説明

ドアチェック装置

【課題】作動音が小さくなるドアチェック装置を提供する。
【解決手段】一方向バルブは、弁体72より上流側の管路に設けられ、弁体72に塞がれることによって閉状態となる穴部4aと、液体を穴部4aからバルブの下流へ案内する第1流路FR、第2流路SRとを備え、第1流路FRは、流動抵抗が穴部4aの流動抵抗より大きく設定され、弁体72が穴部4aを塞いでいるときは、閉状態であり、弁体72が穴部4aより離れると、全開状態となり、第2流路SRは、弁体72が穴部4aを塞いでいるときは、閉状態であり、弁体72が穴部4aより離れ、第1流路FRが全開となった後から開き始めるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方向バルブを用いたドアチェック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、弁体が閉位置で大きな力で保持され、開方向に移動すると、前記弁体を保持する力が低下するドアチェック装置が記載されている。
このドアチェック装置は、液体が充填されるケースと、該ケース内に配置され、前記ケースに回転可能に支持されたシャフトと、該シャフトの周面に設けられ、前記ケース内を第1室、第2室に分けるフラップと、一方の開口が前記第1室に、他方の開口が前記第2室に臨むように、前記フラップにそれぞれ設けられた第1管路、第2管路と、前記第1管路内に設けられる弁体、前記弁体より上流側の前記第1管路に設けられ、前記弁体が塞ぐことによって閉状態となる穴部、前記弁体を前記穴部を塞ぐ方向に付勢する付勢手段、前記弁体より下流側に設けられる出口を有した第1一方向バルブであって、前記付勢手段は、前記弁体が前記穴部に近づくに従って、前記穴部を塞ぐ力が大きくなるように形成されると共に、前記弁体に対し、前記穴部を塞ぐ方向に常に付勢力を及ぼし、前記第1室から前記第2室への液体の流れを許容し、前記第2室から前記第1室への液体の流れを阻止する第1一方向バルブと、前記第2管路内に設けられる弁体、前記弁体より上流側の前記第2管路に設けられ、前記弁体が塞ぐことによって閉状態となる穴部、前記弁体を前記穴部を塞ぐ方向に付勢する付勢手段、前記弁体より下流側に設けられる出口を有した第2一方向バルブであって、前記付勢手段は、前記弁体が前記穴部に近づくに従って、前記穴部を塞ぐ力が大きくなるように形成されると共に、前記弁体に対し、前記穴部を塞ぐ方向に常に付勢力を及ぼし、前記第2室から前記第1室への液体の流れを許容し、前記第1室から前記第2室への液体の流れを阻止する第2一方向バルブとを有している。
【0003】
このドアチェック装置では、シャフトを回転させると、第1管路、第2管路に液体が流れる。第1室から第2室に向かって液体が流れる場合、第1管路の第1一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部から離れる方向に押される。このとき、穴部を塞ぐ力が大きいので、ドアを動かすのに大きな力(ピークトルク)を必要とする。また、第2管路の第2一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部を塞ぐ方向に押される。そして、付勢手段の付勢力に抗して、第1一方向バルブの弁体が穴部から離れる方向に移動すると、付勢手段の付勢力の穴部を塞ぐ力が小さくなるので、小さくて安定した力(定常トルク)でドアを動かせる。
【0004】
そして、シャフトの回転を停止すると、付勢手段の付勢力により、第1一方向バルブの弁体は速やかに穴部を塞ぐ。
一方、第2室から第1室に向かって液体が流れる場合、第2管路の第2一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部から離れる方向に押される。また、第1管路の第1一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部を塞ぐ方向に押される。そして、付勢手段の付勢力に抗して、第2一方向バルブの弁体が穴部から離れる方向に移動すると、付勢手段の付勢力が小さくなる。
