説明

トンネル照明灯具

【課題】 放熱性能に秀れ、定格電流内での連続調光制御が可能で長寿命、且つ消費電力を抑えて保守、点検、整備の頻度を低減し、ランニングコストを削減し、二酸化炭素の発生を抑えることができる新たなLED照明技術を提供する。
【解決手段】 箱型本体2の天面内壁20に複数条のLED取付区画21,21,……を形成し、各取付区画21,21,……には夫々ベース下面60に複数個のLEDモジュール5,5,……が光軸調整スペーサー7,7,……で各々所望の照射角度にて一列または複数列に配したベースレール6からなるLEDユニット4を着脱自在に装着すると共に、当該箱型本体2の底面開口縁25には、強化ガラス製平板透明カバー9を開閉可能に被着、密閉してなるトンネル照明灯具1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、LED(発光ダイオード)を利用した照明技術に関連するものであり、特に、トンネル照明用の蛍光灯灯具に置き換え、設置可能とするLED照明灯具を製造、提供する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材や石材、各種繊維類、プラスチックといった各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、ガス、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
近年のLED(発光ダイオード)灯具類は高効率化され、蛍光灯の発光効率に近づきつつあり、従来の蛍光灯照明灯具に比較して長寿命、小電力点灯、配光の自由度などの特長を有し、現在、一般道や高速道路におけるトンネル用照明は蛍光灯が主流であるが、新たなトンネル用LED照明灯具の開発によって、さらに長寿命化が実現化できれば、ランプ交換費用の低減を図り、低消費電力のLED照明灯具を開発することで電気料金などのランニングコストの低減や、二酸化炭素排出量の削減にも貢献することができる上、停電による消灯から瞬時に再点灯でき、トンネル内の走行安全性を高めることができ、しかも連続調光制御が可能となり、理想的な車両走行環境の創造に有効であるなどの理由から、早期の実用化に期待が寄せられている。
【0003】
(従来の技術)
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)ないし(5)に提案されているものに代表されるように、LED照明の特長である配光の自由度を活かし、各LEDの光軸角度を任意の角度に調節自在とする角度調節機構を設け、所望の姿勢に支持して例えば、遠距離照明用、中距離照明用、近距離照明用などに夫々適した照明を可能としてなるものや、同特許文献1(6)に見られるような、実装基板とLEDとの間に、角度調節用のスペーサーを介在させ、調節角度の異なるスペーサーを組み合わせることにより、複数の光軸角度を選択するよう組立て可能としてなるものなどが散見される。
【0004】
しかし、前者特許文献1(1)ないし(5)に示されているような、角度調節機構を設けたLED照明灯具類や、後者特許文献1(6)のような角度調節用のスペーサーを設けたものなどは何れも、LEDの支持角度を調節可能とした構成によって、一般道路や高速道路のトンネル内における走行視環境を改善できるという効果が得られるが、こうした従来型の照明灯具類は、LEDの寿命が高温や過剰電流によって大幅に短縮してしまうという特性を持ち、LEDを含む電子部品からの発熱を抑制し、電流を定格範囲内で適切に制御可能とする新たな技術の追加が不可欠であると云わざるを得ないものであった。
【特許文献1】(1)特開2006−236796号公報 (2)特開2008−218188号公報 (3)特開2009−289650号公報 (4)特開2010−62126号公報 (5)実用新案登録第3145900号公報 (6)特開2008−75936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種LED照明灯具類は、何れも、LEDの寿命が、高温や過剰電流によって大幅に短縮してしまうという特性に着目したものではなく、実際に使用すると、LEDが早期の段階で寿命を迎え、従来型の蛍光灯照明灯具に比較してメンテナンスコストが高く、消費電力が増大し、二酸化炭素排出量も削減できないという致命的な問題を抱えており、蛍光灯照明灯具などに代替する照明器具とするには、それらの課題を解決しない限り、この長寿命、小電力点灯、配光の自由度などの特長を有する折角のLED照明灯具類の普及、拡大は望めず、長年に亘って道路関係の照明に係わってきたものの責任において、その解決策を模索し続けてきたもので、特にその放熱手段や道路事情に合わせた配光具合は大きな課題となっている。
【0006】
(発明の目的)
そこで、この発明は、放熱性能に秀れると共に、道路事情に合わせて最適な配光を可能とし、定格電流内での連続調光制御が可能で長寿命、且つ消費電力を抑えて保守点検や整備の頻度を低減し、ランニングコストを削減し、二酸化炭素の発生を抑えることができる新たなLED照明技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造のLED照明灯具を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明のトンネル照明灯具は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、底面開口筐体状の軽金属製箱型本体を有し、該箱型本体の天面内壁には、同箱型本体のトンネル内設置姿勢において、トンネル内車両走行方向に対して夫々所定角度をなして並ぶようにした複数条のLED取付区画を形成し、これら各LED取付区画に対応する本体天面外壁に放熱フィンを一体形成し、それらLED取付区画以外の本体天面内壁適所には、上向き凸状下向き開口状の部品収納用凹部を形成し、当該本体天面内壁の各取付区画には、夫々ベース下面に複数個のLEDモジュールが光軸調整スペーサーで各々所望の照射角度にて一列または複数列に配し、各LEDモジュール発光・制御用の配線基板をベース上面に装着したベースレールからなるLEDユニットを着脱自在に装着すると共に、各配線基板に接続する調光ユニットおよびLED用電源入力部などの各発熱部品の一部または全部を前記各部品収納用凹部内に配した上、当該箱型本体の底面開口縁には、強化ガラス製平板透明カバーを開閉可能に被着、密閉してなるものとした構成を要旨とするトンネル照明灯具である。
