説明

トラブル処理システム、サーバおよびそれらの制御方法

【課題】 トラブル発生時にそのトラブルの処理を迅速に行えるトラブル処理システムおよびその制御方法を提供する。
【解決手段】 ステップS0で、ホストからプリンタに印刷指示及びびデータを送信する際にプリンタのトラブルで印刷できない場合には、ステップS1でエラー内容を表示し、ステップS2で、ホストにトラブル内容を通知する。次に、ステップS3で、ホストは、その詳細情報を表示し、ステップS4で、サービスセンタのサーバにトラブル通知を行う。次に、ステップS5でサーバは、管理するデータベースの中からトラブルの原因とその処理方法を検索により見つけ出す。ステップS6で、発生経験のあるトラブルの場合には、そのデータベースを更新してからステップS7で、トラブル処理方法をトラブルの発生したホストに通知する。このようにして、発生するトラブルを解消することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ネットワーク等の通信回線を利用して、ユーザ装置先で発生したトラブルに対する解決策をユーザ装置に提示、または自動回避するトラブル処理システム、サーバおよびそれらの制御方法ならびに記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、購入した機器で発生したトラブルの処理方法としては、例えば、ユーザが操作マニュアルを見て処理するか、ユーザがコールセンタまたは販売店へ電話してトラブルの処理方法を問い合わせるか、あるいはユーザがサービスセンタにメールでトラブル内容を伝え、サービスセンタからの回答を待って処理するといった方法が一般的であった。
【0003】トラブルの処理に関してはトラブルの内容により異なり、例えば、主にユーザのオペレーションミスによるトラブルの場合には、解決策を電話またはメールにて回答し、ユーザその回答に従い処理を行うといった方法がとられていた。
【0004】また、故障や寿命によるトラブルの場合には、サービスマンがユーザ先に訪れて処理を行ったり、家電製品のようにサービスセンタに郵送又は持参し修理してもらう場合とがあった。
【0005】いずれの方法においても、問い合わせを行う場合には、ユーザはそのトラブルの内容を正確に伝える必要があり、その内容を元にコールセンタ、販売店、サービスセンタ側は、トラブルを解決するための方法を膨大なデータベース、マニュアル等から調査し、または開発担当部門へ問い合わせて回答を行っていた。 これらの作業はいずれも人を介して行われるものであった。
【0006】また、ユーザは購入した製品の仕様を必ずしも熟知しているわけではなく、製品自体の機能も複雑なものが多い中、ユーザの操作ミスによるトラブルの発生が多くなってきている。このような状況下では、操作ミスによるトラブルを回避するためにユーザがもっとも多くとる方法としては、操作マニュアルを読んで正しい操作及び指定を再度行うことであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来例においては次のような問題点があった。ユーザ先でユーザの操作ミスによるトラブルや使用法の誤りによるトラブルが発生した場合、ユーザは購入した製品の詳細な仕様や、トラブルの内容について必ずしも熟知しているわけではないので、トラブルを解決するには、マニュアルを読んで仕様を正しく理解しなければならなかった。
【0008】また、コールセンタ等に問い合わせを行う場合でも、その内容を正確に伝えることができず、解決策を提示するための更なる情報を伝えるために、再度ユーザ先でそのトラブルを発生させてもらったりすることが多く、手間がかかっていた。
【0009】また、トラブルが発生するのは、必ずしもコールセンタの受付時間内とは限らず、またメールによる問い合わせにおいても、時間によっては、翌日または休み明け迄メールが読まれず、すぐに処理することができない場合が多々あった。また、上記対応は必ず人を介して行っていたために人件費もかなりかかってしまっていた。
【0010】また、ユーザからの問い合わせの中で、明らかにユーザの操作ミスによるトラブルのような場合でも、電話やメールによる返答で対応が終わってしまうため、ユーザが陥りやすい問題が何かということを開発サイドまでフィードバックするシステムを構築できず、市場の状況を開発サイドで正しく認識できない場合が多かった。
【0011】本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、トラブル発生時にそのトラブルの処理を迅速に行うことができるトラブル処理システム、サーバおよびそれらの制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明に係る一実施の形態のトラブル処理システムは、以下の構成を有する。すなわち、ユーザ装置とサービスセンタとを通信媒体を介して接続可能なトラブル処理システムであって、前記ユーザ装置は、前記サービスセンタへトラブル情報を通知する第1の送信手段と、前記サービスセンタよりの情報を受信する第1の受信手段と、前記第1の受信手段で受信した情報を出力する出力手段とを有し、前記サービスセンタは、トラブル処理策を格納するデータベースと、前記トラブル情報を受信する第2の受信手段と、前記第2の受信手段で受信した前記トラブル情報を解析し、前記データベースにアクセスして適切なトラブル処理策を検索する検索手段と、前記検索手段で検索した前記適切なトラブル処理策を前記ユーザ装置に送信する第2の送信手段とを有し、前記ユーザ装置は、前記サービスセンタから送信された前記適切なトラブル処理策を前記第1の受信手段で受信して前記出力手段より出力し、前記適切なトラブル処理策を確認可能とすることを特徴とする。
【0012】また例えば、前記ユーザ装置は、更に、接続されている機器にトラブルが発生したか否かを検出する検出手段を有し、前記検出手段で前記機器のトラブルを検出すると、そのトラブル情報を前記通知手段を用いて前記サービスセンタへ通知することを特徴とする。
【0013】また例えば、更に、前記ユーザ装置は、前記出力手段に表示された前記適切なトラブル処理策の中から最適な処理策を選択して、前記最適な処理策による処理を実行する実行手段を有することを特徴とする。
【0014】また例えば、更に、前記ユーザ装置は、前記出力手段に表示された前記適切なトラブル処理策の中から最適な処理策が選択されると、前記最適な処理策による処理を実行する実行手段を有することを特徴とする。
【0015】また例えば、前記実行手段は、前記最適な処理策に基づいて、トラブルを発生した機器または前記機器上で動作するソフトウエアプログラムの各種設定を変更することを特徴とする。
【0016】また例えば、更に、前記出力手段は、前記第1の受信手段で受信した前記適切なトラブル処理策を音声で出力することを特徴とする。
【0017】また例えば、更に、前記出力手段は、前記第1の受信手段で受信した前記適切なトラブル処理策を表示出力することを特徴とする。