【0005】
そして、シャフトの回転が停止すると、付勢手段の付勢力により、第2一方向バルブの弁体は速やかに穴部を塞ぐ。
【特許文献1】特開2008−008309号公報(図13)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記構成のドアチェック装置においては、ドアを速く開閉操作すると、ドアが動き出してからしばらくすると付勢手段の付勢力が急低下するため、一方向バルブの穴部を塞いでいた弁体が速いスピードで穴部から離れ、穴部より下流側へ移動する液体に大きな圧力変動が生じて、大きな作動音が発生する問題点がある。
【0007】
逆に、圧力変動を小さくするために一方向バルブの出口を小さくすれば、ドア作動抵抗が高くなる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、ドア作動抵抗が小さくなると共に、作動音が小さくなるドアチェック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、液体が充填されるケースと、該ケース内に配置され、前記ケースに回転可能に支持されたシャフトと、該シャフトの周面に設けられ、前記ケース内を第1室、第2室に分けるフラップと、一方の開口が前記第1室に、他方の開口が前記第2室に臨むように、それぞれ設けられた第1管路、第2管路と、前記第1管路内に設けられる第1一方向バルブであって、前記第1室から前記第2室への液体の流れを許容し、前記第2室から前記第1室への液体の流れを阻止する第1一方向バルブと、前記第2管路内に設けられる第2一方向バルブであって、前記第2室から前記第1室への液体の流れを許容し、前記第1室から前記第2室への液体の流れを阻止する第2一方向バルブと、からなるドアチェック装置において、前記第1一方向バルブ、前記第2一方向バルブは、それぞれ液体が流れる管路と、該管路内を進退移動する弁体と、前記弁体より上流側の前記管路に設けられ、前記弁体に塞がれることによって閉状態となる穴部と、前記弁体が前記穴部に近づくに従って、前記穴部を塞ぐ力が大きくなるように前記弁体を付勢する付勢手段と、液体を前記穴部から前記バルブの下流へ案内する第1流路、第2流路とを備え、前記第1流路は、流動抵抗が前記穴部の流動抵抗より大きく設定され、前記弁体が前記穴部を塞いでいるときは、閉状態であり、前記弁体が前記穴部より離れると、全開状態となり、前記第2流路は、前記弁体が前記穴部を塞いでいるときは、閉状態であり、前記弁体が前記穴部より離れ、前記第1流路が全開となった後から開き始めるように構成したことを特徴とするドアチェック装置である。
【0009】
シャフトが回転すると、第1管路、第2管路に液体が流れる。
第1室から第2室に向かって液体が流れる場合、第1管路の第1一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部から離れる方向に押される。また、第2管路の第2一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部を塞ぐ方向に押される。そして、付勢手段の付勢力に抗して、第1一方向バルブの弁体が穴部から離れる方向に移動する。ドアの回転が停止すると、付勢手段の付勢力の穴部を塞ぐ方向の分力により、第1一方向バルブの弁体は速やかに穴部を塞ぐ。
【0010】
一方、第2室から第1室に向かって液体が流れる場合、第2管路の第2一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部から離れる方向に押される。また、第1管路の第1一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部を塞ぐ方向に押される。そして、付勢手段の付勢力に抗して、第2一方向バルブの弁体が穴部から離れる方向に移動すると、付勢手段の付勢力の穴部を塞ぐ方向の分力が小さくなる。ドアの回転が停止すると、付勢手段の付勢力の穴部を塞ぐ方向の分力により、第2一方向バルブの弁体は速やかに穴部を塞ぐ。