説明

ドネペジルを含有する安定化医薬組成物、その製造方法、及び安定化方法

【課題】投与方法の選択肢を広げ、患者の服薬コンプライアンスの向上を図るため、痴呆症(認知症)の治療薬として既に利用されているドネペジルの新たな医薬組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩と、天然高分子物質と、を含む医薬組成物であって、エデト酸塩、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエンまたはブチルヒドロキシアニソールのいずれか1種以上を含む医薬組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩及び天然高分子物質を含有する医薬組成物に係り、より詳細には、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩と天然高分子物質を含有する、安定化医薬組成物およびその製造方法、並びに天然高分子物質の存在下、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩の安定化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、老人性痴呆症の介護等が社会的な問題となり、その治療薬の開発が盛んに行われている。中でもドネペジルは、アセチルコリンエステラーゼ阻害作用を有するアルツハイマー痴呆症の治療剤としてその有用性が高く評価されている。
【0003】
一方、薬物を患者に投与する場合には、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤、坐剤、注射剤等の剤型が適宜選択され、製剤化にあたって必要な賦形剤、基材等の薬理学的に許容され得る添加物が配合される。このとき、薬物自身が熱や光に安定であっても、添加物とともに製剤化することにより、薬物が不安定になる場合もある。
【0004】
たとえば、ドネペジルは、添加物とともに製剤化することにより、光に対して不安定であることが知られ、それに対し、トシル酸、メシル酸等の有機酸により安定化する方法等が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、合成高分子であるポリビニルピロリドン(以下、単に「PVP」という。)を配合し、薬物の苦味を軽減した組成物において、亜硫酸ナトリウムを配合することにより、当該組成物の保存時に増加する類縁物質を抑制することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−106353号公報
【特許文献2】特開平2000−136134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、投与方法の選択肢を広げ、患者の服薬コンプライアンスの向上を図るため、痴呆症(認知症)の治療薬として既に利用されているドネペジルの新たな医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる事情に鑑み、本発明者らは、種々の医薬組成物を検討したところ、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩が、天然高分子物質とともに製剤化した場合に分解され、特許文献2では認められない類縁物質が生ずることを見出した。そこで、本発明者らは、天然高分子物質を含有する組成物中で、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩の安定性を増大させるべく鋭意検討した結果、以下の構成により課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の第1の態様では、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩と、天然高分子物質と、を含む医薬組成物であって、エデト酸塩、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエンまたはブチルヒドロキシアニソールのいずれか1種以上をさらに含む医薬組成物を提供する。本発明に係る医薬組成物の好ましい態様では、液剤、懸濁剤、ゼリー剤、シロップ剤、坐剤、外用剤または注射剤などのような形態で、ドネペジルまたはその薬理学的に許容される塩が含有されている。
【0009】
また、本発明の第2の態様では、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩と、天然高分子物質と、を含む医薬組成物の製造方法であって、エデト酸塩、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエンまたはブチルヒドロキシアニソールのいずれか1種以上を、前記医薬組成物に混合する工程を含む製造方法を提供する。
【0010】
さらに、本発明の第3の態様では、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩と、天然高分子物質と、を含む医薬組成物の安定化方法であって、エデト酸塩、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエンまたはブチルヒドロキシアニソールのいずれか1種以上を、前記医薬組成物に添加する工程を含む安定化方法を提供する。
【0011】
加えて、本発明の第4の態様では、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩と、天然高分子物質と、を含む医薬組成物の安定化剤であって、エデト酸塩、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエンまたはブチルヒドロキシアニソールのいずれか1種以上を含む安定化剤を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩と天然高分子物質とを含む医薬組成物において、患者の服薬コンプライアンスの向上、嚥下障害者における誤嚥の防止、調剤現場での管理の軽減を可能にする医薬組成物が提供される。具体的には、天然高分子物質が共存することにより、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩が熱や経時変化により分解し、類縁物質を生ずるような組成物においても、エデト酸塩、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエンまたはブチルヒドロキシアニソールのいずれか1種以上を配合することにより、ドネペジルに由来する類縁物質の増加を抑え、保存安定性が改善された医薬組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、天然高分子物質を含有する医薬組成物において、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩のための安定化剤を提供できる。
さらに、本発明によれば、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩を安定化させるための簡便な医薬組成物の製造方法を提供できる。
またさらに、本発明によれば、添加物の種類によらず、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩を含有する製剤を提供することができ、投与方法の選択肢を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
【0014】
本発明は、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩と天然高分子物質が溶液状態、懸濁状態、乳化状態、または半固形状態で共存することにより、ドネペジル又はその薬理学的に許容され得る塩の類縁物質が増加するという知見に基づくものである。具体的には、両者が共存する組成物を室温で長期保存したり、加温条件で保存することにより、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩からの類縁物質は増加する。さらに、本発明で見出された類縁物質は、特許文献2で認められる、合成高分子であるPVPを配合し、薬物の苦味を軽減した組成物中で生じる類縁物質とは異なる類縁物質であることも発見した。本発明は、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩からの類縁物質の増加は、天然高分子物質とドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩に、エデト酸塩、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエンまたはブチルヒドロキシアニソールのいずれか1種以上を添加することにより抑制できるという発見に基づくものである。
【0015】
本発明は、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩を含有する医薬組成物であって、保存安定性が改善された医薬組成物を提供する。ここで、本発明に用いるドネペジルは、通常、塩酸ドネペジルとして、アルツハイマー型認知症治療剤として用いられており、その構造式は、以下に示すとおりである。
【0016】
【化1】

