説明

ドライクリーニング溶媒を浄化する方法

洗濯汚れを含有するドライクリーニング溶媒を浄化する方法。該方法は、膜濾過を使用して、ドライクリーニング溶媒からの汚染物質の分離を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯汚れを含有する使用済みのドライクリーニング溶媒を浄化する方法に関する。該方法は、膜濾過を使用して、少ないエネルギー消費及び溶媒損失でドライクリーニング溶媒からの汚染物質の分離を向上させる。
【背景技術】
【0002】
布地物品を洗浄及びリフレッシュする(例えば、悪臭を除去する)従来の洗濯技術は、一般に、水性系洗浄技術と「ドライクリーニング」技術とに分類することができる。前者は、主に水を含む溶液に布地物品を浸漬させることを伴い;洗浄作用を向上させるために洗剤又は石鹸が添加されることがある。後者は、通常、洗浄及びリフレッシュのための作用剤として非水性流体を使用することを伴う。
【0003】
洗濯処理に使用された後の洗浄溶媒は、通常、染料、水、及び/又は界面活性剤のような汚染物質を含む。ドライクリーニング溶媒は水よりも高価であるので、ドライクリーニング溶媒を2回以上の処理に再循環/再使用する必要がある。
【0004】
従来のドライクリーニング溶媒は、汚染物質をいくらか除去するために、蒸留方法に曝される。蒸留方法を使用する代表的なシステムは、EP543,665、並びに米国特許第5,942,007号;同第6,056,789号;同第6,059,845号;及び同第6,086,635号に開示されている。しかし、蒸留を実施するための機器及び条件は、きわめて厄介である上にエネルギー消費量が多いので、蒸留方法は、消費者用途又は家庭用には実用的ではない。蒸留方法の欠点には、蒸留ユニットが高コストであること、蒸留器底部を洗浄するために日常的な手作業による介入が必要になること、及び揮発性汚染物質の除去には効果がないことがある。それ故に、蒸留せずにドライクリーニング溶媒から汚染物質を除去する必要がある。
【0005】
蒸留なしにドライクリーニング溶媒から汚染物質を除去するための他の方法がここに存在する。通常、これらの非蒸留方法は、活性炭及び/又は粘土のような吸着材料を備えた濾過のみのシステムを使用する。例えば、一般に使用されている市販のクリーンライト(KleenRite)(登録商標)フィルタは、粘土吸収剤及び活性炭吸着剤でできている。炭素及び粘土吸着材料を含有する代表的なフィルタは、米国特許第4,277,336号及び同第3,658,459号に開示されている。しかし、このようなフィルタは、フィルタ内の粘土吸収剤のパーセンテージが高いので、寿命がかなり限られている。粘土吸収剤は、水のような汚染物質を吸収する能力に限界があり、その最大能力に達したら、フィルタを新しいフィルタに交換しなければならない。粘土吸収剤に関する限界に加えて、活性炭吸着剤にも限界がある。活性炭吸着材料の粒径及び/又は孔径によっては、一部の汚染物質は、活性炭吸着材料から流れ出るので、フィルタの効果がない。さらに、従来の使用では、使用済みの汚染したドライクリーニング溶媒は、粘土吸収剤及び/又は活性炭吸着剤が汚染物質を有効に除去できないような速度でフィルタを通って送り出される。これは、ドライクリーニング溶媒に高溶解性の汚染物質の場合に特に当てはまる。加えて、フィルタの頻繁な交換が原因で、幾らかの溶媒が失われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、浄化された溶媒を再循環/再使用できるように、ドライクリーニング溶媒から汚染物質を効果的に除去する方法を得ることが望ましい。
【0007】
また、経済的且つエネルギー効率の良い方式でドライクリーニング溶媒を浄化可能な方法をもつことも望ましい。
【0008】
さらに、低い温度及び周囲圧力においてドライクリーニング溶媒から汚染物質を効果的に除去する非蒸留方法をもつことも望ましい。
【0009】
加えて、浄化方法で使用される物質が、安全で耐久性があることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、洗濯汚れを含有する親油性流体を浄化する方法であって:
a.親油性流体と洗濯汚れを含む混合物を提供する工程と;
b.所望により、該混合物を処理する工程と;
c.該混合物を膜に通過させ、それによって該洗濯汚れを除去して、該親油性流体を浄化済み親油性流体へと変化させる工程とを含む方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(定義)
本明細書で使用する時、用語「布地物品」は、習慣的に従来の洗濯方法又は洗浄方法で洗浄されるいかなる物品をも意味する。したがって、この用語は、衣類、亜麻布、カーテン、及び衣類付属品の物品を包含する。この用語は、また、手提げバッグ、家具カバー、防水布等のような、全体又は一部が布地で作製された他の品目も包含する。
【0012】
本明細書で使用する時、用語「吸収材料」又は「吸収性ポリマー」は、ドライクリーニング溶媒を取り込むことなく、水及び/又は含水液体を選択的に取り込む(すなわち、吸収又は吸着する)ことが可能ないかなる物質をも意味する。換言すれば、吸収材料又は吸収性ポリマーは、当該技術分野において「ゲル」、「ポリマーゲル」、及び「超吸収性ポリマー」と呼ばれる吸水剤を含む。
【0013】
本明細書で使用する時、用語「ドライクリーニング溶媒」は、皮脂を除去可能ないかなる非水性流体をも意味する。ドライクリーニング溶媒には、親油性流体が含まれており、これについては以下でより詳細に説明する。
【0014】
本明細書で使用する時、用語「洗浄組成物」は、洗浄すべき布地物品と直接接触するいかなるドライクリーニング溶媒含有組成物をも意味する。組成物が、コンディショニング、サイジング、及びその他の布地ケア処理など、洗浄以外の用途をもち得ることを理解すべきである。ゆえに、それは、用語「処理組成物」若しくは「布地ケア組成物」と同じ意味で用いられて使用されることがある。さらに、追加の洗浄性界面活性剤、漂白剤、香料等のような任意の洗浄補助剤を、「洗浄組成物」に添加してもよい。すなわち、洗浄補助剤を所望によりドライクリーニング溶媒と組み合わせてもよい。これら任意の洗浄補助剤については、以下でより詳細に説明する。
【0015】
本明細書で使用する時、用語「ドライクリーニング」若しくは「非水性洗浄」は、布地物品を洗浄するためのドライクリーニング溶媒として非水性流体が使用されることを意味する。ただし、補助洗浄剤として、水を「ドライクリーニング」方法に加えることができる。「ドライクリーニング」プロセスでは、水の量は、ドライクリーニング溶媒若しくは洗浄組成物の最大約25重量%まで含めることができる。非水性流体は、「親油性流体」若しくは「ドライクリーニング溶媒」と呼ばれる。
【0016】
本明細書で使用する時、用語「汚れ」若しくは「洗濯汚れ」は、洗浄プロセスによる除去の対象である、布地物品上のいかなる望ましくない外部物質をも意味する。用語「水ベースの」若しくは「親水性の」汚れとは、汚れが最初に布地物品と接触した時点でその汚れが水を含んでいたこと、又は汚れが布地物品上で一定の量の水を保持していることを意味する。水ベースの汚れの例としては、これらに限定するものではないが、飲物、多くの食品汚れ、水溶性染料、汗、尿、若しくは血液のような体液、草の染み及び泥のような戸外の汚れが挙げられる。一方、本明細書で使用する時、用語「親油性の」汚れは、汚れが親油性流体中で高い溶解性を有すること、又は汚れが親油性流体に対して高い親和性を有することを意味する。親油性の汚れの例としては、これらに限定するものではないが、モノ−、ジ−、及びトリ−グリセリド、飽和及び不飽和脂肪酸、非極性炭化水素、ワックス及びワックスエステル、脂質のような身体の汚れ;並びに非イオン性界面活性剤のような洗濯物質;並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0017】
特に記載のない限り、パーセンテージは、すべて重量%を基準とする。
【0018】
(親油性流体)
本明細書で使用する時、「親油性流体」は、水の20重量%までにおいては水と混和しない、いかなる液体又は液体の混合物をも意味する。一般に、好適な親油性流体は、周囲温度及び周囲圧力において完全に液体であることができ、容易に融解する固体、例えば約0℃〜約60℃の範囲内の温度で液体になる固体であることができ、又は周囲温度及び周囲圧力、例えば、25℃及び1気圧において、液相と蒸気相との混合物を含むことができる。
【0019】
本明細書の親油性流体は、不燃性であるか、あるいは、従来の公知のドライクリーニング流体の特性に等しい、又は好ましくはそれを上回る、比較的高い引火点及び/又は低いVOC特性を有することが好ましく、ここで、これらの用語は、ドライクリーニング業界で使用されている従来の意味を有する。
【0020】
好適な親油性流体物質の非限定例としては、シロキサン、他のシリコーン、炭化水素、グリコールエーテル、グリセリンエーテルのようなグリセリン誘導体、ペルフルオロアミン、ペルフルオロ及びハイドロフルオロエーテル溶媒、低揮発性の非フッ素化有機溶媒、ジオール溶媒、環境に優しいその他の溶媒、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0021】
本明細書で使用する時、「シロキサン」は、非極性で、水中又は低級アルコール中で不溶性であるシリコーン流体を意味する。線状シロキサン(例えば、米国特許第5,443,747号及び同第5,977,040号参照)並びに環状シロキサンは、本明細書で有用であり、それには、オクタメチルシクロテトラシロキサン(テトラマー)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(ヘキサマー)、及び好ましくはデカメチルシクロペンタシロキサン(ペンタマー、一般に「D5」と呼ばれる)から成る群から選択される環状シロキサンが含まれる。好ましいシロキサンは、約50%を超える環状シロキサンペンタマー、より好ましくは約75%を超える環状シロキサンペンタマー、最も好ましくは少なくとも約90%の環状シロキサンペンタマーを含む。また、少なくとも約90%(好ましくは少なくとも約95%)のペンタマーと約10%未満(好ましくは約5%未満)のテトラマー及び/又はヘキサマーとを有する環状シロキサンの混合物であるシロキサンも本明細書で有用である。
