説明

ドア

【課題】 扉が扉枠の室外側に位置して扉を閉じるドアにおいて、パネルの穴あけ加工等が不用で、パネルの交換が容易で、外観に優れ且つパネル意匠の自由度が高いドアを提供する。
【解決手段】 本発明のドア1は、扉5と、扉枠3とを備え、扉5は、パネル17と、パネル17の室内側面17aに取付けた上下の横フレーム19、21及び左右の竪フレームと23、24を有し、少なくとも上横フレーム19及び左右の竪フレーム23、24は扉枠3の室外側面3aに当接し、左右の竪フレーム23、24のうちの吊元側竪フレーム23又は上下の横フレーム19、21は扉枠3に軸支してあり、戸先側竪フレーム24と扉枠3とのうちの一方に、扉5を扉枠3に係止する係止部材45を設け、他方に係止部材45の被係止部47を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、扉を閉じたときに、扉パネルの室内側面が扉枠の室外側面に当接することが開示されており、扉パネルには、パネルに取付けたドアクローザー8(特許文献1の符号)に係止部材を設け、扉枠に被係止部を設けることが開示されている。
特許文献2には、扉パネルの左右端に各々竪フレームを取付け、パネルの上下端に各々横フレームを取付け、戸先側竪フレームに係合部材を設け、扉枠に係合部材の被係合部を設けたことが開示されている。
【0003】
【特許文献1】実開平6−62181号公報
【特許文献2】特開平2−186696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ドアクローザーを扉に貫設しているので、パネルに孔あけ等の加工が必要になり、パネルの交換が困難でコストアップになるという問題がある。
特許文献2では、パネルの端にフレームを取付けている為に、フレームが室外側にも露出してしまうから外観に劣るという問題がある。また、パネル端部が曲線になっている場合等にはフレームの取付けが困難になる為、パネルの意匠が制限されるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、扉が扉枠の室外側に位置して扉を閉じるドアにおいて、パネルの穴あけ加工等が不用で、パネルの交換が容易で、外観に優れ且つパネル意匠の自由度が高いドアの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、扉と、扉枠とを備え、扉は、パネルと、パネルの室内側面に取付けた上下の横フレーム及び左右の竪フレームとを有し、少なくとも上横フレーム及び左右の竪フレームは扉枠の室外側面に当接し、左右の竪フレームのうちの吊元側竪フレーム又は上下の横フレームは扉枠に軸支してあり、戸先側竪フレームと扉枠とのうちの一方に、扉を扉枠に係止する係止部材を設け、他方に係止部材の被係止部を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、戸先側竪フレームに、室外側ハンドルと室内側ハンドルとを取付けてあり、室外側ハンドルはパネルの戸先側端から室外側に突設していることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、少なくとも上横フレーム及び左右の竪フレームは、各々扉の外周側を向く外周側傾斜面とタイト材とを有し、タイト材は外周側傾斜面に対して略同一面で連続するタイト傾斜面を有し、タイト材のタイト傾斜面が上及び左右枠の室外側コーナ部に当接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、扉を閉じたときに扉枠の室外側に扉が位置するドアにおいて、上下の横フレーム及び左右の竪フレームはパネルの室内側面に取付けているので、室外側からはこれらのフレームが見えないので外観が良い。
上下の横フレーム及び左右の竪フレームはパネルの室内側面に取付けているので、各フレームの取付けにパネルの形状や寸法等の制約を受け難いので、パネル意匠の自由度が高い。