【0008】
より具体的には、底面開口筐体状の軽金属製箱型本体を有し、該箱型本体の天面内壁には、同箱型本体のトンネル内設置姿勢において、トンネル内車両走行方向に対して夫々所定角度をなして並ぶようにした複数条のLED取付区画を形成し、これら各LED取付区画に対応する本体天面外壁に放熱フィンを一体形成し、それらLED取付区画以外の本体天面内壁適所には、上向き凸状下向き開口状の部品収納用凹部を形成し、当該本体天面内壁の各取付区画には、夫々ベース下面に複数個のLEDモジュールが、垂直スペーサーおよび傾斜スペーサーの中から何れか一方を適宜選択した光軸調整スペーサーで各々所望の照射角度にて一列または複数列に配し、各LEDモジュール発光・制御用の配線基板をベース上面に装着したベースレールからなるLEDユニットを着脱自在に装着すると共に、各配線基板に接続する調光ユニットおよびLED用電源入力部などの各発熱部品の一部または全部を前記各部品収納用凹部内に配した上、当該箱型本体の底面開口縁には、強化ガラス製平板透明カバーを開閉可能に被着、密閉してなるものとした構成からなるトンネル照明灯具となる。
【発明の効果】
【0009】
以上のとおり、この発明のトンネル照明灯具によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、ベースレールに複数個のLEDモジュールを配したLEDユニットを着脱自在に装着してあり、平板透明カバーを開放するだけで、簡便且つ迅速にLEDユニット単位で脱着、交換することができるから、トンネル内照明のメンテナンス作業を格段に効率的に行えるようにすることができ、しかも各LED取付区画に対応する本体天面外壁に放熱フィンを一体形成されたものとしてあるから、各LEDモジュールの発光に伴う発熱を軽減し、各LEDの耐久寿命を大幅に延長することができるものとなる上、調光ユニットおよびLED用電源入力部などの各発熱部品の一部または全部を本体天面内壁の上向き凸状下向き開口状の各部品収納用凹部内に配して放熱性能を高め、各LEDへの熱的影響を格段に軽減し、長寿命化を達成可能として従来型の蛍光灯照明灯具に比較して遙かに経済的で、自然環境に優しい照明灯具になるという秀れた特徴が得られるものである。
【0010】
加えて、各LEDモジュール毎に、垂直スペーサーおよび傾斜スペーサーの中から何れか一方を適宜選択した光軸調整スペーサーを利用してなるトンネル照明灯具は、トンネル内の明暗各所の条件に応じて、個々のLEDモジュールの照明の向きを細かく調整することができ、一段と安全性の高いトンネル内照明を実現化できるものになるという効果を発揮するものとなり、特に各LEDモジュールが、夫々箱型本体に装着した平板透明カバー面に直角に交叉する仮想直線を、トンネル内設置姿勢でトンネル内の照明対象路面上に交叉するようにした位置付近に集光照射可能な角度姿勢にして支持可能とする光軸調整スペーサーを介して各ベースレールに装着してなるものは、特に一般道路トンネル用の片側車線設置に適した照明を実現化できるものとなり、また、複数条並んで装着したLEDユニットの中、1条置き毎配置となる各LEDユニットの各LEDモジュールを夫々光軸調整スペーサーである垂直スペーサーで支持し、それら以外の各LEDユニットの各LEDモジュールを、トンネル内走行車両の後方から前方路面上に向けて照射可能な角度姿勢に支持可能とする光軸調整スペーサーである傾斜スペーサーを介して各ベースレールに装着してなるものは特に、高速道トンネル用のプロビーム配光を実現化し、高速走行車両の安全を格段に高めたものとすることができるという特徴が得られる。
【0011】
各LEDモジュールをLED、LEDを光軸調整スペーサーに装着可能とする放熱ホルダ、および、該放熱ホルダに装着したLEDの周囲に装着可能な凹面ミラーからなるようにしたものでは、LEDの冷却効果を格段に高めたものとすることができ、しかも凹面ミラーが照明効率を大幅に向上することとなり、一層の高効率化、長寿命化を達成したトンネル照明灯具を提供するものとなる。
【0012】
光軸調整スペーサーが、垂直スペーサーから傾斜スペーサーへ、且つ、傾斜スペーサーから垂直スペーサーへと、自在に変更可能な互換性を確保してなるトンネル照明灯具は、様々な配光に変更、調整可能なものとなり、メンテナンス性にも秀れ、維持管理コストを大幅に削減できるという秀れた効果を奏するものとなり、また、光軸調整スペーサーである傾斜スペーサーが、ベースレールに対して直角に交叉する軸心回りに360°回転可能で、同軸心回りの何れの向きにも姿勢変、固定可能としてなるトンネル照明灯具は、さらに委細な配光調整を実現化するものとなり、格段に照明性能を高めたものとすることができる。
【0013】
LED用電源入力部をLED1個毎に設け、調光ユニットが、各LED用電源入力部毎にオン・オフ制御可能としたトンネル照明灯具は、搭載した全てのLEDを点灯する必要の無い程度に、日中明るいトンネル内の場合などには、日中の明るい時間帯に幾つかの不要なLEDを個別に消灯制御するよう管理することができ、必ず全てのLEDを点灯させなければならないものに比較して消費電力を格段に低減化し、一層経済的な利用を実現化できる上、各LEDを長寿命化することができるという秀れた効果が得られるものとなる。
【0014】
調光ユニットが、LED用電源入力部からの電力供給量を、昼間100%、夜間50%、深夜25%に自動制御するよう設定してなるトンネル照明灯具は、各時間帯の交通の安全を充分に確保することができる上、各LEDの耐久寿命を大幅に延命化することができ、しかも消費電力を格段に削減するものとなり、維持管理コストを効果的に低減することができるという特徴が得られ、また、調光ユニットが、調光制御回路、劣化補正回路、照度センサーおよび調光ユニット用電源入力部を有するようにしてなるトンネル照明灯具は、それらを備えていないものに比較して一段と効率的な照明制御を実現化可能なものとなる。
