ドット位置測定方法及び装置並びにプログラム
【課題】画像読取装置のキャリッジ変動等による測定誤差や用紙変形に起因する測定誤差を改善し、記録ヘッドの各記録素子で記録されるドット位置を高速且つ高精度に測定する。
【解決手段】記録ヘッドの実質的な記録素子の並び方向に所定間隔離れた記録素子を用いて記録される複数のラインブロック0〜3と、各ラインブロックに対して、それぞれ同じ記録素子で記録されるラインを含んだ基準ラインブロック(ラインブロック4)と、を有する測定用ラインパターンを形成し、該測定用ラインパターン上のライン(92)の長手方向を画像読取装置の副走査方向に向けて読み取りを行う。読取画像から各ラインブロック内のライン位置を特定し、得られたライン位置を基準ラインブロックに基づいて補正する。
【解決手段】記録ヘッドの実質的な記録素子の並び方向に所定間隔離れた記録素子を用いて記録される複数のラインブロック0〜3と、各ラインブロックに対して、それぞれ同じ記録素子で記録されるラインを含んだ基準ラインブロック(ラインブロック4)と、を有する測定用ラインパターンを形成し、該測定用ラインパターン上のライン(92)の長手方向を画像読取装置の副走査方向に向けて読み取りを行う。読取画像から各ラインブロック内のライン位置を特定し、得られたライン位置を基準ラインブロックに基づいて補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドット位置測定方法及び装置並びにプログラムに係り、特にインクジェットヘッドの各ノズルによって記録されるドットの着弾位置の測定に好適なドット位置測定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
記録紙等の記録媒体に画像を記録する方法の一つとして、画像信号に応じてインク液滴を吐出させ、そのインク液滴を記録媒体上に着弾させることにより画像を記録するインクジェット描画方式がある。このようなインクジェット描画方式を用いた画像形成装置としては、インク液滴を吐出する吐出部(ノズル)を記録媒体の1辺の全域に対応させてライン状に配置して、記録媒体を吐出部に直交する方向に搬送することで、記録媒体の全域に画像を記録するフルラインヘッド型の画像描画装置がある。
【0003】
フルラインヘッド型の画像描画装置は、吐出部を移動させることなく記録媒体を搬送することで、記録媒体の全域に画像を描画することができ、記録速度を高速化することができる。
【0004】
しかしながら、ラインヘッド型の画像描画装置は、吐出部の位置ずれ等の製造時のバラツキなどにより、記録媒体に記録した画像にスジ、ムラが発生するという問題がある。
このようなスジ、ムラは着弾位置のバラツキが一因であり、着弾位置に基づいてスジ・ムラを補正する技術が知られている。
【0005】
特許文献1には、ラインパターンをスキャナ装置で読み取り、同時に基準パターンを読み取ることで、スキャナ搬送誤差を補正しつつ、着弾位置を測定する技術が開示されている。
【0006】
特許文献2には、ラインパターンをスキャナ装置で読み取り、読み取った画像からラインのエッジ位置を決定し、一つのラインについて複数のエッジ位置からライン位置(着弾位置)を測定する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2008−44273号公報
【特許文献2】特開2008−80630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
市販スキャナの多くは、読み取り範囲を一定の速度で全て読み取るのではなく、データ転送と読み取りを繰り返している。このとき読み取り動作を中断してキャリッジを停止し、再びキャリッジが動作することがある。ドット着弾位置精度として10μm程度を期待する場合には問題ないが、サブミクロンまで測定精度を求める場合、このキャリッジ再起動による位置変動は無視できない誤差要因である。
【0008】
更に測定対象が副走査方向に長い場合(機種によって異なるが、目安程度として、例えば、10cm以上長い場合)、走査機構のキャリッジのふらつきによる位置変動も誤差要因となる。このような誤差は、図28に示すように、隣接するノズルによる着弾ドットのラインを副走査方向に異なる位置に配置したラインパターンを測定する場合に顕著になる。
【0009】
図28に示したラインブロック0は、ラインヘッドの端から順にノズル番号を0,1,2,3…としたとき、ノズル番号0、4、8のように「4N+0」のノズル番号を持つノズルによって形成されるライン群のブロックである(ただし、Nは0以上の整数)。ラインブロック1はノズル番号1、5、9…のように「4N+1」のノズル番号からなるラインブロックである。ラインブロック2は「4N+2」、ラインブロック3は「4N+3」のノズル番号からなるラインブロックである。このように一定のノズル間隔でラインを形成したラインブロックを記録紙16上の異なる位置に配置するラインパターンにより、全ノズルに対応するラインを形成することができる。
【0010】
図29はスキャナ副走査位置が異なる場合の測定位置の関係を示した図である。図29のように、副走査方向の異なる位置に配置されたラインブロックA、Bについてそれぞれ各ライン位置を測定したときの測定位置は線形の関係にある。上記のようなスキャナ要因の誤差はスキャナで読み取った格子座標系の乱れとして表れる。
【0011】
図30は、図28に示した4ノズル間隔のラインブロックに代えて、16ノズル間隔のラインブロックを副走査方向の異なる位置に配置したラインパターンから各ラインの位置(ドット位置)誤差を測定した結果を示す図である。
【0012】
それぞれのノズル位置の位置誤差としてはランダムであるはずが、図示のように、全体としては16ノズルを周期とする規則的な位置誤差が発生している。これは、副走査方向位置の異なるラインブロックごとに、オフセット的な位置誤差を含んでいることによる。
【0013】
つまり、副走査方向に複数のラインブロックに分かれた各ラインブロック内でのデータ間は測定精度が得られていても、ラインブロック間相互の測定精度に一定のオフセット的な誤差が加わっているために、測定結果がラインブロック数の周期で相似形に繰り返す現象が発生している。
【0014】
スキャナの解像度(例えば、2400DPI)に対して、2〜3μm程度の誤差は、通常であれば問題とならないが、サブミクロンオーダの測定を目標とする場合、このずれが無視できず、複数のラインブロックにおける測定結果をマージする場合に問題となる。
【0015】
更に、スキャナ要因の誤差以外に、用紙変形(一例として、記録紙に処理液を塗布してインクを打滴する印字装置において、印字開始位置と印字終了位置において記録紙の伸びが異なることによって発生する)も同様な現象を発生させる。用紙変形下でのドット着弾位置測定ではオフセット的な誤差とライン間隔の伸張誤差が複合して発生している。
【0016】
このような、問題に対して、特許文献1、2には、スキャナで読み取った画像データの乱れを補正する技術は開示されていない。
【0017】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、記録ヘッドの各記録素子で記録媒体上に記録されたドットの位置を高速且つ高精度に測定することができるドット位置測定方法及び装置並びにこれに用いるコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記目的を達成するために、本発明に係るドット位置測定方法は、複数の記録素子を有する記録ヘッドと記録媒体を相対移動させながら、前記記録素子によってドットを連続して記録することにより、前記記録媒体上に各記録素子に対応したドット列による複数のラインを含んだ測定用ラインパターンを形成するラインパターン形成工程であって、前記記録ヘッドの前記相対移動の方向に直交する実質的な記録素子の並び方向に所定間隔離れた記録素子を用いて記録されるライン群で構成されるラインブロックを、前記記録媒体上において前記ラインの長手方向の異なる位置に複数形成してなる複数のラインブロックと、前記複数のラインブロックの各ラインブロックに対して、それぞれ同じ記録素子で記録されるラインを含んだ基準ラインブロックと、を有する前記測定用ラインパターンを形成する前記ラインパターン形成工程と、前記ラインパターン形成工程により前記記録媒体に形成された前記測定用ラインパターンを画像読取装置によって読み取るに際し、当該測定用ラインパターン上の前記ラインの長手方向を前記画像読取装置の副走査方向に向けて読み取りを行い、前記測定用ラインパターンの読取画像を表す電子画像データを取得する読取工程と、前記読取工程で取得した読取画像から前記複数のラインブロック及び前記基準ラインブロックの各ラインブロック内のライン位置を特定するラインブロック内位置特定工程と、前記ラインブロック内位置特定工程で求めた前記複数のラインブロックについてのライン位置を、前記基準ラインブロックに基づいて補正する位置補正工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、基準ラインブロックを基準位置として、各ラインブロックの測定位置を補正することにより、画像読取装置に起因する読取画像格子の乱れの影響を低減できるとともに、用紙変形の影響を低減することができ、高精度のドット位置測定が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0021】
ここでは、インクジェット記録装置によるインクドットの着弾位置(すなわち、ドット位置)の測定への適用例について説明する。まず、インクジェット記録装置の全体構成について説明する。
【0022】
〔インクジェット記録装置の説明〕
図1は、インクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示すように、このインクジェット記録装置10は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のインクジェット記録ヘッド(「液体吐出ヘッド」に相当、以下、「ヘッド」という。)12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、各ヘッド12K,12C,12M,12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録媒体たる記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送するベルト搬送部22と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排出する排紙部26とを備えている。
【0023】
インク貯蔵/装填部14は、各ヘッド12K,12C,12M,12Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各タンクは所要の管路を介してヘッド12K,12C,12M,12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
【0024】
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
【0025】
複数種類の記録媒体(メディア)を利用可能な構成にした場合、メディアの種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
【0026】
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
【0027】
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター(第1のカッター)28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。
【0028】
デカール処理後、カットされた記録紙16は、ベルト搬送部22へと送られる。ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
【0029】
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによって記録紙16がベルト33上に吸着保持される。なお、吸引吸着方式に代えて、静電吸着方式を採用してもよい。
【0030】
ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(図6中符号88)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は図1の左から右へと搬送される。
【0031】
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組合せなどがある。
【0032】
なお、ベルト搬送部22に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題があるため、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
【0033】
ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹き付け、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
【0034】
印字部12の各ヘッド12K,12C,12M,12Yは、当該インクジェット記録装置10が対象とする記録紙16の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図2参照)。
【0035】
ヘッド12K,12C,12M,12Yは、記録紙16の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド12K,12C,12M,12Yが記録紙16の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
【0036】
ベルト搬送部22により記録紙16を搬送しつつ各ヘッド12K,12C,12M,12Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
【0037】
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド12K,12C,12M,12Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち1回の副走査で)、記録紙16の全面に画像を記録することができる。かかるフルライン型(ページワイド)ヘッドによるシングルパス方式の画像形成は、記録媒体の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシリアル(シャトル)型ヘッドによるマルチパス方式を適用する場合に比べて高速印字が可能であり、プリント生産性を向上させることができる。
【0038】
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
【0039】
印字部12の後段には後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
【0040】
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
【0041】
こうして生成されたプリント物は排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。また、図1には示さないが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
【0042】
〔ヘッドの構造〕
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド12K,12C,12M,12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によってヘッドを示すものとする。
【0043】
図2(a) はヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図2(b) はその一部の拡大図である。また、図3はヘッド50の他の構造例を示す平面透視図、図4は記録素子単位となる1つの液滴吐出素子(1つのノズル51に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図2(a) 中の4−4線に沿う断面図)である。
【0044】
記録紙16上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド50は、図2(a),(b) に示したように、インク吐出口であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる
複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)53を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影(正射影)される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
【0045】
記録紙16の送り方向(矢印S方向;副走査方向)と略直交する方向(矢印M方向;主走査方向)に記録紙16の全幅Wmに対応する長さ以上のノズル列を構成する形態は本例
に限定されない。例えば、図2(a) の構成に代えて、図3に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙16の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
【0046】
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており(図2(a),(b) 参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル51への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)54が設けられている。なお、圧力室52の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
【0047】
図4に示したように、各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。共通流路55はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路55を介して各圧力室52に分配供給される。
【0048】
圧力室52の一部の面(図4において天面)を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)56には個別電極57を備えたアクチュエータ58が接合されている。個別電極57と共通電極間に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ58が変形して圧力室52の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル51からインクが吐出される。なお、アクチュエータ58には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電体を用いた圧電素子が好適に用いられる。インク吐出後、アクチュエータ58の変位が元に戻る際に、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に再充填される。
【0049】
入力画像から生成されるドット配置データに応じて各ノズル51に対応したアクチュエータ58の駆動を制御することにより、ノズル51からインク滴を吐出させることができる。記録紙16を一定の速度で副走査方向に搬送しながら、その搬送速度に合わせて各ノズル51のインク吐出タイミングを制御することによって、記録紙16上に所望の画像を記録することができる。
【0050】
上述した構造を有するインク室ユニット53を図5に示す如く主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度ψを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで斜めの格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
【0051】
即ち、主走査方向に対してある角度ψの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPNはd× cosψとなり、主走査方向については、実質的に各ノズル51が一定のピッチPNで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。
【0052】
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズ
ルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
【0053】
特に、図5に示すようなマトリクス状に配置されたノズル51を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。即ち、ノズル51-11 、51-12 、51-13 、51-14 、51-15 、51-16 を1つのブロックとし(他にはノズル51-21 、…、51-26を1つのブロック、ノズル51-31 、…、51-36を1つのブロック、…として)、記録紙16の搬送速度に応じてノズル51-11 、51-12 、…、51-16を順次駆動することで記録紙16の幅方向に1ラインを印字する。
【0054】
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
【0055】
そして、上述の主走査によって記録される1ライン(或いは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。即ち、本実施形態では、記録紙16の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
【0056】
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ58の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
【0057】
〔制御系の説明〕
図6は、インクジェット記録装置10のシステム構成を示すブロック図である。同図に示したように、インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ74、ROM75、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84等を備えている。
【0058】
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部(画像入力部)である。通信インターフェース70にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
【0059】
ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
【0060】
システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構
成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御し、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像メモリ74及びROM75の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
【0061】
ROM75には、システムコントローラ72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。ROM75は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。画像メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
【0062】
