説明

トーイングトラクタ

【課題】ケーブルに余剰部を十分に確保し、アクスルハウジング及びモータが制御装置に対して上下方向に移動したとしても、ケーブルが突っ張ってしまうことを抑制できるトーイングトラクタを提供する。
【解決手段】車体11内において、車体11の前後方向に沿って、コントローラ24、アクスルハウジング32及び走行モータ23がこの順序で並設されるとともに、コントローラ24は、走行モータ23及びアクスルハウジング32より前側上方に設けられている。そして、ケーブル51は、走行モータ23からアクスルハウジング32の下側を通過するように延びるとともに、コントローラ24に向かって上方に延びてコントローラ24に接続されている。さらに、ケーブル51において、アクスルハウジング32の下側からコントローラ24に向けて延びる部位であって、且つアクスルハウジング32の前方に位置する部位に余剰部51aが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トーイングトラクタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、空港で貨物等を牽引するためにトーイングトラクタが使用されている。このトーイングトラクタは、動力源としてのモータと、このモータに供給される電力を制御する制御装置とを備えたものがある。モータと制御装置とはケーブルによって電気的に接続されている。また、モータは、動力伝達機構を介して車軸と連結されるとともに、モータからの動力が動力伝達機構を介して車軸に伝達されるようになっている。車軸はアクスルハウジングに収容されるとともに、アクスルハウジングは、車体に対して上下変位可能に懸架される懸架装置により、上下方向への移動が許容されるようになっている。
【0003】
また、アクスルハウジングとモータとは一体化されており、アクスルハウジングの上下方向への移動に追従して、モータにおいても上下方向への移動が許容されるようになっている。一方、制御装置は、車体に対して上下動不能に固定されている。よって、アクスルハウジング及びモータは、制御装置に対して上下方向に移動することになり、ケーブルがアクスルハウジング及びモータの上下方向への移動に追従して引っ張られて突っ張ってしまう場合がある。そこで、車体に対して上下動不能に固定された固定物(制御装置)に対して、上下動可能な可動物(アクスルハウジング及びモータ)が移動したとしても、ケーブルが突っ張ってしまうことを抑制できるケーブルの配索構造が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1の強電ハーネス(ケーブル)配索構造を備えたハイブリッド車両には、車両に対する固定物たる電源系装置(制御装置)としてのパワーヘッドが比較的高剛性のブラケットを介して車体に支持されるとともに、車体に対する可動物たるトランスアクスルケース(アクスルハウジング)が比較的低剛性の支持装置により車体に支持されている。パワーヘッド及びトランスアクスルケースそれぞれには通電端子が設けられ、強電ハーネスが両通電端子に接続された状態では、強電ハーネスの長さが両通電端子間の距離よりも長く設定されており、余剰部が生じている。よって、パワーヘッドに対してトランスアクスルケースが上下方向に移動し、強電ハーネスがトランスアクスルケースの上下方向への移動に追従して引っ張られたとしても、この余剰部が伸びることでケーブルが突っ張ってしまうことが抑制されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−152470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の強電ハーネス配索構造において、パワーヘッドの通電端子はパワーヘッドの下面に設けられるとともに、トランスアクスルケースの通電端子はトランスアクスルケースの上面及び側面に設けられている。そして、強電ハーネスは、トランスアクスルケースの上面及び側面からパワーヘッドの下面に向けて上方へ延びている。このため、強電ハーネスに余剰部が設けられてはいるものの、その余剰部は、パワーヘッドの下方に位置するトランスアクスルケースから強電ハーネスをパワーヘッドへ向かわせるために、強電ハーネスをそのまま上方へ向けて配索した中で設けられているだけである。よって、強電ハーネスの余剰部は、トランスアクスルケースからパワーヘッドまでの間で延びる強電ハーネスの長さを利用して設けられているため、余剰部としての長さが十分に確保できず、強電ハーネスがトランスアクスルケースの上下方向への移動に追従して引っ張られたときに、強電ハーネスが突っ張ってしまう虞があった。