【0015】
調光ユニットが、劣化補正回路、照度センサーを有し、設置場所の実際の照度を自動検知し、その検知照度値を当該設置場所の照明基準照度と比較し、設置当初に過剰となる光量分を該照明基準照度付近まで自動的に減光制御し、この自動検知および減光制御を長期間に渡って継続的に繰り返すと共に、LEDの寿命劣化などに起因する減光の進展に応じて制御減光量を自動的に漸減制御し、当該照明基準照度付近の検知照度値を自動的に維持可能とするものとしてなるトンネル照明灯具は、トンネル内の車両走行を安全に維持できると共に、過剰な電力消費を大幅に削減し、LEDの長期延命化を達成可能とするものとなり、さらに経済的に利用可能とすることができるという大きな効果を奏するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
箱型本体は、LEDユニット、配線基板および調光ユニットなどの各部品を防塵、防水可能とするよう収容し、トンネル内壁面の適所に設置可能とすると共に、LEDユニットが発する照射光を所望の路面適所に向けて照射可能とする機能を担うものであり、底面開口筐体状のものとし、その天面内壁には、トンネル内設置姿勢において、トンネル内車両走行方向に対して夫々所定角度をなして並ぶようにした複数条のLED取付区画を形成し、これら各LED取付区画に対応する本体天面外壁に放熱フィンを一体形成し、それらLED取付区画以外の本体天面内壁適所には、上向き凸状下向き開口状の部品収納用凹部を形成してなるものとすべきであり、収容部品類を保護する上で充分な強度と、LEDユニットや調光ユニットなどが発する熱を効率的に外部に放熱可能とするものとしなければならず、例えばアルミニウム合金やチタン合金、マグネシウム合金、ベリリウム合金などといった熱伝導率および耐食性に秀れ、できるだけ軽量なものとして製造可能な金属素材製のものとするのが望ましいが、肉厚を薄く設定するなどして軽量化可能であれば、ステンレス鋼製のものとすることも可能である外、外周壁などの必要箇所に鍍金やアルマイト処理、塗装、その他の防錆処理を施したものとしたり、また、トンネル内壁面への設置を容易にするよう、フランジ状の取付脚や繋着金具類などの取付部を適所に設けたものなどとしたりすることもできる。
【0017】
箱型本体LED取付区画は、底面開口筐体状箱型本体の天面内壁に、ベース下面に複数個のLEDモジュールが光軸調整スペーサーで各々所望の照射角度にて一列または複数列に配し、ベース上面に各LEDモジュール発光・制御用の配線基板を装着したベースレールからなるLEDユニットを着脱自在に装着可能とする機能を有し、箱型本体のトンネル内設置姿勢において、トンネル内車両走行方向に対して夫々所定角度をなして並ぶようにした複数条の区画としなければならず、必要な精度と強度とをもって取付可能な座面や装着溝などの装着部分を形成したものとすべきである。
【0018】
部品収納用凹部は、各配線基板に接続する調光ユニットおよびLED用電源入力部などの各発熱部品の一部または全部を収容し、それら各発熱部品が発する熱を箱型本体外部に効率的に放熱可能とする機能を有すると共に、それら各発熱部品を防水し、外力から保護可能とするものであり、箱型本体自体の剛性を高めるものとなり、放熱フィンは、天面外壁の表面積を拡大し、放熱効果をさらに高めたものとし、底面開口縁には、強化ガラス製平板透明カバーを開閉可能に被着、密閉可能とするものであり、パッキングやシーリングなどを介在して気密状に閉鎖可能とし、トンネル内の湿気や水滴、塵埃および融雪剤などの進入を防ぎ、さらに、高水圧洗浄などに充分に耐えるものとするのが望ましい。
【0019】
配線基板は、LEDユニットや調光ユニットなどの各種電子部品の電機的、機械的接続対象物となり、当該トンネル照明灯具の照明機能を達成可能とする配線回路の少なくとも一部を形成したものとしなければならず、電気絶縁性、耐熱性、耐久性および放熱性に秀れた素材製とすべきであり、例えば、下記する実施例のようにガラスエポキシ製のものにするのが耐久性や経済性などからして望ましいと云えるが、その他、必要に応じてセラミックス製のものなど基板としての機能を達成可能であれば特に素材は限定されず、しかも、必要に応じて複数に分割されたものとすることが可能であり、LEDユニットの周囲に配置されたものは、LEDユニットが発する光を照明方向に向けて反射可能な鍍金層や反射板を設けてなる鏡面帯域や、LEDユニットや調光ユニットなどが発する熱を放熱するよう通気孔やメッシュ形状、放熱フィンなどを設けてなる放熱面帯域などを基板面の適所に形成してなるものとすることができる。
【0020】
LEDユニットは、箱型本体天面内壁に設定されたLED取付区画に着脱自在に装着可能であり、複数個のLEDモジュールを一体化して取扱い可能とする機能を担い、ベース下面に複数個のLEDモジュールが光軸調整スペーサーで各々所望の照射角度にて一列または複数列に配し、各LEDモジュール発光・制御用の配線基板をベース上面に装着したベースレールからなるものとしなければならず、箱型本体底面開口縁に装着した平板透明カバーを開放すると、簡単な作業で箱型本体から着脱可能なものとすべきであり、例えば、後述する実施例に示すように、各LEDユニットの各LEDモジュールが夫々、箱型本体に装着した平板透明カバー面に直角に交叉する仮想直線が、トンネル内設置姿勢でトンネル内の照明対象路面上に交叉する位置付近を照射可能な角度姿勢に支持可能とする光軸調整スペーサーを介して各ベースレールに装着してなるものとすることができる外、複数条並んで装着したLEDユニットの中、1条置き配置となる各LEDユニットの各LEDモジュールを夫々光軸調整スペーサーである垂直スペーサーで支持し、それら以外の各LEDユニットの各LEDモジュールを、トンネル内走行車両の後方から前方路面上に向けて照射可能な角度姿勢に支持可能とする光軸調整スペーサーである傾斜スペーサーを介して各ベースレールに装着してなるものとすることができる。
