説明

トリプターゼ阻害剤の製造方法

本発明は、トリプターゼ阻害剤として有用な式Iの化合物及びそれら塩、当該化合物の製造における有用な中間体、当該中間体製造のための工程、及び当該化合物製造のための当該中間体の使用に関する。
【化1】




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリプターゼ阻害剤として有用な化合物の製造方法、当該化合物製造に有用な中間体、当該中間体の製造方法、及び当該化合物製造のための当該中間体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
マスト細胞が介在する炎症性の状態、特に喘息に対しては、公衆衛生上の関心が高まりつつある。喘息は、慢性的な炎症の発症に繋がる、気管及び気管支の、免疫的に特異なアレルゲン及び一般的な化学的又は物理的刺激の両者に対する過度の応答性を進行させることでしばしば特徴付けられる。IgE受容体、とりわけ、マスト細胞及び好塩基球を含む白血球は上皮に存在し、気管支の平滑筋組織の基礎をなしている。これらの白血球は、当初は、特定の吸入抗原のIgE受容体への結合により活性化され、次いで、多数の化学媒介物質を放出する。例えば、マスト細胞の脱顆粒により、プロテオグリカン、ペルオキシダーゼ、アリールスルファターゼB、キマーゼ及びトリプターゼの放出が起こり、その結果、細気管支の狭窄をもたらす。
【0003】
トリプターゼはマスト細胞分泌顆粒に貯蔵され、ヒトマスト細胞の主要な分泌プロテアーゼである。トリプターゼは、血管拡張及び気管支弛緩ニューロペプチドの分解 (Caughey et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1988, 244, p 133-137; Franconi et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1988, 248, p 947-951;及びTam et al., Am. J. Respir. Cell Mol. Biol., 1990, 3, p 27-32)、及び気管支のヒスタミンに対する応答性の調節 (Sekizawa et al., J. Clin. Invest., 1989, 83, p 175-179) を含む広範囲の生物学的方法に関連しているとみなされている。
【0004】
結果として、トリプターゼ阻害剤は、抗炎症薬と同様に有効であり (K. Rice, P.A. Sprengler, Current Opinion in Drug Discovery and Development, 1999, 2, p 463-474)、特に慢性喘息の治療に有効であると見なされている(M.Q. Zhang, H.Timmerman, Mediators Inflamm., 1997, 112, p 311-317)。そして、又、アレルギー性鼻炎(S.J. Wilson et al., Clin. Exp. Allergy, 1998, 28, p 220-227)、炎症性の腸疾患(S.C. Bischoff et al., Histopathology, 1996, 28, p 1-13)、乾癬(A. Naukkarinen et al., Arch. Dermatol. Res., 1993, 285, p 341-346)、結膜炎(A.A.Irani et al., J. Allergy Clin. Immunol., 1990, 86, p 34-40)、アトピー性皮膚炎(A. Jarvikallio et al., Br.J. Dermatol., 1997, 136,p871-877)、リウマチ様関節炎(L.C Tetlow et al., Ann. Rheum. Dis., 1998, 54, p 549-555)、変形性関節症(M.G.Buckley et al., J. Pathol., 1998, 186, p 67-74)、痛風性関節症、リウマチ性脊髄症及び関節の軟骨破壊の症状の治療又は予防に有効であり得る。
【0005】
更にトリプターゼは、線維芽細胞の有効な分裂促進因子であることが示され、喘息における肺線維症及び間質性の肺疾患に関係していることが示唆されている(Ruoss et al., J. Clin. Invest., 1991, 88, p 493-499)。
【0006】
それ故、トリプターゼ阻害剤は、例えば、線維症、硬皮症、肺線維症、肝硬変、心筋繊維症、神経線維腫及び過形成性瘢痕の様な線維症状の治療又は予防に有効であると見なされている(J.A.Cairns, A.F. Walls, J.Clin.Invest., 1997, 99, p 1313-1321)。
【0007】
その上、トリプターゼ阻害剤は、心筋梗塞、脳卒中、狭心症及び他のアテローム斑破裂の症状を治療又は予防するのに有効であると見なされている(M. Jeziorska et al., J. P
athol., 1997, 182, p 115-122)。
【0008】
トリプターゼは、又、プロストロメリシンを活性化させ、換言すれば、コラゲナーゼを活性化させ、それにより軟骨及び歯周結合組織の破壊をそれぞれ開始することが分かっている。
【0009】
それ故、トリプターゼ阻害剤は、関節炎、歯周病、糖尿病網膜症及び腫瘍増殖の治療又は予防に有効であると見なされている(W.J. Beil et al., Exp. Hematol., 1998, 26, p 158-169)。又、トリプターゼ阻害剤は、アナフィラキシー(L.B. Schwarz et al., J. Clin. Invest., 1995, 96, p 2702-2710)、多発性硬化症、(M.Steinhoff et al., Nat. Med. (N.Y.), 2000, 6, p 151-158)、消化性潰瘍及び合胞体ウイルス性感染症の治療に有効であると見なされている。
【0010】
式Iの化合物
【化1】

は、例えば、WO01/90101及びWO2004/060884(国際特許出願PCT/US2003/040653)において、トリプターゼ阻害剤として有効であると開示されている。式Iの化合物の製造方法は、又、その中に開示されているが、しかし、それらは、特に、式Iの化合物を大量に製造しようとする場合、実質的な欠点や危険性を内在していた。本発明は、式Iの化合物の製造に有用であり、その欠点を克服し、先行技術の危険性を避けることができる有利な方法を提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、式I:
【化2】

ここで、
1は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なる環状へテロ原子を含む、3員環から10員環のヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロア
ルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノであり;そして
2は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なる環状へテロ原子を含む3員環から10員環ヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なる環状へテロ原子を含む5員環から10員環ヘテロアリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なる環状へテロ原子を含む5員環から10員環のヘテロアリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ−((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノである;
の化合物及びその塩の製造方法に関する。
【0012】
本発明は、又、式Iの化合物の製造に有用な中間体、当該中間体の製造方法、及び当該化合物製造のための当該中間体の使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第一の態様において、本発明は、式I:
【化3】

ここで、
1は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なる環へテロ原子を含む、3員環から10員環ヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノであり;そして、
2は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なる環へテロ原子を含む、3員環から10員環ヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なる環へテロ原子を含む、5員環から10員環ヘテロアリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なる環へテロ原子を含む、5員環から10員環ヘテロアリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ−((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノである;
の化合物又はその塩の製造方法であって、
【0014】
a)式II:
【化4】

ここで、
Gは、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリ−イソプロピルシリル又はジメチル−tert−ブチルシリルであり、そして、
2'は、上記の如く定義されたR2、又は保護されたその誘導体若しくはその前駆体部分構造である;
のフェニルエチニルシラン化合物を、脂肪族アルコール、又は脂肪族アルコールとエーテルとの混合物の様な溶媒中で、例えば、メタノール、又はメタノールとテトラヒドロフランとの混合溶媒中で、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩若しくはアルコラート、又はアルカリ土類金属アルコラートで処理して、式III:
【化5】

のフェニルエチンの溶液を生成すること;そして、
b)得られたフェニルエチン溶液を、式IV:
【化6】

ここで、
Xは、ブロモ又はヨードであり;
1'は上記で定義されたR1であり、又は保護されたその誘導体若しくはその前駆体部分構造であり;
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである;
の化合物と、均一なパラジウム触媒、第一銅塩及びヒンダードアミンの存在下で、エーテル、又はエーテルと脂肪族アルコールとの混合物の様な溶媒中で、例えば、テトラヒドロフラン又はテトラヒドロフランとメタノールとの混合物中で混ぜ合わせ、式V:
【化7】

ここで、
1'及びR2'は、それぞれ、上記で定義したR1及びR2、又はその保護された誘導体又はその前駆体部分構造であり;
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである;
の保護された化合物、又はその塩を生成すること;
の工程を含む製造方法を提供する。
【0015】
本発明の第一の態様における特別の実施態様は、Gがトリメチルシリルであり、及び/又は、Xがブロモであり、及び/又は、均一のパラジウム触媒がパラジウム(II)ビス(トリフェニルホスフィン)クロリドであり、及び/又は、第一銅塩がヨウ化第一銅であり、及び/又は、ヒンダードアミンがトリエチルアミンである場合である。
【0016】
本発明の第一の態様における特別の実施態様は、式Vの保護された化合物から、tert−ブトキシカルボニル基の更なる脱離を導き、そして、もし当てはまる場合は、標準的な手法で、例えば、脂肪族アルコール又はエーテル溶媒中で、式Vの化合物におけるR1'及び/又はR2'中に存在してもよいその他のいずれかの保護基の脱離及び/又は前駆体部分構造の転換により、式Iの化合物又はその塩を与える。この第一の態様における別の特別な実施態様は、式Vの保護された化合物から、特に、R1'及びR2'がR1及びR2である化合物から、酸の存在下で、特に、生理学的に許容される酸、例えば、メタンスルホン酸の存在下で、イソプロパノールの様な脂肪族アルコール又はエーテル溶媒中で、tert−ブトキシカルボニル基の脱離を導き、式Iの化合物又はその塩を与える。
【0017】
本発明の第二の態様は、4−[3−(アミノメチル)フェニル]−1−[5−(2−フルオロフェニルエチニル)−2−フラノイル]ピペリジン、即ち、式Ia:
【化8】

の化合物又はその塩の製造方法であって、
【0018】
a)式IIa:
【化9】

ここで、
Gは、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリ−イソプロピルシリル又はジメチル−tert−ブチルシリルである;
の2−フルオロフェニルエチニルシリル化合物を、脂肪族アルコール又は脂肪族アルコールとエーテルとの混合溶媒の様な溶媒中で、例えば、メタノール又はメタノールとテトラヒドロフランとの混合溶媒中において、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩若しくはアルコラート又はアルカリ土類金属アルコラートで処理して、2−フルオロフェニルエチン溶液を生成すること;そして、
b)得られた2−フルオロフェニルエチン溶液を、式IVa:
【化10】

ここで、
Xは、ブロモ又はヨードであり;そして、
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである;
の化合物と、均一なパラジウム触媒、第一銅塩及びヒンダードアミンの存在下で、エーテル、又はエーテルと脂肪族アルコールとの混合溶媒中において、例えば、テトラヒドロフラン、又はテトラヒドロフランとメタノールとの混合物中で混ぜ合わせて、4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]−1−[5−(2−フルオロフェニルエチニル)−2−フラノイル]ピペリジン、即ち、式Va:
【化11】

ここで、
Bocはtert−ブトキシカルボニルである;
の化合物を生成すること;
の工程を含む製造方法を提供する。
【0019】
本発明の第二の態様における特別の実施態様は、Gがトリメチルシリルであり、及び/又は、Xがブロモであり、及び/又は、均一なパラジウム触媒がパラジウム(II)ビス(トリフェニルホスフィン)クロリドであり、及び/又は、第一銅塩がヨウ化第一銅であり、及び/又は、ヒンダードアミンがトリエチルアミンである場合である。
【0020】
この第二の態様における特別の実施態様は、溶媒中で、式Vaの、4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]−1−[5−(2−フルオロフェニル
エチニル)−2−フラノイル]ピペリジンから、tert−ブトキシカルボニル基の更なる脱離により、式Iaの化合物又はその塩を与え、この第二の態様における別の特別の実施態様は、式Vaの4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]−1−[5−(2−フルオロフェニルエチニル)−2−フラノイル]ピペリジンから、酸、特に生理学的に許容される酸、例えば、メタンスルホン酸の存在下で、溶媒中で、例えば、イソプロパノールの様な脂肪族アルコール又はエーテル中で、tert−ブトキシカルボニル基の脱離により、式Iaの化合物又はその塩、例えば、4−[3−(アミノメチル)フェニル]−1−[5−(2−フルオロフェニルエチニル)−2−フラノイル]ピペリジンのメタンスルホン酸塩を与える。
【0021】
本発明の第三の態様は、式IV:
【化12】

ここで、
1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環ヘテロ原子を含む、3員環から10員環のヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又は保護されたその誘導体又は前駆体部分構造であり;
Xは、ブロモ又はヨードである;
の化合物の製造方法であって、
【0022】
a)例えば、その場製造又は単離することができる、酸ハライド、特に酸クロリド、活性型エステル又は酸無水物若しくは混成酸無水物の様な活性型の酸誘導体へ転換させることにより、例えば、チオニルクロリド又はオキサリルクロリドの様なハロゲン化剤で、例えばトルエンの様な炭化水素又は塩素化炭化水素の溶媒中で、約0℃から約120℃の温度で、例えば、溶媒の還流温度下で処理することにより、又は、クロロ炭酸エチル若しくはクロロ炭酸イソブチルの様なクロロ炭酸アルキル、及び、例えば、トリエチルアミンの様な塩基で、溶媒中で、例えば、ハロゲン化炭化水素又はテトラヒドロフランの様なエーテル中で、約−10℃から約30℃の温度で処理することにより、又は、ペプチド化学において、アミド結合形成のために通常使われている縮合剤又はカップリング剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド又はジイソプロピルカルボジイミドの様なカルボジイミド、又は、カルボニルジイミダゾールの様なカルボニルジアゾール、又は、O−((シアノ(エトキシカルボニル)メチレン)アミノ)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TOTU)若しくはプロピルホスホン酸無水物、場合により、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの様な助剤の存在下で、例えば、溶媒中で、例えば、テトラヒドロフラン又はジメチルホルムアミドの様な、ハロゲン化炭化水素又はエーテル若しくはアミド溶媒中で、約0℃から約30℃の温度で処理することにより、5−ブロモ−2−フロ酸又は5−ヨード−2−フロ酸を活性化させて、活性型の5−ブロモ−2−フロ酸又は5−ヨード−2−フロ酸、例えば、5−ブロモ−2−フロイルクロリド又は5−ヨード−2−フロイルクロリドをそれぞれ得ること、且つ、その活性型は、例えばトルエン溶液の様な溶液状態で得られ、引き続いて次の工程に用いられること;そして
b)活性型の5−ブロモ−2−フロ酸又は5−ヨード−2−フロ酸を式VI:
【化13】

ここで、
1'は、式IVで定義された通りであり;
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである;
の化合物と、溶媒中で、例えば、トルエン又はジクロロメタンの様な、炭化水素、塩素化炭化水素又はエーテル中で、場合により、塩基の存在下で、例えば、トリエチルアミンの様な第三級アミンの存在下で、混ぜ合わせること;
の工程を含む製造方法を提供する。
【0023】
この第三の態様の更なる実施態様は、Xがブロモである式IV、即ち、式IVb:
【化14】

ここで、
1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環ヘテロ原子を含む3員環から10員環ヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又は保護されたその誘導体又はその前駆体部分構造であり;
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである;
の化合物の製造方法であって、
a)5−ブロモ−2−フロ酸を活性化して、活性型の5−ブロモ−2−フロ酸を得ること;そして、
b)活性型の5−ブロモ−2−フロ酸を式VIの化合物と溶媒中で、場合により塩基の存在下で混ぜ合わせること;
の工程を含む製造方法を提供する。
【0024】
ここで、本発明の第三の態様に関する今まで述べたすべての説明は、又、この更なる実施態様にも適用される。例えば、5−ブロモ−2−フロ酸は、トルエンの還流下で、チオニルクロリドで処理することにより活性化することができ、5−ブロモ−2−フロイルクロリドのトルエン溶液を与え、これは、次いで、トルエン又はジクロロメタン中で、第三級アミンの様な塩基の存在下で、式VIの化合物と反応する。
【0025】
本発明の第四の態様は、R1'が水素である式IV、即ち、式IVa:
【化15】

ここで、
Xはブロモ又はヨードであり;そして
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである;
の化合物の製造方法であって;
【0026】
a)5−ブロモ−2−フロ酸又は5−ヨード−2−フロ酸を、例えば、その場製造又は単離することができる酸ハライド、特に酸クロリド、活性型エステル、酸無水物又は混成酸無水物の様な活性型の酸誘導体へ転換させることにより、例えば、チオニルクロリド又はオキサリルクロリドの様なハロゲン化剤で、例えば、トルエンの様な炭化水素又は塩素化炭化水素の溶媒中で、約0℃から約120℃の温度で、例えば、大体溶媒の還流温度下で処理することにより、又は、クロロ炭酸エチル若しくはクロロ炭酸イソブチルの様なクロロ炭酸アルキル、及び、例えば、トリエチルアミンの様な塩基で、溶媒中で、例えば、ハロゲン化炭化水素又はテトラヒドロフランの様なエーテル中で、約−10℃から約30℃の温度で処理することにより、又は、ペプチド化学において、アミド結合形成のために通常使われている縮合剤若しくはカップリング剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド又はジイソプロピルカルボジイミドの様なカルボジイミド、又は、カルボニルジイミダゾールの様なカルボニルジアゾール、又は、O((シアノ(エトキシカルボニル)メチレン)アミノ)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TOTU)若しくはプロピルホスホン酸無水物で、場合により、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの様な助剤の存在下で、例えば、溶媒中で、例えば、テトラヒドロフラン又はジメチルホルムアミドの様な、ハロゲン化炭化水素又はエーテル若しくはアミド溶媒中で、約0℃から約30℃の温度で処理することにより、活性化して、例えば、トルエン溶液の様な溶液状態で得られ、続いて、次の段階に用いてよい、活性型の5−ブロモ−2−フロ酸又は5−ヨード−2−フロ酸、例えば、5−ブロモ−2−フロイルクロリド又は5−ヨード−2−フロイルクロリド、をそれぞれ得ること;そして
b)活性型の5−ブロモ−2−フロ酸又は5−ヨード−2−フロ酸を式VIa:
【化16】

ここで、
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである;
の化合物と、溶媒中で、例えば、トルエン又はジクロロメタンの様な炭化水素、塩素化炭化水素又はエーテル中で、場合により塩基、例えば、トリエチルアミンの様な第三級アミンの存在下で混ぜ合わせること;
の工程を含む製造方法を提供する。
【0027】
この第四の態様の特別の実施態様は、Xがブロモである式IVa、即ち、式IVc:
【化17】

ここで、
Bocはtert−ブトキシカルボニルである;
の化合物の製造方法であって、
a)5−ブロモ−フロ酸を活性化して活性型の5−ブロモ−2−フロ酸を得ること;そして、
b)活性型の5−ブロモ−2−フロ酸を式VIa:
【化18】

ここで、
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである;
の化合物と溶媒中、場合により塩基の存在下に混ぜ合わせること;
の工程を含む製造方法を提供する。
【0028】
ここで、本発明の第四の態様に関する今まで述べたすべての説明は、又、この特別の実施態様にも適用される。例えば、5−ブロモ−2−フロ酸は、トルエンの還流下で、チオニルクロリドで処理することにより活性化され、5−ブロモ−2−フロイルクロリドを、好ましくは、トルエン溶液の形で与え、これは、次いで、トルエン又はジクロロメタン中で、第三級アミンの様な塩基の存在下で、式VIaの化合物と反応する。
【0029】
本発明の第五の態様は、式VI:
【化19】

ここで、
1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環ヘテロ原子を含む3員環から10員環ヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又はその保護された誘導体又はその前駆体部分構造であり;
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである;
の化合物又はその塩の製造方法であって、
a)式VII:
【化20】

の3−ハロベンジルアミンの塩を、1,2−ビス(クロロジメチルシリル)エタンで、溶媒中で、例えば、ジクロロメタンの様なハロゲン化炭化水素中で、塩基の存在下で、例えば、トリエチルアミンの様な第三級アミン存在下で処理して、式VIII:
【化21】

の1−(3−ハロベンジル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタンを得ること;
b)式VIIIの1−(3−ハロベンジル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタンを、例えば、テトラヒドロフランの様なエーテル溶媒中で、アルキルリチウム化合物、例えば、n−ブチルリチウム、及び1−ベンジル−4−ピペリドンで、約−80℃から約−40℃の温度で処理して、式IX:
【化22】

のアルコールを得ること;
c)式IXのアルコールを、酸で、例えば、燐酸の様な無機酸で、溶媒中で、例えば、ジクロロメタンの様なハロゲン化炭化水素中で処理し、式X:
【化23】

のヒドロキシピペリジニルベンジルアミンを酸の塩として得ること;
d)式Xのヒドロキシピペリジニルベンジルアミン又はその塩を、高濃度の非酸化性酸で、約70℃から約150℃の温度で処理し、次いで、アルカリ性にすることによって、式XI:
【化24】

のオレフィンを得ること;
e)式XIのオレフィンを、溶媒中で、例えば、メタノールの様な脂肪族アルコール、酢酸エチル、テトラヒドロフランの様なエーテル、ジクロロメタンの様なハロゲン化炭化水素、2つ若しくはそれ以上の混合溶媒、又は1つ若しくはそれ以上のこのような溶媒と水との混合溶媒中で、塩基の存在下で、例えば、水酸化ナトリウム又はトリエチルアミンの様な、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩若しくはアルコラート又は第三級アミンの存在下で、好ましくは、約0℃から約40℃の温度で、二炭酸ジ−tert−ブチルで処理して、式XII:
【化25】

ここで、
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである;
の保護されたアミンを得ること;
ここで、
式IX、X、XI及びXIIにおけるPhは、フェニルであり;
式VII及びVIIIにおけるX'は、ブロモ又はヨードであり;
式VII、VIII、IX、X、XI及びXIIにおけるR1’は、上記の式VIで定義された通りである;
の工程を含む製造方法を提供する。
【0030】
この第五の態様の特別の実施態様は、X'がブロモである場合である。
この第五の態様における別の特別の実施態様は、式XII:
【化26】

ここで、
Bocは、tert−ブトキシカルボニルであり;
Phは、フェニルであり;そして、
1'は、式VIで定義した通りである;
の保護されたアミンを、約200kPaから約3000kPaの圧力下の水素で、溶媒中で、例えば、脂肪族アルコール又は酢酸エチル中で、パラジウム触媒の存在下で、及び有機酸又は無機酸の存在下で、例えば、酢酸の存在下で処理して、式VI:
【化27】

ここで、
1'は、上記の式VIで定義した通りであり;そして、
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである;
の化合物をその塩の形態で、又は、もし所望であれば、式VIの遊離の化合物の形態で与える。
【0031】
本発明の第六の態様は、式VI:
【化28】

ここで、
1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環ヘテロ原子を含む3員環から10員環ヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又はその保護された誘導体又はその前駆体部分構造であり;
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである;
の化合物又はその塩の製造方法であって、
a)式XIII:
【化29】

の3−(4−ピリジル)ベンズアルデヒドを、ヒドロキシルアミン又はヒドロキシルアミンの塩と、溶媒中で、例えば、脂肪族アルコール中で、場合により塩基の存在下で、約0℃から約40℃の温度で処理し、式XIV:
【化30】

のオキシム又はその塩を得ること;
b)式XIVのオキシム又はその塩を、約300kPaから約1500kPaの圧力下の水素で、溶媒中で、例えば、脂肪族アルコールの様な極性有機溶媒中で、例えば、メタノール中で、パラジウム触媒の存在下で、約20℃から約50℃の温度で処理して、式XV:
【化31】

の3−(4−ピリジル)ベンジルアミン又はその塩を得ること;
c)式XVの3−(4−ピリジル)ベンジルアミン又はその二炭酸ジ−tert−ブチルとの塩を、溶媒中で、例えば、メタノールの様な脂肪族アルコール、酢酸エチル、テトラヒドロフランの様なエーテル、ジクロロメタンの様なハロゲン化炭化水素、2つ若しくはそれ以上のそれらの混合溶媒、又は1つ若しくはそれ以上のそれらの溶媒と水との混合物中で、塩基の存在下で、例えば、水酸化ナトリウム又はトリエチルアミンの様な、アルカ
リ金属の水酸化物、炭酸塩若しくはアルコラート、又は第三級アミンの存在下で、好ましくは、約0℃から約40℃の温度で処理して、式XVI:
【化32】

ここで、
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである;
のBocで保護された3−(4−ピリジル)ベンジルアミンを得ること;
d)式XVIのBocで保護された3−(4−ピリジル)ベンジルアミンを、溶媒中で、例えば、エタノールの様な脂肪族アルコール中で、約2000kPaから約6000kPaの圧力下の水素で、白金触媒の存在下で、酸の存在下で、例えば、塩化水素又は硫酸の存在下で処理して、式VIの化合物又はその塩を得ること;
ここで、式XIII、XIV、XV及びXVIにおけるR1'は、式VIで定義された通りである;
の工程を含む製造方法を提供する。
【0032】
この第六の態様の特別の実施態様は、式VI:
【化33】

ここで、
1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環ヘテロ原子を含む3員環から10員環ヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−ア
リール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又は保護されたその誘導体又はその前駆体部分構造であり;
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである;
の化合物又はその塩の製造方法であって、
a)式XIII:
【化34】

の3−(4−ピリジル)ベンズアルデヒドを、ヒドロキシルアミン塩酸塩で、溶媒中で、例えば、メタノールの様な脂肪族アルコール中で、約0℃から40℃の温度で処理して、式XIVa:
【化35】

のオキシム塩酸塩を得ること;
b)式XIVaのオキシム塩酸塩を、約300kPaから約1500kPaの圧力下の水素で、溶媒中で、例えば、脂肪族アルコールの様な極性有機溶媒中で、例えば、メタノール中で、パラジウム触媒の存在下で、約20℃から約50℃の温度で処理して、式XVa:
【化36】

の3−(4−ピリジル)ベンジルアミン塩酸塩を得ること;
c)式XVaの3−(4−ピリジル)ベンジルアミン塩酸塩を、溶媒中、例えば、メタノールの様な脂肪族アルコール、酢酸エチル、テトラヒドロフランの様なエーテル、ジクロロメタンの様なハロゲン化炭化水素、2つ若しくはそれ以上のそれらの混合溶媒、又は1つ若しくはそれ以上のそれらの溶媒と水との混合物中で、塩基の存在下で、例えば、水酸化ナトリウム又はトリエチルアミンの様なアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩若しくはアルコラート、又は第三級アミンの存在下で、好ましくは、約0℃から約40℃の温度で、二炭酸ジ−tert−ブチルで処理し、式XVI:
【化37】

ここで、
Bocはtert−ブトキシカルボニルである;
のBocで保護された3−(4−ピリジル)ベンジルアミンを得ること;そして
d)式XVIのBocで保護された3−(4−ピリジル)ベンジルアミンを、溶媒中で、例えば、エタノールの様な脂肪族アルコール中で、約2000kPaから約6000kPaの圧力下の水素で、白金触媒の存在下で、塩化水素又は硫酸の存在下で処理し、式VIの化合物又はその塩を得ること;
ここで、
式XIII、XIVa、XVa及びXVIにおけるR1'は、上記式VIで定義した通りである;
の工程を含む製造方法を提供する。
【0033】
本発明の第七の態様は、式VI:
【化38】

ここで、
1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環ヘテロ原子を含む3員環から10員環ヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又は保護されたその誘導体又は
その前駆体部分構造であり;
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである;
の化合物又はその塩の製造方法であって、
a)式XVII:
【化39】

の3−(4−ピリジル)ベンゾニトリルを、パラジウム触媒の存在下で、約2000kPaから約6000kPaの圧力下の水素で、酸の存在下で、例えば、塩化水素の存在下で、又はリチウムアルミニウムヒドリド、リチウムボロヒドリド又はナトリウムボロヒドリドの様なヒドリド錯体で、場合により酸又はクロロトリメチルシランの様な助剤の存在下で、溶媒中で、例えば、脂肪族アルコール又はテトラヒドロフランの様なエーテル中で処理して、式XV:
【化40】

の3−(4−ピリジル)ベンジルアミン又はその塩を得ること;
b)式XVの3−(4−ピリジル)ベンジルアミン又はその塩を、溶媒中、例えば、メタノールの様な脂肪族アルコール、酢酸エチル、テトラヒドロフランの様なエーテル、ジクロロメタンの様なハロゲン化炭化水素、2つ若しくはそれ以上のそれらの混合溶媒、又は1つ若しくはそれ以上のそれらの溶媒と水との混合物中で、塩基の存在下で、例えば、水酸化ナトリウム又はトリエチルアミンの様な、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩若しくはアルコラート、又は第三級アミンの存在下で、好ましくは、約0℃から約40℃の温度で、二炭酸ジ−tert−ブチルで処理して、式XVI:
【化41】

ここで、
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである;
のBocで保護された3−(4−ピリジル)ベンジルアミンを得ること;そして
c)式XVIのBocで保護された3−(4−ピリジル)ベンジルアミンを、溶媒中、例えば、エタノールの様な脂肪族アルコール中で、約2000kPaから約6000kPaの圧力下の水素で、白金触媒の存在下で、塩化水素又は硫酸の様な酸の存在下で処理して、式VIの化合物又はその塩を得ること;
ここで、
式XV、XVI及びXVIIにおけるR1'は、上記の式VIで定義した通りである;
の工程を含む製造方法を提供する。
【0034】
本発明の第八の態様は、4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジン又はその塩の製造方法であって;
a)3−ブロモベンジルアミン塩酸塩又は3−ヨードベンジルアミン塩酸塩を、1,2−ビス(クロロジメチルシリル)エタンで、ハロゲン化脂肪族炭化水素中で、第三級アミンの存在下で処理して、対応する1−(3−ハロベンジル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン(ハロは、ブロモ又はヨードである)を得ること;
b)1−(3−ハロベンジル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタンをエーテル中で、アルキルリチウム化合物及び1−ベンジル−4−ピペリドンで、約−80℃から約−40℃の温度で処理して、1−[3−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)ベンジル]−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタンを得ること;
c)1−[3−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)ベンジル]−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタンを、無機酸で、ハロゲン化炭化水素中で処理して、3−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)ベンジルアミンを無機酸の塩として得ること;
d)3−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)ベンジルアミンを、高濃度の非酸化性酸で、約70℃から約150℃の温度で処理し、次いで、アルカリ性にすることによって、3−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)ベンジルアミンを得ること;そして
e)3−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)ベンジルアミンを、メタノールの様な脂肪族アルコール、酢酸エチル、テトラヒドロフランの様なエーテル、ジクロロメタンの様なハロゲン化炭化水素、2つ又はそれ以上のそれらの混合溶媒又は1つ又はそれ以上のそれらの溶媒と水との混合物中で、水酸化ナトリウム又はトリエチルアミンの様な、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩若しくはアルコラート、又は第三級アミンの存在下で、好ましくは、約0℃から約40℃の温度で、二炭酸ジ−tert−ブチルで処理して、3−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステルを得ること;
の工程を含む製造方法を提供する。
【0035】
この第八の態様の特別の実施態様は、4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジン又はその塩の製造方法であって、
a)3−ブロモベンジルアミン塩酸塩を、ハロゲン化脂肪族炭化水素中で、第三級アミンの存在下で、1,2−ビス(クロロジメチルシリル)エタンで処理して、1−(3−ブロモベンジル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタンを得ること;
b)1−(3−ブロモベンジル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタンを、エーテル中で、約−80℃から約−40℃の温度で、アルキルリチウム化合物及び1−ベンジル−4−ピペリドンで処理して、1−[3−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)ベンジル]−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタンを得ること;
c)1−[3−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)ベンジル]−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタンを、ハロゲン化脂肪族炭化水素中で、無機酸で処理して、3−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)ベンジルアミンを無機酸の塩として得ること;
d)3−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)ベンジルアミンを高濃度の非酸化性の酸で、約70℃から約150℃の温度で処理し、次いでアルカリ性にすることによって、3−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル
)ベンジルアミンを得ること;そして
e)3−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)ベンジルアミンを、メタノールの様な脂肪族アルコール、酢酸エチル、テトラヒドロフランの様なエーテル、ジクロロメタンの様なハロゲン化炭化水素、2つ若しくはそれ以上のそれらの混合溶媒、又は1つ若しくはそれ以上のそれらの溶媒と水との混合溶媒で、水酸化ナトリウム又はトリエチルアミンの様な、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩若しくはアルコラート、又は第三級アミンの存在下で、好ましくは、約0℃から約40℃の温度で、二炭酸ジ−tert−ブチルで処理して、3−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステルを得ること;
の工程を含む製造方法を提供する。
【0036】
この第八の態様の別の特別の実施態様は、3−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステルを、約200kPaから約3000kPaの圧力下の水素で、脂肪族アルコール、又は酢酸エチル中で、パラジウム触媒の存在下で、有機又は無機酸の存在下で更に処理して、4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジンを有機又は無機酸の塩として与える。
【0037】
本発明の第九の態様は、4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジン又はその塩の製造方法であって;
a)3−(4−ピリジル)ベンズアルデヒドを、脂肪族アルコール中、場合により、塩基の存在下で、約0℃から約40℃の温度で、ヒドロキシルアミン又はその塩で処理して、3−(4−ピリジル)ベンズアルデヒドオキシム又はその塩を得ること;
b)3−(4−ピリジル)ベンズアルデヒドオキシム又はその塩を、約300kPaから約1500kPaの圧力下の水素で、脂肪族アルコール中、パラジウム触媒の存在下で、約20℃から約50℃の温度で処理して、3−(4−ピリジル)ベンジルアミン又はその塩を得ること。
c)3−(4−ピリジル)ベンジルアミン又はその塩を、メタノールの様な脂肪族アルコール、酢酸エチル、テトラヒドロフランの様なエーテル、ジクロロメタンの様なハロゲン化炭化水素、2つ若しくはそれ以上のそれらの混合溶媒、又は1つ若しくはそれ以上のそれらの溶媒と水との混合物中で、水酸化ナトリウム又はトリエチルアミンの様な、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩若しくはアルコラート、又は第三級アミンの存在下で、好ましくは、約0℃から約40℃の温度で、二炭酸ジ−tert−ブチルで処理して、3−(4−ピリジル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステルを得ること;そして
d)3−(4−ピリジル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステルを約2000kPaから約6000kPaの圧力下の水素で、白金触媒の存在下で、塩化水素又は硫酸の様な酸の存在下で処理すること;
の工程を含む製造方法を提供する。
【0038】
この第九の態様の特別の実施態様は、4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジン又はその塩の製造方法であって;
a)3−(4−ピリジル)ベンズアルデヒドを、脂肪族アルコール中で、約0℃から約40℃の温度で、ヒドロキシルアミン塩酸塩で処理して、3−(4−ピリジル)ベンズアルデヒドオキシム塩酸塩を得ること;
b)3−(4−ピリジル)ベンズアルデヒドオキシム塩酸塩を、約300kPaから約1500kPaの圧力下の水素で、脂肪族アルコール中、パラジウム触媒の存在下で、約20℃から約50℃の温度で処理して、3−(4−ピリジル)ベンジルアミン塩酸塩を得ること;
c)3−(4−ピリジル)ベンジルアミン塩酸塩を、メタノールの様な脂肪族アルコール、酢酸エチル、テトラヒドロフランの様なエーテル、ジクロロメタンの様なハロゲン化炭化水素、2つ若しくはそれ以上のそれらの混合溶媒、又は1つ若しくはそれ以上のそれらの溶媒と水との混合物中で、水酸化ナトリウム又はトリエチルアミンの様な、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩若しくはアルコラート、又は第三級アミンの存在下で、好ましくは、約0℃から約40℃の温度で、二炭酸ジ−tert−ブチルで処理して、3−(4−ピリジル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステルを得ること;そして
d)3−(4−ピリジル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステルを約2000kPaから約6000kPaの圧力下の水素で、脂肪族アルコール中、白金触媒の存在下で、塩化水素又は硫酸の存在下で処理すること;
の工程を含む製造方法を提供する。
【0039】
本発明の第十の態様は、4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジン又はその塩の製造方法であって;
a)3−(4−ピリジル)ベンゾニトリルを、パラジウム触媒の存在下で、約2000kPaから約6000kPaの圧力下の水素で、脂肪族アルコール、又は脂肪族アルコール及び水との混合溶媒中で、又はリチウムアルミニウムヒドリド又はリチウムボロヒドリド若しくはナトリウムボロヒドリドの様なヒドリド錯体を用いて、メタノール又はテトラヒドロフランの様な脂肪族アルコール又はエーテル中で、約0℃から約50℃の温度で処理して、3−(4−ピリジル)ベンジルアミン又はその塩を得ること;
b)3−(4−ピリジル)ベンジルアミン又はその塩を、メタノールの様な脂肪族アルコール、酢酸エチル、テトラヒドロフランの様なエーテル、ジクロロメタンの様なハロゲン化炭化水素、2つ若しくはそれ以上のそれらの混合溶媒、又は1つ若しくはそれ以上のそれらの溶媒と水との混合物中で、水酸化ナトリウム又はトリエチルアミンの様な、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩若しくはアルコラート、又は第三級アミンの存在下で、好ましくは、約0℃から約40℃の温度で、二炭酸ジ−tert−ブチルで処理して、3−(4−ピリジル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステルを得ること;そして
c)3−(4−ピリジル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステルを約2000kPaから約6000kPaの圧力下の水素で、脂肪族アルコール中、白金触媒の存在下で、塩化水素又は硫酸の様な酸の存在下で処理すること;
の工程を含む製造方法を提供する。
【0040】
本発明は、又、式I:
【化42】

ここで、
1は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環ヘテロ原子を含む3員環から10員環ヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノであり;そして
2は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環ヘテロ原子を含む、3員環から10員環ヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環ヘテロ原子を含む、5員環から10員環ヘテロアリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環ヘテロ原子を含む、5員環から10員環ヘテロアリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ−((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノである;の化合物又はその塩の製造のために、本発明の方法において有用な新規な中間体を提供する。
【0041】
その中間体としては、式VIII:
【化43】

ここで、
1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環ヘテロ原子を含む、3員環から10員環ヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又はその保護された誘導体又はその前駆体部分構造である;
の化合物;
【0042】
式IX:
【化44】

ここで、
1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環ヘテロ原子を含む、3員環から10員環ヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又はその保護された誘導体又はその前駆体部分構造であり;
Phはフェニルである;
の化合物;
【0043】
式X:
【化45】

ここで、
1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環ヘテロ原子を含む、3員環から10員環ヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又はその保護されたそ誘導体その前駆体部分構造であり;
Phはフェニルである;
の化合物又はその塩;
【0044】
式XI:
【化46】

ここで、
1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環ヘテロ原子を含む、3員環から10員環ヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又はその保護された誘導体又はその前駆体部分構造であり;
Phはフェニルである;
の化合物又はその塩;
【0045】
式XII:
【化47】

ここで、
1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環ヘテロ原子を含む、3員環から10員環ヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又はその保護された誘導体又はその前駆体部分構造であり;
Bocはtert−ブトキシカルボニルであり;
Phはフェニルである;
の化合物又はその塩;
【0046】
式XIV:
【化48】

ここで、
1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環ヘテロ原子を含む、3員環から10員環ヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又はその保護された誘導体又はその前駆体部分構造である;
の化合物又はその塩;
【0047】
式XV:
【化49】

ここで、
1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環ヘテロ原子を含む、3員環から10員環ヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又はその保護された誘導体又はその前駆体部分構造である;
の化合物又はその塩;
【0048】
式XVI:
【化50】

ここで、
1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環ヘテロ原子を含む、3員環から10員環ヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又はその保護された誘導体又はその前駆体部分構造であり;
Bocはtert−ブトキシカルボニルである;
化合物又はその塩;
【0049】
式IVb:
【化51】

ここで、
1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環ヘテロ原子を含む、3員環から10員環ヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又はその保護された誘導体又はその前駆体部分構造あり;
Bocはtert−ブトキシカルボニルである;
の化合物又はその塩;
が挙げられる。
【0050】
そして、本発明の別の態様において、本発明は、中間体としての、特に式I:
【化52】

ここで、
1及びR2は上記の通り定義される;
の化合物又はその塩の製造のための中間体としての、これらの化合物の各々の使用を提供する。
【0051】
特別の実施態様において、本発明は、又、4−[3−(アミノメチル)フェニル]−1−[5−(2−フルオロフェニルエチニル)−2−フラノイル]ピペリジン又はその塩の製造のための、本発明の方法において有用な新規な中間体を提供し、その中間体として:
1−(3−ブロモベンジル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン;
1−[3−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)ベンジル]−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン;
3−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)ベンジルアミン又はその塩;
3−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)ベンジルアミン又はその塩;
3−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステル又はその塩;
3−(4−ピリジル)ベンズアルデヒドオキシム又はその塩;
3−(4−ピリジル)ベンジルアミン又はその塩;
3−(4−ピリジル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステル又はその塩;
4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]−1−[5−ブロモ−2−フラノイル]ピペリジン;
が挙げられ、そして、本発明の別の特別な実施例において、4−[3−(アミノメチル)フェニル]−1−[5−(2−フルオロフェニルエチニル)−2−フラノイル]ピペリジン又はその塩を製造するための中間体としての、これらの化合物の各々の使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
本明細書において使われる様に、特に断りの無い限り、以下の用語は、以下の意味を有すると理解される。
【0053】
「アルキル」は、約1個から約8個の炭素原子、例えば、1、2、3、4、5、6、7又は8個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状でも良い脂肪族飽和炭化水素基の残基を意味する。好ましいアルキル残基は、約1個から約6個の炭素原子を有するものであり、特に好ましくは、約1個から約4個の炭素原子を有するものである。典型的なアルキル残基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、3−ペンチル、ヘプチル及びオクチルが挙げられる。
【0054】
「シクロアルキル」は、約3個から約10個の環炭素原子、例えば、3、4、5、6、7、8、9又は10個の炭素原子を含む飽和の単環又は二環系残基を意味する。好ましいシクロアルキル残基は、約3個から約7個の炭素原子を有するものである。典型的なシクロアルキル残基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルが挙げられる。
【0055】
「ヘテロシクロアルキル」は、約3員環から約10員環の、例えば、3、4、5、6、7、8、9又は10員環の飽和の単環又は多環のヘテロ環系を意味し、それらは、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含有し、それらは、いずれの好適な環炭素原子又は環窒素原子によって結合することができ、そして、環原子の窒素原子は、お互いに独立に、水素、(C1−C8)−アルキル、(C6−C14)−アリール及び(C6−C14)−アリール−(C1−C4)−アルキル−から選択される残基を有することができる。ヘテロシクロアルキルとしては、例えば、(i)1、2又は3個の環原子が窒素、酸素及び硫黄から選択される、環へテロ原子である約3員環から約7員環のシクロアルキル基、即ち、飽和の単環へテロ環基、そして(ii)飽和の多環残基、例えば、1、2又は3個の環原子が窒素、酸素及び硫黄から選択される環へテロ原子である約6員環から約10員環の二環又は三環のヘテロ環基が挙げられ、ここで、飽和の単環へテロ環基は1つ又はそれ以上、例えば、1つ又は2つのシクロアルキル基、及び/又は、飽和の単環へテロ環基が縮合して、多環の環状構造を形成する。典型的なヘテロシクロアルキル基としては、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、テトラヒドロピラニル又はテトラヒドロチエニルが挙げられる。
【0056】
基又は基の一部としての「アリール」は、約6個から約14個の環炭素原子、例えば、6、8、9、10、12、13又は14個の環炭素原子を含有する単環又は多環系の残基を意味する。アリールとしては、(i)単環又は多環の残基、例えば、約6個から約14個の環炭素原子からなる二環又は三環の芳香族炭素環基で、全ての環はフェニル又はナフチルの様な芳香族性であり;又は(ii)部分飽和の多環残基、例えば、二環又は三環の、アリール基及びシクロアルキル基が縮合して、テトラヒドロナフチル又はインダニル残基の様な環構造を形成している芳香族炭素環基が挙げられる。
【0057】
「ヘテロアリール」は、約5員環から約10員環の、例えば、5、6、8、9又は10員環のヘテロ芳香族環系を意味し、それらは、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含有し、それらは、好適な環炭素原子又は環窒素原子の何れかを経由して結合することができ、そして、環原子の窒素原子は、お互いに独立に、水素、(C1−C8)−アルキル、(C6−C14)−アリール及び(C6−C14)−アリール−(C1−C4)−アルキル−から選択される残基を有することができる。ヘテロアリールとしては、(i)単環又は二環の芳香族へテロ環基の残基であり、それらの全ての環は、芳香族性であり、例えば、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリ
ル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、フリル、イミダゾリル、インドリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、1,3,4−チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル又はトリアゾリルの様な残基が挙げられ、又は(ii)部分的に飽和の二環へテロ芳香族基の残基であり、ここで、ヘテロアリール基及びシクロアルキル基、又はアリール基及びヘテロシクロアルキル基、又はヘテロアリール基及びヘテロシクロアルキル基は一緒に縮合し、環状構造、例えば、ピルインダニル残基(pyrindanyl residue)を形成する。
【0058】
「アルコキシ」は、アルキル−O−残基を意味し、ここで、アルキル基は本明細書で説明した通りである。典型的なアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ及びヘプトキシが挙げられる。
「シクロアルコキシ」は、シクロアルキル−O−残基を意味し、ここで、シクロアルキル基は、本明細書で説明した通りである。
「アリールオキシ」は、アリール−O−残基を意味し、ここで、アリール基は、本明細書で説明した通りである。
「ヘテロアリールオキシ」は、ヘテロアリール−O−残基を意味し、ここで、ヘテロアリール基は、本明細書で説明した通りである。
【0059】
「ジアルキルアミノ」は、−N(アルキル)(アルキル)残基を意味し、ここで、アルキル基は同一でも又は異なっても良く、そして、本明細書に説明した通りである。
「ジシクロアルキルアミノ」は、−N(シクロアルキル)(シクロアルキル)残基を意味し、ここで、シクロアルキル基は同一でも又は異なっても良く、そして、本明細書に説明した通りである。
「ジアリールアミノ」は、−N(アリール)(アリール)残基を意味し、ここで、アリール基は同一でも又は異なっても良く、そして、本明細書に説明した通りである。
【0060】
本発明に基づく化合物及びその製造方法において、本明細書の式に図示されるベンゼン環に結合しているR1、R1'、R2及びR2'基は、お互いに独立に、1個又はそれ以上存在して良く、例えば、1、2又は3個存在しても良い。それらは、お互いに独立に1個又は2個存在するのが好ましく、R1又はR1'のどちらか1つの基が存在し、そして、R2又はR2'のどちらか1つの基が存在する場合がより好ましい。R1、R1'、R2及びR2'の内どれか1つ超が存在する場合、それらは全て、お互いに独立に、明細書において示された意味を有し、そして、同一でも又は異なっていても良い。本明細書の式に図示されているベンゼン環上で、R1、R1'、R2又はR2'を持たない位置、又は式に描かれた別の基を持たない位置では水素原子を有し、即ち、1つのR1基と1つのR2基が存在する式Iの化合物においては、R1を持つベンゼン環はR1基及び−CH2NH2基に加えて、3つの水素原子を有し、R2を持つベンゼン環ではR2に加えて、4つの水素原子を有する。式Iの化合物において、2つのR2基が存在する場合、R2を持つベンゼン環はR2基に加えて、3つの水素原子を有する。R1、R1'、R2及びR2'基は、所望する如何なる位置でも存在可能である。例えば、水素とは異なる1つのR2基が存在する式Iの化合物においては、R2は、定義上1位に存在するエチン部分構造に対して、2、3及び4位に存在し得る。もし水素とは異なるR2が2つ存在する場合、それらは、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−及び3,5−位に存在することができる。同様に、水素とは異なるR1が1つ存在する場合、もし、式Iの化合物の−CH2NH2基又は本発明の他の化合物でそれから誘導された基の位置が5と指定されるならば、1位に存在するピペリジン残基に対して、2、3、4及び6位に存在することができる。(もし−CH2NH2の位置が3位と指定されるならば、R1基は、2、4、5及び6位に存在することが可能である。)
【0061】
本発明に基づく、又は関連する化合物の塩、即ち、本明細書に記載される製造方法に用いられる、又は製造方法により得られる、又は製造方法において中間体として生成するいかなる化合物も、本発明の主題自体であり、1つ又はそれ以上の塩基性基、即ち、アミノ基、ピペリジニル基、ピリジニル基、及び/又は、その他の塩基性へテロ環基の様なプロトン付与し得る基を含有する如何なる化合物も含めて、その塩は、特に、それぞれの化合物、並びに鉱酸、有機カルボン酸及びスルホン酸を含む無機又は有機酸とで形成される酸付加塩である。その様な塩を形成することができる酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸、燐酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、クエン酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。2つ又はそれ以上の塩基性基を有する化合物は、一酸当量、又は、二若しくはそれ以上の酸当量を持つ酸付加塩を形成することが可能である。特に、薬学的組成物の製造に、又は薬理学的に活性な成分として使用することを意図する、式I及びIaの化合物の場合、好ましい塩は、非毒性の生理学的に許容される塩、又は薬学的に許容され、使用目的にかなった好適な特性プロファイルを示す塩である。しかし、本発明は、又、生理学的適応性が低いため、医薬品の使用には直接適しないが、しかし、例えば、化学反応において、又は生理学的に許容される塩の製造、例えば、イオン交換手法において、中間体として使用できる塩を含む。塩は、本明細書に記載されたいかなる方法よっても、又は当業者に公知の慣例的方法、例えば、塩基性化合物を溶媒中の酸と接触させること、又は他の塩からのイオン交換などにより得ることができる。同様に、塩を溶媒中の塩基と接触させる慣例的な方法を適用することにより、塩は、もし所望すれば、例えば、塩として単離した中間体が、次の反応工程において遊離の塩基として必要であるならば、遊離の塩基に変換することができる。
【0062】
本発明に基づく化合物及びその製造方法において、そして、特に、種々のR1及びR2に対して、本発明の方法に基づく反応において、無用の関与を避けるため、最終製品において所望されたものである反応性の官能基を保護すること、又は、当初は前駆体部分構造の形態で存在し、後段になって、所望の基へ転換することは、有利であり又は必要であろう。通常の保護基及び前駆体部分構造及び所望の基の導入及びその脱離又は所望の基への転換は、当業者に公知の標準的な慣行に準拠して、例えば、T.W. Greene and P.G.M. Wuts in“Protective Groups in Organic Chemistry”, John Wiley and Sons, 1991に記述された通り使用することができる。
【0063】
本発明に基づく化合物及びその製造方法において、R1及びR1'は、好ましくは、H、F、CF3、OCF3、(C1−C4)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、フェニル、(C1−C4)−アルコキシ、フェノキシ又はジ((C1−C4)−アルキル)アミノであり、より好ましくは、H、F、CF3、OCF3、(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−アルコキシ又はジ((C1−C4)-アルキル)アミノであり、特に好ましくは、H、F、CF3、OCF3、(C1−C4)−アルキル又は(C1−C4)−アルコキシであり、より特に好ましくは、H、F、CF3、OCF3、CH3又はOCH3であり、特別に好ましくは、H又はFであり、最も好ましくはHである。R1又はR1'残基の1つがFである場合、もし式Iの化合物における−CH2−NH2基、又は本発明の他の化合物において、それから誘導される基の位置が、5位に指定されているならば、フッ素原子は1位に存在するピペリジン残基の位置に対して2位に存在することが望ましい。R2及びR2'は、好ましくは、H、F、CF3、OCF3、(C1−C4)−アルキル、(C3−C7)−シクロアルキル、フェニル、(C1−C4)−アルコキシ、フェノキシ又はジ((C1−C4)−アルキル)アミノであり、より好ましくは、H、F、CF3、OCF3、(C1−C4)−アルキル、(C1−C4)−アルコキシ又はジ((C1−C4)−アルキル)アミノであり、特に好ましくは、H、F、CF3、OCF3、(C1−C4)−アルキル 又は(C1−C4)−アルコキシであり、より特に好ましくは、H、F、CF3、OCF3、CH3又はOCH3であり、特別に好ましくは、H又はFである。R2又はR2'の1つが存在する、本発明の最も好ましい実施態様において、R2又はR2'は、Fであり、特に、エチン部分構造に対してオルト位のフッ素原子である。
【0064】
本発明に基づく製造方法は、通常は、溶媒(又は、希釈剤)の存在下で行われるが、しかし、個々のケースによっては、溶媒を添加することなしに、行うこともできる。使用することのできる溶媒としては、無機溶媒、例えば、水及び有機溶媒が挙げられる。有機溶媒の例としては、脂肪族及び芳香族炭化水素を含む炭化水素類、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン又はキシレン;ハロゲン化脂肪族及び芳香族炭化水素を含む、ハロゲン化炭化水素類、例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン又はジクロロベンゼン;脂肪族エーテル及び環状エーテルを含むエーテル類、例えば、ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン;エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル又は炭酸ジメチル;アミド類、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド又はN−メチルピロリドン;脂肪族アルコールを含むアルコール類、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノールを含むプロパノール、n−ブタノール及びイソブタノールを含むブタノール又はエチレングリコール;脂肪族カルボン酸を含む酸類、例えば、ギ酸、酢酸又はトリフルオロ酢酸;その他、例えば、アセトン、ブタノン、ジメチルスルホキシド又はアセトニトリルである。本明細書で使われる用語「溶媒」は、単一の溶媒の他に、2つ又はそれ以上の溶媒の混合溶媒を包含する。それらは、混和性又は一部混和性又は非混和性であっても良く、そして、2つ又はそれ以上の相を形成しても良い。従って、用語「溶媒」には、例えば、エーテルとアルコールの混合溶媒、又はエーテルと炭化水素の混合溶媒の様な2つ又はそれ以上の有機溶媒の混合溶媒、及び、例えば、メタノール、テトラヒドロフラン又はジクロロメタンの様な1つ又は2つ又はそれ以上の有機溶媒と水との混合溶媒が挙げられる。具体的な製造方法において、有利に使われる好適な溶媒の選択は、反応、及び、使用し又は得られる化合物の特性、技術的及びその他の側面を考慮して、当業者によりなされるものである。一般的に言って、不活性な溶媒は、使用した化合物及び試薬、及び/又は、得られた化合物との無用な反応を避けるために使用される。個々の場合によっては、使用した化合物及び試薬及び/又は得られた化合物を溶解する溶媒、又は、使用した化合物及び試薬及び/又は得られた化合物をある程度溶解する溶媒、使用した化合物及び試薬及び/又は得られた化合物を僅かしか溶解しない溶媒を使用することが好ましい場合もある。好適な溶媒の例としては、上記の及び以下の、本発明の製造方法の説明において示される。
【0065】
本発明に基づく種々の製造方法において、塩基は、例えば、化学変換を生じさせるため、又は化合物を脱プロトン化し、又は塩基性の出発化合物をその塩から遊離させるため、又は反応中生成した酸をスカベンジするために用いられる。用いても良い塩基としては、有機塩基、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、エチルジイソプロピルアミン又はN−メチルモルホリンの様な第三級アミン類を含むアミン、及び無機塩基類が挙げられる。無機塩基としては、通常、リチウム、ナトリウム及びカリウムの様なアルカリ金属、並びにマグネシウム及びカルシウムの様なアルカリ土類金属の塩基性化合物であり、水酸化物類、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化カルシウム;炭酸塩類及び炭酸水素塩類、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリム又は炭酸カリウム;アルコラート類、例えば、ナトリウムメタノラート、ナトリウムエタノラート、ナトリウムtert−ブタノラート、カリウムメタノラート、カリウムエタノラート、カリウムtert−ブタノラート、マグネシウムメタノラート、マグネシウムエタノラート、カルシウムメタノラート又はカルシウムエタノラート;その他、例えば、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、Na2HPO4、Na3PO4又は酢酸ナトリウムが挙げられる。単一塩基の他に、2種又はそれ以上の塩基の混合物も、又、使用される。具体的な製造方法において、有利に使われる好適な溶媒の選択は、反応、並びに使用し、及び得られる化合物の特性、技術的側面及びその他の側面を考慮して、当業者によってなされるものである。好適な溶媒の例としては、上記の及び以下の、本発明の製造方法の説明において示される。
以下に、本発明に基づく製造方法に関する更なる説明を記載する。下記のスキームにおいて、R1、R2、R1'及びR2'の基は、上記の如く定義したものであり、Bocはtert−ブトキシカルボニルであり、Phはフェニル、nBuはn−ブチルである。
【0066】
式Iの化合物は、本発明に基づく方法により、スキーム1で示す様に製造される。
【化53】

【0067】
Gが、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリ−イソプロピルシリル、又はジメチル−tert−ブチルシリルである式IIのフェニルエチニルシリル化合物を、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、又はアルコラート、例えば、それぞれのナトリウム若しくはカリ
ウム化合物、又はアルカリ土類金属のアルコラート、例えば、マグネシウム又はカルシウムアルコラートで処理し、好ましくは、炭酸カリウムで、脂肪族アルコール、又は脂肪族アルコール及びエーテルの混合溶媒、例えば、メタノール若しくはエタノール、又はメタノール及びテトラヒドロフランの混合物の様な溶媒中で、約0℃から約50℃の温度で、好ましくは、約10℃から約30℃で処理し、式IIIの対応するフェニルエチニル化合物の溶液を得、フェニルエチニル化合物は単離せず、不安定なフェニルエチニル化合物の取扱いに関連するかも知れない危険を避ける。塩基は触媒量、例えば、式IIの化合物の1モル当り、約0.02から約0.05モル、又は約等量まで量を多くして、例えば、式IIの化合物の1モル当り、約0.02から約1.1モルの1価の塩基が使われる。
【0068】
フェニルエチニル化合物の溶液を式IVのアミドと、エーテル、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン若しくは1,2−ジメトキシエタン、又は炭酸ジメチル、又はエーテルとメタノール若しくはエタノールの様な脂肪族アルコールとの混合物の様な溶媒中で混ぜ合わせ、そして、均一なパラジウム触媒、例えば、Pd(PPh3)2Cl2、第一銅塩、例えば、ヨウ化第一銅、臭化第一銅、塩化第一銅若しくはトリフルオロメタンスルホン酸銅(I)(ここで、第一銅塩は又第二銅塩、例えば、酢酸銅(II)からその場製造できる)、及びヒンダードアミン、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジエチルアミン、ピロリジン又はピペリジンの存在下で、約30℃から約70℃の温度で反応させる。式III又はIIの化合物は、それぞれやや過剰に用い、例えば、式IVの化合物の1モル当り、約1モルから約1.5モル量用いるのが好ましい。パラジウム触媒と第一銅塩の使用量は、それぞれ、式IVの化合物の1モル当り、好ましくは約0.005から約0.2モル、より好ましくは約0.005から約0.05モルであり、そして、ヒンダードアミンの量は、式IIの化合物の1モル当り、好ましくは約1モルから約10モル、より好ましくは約1モルから約5モルである。
【0069】
反応混合物の後処理は、本発明の全ての方法に適用されるような、慣例的な手法、例えば、有機相を、ブライン、希塩酸及び炭酸ナトリウム水溶液で処理して、式VのBocで保護された化合物を得るような手法によって行われる。本発明の予期し得ない側面において、式IIのフェニルエチニルシリル化合物の処理により生成した溶液中に存在する試薬は、次の式IVの化合物とのカップリング反応を妨害しない。
【0070】
式VのBocで保護された化合物は、例えば、式Iの化合物の保存形態として使用することができる。もし、式Iの化合物単体又はその塩を製造することを望む場合は、式Vの化合物からBoc基を脱離し、そして、当てはまる場合は、その他の如何なる保護基をも脱離し、及び/又は、R1’中及び/又はR2’中に存在するかも知れない前駆体部分構造を転換させることにより、脱保護される。好ましくは、式Vの化合物は、酸性条件下で、特に、R1’及びR2’がR1及びR2である化合物から、例えば、メタンスルホン酸の様な生理学的に許容される酸を用いて、例えば、イソプロパノールの様な溶媒中で、例えば、約10℃から約80℃の温度で、都合よく脱保護され、式Iの化合物又はその塩、好ましくは、脱保護工程で使用される酸との塩を生成する。
【0071】
式IVの化合物は、スキーム2で図示した様に製造することができる。Xがブロモ又はヨードである、式XVIIIの5−ブロモ−2−フロ酸又は5−ヨード−2−フロ酸から出発して、酸は、既に概要を記述した様に、初めに活性化されて式XIXの活性型酸誘導体を得(ここで、Xはブロモ又はヨードであり、Aは脱離基、例えば、クロロ又はブロモである)、又は、式XIXは、酸から得られた付加体、及びカルボジイミドの様な縮合剤、又は酸及びクロロ炭酸アルキルから得られる混成酸無水物を表す。好ましくは、式XVIIIの酸は、トルエンの還流下でガスの発生が止むまでチオニルクロリドで処理して、Aがクロロである式XIXの酸クロリド溶液を得る。ここで、この溶液は、もし所望すれば、酸クロリドを単離することなく、次の工程で使用することができる。式XIXの活性型酸誘導体は、式VIの4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジンと溶媒中で、場合により塩基、例えば、トリエチルアミンの様な第三級アミンの存在下で、一般的には約−10℃から約40℃の温度で、好ましくは約10℃から約30℃の温度で混ぜ合わせて、式IVの対応するアミドを与える。式VIの4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジンは、式VIの化合物の塩から、例えば、p−トルエンスルホン酸との塩から、塩基、例えば、水酸化ナトリウムの様なアルカリ金属水酸化物又はアルコラートでの処理と、例えばトルエン又はジクロロメタンの様な溶媒中への式VIの化合物の抽出、次いで溶液の乾燥により、遊離させることができる。
【0072】
【化54】

【0073】
前記した式Iの化合物の製造方法としては、具体的な化合物4−[3−(アミノメチル)フェニル]−1−[5−(2−フルオロフェニルエチニル)−2−フラノイル]ピペリジンメタンスルホン酸塩の製造方法が挙げられ、これはWO2004/060884号(国際特許出願PCT/US2003/040653)に記述されており、スキーム3で示される。
【0074】
【化55】

【0075】
前記の工程に基づき、式IIIaの2−フルオロフェニルエチンは、パラジウムで媒介された反応を経由して、式XXの5−ブロモ−2−フロ酸メチルとカップリングする。後処理とクロマトグラフィーによる分離で、式XXIの5−(2−フルオロフェニルエチニル)−2−フロ酸メチルを得、これを鹸化し、再結晶化して式XXIIのそれぞれの酸を得る。酸の式XXIIIの酸クロリドへの転換はオキサリルクロリドで行うことができる。従来の工程では、酸クロリドと以下に概要を示す高価な試薬を用いて、面倒な工程で製造される、式VIaの4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジンのアシル化により、式VaのN−Bocで保護された4−[3−(アミノメチル)フェニル]−1−[5−(2−フルオロフェニルエチニル)−2−フラノイル]ピペリジンを得る。粗生成物は、フラッシュクロマトグラフィー、次いでジエチルエーテル/ペ
ンタン中で粉砕、或いは再結晶で精製される。メタンスルホン酸で処理することにより、Boc基を脱離し、そして、式Ibの、4−[3−(アミノメチル)フェニル]−1−[5−(2−フルオロフェニルエチニル)−2−フラノイル]ピペリジンメタンスルホン酸塩を得る。
【0076】
先に開示した工程の実質的な欠陥は、不安定であることが分かっているフェニルエチンを出発物質として使用することである。例えば、2−フルオロフェニルエチンは約120℃で激しく分解する。このようにフェニルエチンの使用は安全上の問題を引き起こし、特に大量生産においてはそうである。本発明は、式Iの化合物の製造に有用な都合の良い方法を提供し、フェニルエチンを単離する必要のないその場製造でシリル化合物からフェニルエチンを生成させることで特徴づけられる有利な工程を提供する。かくして、危険な化合物の取扱いを避けることができる。
【0077】
本発明の工程において中間体として有用である、式VIの4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジンは、例えば、スキーム4に示す様な本発明の方法で製造することができる。
【化56】

【0078】
即ち、例えば塩酸塩の様な塩の形態の、式VIIの3−ヨードベンジルアミン又は3−ブロモベンジルアミンを、溶媒中で、例えばジクロロメタンの様なハロゲン化脂肪族炭化水素中で、約等モル量の1,2−ビス(クロロジメチルシリル)エタンで、塩基、例えば、トリエチルアミンの様な第三級アミンの存在下で、好ましくは約10℃から約30℃の温度で処理する。反応混合物の後処理は、濾過と濾液の蒸発、そして、残留物を脂肪族又は芳香族炭化水素、例えば、ペンタンで処理して、残留アミン塩を除去し、式VIIIの対応する3−ハロベンジル化合物、即ち、対応する1−(3−ブロモベンジル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、又は1−(3−ヨードベンジル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタンを得る。
【0079】
式VIIIの化合物を、アルキルリチウム化合物、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム又はヘキシルリチウムで、溶媒中で、例えば、ジエチルエーテル又はテトラヒドロフランの様なエーテル中で処理し、それに続いて、1−ベンジル−4−ピペリドンで、約−80℃から約−40℃の低温下で、例えば、約−60℃で処理して、式IXの対応するアルコールを得、それを、もし所望するなら、更なる精製をせずに次に用いても良い。アルキルリチウム化合物及び1−ベンジル−4−ピペリドンは、通常は、式VIIIの化合物の1モル当り、約1モルから約1.2モル、及び約1モルから約1.1モルの量でそれぞれ使われる。
【0080】
式IXのアルコールを無機酸で、例えば、硫酸、塩酸又は燐酸で、好ましくは燐酸(希釈したものでも、又は高濃度でも良い)で、溶媒中で、例えば、ジクロロメタンの様なハロゲン化脂肪族炭化水素中で、水の存在下で、約10℃から約30℃の温度で処理して、式Xの対応するベンジルアミンを、使用した酸の塩として得る。それは、もし所望すれば、更に精製せずに次の段階に持ち込むことができる。
【0081】
式Xのベンジルアミンの塩は、高濃度の、非酸化性強酸、例えば、燐酸、硫酸、トリフルオロ酢酸又はトルエンスルホン酸で、好ましくは燐酸で、昇温下で、例えば、約70℃から約150℃の温度で、好ましくは約100℃で脱水され、次いで、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、又はアルコラート、例えば、水酸化ナトリウムの様な塩基でアルカリ性にして、式XIの対応するオレフィンを得る。それは、もし所望するなら、更に精製せずに次の段階に持ち込むことができる。
【0082】
式XIの化合物を、その後、二炭酸ジ−tert−ブチル(Boc2O)で、それは一般には、約1から約1.2モル当量のやや過剰の状態で使われ、溶媒中で、例えば、メタノールの様な脂肪族アルコール、酢酸エチル、テトラヒドロフランの様なエーテル、ジクロロメタンの様なハロゲン化炭化水素、2つ若しくはそれ以上のそれらの混合溶媒、又は1つ若しくはそれ以上のそのような溶媒と水の混合物中で、塩基の存在下で、例えば、水酸化ナトリウム又はトリエチルアミンの様な、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩若しくはアルコラート、又は第三級アミンの存在下で、好ましくは、約0℃から約40℃の温度で、好ましくは、約10℃から約30℃の温度で処理し、式XIIのBocで保護されたアミンを得る。
【0083】
オレフィンの二重結合の還元とベンジル基の脱離を同時に行う好都合な方法において、式XIIのBocで保護されたアミンは、約200kPaから約3000kPaの圧力下の水素で、溶媒中で、例えば、メタノール、エタノール又はイソプロパノールの様な脂肪族アルコール、又は酢酸エチル中で、パラジウム触媒の存在下で、例えば、炭素上のパラジウム又は炭素上の水酸化パラジウム、例えば、Pearlmanの触媒の存在下で、そして、有機又は無機酸、例えば、酢酸の存在下で、約10℃から約40℃の温度で処理し、式VIの対応するピペリジンを、用いた酸の塩として得る。もし所望するなら、その塩は、塩基で、
例えば、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、又はアルコラートで処理し、式VIの4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジンへ、転換することができる。
【0084】
上記の通り、本発明に基づく式XII及びVIの化合物の製造方法において、多くの中間体は、もし所望するなら、分離精製工程及び中間体の単離をせずに、都合よく次の反応工程へ持ち込むことができる。
本発明の方法における中間体として有用な、4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジンは、又、本発明の方法で、例えば、スキーム5で示す様な方法で製造できる。
【0085】
【化57】