【0018】また例えば、前記第2の送信手段は、前記適切な処理策を記載したデータを所定のフォーマットに変換してから前記ユーザ装置に送信することを特徴とする。また例えば、前記第2の送信手段は、前記トラブル情報のデータを電子メール形式に変換して送信することを特徴とする。
【0019】また例えば、更に前記第2の送信手段は、前記トラブル情報のデータをファクシミリ送信するファクシミリ送信手段を有することを特徴とする。
【0020】また例えば、前記検索手段は、前記トラブル情報の解析結果が保有するトラブル処理策に該当するトラブルの場合には、該当するトラブル処理策に対応するエラー回数をカウントアップするエラー回数更新手段を更に有することを特徴とする。
【0021】また例えば、前記検索手段は、前記トラブル情報の解析結果が保有するトラブル処理策に該当しない新規内容のトラブルの場合に前記新規内容を前記データベースに追加する追加手段を更に有ることを特徴とする。
【0022】また例えば、前記トラブル情報は、機種情報、エラー情報、設定情報およびユーザ情報を含むことを特徴とする。
【0023】また例えば、前記機種情報は、プロダクトID、バージョン、構成情報、使用環境、運用目的、購入日を含むことを特徴とする。
【0024】また例えば、前記エラー情報は、エラーID、発生日時を含むことを特徴とする。
【0025】また例えば、前記設定情報は、ドライバ設定情報、プリンタの状態を含むことを特徴とする。
【0026】また例えば、前記ユーザ情報は、ユーザ名、住所、電話番号、メールアドレスを含むことを特徴とする。
【0027】上記目的を達成するための本発明に係る一実施の形態のトラブル処理システムに使用されるサーバは、以下の構成を有する。すなわち、ユーザ装置とサービスセンタとを通信媒体を介して接続可能なトラブル処理システムに使用されるサーバであって、前記サービスセンタに備えられる前記サーバは、トラブル処理策を格納するデータベースと、前記ユーザ装置から通知される前記トラブル情報を受信する受信手段と、前記受信手段で受信した前記トラブル情報を解析し、前記データベースにアクセスして適切なトラブル処理策を検索する検索手段と、前記検索手段で検索した前記適切なトラブル処理策を前記ユーザ装置に送信する送信手段と、を有することを特徴とする。
【0028】上記目的を達成するための本発明に係る一実施の形態のトラブル処理システムの制御方法に使用されるサーバは、以下の構成を有する。すなわち、ユーザ装置とサービスセンタとを通信媒体を介して接続可能なトラブル処理システムの制御方法であって、前記ユーザ装置は、前記サービスセンタへトラブル情報を通知する第1の送信工程と、前記サービスセンタよりの情報を受信する第1の受信工程と、前記第1の受信手段で受信した情報を出力する出力工程とを有し、前記サービスセンタは、トラブル処理策を格納するデータベースと、前記トラブル情報を受信する第2の受信工程と、前記第2の受信工程で受信した前記トラブル情報を解析し、前記データベースにアクセスして適切なトラブル処理策を検索する検索工程と、前記検索工程で検索した前記適切なトラブル処理策を前記ユーザ装置に送信する第2の送信工程とを有し、前記ユーザ装置は、前記サービスセンタから送信された前記適切なトラブル処理策を前記第1の受信工程で受信して前記出力工程より出力し、前記適切なトラブル処理策を確認可能とすることを特徴とする。
【0029】上記目的を達成するための本発明に係る一実施の形態のトラブル処理システムに使用されるサーバの制御方法は、以下の構成を有する。すなわち、ユーザ装置とサービスセンタとを通信媒体を介して接続可能なトラブル処理システムに使用されるサーバの制御方法であって、前記サービスセンタに備えられる前記サーバは、トラブル処理策を格納するデータベースと、前記ユーザ装置から通知された前記トラブル情報を受信する受信工程と、前記受信工程で受信した前記トラブル情報を解析し、前記データベースにアクセスして適切なトラブル処理策を検索する検索工程と、前記検索工程で検索した前記適切なトラブル処理策を前記ユーザ装置に送信する送信工程と、を有することを特徴とする。
【0030】上記目的を達成するための本発明に係る一実施の形態の記憶媒体は、以下の構成を有する。すなわち、ユーザ装置とサービスセンタとを通信媒体を介して接続可能なトラブル処理システムを制御する制御プログラムを格納した記憶媒体であって、前記制御プログラムは、前記ユーザ装置が前記サービスセンタへトラブル情報を通知する第1の送信工程のコードと、前記トラブル情報を受信する前記サービスセンタの第2の受信工程のコードと、前記第2の受信工程で受信した前記トラブル情報を解析し、トラブル処理策を格納する前記サービスセンタのデータベースにアクセスして、適切なトラブル処理策を検索する検索工程のコードと、前記検索工程で検索した前記適切なトラブル処理策を前記ユーザ装置に送信する第2の送信工程のコードと、前記ユーザ装置の前記サービスセンタよりの情報を受信する第1の受信工程のコードと、前記第1の受信手段で受信した情報を出力する出力工程のコードと、を有し、前記サービスセンタから送信された前記適切なトラブル処理策を前記ユーザ装置の前記第1の受信工程で受信して前記出力工程より出力し、前記適切なトラブル処理策を確認可能とすることを特徴とする。上記目的を達成するための本発明に係る一実施の形態の記憶媒体は、以下の構成を有する。すなわち、ユーザ装置とサービスセンタとを通信媒体を介して接続可能なトラブル処理システムに使用されるサーバを制御する制御プログラムを格納した記憶媒体であって、前記制御プログラムは、前記ユーザ装置から通知された前記トラブル情報を受信する受信工程のコードと、前記受信工程で受信した前記トラブル情報を解析し、前記サービスセンタに備えられる前記サーバのトラブル処理策を格納するデータベースにアクセスして適切なトラブル処理策を検索する検索工程コードと、前記検索工程で検索した前記適切なトラブル処理策を前記ユーザ装置に送信する送信工程コードと、を有することを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に係る一実施の形態例を詳細に説明する。
【0032】[第1の実施の形態例]第1の実施の形態例では、レーザプリンタを用いたシステムにおけるプリンタトラブルの発生から処理を完了するまでのトラブル処理システムについて説明するが、本発明の範囲を記載例に限定する趣旨のものではない。
【0033】[レーザプリンタにおけるトラブル処理システムの構成]図1は、本発明に係る第1の実施の形態例におけるレーザプリンタにおける発生したトラブルの処理システムの一例であり、トラブル発生からトラブル完了までの処理を示す概念図である。
【0034】また、図2は、図1のトラブル処理システムを用いてレーザプリンタのトラブルの発生からそのトラブル処理を完了するまでの流れを説明するためのイベントトレース図である。