扉を扉枠に係止する係止部材と被係止部は、戸先側竪フレーム及び扉枠に設けてあるから、係止部材や被係止部を取付ける為にパネルに孔あけ等の加工をしないで済み、パネルの交換が容易に行える。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様な作用効果を奏すると共に、室内側ハンドル及び室外側ハンドルが戸先側竪フレームに取付けてあるので、パネルの室内側面に戸先側竪フレームを取付けるだけで室内側ハンドルと室外側ハンドルを設けることができる。
室外側ハンドルはパネルの戸先側端の横から室外側に突設しているので、パネルの室内側面に取付けた戸先側竪フレームに室外側ハンドルを設けても、パネルに孔あけ等の加工をしないで済む。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、扉を閉じたときに上横フレーム及び左右の竪フレームに設けたタイト材のタイト傾斜面に扉枠の室外側コーナ部が当接することにより、タイト材は室外側コーナ部が当接する部分のみが局部的に変形できるので、タイト材の変形が容易にでき、扉と扉枠との間の気密性を高めることができる。
タイト材の傾斜面に扉枠のコーナ部が当接するので、タイト材におけるコーナ部の当接位置に幅を持たせることができるので、施行誤差や経時変化による多少のずれがあっても気密性を保持することができる。
タイト材のタイト傾斜面とフレームの外周側傾斜面とが略同一面で連続しているので、扉の開状態における室内側外観が良好である。
タイト材を当接させる為に、扉枠の形状を格別な形状にする必要がないので、適用範囲が限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は図6に示すドアのA−A断面図であり、図2は図6に示すドアのB−B断面図であり、図3は図6に示すドアのC−C断面図であり、図4はドアの扉を室内側から見た裏面図であり、図5(a)は扉の下部を切断して示す横断面図であり、(b)は扉の下部を(a)のE−E位置で切断した縦断面図であり、図6は本実施の形態にかかるドアの収まり状態を室外側から見た正面図である。
本発明の実施の形態にかかるドア1は、玄関ドアであり、躯体開口部に固定された扉枠3と、扉枠3の内周側開口を開閉する扉5を備えている。
扉枠3は上枠7、吊元側枠(左右の枠)9、戸先側枠(左右の枠)10及び下枠13を有し、上枠7、吊元側枠9及び戸先側枠10は、各々扉枠3の内周側の室外側にコーナ部15を有している。尚、本実施の形態では上枠7には、庇8が一体に形成してある。
下枠13は上面13aに段差がなく、上面13aは室外側が下方に傾斜している。
扉5は、パネル17と、パネル17の室内側面に取付けた上横フレーム19、下横フレーム21、吊元側竪フレーム(左右の竪フレーム)23、及び戸先側竪フレーム(左右の竪フレーム)24を有し、これらのフレームはパネル17の室内側面で周方向に連続して取付けられている。
図3に示すように、吊元側竪フレーム23はヒンジ16により吊元側枠10に対して回転自在に軸支されている。
図2に示すように、戸先側枠10には扉5を扉枠3に係止する係止部材45が設けてあり、戸先側竪フレーム24には係止部材45の被係止部47が設けてある。係止部材45は、戸先側枠10に設けた錠装置49から突設自在なデッドボルトであり、被係止部47はデッドボルト受けであり、戸先側枠10に設けたサムターン51を二点鎖線で示す縦位置から実線で示す横位置に回動操作するにより係止部材45が二点鎖線で示す位置から実線位置に突設して被係止部47に係止するようになっている。
また、戸先側竪フレーム24には、室外側から操作する室外側ハンドル53と室内側から操作する室内側ハンドル55とが取付けてある。室外側ハンドル55はパネル17の戸先側端17bの横から室外側に突設して設けてある。
パネル17は、扉枠3の内周空間よりも大きい面積を有しており、扉を閉じたときに扉枠3の室外側に位置するものである。
上横フレーム19、吊元側竪フレーム23、及び戸先側竪フレーム24は、各々室内側に突設した部分の横断面が略台形を成しており、扉の内周側を向いて傾斜した内周側傾斜面25と、扉の外周側を向いて傾斜した外周側傾斜面27と、内周側傾斜面25と外周側傾斜面27との間にある平坦面29を有しおり、平坦面29はパネル17の室内面17aと略平行である。
上横フレーム19と、吊元側竪フレーム23、及び戸先側竪フレーム24の各々には、扉の外周側に、フレームの長手方向に設けたタイト材取付溝31が形成されている。
