説明

ドアロックシステム

【課題】無線通信機に対応する車輌の特定を困難とし、ドアのロック/アンロック状態を他人に知らせることなく、車輌のユーザへは確実にドアのロック/アンロック状態を知らせることができ、信頼性の高いアンサーバックを行うことができるドアロックシステムを提供する。
【解決手段】無線通信器5がユーザの操作に応じて指示を送信し、この指示に応じてドアロック制御装置10がドアのロック機構91〜95を駆動してロック/アンロックを行うと共に、動作完了の通知を無線通信器5へ送信し、この通知に応じて無線通信器5がランプを点滅して報知を行う。ドアロック制御装置10は、無線通信器5からの指示に応じた動作命令を駆動制御手段が出力し、動作命令を受け付けた駆動手段がロック機構91〜95へ駆動信号を出力した後にアンサーバック制御手段へ駆動完了を通知し、この通知を受け付けたアンサーバック制御手段が無線通信器5へ完了通知を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型の無線通信器を所持したユーザが、無線通信器の操作部に対する操作を行うことによって、車輌のドアのロック/アンロック(施錠/解錠)を行うことができるドアロックシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車輌のキーに一体的に設けられた無線通信器又はキーホルダ型の無線通信器等のような可搬型の無線通信器をユーザが所持し、車輌周辺にてユーザが無線通信器の操作部に対する所定の操作を行うことによって、車輌のドアをロック/アンロックすることができるドアロックシステムが広く普及している。このドアロックシステムでは、一般的に、無線通信器の操作部に対する操作に応じて、車輌の全てのドアのロック/アンロックが行われる場合が多い。
【0003】
またドアロックシステムでは、車輌のドアのロック/アンロックの状態をユーザが確認し難いことから、ユーザの操作に対してドアのロック/アンロックの状態を報知する機能、いわゆるアンサーバック機能が設けられることが多い。アンサーバック機能では、車輌のヘッドランプ又はホーン等を動作させることで報知が行われ、例えば車輌のドアをロックした場合にヘッドランプ又はホーン等を1回動作させ、車輌のドアをアンロックした場合にヘッドランプ又はホーン等を2回動作させることにより、ユーザに対してドアのロック状態を報知することができる。
【0004】
しかし、上記のようなアンサーバック機能では車輌のヘッドランプ又はホーン等を動作させるため、車輌のドアのロック/アンロック状態を、ユーザ以外の他人が容易に知ることができるという問題がある。このため、ドアのアンロック後にユーザが車輌に乗車する前に、悪意を有する他人が車輌内へ侵入する虞がある。またこのようなアンサーバック機能では、万が一、ユーザが無線通信器を遺失し、他人がこれを拾得した場合、その無線通信器に対応する車輌を他人が容易に特定できるため、車輌の盗難が容易となるという問題がある。
【0005】
特許文献1においては、車輌の複数のドアを同時に解錠する第1の解錠制御手段と、特定のドアのみを解錠する第2解錠制御手段とを設けると共に、これら2つの解錠制御手段がリモートコントローラの操作に応じて選択的に作動操作される構成とすることにより、盗難等による被害をより確実に抑制でき、安全性を確保することができる車輌用ドアの施錠装置が提案されている。また特許文献1には、第1の解錠制御手段による解錠が選択された場合にアンサーバックを行い、第2の解錠制御手段による解錠が選択された場合にアンサーバックを禁止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−115653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら特許文献1に記載の車輌用ドアの施錠装置は、第2の解錠制御手段によるドアの解錠を行うことによってアンサーバックが禁止されるため、ユーザは車輌から離れた場所でドアのロック/アンロックの状態を知ることができず、ドアロックシステムの利便性が低下するという問題がある。
【0008】
また、特許文献1に記載の車輌用ドアの施錠装置は、リモートコントローラから送信される操作信号の受信に応じてアンサーバックを行う構成である。操作信号受信の有無に応じてのみアンサーバックが行われるため、受信した操作信号に応じたドアのロック/アンロックの制御が正常に行われずに失敗した場合であってもアンサーバックは行われるという問題があり、アンサーバック機能に対する信頼性が低いという問題がある。