【0035】まず、図1を参照して本実施の形態例におけるトラブル処理の概要を説明する。図1において、IP(Internet Protocol)アドレスが「111.2.33.44」のコンピュータであるホスト101とIPアドレスが「111.2.33.55」のコンピュータであるホスト102とプリンタ103が同一LAN104に構成され、またIPアドレス「222.33.4.111」のサーバ105がサービスセンタのLAN106内に構成されている。さらにそれぞれのLAN104、105は、インターネット108を介して接続されている。LAN104は、ユーザの構築したシステム例であり、LAN106は、コンピュータ機器のサービスセンタに構築したシステムである。
【0036】なお以下の説明はユーザシステムが1つのみの例を説明するが、これは説明を簡略するためであり、インターネット108を介して多くのユーザシステムがサービスセンタ109と接続可能であることはもちろんである。
【0037】[トラブル処理の手順]図1のシステム下において、ユーザが印刷を行うためにホスト101から印刷データを接続されているプリンタ103に対して送信し、印刷処理を実行させた際にトラブルが発生した場合のインターネット108を介したトラブル処理の手順の例を図2を参照して説明する。
【0038】図2のステップS0において、ユーザは、ホスト101から印刷指示を行い、プリンタ103に向けてデータを送信する。その際に、例えば、印刷実行中にプリンタ103において印刷エラー等のトラブルが発生し印刷できなくなった場合には、ステップS1に進み、プリンタ103のパネルに発生したエラー内容を表示する。そして、ステップS2に進み、プリンタ103は、ホスト101に対して発生したトラブル内容を通知する。
【0039】次に、トラブル通知を受けたホスト101は、、ステップS3でトラブル内容を、例えば、プリンタ103のパネル表示上では表示できないような詳細な情報を、ホスト101の備える表示装置のウインドウ上に表示し、ユーザに発生したトラブル内容がわかりやすく理解できるようにしてからステップS4に進む。なお、上記トラブル内容は表示装置に表示するとともにホスト101の備える音声装置にて併せてユーザに伝達しても良い。
【0040】ここまでの処理は、従来のプリンタ等の印刷システムでも一般的に行われているトラブルに対する処理である。本実施の形態の特徴は、ステップS4以降で述べる処理にあり、ステップS4以降の処理を行うことによりユーザの手間を省くとともにできるだけ早くトラブル処理策をユーザに提示したり、あるいはトラブル処理策を自動で処理を行えるようにすることにより、複雑な仕様のプリンタ等であっても、ユーザが容易に使いこなせるようにする。
【0041】すなわち、ステップS4において、エラー通知を受けたホスト101は、サービスセンタ109にアクセスしてサーバ105に対してトラブル発生の通知を行う。トラブルの通知には、プリンタ103から受信したエラー内容を併せて送信する。
【0042】次に、エラー通知を受けたサービスセンタ109のサーバ105は、ステップS5において、エラー通知に含まれるエラー内容を解析し、サービスセンタ109で管理しているデータベース107の中から何がトラブルの原因か、どう処理すればよいかを診断する。すなわち、エラー通知に含まれるエラー内容中の各種情報を解析し、解析結果に基づいてデータベース107にアクセスし、トラブル処理方法の検索を行う。このときユーザ側よりサービスセンタ109に送信される情報には、例えば、図3に示すように、ユーザ情報301、機種情報302、エラー情報303、設定情報304等が含まれる。
【0043】ユーザ情報301は、主に診断結果を返信するための情報として利用され、機種情報302は、主にサービスセンタで管理しているデータベース107のどこを参照すればよいかの情報として利用される。またエラー情報303、設定情報304は、機種ごとに管理されているデータベースの中の特定のエラー情報に関するデータベースにアクセスするための情報として利用され、これらの情報を元に、サーバ105は、ユーザ側で発生したトラブルの原因、処理策の検索を行う。
【0044】なお、ステップS4におけるホスト101からサービスセンタ109のサーバ105に送信される情報データのフォーマット形式は、ホスト101が使用するソフトおよびサーバ105が使用するソフトが互いに解析可能なものならどのような形式で送信してもよい。例えば、メールにてテキスト形式で送信しても、MIB、インターネットファクシミリ(FAX)、ジョブ制御言語(JL)等の形式で送信しても、独自の言語形式で送信してもかまわないし、これらを組み合わせた形式で送信してもよい。
【0045】次に、ステップS6に進み、エラー通知内容がすでに市場で発生したことのあるトラブル情報である場合には、データベース107の該当するエラー回数をカウントアップし、市場で発生したことのない新規内容のトラブルのものについてはそのトラブル発生内容をデータベース107追加登録することによってデータベース107の充実を図る。
【0046】データベース107における検索の結果、トラブル処理方法が見つかった場合には、ステップS7に進み、トラブルの発生しているユーザのホスト101に検索したトラブル処理方法を通知する。
【0047】このサービスセンタ109よりのトラブル処理方法を受信したユーザのホスト101は、ステップS8で受信した処理方法の内容を解析して、ホスト101の表示画面に、トラブル処理方法、例えば、図4に示すような内容の表示を行う。図4に示すUI(User Interface)画面の例は、ユーザがトレイ用紙サイズの設定をするのを忘れていたために、はがきデータを送信したが用紙交換要求が出てしまったトラブル発生例である。
【0048】つまり、ユーザがトレイにはがき用紙をセットしているが、プリンタ103にはがき用紙がセットされていることを認識させるための設定を忘れてしまったために起きたトラブルである。
【0049】このような場合、トレイ用紙サイズをはがきに設定しなおすことで、所望の印刷が可能になるので、ユーザはステップS9のホスト101のUI画面において、例えば「トレイ用紙サイズをはがきにする」の項目を示す401の丸印をクリックして401〜403に示す処理方法のなかから401を選択し、次に404のOKボタンをクリックすることにより、正しく印刷できる設定に切り替えを行う。このようにして、トラブルの発生に対する処理方法を入手することができる。
【0050】図4は、トレイ用紙サイズ設定を「はがき」に設定する命令をプリンタに対して行う例を示している。なおステップS9の処理に関しては、プリンタの設定を変更するだけでなく、さらにドライバの設定を変更することやプリンタに送信しているジョブの属性修正を行うことも可能である。
【0051】また、図4のUI画面における他の処理方法の例では、例えば、402に示すように「はがきへの印刷をあきらめて普通紙に印刷する」代用パターンもある。この402の例では、特殊な運用例であるが、はがきデータを一旦普通紙に試し印刷する場合等に使用される。
