説明

トランクリッド骨格構造

【課題】車両に設けられるトランクリッドの骨格構造において、左右ヒンジ取り付け部の撓みを抑えてトランクリッド全体の剛性向上を図る。
【解決手段】トランクリッド11のインナパネルには、左右ヒンジ取り付け部28とロック取り付け部29との間に延在するべく略V字状に配された左右ビード部31が設けられ、前記左右トランクヒンジ14のヒンジアーム52の固定部54は、前記左右ビード部31の延在方向に沿って斜めに設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に設けられるトランクリッドの骨格構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記トランクリッド骨格構造において、トランクリッドがアウタパネル及びインナパネルを有してなり、かつ上面部及び後面部を有する断面略L字状に形成され、前記上面部の左右両側には左右ヒンジ取り付け部がそれぞれ設けられ、前記後面部の左右中央にはロック取り付け部が設けられ、前記インナパネルには、前記左右ヒンジ取り付け部とロック取り付け部との間に延在するべく略V字状に配された左右ビード部が設けられたものがある(例えば、特許文献1参照。)。このように、左右ヒンジ取り付け部とロック取り付け部とを左右ビード部を介してつなぐことで、トランクリッドの剛性を効率よく確保することが可能となる。
【特許文献1】特開平6−16177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来の技術においては、左右ビード部の端部近傍に左右ヒンジ取り付け部のヒンジ取り付け座面が形成されているが、該ヒンジ取り付け座面に取り付けられたヒンジアームと左右ビード部との間に撓みが生じ易く、トランクリッド全体の剛性を高めるためにもこのような点の改善が要望されている。
そこでこの発明は、車両に設けられるトランクリッドの骨格構造において、左右ヒンジ取り付け部の撓みを抑えてトランクリッド全体の剛性向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、車両(例えば実施例の車両1)に設けられるトランクリッド(例えば実施例のトランクリッド11)の骨格構造であって、前記トランクリッドは、車外側のアウタパネル(例えば実施例のアウタパネル21)と車内側のインナパネル(例えば実施例のインナパネル25)とを有してなり、かつ上面部及び後面部(例えば実施例の上面部12及び後面部13)を有する断面略L字状に形成され、前記上面部の左右両側には、左右トランクヒンジ(例えば実施例の左右トランクヒンジ14)のヒンジアーム(例えば実施例のヒンジアーム52)を取り付ける左右ヒンジ取り付け部(例えば実施例の左右ヒンジ取り付け部28)がそれぞれ設けられ、前記後面部の左右中央には、トランクロック機構(例えば実施例のトランクロック機構15)を取り付けるロック取り付け部(例えば実施例のロック取り付け部29)が設けられ、前記インナパネルには、前記左右ヒンジ取り付け部とロック取り付け部との間に延在するべく略V字状に配された左右ビード部(例えば実施例の左右ビード部31)が設けられ、前記左右ヒンジ取り付け部に固定されるヒンジアームの固定部(例えば実施例の固定部54)は、前記左右ビード部の延在方向に沿って斜めに設けられることを特徴とする。
【0005】
請求項2に記載した発明は、前記インナパネルには、前記左右ヒンジ取り付け部の間に延在するヒンジ側ビード部(例えば実施例のヒンジ側ビード部35)が設けられ、該ヒンジ側ビード部と前記左右ビード部とが連続して設けられることを特徴とする。
【0006】
請求項3に記載した発明は、前記左右ヒンジ取り付け部にはそれぞれ左右補強部材(例えば実施例の左右補強部材55)が設けられ、該左右補強部材が前記左右ビード部とヒンジ側ビード部とに跨って設けられることを特徴とする。
【0007】
請求項4に記載した発明は、前記左右補強部材が、前記左右ビード部の延在方向に沿って斜めに延在し、かつ前記ヒンジ側ビード部を横断する壁部(例えば実施例の内壁部56)を有することを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載した発明は、前記ヒンジアームの固定部の先端が車幅方向に沿ってカットされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載した発明によれば、左右トランクヒンジのヒンジアームの固定部が左右ビード部の延在方向に沿って斜めに設けられることで、左右ビード部がヒンジアームの固定部と直線的に連結されることとなり、左右ヒンジ取り付け部における撓みを効率よく抑えてトランクリッド全体の剛性向上を図ることができる。