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示に従って搬送系のモータ88を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示に従って後乾燥部42等のヒータ89を駆動するドライバである。
【0063】
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データ(元画像のデータ) から印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ84に供給する制御部である。
【0064】
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図6において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、画像メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
【0065】
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース70を介して外部から入力され、画像メモリ74に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの画像データが画像メモリ74に記憶される。
【0066】
インクジェット記録装置10では、インク(色材) による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、画像メモリ74に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ72を介してプリント制御部80に送られ、該プリント制御部80において閾値マトリクスや誤差拡散などを用いたハーフトーン化処理によってインク色ごとのドットデータに変換される。
【0067】
即ち、プリント制御部80は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部80で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ82に蓄えられる。
【0068】
ヘッドドライバ84は、プリント制御部80から与えられる印字データ(即ち、画像バッファメモリ82に記憶されたドットデータ)に基づき、ヘッド50の各ノズル51に対応するアクチュエータ58を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ84にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
【0069】
ヘッドドライバ84から出力された駆動信号がヘッド50に加えられることによって、該当するノズル51からインクが吐出される。記録紙16の搬送速度に同期してヘッド50からのインク吐出を制御することにより、記録紙16上に画像が形成される。
【0070】
上記のように、プリント制御部80における所要の信号処理を経て生成されたドットデータに基づき、ヘッドドライバ84を介して各ノズルからのインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
【0071】
また、プリント制御部80は、後述するドット位置測定方法によって取得されるドット位置の情報等に基づいてヘッド50に対する各種補正を行うとともに、必要に応じて予備吐出やノズル吸引、ワイピング等のクリーニング動作(ノズル回復動作)を実施する制御を行う。
【0072】
<ドット位置測定方法の説明>
次に、本実施形態に係るドット位置測定方法について詳細に説明する。
【0073】
図7はフルラインヘッドの模式図である。同図では、図示の簡略化のために、複数のノズル51が1列に並んだヘッド50を示すが、図2乃至図5で説明したように、複数のノズルが2次元配列されてなるマトリクスヘッドについて当然に適用できる。即ち、2次元配列のノズル群は主走査方向に沿う直線上に正射影される実質的なノズル列を考慮することにより、1列のノズル列と実質的に同等のものとして取り扱うことができる。
【0074】
図8(a)はラインヘッドのノズルから打滴されたインク滴が吐出方向のバラツキによって、着弾位置が理想的な位置に対してバラツク様子を示している。図8(b)は(a)に示した特性を持つヘッド50を使用して記録紙16上に副走査方向のラインを描画したときの例である。ヘッド50のノズル51から記録紙16に向けて液滴を吐出しつつ、記録紙16を搬送することにより、記録紙16上にインク滴が着弾し、図8(b)のように、各ノズル51からの着弾インクによるドット90がライン状に並んだドット列(ライン92)が形成される。図8(c)は(b)のライン92を簡略化して示したものである。以下、図示の便宜上、連続打滴の着弾ドット列によるライン92は、図8(c)のような記載を用いる。
【0075】
図8(b)(c)に示したように、各ライン92はそれぞれ1つのノズル51から連続的な打滴で形成される。高記録密度のラインヘッドの場合、全ノズルから同時に打滴すると隣接ノズルによるドット同士が部分的に重なり合うため、1ドット列のラインにはならない。それぞれのライン92が互いに重なり合わないようにするため、同時吐出するノズル間は少なくとも1ノズル、好ましくは3ノズル以上、間隔をあけることが望ましい。なお、図8では、図示の都合上、同時吐出するノズル間に2ノズルの間隔をあけた様子を図示した。
【0076】
図8から明らかなように、ヘッドの特性によるドット着弾位置に応じてライン位置が変わっている。つまり、各ノズルの着弾位置を測定することは、ラインの位置を測定することに等しいことが分かる。
【0077】
<ドット位置測定用ラインパターンの例>
図9は本発明の実施形態で使用するドット位置測定用のラインパターンの全体図である。ヘッド50における全ノズル51についてラインを得るためには、例えば、図9のようなラインパターンのサンプルチャート(測定用チャート)を形成する。
【0078】
図示のチャートは、複数のラインブロック(ここでは、5段のラインブロック0〜4を図示)を含む。ラインブロックは、一定間隔のノズルを用いてラインを描画した複数のライン(ライン群)からなるブロックである。
【0079】
図8のラインヘッドで左端から順にノズル番号を0,1,2,3…とする。図9に示したラインブロック0は、ノズル番号0、4、8のように「4N+0」のノズル番号からなるラインブロック(4の倍数に対応するノズル番号を持つノズルによって形成されるライン群のブロック)である(ただし、Nは0以上の整数)。ラインブロック1はノズル番号1、5、9…のように「4N+1」のノズル番号からなるラインブロックである。ラインブロック2は「4N+2」、ラインブロック3は「4N+3」のノズル番号からなるラインブロックである。ラインブロック4は基準ラインブロックであり、ラインブロック0からラインブロック3と同じノズル番号を略均等に含む。
【0080】
本例のラインブロック4は「5N+0」のノズル番号からなる(ノズル番号0、5、10、15、20、‥)。ラインブロック0とラインブロック4では、ノズル番号0、20、40、60、‥が同じノズル番号である。ラインブロック1とラインブロック4では、ノズル番号5、25、45、65、‥が同じノズル番号である。ラインブロック2とラインブロック4では、ノズル番号10、30、50、70、‥が同じノズル番号である。ラインブロック3とラインブロック4では、ノズル番号15、35、55、75、‥が同じノズル番号である。このように同じノズルから打滴され離れた位置にラインを形成している。このラインブロック0とラインブロック4の共通するノズル番号のライン位置を利用して、ラインパターンを読み取ったときの回転角を補正する。
【0081】
ラインブロック0とラインブロック4(基準ラインブロック)と同じノズル番号のライン測定位置(ノズル番号0、20、40、60、80、‥)を用いて、ラインブロック0の測定位置を補正する補正関数を決定し、ラインブロック0の測定位置を前記決定したラインブロック0の測定位置を補正する補正関数で変換する。ラインブロック1とラインブロック4(基準ラインブロック)と同じノズル番号のライン測定位置(ノズル番号5、25、45、65、‥)を用いて、ラインブロック1の測定位置を補正する補正関数を決定し、ラインブロック1の測定位置を前記決定したラインブロック1の測定位置を補正する補正関数で変換する。ラインブロック2、ラインブロック3についても同様の補正(変換)を行う(説明は省略する)。
【0082】
本実施形態では4N+M(M=0、1、2、3)の例を説明するが4倍数に限定されない。AN+B(B=0、1、…A−1)、Aは2以上の整数について適応可能である。
【0083】
ラインブロック4に相当する基準ラインブロックはCN+D(C≠A、CとAは公約数を1以外に持たない。D=0、1、C−1のどれでもよい)の形式で、A×Cの値が共通するノズル番号の周期になる。
【0084】
図9の例では、ラインブロック0から3までで、1ヘッドの全てのノズルに対応したラインが形成される。
【0085】
即ち、ラインヘッドにおいて、実質的に主走査方向に沿って1列に並ぶノズル列(正射影によって得られる実質的なノズル列)を構成するノズルに、その主走査方向の端から順番にノズル番号を付与したとき、例えば、4N+0、4N+1、4N+2、4N+3のノズル番号のグループ(ブロック)ごとに打滴タイミングを変えて、それぞれライン群(いわゆる「1オンnオフ」タイプのラインパターン)を形成する。
【0086】
これにより、図9に示すように、各ブロック内で隣接ライン同士が重なり合わず、全ノズルについて独立したラインを形成できる(いわゆる「1オンnオフ」タイプのラインパターン)。CMYKの各インク色に対応するヘッドについて図9のようなラインブロック群が形成される。
【0087】
<測定用ラインパターンの読み取りに関する課題について>
近年、用紙幅の大型化、ラインヘッドの高密度化が進むに従い、測定対象のノズル数は数万以上にもなる。例えば、記録幅11インチ、解像度1200DPIでは1インク当り、13200ノズルであり、CMYKの4インクでは合計52800のノズル数となる。このような多数のノズルを持つヘッドについて、高速、高精度、且つ低コストな着弾位置の測定方法が必要とされている。
【0088】
具体的に1200DPIの画像描画装置を例に考察すると、1200DPIの記録格子間隔は21.17μmであり、隙間無くドットを打滴するためにはドット径は21.17×√2以上必要であるから、ドット径は約30〜40μm必要になる。
【0089】
スキャナ装置は高解像度タイプでも4800DPIが市販機のほぼ上限で、そのときのスキャナ装置の読み取り格子間隔は約5.29μmである。ドット径と対比すると高々6〜8画素から着弾位置を決定しなければならない。2400DPIでは更にその半分である。着弾位置精度を向上させるには読取装置(スキャナ装置)の解像度を高解像度化することが望ましいが、読取装置の高解像度化には、(1)読み取り画像データの大きさの問題、(2)読み取りが一回で終了しない問題がある。
【0090】
例えば、読み取り解像度4800DPI、着弾位置精度測定サンプルの大きさをA3サイズと仮定すると、A3読み取り範囲:11.5インチ×15.5インチ、カラー画像:RGB3チャンネル各8ビットとして、読み取り画像のデータ量は合計で12.3GBである。読み取り解像度が2400DPIとしても3.08GBである。このような大きさのデータはハードディスク装置(HDD)に書き込みだけでも長い時間が掛かる。
【0091】
また、現状の市販スキャナでは最高解像度(例えば、A4スキャナにおいて4800DPI、A3スキャナにおいて2400DPI)で読み取る範囲に制限があるので、最大読み取り範囲を一度に読み取ることができない。したがって、最大読み取り範囲を短冊状に分割して読み取る必要がある。
【0092】
このように、1枚の画像を分割して読み取る場合、スキャナの初期動作(明暗補正を行う時間、読み取り指定位置までの移動時間)に必要な時間がその都度掛かる。一般的には、分割した読み取り領域に対応するデータ相互間の整合性を確保するために、読み取り範囲にはオーバーラップする領域が追加で必要になる。画像データとしてオーバーラップ領域分の容量が余分に必要であり、読み取り時間もオーバーラップ領域の分余分に長くなる。一般的には読み取り範囲全域に対する分割数が増大するにつれて、読み取り範囲に対するオーバーラップ領域の比率が大きくなる。画像データを小さくして処理や書き込み時間を減らす工夫をしたとしても、分割には画像データ容量の増大と読み取り時間の増加の問題が発生する。
【0093】
特許文献1、2に開示されている技術は、読み取り時の主副解像度が同じためにこの技術を用いた場合、画像が一度に読み取れない、又は、処理対象の画像サイズが大きいため処理時間が長くなる問題がある。
【0094】
このような課題に鑑み、本実施形態では以下の手段によって高速、且つ高精度の読み取りと、読み取り画像のデータ容量の低減を達成する。
【0095】
<本実施形態における測定用ラインパターンの読み取り>
図10はドット位置測定用ラインパターンをスキャナで読み取るときのスキャナ主走査方向と副走査方向の関係を説明する図である。図10のようにラインブロック内におけるライン92の並び方向をスキャナ主走査方向に、ライン92の長さ方向(長手方向)をスキャナ副走査方向に合わせてドット位置測定用ラインパターンを読み取る。
【0096】
図11はスキャナ座標系(読み取り座標系)とドット位置測定用ラインパターンの関係を説明する図である。スキャナは主走査方向を高解像度(高精度)に設定、スキャナ副走査方向は低解像度に設定して読み取る。例えば、画像形成装置の記録解像度が1200DPIのとき、スキャナの主走査解像度はサンプリング定理から2400DPI以上が好ましく、副走査解像度はこれよりも大幅に低解像度の200DPI以下が好ましい。副走査解像度の下限はラインの長さと上記AN+BのAの設定に基づいて変わるが、スキャナ装置の動作する範囲であれば、100DPIもしくは50DPIでも構わない。
【0097】
スキャナによる読取解像度の好ましい条件の目安として、副走査方向の読取解像度は、主走査方向の読取解像度の1/10以下、かつ1/60以上の範囲とする。
【0098】
プリンタ装置が1200DPIである場合、読取解像度は主走査方向2400DPI、副走査解像度50〜200DPIが好ましい。
【0099】
主走査解像度は必要な測定精度によって異なる。例として誤差σ<0.4(μm)以下の場合、主走査2400DPI、副走査200DPI以下が望ましい。解像度の下限はサンプルチャートの1オンNオフの段数(N+1段)と1段当たりのライン長LをNL画素で読み取る、という条件から決まる。
【0100】
なお、サンプルチャートの(N+1段)は1枚の記録用紙に収まり、且つ1回の読み取り動作で読み取り可能であることも制約条件となる。
【0101】
すなわち、以下の関係(式1,式2)を満たすことが条件となる。
【0102】
[式1](N+1)×L>(N+1)×NL/副走査解像度
且つ
[式2]A3ないしA4サイズ用紙の縦方向の長さ>(N+1)×L
ここで、NLは後述する画像平均化領域ROIのY方向の画素数とROIの数と各ROIのY方向のズレ量で決まるため、NLは次式[式3]となる。
【0103】
[式3]
NL=(ROIのY方向の画素数)+(ROIの数−1)×(ROIのズレ量)
仮に、(ROIのY方向の画素数)=10画素、(ROIの数)=4、(ROIのズレ量)=2画素とすると、[式3]より、
NL=10+(4−1)×2=16(画素)
N=4、L=2(インチ)とすると、[式1]より
副走査解像度>{(N+1)×NL}/{(N+1)×L}なので、
副走査解像度>(NL/L)=16/2=8(DPI)
となる。
【0104】
別の例として、Nを16とすると、Lは0.6(インチ)
副走査解像度>16/0.6=26(DPI)
となる。
【0105】
図11に示したスキャナ座標格子の各セル(符号96)は、スキャナ装置における1つの読取画素が捉える領域(1画素のアパーチャ)を示している。同図では、図示の便宜上、スキャナ主走査画素サイズ(PX)に対して、スキャナ副走査画素サイズ(PY)が約2倍程度の比率の長方形で描かれているが、実際の画素の縦横比率は、スキャナの主走査解像度と副走査解像度の関係を反映したものとなる。
【0106】
なお、読み取り対象となるドット位置測定用ラインパターンのプリント物をスキャナ装置(フラットベッド)に置くとき、注意深く置いても、ドット位置測定用ラインパターンとスキャナ読み取り座標系の間に回転角(θ)ができてしまう。
【0107】
この回転角を補正しない場合、ラインパターンの高さに応じてラインブロック間に一定の誤差が生じる。このため、本実施形態ではこの回転角の補正を行う処理を実施する。回転角補正の詳細は後述する(図13のステップS108)。
【0108】
図12はスキャナ装置で読み取った画像上(スキャナ画素を正方として表現している)のドット位置測定用ラインパターンを示す。画像データ上のX座標をスキャナ主走査方向、画像データ上のY座標をスキャナ副走査方向とする。
【0109】
<読み取り画像データの解析>
図13は、ドット位置測定の流れを示すフローチャートである。同図の測定フローの開始に先立ち、図9で説明したとおり、インクジェットヘッドの各ノズルから記録紙16上に測定対象のインクを打滴しつつ、ヘッド50と記録紙16を相対的に移動させ、各ノズル51から打滴されるインクにより、各ノズルに対応するドット列によるラインパターンを記録紙16上に形成する。つまり、測定対象のインクを用いてラインパターンを形成したサンプルチャート(測定用チャート)を形成する。
【0110】
そして、上記得られたラインパターンを画像読取装置(スキャナ)で読み取る(図13のステップS102)。このとき、図10で説明したように、ライン長さ方向をスキャナの副走査方向に、ライン並び方向をスキャナの主走査方向に置き、主走査方向を高解像度、副走査方向を低解像度でラインパターンを撮像する。なお、スキャナ(不図示)は、R(赤),G(緑),B(青)の各色のカラーフィルタを備えたRGB毎の受光素子列を有する3ラインセンサ(いわゆるRGBラインセンサ)を備え、サンプルチャートの全面(すべてのラインブロック)を電子画像データとして取り込む。
【0111】
次いで、測定対象インクに合わせて読み取り画像のカラーを選択する(図13のステップS104)。即ち、ラインパターン上のインクに応じて撮像画像のカラーチャンネルを設定する。インクカラーがシアン(C)インクのときにはRチャンネル(レッドチャンネル)、マゼンタ(M)インクのときはGチャンネル(グリーンチャンネル)、イエロー(Y)インクのときはBチャンネル(ブルーチャンネル)とする。ブラックインクのときはGチャンネルが望ましいが、Rチャンネルでも良い。他の二次色インクや特色インクの場合、記録紙16上に記録されたインクの分光反射率とスキャナのカラーチャンネルの分光感度の関係とに基づいて、測定対象インクを撮像したときに、スキャナのカラーチャンネルのなかで最も高コントラストに読み取れるチャンネルを選択する。つまり、1インク色について1チャンネルで処理を行う。
【0112】
次いで、読み取った画像データ上のラインブロック位置を検出し、各ラインブロック毎に、それぞれのライン位置を測定する(ステップS106)。このステップS106におけるラインブロック内位置測定フローを図14に示す。
【0113】
〔ラインブロック内位置測定〕
図14のラインブロック内位置測定フローが開始すると、各ラインブロックに対して画像平均化領域ROI(Region Of Interest)を所定数設定する(ステップS202)。即ち、図15に示すように1つのラインブロックに対して複数のROI(Region OfInterest)を設定する。ROIは、演算対象とするラインブロックの一部分を切り出す所定形状(図15では矩形)の領域を特定するものであり、図15では、4つのROI1、ROI2、ROI3、ROI4を設定した例を示した。このとき各ROIはY方向に一定間隔ズラして設定する。例えば、一定間隔の2画素ずらす場合、ROI2はROI1に対してY方向に2画素ずらし、ROI3はROI1に対して4画素ずらし、ROI4はROI1に対して6画素ずらす。X方向に関してはラインをROIから外さなければ、各ROIをずらす必要はない。ただし、図15では、図示の便宜上、X方向に関しても一定間隔でずらし、ROI1〜ROI4の記載の重なりを回避している。
【0114】
こうして、設定した各ROI毎にライン位置を測定する(図14のステップS204)。即ち、図16及び図17に示すフローチャートにしたがいX座標を決定する。Y座標は各ROI1〜4のY方向の中心位置を使用する。
【0115】
図16はROI内のライン位置測定フローである。図16のラインブロック内位置測定フローが開始すると、まず、ROI内を所定方向、ここでは、スキャナ副走査方向(Y座標方向)に画像信号を平均化して平均プロファイル画像を作成する(ステップS302)。
【0116】
図18(a)は演算対象とする1つのROIの例であり、同(b)は(a)に示すROIをライン長さ方向(図中の下向き矢印方向)に画像信号を平均化して得た平均プロファイル画像である。なお、図18(b)において、横軸は画像データのX方向位置(画素位置)を表し、縦軸は読み取った画像データの階調値を表す。ここでは、インクによるドットの濃度が高いほど階調値が小さい値となっており、ドットが存在しない部分(記録紙16の白地部分)は階調値が大きい値となっている。
【0117】
図18(a)のようにドット位置測定用ラインパターンにゴミ94の付着があったり、ライン92にサテライト95(インク吐出時に主液滴から分離したサテライト滴と呼ばれる副液滴が発生し、このサテライト滴が記録紙16上の主液滴と異なる位置に付着したもの)が発生していても、ライン長さ方向(図中下向き矢印方向)に平均化することでゴミ94のコントラストは低下し、サテライト95によるプロファイル画像の歪みは低減する(図18(b)参照)。
【0118】
続いて、この作成した平均プロファイル画像を所定のフィルタで平滑化し、フィルタ処理したプロファイル画像(X座標方向)を作成する(図16のステップS304)。図19は平均化したプロファイル画像に対してフィルタ処理を行い、更にゴミのコントラストを低下し、サテライトによる歪みを低減した結果である。フィルタとしては対称形の5から9タップ程度のリニアフィルタが処理速度や効果の観点で好ましい。
【0119】
フィルタ処理した結果、短周期の歪みは補正されるが、図20のようにスキャナ読み取り時のシェーディング(照明の明暗変動等)に起因する長周期の階調値の変動は依然として残る。このようなシェーディングは階調値に基づいてライン位置を決定するアルゴリズムでは、位置誤差の重大な原因となる。このため上記フィルタ処理(図16のステップS304)に続いて、フィルタ処理後の平均プロファイル画像に対してW(ホワイト、白地)/B(ブラック、インク)補正を行う(図16のステップS306)。
【0120】
図17にW/B補正処理フローを示す。図17のW/B補正処理フローが開始すると、フィルタ処理後のプロファイル画像において各ラインにW(ホワイト、白地)区間とB(ブラック、インク)区間を設定し(ステップS402)、各W区間とB区間毎にそれぞれ代表値を決定する(ステップS404)。
【0121】
図21はフィルタ処理したプロファイル画像に対してW(ホワイト、白地)区間とB(ブラック、インク)区間を設定した様子を示している。このようなW区間B区間はプロファイルグラフを判別分析法などを使用して2値化処理し、2値化処理した結果を更にモフォロジー処理(太らせ処理を所定回数、細らせ処理を同所定回数)した結果に対して、黒画素をB区間、白画素をW区間とすることで設定できる。各B区間はプロファイル画像の谷(極小値)部分を含み、各W区間はプロファイル画像の山(極大値)部分を含むものとして設定される。黒画素に対して所定画素数分前後に増加してB区間、白画素に対して前後に所定画素増加してW区間としても良い。
【0122】
このようにして決定したW区間において、フィルタ処理したプロファイル画像に対して、W区間を代表する階調値と位置を決定する。代表値は、例えば、W区間内の最大値を用いる。W区間の位置はW区間の中心位置を用いる。各W区間Wi(i=0,1,2…)に対して、代表する階調値WLiと位置WXiを決定する。
【0123】
同様に、B区間において、フィルタ処理したプロファイル画像に対して、B区間を代表する階調値と位置を決定する。代表値は、例えば、B区間内の最小値を用いる。B区間の位置はB区間の中心位置を用いる。各B区間Bi(i=0,1,2…)に対して、代表する階調値BLiと位置BXiを決定する。
【0124】
