説明

ドア隙間閉塞器具

【課題】 簡単な構成で安価に製造することができ、かつ、閉塞効果の高いドア隙間閉塞器具を提供する。
【解決手段】 ヒンジを軸として開閉されるドアに用いられ、前記ドアを閉じたときにドアの隙間を閉塞させるドア隙間閉塞器具において、ドアの表裏に当接する一対の当接部材11,11と、前記一対の当接部材11,11を連結するとともに、前記隙間に挿入される連結部材12と、前記連結部材12を前記隙間に挿入したときに、前記一対の当接部材11,11を前記ドアの表裏に密着させる方向に付勢する付勢手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジを軸として開閉される開戸形のドアに用いられ、前記ドアを閉じたときにドアの隙間を閉塞させるドア隙間閉塞器具に関する。
【背景技術】
【0002】
開戸形のドアの隙間を閉塞して室内の暖気又は冷気が逃げないようにし、冷暖房効率を高めようとする装置や器具は、従来より種々のものが市販又は提案されている。
例えば特許文献1のドア用隙間風防装置は、ドアを開けた状態で防風部材がドア側に収容され、ドアを閉じた状態で前記防風部材がドア側から突出するように構成されている。
また、特許文献2には、ドアと床面との隙間が一定でなくとも、ドアを閉じたときにその隙間を確実に閉塞することができるドア用隙間開閉装置が開示されている。
上記特許文献1,2に記載の装置は、構成が複雑で価格も高くなるという問題がある。
【0003】
構成が簡素なものとしては、例えば特許文献3や特許文献4に記載の閉塞器具等を挙げることができるが、これらも、ドアにボルトやネジ等で取り付けたり、ドアを取り外して加工等する必要があることから、取り付けが面倒であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−152968号公報
【特許文献2】特開2007−16552号公報
【特許文献3】実開平6−24189号公報
【特許文献4】実開平6−35585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題を解決するためになされたもので、簡単な構成で安価に製造することができるうえ、ドアを取り外すことなく簡単に取り付けることができ、かつ、閉塞効果の高いドア隙間閉塞器具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ヒンジを軸として開閉されるドアに用いられ、前記ドアを閉じたときにドアの隙間を閉塞させるドア隙間閉塞器具において、ドアの表裏に当接する一対の当接部材と、前記一対の当接部材を連結するとともに、前記隙間に挿入される連結部材と、前記連結部材を前記隙間に挿入したときに、前記一対の当接部材を前記ドアの表裏に密着させる方向に付勢する付勢手段とを有する構成としてある。
この場合、請求項2に記載するように前記当接部材をクッション性に優れる高倍率発泡の樹脂で形成し、前記連結部材を強度の高い低倍率発泡の樹脂で形成するとよい。このような発泡倍率分布を有するドア隙間閉塞器具は、請求項3に記載するように前記当接部材と前記連結部材とを発泡性樹脂で一体に押出成形することで形成することができる。
【0007】
前記付勢手段としては、伸縮性を有する連結部材や、当接部材と当接部材とを連結するゴムなどを挙げることができるが、請求項4に記載するように、前記当接部材における高さ方向の途中位置に配置された前記連結部材により構成されていてもよいし、請求項5に記載するように、一方向にカールする性質を有するシートから構成されていてもよい。このようなシートとしては、例えば請求項6に記載するように、クッション性を有するシートの少なくとも一面にラミネートフィルムを貼着し、このラミネートフィルムに加熱処理等のカール処理を施したものを挙げることができる。
請求項5のようなシートから付勢手段を構成する場合は、請求項7に記載するように、前記シートの一端又は両端をカール方向に巻き込んでロール状の当接部を形成してもよい。
上記構成によれば、ドアと床面又はドアと天井との間に連結部材を挿入することで、ドアの表裏両面に当接部材が密着してドアにドア隙間閉塞器具が取り付けられ、ドアを閉じたときの前記隙間を閉塞して前記隙間を通しての空気の流れを遮断し、室内の冷暖房効果を高めることができる。
また、ドア開閉の際にも、ドア隙間開閉器具がドアから容易に離脱することなく、ドアと一体となって開閉させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のドア隙間閉塞器具は、構成がきわめて簡単であるので安価に製造することができる。また、ドアを筐体から取り外さなくても、ドアを開いた状態で連結部材を隙間に差し込むだけで簡単に装着することができる。さらに、当接部材がドアの表裏両面に密着するので高い閉塞効果を得ることができ、かつ、床面とドアの隙間だけでなく、天井側の隙間の閉塞にも適応が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第一の実施形態]
図1は本発明の第一の実施形態にかかるドア隙間閉塞器具の斜視図である。
このドア隙間開閉器具1は、ドアと床面との間の隙間の長さとほぼ同じ長さに形成された一対の当接部材11,11と、この一対の当接部材11,11を連結する連結部材12とから形成される。