タイト材33は、扉の外周側を向いて傾斜したタイト傾斜面33aを有しており、タイト傾斜面33aは、各フレーム19、23、23の内周側傾斜面27と略同一面で連続している。尚、タイト材33は上フレーム19及び左右のフレーム23、23の長手方向にも連続して設けてある。
下横フレーム21には、扉を閉じたときに下降し扉を開けたときに上昇するボトムタイト材35が設けてある。ボトムタイト材35は、図5に示すように、扉5の吊元側端部側にトリガ37が突設してあり、トリガ37の先端が案内部材39に案内されて、扉5が閉じ位置にあるときには下横フレーム21に押し込まれることによりボトムタイト材35とタイト材ケース36との連結部41が下降して下位置にあり、扉が開き位置(図5(a)に二点鎖線で示す)あるときには、トリガ37が下横フレームから離れる位置に復帰することにより、連結部41が上昇して上位置に位置することにより、ボトムタイト材35が昇降するようになっている。
【0013】
次に、本実施の形態にかかるドアの作用及び効果について説明する。扉5を開き位置(図3の二点鎖線で示す)から閉じ位置に回動すると、扉5のパネル17は枠3の室外側に位置して、パネル17の室内側面17aに設けた上横フレーム、戸先側竪フレーム(左右の竪フレーム)24及び吊元側竪フレーム(左右の竪フレーム)が扉枠3の室外側面3aに当接する。
パネル17の室内側面17aに設けた上横フレーム19では、外周側に設けたタイト材33のタイト傾斜面33aが上枠7の室外側コーナ部15に当接し、タイト材33のタイト傾斜面33aでは、コーナ部15の当接部分のみが局所的に変形して上枠7の室外側コーナ部15に圧接する。同様に、図2及び図3に示す左右のフレーム23においてもタイト材33のタイト傾斜面33aが対向する左右の枠9、9の室外側コーナ部15に当接する。したがって、上及び左右の各フレーム19、23、23に設けたタイト材33では、タイト傾斜面33aに対向する各枠7、9、9の室外側コーナ部15が当接するので、タイト材33が局所的に変形し、扉5と扉枠3との間を気密に保持する。
本実施の形態によれば、扉5を閉じた状態では、上下の横フレーム19、21、吊元側竪フレーム(左右の竪フレーム)23及び戸先側竪フレーム(左右の竪フレーム)24は、パネル17の室内側面17aに取付けているので、室外側からはこれらのフレーム19、21、23、24が見えないので外観が良い。
上下の横フレーム19、21、吊元側竪フレーム(左右の竪フレーム)23及び戸先側竪フレーム(左右の竪フレーム)24はパネル17の室内側面17aに取付けているので、各フレームの取付けにパネル17の形状や寸法の制約を受け難いので、パネル意匠の自由度が高い。
上下の横フレーム19、21、吊元側竪フレーム(左右の竪フレーム)23及び戸先側竪フレーム(左右の竪フレーム)24はパネル17の室内側面17aに取付けているので、パネル17の厚みや寸法が異なる場合でも、同種の横フレーム19、21及び竪フレーム23、24を用いることができ、各フレーム19、21、23、24の種類を少なくできる。
扉5を扉枠3に係止する係止部材45は扉枠3に設けてあり、被係止部47は戸先側竪フレーム24に設けてあるから、係止部材45や被係止部47を設ける為にパネル17に孔あけ等の加工をしないで済み、パネル17の交換が容易に行える。
室内側ハンドル55及び室外側ハンドル53が戸先側竪フレーム24に取付けてあるので、パネル17の室内側面17aに戸先側竪フレーム24を取付けるだけで室内側ハンドル55と室外側ハンドル53を設けることができる。
室外側ハンドル53はパネル17の戸先側端17bの横から室外側に突設しているので、パネル17の室内側面17aに取付けた戸先側竪フレーム24に室外側ハンドル53を設けても、パネル17に孔あけ等の加工をしないで済む。
タイト材33は扉枠3の室外側コーナ部15が当接する部分のみが局部的に変形できるので、扉5を閉じたときに、タイト材33の変形が容易にでき、扉5と扉枠3との間の気密性を高めることができる。
扉枠3の室外側コーナ部15はタイト材33のタイト傾斜面33aに当接するから、室外側コーナ部15との当接位置に幅を持たせることができるので、施行誤差や経時変化による多少のずれがあっても気密性を保持することができる。
