係合する。前ボンネット22の横ボンネット21に対する離間操作によって係止部91と係合部92とが離脱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右一対の横ボンネットと、前記左右一対の横ボンネットの前方に位置する前ボンネットと、前記左右一対の横ボンネットの上方に開閉自在に位置する上ボンネットとを備えたトラクタのエンジンボンネットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のエンジンボンネットとして、従来、たとえば特許文献1に示されるものがあった。特許文献1に示されるエンジンボンネットは、左右一対の横ボンネットと、フロントグリル(前ボンネットに相当)と、上ボンネットとを備えている。上ボンネットは、これの後端側に位置するボンネット支軸の軸芯まわりに上下に揺動開閉する。フロントグリルは、車体フレームに固定されたバッテリ固定フレームに支持されている。すなわち、フロントグリルは、これの両端部に設けた連結部を備えている。各連結部は、これに設けた連結突起がバッテリ固定フレームに設けた支持部の取り付け孔に係入し、これによってバッテリ固定フレームに連結する。
【0003】
【特許文献1】特開2005−231550号公報(段落〔0015〕、〔0016〕、〔0031〕、図2,4,9,12,13)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前ボンネットの脱着が容易となるよう上記した従来の技術を採用した場合、前ボンネットと横ボンネットとの間に大きな隙間が発生するなど、ボンネット形成上での不具合が発生しやすくなっていた。
すなわち、横ボンネットや前ボンネットにあっては、大型になるとともに大きさの割には肉厚が薄い部材になる。このため、製作や組み付けによる誤差や歪が発生すると、横ボンネットや前ボンネットの車体フレームに対する位置や姿勢の変化が発生しやすい。また、その変化が大きくなりやすい。前ボンネットと横ボンネットとが別々に車体フレームに支持される。これらにより、前ボンネットや横ボンネットの製作や組み付け誤差が発生すると、前ボンネットと横ボンネットとが大きく離間し合うなど、前ボンネットと横ボンネットとの相対位置や相対姿勢が設計のものと大きく変化しやすくなっていた。
【0005】
本発明の目的は、上記した製作や組み付け誤差の発生にかかわらず、上記した問題が発生しにくいトラクタのエンジンボンネットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、左右一対の横ボンネットと、前記左右一対の横ボンネットの前方に位置する前ボンネットと、前記左右一対の横ボンネットの上方に開閉自在に位置する上ボンネットとを備えたトラクタのエンジンボンネットにおいて、
前記前ボンネットと前記各横ボンネットとにわたり、前ボンネットと横ボンネットの一方に設けた係止部と他方に設けた係合部とによって前ボンネットと横ボンネットとを連結する連結手段を設け、
前記前ボンネットの前記横ボンネットに対する寄せ操作によって前記係止部と前記係合部とが係合し、前記前ボンネットの前記横ボンネットに対する離間操作によって前記係止部と前記係合部とが離脱するよう構成してある。
【0007】
本第1発明の構成によると、前ボンネットを横ボンネットに対して寄せ操作すれば、係止部と係合部とが係合し、連結手段が連結状態になって前ボンネットを横ボンネットに連結できる。前ボンネットを横ボンネットに対して離間操作すれば、係止部と係合手段とが離脱し、連結手段が連結解除状態になって前ボンネットを横ボンネットから取り外せる。
前ボンネットと横ボンネットとが直接に連結するものだから、前ボンネットや横ボンネットに製作や組み付け誤差が発生しても、この誤差の影響が前ボンネットと横ボンネットとの相対位置や相対姿勢に及びにくい。
【0008】
これにより、前ボンネットの横ボンネットに対する寄せや離間操作をするだけで簡単に前ボンネットを横ボンネットに対して脱着することができながら、前ボンネットや横ボンネットの製作や組み付け誤差の発生にかかわらず、前ボンネットと横ボンネットとを設計どおりあるいはそれに近い相対位置や相対姿勢で装着することができ、前ボンネットと横ボンネットとを所望の相対位置や相対姿勢で組み付くよう修正する手間が不要となって能率よく組み立て作業を行うことができる。
【0009】
本第2発明は、本第1発明の構成において、前記前ボンネットに被支持部を、前記上ボンネットに押圧部をそれぞれ設け、前記上ボンネットの閉じ状態で前記押圧部が前記被支持部を車体側の支持部に押し付けて前ボンネットのガタ付き防止を行うよう構成してある。