また、左右ヒンジ取り付け部のヒンジ取り付け座面を左右ビード部に直接設けることが可能となり、左右ビード部の近傍に別途ヒンジ取り付け座面を形成するような場合と比べて、インナパネルの成形性を向上させてビード深さの増加等による剛性向上を図ると共に、作業孔(肉抜き孔)の拡大による作業性向上及び軽量化を図ることができる。
【0010】
請求項2に記載した発明によれば、左右ヒンジ取り付け部間をつなぐヒンジ側ビード部と左右ビード部とが連続することで、トランクリッドへの入力点である左右ヒンジ取り付け部及びロック取り付け部が各ビード部を介してつながることとなり、インナパネル全体の剛性を効率よく高めることができる。
【0011】
請求項3に記載した発明によれば、左右ヒンジ取り付け部の補強部材が左右ビード部とヒンジ側ビード部とに跨って設けられることで、左右ビード部とヒンジ側ビード部の連結部におけるトランクリッド開閉時の荷重に対する剛性を高めることができる。
【0012】
請求項4に記載した発明によれば、左右補強部材がその延在方向すなわち左右ビード部の延在方向に沿ってヒンジ側ビード部を横断する壁部を有することで、左右ビード部とヒンジ側ビード部の連結部におけるトランクリッド開閉時の荷重に対する剛性を高めることができる。
【0013】
請求項5に記載した発明によれば、ヒンジアームの固定部先端の角部を起点とした応力集中の発生を効果的に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実施例について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における向きと同一とする。また、図中矢印FRは車両前方を、矢印LHは車両左方を、矢印UPは車両上方をそれぞれ示す。
【0015】
図1に示すように、3ボックスタイプの車両1の後部において、車室2の後方に位置するトランクルーム3には、その開口を開閉するトランクリッド11が設けられる。トランクリッド11は、トランクルーム3を上方から覆う上面部12と、トランクルーム3を後方から覆う後面部13とを一体に有してなり、車幅方向(左右方向)と直交する断面形状が略L字状となるように構成される。なお、この実施例におけるトランクリッド11に係る各構成は、特に記載が無ければ車体左右中心に対して左右対称とする。
【0016】
トランクリッド11の上面部12の前端部両側は、左右一対のトランクヒンジ14を介して車体に回動可能に支持される。トランクリッド11は、その全閉状態において、上面部12を水平面よりもやや後下がりとなるように傾斜させ、後面部13を垂直面よりも下端部が後側に位置するように傾斜させた状態に配置される。この状態から、前記後面部13を上方に移動させるようにトランクリッド11が回動することで、トランクルーム3の開口が上方及び後方に向けて開放される。
【0017】
また、トランクリッド11は、前述の如くトランクルーム3を開放させた状態から、後面部13を下方に移動させるように回動し、トランクルーム3の開口を閉じきった前記全閉状態となった際には、後面部13の下端部中央に取り付けたトランクロック機構15を車体側に係合させ、前記全閉状態を保つべくロックされる。この状態から所定のロック解除動作がなされることで、トランクリッド11が前述の如く回動してトランクルーム3の開口を開放することが可能となる。
【0018】
図2に示すように、トランクリッド11は、その外面(車両外面)を形成するアウタパネル21と、該アウタパネル21を車内側(トランクルーム3側)から補強するインナパネル25とを主になる。インナパネル25は、アウタパネル21の裏面に概ね整合するように設けられる。
【0019】
すなわち、アウタパネル21及びインナパネル25は、トランクリッド11の全体形状と同様、車幅方向と直交する断面形状が略L字状に形成される。以下、アウタパネル21及びインナパネル25における前記上面部12を構成する部位をそれぞれアウタ上面部22及びインナ上面部26とし、前記後面部13を構成する部位をそれぞれアウタ後面部23及びインナ後面部27とする。
【0020】
アウタパネル21及びインナパネル25は、各上面部22,26同士及び各後面部23,27同士を互いに整合させ、その外周縁部(各上面部22,26の前縁部及び両側縁部並びに各後面部23,27の両側縁部及び下縁部)をヘミング加工により一体に接合すると共に、内周側を接着剤及び溶接等により適宜接合することで、一体のトランクリッド11を構成する。
【0021】
図3を併せて参照し、インナパネル25において、インナ上面部26の前端部両側には、左右トランクヒンジ14を取り付けるための左右ヒンジ取り付け部28が設けられる。また、インナ後面部27の下端部中央には、トランクロック機構15を取り付けるためのロック取り付け部29が設けられる。