【0022】
親油性流体には、ドライクリーニング溶媒、特にフッ素化溶媒又はペルフルオロアミンを含めた、より新しい種類の任意の部分を含めることができる。ペルフルオロトリブチルアミンのような一部のペルフルオロアミンは、親油性流体として使用するには適していないが、親油性流体を含有する組成物中に存在し得る多くの補助剤の1つとして存在してよい。
【0023】
他の好適な親油性流体としては、これらに限定するものではないが、ジオール溶媒系、例えば、C若しくはC又はより高級なジオールなどの高級ジオール、環式及び非環式の両方のタイプを含むオルガノシリコーン溶媒等、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0024】
低揮発性の非フッ素化有機溶媒の非限定例としては、例えば、オレアン(OLEAN)(登録商標)及び他のポリオールエステル、又は特定の比較的非揮発性の生分解性中鎖分枝状石油留分が挙げられる。
【0025】
グリコールエーテルの非限定例としては、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールt−ブチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールt−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールt−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテルが挙げられる。
【0026】
シロキサンに加えて、他のシリコーン溶媒の非限定例が文献で周知であり(例えば、カーク・オスマー(Kirk Othmer)の「工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)」参照)、GEシリコーンズ(GE Silicones)、東芝シリコーン(Toshiba Silicone)、バイエル(Bayer)、及びダウ・コーニング(Dow Corning)を含め、多数の市販元から入手可能である。例えば、好適なシリコーン溶媒の1つは、GEシリコーンズ(GE Silicones)から入手可能なSF−1528である。
【0027】
グリセリン誘導体溶媒の非限定例としては、次の構造を有する物質が挙げられる:
本発明の方法及び/又は装置で使用するのに好適なグリセリン誘導体溶媒の非限定例としては、次の構造を有するグリセリン(glyercine)誘導体が挙げられる:
【化1】

式中、R、R、及びRはそれぞれ独立して、H;分枝状又は線状、置換又は非置換の、C〜C30アルキル、C〜C30アルケニル、C〜C30アルコキシカルボニル、C〜C30アルキレンオキシアルキル、C〜C30アシルオキシ、C〜C30アルキレンアリール;C〜C30シクロアルキル;C〜C30アリール、及びこれらの混合物から選択される。R、R、及びRの2つ以上が相まって、C〜Cの、芳香族又は非芳香族、複素環式又は非複素環式の環を形成することができる。
【0028】
好適なグリセリン誘導体溶媒の非限定例としては、2,3−ビス(1,1−ジメチルエトキシ)−1−プロパノール;2,3−ジメトキシ−1−プロパノール;3−メトキシ−2−シクロペントキシ−1−プロパノール;3−メトキシ−1−シクロペントキシ−2−プロパノール;炭酸(2−ヒドロキシ−1−メトキシメチル)エチルエステルメチルエステル;グリセロールカーボネート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0029】
環境に優しい他の溶媒の非限定例としては、オゾン生成能が約0〜約0.31の親油性流体、蒸気圧が約0〜約13.3Pa(0.1mmHg)の親油性流体、及び/又は、蒸気圧が13.3Pa(0.1mmHg)よりも高く、ただしオゾン生成能が約0〜約0.31である親油性流体が挙げられる。これまでに記載していないこのような親油性流体の非限定例としては、カーボネート溶媒(すなわち、メチルカーボネート、エチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、グリセリンカーボネート)、及び/又はサクシネート溶媒(すなわち、ジメチルサクシネート)が挙げられる。
【0030】
本明細書で使用する時、「オゾン反応性」は、VOCが大気中でオゾンを形成する能力の指標である。それは、揮発性有機物1グラム当たりで形成されるオゾンのグラム数として測定される。オゾン反応性を決定するための方法は、W.P.L.カーター(W.P.L.Carter)の「揮発性有機化合物のオゾン反応性スケールの発展(Development of Ozone Reactivity Scales of Volatile Organic Compounds)」、大気・廃棄物管理学会誌(Journal of the Air & Waste Management Association)、第44巻、881頁〜899頁、1994年でさらに論じられている。使用される「蒸気圧」は、カリフォルニア大気資源局(California Air Resources Board)の方法310で定義される技術によって測定することができる。
【0031】
好ましくは、親油性流体は、当該親油性流体の50重量%を超える、シクロペンタシロキサン(「D5」)、及び/又は、ほぼ同様の揮発性を有し、所望により他のシリコーン溶媒によって補完された、線状類縁体を含む。
【0032】
親油性流体の濃度は、本発明による処理組成物中に存在する時には、好ましくは当該処理組成物の約70重量%〜約99.99重量%、より好ましくは約90重量%〜約99.9重量%、さらに好ましくは約95重量%〜約99.8重量%である。
【0033】
(布地ケア組成物)
本発明の布地ケア組成物は、親油性流体と、洗浄性界面活性剤と、所望により水及び/又は洗浄補助剤とを含む。
【0034】
洗浄性界面活性剤成分は、本発明の布地ケア組成物中に存在する時、当該組成物の好ましくは約1重量%〜約99重量%、より好ましくは2重量%〜約75重量%、さらに好ましくは約5重量%〜約60重量%含まれる。
【0035】
組成物は、所望により、当該組成物の約99重量%〜約1重量%、好ましくは約5重量%〜約40重量%にわたる極性溶媒、例えば水と、当該組成物の約0.01重量%〜約50重量%、好ましくは約5重量%〜約30重量%にわたる洗浄補助剤とを含んでよい。
【0036】
洗浄溶液を調製するために組成物が親油性流体で希釈される時には、布地ケア組成物は、洗浄溶液の約0.1重量%〜約50重量%、より好ましくは約1重量%〜約30重量%、さらに好ましくは約2重量%〜約10重量%含まれる。さらに、洗浄溶液中の前記洗浄性界面活性剤の量は、洗浄溶液の約0.001重量%〜約50重量%、好ましくは約1重量%〜約40重量%、より好ましくは約2重量%〜約30重量%の範囲にある。
【0037】
一部の実施形態では、所望により、同様に水を洗浄溶液に組み込んでもよい。水は、布地ケア組成物の構成成分として、又は親油性流体の共溶媒として洗浄溶液中に添加されてよい。
【0038】
(汚染物質)
布地物品処理プロセスの間にドライクリーニング溶媒に混入し得る汚染物質としては、通常、非イオン性界面活性剤、飽和及び不飽和脂肪酸、モノ−、ジ−、及びトリ−グリセリド、非極性炭化水素、ワックス及びワックスエステル、脂質、並びにこれらの混合物のような、洗濯汚れ、特に親油性の洗濯汚れが挙げられる。
【0039】
汚染物質は、また、非イオン性界面活性剤、水、染料、補助洗浄剤、又は他の洗浄補助剤を含め、布地処理組成物に由来することもある。様々な洗浄補助剤の非限定例としては:カチオン性、アニオン性、又は双極性の界面活性剤、布地に付着しなかった洗剤構成成分、酵素、漂白剤、布地柔軟仕上げ剤、香料、抗菌剤、静電気防止剤、増白剤、染料固定剤、染料磨耗抑制剤、クロッキング防止剤、しわ低減剤、防しわ剤、汚れ放出ポリマー、日焼け止め剤、退色防止剤、ビルダー、起泡剤、組成物悪臭抑制剤、組成物着色剤、pH緩衝剤、防水剤、防汚剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0040】
(膜)
非多孔質膜は、分子サイズ選択性の原理に基づいて機能する。すなわち、ポリマー膜材料には、溶媒分子のような小さい分子は膜を透過させるが、特定の分子サイズよりも大きい溶質分子は阻止されるような選択性がある。これは、膜の分子カットオフ値(molecular cut-off value)と呼ばれる。幾つかの因子が、膜の分子カットオフ値を制御する。例えば、ポリマー製の膜の場合、カットオフ値は、架橋度、ポリマーの種類、重合度、結晶化度、及びポリマー鎖の密度若しくはパッキングのような因子によって影響を受ける。
【0041】
一般に、非多孔質膜は、溶質の重量平均分子量で0.0003〜0.003ag(200〜2000ダルトン)のカットオフ値を有する。膜のカットオフ値は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を使用して、膜に阻止される溶質を分析することによって決定され、GPCは、ポリスチレン較正基準を使用してASTM D6474−99試験方法にしたがって操作される。
【0042】
非多孔質膜を通る溶媒の輸送は、次式で記述することができる。
【0043】
透過性=溶解度×拡散率
溶解度は、浸透液(penetrant)の膜材料を濡らす能力に関係しており、平衡状態では特定の量の浸透液が膜内に保持される。一般に、溶媒とポリマー膜材料との間の溶解度が高いほど、膜を通る溶媒の透過性が高くなり、したがって膜を通過する溶媒の流束が大きくなる。