【0021】
LEDモジュールは、LEDの取付姿勢を規制すると共に、発光照射効率を高める機能を分担するものであり、LEDと、そのLEDのベースレールへの取付姿勢を規制可能とする光軸調整スペーサーを有するものとしなければならず、例えば後述する実施例に示すように、LED、LEDを光軸調整スペーサーに装着可能とする放熱ホルダ、および、該放熱ホルダに装着したLEDの周囲に装着可能な凹面ミラーからなるものとすることができ、LEDは、発光ダイオードであって、マルチチップLEDか、またはシングルチップLEDかの何れか一方とするのが望ましく、放熱ホルダは、LEDを光軸調整スペーサーに高精度に取付可能とするものであり、熱伝導率に秀れた硬質素材製のものとしなければならず、後述する実施例に示すように、外周壁に放熱用のフィンを形成したものとするのが良く、凹面ミラーは、LEDの周囲に散乱する光を前方(照明方向)に向けて投射可能とする機能を担い、後述する実施例に示すように、LEDを中心とするパラボラ型曲面状の反射壁面を形成したものとするのが望ましい。
【0022】
ベースレールは、箱型本体天面内壁のLED取付区画に、複数個のLEDモジュールを一纏めにして着脱自在に装着可能とすると共に、簡便に脱着交換可能とする機能を担い、ベース下面に複数個のLEDモジュールが光軸調整スペーサーで各々所望の照射角度にて一列または複数列に配し、各LEDモジュール発光・制御用の配線基板をベース上面に装着してなるものとしなければならず、箱型本体天面内壁のLED取付区画に対して高精度で装着可能なものとすべきであり、相互に着脱、部品交換可能な互換性を有するものとするのが望ましい。
【0023】
光軸調整スペーサーは、各LEDモジュールのベースレールへの取付姿勢、および取付位置を個別に規制可能とするものであり、充分な強度をもってLEDモジュールを高精度に支持可能とするものとしなければならず、後述する実施例に示すように、LEDモジュールが照射する照明光を箱型本体に装着した平板透明カバー面に直角に交叉する仮想直線に一致する方向とするよう姿勢を調整可能な垂直スペーサーとすることができる外、LEDモジュールが照射する照明光を箱型本体に装着した平板透明カバー面に直角以外の所定角度で交叉する仮想直線に一致する方向とするよう姿勢調整可能な傾斜スペーサーとすることができ、さらに、光軸調整スペーサーが、垂直スペーサーから傾斜スペーサーへ、且つ、傾斜スペーサーから垂直スペーサーへと、自在に変更可能な互換性を確保してなるものとするのが望ましく、光軸調整スペーサーである傾斜スペーサーが、ベースレールに対して直角に交叉する軸心回りに360°回転可能で、同軸心回りの何れの向きにも姿勢変更且つ固定自在としてなるものとすることが可能である。
また、LEDモジュールのLED用電源入力部は、各LEDユニット単位での電源入力のオン・オフ制御または連続調光制御を可能なものとすることができるが、LED用電源入力部を1個のLED毎に設け、調光ユニットが、各LED用電源入力部毎にオン・オフ制御または連続調光制御可能にすることもできる。
【0024】
調光ユニットは、LEDユニットLEDモジュールにおけるLEDの発光条件を所定の規制の下、自動的に調整可能とする機能を担うものであり、調光制御回路、劣化補正回路、照度センサーおよび調光ユニット用電源入力部などの組み合わせからなるものとするのが望ましく、後述する実施例に示すように、1個のLED毎に夫々設けた各LED用電源入力部を個別のオン・オフ制御とするか連続調光制御するようにしたり、あいるは数個のユニット毎、または全体を一群としたLED用電源入力部を、夫々に応じたオン・オフ制御とするか連続調光制御可能なものとすることができる外、LED用電源入力部からの電力供給量を、昼間100%、夜間50%、深夜25%に自動制御するよう設定してなるもの、または、トンネル照明灯具設置場所の実際の照度を自動検知し、その検知照度値を当該設置場所の照明基準照度と比較し、設置当初に過剰となる光量分を該照明基準照度付近まで自動的に減光制御し、この自動検知および減光制御を長期間に渡って継続的に繰り返すと共に、LEDの寿命劣化や照明器具の汚れなどに起因する減光の進展に応じて、制御減光量を自動的に漸減制御し、当該照明基準照度付近の検知照度値を自動的に維持可能としてなるものとすることができる。
【0025】
調光制御回路は、劣化補正回路、照度センサーおよび調光ユニット用電源入力部などの調光ユニットを形成する各部品同士を電機的に接続し、且つ、各部品を統合的に自動制御可能とする機能を担い、リレー回路からなるものとすることができる外、マイコンおよび制御ソフトからなるものとすることなどが可能であり、通信装置を組み込んで、トンネル内施設からの有線通信や保守管理用走行車両内からの無線通信などを受け、調光制御モードの切り換えや、制御プログラムの修正などを適宜遠隔操作できるものとするのが望ましく、劣化補正回路は、LEDの寿命劣化などに起因する減光の進展に応じて、制御減光量を自動的に漸減制御し、当該照明基準照度付近の検知照度値を自動的に維持可能とする機能を果たすものであり、照度センサーの検知照度値を当該設置場所の照明基準照度と比較し、設置当初に過剰となる光量分を該照明基準照度付近まで自動的に減光制御し、この自動検知および減光制御を長期間に渡って継続的に繰り返すようにしてなるものとするのが望ましい。
【0026】
照度センサーは、LEDユニットLEDモジュールの照度を検知し、その照度値を調光ユニット調光制御回路に送信可能とする機能を分担するものであり、箱型本体天面内壁がわのLEDユニットが照射する照明光を検知可能な位置に配したものとしなければならず、箱型本体天面内壁がわの各LEDユニット間の略中央付近に配したものとすべきであり、後述する実施例に示すように、調光ユニットに一体化してなるものとすることが可能であって、調光ユニット用電源入力部は、調光ユニットに適切な電流、電圧の電力を供給可能とする機能を担うものであり、外部電源から電力供給を受けるものとすることができる外、バッテリーからなるものとすることができる。
【0027】