タイト材33のタイト傾斜面33aは、上左右のフレーム19、23、23の外周側傾斜面27と略同一面で連続しているので、扉5の開状態における室内側外観が良好である。
また、タイト材33を当接させる為に、扉枠3の形状を格別な形状にする必要がないので、適用範囲が限定されない。
扉5を閉じた状態では、パネル17は扉枠3の室外側に位置し、扉枠3内に収納されないから、パネル17が扉枠3による寸法や形状の制限を受けないので、パネル17の形状や寸法の自由度が高い。
【0014】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、ドア1は玄関ドアに限らず、室内に設けるドアであってもよい。
扉枠3の下枠13にも室外側コーナ部15を設け、パネル17に取付ける下フレーム21にはボトムタイト材35に換えて、上及び左右フレーム19、23、23と同様に外周側を向く傾斜面33aを有するタイト材33を取付けて、タイト材33の傾斜面33に下枠13のコーナ部15が当接する構成としても良い。
係止部材45は戸先側竪フレームに突設自在に設け、被係止部47を戸先側枠10に設けてもよい。
係止部材45は掛け金とし、被係止部材47を掛け金受けとしても良い。
図7に示すように、パネル17の室内側面には、上下の横フレーム19、21で左右の竪フレーム23、24を挟むように組みつけて、上横フレーム19と下横フレーム21とに各々ヒンジ16を取付けて扉枠に軸支してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図6に示すドアのA−A断面図である。
【図2】図6に示すドアのB−B断面図である。
【図3】図6に示すドアのC−C断面図である。
【図4】ドアの扉を室内側から見た裏面図である。
【図5】(a)は扉の下部を切断して示す横断面図であり、(b)は扉の下部を(a)のE−E位置で切断した縦断面図である。
【図6】本実施の形態にかかるドアの収まり状態を室外側から見た正面図である。
【図7】他の実施の形態にかかるドアの扉を室内側から見た裏面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 ドア
3 扉枠
3a 扉枠の室外側面
5 扉
7 上枠
9 左右の枠
15 室外側コーナ部
17 パネル
17a パネルの室内側面
19 上フレーム
23 吊元側竪フレーム(左右のフレーム)
24 戸先側竪フレーム(左右のフレーム)
27 外周側傾斜面
33 タイト材
33a タイト傾斜面
45 係止部材
47 被係止部
53 室外側ハンドル
55 室内側ハンドル



【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉と、扉枠とを備え、扉は、パネルと、パネルの室内側面に取付けた上下の横フレーム及び左右の竪フレームとを有し、少なくとも上横フレーム及び左右の竪フレームは扉枠の室外側面に当接し、左右の竪フレームのうちの吊元側竪フレーム又は上下の横フレームは扉枠に軸支してあり、戸先側竪フレームと扉枠とのうちの一方に、扉を扉枠に係止する係止部材を設け、他方に係止部材の被係止部を設けたことを特徴とするドア。
【請求項2】
戸先側竪フレームに、室外側ハンドルと室内側ハンドルとを取付けてあり、室外側ハンドルはパネルの戸先側端から室外側に突設していることを特徴とする請求項1に記載のドア。
【請求項3】
少なくとも上横フレーム及び左右の竪フレームは、各々扉の外周側を向く外周側傾斜面とタイト材とを有し、タイト材は外周側傾斜面に対して略同一面で連続するタイト傾斜面を有し、タイト材のタイト傾斜面が上及び左右枠の室外側コーナ部に当接することを特徴とする請求項1又は2に記載のドア。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−255102(P2007−255102A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−82324(P2006−82324)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(000175560)三協立山アルミ株式会社 (529)
【Fターム(参考)】