【0044】
ヒルデブランド溶解度パラメータ(δ)を使用して、親油性流体と膜ポリマーとの間の親和性又は溶解度を推定することができる。一般に、2つの物質の溶解度パラメータの値が近い時に、それら2つの物質間の親和性を期待することができる。本発明で使用するのに好適なポリマー膜材料は、親油性流体の溶解度パラメータと約5MPa1/2未満、好ましくは約3MPa1/2未満だけ異なる溶解度パラメータを有する。D5(デカメチル−シクロペンタシロキサン)が約19.7MPa1/2の溶解度パラメータを有し、水が約23.4MPa1/2の溶解度パラメータを有することは既知であり、これら2つの液体間に十分に大きい差があるので、水は阻止するがD5は膜に透過させる膜を見つけることが可能である。例えば、シリコーン系の膜は、溶解度パラメータが類似しているので、D5を透過させることができる。
【0045】
拡散率は、浸透液の分子サイズに逆依存する。分子サイズが増大するにつれて、拡散率が減少する。換言すれば、非多孔質膜のカットオフ値は、膜拡散率の関数である。
【0046】
膜の効率は、単位表面積及び単位時間当たりに膜を通過する物質の量である流束(F:Flux)で測定され:
F=V×S−1×t−1
式中、Vは体積、Sは膜の表面積、tは時間である。流束の単位は、1日当たり・膜表面積1平方メートル当たりの溶液の立方メートルで表してよく、又は1時間当たり・膜表面積1平方メートル当たりの溶液のリットルで表してよい。
【0047】
流束は、透過性、圧力差に正比例し、膜厚に反比例する。圧力駆動プロセスで使用される時には、非多孔質ポリマー膜が特に有効であることがわかる。圧力駆動プロセスでは、膜の供給若しくは流入側は、膜を通る透過を駆動するのに十分な圧力にあり、膜の排出若しくは透過側は、ほぼ大気圧にある。供給液(例えば、1以上の汚染物質と溶媒との溶液)が膜に接触すると、供給溶媒の一部分が膜に溶解して膜を通って拡散し;膜のカットオフ値未満の汚染物質も、やはり排出側へと通過し;膜のカットオフ値を上回る汚染物質は、膜によって阻止され、流入側に保持される。濾過された排出側の溶液は、「透過液(permeate)」と呼ばれ、汚染物質の濃度が低下する傾向にある。対照的に、流入側に入ってくる供給液は、阻止された汚染物質と合わされて「保持液(retentate)」を形成し、この保持液は、膜濾過プロセスが進行するにつれて汚染物質がますます濃縮される。
【0048】
膜の効率を評価するための他のパラメータは、阻止率若しくは阻止百分率(%R)であり、次式によって定義され:
%R=[1−(Cperm/Cret)]×100
式中、Cpermは、保持液中の汚染物質の濃度であり、Cretは、透過液中と同じ汚染物質の濃度である。別法として、保持液中及び透過液中の汚染物質すべての全濃度が、阻止%を計算する際に使用される。
【0049】
より大きい流束を得るために、膜厚が、又は複合膜の場合には非多孔質ポリマー層の厚さが、最小限に抑えられることが望ましい。1μm未満、又は約0.5μm未満の膜厚が、本発明で使用するのに好適である。溶媒への膜ポリマーの溶解度の理由から、ポリマーは、通常、膨張する傾向にある。ポリマー膜材料を架橋すると、膨張が最小限に抑えられ、膜の完全性を維持するのに役立つ。
【0050】
(ポリマー膜)
本明細書で使用するのに好適な非多孔質膜は、ポリテトラフルオロエチレン;ポリ(フッ化ビニリデン);ポリプロピレン;ポリエチレン;セルロースエステル;ポリカーボネート;ポリスルホン/ポリ(エーテルスルホン);ポリイミド/ポリ(エーテルイミド);脂肪族ポリアミド;ポリエーテルエーテルケトン;架橋ポリアルキルシロキサン;及びこれらの混合物のようなポリマー材料を含んでよい。好適な膜は、GEAフィルトレーション(GEA Filtration)から市販されている。膜の例:非多孔質(ナノ濾過)−ミネソタ州ミネトカ(Minnetoka)のオズモニクス社(Osmonics Inc.)から入手可能なデザルDK(Desal DK)、多孔質(精密濾過(microfiltration))−ミネソタ州ミネトカのオズモニクス社から入手可能なデザルJX(Desal JX)。
【0051】
多孔質膜の使用に比べて非多孔質膜を使用する利点は、目詰まり効果がないこと、すなわち、孔の中に保持された大きな分子によって膜が閉塞状態になる可能性がないことである。
【0052】
(無機多孔質膜)
無機膜は、一般に、ポリマー材料に比べて優れた化学的及び熱的安定性を有する。無機膜は、また、機械的一体性を有するので、支持層を必要としない。実際には、無機膜をポリマー膜の膜アセンブリにおいて支持層として使用することができる。異なる4つの種類の無機膜、すなわち:セラミック膜;ガラス膜;並びに金属膜(炭素を含む)及びゼオライト膜を区別することができる。金属膜は、ステンレス鋼、タングステン、又はモリブデンのような金属粉末の焼結によって得られる。セラミックは、アルミニウム、チタン、ケイ素(silicum)、又はジルコニウムのような金属と、酸化物、窒化物、又は炭化物の形態の非金属との組み合わせによって形成される。このような材料から調製されるセラミック膜は、酸化アルミニウム若しくはアルミナ及び酸化ジルコニウム若しくはジルコニアと共に、無機膜の主要な部類を成す。これらの膜は、通常、焼結又はゾル−ゲル法によって調製される。ガラス膜(酸化ケイ素又はシリカ)は、分離ガラス(demixed glasses)上で浸出(leaching)することによって調製される。
【0053】
無機膜の分離原理は、ポリマー膜に類似している。無機膜の場合、溶媒は、無機膜中の画定された孔を通って透過する。孔径は、膜材料及び膜形成方法によって異なる。無機膜の孔の構造は、一般に、様々な溶媒に曝された時には変化しないが、ポリマー膜は、特定の溶媒へのポリマーの溶解度に応じて様々な拡張度に膨張することがある。好適なセラミック膜は、10〜100オングストローム、又は10〜約50オングストロームにわたる孔径を有することができる。
【0054】
(膜アセンブリ)
本発明の一実施形態では、分離方法は、非多孔質ポリマー膜層と、アセンブリに機械的強度及び支持をもたらす多孔質キャリア層とを含む多層膜アセンブリを用いて実施される。
【0055】
本発明の他の実施形態では、分離プロセスは、(a)機械的強度をもたらすキャリア層と、(b)多孔質支持層と、(c)分離若しくは濾過効果をもたらす非多孔質エラストマー又は部分架橋ポリマー膜層とを含む多層膜アセンブリを用いて実施される。
【0056】
これら及び他の膜アセンブリについての記述は、US5,205,934;US5,265,734;及びUS5,151,182に見ることができる。
【0057】
これらの膜アセンブリは、また、分離性能を向上させるために、頭−頭(head-to-head)又は頭−尾(head-to-tail)式に合わせて積み重ねることもできる。
【0058】
(a)キャリア層
このキャリア層は、使用される時には、その高い多孔率及び機械的強度によって特徴付けられる。それは、繊維若しくは非繊維ウェブであってよく、及び/又は織布若しくは不織布ウェブであってよい。代表的なキャリア層は、多孔質で可撓性のポリエステル製織布繊維ウェブであってよい。典型的なポリエステルキャリア層は、不織の熱結合ストランドで構築されてよい。
【0059】
(b)多孔質支持層
代表的な多孔質支持層は、ポリアクリロニトリルポリマーで形成することができる。通常、ポリアクリロニトリル支持層は、約20〜約100μm、若しくは約40〜約80μmにわたる厚さを有してよく、又は約50μmの平均厚さを有してよい。一実施形態では、多孔質支持層は、約10μm未満、又は多くの場合、約1μmの孔径によって特徴付けられる。他の実施形態では、多孔質支持層は、約500オングストローム未満、又は多くの場合、約200オングストローム未満の孔径によって特徴付けられる。
【0060】
(c)非多孔質分離層
代表的な分離層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸セルロース、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、再生セルロース、ポリカーボネート、及びこれらの混合物から成る群から選択されるポリマー製の、厚さ約0.1〜5μmの非多孔質エラストマーフィルム若しくは膜を含む。
【0061】
一実施形態では、分離層は、(i)ポリイソシアネート、又は(ii)ポリ(カルボニルクロリド)、又は(iii)R4−aSi(A)(式中、Aは、−OH、−HH、−OR、若しくは−OOCR;Rは、水素、炭化水素(アルキル、アリール、シクロアルキル、アルカリール、アラルキルなど)、若しくはフルオロカーボン;aは、2、3、若しくは4の値を有する整数)である架橋剤によって部分的に架橋されたポリシロキサンを含む非多孔質膜を含む。
【0062】
(ポリシロキサンポリマー)
非多孔質エラストマー膜として使用してよい代表的なポリシロキサンとしては、次式を有するハロゲンフリー・ポリシロキサンが挙げられ:
【化2】

式中、Rは、水素、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、アリール、及びアルカリールから成る群から選択される炭化水素、又はそれらのフッ素化誘導体(すなわち、フルオロカーボン部分)であってよい。Rが線状又は分枝状C〜C10アルキルのような低級アルキル基の時、それには、これらに限定するものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、第二−ブチル、アミル、ヘキシル、オクチル、デシル、又はオクタデシルが含まれる。Rがアラルキル基の時には、それは、ベンジル又はβ−フェニルエチルであってよい。Rがシクロアルキル基の時には、それは、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、2−メチルシクロヘプチル、3−ブチルシクロヘキシル、又は3−メチルシクロヘキシルであってよい。Rがアリール基の時には、それは、フェニル、ナフチル、及びそれらの誘導体であってよい。Rがアルカリール基の時には、それは、トリル、キシリル、及びそれらの誘導体であってよい。Rは、また、分枝状構造を形成するように主鎖上に置換基を含んでもよく、その際、該置換基はアルキル、アリール、シクロアルキル、エーテル、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。代表的な置換されたR基としては、2−エトキシエチル、カルボエトキシメチル、4−メチルシクロヘキシル、p−メチルフェニル、p−エチルベンジル、又は3−エチル−5−メチルフェニルが包含されてよい。
