説明

トルネード凝集装置付き圧力式濾過機

【課題】 汚泥を含む原水を汚泥と液体に分離すると共に液体を清浄化して排出するコンパクト構造のトルネード凝集装置付き圧力式濾過機を提供する。
【解決手段】 原水は空気,オゾン,凝集剤,薬剤等の供給される集合管2に導入されて竪型タンク1のトルネード管10内に導入されて乱流化され、固液分離が促進された状態でセパレータ11に送られて固液分離される。分離された汚泥は汚泥排出部17から排出され、液体は濾過材13内に導入されて濾過され清浄水となり、清浄水排出部19から排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物・有害物質凝集汚泥(以下、単に汚泥と言う)を含む原水に空気,オゾン,凝集剤,薬液や薬品を注入して導入された原水に旋回乱流を生じさせるトルネード機能と、セパレータ機能と、濾過機能とを一体的に設けて、混合・曝気・分解・凝集沈澱・固液分離・濾過を行って原水を清浄水とするコンパクト構造のトルネード凝集装置付き圧力式濾過機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に濾過機の構造としては濾過材を介して原水を固体と液体とに分離し、液体に含まれている非溶解性や溶解性の固形物質やイオン物質等を除去する形態のものからなる。
また、濾過装置としては従来より、各種のものがあるが、例えば、「特許文献1」に示されるものがある。
【特許文献1】特開平7−51511号(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記の一般的な濾過機において前記の固形物質はフィルタ方式やサンド方式等の濾過機で捕獲され処理されるが、前記の有機物・有害物質・イオン等の除去としては、空気やオゾン等を注入して酸化分解する方法と活性炭や骨炭及びその他の吸着剤による吸着方法、あるいは薬品を注入しての凝集沈澱方法で処理されるものが通常行われている。これらの処理方法のうち酸化分解や凝集沈澱は、曝気による酸化反応促進と薬品を注入後に撹拌と反応並びに混合して凝集及び沈澱分離処理を行ってから濾過工程に入るため、混合槽、曝気、沈澱槽が併設され、かつ設置スペースや装置の大きさの点で不経済であり、かつコスト高となる問題点がある。
【0004】
また、「特許文献1」の「特開平7−51511号」の「濾過装置」は下部集水板(2)上に搭載されてタンク内に充填される濾過(3)と、下部集水管(2)の下方から前記濾過(3)側に逆洗用の空気を送る空気供給管(10−1)等を設けたものであり、逆洗効果としては優れたものであるが、以下に述べる本発明の濾過機のように原水を混合・曝気・分解・凝集沈澱・固液分離・濾過して清浄水を作る多様な機能を有するものとしてはかなり相異するものである。
【0005】
本発明は、以上の事情に鑑みて発明されたものであり、原水に空気やオゾンや薬液等を混合して曝気・酸化分解・凝集沈澱・固液分離の迅速化を図ると共に、セパレータによって凝集物(汚泥物)を分離した分離水を作り、この分離水を濾過材で更に浄化して清浄水とするコンパクト構造のトルネード凝集装置付き圧力式濾過機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以上の目的を達成するために請求項1の発明は、原水をタンク内で処理して汚泥と清浄水に分離して夫々排出する圧力式濾過機であって、該濾過機は、原水に空気,オゾン,凝集剤,薬液又は薬品を混合させて前記タンク内に導入する集合管と、該集合管から導入された原水を汚泥と清浄水とに分離して排出するための竪型タンクとからなり、該竪型タンクは、汚泥排出口と清浄水排出口を有する中空筒状のタンク本体と、該タンク本体の外面に螺線状に巻回されるトルネード管及びトルネード樋と、前記タンク本体内に配置されて前記トルネード管に連結するセパレータと、前記タンク本体内に配置され前記セパレータを囲んでタンク本体内に充填され前記セパレータで分離された分離水を浄化して清浄水とする濾過材とを有するものからなることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2の発明は、前記タンク本体の流入管及び外面側又は内面側には磁石が配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1のトルネード凝集装置付き圧力式濾過機によれば、汚泥を含む原水は集合管において空気やオゾンや薬液等を予め投入されて混合されるため曝気,分解,凝集等が迅速に行われるようにされ、この状態でトルネード管によって乱流となり、撹拌,酸化,消化,反応,混合,摂取増殖等の働きが増加し、更にセパレータによって固液分離が行われ、濾過材によって汚液の除去が完全に行われるため、極めて清浄化された浄水を作り排出することができる。なお、これ等の各要素はコンパクトに一体的にまとめられ、装置としての小型化や低コスト化の効果を上げることができる。