【0009】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、無線通信機に対応する車輌の特定を困難とし、更に、ドアのロック/アンロック状態を他人に知らせることなく、車輌のユーザへは確実にドアのロック/アンロック状態を知らせることができると共に、信頼性の高いアンサーバックを行うことができるドアロックシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るドアロックシステムは、車輌のドアのロック/アンロックに係る操作を受け付ける操作部、及び該操作部に対する操作に応じてロック/アンロックに係る指示を送信する無線通信手段を有する可搬型の無線通信器と、前記車輌に搭載され、該車輌のドアのロック機構を駆動する駆動手段、前記無線通信器との間で無線通信を行う無線通信手段、及び該無線通信手段にて受信した指示に応じた動作命令を出力して前記駆動手段の動作を制御する制御手段を有するドアロック制御装置とを備えるドアロックシステムにおいて、前記ドアロック制御装置は、前記駆動手段が、前記制御手段からの動作命令を受け付け、該動作命令に応じて前記ロック機構を駆動する駆動信号を出力した後、前記ロック機構の駆動完了通知を出力するようにしてあり、前記駆動手段からの駆動完了通知を受け付けた場合に、前記無線通信手段により前記無線通信器へロック/アンロックの動作完了を通知する通知手段を有し、前記無線通信器は、前記ドアロック制御装置からの動作完了の通知を受信した場合に報知を行う報知手段を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るドアロックシステムは、前記無線通信器の前記操作部が、第1のアンロック指示に係る操作及び該第1のアンロック指示とは異なる第2のアンロック指示に係る操作を選択的に受付可能にしてあり、前記ドアロック制御装置は、前記無線通信器からの前記第1のアンロック指示を受信した場合に、前記車輌の複数のドアのアンロックを行うべく動作命令を出力して前記駆動手段を制御する第1アンロック制御手段と、前記無線通信器からの前記第2のアンロック指示を受信した場合に、前記車輌の特定のドアのアンロックを行うべく動作命令を出力して前記駆動手段を制御する第2アンロック制御手段とを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るドアロックシステムは、前記ドアロック制御装置の前記通知手段が、前記第1のアンロック指示に係る動作完了と、前記第2のアンロック指示に係る動作完了とを区別して通知を行うようにしてあり、前記無線通信器の前記報知手段は、前記通知手段からの通知に応じて、異なる報知を行うようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、車輌に搭載されたドアロック制御装置は、可搬型の無線通信器からのロック/アンロックの指示に応じた動作命令を制御手段が出力し、動作命令を受け付けた駆動手段がドアのロック機構へ駆動信号を出力することによりドアのロック/アンロックを行う。駆動手段は、ロック機構への駆動信号を出力した後にロック機構の駆動完了通知を出力し、駆動完了通知を受け付けた通知手段が無線通信器へ動作完了を通知する。無線通信器は、ドアロック制御装置からの通知を受信した場合に、ランプの点灯又は液晶パネルへのメッセージ表示等による報知を行う。
ロック機構の駆動後の通知に応じて報知を行う構成であるため、無線通信機からの指示に応じたロック機構の駆動が正常に行われずに失敗した場合には、ドアロック制御装置から無線通信器への通知が行われず、無線通信器による報知が行われない。よって、ドアロックシステムのアンサーバック機能の信頼性を向上することができる。
またドアのロック/アンロックに対するアンサーバックは、車輌のランプ又はホーン等を動作させるのではなく、無線通信器に設けられたランプ又は液晶パネル等の報知手段により行う構成であるため、無線通信器に対応する車輌を他人に特定されることを防止し、更に、無線通信器を所持するユーザ以外の他人に、車輌のロック/アンロックの状態を知られることを防止できる。
【0014】
また、本発明においては、可搬型の無線通信器がユーザから2種のアンロック指示(第1のアンロック指示及び第2のアンロック指示)に係る操作を操作部にて選択的に受け付け、受け付けた指示を車輌のドアロック制御装置へ無線送信する。ドアロック装置は、無線通信機から第1のアンロック指示を受信した場合、車輌の複数(例えば全て)のドアのアンロックを行うべく、ドアのロック機構を駆動させる。またドアロック装置は、無線通信機から第2のアンロック指示を受信した場合、車輌の特定のドア(例えば運転席のドア)のアンロックを行うべく、ドアのロック機構を駆動させる。これによりユーザは、車輌の使用状況又は車輌周囲の状況等に応じて、選択的にドアのアンロック操作を行うことができ、悪意を有する他人が車輌内へ侵入することを防止できる。
【0015】