こうして求めたW区間毎の代表値とB区間毎の代表値に基づいて、フィルタ処理後のプロファイル画像の階調値を補正する(図17のステップS406)。なお、W区間は「非記録領域」、B区間は「記録領域」に対応している。
【0125】
<W/B補正処理>
フィルタ処理したプロファイル画像に対して、各位置Xと階調値Lを以下のように補正する。即ち、決定したW区間の代表値WLiとWXiを線形補間して任意のXに対して推定値WLを求める。また、決定したB区間の代表値BLiとBXiを線形補間して任意のXに対して推定値BLを求める。
【0126】
W/B補正後の白階調値をW0、黒階調値をB0とすると、
L´=補正係数K(L−BL)+B0
補正係数K=(W0−B0)/(WL−BL)
つまり、入力値がWLのとき出力値がW0に、入力値がBLのときに出力値がB0になるように線形変換する。
【0127】
こうしてW/Bのレベルを補正する処理(ステップS406)を終えたら、図17のサブルーチンを抜けて、図16のROI内ライン位置測定フローに復帰し、図16のステップS308に進む。ステップS308では、W/B補正したプロファイル画像において、所定の階調値(エッジ閾値階調値)に一致するエッジ位置(X座標)を各ラインにつき2箇所(左右)決定する。
【0128】
図22はW/B補正した結果のプロファイル画像において、エッジを規定する閾値ETHとなる位置をラインに対して前後2箇所(図22における左側のエッジ位置EGL、右側のエッジ位置EGR)決定する様子を示している。
【0129】
W/B補正した結果のプロファイル画像と閾値ETHは正確に一致しない場合、公知の補間アルゴリズムを使用してエッジ位置を決定する。公知の補間アルゴリズムとしては線形補間やスプライン補間、キュービック補間が適用できる。
【0130】
次いで、各ラインにおいて2箇所決定したエッジ位置をライン毎に平均化してその平均値をライン位置(X座標)として決定する(図16のステップS310)。また、ROIのY座標方向の中心座標をライン位置のY座標として決定する。即ち、Y座標は各ROIのY方向の中心位置を使用する。
【0131】
このようにして、ROIに対応するライン位置を決定した後、図16のサブルーチンを抜けて、図14のラインブロック内位置測定フローに復帰し、図14のステップS206に進む。ステップS206では、複数のROI(ROI1〜ROI4)について、各ROIで測定したライン位置を平均化した位置をラインブロックに対応するライン位置(X座標、Y座標)として決定する。こうして、各ラインブロックについて、同様の処理を行い、各ラインブロック毎にライン位置を測定する。
【0132】
なお、各ライン位置の特定方法については、上述した両端エッジ位置から求める手法に限らず、例えば、プロファイル画像の極値から求めるなど、他の演算方法を適用してもよい。
【0133】
<物理値変換>
上記のようにして求めたライン位置の情報は、スキャナ座標系の画素位置に対応するものなので、この画素位置を物理的な単位(例えば、μm単位)に変換する。即ち、ライン位置を主走査解像度、副走査解像度に応じた係数を乗じて物理値に変換する。
【0134】
例えば、主走査読取解像度が2400DPIの場合、係数は25400/2400(μm/Dot)である。副走査読取解像度が200DPIの場合、係数は25400/200(μm/Dot)である。かかる係数を用いて、画素位置をμm単位の物理値に変換する演算を行う。
【0135】
この物理値変換は、図13のステップS108による回転補正を行う前に、主副解像度の違いを補正する目的で実施する。
【0136】
なお、画像データ上における画素の座標系から実際の記録媒体上の座標系への変換は上記のような係数による換算式によって定義されるため、どちらの座標系で演算を進めるか、また、どの演算段階で座標変換を行うか、については任意性がある。
【0137】
<回転角の補正について>
図23は100μm間隔に正確に製作された校正用ラインブロックを読み取り、ROI1とROI2で決定したライン位置(X座標)をライン間隔に変換した結果である。なお、中心値が100μmから若干ずれているのはラインブロックの回転角を補正していないためである。
【0138】
図24は図23と同じ100μm間隔に正確に製作された校正用ラインブロックを読み取り、ROI1からROI4を平均したライン位置(X座標)をライン間隔に変換した結果である。図24と図23を比較すると明らかなように、図24ではライン間隔のバラツキが低減して間隔が一定値に近づいていることが分かる。つまり、規則的に一定間隔でずらした複数のROIで決定したライン位置を平均化することの優れた効果が分かる。
【0139】
上記のように、各ラインブロックについて、複数のROIで測定したライン位置を平均してラインブロックのライン位置を決定し、図14のステップS206の処理を終えると、図14のサブルーチンを抜けて、図13の全体フローに復帰し、図13のステップS108に進む。
【0140】
ステップS108の回転角補正処理のフローチャートを図25に示す。図25の回転角補正処理フローが開始すると、回転補正用ラインブロックに基づいて回転角を決定する(ステップS502)。即ち、測定用チャートに含まれるラインブロックのライン位置のうち、異なるラインブロックに属するが、同じノズルから形成されたラインの位置座標(ステップS106の工程で決定したライン位置(X座標、Y座標))に基づいてラインパターンとスキャナ読み取り座標との回転角(図11のθ参照)を求める。そして、この求めた回転角(θ)に基づいて各ラインブロックの位置(即ち、各ライン位置)を回転補正する(ステップS504)。
【0141】
<回転角の算出及び回転角補正>
本例の場合、回転補正用のラインブロックとして、図9におけるラインブロック0とラインブロック4を用いる。図14のステップS206で説明したように、ラインブロック0からラインブロック4までのライン位置を決定した後で、ラインブロック0とラインブロック4において同じノズルから作成したライン位置の座標をピックアップする。
【0142】
この例ではラインブロック0とラインブロック4は、ノズル番号0、20、40、60、…が同じノズルでラインを作成しているので、これら共通のノズル番号に対応するライン位置が利用できる。
【0143】
ラインブロック0に属するノズル番号0のライン位置をP0@LB0=(x0_LB0, y0_LB0) とし、ラインブロック4に属するノズル番号0のライン位置をP0@LB4=(x0_LB4, y0_LB4)とする。
【0144】
これら2つの位置の成す角度θ0は、ΔY0=y0_LB4 − y0_LB0、ΔX0=x0_LB4 − x0_LB0として、tanθ0=ΔY/ΔXの関係から求められる。
【0145】
他のノズル番号、ノズル20、ノズル40、ノズル60、等についても同様にθ20、θ40、θ60、等を求め、その平均値を回転角θとして決定する。このようにして決定したθを用いて回転補正を行う。
【0146】
ラインブロック0からラインブロック3までの各ライン位置(x、y)を回転マトリクスR(−θ)で変換して回転角をキャンセルしたライン位置(x´、y´)を求める。
【0147】
このようにして、回転角の補正処理を行った後、図25のサブルーチンを抜けて、図13の全体フローに復帰し、図13のステップS110に進む。
【0148】
回転角補正処理後の測定値であっても、スキャナ要因等によるオフセット的な誤差が残っている(図30参照)。そのため、図13のステップS110ではラインブロック間の位置補正処理を行う。このラインブロック位置補正処理(ステップS110)のフローチャートを図26に示す。図26のラインブロック位置補正処理フローが開始すると、まず、各ラインブロックに対してそれぞれ基準ラインブロックと共通するノズルにより形成されたラインを抽出し、この抽出したラインについて、基準ラインブロックの測定位置(X座標)を出力値、各ラインブロック測定位置(X座標)を入力値とする補正関数を各ラインブロック毎に公知の方法(最小自乗法)を用いて決定する(ステップS602)。こうして、各ラインブロックについて補正関数を得る。
【0149】
次いで、各ラインブロックの全ての測定位置(X座標)を、求めた対応する補正関数を用いて変換する(ステップS604)。求めるドット位置は、補正関数で変換後のX座標である。
【0150】
<ラインブロック位置補正>
ここで、ラインブロック間の位置補正について具体例で説明する。ラインブロック0からラインブロック3をそれぞれ位置補正するが、ここでは、ラインブロック0について説明する。
【0151】
ラインブロック0とラインブロック4(基準ラインブロック)と同じノズル番号のライン測定位置(ノズル番号0、20、40、60、80、‥)を抽出する。
【0152】
ラインブロック0の測定位置(X座標)を、lb0_x0, lb0_x4, lb0_ x8, ....、とする。
【0153】
ラインブロック4の測定位置(X座標)を、lb4_x0, lb4_x20, lb4_ x40, ....、とする。
【0154】
両ブロックに共通するノズル番号の測定位置は、以下の通りである。
【0155】
X= {lb0_x0, lb0_x20, lb0_x40, lb0_x60, ..}
Y= {lb4_x0, lb4_x20, lb4_x40, lb4_x60, ...}
これら共通するノズル番号の位置を用いて、y = f0(x) となる補正関数f0を決定する。
【0156】
補正関数は、スキャナの変動要因がオフセット的な要因だけであれば、Y= X +a0(0次関数)について、a0を最小自乗法で決定すればよく、キャリッジの微小な回転が問題になる場合は、
Y= a1×X +a0 (1次関数)について、a0, a1を最小自乗法で決定する。用紙変形については変形に即した補正関数を用いてればよい。用紙変形とスキャナ要因が複合している場合は、用紙変形モデル×スキャナ変形モデルを補正関数に選べばよい。
【0157】
一般的にはY= Σai×X^i ( i= 0,..n) の多項式を用いることができる。なお、式中の「^」の記号は累乗(巾)の演算を表す。
【0158】
このようにして決定した補正関数f0(x)を用いて、ラインブロック0の測定位置(X座標){ lb0_x0, lb0_x4, lb0_ x8, ....}を変換する。
【0159】
ラインブロック1とラインブロック4についても同様に、両ブロックに共通するノズル番号の測定位置から補正関数f1(x)を決定し、決定した補正関数f1(x)を用いて、ラインブロック1の測定位置(X座標){ lb1_x1, lb1_x5, lb1_ x9, ....}を変換する。
【0160】
ラインブロック2、3についても同様に、それぞれ補正関数f2(x)、f3(x)を決定し、決定した補正関数f2(x)、f3(x)を用いて、それぞれのラインブロック2,3の測定位置(X座標)を変換する。
【0161】
このようにして、同一の基準ラインブロックの位置を基準にして、各ラインブロックの位置を補正するので、ラインブロック相互の位置誤差を低減することが可能になる。また、用紙変形についても変形の度合いがラインブロック0からラインブロック3で異なっていても、基準ラインブロックを基準に補正されるので用紙変形による測定誤差を低減することが可能になる。
【0162】
<ドット位置の決定>
上記補正したライン位置のX座標がノズル番号に対応するドット位置である。このようにして各ノズルからのドットの着弾位置のばらつき情報を得て、ムラ補正などの演算処理に利用することができる。
【0163】
<更なる測定精度向上の工夫>
基準となるラインブロック4については特に精度を向上させる目的で、ROIの多重度を増大したり、ライン長さを長くして平均範囲を広げたりすることは好適である。また、ラインブロック4(基準ラインブロック)を測定用チャート内に複数配置して、複数の測定結果を統計処理した位置を基準ラインブロックの位置として使用することは、スキャナのローカリティの影響を低減する効果がある。
【0164】
<本実施形態の作用効果について>
本実施形態では、測定対象のテストパターン上のドット着弾位置方向と、スキャナ装置の主走査方向を同じ方向にして(図10)、スキャナの読み取り解像度を主走査方向に対して副走査方向を粗くして読み取る(図11)。これによって市販スキャナでもA3全面を一度に高速に読み取りが可能になり、測定時間が短縮される効果がある。
【0165】
また、読み取った画像データ量が約257MB程度(主走査2400DPI、副走査200DPIの場合)と小さくなるので、データ処理時間が大幅に短縮され、処理に必要なコンピュータの性能を抑えられるという効果がある。したがって、目標とする高精度なドット位置測定を比較的低コストで実現することができる。
【0166】
更に、本実施形態では、読み取った画像内のライン位置を決定するに際し、ラインの長手方向(スキャナ装置の副走査方向)を部分的に平均処理した平均プロファイル画像を作成し、平均プロファイル画像をフィルタリング処理する。既述した副走査方向の低解像度読み取りと、この平均化、フィルタリング処理によってインクの飛び散り(サテライト)やゴミのコントラストが相対的に低くなり、特別なゴミ除去の工夫が必要なくなる効果がある。
【0167】
また、平均化処理は同時に、平均化方向の不規則なノイズの影響を低減して階調値の信頼性を増大させ、階調値に基づいて位置を決定するアルゴリズムの精度を向上させる効果がある。フィルタリング処理は同時に、不規則なノイズ成分やサンプリング歪みを低減して、プロファイル画像を滑らかにしてライン位置に関する信頼性を向上させる効果がある。
【0168】
更に、平均化したプロファイル画像において、各ライン近傍の白地濃度とインク濃度に基づいて階調値を補正する処理(W/B補正処理)により、スキャナ装置のフレアや記録紙の散乱の影響によるプロファイル画像の歪みを補正し、同時にスキャナ装置の主走査方向のシェーディングを低減する効果がある。このように階調値を補正することで階調値に基づく位置精度を向上させることができる。
【0169】
また、本実施形態では、上記平均化プロファイルを計算する領域(ROI)をライン長手方向に一定量ずつズラして複数の平均化プロファイル画像を用いてライン位置を計算し、得られた複数のライン位置を平均化する。この処理により、読み取りラインとスキャナ装置の読取素子との相対的な位置関係(所謂サンプリング位相)を変化させて更にライン位置精度を向上させることができる。
【0170】
また、本実施形態では、測定対象のラインパターン上の各ラインブロックに対して、略均等に同じノズルから形成されたラインを含む基準ラインブロックを配置する(図7)。この基準ラインブロックを基準位置として、各ラインブロックの測定位置を補正し、スキャナのキャリッジ位置変動に起因する読み取り画像格子の乱れの影響を低減することができる。更に、この補正の仕組みによって、用紙変形の影響を低減した測定も可能である。
【0171】
<ドット位置測定装置の構成例>
次に、上述したドット位置測定方法の実施に用いるドット位置測定装置の構成例について説明する。本例のドット位置測定に用いる画像解析の処理アルゴリズムをコンピュータに実行させるプログラム(ドット位置測定処理プログラム)を作成し、このプログラムによってコンピュータを動作させることにより、当該コンピュータをドット計測装置の演算装置として機能させることができる。
【0172】
図27は、ドット位置測定装置の構成例を示すブロック図である。図示のドット位置測定装置200は、画像読取装置202としてのフラットベットスキャナーと、画像解析の演算等を行うコンピュータ210とから構成される。
【0173】
画像読取装置202は、測定用ラインパターンを撮像するRGBラインセンサを備えるとともに、該ラインセンサを読み取り走査方向(図10のスキャナ副走査方向)に移動させる走査機構及びラインセンサの駆動回路、センサの出力信号(撮像信号)をA/D変換して、所定フォーマットのデジタル画像データに変換する信号処理回路等を備えている。
【0174】
コンピュータ210は、本体212と、ディスプレイ(表示手段)214及びキーボードやマウスなど入力装置(各種の指示を入力するための入力手段)216から構成される。本体212内には中央演算処理装置(CPU)220、RAM222、ROM224、入力装置216からの信号入力を制御する入力制御部226、ディスプレイ214に対して表示用の信号を出力する表示制御部228、ハードディスク装置230、通信インターフェース232、及びメディアインターフェース234などを有し、これら各回路はバス236を介して相互に接続されている。
【0175】
CPU220は、全体の制御装置及び演算装置(演算手段)として機能する。RAM222は、データの一時記憶領域やCPU220によるプログラム実行時の作業用領域として利用される。ROM224は、CPU220を動作させるブートプログラムや各種設定値・ネットワーク接続情報などを記憶する書き換え可能な不揮発性の記憶手段である。ハードディスク装置230には、オペレーティングシステム(OS)や各種のアプリケーションソフト(プログラム)やデータ等が格納される。
【0176】
通信インターフェース232は、USB(Universal Serial Bus)やLAN、Bluetooth(登録商標)など所定の通信方式に従って外部機器や通信ネットワークに接続するための手段である。メディアインターフェース234は、メモリカードや磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスクに代表される外部記憶装置238の読み書き制御を行う手段である。
【0177】
本例では、通信インターフェース232を介して画像読取装置202とコンピュータ210とが接続され、画像読取装置202で読み取った撮像画像のデータがコンピュータ210に取り込まれる。なお、画像読取装置202によって取得された撮像画像のデータを外部記憶装置238に一旦記憶し、外部記憶装置238を通じて撮像画像データをコンピュータ210に取り込む構成も可能である。
【0178】
本発明の実施形態に係るドット位置測定方法における画像解析の処理プログラムは、ハードディスク装置230、或いは外部記憶装置238に格納されており、必要に応じて当該プログラムが読み出され、RAM222に展開されて実行される。或いは、通信インターフェース232を介して接続される不図示のネットワーク上に設置されたサーバによってプログラムが提供される態様も可能であるし、インターネット上のサーバによって本プログラムによる演算処理サービスを提供するという態様も考えられる。
【0179】
オペレータは、ディスプレイ214上に表示されるアプリケーションウインドウ(不図示)を見ながら入力装置216を操作して各種初期値の設定を入力することができるとともに、演算結果をディスプレイ214上で確認することができる。
【0180】
また、演算結果のデータ(計測結果)は、外部記憶装置238に記憶したり、通信インターフェース232を介して外部に出力したりすることができる。計測結果の情報は、通信インターフェース232又は外部記憶装置238を介してインクジェット記録装置に入力される。
【0181】
(変形例)
図27で説明したドット位置測定装置200の機能をインクジェット記録装置に組み込む構成も可能であり、測定用ラインパターンの印字からその読み取り、並びにその後の画像解析によるドット位置計測という一連の動作をインクジェット記録装置の制御プログラムによって連続的に実施する態様も可能である。
【0182】
例えば、図1で説明したインクジェット記録装置10における印字部12の後段に、印字結果を読み取るラインセンサ(印字検出部)を設け、このラインセンサによって測定用ラインパターンを読み取る態様が可能である。
【0183】
上記実施形態では、記録媒体の全幅に対応する長さのノズル列を有するページワイドのフルライン型ヘッドを用いたインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、シリアル型(シャトルスキャン型)ヘッドなど、短尺の記録ヘッドを移動させながら、複数回のヘッド走査により画像記録を行うインクジェット記録装置についても本発明を適用可能である。
【0184】
また、上述の説明では、記録ヘッドを用いる画像形成装置の一例としてインクジェット記録装置を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。インクジェット方式以外では、サーマル素子を記録素子とする記録ヘッドを備えた熱転写記録装置、LED素子を記録素子とする記録ヘッドを備えたLED電子写真プリンタ、LEDライン露光ヘッドを有する銀塩写真方式プリンタなど、ドット記録を行う各種方式の画像形成装置についても本発明を適用することが可能である。
【0185】
また、画像形成装置という用語の解釈においては、写真プリントやポスター印刷などのいわゆるグラフィック印刷の用途に限定されず、インクジェット技術を利用したレジスト印刷装置、電子回路基板の配線描画装置、微細構造物形成装置など、画像として把握できるパターンを形成し得る工業用途の装置も包含する。
【0186】
即ち、本発明は、記録ヘッドとして機能する液体吐出ヘッドを用いて機能液その他各種の液体を被吐出媒体(記録媒体)に向けて噴射する各種の装置(塗装装置、塗布装置、配線描画装置、微細構造物形成装置など)におけるドット着弾位置の測定技術として広く適用可能である。
【0187】
<付記>
上記に詳述した発明の実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
【0188】
(発明1):複数の記録素子を有する記録ヘッドと記録媒体を相対移動させながら、前記記録素子によってドットを連続して記録することにより、前記記録媒体上に各記録素子に対応したドット列による複数のラインを含んだ測定用ラインパターンを形成するラインパターン形成工程であって、前記記録ヘッドの前記相対移動の方向に直交する実質的な記録素子の並び方向に所定間隔離れた記録素子を用いて記録されるライン群で構成されるラインブロックを、前記記録媒体上において前記ラインの長手方向の異なる位置に複数形成してなる複数のラインブロックと、前記複数のラインブロックの各ラインブロックに対して、それぞれ同じ記録素子で記録されるラインを含んだ基準ラインブロックと、を有する前記測定用ラインパターンを形成する前記ラインパターン形成工程と、前記ラインパターン形成工程により前記記録媒体に形成された前記測定用ラインパターンを画像読取装置によって読み取るに際し、当該測定用ラインパターン上の前記ラインの長手方向を前記画像読取装置の副走査方向に向けて読み取りを行い、前記測定用ラインパターンの読取画像を表す電子画像データを取得する読取工程と、前記読取工程で取得した読取画像から前記複数のラインブロック及び前記基準ラインブロックの各ラインブロック内のライン位置を特定するラインブロック内位置特定工程と、前記ラインブロック内位置特定工程で求めた前記複数のラインブロックについてのライン位置を、前記基準ラインブロックに基づいて補正する位置補正工程と、を備えることを特徴とするドット位置測定方法。
【0189】
本発明によれば、画像読取装置のキャジリッジ位置変動等に起因する読取画像格子の乱れの絵依拠を低減することができるとともに、用紙変形の影響を低減した測定が可能である。
【0190】
(発明2):発明1に記載のドット位置測定方法において、前記基準ラインブロックには、前記複数のラインブロックに対して略均等に同じ記録素子により記録されたラインが含まれていることを特徴とするドット位置測定方法。
【0191】
各ラインブロックに対して、略均等に、同じ記録素子から形成されたラインを含む基準ラインブロックを配置する構成により、この基準ラインブロックを基準位置として、各ラインブロックの測定位置を精度よく補正することができる。
【0192】
(発明3):発明1又は2に記載のドット位置測定方法において、前記記録ヘッドの前記相対移動の方向に直交する幅方向に並ぶ実質的な記録素子列の端から記録素子番号i(i=0,1,2,3…)を付し、Aを2以上の整数、Bを0以上A−1以下の整数、Cを2以上の整数(ただし、C≠A、かつCとAは公約数を1以外に持たない)、Dを0以上C−1以下の整数、Nを0以上の整数とするとき、AN+Bの記録素子番号のグループごとに記録タイミングを異ならせて前記記録媒体上に形成された前記複数のラインブロックと、CN+Dの記録素子番号で形成された前記基準ブロックと、を含む前記測定用ラインパターンを形成することを特徴とするドット位置測定方法。
【0193】
かかる態様により、全ノズルに対応するラインを含んだ複数のラインパターンを形成できるとともに、各ラインブロックに対して、均等に同じ記録素子から形成されたラインを含む基準ラインブロックを形成することができる。
【0194】