【0009】
また、本発明の請求項2のトルネード凝集装置付き圧力式濾過機によれば、磁石を配置することにより、活性化,イオン化が促進され凝集や沈澱効果を一層向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明のトルネード凝集装置付き圧力式濾過機の実施の形態を図面を参照して詳述する。
図1及び図2に本発明のトルネード凝集装置付き圧力式濾過機100の全体構造を示す。
トルネード凝集装置付き圧力式濾過機100は、大別して集合管2と竪型タンク1とからなる。
【0011】
集合管2は、原水側8に連結すると共に竪型タンク1側に連結される流入管3と、この流入管3に連結されている空気供給管4,オゾン供給管5,凝集剤(酸性,中性アルカリ性)供給管6及び薬品や薬液を供給する薬剤供給管7等とからなる。空気を注入することにより液体と空気が混ざり合い曝気状態になり酸化分解を促進する。また、空気は気泡が微細化及び超微細化して溶存酸素が高まる。また、オゾンは空気注入の補助剤として注入する場合と、単独に注入する場合とがあり、空気の補助として注入する場合は、空気中の酸素成分に酸素を補給して、曝気状態での酸化分解をより効率の良い方向に進める。これは液体中に溶解した物質の酸化及び分解に効果が発揮されるためである。また、単独に注入する場合は、酸化効果が上昇して、空気注入と同じ効果と更に殺菌及び色度の除去等の効果が発揮される。また、凝集剤を注入することにより撹拌・反応・混合及び凝集等がより効果的に進行する。これらの促進・高まり等の効果は竪型タンク1側にあるトルネード管10の多段の水路によって得られるものである。なお、集合管2はあくまでも液体の中の処理物質に対し各々の補助材が注入できる機器として機能するものである。
【0012】
竪型タンク1は、略密閉された中空円筒状のタンク本体9と、この外周側に螺線状に多段に巻回されているトルネード管10又はトルネード樋と、タンク本体9内のほぼ中央に配置されるセパレータ11と、図3に示すようにセパレータ11とトルネード管10とを連結する導入管12と、セパレータ11を囲みタンク本体9内に充填される濾過材13等とからなる。
【0013】
タンク本体9は上下に蓋体14,15を有する略密閉型の円筒タンクからなり上下の蓋体14には空気抜き弁16が設けられ、下方の蓋体15には汚泥排出部17が設けられ、図4に示す集水板18が設けられている。なお、集水抜18は図示のような網目のものからなるが、その形態については微小隙間のあるものであれば図示のものに限定するものではない。
また、タンク本体9には清浄水を排出するための清浄水排出部19が設けられ、これには閉止蓋20が設けられている。
【0014】
トルネード管10は図2に示すように丸パイプを螺線状にタンク本体9の外面に巻回したものからなり、その内径は一定でもよいが、本実施例では下方が小径で上方に行くに従って大径のものになるように形成されている。勿論、図示のものに限定するものではない。この内径の変化は流速を次第に低下させて凝集作用を確実に行われるようにするためである。なお、前記したようにトルネード管10は、集水管2の流入管3に連結すると共に導水管12に連結する。また、トルネード管10の外周には図1に示すように磁石21が複数個固着している。
トルネード管10は導入された原水の混合凝集を効果的に行うものである。なお、その作用は後に更に詳しく説明する。
また、図1に示すようにトルネード管10の上方側には自動水量調整弁25が設けられている。
【0015】
セパレータ11はタンク本体9内のほぼ中央に配置される縦長の管であり、その下方は汚泥排出部17に連結される。また、上方には蓋体22により閉止される。このセパレータ11はトルネード管10からの液体の固液分離を行うものであり、比重の違いによって分離作用が行われ、比重の重い物質は下方に沈降されて汚泥排出部17より排出される。一方、比重の軽い物質は押し上げられ、セパレータ11内の上昇管23の上方の開口部24より放出される。
【0016】
濾過材13はセパレータ11を囲むタンク本体9内に充填され集水板18上に搭載される。繊維系のフィルタや砂系濾過材及び粒状活性炭等の吸着材又はコーチング濾過からなり、濾過材の表面や内面や濾過層の上部及び内部に接触あるいは付着吸着して液体の浄化を行って清浄水とするものである。
【0017】
次に、本発明のトルネード凝集装置付き圧力式濾過機100による汚泥原水の清浄化作用を説明する。