また、本発明においては、無線通信器へドアロック制御装置が通知を行う場合に、無線通信器からの第1のアンロック指示に応じた動作完了と、第2のアンロック指示に応じた動作完了とを区別する。これにより無線通信器は、ドアロック制御装置からの通知を受信した場合に、いずれのアンロック指示に応じた駆動が行われたかを判断することができる。
無線通信器は、受信した通知に応じて異なる報知を行う。例えば無線通信器は、第1のアンロック指示に対応するランプと第2のアンロック指示に対応するランプとを個別に有し、受信した通知に応じていずれかのランプを点灯させることで報知を行ってもよい。また例えば無線通信器は、報知用のランプを1つ有し、第1のアンロック指示に応じた通知を受信した場合にランプを点灯し、第2のアンロック指示に応じた通知を受信した場合にランプを点滅することで報知を行ってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明による場合は、無線通信器からの指示に応じてドアロック制御装置がドアのロック機構を駆動した後に、動作完了を無線通信器へ通知し、この通知を受信した無線通信器が報知を行う構成とすることにより、信頼性の高いアンサーバックを行うことができると共に、無線通信器と車輌の対応とを他人に特定させず、無線通信器を所持した正規のユーザ(自身の車輌を知っている者)のみがドアのロック/アンロック状態を確実に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るドアロックシステムの構成を示す模式図である。
【図2】無線通信器の構成を示すブロック図である。
【図3】ドアロック制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】無線通信器が行う処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】ドアロック制御装置が行う処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明に係るドアロックシステムの構成を示す模式図である。ドアロックシステムは、車輌1に搭載されたドアロック制御装置10と、可搬型の無線通信器5とを備えて構成されている。車輌1には左右の4つのドア及び後部のトランクのドアにそれぞれロック機構91〜95が設けられており、ドアロック制御装置10が各ロック機構91〜95を駆動することによって、車輌1の各ドアのロック/アンロックが行われる。ドアロック制御装置10は、車輌の各ドアに設けられたスイッチ(図示は省略する)に対する操作がなされた場合にロック機構91〜95を駆動してドアのロック/アンロックを行うと共に、ユーザが所持する無線通信器5から無線通信により与えられる指示に応じてドアのロック/アンロックを行う。
【0019】
無線通信器5は、車輌1のエンジン始動などに用いられるキーと一体的に設けられるものであり、車輌1に搭載されたドアロック制御装置10との間で無線通信を行う機能を有している。無線通信器5には、ロック操作部51、第1アンロック操作部52及び第2アンロック操作部53(図1においては”アンロック1”及び”アンロック2”と記す)の3つの操作部と、ロックランプ56、第1アンロックランプ57及び第2アンロックランプ58の3つのランプとが設けられている。無線通信器5は、いずれかの操作部に対する操作がなされた場合に、車輌1に搭載されたドアロック制御装置10へ無線による指示を送信し、またドアロック制御装置10から送信される通知を受信した場合に、いずれかのランプを点滅させてユーザへの報知を行う。
【0020】
図2は、無線通信器5の構成を示すブロック図である。無線通信器5は、上述のロック操作部51、第1アンロック操作部52及び第2アンロック操作部53を有する操作部50と、ロックランプ56、第1アンロックランプ57及び第2アンロックランプ58を有する報知部55と、制御部60、記憶部61及び無線通信部62とを備えて構成されている。制御部60は、無線通信器5内の各部の制御処理及び各種の演算処理等を行うものである。
【0021】
記憶部61は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)又はフラッシュメモリ等のデータ書き換え可能な不揮発性のメモリ素子で構成されている。記憶部61には、無線通信器5がドアロック装置10との間で無線通信を行う際に必要な情報、例えば無線通信器5に固有の識別情報又は認証処理に用いられる認証情報等の情報が予め記憶されている。
【0022】
無線通信部62は、制御部60の制御に応じてドアロック制御装置10との間で無線通信を行うものであり、ドアロック制御装置10への無線信号を送信する無線送信部63及びドアロック制御装置からの無線信号を受信する無線受信部64を有している。例えば、無線送信部63は、制御部60から与えられた送信データをUHF(Ultra High Frequency)帯の無線信号に変換して送信する構成とし、無線受信部64は、LF(Low Frequency) 帯の無線信号を受信して受信データに変換し、制御部60へ与える構成とすることができる。ただし、無線送信部63及び無線受信部64が共に同じ周波数帯の無線信号を利用して送受信を行う構成であってもよい。