平板透明カバーは、箱型本体内の各LEDユニットが発光する照明光を高効率で透過可能であると共に、防水、防塵可能とする機能を果たすものであり、高圧水洗浄に耐える充分な強度を有するものとしなければならず、後述する実施例に示すように、強化ガラス製のものとし、箱型本体底面開口縁との間に、シリコン材や天然ゴム、合成ゴム製などの防水処理を施すか、または、それらの防水部品を交換自在に組み込んでなるものとすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【実施例1】
【0028】
図1の片側斜線設置に適したトンネル照明灯具の下面図、図2の片側斜線設置に適したトンネル照明灯具の断面図、図3のプロビーム配光型トンネル照明灯具の下面図、図4のプロビーム配光型トンネル照明灯具の断面図、図5の傾斜姿勢のLEDユニットの三角法各図、図6の傾斜姿勢のLEDユニットの三角法各図、図7の傾斜姿勢のLEDユニットの三角法各図、図8の垂直姿勢のLEDユニットの三角法各図、図9の垂直姿勢のLEDユニットの三角法各図、図10のベースレール下面および側面図、図11の配線基板の下面図、図12の垂直姿勢のLEDモジュールの側面図、図13の垂直姿勢のLEDモジュールの断面図、図14の傾斜姿勢のLEDモジュールの側面図、図15の傾斜姿勢のLEDモジュールの断面図、図16の垂直姿勢のLEDユニットの側面図、図17の傾斜姿勢のLEDユニットの側面図、図18の周回りに角度を調整した傾斜姿勢のLEDユニットの側面図、図19のLEDユニットの分解図、図20の垂直スペーサーの斜視図、図21の傾斜スペーサーの斜視図、図22の周回りに角度を調整した傾斜姿勢のスペーサーの斜視図、図23の周回りに角度を調整した傾斜姿勢のスペーサーの斜視図、図24のトンネル照明灯具の回路図、および、図25のLED照明寿命曲線のグラフに示す事例は、箱型本体2の天面内壁20に複数条のLED取付区画21,21,……を形成し、各取付区画21,21,……には夫々ベース下面60に複数個のLEDモジュール5,5,……が光軸調整スペーサー7,7,……で各々所望の照射角度にて一列または複数列に配したベースレール6からなるLEDユニット4を着脱自在に装着すると共に、当該箱型本体2の底面開口縁25には、強化ガラス製平板透明カバー9を開閉可能に被着、密閉してなるものとした、この発明のトンネル照明灯具における代表的な一実施例を示すものである。
【0029】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明のトンネル照明灯具1は、長さが890mm、幅が565mm、高さが145mmの底面開口筐体状アルミニウム合金製の箱型本体2を有し、該箱型本体2の天面内壁20には、同箱型本体2のトンネル内設置姿勢において、トンネル内車両走行方向に対して夫々所定角度をなして並ぶようにした複数条のLED取付区画21,21,……を形成しており、当該箱型本体2は、その長さ寸法(長尺寸法)方向を、トンネル内車両走行方向に一致する姿勢で設置するものとし、図1および図2に示す、一般道路トンネルの片側車線への設置を目的としたもののように、その長さ寸法(長尺寸法)方向に直交する幅寸法方向に平行な合計4条のLED取付区画21,21,……を、同長さ寸法(長尺寸法)間の中心および幅寸法(短尺寸法)間の中心に線対象配置となるよう設定し、各LED取付区画21,21,……の夫々に、LEDユニット4,4,……を複数本のボルトで着脱自在に装着したものとし、当該箱型本体2を含む外部部品の殆どに、トンネル内の塩害などに対応可能とするよう防錆用塗装や電蝕対策用塗装などを施したものとして、箱型本体2外周壁の周囲複数適所(例えば均衡する4箇所)に舌片型フランジ状の取付部26,26,……を突設したものとなっている。
【0030】
図1および図2に示すように、各LED取付区画21,21,……に対応する本体天面外壁22に放熱フィン23,23,……を一体形成し、それらLED取付区画21,21,……以外の本体天面内壁20適所には、上向き凸状下向き開口状の部品収納用凹部24,24,……を複数形成したものとしてある。
【0031】
LEDユニット4は、図10のとおり、当該LED取付区画21に取付可能とするよう、長さL6を350mm、幅W6を100mmに設定したアルミニウム合金製ベースレール6のベース上面61中央に縦設した凹条部62に沿って、図11の、長さL3が270mm、幅W3が30mmのセラミックス製配線基板3を重ね合わせ嵌合状に組み込み固定すると共に、同ベースレール6のベース下面60には、ベース上面61凹条部62の反対がわとなる中央に沿って形成した凸条部63に、図19に示すとおり、高出力マルチチップLED50、短柱状体の中央にLED50を同心状に装着可能な凹欠部を形成し、外周壁に環状放熱フィンを一体化形成したアルミニウム合金製放熱ホルダ51、同放熱ホルダ51の先端がわから装着したLED50の周囲に同心状に配置可能な凹面ミラー52、および、先端固定用の環状枠53を組み合わせてなる複数個のLEDモジュール5……を夫々光軸調整スペーサー7,7,……(図19中は垂直スペーサー70)を介して4個が一列に装着するものとし、要所要所には放熱グリス72を塗布し、ネジ73,73,……で着脱自在に固着したものとしてあり、前記環状枠53の中央には、透明ガラス製のカバーや、集光用のレンズなどを設けたものとすることができる。
【0032】
各LEDユニット4,4,……は、夫々のベースレール6,6,……を介して各LED取付区画21,21,……に着脱自在に装着し、図示しない脱着型の防水コネクターにて配線接続した上、図1および図2に示すように、当該箱型本体2底面開口縁25に、シリコンゴム製パッキン90を介して強化ガラス製の平板透明カバー9を装着し、四角付近をバックル91,91,……で開閉自在且つ強固に密閉状に閉鎖したものとしてある。
【0033】