【0017】
本明細書において用いる「薬理学的に許容され得る塩」とは、本発明で用いるドネペジルと塩を形成し、かつ、薬理学的に許容され得るものであれば特に限定されず、例えば、無機酸塩、有機酸塩、酸性アミノ酸塩等が挙げられる。具体的には、無機酸塩の好ましい例としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等が挙げられる。有機酸塩の好ましい例としては、例えば、酢酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。酸性アミノ酸塩の好ましい例としては、例えば、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等が挙げられる。本発明において、より好ましい薬理学的に許容され得る塩は、塩酸塩である。
【0018】
本発明に係る医薬組成物に用いる天然高分子物質は、例えば、ペクチン、カラギーナン、寒天、ゼラチン、グアーガム、サイリウムシードガム、でんぷん、ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、タラガム、タマリンドガム、アラビアガム、カードラン、ガラクトマンナン、グルコマンナン、ニトロセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プロテオグリカン、グリコプロテイン、アクチン、チューブリン、ヘモグロビン、インスリン、フィブリン、アルブミン、ミオシン、コラーゲン、カゼイン、プルラン、キトサン、またはそれらの混合物であり、好ましくは、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、ペクチン、またはそれらの混合物であり、より好ましくは、ペクチンである。
【0019】
本発明に係る医薬組成物に用いるエデト酸(エチレンジアミン四酢酸またはEDTAともいう)塩は特に限定されず、例えば、エデト酸ナトリウムやエデト酸カルシウム二ナトリウムを挙げることができ、好ましくは、エデト酸カルシウム二ナトリウムである。エデト酸塩として、1種のみを添加してもよいし、2種以上を混合して添加してもよい。さらに、エデト酸塩、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエン、またはブチルヒドロキシアニソールのいずれか1種以上をそれぞれ添加してもよいし、混合して添加してもよい。
【0020】
本発明に係る医薬組成物に用いる亜硫酸塩は特に限定されず、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムやピロ亜硫酸カリウムを挙げることができ、好ましくは亜硫酸ナトリウムやピロ亜硫酸ナトリウムである。亜硫酸塩として、1種のみを添加してもよいし、2種以上を混合して添加してもよい。
【0021】
本発明に係る医薬組成物中におけるエデト酸塩、亜硫酸塩またはジブチルヒドロキシトルエンの配合比率は、特に限定されないが、通常、医薬組成物全量100質量部に対して、エデト酸塩、亜硫酸塩またはジブチルヒドロキシトルエン0.0001〜0.2質量部であり、好ましくは0.001〜0.1質量部であり、より好ましくはエデト酸塩0.05〜0.1質量部、亜硫酸塩0.02〜0.05質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.001〜0.02質量部である。
【0022】
また、本発明に係る医薬組成物中におけるブチルヒドロキシアニソールの配合比率は、特に限定されないが、通常、医薬組成物全量100質量部に対して、ブチルヒドロキシアニソール0.0001〜0.003質量部であり、好ましくは0.001〜0.003質量部、より好ましくは0.0020〜0.0028質量部である。
【0023】
本発明に係る医薬組成物は、賦形剤、結合剤、崩壊剤、懸濁化剤または乳化剤、着香剤、甘味剤、流動化剤、着色剤、pH調節剤、防腐剤、溶解剤、溶解補助剤、基材等の添加物を配合してもよいが、これらに限定されるものではない。
賦形剤の具体例としては、以下のものに限定されるわけではないが、D−マンニト−ル、乳糖(無水乳糖含む)、白糖(精製白糖含む)、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられる。
結合剤の具体例としては、以下のものに限定されるわけではないが、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、プルラン、アラビアゴム末等が挙げられる。
崩壊剤の具体例としては、以下のものに限定されるわけではないが、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン等が挙げられる。
懸濁化剤または乳化剤の具体例としては、以下のものに限定されるわけではないが、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合物等が挙げられる。
着香剤の具体例として、以下のものに限定されるわけではないが、メントール、はっか油、レモン油、オレンジ油等が挙げられる。
甘味剤の具体例としては、以下のものに限定されるわけではないが、蔗糖、ソルビトール、トレハロース、マルチトール、キシリトール、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクロース、ソーマチン、サッカリンナトリウム等が挙げられる。
流動化剤の具体例として、以下のものに限定されるわけではないが、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、重質無水ケイ酸、結晶セルロース、合成ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミナマグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
着色剤の具体例としては、以下のものに限定されるわけではないが、食用黄色4号、食用黄色5号、食用赤色2号、食用赤色102号、食用青色1号、食用青色2号(インジゴカルミン)、食用黄色4号アルミニウムレーキ等のタール系色素、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、酸化亜鉛、タルク、ウコン抽出液、カラメル、カロチン液、β−カロテン、銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、リボフラビン、カーボンブラック、薬用炭が挙げられる。
pH調整剤の具体例としては、以下のものに限定されるわけではないが、塩酸、クエン酸およびその塩、酒石酸およびその塩、酢酸およびその塩、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、乳酸およびその塩、リン酸およびその塩、りんご酸等が挙げられる。
