説明

ドックシェルタ

【課題】どのような車高の保冷車でも簡単に対応して気密性の向上を図ることのできるドックシェルタを提供する。
【解決手段】ドックシェルタ1は、建屋の荷物積卸口2の両側壁3におけるガイドレール16に設置された前後方向に伸縮自在なサイドパッド4と、該サイドパッド4の上部における前後面に設置されたヘッドパッド5とからなり、該ヘッドパッド5は巻取りロールからの巻取りワイヤーで吊り下げられるとともに、ヘッドパッド5の前面には、両側壁3間の上部におけるロール26に巻かれた気密用シート6の先端部が接続され、前記サイドパッド4には空気を供給する送風機からの送風管が接続され、前記巻取りワイヤーの繰り出しによってヘッドパッド5とサイドパッド4とがガイドレール16に沿って下降し、この下降にともなって気密用シート6がロール26から繰り出されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明はドックシェルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷蔵倉庫への商品の積み卸しにおいて荷捌室の低温下を防ぐため、ドックシェルタの気密性を向上させることが重要になっている。このようなドックシェルタとしては、例えば特開2001−163453号の発明が知られている。このドックシェルタは上下動するヘッドパッドと、前後方向に伸縮するサイドパッドとが保冷車の荷台の上面及び両側面に当接して気密性を確保するようになっている。
【特許文献1】特開2001−163453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記のドックシェルタはサイドパッドが前後方向に伸縮するだけなので、縦長なサイドパッドが必要であった。
【0004】
本願発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、どのような車高の保冷車でも簡単に対応して気密性の向上を図ることのできるドックシェルタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するためのドックシェルタは、建屋の荷物積卸口の両側壁におけるガイドレールに設置された前後方向に伸縮自在なサイドパッドと、該サイドパッド上部の前後面に設置されたヘッドパッドとからなり、ヘッドパッドは巻取りロールからの巻取りワイヤーで吊り下げられるとともに、該ヘッドパッドの前面には、両側壁間の上部におけるロールに巻かれた気密用シートの先端部が接続され、前記サイドパッドには空気を供給する送風機からの送風管が接続され、前記巻取りワイヤーの繰り出しによってヘッドパッドとサイドパッドとがガイドレールに沿って下降し、この下降にともなって気密用シートがロールから繰り出されることを特徴とする。またモーターと送風機とに鍵差込部が電気的に接続され、該鍵差込部に保冷車の鍵を差し込むとスイッチオンとなって巻取りロールから巻取りワイヤーが繰り出されるとともに、サイドパッドに送風機から空気が供給され、鍵差込部から保冷車の鍵を引き抜くとスイッチオフとなって巻取りロールに巻取りワイヤーが巻き取られるとともに、サイドパッドから供給機で空気が抜き取られることを含むものである。
【発明の効果】
【0006】
ヘッドパッドとサイドパッドとが共に上下動するので、どのような車高の保冷車であっても対応することができる。また鍵差込部に保冷車の鍵を差し込むとスイッチオンとなって巻取りロールから巻取りワイヤーが繰り出されるとともに、サイドパッドに送風機から空気が供給され、鍵差込部から保冷車の鍵を引き抜くとスイッチオフになって巻取りロールに巻取りワイヤーが巻き取られるとともに、サイドパッドから送風機で空気が抜き取られることにより、ヘッドパッドおよびサイドパッドが保冷車に当接したままで発車するのを防ぐことができ、ヘッドパッドおよびサイドパッドの破壊を免れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本願発明のドックシェルタの実施の形態を図面に基づいて説明する。このドックシェルタ1は、図1〜図3に示すように、建屋の荷物積卸口2の両側壁3に対向して設置したサイドパッド4と、該サイドパッド4の上部における前後面に設置したヘッドパッド5と、該ヘッドパッド5の前面に先端部が接続された気密用シート6とから構成され、プラットホーム7の前面側には受圧板8が設置されている。
【0008】
サイドパッド4は、図4および図5に示すように、縦長のウエイト板9の両側にL形鋼板10が設けられ、該L形鋼板10に蛇腹シート11が設置されて中空状に形成され、この中空部12に空気を供給する送風機13からの送風管14が接続されている。そして、この送風機13からの空気の供給によってサイドパッド4が膨らんで前方向に伸張するとともに、この空気の抜き取りにより前方向に伸張したサイドパッド4が収縮する。また前記のウエイト板9には二つのプーリー15が設置され、これが側壁3の全面に設置したガイドレール16内に設置され、このガイドレール16に沿ってサイドパッド4が上下動できるようになっている。
【0009】
また、このサイドパッド4の上部に設置されたヘッドパッド5は軟質ウレタン樹脂製であり、前面側の前部パッド17と後面側の後部パッド18とからなり、これらのパッド17、18が補強板19でサイドパッドのウエイト板9に接続されている。またこれらのパッド17、18の下面には断面三角状の補助パッド20が設置され、この補助パッド20の先端が保冷車21の荷台22の天井面に沿って当接されるので気密性が保持できるようになっている。また、これらの前後部パッド17、18は適宜間隔部をもって連結板24で接続され、この間隙部がサイドパッド4が伸縮するときのガイド溝25となっている。
【0010】
また前部パッド17には、両側壁3間の上部におけるロール26に巻かれた気密用シート27の先端部が接続され、ヘッドパッド5がサイドパッド4とともに下降した場合は、それに伴ってロール26から繰り出されるようになっている。
【0011】