【0023】
操作部50のロック操作部51、第1アンロック操作部52及び第2アンロック操作部53は、例えばプッシュ操作を受け付けるスイッチなどでそれぞれ構成されており、プッシュ操作に応じたスイッチのオン/オフに応じた信号が操作部50から制御部60へ与えられる。制御部60は、操作部50からの信号を基にいずれのスイッチが操作されたかを判定し、操作されたスイッチに応じて無線通信部62へ指示を与えることによって、ドアロック制御装置10への無線による指示を与えることができる。
【0024】
無線通信器5は、ロック操作部51に対する操作がなされた場合にロック指示をドアロック制御装置10へ無線送信し、第1アンロック操作部52に対する操作がなされた場合に第1アンロック指示をドアロック制御装置10へ無線送信し、第2アンロック操作部53に対する操作がなされた場合に第2アンロック指示をドアロック制御装置10へ無線送信する。
【0025】
報知部55のロックランプ56、第1アンロックランプ57及び第2アンロックランプ58は、例えばLED(Light Emitting Diode)などを用いて構成されるものであり、制御部60により点灯/消灯の制御がそれぞれ行われる。また制御部60は、報知部55のランプの点灯/消灯を周期的に繰り返すことによって、ランプを点滅させることができる。制御部60は、無線通信部62の無線受信部64にてドアロック制御装置10から送信される通知を受信した場合に、受信した通知に応じて報知部55の各ランプを点灯又は点滅させることによって、無線通信器5を所持するユーザに対する報知を行うことができる。
【0026】
無線通信器5は、ドアロック制御装置10からロック完了通知を受信した場合にロックランプ56を点滅させ、第1アンロック完了通知を受信した場合に第1アンロックランプ57を点滅させ、第2アンロック完了通知を受信した場合に第2アンロックランプ58を点滅させることにより、ロック/アンロック完了の報知を行う。なおドアロック制御装置10が送信するロック完了通知、第1アンロック完了通知及び第2アンロック完了通知については後述する。
【0027】
図3は、ドアロック制御装置10の構成を示すブロック図である。ドアロック制御装置10は、制御部11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、無線通信部14、操作部17及びドア開閉検出部18等を備えて構成されている。ドアロック制御装置10の制御部11は、具体的にはCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等の演算処理装置であり、ROM12に予め記憶された制御プログラム(図示は省略する)を読み出して実行することにより、ドアロック装置10内の各部の動作を制御して、車輌1のドアのロック/アンロックに係る制御処理を行う。
【0028】
ROM12は、例えばEEPROM又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子で構成されており、制御部11が実行する制御プログラム、及び無線通信器5との間で無線通信を行う際に必要な認証情報などの種々のデータが予め記憶されているRAM13は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)又はDRAM(Dynamic Random Access Memory)等のメモリ素子で構成されており、制御部11が処理を行う過程で生じたデータなどを一時的に記憶する。
【0029】
無線通信部14は、制御部11の制御に応じて無線通信器5との間で無線通信を行うものであり、無線通信器5への無線信号を送信する無線送信部15及び無線通信器5からの無線信号を受信する無線受信部16を有している。例えば、無線送信部15は、制御部11から与えられたデータをLF帯の無線信号に変換して送信する構成とし、無線受信部16は、UHF帯の無線信号を受信して受信データに変換し、制御部11へ与える構成とすることができる。ただし、無線送信部15及び無線受信部16が共に同じ周波数帯の無線信号を利用して送受信を行う構成であってもよい。なお、無線通信器5とドアロック制御装置10との間で無線通信を行う際に、実際には送受信する情報の暗号化処理及び正当な権限を有する機器からの通信であるかを判断する認証処理等を行う必要があるが、本実施の形態においてはこれらの処理についての説明を省略する。
【0030】
操作部17は、車輌1の各ドアに設けられたスイッチなどに対する操作を受け付けるものであり、ユーザによるドアのロック/アンロックに係る操作を受け付けることができる。制御部11は、操作部17にて受け付けた操作内容が通知され、通知された操作内容に応じてロック機構91〜95の駆動を行う。