【0063】
一実施形態では、式(I)のRの一方又は両方がメチル基である。他の実施形態では、膜材料は、次式を有するジ−シラノール末端ポリ(ジメチルシロキサン)であり:
【化3】

式中、nは、約7〜2000である。
【0064】
他の実施形態では、膜材料は、これらに限定するものではないが、アセトキシ、メトキシ、エトキシ、カルビノール、及びアミノプロピルジメチルを含めた他の末端基を有するポリ(ジメチルシロキサン)である。
【0065】
(架橋剤)
本発明で使用するのに好適なシリコーン膜材料は、架橋されている。−OH又は−NHのような反応性末端基を持つ非環状シリコーンの場合、それは、(i)ポリイソシアネート、(ii)ポリ(カルボニルクロリド)、又は(iii)次式を有するシランによって架橋されてよく:
4−aSi(A) (II)
式中、Aは、−OH、−NH、−OR、若しくは−OCORであり、aは、2、3、若しくは4であり、Rは独立して、水素、若しくは、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、及びこれらの混合物から成る群から選択される炭化水素から成る群から選択される。式(II)について代表的なR基は、前述の式(I)について記載したR基と同一である。架橋は、通常、非環状シロキサンの末端基と架橋剤のA基との間の反応によって達成される。
【0066】
環状シリコーン(例えば、デカメチルシクロペンタシロキサン)の場合、架橋は、環内のSi−O結合を切断する架橋剤との反応によって達成される。
【0067】
膜材料で使用するのに好適なアルコキシシランの非限定例としては、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、p−トリルトリメトキシシラン、1,2−ジメトキシテトラメチルジシラン、及びテトラメトキシシランが挙げられる。
【0068】
膜材料で使用するのに好適なアシルオキシシランの非限定例としては、ジメチルジアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ジエチルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、ベンジルトリアセトキシシラン、p−トリルトリアセトキシシラン、テトラアセトキシシラン、1,2−ジ−アセトキシテトラメチルジシラン、1,2−ジメチルテトラアセトキシジシランが挙げられる。
【0069】
膜材料で使用するのに好適な混合アルコキシ、アシルオキシシランの非限定例としては、ジメトキシジアセトキシシラン及びメトキシトリアセトキシシランが挙げられる。
【0070】
膜材料で使用するのに好適なアミノシランの非限定例としては、ジメチルジアミノシラン又はジブチルジアミノシランが挙げられ;例示的なヒドロキシシランとしては、ジエチルジヒドロキシシラン又はメチルトリヒドロキシシランが包含されてよい。
【0071】
膜材料で使用するのに好適なポリイソシアネートの非限定例としては、トルエンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びトルエントリ−イソシアネートが挙げられる。
【0072】
膜材料で使用するのに好適なポリ(カルボニルクロリド)の非限定例としては、アジポイルジクロリド、イソフタロイルジクロリド、及びスベロイルジクロリド(suberoyl dichloride)が挙げられる。
【0073】
架橋エラストマーシリコーン膜の形成は、該溶液の約5〜約15重量%、又は約10重量%の非ハロゲン化ポリシロキサンと、該溶液の約1〜約10重量%、又は約4重量%の架橋剤とを含む(ヘキサンのような炭化水素に代表される)不活性溶媒中で実施されてよい。
【0074】
この溶液を、約12.7〜101.6μm(0.5〜4mil)、又は約50.8μm(2mil)の厚さまで、支持層(キャリア層上)の上に流し込むことができる。溶液からのフィルムキャスティングは、約25℃の室温付近で実施される。その後、約110℃〜140℃、又は約125℃で、約10〜20分、又は約15分間硬化されて、厚さ約1〜5μm、又は1.5μmを有するフィルムを形成する。
【0075】
(スパイラル形膜(spiral wound membrane))
スパイラル形モジュールには、多孔質支持層及びキャリア層の上に載せられた非多孔質の分離層膜が含まれており、該アセンブリは、通常、折り畳まれ、開口縁部を除くすべての縁部に沿って結合若しくは封止されて、好ましくは分離層を外側に有する袋状ユニットを形成する。透過路又は排出路の働きをする布スペーサが、袋状ユニット内に設置される。排出路は、該ユニットの開口端から突き出る。
【0076】
次いで、袋状ユニットの一方の面上に、分離層に隣接し、それらと同一の広がりを持つ、通常はプラスチックネットで形成された供給路シートが設置される。
【0077】
そのように形成されたアセンブリは、好ましくは袋状ユニットの幅と同じ長さの直線状の配列で、壁内に複数の穿孔を備える、好ましくは円筒状の導管の周りに巻き付けられる。袋状ユニットの排出路の突き出た部分は、導管の穿孔の上に置かれ、袋状ユニットは、導管の周りに巻き付けられてスパイラル形構成を形成する。1つの供給路だけが存在するが、巻かれたアセンブリ内の単一の供給路が膜層の2つの面に隣接することが明らかである。スパイラル形構成は、アセンブリが容易に取り扱い可能な形態になるように該アセンブリを導管の周りに複数回巻き付けることによって形成されてよい。該ユニットは、一端に入口、他端に出口が設けられたシェル内に(シェルアンドチューブ形(shell-and-tube)熱交換器に類似の方式で)嵌入される。シェルの内側表面とスパイラル形ユニットの外側表面との間のバッフル状の封止は、機能している膜システムを流体が迂回するのを防ぎ、流体が主に一端でシステムに流入するのを保証する。透過液は、供給路を通って分離層に接触し、該分離層を通って透過路に達し、該透過路を通り、導管内の穿孔を通って、該穿孔から最終的な透過液として引き出される。
【0078】
スパイラル形膜を使用する際、流入液体は、供給路の働きをするプラスチックネットに通されてから、非多孔質分離膜に接触する。膜を通過しない液体は、保持液として引き出される。膜を透過する液体は、透過液スペーサで占められた体積へと移動し、この透過路を通って円筒状導管内の穿孔へと達し、該穿孔を通ってシステムから引き出される。典型的なスパイラル形モジュールについては、カーク・オスマー(Kirk-Othmer)、工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)、第4版、第16巻、膜技術(Membrane Technology)、158頁〜160頁に記載されている。
【0079】
(管状膜)
ポリアクリロニトリル多孔質支持層は、壁厚が通常0.1〜10mmの微細な管として押し出されてよい。押し出された管は、架橋されたシリコーンの槽内に通され、その場で硬化される。これらの管の束は、ヘッダ内で各端部で(エポキシ接着剤によって)固定され、繊維は、それらがヘッダの端部とぴったり重なるように切断される。この管の束は、典型的なシェルアンドチューブ型の組み立てでシェル内に据え付けられる。
【0080】
作業時には、流入液体は、管側に入れられ、管の内部を通過し、保持液として出る。管内を通る間、透過液は、非多孔質分離層を通過し、透過液がシェル側で回収される。
【0081】
(膜分離方法)
布地物品処理プロセスの間に、ドライクリーニング溶媒及び/又は組成物は、通常、前記部分で開示したような汚染物質で汚染される。本発明は、膜濾過によって、使用済みの汚染されたドライクリーニング溶媒から汚染物質を除去する方法を目的とする。溶媒から汚染物質をより容易に分離できるよう、修飾された汚染物質のサイズが大きくなるように、又は修飾された汚染物質のドライクリーニング溶媒への溶解度が低下するように(例えば、より親水性になるように)、汚染物質を化学修飾し、ないしは別の方法で処理してよい。そのように浄化されたドライクリーニング溶媒を、その後の布地物品洗浄サイクルで作用溶媒として使用することができる。化学修飾又は浄化剤を使用する補助的な方法も、ドライクリーニング溶媒と水とのエマルション及び様々な汚染物質を含み得るドライクリーニング組成物を浄化又は再循環するために適用可能であることが認識される。
【0082】
本発明の膜濾過方法は、洗浄システムのインライン(すなわち、洗浄サイクル内)構成要素を介して、又は洗浄システムの付属(洗浄サイクル後)構成要素として、溶媒若しくは組成物に適用されてよい。
【0083】
効率は、インライン濾過の観点からも、洗浄及び/又は浄化サイクル当たりの総運転時間の観点からも、重要な考慮事項である。ゆえに、本明細書で使用するのに好適な膜濾過デバイスは、圧力344.5Pa(500psi)下で少なくとも0.1kg/m・hrの溶媒流束をもたらす。
【0084】
本明細書で使用するのに好適な膜濾過デバイスは、混合物中の全汚染物質濃度の少なくとも約10%、又は少なくとも約20%、又は少なくとも約50%の阻止率を有しており;ある特定の汚染物質については、阻止率を約50%を上回る、又は約70%を上回る、又は約90%を上回るまでの高さにすることができる。