(発明4):発明1乃至3のいずれか1項に記載のドット位置測定方法において、前記位置補正工程は、前記複数のラインブロックの各ラインブロックと、前記基準ラインブロックとの間で、同じ記録素子によって記録されたラインの位置を一致させる補正関数を求めて補正を行うことを特徴とするドット位置測定方法。
【0195】
補正関数としては、0次関数、1次関数、N次多項式関数などを適用できる。
【0196】
(発明5):発明1乃至4のいずれか1項に記載のドット位置測定方法において、前記読取工程は、前記画像読取装置の副走査方向の読取解像度を主走査方向の読取解像度に比べて低解像度として読み取りを行い、前記測定用ラインパターンの読取画像を表す電子画像データを取得することを特徴とするドット位置測定方法。
【0197】
本態様によれば、測定用ラインパターンについて、副走査方向を低解像度で読み取るため、読取画像のデータ容量が小さく、読み取り時間が速い。また、読取画像のデータ量が小さいことから、データ処理時間が短縮され、処理負荷も抑えられるという利点がある。
【0198】
(発明6):発明5に記載のドット位置測定方法において、前記主走査方向に並ぶ複数の前記ラインで構成される前記ラインブロックについて、前記読取画像上で前記副走査方向に画像信号を平均化する平均化領域を、同ラインブロック内の前記副走査方向の異なる位置に複数設定する領域設定工程と、前記異なる位置に設定された複数の前記平均化領域について、各平均化領域内で前記副走査方向に画像信号を平均化し、前記主走査方向の位置に応じた平均プロファイル画像を作成する平均プロファイル画像作成工程と、前記平均プロファイル画像から前記平均化領域内のライン位置を特定する平均化領域内位置特定工程と、を備え、前記ラインブロック内位置特定工程は、前記複数の平均化領域にそれぞれ対応した前記平均プロファイル画像から特定された前記平均化領域内のライン位置に基づいて、前記ラインブロック内の各ラインの位置を特定することを特徴とするドット位置測定方法。
【0199】
本態様によれば、副走査方向に位置の異なる複数の平均化領域から得た複数の平均プロファイル画像を用いてライン位置(即ち記録素子によって記録されるドットの位置)を決定するため、読み取り解像度に対して、非常に高精度なドット位置測定が可能である。
【0200】
(発明7):発明6に記載のドット位置測定方法において、前記平均プロファイル画像から前記ラインの両端エッジ位置をライン毎に特定するエッジ位置特定工程を備え、前記平均化領域内位置特定工程は、前記エッジ位置特定工程で特定した両端エッジ位置に基づいて、前記平均化領域内のライン位置を特定することを特徴とするドット位置測定方法。
【0201】
本態様により、ライン位置を高精度に特定することができる。
【0202】
(発明8):発明6又は7に記載のドット位置測定方法において、前記平均プロファイル画像に対してフィルタ処理を行うフィルタ処理工程を備えることを特徴とするドット位置測定方法。
【0203】
副走査方向に画像信号を平均化する平均プロファイル画像を作成することによってもゴミやサテライト等の不規則なノイズ成分の影響を低減する効果があるが、この平均プロファイル画像に対して、更にフィルタ処理を施すことにより、不規則なノイズ成分やサンプリング歪みの影響を一層低減でき、ライン位置の測定に関する信頼性を向上させることができる。
【0204】
(発明9):発明1乃至8のいずれか1項に記載のドット位置測定方法において、前記記録媒体上において前記ドットが記録されていない非記録領域と、前記ドットが記録されている記録領域の濃度値に基づいて、前記読取画像の階調値の補正を行う階調値補正工程を備えることを特徴とするドット位置測定方法。
【0205】
かかる態様によれば、記録媒体の散乱等の影響によるプロファイル画像の歪みを補正し、同時に、画像読取装置のシェーディングを低減でき、ライン位置の測定精度を向上させることができる。
【0206】
(発明10):発明1乃至9のいずれか1項に記載のドット位置測定方法において、前記ラインパターン形成工程により、同一記録素子を使用して前記記録媒体上の異なる位置に記録された複数のラインのライン位置に基づいて、前記測定用ラインパターンと前記画像読取装置との間の相対的な回転角を特定する回転角特定工程と、前記回転角特定工程により特定された回転角に基づき、位置情報に対する回転補正の演算を行う回転補正工程と、を備えることを特徴とするドット位置測定方法。
【0207】
同一の記録素子を使用して、記録媒体上で所定距離だけ離れて形成されたラインのライン位置に基づいて、相対的な回転角を決定することができる。
【0208】
(発明11):複数の記録素子を有する記録ヘッドと記録媒体を相対移動させながら、前記記録素子によってドットを連続して記録することにより、前記記録媒体上に各記録素子に対応したドット列による複数のラインを形成してなる測定用ラインパターンを読み取る画像読取手段であって、前記記録ヘッドの前記相対移動の方向に直交する実質的な記録素子の並び方向に所定間隔離れた記録素子を用いて記録されるライン群で構成されるラインブロックを、前記記録媒体上において前記ラインの長手方向の異なる位置に複数形成してなる複数のラインブロックと、前記複数のラインブロックの各ラインブロックに対して、それぞれ同じ記録素子で記録されるラインを含んだ基準ラインブロックと、を有する前記測定用ラインパターンの読み取りの際に、当該測定用ラインパターン上の前記ラインの長手方向を前記画像読取手段の副走査方向に向けて読み取りを行い、前記測定用ラインパターンの読取画像を表す電子画像データを取得する画像読取手段と、前記画像読取手段で取得した読取画像から前記複数のラインブロック及び前記基準ラインブロックの各ラインブロック内のライン位置を特定するラインブロック内位置特定手段と、前記ラインブロック内位置特定手段で求めた前記複数のラインブロックについてのライン位置を、前記基準ラインブロックに基づいて補正する位置補正手段と、を備えることを特徴とするドット位置測定装置。
【0209】
(発明12):発明11に記載のドット位置測定装置において、前記画像読取手段は、前記測定用ラインパターン上の前記ラインの長手方向が向けられる副走査方向の読取解像度が主走査方向の読取解像度に比べて低解像度に設定されることを特徴とするドット位置測定装置。
【0210】
(発明13):発明12に記載のドット位置測定装置において、前記主走査方向に並ぶ複数の前記ラインで構成される前記ラインブロックについて、前記読取画像上で前記副走査方向に画像信号を平均化する平均化領域を、同ラインブロック内の前記副走査方向の異なる位置に複数設定する領域設定手段と、前記異なる位置に設定された複数の前記平均化領域について、各平均化領域内で前記副走査方向に画像信号を平均化し、前記主走査方向の位置に応じた平均プロファイル画像を作成する平均プロファイル画像作成手段と、前記平均プロファイル画像から前記平均化領域内のライン位置を特定する平均化領域内位置特定手段と、を備え、前記ラインブロック内位置特定手段は、前記複数の平均化領域にそれぞれ対応した前記平均プロファイル画像から特定された前記平均化領域内のライン位置に基づいて、前記ラインブロック内の各ラインの位置を特定することを特徴とするドット位置測定装置。
【0211】
(発明14):発明13に記載のドット位置測定装置において、前記平均プロファイル画像から前記ラインの両端エッジ位置をライン毎に特定するエッジ位置特定手段を備え、前記平均化領域内位置特定手段は、前記エッジ位置特定手段で特定した両端エッジ位置に基づいて、前記平均化領域内のライン位置を特定することを特徴とするドット位置測定装置。
【0212】
(発明15):発明13又は14に記載に記載のドット位置測定装置において、前記平均プロファイル画像に対してフィルタ処理を行うフィルタ処理手段を備えることを特徴とするドット位置測定装置。
【0213】
(発明16):発明11乃至15のいずれか1項に記載のドット位置測定装置において、前記記録媒体上において前記ドットが記録されていない非記録領域と、前記ドットが記録されている記録領域の濃度値に基づいて、前記読取画像の階調値の補正を行う階調値補正手段を備えることを特徴とするドット位置測定装置。
【0214】
(発明17):発明11乃至16のいずれか1項に記載のドット位置測定装置において、同一記録素子を使用して前記記録媒体上の異なる位置に記録された複数のラインのライン位置に基づいて、前記測定用ラインパターンと前記画像読取装置との間の相対的な回転角を特定する回転角特定手段と、前記回転角特定手段により特定された回転角に基づき、位置情報に対する回転補正の演算を行う回転補正手段と、を備えることを特徴とするドット位置測定装置。
【0215】
(発明18):発明11乃至17のいずれか1項に記載のドット位置測定装置における前記ラインブロック内位置特定手段、前記位置補正手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【0216】
なお、発明18に記載のプログラムにおいて、更に、発明13に記載の領域設定手段、平均プロファイル画像作成手段、平均化領域内位置特定手段、発明14に記載のエッジ位置特定手段、発明15に記載のフィルタ処理手段、発明16に記載の階調値補正手段、発明17に記載の回転角特定手段、回転補正手段としてコンピュータを機能させるプログラムを提供する態様も可能である。
【0217】
本発明によるプログラムは、プリンタなどに組み込まれる中央処理装置(CPU)の動作プログラムとして適用できるとともに、パソコンなどのコンピュータシステムに適用することも可能である。
【0218】
或いはまた、当該プログラムは、単独のアプリケーションソフトウエアとして構成されてもよいし、画像編集ソフトウエアなど、他のアプリケーションの一部として組み込まれてもよい。このようなプログラムをCD−ROMや磁気ディスクその他の情報記憶媒体(外部記憶装置)に記録し、該情報記憶媒体を通じて当該プログラムを第三者に提供したり、インターネットなどの通信回線を通じて当該プログラムのダウンロードサービスを提供したりすることも可能である。
【0219】
また、本発明における記録ヘッドを用いて記録媒体上に画像を形成する画像形成装置の一態様としてのインクジェット記録装置は、ドットを形成するためのインク液滴を吐出するノズル及び吐出圧を発生させる圧力発生手段(圧電素子や加熱素子など)を含む液滴吐出素子(「記録素子」に相当)を複数配列させた液滴吐出素子列を有する液体吐出ヘッド(「記録ヘッド」に相当)と、画像データから生成されたインク吐出データに基づいて記録ヘッドからの液滴の吐出を制御する吐出制御手段とを備え、前記ノズルから吐出した液滴によって記録媒体上に画像を形成する。
【0220】
記録ヘッドの構成例として、記録媒体の全幅に対応する長さにわたって複数の記録素子を配列させた記録素子列を有するフルライン型のヘッドを用いることができる。この場合、記録媒体の全幅に対応する長さに満たない記録素子列を有する比較的短尺の記録ヘッドモジュールを複数個組み合わせ、これらを繋ぎ合わせることで全体として記録媒体の全幅に対応する長さの記録素子列を構成する態様がある。
【0221】
フルライン型のヘッドは、通常、記録媒体の相対的な送り方向(相対的搬送方向)と直交する方向に沿って配置されるが、搬送方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿って記録ヘッドを配置する態様もあり得る。
【0222】
「記録媒体」は、記録ヘッドの作用によって画像の記録を受ける媒体(被画像形成媒体、被印字媒体、被記録媒体、受像媒体、被吐出媒体など呼ばれ得るもの)であり、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、中間転写媒体、インクジェット記録装置によって配線パターンが印刷されるプリント基板、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。
【0223】
「搬送手段」は、停止した(固定された)記録ヘッドに対して記録媒体を搬送する態様、停止した記録媒体に対して記録ヘッドを移動させる態様、或いは、記録ヘッドと記録媒体の両方を移動させる態様のいずれをも含む。
【0224】
インクジェットヘッドによって、カラー画像を形成する場合は、複数色のインク(記録液)の色別に記録ヘッドを配置してもよいし、1つの記録ヘッドから複数色のインクを吐
出可能な構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0225】
【図1】インクジェット記録装置の全体構成図
【図2】ヘッドの構造例を示す平面透視図
【図3】フルライン型ヘッドの他の構成例を示す平面透視図
【図4】図2中の4−4線に沿う断面図
【図5】ヘッドのノズル配列を示す拡大図
【図6】インクジェット記録装置のシステム構成を示すブロック図
【図7】フルライン型ヘッドの模式図
【図8】ヘッドによる打滴特性と、当該ヘッドで記録されるラインの説明図
【図9】ドット位置測定用ラインパターンの例を示す図
【図10】ドット位置測定用ラインパターンとスキャナの主走査方向及び副走査方向の関係を示す説明図
【図11】スキャナ座標系(読み取り座標系)とドット位置測定用ラインパターンの関係を示す説明図
【図12】スキャナ装置で読み取った読取画像上のドット位置測定用ラインパターンを示す図
【図13】ドット位置測定の全体の流れを示すフローチャート
【図14】ラインブロック内位置測定処理の内容を示すフローチャート
【図15】画像平均化領域(ROI)の設定例を示す説明図フの例を示す図
【図16】ROI内ライン位置測定処理の内容を示すフローチャート
【図17】W(ホワイト、白地)/B(ブラック、インク)補正処理の内容を示すフローチャート
【図18】画像平均化領域(ROI)から計算される平均プロファイル画像の例を示す説明図
【図19】フィルタ処理の効果を示すグラフ
【図20】W/Bレベルの変動を示すグラフ
【図21】W/Bレベル補正の説明図
【図22】エッジ位置の決定方法の説明図
【図23】各ROIにおけるライン位置の測定精度を示すグラフ
【図24】複数のROIを平均化したときの測定精度を示すグラフ
【図25】回転角補正処理の内容を示すフローチャート
【図26】ラインブロック位置補正処理の内容を示すフローチャート
【図27】ドット位置測定装置の構成例を示すブロック図
【図28】従来のドット位置測定用ラインパターンの例を示す図
【図29】スキャナ副走査位置に依存する位置変動を示すグラフ
【図30】各ノズルに対応するドット位置誤差(回転角補正後)の測定結果の例を示す図
【符号の説明】
【0226】
10…インクジェット記録装置、12…印字部、12K,12C,12M,12Y…ヘッド、16…記録紙、50…ヘッド、51…ノズル、52…圧力室、58…アクチュエータ、72…システムコントローラ、80…プリント制御部、90…ドット、92…ライン、200…ドット位置測定装置、202…画像読取装置、210…コンピュータ
【技術分野】
【0001】
本発明はドット位置測定方法及び装置並びにプログラムに係り、特にインクジェットヘッドの各ノズルによって記録されるドットの着弾位置の測定に好適なドット位置測定技術に関する。
【背景技術】
【0002】
記録紙等の記録媒体に画像を記録する方法の一つとして、画像信号に応じてインク液滴を吐出させ、そのインク液滴を記録媒体上に着弾させることにより画像を記録するインクジェット描画方式がある。このようなインクジェット描画方式を用いた画像形成装置としては、インク液滴を吐出する吐出部(ノズル)を記録媒体の1辺の全域に対応させてライン状に配置して、記録媒体を吐出部に直交する方向に搬送することで、記録媒体の全域に画像を記録するフルラインヘッド型の画像描画装置がある。
【0003】
フルラインヘッド型の画像描画装置は、吐出部を移動させることなく記録媒体を搬送することで、記録媒体の全域に画像を描画することができ、記録速度を高速化することができる。
【0004】
しかしながら、ラインヘッド型の画像描画装置は、吐出部の位置ずれ等の製造時のバラツキなどにより、記録媒体に記録した画像にスジ、ムラが発生するという問題がある。
このようなスジ、ムラは着弾位置のバラツキが一因であり、着弾位置に基づいてスジ・ムラを補正する技術が知られている。
【0005】
特許文献1には、ラインパターンをスキャナ装置で読み取り、同時に基準パターンを読み取ることで、スキャナ搬送誤差を補正しつつ、着弾位置を測定する技術が開示されている。
【0006】
特許文献2には、ラインパターンをスキャナ装置で読み取り、読み取った画像からラインのエッジ位置を決定し、一つのラインについて複数のエッジ位置からライン位置(着弾位置)を測定する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2008−44273号公報
【特許文献2】特開2008−80630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
市販スキャナの多くは、読み取り範囲を一定の速度で全て読み取るのではなく、データ転送と読み取りを繰り返している。このとき読み取り動作を中断してキャリッジを停止し、再びキャリッジが動作することがある。ドット着弾位置精度として10μm程度を期待する場合には問題ないが、サブミクロンまで測定精度を求める場合、このキャリッジ再起動による位置変動は無視できない誤差要因である。
【0008】
更に測定対象が副走査方向に長い場合(機種によって異なるが、目安程度として、例えば、10cm以上長い場合)、走査機構のキャリッジのふらつきによる位置変動も誤差要因となる。このような誤差は、図28に示すように、隣接するノズルによる着弾ドットのラインを副走査方向に異なる位置に配置したラインパターンを測定する場合に顕著になる。
【0009】
図28に示したラインブロック0は、ラインヘッドの端から順にノズル番号を0,1,2,3…としたとき、ノズル番号0、4、8のように「4N+0」のノズル番号を持つノズルによって形成されるライン群のブロックである(ただし、Nは0以上の整数)。ラインブロック1はノズル番号1、5、9…のように「4N+1」のノズル番号からなるラインブロックである。ラインブロック2は「4N+2」、ラインブロック3は「4N+3」のノズル番号からなるラインブロックである。このように一定のノズル間隔でラインを形成したラインブロックを記録紙16上の異なる位置に配置するラインパターンにより、全ノズルに対応するラインを形成することができる。
【0010】
図29はスキャナ副走査位置が異なる場合の測定位置の関係を示した図である。図29のように、副走査方向の異なる位置に配置されたラインブロックA、Bについてそれぞれ各ライン位置を測定したときの測定位置は線形の関係にある。上記のようなスキャナ要因の誤差はスキャナで読み取った格子座標系の乱れとして表れる。
【0011】
図30は、図28に示した4ノズル間隔のラインブロックに代えて、16ノズル間隔のラインブロックを副走査方向の異なる位置に配置したラインパターンから各ラインの位置(ドット位置)誤差を測定した結果を示す図である。
【0012】
それぞれのノズル位置の位置誤差としてはランダムであるはずが、図示のように、全体としては16ノズルを周期とする規則的な位置誤差が発生している。これは、副走査方向位置の異なるラインブロックごとに、オフセット的な位置誤差を含んでいることによる。
【0013】
つまり、副走査方向に複数のラインブロックに分かれた各ラインブロック内でのデータ間は測定精度が得られていても、ラインブロック間相互の測定精度に一定のオフセット的な誤差が加わっているために、測定結果がラインブロック数の周期で相似形に繰り返す現象が発生している。
【0014】
スキャナの解像度(例えば、2400DPI)に対して、2〜3μm程度の誤差は、通常であれば問題とならないが、サブミクロンオーダの測定を目標とする場合、このずれが無視できず、複数のラインブロックにおける測定結果をマージする場合に問題となる。
【0015】
更に、スキャナ要因の誤差以外に、用紙変形(一例として、記録紙に処理液を塗布してインクを打滴する印字装置において、印字開始位置と印字終了位置において記録紙の伸びが異なることによって発生する)も同様な現象を発生させる。用紙変形下でのドット着弾位置測定ではオフセット的な誤差とライン間隔の伸張誤差が複合して発生している。
【0016】
このような、問題に対して、特許文献1、2には、スキャナで読み取った画像データの乱れを補正する技術は開示されていない。
【0017】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、記録ヘッドの各記録素子で記録媒体上に記録されたドットの位置を高速且つ高精度に測定することができるドット位置測定方法及び装置並びにこれに用いるコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記目的を達成するために、本発明に係るドット位置測定方法は、複数の記録素子を有する記録ヘッドと記録媒体を相対移動させながら、前記記録素子によってドットを連続して記録することにより、前記記録媒体上に各記録素子に対応したドット列による複数のラインを含んだ測定用ラインパターンを形成するラインパターン形成工程であって、前記記録ヘッドの前記相対移動の方向に直交する実質的な記録素子の並び方向に所定間隔離れた記録素子を用いて記録されるライン群で構成されるラインブロックを、前記記録媒体上において前記ラインの長手方向の異なる位置に複数形成してなる複数のラインブロックと、前記複数のラインブロックの各ラインブロックに対して、それぞれ同じ記録素子で記録されるラインを含んだ基準ラインブロックと、を有する前記測定用ラインパターンを形成する前記ラインパターン形成工程と、前記ラインパターン形成工程により前記記録媒体に形成された前記測定用ラインパターンを画像読取装置によって読み取るに際し、当該測定用ラインパターン上の前記ラインの長手方向を前記画像読取装置の副走査方向に向けて読み取りを行い、前記測定用ラインパターンの読取画像を表す電子画像データを取得する読取工程と、前記読取工程で取得した読取画像から前記複数のラインブロック及び前記基準ラインブロックの各ラインブロック内のライン位置を特定するラインブロック内位置特定工程と、前記ラインブロック内位置特定工程で求めた前記複数のラインブロックについてのライン位置を、前記基準ラインブロックに基づいて補正する位置補正工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、基準ラインブロックを基準位置として、各ラインブロックの測定位置を補正することにより、画像読取装置に起因する読取画像格子の乱れの影響を低減できるとともに、用紙変形の影響を低減することができ、高精度のドット位置測定が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0021】
ここでは、インクジェット記録装置によるインクドットの着弾位置(すなわち、ドット位置)の測定への適用例について説明する。まず、インクジェット記録装置の全体構成について説明する。
【0022】
〔インクジェット記録装置の説明〕
図1は、インクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示すように、このインクジェット記録装置10は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のインクジェット記録ヘッド(「液体吐出ヘッド」に相当、以下、「ヘッド」という。)12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、各ヘッド12K,12C,12M,12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録媒体たる記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送するベルト搬送部22と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排出する排紙部26とを備えている。
【0023】
インク貯蔵/装填部14は、各ヘッド12K,12C,12M,12Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各タンクは所要の管路を介してヘッド12K,12C,12M,12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
【0024】
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
【0025】
複数種類の記録媒体(メディア)を利用可能な構成にした場合、メディアの種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