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記第2流路は、前記穴部より下流側の前記管路の壁面に開口を有し、前記管路の外部に設けられた流路であり、前記付勢手段は、前記管路側、前記弁体側のうちのいずれか一方の側に設けられるばねと、前記管路側、前記弁体側のうちのいずれか他方の側に設けられ、前記ばねが前記弁体の移動方向に対して交差する方向から常に押圧し、前記弁体に対し前記穴部を塞ぐ方向に常に付勢力をおよぼす面であって、該面は、第1面と、該第1面と連続的に形成され、前記弁体に及ぼす付勢力が前記第1面よりも小さくなるように設定された第2面とからなり、前記第2流路の開口は、前記ばねが前記第1面を押圧している状態では、閉状態にあり、前記ばねが第1面から前記第2面に移行すると、開き始めることを特徴とする請求項1記載のドアチェック装置である。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記弁体の下流への移動を禁止するストッパ部を設け、前記弁体が前記ストッパ部によってそれ以上の下流への移動が禁止された状態では、前記第2流路の開口は全開状態となっていることを特徴とする請求項1または2記載のドアチェック装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1−請求項3に係る発明によれば、前記第1一方向バルブ、前記第2一方向バルブは、液体を前記穴部から前記バルブの下流へ案内する第1流路、第2流路とを備え、前記第1流路は、流動抵抗が前記穴部の流動抵抗より大きく設定され、前記弁体が前記穴部を塞いでいるときは、閉状態であり、前記弁体が前記穴部より離れると、全開状態となり、前記第2流路は、前記弁体が前記穴部を塞いでいるときは、閉状態であり、前記弁体が前記穴部より離れ、前記第1流路が全開となった後から開き始めるように構成した。
【0014】
よって、前記弁体が前記穴部を塞ぐ状態から前記弁体が前記穴部より離れると、先ず、流動抵抗が前記穴部の流動抵抗より大きく設定された第1流路だけが開くので、弁体が穴部より離れるスピードが遅くなり、穴部より下流側へ移動する液体に大きな圧力変動が生じず、大きな作動音が発生しない。
【0015】
そして、前記弁体が前記穴部より離れ、前記第1流路が全開となった後から第2流路が開き始めるので、液体の流動抵抗が小さくなり、ドア開閉操作力が小さくなり、ドア開閉時の操作性が向上する。このとき、弁体の移動速度は速くならないので、穴部より下流側へ移動する液体に大きな圧力変動が生じず、大きな作動音が発生しない。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、前記第2流路の開口は、前記ばねが前記第1面を押圧している状態は、閉状態にあり、前記ばねが第1面から前記第2面に移行すると、開き始める。即ち、ばねが第1面から第2面に移行して、弁体の穴部を塞ぐ力が小さくなり、小さくて安定した力でドアを動かせる状態になってから、第2流路の開口が開き始めて、液体の流動抵抗が小さくなるので、ドア開閉時の操作性がよい。このとき、弁体の移動速度は速くならないので、穴部より下流側へ移動する液体に大きな圧力変動が生じず、大きな作動音が発生しない。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、前記弁体が前記穴部より離れ、前記第1流路が全開となった後から第2流路が開き始め、前記弁体が前記ストッパ部によってそれ以上の下流への移動が禁止された状態では、第2流路の開口は全開状態となっていることにより、液体の流動抵抗が小さくなり、ドア開閉操作力が小さくなり、ドア開閉時の操作性が向上する。このとき、弁体の移動速度は速くならないので、穴部より下流側へ移動する液体に大きな圧力変動が生じず、大きな作動音が発生しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