防腐剤の具体例としては、以下のものに限定されるわけではないが、安息香酸およびその塩、ソルビン酸およびその塩、デヒドロ酢酸およびその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、等が挙げられる。
溶解剤の具体例としては、以下のものに限定されるわけではないが、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、希塩酸、硬化油、精製水、生理食塩液、注射用水、マクロゴール4000、ポリソルベート80等が挙げられる。
溶解補助剤の具体例としては、以下のものに限定されるわけではないが、エタノール、塩酸、水酸化ナトリウム、グリシン、グリセリン、プロピレングリコール、シクロデキストリン、流動パラフィン、硬化ひまし油、マクロゴール4000、ポリソルベート80等が挙げられる。
基材の具体例としては、以下のものに限定されるわけではないが、アクリル酸系高分子やセルロース系高分子、ポリイソブチレン、ロジン系樹脂、ガム類等の高分子物質、ワセリン等のワックス類、マクロゴール等の合成高分子物質、硬化油、精製水、等が挙げられる。
【0024】
本発明に係る医薬組成物の製造方法は、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩と天然高分子物質、およびエデト酸塩、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエンまたはブチルヒドロキシアニソールのいずれか1種以上を混合する工程を含むが、それぞれを添加しても、一時に混合しても、組成物として最終的に混合されていればよい。
【0025】
同様に、本発明に係る医薬組成物の安定化方法は、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩と天然高分子物質、およびエデト酸塩、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエンまたはブチルヒドロキシアニソールのいずれか1種以上を混合する工程を含むが、それぞれを添加しても、一時に混合しても、組成物として最終的に混合されていれば、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩が安定化される。
【0026】
このように、本発明では、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩と、天然高分子物質とを含む医薬組成物において、エデト酸塩、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエンまたはブチルヒドロキシアニソールが、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩の安定化剤としての機能を有する。
【0027】
本発明に係る医薬組成物の剤型は、天然高分子物質およびエデト酸塩、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエン、またはブチルヒドロキシアニソールのいずれか1種以上が配合されていれば、特に限定されず、例えば、シロップ剤、懸濁剤、ドライシロップ剤、液剤、ゼリー剤のような経口剤;坐剤;ローション剤のような外用剤;または注射剤等が挙げられる。それぞれの剤型は、従来知られている方法による製造することができる。
【0028】
例えば、ゼリー剤は、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩と、カラギーナン、寒天、ペクチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ゼラチン、グアーガム等の天然高分子物質と、エデト酸塩、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエンまたはブチルヒドロキシアニソールのいずれか1種以上と、水とを混合する工程を含むことで製造することができる。また、必要に応じて加熱する工程や、酸性成分やカルシウム、カリウム等の架橋剤を混合する工程によりゲル化させることができる。甘味剤、着香剤、着色剤、pH調節剤、防腐剤、溶解剤、溶解補助剤等を適宜組み合わせてもよい。
【0029】
例えば、液剤は、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩と、カラギーナン、寒天、ペクチン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ゼラチン、グアーガム等の天然高分子物質と、エデト酸塩、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエンまたはブチルヒドロキシアニソールのいずれか1種以上と、水とを混合する工程を含むことで製造することができる。乳化剤、溶解補助剤、甘味剤、着色剤、着香剤、pH調節剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、防腐剤等を適宜組み合わせてもよい。
【0030】
なお、本発明に係る医薬組成物は、脱酸素剤封入包装、ガス置換包装、真空包装から選択される1または2以上の包装形態で包装されていてもよい。
【0031】
(実施例)
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので、本発明を限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。また、本発明に係る医薬組成物中の添加物は、日局、薬添規、食添等の公定書に適合したもの、または試薬を使用した。
【0032】
(実施例1〜3)
本発明に係るゼリー剤について、表1の処方に従って、以下の方法で調製した。
30Lステンレスタンクに精製水を9.8kg量り、分散機の回転速度1000rpmでエデト酸カルシウム二ナトリウム22.0gを溶かした。続いて、ペクチン(LMペクチン)440g、粉末還元麦芽糖水アメ6.6kgを投入し、15分間分散させた。85℃まで加熱し安息香酸ナトリウム22.0gを添加した。クエン酸94.6gを精製水700gに溶かして添加し、pH3.6に調整した。続いて塩酸ドネペジル6.6g(実施例1では11.0g、実施例3では22.0g)を精製水800gに溶かした後、添加した。乳酸カルシウム22.0gを精製水2200gに溶かした後、徐々に添加し、最後に香料22.0gを添加した。トータル22kgになるよう精製水で調節し、60℃まで攪拌しながら冷却後、適切な容器に充填し、室温まで放冷して本発明に係る組成物を得た。
【0033】
【表1】

