説明

トランクルームのサイドライニングの構造

【課題】部品点数が少なく、組み付け作業が容易でかつメンテナンス性も良い、照明装置、換気口およびフューエルリッド手動ロック解除操作のための開口部を備えたトランクルームのサイドライニングの構造を提供する。
【解決手段】車両のトランクルーム20の側面に内装されるサイドライニング30であって、前記サイドライニング30は開口31を有し、前記開口31には、通気孔を備えた板状の蓋体40が画設され、前記蓋体40は前記トランクルーム20側に向けられた照明装置を備えるた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4輪自動車(以下、単に車両と記す)のトランクルームのサイドライニングの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のトランクルームは、床、車室とのしきい、サイドライニングおよび開閉可能なトランクリッドによって荷室を構成している。トランクルームには、搭載する荷物を視認して出し入れを容易にするために照明装置を備えているものがある(特許文献1参照)。また、トランクルームの換気を行うために、サイドライニングに換気口を形成し、この換気口にトランクルームからの空気を導いて、トランクルーム内の温度低下を行う技術も開示されている(特許文献2参照)。
一方、一般の車両は、乗員が車室内からフューエルリッドを開放できる機構を備えているが、この機構が故障したときには手動でフューエルリッドのロックを解除できるようになっている。このフューエルリッド開放機構は、サイドライニングの裏側に位置することから、フューエルリッドの手動ロック解除操作のための開口部がサイドライニングに設けられているものがある。この開口部にはトランクルームの壁面を構成する蓋体を付ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4−42442号公報
【特許文献2】特開平10−244878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記したように、照明装置、換気口およびフューエルリッド手動ロック解除操作のための開口部を備えたトランクルームは利便性が良く、好ましい形態となる。しかしながら、それぞれを別々に構成すると、各機能を達成するためサイドライニングの形状は複雑なものとなる。さらに、部品数は多くなり、組み付け作業は煩雑となるため、コスト高で生産性も低くなる。また、電装部品である照明装置は、メンテナンスが必要となるため、着脱し易い形態が好ましい。
【0005】
本発明は前記課題を鑑みてなされたもので、部品点数が少なく、組み付け作業が容易でかつメンテナンス性も良い、照明装置、換気口およびフューエルリッド手動ロック解除操作のための開口部を備えたトランクルームのサイドライニングの構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両のトランクルームの側面に内装されるサイドライニングの構造に適用される。このサイドライニングは開口を有し、開口には、通気孔を備えた板状の蓋体が装着されている。蓋体は前記トランクルーム側に向けられた照明装置を備える構成としている。
【0007】
かかる構成とすることにより、これまで別々に構成されていた照明装置、換気口およびフューエルリッド手動ロック解除操作のための開口部の蓋を一つの蓋体にまとめ、この蓋体をトランクルームのサイドライニングに開けられた開口部に装着するだけで組み付けることができる。
【0008】
前記構成において、サイドライニングの開口の縁部にハウジングを設けて、照明装置からの光が前記トランクルームの外方へ漏れることを遮断するようこのハウジングを配設するように構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、部品点数が少なく、組み付け作業が容易でかつメンテナンス性も良い、照明装置、換気口およびフューエルリッド手動ロック解除操作のための開口部を備えたサイドライニングの構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係るトランクリッドを外した状態でトランクルームを車両の斜め後方から見た斜視図である。
【図2】図1の矢視Xから見た本実施形態の一実施例であるサイドライニングに画設された蓋体の正面図である。
【図3】図2の蓋体を裏面から見た背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明にかかるトランクルームのサイドライニングの構造を車両に適用した一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、車両を斜め後方から見た斜視図であり、トランクリッドを外した状態でトランクルームを臨んでいる。図2は図1の矢視Xから見た本実施形態の一実施例であるサイドライニングに画設された蓋体の正面図である。図3は図2の蓋体を裏面から見た背面図である。なお、以下の説明では4輪自動車のセダン型を例とするが、限定されないことはいうまでもない。
【0012】
図1を参照すると、車両10の車室11の後部には、荷室となるトランクルーム20が備えられている。トランクルーム20は、主に車室11との隔壁となるフロントパネル21、床となるフロアパネル22、左右のサイドライニング30に仕切られた部屋となっており、図示しないトランクリッドの開閉によって荷物の出し入れを行うことができる。
【0013】
サイドライニング30は、その裏面側に装備されているタイヤや機器、配線等のために凹凸や開口を有する所要の形状に成形される。サイドライニング30は、ポリプロピレン(PP)樹脂等から、モールドプレス成形や射出成形によって成形されている。なお、材料はPP樹脂に限定されることはなく、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂を適用することもできる。