最初に、図5、図6を用いて、本形態例のドアチェック装置の車両への取り付け構造を説明する。図5に示すように、ドア300は、アッパヒンジ301とロアヒンジ303を用いて、ボデー305に回転可能に取り付けられている。そして、ドアチェック装置351が、アッパヒンジ301側に設けられる。
【0019】
図6に示すように、アッパヒンジ301は、基端部側がボデー305側に取り付けられるヒンジフィメール311と、基端部側がドア300側に取り付けられるヒンジメール313と、ヒンジフィメール311の先端部側に設けられたヒンジピン穴311aに嵌合固着され、ヒンジメール313の先端部側に設けられたヒンジピン穴313aに遊嵌されて、ヒンジメール313に対して相対的にヒンジフィメール311と一体となって回転するヒンジピン315とからなっている。そして、ドア300側でヒンジメール313の下部にドアチェック装置351が取り付けられ、このドアチェック装置351のシャフト5はヒンジピン315と結合され、ヒンジピン315とシャフト5とが一体に回転するようになっている。
【0020】
次に、図7、図8を用いて、ドアチェック装置351の概略構成を説明する。図7はドアチェック装置351の分解斜視図、図8は図7に示すドアチェック装置を組み立てた時の切断線A−Aでの断面図である。
【0021】
これらの図に示すように、ドアチェック装置351は、 ケース3とベース51とシャフト5とからなっている。
ケース3は、繊維強化プラスチックの成形品で、開放面1aを有した有底筒状のケース本体1と、ケース本体1の開放面1aを覆う蓋11とからなっている。尚、本形態例では、ケース本体1と蓋11との間に図示しないシールリングを配置し、ケース本体1と蓋11間の密封を行うようにした。
【0022】
ケース本体1の内部底面には、シャフト5の一方の端部側が嵌合し、シャフト5を回転可能に支持する凹部が形成されている。このケース本体1内には、粘性流体(例えば、オイル)が充填されている。ケース本体1内のシャフト5の周面には、フラップ9が取り付けられている。このフラップ9により、ケース本体1内は、第1室2と第2室3とに分けられる。
【0023】
ケース本体1の開放面1aを覆うように蓋11が設けられる。蓋11も、繊維強化プラスチックの成形品で、略中央部には、凸部11aが形成され、この凸部11aには、シャフト5の他方の端部側が挿通し、シャフト5を回転可能に支持する穴13が設けられている。シャフト5の他方の端部側は、蓋11の穴13を介してケース3の外部まで突出し、前述したヒンジピン315に結合される。
【0024】
ベース51は、ケース3が挿入されるくぼみ部51aと、くぼみ部51aの周りに形成され、車体側に当接可能な張り出し部51bとを有する金属の深絞り加工品である。
シャフト5が突出する方向を上と規定すると、ベース51の張り出し部51bのうち、上部及び下部には、ボルトが挿通可能な穴59が形成され、車体側に当接する取付部61となっている。
【0025】
次に、図9を用いて、フラップ9の説明を行なう。図9はフラップ9の分解斜視図である。
フラップ9には、一方の開口4a(図1参照)が第1室2に、他方の開口4bが第2室3に臨む第1管路4と、一方の開口5aが第2室3に、図示しない他方の開口が第1室2に臨む第2管路5が設けられている。本形態例では、第1管路4、第2管路5において、一方の開口4a、5aの開口面積は、他方の開口4bの開口面積より狭く設定されている。
【0026】
第1管路4には、第1室2から第2室3への液体の流れを許容し、第2室3から第1室2への液体の流れを阻止する第1一方向バルブ7が設けられている。また、第2管路5には、第2室3から第1室2への液体の流れを許容し、第1室2から第2室3への液体の流れを阻止する第2一方向バルブ(図示せず)が設けられている。
【0027】
次に、図1、図9、図10を用いて、一方向バルブの説明を行なう。尚、本形態例の第1一方向バルブ7と第2一方向バルブとは同一構成であるので、第1一方向バルブで説明し、第2一方向バルブの説明は省略する。図1は第1一方向バルブ7を説明する構成図、図10は蓋に形成された突部を説明する図である。
【0028】