当接部材11,11は、回転力が加わってもドアの表裏両面に密着できるように円柱状に形成するのが好ましい。また、連結部材12は、ドアと床面との間の隙間に挿入できるように、前記隙間と同じかこれよりも薄肉の膜状に形成するとよい。連結部材12が肉厚方向に変形できるクッション材を含んでいるような場合は、隙間に挿入できる範囲内で前記隙間より肉厚であってもよい。
当接部材11,11に対する連結部材12の配置位置は、前記隙間に連結部材12を挿入したときに、当接部材11,11をドアの表裏両面に密着させる方向に力が作用する位置を選択する。
【0010】
すなわち、図2に示すように、連結部材12に押圧力P1を付加したときに、連結部材12が湾曲して当接部材11,11を互いに接近させる方向(矢印Xの方向)に移動させるように、当接部材11,11の高さ方向(図2の上下方向)に対して連結部材12を途中位置に設ける。
このように、この実施形態では、押圧力P1の作用によって湾曲した連結部材12が、一対の当接部材11,11をドアの表裏に密着させる方向に付勢するから、連結部材12が付勢手段を構成する。
【0011】
当接部材11,11と連結部材12とは軽量で柔らかく断熱性に優れた材料から形成するのが好ましい。当接部材11,11としては、例えば綿のような繊維の塊を布帛で包んで形成したもの、樹脂や木材、紙などのチップを袋に中に充填して形成したものを挙げることができるが、発泡樹脂で連結部材12と当接部材11,11とを一体に形成したものが好ましい。
具体的な樹脂材料としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂を挙げることができ、これを発泡倍率10倍〜50倍程度に発泡させる。適宜に紫外線吸収剤や酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、気泡調整剤、収縮防止剤などを添加してもよい。なお、当接部材11,11をクッション性に優れる高倍率発泡で形成するとともに、連結部材12を強度の高い低倍発泡で形成するのが好ましい。このような倍率分布を有するドア隙間開閉器具1は、当接部材11,11の径(肉厚)Dに対して連結部材12の肉厚tを十分に小さくし、例えば押出成形法により当接部材11,11と連結部材12とを一体に成形することで、形成することができる。当接部材11,11の径(肉厚)Dと連結部材12の肉厚tとの比は、10:1〜15:1程度とするのが好ましい。
【0012】
この実施形態においては、連結部材12の幅S(図1,2参照)を適切な寸法に選択することで、図3(a)に示すように、ドアDと床面Fとの隙間に連結部材12を挿入したときに当接部材11,11をドアDの表裏に密着させることができ、ドアDと床面Fとの間の隙間を効果的に閉塞することができる。また、ドアDを開閉させても、ドア隙間開閉器具1がドアから容易に離脱することなく、ドアDと一体になって移動する。
なお、特に図示はしないが、この作用は、天井面とドアDとの間の隙間についても同様である。また、図3(b)のように、天井部分CとドアDとの間にドア上部部材Daが敷設されている場合においても、当接部材11,11が自重によりドアDの表裏両面に垂れ下がると同時に、連結部材12の中央を押し上げて、上部部材DaとドアDとの間の隙間を閉塞させる。
【0013】
[第二の実施形態]
次に本発明の第二の実施形態について、図4〜図6を参照しながら説明する。
この実施形態においてドア隙間閉塞器具2は、一枚の樹脂シートから形成される。当該樹脂シートの両端を巻いて一対の当接部材21,21が形成され、当接部材21,21の間の樹脂シートが連結部材22として構成される。
樹脂シートは、常に一方向にカールするように予め形成されていて、その両端を巻くことで、図5に示すように、当接部材21,21は巻いた状態を維持しようとする方向(図の符号Yで示す方向)に力が作用する。
【0014】
すなわち、この実施形態ではカール状の樹脂シートが付勢手段を構成し、この付勢力が、当接部材21,21を互いに接近させる方向に作用する。そして、ドアDと床面Fとの間の隙間に連結部材22を挿入することで、図6(a)に示すように当接部材21,21がドアDの両面に密着し、前記隙間を閉塞させる。
このような樹脂シートとしては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂を発泡倍率10倍〜50倍程度に発泡させた発泡シートの一方の表面を、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂のフィルムでラミネートしたものを挙げることができる。前記ポリオレフィン樹脂には、適宜に紫外線吸収剤や酸化防止剤、帯電防止剤、着色剤、気泡調整剤、収縮防止剤などを添加してもよい。
このような樹脂シートは、ラミネートフィルムを加熱することで一方向にカールする性質が容易に発現する。そして、発泡シート及びラミネートフィルムの材質や肉厚、加熱処理の条件(温度や時間)などを調整することで、硬さやカールしようとする力の調整が容易に行え、破れにくいという利点を有する。
【0015】
この実施形態のドア隙間閉塞器具2の作用は、第一の実施形態のドア隙間閉塞器具1と同じである。また、天井面とドアとの隙間についても同様である。さらに、図6(b)に示すように、天井面Cに敷設されたドア上部部材DaとドアDとの隙間に連結部材22を挿入することで、先の実施形態と同様にその隙間を閉塞させることができる。
【0016】
[第三の実施形態]
図7は本発明の第三の実施形態にかかるドア隙間閉塞器具の斜視図で、第二の実施形態の変形例である。