【0007】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、ケーブルに余剰部を十分に確保し、アクスルハウジング及びモータが制御装置に対して上下方向に移動したとしても、ケーブルが突っ張ってしまうことを抑制できるトーイングトラクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、モータと、前記モータに供給される電力を制御する制御装置と、前記モータと前記制御装置とを電気的に接続するケーブルと、前記モータと一体化されたアクスルハウジングと、前記アクスルハウジングを車体における上下方向の移動が許容されるように前記車体に支持する懸架装置と、を備えたトーイングトラクタであって、前記車体の前後方向に沿って、前記制御装置、前記アクスルハウジング及び前記モータがこの順序で並設されるとともに、前記制御装置は、前記モータ及び前記アクスルハウジングよりも上方に設けられ、前記ケーブルは、一端が前記モータに接続され、前記モータから前記アクスルハウジングの下側を通過するように延びるとともに、前記制御装置に向かって上方に延びて他端が前記制御装置に接続され、前記ケーブルにおいて、前記アクスルハウジングの下側から前記制御装置に向けて延びる部位であって、且つ前記アクスルハウジングの前方に位置する部位に余剰部が設けられていることを要旨とする。
【0009】
この発明によれば、モータの上方に制御装置が配設されているが、ケーブルはモータからそのまま制御装置に向けて上方へ延びておらず、モータから一旦アクスルハウジングの下側を通過するように延びている。このため、ケーブルがモータからそのまま制御装置に向けて延びる場合と比べて、モータから一旦アクスルハウジングの下側を通過する分ケーブルが長く設けられており、そのケーブルの長さを利用してアクスルハウジングの前側に余剰部が設け易くなり、ケーブルに余剰部を十分に確保することができる。そして、ケーブルがアクスルハウジング及びモータの下方向への移動に追従して引っ張られたとしても、その余剰部がアクスルハウジング及びモータの移動分だけ伸びることができる。よって、ケーブルがアクスルハウジング及びモータの下方向への移動に追従して引っ張られたとしても、ケーブルが突っ張ってしまうことを抑制することができる。また、ケーブルがアクスルハウジング及びモータの上方向への移動に追従して撓ませられたとしても、その余剰部が無理のない形状で撓んで逃げることができる。よって、ケーブルがアクスルハウジング及びモータの上方向への移動に追従して撓ませられたとしても、ケーブルの逃げ場がなく押されて突っ張ってしまうことを抑制することができる。ここで、「余剰部」とは、ケーブルを、アクスルハウジングの下側から制御装置までを最短距離で繋いだときのケーブルの長さよりも長い部位のことをいう。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ケーブルの一端は前記モータの上部に接続されるとともに、前記モータの上部から前記モータと前記アクスルハウジングとの間に向けて下方へ延びていることを要旨とする。
【0011】
この発明によれば、例えば、ケーブルの一端がモータの下部に接続されるとともに、モータの下部からアクスルハウジングの下側に延びるようにケーブルが配索されている場合と比較して、ケーブルとモータとの接続部分に、車体の下方から車体内に入り込む水飛沫や塵埃等をかかり難くすることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記アクスルハウジングには、前記ケーブルの一部分を前記アクスルハウジングに対して固定可能な固定部材が設けられていることを要旨とする。
【0013】
この発明によれば、固定部材によってケーブルの一部分がアクスルハウジングに対して固定されているため、車体が振動したとしてもケーブルが車体内で振動してしまうことが抑制される。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、ケーブルに余剰部を十分に確保し、アクスルハウジング及びモータが制御装置に対して上下方向に移動したとしても、ケーブルが突っ張ってしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態におけるトーイングトラクタの側面図。
【図2】トーイングトラクタの後部側を示す部分斜視図。
【図3】トーイングトラクタの後部側を示す部分平面図。
【図4】トーイングトラクタの後部側を示す部分縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をバッテリ式のトーイングトラクタに具体化した一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は、トーイングトラクタ10の運転者が車両前方(前進方向)を向いた状態を基準とした場合の「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」を示す。
【0017】