【0085】
耐久性の見地から、膜濾過デバイスは、望ましくは、操作者の介入及び/又は膜若しくは他の構成要素の交換が必要になるまでに、少なくとも25サイクルの耐用期間をもつべきである。
【0086】
本明細書で使用するのに好適な膜濾過デバイスは、その後の布地物品処理プロセスで作用溶媒として使用される時又は作用組成物として再配合(該プロセスで除去された可能性のある洗浄補助剤を補うことにより)される時に、浄化された溶媒若しくは組成物中の汚染物質の濃度がその性能を損わないように、ドライクリーニング溶媒若しくは組成物から十分な汚染物質を除去する。
【0087】
浄化プロセスにおける汚染物質の除去は、汚染物質の100%除去にすることができるが、そうでなくてもよい。汚染された溶媒若しくは組成物中に存在する汚染物質の約50%〜約100%の除去で十分である。布地物品の種類及び汚染物質の種類は、洗浄性能を損なうことなく浄化された溶媒若しくは組成物中に残存し得る汚染物質の濃度を左右する要因である。すなわち、浄化された溶媒若しくは組成物は、ある種の汚染物質を他のものよりも高濃度で含んでいてよい。例えば、染料の濃度は、作用溶媒の約0.0001重量%〜約0.1重量%、好ましくは約0.00001重量%〜約0.1重量%、より好ましくは約0重量%〜約0.01重量%で存在してよい。一方、浄化された溶媒中の水の濃度は、約0.001%〜約20%、好ましくは約0.0001%〜約5%、より好ましくは約0%〜約1%であってよい。
【0088】
本発明の一態様では、浄化されたドライクリーニング溶媒若しくは組成物を回収及び/又は再配合することができ、また直ちに、本発明の化学修飾方法による浄化が必要になるまでさらに数回の布地洗浄サイクルで再使用することができる。本発明の他の態様では、浄化されたドライクリーニング溶媒若しくは組成物を洗浄システムから除去し、保管して、後で別のシステム又は別の布地洗浄サイクルで作用溶媒若しくは組成物として使用することができる。
【0089】
透析及びダイアフィルトレーションを含め、幾つかの分離法は、膜を使用して分離を達成する。
【0090】
透析は、膜の両側の溶質の濃度勾配に起因した、膜を通る溶質の移動である。浸透は、濃度勾配に駆動されて溶媒が膜を通ることを除き、透析と同一の一般原理のもとで機能する。透析は、濃度勾配によって駆動される半透膜通過を介して溶液から低分子量の溶質分子又はイオンを除去する際に有効である。
【0091】
ダイアフィルトレーションは、微細種の除去速度が、濃度には依存しないが、膜流束、圧力、及び交換若しくは透析される体積に対する膜表面積の関数であるという点で、従来の透析の変形形態である。新しい溶媒を繰り返し又は連続して添加すると、塩及びその他の微細種が効果的且つ迅速に洗い流され又は交換される。
【0092】
当該方法は、ドライクリーニング溶媒と少なくとも1つの汚染物質との混合物を提供する第1の工程を含む。混合物は、布地物品をドライクリーニング溶媒、又はドライクリーニング溶媒と水や界面活性剤のような他の洗浄補助剤とを含む洗浄組成物に曝すことによって生成されてよい。別法として、この洗浄工程で水を別個の供給源から布地物品に適用してもよい。次いで、使用された及び/又は汚染されたドライクリーニング溶媒若しくは洗浄組成物が、通常はドライクリーニング溶媒と水のエマルションの形態で、本方法における浄化を必要とする混合物として回収され、使用される。
【0093】
汚染された溶媒若しくは組成物を提供するための洗浄方法には、従来の浸漬洗浄方法、並びに米国特許出願US20020133886A1及びUS20020133885A1に開示の非浸漬洗浄方法が含まれる。
【0094】
(補助的な処理及び分離方法)
本発明の浄化方法は、親油性流体と特定の種類の汚染物質との分離を改善するために、膜濾過工程に加えて補助的な処理方法をさらに含んでよい。膜濾過工程と1以上の補助方法とは、任意の順序で組み合わされてよく、また任意の回数繰り返されてよい。
【0095】
(a)汚染物質の化学修飾
補助的な処理方法の1つの部類は、汚染物質が、未修飾の汚染物質とは分子量、極性、又は親油性溶媒への溶解度のうちの少なくとも1つの特性が異なる、修飾された汚染物質へと転換されるような、汚染物質の化学修飾に関する。例えば、修飾された汚染物質が膜によって阻止され、且つ分離効率が改善されるように、化学反応によって汚染物質のサイズを増大させてよい。他の実施例では、修飾された汚染物質が、膜による阻止率を高めることになるヒルデブランド溶解度パラメータをもち得るように、化学反応によって該汚染物質の極性又は溶解度を変化させることができる。
【0096】
化学反応は、汚染物質上の官能基部分を通じて起こる。修飾され得る官能基部分としては、これらに限定するものではないが、アセタール、ケタール、オルトエステル、アミド、イミド、エステル、カーボネート、エステル−四級窒素、アルケニル、ヒドロキシル、アルデヒド、保護ヒドロキシル、カルボン酸、リン酸水素エステル(hydrogen phosphate esters)、エーテル、アミン、Si−O−、Si−O−Si、Si−ハロゲン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0097】
汚染物質を修飾するために使用できる化学反応としては、これらに限定するものではないが、酸化、放射線開裂、誘導体化、水素添加、還元、加溶媒分解、加水分解、重合、中和、生物剤による消化、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0098】
これらの化学反応で有用な化学修飾剤の非限定例としては、次が挙げられる。
【0099】
化学修飾反応及び化学修飾剤の例は、米国仮特許出願第60/483,290号(P&G Case9289P)(2003年6月27日出願)及び米国仮特許出願第60/547,355号(P&G Case9544P)(2004年2月24日出願)に開示されている。
【0100】
修飾された汚染物質は、膜濾過、並びに/又は、沈殿;沈降;遠心分離;デカンテーション;微粒子濾過;吸収剤、吸着剤、光触媒、若しくはこれらの混合物への曝露;磁気分離;温度変更;液−液抽出;及びこれらの組み合わせのような他の補助的な分離方法を使用して、溶媒から分離させることができる。例えば、溶媒に不溶性になる修飾された汚染物質は、沈殿、沈降、デカンテーション、遠心分離のような密度及び/又は重力に基づいた分離方法によって、ドライクリーニング溶媒から分離させることができる。代表的な補助的な分離方法は、米国仮特許出願第60/483,290号(P&G Case9289P)(2003年6月27日出願)及び米国仮特許出願第60/547,355号(P&G Case9544P)(2004年2月24日出願)に開示されている。
【0101】
(b)浄化剤による混合物の修飾
補助的な処理方法の他の部類は、膜濾過及び/又は他の補助方法による汚染物質と溶媒との分離を促進するために、汚染物質が混合物に溶けにくくなるような形で汚染物質と溶媒との混合物を修飾することに関する。
【0102】
混合物の修飾は、混合物を、イオン強度調整剤、pH調整剤、凝集剤(flocculating agent)、ゲル化剤、生物剤、液体抽出剤、及びこれらの混合物のような浄化剤と接触させることによって達成することができる。混合物が本発明の浄化剤によって修飾されるにつれて、修飾された混合物への汚染物質の溶解度が低下し、汚染物質は、混濁や沈殿物形成などによって示されるように、バルク溶媒から析出し始めることがある。例えば、混合物に集合化剤(aggregation agent)を添加すると、汚染物質に、分子量がより大きく、サイズがより大きく、膜によってより容易に阻止される集合体を形成させることができる。ゆえに、膜分離効率の大幅な改善を達成することができる。
【0103】
イオン強度調整剤としては、これらに限定するものではないが、Na;K;Li;Cs;Zn;Mg;Mn;Ni;Ba;Fe;La;Ce;Zr;Ca;Ce;Al;Cu;Fe;これらの磁化可能形態、これらの塩形態、及びこれらの混合物から成る群から選択される、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は遷移金属のカチオンが挙げられる。イオン強度調整剤には、また、NH、アルキル置換NH、四級アンモニウムカチオン、及びこれらの塩のようなカチオンも含めることができる。
【0104】
pH調整剤の非限定例としては、HCl、HBr、HI、硫酸、スルホン酸、硝酸、リン酸、カルボン酸のような鉱酸;炭化水素主鎖上の−COOH置換基のような有機酸、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0105】
ゲル化剤の非限定例としては、ソルビトール・ジェレイター(sorbitol gelators)、金属脂肪酸エステル石鹸、カルシウムシリケート及び処理されたカルシウムシリケート、ヒマシ油の有機誘導体、セルロース誘導体、レシチン、キサンタンガム、アルギネート、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0106】
集合化剤の非限定例としては、ジアリルジメチル、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、及びこれらの混合物のようなポリマーが挙げられる。
【0107】
好適な抽出流体は、親油性流体と不混和性である。抽出流体の非限定例としては、水;線状又は分枝状の、環式、非環式、又は芳香族アルコール;線状又は分枝状の、環式、非環式、又は芳香族ジオール;及びこれらの混合物が挙げられる。
【0108】
浄化方法及び浄化剤の例は、米国仮特許出願第60/483,290号(P&G Case9289P)(2003年6月27日出願)及び米国仮特許出願第60/547,355号(P&G Case9544P)(2004年2月24日出願)に開示されている。
【0109】
(c)補助的な分離方法