【0026】
給紙部18から送り出される記録紙16はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
【0027】
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター(第1のカッター)28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。
【0028】
デカール処理後、カットされた記録紙16は、ベルト搬送部22へと送られる。ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
【0029】
ベルト33は、記録紙16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによって記録紙16がベルト33上に吸着保持される。なお、吸引吸着方式に代えて、静電吸着方式を採用してもよい。
【0030】
ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(図6中符号88)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は図1の左から右へと搬送される。
【0031】
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組合せなどがある。
【0032】
なお、ベルト搬送部22に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題があるため、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
【0033】
ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前の記録紙16に加熱空気を吹き付け、記録紙16を加熱する。印字直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
【0034】
印字部12の各ヘッド12K,12C,12M,12Yは、当該インクジェット記録装置10が対象とする記録紙16の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図2参照)。
【0035】
ヘッド12K,12C,12M,12Yは、記録紙16の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド12K,12C,12M,12Yが記録紙16の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
【0036】
ベルト搬送部22により記録紙16を搬送しつつ各ヘッド12K,12C,12M,12Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。
【0037】
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド12K,12C,12M,12Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録紙16と印字部12を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち1回の副走査で)、記録紙16の全面に画像を記録することができる。かかるフルライン型(ページワイド)ヘッドによるシングルパス方式の画像形成は、記録媒体の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシリアル(シャトル)型ヘッドによるマルチパス方式を適用する場合に比べて高速印字が可能であり、プリント生産性を向上させることができる。
【0038】
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
【0039】
印字部12の後段には後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
【0040】
後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
【0041】
こうして生成されたプリント物は排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。また、図1には示さないが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
【0042】
〔ヘッドの構造〕
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド12K,12C,12M,12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によってヘッドを示すものとする。
【0043】
図2(a) はヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図2(b) はその一部の拡大図である。また、図3はヘッド50の他の構造例を示す平面透視図、図4は記録素子単位となる1つの液滴吐出素子(1つのノズル51に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図2(a) 中の4−4線に沿う断面図)である。
【0044】
記録紙16上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド50は、図2(a),(b) に示したように、インク吐出口であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる
複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)53を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影(正射影)される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
【0045】
記録紙16の送り方向(矢印S方向;副走査方向)と略直交する方向(矢印M方向;主走査方向)に記録紙16の全幅Wmに対応する長さ以上のノズル列を構成する形態は本例
に限定されない。例えば、図2(a) の構成に代えて、図3に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙16の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
【0046】
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており(図2(a),(b) 参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル51への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)54が設けられている。なお、圧力室52の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
【0047】
図4に示したように、各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。共通流路55はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路55を介して各圧力室52に分配供給される。
【0048】
圧力室52の一部の面(図4において天面)を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)56には個別電極57を備えたアクチュエータ58が接合されている。個別電極57と共通電極間に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ58が変形して圧力室52の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル51からインクが吐出される。なお、アクチュエータ58には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電体を用いた圧電素子が好適に用いられる。インク吐出後、アクチュエータ58の変位が元に戻る際に、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に再充填される。
【0049】
入力画像から生成されるドット配置データに応じて各ノズル51に対応したアクチュエータ58の駆動を制御することにより、ノズル51からインク滴を吐出させることができる。記録紙16を一定の速度で副走査方向に搬送しながら、その搬送速度に合わせて各ノズル51のインク吐出タイミングを制御することによって、記録紙16上に所望の画像を記録することができる。
【0050】
上述した構造を有するインク室ユニット53を図5に示す如く主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度ψを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで斜めの格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
【0051】
即ち、主走査方向に対してある角度ψの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPNはd× cosψとなり、主走査方向については、実質的に各ノズル51が一定のピッチPNで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。
【0052】
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズ
ルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
【0053】
特に、図5に示すようなマトリクス状に配置されたノズル51を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。即ち、ノズル51-11 、51-12 、51-13 、51-14 、51-15 、51-16 を1つのブロックとし(他にはノズル51-21 、…、51-26を1つのブロック、ノズル51-31 、…、51-36を1つのブロック、…として)、記録紙16の搬送速度に応じてノズル51-11 、51-12 、…、51-16を順次駆動することで記録紙16の幅方向に1ラインを印字する。
【0054】
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
【0055】
そして、上述の主走査によって記録される1ライン(或いは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。即ち、本実施形態では、記録紙16の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
【0056】
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ58の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
【0057】
〔制御系の説明〕
図6は、インクジェット記録装置10のシステム構成を示すブロック図である。同図に示したように、インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ74、ROM75、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84等を備えている。
【0058】
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部(画像入力部)である。通信インターフェース70にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
【0059】
ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
【0060】
システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構
成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御し、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像メモリ74及びROM75の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
【0061】
ROM75には、システムコントローラ72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。ROM75は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。画像メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
【0062】
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示に従って搬送系のモータ88を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示に従って後乾燥部42等のヒータ89を駆動するドライバである。
【0063】
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データ(元画像のデータ) から印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ84に供給する制御部である。
【0064】
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図6において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、画像メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
【0065】
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース70を介して外部から入力され、画像メモリ74に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの画像データが画像メモリ74に記憶される。
【0066】
インクジェット記録装置10では、インク(色材) による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、画像メモリ74に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ72を介してプリント制御部80に送られ、該プリント制御部80において閾値マトリクスや誤差拡散などを用いたハーフトーン化処理によってインク色ごとのドットデータに変換される。
【0067】
即ち、プリント制御部80は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部80で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ82に蓄えられる。
【0068】
ヘッドドライバ84は、プリント制御部80から与えられる印字データ(即ち、画像バッファメモリ82に記憶されたドットデータ)に基づき、ヘッド50の各ノズル51に対応するアクチュエータ58を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ84にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
【0069】
ヘッドドライバ84から出力された駆動信号がヘッド50に加えられることによって、該当するノズル51からインクが吐出される。記録紙16の搬送速度に同期してヘッド50からのインク吐出を制御することにより、記録紙16上に画像が形成される。
【0070】
上記のように、プリント制御部80における所要の信号処理を経て生成されたドットデータに基づき、ヘッドドライバ84を介して各ノズルからのインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
【0071】
また、プリント制御部80は、後述するドット位置測定方法によって取得されるドット位置の情報等に基づいてヘッド50に対する各種補正を行うとともに、必要に応じて予備吐出やノズル吸引、ワイピング等のクリーニング動作(ノズル回復動作)を実施する制御を行う。
【0072】
<ドット位置測定方法の説明>
次に、本実施形態に係るドット位置測定方法について詳細に説明する。
【0073】
図7はフルラインヘッドの模式図である。同図では、図示の簡略化のために、複数のノズル51が1列に並んだヘッド50を示すが、図2乃至図5で説明したように、複数のノズルが2次元配列されてなるマトリクスヘッドについて当然に適用できる。即ち、2次元配列のノズル群は主走査方向に沿う直線上に正射影される実質的なノズル列を考慮することにより、1列のノズル列と実質的に同等のものとして取り扱うことができる。
【0074】
図8(a)はラインヘッドのノズルから打滴されたインク滴が吐出方向のバラツキによって、着弾位置が理想的な位置に対してバラツク様子を示している。図8(b)は(a)に示した特性を持つヘッド50を使用して記録紙16上に副走査方向のラインを描画したときの例である。ヘッド50のノズル51から記録紙16に向けて液滴を吐出しつつ、記録紙16を搬送することにより、記録紙16上にインク滴が着弾し、図8(b)のように、各ノズル51からの着弾インクによるドット90がライン状に並んだドット列(ライン92)が形成される。図8(c)は(b)のライン92を簡略化して示したものである。以下、図示の便宜上、連続打滴の着弾ドット列によるライン92は、図8(c)のような記載を用いる。
【0075】
図8(b)(c)に示したように、各ライン92はそれぞれ1つのノズル51から連続的な打滴で形成される。高記録密度のラインヘッドの場合、全ノズルから同時に打滴すると隣接ノズルによるドット同士が部分的に重なり合うため、1ドット列のラインにはならない。それぞれのライン92が互いに重なり合わないようにするため、同時吐出するノズル間は少なくとも1ノズル、好ましくは3ノズル以上、間隔をあけることが望ましい。なお、図8では、図示の都合上、同時吐出するノズル間に2ノズルの間隔をあけた様子を図示した。
【0076】
図8から明らかなように、ヘッドの特性によるドット着弾位置に応じてライン位置が変わっている。つまり、各ノズルの着弾位置を測定することは、ラインの位置を測定することに等しいことが分かる。
【0077】
<ドット位置測定用ラインパターンの例>
図9は本発明の実施形態で使用するドット位置測定用のラインパターンの全体図である。ヘッド50における全ノズル51についてラインを得るためには、例えば、図9のようなラインパターンのサンプルチャート(測定用チャート)を形成する。
【0078】
図示のチャートは、複数のラインブロック(ここでは、5段のラインブロック0〜4を図示)を含む。ラインブロックは、一定間隔のノズルを用いてラインを描画した複数のライン(ライン群)からなるブロックである。
【0079】
図8のラインヘッドで左端から順にノズル番号を0,1,2,3…とする。図9に示したラインブロック0は、ノズル番号0、4、8のように「4N+0」のノズル番号からなるラインブロック(4の倍数に対応するノズル番号を持つノズルによって形成されるライン群のブロック)である(ただし、Nは0以上の整数)。ラインブロック1はノズル番号1、5、9…のように「4N+1」のノズル番号からなるラインブロックである。ラインブロック2は「4N+2」、ラインブロック3は「4N+3」のノズル番号からなるラインブロックである。ラインブロック4は基準ラインブロックであり、ラインブロック0からラインブロック3と同じノズル番号を略均等に含む。
【0080】
本例のラインブロック4は「5N+0」のノズル番号からなる(ノズル番号0、5、10、15、20、‥)。ラインブロック0とラインブロック4では、ノズル番号0、20、40、60、‥が同じノズル番号である。ラインブロック1とラインブロック4では、ノズル番号5、25、45、65、‥が同じノズル番号である。ラインブロック2とラインブロック4では、ノズル番号10、30、50、70、‥が同じノズル番号である。ラインブロック3とラインブロック4では、ノズル番号15、35、55、75、‥が同じノズル番号である。このように同じノズルから打滴され離れた位置にラインを形成している。このラインブロック0とラインブロック4の共通するノズル番号のライン位置を利用して、ラインパターンを読み取ったときの回転角を補正する。
【0081】
ラインブロック0とラインブロック4(基準ラインブロック)と同じノズル番号のライン測定位置(ノズル番号0、20、40、60、80、‥)を用いて、ラインブロック0の測定位置を補正する補正関数を決定し、ラインブロック0の測定位置を前記決定したラインブロック0の測定位置を補正する補正関数で変換する。ラインブロック1とラインブロック4(基準ラインブロック)と同じノズル番号のライン測定位置(ノズル番号5、25、45、65、‥)を用いて、ラインブロック1の測定位置を補正する補正関数を決定し、ラインブロック1の測定位置を前記決定したラインブロック1の測定位置を補正する補正関数で変換する。ラインブロック2、ラインブロック3についても同様の補正(変換)を行う(説明は省略する)。
【0082】
本実施形態では4N+M(M=0、1、2、3)の例を説明するが4倍数に限定されない。AN+B(B=0、1、…A−1)、Aは2以上の整数について適応可能である。
【0083】
ラインブロック4に相当する基準ラインブロックはCN+D(C≠A、CとAは公約数を1以外に持たない。D=0、1、C−1のどれでもよい)の形式で、A×Cの値が共通するノズル番号の周期になる。
【0084】
図9の例では、ラインブロック0から3までで、1ヘッドの全てのノズルに対応したラインが形成される。
【0085】
即ち、ラインヘッドにおいて、実質的に主走査方向に沿って1列に並ぶノズル列(正射影によって得られる実質的なノズル列)を構成するノズルに、その主走査方向の端から順番にノズル番号を付与したとき、例えば、4N+0、4N+1、4N+2、4N+3のノズル番号のグループ(ブロック)ごとに打滴タイミングを変えて、それぞれライン群(いわゆる「1オンnオフ」タイプのラインパターン)を形成する。
【0086】
これにより、図9に示すように、各ブロック内で隣接ライン同士が重なり合わず、全ノズルについて独立したラインを形成できる(いわゆる「1オンnオフ」タイプのラインパターン)。CMYKの各インク色に対応するヘッドについて図9のようなラインブロック群が形成される。
【0087】
<測定用ラインパターンの読み取りに関する課題について>
近年、用紙幅の大型化、ラインヘッドの高密度化が進むに従い、測定対象のノズル数は数万以上にもなる。例えば、記録幅11インチ、解像度1200DPIでは1インク当り、13200ノズルであり、CMYKの4インクでは合計52800のノズル数となる。このような多数のノズルを持つヘッドについて、高速、高精度、且つ低コストな着弾位置の測定方法が必要とされている。
【0088】
具体的に1200DPIの画像描画装置を例に考察すると、1200DPIの記録格子間隔は21.17μmであり、隙間無くドットを打滴するためにはドット径は21.17×√2以上必要であるから、ドット径は約30〜40μm必要になる。
【0089】
スキャナ装置は高解像度タイプでも4800DPIが市販機のほぼ上限で、そのときのスキャナ装置の読み取り格子間隔は約5.29μmである。ドット径と対比すると高々6〜8画素から着弾位置を決定しなければならない。2400DPIでは更にその半分である。着弾位置精度を向上させるには読取装置(スキャナ装置)の解像度を高解像度化することが望ましいが、読取装置の高解像度化には、(1)読み取り画像データの大きさの問題、(2)読み取りが一回で終了しない問題がある。
【0090】