【0010】
本第2発明の構成によると、上ボンネットを閉じると、上ボンネットの押圧部が、前ボンネットの被支持部を車体側の支持部に押し付けて前ボンネットのガタ付き防止を行う。このため、走行などによる振動の発生にかかわらず、前ボンネットのガタ付きが発生しにくく、係止部と係合部との係合が外れにくくなる。
【0011】
これにより、上ボンネットを閉じるだけで操作簡単に前ボンネットのガタ付きによる横ボンネットとの連結外れを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係るトラクタの全体側面図である。この図に示すように、本実施例のトラクタは、左右一対の操向及び駆動自在な前車輪1,1と左右一対の駆動自在な後車輪2,2とによって自走する自走車と、この自走車の車体フレーム3の後部に設けたリンク機構4および動力取り出し軸5とを備えている。
【0013】
このトラクタは、車体後部に前記リンク機構4を介してロータリ耕耘装置(図示せず)を昇降操作自在に連結し、車体前部に位置するエンジン6の出力を前記動力取り出し軸5からロータリ耕耘装置に伝達するよう構成して、乗用型耕耘機を構成するなど、車体後部に各種の作業装置を昇降操作及び駆動自在に連結して、各種の乗用型作業機を構成する。
【0014】
すなわち、前記車体フレーム3は、前記エンジン6と、これの後端部に連結された伝動ケース7と、これの後部に連結されたミッションケース8と、前記伝動ケース7の前部から車体前方向きに延出した前輪支持フレーム9とを備えて構成してある。自走車は、前記左右一対の前車輪1,1と前記左右一対の後車輪2,2とを備える他、前記エンジン6及びエンジンボンネット20を有した原動部と、前記ミッションケース8の上方に位置した運転座席10を有した運転部と、運転座席10の後方近くに位置した転倒保護枠11とを備えている。前記リンク機構4は、前記ミッションケース8の下部に上下揺動自在に支持された左右一対のロワーリンク4a,4aによってロータリ耕耘装置などの作業装置をミッションケース8に連結し、前記ミッションケース8の上部に上下揺動自在に支持された左右一対のリフトアーム4b,4bをミッションケース8の内部に位置する油圧シリンダ(図示せず)によって上下に揺動操作し、左側のリフトアーム4bによってリフトロッド4cを介して左側のロワーリンク4aを、右側のリフトアーム4bによってリフトロッド4cを介して右側のロワーリンク4aをそれぞれ上下に揺動操作し、これによって作業装置を昇降操作する。
【0015】
図2は、前記エンジンボンネット20の縦断側面図である。図4は、前記エンジンボンネット20の横断正面図である。これらの図と、図1とに示すように、前記エンジンボンネット20は、左右一対の横ボンネット21,21と、この両横ボンネット21の前方に位置する前ボンネット22と、この前ボンネット22及び前記左右一対の横ボンネット21,21の上方に位置する上ボンネット23とを備えている。左右一対の横ボンネット21,21及び上ボンネット23は、板金のプレス成形によって作製してある。前ボンネット22は、樹脂材の成形によって作製してある。各横ボンネット21は、これの後端側に設けた通気口24を備えている。前ボンネット22は、これのほぼ全面にわたって車体上下方向に並べて設けた吸気口25を備えている。
【0016】
前記上ボンネット23は、これの後端側に固設された取り付け部材27を備えている。この取り付け部材27は、前記伝動ケース7の前端部に支持されたピラー28の横ピラー体28aに固設の支持部材29に支軸30を介して回動自在に連結されている。前記ピラー28は、前記伝動ケース7に固定された車体横向きの支持フレーム32の両横端部に下端部が連結された車体上下向きの縦ピラー体28bと、この左右一対の縦ピラー体28bの上端部を連結する車体横向きの前記横ピラー体28aとを備え、車体前後方向視で門形になっている。図2は、上ボンネット23の閉じ状態を示している。図3は、上ボンネット23の開き状態を示している。これらの図に示すように、上ボンネット23は、前記支軸30を介して前記ピラー28に枢支されており、支軸30の車体横向き軸芯まわりに上下に揺動開閉する。
【0017】