【0034】
(実施例4)
本発明に係るゼリー剤について、表2の処方に従って、以下の方法で調製した。
2Lステンレスビーカーに精製水を300g量り、攪拌機の回転速度200rpmでエデト酸カルシウム二ナトリウム1.0g、リン酸水素二ナトリウム14g、クエン酸0.6gを溶かした。続いて、カッパーカラギーナン3g、イオタカラギーナン10g、トレハロース200g、アセスルファムカリウム3.3gを投入し、15分間分散させた。90℃まで加熱し、安息香酸ナトリウム1.0gを添加した。続いて、塩酸ドネペジル0.667gを精製水30gに溶かし添加した。続いて、塩化カリウム1.0gおよび乳酸カルシウム4.0gを精製水300gに溶かしてゆっくり添加し、最後に香料1.0gを添加した。トータル1.0kgになるよう精製水で調節し、60℃まで攪拌しながら冷却後、適切な容器に充填し、室温まで放冷して本発明に係る組成物を得た。
【0035】
【表2】

【0036】
(実施例5〜7)
本発明に係るゼリー剤について、表3の処方に従って、以下の方法で調製した。
20Lステンレスタンクに精製水を4kg量り、分散機の回転速度1000rpmでエデト酸カルシウム二ナトリウム10.0g、クエン酸30gを溶した。続いて、寒天100g、粉末還元麦芽糖水アメ3.0kgを投入し、15分間分散させた。90℃まで加熱し安息香酸ナトリウム10.0gを添加した。エチルパラベン1.0gをプロピレングリコール100gに溶かして加えた。続いて塩酸ドネペジル3.0g(実施例6では5.0g、実施例7では10.0g)を精製水800gに溶かして添加した。クエン酸ナトリウム30gを精製水570gに溶かして添加し、pHを5.0に調整した。最後に香料10.0gを添加した。トータル10kgになるよう精製水で調節し、60℃まで攪拌しながら冷却後、適切な容器に充填し、室温まで放冷して本発明に係る組成物を得た。
【0037】
【表3】

