説明

トリガースイッチ

【課題】切替可動接片の撓みといった現象を皆無にすることができ、接触圧も常時安定して得ることができるトリガースイッチを提供する。
【解決手段】トリガースイッチは、モーターの正転・逆転を切替ノブの操作で切替える切替レバー15を収容する切替レバー収容室が設けてあるケース13と、前記切替レバーが収容されている切替レバー収容室に隣接した位置に設けた摺動切替基板収納部にケースの開口面に対して鉛直方向から差し込んで配置される摺動切替基板と、前記摺動切替基板の一方の面に設けた第1切替接触子、及びこの第1切替接触子と所定間隔を持って且つ第1切替接触子よりも長く帯状に形成した第2切替接触子を備え、前記切替レバーの切替制御部に取付けられている切替可動接片が、前記摺動切替基板に配置されている第1切替接触子及び第2切替接触子に接触して摺動することで、モーターの正転・逆転の信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトリガースイッチに関し、詳しくはブラシレスモーター搭載工具等に使用される電動工具用スイッチであるトリガースイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術における電動工具用スイッチは、図35に示すように、箱状に形成された内部に摺動接点機構(速度制御部)を組み込み、外部のトリガーレバー111からの摺動操作を伝達する摺動操作部112を備え、且つ側面を開口にしたケース113と、ケース113の側面の開口面を塞ぐと共に、内側側面に摺動切替基板165を搭載したカバー114と、手の指で操作できるトリガーレバー111と、ケース113の上部位置にモーターの正転と逆転を切替える切替レバー115と、を備えた構成になっている。
【0003】
ケース113は、側面を開口にした箱型形状に形成され、下部位置に2つの第1及び第2摺動可動接片161a、161bを備え且つトリガーレバー111に連結している摺動操作部112を収納するスペースを設け、上部位置にモーターの正転と逆転を切替える切替レバー115を収納するスペースを設けた構造となっている。
【0004】
摺動操作部112は、棒状に形成し自由端部にトリガーレバー111を取り付けることができるプランジャー155と、このプランジャー155の基部側であって側面に平行に2つの第1摺動可動接片161a及び第2摺動可動接片161bを配置してモーターの起動及び回転速度を制御する速度制御部157を設けた構造となっている。
【0005】
摺動切替基板165は、図36に示すように、モーターの正転・逆転を切替える第1及び第2切替接触子168a、168bが2つ平行に配置され、その第1及び第2切替接触子168a、168bの下部位置にモーターの可変制御する第3及び第4摺動接触子166c、166dを平行に配置し、その下部位置にモーターを起動させるための第1及び第2摺動接触子166a、166bを平行に配置した構成となっている。
【0006】
切替レバー115は、立方体に形成された切替操作部172の上端部に上方向に突出形成した切替ノブ171を備え、略中心位置に切替レバー115が回動自在な中心軸となる回動軸173、後端部の側面に切替の信号を発生させる導電性金属部材で形成された切替可動接片176を装着する接片部177を備えた構成になっている。
【0007】
このような構造の切替レバー115においては、切替レバー115の回動軸173を回動軸係合孔181に係合させ、接片部177をスペースに収納した状態にすることで、切替可動接片176が切替接触子168a、168bに対峙した状態となる。そして、図37に示すように、切替可動接片176が第1及び第2切替接触子168a、168bに対峙した状態、即ち、出力信号がオフの状態に維持する。
【0008】
この状態から、図38に示すように、切替レバー115を動かして切替操作をすると、切替可動接片176が、摺動切替基板165に上部方向から当接して、第1切替接触子168aと第2切替接触子168bを導通状態にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−054540
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来技術で説明したトリガースイッチにおいては、特にモーターの正転・逆転を制御する切替レバー115において、正逆切替用の切替レバーの正転若しくは逆転の1出力のみ切替信号を作成する構成であるために、正逆切替用の切替レバーの中立と逆転時若しくは正転時の切替信号が出力なしとなり、中立時に正転若しくは逆転の信号と誤認識するといった誤動作を起こす問題がある。
【0011】