以下に、補助的な分離方法を幾つか記載する。
【0110】
沈殿は、固体の形成をもたらす相分離によって開始される。続いて、重力によって1〜48時間以内にバルク溶媒から固体が分離される。加えて、沈殿の形成は、バルク溶媒における光学変化を引き起こし、その結果、バルク溶媒が濁りを帯び(hazy)、又は混濁(cloudy)する。
【0111】
沈降は、重力沈殿による液体の流れからの懸濁固体粒子の分離である。また、沈降を使用して、沈殿速度の差に基づいて固体粒子を分離することもできる。
【0112】
「デカンテーション」及び「密度勾配」は、重力型の分離方法である。「デカンタ」は、重力を用いて流れを連続的に2つの液相に分離するために使用される容器として定義される。ストークスの法則を利用して、連続相中の液滴の沈殿速度を導出し、それに応じてデカンタを設計することができる。
【0113】
遠心分離は、密度差に基づいて物質を分離する技術であり、その分離速度は、逓増的な回転力を加えることによって増幅される。この力は、遠心力と呼ばれ、回転力を提供する装置は、遠心分離器と呼ばれる。遠心分離を沈殿又は沈降と組み合わせて使用して、分離を向上且つ加速させることができる。
【0114】
浄化剤が、アルカリ土類金属カチオン若しくは遷移金属カチオンを主体とするカチオン性剤を含有する時、又は磁化可能な形態でカチオン性剤を含有する時には、磁化を使用して、修飾された汚染物質(すなわち沈殿剤)を溶媒から除去することができる。
【0115】
加えて、混合物の温度下降のような温度変化が、混合物からの汚染物質の分離をさらに向上させることができる。例えば、溶媒若しくは混合物中の汚染物質の親和性又は溶解性を、温度下降と共に低下させることができる。他の例では、汚染物質が相変化(結晶化など)を起こして、溶媒若しくは混合物から沈殿してもよい。
【0116】
液体からの固体微粒子、集合体、又は沈殿剤の除去には、微粒子濾過を使用することができる。例えば、固体含有量の少ない液体を、光学的に透明な液体になるように濾過することができる。カートリッジは、通常は円筒状の形体であるが、他の形状も許容可能である。カートリッジ内部の濾過材は、プリーツ状又は非プリーツ状、使い捨て又は洗浄/再生可能なもののいずれかであることができる。濾材は、通常、プラスチック若しくは金属製品によって支持され、及び/又はそれらに一体に結合される。
【0117】
抽出は、ある液体から別の不混和性液体へ、又は固体から液体への1つ又は複数の化合物の選択的移動である。前者のプロセスは、液−液抽出と呼ばれ、(1又は複数の)化合物が優先的に移動できる第2の相をもたらすために不混和性液体のような異物が導入される。駆動力は、各液体中の(1つ又は複数の)溶質化合物の分配係数に基づく。この分離技術では、2つの液相中の化合物は、物理的バリアによってではなく、単に境界面(すなわち、化学的バリア)によって分離されるにすぎない。
【0118】
ドライクリーニング溶媒から第2の相を作り出すために本明細書で使用するのに好適な抽出流体としては、これらに限定するものではないが、水;線状又は分枝状、環式又は非環式アルコール;線状又は分枝状、環式又は非環式ジオール;並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0119】
修飾された汚染物質は、また、混合物を吸収材料、吸着材料、光触媒、又はこれらの混合物と接触させることによって、ドライクリーニング溶媒若しくは組成物から除去することもできる。これらの物質は、固体微粒子/粉末として混合物に添加されることができ、又はカートリッジ若しくは同様の容器内に収容されることができる。
【0120】
好適な吸着材料としては、これらに限定するものではないが、活性炭、粘土、極性剤、非極性剤、荷電剤、ゼオライト、ナノ粒子、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0121】
本明細書で吸着材料として使用するのに好適な極性剤は、次式を有し:
(Y−O) X
式中、YはSi、Al、Ti、Pであり;aは約1〜約5の整数であり;bは約1〜約10の整数であり;Xは金属である。一実施形態では、本明細書で吸着材料として使用するのに好適な極性剤は、シリカ、珪藻土、アルミノケイ酸塩、ポリアミド樹脂、アルミナ、ゼオライト、及びこれらの混合物から成る群から選択される。一実施形態では、極性剤はシリカであり、より具体的にはシリカゲルである。好適な極性剤としては、日本化学工業株式会社(Nippon Chemical Industries Co.)(日本、東京)から入手可能なシルファム(SILFAM)(登録商標)シリカゲル;及びW.R.グレース(W.R.Grace)(メリーランド州コロンビア)から入手可能なダヴィシル(Davisil)(登録商標)646シリカゲルが挙げられる。
【0122】
本明細書で吸着材料として使用するのに好適な非極性剤は、ポリスチレン、ポリエチレン、及び/又はジビニルベンゼンのうちの1以上を含む。非極性剤は、織布又は不織布ウェブのような繊維性構造の形態であってよい。好適な非極性剤としては、ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)(ペンシルバニア州フィラデルフィア)から入手可能なアンバーライト(Amberlite)(登録商標)XAD−16及びXAD−4が挙げられる。
【0123】
本明細書で使用するのに好適な荷電剤は、アニオン性物質、カチオン性物質、双極性物質、及びこれらの混合物から成る群から選択される。一実施形態では、荷電剤は、次式を有し:
(W−Z) T
式中、Wは、Si、Al、Ti、P、又はポリマー主鎖であり;Zは、荷電置換基であり、Tは、アルカリ、アルカリ土類金属、及びこれらの混合物から選択される対イオンである。例えば、Tは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、アルキルアンモニウム誘導体、水素イオン;塩化物、水酸化物、フッ化物、ヨウ化物、カルボキシレートなどであってよい。W部分は、通常、約1重量%〜約15重量%の荷電剤を含む。ポリマー主鎖は、通常、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリジビニルベンゼン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、多糖類、ポリビニルアルコール、これらのコポリマー、及びこれらの混合物から成る群から選択される物質を含む。荷電置換基は、通常、スルホネート、ホスフェート、四級アンモニウム塩、及びこれらの混合物を含む。荷電置換基は、アルコール、ジオール、カルボキシレート塩、一級及び二級アミン塩、並びにこれらの混合物を含んでよい。好適な荷電剤は、ローム・アンド・ハース(Rohm & Haas)(ペンシルバニア州フィラデルフィア)からIRC−50の表記で入手可能である。
【0124】
好適な吸収材料としては、これらに限定するものではないが、ヒドロゲル形成吸収材料、又は吸収性ゲル材料(AGM:absorbent gelling material)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0125】
ヒドロゲル形成吸収性ポリマーは、また、一般に「ヒドロコロイド」とも呼ばれており、それには、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロース、及びヒドロキシプロピルセルロースのような多糖類;ポリビニルアルコール及びポリビニルエーテルのような非イオン型;ポリビニルピリジン、ポリビニルモルフォリニオン(polyvinyl morpholinione)、及びN,N−ジメチルアミノエチル若しくはN,N−ジエチルアミノプロピルアクリレート及びメタクリレートのようなカチオン型、並びにこれらそれぞれの四級塩を挙げることができる。それらのコポリマーは、部分的に中和されていてよく、又はわずかに網状に架橋していてよく、又はその両方であってよい。通常、ヒドロゲル形成吸収性ポリマーは、多数のアニオン性又はカチオン性官能基を有する。これらのポリマーは、単独で、又は2つ以上の異なるポリマーの混合物で使用することができる。これらのポリマー材料の例は、米国特許第3,661,875号;同第4,076,663号;同第4,093,776号;同第4,666,983号、及び同第4,734,478号に開示されている。
【0126】
また、他のヒドロゲル形成材料も、本明細書で吸収材料として使用するのに好適である。本明細書で使用するのに好適なこれらのゲルの非限定例は、アクリルアミド、アクリレート、アクリロニトリル、ジアリルアンモニウムクロリド、ジアルキルアンモニウムクロリド、及びその他のモノマーを主体とするものであってよい。好適な幾つかのゲルが、米国特許第4,555,344号、同第4,828,710号、及び欧州特許出願EP648,521A2に開示されている。
【0127】
ヒドロゲル形成ポリマー構成成分は、また、カチオン交換ヒドロゲル形成吸収性ポリマーとアニオン交換ヒドロゲル形成吸収性ポリマーとを含む、混合床式イオン交換組成物の形態であってもよい。このような混合床式イオン交換組成物は、例えば、米国特許出願第09/130,321号(アシュラフ(Ashraf)ら、1998年1月7日出願)(P&G Case6976R);及び米国特許第6,121,509号に記載されている。
【0128】
好適な光触媒としては、これらに限定するものではないが、後で二酸化チタンのような光活性物質が負荷されるゼオライト及び/又はメソ細孔性モレキュラーシーブ物質の構造へと交換される遷移金属原子を含む、半導体光触媒が挙げられる。そのような半導体光触媒については、米国特許第6,585,863号に記載されている。
【0129】
(製品)
本発明はまた、前述の膜と、処理組成物と、膜及び組成物のための容器と、所望により、それらに付随する追加包装とを含む製品も包含する。該処理組成物は:
(1)酸化剤、カチオン種、集合化剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される化学剤を含む組成物;
(2)吸収剤、吸着剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される補助処理剤を含む組成物;
(3)抗菌剤を含む組成物;
(4)酵素を含む組成物;
(5)香料を含む組成物;並びに
(6)水を含む組成物であることができる。
【0130】
該製品は、容器又はそれに付随する追加包装上に、キットの使い方についての1組の説明書をさらに含む。該説明書自体は、説明書の2つのサブセットを含んでよい。一方のサブセットは、ユーザーに、汚染されたドライクリーニング溶媒を本発明の方法によるキットで浄化するように指示する。他方のサブセットは、ユーザーに、該キットを本明細書で開示したような装置又は洗浄システムと組み合わせる方法を指示する。そのような説明書には、膜及び/又は組成物を、装置又は洗浄システム(lceaning system)内の指定されたデバイス、カートリッジ、ディスペンサー、区画などと組み合わせる、又はそれらに適用する方法を含んでよい。
【0131】
(洗浄システム及び装置)
本発明には、また、前述の方法で使用するのに好適な洗浄システム及び装置も含まれる。洗浄システムは、布地物品処理容器と、ドライクリーニング溶媒リザーバと、所望により、ドライクリーニング溶媒中の汚染物質の濃度を監視するセンサとを含む。汚染物質濃度が予め定められた特定の値を超えると、センサが、ドライクリーニング溶媒が最大汚染物質保持許容値に達しており、浄化を必要とすることを示す。さらに、本発明の浄化方法を実施可能な膜濾過ユニットを含む溶媒浄化/回収デバイスも、システム/装置の一体部品として設けられてよい。ただし、そうである必要はない。膜濾過ユニットは、ドライクリーニングシステムとは別個の独立型デバイスであることができる。
【0132】
洗浄システム及び装置は、(1又は複数の)補助処理工程における処理組成物の適用のために、ディスペンサーやカートリッジなどを含んでもよい。
【0133】
一実施形態では、膜濾過システムは、親油性流体で布地物品を洗浄可能な布地処理装置において使用される(図1)。プロセス工程10は、親油性流体を布地物品及び生じる洗浄剤と接触させることを含む。工程10で布地物品の洗浄の結果として生じる汚染された親油性流体は、ポンプ又は重力排水を用いてリザーバ20内に回収される。所望により、リザーバに、過充填(overfilling)又は充填不足(underfilling)を防ぐために流体レベルセンサを含めることもできる。回収された親油性流体は、次いで、工程30で処理されて、少なくとも約100μmのサイズ、好ましくは約1μmのサイズ、より好ましくは約0.1μmのサイズの不溶性汚染物質が除去される。汚染された親油性流体は、次いで、濾過膜ユニット40、好ましくは小型のスパイラル形膜ユニットによって処理される。汚染された親油性流体が膜濾過ユニット40を通って移動する時、親油性流体が膜を透過することになり、好ましくは、膜が非多孔質ポリマー分離層を含んでいて、浄化された親油性流体を生成する。所望により、プロセス工程35で、膜濾過ユニットに曝される前に、集合化剤、好ましくは水が、汚染された親油性流体に添加される。また所望により、均一な分散体を提供するために、集合化剤を汚染された親油性流体に分散させても又は混合させてもよい。インライン又は固定ミキサーを使用することができる。集合化剤を添加すると、汚染物質が集合体又はミセルを形成して親油性流体の分子量と汚染物質の分子量との差がより大きくなるので、膜分離効率が改善される。汚染された親油性流体は、所望により、溶解度を低下させ、集合体の形成を促進するために、膜濾過ユニットの前に少なくとも約5℃、好ましくは約10℃だけ冷却される。冷却工程は、集合化剤の添加工程を伴って、又は添加工程なしに実施することができる。
【0134】
所望により、さらに親油性流体を浄化するために、透過した浄化済み親油性流体が、次いで吸着材料50に通される。浄化された親油性流体は、次いで浄化済み親油性流体リザーバ60で回収され、これを次の布地処理サイクルに使用することができる。
【0135】
汚染された親油性流体の浄化は、必ずしも各布地処理サイクル後に実施される必要はない。
【0136】
膜ユニット40で膜に透過しなかった汚染物質を含有する親油性流体は、再循環されてリザーバ20へと戻される。リザーバ20内の汚染物質の濃度は、徐々に上昇して最終的には溶解限度に達し、この溶解限度で汚染物質が不溶性となって処理工程30で分離される。
【0137】
当業者に公知のいかなる好適な布地物品処理容器も使用することができる。布地物品処理容器は、洗浄システムの動作の間、処理すべき布地物品を受け取って保持する。換言すれば、布地物品処理容器は、布地物品がドライクリーニング溶媒と接触している間、該布地物品を保持する。好適な布地物品処理容器の非限定例としては、商用洗浄機、家事用、家庭用洗濯機、及び衣類乾燥機が挙げられる。
【0138】
本発明の方法及びシステムは、クリーニングサービス、おむつサービス、制服クリーニングサービスのようなサービス、又は、コインランドリー、ドライクリーナーのような営利事業や、ホテル、レストラン、コンベンションセンター、空港、観光船、港湾施設、カジノの一部であるリネンサービスで使用されてもよく、あるいは家庭で使用されてもよい。
【0139】
本発明の方法は、改良された既存装置であって、また関連方法に加えて本発明の方法を実施するような形で改良された装置において実施されてよい。
【0140】
本発明の方法は、また、本発明及び関連方法を実施するために特別に構築された装置で実施されてもよい。
【0141】
さらに、本発明の方法は、ドライクリーニング溶媒処理システムの一部として別の装置に追加されてもよい。これには、化学物質及び水の供給源、並びに廃棄洗浄流体用の下水設備への連結のような、関連した配管すべてが含まれる。
【0142】
本発明の方法は、また、「デュアルモード」機能が可能な装置で実施されてもよい。「デュアルモード」装置は、同じ容器(すなわちドラム)内で布地の洗浄及び乾燥の両方を実施可能なものである。これらの装置は、特にヨーロッパで市販されている。
【0143】
さらに、本発明の方法は、また、「バイモード(bi-modal)式」洗浄機能を実施可能な装置で実施されてもよい。「バイモード式」装置は、同じ容器で非水性洗浄及び水性洗浄の両方を実施可能なものであり、2つの洗浄モードを、順次洗浄サイクル又は複合洗浄サイクルで実施することができる。加えて、バイモード式機械は、また、衣類を別個の機械に移動させる必要なしに当該衣類を完全に乾燥させることも可能である。すなわち、機械は、バイモード機能並びにデュアルモード機能を持つことができる。
【0144】
本発明で使用するのに好適な装置は、通常、「スマートコントロールシステム」のような電気的システム、並びにより従来的な電気機械的システムを含め、何らかのタイプの制御システムを含む。制御システムによって、ユーザーは、洗浄すべき布地洗濯物の大きさ、汚れの種類、汚れの程度、洗浄サイクルの時間を選択可能になる。あるいは、制御システムは、ユーザーが装置にプログラムした任意の数の確認可能なパラメータに基づいて、予め設定された洗浄及び/若しくはリフレッシュサイクルを提供し、又はサイクル長の制御をもたらす。例えば、ドライクリーニング溶媒の回収速度が安定した速度に達した時に、装置は、一定期間後に自動的に停止し、又はドライクリーニング溶媒に関わる別のサイクルを開始することができる。
【0145】
電気的制御システムの場合、1つの選択肢は、制御デバイスを、自己診断;洗濯物の種類及びサイクル選択;ユーザーが装置を遠隔操作で始動できるようにし、装置が布地物品を洗浄し終えた時にユーザーに通知し、又は装置が正常に機能しない場合に供給元が遠隔操作で問題を診断できるようにするインターネットリンクなど、スマート機能を提供する、いわゆる「スマートデバイス」にすることである。さらに、本発明のシステムが単に洗浄システムの一部にすぎない場合、いわゆる「スマートシステム」は、洗濯機や乾燥機のような、洗浄の残りを完了するために使用される他の洗浄デバイスと通信することができる。
【0146】
(試験方法:薄層クロマトグラフィー)
親油性流体から除去された汚染物質のパーセンテージは、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって決定することができる。
【0147】
100gの親油性液体と、0.1gの人工的な身体汚れ(エンピリカル・マニュファクチャリング社(Empirical Manufacturing Company Inc.)(オハイオ州シンシナティ)から入手可能)と、0.1gのネオドール(Neodol)91−2.5界面活性剤(シェル・ケミカル社(Shell Chemical Co.)(テキサス州ヒューストン)から入手可能)との混合物が入ったバイアル瓶を準備する;この試験の目的では、人工的な身体汚れ及び界面活性剤の両方を汚染物質と見なす。
【0148】
親油性流体及び添加された汚染物質を含有する混合物と、本方法によって浄化された後の混合物とから、2μlの試料を取得し、これら両方をシリカゲルGプレート(Silica Gel G plates)(無機結合剤、#01011、20cm×20cm、デラウェア州ニューアーク(Newark)のアナルテック社(Analtech,Inc.)から入手可能)上でTLCによって分析する。
【0149】
3つの展開溶媒をTLC分析で使用した:(1)100%ヘプタン、(2)体積比が160:40のトルエン:ヘキサン、及び(3)体積比が160:40:2のヘキサン:ジエチルエーテル:酢酸;すべての溶媒をバーディック・アンド・ジャクソン(Burdick & Jackson)から購入した。第1溶媒系をTLCプレートの上部の水平線まで(17.5cm)移動させるが、それには通常約30分かかる。TLCプレートを20分間乾燥させる。第2溶媒系をプレート上方に16.5cm移動させるが、それには通常約26分かかる。TLCプレートを30分間乾燥させる。第3溶媒系をプレート上方に9.5cm移動させるが、それには通常約9分かかる。TLCプレートを30分間乾燥させる。乾燥したTLCプレートに5〜7mlの25%硫酸を均一にスプレーし、250℃〜260℃に加熱したホットプレート上に置き、セラミックテープで覆う。完全に炭化するまで(10〜30分間)プレートをホットプレート上に維持する。炭化時間は、試験される化合物によって変わる。加熱したスパチュラ(破損を防ぐため)を用いてホットプレートからプレートを取り除き、ガラス布パッド上に置いて冷却する。炭化したプレートを、カマスキャナ(Camag Scanner)3濃度計(カマ(Camag)(スイス)から)を用いてスキャンする。
【0150】
TLCスペクトルを、濃度計によって表示された曲線下の面積として測定した。混合物から除去された汚染物質の総量を、次式を使用して計算した:
【数1】

ここで、MR=除去された汚染物質の質量;
S=混合物に添加された汚染物質の質量;
A=本方法によって浄化された混合物から得られるTLC面積;
B=浄化プロセス前の混合物から得られるTLC面積。
【実施例】
【0151】
(実施例1)
汚染された又は「汚れた」ドライクリーニング溶媒のデカメチルシクロペンタシロキサンを、カリフォルニア州サクラメント(Sacramento)のプレスティジ・クリーナーズ(Prestige Cleaners)から得た。溶媒を、圧縮窒素を使用して加圧し、流速50g/分で、コード名M20のポリシロキサン膜(カリフォルニア州メンロパーク(Menlo Park)のメンブレン・テクノロジー・アンド・リサーチ社(Membrane Technology and Research Inc.)製)を含む長方形の試験セル(膜面積16cm)へと送り込んだ。4Lの溶媒を試験セルに通過させた後、溶媒の供給側試料及び透過側試料を回収した。供給側の「汚れた」溶媒試料及び透過側溶媒試料をTLCによって分析し、その結果から、供給側溶媒と透過側溶媒との間の洗濯汚れの減少%を、得られたTLCスペクトル上にピークとして現れた個々の汚れ成分について計算した。以下の表は、その結果を示す:
【表1】

【0152】
引用されるすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、本発明に関する先行技術であることの容認として解釈されるべきではない。
【0153】
本発明の特定の実施形態を例示し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなくその他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明の一実施形態による膜濾過ユニットを含んだ洗浄システムの略図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯汚れを含有する親油性流体を浄化する方法であって:
a.親油性流体と洗濯汚れとを含む混合物を提供する工程と;
b.該混合物を膜に通過させ、それによって該洗濯汚れを除去して、該親油性流体を浄化済み親油性流体へと変化させる工程
とを含む、方法。
【請求項2】
前記混合物中の前記洗濯汚れの濃度は、工程(b)の後で少なくとも10%低減される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記膜が、344.5Pa(500psi)の圧力下で少なくとも0.1kg/mhrの親油性流体流束をもたらす、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(b)が、同一又は異なる一連の膜を通じて繰り返される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(b)の前及び/又は後に補助処理工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
同一又は異なる補助処理工程を繰り返すことができる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記補助処理工程が、連続しており、又は1以上の工程(b)によって分断されており、又はそれらの組み合わせである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記膜が、アルミナ、ジルコニア、チタニア、炭化ケイ素、及びこれらの混合物から成る群から選択される多孔質の無機材料を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記膜が、ポリテトラフルオロエチレン;ポリ(フッ化ビニリデン);ポリプロピレン;ポリエチレン;セルロースエステル;ポリカーボネート;ポリスルホン/ポリ(エーテルスルホン);ポリイミド/ポリ(エーテルイミド);脂肪族ポリアミド;ポリエーテルエーテルケトン;架橋ポリシロキサン、フルオロカーボン置換基を含む架橋ポリシロキサン、及びこれらの混合物から成る群から選択されるポリマー材料を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマー材料のヒルデブランド溶解度パラメータと前記親油性流体のヒルデブランド溶解度パラメータとの相違が、5MPa1/2未満である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記膜が、次式を有するポリシロキサンを含んでおり:
【化1】

式中、Rは、水素、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、アリール、及びアルカリール炭化水素若しくはフルオロカーボンであり;nは、7〜2000の整数であり;ポリシロキサンは、架橋剤で架橋されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記膜が、平らなフィルム膜、管状膜、又はスパイラル形膜である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記補助処理工程が、前記洗濯汚れの化学修飾、浄化剤による前記混合物の修飾、補助的な分離方法、及びこれらの組み合わせを使用する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記補助的な分離方法が、沈殿;沈降;デカンテーション;遠心分離;微粒子濾過;磁気分離;温度変更;抽出、吸着剤、吸収剤、光触媒、若しくはこれらの混合物への曝露;及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記洗濯汚れが、非イオン性界面活性剤;モノ−、ジ−、及びトリ−グリセリド、飽和及び不飽和脂肪酸、非極性炭化水素、ワックス及びワックスエステル、脂質;並びにこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記洗濯汚れが、水、界面活性剤、酵素、漂白剤、布地柔軟仕上げ剤、香料、抗菌剤、静電気防止剤、増白剤、染料固定剤、染料磨耗抑制剤、クロッキング防止剤、しわ低減剤、防しわ剤、汚れ放出ポリマー、日焼け止め剤、退色防止剤、ビルダー、起泡剤、組成物悪臭抑制剤、組成物着色剤、pH緩衝剤、防水剤、防汚剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される汚染物質をさらに含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記親油性流体が、シロキサン、炭化水素、フルオロカーボン、グリコールエーテル、グリセリンエーテル、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記親油性流体が、線状シロキサン、環状シロキサン、又はこれらの混合物を含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記親油性流体が、デカメチルシクロペンタシロキサンを含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
溶媒浄化キットであって:
(a)膜と;
(b)所望により、酸化剤、カチオン種、集合化剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される化学修飾剤を含む第1の処理組成物;
吸収剤、吸着剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される補助処理剤を含む第2の処理組成物;
抗菌剤を含む第3の組成物;
酵素を含む第4の組成物;
香料を含む第5の組成物;
水を含む第6の組成物;
又はこれらの組み合わせから選択される処理組成物とを含んでおり、;
(c)膜及び処理組成物を納めるための容器と;
(d)所望により、包装と;
(e)該容器若しくは該包装に関係付けられた1組の説明書とを含んでおり、該説明書は、ユーザーに、親油性流体と汚染物質とを含む混合物を該キットで浄化するように指示し、又は該キットの構成要素をドライクリーニング装置に組み入れるように指示し、又はその両方を指示するキット。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2007−521409(P2007−521409A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515386(P2006−515386)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/021031
【国際公開番号】WO2005/003444
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】