【0038】
(実施例8〜10)
本発明に係るゼリー剤について、表4の処方に従って、以下の方法で調製した。
30Lステンレスタンクに精製水を9.8kg量り、分散機の回転速度1000rpmでエデト酸カルシウム二ナトリウム22.0gを溶かした。続いて、ペクチン(LMペクチン)330g、イオタカラギーナン33g、粉末還元麦芽糖水アメ6.6kgを投入し、15分間分散させた。85℃まで加熱し安息香酸ナトリウム22.0gおよびアセスルファムカリウム72.6gを添加した。エチルパラベン2.64gをプロピレングリコール660gに溶かして加え、続いてクエン酸94.6gを精製水700gに溶かして加えた。さらに、塩酸ドネペジル6.6g(実施例9では11.0g、実施例10では22.0g)を精製水800gに溶かして添加した。乳酸カルシウム22.0gを精製水2200gに溶かして徐々に添加し、最後に香料22.0gを添加した。トータル22kgになるよう精製水で調節し、60℃まで攪拌しながら冷却後、適切な容器に充填し、室温まで放冷して本発明に係る組成物を得た。
【0039】
【表4】

【0040】
(実施例11〜12)
本発明に係るゼリー剤について、表5の処方に従って、以下の方法で調製した。
30Lステンレスタンクに精製水を9kg量り、分散機の回転速度1000rpmでジブチルヒドロキシトルエン4.4g(実施例12ではブチルヒドロキシアニソール0.66g)を溶かした。続いて、ペクチン(LMペクチン)374g、イオタカラギーナン22g、粉末還元麦芽糖水アメ6.6kgを投入し、15分間分散させた。85℃まで加熱し安息香酸ナトリウム22.0gおよびアセスルファムカリウム72.6gを添加した。エチルパラベン2.64gをプロピレングリコール660gに溶解して加え、続いて塩酸ドネペジル4.4gを精製水800gに溶かして添加した。乳酸カルシウム37.4gを精製水2200gに溶かして徐々に添加し、香料22.0gを添加した。最後にクエン酸150gを精製水1500gに溶かして添加し、pHを3.6に調整した。トータル22kgになるよう精製水で調節し、60℃まで攪拌しながら冷却後、適切な容器に充填し、室温まで放冷して本発明に係る組成物を得た。
【0041】
【表5】