例えば、読み取り解像度4800DPI、着弾位置精度測定サンプルの大きさをA3サイズと仮定すると、A3読み取り範囲:11.5インチ×15.5インチ、カラー画像:RGB3チャンネル各8ビットとして、読み取り画像のデータ量は合計で12.3GBである。読み取り解像度が2400DPIとしても3.08GBである。このような大きさのデータはハードディスク装置(HDD)に書き込みだけでも長い時間が掛かる。
【0091】
また、現状の市販スキャナでは最高解像度(例えば、A4スキャナにおいて4800DPI、A3スキャナにおいて2400DPI)で読み取る範囲に制限があるので、最大読み取り範囲を一度に読み取ることができない。したがって、最大読み取り範囲を短冊状に分割して読み取る必要がある。
【0092】
このように、1枚の画像を分割して読み取る場合、スキャナの初期動作(明暗補正を行う時間、読み取り指定位置までの移動時間)に必要な時間がその都度掛かる。一般的には、分割した読み取り領域に対応するデータ相互間の整合性を確保するために、読み取り範囲にはオーバーラップする領域が追加で必要になる。画像データとしてオーバーラップ領域分の容量が余分に必要であり、読み取り時間もオーバーラップ領域の分余分に長くなる。一般的には読み取り範囲全域に対する分割数が増大するにつれて、読み取り範囲に対するオーバーラップ領域の比率が大きくなる。画像データを小さくして処理や書き込み時間を減らす工夫をしたとしても、分割には画像データ容量の増大と読み取り時間の増加の問題が発生する。
【0093】
特許文献1、2に開示されている技術は、読み取り時の主副解像度が同じためにこの技術を用いた場合、画像が一度に読み取れない、又は、処理対象の画像サイズが大きいため処理時間が長くなる問題がある。
【0094】
このような課題に鑑み、本実施形態では以下の手段によって高速、且つ高精度の読み取りと、読み取り画像のデータ容量の低減を達成する。
【0095】
<本実施形態における測定用ラインパターンの読み取り>
図10はドット位置測定用ラインパターンをスキャナで読み取るときのスキャナ主走査方向と副走査方向の関係を説明する図である。図10のようにラインブロック内におけるライン92の並び方向をスキャナ主走査方向に、ライン92の長さ方向(長手方向)をスキャナ副走査方向に合わせてドット位置測定用ラインパターンを読み取る。
【0096】
図11はスキャナ座標系(読み取り座標系)とドット位置測定用ラインパターンの関係を説明する図である。スキャナは主走査方向を高解像度(高精度)に設定、スキャナ副走査方向は低解像度に設定して読み取る。例えば、画像形成装置の記録解像度が1200DPIのとき、スキャナの主走査解像度はサンプリング定理から2400DPI以上が好ましく、副走査解像度はこれよりも大幅に低解像度の200DPI以下が好ましい。副走査解像度の下限はラインの長さと上記AN+BのAの設定に基づいて変わるが、スキャナ装置の動作する範囲であれば、100DPIもしくは50DPIでも構わない。
【0097】
スキャナによる読取解像度の好ましい条件の目安として、副走査方向の読取解像度は、主走査方向の読取解像度の1/10以下、かつ1/60以上の範囲とする。
【0098】
プリンタ装置が1200DPIである場合、読取解像度は主走査方向2400DPI、副走査解像度50〜200DPIが好ましい。
【0099】
主走査解像度は必要な測定精度によって異なる。例として誤差σ<0.4(μm)以下の場合、主走査2400DPI、副走査200DPI以下が望ましい。解像度の下限はサンプルチャートの1オンNオフの段数(N+1段)と1段当たりのライン長LをNL画素で読み取る、という条件から決まる。
【0100】
なお、サンプルチャートの(N+1段)は1枚の記録用紙に収まり、且つ1回の読み取り動作で読み取り可能であることも制約条件となる。
【0101】
すなわち、以下の関係(式1,式2)を満たすことが条件となる。
【0102】
[式1](N+1)×L>(N+1)×NL/副走査解像度
且つ
[式2]A3ないしA4サイズ用紙の縦方向の長さ>(N+1)×L
ここで、NLは後述する画像平均化領域ROIのY方向の画素数とROIの数と各ROIのY方向のズレ量で決まるため、NLは次式[式3]となる。
【0103】
[式3]
NL=(ROIのY方向の画素数)+(ROIの数−1)×(ROIのズレ量)
仮に、(ROIのY方向の画素数)=10画素、(ROIの数)=4、(ROIのズレ量)=2画素とすると、[式3]より、
NL=10+(4−1)×2=16(画素)
N=4、L=2(インチ)とすると、[式1]より
副走査解像度>{(N+1)×NL}/{(N+1)×L}なので、
副走査解像度>(NL/L)=16/2=8(DPI)
となる。
【0104】
別の例として、Nを16とすると、Lは0.6(インチ)
副走査解像度>16/0.6=26(DPI)
となる。
【0105】
図11に示したスキャナ座標格子の各セル(符号96)は、スキャナ装置における1つの読取画素が捉える領域(1画素のアパーチャ)を示している。同図では、図示の便宜上、スキャナ主走査画素サイズ(PX)に対して、スキャナ副走査画素サイズ(PY)が約2倍程度の比率の長方形で描かれているが、実際の画素の縦横比率は、スキャナの主走査解像度と副走査解像度の関係を反映したものとなる。
【0106】
なお、読み取り対象となるドット位置測定用ラインパターンのプリント物をスキャナ装置(フラットベッド)に置くとき、注意深く置いても、ドット位置測定用ラインパターンとスキャナ読み取り座標系の間に回転角(θ)ができてしまう。
【0107】
この回転角を補正しない場合、ラインパターンの高さに応じてラインブロック間に一定の誤差が生じる。このため、本実施形態ではこの回転角の補正を行う処理を実施する。回転角補正の詳細は後述する(図13のステップS108)。
【0108】
図12はスキャナ装置で読み取った画像上(スキャナ画素を正方として表現している)のドット位置測定用ラインパターンを示す。画像データ上のX座標をスキャナ主走査方向、画像データ上のY座標をスキャナ副走査方向とする。
【0109】
<読み取り画像データの解析>
図13は、ドット位置測定の流れを示すフローチャートである。同図の測定フローの開始に先立ち、図9で説明したとおり、インクジェットヘッドの各ノズルから記録紙16上に測定対象のインクを打滴しつつ、ヘッド50と記録紙16を相対的に移動させ、各ノズル51から打滴されるインクにより、各ノズルに対応するドット列によるラインパターンを記録紙16上に形成する。つまり、測定対象のインクを用いてラインパターンを形成したサンプルチャート(測定用チャート)を形成する。
【0110】
そして、上記得られたラインパターンを画像読取装置(スキャナ)で読み取る(図13のステップS102)。このとき、図10で説明したように、ライン長さ方向をスキャナの副走査方向に、ライン並び方向をスキャナの主走査方向に置き、主走査方向を高解像度、副走査方向を低解像度でラインパターンを撮像する。なお、スキャナ(不図示)は、R(赤),G(緑),B(青)の各色のカラーフィルタを備えたRGB毎の受光素子列を有する3ラインセンサ(いわゆるRGBラインセンサ)を備え、サンプルチャートの全面(すべてのラインブロック)を電子画像データとして取り込む。
【0111】
次いで、測定対象インクに合わせて読み取り画像のカラーを選択する(図13のステップS104)。即ち、ラインパターン上のインクに応じて撮像画像のカラーチャンネルを設定する。インクカラーがシアン(C)インクのときにはRチャンネル(レッドチャンネル)、マゼンタ(M)インクのときはGチャンネル(グリーンチャンネル)、イエロー(Y)インクのときはBチャンネル(ブルーチャンネル)とする。ブラックインクのときはGチャンネルが望ましいが、Rチャンネルでも良い。他の二次色インクや特色インクの場合、記録紙16上に記録されたインクの分光反射率とスキャナのカラーチャンネルの分光感度の関係とに基づいて、測定対象インクを撮像したときに、スキャナのカラーチャンネルのなかで最も高コントラストに読み取れるチャンネルを選択する。つまり、1インク色について1チャンネルで処理を行う。
【0112】
次いで、読み取った画像データ上のラインブロック位置を検出し、各ラインブロック毎に、それぞれのライン位置を測定する(ステップS106)。このステップS106におけるラインブロック内位置測定フローを図14に示す。
【0113】
〔ラインブロック内位置測定〕
図14のラインブロック内位置測定フローが開始すると、各ラインブロックに対して画像平均化領域ROI(Region Of Interest)を所定数設定する(ステップS202)。即ち、図15に示すように1つのラインブロックに対して複数のROI(Region OfInterest)を設定する。ROIは、演算対象とするラインブロックの一部分を切り出す所定形状(図15では矩形)の領域を特定するものであり、図15では、4つのROI1、ROI2、ROI3、ROI4を設定した例を示した。このとき各ROIはY方向に一定間隔ズラして設定する。例えば、一定間隔の2画素ずらす場合、ROI2はROI1に対してY方向に2画素ずらし、ROI3はROI1に対して4画素ずらし、ROI4はROI1に対して6画素ずらす。X方向に関してはラインをROIから外さなければ、各ROIをずらす必要はない。ただし、図15では、図示の便宜上、X方向に関しても一定間隔でずらし、ROI1〜ROI4の記載の重なりを回避している。
【0114】
こうして、設定した各ROI毎にライン位置を測定する(図14のステップS204)。即ち、図16及び図17に示すフローチャートにしたがいX座標を決定する。Y座標は各ROI1〜4のY方向の中心位置を使用する。
【0115】
図16はROI内のライン位置測定フローである。図16のラインブロック内位置測定フローが開始すると、まず、ROI内を所定方向、ここでは、スキャナ副走査方向(Y座標方向)に画像信号を平均化して平均プロファイル画像を作成する(ステップS302)。
【0116】
図18(a)は演算対象とする1つのROIの例であり、同(b)は(a)に示すROIをライン長さ方向(図中の下向き矢印方向)に画像信号を平均化して得た平均プロファイル画像である。なお、図18(b)において、横軸は画像データのX方向位置(画素位置)を表し、縦軸は読み取った画像データの階調値を表す。ここでは、インクによるドットの濃度が高いほど階調値が小さい値となっており、ドットが存在しない部分(記録紙16の白地部分)は階調値が大きい値となっている。
【0117】
図18(a)のようにドット位置測定用ラインパターンにゴミ94の付着があったり、ライン92にサテライト95(インク吐出時に主液滴から分離したサテライト滴と呼ばれる副液滴が発生し、このサテライト滴が記録紙16上の主液滴と異なる位置に付着したもの)が発生していても、ライン長さ方向(図中下向き矢印方向)に平均化することでゴミ94のコントラストは低下し、サテライト95によるプロファイル画像の歪みは低減する(図18(b)参照)。
【0118】
続いて、この作成した平均プロファイル画像を所定のフィルタで平滑化し、フィルタ処理したプロファイル画像(X座標方向)を作成する(図16のステップS304)。図19は平均化したプロファイル画像に対してフィルタ処理を行い、更にゴミのコントラストを低下し、サテライトによる歪みを低減した結果である。フィルタとしては対称形の5から9タップ程度のリニアフィルタが処理速度や効果の観点で好ましい。
【0119】
フィルタ処理した結果、短周期の歪みは補正されるが、図20のようにスキャナ読み取り時のシェーディング(照明の明暗変動等)に起因する長周期の階調値の変動は依然として残る。このようなシェーディングは階調値に基づいてライン位置を決定するアルゴリズムでは、位置誤差の重大な原因となる。このため上記フィルタ処理(図16のステップS304)に続いて、フィルタ処理後の平均プロファイル画像に対してW(ホワイト、白地)/B(ブラック、インク)補正を行う(図16のステップS306)。
【0120】
図17にW/B補正処理フローを示す。図17のW/B補正処理フローが開始すると、フィルタ処理後のプロファイル画像において各ラインにW(ホワイト、白地)区間とB(ブラック、インク)区間を設定し(ステップS402)、各W区間とB区間毎にそれぞれ代表値を決定する(ステップS404)。
【0121】
図21はフィルタ処理したプロファイル画像に対してW(ホワイト、白地)区間とB(ブラック、インク)区間を設定した様子を示している。このようなW区間B区間はプロファイルグラフを判別分析法などを使用して2値化処理し、2値化処理した結果を更にモフォロジー処理(太らせ処理を所定回数、細らせ処理を同所定回数)した結果に対して、黒画素をB区間、白画素をW区間とすることで設定できる。各B区間はプロファイル画像の谷(極小値)部分を含み、各W区間はプロファイル画像の山(極大値)部分を含むものとして設定される。黒画素に対して所定画素数分前後に増加してB区間、白画素に対して前後に所定画素増加してW区間としても良い。
【0122】
このようにして決定したW区間において、フィルタ処理したプロファイル画像に対して、W区間を代表する階調値と位置を決定する。代表値は、例えば、W区間内の最大値を用いる。W区間の位置はW区間の中心位置を用いる。各W区間Wi(i=0,1,2…)に対して、代表する階調値WLiと位置WXiを決定する。
【0123】
同様に、B区間において、フィルタ処理したプロファイル画像に対して、B区間を代表する階調値と位置を決定する。代表値は、例えば、B区間内の最小値を用いる。B区間の位置はB区間の中心位置を用いる。各B区間Bi(i=0,1,2…)に対して、代表する階調値BLiと位置BXiを決定する。
【0124】
こうして求めたW区間毎の代表値とB区間毎の代表値に基づいて、フィルタ処理後のプロファイル画像の階調値を補正する(図17のステップS406)。なお、W区間は「非記録領域」、B区間は「記録領域」に対応している。
【0125】
<W/B補正処理>
フィルタ処理したプロファイル画像に対して、各位置Xと階調値Lを以下のように補正する。即ち、決定したW区間の代表値WLiとWXiを線形補間して任意のXに対して推定値WLを求める。また、決定したB区間の代表値BLiとBXiを線形補間して任意のXに対して推定値BLを求める。
【0126】
W/B補正後の白階調値をW0、黒階調値をB0とすると、
L´=補正係数K(L−BL)+B0
補正係数K=(W0−B0)/(WL−BL)
つまり、入力値がWLのとき出力値がW0に、入力値がBLのときに出力値がB0になるように線形変換する。
【0127】
こうしてW/Bのレベルを補正する処理(ステップS406)を終えたら、図17のサブルーチンを抜けて、図16のROI内ライン位置測定フローに復帰し、図16のステップS308に進む。ステップS308では、W/B補正したプロファイル画像において、所定の階調値(エッジ閾値階調値)に一致するエッジ位置(X座標)を各ラインにつき2箇所(左右)決定する。
【0128】
図22はW/B補正した結果のプロファイル画像において、エッジを規定する閾値ETHとなる位置をラインに対して前後2箇所(図22における左側のエッジ位置EGL、右側のエッジ位置EGR)決定する様子を示している。
【0129】
W/B補正した結果のプロファイル画像と閾値ETHは正確に一致しない場合、公知の補間アルゴリズムを使用してエッジ位置を決定する。公知の補間アルゴリズムとしては線形補間やスプライン補間、キュービック補間が適用できる。
【0130】
次いで、各ラインにおいて2箇所決定したエッジ位置をライン毎に平均化してその平均値をライン位置(X座標)として決定する(図16のステップS310)。また、ROIのY座標方向の中心座標をライン位置のY座標として決定する。即ち、Y座標は各ROIのY方向の中心位置を使用する。
【0131】
このようにして、ROIに対応するライン位置を決定した後、図16のサブルーチンを抜けて、図14のラインブロック内位置測定フローに復帰し、図14のステップS206に進む。ステップS206では、複数のROI(ROI1〜ROI4)について、各ROIで測定したライン位置を平均化した位置をラインブロックに対応するライン位置(X座標、Y座標)として決定する。こうして、各ラインブロックについて、同様の処理を行い、各ラインブロック毎にライン位置を測定する。
【0132】
なお、各ライン位置の特定方法については、上述した両端エッジ位置から求める手法に限らず、例えば、プロファイル画像の極値から求めるなど、他の演算方法を適用してもよい。
【0133】
<物理値変換>
上記のようにして求めたライン位置の情報は、スキャナ座標系の画素位置に対応するものなので、この画素位置を物理的な単位(例えば、μm単位)に変換する。即ち、ライン位置を主走査解像度、副走査解像度に応じた係数を乗じて物理値に変換する。
【0134】
例えば、主走査読取解像度が2400DPIの場合、係数は25400/2400(μm/Dot)である。副走査読取解像度が200DPIの場合、係数は25400/200(μm/Dot)である。かかる係数を用いて、画素位置をμm単位の物理値に変換する演算を行う。
【0135】
この物理値変換は、図13のステップS108による回転補正を行う前に、主副解像度の違いを補正する目的で実施する。
【0136】
なお、画像データ上における画素の座標系から実際の記録媒体上の座標系への変換は上記のような係数による換算式によって定義されるため、どちらの座標系で演算を進めるか、また、どの演算段階で座標変換を行うか、については任意性がある。
【0137】
<回転角の補正について>
図23は100μm間隔に正確に製作された校正用ラインブロックを読み取り、ROI1とROI2で決定したライン位置(X座標)をライン間隔に変換した結果である。なお、中心値が100μmから若干ずれているのはラインブロックの回転角を補正していないためである。
【0138】
図24は図23と同じ100μm間隔に正確に製作された校正用ラインブロックを読み取り、ROI1からROI4を平均したライン位置(X座標)をライン間隔に変換した結果である。図24と図23を比較すると明らかなように、図24ではライン間隔のバラツキが低減して間隔が一定値に近づいていることが分かる。つまり、規則的に一定間隔でずらした複数のROIで決定したライン位置を平均化することの優れた効果が分かる。
【0139】
上記のように、各ラインブロックについて、複数のROIで測定したライン位置を平均してラインブロックのライン位置を決定し、図14のステップS206の処理を終えると、図14のサブルーチンを抜けて、図13の全体フローに復帰し、図13のステップS108に進む。
【0140】
ステップS108の回転角補正処理のフローチャートを図25に示す。図25の回転角補正処理フローが開始すると、回転補正用ラインブロックに基づいて回転角を決定する(ステップS502)。即ち、測定用チャートに含まれるラインブロックのライン位置のうち、異なるラインブロックに属するが、同じノズルから形成されたラインの位置座標(ステップS106の工程で決定したライン位置(X座標、Y座標))に基づいてラインパターンとスキャナ読み取り座標との回転角(図11のθ参照)を求める。そして、この求めた回転角(θ)に基づいて各ラインブロックの位置(即ち、各ライン位置)を回転補正する(ステップS504)。
【0141】
<回転角の算出及び回転角補正>
本例の場合、回転補正用のラインブロックとして、図9におけるラインブロック0とラインブロック4を用いる。図14のステップS206で説明したように、ラインブロック0からラインブロック4までのライン位置を決定した後で、ラインブロック0とラインブロック4において同じノズルから作成したライン位置の座標をピックアップする。
【0142】
この例ではラインブロック0とラインブロック4は、ノズル番号0、20、40、60、…が同じノズルでラインを作成しているので、これら共通のノズル番号に対応するライン位置が利用できる。
【0143】
ラインブロック0に属するノズル番号0のライン位置をP0@LB0=(x0_LB0, y0_LB0) とし、ラインブロック4に属するノズル番号0のライン位置をP0@LB4=(x0_LB4, y0_LB4)とする。
【0144】
これら2つの位置の成す角度θ0は、ΔY0=y0_LB4 − y0_LB0、ΔX0=x0_LB4 − x0_LB0として、tanθ0=ΔY/ΔXの関係から求められる。
【0145】
他のノズル番号、ノズル20、ノズル40、ノズル60、等についても同様にθ20、θ40、θ60、等を求め、その平均値を回転角θとして決定する。このようにして決定したθを用いて回転補正を行う。
【0146】
ラインブロック0からラインブロック3までの各ライン位置(x、y)を回転マトリクスR(−θ)で変換して回転角をキャンセルしたライン位置(x´、y´)を求める。
【0147】
このようにして、回転角の補正処理を行った後、図25のサブルーチンを抜けて、図13の全体フローに復帰し、図13のステップS110に進む。
【0148】
回転角補正処理後の測定値であっても、スキャナ要因等によるオフセット的な誤差が残っている(図30参照)。そのため、図13のステップS110ではラインブロック間の位置補正処理を行う。このラインブロック位置補正処理(ステップS110)のフローチャートを図26に示す。図26のラインブロック位置補正処理フローが開始すると、まず、各ラインブロックに対してそれぞれ基準ラインブロックと共通するノズルにより形成されたラインを抽出し、この抽出したラインについて、基準ラインブロックの測定位置(X座標)を出力値、各ラインブロック測定位置(X座標)を入力値とする補正関数を各ラインブロック毎に公知の方法(最小自乗法)を用いて決定する(ステップS602)。こうして、各ラインブロックについて補正関数を得る。
【0149】
次いで、各ラインブロックの全ての測定位置(X座標)を、求めた対応する補正関数を用いて変換する(ステップS604)。求めるドット位置は、補正関数で変換後のX座標である。
【0150】
<ラインブロック位置補正>
ここで、ラインブロック間の位置補正について具体例で説明する。ラインブロック0からラインブロック3をそれぞれ位置補正するが、ここでは、ラインブロック0について説明する。
【0151】
ラインブロック0とラインブロック4(基準ラインブロック)と同じノズル番号のライン測定位置(ノズル番号0、20、40、60、80、‥)を抽出する。
【0152】
ラインブロック0の測定位置(X座標)を、lb0_x0, lb0_x4, lb0_ x8, ....、とする。
【0153】
ラインブロック4の測定位置(X座標)を、lb4_x0, lb4_x20, lb4_ x40, ....、とする。
【0154】
両ブロックに共通するノズル番号の測定位置は、以下の通りである。
【0155】
X= {lb0_x0, lb0_x20, lb0_x40, lb0_x60, ..}
Y= {lb4_x0, lb4_x20, lb4_x40, lb4_x60, ...}
これら共通するノズル番号の位置を用いて、y = f0(x) となる補正関数f0を決定する。
【0156】
補正関数は、スキャナの変動要因がオフセット的な要因だけであれば、Y= X +a0(0次関数)について、a0を最小自乗法で決定すればよく、キャリッジの微小な回転が問題になる場合は、
Y= a1×X +a0 (1次関数)について、a0, a1を最小自乗法で決定する。用紙変形については変形に即した補正関数を用いてればよい。用紙変形とスキャナ要因が複合している場合は、用紙変形モデル×スキャナ変形モデルを補正関数に選べばよい。
【0157】
一般的にはY= Σai×X^i ( i= 0,..n) の多項式を用いることができる。なお、式中の「^」の記号は累乗(巾)の演算を表す。
【0158】
このようにして決定した補正関数f0(x)を用いて、ラインブロック0の測定位置(X座標){ lb0_x0, lb0_x4, lb0_ x8, ....}を変換する。
【0159】
ラインブロック1とラインブロック4についても同様に、両ブロックに共通するノズル番号の測定位置から補正関数f1(x)を決定し、決定した補正関数f1(x)を用いて、ラインブロック1の測定位置(X座標){ lb1_x1, lb1_x5, lb1_ x9, ....}を変換する。
【0160】
ラインブロック2、3についても同様に、それぞれ補正関数f2(x)、f3(x)を決定し、決定した補正関数f2(x)、f3(x)を用いて、それぞれのラインブロック2,3の測定位置(X座標)を変換する。
【0161】
このようにして、同一の基準ラインブロックの位置を基準にして、各ラインブロックの位置を補正するので、ラインブロック相互の位置誤差を低減することが可能になる。また、用紙変形についても変形の度合いがラインブロック0からラインブロック3で異なっていても、基準ラインブロックを基準に補正されるので用紙変形による測定誤差を低減することが可能になる。