図1に示すように、トーイングトラクタ10における車体11の後部にはドローバ装置12が設けられている。車体11の前部にはバッテリ収納室(図示せず)が設けられるとともに、バッテリ収納室にはバッテリ13が収容されている。また、車体11の前下部には操舵輪(前輪)14が設けられるとともに、車体11の後下部には駆動輪(後輪)15が設けられている。また、車体11の後部寄りには、運転席16が設けられるとともに、運転席16には2つ(図1では1つのみ図示)の座席17が左右に並設されている。
【0018】
また、運転席16において、座席17の前方には、ハンドルコラム18が設けられている。ハンドルコラム18には操舵輪14の舵角を変更するためのステアリングホイール19が装着されている。また、座席17の前下方(フロア)には、アクセルペダル20が設けられている。さらに、座席17の後方にはドローバ操作レバー21が設けられている。ドローバ操作レバー21は、運転者が座席17に着座した状態で、運転者の手が届く範囲に設けられている。
【0019】
図2及び図3に示すように、車体11の後部において、車体11のフレームを構成する一対のリヤサイドメンバ11aの間には、モータ収納室22が区画されている。モータ収納室22にはモータとしての走行モータ23が収納されている。また、モータ収納室22において、走行モータ23の前側には、車体11の左右方向に沿って延びる車軸31が設けられるとともに、車軸31の両端には駆動輪15が設けられている。車軸31は略円筒状をなすアクスルハウジング32に収容されている。そして、車軸31は、アクスルハウジング32の内周面に設けられた軸受(図示せず)を介してアクスルハウジング32に対して回転可能に支持されている。
【0020】
また、車軸31の周面にはギヤ(図示せず)が嵌着されるとともに、走行モータ23における回転軸(図示せず)の周面にはギヤ(図示せず)が嵌着されている。そして、両ギヤが噛合されることで、車軸31と走行モータ23とが連結され、走行モータ23の駆動力が車軸31に伝達されるようになっている。両ギヤはケース34に収容されるとともに、このケース34はアクスルハウジング32及び走行モータ23と一体的に設けられている。よって、アクスルハウジング32と走行モータ23とは、ケース34を介して一体的に設けられている。アクスルハウジング32は走行モータ23よりも前側に設けられている。
【0021】
図1に示すように、座席17の下方には、バッテリ13から走行モータ23へ供給される電力を制御する制御装置としてのコントローラ24が収納されている。図4に示すように、コントローラ24は、アクスルハウジング32よりも前側上方に設けられたブラケット11dを介して車体11に対して上下動不能に支持されている。よって、車体11内において、車体11の前後方向に沿って、コントローラ24、アクスルハウジング32及び走行モータ23がこの順序で並設されるとともに、コントローラ24は、アクスルハウジング32よりも前側上方に設けられている。トーイングトラクタ10は、バッテリ13を駆動源として作動するとともにコントローラ24によって制御される走行モータ23の駆動力により駆動輪15が回転駆動されて走行するバッテリ式とされている。
【0022】
図2及び図3に示すように、トーイングトラクタ10の後部には、懸架装置41が装備されている。懸架装置41は、それぞれ長さの異なる帯状の板を複数枚重ねてクリップ42aにて数箇所纏められることで構成されるリーフスプリング42を備えている。リーフスプリング42は、車体11の前後方向に沿って延びるように車軸31の両端側にそれぞれ設けられている。
【0023】
リーフスプリング42の前端部(一端部)は、リヤサイドメンバ11aに固設されたブラケット11bを介して車体11に対して回動自在に支持されるとともに、リーフスプリング42の後端部(他端部)は、リヤサイドメンバ11aに固設されたシャックルリンク11cを介して車体11に対して回動可能に支持されている。シャックルリンク11cは、リヤサイドメンバ11aに対して揺動可能に支持されるとともに、リーフスプリング42が撓むと、そのリーフスプリング42の撓みにつられてシャックルリンク11cが揺動するようになっている。
【0024】
また、懸架装置41は、ショックアブソーバ46を備えている。ショックアブソーバ46の一端は車体11に対して支持されるとともに、他端はリーフスプリング42に連結されている。ショックアブソーバ46は、オイルで満たされたシリンダ46a内に、オリフィス孔が形成されたピストン(図示せず)が往復動可能に嵌挿された構造になっており、オリフィス孔にオイルが流通されるときの抵抗を利用して、リーフスプリング42の撓み量を減衰させて車体11の振動を安定させるようになっている。
【0025】
アクスルハウジング32は、リーフスプリング42の中央部を上下から挟むようにして設けられる支持部材43,44を介して、U字ボルト45によりリーフスプリング42に対して固定されている。よって、アクスルハウジング32は、車体11における上下方向の移動を許容するように懸架装置41を介して車体11に対して上下変位可能に懸架されている。
【0026】