第1管路4には、内部に液が流れる角筒状の管路71が設けられる。この管路71の対向関係にある2組の側部のうち1組の側部は、溝71aが形成されている。更に、管路71の溝71aが形成された側部の管路71の第1管路4の開口4a側には、溝71aと管路71の内部とを連絡する穴71bが形成されている。
【0029】
管路71の内部には、管路71内を進退移動する弁体72が設けられている。弁体72は、開口4aと対向する一方の側が底部72b、他方の側が開放面となった有底筒状であり、その底部72bには、開口4a内に進入可能な突部72aが形成されている。また、弁体72の底部72bには、開口4aの周縁部と対向する穴72cが形成されている。
【0030】
弁体72の上流側には、弁体72に塞がれることによって閉状態となる穴部が設けられる。本形態例では開口4aが穴部となっている。
弁体72の突部72aの基部には、環状のシールリング76が設けられている。このシールリング76は、弁体72の突部72aが開口4a内に進入し、弁体72が開口4aを塞いだ際に、開口4aの縁部に当接し、弁体72のシール性を高めるものである。
【0031】
弁体72の下流には、管路71の開放面を塞ぐように、蓋73が設けられる。この蓋73には、蓋73の外部と管路71の内部とを連絡する穴73fが形成されている。尚、本形態例では、穴73fの断面積は、開口4aの断面積より小さく設定されている。
【0032】
このような構成により、本形態例では、開口4a側の液体を第1一方向バルブ7の下流へ案内する2つの流路が構成される。第1流路FRは、弁体72の穴72cを介して管路71の内部を通り、蓋73の穴73fを介して第1一方向バルブ7の下流に至る流路である。第2流路SRは、管路71の穴71bを介して、管路71の外部に設けられた溝71aを通り、第1一方向バルブ7の下流に至る流路である。
【0033】
また、第1一方向バルブ7には、弁体72が開口(穴部)4aに近づくに従って、開口(穴部)4aを塞ぐ力が大きくなるように弁体72を付勢する付勢手段が設けられる。本形態例の付勢手段は、弁体72と蓋73との間に設けられた板ばね75と、蓋73の弁体72と対向する面上に連続的に形成され、傾斜角が異なる第1面73c、第2面73dを有する突部73bとからなっている。板ばね75は、逆U字形をなし、一方の端部側は、弁体72の底部72bの突部72aが設けられた面と反対側の面に当接し、他方の端部側は突部73bを挟み、常に、第1面73c、第2面73dのうち、どちらか一方の面を押圧し、弁体72に対し開口(穴部)4aを塞ぐ方向に常に付勢力をおよぼしている。また、突部73bの第1面73cの液体が流れる方向と直交する方向に対する傾斜は、第2面73dの傾斜より緩やかに形成されている。よって、板ばね75を介して弁体72に及ぼされる付勢力は、第2面73dのほうが第1面73cより小さくなっている。即ち、弁体72が開口(穴部)4aに近づくに従って、開口(穴部)4aを塞ぐ力が大きくなっている。
【0034】
尚、本形態例は、蓋73に第1面73c、第2面73dを有する突部73bを形成したが、弁体72に突部を形成し、板ばね75を突部と蓋73との間に配置してもよい。
また、図1に示すように、蓋73には、弁体72が当接し、弁体72の下流への移動を禁止するストッパ部73eが形成されている。
【0035】
ここで、上記構成のドアチェック装置の作動を説明する。シャフト5を回転させると、第1管路4、第2管路5に液体が流れる。第1室2から第2室3に向かって液体が流れる場合、第1管路4の第1一方向バルブ7の弁体72は、液体の圧力により開口(穴部)4aから離れる方向に押される。このとき、開口(穴部)4aを塞ぐ力が大きいので、ドアを動かすのに大きな力(ピークトルク)を必要とする。また、第2管路5の第2一方向バルブの弁体は、液体の圧力により穴部を塞ぐ方向に押される。そして、付勢手段の付勢力に抗して、第1一方向バルブ7の弁体72が開口(穴部)4aから離れる方向に移動すると、板ばね75が第1面73cから第2面73dに移行して付勢手段の付勢力の開口(穴部)4aを塞ぐ力が小さくなるので、小さくて安定した力(定常トルク)でドアを動かせる。
【0036】