【0042】
(比較例1)
本発明の安定化剤を含まない比較例1を以下の方法で調製した。
30Lステンレスタンクに精製水を9kg量り、ペクチン(LMペクチン)374g、イオタカラギーナン22g、粉末還元麦芽糖水アメ6.6kgを投入し、15分間分散させた。85℃まで加熱し安息香酸ナトリウム22.0gおよびアセスルファムカリウム72.6gを添加した。エチルパラベン2.64gをプロピレングリコール660gに溶解して加え、続いて塩酸ドネペジル4.4gを精製水800gに溶かして添加した。乳酸カルシウム37.4gを精製水2200gに溶かし徐々に添加し、香料22.0gを添加した。最後にクエン酸150gを精製水1500gに溶かして添加し、pHを3.6に調整した。トータル22kgになるよう精製水で調節し、60℃まで攪拌しながら冷却後、適切な容器に充填し、室温まで放冷して本発明の比較例1を得た。
【0043】
(比較例2〜6、実施例13〜17)
比較例2〜6及び実施例13〜17として、表6の処方に従って以下の方法で調製した。
30Lステンレスタンクに精製水を9kg量り、分散機の回転速度1000rpmで安定化剤である没食子酸プロピル4.4g(比較例3 アスコルビン酸ステアリン酸エステル4.4g、比較例4 アスコルビン酸ナトリウム4.4g、比較例5 アスコルビン酸4.4g、比較例6 塩酸システイン4.4g、実施例13 亜硫酸ナトリウム4.4g、実施例14 ピロ亜硫酸ナトリウム4.4g、実施例15 エデト酸ナトリウム4.4g、実施例16 ジブチルヒドロキシトルエン4.4g、実施例17 ブチルヒドロキシアニソール0.66g)を溶かした。続いて、ペクチン(LMペクチン)374g、イオタカラギーナン22g、粉末還元麦芽糖水アメ6.6kgを投入し、15分間分散させた。85℃まで加熱し安息香酸ナトリウム22.0gおよびアセスルファムカリウム72.6gを添加した。エチルパラベン2.64gをプロピレングリコール660gに溶かして加え、続いて塩酸ドネペジル4.4gを精製水800gに溶かして添加した。乳酸カルシウム37.4gを精製水2200gに溶かし徐々に添加し、香料22.0gを添加した。最後にクエン酸150gを精製水1500gに溶かして添加し、pHを3.6に調整した。トータル22kgになるよう精製水で調節し、60℃まで攪拌しながら冷却後、適切な容器に充填し、室温まで放冷して本発明の組成物を得た。
【0044】
【表6】

安定化剤:没食子酸プロピル(比較例2)、アスコルビン酸ステアリン酸エステル(比較例3)、アスコルビン酸ナトリウム(比較例4)、アスコルビン酸(比較例5)、塩酸システイン(比較例6)、亜硫酸ナトリウム(実施例13)、ピロ亜硫酸ナトリウム(実施例14)、エデト酸ナトリウム(実施例15)、ジブチルヒドロキシトルエン(実施例16)、ブチルヒドロキシアニソール(BHAともいう。)(実施例17)
【0045】
(実施例18〜20)
本発明に係るゼリー剤について、表7の処方に従って以下の方法で調製した。
30Lステンレスタンクに精製水を9kg量り、分散機の回転速度1000rpmで安定化剤であるエデト酸ナトリウム6.6g(実施例19ではエデト酸ナトリウム0.44g、実施例20ではエデト酸カルシウム二ナトリウム14.52g)を溶かした。続いて、ペクチン(LMペクチン)374g、イオタカラギーナン22g、粉末還元麦芽糖水アメ6.6kgを投入し、15分間分散させた。85℃まで加熱し安息香酸ナトリウム22.0gおよびアセスルファムカリウム72.6gを添加した。エチルパラベン2.64gをプロピレングリコール660gに溶かして加え、続いて塩酸ドネペジル4.4gを精製水800gに溶かして添加した。乳酸カルシウム37.4gを精製水2200gに溶かし徐々に添加し、香料22.0gを添加した。最後にクエン酸150gを精製水1500gに溶かして添加し、pHを3.6に調整した。トータル22kgになるよう精製水で調節し、60℃まで攪拌しながら冷却後、適切な容器に充填し、室温まで放冷して本発明の組成物を得た。
【0046】
【表7】

【0047】
(実験例1)保存安定性試験
本発明によれば、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩の熱や経時変化に対する安定性が顕著に増大することを、実施例及び比較例の結果を示して本発明の効果を例証する。
【0048】
(保存安定性試験1)
本発明における比較例1〜6及び実施例13〜17における組成物について、ポリプロピレン製カップにアルミニウムで蓋をした保存容器に封入した。温度40℃かつ相対湿度75%の保存条件で、1ヶ月間保存し、類縁物質の含量を測定することで安定性の試験を行った。
【0049】
(含量測定方法)
表8の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の操作条件に従い、類縁物質の含量測定を行った。なお、類縁物質の含量は、ドネペジルのピーク面積と類縁物質のピーク面積との比から算出した。
【0050】
【表8】