図4に示すように、走行モータ23とコントローラ24とは3本(図4では1本のみ図示)のケーブル51によって電気的に接続されている。ケーブル51の一端は、走行モータ23の上部に設けられた接続端子(図示せず)に接続されている。そして、ケーブル51は、走行モータ23の上部から走行モータ23とアクスルハウジング32との間に向けて下方へ延びるとともに、アクスルハウジング32の下側外周面に沿うように延びている。
【0027】
図3に示すように、ケーブル51は、車幅方向(左右方向)において、アクスルハウジング32の中央部に沿うように延びている。また、アクスルハウジング32の前側中央部には、固定部材としてのブラケット52が設けられている。ブラケット52は、支持片52aを介してケース34(アクスルハウジング32)に支持されている。図4に示すように、ケーブル51におけるブラケット52に沿う部分は、ブラケット52に設けられたバンド52bによりブラケット52と共に巻き付けられてブラケット52に対して固定されている。その結果、ブラケット52によりケーブル51の一部分がアクスルハウジング32に対して固定されている。
【0028】
そして、ケーブル51は、アクスルハウジング32の下側からアクスルハウジング32の前側で上方へ向けて延び、ケーブル51の一部分がブラケット11dに設けられたクランプ部材11eによりブラケット11dに対して固定されている。さらに、ケーブル51の他端は、アクスルハウジング32よりも前側上方に設けられたコントローラ24の接続端子(図示せず)に接続されている。ここで、ケーブル51は、ブラケット52によってアクスルハウジング32に固定された部位からコントローラ24の接続端子までの部位が、最短距離よりも長くなるようになっており、ブラケット52とコントローラ24の接続端子との間であって、且つアクスルハウジング32の前方に位置する部位に余剰部51aが設けられている。
【0029】
さて、トーイングトラクタ10が走行することで車体11に振動が発生するが、上記構成の懸架装置41により、リーフスプリング42に固定されたアクスルハウジング32は、リーフスプリング42全体がアクスルハウジング32からの荷重がかかって撓むことで、車体11内において上下方向に移動することが許容されている。また、走行モータ23は、ギヤを介して車軸31と連結されているために、アクスルハウジング32の上下方向への移動に追従して、走行モータ23も上下方向に移動するようになっている。よって、アクスルハウジング32及び走行モータ23は、コントローラ24に対して上下方向に移動する。
【0030】
ケーブル51がアクスルハウジング32及び走行モータ23の下方向への移動に追従して引っ張られると、その余剰部51aがアクスルハウジング32及び走行モータ23の移動分だけ伸び、ケーブル51が突っ張ってしまうことが抑制される。また、ケーブル51がアクスルハウジング32及び走行モータ23の上方向への移動に追従して撓ませられると、その余剰部51aが無理のない形状で撓んで逃げ、ケーブル51の逃げ場がなく押されて突っ張ってしまうことが抑制される。
【0031】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)ケーブル51は、走行モータ23から延びるとともにアクスルハウジング32の下側を通過するように配索されている。よって、ケーブル51がアクスルハウジング32の上側を通過してそのままコントローラ24に向けて延びる場合と比較して、走行モータ23から一旦アクスルハウジング32の下側を通過する分ケーブル51が長く設けられている。そのケーブル51の長さを利用してアクスルハウジング32の前側に余剰部51aが設け易くなり、ケーブル51に余剰部51aを十分に確保することができる。そして、ケーブル51がアクスルハウジング32及び走行モータ23の下方向への移動に追従して引っ張られたとしても、その余剰部51aがアクスルハウジング32及び走行モータ23の移動分だけ伸びることができる。また、ケーブル51がアクスルハウジング32及び走行モータ23の上方向への移動に追従して撓ませられたとしても、その余剰部51aが無理のない形状で撓んで逃げることができる。よって、アクスルハウジング32及び走行モータ23が上下方向へ移動したとしても、ケーブル51が突っ張ってしまうことを抑制できる。
【0032】
(2)ケーブル51の一端は、走行モータ23の上部に設けられた接続端子に接続されている。よって、例えば、走行モータ23の下部に接続端子が設けられており、その接続端子にケーブル51の一端が接続されている場合と比較して、ケーブル51と接続端子との接続部分に、車体11の下方から車体11内に入り込む水飛沫や塵埃等をかかり難くすることができる。
【0033】
(3)ケーブル51の一部分はブラケット52によってアクスルハウジング32に対して固定されている。よって、車体11が振動したとしてもケーブル51が車体11内で振動してしまうことが抑制される。
【0034】