この実施形態では、第二の実施形態の樹脂シートと同じ樹脂シートを用い、その一端側に第一の実施形態と同様の当接部材11を取り付ける。そして、他端側をカール方向に巻いて当接部材21を形成する。
この実施形態のドア隙間閉塞器具2′においても、カールする性質を有する樹脂シートが付勢手段を構成し、当接部材21を当接部材11に接近させる方向に付勢するので、第一及び第二の実施形態のドア隙間閉塞器具1,2と同様に作用する。
【0017】
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の説明のものに限られない。
例えば、第一の実施形態において、当接部材11,11は円柱状であるとして説明したが、連結部材12に対して押圧力P(図2参照)が作用することにより回転力が加わってもドアに対する密着性が損なわれないのであれば、角柱状など円柱状以外の他の形状を選択することも可能である。
また、第一の実施形態において連結部材12は、当接部材11,11の高さ方向(図2の上下方向)に対して途中位置に設けるものとしたが、当接部材11,11の高さ方向の下端又は上端であってもよい。
また、第二の実施形態において樹脂シートの比重が小さく、当接部材21,21が床面Fから浮かび上がってしまうような場合には、例えば、樹脂シートの硬さを調整したり、ロール状に巻いた当接部材21,21の中心に重しとなる芯材を挿入すればよい。さらに、上記の説明で樹脂シートは、発泡シートの片面にラミネートフィルムを貼着したものとしたが、発泡シートの両面にラミネートフィルムを貼着し、その一方のみに加熱処理等の処理を施したものとしてもよい。また、一方向にカールする性質を有するものであれば、シートは樹脂シートに限らず金属や紙、繊維等で形成されたシートであってもよい。
なお、第二の実施形態及び第三の実施形態のシートは、強力にカールする性質を利用することで、棒材に巻き付けたり物品に被せたりして、搬送時の保護シートとして利用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明のドア隙間閉塞器具は、ヒンジを軸として開閉する開戸形のドアであれば片開き形に限らず両開き形にも適用が可能で、かつ、一般家庭やオフィス、工場などのドアに広範に適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかるドア隙間閉塞器具の斜視図である。
【図2】第一の実施形態にかかるドア隙間閉塞器具の作用を説明する図である。
【図3】第一の実施形態のドア隙間閉塞器具を隙間に差し込んだ際の状態を説明する図である。
【図4】本発明の第二の実施形態にかかるドア隙間閉塞器具の斜視図である。
【図5】第二の実施形態にかかるドア隙間閉塞器具の作用を説明する図である。
【図6】第二の実施形態のドア隙間閉塞器具を隙間に差し込んだ際の状態を説明する図である。
【図7】本発明の第三の実施形態にかかるドア隙間閉塞器具の斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
1,2,2′ ドア隙間閉塞器具
11,21 当接部材
12,22 連結部材
D ドア
Da ドア上部部材
F 床面
C 天井面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジを軸として開閉されるドアに用いられ、前記ドアを閉じたときにドアの隙間を閉塞させるドア隙間閉塞器具において、
ドアの表裏に当接する一対の当接部材と、
前記一対の当接部材を連結するとともに、前記隙間に挿入される連結部材と、
前記連結部材を前記隙間に挿入したときに、前記一対の当接部材を前記ドアの表裏に密着させる方向に付勢する付勢手段と、
を有することを特徴とするドア隙間閉塞器具。
【請求項2】
前記当接部材を高倍率発泡の樹脂で形成し、前記連結部材を低倍率発泡の樹脂で形成したことを特徴とする請求項1に記載のドア隙間閉塞器具。
【請求項3】
前記当接部材と前記連結部材とを発泡性樹脂で一体に押出成形したことを特徴とする請求項2に記載のドア隙間閉塞器具。
【請求項4】
前記付勢手段が、前記当接部材における高さ方向の途中位置に配置された前記連結部材により構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のドア隙間閉塞器具。
【請求項5】
前記付勢手段が、一方向にカールする性質を有するシートであることを特徴とする請求項1に記載のドア隙間閉塞器具。
【請求項6】
前記シートが、クッション性を有するシートの少なくとも一面にラミネートフィルムを貼着し、このラミネートフィルムにカール処理を施したものであることを特徴とする請求項5に記載のドア隙間閉塞器具。
【請求項7】
前記シートの一端又は両端をカール方向に巻き込んでロール状の当接部を形成したことを特徴とする請求項5又は6に記載のドア隙間閉塞器具。







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−100710(P2013−100710A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−223711(P2012−223711)
【出願日】平成24年10月6日(2012.10.6)
【出願人】(592093958)酒井化学工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】