【0162】
<ドット位置の決定>
上記補正したライン位置のX座標がノズル番号に対応するドット位置である。このようにして各ノズルからのドットの着弾位置のばらつき情報を得て、ムラ補正などの演算処理に利用することができる。
【0163】
<更なる測定精度向上の工夫>
基準となるラインブロック4については特に精度を向上させる目的で、ROIの多重度を増大したり、ライン長さを長くして平均範囲を広げたりすることは好適である。また、ラインブロック4(基準ラインブロック)を測定用チャート内に複数配置して、複数の測定結果を統計処理した位置を基準ラインブロックの位置として使用することは、スキャナのローカリティの影響を低減する効果がある。
【0164】
<本実施形態の作用効果について>
本実施形態では、測定対象のテストパターン上のドット着弾位置方向と、スキャナ装置の主走査方向を同じ方向にして(図10)、スキャナの読み取り解像度を主走査方向に対して副走査方向を粗くして読み取る(図11)。これによって市販スキャナでもA3全面を一度に高速に読み取りが可能になり、測定時間が短縮される効果がある。
【0165】
また、読み取った画像データ量が約257MB程度(主走査2400DPI、副走査200DPIの場合)と小さくなるので、データ処理時間が大幅に短縮され、処理に必要なコンピュータの性能を抑えられるという効果がある。したがって、目標とする高精度なドット位置測定を比較的低コストで実現することができる。
【0166】
更に、本実施形態では、読み取った画像内のライン位置を決定するに際し、ラインの長手方向(スキャナ装置の副走査方向)を部分的に平均処理した平均プロファイル画像を作成し、平均プロファイル画像をフィルタリング処理する。既述した副走査方向の低解像度読み取りと、この平均化、フィルタリング処理によってインクの飛び散り(サテライト)やゴミのコントラストが相対的に低くなり、特別なゴミ除去の工夫が必要なくなる効果がある。
【0167】
また、平均化処理は同時に、平均化方向の不規則なノイズの影響を低減して階調値の信頼性を増大させ、階調値に基づいて位置を決定するアルゴリズムの精度を向上させる効果がある。フィルタリング処理は同時に、不規則なノイズ成分やサンプリング歪みを低減して、プロファイル画像を滑らかにしてライン位置に関する信頼性を向上させる効果がある。
【0168】
更に、平均化したプロファイル画像において、各ライン近傍の白地濃度とインク濃度に基づいて階調値を補正する処理(W/B補正処理)により、スキャナ装置のフレアや記録紙の散乱の影響によるプロファイル画像の歪みを補正し、同時にスキャナ装置の主走査方向のシェーディングを低減する効果がある。このように階調値を補正することで階調値に基づく位置精度を向上させることができる。
【0169】
また、本実施形態では、上記平均化プロファイルを計算する領域(ROI)をライン長手方向に一定量ずつズラして複数の平均化プロファイル画像を用いてライン位置を計算し、得られた複数のライン位置を平均化する。この処理により、読み取りラインとスキャナ装置の読取素子との相対的な位置関係(所謂サンプリング位相)を変化させて更にライン位置精度を向上させることができる。
【0170】
また、本実施形態では、測定対象のラインパターン上の各ラインブロックに対して、略均等に同じノズルから形成されたラインを含む基準ラインブロックを配置する(図7)。この基準ラインブロックを基準位置として、各ラインブロックの測定位置を補正し、スキャナのキャリッジ位置変動に起因する読み取り画像格子の乱れの影響を低減することができる。更に、この補正の仕組みによって、用紙変形の影響を低減した測定も可能である。
【0171】
<ドット位置測定装置の構成例>
次に、上述したドット位置測定方法の実施に用いるドット位置測定装置の構成例について説明する。本例のドット位置測定に用いる画像解析の処理アルゴリズムをコンピュータに実行させるプログラム(ドット位置測定処理プログラム)を作成し、このプログラムによってコンピュータを動作させることにより、当該コンピュータをドット計測装置の演算装置として機能させることができる。
【0172】
図27は、ドット位置測定装置の構成例を示すブロック図である。図示のドット位置測定装置200は、画像読取装置202としてのフラットベットスキャナーと、画像解析の演算等を行うコンピュータ210とから構成される。
【0173】
画像読取装置202は、測定用ラインパターンを撮像するRGBラインセンサを備えるとともに、該ラインセンサを読み取り走査方向(図10のスキャナ副走査方向)に移動させる走査機構及びラインセンサの駆動回路、センサの出力信号(撮像信号)をA/D変換して、所定フォーマットのデジタル画像データに変換する信号処理回路等を備えている。
【0174】
コンピュータ210は、本体212と、ディスプレイ(表示手段)214及びキーボードやマウスなど入力装置(各種の指示を入力するための入力手段)216から構成される。本体212内には中央演算処理装置(CPU)220、RAM222、ROM224、入力装置216からの信号入力を制御する入力制御部226、ディスプレイ214に対して表示用の信号を出力する表示制御部228、ハードディスク装置230、通信インターフェース232、及びメディアインターフェース234などを有し、これら各回路はバス236を介して相互に接続されている。
【0175】
CPU220は、全体の制御装置及び演算装置(演算手段)として機能する。RAM222は、データの一時記憶領域やCPU220によるプログラム実行時の作業用領域として利用される。ROM224は、CPU220を動作させるブートプログラムや各種設定値・ネットワーク接続情報などを記憶する書き換え可能な不揮発性の記憶手段である。ハードディスク装置230には、オペレーティングシステム(OS)や各種のアプリケーションソフト(プログラム)やデータ等が格納される。
【0176】
通信インターフェース232は、USB(Universal Serial Bus)やLAN、Bluetooth(登録商標)など所定の通信方式に従って外部機器や通信ネットワークに接続するための手段である。メディアインターフェース234は、メモリカードや磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスクに代表される外部記憶装置238の読み書き制御を行う手段である。
【0177】
本例では、通信インターフェース232を介して画像読取装置202とコンピュータ210とが接続され、画像読取装置202で読み取った撮像画像のデータがコンピュータ210に取り込まれる。なお、画像読取装置202によって取得された撮像画像のデータを外部記憶装置238に一旦記憶し、外部記憶装置238を通じて撮像画像データをコンピュータ210に取り込む構成も可能である。
【0178】
本発明の実施形態に係るドット位置測定方法における画像解析の処理プログラムは、ハードディスク装置230、或いは外部記憶装置238に格納されており、必要に応じて当該プログラムが読み出され、RAM222に展開されて実行される。或いは、通信インターフェース232を介して接続される不図示のネットワーク上に設置されたサーバによってプログラムが提供される態様も可能であるし、インターネット上のサーバによって本プログラムによる演算処理サービスを提供するという態様も考えられる。
【0179】
オペレータは、ディスプレイ214上に表示されるアプリケーションウインドウ(不図示)を見ながら入力装置216を操作して各種初期値の設定を入力することができるとともに、演算結果をディスプレイ214上で確認することができる。
【0180】
また、演算結果のデータ(計測結果)は、外部記憶装置238に記憶したり、通信インターフェース232を介して外部に出力したりすることができる。計測結果の情報は、通信インターフェース232又は外部記憶装置238を介してインクジェット記録装置に入力される。
【0181】
(変形例)
図27で説明したドット位置測定装置200の機能をインクジェット記録装置に組み込む構成も可能であり、測定用ラインパターンの印字からその読み取り、並びにその後の画像解析によるドット位置計測という一連の動作をインクジェット記録装置の制御プログラムによって連続的に実施する態様も可能である。
【0182】
例えば、図1で説明したインクジェット記録装置10における印字部12の後段に、印字結果を読み取るラインセンサ(印字検出部)を設け、このラインセンサによって測定用ラインパターンを読み取る態様が可能である。
【0183】
上記実施形態では、記録媒体の全幅に対応する長さのノズル列を有するページワイドのフルライン型ヘッドを用いたインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、シリアル型(シャトルスキャン型)ヘッドなど、短尺の記録ヘッドを移動させながら、複数回のヘッド走査により画像記録を行うインクジェット記録装置についても本発明を適用可能である。
【0184】
また、上述の説明では、記録ヘッドを用いる画像形成装置の一例としてインクジェット記録装置を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。インクジェット方式以外では、サーマル素子を記録素子とする記録ヘッドを備えた熱転写記録装置、LED素子を記録素子とする記録ヘッドを備えたLED電子写真プリンタ、LEDライン露光ヘッドを有する銀塩写真方式プリンタなど、ドット記録を行う各種方式の画像形成装置についても本発明を適用することが可能である。
【0185】
また、画像形成装置という用語の解釈においては、写真プリントやポスター印刷などのいわゆるグラフィック印刷の用途に限定されず、インクジェット技術を利用したレジスト印刷装置、電子回路基板の配線描画装置、微細構造物形成装置など、画像として把握できるパターンを形成し得る工業用途の装置も包含する。
【0186】
即ち、本発明は、記録ヘッドとして機能する液体吐出ヘッドを用いて機能液その他各種の液体を被吐出媒体(記録媒体)に向けて噴射する各種の装置(塗装装置、塗布装置、配線描画装置、微細構造物形成装置など)におけるドット着弾位置の測定技術として広く適用可能である。
【0187】
<付記>
上記に詳述した発明の実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
【0188】
(発明1):複数の記録素子を有する記録ヘッドと記録媒体を相対移動させながら、前記記録素子によってドットを連続して記録することにより、前記記録媒体上に各記録素子に対応したドット列による複数のラインを含んだ測定用ラインパターンを形成するラインパターン形成工程であって、前記記録ヘッドの前記相対移動の方向に直交する実質的な記録素子の並び方向に所定間隔離れた記録素子を用いて記録されるライン群で構成されるラインブロックを、前記記録媒体上において前記ラインの長手方向の異なる位置に複数形成してなる複数のラインブロックと、前記複数のラインブロックの各ラインブロックに対して、それぞれ同じ記録素子で記録されるラインを含んだ基準ラインブロックと、を有する前記測定用ラインパターンを形成する前記ラインパターン形成工程と、前記ラインパターン形成工程により前記記録媒体に形成された前記測定用ラインパターンを画像読取装置によって読み取るに際し、当該測定用ラインパターン上の前記ラインの長手方向を前記画像読取装置の副走査方向に向けて読み取りを行い、前記測定用ラインパターンの読取画像を表す電子画像データを取得する読取工程と、前記読取工程で取得した読取画像から前記複数のラインブロック及び前記基準ラインブロックの各ラインブロック内のライン位置を特定するラインブロック内位置特定工程と、前記ラインブロック内位置特定工程で求めた前記複数のラインブロックについてのライン位置を、前記基準ラインブロックに基づいて補正する位置補正工程と、を備えることを特徴とするドット位置測定方法。
【0189】
本発明によれば、画像読取装置のキャジリッジ位置変動等に起因する読取画像格子の乱れの絵依拠を低減することができるとともに、用紙変形の影響を低減した測定が可能である。
【0190】
(発明2):発明1に記載のドット位置測定方法において、前記基準ラインブロックには、前記複数のラインブロックに対して略均等に同じ記録素子により記録されたラインが含まれていることを特徴とするドット位置測定方法。
【0191】
各ラインブロックに対して、略均等に、同じ記録素子から形成されたラインを含む基準ラインブロックを配置する構成により、この基準ラインブロックを基準位置として、各ラインブロックの測定位置を精度よく補正することができる。
【0192】
(発明3):発明1又は2に記載のドット位置測定方法において、前記記録ヘッドの前記相対移動の方向に直交する幅方向に並ぶ実質的な記録素子列の端から記録素子番号i(i=0,1,2,3…)を付し、Aを2以上の整数、Bを0以上A−1以下の整数、Cを2以上の整数(ただし、C≠A、かつCとAは公約数を1以外に持たない)、Dを0以上C−1以下の整数、Nを0以上の整数とするとき、AN+Bの記録素子番号のグループごとに記録タイミングを異ならせて前記記録媒体上に形成された前記複数のラインブロックと、CN+Dの記録素子番号で形成された前記基準ブロックと、を含む前記測定用ラインパターンを形成することを特徴とするドット位置測定方法。
【0193】
かかる態様により、全ノズルに対応するラインを含んだ複数のラインパターンを形成できるとともに、各ラインブロックに対して、均等に同じ記録素子から形成されたラインを含む基準ラインブロックを形成することができる。
【0194】
(発明4):発明1乃至3のいずれか1項に記載のドット位置測定方法において、前記位置補正工程は、前記複数のラインブロックの各ラインブロックと、前記基準ラインブロックとの間で、同じ記録素子によって記録されたラインの位置を一致させる補正関数を求めて補正を行うことを特徴とするドット位置測定方法。
【0195】
補正関数としては、0次関数、1次関数、N次多項式関数などを適用できる。
【0196】
(発明5):発明1乃至4のいずれか1項に記載のドット位置測定方法において、前記読取工程は、前記画像読取装置の副走査方向の読取解像度を主走査方向の読取解像度に比べて低解像度として読み取りを行い、前記測定用ラインパターンの読取画像を表す電子画像データを取得することを特徴とするドット位置測定方法。
【0197】
本態様によれば、測定用ラインパターンについて、副走査方向を低解像度で読み取るため、読取画像のデータ容量が小さく、読み取り時間が速い。また、読取画像のデータ量が小さいことから、データ処理時間が短縮され、処理負荷も抑えられるという利点がある。
【0198】
(発明6):発明5に記載のドット位置測定方法において、前記主走査方向に並ぶ複数の前記ラインで構成される前記ラインブロックについて、前記読取画像上で前記副走査方向に画像信号を平均化する平均化領域を、同ラインブロック内の前記副走査方向の異なる位置に複数設定する領域設定工程と、前記異なる位置に設定された複数の前記平均化領域について、各平均化領域内で前記副走査方向に画像信号を平均化し、前記主走査方向の位置に応じた平均プロファイル画像を作成する平均プロファイル画像作成工程と、前記平均プロファイル画像から前記平均化領域内のライン位置を特定する平均化領域内位置特定工程と、を備え、前記ラインブロック内位置特定工程は、前記複数の平均化領域にそれぞれ対応した前記平均プロファイル画像から特定された前記平均化領域内のライン位置に基づいて、前記ラインブロック内の各ラインの位置を特定することを特徴とするドット位置測定方法。
【0199】
本態様によれば、副走査方向に位置の異なる複数の平均化領域から得た複数の平均プロファイル画像を用いてライン位置(即ち記録素子によって記録されるドットの位置)を決定するため、読み取り解像度に対して、非常に高精度なドット位置測定が可能である。
【0200】
(発明7):発明6に記載のドット位置測定方法において、前記平均プロファイル画像から前記ラインの両端エッジ位置をライン毎に特定するエッジ位置特定工程を備え、前記平均化領域内位置特定工程は、前記エッジ位置特定工程で特定した両端エッジ位置に基づいて、前記平均化領域内のライン位置を特定することを特徴とするドット位置測定方法。
【0201】
本態様により、ライン位置を高精度に特定することができる。
【0202】
(発明8):発明6又は7に記載のドット位置測定方法において、前記平均プロファイル画像に対してフィルタ処理を行うフィルタ処理工程を備えることを特徴とするドット位置測定方法。
【0203】
副走査方向に画像信号を平均化する平均プロファイル画像を作成することによってもゴミやサテライト等の不規則なノイズ成分の影響を低減する効果があるが、この平均プロファイル画像に対して、更にフィルタ処理を施すことにより、不規則なノイズ成分やサンプリング歪みの影響を一層低減でき、ライン位置の測定に関する信頼性を向上させることができる。
【0204】
(発明9):発明1乃至8のいずれか1項に記載のドット位置測定方法において、前記記録媒体上において前記ドットが記録されていない非記録領域と、前記ドットが記録されている記録領域の濃度値に基づいて、前記読取画像の階調値の補正を行う階調値補正工程を備えることを特徴とするドット位置測定方法。
【0205】
かかる態様によれば、記録媒体の散乱等の影響によるプロファイル画像の歪みを補正し、同時に、画像読取装置のシェーディングを低減でき、ライン位置の測定精度を向上させることができる。
【0206】
(発明10):発明1乃至9のいずれか1項に記載のドット位置測定方法において、前記ラインパターン形成工程により、同一記録素子を使用して前記記録媒体上の異なる位置に記録された複数のラインのライン位置に基づいて、前記測定用ラインパターンと前記画像読取装置との間の相対的な回転角を特定する回転角特定工程と、前記回転角特定工程により特定された回転角に基づき、位置情報に対する回転補正の演算を行う回転補正工程と、を備えることを特徴とするドット位置測定方法。
【0207】
同一の記録素子を使用して、記録媒体上で所定距離だけ離れて形成されたラインのライン位置に基づいて、相対的な回転角を決定することができる。
【0208】
(発明11):複数の記録素子を有する記録ヘッドと記録媒体を相対移動させながら、前記記録素子によってドットを連続して記録することにより、前記記録媒体上に各記録素子に対応したドット列による複数のラインを形成してなる測定用ラインパターンを読み取る画像読取手段であって、前記記録ヘッドの前記相対移動の方向に直交する実質的な記録素子の並び方向に所定間隔離れた記録素子を用いて記録されるライン群で構成されるラインブロックを、前記記録媒体上において前記ラインの長手方向の異なる位置に複数形成してなる複数のラインブロックと、前記複数のラインブロックの各ラインブロックに対して、それぞれ同じ記録素子で記録されるラインを含んだ基準ラインブロックと、を有する前記測定用ラインパターンの読み取りの際に、当該測定用ラインパターン上の前記ラインの長手方向を前記画像読取手段の副走査方向に向けて読み取りを行い、前記測定用ラインパターンの読取画像を表す電子画像データを取得する画像読取手段と、前記画像読取手段で取得した読取画像から前記複数のラインブロック及び前記基準ラインブロックの各ラインブロック内のライン位置を特定するラインブロック内位置特定手段と、前記ラインブロック内位置特定手段で求めた前記複数のラインブロックについてのライン位置を、前記基準ラインブロックに基づいて補正する位置補正手段と、を備えることを特徴とするドット位置測定装置。
【0209】
(発明12):発明11に記載のドット位置測定装置において、前記画像読取手段は、前記測定用ラインパターン上の前記ラインの長手方向が向けられる副走査方向の読取解像度が主走査方向の読取解像度に比べて低解像度に設定されることを特徴とするドット位置測定装置。
【0210】
(発明13):発明12に記載のドット位置測定装置において、前記主走査方向に並ぶ複数の前記ラインで構成される前記ラインブロックについて、前記読取画像上で前記副走査方向に画像信号を平均化する平均化領域を、同ラインブロック内の前記副走査方向の異なる位置に複数設定する領域設定手段と、前記異なる位置に設定された複数の前記平均化領域について、各平均化領域内で前記副走査方向に画像信号を平均化し、前記主走査方向の位置に応じた平均プロファイル画像を作成する平均プロファイル画像作成手段と、前記平均プロファイル画像から前記平均化領域内のライン位置を特定する平均化領域内位置特定手段と、を備え、前記ラインブロック内位置特定手段は、前記複数の平均化領域にそれぞれ対応した前記平均プロファイル画像から特定された前記平均化領域内のライン位置に基づいて、前記ラインブロック内の各ラインの位置を特定することを特徴とするドット位置測定装置。
【0211】
(発明14):発明13に記載のドット位置測定装置において、前記平均プロファイル画像から前記ラインの両端エッジ位置をライン毎に特定するエッジ位置特定手段を備え、前記平均化領域内位置特定手段は、前記エッジ位置特定手段で特定した両端エッジ位置に基づいて、前記平均化領域内のライン位置を特定することを特徴とするドット位置測定装置。
【0212】
(発明15):発明13又は14に記載に記載のドット位置測定装置において、前記平均プロファイル画像に対してフィルタ処理を行うフィルタ処理手段を備えることを特徴とするドット位置測定装置。
【0213】
(発明16):発明11乃至15のいずれか1項に記載のドット位置測定装置において、前記記録媒体上において前記ドットが記録されていない非記録領域と、前記ドットが記録されている記録領域の濃度値に基づいて、前記読取画像の階調値の補正を行う階調値補正手段を備えることを特徴とするドット位置測定装置。
【0214】
(発明17):発明11乃至16のいずれか1項に記載のドット位置測定装置において、同一記録素子を使用して前記記録媒体上の異なる位置に記録された複数のラインのライン位置に基づいて、前記測定用ラインパターンと前記画像読取装置との間の相対的な回転角を特定する回転角特定手段と、前記回転角特定手段により特定された回転角に基づき、位置情報に対する回転補正の演算を行う回転補正手段と、を備えることを特徴とするドット位置測定装置。
【0215】
(発明18):発明11乃至17のいずれか1項に記載のドット位置測定装置における前記ラインブロック内位置特定手段、前記位置補正手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【0216】
なお、発明18に記載のプログラムにおいて、更に、発明13に記載の領域設定手段、平均プロファイル画像作成手段、平均化領域内位置特定手段、発明14に記載のエッジ位置特定手段、発明15に記載のフィルタ処理手段、発明16に記載の階調値補正手段、発明17に記載の回転角特定手段、回転補正手段としてコンピュータを機能させるプログラムを提供する態様も可能である。
【0217】
本発明によるプログラムは、プリンタなどに組み込まれる中央処理装置(CPU)の動作プログラムとして適用できるとともに、パソコンなどのコンピュータシステムに適用することも可能である。
【0218】
或いはまた、当該プログラムは、単独のアプリケーションソフトウエアとして構成されてもよいし、画像編集ソフトウエアなど、他のアプリケーションの一部として組み込まれてもよい。このようなプログラムをCD−ROMや磁気ディスクその他の情報記憶媒体(外部記憶装置)に記録し、該情報記憶媒体を通じて当該プログラムを第三者に提供したり、インターネットなどの通信回線を通じて当該プログラムのダウンロードサービスを提供したりすることも可能である。
【0219】
また、本発明における記録ヘッドを用いて記録媒体上に画像を形成する画像形成装置の一態様としてのインクジェット記録装置は、ドットを形成するためのインク液滴を吐出するノズル及び吐出圧を発生させる圧力発生手段(圧電素子や加熱素子など)を含む液滴吐出素子(「記録素子」に相当)を複数配列させた液滴吐出素子列を有する液体吐出ヘッド(「記録ヘッド」に相当)と、画像データから生成されたインク吐出データに基づいて記録ヘッドからの液滴の吐出を制御する吐出制御手段とを備え、前記ノズルから吐出した液滴によって記録媒体上に画像を形成する。
【0220】
記録ヘッドの構成例として、記録媒体の全幅に対応する長さにわたって複数の記録素子を配列させた記録素子列を有するフルライン型のヘッドを用いることができる。この場合、記録媒体の全幅に対応する長さに満たない記録素子列を有する比較的短尺の記録ヘッドモジュールを複数個組み合わせ、これらを繋ぎ合わせることで全体として記録媒体の全幅に対応する長さの記録素子列を構成する態様がある。
【0221】