上ボンネット23は、これの前端側と、前記前輪支持フレーム9に立設された支持枠31の横枠体31aとにわたって設けたボンネットロック機構40によって下降閉じ状態にロックされる。図4に示すように、前記支持枠31は、前記前輪支持フレーム9に下端部が連結された左右一対の支柱体31b,31bと、左右一対の支柱体31b,31bの上端部にわたって連結された前記横枠体31aとを備えている。図4,5に示すように、ボンネットロック機構40は、上ボンネット23に設けた閉じフック44と、この閉じフック44が係脱するよう構成して前記横枠体31aに設けたロック軸45と、閉じフック44をロック軸45に係合するよう揺動付勢しているロックバネ46とを備えている。閉じフック44は、ボンネットフレーム41と上ボンネット23とにわたって連結された支持体42が有する支持プレート42aに連結ピン43を介して支持されており、この連結ピン43の軸芯まわりに揺動する。上ボンネット23の前端側の外部に位置する操作具47が前記ロックバネ46に抗して回動操作されることにより、操作具47の回転支軸48がこれの下端部から延出した操作アーム49によって閉じフック44をロック軸45から外れるよう揺動操作し、これによって、ボンネットロック機構40が上ボンネット23の閉じロックを解除する。
【0018】
前記各横ボンネット21の後端側は、横ボンネット21の上端側と下端側とに分散させて設けた上下一対の後連結手段50によって前記ピラー28と前記支持フレーム32とに連結されている。横ボンネット21の前端側の下部は、前下連結手段60によって前記前輪支持フレーム9に連結されている。横ボンネット21の前端側の上部は、前上連結手段70によって前記支持枠31に連結されている。
【0019】
図6は、横ボンネット上端側の前記後連結手段50の側面図である。図・は、横ボンネット21の下端側に位置する前記後連結手段50の側面図である。この図に示すように、前記後連結手段50は、前記縦ピラー体28bに設けた支持ピン51と、横ボンネット21に板金部材を固設して備えさせた連結部52に設けた連結孔53とを備えて構成してある。連結孔53は、前記連結部52に装着されたゴムリング54の貫通孔で成っている。図7は、横ボンネット下端側の前記後連結手段50の側面図である。この図に示すように、前記後連結手段50は、前記支持フレーム32に設けた支持ピン51と、横ボンネット21に板金部材を固設して備えさせた連結部52に設けた連結孔53とを備えて構成してある。連結孔53は、前記連結部52に装着されたゴムリング54の貫通孔で成っている。
【0020】
各後連結手段50は、支持ピン51が連結孔53に係入されることにより、横ボンネット21の後端部を縦ピラー体28bまたは支持フレーム32に連結するよう連結状態になり、連結部52が支持ピン51から抜き外されることにより、横ボンネット21の後端側の縦ピラー体28bまたは支持フレーム32に対する連結を解除するよう連結解除状態になる。横ボンネット21の後端部が縦ピラー体28bまたは支持フレーム32に対して車体前方側から寄せ操作されることにより、支持ピン51が連結孔53に入り込み、横ボンネット21の後端部が縦ピラー体28bまたは支持フレーム32から車体前方側に離間操作されることにより、連結部52が支持ピン51から抜け外れるよう、支持ピン51が車体前方向きピンになり、連結孔53が車体前後向き孔になっている。
【0021】
図8は、前記前下連結手段60の側面図である。この図に示すように、前下連結手段60は、横ボンネット21のフランジ部に設けた連結ピン61と、前輪支持フレーム9の外面側にステーを固設して備えさせた支持部62と、この支持部62に設けた支持孔63とを備えて構成してある。支持孔63は、支持部62に装着したゴムリング64の貫通孔で成っている。前下連結手段60は、連結ピン61が支持孔63に係入されることにより、横ボンネット21の前端部の下端側を前輪支持フレーム9に連結するよう連結状態になり、連結ピン61が支持孔63から抜き外されることにより、横ボンネット21の前端部での下端側の前輪支持フレーム9に対する連結を解除するよう連結解除状態になる。横ボンネット21の前端部が支持部62に対して車体上方側から寄せ操作されることにより、連結ピン61が支持孔63に係入し、横ボンネット21の前端部が支持部62に対して車体上方側に離間操作されることにより、連結ピン61が支持孔63から抜け外れるよう連結ピン63が車体下方向きピンになり、支持孔63が車体上下向き孔になっている。
【0022】