【0031】
ドア開閉検出部18は、車輌1の各ドアに設けられたスイッチ又はセンサ等により、各ドアの開閉状態を検出して制御部11へ通知する。制御部11は、ドア開閉検出部18から通知された検出結果に応じて、例えば開状態のドアに対するロック操作を無効化するなどの制御を行うことができる。
【0032】
また制御部11には、駆動制御手段20、駆動手段25及びアンサーバック制御手段26等が設けられている。これら各手段は、ソフトウェア又はハードウェアのいずれで実現されるものであってもよい。制御部11の駆動制御手段20は、無線通信部14にて受信したデータ、操作部17にて受け付けた操作内容、及びドア開閉検出部18による検出結果等の情報が入力されており、これらの情報に基づいていずれのロック機構91〜95を駆動するかを判定し、判定結果に応じたロック機構91〜95を駆動すべく動作命令を駆動手段25へ出力する。駆動制御手段20から駆動手段25へ与えられる動作命令には、いずれのロック機構91〜95を駆動するかについての情報と、対象のロック機構91〜95にロック又はアンロックのいずれを行わせるかについての情報とが含まれる。
【0033】
例えば駆動制御手段20は、操作部17からの情報に基づいて、車輌1のいずれのドアに設けられたスイッチが操作されたか、及び、ロック又はアンロックのいずれの操作がなされたかを判定し、操作対象のスイッチに対応するドアのロック機構91〜95にロック又はアンロックの動作を行わせるべく動作命令を駆動手段25へ出力する。
【0034】
また駆動制御手段20は、無線通信器5から送信されるロック指示、第1アンロック指示及び第2アンロック指示を無線通信部14にて受信した場合に、受信した指示に応じて駆動手段25へ動作命令を出力する。無線通信器5からのロック指示を受信した場合、駆動制御手段20の一括ロック手段21は、全てのロック機構91〜95にロック動作を行わせるべく動作命令を駆動手段25へ出力する。無線通信器5からの第1アンロック指示を受信した場合、駆動制御手段20の第1アンロック手段22は、全てのロック機構91〜95にアンロック動作を行わせるべく動作命令を駆動手段25へ出力する。また無線通信器5からの第2アンロック指示を受信した場合、駆動制御手段20の第2アンロック手段23は、特定のロック機構91〜95(例えば運転席のドアのロック機構91)にアンロック動作を行わせるべく動作命令を駆動手段25へ出力する。
【0035】
制御部11の駆動手段25は、駆動制御手段20から与えられる動作命令に応じて、ロック機構91〜95へ駆動信号を出力することにより、車輌1のドアのロック/アンロックを行う。駆動手段25は、各ロック機構91〜95へ個別に駆動信号を出力する構成であり、車輌1の各ドアのロック/アンロックを個別に行うことができる。また駆動手段25が出力する駆動信号には、ロック又はアンロックのいずれを行うかが選択的に指定されており、各ロック機構91〜95は与えられた駆動信号に応じてロック又はアンロックのいずれかの動作を行う。
【0036】
ロック機構91〜95は、車輌1のドアのロック/アンロックを行うための機械機構、この機械機構を動作させるためのモータ又はアクチュエータ等の動力源、及びこの動力源を駆動する駆動回路等により構成され、ドアロック制御装置10がロック機構91〜95の駆動回路へ駆動信号を与えることにより車輌1のドアのロック/アンロックが実行される。
【0037】
また駆動手段25は、駆動制御手段20からの動作命令に応じてロック機構91〜95への駆動信号を出力した後に、駆動完了通知をアンサーバック制御手段26へ出力する。なおロック機構91〜95が、機械機構又は動力源の動作量などを示す信号を駆動手段25へフィードバックする構成の場合には、駆動手段25はフィードバック信号によりロック機構91〜95の動作完了を確認した後で、駆動完了通知を出力する構成としてもよい。
【0038】
アンサーバック制御手段26は、駆動手段25から駆動完了通知が与えられた場合、駆動手段25にて行われた駆動が、駆動制御手段20の一括ロック手段21、第1アンロック手段22、第2アンロック手段23又はこれら以外(操作部17に対する操作)のいずれに基づくものであったかを判定する。このときアンサーバック制御手段26は、例えば駆動制御手段20と情報を授受することによって上記の判定を行ってもよく、また例えば駆動手段25からの駆動完了通知に含まれる情報から判定を行ってもよい。
【0039】