【0022】
左右トランクヒンジ14は、左右ヒンジ取り付け部28にその下方(トランクリッド11外側、トランクルーム3側)からボルト等により取り付けられ、トランクロック機構15は、ロック取り付け部29の後側(トランクリッド11内側)からボルト等により取り付けられる(ヒンジ取り付け用のボルトのみ図2中符号14aで示す)。インナパネル25には、トランクリッド11内にトランクロック機構15他の各部品を取り付ける可能とする作業孔16(肉抜き孔でもある)が適宜形成される。
【0023】
インナパネル25には、左右ヒンジ取り付け部28とロック取り付け部29との間に渡って延びる左右ビード部31が形成される。左右ビード部31は、トランクリッド11を上方(又は後方)から見て略V字状となるように、インナ上面部26及びインナ後面部27に跨って略一定の断面形状を有して斜めかつ直線的に延びる。
【0024】
左右ビード部31は、その断面形状がトランクルーム3側に突出する台形状をなし、該台形状の下底側を開放側としてアウタパネル21に対向させる。左右ビード部31の前記開放側の両側縁部は、それぞれアウタパネル21に接着剤又は溶接等により接合され、これら左右ビード部31とアウタパネル21とが閉断面構造(骨格構造)を構成する。以下、左右ビード部31の車幅方向内側の壁部を内壁部32、車幅方向外側の壁部を外壁部33、前記台形状の上底側の壁部を底壁部34とする。
【0025】
左右ビード部31は、その前端部(上端部)がインナパネル25の側縁部近傍に位置し、後側(下側)ほどインナパネル25の側縁部から離間し左右内側に位置するように斜めに延びる。このように、ビード深さを確保し難いインナパネル25の両側縁部を避けて左右ビード部31を形成することで、インナパネル25全体の成形性向上に寄与する。
【0026】
また、インナパネル25には、左右ヒンジ取り付け部28間に渡って延びるヒンジ側ビード部35が形成される。ヒンジ側ビード部35は、インナ上面部26の前縁分に沿うように、後方に凸の緩やかな円弧状をなして略一定の断面形状を有して延びる。
【0027】
ヒンジ側ビード部35は、その断面形状がトランクルーム3側に突出する台形状をなし、該台形状の下底側を開放側としてアウタパネル21に対向させる。ヒンジ側ビード部35の前記開放側の両側縁部は、それぞれアウタパネル21に接着剤又は溶接等により接合され、これらヒンジ側ビード部35とアウタパネル21とで閉断面構造(骨格構造)を構成する。以下、ヒンジ側ビード部35の後側の壁部を後壁部36、前側の壁部を前壁部37、前記台形状の上底側の壁部を底壁部38とする。
【0028】
各ビード部31,35は、トランクリッド11を上方(又は後方)から見て、左右ヒンジ取り付け部28及びロック取り付け部29を頂点としてこれらを結ぶ逆三角形状に配置される。このように、トランクリッド11に対する入力点となる左右ヒンジ取り付け部28及びロック取り付け部29を、各ビード部31,35を主とする骨格構造で直線的に結ぶことで、トランクリッド11の剛性が効率よく高められている。これは、特に上面部12及び後面部13を有する断面略L字状のトランクリッド11において、その閉時におけるトランクロック機構15からの突き上げ荷重に対する十分な剛性を確保するという点で好ましい。
【0029】
左右ヒンジ取り付け部28は、それぞれ左右ビード部31の前端部(上端部)とヒンジ側ビード部35の左右端部との連結部41(左右ビード連結部)でもあり、ロック取り付け部29は、左右ビード部31の下端部(後端部)同士の連結部45(中央ビード連結部)でもある。
【0030】
中央ビード連結部45において、左右ビード部31の下端部同士は、トランクロック機構15を取り付けるロック取り付け座面46を挟んで所定量離間した状態で連結される。
一方、左右ビード連結部41において、左右ビード部31の前端部とヒンジ側ビード部35の左右端部とは、それぞれ互いに折り返すように鋭角に湾曲して連なる。このように、左右ビード部31の前端部とヒンジ側ビード部35の左右端部とを連続的に設けることで、左右ヒンジ取り付け部28の剛性が効率良く高められている。
【0031】
図2に示すように、左右トランクヒンジ14は、車体側にボルト等により固定されるベース部材51と、トランクリッド11側にボルト14a等により固定されるヒンジアーム52とを主になり、ヒンジアーム52の前端部がベース部材51に車幅方向に沿うヒンジ軸53を介して回動可能に連結される。左右ヒンジアーム52の後半部は、トランクリッド11(インナパネル25)の左右ヒンジ取り付け部28に対する固定部54とされる。なお、ヒンジアーム52の前半部は、トランクリッド11を開いた際に車体との干渉を避けるべく下方に凸の円弧状に形成される。