図9は、前記前上連結手段70の側面視での構成を示している。図11は、前記前上連結手段70の平面視での構成を示している。これらの図に示すように、前上連結手段70は、横ボンネット21の内面側から延出された連結アーム71と、この連結アーム71の延出端部に設けた連結突起72と、前記支持枠31の横枠体31aの端部に設けた支持孔73とを備えて構成してある。前上連結手段70は、連結突起72が支持孔73に係入されることにより、横ボンネット21の前端部の上端側を支持枠31の横枠体31aに連結するよう連結状態になり、連結突起72が支持孔31から抜き外されることにより,横ボンネット21の前端部の上端側での横枠体31aに対する連結を解除するよう連結解除状態になる。連結突起72が支持孔73にこれの車体上方側から係入し、連結アーム71が延出端側を上昇するよう弾性変形操作されることによって連結突起72が支持孔73から抜け外れるよう連結突起72が車体下方向き突起なり、支持孔73が車体上下向き孔になっている。
【0023】
図2,4に示すように、上ボンネット21は、前記ボンネットフレーム41の両端部にゴムブロックを装着して設けた横ボンネット押圧部80を備えている。図9は、各横ボンネット押圧部80の作用状態での側面図である。この図に示すように、各横ボンネット押圧部80は、上ボンネット23が閉じられた状態において、左右一対の横ボンネット21,21のうちの対応する側の横ボンネット21の前記連結アーム71の延出端部の上面側に当接し、ボンネットロック機構40による上ボンネット23の締め込みによって連結アーム71を横枠体31aに押圧して横ボンネット21の前端側でのガタ付き防止を行うとともに連結突起72を支持孔73に係入した状態に維持し、横ボンネット21の連結外れを防止する。図10は、各横ボンネット押圧部80の作用解除状態での側面図である。この図に示すように、各横ボンネット押圧部80は、上ボンネット23が開放された状態において、前記連結アーム71から上方に離間し、連結アーム71の横枠体31aに対する押圧を解除して連結突起72の支持孔73からの取り外しを可能にする。
【0024】
前ボンネット22は、これの左側端部と左側の横ボンネット21とにわたって設けた連結手段90と、前ボンネット22の右側端部と右側の横ボンネット21とにわたって設けた連結手段90とによって左右一対の横ボンネット21,21に連結される。図12は、前記各連結手段90の連結状態での側面図である。図13は、前記各連結手段90の連結解除状態での側面図である。図14は、各連結手段90の連結解除状態での斜視図である。これらの図に示すように、各連結手段90は、前ボンネット22の横端部に車体上下方向に並べて設けた複数の係止部91と、横ボンネット21の前端部に車体上下方向に並べて設けた複数の係合部92とを備えている。
【0025】
各係止部91は、先端部91aが下向きに屈曲したフック形になっている。各係合部92は、貫通孔93を備えている。各係止部91とこれに対応した係合部92とは、係止部91の先端部91aが係合部92の貫通孔93に前方側から入り込み、貫通孔93の下側で貫通孔93の周壁94の裏面側に引っ掛かった状態に操作されることによって係合状態になる。各係止部91とこれに対応した係合部92とが係合状態に操作されることにより、各連結手段90は、前ボンネット22と横ボンネット21とを連結するよう連結状態になる。各係止部91とこれに対応した係合部92とは、係止部91の先端部91aが係合部92の貫通孔93から抜け外れた状態にされることによって離脱状態になる。各係止部91とこれに対応した係合部92とが離脱状態に操作されることにより、各連結手段90は、前ボンネット22と横ボンネット21との連結を解除するよう連結解除状態になる。前ボンネット22の横端部が横ボンネット21の前端部に対して車体前方側から寄せ操作されることによって各係止部91とこれに対応した係合部92とが係合し、前ボンネット22の横端部が横ボンネット21の前端部に対して車体前方側に離間操作されることによって各係止部91とこれに対応した係合部92とが離脱するよう各係止部91は、前ボンネット22から車体後方向きに突出しており、係合部92の貫通孔93は車体前後向き孔になっている。
【0026】
図2,4に示すように、上ボンネット23は、前記ボンネットフレーム41の両端部にゴムブロックを装着して設けた前ボンネット押圧部81を備えている。図9は、各前ボンネット押圧部81の作用状態での側面図である。この図に示すように、各前ボンネット押圧部81は、上ボンネット23が閉じられた状態において、前ボンネット22の両端部に板金部材を付設して設けた被支持部82のうち対応する方の被支持部82の上面側に当接し、ボンネットロック機構40による上ボンネット23の締め込みによって前記被支持部82を前記横枠体31aの端部に板体を付設して車体側に設けた支持部83に押圧して前ボンネット22のガタ付き防止を行い、前ボンネット押圧部81と被支持部83とによる被支持部82の挟持とによって係止部91と係合部92の離脱防止を行う。支持部83は、ゴム材で成る支持部本体83aによって被支持部82を受け止める。図10は、各前ボンネット押圧部81の作用解除状態での側面図である。この図に示すように、各前ボンネット押圧部81は、上ボンネット23が開放された状態において、前記被支持部82から上方に離間し、被支持部82の支持部83に対する押圧を解除して連結手段90の連結解除を可能にする。