アンサーバック制御手段26は、駆動手段25にて行われた駆動が、一括ロック手段21、第1アンロック手段22又は第2アンロック手段23のいずれかによって出力された動作命令に基づくものである(即ち、無線通信器5からのロック指示、第1アンロック指示又は第2アンロック指示に応じたロック/アンロックが行われた)と判定した場合、無線通信部14により無線通信器5へ動作完了の通知を送信する。このときアンサーバック制御手段26は、いずれの手段に基づく動作完了の通知であるかが区別可能となるように、無線通信器5への通知を行う。即ちアンサーバック制御手段26は、一括ロック手段21の動作命令に基づく駆動が行われたと判定した場合には、無線通信器5へロック完了通知を送信し、第1アンロック手段22の動作命令に基づく駆動が行われたと判定した場合には、無線通信器5へ第1アンロック完了通知を送信し、第2アンロック手段23の動作命令に基づく駆動が行われたと判定した場合には、無線通信器5へ第2アンロック完了通知を送信する。
【0040】
アンサーバック制御手段26によってドアロック制御装置10から無線送信されたロック完了通知、第1アンロック完了通知又は第2アンロック完了通知は、ロック指示、第1アンロック指示又は第2アンロック指示を送信した無線通信器5にて受信される。上述のように無線通信器5は、受信した通知に応じてロックランプ56、第1アンロックランプ57又は第2アンロックランプ58を点滅させることにより報知を行うことができる。
【0041】
図4は、無線通信器5が行う処理の手順を示すフローチャートである。無線通信器5の制御部60は、まず、操作部50のロック操作部51をユーザが操作したか否かを判定し(ステップS1)、ロック操作部51が操作されていない場合(S1:NO)、第1アンロック操作部52をユーザが操作したか否かを更に判定する(ステップS2)。また制御部60は、第1アンロック操作部52が操作されていない場合(S2:NO)、第2アンロック操作部53をユーザが操作したか否かを更に判定する(ステップS3)。第2アンロック操作部53が操作されていない場合(S3:NO)、即ちロック操作部51、第1アンロック操作部52及び第2アンロック操作部53のいずれにも操作がなされていない場合には、制御部60はステップS7へ処理を進める。
【0042】
ロック操作部51をユーザが操作した場合(S1:YES)、制御部60は、無線通信部62にてロック指示をドアロック制御装置10へ送信する(ステップS4)。第1アンロック操作部52をユーザが操作した場合(S2:YES)、制御部60は、無線通信部62にて第1アンロック指示をドアロック制御装置10へ送信する(ステップS5)。また第2アンロック操作部53をユーザが操作した場合(S3:YES)、制御部60は、無線通信部62にて第2アンロック指示をドアロック制御装置10へ送信する(ステップS6)。ドアロック制御装置10への指示を送信した後、制御部60はステップS7へ処理を進める。
【0043】
次いで制御部60は、無線通信部62にてドアロック制御装置10からのロック完了通知を受信したか否かを判定し(ステップS7)、ロック完了通知を受信していない場合(S7:NO)、ドアロック制御装置10からの第1アンロック完了通知を受信したか否かを更に判定する(ステップS8)。また制御部60は、第1アンロック完了通知を受信していない場合(S8:NO)、ドアロック装置10からの第2アンロック完了通知を受信したか否かを更に判定する(ステップS9)。第2アンロック完了通知を受信していない場合(S9:NO)、即ちいずれの完了通知も受信していない場合には、制御部60は処理を終了する。
【0044】
無線通信部62にてロック完了通知を受信した場合(S7:YES)、制御部60は、報知部55のロックランプ56を点滅させて(ステップS10)、報知を行う。無線通信部62にて第1アンロック完了通知を受信した場合(S8:YES)、制御部60は、報知部55の第1アンロックランプ57を点滅させて(ステップS11)、報知を行う。また無線通信部62にて第2アンロック完了通知を受信した場合(S9:YES)、制御部60は、報知部55の第2アンロックランプ58を点滅させて(ステップS12)、報知を行う。ランプの点滅により報知を行った後、制御部60は処理を終了する。なお、無線通信器5の制御部60は、図4のフローチャートに示す処理を周期的に繰り返し行っている。
【0045】
図5は、ドアロック制御装置10が行う処理の手順を示すフローチャートである。なお図5においては、操作部17に対するユーザの操作を受け付けた場合にドアロック制御装置10が行う処理、及びドア開閉検出部18の検出結果に応じた処理については、図示を省略してある。ドアロック制御装置10の制御部11は、無線通信部14にて無線通信器5からのロック指示を受信したか否かを判定し(ステップS21)、ロック指示を受信していない場合(S21:NO)、無線通信器5からの第1アンロック指示を受信したか否かを更に判定する(ステップS22)。また制御部11は、第1アンロック指示を受信していない場合(S22:NO)、無線通信器5からの第2アンロック指示を受信したか否かを更に判定する(ステップS23)。第2アンロック指示を受信していない場合(S23:NO)、即ちいずれの指示も受信していない場合には、制御部11は処理を終了する。