フルライン型のヘッドは、通常、記録媒体の相対的な送り方向(相対的搬送方向)と直交する方向に沿って配置されるが、搬送方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿って記録ヘッドを配置する態様もあり得る。
【0222】
「記録媒体」は、記録ヘッドの作用によって画像の記録を受ける媒体(被画像形成媒体、被印字媒体、被記録媒体、受像媒体、被吐出媒体など呼ばれ得るもの)であり、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、中間転写媒体、インクジェット記録装置によって配線パターンが印刷されるプリント基板、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。
【0223】
「搬送手段」は、停止した(固定された)記録ヘッドに対して記録媒体を搬送する態様、停止した記録媒体に対して記録ヘッドを移動させる態様、或いは、記録ヘッドと記録媒体の両方を移動させる態様のいずれをも含む。
【0224】
インクジェットヘッドによって、カラー画像を形成する場合は、複数色のインク(記録液)の色別に記録ヘッドを配置してもよいし、1つの記録ヘッドから複数色のインクを吐
出可能な構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0225】
【図1】インクジェット記録装置の全体構成図
【図2】ヘッドの構造例を示す平面透視図
【図3】フルライン型ヘッドの他の構成例を示す平面透視図
【図4】図2中の4−4線に沿う断面図
【図5】ヘッドのノズル配列を示す拡大図
【図6】インクジェット記録装置のシステム構成を示すブロック図
【図7】フルライン型ヘッドの模式図
【図8】ヘッドによる打滴特性と、当該ヘッドで記録されるラインの説明図
【図9】ドット位置測定用ラインパターンの例を示す図
【図10】ドット位置測定用ラインパターンとスキャナの主走査方向及び副走査方向の関係を示す説明図
【図11】スキャナ座標系(読み取り座標系)とドット位置測定用ラインパターンの関係を示す説明図
【図12】スキャナ装置で読み取った読取画像上のドット位置測定用ラインパターンを示す図
【図13】ドット位置測定の全体の流れを示すフローチャート
【図14】ラインブロック内位置測定処理の内容を示すフローチャート
【図15】画像平均化領域(ROI)の設定例を示す説明図フの例を示す図
【図16】ROI内ライン位置測定処理の内容を示すフローチャート
【図17】W(ホワイト、白地)/B(ブラック、インク)補正処理の内容を示すフローチャート
【図18】画像平均化領域(ROI)から計算される平均プロファイル画像の例を示す説明図
【図19】フィルタ処理の効果を示すグラフ
【図20】W/Bレベルの変動を示すグラフ
【図21】W/Bレベル補正の説明図
【図22】エッジ位置の決定方法の説明図
【図23】各ROIにおけるライン位置の測定精度を示すグラフ
【図24】複数のROIを平均化したときの測定精度を示すグラフ
【図25】回転角補正処理の内容を示すフローチャート
【図26】ラインブロック位置補正処理の内容を示すフローチャート
【図27】ドット位置測定装置の構成例を示すブロック図
【図28】従来のドット位置測定用ラインパターンの例を示す図
【図29】スキャナ副走査位置に依存する位置変動を示すグラフ
【図30】各ノズルに対応するドット位置誤差(回転角補正後)の測定結果の例を示す図
【符号の説明】
【0226】
10…インクジェット記録装置、12…印字部、12K,12C,12M,12Y…ヘッド、16…記録紙、50…ヘッド、51…ノズル、52…圧力室、58…アクチュエータ、72…システムコントローラ、80…プリント制御部、90…ドット、92…ライン、200…ドット位置測定装置、202…画像読取装置、210…コンピュータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記録素子を有する記録ヘッドと記録媒体を相対移動させながら、前記記録素子によってドットを連続して記録することにより、前記記録媒体上に各記録素子に対応したドット列による複数のラインを含んだ測定用ラインパターンを形成するラインパターン形成工程であって、前記記録ヘッドの前記相対移動の方向に直交する実質的な記録素子の並び方向に所定間隔離れた記録素子を用いて記録されるライン群で構成されるラインブロックを、前記記録媒体上において前記ラインの長手方向の異なる位置に複数形成してなる複数のラインブロックと、前記複数のラインブロックの各ラインブロックに対して、それぞれ同じ記録素子で記録されるラインを含んだ基準ラインブロックと、を有する前記測定用ラインパターンを形成する前記ラインパターン形成工程と、
前記ラインパターン形成工程により前記記録媒体に形成された前記測定用ラインパターンを画像読取装置によって読み取るに際し、当該測定用ラインパターン上の前記ラインの長手方向を前記画像読取装置の副走査方向に向けて読み取りを行い、前記測定用ラインパターンの読取画像を表す電子画像データを取得する読取工程と、
前記読取工程で取得した読取画像から前記複数のラインブロック及び前記基準ラインブロックの各ラインブロック内のライン位置を特定するラインブロック内位置特定工程と、
前記ラインブロック内位置特定工程で求めた前記複数のラインブロックについてのライン位置を、前記基準ラインブロックに基づいて補正する位置補正工程と、
を備えることを特徴とするドット位置測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載のドット位置測定方法において、
前記基準ラインブロックには、前記複数のラインブロックに対して略均等に同じ記録素子により記録されたラインが含まれていることを特徴とするドット位置測定方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のドット位置測定方法において、
前記記録ヘッドの前記相対移動の方向に直交する幅方向に並ぶ実質的な記録素子列の端から記録素子番号i(i=0,1,2,3…)を付し、
Aを2以上の整数、Bを0以上A−1以下の整数、Cを2以上の整数(ただし、C≠A、かつCとAは公約数を1以外に持たない)、Dを0以上C−1以下の整数、Nを0以上の整数とするとき、
AN+Bの記録素子番号のグループごとに記録タイミングを異ならせて前記記録媒体上に形成された前記複数のラインブロックと、
CN+Dの記録素子番号で形成された前記基準ブロックと、を含む前記測定用ラインパターンを形成することを特徴とするドット位置測定方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のドット位置測定方法において、
前記位置補正工程は、前記複数のラインブロックの各ラインブロックと、前記基準ラインブロックとの間で、同じ記録素子によって記録されたラインの位置を一致させる補正関数を求めて補正を行うことを特徴とするドット位置測定方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のドット位置測定方法において、
前記読取工程は、前記画像読取装置の副走査方向の読取解像度を主走査方向の読取解像度に比べて低解像度として読み取りを行い、前記測定用ラインパターンの読取画像を表す電子画像データを取得することを特徴とするドット位置測定方法。
【請求項6】
請求項5に記載のドット位置測定方法において、
前記主走査方向に並ぶ複数の前記ラインで構成される前記ラインブロックについて、前記読取画像上で前記副走査方向に画像信号を平均化する平均化領域を、同ラインブロック内の前記副走査方向の異なる位置に複数設定する領域設定工程と、
前記異なる位置に設定された複数の前記平均化領域について、各平均化領域内で前記副走査方向に画像信号を平均化し、前記主走査方向の位置に応じた平均プロファイル画像を作成する平均プロファイル画像作成工程と、
前記平均プロファイル画像から前記平均化領域内のライン位置を特定する平均化領域内位置特定工程と、を備え、
前記ラインブロック内位置特定工程は、前記複数の平均化領域にそれぞれ対応した前記平均プロファイル画像から特定された前記平均化領域内のライン位置に基づいて、前記ラインブロック内の各ラインの位置を特定することを特徴とするドット位置測定方法。
【請求項7】
請求項6に記載のドット位置測定方法において、
前記平均プロファイル画像から前記ラインの両端エッジ位置をライン毎に特定するエッジ位置特定工程を備え、
前記平均化領域内位置特定工程は、前記エッジ位置特定工程で特定した両端エッジ位置に基づいて、前記平均化領域内のライン位置を特定することを特徴とするドット位置測定方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のドット位置測定方法において、
前記平均プロファイル画像に対してフィルタ処理を行うフィルタ処理工程を備えることを特徴とするドット位置測定方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のドット位置測定方法において、
前記記録媒体上において前記ドットが記録されていない非記録領域と、前記ドットが記録されている記録領域の濃度値に基づいて、前記読取画像の階調値の補正を行う階調値補正工程を備えることを特徴とするドット位置測定方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のドット位置測定方法において、
前記ラインパターン形成工程により、同一記録素子を使用して前記記録媒体上の異なる位置に記録された複数のラインのライン位置に基づいて、前記測定用ラインパターンと前記画像読取装置との間の相対的な回転角を特定する回転角特定工程と、
前記回転角特定工程により特定された回転角に基づき、位置情報に対する回転補正の演算を行う回転補正工程と、
を備えることを特徴とするドット位置測定方法。
【請求項11】
複数の記録素子を有する記録ヘッドと記録媒体を相対移動させながら、前記記録素子によってドットを連続して記録することにより、前記記録媒体上に各記録素子に対応したドット列による複数のラインを形成してなる測定用ラインパターンを読み取る画像読取手段であって、前記記録ヘッドの前記相対移動の方向に直交する実質的な記録素子の並び方向に所定間隔離れた記録素子を用いて記録されるライン群で構成されるラインブロックを、前記記録媒体上において前記ラインの長手方向の異なる位置に複数形成してなる複数のラインブロックと、前記複数のラインブロックの各ラインブロックに対して、それぞれ同じ記録素子で記録されるラインを含んだ基準ラインブロックと、を有する前記測定用ラインパターンの読み取りの際に、当該測定用ラインパターン上の前記ラインの長手方向を前記画像読取手段の副走査方向に向けて読み取りを行い、前記測定用ラインパターンの読取画像を表す電子画像データを取得する画像読取手段と、
前記画像読取手段で取得した読取画像から前記複数のラインブロック及び前記基準ラインブロックの各ラインブロック内のライン位置を特定するラインブロック内位置特定手段と、
前記ラインブロック内位置特定手段で求めた前記複数のラインブロックについてのライン位置を、前記基準ラインブロックに基づいて補正する位置補正手段と、
を備えることを特徴とするドット位置測定装置。
【請求項12】
請求項11に記載のドット位置測定装置において、
前記画像読取手段は、前記測定用ラインパターン上の前記ラインの長手方向が向けられる副走査方向の読取解像度が主走査方向の読取解像度に比べて低解像度に設定されることを特徴とするドット位置測定装置。
【請求項13】
請求項12に記載のドット位置測定装置において、
前記主走査方向に並ぶ複数の前記ラインで構成される前記ラインブロックについて、前記読取画像上で前記副走査方向に画像信号を平均化する平均化領域を、同ラインブロック内の前記副走査方向の異なる位置に複数設定する領域設定手段と、
前記異なる位置に設定された複数の前記平均化領域について、各平均化領域内で前記副走査方向に画像信号を平均化し、前記主走査方向の位置に応じた平均プロファイル画像を作成する平均プロファイル画像作成手段と、
前記平均プロファイル画像から前記平均化領域内のライン位置を特定する平均化領域内位置特定手段と、を備え、
前記ラインブロック内位置特定手段は、前記複数の平均化領域にそれぞれ対応した前記平均プロファイル画像から特定された前記平均化領域内のライン位置に基づいて、前記ラインブロック内の各ラインの位置を特定することを特徴とするドット位置測定装置。
【請求項14】
請求項13に記載のドット位置測定装置において、
前記平均プロファイル画像から前記ラインの両端エッジ位置をライン毎に特定するエッジ位置特定手段を備え、
前記平均化領域内位置特定手段は、前記エッジ位置特定手段で特定した両端エッジ位置に基づいて、前記平均化領域内のライン位置を特定することを特徴とするドット位置測定装置。
【請求項15】
請求項13又は14に記載に記載のドット位置測定装置において、
前記平均プロファイル画像に対してフィルタ処理を行うフィルタ処理手段を備えることを特徴とするドット位置測定装置。
【請求項16】
請求項11乃至15のいずれか1項に記載のドット位置測定装置において、
前記記録媒体上において前記ドットが記録されていない非記録領域と、前記ドットが記録されている記録領域の濃度値に基づいて、前記読取画像の階調値の補正を行う階調値補正手段を備えることを特徴とするドット位置測定装置。
【請求項17】
請求項11乃至16のいずれか1項に記載のドット位置測定装置において、
同一記録素子を使用して前記記録媒体上の異なる位置に記録された複数のラインのライン位置に基づいて、前記測定用ラインパターンと前記画像読取装置との間の相対的な回転角を特定する回転角特定手段と、
前記回転角特定手段により特定された回転角に基づき、位置情報に対する回転補正の演算を行う回転補正手段と、
を備えることを特徴とするドット位置測定装置。
【請求項18】
請求項11乃至17のいずれか1項に記載のドット位置測定装置における前記ラインブロック内位置特定手段、前記位置補正手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項1】
複数の記録素子を有する記録ヘッドと記録媒体を相対移動させながら、前記記録素子によってドットを連続して記録することにより、前記記録媒体上に各記録素子に対応したドット列による複数のラインを含んだ測定用ラインパターンを形成するラインパターン形成工程であって、前記記録ヘッドの前記相対移動の方向に直交する実質的な記録素子の並び方向に所定間隔離れた記録素子を用いて記録されるライン群で構成されるラインブロックを、前記記録媒体上において前記ラインの長手方向の異なる位置に複数形成してなる複数のラインブロックと、前記複数のラインブロックの各ラインブロックに対して、それぞれ同じ記録素子で記録されるラインを含んだ基準ラインブロックと、を有する前記測定用ラインパターンを形成する前記ラインパターン形成工程と、
前記ラインパターン形成工程により前記記録媒体に形成された前記測定用ラインパターンを画像読取装置によって読み取るに際し、当該測定用ラインパターン上の前記ラインの長手方向を前記画像読取装置の副走査方向に向けて読み取りを行い、前記測定用ラインパターンの読取画像を表す電子画像データを取得する読取工程と、
前記読取工程で取得した読取画像から前記複数のラインブロック及び前記基準ラインブロックの各ラインブロック内のライン位置を特定するラインブロック内位置特定工程と、
前記ラインブロック内位置特定工程で求めた前記複数のラインブロックについてのライン位置を、前記基準ラインブロックに基づいて補正する位置補正工程と、
を備えることを特徴とするドット位置測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載のドット位置測定方法において、
前記基準ラインブロックには、前記複数のラインブロックに対して略均等に同じ記録素子により記録されたラインが含まれていることを特徴とするドット位置測定方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のドット位置測定方法において、
前記記録ヘッドの前記相対移動の方向に直交する幅方向に並ぶ実質的な記録素子列の端から記録素子番号i(i=0,1,2,3…)を付し、
Aを2以上の整数、Bを0以上A−1以下の整数、Cを2以上の整数(ただし、C≠A、かつCとAは公約数を1以外に持たない)、Dを0以上C−1以下の整数、Nを0以上の整数とするとき、
AN+Bの記録素子番号のグループごとに記録タイミングを異ならせて前記記録媒体上に形成された前記複数のラインブロックと、
CN+Dの記録素子番号で形成された前記基準ブロックと、を含む前記測定用ラインパターンを形成することを特徴とするドット位置測定方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のドット位置測定方法において、
前記位置補正工程は、前記複数のラインブロックの各ラインブロックと、前記基準ラインブロックとの間で、同じ記録素子によって記録されたラインの位置を一致させる補正関数を求めて補正を行うことを特徴とするドット位置測定方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のドット位置測定方法において、
前記読取工程は、前記画像読取装置の副走査方向の読取解像度を主走査方向の読取解像度に比べて低解像度として読み取りを行い、前記測定用ラインパターンの読取画像を表す電子画像データを取得することを特徴とするドット位置測定方法。
【請求項6】
請求項5に記載のドット位置測定方法において、
前記主走査方向に並ぶ複数の前記ラインで構成される前記ラインブロックについて、前記読取画像上で前記副走査方向に画像信号を平均化する平均化領域を、同ラインブロック内の前記副走査方向の異なる位置に複数設定する領域設定工程と、
前記異なる位置に設定された複数の前記平均化領域について、各平均化領域内で前記副走査方向に画像信号を平均化し、前記主走査方向の位置に応じた平均プロファイル画像を作成する平均プロファイル画像作成工程と、
前記平均プロファイル画像から前記平均化領域内のライン位置を特定する平均化領域内位置特定工程と、を備え、
前記ラインブロック内位置特定工程は、前記複数の平均化領域にそれぞれ対応した前記平均プロファイル画像から特定された前記平均化領域内のライン位置に基づいて、前記ラインブロック内の各ラインの位置を特定することを特徴とするドット位置測定方法。
【請求項7】
請求項6に記載のドット位置測定方法において、
前記平均プロファイル画像から前記ラインの両端エッジ位置をライン毎に特定するエッジ位置特定工程を備え、
前記平均化領域内位置特定工程は、前記エッジ位置特定工程で特定した両端エッジ位置に基づいて、前記平均化領域内のライン位置を特定することを特徴とするドット位置測定方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のドット位置測定方法において、
前記平均プロファイル画像に対してフィルタ処理を行うフィルタ処理工程を備えることを特徴とするドット位置測定方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のドット位置測定方法において、
前記記録媒体上において前記ドットが記録されていない非記録領域と、前記ドットが記録されている記録領域の濃度値に基づいて、前記読取画像の階調値の補正を行う階調値補正工程を備えることを特徴とするドット位置測定方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のドット位置測定方法において、
前記ラインパターン形成工程により、同一記録素子を使用して前記記録媒体上の異なる位置に記録された複数のラインのライン位置に基づいて、前記測定用ラインパターンと前記画像読取装置との間の相対的な回転角を特定する回転角特定工程と、
前記回転角特定工程により特定された回転角に基づき、位置情報に対する回転補正の演算を行う回転補正工程と、
を備えることを特徴とするドット位置測定方法。
【請求項11】
複数の記録素子を有する記録ヘッドと記録媒体を相対移動させながら、前記記録素子によってドットを連続して記録することにより、前記記録媒体上に各記録素子に対応したドット列による複数のラインを形成してなる測定用ラインパターンを読み取る画像読取手段であって、前記記録ヘッドの前記相対移動の方向に直交する実質的な記録素子の並び方向に所定間隔離れた記録素子を用いて記録されるライン群で構成されるラインブロックを、前記記録媒体上において前記ラインの長手方向の異なる位置に複数形成してなる複数のラインブロックと、前記複数のラインブロックの各ラインブロックに対して、それぞれ同じ記録素子で記録されるラインを含んだ基準ラインブロックと、を有する前記測定用ラインパターンの読み取りの際に、当該測定用ラインパターン上の前記ラインの長手方向を前記画像読取手段の副走査方向に向けて読み取りを行い、前記測定用ラインパターンの読取画像を表す電子画像データを取得する画像読取手段と、
前記画像読取手段で取得した読取画像から前記複数のラインブロック及び前記基準ラインブロックの各ラインブロック内のライン位置を特定するラインブロック内位置特定手段と、
前記ラインブロック内位置特定手段で求めた前記複数のラインブロックについてのライン位置を、前記基準ラインブロックに基づいて補正する位置補正手段と、
を備えることを特徴とするドット位置測定装置。
【請求項12】
請求項11に記載のドット位置測定装置において、
前記画像読取手段は、前記測定用ラインパターン上の前記ラインの長手方向が向けられる副走査方向の読取解像度が主走査方向の読取解像度に比べて低解像度に設定されることを特徴とするドット位置測定装置。
【請求項13】
請求項12に記載のドット位置測定装置において、
前記主走査方向に並ぶ複数の前記ラインで構成される前記ラインブロックについて、前記読取画像上で前記副走査方向に画像信号を平均化する平均化領域を、同ラインブロック内の前記副走査方向の異なる位置に複数設定する領域設定手段と、
前記異なる位置に設定された複数の前記平均化領域について、各平均化領域内で前記副走査方向に画像信号を平均化し、前記主走査方向の位置に応じた平均プロファイル画像を作成する平均プロファイル画像作成手段と、
前記平均プロファイル画像から前記平均化領域内のライン位置を特定する平均化領域内位置特定手段と、を備え、
前記ラインブロック内位置特定手段は、前記複数の平均化領域にそれぞれ対応した前記平均プロファイル画像から特定された前記平均化領域内のライン位置に基づいて、前記ラインブロック内の各ラインの位置を特定することを特徴とするドット位置測定装置。
【請求項14】
請求項13に記載のドット位置測定装置において、
前記平均プロファイル画像から前記ラインの両端エッジ位置をライン毎に特定するエッジ位置特定手段を備え、
前記平均化領域内位置特定手段は、前記エッジ位置特定手段で特定した両端エッジ位置に基づいて、前記平均化領域内のライン位置を特定することを特徴とするドット位置測定装置。
【請求項15】
請求項13又は14に記載に記載のドット位置測定装置において、
前記平均プロファイル画像に対してフィルタ処理を行うフィルタ処理手段を備えることを特徴とするドット位置測定装置。
【請求項16】
請求項11乃至15のいずれか1項に記載のドット位置測定装置において、
前記記録媒体上において前記ドットが記録されていない非記録領域と、前記ドットが記録されている記録領域の濃度値に基づいて、前記読取画像の階調値の補正を行う階調値補正手段を備えることを特徴とするドット位置測定装置。
【請求項17】
請求項11乃至16のいずれか1項に記載のドット位置測定装置において、
同一記録素子を使用して前記記録媒体上の異なる位置に記録された複数のラインのライン位置に基づいて、前記測定用ラインパターンと前記画像読取装置との間の相対的な回転角を特定する回転角特定手段と、
前記回転角特定手段により特定された回転角に基づき、位置情報に対する回転補正の演算を行う回転補正手段と、
を備えることを特徴とするドット位置測定装置。
【請求項18】
請求項11乃至17のいずれか1項に記載のドット位置測定装置における前記ラインブロック内位置特定手段、前記位置補正手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2010−87758(P2010−87758A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253436(P2008−253436)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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