【0032】
図4(a)を併せて参照し、左右ヒンジアーム52は、その前半部が車両前後方向と略平行に設けられるのに対し、その後半部すなわち固定部54は後端側ほど車幅方向内側に位置するように傾斜して設けられる。これにより、左右ヒンジアーム52の固定部54が左右ビード部31の延在方向と略平行になり、もって左右固定部54と左右ビード部31とが直線的に連なる。この状態で、左右固定部54が左右ビード部31の前端部に設けたヒンジ取り付け座面42にボルト14a等により固定される。
【0033】
その結果、左右ビード部31がヒンジアーム52の固定部54と直線的に連結されることとなり、左右ヒンジ取り付け部28における撓みが抑えられてトランクリッド11の剛性が効率良く高められる。また、左右ビード部31の前端部近傍に別途ヒンジ取り付け座面42を形成したり、左右ビード部31の前端部をインナパネル25の側縁部に沿って湾曲させたりする必要が無くなり、インナパネル25の成形性(成形自由度)が向上し、もってビード深さの確保によるインナパネル25の剛性向上に寄与する。
【0034】
図5に示すように、左右ビード部31の前端部内側には、ヒンジ取り付け座面42周辺を補強する左右補強部材55がそれぞれ設けられる。左右補強部材55は、左右ビード部31の前端部の内面に整合するべく断面台形状をなして該左右ビード部31の延在方向に沿って斜めに延在する。以下、左右補強部材55の車幅方向内側の壁部を内壁部56、車幅方向外側の壁部を外壁部57、前記台形状の上底側の壁部を底壁部58とする。
【0035】
左右補強部材55の内壁部56、外壁部57、及び底壁部58は、それぞれ左右ビード部31の内壁部32、外壁部33、及び底壁部34にスポット溶接により接合される(図示可能なスポット打点のみ図中符号SPで示す)。
左右補強部材55の内壁部56及び外壁部57は、左右ビード部31の前端(ヒンジ側ビード部35の左右端部における前壁部37でもある)まで延びる。このとき、左右補強部材55の内壁部56は、ヒンジ側ビード部35の左右端部を横断することとなる。
【0036】
左右補強部材55は、内壁部56及び外壁部57の前端の間に渡る前端壁部59を有し、該前端壁部59が左右ビード部31の前端(ヒンジ側ビード部35の左右端部の前壁部37)に突き当たってこれにスポット溶接により接合される。左右補強部材55の底壁部58は、該底壁部58に前後に並んで形成された一対のボルト孔58aの前方、両ボルト孔58aの間、及びボルト孔58aの後方の三箇所でインナパネル25にスポット溶接される。
【0037】
また、左右補強部材55の内壁部56は、その後半部分の前後二箇所がインナパネル25にスポット溶接される。さらに、左右補強部材55の外壁部57も前後複数個所がインナパネル25にスポット溶接されており、左右ヒンジ取り付け部28周辺に荷重が入力された際のスポット打点への応力集中を抑えている。
【0038】
図4(b)に示すように、左右トランクヒンジ14のヒンジアーム52の後端部は、単にその延在方向と直交するようにカットされておらず、車幅方向と略平行にカットされた傾斜カット部52aを有している。これにより、左右トランクヒンジ14に支持されたトランクリッド11に各種入力があった際にも、左右ヒンジ取り付け座面42における左右ヒンジアーム52の前端角部の接点での応力集中が抑えられ、もって左右ヒンジ取り付け部28の剛性が効率よく高められる。
【0039】
以上説明したように、上記実施例におけるトランクリッド骨格構造は、トランクリッド11が、車外側のアウタパネル21と車内側のインナパネル25とを有してなり、かつ上面部12及び後面部13を有する断面略L字状に形成され、前記上面部12の左右両側には、左右トランクヒンジ14のヒンジアーム52を取り付ける左右ヒンジ取り付け部28がそれぞれ設けられ、前記後面部13の左右中央には、トランクロック機構15を取り付けるロック取り付け部29が設けられ、前記インナパネル25には、前記左右ヒンジ取り付け部28とロック取り付け部29との間に延在するべく略V字状に配された左右ビード部31が設けられ、前記左右ヒンジアーム52の固定部54は、前記左右ビード部31の延在方向に沿って斜めに設けられるものである。
【0040】
この構成によれば、左右ヒンジアーム52の固定部54が左右ビード部31の延在方向に沿って斜めに設けられることで、左右ビード部31がヒンジアーム52の固定部54と直線的に連結されることとなり、左右ヒンジ取り付け部28における撓みを効率よく抑えてトランクリッド11全体の剛性向上を図ることができる。