【0052】またさらに、プリンタ103が、はがき印刷のできないプリンタであり、このプリンタ103に、はがき印刷データを送信してしまうことも考えられる。この場合には、他のはがき印刷のできるプリンタ(図示しない)へ印刷指示を切り替える選択をすることで正しく印刷できる。この場合のステップS9の処理は、403に示す「はがき印刷可能な別のプリンタへ出力を切り換える」処理を選択すればよく、先に送信したジョブをキャンセルし、新しい指定で別プリンタに対して再度印刷データを送信することになる。
【0053】次に、ステップS10では、ステップS9で説明した図4の401〜403に示す処理方法をユーザが選択すると、その選択された指示によって、エラーの発生しているジョブを一旦キャンセルしてから、次にステップS11に進み、正しい指定で再度印刷を行うことにより、ユーザの意図する印刷がボタンクリックで可能になる。
【0054】なお、ステップS10及びステップS11の処理は、ジョブを一旦消去してしまい設定を変更して再度送信してもよいし、ジョブの指定に関してその属性変更を行いジョブを再開させるようにしてもよい。このようにして、プリントシステムにおいて発生するトラブルを解消することができる。
【0055】なお上記説明したようにステップS9における処理は、ユーザの指示を受けてから実行するが、上記説明した処理以外に、例えば、送信されてきた対処方法のうち図4の401に示す処理を選択して実行するように予め対処方法を自動的に選択するように設定しておき、ユーザの指示を受けずに自動的に対処方法を実行する処理としてもよい。
【0056】[プリントシステムにおける予想されるトラブルの例]図4以外に、プリントシステムにおいて発生が予想されるトラブルの例について代表的な例を下記に示す。
(1)トレイ用紙タイプの設定を正しく行わなかった。
(2)ユーザ定義用紙、用紙名称の設定を正しく行わなかった。
(3)両面ユニットのない機種、両面印刷不能の機種に両面指定で印刷した。
(4)両面印刷不可能な用紙サイズ又は用紙タイプ指定で両面印刷した。
(5)ソータが装着されていない機種に対してソート指定した。
(6)スタッカが装着されていない機種に対してスタック指定した。
(7)ステイプル機能のない機種に対してステイプル指定した。
(8)ジョブオフセット機能のない機種に対してジョブオフセットを指定した。
(9)ハードディスクが未搭載の機種に印刷ジョブのストア指定した。
(10)十分なRAM増設されていない機種に対してスプール指定を行った。
(11)他の給紙段に指定用紙が存在するのに固定給紙指定で紙なしが発生した。
【0057】なお、本実施の形態例の発生トラブルは、以上の例に限定するものではなくあらゆるトラブルに対して対応可能であることはもちろんである。
【0058】以上述べたように、プリンタシステムにおいては、ユーザの指定または操作ミスによるエラー発生は、仕様を十分に理解しない状態で使用されるために発生することが多い。また、ユーザにとっては、なぜ印刷できないかということより、たくさんある設定の中の一部の不備をできるだけ簡単に修正して所望の印刷が可能な状態になることの方が望まれる場合が多い。
【0059】そこで、発生したエラーの処理方法のリストを示し、ユーザの指示に従って自動設定を行えるようにしている。また処理法は、使用環境等でも異なるため、プリンタ構成や仕様環境、ドライバ設定等も考慮して診断を行う。
【0060】[トラブル診断処理]次に、図5を用いて、サービスセンタ109におけるトラブル診断処理について説明する。
【0061】まずステップS501では、ユーザ先からサービスセンタに対してトラブル情報が送られてくるまで待機し、例えば図3に示すようなトラブル情報データ300が送られてきたらステップS502に進む。
【0062】ステップS502では、トラブル情報データ300の機種情報302をサーチする。次に、ステップS503でエラー情報303をサーチする。さらに、ステップS504で設定情報304をサーチする。そして、サーチ結果に従ってステップS505でデータベース107内の対象となる情報にアクセスを行い、トラブル処理策をピックアップする。また、トラブル内容がこれまでに処理したことのあるトラブル内容であるか否かを判断し、そのトラブルがすでに発生したトラブルでありトラブル処理策をしたことのあるものであれば、ステップS509に進み、発生回数のカウントアップや発生場所、発生日時等の情報を更新する。そして、ステップS507に進む。
【0063】一方、ステップS505において、トラブル内容がこれまでに処理したことのない新規トラブルである場合はステップS506に進み、相当する情報テーブルを新規に作成して、次回からステップS9の処理が可能な状態にする。そして、ステップS507に進む。
【0064】ステップS507では、ヒットした情報を元に対策リストを作成する。そしてステップS508に進み、所定のフォーマット形式でトラブルの発生したユーザ先に対策情報を通知する。これにより一連の作業を終了する。
【0065】なお以上説明した本実施の形態例においては、サービスセンタのサーバは、1つであるが、サーバを複数持ち、製品毎、地域毎等の区分けを行って並列で処理を行えるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0066】次に、図6において、トラブルを自動回避するためのユーザ登録を行うUI画面の例を示す。
【0067】図6は、図3に示した転送情報300のユーザ情報301及び機種情報302の登録例を示している。図6で登録するユーザ情報601は、サービスセンタ109がトラブル通知を受けた場合にその返答先の判断を行ったり、サービスマンの派遣場所を判断するための情報であり、図6で登録する機種情報602は、データベース107のどの部分にアクセスを行うべきか、又はトラブルが発生した状況を絞込み、できるだけ早く正確な検索を行うための情報である。
【0068】これらの情報は、サービスセンタ109で管理を行ってもよいし、ホスト101上のアプリケーションにて管理し、トラブル情報を送信する時に常に送信するようにしてもよい。
【0069】以上の様にトラブル発生時に、ネットワーク108を介してトラブル内容をサービスセンタ109に通知し、サービスセンタ109で、図3の機種情報302、エラー情報303、設定情報304を元に回避策を検索し、ユーザ情報301を元に回答を行い、ユーザに処理策リストを表示し選択させることで、ユーザはその内容を十分に理解しなくても、トラブル回避を行うことが可能となる。さらに、ユーザ先で発生するトラブル情報をサービスセンタ109は自動で把握できるようになるので、ユーザのトラブル処理方法のニーズに対して迅速に対応できるようになる。
【0070】[第2の実施の形態例]以上説明した第1の実施の形態例では、レーザプリンタを用いたシステムにおけるプリンタトラブルの発生から処理を完了するまでのトラブル処理システムについて説明した。しかし本発明は以上の例に限定されるものではない。
【0071】以下、第1の実施の形態で用いたホストコンピュータを使用せず代わりにコピー機やファクシミリ(FAX)等にホストコンピュータの役割を持たせた本発明に係る第2の実施の形態例のトラブル処理システムについて説明する。