(4)ケーブル51はアクスルハウジング32の下側を通過するように配索されている。よって、例えば、ケーブル51がアクスルハウジング32の上側を通過するように配索されており、アクスルハウジング32及び走行モータ23が上側へ移動した場合に、このアクスルハウジング32の上側への移動によりケーブル51が引っ張られてしまうといった問題が起こらない。
【0035】
(5)例えば、片側の駆動輪15のみ路面の凸部に乗り上げて、アクスルハウジング32の一端側が上側へ移動するとともに他端側が下側へ移動した場合、アクスルハウジング32の中央部は上下方向に移動しない。ここで、ケーブル51は、車幅方向におけるアクスルハウジング32の中央部に沿うように配索されているため、ケーブル51がアクスルハウジング32における揺動の影響を受け難くすることができる。
【0036】
(6)ケーブル51は、走行モータ23の上部から下方へ延びた後、アクスルハウジング32の下側外周面に沿うように延び、ブラケット52によってアクスルハウジング32の下部に固定されている。よって、モータ収納室22の下方が車体11の外方へ臨まされていたとしても、ブラケット52によりアクスルハウジング32の下側を通過しているケーブル51が垂れ下がってしまうことを防止することができる。
【0037】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態において、ブラケット52によってケーブル51の一部分がアクスルハウジング32に対して固定されていなくてもよい。
【0038】
○ 実施形態において、ケーブル51の一端は、走行モータ23の上部に設けられた接続端子に接続されていたが、これに限らず、例えば、走行モータ23の下部に設けられた接続端子に接続されていてもよい。
【0039】
○ 実施形態において、懸架装置41は、リーフスプリング42を備えたタイプであったが、これに限らず、例えば、コイルスプリングを備えたタイプであってもよい。
○ 本発明を、バッテリ式のトーイングトラクタ10に具体化したが、これに限らず、例えば、エンジンをさらに備えたハイブリッド式のトーイングトラクタに具体化してもよい。
【0040】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記ケーブルは、車幅方向における前記アクスルハウジングの中央部に沿うように前記アクスルハウジングの下側を通過していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のトーイングトラクタ。
【0041】
(ロ)バッテリ式であることを特徴とする請求項1〜請求項3及び前記技術的思想(イ)のいずれか一項に記載のトーイングトラクタ。
【符号の説明】
【0042】
10…トーイングトラクタ、11…車体、23…モータとしての走行モータ、24…制御装置としてのコントローラ、32…アクスルハウジング、41…懸架装置、51…ケーブル、51a…余剰部、52…固定部材としてのブラケット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータに供給される電力を制御する制御装置と、
前記モータと前記制御装置とを電気的に接続するケーブルと、
前記モータと一体化されたアクスルハウジングと、
前記アクスルハウジングを車体における上下方向の移動が許容されるように前記車体に支持する懸架装置と、を備えたトーイングトラクタであって、
前記車体の前後方向に沿って、前記制御装置、前記アクスルハウジング及び前記モータがこの順序で並設されるとともに、前記制御装置は、前記モータ及び前記アクスルハウジングよりも上方に設けられ、
前記ケーブルは、一端が前記モータに接続され、前記モータから前記アクスルハウジングの下側を通過するように延びるとともに、前記制御装置に向かって上方に延びて他端が前記制御装置に接続され、
前記ケーブルにおいて、前記アクスルハウジングの下側から前記制御装置に向けて延びる部位であって、且つ前記アクスルハウジングの前方に位置する部位に余剰部が設けられていることを特徴とするトーイングトラクタ。
【請求項2】
前記ケーブルの一端は前記モータの上部に接続されるとともに、前記モータの上部から前記モータと前記アクスルハウジングとの間に向けて下方へ延びていることを特徴とする請求項1に記載のトーイングトラクタ。
【請求項3】
前記アクスルハウジングには、前記ケーブルの一部分を前記アクスルハウジングに対して固定可能な固定部材が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のトーイングトラクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−98673(P2011−98673A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255417(P2009−255417)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】