また、左右ヒンジ取り付け部28のヒンジ取り付け座面42を左右ビード部31に直接設けることが可能となり、左右ビード部31の近傍に別途ヒンジ取り付け座面42を形成するような場合と比べて、インナパネル25の成形性を向上させてビード深さの増加等による剛性向上を図ると共に、作業孔16(肉抜き孔)の拡大による作業性向上及び軽量化を図ることができる。
【0041】
また、上記トランクリッド骨格構造においては、前記インナパネル25には、前記左右ヒンジ取り付け部28の間に延在するヒンジ側ビード部35が設けられ、該ヒンジ側ビード部35と前記左右ビード部31とが連続して設けられることで、トランクリッド11への入力点である左右ヒンジ取り付け部28及びロック取り付け部29が各ビード部31,35を介してつながることとなり、インナパネル25全体の剛性を効率よく高めることができる。
【0042】
また、上記トランクリッド骨格構造においては、前記左右ヒンジ取り付け部28にはそれぞれ左右補強部材55が設けられ、該左右補強部材55が、前記左右ビード部31の延在方向に沿って斜めに延在し、かつ前記ヒンジ側ビード部35を横断する内壁部56を有することで、左右ビード部31とヒンジ側ビード部35の連結部41におけるトランクリッド11開閉時の荷重に対する剛性を高めることができる。
【0043】
また、上記トランクリッド骨格構造においては、前記ヒンジアーム52の固定部54の先端が車幅方向に沿ってカットされることで、ヒンジアーム52の固定部54先端の角部を起点とした応力集中の発生を効果的に防止できる。
【0044】
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、例えば、前記トランクロック機構15を車体側に取り付け、該トランクロック機構15に対応するストライカをトランクリッド11に取り付けた構成としてもよい。また、左右補強部材55が左右ビード部31とヒンジ側ビード部35とに跨りこれらに沿って屈曲するような構成であってもよい。
そして、上記実施例における構成はこの発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明の実施例における車両後部の斜視図である。
【図2】上記車両のトランクリッドの分解斜視図である。
【図3】上記トランクリッドのインナパネルの斜視図である。
【図4】(a)は上記トランクリッドの主要構成を示す上面説明図であり、(b)は(a)のA部拡大図である。
【図5】上記インナパネルのヒンジ取り付け部の斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 車両
11 トランクリッド
12 上面部
13 後面部
14 トランクヒンジ
15 トランクロック機構
21 アウタパネル
25 インナパネル
28 ヒンジ取り付け部
29 ロック取り付け部
31 左右ビード部
35 ヒンジ側ビード部
52 ヒンジアーム
54 固定部
55 補強部材
56 内壁部(壁部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられるトランクリッドの骨格構造であって、
前記トランクリッドは、車外側のアウタパネルと車内側のインナパネルとを有してなり、かつ上面部及び後面部を有する断面略L字状に形成され、
前記上面部の左右両側には、左右トランクヒンジのヒンジアームを取り付ける左右ヒンジ取り付け部がそれぞれ設けられ、前記後面部の左右中央には、トランクロック機構を取り付けるロック取り付け部が設けられ、
前記インナパネルには、前記左右ヒンジ取り付け部とロック取り付け部との間に延在するべく略V字状に配された左右ビード部が設けられ、
前記左右ヒンジ取り付け部に固定されるヒンジアームの固定部は、前記左右ビード部の延在方向に沿って斜めに設けられることを特徴とするトランクリッド骨格構造。
【請求項2】
前記インナパネルには、前記左右ヒンジ取り付け部の間に延在するヒンジ側ビード部が設けられ、該ヒンジ側ビード部と前記左右ビード部とが連続して設けられることを特徴とする請求項1記載のトランクリッド骨格構造。
【請求項3】
前記左右ヒンジ取り付け部にはそれぞれ左右補強部材が設けられ、該左右補強部材が前記左右ビード部とヒンジ側ビード部とに跨って設けられることを特徴とする請求項2記載のトランクリッド骨格構造。
【請求項4】
前記左右補強部材が、前記左右ビード部の延在方向に沿って斜めに延在し、かつ前記ヒンジ側ビード部を横断する壁部を有することを特徴とする請求項3記載のトランクリッド骨格構造。
【請求項5】
前記ヒンジアームの固定部の先端が車幅方向に沿ってカットされることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のトランクリッド骨格構造。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate