説明

ドライブレコーダ

【課題】人間の目では点灯しているように見えても実際には点滅しているような光源が撮像される場合に、人間の目で見ている場合と同様に光源が点灯していることを確実に認識できるようにできるドライブレコーダを提供する。
【解決手段】撮像手段32の撮像のフレームレートが50fpsよりも大きくなるように設定され、撮像された複数の画像データの中から点滅している光源を検出し、検出された点滅光源の点滅周期を測定し、測定された点滅周期と予め設定された点滅周期の閾値とを比較し、点滅光源の点滅周期が閾値よりも短いことを検出した場合には、撮像された画像データの中から点滅光源が点灯している画像を抽出して記憶手段38に記憶させ、点滅光源の点滅周期が閾値以上であることを検出した場合には、撮像された画像データを所定の抽出タイミングで抽出して記憶手段38に記憶させる画像処理手段36を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内に設置され、車両が事故を起こした場合の状況判断に用いるために、車両外部を撮像し、撮像した画像データを記憶するドライブレコーダに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の事故状況を判断するために、ドライブレコーダが開発され、様々な車両に設置されつつある。
一般的なドライブレコーダは、撮像手段としてのカメラと、車両の車速、加速度、ブレーキ圧等を検出する車両センサと、衝撃検出センサと、カメラで撮像された画像データを記憶する記憶装置とを具備している。衝撃検出センサが衝撃を検出すると、衝撃検出前の所定時間と衝撃検出後の所定時間に撮像された画像データが記憶装置に記憶される。
【0003】
車両の事故は交差点で多く発生していることから、特に交差点における状況を正確に撮像して記憶することがドライブレコーダには求められている。
そこで、信号機の現示情報を取得するために、信号機との間で無線による情報の送受信を行うドライブレコーダが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、交差点接近情報を取得して、これに基づいて事故が発生しやすい地点における画像データの記録を長時間にわたって行えるドライブレコーダも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−150476号公報
【特許文献2】特開2003−63459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、信号機の発光部にLEDが多く採用されてきている。
信号機に用いられるLEDは、50Hzまたは60Hzの商用交流電源を直流電源に整流して駆動されている。したがって、整流された直流電源に交流電源の脈流が残っている場合には、LEDの点灯には人間の目では判別できない程度に点滅を繰り返している事も考えられる。なお、ここでいう点滅としては、点灯と消灯を繰り返すことだけではなく、点灯の明暗が繰り返されていることも含めた概念である。
【0006】
また、信号機以外にも、工事場所用や事故現場用の誘導灯など、LEDが採用される分野は多岐にわたっており、脈流成分を含む直流電源を採用する以上は、様々な光源で人間の目では判別できない程度に点滅を繰り返していることがあり得る。
【0007】
さらに、電光表示装置では、制御回路を減らして情報を提供できるように、表示装置の部分毎に点灯を繰り返し、人間の目で見た場合の残像を利用するダイナミック点灯という点灯方式が行われる場合もある。
【0008】
ドライブレコーダが、事故の際の画像データを記憶するのは、事故状況を判断して事故の原因を追及するために、信号機などが事故当時赤であったか青であったかなどを記録して残しておくためである。しかし、信号機に脈流による点滅が生じている場合には、撮像手段のフレームレートによっては消灯時の画像データのみを記憶させてしまうおそれもあり、かかる場合に信号機は消灯していたものであるとの誤解を生じてしまったり、事故に関する有益な情報が何ら得られないという課題がある。
【0009】
また、このような課題は、信号機以外にも、誘導灯など表示部を有する機器全般において言える事であり、記憶される画像データにおいて何らかの表示部が点灯しているはずなのに消灯し続ける画像にならないようにする必要がある。
【0010】
さらに、ダイナミック点灯をしている電光表示装置について、部分的に点灯している状態のものを記憶してもその意味がとれないので、正確な情報の記憶というドライブレコーダ本来の目的を達成することができない。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、人間の目では点灯しているように見えても実際には点滅しているような光源が撮像される場合に、人間の目で見ている場合と同様に光源が点灯していることを確実に認識することができるドライブレコーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記目的を達成すべく、以下の構成を備える。
すなわち、本発明にかかるドライブレコーダによれば、撮像手段と、撮像手段によって撮像された画像データを記憶する記憶手段とを具備するドライブレコーダにおいて、撮像手段は、撮像のフレームレートが50fpsよりも大きくなるように設定され、撮像された複数の画像データの中から点滅している光源を検出し、検出された点滅光源の点滅周期を測定し、測定された点滅周期と予め設定された点滅周期の閾値とを比較し、点滅光源の点滅周期が閾値よりも短いことを検出した場合には、撮像された画像データの中から点滅光源が点灯している画像を抽出して記憶手段に記憶させ、点滅光源の点滅周期が閾値以上であることを検出した場合には、撮像された画像データを所定の抽出タイミングで抽出して記憶手段に記憶させる画像処理手段を具備することを特徴としている。
この構成を採用することによって、フレームレートが少なくとも50fpsよりも大きい値で撮像するので、商用電源の交流成分に基づく脈流よりも細かく撮像でき、脈流に基づく点滅を検出可能となる。なお、ここでいう点滅とは、点灯・消灯の繰り返しによるものの他に、点灯状態が維持されてはいるが明暗を繰り返すために点滅しているようにちらついて見えるフリッカも含まれる概念である。そして、点滅が検出されると、点滅周期に基づいて本当に点滅しているのかまたは電源の脈流に基づくもので本来の点滅ではないものであるのかが判断され、電源の脈流に基づく本来の点滅ではない場合には、点灯時の画像データのみを抽出して記憶する。このため、電源の脈流に基づく本来の点滅ではないものが撮像された場合であっても、消灯時または暗時の画像データを抽出してしまって消灯または点滅しているものであるかのように記憶してしまうことを防止する。
【0013】
また、前記画像処理手段は、点滅光源の点滅周期が閾値よりも短いことを検出した場合には、点灯開始時と点灯終了時の中間点における画像データを抽出して記憶手段に記憶させることを特徴としてもよい。
この構成によれば、点灯時の画像データを抽出しようとしている場合に、点灯のタイミングがわずかにずれてしまうと消灯になってしまい、消灯時の画像データを抽出してしまう可能性がある。このため、タイミングが多少ずれたとしても消灯にはならないように点灯と消灯の中点における画像データを抽出することにより、消灯時の画像データを記憶させないようにすることができる。
【0014】
さらに、前記画像処理手段は、時間的に前の画像データを拡大させるとともに時間的に後の画像データを縮小させ、連続する画像データ同士を重ね合わせて比較することにより点滅光源を検出することを特徴としてもよい。
【0015】
なお、前記撮像手段におけるフレームレートのタイミングを不定期となるように制御するタイミング制御手段を設けたことを特徴としてもよい。
この構成による作用は、以下の通りである。すなわち、高いフレームレートで定期的なタイミングで撮像していると、そのタイミングが光源の点滅に偶然合致してしまう場合も考えられる。例えばダイナミック点灯などの場合には、電源の脈流成分よりも大きい周期となる。かかる場合にあっては、電源の脈流成分以外の原因による点滅において、点灯時または消灯時のいずれか一方の画像データしか得られないこととなってしまう。したがって、撮像タイミングを不定期となるようにすることにより、電源の脈流成分以外の原因による点滅の検出ができ、点灯時または消灯時のいずれか一方の画像データしか得られなくなるような事態を防止できる。
【0016】