まず、汚泥を含む原水が原水側8から集合管2の流入管3内に導入される。流入管3内の原水には空気供給管4,オゾン供給管5,凝集剤供給管6及び薬剤供給管7から空気,オゾン,凝集剤,薬液や薬品が加えられ混合される。これ等は竪型タンク1内における曝気,酸化分解,凝集沈澱,固液分離を迅速に進めるためのものである。集合管2からの原水はトルネード管10内に導入される。トルネード管10内において原水の内、外側を流れる水は、外側に向かい重力が働き、常に乱れて流れる性質があり、内側の流れと入れ替わる作用が働き、乱流状態を作りだす。乱流状態になると外側の水と内側の水が回転するような状態となって回転乱流を起こす。
比重の重い液体は放射状に出ようとする力が働き内側の液体が上下に別れて外に出ようとするため液体が回転する形となり回転乱流を構成する。
比重の軽い物質は内側に入り込もうとする力が働き、長い水路の流れの中で回転乱流が連続的に続き、比重の異なった物質は完全に混合されて旋回流となる。
この旋回流により撹拌,酸化,消化,反応,混合,摂取,増殖等の働きが増加される。
水路を旋回流で混合された液体は、内部に組み込まれたセパレータ11で流速を変化させられ、セパレータ11の側壁に沿って旋回しながら移動させられて、固液分離が行われる。分離された液体は上昇管23の開口部24から次の濾過層へ送られる。一方、分離された凝集物は、自重により下方の汚泥排出部17から排出される。濾過層に送られた液体は、濾過層内に充填された繊維系のフィルタや、砂系濾過材及び粒状活性炭等の吸着材又はコーテング濾材等の濾過剤13の表面や内面、濾過層の上部及び内部に接触あるいは付着・吸着して液体を浄化して清浄水とする。
なお、本発明のトルネード凝集装置付き圧力式濾過機100は要約的にその機能を説明すると集合管2に空気やオゾンあるいは薬液又は薬品等の注入と、旋回乱流のトルネード機能とセパレータ、更に濾過能力を一体化して、混合・曝気・分解・凝集沈澱・固液分離・濾過の六つの要素を可能にするものである。
【0018】
本発明のトルネード凝集装置付き圧力式濾過機100は以上のような構成及び作用のものからなるが、本発明のトルネード凝集装置付き圧力式濾過機100は以上の内容のものに限定するものではなく、同一の技術的範疇のものが適用されることは勿論である。
【産業上の利用分野】
【0019】
本発明のトルネード凝集装置付き圧力式濾過機100は、原水を汚泥と液体とに分離すると共に液体を清浄水として排出するものであるが、導入される原水の種類は任意のものでよく、それに対応して各構成要素を設定,選出すればよく、その利用範囲は極めて広い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のトルネード凝集装置付き圧力式濾過機の全体構造を示す正面図。
【図2】図1の側面図。
【図3】図1のA−A線断面図。
【図4】集水板の平面図。
【符号の説明】
【0021】
1 竪型タンク
2 集合管
3 流入管
4 空気供給管
5 オゾン供給管
6 凝集剤供給管
7 薬剤供給管
8 原水側
9 タンク本体
10 トルネード
11 セパレータ
12 導水管
13 濾過材
14 蓋体
15 蓋体
16 空気抜き弁
17 汚泥排出部
18 集水板
19 清浄水排出部
20 閉止蓋
21 磁石
22 蓋体
23 上昇管
24 開口部
25 自動水量調整弁
100 トルネード凝集装置付き圧力式濾過機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
井水・工業水・排水三次処理水等の原水(以下、単に原水と言う)をタンク内で処理して有機物及び有害物質凝集汚泥(以下、単に汚泥と言う)と清浄水に分離して夫々排出する圧力式濾過機であって、該濾過機は、原水に空気,オゾン,凝集剤,薬液又は薬品を混合させて前記タンク内に導入する集合管と、該集合管から導入された原水を汚泥と清浄水とに分離して排出するための竪型タンクとからなり、該竪型タンクは、汚泥排出口と清浄水排出口を有する中空筒状のタンク本体と、該タンク本体の外面に螺線状に巻回されるトルネード管及びトルネード樋と、前記タンク本体内に配置されて前記トルネード管に連結するセパレータと、前記タンク本体内に配置され前記セパレータを囲んでタンク本体内に充填され前記セパレータで分離された分離水を浄化して清浄水とする濾過材とを有するものからなることを特徴とするトルネード凝集装置付き圧力式濾過機。
【請求項2】
前記タンク本体の外面側及び/又は内面側には磁石が配置されることを特徴とする請求項1に記載のトルネード凝集装置付き圧力式濾過機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−62211(P2008−62211A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−245160(P2006−245160)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(591163591)協伸工業株式会社 (8)
【出願人】(506308161)
【Fターム(参考)】