【0072】[トラブル処理システムの構成]図7は、本発明に係る第2の実施の形態例におけるコピー機701やファクシミリ(FAX)702で発生したトラブルの処理システムの一例を示す図であり、トラブル発生からトラブル完了までの処理の概念を示している。
【0073】また、図8は、第2の実施の形態例の図7のトラブル処理システムを用いて、コピー機701またはファクシミリ(FAX)702でのトラブルの発生からそのトラブル処理を完了するまでの流れを説明するイベントトレース図である。
【0074】まず、図7を参照して第2の実施の形態例のシステム構成例を説明する。図7において、IP(Internet Protocol)アドレスが「111.2.33.44」のコピー機701とIPアドレスが「111.2.33.55」のファクシミリ(FAX)702が同一LAN703に構成され、またIPアドレス「222.33.4.111」のサーバ705がサービスセンタ709のLAN706内に構成されている。さらにそれぞれのLAN703、706は、インターネット704を介して接続されている。
【0075】[トラブル処理の手順]以上の構成を備える第2の実施の形態例のシステム下において、ユーザがコピーを行っている際にトラブルが発生した場合のトラブル処理又はユーザがファクシミリ(FAX)の送受信時にトラブルが発生した場合のトラブル処理の手順例を図8を用いて説明する。
【0076】図8に示す第2の実施の形態例のトラブル処理は、図2に示す第1の実施の形態例のトラブル処理と基本的にほぼ同じである。ただし、第2の実施の形態例のトラブル処理は、ホストコンピュータを介さないで動作可能なので、第1の実施の形態例においてホストコンピュータ101上で行っていた処理は全て、コピー機701やファクシミリ(FAX)702自身が行うことになる。
【0077】例えば、エラー表示は、コピー機701やファクシミリ(FAX)702等の表示パネルに表示を行い、サービスセンタ709へのトラブル情報の通知も直接コピー機701やファクシミリ(FAX)702が行うことになる。この点が、第2の実施の形態例と第1の実施の形態例との異なる点である。
【0078】図8のステップS800において、ユーザは、例えば、コピー機701にて複写指示を行う、あるいはファクシミリ(FAX)702にてファクシミリ(FAX)送信を指示する。その際にコピー機701またはファクシミリ(FAX)702においてエラー等のトラブルが発生し、複写またはファクシミリ(FAX)送信ができなくなった場合には、ステップS801に進む。
【0079】ステップS801では、コピー機701またはファクシミリ(FAX)702の表示パネルにそのエラー内容をユーザにわかりやすく理解できるよう表示する。次にステップS802にて、コピー機701またはファクシミリ(FAX)702は、サービスセンタ709のサーバ705に対して直接トラブル通知を行う。
【0080】エラー通知を受けたサービスセンタ709のサーバ705は、ステップS803でサービスセンタ709で管理しているデータベース707の中から何がトラブルの原因か、どう処理すればよいかを診断する。すなわち、エラー通知に含まれる各種情報を解析し、データベース707にアクセスし、トラブル処理方法の検索を行う。このときサービスセンタ709に送信される情報は、例えば、第1の実施の形態で説明した図3に示すサービスセンタへ転送する情報300と同様であり、ユーザ情報301、機種情報302、エラー情報303、設定情報304等からなる。
【0081】ユーザ情報301は、主に診断結果を返信するための情報として利用され、機種情報302は、主にサービスセンタで管理しているデータベース707のどこを参照すればよいかの情報として利用される。またエラー情報303、設定情報304は、機種ごとに管理されているデータベースの中の特定のエラー情報に関するデータベースにアクセスするための情報として利用され、これらの情報を元に、サーバ705は、その原因、処理策を見つけ出していく。
【0082】次に、サーバ705はステップS804の処理に進み、エラー通知内容を調べる。エラー通知内容がすでに発生したことのあるトラブル情報である場合にはデータベース707の該当するエラー回数をカウントアップする。一方、新規内容のトラブル情報である場合には、そのトラブル内容をデータベース707追加することによってデータベース707の充実を図る。
【0083】次に、ステップS805において、データベース707における検索の結果のトラブル処理方法をコピー機701またはファクシミリ(FAX)702に通知する。
【0084】サーバ705よりトラブル処理方法が送信されてくると、コピー機701またはファクシミリ(FAX)702はステップS806の処理に進み、受信した処理方法の内容を解析して画面に処理方法、例えば、図4に示すような内容の表示を行う。図4に示すUI(User Interface)画面の例は、ユーザがトレイ用紙サイズの設定をするのを忘れていたために、はがきデータを送信したが用紙交換要求が出てしまった例である。
【0085】次に、ステップS807〜ステップS809において、受信した処理方法およびユーザの指示に従いトラブル処理を実行することによりコピー機701またはファクシミリ(FAX)702のトラブルを解決する。ただし、この説明は、第1の実施の形態例のステップS9〜ステップS11で説明した内容と基本的に同じ内容の動作であるため説明が重複するので、ここでの説明は省略する。
【0086】[第3の実施の形態例]上述した第1の実施の形態などでは、ネットワーク接続機器におけるトラブル処理の例を示した。しかし、本発明は以上の例に限定されるものではなく、例えば、ホストコンピュータとプリンタだけで構築されるシステム(第3の実施の形態例のシステム)のようにネットワークを介さず直接I/O機器が接続されている機器のみを使用するシステムであっても適応可能である。
【0087】本発明をネットワークを介さず直接I/O機器が接続されている機器のみを使用するシステムに適応した本発明に係る第3の実施の形態例を以下に説明する。第3の実施の形態例は、第1の実施の形態例などで説明したようなサービスセンタのサーバを使用しないでトラブル処理を実行するシステムであり、第3の実施の形態例におけるトラブル処理は、第1の実施の形態などのように全ての種類のトラブルを処理できないが、例えば、ユーザがよく間違えるような操作ミスなどに限定したトラブル処理を行うものである。
【0088】第3の実施の形態例では、ユーザがよく間違える操作ミスなどのトラブル処理方法に関する情報を例えば、ホストコンピュータのアプリケーションプログラム中かあるいは印刷装置内に格納しておく。
【0089】そして、第3の実施の形態例のプリンタシステムでトラブルが発生した場合には、上記ホストコンピュータまたは印刷装置内に格納された情報を検索して、第1の実施の形態などで説明した手順と同様の手順で、必要な情報を入手することにより、操作ミスなどのトラブル処理方法を表示したり自動的にトラブルを回避することができる。