【0051】
検出された類縁物質の量に関する結果を表9に示す。本発明において、エデト酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエンまたはブチルヒドロキシアニソールを添加した組成物は、安定化剤を含まない比較例1の組成物と比較して、類縁物質がほとんど検出されずに、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩の安定性が増大した。天然高分子物質とドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩が共存することにより増加する類縁物質は、エデト酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエンまたはブチルヒドロキシアニソールの添加により、その発生が微量(0.09%以下)または検出限界以下に抑えられることが確認された。これに対し、一般的な安定化剤の一つである没食子酸プロピル、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸ナトリウムでは、実施例の組成物と比べ、医薬組成物における類縁物質の発生を抑制することができないことが確認された。
なお、天然高分子物質とドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩とを共存させた場合に発生する類縁物質は、合成高分子であるPVPとドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩とを共存させた場合に発生する類縁物質とは、上記HPLC条件において保持時間が異なることを確認した。このことは、天然高分子物質とドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩とを共存させた場合に発生する類縁物質は、合成高分子であるPVPとドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩とを共存させた場合に発生する類縁物質と異なる類縁物質であるといえる。
【0052】
【表9】

【0053】
(保存安定性試験2)
本発明における実施例15、18、19及び比較例1における組成物について、ポリプロピレン製カップにアルミニウムで蓋をした保存容器に封入した。温度40℃かつ相対湿度75%の保存条件で、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月間保存し、類縁物質の含量を測定することで安定性の試験を行った。
【0054】
前述の含有測定方法に記載された方法で検出された類縁物質の量に関する結果を表10に示す。本発明において、エデト酸ナトリウムを添加した組成物は、その添加量に関わらず、安定化剤を含まない比較例1の組成物と比較して、類縁物質がほとんど検出されずに、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩の安定性が増大した。
天然高分子物質とドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩が共存することにより増加する類縁物質は、エデト酸ナトリウムの添加により、その発生が検出限界以下に抑えられることが確認された。
【0055】
【表10】

【0056】
(保存安定性試験3)
本発明における実施例20及び比較例1における組成物について、ポリプロピレン製カップにアルミニウムで蓋をした保存容器に封入した。温度40℃かつ相対湿度75%の保存条件で、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月間保存し、類縁物質の含量を測定することで安定性の試験を行った。
【0057】
前述の含量測定方法に記載された方法で検出された類縁物質の量に関する結果を表11に示す。本発明において、エデト酸カルシウム二ナトリウムを添加した実施例20に示す組成物は、安定化剤を含まない比較例1の組成物と比較して、長期保管を行っても、類縁物質がほとんど検出されずに、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩の安定性が増大した。
天然高分子物質とドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩が共存することにより増加する類縁物質は、エデト酸カルシウム二ナトリウムの添加により、その発生が検出限界以下に抑えられることが確認された。
【0058】
【表11】

【0059】
(保存安定性試験4)
本発明における実施例8〜10における組成物について、ポリプロピレン製カップにアルミニウムで蓋をした保存容器に封入した。温度40℃かつ相対湿度75%の保存条件で、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月間保存し、類縁物質の含量を測定することで安定性の試験を行った。
【0060】
含量測定方法に記載された方法で検出された類縁物質の量に関する結果を表12に示す。本発明において、実施例8〜10に示すエデト酸カルシウム二ナトリウムを添加した組成物は、ドネペジルの配合量が増加しても、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月間保存後のいずれにおいても類縁物質の発生が検出限界以下に抑えられることが確認され、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩の安定性が増大した。
天然高分子物質とドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩が共存することにより増加する類縁物質は、エデト酸カルシウム二ナトリウムの添加により、その発生が検出限界以下に抑えられることが確認された。
【0061】
【表12】