そして、シャフト5の回転を停止すると、付勢手段の付勢力により、第1一方向バルブ7の弁体72は速やかに穴部を塞ぐ。
一方、第2室3から第1室2に向かって液体が流れる場合、第2管路5の第2一方向バルブ8の弁体は、液体の圧力により穴部から離れる方向に押される。また、第1管路4の第1一方向バルブ7の弁体72は、液体の圧力により穴部を塞ぐ方向に押される。そして、付勢手段の付勢力に抗して、第2一方向バルブ8の弁体が穴部から離れる方向に移動すると、板ばねが第1面から第2面に移行して付勢手段の付勢力が小さくなる。
【0037】
そして、シャフト5の回転が停止すると、付勢手段の付勢力により、第2一方向バルブ8の弁体は速やかに穴部を塞ぐ。
ここで、図1−図4を用いて、一方向バルブ(第1一方向バルブ7)の作動を説明する。
【0038】
(1) 図1に示すように、弁体72が開口(穴部)4aを塞いでいるときは、第1流路FR、第2流路SRは、閉状態である。
(2) 図2に示すように、弁体72が液体の圧力により開口(穴部)4aから離れる方向に押されると、弁体72が開口(穴部)4aより若干離れる。このとき、板ばね75はまだ突部73bの第1面73cを押圧している。
【0039】
このような状態おいて、第1流路FRは全開状態となるが、弁体72が管路71の穴71bを塞いでいるので、第2流路SRは閉じた状態にある。
(3) 図3に示すように、弁体72が液体の圧力により更に押され、板ばね75が突部73bの第2面73dに移行すると、弁体72により塞がれていた管路71の穴71bが開き始め、第2流路SRが開き始める。
【0040】
(4) 図4に示すように、弁体72が蓋73のストッパ部73eに当接し、弁体72のそれ以上の下流への移動が禁止されると、管路71の穴71bが全開となり、第2流路SRも全開となる。
【0041】
このような構成の一方向バルブによれば、下記のような効果が得られる。
(1) 第1流路FRの流動抵抗は、穴73fの断面積が、穴(開口)4aの断面積より小さく設定されていることにより、開口(穴部)4aの流動抵抗より大きくなっている。
【0042】
図1に示すように、弁体72が開口(穴部)4aを塞ぐ状態から弁体72が開口(穴部)4aより離れると、第2流路SRは開かず、先ず、流動抵抗が開口(穴部)4aの流動抵抗より大きく設定された第1流路FRだけが開くので、弁体72が開口(穴部)4aより離れるスピードが遅くなり、開口(穴部)4aより下流側へ移動する液体に急激な大きな圧力変動が生じず、大きな作動音が発生しない。
【0043】
そして、弁体72が開口(穴部)4aより離れ、第1流路FRが全開となった後から第2流路SRが開き始めるので、液体の流動抵抗が小さくなり、ドア開閉操作力が小さくなり、ドア開閉時の操作性が向上する。
【0044】
(2) 第2流路SRの開口(管路71の穴71b)は、板ばね75が第1面73cを押圧している状態は、閉状態にあり、板ばね75が第1面73cから第2面73dに移行すると、開き始め、弁体72がストッパ部73eによってそれ以上の下流への移動が禁止されると、全開状態となる。即ち、板ばね75が第1面73cから第2面73dに移行して、弁体72の開口(穴部)4aを塞ぐ力が小さくなり、小さくて安定した力でドアを動かせる状態になってから、第2流路SRの開口(管路71の穴71b)が開き始めて、液体の流動抵抗が小さくなるので、ドア開閉時の操作性がよい。
【0045】
なお、本発明は、上記形態例に限定するものではない。上記形態例では、蓋73に、弁体72が当接し、弁体72の下流への移動を禁止するストッパ部73e形成したが、板ばねが75が蓋73の内壁面に当接することで、弁体72の下流への移動を禁止するようにしても良い。
【0046】
更に、上記形態例では、弁体72がストッパ部73eに当接した際に、管路71の穴71bが全開となり、第2流路SRも全開となるようにしたが、管路71の穴71bが中間開状態となり、第2流路SRも中間開状態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1一方向バルブを説明する構成図である。