図1および図2に示す一般道路トンネルの片側車線への設置に適したものは、図5、図18、図22および図23などに示すように、各光軸調整スペーサー7,7,……を傾斜スペーサー71,71,……としたものであり、しかも各傾斜スペーサー71,71,……は、各々がベースレール6ベース下面60に対して直交する中心(軸心)回りに角度姿勢を調節可能なものとしてあって、図1および図2に示すように、各LEDユニット4,4,……の各LEDモジュール5,5,……が夫々、箱型本体2に装着した平板透明カバー9面に直角に交叉する仮想直線(図示せず)が、トンネル内設置姿勢でトンネル内の照明対象路面上に交叉する位置付近に集光照射可能な角度姿勢に支持、着脱自在に固定したものとし、また、図2に示すように、各配線基板3,3,……に接続する調光ユニット8の電源入力部83およびLED用電源入力部54などの各発熱部品(83,54)の一部または全部は、各部品収納用凹部24,24,……内に配するよう組み込んだものとしてある。
【0034】
図3および図4に示すように、高速道路トンネル用とするトンネル照明灯具1は、合計4条あるLED取付区画21,21,……中の1条置き毎となる2条のLED取付区画21,21に取り付けるLEDユニット4,4は、垂直スペーサー70,70,……を装着したものとし、それ以外の1条置き毎となる2条のLED取付区画21,21に取り付けるLEDユニット4,4は、傾斜スペーサー71,71,……を装着し、走行する車両の後方から前方に向けて光りを照射する姿勢に設定したものとしてあり、各ベースレール6,6,……毎に、LEDモジュール5,5,……の設置数を4個1列か、または、5個1列かの何れかに適宜設定したものとしてあって、しかも、当該光軸調整スペーサー7は、垂直スペーサー70と傾斜スペーサー71との間に互換性を有し、互いに入れ替えて組み込むことが可能であり、傾斜スペーサー71は、図6や図7、図17に示すように、ベースレール6に対して直角に交叉する軸心回りに360°回転可能で、同軸心回りの何れの向きにも姿勢変更、固定可能としてなるものとすることができる。
【0035】
また、LEDユニット4の1個毎のLEDモジュール5,5,……の設置数は、図1、図5、図6および図8などに示してあるように、4個以下とすることができる外、図3、図7および図9などに示すとおり、5個以上とすることが可能であり、さらに、1枚のベースレール6に複数列配設したものや、千鳥配列にしたものなどととすることも可能である。
【0036】
各LEDユニット4,4,……および調光ユニット8の配線回路は、図24のように形成してあって、各LEDモジュール5,5,……夫々に個別のLED用電源入力部54,54,……を設け、各LED50,50,……を1個毎個別に電源のオン・オフ制御または連続調光制御ができるものとしているが、場合によっては、各LEDユニット4,4,……毎のLED用電源入力部54,54,……となし、それら各LEDユニット4,4,……毎に電源のオン・オフ制御または連続調光制御するようにしたり、あるいはまたLEDユニット4,4,……全てを一括してオン・オフ制御または連続調光制御できるものとしたりしても勿論差し支えはなく、さらには、下記表1に示すように、各LED用電源入力部54,54,……からの電力供給量を、昼間100%、夜間50%、深夜25%(または31.5%)に自動制御するようプログラム設定されてなるものとし、当該調光ユニット8には、調光制御回路80、劣化補正回路81、照度センサー82および調光ユニット用電源入力部83を設けたものとしてある。
【表1】

【0037】
加えて、図24および図25図示のとおり、調光ユニット8は、外部からの有線または無線の遠隔操作などによって調光モードを適宜切り換え可能なものとし、LED照明寿命曲線に基づき、劣化補正回路81、照度センサー82などを制御し、設置場所の実際の照度を自動検知し、その検知照度値を当該設置場所の照明基準照度と比較し、設置当初に過剰となる光量分を該照明基準照度付近まで自動的に減光制御し、この自動検知および減光制御を長期間に渡って継続的に繰り返すと共に、LED50,50,……の寿命劣化や照明器具の汚れなどに起因する減光の進展に応じて、制御減光量を自動的に漸減制御し、当該照明基準照度付近の検知照度値を自動的に維持可能とするものとしてある。
【0038】
照度センサー82は、調光ユニット8に内蔵し、直接光を受けないよう箱型本体2天面内壁20中央の下部に灯具表面の平板透明カバー9と直角の姿勢とする如く配置し(図示せず)、同照度センサー82の開口面を除く周囲を艶消し塗装の金属製ケースで覆い、遮光とシールドを兼用するものとし、当該トンネル照明灯具1が、トンネル内壁に45°の傾斜角度で設置された場合に、トンネル内走行車両のヘッドライト光が直接入射しないよう配置したものとし、また、該調光ユニット8には、生産工場内での出荷前動作確認用となる赤と緑の2個のモニタ用LED(図示せず)を設けたものなどとすることができることも云うまでもない。
【0039】
図24に示すように、当該トンネル照明灯具1は、個々のLEDモジュール5,5,……毎に、LED用電源入力部54,54,……を設けたものとしているが、LED用電源入力部54の故障を想定し、各ベースレール6,6,……ベース上面61,61,……に配した各配線基板3,3,……を隣接するベースレール6,6、または、隣接するLEDモジュール5,5間で直列接続できるよう、2系統以上の複数系統の配線パターンを持つものとし、各LEDモジュール5,5,……の灯数変化に影響を受けず、ゼロΩの抵抗でショートできる共通基板にしてなるものとすることができる。