【0062】
(脱酸素剤封入包装形態の例)
容器成型充填機(CKD製 CFF-200型)を用いポリプロピレンフィルムをカップ成型し、実施例8ないし10に記載した組成物を60℃まで攪拌しながら冷却した溶解液10gを充填した。その後速やかに、カップにアルミニウムフィルムで加熱シールして裁断した。
充填したカップ包装品を殺菌機(HISAKA WORKS Ltd.製)に装入し、85℃で30分間殺菌した。その後、室温まで冷却し、ゼリーを固化した。カップ包装品を脱酸素剤エージレスZ-20PT(三菱ガス化学製)と共にアルミニウム袋に入れ密封し、脱酸素剤封入包装形態の医薬組成物を得た。
【0063】
(実施例21)
本発明に係る液剤について、表13の処方に従って、以下の方法で調製を行った。
400Lのステンレスタンクに120kgの精製水を入れた後、エデト酸カルシウム2ナトリウム378.5g、クエン酸757gを投入した。プロペラ200rpmで1分間攪拌した後、塩酸ドネペジル378.5gを投入し、400rpmで10分間攪拌した。続いてイオタカラギーナン1892.5gを投入し、200rpmで攪拌しながら70%D−ソルビトール液135.1kgを投入した。別途用意したステンレスタンクに、プロピレングリコール22.71kgを入れ、メチルパラベン378.5gを投入し、小型攪拌機を用い900rpmで10分間攪拌した後、香料189.3gを添加し、さらに1分間攪拌した。この溶液をさらに精製水を100kg添加して、200rpmで1分間攪拌した。別途用意したステンレスタンクに精製水9kgを入れ、安息香酸ナトリウム378.5g添加し、小型攪拌機を用い900rpmで10分間攪拌した。この溶液を400Lステンレスタンクに投入し、200rpmで3分間攪拌した。10%クエン酸ナトリウム水溶液でpHを4.0に調整した後、全量が416.9kgになるように精製水で調製し、フィルターで濾過して本発明に係る組成物を得た。
【0064】
【表13】

【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明によれば、ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩と天然高分子物質とを含む医薬組成物において、患者の服薬コンプライアンスの向上、嚥下障害者における誤嚥の防止、調剤現場での管理の軽減を可能にする医薬組成物が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩と、天然高分子物質と、を含む医薬組成物であって、
エデト酸塩、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエンまたはブチルヒドロキシアニソールのいずれか1種以上をさらに含む医薬組成物。
【請求項2】
前記エデト酸塩が、エデト酸ナトリウムまたはエデト酸カルシウム二ナトリウムである請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記亜硫酸塩が、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムまたはピロ亜硫酸カリウムである請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記天然高分子物質が、ペクチン、カラギーナン、寒天、ゼラチン、グアーガム、サイリウムシードガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、でんぷん、アルギン酸ナトリウム、タラガム、タマリンドガム、グルコマンナン、ジェランガム、カードラン、プルラン、アラビアガムおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1〜3のうち何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記エデト酸塩、亜硫酸塩、またはジブチルヒドロキシトルエンの配合量が、医薬組成物全量100質量部に対して、0.0001〜0.2質量部である請求項1〜4のうち何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記ブチルヒドロキシアニソールの配合量が、医薬組成物全量100質量部に対して、0.0001〜0.003質量部である請求項1〜4のうち何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩が、塩酸ドネペジルである請求項1〜6のうち何れか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩と、天然高分子物質と、を含む医薬組成物の製造方法であって、
エデト酸塩、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエンまたはブチルヒドロキシアニソールのいずれか1種以上を、前記医薬組成物に混合する工程を含む製造方法。
【請求項9】
ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩と、天然高分子物質と、を含む医薬組成物の安定化方法であって、
エデト酸塩、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエンまたはブチルヒドロキシアニソールのいずれか1種以上を、前記医薬組成物に添加する工程を含む安定化方法。
【請求項10】
ドネペジルまたはその薬理学的に許容され得る塩と、天然高分子物質と、を含む医薬組成物の安定化剤であって、
エデト酸塩、亜硫酸塩、ジブチルヒドロキシトルエンまたはブチルヒドロキシアニソールのいずれか1種以上を含む安定化剤。

【公開番号】特開2008−195714(P2008−195714A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−9036(P2008−9036)
【出願日】平成20年1月18日(2008.1.18)
【出願人】(506137147)エーザイ・アール・アンド・ディー・マネジメント株式会社 (215)
【出願人】(597087804)大蔵製薬株式会社 (9)
【Fターム(参考)】