【0046】
無線通信器5からのロック指示を受信した場合(S21:YES)、制御部11は、駆動制御手段20の一括ロック手段21にて全てのロック機構91〜95にロック動作を行わせるべく動作命令を出力し(ステップS24)、この動作命令に応じて駆動手段25が駆動信号を出力することにより、全てのロック機構91〜95をロック動作で駆動し(ステップS25)、車輌1の全てのドアのロックを行う。その後、制御部11は、駆動手段25からアンサーバック制御手段26へ駆動完了を通知し(ステップS26)、この通知に応じてアンサーバック制御手段26が無線通信部14にてロック完了通知を無線通信器5へ送信し(ステップS27)、処理を終了する。
【0047】
無線通信器5からの第1アンロック指示を受信した場合(S22:YES)、制御部11は、駆動制御手段20の第1アンロック手段22にて全てのロック機構91〜95にアンロック動作を行わせるべく動作命令を出力し(ステップS28)、この動作命令に応じて駆動手段25が駆動信号を出力することにより、全てのロック機構91〜95をアンロック動作で駆動し(ステップS29)、車輌1の全てのドアのアンロックを行う。その後、制御部11は、駆動手段25からアンサーバック制御手段26へ駆動完了を通知し(ステップS30)、この通知に応じてアンサーバック制御手段26が無線通信部14にて第1アンロック完了通知を無線通信器5へ送信し(ステップS31)、処理を終了する。
【0048】
また無線通信器5からの第2アンロック指示を受信した場合(S23:YES)、制御部11は、駆動制御手段20の第2アンロック手段23にて特定のロック機構91〜95にアンロック動作を行わせるべく動作命令を出力し(ステップS32)、この動作命令に応じて駆動手段25が駆動信号を出力することにより、特定のロック機構91〜95をアンロック動作で駆動し(ステップS33)、車輌1の特定のドアのアンロックを行う。その後、制御部11は、駆動手段25からアンサーバック制御手段26へ駆動完了を通知し(ステップS34)、この通知に応じてアンサーバック制御手段26が無線通信部14にて第2アンロック完了通知を無線通信器5へ送信し(ステップS35)、処理を終了する。なお、ドアロック制御装置10の制御部11は、図5のフローチャートに示す処理を周期的に繰り返し行っている。
【0049】
以上の構成のドアロックシステムにおいては、可搬型の無線通信器5がユーザの操作に応じて指示を送信し、車輌1に搭載されたドアロック制御装置10が、無線通信器5からの指示に応じてドアのロック機構91〜95を駆動してロック/アンロックを行うと共に、動作完了の通知を無線通信器5へ送信し、この通知に応じて無線通信器5が報知部55のランプを点滅して報知を行う構成とすることにより、無線通信器5に対応する車輌1を、ユーザ以外の他人に特定させることを防止でき、更に無線通信器5を所持するユーザ以外の他人に車輌1のドアのロック/アンロックの状態が知られることを防止できる。
【0050】
またドアロック制御装置10は、無線通信器5からの指示に応じた動作命令を駆動制御手段20が出力し、動作命令を受け付けた駆動手段25がロック機構91〜95へ駆動信号を出力した後にアンサーバック制御手段26へ駆動完了を通知し、この通知を受け付けたアンサーバック制御手段26が無線通信器5へ完了通知を送信する構成とすることにより、ロック機構91〜95の駆動が行われていないにもかかわらずアンサーバックが行われることがないため、アンサーバックの信頼性を向上することができる。
【0051】
また、無線通信器5が第1アンロック及び第2アンロックの2種のアンロック指示を操作部50にて受け付け可能とし、ドアロック制御装置10が第1アンロック指示に対して車輌1の全てのドアのアンロックを行い、第2のアンロック指示に対して特定のドアのみのアンロックを行う構成とすることにより、ユーザは車輌1の使用状況又は周辺状況等に応じて選択的にドアのアンロック操作を行うことができ、悪意を有する他人が車輌1内へ侵入することを防止できる。
【0052】
また、ドアロック制御装置10のアンサーバック制御手段26は、駆動手段25がロック指示に応じたロック機構91〜95の駆動を行った場合にはロック完了通知を無線通信器5へ送信し、第1アンロック指示に応じた駆動を行った場合には第1アンロック完了通知を送信し、第2アンロック指示に応じた駆動を行った場合には第2アンロック完了通知を送信する構成とすることにより、これらの通知を受信した無線通信器5は、各通知に応じたランプを点滅させて報知を行うことができる。即ち、ドアロック制御装置10が無線通信器5からの指示に応じて完了通知を区別して送信し、無線通信器5が完了通知に応じて異なる報知を行う構成とすることにより、無線通信器5を所持するユーザはドアロック制御装置10によっていずれの動作が行われたかを容易かつ確実に確認することができる。