【0027】
図2に示すように、前ボンネット22は、これの下端部から車体下方向きに突出した係止ピン26を備えている。この係止ピン26は、前輪支持フレーム9が備える支持部材9aのピン孔に係入し、前ボンネット22の下端側の位置決めを行う。
【0028】
図15は、別の実施構造を備えた連結手段90の連結解除状態での斜視図である。図16は、別の実施構造を備えた連結手段90の連結状態での断面図である。これらの図に示すように、この連結手段90では、前ボンネット22の両端部に設けた各係止部91は、係止大径部91bを先端側に備えたピン形になっている。各横ボンネット21の前端部に設けた各係合部92は、横ボンネット21に装着されたゴムリングで成っている。
すなわち、前ボンネット22の端部が横ボンネット21の前端部に対して車体前方側から寄せ操作されると、係止部91が係止大径部91bによってゴムリングを弾性変形させて係合部92の円形の貫通孔93を拡大させながらこの貫通孔93を挿通する。係止大径部91bが貫通孔93を通り抜けると、ゴムリングの弾性復元によって貫通孔93が元の大きさに戻り、係止部91が係止大径部91bによって貫通孔93の周壁94(ゴムリング)の裏面側に引っ掛かる。すると、連結手段90が前ボンネット22と横ボンネット21とを連結するよう連結状態になる。前ボンネット22が横ボンネット21に対して車体前方側に離間操作されると、係止部91が係止大径部91bによってゴムリングを弾性変形させて係合部92の貫通孔93を拡大させながらこの貫通孔93から抜け出る。すると、連結手段90が連結解除状態になる。
【0029】
〔別実施例〕
上記した各実施例の如く係止部91を前ボンネット22に設け、係合部92を横ボンネット21に設けるに替え、係止部91を横ボンネット21に設け、係合部92を前ボンネット22に設けた構成を採用してもよい。この場合も、本発明の目的を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】トラクタの全体側面図
【図2】エンジンボンネットの上ボンネット閉じ状態での縦断側面図
【図3】エンジンボンネットの上ボンネット開き状態での縦断側面図
【図4】エンジンボンネットの横断正面図
【図5】ボンネットロック機構の側面図
【図6】横ボンネット上端側の後連結手段の側面図
【図7】横ボンネット下端側の後連結手段の側面図
【図8】前下連結手段の側面図
【図9】ボンネット押圧部の作用状態での側面図
【図10】ボンネット押圧部の作用解除状態での側面図
【図11】ボンネット押圧部の作用状態での平面図
【図12】連結手段の連結状態での側面図
【図13】連結手段の連結解除状態での側面図
【図14】連結手段の連結解除状態での斜視図
【図15】別の実施構造を備えた連結手段の連結解除状態での斜視図
【図16】別の実施構造を備えた連結手段の断面図
【符号の説明】
【0031】
21 横ボンネット
22 前ボンネット
23 上ボンネット
81 押圧部
82 被支持部
83 支持部
90 連結手段
91 係止部
92 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の横ボンネットと、前記左右一対の横ボンネットの前方に位置する前ボンネットと、前記左右一対の横ボンネットの上方に開閉自在に位置する上ボンネットとを備えたトラクタのエンジンボンネットであって、
前記前ボンネットと前記各横ボンネットとにわたり、前ボンネットと横ボンネットの一方に設けた係止部と他方に設けた係合部とによって前ボンネットと横ボンネットとを連結する連結手段を設け、
前記前ボンネットの前記横ボンネットに対する寄せ操作によって前記係止部と前記係合部とが係合し、前記前ボンネットの前記横ボンネットに対する離間操作によって前記係止部と前記係合部とが離脱するよう構成してあるトラクタのエンジンボンネット。
【請求項2】
前記前ボンネットに被支持部を、前記上ボンネットに押圧部をそれぞれ設け、前記上ボンネットの閉じ状態で前記押圧部が前記被支持部を車体側の支持部に押し付けて前ボンネットのガタ付き防止を行うよう構成してある請求項1記載のトラクタのエンジンボンネット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate