説明

トリムとオープニングトリムとの合わせ構造

【課題】オープニングトリムを引っ掛かりなくスムーズに嵌め込むことができるとともに、トリムの弾性的な撓みとオープニングトリムの脱落を防ぐことができるトリムとオープニングトリムとの合わせ構造を提供すること。
【解決手段】ピラー2の車室Sに面する内面を覆うトリム7とピラー2の周縁フランジ13a,14aに嵌め込まれるオープニングトリム12との合わせ構造において、トリム7の端縁に、その一部がピラー2側に突出するリブ16を設け、該リブ16にトリム7の意匠面7aから斜面状に延びてオープニングトリム12の嵌合部12aをガイドするガイド部16aを形成する。又、リブ16のガイド部16aの奥側に、オープニングトリム12の嵌合部12aの側面に当接する当接部16bを形成する。更に、リブ16の当接部16bの奥側に、ピラー2の車室Sに面する内面の一部に当接して支持される支持部16cを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両におけるピラーの車室に面する内面を覆うトリムとピラーの周縁フランジに嵌め込まれるオープニングトリムとの合わせ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の左右両側部の前後にはドア開口部がそれぞれ形成されるが、前後のドア開口部を仕切るピラーの車室に面する内面はトリムによって覆われ、ピラーを含むドア開口部の周縁にはオープニングトリムが嵌め込まれる。
【0003】
ところで、ピラーガーニッシュ(トリム)の衝撃吸収構造に関して特許文献1には、ピラーガーニッシュの湾曲形状の後半部とフロントピラーの内面との間の隙間に衝撃吸収部材を設け、ピラーガーニッシュの衝撃吸収部材設置部の裏面に縦方向の溝状の凹部を形成して板厚を薄くする構成が提案されている。これによれば、ピラーガーニッシュに乗員の頭部が当接したときにピラーガーニッシュの衝撃吸収部材設置部が容易に変形して押し込まれることによって衝撃吸収部材が潰れ変形し、衝撃エネルギーが確実に吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−058740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1において提案された構成を含む従来の構造では、トリムのオープニングトリムのリップによって覆われる端部はリブ構造を備えていないため、トリムの端部が変形し易く、図5(a)に示すようにトリム107をピラー102に取り付けた後にオープニングトリム112をピラー102のフランジ102aに嵌め込むときに該オープニングトリム112の嵌合部112aが図5(b)に示すようにトリム107の端縁に引っ掛かり、該オープニングトリム112の組付不良が発生し易いという問題がある。
【0006】
従って、本発明の第1の目的とする処は、オープニングトリムを引っ掛かりなくスムーズに嵌め込むことができるトリムとオープニングトリムとの合わせ構造を提供することにある。
【0007】
又、図6に示すようにトリム107とオープニングトリム112をピラー102に組み付けた後にトリム107を手で押さえる等して外力を加えると、該トリム107が弾性変形して質感が損なわれるとともに、オープニングトリム112がピラー102から脱落する可能性がある。
【0008】
従って、本発明の第2の目的とする処は、トリムの弾性的な撓みとオープニングトリムの脱落を防ぐことができるトリムとオープニングトリムとの合わせ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ピラーの車室に面する内面を覆うトリムと前記ピラーの周縁フランジに嵌め込まれるオープニングトリムとの合わせ構造において、前記トリムの端縁に、その一部が前記ピラー側に突出するリブを設け、該リブに前記トリムの意匠面から斜面状に延びて前記オープニングトリムの嵌合部をガイドするガイド部を形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記リブの前記ガイド部の奥側に、前記オープニングトリムの嵌合部側面に当接する当接部を形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記リブの前記当接部の奥側に、前記ピラーの車室に面する内面の一部に当接して支持される支持部を形成したことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記リブの前記トリムの端縁から前記ピラー側に突出する部分を前記オープニングトリムのリップで覆ったことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、オープニングトリムをピラーに嵌め込む際に該オープニングトリムの嵌合部がトリムに設けられたリブの斜面状のガイド部によってガイドされながら引っ掛かりなくスムーズに嵌め込まれるため、オープニングトリムの組込作業性が高められる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、リブのガイド部の奥側に形成された当接部がオープニングトリムの嵌合部側面に隙間無く当接するため、トリムが外力を受けても容易に弾性変形することがなく、質感が損なわれることがない。又、オープニングトリム自身もトリムのリブによって押圧されるため、該オープニングトリムのピラーからの脱落が防がれる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、リブの当接部の奥側に形成された支持部がピラーの車室に面する内面の一部に当接して支持されるため、トリムの剛性が高められ、該トリムの弾性変形(ベカ付き)が更に効果的に防がれて質感が高められる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、リブのトリムの端縁からピラー側に突出する部分がオープニングトリムのリップで覆われて車室内から見えないため、車室内空間の質感が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るトリムとオープニングトリムとの合わせ構造を備える車両のドア開口部周りの分解斜視図である。
【図2】図1の矢視A方向の図である。
【図3】図2のB−B線断面図である。
【図4】オープニングトリムの嵌め込みを示す図3と同様の図である。
【図5】(a),(b)は従来のトリムとオープニングトリムとの合わせ構造におけるオープニングトリムの嵌め込みを示す平断面図である。
【図6】従来のトリムとオープニングトリムとの合わせ構造を示す平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明に係るトリムとオープニングトリムとの合わせ構造を備える車両のドア開口部周りの分解斜視図、図2は図1の矢視A方向の図、図3は図2のB−B線断面図、図4はオープニングトリムの嵌め込みを示す図3と同様の図である。
【0020】
図1は車両の右側のドア開口部周りの構造を示し、同図に示すように、車体の右側部にはフロントピラー1とセンターピラー2及びリヤピラー3によって区画される前後のドア開口部4,5が形成されており、フロントピラー1とセンターピラー2及びリヤピラー3の車室Sに面する内面は樹脂製のトリム6,7,8,9,10によってそれぞれ覆われている。そして、フロントピラー1とセンターピラー2及びリヤピラー3と前後のドア開口部4,5の上部周縁には樹脂製のオープニングトリム11,12が嵌め込まれて縁取りされている。尚、図1は車両の右側のドア開口部4,5周りの構造を示すが、車両の左側のドア開口部周りの構造も同様であるため、これについての図示及び説明は省略する。
【0021】
次に、センターピラー2における本発明に係るトリム7とオープニングトリム12との合わせ構造について説明する。尚、フロントピラー1及びリヤピラー3におけるトリム6,8とオープニングトリム11,12との合わせ構造も同様であるため、これについての図示及び説明は省略する。
【0022】
図3に示すように、センターピラー2は、板金のプレス成形品であるインナパネル13とアウタパネル14の端縁フランジ13a,14a同士を間に補強パネル15を挟んで接合することによって閉断面構造として構成されており、その車室Sの内側に位置するインナパネル13には樹脂製のセンターピラートリム7が不図示のクリップによって止着されている。そして、センターピラー2の互いに接合されるインナパネル13とアウタパネル14の端縁フランジ13a,14aには横断面コの字状に成形されたオープニングトリム12が図3の矢印a方向から嵌め込まれる。
【0023】
前記センターピラートリム7は、横断面L字状に湾曲成形されており、その端縁の内側には、その一部がセンターピラー2側に突出する複数のリブ16が長手方向(図2の上下方向、図3の紙面垂直方向)に適当な間隔を設けて一体に形成されている。そして、各リブ16の端部にはセンターピラートリム7の意匠面7aから斜面状に延びてオープニングトリム12の嵌合部12aをガイドするガイド部16aが形成されており、該ガイド部16aの奥側には、オープニングトリム12の嵌合部12aの側面に当接する平坦な当接部16bが形成され、この当接部16bの更に奥側には、センターピラー2のインナパネル13に沿う曲面状の支持部16cが形成されている。
【0024】
而して、センターピラートリム7とオープニングトリム12のセンターピラー2への組み付けに際しては、図4に示すように、先ずセンターピラートリム7がセンターピラー2のインナパネル13の車室Sに面する内面に不図示のクリップによって止着される。このとき、センターピラートリム7に形成された複数のリブ16の各支持部16cは、センターピラー7のインナパネル13の曲面状部分に当接して支持される。
【0025】
次に、オープニングトリム12が図4に示すようにセンターピラー2の互いに接合されるインナパネル13とアウタパネル14の端縁フランジ13a,14aに図示矢印a方向から嵌め込まれるが、この嵌め込みに際してオープニングトリム12の嵌合部12aの先端がセンターピラートリム7のリブ16に形成された斜面状のガイド部16aに当接して図示矢印b方向に変形しながらオープニングトリム12がセンターピラートリム7に引っ掛かることなくスムーズに嵌め込まれ、その組込作業性が高められる。
【0026】
そして、オープニングトリム12が図3に示すようにセンターピラー2のインナパネル13とアウタパネル14の端縁フランジ13a,14aに組み込まれると、センターピラートリム7に設けられたリブ16のガイド部16aの奥側に形成された当接部16bがオープニングトリム12の嵌合部12aの側面に隙間無く当接するため、センターピラートリム7が押される等して外力を受けても容易に弾性変形する(ベカ付く)ことがなく、センターピラートリム7に対する質感が損なわれることがない。又、オープニングトリム12自身もセンターピラートリム7のリブ16によって押圧されるため、該オープニングトリム12のセンターピラー2からの脱落が防がれる。
【0027】
更に、センターピラートリム7に設けられたリブ16の当接部16bの奥側に形成された曲面状の支持部16cがセンターピラー2(インナパネル13)の車室Sに面する内面の一部に当接して支持されるため、センターピラートリム7の剛性が高められ、該センターピラートリム7の弾性変形(ベカ付き)が更に効果的に防がれて質感が高められる。
【0028】
又、オープニングトリム12が図3に示すようにセンターピラー2のインナパネル13とアウタパネル14の端縁フランジ13a,14aに嵌め込まれた状態では、センターピラートリム7に設けられたリブ16のセンターピラートリム7の端縁からセンターピラー2側に突出するガイド部16aと当接部16b及び支持部16cがオープニングトリム12のリップ12bで覆われるため、これらが車室S内から見えず、車室S内の空間の質感が高められるという効果も得られる。
【符号の説明】
【0029】
1 フロントピラー
2 センターピラー
3 リヤピラー
6〜10 トリム
7a トリムの意匠面
11,12 オープニングトリム
12a オープニングトリムの嵌合部
12b オープニングトリムのリップ
13 インナパネル
13a インナパネルの端縁フランジ
14 アウタパネル
14a アウタパネルの端縁フランジ
16 リブ
16a リブのガイド部
16b リブの当接部
16c リブの支持部
S 車室


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピラーの車室に面する内面を覆うトリムと前記ピラーの周縁フランジに嵌め込まれるオープニングトリムとの合わせ構造において、
前記トリムの端縁に、その一部が前記ピラー側に突出するリブを設け、該リブに前記トリムの意匠面から斜面状に延びて前記オープニングトリムの嵌合部をガイドするガイド部を形成したことを特徴とするトリムとオープニングトリムとの合わせ構造。
【請求項2】
前記リブの前記ガイド部の奥側に、前記オープニングトリムの嵌合部側面に当接する当接部を形成したことを特徴とする請求項1記載のトリムとオープニングトリムとの合わせ構造。
【請求項3】
前記リブの前記当接部の奥側に、前記ピラーの車室に面する内面の一部に当接して支持される支持部を形成したことを特徴とする請求項2記載のトリムとオープニングトリムとの合わせ構造。
【請求項4】
前記リブの前記トリムの端縁から前記ピラー側に突出する部分を前記オープニングトリムのリップで覆ったことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のトリムとオープニングトリムとの合わせ構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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