【0040】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明のトンネル照明灯具1は、図1ないし図23に夫々示してあるように、各LEDユニット4,4,……夫々の各LEDモジュール5,5,……毎に、互換性のある垂直スペーサー70および傾斜スペーサー71から適宜選択的した光軸調整スペーサー7を自由に組み込み、各々のLEDモジュール5,5,……の照射方向を個別に設定することができ、しかもベースレール6毎に、LEDユニット4,4,……の配置や個数を個別に設定することができるから、図1および図2のとおり、各ベースレール6にLEDユニット4,4,……を4個ずつ配列し、各LEDユニット4,4,……の照射方向を平板透明カバー9面に直角に交叉する仮想直線(図示せず)が、トンネル内設置姿勢でトンネル内の照明対象路面上に交叉する位置付近に集光照射可能な角度姿勢に支持し、一般道路トンネル用の片側車線設置に適するよう設定したり、または、図3および図4に示すとおり、各ベースレール6にLEDモジュール5,5,……を5個1列に配設したものと、4個1列に配設したものとを適宜設定し、且つ、平行な複数条をなす各LED取付区画21,21,……の中、1条置きとなるLEDユニット4,4に垂直スペーサー70,70,……を組み込み、それ以外のLEDユニット4,4に傾斜スペーサー71,71,……を組み込み、プロビーム配光を実現化して高速道路トンネル用の設置に適するよう設定したものとすることが可能となり、箱型本体2、LEDモジュール5,5,……、ベースレール6,6,……、光軸調整スペーサー7,7,……、調光ユニット8、および、平板透明カバー9などの主要部品を共通か、または、互換性を有する部品かの何れかからなるものとしてあるから、生産性、部品管理およびメンテナンス効率を格段に高めたものとすることができる。
【0041】
加えて、アルミニウム合金製の箱型本体2や強化ガラス製平板透明カバー9などを始めとする殆どの主要部品が、効率的にリサイクル処理可能であって、老朽後のゴミの発生量を大幅に削減することができるという利点を有し、また、図1および図2のように、一般道路トンネル用の片側車線設置に適するトンネル照明灯具1を、実際に名古屋2環の掘割トンネル内に、各灯具ピッチ毎に設置して設計輝度に対する実測輝度の測定を行ったところ、下記表2に示すように、何れの灯具ピッチにおいても設計輝度の2倍以上という秀れた照明効果が得られた。
【表2】

【0042】
また、図24および表1に示してあるように、当該トンネル照明灯具1の調光ユニット8は、昼間100%、夜間50%、深夜25%の調光入力に制御するものとしてあり、電力消費量を大幅に削減すると共に、LED50,50,……の寿命を格段に延命化するものとなり、しかも、図25のとおり、照明基準照度より過剰となる光量分を減光制御するものとしてあるから、調光機能によるLED寿命曲線の勾配をゆるやかにし、60,000時間の照明後にあっても光束維持率を80%に留めることができ、格段の延命化を達成するものとなる。
【0043】
下記表3に示すように、当該トンネル照明灯具1と従来型の蛍光灯照明灯具との性能を同一条件下で比較シミュレーションした結果、消費電力および灯具寿命とも格段に秀れていることが判明し、特に灯具寿命にあっては蛍光灯の5倍に達する高性能が得られるものと予測することができ、トンネル内設置状態にてキャビテーション車両による灯具の高圧水洗浄を組み合わせることにより、約10年間はトンネル照明灯具1の保全作業のための車線規制が不要になるという大きなメリットが得られるものと思量できる。
【表3】

【0044】
(結 び)
叙述の如く、この発明のトンネル照明灯具は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、効率的且つ低コストで生産可能であり、従前からの蛍光灯照明灯具技術に比較してメンテナンスコストおよび消費電力を大幅に削減し、二酸化炭素排出量を低減することができる上、LEDの格段の延命化を達成し、保守作業量の軽減化と車線を封鎖して行うメンテナンス作業の頻度を大幅に減少して長期に渡ってメンテナンスフリーとすることができるという理由から、国道や市町村道のような各種一般道路を管理する公共団体はもとより、自動車専用道路や高速道路などのトンネルを管理する企業や道路管理業界にあっても、高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図面は、この発明のトンネル照明灯具の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】片側斜線設置に適したトンネル照明灯具を示す下面図である。
【図2】片側斜線設置に適したトンネル照明灯具を示す断面図である。
【図3】プロビーム配光型トンネル照明灯具を示す下面図である。
【図4】プロビーム配光型トンネル照明灯具を示す断面図である。
【図5】傾斜姿勢のLEDユニットを示す三角法各図である。
【図6】傾斜姿勢のLEDユニットを示す三角法各図である。
【図7】傾斜姿勢のLEDユニットを示す三角法各図である。
【図8】垂直姿勢のLEDユニットを示す三角法各図である。
【図9】垂直姿勢のLEDユニットを示す三角法各図である。
【図10】ベースレールを示す下面および側面図である。
【図11】配線基板を示す下面図である。
【図12】垂直姿勢のLEDモジュールを示す側面図である。
【図13】垂直姿勢のLEDモジュールを示す断面図である。
【図14】傾斜姿勢のLEDモジュールを示す側面図である。
【図15】傾斜姿勢のLEDモジュールを示す断面図である。
【図16】垂直姿勢のLEDユニットを示す側面図である。
【図17】傾斜姿勢のLEDユニットを示す側面図である。
【図18】周回りに角度を調整した傾斜姿勢のLEDユニットを示す側面図である。
【図19】LEDユニットを示す分解図である。
【図20】垂直スペーサーを示す斜視図である。
【図21】傾斜スペーサーを示す斜視図である。
【図22】周回りに角度を調整した傾斜姿勢のスペーサーを示す斜視図である。
【図23】周回りに角度を調整した傾斜姿勢のスペーサーを示す斜視図である。
【図24】トンネル照明灯具の電気回路を示す回路図である。
【図25】LED照明寿命曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
【0046】
1 トンネル照明灯具
2 箱型本体
20 同 天面内壁
21 同 LED取付区画
22 同 天面外壁
23 同 放熱フィン
24 同 部品収納用凹部
25 同 底面開口縁
26 同 取付部
3 配線基板
4 LEDユニット
5 LEDモジュール
50 同 LED
51 同 放熱ホルダ
52 同 凹面ミラー
53 同 環状枠
54 同 LED用電源入力部(発熱部品)
6 ベースレール