本発明にかかるドライブレコーダによれば、撮像手段と、撮像手段によって撮像された画像データを記憶する記憶手段とを具備するドライブレコーダにおいて、撮像手段は、撮像のフレームレートが50fpsよりも大きくなるように設定され、信号機の形状を予め記憶してある信号機形状記憶手段が設けられ、撮像された画像データと予め記憶されている信号機形状とを比較して信号機を検出し、検出された信号機の輝度の変化に基づいて信号機の点滅周期を測定し、測定された点滅周期と予め設定された点滅周期の閾値とを比較し、信号機の点滅周期が閾値よりも短いことを検出した場合には、撮像された画像データの中から信号機が点灯している画像を抽出して記憶手段に記憶させ、信号機の点滅周期が閾値以上であることを検出した場合には、撮像された画像データを所定の抽出タイミングで抽出して記憶手段に記憶させる画像処理手段を具備することを特徴としている。
この構成によれば、予め信号機の形状を記憶しておき、信号機の点滅周期を測定する。なお、ここでいう点滅は、本来的な点灯と消灯の繰り返し、本来の点滅(赤点滅、黄点滅)、および電源の脈流に基づくもので本来の点滅ではないフリッカが含まれる。そこで、点滅周期に基づいて、電源の脈流に基づく本来の点滅ではない場合には、点灯時の画像データのみを抽出して記憶する。このため、電源の脈流に基づく本来の点滅ではないものが撮像された場合であっても、消灯時または暗時の画像データを抽出してしまって消灯しているか、または本来の点滅をしているものであるかのように記憶してしまうことを防止する。
【0017】
また、前記画像処理手段は、信号機の点滅周期が閾値よりも短いことを検出した場合には、点灯開始時と点灯終了時との中間点における画像データを抽出して記憶手段に記憶させることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明にかかるドライブレコーダによれば、周囲の状況を正確に記録しておくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
まず、図1に基づいて本実施形態におけるドライブレコーダの概略構成について説明する。
ドライブレコーダ30は、自動車などの車両に取り付けられ、車両事故などが起きた場合に事故の前後にわたる周囲の状況を画像データとして記録しておくものである。
【0020】
ドライブレコーダ30は、デジタルビデオカメラ等から構成される撮像手段32と、衝撃センサ等から構成される衝撃検出手段34と、画像処理エンジンによって構成される画像処理装置36と、ハードディスクやメモリカード等から構成される記憶手段38とを具備している。
また、ドライブレコーダ30には、予め点滅光源の点滅周期の閾値を記憶している閾値記憶手段31が設けられている。閾値記憶手段31としては、画像処理装置36内のメモリであってもよいし、画像処理装置36とは別個に設けられたメモリやハードディスク等の記憶手段であってもよい。
【0021】
撮像手段32は、所定のフレームレートで車両前方を撮像するように設けられている。ここでのフレームレートは、少なくとも50fpsよりも大きい値に設定する。
すなわち、信号機その他の表示装置において、商用交流電源を直流に変換した電源を用いている場合、交流成分が脈流として残存しており、脈流に応じて点灯・消灯を繰り返したり明暗を繰り返してしまう場合があるが、このように本来的な点滅ではないいわゆるフリッカが起きる点滅周期よりも短い周期となるようにフレームレートを設定すると、少なくともフリッカの検出を確実に行うことができる。
したがって、具体的に撮像手段32は、商用電源の周波数である50Hzまたは60Hzのうち、低い方の周波数である50Hzよりも少なくとも高いフレームレートとなるように設定される。
なお、一例として、フレームレートを商用電源周波数の50Hzと60Hzの最小公倍数にあたる300fpsに設定してもよい。
【0022】
フレームレートの設定は、撮像手段32自体に設定手段が設けられていてもよいし、撮像手段32に接続されている画像処理装置36から制御信号を出力して設定させるようにしてもよい。
また、フレームレートを可変にしておけば、車両の速度に合わせてより好適な設定ができる。例えば高速道路を走行前には予めより高いフレームレートとなるように設定し、一般道路を通行する前には高速道路を走行する場合よりも低いフレームレートとなるように設定することができる。