又、切替レバー115を操作してモーターの正転・逆転を切り替える際に、図39に示すように、切替可動接片176を基板上の第1(第2)切替接触子168a(168b)上に押し当てることにより、切替信号を生成していたが、図40に示すように、切替レバー115を揺すった場合、切替レバー115と切替可動接片176がいわば一体となっているために、揺すった動きが切替可動接片176に伝わり、切替可動接片176の接圧が弱くなり接触が不安定となる。即ち、切替レバー115の僅かな動き(例えば、ふらつき)により切替可動接片176の接触圧力が変化し、接触不安定な状態になるという問題もある
【0012】
更に、切替可動接片176を第1(第2)切替接触子168a(168b)に押し当てる構造であると、切替レバー115の切替えの度に、切替可動接片176が撓むため、繰り返し応力による切替可動接片176の破断が発生するという問題もある。
【0013】
従って、従来の切替可動接片を切替接触子に押し当てる構造を根本的に見直し、モーターの正転と逆転に関する信号の生成を別々の手法で出力することにより誤認識を皆無にし、又、部品点数を増やすことなく接触圧力の変化を生じさせない構造及び繰り返し応力による破断を防止することに解決しなければならない課題を有する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本願発明のトリガースイッチは、次に示す構成にすることである。
【0015】
(1)トリガースイッチは、モーターの正転と逆転を切替ノブの操作で切替える切替レバーを収容する切替レバー収容室が設けてあるケースと、前記切替レバーが収容されている切替レバー収容室に隣接した位置に設けた摺動切替基板収納部にケースの開口面に対して鉛直方向から差し込んで配置される摺動切替基板と、前記摺動切替基板の一方の面に設けた第1切替接触子、及びこの第1切替接触子と所定間隔を持って且つ第1切替接触子よりも長く帯状に形成した第2切替接触子を備え、前記切替レバーの切替制御部に取付けられている切替可動接片が、前記摺動切替基板に配置されている第1切替接触子及び第2切替接触子に接触して摺動することで、モーターの正転と逆転の信号を生成することを特徴とする。
(2)前記切替レバーに防塵用のパッキンを備えたことを特徴とする(1)に記載のトリガースイッチ。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るトリガースイッチは、ケースの開口面に対して鉛直に摺動切替基板を配置し、切替レバーの切替可動接片が、摺動切替基板に設けてある切替接触子に常に接触した状態で摺動することで、切替可動接片の金属疲労による破断といった現象を皆無にすることができ、接触圧力も常時安定して得ることができるため、外部からの要因による接触圧力の変化も皆無に等しくなり、良好な接続状態を得ることができる。
また、切替レバーに防塵用のパッキンを備えた構成にすることで、スイッチの外部に備えた切替レバーの操作により発生する動き部分の隙間からの塵の侵入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る第1実施例のトリガースイッチの外観を示した斜視図である。
【図2】同、底部が見える位置からの外観を示した斜視図である。
【図3】同、図1に示す外観の反対側からの外観を示した斜視図である。
【図4】同、図3に示す外観に対して底部が見える位置からの外観を示した斜視図である。
【図5】同、分解した個々の部品を示す斜視図である。
【図6】同、図5の分解図に対して反対方向からみた各部品を示す斜視図である。
【図7】同、組み立てる前のケースを示す斜視図である。
【図8】同、図7に示すケースに摺動切替基板を収納した様子を示す斜視図である。
【図9】同、図8に示すケースに摺動操作部を取付けた様子を示す斜視図である。
【図10】同、図9に示すケースに切替レバーを取付けた様子を示す斜視図である。
【図11】同、図10に示すケースにカバーを取付けた様子を示す斜視図である。
【図12】同、図11に示す略組み終わったスイッチにトリガーレバーを取付けた様子を示す斜視図である。
【図13】同、図5に示す摺動切替基板のモーター制御側の接触子の構成を示す平面図である。
【図14】同、図6に示す摺動切替基板のモーターの正転・逆転を制御する接触子の構成を示す平面図である。
【図15】同、図10に示した部品を組み立てた様子を反対側から示す斜視図である。
【図16】同、モーターの正転のみ出力するための接触子の配置状態を示した説明図である。
【図17】同、モーターの逆転のみ出力するための接触子の配置状態を示した説明図である。
【図18】同、モーターの正転・逆転の両方を出力するための接触子の配置状態を示した説明図である。
【図19】同、切替レバーが中立時のときの様子を示す説明図である。
【図20】同、切替レバーが正転時のときの様子を示す説明図である。
【図21】同、切替レバーが逆転時のときの様子を示す説明図である。
【図22】本発明に係る第2実施例のトリガースイッチの外観を示した斜視図である。
【図23】同、底部が見える位置からの外観を示した斜視図である。
【図24】同、図22に対する外観から反対側からの外観を示した斜視図である。
【図25】同、図24に示す外観に対して底部が見える位置からの外観を示した斜視図である。
【図26】同、分解した個々の部品を示す斜視図である。
【図27】同、図26の分解図に対して反対方向からみた各部品を示す斜視図である。
【図28】同、組み立てる前のケースを示す斜視図である。
【図29】同、図28に示すケースに摺動切替基板を収納した様子を示す斜視図である。
【図30】同、図29に示すケースに更にガイド板を収納させた様子を示す斜視図である。
【図31】同、図30に示すケースに摺動操作部を取付けた様子を示す斜視図である。
【図32】同、図31に示すケースに切替レバーを取付けた様子を示す斜視図である。
【図33】同、図32に示すケースにカバーを取付けた様子を示す斜視図である。
【図34】同、図33に示す組立てたスイッチにトリガーレバーを取付けた様子を示す斜視図である。
【図35】従来技術におけるスイッチを構成する部品を分解して示した斜視図である。
【図36】同、摺動切替基板の接触子の配置状態を示した平面図である。
【図37】同、切替レバーがオフ状態のときの様子を示す説明図である。
【図38】同、切替レバーがオン状態のときの様子を示す説明図である。
【図39】同、切替レバーがオン状態のときの最大振れ角時の可動接片位置を示す説明図である。
【図40】同、切替レバーがオン状態のときにレバーを揺すったときの可動接片の接圧状態を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本願発明に係るトリガースイッチの第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
本願発明の第1の実施形態のスイッチは、トリガーに連動して動く摺動操作部の速度制御部に2つの可動接片を設けて、摺動切替基板に設けてあるモーター可変用接触子とモーター起動用接触子上を摺動させるというもので、更に、ケースの開口面に対し鉛直に摺動切替基板が配置されていることで、切替レバーの動作方向と正逆切替信号用の可動接片の荷重印加方向が鉛直に配置されることになり、正逆切替信号用の可動接片が常に摺動切替基板に接触し、摺動動作を可能にすることで、常に安定した接触圧力が得られるスイッチ機構を提供する。
【0020】
第1の実施形態における2つの摺動可動接片を備えたトリガースイッチは、図1乃至図4に示すように、箱状に形成された内部に摺動接点機構を組み込み、外部のトリガーレバー11からの摺動操作を伝達する摺動操作部12を備え、且つ側面を開口にしたケース13と、ケース13の側面の開口面を塞ぐように構成されたカバー14と、手の指で操作できるトリガーレバー11と、ケース13の上部位置であって、モーターの正転・逆転を切り替える切替レバー15と、を備えた構成になっている。
【0021】
ケース13は、側面と底面を開口にした箱型形状に形成し、図5及び図6に示すように、中央位置で一方側に突出して形成され、プランジャー55を係合するための半欠け形状のプランジャー係合支持部21を設け、プランジャー係合支持部21から奥行きの位置にプランジャー55及び速度制御部57を備えた摺動操作部12を収納する速度制御部収納室23を備え、この速度制御部収納室23の隣接した位置に摺動切替基板65を開口部に対して鉛直方向から差し込んで収納する摺動切替基板収納部24を備え、この摺動切替基板収納部24に隣接した位置に切替レバー15の切替制御部74を収納する切替レバー収納室25を備えた構成になっている。
【0022】
摺動操作部12は、円筒形状に形成したプランジャー55と、プランジャー55の先端部にトリガーレバー11と係合するトリガー係合部56を設け、プランジャー55に連設して直方体形状に形成した速度制御部57と、速度制御部57の背後に復帰バネ58を係合させて、常にトリガーレバー11を押し込む方向と反対方向に付勢させる構造となっている。
【0023】
速度制御部57は、プランジャー55と連設した面と異なる一方の面に摺動切替基板65の摺動部材に摺動する第1摺動可動接片61a、第2摺動可動接片61bを接片装着部59a、59bに装着した構造となっている。
【0024】
摺動切替基板65は、表面側にモーターの起動及び回転速度制御に使用する2組の平行に配置した第1摺動接触子66a及び第2摺動接触子66b、第3摺動接触子66c及び第4摺動接触子66dが備えられ、裏面に本願発明の切替用の第1切替接触子68a、第2切替接触子68bが平行で且つ第2切替接触子68bが細長く曲線形状にして配置されている。