【図2】図1の第1一方向バルブの作動を説明する図である。
【図3】図1の第1一方向バルブの作動を説明する図である。
【図4】図1の第1一方向バルブの作動を説明する図である。
【図5】ドアチェック装置が設けられたドア周りの分解斜視図である。
【図6】図5のアッパヒンジ部分を拡大した図である。
【図7】ドアチェック装置の分解斜視図である。
【図8】図7に示すドアチェック装置を組み立てた時の切断線A−Aでの断面図である。
【図9】図7のフラップの分解斜視図である。
【図10】蓋に形成された突部を説明する図である。
【符号の説明】
【0048】
4a 開口(穴部)
7 一方向バルブ
72 弁体
FR 第1流路
SR 第2流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が充填されるケースと、
該ケース内に配置され、前記ケースに回転可能に支持されたシャフトと、
該シャフトの周面に設けられ、前記ケース内を第1室、第2室に分けるフラップと、
一方の開口が前記第1室に、他方の開口が前記第2室に臨むように、それぞれ設けられた第1管路、第2管路と、
前記第1管路内に設けられる第1一方向バルブであって、前記第1室から前記第2室への液体の流れを許容し、前記第2室から前記第1室への液体の流れを阻止する第1一方向バルブと、
前記第2管路内に設けられる第2一方向バルブであって、前記第2室から前記第1室への液体の流れを許容し、前記第1室から前記第2室への液体の流れを阻止する第2一方向バルブと、
からなるドアチェック装置において、
前記第1一方向バルブ、前記第2一方向バルブは、それぞれ
液体が流れる管路と、
該管路内を進退移動する弁体と、
前記弁体より上流側の前記管路に設けられ、前記弁体に塞がれることによって閉状態となる穴部と、
前記弁体が前記穴部に近づくに従って、前記穴部を塞ぐ力が大きくなるように前記弁体を付勢する付勢手段と、
液体を前記穴部から前記バルブの下流へ案内する第1流路、第2流路とを備え、
前記第1流路は、
流動抵抗が前記穴部の流動抵抗より大きく設定され、
前記弁体が前記穴部を塞いでいるときは、閉状態であり、
前記弁体が前記穴部より離れると、全開状態となり、
前記第2流路は、
前記弁体が前記穴部を塞いでいるときは、閉状態であり、
前記弁体が前記穴部より離れ、前記第1流路が全開となった後から開き始めるように構成したことを特徴とするドアチェック装置。
【請求項2】
前記第2流路は、
前記穴部より下流側の前記管路の壁面に開口を有し、前記管路の外部に設けられた流路であり、
前記付勢手段は、
前記管路側、前記弁体側のうちのいずれか一方の側に設けられるばねと、
前記管路側、前記弁体側のうちのいずれか他方の側に設けられ、前記ばねが前記弁体の移動方向に対して交差する方向から常に押圧し、前記弁体に対し前記穴部を塞ぐ方向に常に付勢力をおよぼす面であって、該面は、第1面と、該第1面と連続的に形成され、前記弁体に及ぼす付勢力が前記第1面よりも小さくなるように設定された第2面とからなり、 前記第2流路の開口は、
前記ばねが前記第1面を押圧している状態では、閉状態にあり、
前記ばねが第1面から前記第2面に移行すると、開き始めることを特徴とする請求項1記載のドアチェック装置。
【請求項3】
前記弁体の下流への移動を禁止するストッパ部を設け、
前記弁体が前記ストッパ部によってそれ以上の下流への移動が禁止された状態では、前記第2流路の開口は全開状態となっていることを特徴とする請求項1または2記載のドアチェック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−137734(P2010−137734A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316412(P2008−316412)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(590001164)シロキ工業株式会社 (610)
【出願人】(000103644)オイレス工業株式会社 (384)
【Fターム(参考)】