【0023】
画像処理装置36は、撮像された複数の画像データの中から、点滅している光源を検出する点滅光源検出手段40を備えている。また、画像処理装置36は、点滅光源検出手段40によって検出された点滅光源の点滅周期を測定する点滅周期測定手段42を備えている。さらに、画像処理装置36は、点滅周期測定手段42によって測定された点滅周期と、閾値記憶手段31に予め記憶されている閾値とを比較する比較手段44を備えている。さらに、画像処理装置36は、点滅光源の点滅周期が閾値よりも低い場合に、画像データの中から点滅光源が点灯している画像データのみを抽出して記憶手段38に記憶させ、比較手段44が点滅光源の点滅周期が閾値よりも高いと判断した場合には、撮像された画像データについて所定の抽出タイミングで画像データを抽出して記憶手段38に記憶させる画像データ抽出手段46を備えている。
【0024】
このような画像処理装置36が備える各機能については、画像処理装置36内のメモリ内に予め記憶された制御プログラムを画像処理装置36が実行することにより、実現される。
【0025】
次に、画像処理装置36における点滅光源の検出および点滅周期の測定動作について、図2〜図4に基づいて説明する。
図2に示すように、点滅光源の検出および点滅周期の測定は、時間的に前後する画像データを重ね合わせることで実行することができる。すなわち、撮像手段32は、高いフレームレートで撮像しているので、連続する画像データとしては高い相関を呈する。この場合、時間的に前の画像データの中心部分を抽出して所定の拡大率で拡大することで、時間的に後の画像データを重ね合わせることができる。
【0026】
なお、図3に示すように、さらに多数の画像データを重ね合わせるようにしてもよい。
図3には、例としてトンネル内を走行中の画像について示している。図3の左側には上から下に向かう撮像順で撮像された画像データが図示されている。
ここで、画像処理装置36は、ある画像データFを基準とした場合に基準の画像データFよりも時間的に前の画像データF−1、および時間的に前の画像データF−2の中心部分を拡大する。さらに画像データFよりも時間的に後のデータF、およびさらに時間的に後の画像データFを縮小する。
こうして、拡大・縮小により、基準とする画像データFと同じ大きさとなった画像データF−2’、F−1’、F’、F’を、基準となる画像データFと重ね合わせ、各画像データ間でXOR処理することにより、点滅している光源の検出が可能となる。なお、画像処理装置36は、各画像データ間でOR処理することにより、点滅している光源の除去も可能となる。
【0027】
なお、上述したように複数の画像データをOR処理して点滅光源が除去された画像データをGF0とする。
そして、図4に示すように、点滅光源が除去された画像データを作成する作業を、1フレームずつずらしてGF1、GF2、・・GFnと複数作成し、点滅光源が除去された画像データGFn同士をさらに重ね合わせて比較することで、さらに点滅周期の長い点滅光源の検出が可能となる。
【0028】
次に、点滅光源を検出した後の動作について説明する。
点滅光源としては、具体的には信号機が一般的に挙げられるが、その他工事中の表示や緊急車両の警光灯、電光表示装置なども含まれる。本発明のドライブレコーダ30の目的は、本来の点滅ではないが脈流等の原因により点滅している光源を、点灯しているものとして記憶させることにある。
【0029】
したがって、画像処理装置36は比較手段44によって、検出された点滅光源が本来の点滅であるか、脈流などによる本来の点滅ではないものかを判別する。具体的には、画像処理装置36は、点滅光源の点滅周期が予め閾値記憶手段31に記憶されている閾値以上であれば本来の点滅であり、点滅光源の点滅周期が閾値未満であれば、本来の点滅ではないと判断する。閾値としては、100ms程度が考えられる。ただし、閾値は出荷時に固定しておくのではなく、ユーザや保守者が閾値を調整できるように設けてもよい。
点滅光源の点滅周期が閾値未満である場合は、本来的には点滅ではなく点灯として記憶されるべきものである。したがって、画像処理装置36は、点滅光源が点灯している画像データのみを抽出して記憶手段38に記憶する。
【0030】
なお、点滅光源の点滅周期が閾値以上である場合には、本来的な点滅であるから、画像処理装置36は、点滅状態であることがわかるように記憶手段に画像データを記憶する。