60 同 ベース下面
61 同 ベース上面
62 同 凹条部
63 同 凸条部
7 光軸調整スペーサー
70 同 垂直スペーサー
71 同 傾斜スペーサー
72 同 放熱グリス
73 同 ネジ
8 調光ユニット
80 同 調光制御回路
81 同 劣化補正回路
82 同 照度センサー
83 同 調光ユニット用電源入力部(発熱部品)
9 平板透明カバー
90 同 パッキン
91 同 バックル
L3 配線基板の長さ寸法
W3 配線基板の幅寸法
L6 ベースレールの長さ寸法
W6 ベースレールの幅寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面開口筐体状の軽金属製箱型本体を有し、該箱型本体の天面内壁には、同箱型本体のトンネル内設置姿勢において、トンネル内車両走行方向に対して夫々所定角度をなして並ぶようにした複数条のLED取付区画を形成し、これら各LED取付区画に対応する本体天面外壁に放熱フィンを一体形成し、それらLED取付区画以外の本体天面内壁適所には、上向き凸状下向き開口状の部品収納用凹部を形成し、当該本体天面内壁の各取付区画には、夫々ベース下面に複数個のLEDモジュールが光軸調整スペーサーで各々所望の照射角度にて一列または複数列に配し、各LEDモジュール発光・制御用の配線基板をベース上面に装着したベースレールからなるLEDユニットを着脱自在に装着すると共に、各配線基板に接続する調光ユニットおよびLED用電源入力部などの各発熱部品の一部または全部を前記各部品収納用凹部内に配した上、当該箱型本体の底面開口縁には、強化ガラス製平板透明カバーを開閉可能に被着、密閉してなるものとしたことを特徴とするトンネル照明灯具。
【請求項2】
底面開口筐体状の軽金属製箱型本体を有し、該箱型本体の天面内壁には、同箱型本体のトンネル内設置姿勢において、トンネル内車両走行方向に対して夫々所定角度をなして並ぶようにした複数条のLED取付区画を形成し、これら各LED取付区画に対応する本体天面外壁に放熱フィンを一体形成し、それらLED取付区画以外の本体天面内壁適所には、上向き凸状下向き開口状の部品収納用凹部を形成し、当該本体天面内壁の各取付区画には、夫々ベース下面に複数個のLEDモジュールが、垂直スペーサーおよび傾斜スペーサーの中から何れか一方を適宜選択した光軸調整スペーサーで各々所望の照射角度にて一列または複数列に配し、各LEDモジュール発光・制御用の配線基板をベース上面に装着したベースレールからなるLEDユニットを着脱自在に装着すると共に、各配線基板に接続する調光ユニットおよびLED用電源入力部などの各発熱部品の一部または全部を前記各部品収納用凹部内に配した上、当該箱型本体の底面開口縁には、強化ガラス製平板透明カバーを開閉可能に被着、密閉してなるものとしたことを特徴とするトンネル照明灯具。
【請求項3】
各LEDユニットの各LEDモジュールが夫々、箱型本体に装着した平板透明カバー面に直角に交叉する仮想直線が、トンネル内設置姿勢でトンネル内の照明対象路面上に交叉する位置付近に集光照射可能な角度姿勢に支持可能とする光軸調整スペーサーを介して各ベースレールに装着してなるものとした、請求項1または2何れか一方記載のトンネル照明灯具。
【請求項4】
複数条並んで装着したLEDユニットの中、1条置き配置となる各LEDユニットの各LEDモジュールを夫々光軸調整スペーサーである垂直スペーサーで支持し、それら以外の各LEDユニットの各LEDモジュールを、トンネル内走行車両の後方から前方路面上に向けて照射可能な角度姿勢に支持可能とする光軸調整スペーサーである傾斜スペーサーを介して各ベースレールに装着してなるものとした、請求項1または2何れか一方記載のトンネル照明灯具。
【請求項5】
各LEDモジュールが、LED、LEDを光軸調整スペーサーに装着可能とする放熱ホルダ、および、該放熱ホルダに装着したLEDの周囲に装着可能な凹面ミラーからなるものとした、請求項1ないし4何れか一項記載のトンネル照明灯具。
【請求項6】
光軸調整スペーサーが、垂直スペーサーから傾斜スペーサーへ、且つ、傾斜スペーサーから垂直スペーサーへと、自在に変更可能な互換性を確保してなるものとした、請求項1ないし5何れか一項記載のトンネル照明灯具。
【請求項7】
光軸調整スペーサーである傾斜スペーサーが、ベースレールに対して直角に交叉する軸心回りに360°回転可能で、同軸心回りの何れの向きにも姿勢変、固定可能としてなるものとした、請求項1ないし6何れか一項記載のトンネル照明灯具。
【請求項8】
調光ユニットが、LED用電源入力部からの電力供給量を、昼間100%、夜間50%、深夜25%に自動制御するよう設定してなるものとした、請求項1ないし7何れか一項記載のトンネル照明灯具。
【請求項9】
調光ユニットが、調光制御回路、劣化補正回路、照度センサーおよび調光ユニット用電源入力部を有してなるものとした、請求項1ないし8何れか一項記載のトンネル照明灯具。
【請求項10】
調光ユニットが、劣化補正回路、照度センサーを有し、設置場所の実際の照度を自動検知し、その検知照度値を当該設置場所の照明基準照度と比較し、設置当初に過剰となる光量分を該照明基準照度付近まで自動的に減光制御し、この自動検知および減光制御を長期間に渡って継続的に繰り返すと共に、LEDの寿命劣化や照明器具の汚れなどに起因する減光の進展に応じて、制御減光量を自動的に漸減制御し、当該照明基準照度付近の検知照度値を自動的に維持可能とするものとしてなる、請求項1ないし9何れか一項記載のトンネル照明灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−38532(P2012−38532A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176813(P2010−176813)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(508136205)浜井電球工業株式会社 (6)
【出願人】(509148164)中日本ハイウエイ・エンジニアリング名古屋株式会社 (4)
【Fターム(参考)】