また前部パッド17と後部パッド18とからなるヘッドパッド5には巻取りロール28からの巻取りワイヤー29が接続され、この巻取りワイヤー29でヘッドパッド5とサイドパッド4とが吊り下げられた状態になっている。したがって、この巻取りロール28のからの巻取りワイヤー29の繰り出しにより、ヘッドパッド5とサイドパッド4とがガイドレール16に沿って下降するとともに、巻取りワイヤー29の巻き上げで上昇するようになっている。
【0012】
この巻取りロール28および送風機13は荷物積卸口2の側壁3に設置した鍵差込部30と電気的に接続され、保冷車の鍵を鍵差込部30に差し込むと電気的または機械的にスイッチオンとなって巻取りロール28から巻取りワイヤー29が繰り出される。そしてヘッドパッド5とサイドパッド4とがガイドレール16に沿って下降してヘッドパッド5が保冷車21の荷台22の天井面に当接するとともに、サイドパッド4に送風機13から空気が供給されて前方向に伸張して保冷車21の荷台22の側面に当接する。
【0013】
一方、前記の鍵差込部30から保冷車21の鍵を引き抜くと電気的または機械的にスイッチオフとなって、サイドパッド4が送風機13で空気を抜き取られて収縮するとともに、巻取りロール28に巻取りワイヤー29が巻き取られてヘッドパッド5とサイドパッド4とがガイドレール16に沿って上昇するようになっている。
【0014】
次に、上記のドックシェルタ1の作動について説明する。まず保冷車21がプラットホーム7に着岸されていない時は、図1に示すように、サイドパッド4は両側壁3側に縮んだ状態となり、ヘッドパッド5は天井面に付いた状態となっている。この状態で保冷車21を後退させて荷台後部がプラットホーム7の受圧板8に当接したら停車させる。
【0015】
そして、運転者が運転席から降りる際に抜き取った保冷車21の鍵を荷物積卸口2の側壁3に設置した鍵差込部30に差し込むと、巻取りロール28および送風機13がスイッチオンとなる。そして、巻取りロール28から巻取りワイヤー29が繰り出されてヘッドパッド5とサイドパッド4とがガイドレール16に沿って下降するとともに、サイドパッド4に送風機13から送風管14で空気が注入される。
【0016】
そして、図6及び図7に示すように、ヘッドパッド5が保冷車21の荷台22の天井面に当接するとともに、サイドパッド4が荷台22の両側面に当接して気密性を確保する。またヘッドパッド5は補助パッド20の先端部が荷台の形状に沿って変形して当接される。
【0017】
次に、この積み卸し作業が終了したら、運転者が鍵差込部30に差し込まれた鍵を引き抜くと、巻取りロール28および送風機13がスイッチオフとなる。そしてサイドパッド4から送風管14で空気が引き抜かれると、サイドパッド4が壁側に縮んで荷台から離れるとともに、巻取りロール28に巻取りワイヤー29が巻き取られてヘッドパッド5とサイドパッド4とがガイドレール16に沿って上昇して荷台22から離れる。
【0018】
このように保冷車21を発車させるために鍵を鍵差込部30から引き抜くとヘッドパッド5とサイドパッド4とが荷台22から離れるため、ヘッドパッド5とサイドパッド4とが荷台22に当接したままで保冷車21が走り出すことによるヘッドパッド5とサイドパッド4の破壊を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ドックシェルタの正面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図2のB−B線断面図である。
【図4】サイドパッドの要部の断面図である。
【図5】ヘッドパッドの要部の断面図である。
【図6】ヘッドパッドとサイドパッドが移動した正面図である。
【図7】ヘッドパッドとサイドパッドが移動した断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 ドックシェルタ
2 荷物積卸口
3 側壁
4 サイドパッド
5 ヘッドパッド
6 気密用シート
7 プラットホーム
8 受圧板
9 ウエイト板
10 L形鋼板
11 蛇腹シート
12 中空部
13 送風機
14 送風管
15 プーリー
16 ガイドレール
17 前部パッド
18 後部パッド
19 補強板
20 補助パッド
21 保冷車
22 荷台
24 連結板
25 ガイド溝
26 ロール
28 巻取りロール
29 巻取りワイヤー
30 鍵差込部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋の荷物積卸口の両側壁におけるガイドレールに設置された前後方向に伸縮自在なサイドパッドと、該サイドパッド上部の前後面に設置されたヘッドパッドとからなり、該ヘッドパッドは巻取りロールからの巻取りワイヤーで吊り下げられるとともに、ヘッドパッドの前面には、両側壁間の上部におけるロールに巻かれた気密用シートの先端部が接続され、前記サイドパッドには空気を供給する送風機からの送風管が接続され、前記巻取りワイヤーの繰り出しによってヘッドパッドとサイドパッドとがガイドレールに沿って下降し、この下降にともなって気密用シートがロールから繰り出されることを特徴とするドックシェルタ。
【請求項2】
モーターと送風機とに鍵差込部が電気的に接続され、該鍵差込部に保冷車の鍵を差し込むとスイッチオンとなって巻取りロールから巻取りワイヤーが繰り出されるとともに、サイドパッドに送風機から空気が供給され、鍵差込部から保冷車の鍵を引き抜くとスイッチオフとなって巻取りロールに巻取りワイヤーが巻き取られるとともに、サイドパッドから供給機で空気が抜き取られることを特徴とする請求項1に記載のドックシェルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−298635(P2006−298635A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−126471(P2005−126471)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(302032336)株式会社南里製作所 (1)
【出願人】(505155344)
【Fターム(参考)】