【0025】
切替レバー15は、本願発明の主要とするもので、切替ノブ71を備えた切替操作部72と、切替操作部72に直結され円筒形状に形成された回動軸73と、回動軸73の底部に直結し直方体形状に形成された切替制御部74と、切替ノブ71を挿通させ回動軸73近辺で埃塵の侵入を防止するためのパッキン82cと、から構成されている。
【0026】
切替操作部72は、先端側に上方向に突出形成された切替ノブ71を備え、台形状に形成された終端で切替ノブ71の突出方向と逆の方向に円筒形状に突出形成した回動軸73に連結され、台形状の部位のR形状に形成した部位がパッキン82cと当接する構造となっている。
【0027】
切替制御部74は、回動軸73の端部に連設されて形成された直方体形状に形成され、その一側面に切替の信号を発生させる導電性金属部材で形成された切替可動接片76を装着する接片部77を備え、後端部にオシボバネ78とオシボ79を備え、オシボ79をケース13の切替レバー収納室25の奥行きに設けた当接部26に当接させる構造となっている。
【0028】
パッキン82cは、図5及び図6に示すように、内側を中空にした四角形状に形成され、中空の部分に切替ノブ71を挿通させて切替レバー収納室25のパッキン収納部82に収納する構造となっている。
【0029】
ケース13を構成する切替レバー収納室25は、切替レバー15の回動軸73を回動軸係合孔81に係合させ、回動軸73よりも一段高く形成された切替操作部72をケース13の外に配置させる。そして、切替レバー15を構成する切替制御部74の切替可動接片76が摺動切替基板65の第1切替接触子68a、第2切替接触子68bに摺動できる状態で接続されている。
【0030】
ケース13を構成する速度制御部収納室23は、摺動操作部12の速度制御部57を主に収納する部屋であって、この速度制御部57の接片装着部59aに装着されている第1摺動可動接片61aが隣接する位置に鉛直方向に差し込まれて装着されている摺動切替基板65の第1摺動接触子66a、第2摺動接触子66bに接触した状態を維持させ、接片装着部59bに装着されている第2摺動可動接片61bが第3摺動接触子66c、第4摺動接触子66dに接触した状態を維持させて配置されている。
【0031】
カバー14は、ケース13に係合するための係合部83をカバー14の周囲に備え、ケース13に設けた半欠け形状のプランジャー係合支持部21と同一形状に形成したやはり半欠け形状のプランジャー係合支持部84を備え、その横にプランジャー係合支持部21、84同士を確実に係合する係合部83aを備えた構造となっている。
【0032】
さて、このような構成からなるスイッチにおける組み立てについて、図7乃至図12を参照して以下説明する。
【0033】
先ず、図7に示すように、ケース13においては、速度制御部収納室23、切替レバー収納室25、摺動切替基板65をケース13の開口面鉛直方向から配置する摺動切替基板収納部24を備えている。
【0034】
そして、図8に示すように、摺動切替基板収納部24に摺動切替基板65をケース13の開口面に対して鉛直方向から差し込むようにして収納する。すると、図示していないが摺動切替基板65に設けてある第1切替接触子68a、第2切替接触子68bが切替レバー収納室25側に臨んだ状態となり、反対面に設けた第1、第2摺動接触子66a、6b、第3、第4摺動接触子66c、66dが速度制御部収納室23に臨んだ状態となる。
【0035】
次に、図9に示すように、速度制御部収納室23に摺動操作部12の速度制御部57を復帰バネ58を介在させて収納し、且つプランジャー55をプランジャー係合支持部21に2つのパッキン82a、82bを係合させて収納する。すると、図示されていないが、速度制御部57の側面壁に取付けてある第1摺動可動接片61aが摺動切替基板65の第1摺動接触子66a、第2摺動接触子66bに摺動できる位置に維持し、第2摺動可動接片61bが摺動切替基板65の第3摺動接触子66c、第4摺動接触子66dに摺動できる位置に維持する。
【0036】
次に、図10に示すように、切替レバー収納室25に切替レバー15を収納する。その際、切替ノブ71を通してパッキン82cを取付ける。そうすると、図に表れていないが、切替制御部74の切替可動接片76が摺動切替基板65の第1切替接触子68a及び第2切替接触子68bに摺動できるように当接した状態を維持する。
【0037】
このようにして組み込まれた各部材に対して、図11に示すように、組み込まれた上部からカバー14を被せる。そのときに、プランジャー係合支持部21、84同士を係合させ、係合部83、83aを爪に係合させる。
【0038】
最後に、図12に示すように、プランジャー55の先頭のトリガー係合部56にトリガーレバー11を取付けることでスイッチの組み立ては完成する。
【0039】
さて、このようにして組み立てられたスイッチであるが、その内部構造において、特に切替レバーの動作について以下説明する。
【0040】
先ず、図5、6に示すように、本願発明のスイッチについて、略示的に示した各部材について説明すると、側面を開口にした箱状に形成されたケース13と、ケース13の側面の開口面を塞ぐように構成されたカバー14と、外部のトリガーレバー11からの摺動操作を伝達してモーターの速度制御及び起動制御を司る摺動操作部12と、表面に摺動操作部12の摺動可動接片61a、61bに接触する摺動接触子66a、66b、66c、66dを備え、裏面に切替レバー15の切替可動接片76に接触する切替接触子68a、68bを備えた摺動切替基板65と、モーターの正転・逆転を切替える切替レバー15とを備えている。
【0041】
ケース13は、摺動操作部12の速度制御部57を収納する速度制御部収納室23を備え、この速度制御部収納室23の隣接した位置に摺動切替基板65を開口部に対して鉛直方向から差し込んで収納する摺動切替基板収納部24を備え、この摺動切替基板収納部24に隣接した位置に切替レバー15の切替制御部74を収納する切替レバー収納室25を備えた構成になっている。
【0042】
摺動操作部12は、円筒形状に形成したプランジャー55と、プランジャー55に連設して直方体形状に形成した速度制御部57と、速度制御部57の背後に復帰バネ58を係合させて、常にトリガーレバー11を押し込む方向と反対方向に付勢させる構造となっている。
【0043】
速度制御部57は、プランジャー55と連設した面と異なる一方の面に摺動切替基板65の摺動部材に摺動する第1摺動可動接片61a、第2摺動可動接片61bを装着した構造となっている。
【0044】
摺動切替基板65は、図13に示すように、表面側に速度制御に使用する2つ平行に配置した速度制御に関する第1摺動接触子66a及び第2摺動接触子66b、第3摺動接触子6c及び第4摺動接触子6dが備えられ、図14に示すように、裏面に本願発明の切替用の第1切替接触子68a、第2切替接触子68bが平行で且つ第2切替接触子68bが細長く曲線形状にして配置されている。
【0045】
切替レバー15は、本願発明の主要とするもので、切替ノブ71を備えた切替操作部72と、切替操作部72に直結され円筒形状に形成された回動軸73と、回動軸73の底部に直結し直方体形状に形成された切替制御部74とから構成されている。
【0046】
このような構成からなるスイッチを組み立てると、図10及び図15に示すように、ケース13の摺動切替基板収納部24に摺動切替基板65を収納し、速度制御部収納室23に摺動操作部12の速度制御部57をバネ58を介在させて収納し、切替レバー収納室25に切替レバー15の切替制御部74を収納し、回動軸73を回動軸係合孔81に係合させ、切替ノブ71を挿通させたパッキン82cをパッキン収納部82に収納し、切替操作部72を外に出した状態で収納する。
【0047】
このようにして組み立てられると、図14及び図15に示すように、特に切替レバー15の切替制御部74に取付けられている切替可動接片76が摺動切替基板65の第2切替接触子68bに当接した状態を維持している。この状態で切替ノブ71を図15の矢印方向に操作することで回動軸73を中心として切替制御部74の切替可動接片76が摺動しながら動き、図14に示すように、第1切替接触子68aと第2切替接触子68bとを跨ぐようにして接触させ、図示していないモーターが正転であることを示す切替信号を生成する。
【0048】
この基板の接触子の配置によっては、モーターが正転であるときの信号の生成、モーターが逆転であるときの信号の生成、正転及び逆転であるときの信号を生成することができる。
図16に示す接触子は、モーターが正転であるときに信号を発生させるための接触子の配置状態を示したもので、曲線帯状に形成した第2切替接触子68bに対して第1切替接触子68aが下部位置に配置されている。
図17に示す接触子は、モーターが逆転であるときに信号を発生させる接触子の配置状態を示したもので、曲線帯状に形成した第2切替接触子68bに対して第1切替接触子68aが上部位置に配置されている。
図18に示す接触子は、モーターが正転及び逆転の両方のときに信号を発生させるもので、曲線帯状に形成した第2切替接触子68bに対して第1切替接触子68a、第3切替接触子68cが上部と下部位置に配置されている。
【0049】
図19乃至図21に示すものは、切替レバー15を切替レバー収納室25に収納した状態を示したもので、このうち図19に示すものは切替レバー15が中立の時、即ち、モーターが正転も逆転もしない中立の時の状態を示したものである。
回動軸係合孔81に回動軸73が係合され、パッキン82cが切替操作部72の台形状部分のRの部分に当接した状態で維持され、切替レバー収納室25に収納されている切替制御部74の切替可動接片76が摺動切替基板65の第1切替接触子68aには接続されていない状態で、第2切替接触子68bには接続された状態で維持され、オシボ79が当接部26の凹み部分に係合されている。
【0050】
次に、図20に示すように、モーターが正転方向に動かすように切替ノブ71を操作すると、切替操作部72の台形状部分のRの部分がパッキン82cに当接しながら摺動し、切替制御部74の切替可動接片76が摺動切替基板65の第1切替接触子68aと第2切替接触子68bに接続された状態となり、オシボ79が当接部26の凹み部分を通過する。
このように、切替操作部72の台形状部分のRの部分がパッキン82cに当接しながら摺動する構造としたことで、外部に位置する切替ノブ71の動きによってもパッキン82cとの間に隙間が生じない。そのため、切替操作部72を伝って入り込む塵埃をこのパッキン82cで遮ることができるのである。
【0051】
次に、図21に示すように、モーターが逆転方向に動かすように切替ノブ71を操作すると、切替操作部72の台形状部分のRの部分がパッキン82cに当接しながら摺動し、切替制御部74の切替可動接片76が摺動切替基板65の第2切替接触子68bと第3切替接触子68cに接続された状態となり、オシボ79が当接部26の凹み部分を通過してその下側の凹み部分に係合する。
【0052】
次に、本願発明のトリガースイッチの第2の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0053】
第2の実施形態のトリガースイッチは、シーソー型の接点機構を備え、ケースの開口面に対し鉛直に摺動切替基板が配置されていることで、切替レバーの動作方向と正逆切替信号用の可動接片の荷重印加方向が鉛直に配置されることになり、正逆切替信号用の可動接片が常に摺動切替基板に接触し、摺動動作を可能にすることで、常に安定した接触圧力が得られるスイッチ機構を提供する。
【0054】
第2の実施形態におけるシーソー型の接点機構を備えたトリガースイッチは、図22乃至図25に示すように、箱状に形成された内部に摺動接点機構を組み込み、外部のトリガーレバー11からの摺動操作を伝達する摺動操作部12を備え、且つ側面を開口にしたケース13と、ケース13の側面の開口面を塞ぐように構成されたカバー14と、手で操作できるトリガーレバー11と、ケース13の上部位置であって、モーターの正転・逆転を切り替える切替レバー15を備えた構成になっている。
【0055】
ケース13は、側面と底面を開口にした箱型形状に形成し、図26及び図27に示すように、中央位置で一方側に突出して形成され、プランジャー55を係合するための半欠け形状のプランジャー係合支持部21を設け、内部においては側面を開口した部位にガイド板27を収納するためのガイド板収納部22を備え、このガイド板収納部22に隣接する位置にプランジャー55及び速度制御部57を備えた摺動操作部12を収納する速度制御部収納室23を備え、この速度制御部収納室23の隣接した位置に摺動切替基板65を開口部に対して鉛直方向から差し込んで収納する摺動切替基板収納部24を備え、この摺動切替基板収納部24に隣接した位置に切替レバー15の切替制御部74を収納する切替レバー収納室25を備えた構成になっている。
【0056】
ガイド板27は、四角形状に形成された外板28と内側が窪んだ形状にして固定接片35及び可動接片支持台41を配置するための配置部31を設けた内板29とから構成されている。
内板29の配置部31には、固定接片35の端部に設けた外部端子36を挿通する溝32を設け、反対側の窪みには同じく可動接片支持台41の端部に設けた外部端子42を挿通する溝33を設け、この溝32、33は内板29から外板28に通すように設けられている。
【0057】
固定接片35は、金属性部材で形成され、端部に外部と接続する外部端子36を備え、その反対側を直角に折り曲げて固定接点37を装着する固定接点装着部38を備え、直角に折り曲げた部位の両端部に突出片39をガイドに装着させ圧入し、脱落しないようにする構造となっている。
【0058】
可動接片支持台41は、金属製部材で形成され、端部に外部と接続する外部端子42を備え、その反対側を直角に折り曲げ、更に折り曲げた端部側を逆方向の直角に折り曲げ、その折り曲げた部位の両端部を突出させた突出片45で形成してシーソー型可動接片46をシーソー状に係合する可動接片係合部43を備え、直角に折り曲げた平面部分が可動接片46の端部のガイド片48に当接する当接部44を備えた構造となっている。
【0059】
シーソー型可動接片46は、金属製部材で形成され、細長い形状に形成し、略中間位置を折り曲げ、折り曲げた部位寄りの位置の両端部に外方向に突出させ可動接片支持台41の可動接片係合部43に係合する係合支持部47を備え、端部側を直角方向に折り曲げてガイド片48を形成し、反対側の端部に可動接点49を備える可動接点装着部51を備え、平板の表面をオシボ63が当接して摺動するオシボ摺動面52を形成する。
【0060】
摺動操作部12は、円筒形状に形成したプランジャー55と、プランジャー55の先端部にトリガーレバー11と係合するトリガー係合部56を設け、プランジャー55に連設して直方体形状に形成した速度制御部57と、速度制御部57の背後に復帰バネ58を係合させて、常にトリガーレバー11を押し込む方向と反対方向に付勢させる構造となっている。
【0061】
速度制御部57は、プランジャー55と連設した面と異なる一方の面に摺動切替基板65に摺動する摺動可動接片61を接片装着部59に装着して備え、反対側の面にオシボバネ62とオシボ63を装着しガイド板27に取付けられている固定接片35及び可動接片支持台41に取付けられているシーソー型可動接片46の表面を摺接する構造となっている。
【0062】
摺動切替基板65は、表面側に速度制御に使用する2つ平行に配置した第1摺動接触子66a、第2摺動接触子66bが備えられ、裏面に本願発明の切替用の第1切替接触子68a、第2切替接触子68bが平行で且つ第2切替接触子68bが細長く曲線形状にして配置されている。
【0063】
切替レバー15は、本願発明の主要とするもので、切替ノブ71を備えた切替操作部72と、切替操作部72に直結され円筒形状に形成された回動軸73と、回動軸73の底部に直結し直方体形状に形成された切替制御部74とから構成されている。
【0064】
ケース13に設けた切替レバー収納室25は、切替レバー15の回動軸73を回動軸係合孔81に係合させ、回動軸73よりも一段高く形成された切替操作部72をケース13の外に位置させる。そして、切替レバー15を構成する切替制御部74の切替可動接片76が摺動切替基板65の第1切替接触子68a、第2切替接触子68bに摺動できる状態で接続されている。
【0065】
速度制御部収納室23は、摺動操作部12の速度制御部57を主に収納する部屋であって、この速度制御部57の接片装着部59に装着されている摺動可動接片61が隣接する位置に鉛直方向に差し込まれて装着されている摺動切替基板65の第3切替接触子66c、第4切替接触子66dに接触した状態を維持させるように配置されている。
【0066】
カバー14は、ケース13に係合するための係合部83をカバー14の周囲に備え、ケース13に設けた半欠け形状のプランジャー係合支持部21と同一形状に形成したやはり半欠け形状のプランジャー係合支持部84を備え、その横にプランジャー係合支持部21、84同士を確実に係合する係合部83aを備えた構造となっている。
【0067】
さて、このような構成からなるスイッチにおける組み立てについて、図28乃至図34を参照して以下説明する。
【0068】
先ず、図28に示すように、ケース13においては、速度制御収納室23、切替レバー収納室25、ガイド板27、摺動切替基板65をケースの開口面鉛直方向から配置するガイド板収納部22、摺動切替基板収納部24を備えている。
【0069】
そして、図29に示すように、摺動切替基板収納部24に摺動切替基板65をケース13の開口面に対して鉛直方向から差し込むようにして収納する。すると、図示されていないが摺動切替基板65に設けてある第1切替接触子68a、第2切替接触子68bが切替レバー収納室25側に臨んだ状態となる。
【0070】
次に、図30に示すように、ガイド板27に、固定接片35の外部端子42を溝32に挿通させ、可動接片支持台41の外部端子42を溝33に挿通させた、ガイド板27をガイドいた収納部22に開口面に鉛直方向から配置させ、可動接片支持台41の可動接片係合部43にシーソー型可動接片46を係合させる。
すると、隣接する速度制御部収納室46に、シーソー型可動接片46のオシボ摺動面52が臨んだ状態で配置されることになる。
【0071】
次に、図31に示すように、速度制御部収納室23に摺動操作部12の速度制御部57を復帰バネ58を介在させて収納し、且つプランジャー55をプランジャー係合支持部21にパッキン82a、82bを係合させて収納する。すると、図示されていないが速度制御部57のオシボ63がシーソー型可動接片46のオシボ摺動面52に当接した状態を維持し、速度制御部57の反対側に取付けてある摺動可動接片61が摺動切替基板65の第3摺動接触子66c、第4摺動接触子66dに摺動できる位置に維持する。
【0072】
次に、図32に示すように、切替レバー収納室25に切替レバー15を収納する。その際、切替ノブ71を通してパッキン82cを取付ける。そうすると、図に表れていないが、切替制御部74の切替可動接片76が摺動切替基板65の第1切替接触子68a及び第2切替接触子68bに摺動できるように当接した状態を維持する。
【0073】
このようにして組み込まれた各部材に対して、図33に示すように、組み込まれた上部からカバー14を被せる。そのときに、プランジャー係合支持部21、84同士を係合させ、係合部83、83aを爪に係合させる。
【0074】
最後に、図34に示すように、プランジャー55の先頭のトリガー係合部56にトリガーレバー11を取付けることでスイッチの組み立ては完成する。
【産業上の利用可能性】
【0075】
ケースの開口面に対して垂直に摺動切替基板を配置し、切替レバーの切替可動接片が、摺動切替基板に設けてある切替接触子に常に接触した状態で摺動することで、切替可動接片の金属疲労現象を皆無にすることができ、接触圧力も常時安定して得ることができるため、外部からの要因による接触圧力の変化も皆無に等しくなり、良好な接触状態を得ることができるトリガースイッチを提供する。
更に、正転若しくは逆転のみ、正転と逆転の出力といった任意の出力特性を得ることができるトリガースイッチを提供する。
【符号の説明】
【0076】
11 トリガーレバー
12 摺動操作部
13 ケース
14 カバー
15 切替レバー
21 プランジャー係合支持部
22 ガイド板収納部
23 速度制御部収納室
24 摺動切替基板収納部
25 切替レバー収納室
26 当接部
27 ガイド板
28 外板
29 内板
31 配置部
32 溝
33 溝
35 固定接片
36 外部端子
37 固定接点
38 固定接点装着部
39 突出片
41 可動接片支持台
42 外部端子
43 可動接片係合部
44 当接部
45 突出片
46 シーソー型可動接片
47 係合支持部
48 ガイド片
49 可動接点
51 可動接点装着部
52 オシボ摺動面
55 プランジャー
56 トリガー係合部
57 速度制御部
58 復帰バネ
59 接片装着部
59a 接片装着部
59b 接片装着部
61 摺動可動接片
61a 第1摺動可動接片
61b 第2摺動可動接片
62 オシボバネ
63 オシボ
65 摺動切替基板
66a 第1摺動接触子
66b 第2摺動接触子
66c 第3摺動接触子
66d 第4摺動接触子
68a 第1切替接触子
68b 第2切替接触子
68c 第3切替接触子
71 切替ノブ
72 切替操作部
73 回動軸
74 切替制御部
76 切替可動接片
77 接片部
78 オシボバネ
79 オシボ
81 回動軸係合孔
82 パッキン収納部
82a パッキン
82b パッキン
82c パッキン
83 係合部
83a 係合部
84 プランジャー係合支持部
111 トリガーレバー
112 摺動操作部
113 ケース
114 カバー
115 切替レバー
155 プランジャー
157 速度制御部
165 摺動切替基板
161a 第1摺動可動接片
161b 第2摺動可動接片
166a 第1摺動接触片
166b 第2摺動接触子
166c 第3摺動接触子
166d 第4摺動接触子
168a 第1切替接触子
168b 第2切替接触子
171 切替ノブ
173 回動軸
176 切替可動接片
177 接片部
181 回動軸係合孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーターの正転・逆転を切替ノブの操作で切替える切替レバーを収容する切替レバー収容室が設けてあるケースと、
前記切替レバーが収容されている切替レバー収容室に隣接した位置に設けた摺動切替基板収納部にケースの開口面に対して鉛直方向から差し込んで配置される摺動切替基板と、
前記摺動切替基板の一方の面に設けた第1切替接触子、及びこの第1切替接触子と所定間隔を持って且つ第1切替接触子よりも長く帯状に形成した第2切替接触子を備え、
前記切替レバーの切替制御部に取付けられている切替可動接片が、前記摺動切替基板に配置されている第1切替接触子及び第2切替接触子に接触して摺動することで、モーターの正転・逆転の信号を生成することを特徴とするトリガースイッチ。
【請求項2】
前記切替レバーに防塵用のパッキンを備えたことを特徴とする請求項1に記載のトリガースイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2011−183523(P2011−183523A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52899(P2010−52899)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(301040796)佐鳥エス・テック株式会社 (26)
【Fターム(参考)】