【0090】[第4の実施の形態]以上説明した第1の実施の形態例〜第3の実施の形態例では、プリンタ、コピー機、ファクシミリ(FAX)等の印出力装置を互いにネットワークを介して接続して動作させる場合のトラブル処理について説明した。しかし本発明は以上の実施の形態例に限定されるものではなく、上記プリンタ、コピー機、ファクシミリ(FAX)等の出力装置がネットワークを介して接続されていない場合も適用可能である。
【0091】すなわち、各出力装置が単独でインターネット108にアクセスできない場合のトラブル処理である本発明に係る第4の実施の形態例について以下図9を参照して説明する。
【0092】第4の実施の形態における出力装置が印刷トラブル等を発生した場合には、例えば第1の実施の形態においてホスト101に送信した、例えば、図9に示すようなトラブル内容(サービス依頼情報901)を印刷する。
【0093】そして、この印刷されたサービス依頼情報901をユーザが直接サービスセンタへファクシミリ(FAX)するか、あるいは印刷されたサービス依頼情報901の内容をユーザが見ながらコールセンタなどに電話することにより、トラブル処理方法を入手することが可能となる。
【0094】[第5の実施の形態例]第1の実施の形態例および第2の実施の形態例においては、ネットワーク接続機器におけるトラブル処理システムについて説明した。第5の実施の形態例では、デジタルカメラ等のようにネットワークに接続されていない機器におけるトラブル処理システムについて説明する。
【0095】[トラブル処理システムの構成]図10は、本発明に係る第5の実施の形態例のデジタルカメラ1002における発生したトラブルの処理システムを示す図の一例であり、トラブル発生からトラブル完了までの処理を示す概念図である。
【0096】また、図11は、図10のトラブル処理システムを用いてデジタルカメラ1002のトラブルの発生からそのトラブル処理を完了するまでの流れを説明するイベントトレース図である。
【0097】まず、図10を参照して第5の実施の形態例のシステム構成を説明する。第5の実施の形態例では、IP(Internet Protocol)アドレスが「111.2.33.44」のコンピュータであるホスト1001とIPアドレスが「111.2.33.55」のプリンタ1003が同一LAN1004に構成され、またIPアドレス「222.33.4.111」のサーバ1005がサービスセンタのLAN1006内に構成されている。さらにそれぞれのLAN1004、1006は、インターネット1008を介して接続されている。
【0098】[トラブル処理の手順]以上に示すシステム構成の第5の実施の形態例におけるユーザが非ネットワーク製品を使用している際にトラブルが発生した場合の処理の手順を図11を用いて説明する。
【0099】デジタルカメラ1002のような非ネットワーク製品のトラブル発生時には、その機器が有するメモリなどの記憶部にトラブル内容を保持しておく。そしてトラブル発生時にデジタルカメラ1002を図19のホスト1001に示すパソコンあるいはプリンタ1003、コピー機(図示しない)等のネットワーク製品に接続し、接続をトリガとしてトラブル発生時に保存しておいたトラブル情報が存在する場合に、サービスセンタへ通知を行うようにすることで自動通知が可能となる。
【0100】なお図11に示すステップS1〜ステップS10の各ステップで実行される内容は、図2ですでに説明した説明したステップS1〜ステップS10の内容と同じである。そこで、図11における各ステップの説明は、図2で説明した内容と重複するので、ここではそのトラブル処理の方法についての説明を省略する。
【0101】[第6の実施の形態例]上述した第1の実施の形態例〜第4の実施の形態例では、プリンタ、コピー機、ファクシミリ(FAX)等の出力装置など主に事務機におけるトラブル処理システムについて説明した。
【0102】しかし、上記トラブル処理システムは、事務機に限ることはなく、例えば、テレビ、パソコン、電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、ステレオコンポ、電子ピアノ、ゲーム機等の家庭製品におけるトラブル処理システムであってもよい。また、上記トラブル処理システムは、パソコンやゲーム機等で動作するアプリケーションソフトに関するトラブルを処理するためのトラブル処理システムであってもよい。
【0103】そこで、上記のような家庭製品におけるトラブル処理システムを第6の実施の形態例として以下説明する。
【0104】第6の実施の形態例におけるトラブル処理システムは、例えば、第1の実施の形態例における図1および図2のプリンタ103の代わりに、例えば、上記テレビ、パソコン、電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、ステレオコンポ、電子ピアノ、ゲーム機等の家庭製品のいずれか1つを置き換えて接続された構成である。
【0105】従って、第6の実施の形態例におけるトラブル処理システムにおけるトラブル処理の方法は、例えば、第1の実施の形態例における図1および図2で説明した内容と同じである。なお、第6の実施の形態例におけるトラブル処理システムおよびそのトラブル処理の方法についての説明は、重複するので、ここでの説明は省略する。
【0106】[第7の実施の形態例]上述した第1の実施の形態例および第2の実施の形態例でのトラブル処理システムでは、各種機器においてトラブルが発生するたびごとにトラブル情報をサービスセンタに通知し、リアルタイムでトラブル処理を実行する例について説明した。しかし本発明は以上の実施の形態例に限定されるものではなくリアルタイムでトラブル処理を行わないシステムにも適用可能である。
【0107】リアルタイム以外のトラブル処理を行う本発明に係る第7の実施の形態例システムについて以下説明する。
【0108】第7の実施の形態例のトラブル処理システムは、例えば、図1に示す第1の実施の形態例の構成と同じである。ただし、第7の実施の形態例が第1の実施の形態例と異なる点は、第1の実施の形態例のようにリアルタイムでトラブル処理を実行するのではなく、例えばプリンタで生じる個々のトラブルに対してはリアルタイムで対応せずに、プリンタで生じる個々のトラブルの発生回数を予めホストコンピュータなどにカウントしておき、このトラブル発生回数が所定の回数を超えた場合に、図1および図2でを用いて第1の実施の形態例で説明したトラブル処理を実行するシステムである。
【0109】したがって、第7の実施の形態例のトラブル処理システムは、リアルタイムでのトラブル処理ではなく、トラブルが頻繁に起こるようになった場合のトラブル処理を実行するシステムといえる。なお、上記の違い以外には、第7の実施の形態例と第1の実施の形態例の違いはない。
【0110】なお、第7の実施の形態例におけるトラブル処理システムおよびそのトラブル処理の方法についての説明は、第1の実施の形態例の説明と重複するので、ここでの説明は省略する。