【0086】
即ち、式XIIIの3−(4−ピリジル)ベンズアルデヒドは、ヒドロキシルアミン又はヒドロキシルアミンの塩で、例えば、ヒドロキシルアンモニウムの塩化物、硫酸塩又は燐酸塩で、溶媒中で、例えば、メタノール、エタノール又はイソプロパノールの様な脂肪族アルコール中で、場合により、塩基の存在下で、例えば、トリエチルアミンの様な第三級アミン、炭酸ナトリムの様なアルカリ金属の炭酸塩、又は炭酸水素ナトリウムの様なアルカリ金属の炭酸水素塩の存在下で、約0℃から約40℃の温度で、好ましくは、約10℃から約30℃の温度で処理し、式XIVの対応するオキシム又はその塩を得る。オキシム溶液は、もし所望するなら、更なる精製なしに、次の段階に持ち込むことができる。
【0087】
式XIVのオキシム又はその塩を、溶媒中で、例えば、脂肪族アルコール又はカルボン酸の様な極性有機溶媒中で、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又は酢酸中で、約300kPaから約1500kPaの圧力下で、例えば、約500kPaの圧力下で、パラジウム触媒の存在下で、例えば、炭素上のパラジウム、又は水酸化パラジウムの存在下で、約20℃から約50℃の温度で、例えば、約35℃で、水素で処理し、式XVの対応するベンジルアミン又はその塩を得る。濾過して触媒を除去し、溶液は、もし所望するなら、更なる精製なしに次の工程で使用することができる。
【0088】
式XVのベンジルアミン又はその塩を、その後、二炭酸ジ−tert−ブチル(Boc2O)(一般には、約1から約1.2モル当量のやや過剰の状態で使われる)で、溶媒中で、例えば、メタノール、酢酸エチル、テトラヒドロフランの様なエーテル、ジクロロメタンの様なハロゲン化炭化水素、2つ若しくはそれ以上のそれらの混合溶媒、又は1つ若しくはそれ以上のそのような溶媒と水の混合溶媒中で、塩基の存在下で、例えば、水酸化ナトリウム又はトリエチルアミンの様な、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩若しくはアルコラート、又は第三級アミンの存在下で、好ましくは約0℃から約40℃の温度で、より好ましくは約10℃から約30℃の温度で処理し、式XVIの対応するBocで保護されたアミンを得る。それは、もし所望するなら、更なる精製なしに次の工程で使用することができる。
【0089】
式XVIの3−(4−ピリジル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステルは、溶媒中で、例えばエタノール又はイソプロパノールの様な脂肪族アルコール中で、約2000kPaから約6000kPaの圧力下で、白金触媒の存在下で、例えば炭素上の白金又は酸化白金の存在下で、例えば、炭素上の白金(5%)の存在下で、約20℃から約80℃の温度で、例えば、50℃で、酸の存在下で、例えば、塩化水素、硫酸の様な鉱酸の存在下で、水素で処理する。本発明の予期しない側面において、Bocで保護された基は、還元混合物中における酸の存在下で存続し続ける。水素の吸収が完全に終わった時、減圧下で溶媒を除去して後処理し、次いで、水溶性の塩基、例えば、水酸化ナトリウム水溶液で混合物を処理し、有機溶媒、例えば、ジクロロメタン又はトルエン中に抽出する。溶媒の蒸発後の残留物は、もし所望するなら、酸で、例えば、p−トルエンスルホン酸で処理し、式VIの所望のピペリジンをその塩、例えば、p−トルエンスルホン酸塩として得る。
【0090】
上記で概要を示した通り、式XIIIのピリジルベンズアルデヒドからオキシムに転換し、そしてそのオキシムの官能基を水素添加する代わりに、式XVのアミン又はその塩を、式XVIIのピリジルベンゾニトリルからニトリルの官能基を還元することにより、例えば、活性炭上のパラジウムの様なパラジウム触媒の存在下での接触水素添加により、又はヒドリド錯体還元剤を用いることにより製造することができる。ニトリル官能基の接触水素添加は、好ましくは、溶媒中で、例えば、メタノールの様な脂肪族アルコール又は脂肪族アルコール及び水との混合物中で、約10℃から約40℃の温度で、約2000kPaから約6000kPaの水素圧力で、酸の存在下で、例えば、塩酸の様な鉱酸の存在下で行われる。ニトリル官能基のヒドリド錯体による還元は、好ましくは、ナトリウムボロヒドリドの様なヒドリド錯体を用いた場合、プロトン性溶媒中で、例えば、メタノール又はエタノールの様な脂肪族アルコール中で、又はリチウムアルミニウムヒドリドの様なヒドリド錯体を用いた場合、非プロトン性溶媒中で、例えば、テトラヒドロフランの様なエーテル中で、約0℃から約50℃の温度で行われる。式XVのアミン又はその塩は、もし所望するなら、更なる精製をせずに次の工程で使われ、そこで、上記で説明した様に、二炭酸ジ−tert−ブチルで処理される。式XIII及び式XVIIの出発化合物は市販されており、又は、例えば、WO98/21210号、Z.Y. Wang et al., Chin. Chem. Lett. 2003, 14, p 13-16、又は、M.A. Massa et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 2001, 11, p 1625-1628の文献に記載された手法と類似の方法により製造することができる。
【0091】
上記に説明した様に、本発明に基づく式XIII又はXVIIの化合物からの式VIの化合物の製造方法において、中間体は、もし所望するなら、分離精製及び中間体の単離をせずに、都合良く次の反応工程に取り入れることができる。
【0092】
本発明の方法に基づき、式VIの4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジンを、かなり簡潔な方法で、そして、従来の方法に基づく試薬より安価な試薬の使用で製造できる。4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメ
チル)フェニル]ピペリジン製造の従来法としては、WO2004/060884(国際特許出願PCT/US2003/040653)で開示されたスキーム6で示されるものが挙げられる。
【0093】
【化58】

【0094】
前記した方法の第一段階である、1,1'−カルボニルジイミダゾール(CDI)及び2−(トリメチルシリル)エタノールから、その場製造したカルバミン酸エステルを用いる、式XXVのN−Teoc(2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル)誘導体としての、式XXIVの4−ピペリドン誘導体の保護は、高価な試薬2−(トリメチルシリル)エタノールの使用のみならず、156〜160℃で、高真空下での蒸留を必要とする。式XXVのケトンのエノール化は、−78℃の温度での、テトラヒドロフラン中のリチウムビス(トリメチルシリル)アミドとの反応と、それに続く、別の高価な試薬であるN−フェニル−ビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)を用いたエノラートのクエンチを必要と
して、式XXVIのビニルトリフラートを得る。式XXVIのトリフラートは、高価な試薬である3−シアノフェニルボロン酸によるSuzukiカップリング反応において、高価な触媒テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)の存在下で使用され、式XXVIIのニトリルを得るが、それはクロマトグラフィーで精製しなければならない。塩化水素の存在下でのPd/Cを用いた、ニトリル官能基及び二重結合の両者の水素添加により、式XXVIIIの所望のアミン塩酸塩及び式XXIXのニトリルの部分還元物との混合物を得る。アミンは洗浄してニトリルを除かなければならない。次いで、二炭酸ジ−tert−ブチル(Boc2O)の存在下で、式XXXのBoc−保護誘導体へ転換される。式XXIXの残留ニトリルをNiCl2、毒性試薬であるBoc2O及びNaBH4の存在下で、所望のアミン及び式XXXのBocで保護された誘導体へ転換することができる。式XXXのBoc保護誘導体は単離して、ペンタンで粉砕化して精製しなければならず、或いは又、シクロヘキサン/ヘキサンから再結晶することができる。テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリドによる、50℃でのN−Teoc基の脱離と、ジエチルエーテル/ペンタンでの粉砕化の後、式VIaの所望のピペリジン、即ち、R1'が水素である式VIの化合物を得る。
【0095】
式VIaのピペリジンを製造する先行技術は、1工程での低温の反応条件、数回のクロマトグラフィーによる分離及び精製工程、中間体の単離、及び有毒並びに高価な試薬の使用を必要とする。本発明の方法は、明細書に記述した様に、毒性の低い、より安価な試薬を用いて、中間体の単離を減らし、中間体の精製工程を少なくし、それにより、これらの方法を、経済的、技術的側面より、その様な化合物の商業規模での生産に対してより好適なものにしている、式VIの化合物を提供する。
【0096】
本発明を、以下の典型的な手順により更に更に説明し及び図示する。これらの実施例は、決して本発明の範囲を限定するものと解釈するべきではない。
【0097】
〔実施例1〕
4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジン
a)1−(3−ブロモベンジル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン
ジクロロメタン(2L)中の3−ブロモベンジルアミン塩酸塩(310g、1.39mol)の懸濁液にトリエチルアミン(437g、4.32mol)を撹拌しつつ加え、次いで、ジクロロメタン(700mL)中の1,2−ビス(クロロジメチルチルシリル)エタン(300g、1.39mol)溶液を加えた。得られた懸濁液を30分間撹拌し、そして濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、そして、ペンタンを加えた。濾過後、減圧下で溶媒を除去し、標題の化合物(435g、95%)を無色の油状物質として得た。
1HNMR(CDCl3)δ=7.4−7.1(m,4H),4.0(s,2H),0.8(t,4H),0.2(s,12H)。
【0098】
b)3−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステル
テトラヒドロフラン(4L)中の1−(3−ブロモベンジル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン(435g、1.33mol)の溶液に、n−ブチルリチウム(n−BuLi)(609mL、1.52mol)の2.5M溶液を−60℃で加えた。30分後、テトラヒドロフラン中の1−ベンジル−4−ピペリドン(276g、1.46mol)溶液を、その温度で加えた。更に、30分間撹拌した後、反応溶液に、メタノールを加えてクエンチし、そして、室温まで温めた。溶液を減圧下で濃縮し、未精製のアルコールを粘着性のある油状物質として得た。
【0099】
上記の未精製の残留物を、ジクロロメタン(1.5L)に溶解した。この溶液に濃燐酸(H3PO4)(1当量)を加え、その混合物を減圧下で濃縮した。黄色味を帯びた燐酸塩をヘプタンを添加して固化し、濾過で単離した。
上記の乾燥した固体に濃燐酸(1.5L)を加え、そして、得られた混合物を100℃で2時間加熱した。室温に冷却した後、溶液を水で希釈し、エーテルで抽出した。水層を水酸化ナトリウムで塩基性にした。沈殿物を濾過して単離し、乾燥することなく、次の工程で用いた。
【0100】
上記の固体を、水酸化ナトリウム(10.0g、0.25mol)を含むメタノール(4L)及び水(2L)の混合物中に懸濁させた。Boc2O(290g、1.33mol)を加え、そして混合物を室温で終夜撹拌した。固体を濾過で単離し、減圧下で乾燥し、標題の化合物(390g、76%)を淡黄色の固体として得た。
1HNMR(CDCl3)δ=7.1−7.4(m,9H)、6.03(m,1H)、4.90(m,1H)、4.25(d,2H),3.68(s,2H)、3.18(m,2H)、2.69(m,2H)、2.57(m,2H)、1.42(s,9H)。
MS(m/z)379(M+H)、380(M+2H)。
【0101】
c)4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジン酢酸塩
メタノール中の3−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステル(190g、0.50mol)、Pearlmanの触媒(Pd(OH)2/C)(9.5g)及び酢酸(60.2g、1.0mol)の混合物を終夜室温で、345kPaの水素圧で水素添加した。濾過と蒸発の後、得られた油状物質をジイソプロピルエーテルに溶解し、これにより反応生成物を沈殿させた。減圧下で乾燥した後、純粋の標題化合物(159g、90%)を、黄色味を帯びた固体として単離した。
1HNMR(300MHz,CDCl3)δ=7.1−7.4(m,4H),4.89(m,1H),4.29(d,2H),3.42(m,2H),2.86(m,2H),2.69(m,1H),2.05(s,3H),1.97(m,4H),1.45(s,9H)。
MS(m/z)=291(M+H),292(M+2H)。
【0102】
d)4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジン
4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジン酢酸塩(147g、0.42mol)を希塩酸に溶解し、溶液をエーテルで抽出した。水相を水酸化ナトリウムで塩基性にし、次いで、エーテルで抽出した。有機相を減圧下で濃縮し、生成物をペンタン/エーテルから沈殿させ、標題の化合物(105g、86%)を灰色を帯びた固体として得た。
1HNMR(300MHz,CDCl3)δ=7.25(m,1H),7.07−7.13(m,3H),5.12(m,1H),4.29(d,2H),3.17(m,3H),2.72(m,2H),2.60(m,1H),1.81(m,2H),1.55−1.70(m,2H),1.46(s,9H)。
MS(ESI)m/z=291(M++1,100)。
【0103】
〔実施例2〕
4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジンp−トルエンスルホン酸塩
a)3−(4−ピリジル)ベンズアルデヒドオキシム塩酸塩
3−(4−ピリジル)ベンズアルデヒド(100g、546mmol)をメタノール(
500mL)に溶解し、メタノール(260mL)中のヒドロキシルアミン塩酸塩(40.2g、573mmol)に加えた。完全に転換させた後、反応混合物の少量の試料を減圧下で濃縮した。
MS(DCI)m/z=181.1,199.1,200.2。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ=7.56(t,J=7.7Hz,1H),7.70−7.75(m,3H),7.79−7.83(m,1H),7.97−7.99(m,1H),8.25(s,1H),8.65−8.67(m,2H),11.4(s,1H)。
【0104】
b)3−(4−ピリジル)ベンジルアミン塩酸塩
上記の3−(4−ピリジル)ベンズアルデヒドオキシム塩酸塩のメタノール溶液を活性炭上のパラジウム(13.1g、5%Pd/C)に加えた。混合物を35℃で500kPaの水素圧で水素の消費が終了するまで撹拌した。触媒を濾別した。HPLCで転換の完了を確認した。反応溶液の少量の試料を濃縮した。
MS(DCI)m/z=185.2,186.2。
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ=4.10(s,2H),7.54−7.61(m,2H),7.74−7.77(m,2H),7.83(dt,J=2.1,6.6Hz,1H),8.02−8.05(m,1H),8.53(bs,2H),8.67−8.70(m,2H)。
【0105】
c)3−(4−ピリジル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステル
上記の3−(4−ピリジル)ベンジルアミン塩酸塩のメタノール溶液にNaHCO3(109g、1.30mol)を加えた。混合物をガスの発生が終了するまで撹拌した。メタノール(450mL)中の二炭酸ジtert−ブチル(139g、623mmol)溶液を加えた。混合物をHPLCで転換が完了したことを確認するまで、室温で撹拌した。メタノールの3/4を、減圧下で蒸発させた。水(500mL)を加え、残留メタノールを減圧下で蒸発させた。水層をジクロロメタンで抽出した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をエタノール(100mL)に溶解した。反応溶液の少量の試料を、減圧下で濃縮した。
MS(DCI)m/z=229.3,285.4,286.4,287.4。
1HNMR(400MHz,CDCl3)δ=1.48(s,9H),4.37−4.44(m,2H),4.95(bs,1H),7.34−7.39(m,1H),7.42−7.48(m,1H),7.48−7.51(m,2H),7.52−7.56(m,2H),8.64−8.67(m,2H)。
【0106】
d)4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジンp−トルエンスルホン酸塩
炭(17g)を上記の3−(4−ピリジル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステルのエタノール溶液の半分に加えた。混合物を室温で撹拌し、濾過し、そして、フィルターを、追加のエタノール(260mL)で洗浄した。得られた溶液を炭上の白金(44.7g、5%Pt/C)に加えた。濃塩酸(31g)及びエタノール(250mL)の混合物を加えた。反応混合物をエタノール(500mL)で希釈し、そして、50℃で3000kPaの水素圧で、水素の消費が終了するまで水素添加した。触媒を濾別し、HPLCで転換が完了したことを確認した。エタノールの3/4を減圧下で除去した。水(310mL)と水酸化ナトリウム(33%、33g)の混合物を加え、その後、残留エタノールを減圧下で除去した。水溶液をジクロロメタンで抽出した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をイソプロパノール(65mL)とジイソプロピルエーテル(2.8L)に溶解した。溶液を0℃に冷却し、そして、イソプロパノール(260mL)中のp−トルエンスルホン酸(57.5g)の溶液を加えた。その後、混合物を0℃で1時間撹拌した。沈殿物を濾別し、ジイソプロピルエーテルで洗浄し、減圧下で乾燥し、標題の化合物(94.5g)を白色固体(4工程の通算収率:77%)として得た。
MS(ESI)m/z=291.26,292.28,293.28。
1HNMR(400MHz,DMSO−d6)δ=1.39(s,9H),1.70−1.95(m,4H),2.29(s,3H),2.76−2.85(m,1H),2.96−3.05(m,2H),3.25−3.40(m,1H),4.08−4.13(m,2H),7.05−7.14(m,4H),7.23−7.30(m,1H),7.36−7.40(m,1H),7.46−7.56(m,2H),8.37(bs,2H)。
【0107】
〔実施例3〕
3−(4−ピリジル)ベンジルアミン二塩酸塩
塩酸(34.0g、30%質量比)及び炭上のパラジウム(12.0g、10%Pd/C)を、メタノール/水(1:1、250mL)中の3−(4−ピリジル)ベンゾニトリル(25.0g、139mmol)溶液に加えた。混合物を室温で、3000kPaの水素圧下で水素の消費が終了するまで撹拌した。触媒を濾別し、HPLCで転換の完了を確認した。反応溶液の試料を減圧下で濃縮した。
MS(DCI)m/z=185.3。1HNMR(400MHz,DMSO−d6)δ=4.15(s,2H),7.62−7.66(m,1H),7.72(d,J=7.6Hz,1H),7.99(d,J=7.8Hz,1H),8.20(s,1H),8.41(d,J=6.5Hz,2H),8.92(d,J=6.5Hz,2H)。
【0108】
〔実施例4〕
4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]−1−[5−ブロモ−2−フラノイル]ピペリジン
トルエン中の4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジンp−トルエンスルホン酸塩(185g、0.40mol)の懸濁液に水酸化ナトリウム水溶液(1.1当量)を加え、その混合物を室温で30分間撹拌した。相が分離し、トルエン層を水で洗浄した。トルエン部分を共沸蒸留して乾燥した。この溶液に対して、トリエチルアミン(72mL、0.52mol)を加えた。この混合物を直接、次の工程に用いた。
トルエン中の5−ブロモ−2−フロ酸(80.8g、0.44mol)の懸濁液を還流し、チオニルクロリド(37mL、0.52mol)を加えた。その混合物を更に30分間還流し、溶媒部分を蒸留して濃縮した。得られた溶液を室温に冷却し、上記のアミン溶液に加えた。1時間撹拌した後、水を加えて有機層を分離し、そして、ヘプタンで希釈した。固体を濾別し、減圧下で乾燥した。粗生成物をイソプロパノール/水から再結晶し、純粋な標題の化合物(143g、77%)を、灰色を帯びた固体として得た。
1HNMR(400MHz,DMSO−d6)δ=7.34(m,1H),7.24(t,J=7.6Hz,1H),7.12(m,2H),7.06(m,1H),7.02(d,J=3.4Hz,1H),6.75(d,J=3.4 Hz,1H),4.40(bs,2H),4.10(d,J=6.1Hz,2H),3.25−2.90(bs,2H),2.87−2.79(m,1H),1.83(m,2H),1.63−1.53(m,2H),1.39(s,9H)。
MS(ESI)m/z=363(M+−100, 100)。
【0109】
〔実施例5〕
4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]−1−[5−(2−フルオロフェニルエチニル)−2−フラノイル]ピペリジン
メタノール(40mL)中の(2−フルオロフェニルエチニル)トリメチルシラン(68.0g、0.35mol)溶液を、メタノール(40mL)中のK2CO3(0.76g、5.51mmol)の懸濁液に加えた。溶液を室温で30分間撹拌し、テトラヒドロフラン(550mL)中の4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]−1−[5−ブロモ−2−フラノイル]ピペリジン(126g、0.27mol)、Pd(PPh3)2Cl2(3.90g、5.56mmol)、CuI(1.0g、5.25mmol)及びトリエチルアミン(94mL)の混合物に加えた。反応混合物を1時間還流した。トリメルカプトトリアジンの三ナトリウム塩(0.2当量)の水溶液を導入し、混合物を更に1時間還流した。室温に冷却した後、ブラインを加えて、有機相を分離し、希塩酸と炭酸ナトリウム溶液で連続して洗浄した。有機相を炭と一緒に30分間還流し、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた褐色の油状物質をジクロロメタン(400mL)に溶解し、室温で、Deloxan(登録商標)THPII(135g)と一緒に撹拌した。濾過後、溶媒を蒸発させ、生成物をイソプロパノール/ジイソプロピルエーテルから結晶化させ、標題の化合物(74.6g、55%)を黄色の粉末として得た。
1HNMR(300MHz,CDCl3)δ=7.53(td,1H),7.41−7.28(m,2H),7.18−7.08(m,5H),7.04(d,1H,J=3.6Hz),6.76(d,1H,J=3.6Hz),4.83(bs,1H),4.72(bm,2H),4.31(d,2H,J=5.6 Hz),3.1(bs,1H),2.82(m,2H),1.96(m,2H),1.79(td,2H,J=12.8,4.0Hz),1.46(s,9H)。
MS(ESI)m/z=503(M++1,100)。
【0110】
〔実施例6〕
4−[3−(アミノメチル)フェニル]−1−[5−(2−フルオロフェニルエチニル)−2−フラノイル]ピペリジンメタンスルホン酸塩
イソプロパノール(350mL)中の4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]−1−[5−(2−フルオロフェニルエチニル)−2−フラノイル]ピペリジン(67.4g、0.13mol)の溶液に、メタンスルホン酸(13.5g、0.14mol)を70℃で加えた。混合物をその温度で3時間撹拌し、そして、徐々に室温に冷却した。沈殿物を濾別し、アセトンで洗浄し、減圧下で乾燥した。粗生成物をイソプロパノール/ジイソプロピルエーテルの水溶液から再結晶し、分析的に純粋な標題の化合物(56.5g、84%)を得た。
1HNMR(300MHz,DMSO−d6)δ=8.12(bs,3H),7.67(tm,1H,J=7.5Hz),7.54(qm,1H,J=7.0Hz),7.42−7.26(m,6H),7.10(m,2H),4.34(bs,2H),4.02(q,2H,J=5.5Hz),3.5−2.7(bs,2H),2.89(m,1H),234(s,3H),1.87(m,2H),1.65(m,2H)。
MS(ESI)m/z=403(M++1,100)。
【0111】
〔実施例7〕
4−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)−2−フルオロフェニル]ピペリジン
標題の化合物を、実施例1で記述した4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジンの製造と類似の方法で製造した。簡潔に述べると、a)工程において、3−ブロモ−4−フルオロベンジルアミン塩酸塩を、1−(3−ブロモ−4−フルオロベンジル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタンに転換し、b)工程において、後者の化合物を、n−BuLi及び1−ベンジル−4−ピペリドンと、−75℃から−70℃で反応させ、1−[3−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)−4−フルオロベンジル]−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタンを得、それを燐酸で処理し、3−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)−4−フルオロベンジルアミン(燐酸塩として)に転換し、次いで、3−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)−4−フルオロベンジルアミンへ転換した。次いで、Boc2Oとの反応で、3−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)−4−フ
ルオロベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステルを得た。c)工程において、後者の化合物を水素添加し、4−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)−2−フルオロフェニル]ピペリジン酢酸塩を得、それをtert−ブチルメチルエーテル中で粉砕して、精製した。d)工程において、該酢酸塩を、4−[5−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)−2−フルオロフェニル]ピペリジンに転換し、それをペンタンから白色固体として沈殿させた。
1HNMR(300MHz,CDCl3)δ=7.10(m,2H),6.95(m,1H),4.84(bs,1H),4.26(d,2H,J=5.6Hz),3.18(d,2H,J=12.0Hz),2.95(m,1H),2.77(m,2H),1.81−1.48(m,5H),1.46(s,9H)。
MS(ESI)m/z=309(M+H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、R1は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含む3員環から10員環のヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノであり;そして
2は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含む3員環から10員環のヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含む5員環から10員環のヘテロアリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含む5員環から10員環のヘテロアリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ−((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノである]の化合物又はその塩の製造方法であって、
a)式II:
【化2】


[式中、Gは、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリ−イソプロピルシリル又はジメチル−tert−ブチルシリルであり;そして、
2'は 上記で定義したR2、又はその保護された誘導体又はその前駆体部分構造である]
のフェニルエチニルシラン化合物を、溶媒中で、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩若しくはアルコラートで、又はアルカリ土類金属のアルコラートで処理して、式III:
【化3】

のフェニルエチン溶液を生成すること;そして、
b)得られたフェニルエチン溶液を、式IV:
【化4】

[式中、Xはブロモ又はヨードであり;
1'は、上記で定義した通りのR1、又はその保護された誘導体又はその前駆体部分構造であり;そして、
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである]
の化合物と、均一なパラジウム触媒、第一銅塩及びヒンダードアミンの存在下、溶媒中で混ぜ合わせて、式V:
【化5】

[式中、R1'及びR2'は、それぞれ、上記で定義したR1及びR2で、又は保護されたその誘導体又はその前駆体部分構造であり;
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである]
の保護された化合物又はその塩を生成すること;
を含む上記方法。
【請求項2】
a)式IIa:
【化6】

[式中、Gは、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリ−イソプロピルシリル、又はジメチル−tert−ブチルシリルである]
の(2−フルオロフェニルエチニル)シリル化合物を、溶媒中で、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩若しくはアルコラート、又はアルカリ土類金属のアルコラートで処理して、2
−フルオロフェニルエチン溶液を生成すること;そして、
b)得られた2−フルオロフェニルエチン溶液を、式IVa:
【化7】

[式中、Xは、ブロモ又はヨードであり;そして、
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである]
の化合物と、溶媒中で、均一なパラジウム触媒、第一銅塩及びヒンダードアミンの存在下で混ぜ合わせ、式Va:
【化8】

[式中、Bocは、tert−ブトキシカルボニルである]
で表される4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]−1−[5−(2−フルオロフェニルエチニル)−2−フラノイル]ピペリジンを生成すること;
を含む、式Ia:
【化9】

で表される4−[3−(アミノメチル)フェニル]−1−[5−(2−フルオロフェニルエチニル)−2−フラノイル]ピペリジン又はその塩を製造するための請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Gがトリメチルシリルである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
Xがブロモである、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
式V又はVaの化合物中に存在する、tert−ブトキシカルボニル基及びその他の保護基の脱離、及び/又は、前駆体部分構造の転換により、式I又はIaの化合物若しくはその塩を得ることを更に含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
酸の存在下で、式V又はVaの化合物からtert−ブトキシカルボニル基を脱離することにより、式I又はIaの化合物若しくはその塩を得ることを更に含む、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
メタンスルホン酸の存在下で、4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]−1−[5−(2−フルオロフェニルエチニル)−2−フラノイル]ピペリジンからtert−ブトキシカルボニル基を脱離することにより、4−[3−(アミノメチル)フェニル]−1−[5−(2−フルオロフェニルエチニル)−2−フラノイル]ピペリジンのメタンスルホン酸塩を得ることを更に含む、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
式IV:
【化10】

[式中、R1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含む3員環から10員環のヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ若しくはジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又はその保護された誘導体又はその前駆体部分構造であり;そして、
Xはブロモ又はヨードである]
の化合物の製造方法であって、
a)5−ブロモ−2−フロ酸又は5−ヨード−2−フロ酸を活性化して、活性型の5−ブロモ−2−フロ酸又は5−ヨード−2−フロ酸を得ること;そして
b)活性型の5−ブロモ−2−フロ酸又は5−ヨード−2−フロ酸を、式VI:
【化11】

[式中、R1'は、式IVで定義した通りであり;
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである]
の化合物と溶媒中で混ぜ合わせること;
を含む上記方法。
【請求項9】
1'が水素である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
a)5−ブロモ−2−フロ酸をチオニルクロリドで処理して、5−ブロモ−2−フロイルクロリドを得ること;そして
b)5−ブロモ−2−フロイルクロリドを式VIa:
【化12】

[式中、Bocは、tert−ブトキシカルボニルである]
の化合物と溶媒中で、塩基の存在下で混ぜ合わせること;
を含む、式IVc:
【化13】

[式中、Bocはtert−ブトキシカルボニルある]
の化合物を製造するための請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
式VI:
【化14】

[式中、R1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含む3員環から10員環のヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又はその保護された誘導体又はその前駆体部分構造であり;
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである]
の化合物又はその塩の製造方法であって、
a)式VII:
【化15】

で表される3−ハロベンジルアミンの塩を、溶媒中、塩基の存在下で、1,2−ビス(クロロジメチルシリル)エタンで処理することにより、式VIII:
【化16】

で表される1−(3−ハロベンジル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタンを得ること;
b)式VIIIの1−(3−ハロベンジル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタンを溶媒中、約−80℃から約−40℃の温度で、アルキルリチウム化合物及び1−ベンジル−4−ピペリドンで処理することによって、式IX:
【化17】

で表されるアルコールを得ること;
c)式IXのアルコールを、溶媒中、酸で処理して、式X:
【化18】

で表されるヒドロキシピペリジニルベンジルアミンを酸の塩として得ること;
d)式Xのヒドロキシピペリジニルベンジルアミン又はその塩を、濃縮された非酸化性酸で、約70℃から約150℃の温度で処理し、次いで、アルカリ性にすることによって、式XI:
【化19】

で表されるオレフィンを得ること;
e)式XIのオレフィンを、溶媒中、塩基の存在下で、二炭酸ジ−tert−ブチルで処理して、式XII:
【化20】

[式中、Bocは、tert−ブトキシカルボニルである]
の保護されたアミンを得ること;
を含み、ここで、式IX、X、XI及びXIIにおけるPhはフェニルであり;式VII及びVIIIにおけるX’は、ブロモ又はヨードであり;そして、式VII、VIII、IX、X、XI及びXIIにおけるR1'は式VIで定義した通りである上記方法。
【請求項12】
a)3−ブロモベンジルアミン塩酸塩又は3−ヨードベンジルアミン塩酸塩を、ハロゲン化脂肪族炭化水素中、第三級アミンの存在下で、1,2−ビス(クロロジメチルシリル)エタンで処理して、対応する1−(3−ハロベンジル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン(ここで、ハロはブロモ又はヨードである)を得ること;
b)1−(3−ハロベンジル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタンをエーテル中で、約−80℃から約−40℃の温度で、アルキルリチウム化合物及び1−ベンジル−4−ピペリドンで処理して、1−[3−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)ベンジル]−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタンを得ること;
c)1−[3−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)ベンジル]−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタンを、ハロゲン化炭化水素中無機酸で処理して、3−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)ベンジルアミンを無機酸の塩として得ること;
d)3−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)ベンジルアミンを、約70℃から約150℃の温度で、濃縮された非酸化性酸で処理し、次いでアルカリ性にすることによって、3−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)ベンジルアミンを得ること;そして、
e)3−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)ベンジルアミンを、脂肪族アルコール、酢酸エチル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、2つ若しくはそれ以上のそれらの混合溶媒、又は1つ若しくはそれ以上のそれらの溶媒と水との混合溶媒中で、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩若しくはアルコラート、又は第三級アミンの存在下で、二炭酸ジ−tert−ブチルで処理して、3−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステルを得ること;
を含む、4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジン又はその塩を製造するための請求項11に記載の方法。
【請求項13】
式XIIのアミンを、溶媒中、パラジウム触媒の存在下で、及び酸の存在下で、水素で処理して、式VIの化合物又はその塩を得ることを更に含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
式VI:
【化21】

[式中、R1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含む3員環から10員環のヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又は保護されたその誘導体又はその前駆体部分構造であり;
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである]
の化合物又はその塩の製造方法であって;
a)式XIII:
【化22】

で表される3−(4−ピリジル)ベンズアルデヒドを、溶媒中、ヒドロキシルアミン又はヒドロキシルアミンの塩で処理して、式XIV:
【化23】

で表されるオキシム又はその塩を得ること;
b)式XIVのオキシム又はその塩を、溶媒中、パラジウム触媒の存在下で水素で処理して、式XV:
【化24】

で表される3−(4−ピリジル)ベンジルアミン又はその塩を得ること;
c)式XVの3−(4−ピリジル)ベンジルアミン又はその塩を、溶媒中、塩基の存在下で、二炭酸ジ−tert−ブチルで処理して、式XVI:
【化25】

[式中、Bocはtert−ブトキシカルボニルである]
のBocで保護された3−(4−ピリジル)ベンジルアミンを得ること;そして
d)式XVIのBocで保護された3−(4−ピリジル)ベンジルアミンを、溶媒中、パラジウム触媒の存在下で、そして酸の存在下で、水素で処理して、式VIの化合物又はその塩を得ること;
を含み、ここで、式XIII、XIV、XV及びXVIにおけるR1'は、上記の式VIで定義した通りである上記方法。
【請求項15】
a)3−(4−ピリジル)ベンズアルデヒドを、脂肪族アルコール中、約0℃から約40℃の温度で、ヒドロキシルアミン又はその塩で処理して、3−(4−ピリジル)ベンズアルデヒドオキシム又はその塩を得ること;
b)3−(4−ピリジル)ベンズアルデヒドオキシム又はその塩を、約300kPaから約1500kPaの圧力で、脂肪族アルコール中で、パラジウム触媒の存在下で、約20℃から約50℃の温度で、水素で処理して、3−(4−ピリジル)ベンジルアミン又はその塩を得ること;
c)3−(4−ピリジル)ベンジルアミン又はその塩を、脂肪族アルコール、酢酸エチル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、2つ若しくはそれ以上のそれらの混合溶媒、又は1つ若しくはそれ以上のそれらの溶媒と水との混合溶媒中で、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩若しくはアルコラート又は第三級アミンの存在下で、二炭酸ジ−tert−ブチルで処理して、3−(4−ピリジル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステルを得ること;そして
d)3−(4−ピリジル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステルを、脂肪族アルコール中、約2000kPaから約6000kPaの圧力で、白金触媒の存在下で、及び酸の存在下で、水素で処理すること;
を含む、4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジン又はその塩を製造するための請求項14に記載の方法。
【請求項16】
式VI:
【化26】

[式中、R1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含む3員環から10員環のヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又はその保護された誘導体又はその前駆体部分構造体であり;
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである]
の化合物又はその塩の製造方法であって、
a)式XVII:
【化27】

で表される3−(4−ピリジル)ベンゾニトリルを、パラジウム触媒の存在下、及び酸の存在下、水素で処理して、又は、溶媒中、ヒドリド錯体で処理して、式XV:
【化28】

で表される3−(4−ピリジル)ベンジルアミン又はその塩を得ること;
b)式XVの3−(4−ピリジル)ベンジルアミン又はその塩を、溶媒中、塩基の存在下で、二炭酸ジ−tert−ブチルで処理して、式XVI:
【化29】

[式中、Bocは、tert−ブトキシカルボニルである]
のBocで保護された3−(4−ピリジル)ベンジルアミンを得ること;そして
c)式XVIのBocで保護された3−(4−ピリジル)ベンジルアミンを、溶媒中、白金触媒の存在下で、及び酸の存在下で、水素で処理して、式VIの化合物又はその塩を得ること;
を含み、ここで、式XV、XVI及びXVIIにおけるR1'は、上記の式VIで定義した通りである上記方法。
【請求項17】
4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]ピペリジン又はその塩の製造方法であって、
a)3−(4−ピリジル)ベンゾニトリルを、パラジウム触媒の存在下で、約2000kPaから約6000kPaの圧力で、脂肪族アルコール若しくは脂肪族アルコール及び水との混合物中で、水素で処理すること、又は、脂肪族アルコール若しくはエーテル中で、約0℃から約50℃の温度で、ヒドリド錯体で処理して、3−(4−ピリジル)ベンジルアミン又はその塩を得ること;
b)3−(4−ピリジル)ベンジルアミン又はその塩を、脂肪族アルコール、酢酸エチル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、2つ若しくはそれ以上のそれらの溶媒の混合物中、又は1つ若しくはそれ以上のそれらの溶媒と水との混合物中で、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩若しくはアルコラート又は第三級アミンの存在下で、二炭酸ジ−tert−ブチルで処理して、3−(4−ピリジル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステルを得ること;そして
c)3−(4−ピリジル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステルを、脂肪族アルコール中、約2000kPaから約6000kPaの圧力で白金触媒の存在下で、及び酸の存在下で、水素で処理すること;
を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
式VIII:
【化30】

[式中、R1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含む3員環から10員環のヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又は保護されたその誘導体又はその前駆体部分構造である]
の化合物。
【請求項19】
1−(3−ブロモベンジル)−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタンである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
式IX:
【化31】

[式中、R1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含む3員環から10員環のヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又は保護されたその誘導体又はその前駆体部分構造であり;
Phはフェニルである]
の化合物。
【請求項21】
1−[3−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)ベンジル]−2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタンである、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
式X:
【化32】

[式中、R1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含む3員環から10員環のヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又は保護されたその誘導体又はその前駆体部分構造であり;
Phはフェニルである]
の化合物又はその塩。
【請求項23】
3−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)ベンジルアミン又はその塩である、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
式XI:
【化33】

[式中、R1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含む3員環から10員環のヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又は保護されたその誘導体又はその前駆体部分構造であり;
Phはフェニルである]
の化合物又はその塩。
【請求項25】
3−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)ベンジルアミン又はその塩である、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
式XII:
【化34】

[式中、R1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含む3員環から10員環のヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又は保護されたその誘導体又はその前駆体部分構造であり;
Bocはtert−ブトキシカルボニルであり;
Phはフェニルである]
の化合物又はその塩。
【請求項27】
3−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−4−イル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステル又はその塩である、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
式XIV:
【化35】

[式中、R1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含む3員環から10員環のヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又は保護されたその誘導体又はその前駆体部分構造である]
の化合物又はその塩。
【請求項29】
3−(4−ピリジル)ベンズアルデヒドオキシム又はその塩である、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
式XV:
【化36】

[式中、R1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含む3員環から10員環のヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又は保護されたその誘導体又は前駆体部分構造である]
の化合物又はその塩。
【請求項31】
3−(4−ピリジル)ベンジルアミン又はその塩である、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
式XVI:
【化37】

[式中、R1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含む3員環から10員環のヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又は保護されたその誘導体又はその前駆体部分構造であり;
Bocはtert−ブトキシカルボニルである]
の化合物又はその塩。
【請求項33】
3−(4−ピリジル)ベンジルカルバミン酸tert−ブチルエステル又はその塩である、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
式IVb:
【化38】

[式中、R1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含む3員環から10員環のヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノ、又は保護されたその誘導体又はその前駆体部分構造であり;そして、
Bocは、tert−ブトキシカルボニルである]
の化合物又はその塩。
【請求項35】
4−[3−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)フェニル]−1−[5−ブロモ−2−フラノイル]ピペリジンである、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
式I:
【化39】

[式中、R1'は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含む3員環から10員環のヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノであり;そして、
2は、H、F、CF3、OCF3、(C1−C8)−アルキル、(C3−C10)−シクロアルキル、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含む3員環から10員環のヘテロシクロアルキル、(C6−C14)−アリール、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含む5員環から10員環のヘテロアリール、(C1−C8)−アルコキシ、(C3−C10)−シクロアルコキシ、(C6−C14)−アリールオキシ、窒素、酸素及び硫黄から選択される、1、2若しくは3個の同一若しくは異なった環へテロ原子を含む5員環から10員環のヘテロアリールオキシ、ジ((C1−C8)−アルキル)アミノ、ジ((C3−C10)−シクロアルキル)アミノ又はジ((C6−C14)−アリール)アミノである]
の化合物又はその塩の製造のための中間体としての、請求項18〜35の何れか1項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2007−526264(P2007−526264A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501151(P2007−501151)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001676
【国際公開番号】WO2005/095385
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(500137976)アベンティス・ファーマスーティカルズ・インコーポレイテツド (76)
【Fターム(参考)】