【0053】
なお、本実施の形態においては、無線通信器5の報知部55でのみアンサーバックを行う構成としたが、これに限るものではなく、ロック指示及び第1アンロック指示に対するロック/アンロックの動作後には、車輌1のヘッドランプ又はホーン等を用いたアンサーバックを行う構成としてもよい。また、無線通信器5はランプの点滅により報知を行う構成としたが、これに限るものではなく、例えば無線通信器5に液晶表示部などを設けてメッセージ又はアイコン等の表示により報知を行う構成としてもよく、また例えば無線通信器5にブザー又はスピーカ等を設けて音声出力により報知を行う構成としてもよく、更に別の方法により報知を行う構成としてもよい。
【0054】
また、無線通信器5に第1アンロック操作及び第2アンロック操作を受け付ける操作部をそれぞれ個別に設ける構成としたが、これに限るものではなく、例えば共通の操作部を設けて、この操作部に対するユーザの操作方法の差異により第1アンロック操作又は第2アンロック操作を区別するなど、その他の構成であってもよい。また、無線通信器5及びドアロック制御装置10は、LF帯又はUHF帯等の電波を利用して無線通信を行う構成としたが、これに限るものではなく、赤外線などの光を利用するなどその他の方法で無線通信を行う構成としてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 車輌
5 無線通信器
10 ドアロック制御装置
11 制御部(制御手段)
14 無線通信部(無線通信手段)
20 駆動制御手段
21 一括ロック手段
22 第1アンロック手段(第1アンロック制御手段)
23 第2アンロック手段(第2アンロック制御手段)
25 駆動手段
26 アンサーバック制御手段(通知手段)
50 操作部
51 ロック操作部
52 第1アンロック操作部
53 第2アンロック操作部
55 報知部(報知手段)
56 ロックランプ
57 第1アンロックランプ
58 第2アンロックランプ
60 制御部
62 無線通信部(無線通信手段)
91〜95 ロック機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌のドアのロック/アンロックに係る操作を受け付ける操作部、及び該操作部に対する操作に応じてロック/アンロックに係る指示を送信する無線通信手段を有する可搬型の無線通信器と、前記車輌に搭載され、該車輌のドアのロック機構を駆動する駆動手段、前記無線通信器との間で無線通信を行う無線通信手段、及び該無線通信手段にて受信した指示に応じた動作命令を出力して前記駆動手段の動作を制御する制御手段を有するドアロック制御装置とを備えるドアロックシステムにおいて、
前記ドアロック制御装置は、
前記駆動手段が、前記制御手段からの動作命令を受け付け、該動作命令に応じて前記ロック機構を駆動する駆動信号を出力した後、前記ロック機構の駆動完了通知を出力するようにしてあり、
前記駆動手段からの駆動完了通知を受け付けた場合に、前記無線通信手段により前記無線通信器へロック/アンロックの動作完了を通知する通知手段を有し、
前記無線通信器は、
前記ドアロック制御装置からの動作完了の通知を受信した場合に報知を行う報知手段を有すること
を特徴とするドアロックシステム。
【請求項2】
前記無線通信器の前記操作部は、第1のアンロック指示に係る操作及び該第1のアンロック指示とは異なる第2のアンロック指示に係る操作を選択的に受付可能にしてあり、
前記ドアロック制御装置は、
前記無線通信器からの前記第1のアンロック指示を受信した場合に、前記車輌の複数のドアのアンロックを行うべく動作命令を出力して前記駆動手段を制御する第1アンロック制御手段と、
前記無線通信器からの前記第2のアンロック指示を受信した場合に、前記車輌の特定のドアのアンロックを行うべく動作命令を出力して前記駆動手段を制御する第2アンロック制御手段と
を有すること
を特徴とする請求項1に記載のドアロックシステム。
【請求項3】
前記ドアロック制御装置の前記通知手段は、前記第1のアンロック指示に係る動作完了と、前記第2のアンロック指示に係る動作完了とを区別して通知を行うようにしてあり、
前記無線通信器の前記報知手段は、前記通知手段からの通知に応じて、異なる報知を行うようにしてあること
を特徴とする請求項2に記載のドアロックシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−7443(P2012−7443A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146603(P2010−146603)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】