【0111】上記説明では、トラブルの発生回数を予めホストコンピュータなどにカウントしておく例について説明したが、プリンタ、コピー機、ファクシミリ(FAX)等が持つ記憶装置にログ情報としてトラブル発生回数を保存しておき、パネル指定、ホストコンピュータのアプリケーションプログラムからのボタン押下等の簡単な操作で、ユーザの任意のタイミングで問い合わせを行うなどのトラブル処理を実行してもよい。
【0112】以上説明したように、かく十指の形態例のトラブル処理システムでは、トラブル発生時にその内容をサービスセンタへ自動通知することにより、トラブル通知に関するユーザの手間を省くことが可能である。また、トラブル発生通知、処理方法の検索及び処理方法の通知の自動化を行うことにより、最適な処理方法を24時間体制で迅速にユーザに通知することも可能である。またさらに、トラブルの内容と発生頻度、緊急度等を容易に把握することも可能であり、ユーザの満足度を高めるべく、各トラブルに対する抜本的な解決策をできるだけ早急に見つけ出せることも可能である。
【0113】
【他の実施の形態例】なお、本発明の目的は、前述した実施の形態例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態例の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施の形態例の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0114】さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0115】本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明した(図2、5、8、11に示す)フローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0116】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、トラブル発生時にそのトラブルの処理を迅速に行うことができるトラブル処理システムおよびその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態例のレーザプリンタのトラブル発生から処理を完了するまでの運用システムを説明するための概念図である。
【図2】第1の実施の形態例におけるレーザプリンタのトラブル発生から処理を完了するまでの運用システムを説明するためのイベントトレース図である。
【図3】第1の実施の形態例におけるサービスセンタへ転送する情報例を示す図である。
【図4】第1の実施の形態例における発生したトラブルに関しての処理方法の表示とその選択を行うUI画面の例を示す図である。
【図5】第1の実施の形態例におけるサービスセンタにおける診断処理を説明するフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態例における自動サービスを受けるためのユーザ登録を行うUI画面の例を示す図である。
【図7】本発明に係る第2実施の形態例におけるコピー機やファクシミリ(FAX)のトラブル発生から処理を完了するまでの運用システムを説明するための概念図である。
【図8】第2の実施の形態例におけるコピー機やファクシミリ(FAX)のトラブル発生から処理を完了するまでの運用システムを説明するイベントトレース図である。
【図9】本発明に係る第4実施の形態例におけるサービスセンタに送付又は通知する情報を印刷したプリント例を示す図である。
【図10】本発明に係る第5実施の形態例におけるデジタルカメラのトラブル発生から処理を完了するまでの運用システムを説明する概念図である。
【図11】第5実施の形態例におけるデジタルカメラのトラブル発生から処理を完了するまでの運用システムを説明するイベントトレース図である。
【図12】従来のトラブル発生から解決するまでの仕組みを説明するための図である。
【符号の説明】
101 ホスト
102 ホスト
103 プリンタ
104 LAN
105 サーバ
106 LAN
107 データベース
108 インターネット
109 サービスセンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】ユーザ装置とサービスセンタとを通信媒体を介して接続可能なトラブル処理システムであって、前記ユーザ装置は、前記サービスセンタへトラブル情報を通知する第1の送信手段と、前記サービスセンタよりの情報を受信する第1の受信手段と、前記第1の受信手段で受信した情報を出力する出力手段とを有し、前記サービスセンタは、トラブル処理策を格納するデータベースと、前記トラブル情報を受信する第2の受信手段と、前記第2の受信手段で受信した前記トラブル情報を解析し、前記データベースにアクセスして適切なトラブル処理策を検索する検索手段と、前記検索手段で検索した前記適切なトラブル処理策を前記ユーザ装置に送信する第2の送信手段とを有し、前記ユーザ装置は、前記サービスセンタから送信された前記適切なトラブル処理策を前記第1の受信手段で受信して前記出力手段より出力し、前記適切なトラブル処理策を確認可能とすることを特徴とするトラブル処理システム。
【請求項2】前記ユーザ装置は、更に、接続されている機器にトラブルが発生したか否かを検出する検出手段を有し、前記検出手段で前記機器のトラブルを検出すると、そのトラブル情報を前記通知手段を用いて前記サービスセンタへ通知することを特徴とする請求項1に記載のトラブル処理システム。
【請求項3】更に、前記ユーザ装置は、前記出力手段に表示された前記適切なトラブル処理策の中から最適な処理策を選択して、前記最適な処理策による処理を実行する実行手段を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトラブル処理システム。
【請求項4】更に、前記ユーザ装置は、前記出力手段に表示された前記適切なトラブル処理策の中から最適な処理策が選択されると、前記最適な処理策による処理を実行する実行手段を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトラブル処理システム。
【請求項5】前記実行手段は、前記最適な処理策に基づいて、トラブルを発生した機器または前記機器上で動作するソフトウエアプログラムの各種設定を変更することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のトラブル処理システム。
【請求項6】更に、前記出力手段は、前記第1の受信手段で受信した前記適切なトラブル処理策を音声で出力することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載のトラブル処理システム。
【請求項7】更に、前記出力手段は、前記第1の受信手段で受信した前記適切なトラブル処理策を表示出力することを特徴とする請求項6に記載のトラブル処理システム。