【0014】
本実施形態のサイドライニング30には、図1に示すように蓋体40がサイドライニング30の開口31に囲まれた状態で設けられている。図1において蓋体40は、車両10の進行方向に向かって左側に配設されているが、蓋体40の位置はフューエルリッド手動ロック解除操作のための開口部としての機能を達成することができれば左側に限定はされない。
【0015】
図2を参照すると、蓋体40は、前面の一部に照明装置50が配設されるための照明装置開口部43が形成されている。照明装置開口部43の周囲には照明装置50の光が蓋体40の裏側へ漏れないように光遮蔽部42が形成されている。照明装置装着部43と光遮蔽部42を除く蓋体40の前面は、格子状の通気孔41が形成されている。通気孔41形成に当たり、格子状としたのは、蓋体40の構造的な強度を確保するためである。なお、格子は一例であり、例えば丸穴や楕円穴を適用することもできる。かかる通気孔41を備えることにより、トランクルーム20の換気を十分に行うことでき、トランクルーム20内の温度低下などの効果が期待できる。ここで、通気に必要となる通気孔41の総断面積は、トランクルーム20の容量や車両10が曝される環境条件等を考慮して適宜設定される。この通気孔41は積極的に空気を通過させるものであり、例えば蓋体40が装着されたときの隙間とは異なるものである。
【0016】
蓋体40の周囲には複数の取り付け部44が形成されており、図3に示すように、サイドライニング30の開口部31の周囲に設けられた取り付け部32と係合することによって、サイドライニング30に装着される。取り付け部44は、例えば図2に示すように矩形状の突出片とし、取り付け部32は、この突出片に一致する凹部を図3の開口部31に設けることができる。このように、蓋体40は、サイドライニング30に簡単に組み付けることができる。蓋体40は、ポリプロピレン(PP)樹脂等から、モールドプレス成形や射出成形によって成形することができるが、これらの材料に限定はされない。蓋体40の材料に樹脂を適用することにより、軽量化が図られ、蓋体40の取り付け時の取り回しを良くすることができる。
【0017】
図3を参照すると、光遮蔽部42の範囲とほぼ一致するようにハウジング33が開口部31に突出するように形成されている。照明装置開口部43は、照明装置50の配線等を引き出す必要があるため、少なくとも一部が開口している。この開口部分からの光の漏れを遮蔽するため、ハウジング33は光遮蔽部42とほぼ一致するように形成されている。ハウジング33は、サイドライニング30と一体で形成することができる。
【0018】
本実施形態にかかるサイドライニング30の構造は、換気のための通気孔41を備えた蓋体40を、トランクルーム20側から開口部31への取り付け、取り外しを容易とする。かかる構成によって、蓋体40が取り外された開口部31から手を入れて、フューエルリッド手動ロック解除操作を容易に行うことができる。なお、ハウジング33は照明装置50の装着や光の遮蔽のために必要となるが、開口部31に大きく突出する構成とはならない。従って、蓋体40を取り外して、フューエルリッド手動ロック解除操作を行うときの支障とはならない。
【0019】
照明装置開口部43は、照明装置50の外縁のサイズに合わせた開口としてもよい。かかる構成は、配線を行い、ハウジング33に照明装置50を装着した後に、蓋体40を取り付けることができ、作業性を向上させることとなり好ましい。
一方、ハウジング33のトランクルーム20側にコネクタを設けて、照明装置50をこのコネクタと結合する構成とした場合には、前記した照明装置50の外縁のサイズに合わせて開口を設ける必要はない。かかる構成においては、蓋体40を装着した状態で照明装置50のメンテナンス、交換を容易に行うことができる。
【0020】
以上本発明の実施形態で説明したように、本発明は部品点数の削減、取り付け工数の低減、照明装置のメンテナンス容易化による工数低減を図ることができる。これで、具体的実施形態の説明を終えるが、本発明の態様は上記実施形態に限られるものではない。例えば、本発明では照明装置、換気口およびフューエルリッド手動ロック解除操作のための開口を集約しているが、この中の二つの機能を集約する構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0021】
10 車両
11 車室
20 トランクルーム
21 フロントパネル
22 フロアパネル
30 サイドライニング
31 開口部
32 取り付け部
33 ハウジング
40 蓋体
41 通気孔
42 光遮蔽部
43 照明装置開口部
44 取り付け部
50 照明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のトランクルームの側面に内装されるサイドライニングであって、
前記サイドライニングは開口を有し、
前記開口には、通気孔を備えた板状の蓋体が装着され、
前記蓋体は前記トランクルーム側に向けられた照明装置を備えることを特徴とするサイドライニングの構造。
【請求項2】
前記サイドライニングには前記開口の縁部にハウジングが設けられ、
前記ハウジングは、前記照明装置からの光が前記トランクルームの外方へ漏れることを遮断するよう配設されていることを特徴とする請求項1に記載のサイドライニングの構造。
【請求項3】
前記開口は、フューエルリッドの手動ロック解除操作位置に開設されていることを特徴とする請求項1または2に記載のサイドライニングの構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−158998(P2010−158998A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3057(P2009−3057)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】