説明

トラップ装置

【課題】 伸縮部材の一端を本体に固定して伸縮部材の支持強度を確保し、かつ、弁部材の通路の開口に対する軸ずれを吸収できるようにする。
【解決手段】 流体の入口2及び出口3を有した本体1を備え、入口1側に連通し流体が流れる部屋11を設けるとともに部屋11と出口3側に連通する通路12を設け、部屋11内に通路12の部屋11側開口12aを開閉する弁機構20を設け、弁機構20を、通路12の開口12a端縁に当接可能に形成され当接時に通路12を閉塞する弁部材21と、一端が本体1の内壁に固定され他端に弁部材21が設けられるとともに所定温度よりも高いと伸長し所定温度よりも低いと収縮する伸縮部材22とを備え、弁部材21を伸縮部材22の伸縮方向と直交する平面沿って伸縮部材22に移動可能に支持する支持機構40と、弁部材21の移動範囲を規制する規制機構50とを備えて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、蒸気等が流通する管内に溜まった水を自動的に排出するトラップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のトラップ装置としては、例えば、特許文献1(特開平10−38195号公報)に記載されたものが知られている。
【0003】
図7及び図8に示すように、このトラップ装置は、流体の入口2及び出口3を有した本体1を備えている。本体1には、その内部に入口2側に連通し流体が流れる部屋11が設けられるとともに部屋11と出口3側に連通する通路12が設けられている。また、本体1に設けた部屋11内には、通路12の部屋11側開口12aを開閉する弁機構20が設けられている。
詳しくは、本体1は、内部に弁室4aが形成されるとともに開口を有した弁箱4と、弁箱4の開口を閉塞するための蓋体5と、弁箱4の弁室4aに挿入され部屋11及び通路12を形成する中子部材10とからなる。中子部材10は、蓋体5に取り付けられて部屋11を形成する中子蓋体13と、通路12を形成する中子本体14とからなる。中子蓋体13は、保持穴18と1対の溝孔19とを有している。
【0004】
弁機構20は、通路12の開口12a端縁に当接可能に形成され当接時に通路12を閉塞する弁部材21と、一端が本体1の内壁に支持され他端に弁部材21が設けられるとともに所定温度よりも高いと他端側に伸長し所定温度よりも低いと一端側に収縮する伸縮部材22とを備えて構成されている。弁部材21は、半球状に形成されている。伸縮部材22は、ベローズで構成され、中子蓋体13を介して本体1に支持されており、その一端に中子蓋体13の裏面に形成された保持穴18に挿入される支持部28が突設されている。支持部28は、細くくびれたネック部28aを有し、保持穴18に挿入される。この支持部28は、中子蓋体13の溝孔19に挿入される支持板29で支持される。
【0005】
支持板29は、挿入孔29aとこの挿入孔29aに通じる支持孔29bとを有している。挿入孔29aは支持板29の中心から支持板29の長さ方向に沿ってずれた位置に形成され、支持孔29bは支持板29の中心の周囲に形成されている。挿入孔29aは、内径が支持部28の直径より大きく形成されており、支持部28が挿入可能になっている。また、支持孔29bは、その幅がネック部28aの直径より大きく支持部28の直径より小さく形成されている。この支持板29による弁機構20の取り付けは、支持板29を溝孔19に挿入して、保持穴18と挿入孔29aを一致させたときに挿入孔29aに支持部28を挿入して保持穴18に支持部28を挿入する。次に、そのまま支持板29を更に溝孔19に挿入し、支持孔29bと保持穴18とを一致させる。
【0006】
このトラップ装置によれば、入口2から入った蒸気や水等の流体は部屋11に入る。部屋11内に、低温の水等が流れ込んで部屋11の内部温度が所定温度より低くなると、伸縮部材22が収縮して弁部材21が通路12の開口12a端縁から離れ入口2側の流体が出口3から排出される。また、部屋11内が高温の蒸気等で満たされて、流体の温度が所定温度より高くなると、伸縮部材22が伸長して弁部材21が通路12の開口12a端縁に当接し、通路12を閉にする。
この際、伸縮部材22の伸長方向にばらつきがあって、弁機構20の弁部材21と通路12の開口12aの軸ずれが生じても、弁機構20は支持部28が支持板29に沿って保持穴18の内部で移動可能なためスライドする。また、必要に応じて支持板29も溝孔19内でスライドする。これにより、弁部材21と通路12の開口12aとに軸ずれが生じても、この軸ずれを吸収して通路12を閉塞する。
【0007】
【特許文献1】特開平10−38195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、このようなトラップ装置においては、支持部28が本体に支持された状態で、しかも、支持部28がスライド移動して軸ずれを吸収するが、支持部28が、本体1への支持する機能と弁機構20の弁部材21のスライド移動させる機能を兼ねるので、支持部28に係る負荷が大きくなり、そのため、この負荷により支持部28が破損する虞があった。支持部28が破損すると、弁機構20が本体1から脱落し、通路12が閉じたままになりトラップ装置として機能しなくなる。
【0009】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、伸縮部材の一端を本体に固定して伸縮部材の支持強度を確保し、かつ、弁部材の通路の開口に対する軸ずれを吸収できるようにしたトラップ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するための本発明のトラップ装置は、流体の入口及び出口を有した本体を備え、該本体内に入口側に連通し流体が流れる部屋を設けるとともに該部屋と出口側に連通する通路を設け、上記部屋内に上記通路の該部屋側開口を開閉する弁機構を設け、該弁機構を、上記通路の開口端縁に当接可能に形成され当接時に該通路を閉塞する弁部材と、一端が上記本体の内壁に支持され他端に上記弁部材が設けられるとともに所定温度よりも高いと他端側に伸長し所定温度よりも低いと一端側に収縮する伸縮部材とを備えて構成してなるトラップ装置において、上記伸縮部材の一端を上記本体に対して固定し、
上記弁部材を上記伸縮部材の伸縮方向と直交する平面に沿って該伸縮部材に移動可能に支持する支持機構と、上記弁部材の移動範囲を規制する規制機構とを備えて構成している。
【0011】
このトラップ装置は、予め、例えば、ボイラ等の装置の蒸気管に接続しておく。そして入口から流体が部屋内に流入すると、この流体の温度が低い場合には、伸縮部材が収縮して弁部材が通路の入口側開口から離間し、入口側に接続された管の温度の低い流体が出口から排出されていく。また、流体の温度が高い場合には、伸縮部材が伸長して弁部材が入口側開口に近接していき、弁部材が開口端縁に当接して通路を閉塞する。
これにより、入口側に接続された管内において、流体が低温であるときには、この流体を外部に排出し、流体が高温であるときには管内に流体を留めておくことができる。これにより、ボイラ等の装置を効率よく作動させることができる。
【0012】
また、伸縮部材の伸長する際に、伸縮部材の伸長方向のばらつきが生じ、弁機構の弁部材と通路の開口の軸ずれが生じることがある。この場合、弁部材が支持機構により伸縮部材の伸縮方向と直交する平面に沿って移動可能に伸縮部材に支持されるので、弁部材の軸と通路の開口の軸とが合う方向に弁部材が移動する。これにより、軸ずれが生じてもこれを吸収して通路を閉塞することができる。また、伸縮部材を本体に対して固定して弁機構を本体に支持し、かつ、支持機構を設けて、この支持機構で弁部材を移動可能にしたので、弁機構の支持強度を確保しかつ、弁部材の軸と通路の部屋側開口軸との軸ずれに対応できる。即ち、伸縮部材の本体に対する支持部分に負荷がかかりにくくなり、弁機構の本体に対する支持部分を破損しにくくすることができる。また、規制機構を設けたので、過度の弁部材の移動が防止される。
【0013】
また、必要に応じ、上記支持機構を、上記伸縮部材の他端側に形成され該伸縮部材の伸縮方向に直交するスライド面を有したベースと、上記弁部材に設けられ上記ベースのスライド面に対して移動可能なスライダと、上記ベースに対して上記スライダをスライド可能に保持する保持部とを備えて構成している。
これにより、スライダがベースのスライド面に対して移動するので、弁部材を安定して移動させることができる。
【0014】
更に、必要に応じ、上記スライダを上記弁体の外周に突出するフランジを備えた構成とし、上記保持部を上記スライダを囲繞するように上記ベースに突設された筒状体と、上記筒状体の内周に設けた溝に嵌入され上記スライダのフランジを押さえるCリングとを備えて構成している。
これにより、保持部でスライダを保持する際には、フランジを筒状体内に入れ、溝にCリングを嵌入する。そのため、スライダがCリングで押さえられて保持されるので、簡単な構造でスライダをベースに対してスライド可能にできる。
【0015】
更にまた、必要に応じ、上記規制機構を、上記ベースまたは上記スライダのいずれか一方に突設される凸部と、上記ベースまたは上記スライダのいずれか他方に凹設され上記凸部が遊挿される凹部とを備え、上記弁部材の移動範囲を上記凸部と凹部とのクリアランスの範囲に設定している。
これにより、弁部材が移動範囲を超えて移動しようとすると、凸部の外周が凹部の内周に当接して、弁部材の移動を規制する。そのため、簡単な構造で、弁部材の移動の規制を確実に行なうことができる。
【0016】
また、必要に応じ、上記伸縮部材の一端に雄ネジを設け、上記本体の内壁に雌ネジを設け、該雌ネジに上記雄ネジを螺着して上記伸縮部材を上記本体に固定している。
これにより、伸縮部材の本体に対する固定を確実に行なうことができる。また、伸縮部材の交換等も容易に行なうことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のトラップ装置によれば、伸縮部材の一端を上記本体に対して固定し、弁部材を伸縮部材の伸縮方向と直交する平面に沿って伸縮部材に移動可能に支持する支持機構を備えたので、伸縮部材の伸長する際に、伸縮部材の伸長方向のばらつきが生じ、弁機構の弁部材と通路の開口の軸ずれが生じても、弁部材の軸と通路の開口の軸とが合う方向に弁部材が移動して軸ずれを吸収し、通路を閉塞することができる。また、伸縮部材を本体に対して固定したので、支持強度を確保でき、弁機構の本体に対する支持部分に負荷がかかりにくくなり、弁機構の支持部分を破損しにくくすることができる。また、規制機構を設けたので、過度の弁部材の移動が防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係るトラップ装置について詳細に説明する。尚、従来のトラップ装置と同様のものには同様の符号を付している。
【0019】
図1及び図6には、トラップ装置を示している。トラップ装置は、流体の入口2及び出口3を有した本体1を備えている。本体1には、その内部に入口2側に連通し流体が流れる部屋11が設けられるとともに部屋11と出口3側に連通する通路12が設けられている。また、本体1に設けた部屋11内には、通路12の部屋11側開口12aを開閉する弁機構20が設けられている。
詳しくは、本体1は、内部に弁室4aが形成されるとともに開口5bを有した中空状の弁箱4と、弁箱4の開口5bを閉塞するための蓋体5と、弁箱4の弁室4aに挿入され部屋11及び通路12を形成する中子部材10とからなる。
【0020】
弁箱4の入口2及び出口3には、ボルト及びナットを介して他の管体へ接続するためのフランジ6が形成されている。蓋体5は、弁箱4の開口5b端縁に係合するとともに図示しないボルト等により弁箱4に着脱可能に結合される。中子部材10は、底壁14a及び側壁14bを有したカップ状の中子本体14と、側壁14bにより形成された開口端縁に係合する中子蓋体13とを備えてなる。中子本体14には、底壁14a側の側壁14bに入口2と部屋11とを連通する連通路15が形成されている。また、中子本体14の底壁14a内面には、通路12の部屋11側開口12aが形成されている。通路12の部屋11側開口12aには、入口2の開口12a端縁を構成し後述の弁機構20の弁部材21が当接するブッシュ16が設けられている。通路12は、底壁14bの内部を通って中子本体14の外面に形成された出口3側開口12bに連通している。中子蓋体13は、その外面に突設された軸部17を介して蓋体5に取り付けられている。軸部17は、蓋体5を貫通し、ピン17aにより抜け止めがなされる。図中、符号17bは、軸部17をシールするパッキンである。
【0021】
図2乃至図5にも示すように、弁機構20は、通路12の開口12a端縁に当接可能に形成され当接時に通路12を閉塞する弁部材21と、一端が本体1の内壁に支持され他端に弁部材21が設けられるとともに所定温度よりも高いと他端側に伸長し所定温度よりも低いと一端側に収縮する伸縮部材22とを備えて構成されている。
弁部材21は、部屋11側開口12aの径よりも径の大きい球体で構成されている。
伸縮部材22は、内部にアルコール等の液体が封入されたベローズで構成され、その一端が本体1に対して固定されている。このベローズは、金属製のベローズ本体30と、一端側に設けられ雄ネジ33が突設された金属製の一端側金具31と、他端側の金属製の他端側金具32とを備えてなる。ベローズ本体30と一端側金具31及びベローズ本体30と他端側金具32は、TIG溶接により接合されている。更に、一端側金具31の雄ネジ33の軸には、ベローズ本体30の内部に連通するとともにベローズ本体30内に液体を封入して真空引きするための孔34が穿設されている。この孔34は、液体の封入及び真空引き後に金属で閉塞される。
【0022】
また、一端側金具31には、ベローズ本体30の内側に突出するスプリングピン36を挿入するための穴35が凹設されている。この穴35は、孔34と同軸に設けられている。穴35に挿入されたスプリングピン36は、先端が他端側金具32に当接することにより伸縮部材22の収縮限界を設定している。また、伸縮部材22の本体1に対する固定は、本体1の内壁である中子蓋体13の内側に雌ネジ7を設け、一端側金具31の雄ネジ33をこの雌ネジ7に螺着して行なわれる。
【0023】
また、本トラップ装置は、弁部材21を伸縮部材22の伸縮方向と直交する平面に沿って伸縮部材22に移動可能に支持する支持機構40と、弁部材21の移動範囲を規制する規制機構50とを備えている。
支持機構40は、伸縮部材22の他端側に形成され伸縮部材22の伸縮方向に直交するスライド面44を有したベース41と、弁部材21に設けられベース41のスライド面44に対して移動可能なスライダ42と、ベース41に対してスライダ42をスライド可能に保持する保持部47とを備えてなる。
【0024】
ベース41は、ステンレス等の金属により円盤状に形成されている。実施の形態においては、ベース41は、伸縮部材22の他端側金具32で構成されている。また、スライダ42は、ステンレス等の金属で形成され、弁部材21の外周に突出するフランジ43を備えた構成としている。実施の形態においては、フランジ43がスライド面44に対してスライド移動するとともに、弁部材21の開口12a端縁当接時には、ベース部材41のスライド面44から押圧されて、弁部材21を開口12a端縁に押し付ける。
また、スライダ42は、弁部材21を保持する保持孔45と、保持孔45を囲繞するように突設される筒体46が突設されている。この保持孔45は、底部がロート状に形成されている。そして、弁部材21の保持は、保持孔45に入れられた弁部材21を筒体46の開放口端縁部をかしめることにより行なわれる。
【0025】
保持部47は、スライダ42を囲繞するようにベース41に突設された筒状体48と、筒状体48の内周に設けた溝48aに嵌入されスライダ42のフランジ43を押さえるCリング49とを備えて構成されている。
Cリング49は、その外周の径が、筒状体48の内径よりも大きく、Cリング49の両端の近接時に筒状体48の内径よりも径が小さくなる。また、Cリング49の両端には、円形の孔49aが形成されておりラジオペンチ等で両端を近接できるようになっている。
この保持部47でスライダを保持するには、筒状体48にスライダ42を挿入し、溝48aにCリングを挿入する。これにより、保持部47は、簡単な構造でスライダ42をスライド可能に保持できる。また、Cリング49の両端を近接すれば溝48aに嵌入したあとも取り外すこともでき、万が一弁部材21やスライダ42が破損した場合において、弁部材21の交換を容易に行なうことができる。
【0026】
また、規制機構50は、スライダ42に突設される凸部51と、ベース41に凹設され凸部51が遊挿される凹部52とを備え、弁部材21の移動範囲を凸部51と凹部52とのクリアランスtの範囲に設定している。凹部52は、その底部がロート状に形成されている。
【0027】
従って、このトラップ装置を用いるときは、例えば、ボイラに備えられた蒸気管に予め本トラップ装置の入口2側を接続しておく。
そして、ボイラが作動すると、トラップ装置の入口2から蒸気管側の蒸気及び水等の流体が流入してくる。この流体が低温であり、部屋11内が所定温度よりも低くなった場合には、図1及び図3(b)に示すように、伸縮部材22が収縮して弁部材21が通路12の開口12a端縁から離れ、入口2に接続された蒸気管の流体が部屋11,通路12を通って出口3から排出されていく。
次に、部屋11内が高温の蒸気等で満たされて、流体の温度が所定温度より高くなった場合には、図3(a)及び図6に示すように、伸縮部材22が伸長して弁部材21が通路12の開口12a端縁に当接し、通路12を閉にする。これにより、蒸気管内に溜まった水を外部に排出でき、また、蒸気管内が高温の蒸気で満たされている場合には、排出を停止できるようになり、ボイラを効率よく作動させることができる。
【0028】
また、伸縮部材22が伸長する際に、伸縮部材22がベローズで構成されていることから、伸縮部材22の伸長方向のばらつきが生じ、弁機構20の弁部材21と通路12の開口の軸ずれが生じることがある。
この場合、弁部材21が支持機構40により伸縮部材22の伸縮方向と直交する平面に沿って伸縮部材22に移動可能に支持されるので、軸ずれした状態で弁部材21が通路12の開口12a端縁に当接しても、スライダ42がベース41に対してスライド移動することにより、弁部材21の軸と通路12の開口の軸とが合う方向に弁部材21が移動し、開口端縁の全周に弁部材21が当接して通路12が閉塞される。これにより、軸ずれが生じても、クリアランスtの範囲で弁部材21が移動し、この軸ずれを吸収するので、弁部材21で通路12を確実に閉塞することができる。
また、伸縮部材22の一端の雄ネジ33を雌ネジ7に螺着して本体1に対して固定するとともに、支持機構40を設けてこの支持機構40で弁部材21を移動可能にしたので、弁機構20の支持強度が確保され、しかも、弁部材21の軸と通路12の部屋11側開口12aの軸との軸ずれに対応できる。即ち、伸縮部材22の本体21に対する支持部分(雄ネジ33)に負荷がかかりにくくなり、弁機構20の支持部分(雄ネジ33)を破損しにくくすることができる。
【0029】
また、この際、支持機構40においては、スライダ42はベース41のスライド面44に対して移動するので、弁部材21を安定して移動させることができる。
更に、弁部材21は、過度に移動しようとすると、凸部51の外周が凹部52の内周に当接してその移動が規制される。そのため、過度の弁部材21の移動が防止される。また、規制機構50においては、弁部材21の移動範囲を、クリアランスtの範囲に設定しているので、簡単な構造で、弁部材21の移動の規制を確実に行なうことができる。
【0030】
尚、本発明のトラップ装置においては、規制機構50を、凸部51及び凹部52で構成したがこれに限定されるものでなく、フランジ43と筒状体48であってもよい。この場合には、弁部材21の移動範囲は、フランジ43と筒状体48とのクリアランスの範囲に設定される。
尚また、弁部材21を球体に形成したがこれに限定されるものでなく、例えば、伸縮部材22の伸縮方向伸長側に向けて径が小さくなる円錐形状であってもよく、適宜設計変更して差支えない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態に係るトラップ装置を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るトラップ装置の弁機構を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るトラップ装置の弁機構を示し、(a)伸縮部材の伸長時の断面,(b)伸縮部材の収縮時の断面をそれぞれ示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るトラップ装置の弁機構を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るトラップ装置の弁機構を示す分解斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るトラップ装置を、伸縮部材の伸長状態で示す断面図である。
【図7】従来のトラップ装置の一例を示す図である。
【図8】従来のトラップ装置の弁機構を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 本体
2 入口
3 出口
4 弁箱
5 蓋体
6 フランジ
7 雌ネジ
10 中子部材
11 部屋
12 通路
12a 部屋側開口
12b 出口側開口
13 中子蓋体
14 中子本体
14a 底壁
14b 側壁
15 連通路
16 ブッシュ
17 軸部
17a ピン
17b パッキン
20 弁機構
21 弁部材
22 伸縮部材
30 ベローズ本体
31 一端側金具
32 他端側金具
33 雄ネジ
34 孔
35 穴
36 スプリングピン
40 支持機構
41 ベース
42 スライダ
43 フランジ
44 スライド面
45 保持孔
46 筒体
47 保持部
48 筒状体
48a 溝
49 Cリング
49a Cリングの両端の孔
50 規制機構
51 凸部
52 凹部
t クリアランス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の入口及び出口を有した本体を備え、該本体内に入口側に連通し流体が流れる部屋を設けるとともに該部屋と出口側に連通する通路を設け、上記部屋内に上記通路の該部屋側開口を開閉する弁機構を設け、該弁機構を、上記通路の開口端縁に当接可能に形成され当接時に該通路を閉塞する弁部材と、一端が上記本体の内壁に支持され他端に上記弁部材が設けられるとともに所定温度よりも高いと他端側に伸長し所定温度よりも低いと一端側に収縮する伸縮部材とを備えて構成してなるトラップ装置において、
上記伸縮部材の一端を上記本体に対して固定し、
上記弁部材を上記伸縮部材の伸縮方向と直交する平面に沿って該伸縮部材に移動可能に支持する支持機構と、上記弁部材の移動範囲を規制する規制機構とを備えたことを特徴とするトラップ装置。
【請求項2】
上記支持機構を、上記伸縮部材の他端側に形成され該伸縮部材の伸縮方向に直交するスライド面を有したベースと、上記弁部材に設けられ上記ベースのスライド面に対して移動可能なスライダと、上記ベースに対して上記スライダをスライド可能に保持する保持部とを備えて構成したことを特徴とする請求項1記載のトラップ装置。
【請求項3】
上記スライダを上記弁体の外周に突出するフランジを備えた構成とし、
上記保持部を上記スライダを囲繞するように上記ベースに突設された筒状体と、上記筒状体の内周に設けた溝に嵌入され上記スライダのフランジを押さえるCリングとを備えて構成したことを特徴とする請求項2記載のトラップ装置。
【請求項4】
上記規制機構を、上記ベースまたは上記スライダのいずれか一方に突設される凸部と、上記ベースまたは上記スライダのいずれか他方に凹設され上記凸部が遊挿される凹部とを備え、上記弁部材の移動範囲を上記凸部と凹部とのクリアランスの範囲に設定したことを特徴とする請求項2,3または4記載のトラップ装置。
【請求項5】
上記伸縮部材の一端に雄ネジを設け、上記本体の内壁に雌ネジを設け、該雌ネジに上記雄ネジを螺着して上記伸縮部材を上記本体に固定したことを特徴とする請求項1,2,3または4記載のトラップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−333171(P2007−333171A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−168599(P2006−168599)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000137018)株式会社ベン (21)
【Fターム(参考)】