【請求項8】前記第2の送信手段は、前記適切な処理策を記載したデータを所定のフォーマットに変換してから前記ユーザ装置に送信することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1つに記載のトラブル処理システム。
【請求項9】前記第2の送信手段は、前記トラブル情報のデータを電子メール形式に変換して送信することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1つに記載のトラブル処理システム。
【請求項10】更に前記第2の送信手段は、前記トラブル情報のデータをファクシミリ送信するファクシミリ送信手段を有することを特徴とする請求項9に記載のトラブル処理システム。
【請求項11】前記検索手段は、前記トラブル情報の解析結果が保有するトラブル処理策に該当するトラブルの場合には、該当するトラブル処理策に対応するエラー回数をカウントアップするエラー回数更新手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1つに記載のトラブル処理システム。
【請求項12】前記検索手段は、前記トラブル情報の解析結果が保有するトラブル処理策に該当しない新規内容のトラブルの場合に前記新規内容を前記データベースに追加する追加手段を更に有ることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1つに記載のトラブル処理システム。
【請求項13】前記トラブル情報は、機種情報、エラー情報、設定情報およびユーザ情報を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1つに記載のトラブル処理システム。
【請求項14】前記機種情報は、プロダクトID、バージョン、構成情報、使用環境、運用目的、購入日を含むことを特徴とする請求項13に記載のトラブル処理システム。
【請求項15】前記エラー情報は、エラーID、発生日時を含むことを特徴とする請求項13に記載のトラブル処理システム。
【請求項16】前記設定情報は、ドライバ設定情報、プリンタの状態を含むことを特徴とする請求項13に記載のトラブル処理システム。
【請求項17】前記ユーザ情報は、ユーザ名、住所、電話番号、メールアドレスを含むことを特徴とする請求項13に記載のトラブル処理システム。
【請求項18】ユーザ装置とサービスセンタとを通信媒体を介して接続可能なトラブル処理システムに使用されるサーバであって、前記サービスセンタに備えられる前記サーバは、トラブル処理策を格納するデータベースと、前記ユーザ装置から通知される前記トラブル情報を受信する受信手段と、前記受信手段で受信した前記トラブル情報を解析し、前記データベースにアクセスして適切なトラブル処理策を検索する検索手段と、前記検索手段で検索した前記適切なトラブル処理策を前記ユーザ装置に送信する送信手段と、を有することを特徴とするトラブル処理システムに使用されるサーバ。
【請求項19】ユーザ装置とサービスセンタとを通信媒体を介して接続可能なトラブル処理システムの制御方法であって、前記ユーザ装置は、前記サービスセンタへトラブル情報を通知する第1の送信工程と、前記サービスセンタよりの情報を受信する第1の受信工程と、前記第1の受信手段で受信した情報を出力する出力工程とを有し、前記サービスセンタは、トラブル処理策を格納するデータベースと、前記トラブル情報を受信する第2の受信工程と、前記第2の受信工程で受信した前記トラブル情報を解析し、前記データベースにアクセスして適切なトラブル処理策を検索する検索工程と、前記検索工程で検索した前記適切なトラブル処理策を前記ユーザ装置に送信する第2の送信工程とを有し、前記ユーザ装置は、前記サービスセンタから送信された前記適切なトラブル処理策を前記第1の受信工程で受信して前記出力工程より出力し、前記適切なトラブル処理策を確認可能とすることを特徴とするトラブル処理システムの制御方法。
【請求項20】ユーザ装置とサービスセンタとを通信媒体を介して接続可能なトラブル処理システムに使用されるサーバの制御方法であって、前記サービスセンタに備えられる前記サーバは、トラブル処理策を格納するデータベースと、前記ユーザ装置から通知された前記トラブル情報を受信する受信工程と、前記受信工程で受信した前記トラブル情報を解析し、前記データベースにアクセスして適切なトラブル処理策を検索する検索工程と、前記検索工程で検索した前記適切なトラブル処理策を前記ユーザ装置に送信する送信工程と、を有することを特徴とするトラブル処理システムに使用されるサーバの制御方法。
【請求項21】ユーザ装置とサービスセンタとを通信媒体を介して接続可能なトラブル処理システムを制御する制御プログラムを格納した記憶媒体であって、前記制御プログラムは、前記ユーザ装置が前記サービスセンタへトラブル情報を通知する第1の送信工程のコードと、前記トラブル情報を受信する前記サービスセンタの第2の受信工程のコードと、前記第2の受信工程で受信した前記トラブル情報を解析し、トラブル処理策を格納する前記サービスセンタのデータベースにアクセスして、適切なトラブル処理策を検索する検索工程のコードと、前記検索工程で検索した前記適切なトラブル処理策を前記ユーザ装置に送信する第2の送信工程のコードと、前記ユーザ装置の前記サービスセンタよりの情報を受信する第1の受信工程のコードと、前記第1の受信手段で受信した情報を出力する出力工程のコードと、を有し、前記サービスセンタから送信された前記適切なトラブル処理策を前記ユーザ装置の前記第1の受信工程で受信して前記出力工程より出力し、前記適切なトラブル処理策を確認可能とすることを特徴とする記憶媒体。
【請求項22】ユーザ装置とサービスセンタとを通信媒体を介して接続可能なトラブル処理システムに使用されるサーバを制御する制御プログラムを格納した記憶媒体であって、前記制御プログラムは、前記ユーザ装置から通知された前記トラブル情報を受信する受信工程のコードと、前記受信工程で受信した前記トラブル情報を解析し、前記サービスセンタに備えられる前記サーバのトラブル処理策を格納するデータベースにアクセスして適切なトラブル処理策を検索する検索工程コードと、前記検索工程で検索した前記適切なトラブル処理策を前記ユーザ装置に送信する送信工程コードと、を有することを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図8】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2002−196917(P2002−196917A)
【公開日】平成14年7月12日(2002.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−395849(P2000−395849)
【出願日】平成12年12月26日(2000.12.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】