具体的に画像処理装置36は、所定の抽出タイミングによって画像データを抽出し、抽出した画像データを連続して記憶手段38に記憶させる。
【0031】
なお、光源の点滅が、本来の点滅ではないとして検出された場合、点灯している画像データを抽出する場合の例について図5に基づいて説明する。
図5に示すように、光源が明暗を繰り返して点滅しており、画像処理装置36が点灯時の画像データを記憶させようとする場合において、消灯時との境界付近の画像データを記憶させようとすると、タイミングのずれなどにより、誤って消灯時の画像データを抽出して記憶させてしまうおそれも考えられる。
そこで、画像処理装置36の画像データ抽出手段46は、検出された点滅画像の点滅周期における点灯時の中間点の画像データを抽出するようにするとよい。具体的には、点滅周期測定手段42が点滅周期に合わせてパルス信号を出力するようにし、画像データ抽出手段46はパルス信号の立ち上がりから立ち下がり(立ち下がりから立ち上がりの場合もある)までの中間点で画像データを抽出するようにする。
【0032】
なお、上述したように撮像手段32は、所定のフレームレートよりも高いフレームレートで撮像するが、このフレームレートが一定のタイミングであると、このタイミングが点滅光源の点灯もしくは消灯のいずれかのタイミングに一致してしまう可能性もある。特に電光表示装置のダイナミック点灯などの場合にはその可能性が考えられる。かかる場合、実際には点滅しているのにもかかわらず、点灯・消灯のいずれか一方しか記憶できず、正確な状況の記憶ができないと言う問題がある。
そこで、図6に示すように、ドライブレコーダ30には、撮像手段32の撮像タイミングをずらすためのタイミング制御手段48を設けるようにする。
【0033】
タイミング制御手段48は、撮像手段32に接続されて撮像手段に制御信号を出力することにより、撮像手段32の撮像のタイミングを制御する。タイミング制御手段48は、乱数発生手段50を有しており、一定期間おきに乱数発生手段50の発生する乱数に基づいて撮像タイミングを遅延させるかまたは早めさせるように制御信号を出力する。
これにより、撮像手段32の撮像タイミングが一定のタイミングではなく、ランダムなタイミングとなり、点滅光源の点滅周期と撮像タイミングとが同期してしまうことを防止できる。
【0034】
(第2の実施形態)
次に、点滅光源を検出するのではなく、信号機を検出する実施形態について説明する。なお、上述した実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する場合もある。
まず、図7に基づいて本実施形態におけるドライブレコーダの概略構成について説明する。
本実施形態のドライブレコーダ60は、予め信号の形状をパターンとして記憶している信号機形状記憶手段54が設けられている。信号機形状記憶手段54としては、画像処理装置36内のメモリであってもよいし、画像処理装置36とは別個に設けられたメモリやハードディスク等の記憶手段であってもよい。
【0035】
ドライブレコーダ60の画像処理装置36は、撮像された画像データの中から信号機を検出する信号機検出手段52を有している。
図8に示すように、信号機検出手段52は、信号機形状記憶手段54に記憶されている信号機の形状に基づいて、撮像された画像データの中から信号機を検出する。
このとき、図9に示すように、信号機検出手段52が信号機形状記憶手段54に記憶されている信号機の形状に基づいて、複数の信号機を検出する可能性もある。かかる場合には、点滅周期測定手段42は大きいパターンの信号機(すなわち、車両に近い位置にある信号機)について、優先して点滅周期を測定するようにするとよい。
【0036】
また、信号機形状記憶手段54には、横型、縦型、一灯点滅型、予告灯など種々の形状の信号機形状を記憶させておく必要がある。
さらに、信号機形状記憶手段54には、信号機が発する光の波長についても補助情報として記憶させておき、信号機検出手段52がこの補助情報に基づいて信号機の検出をより正確にできるようにしてもよい。
【0037】
なお、信号機の点滅周期の測定動作については、図2〜図4に基づいて説明した上記実施形態と同様に行うことができる。
したがって、画像処理装置36の点滅周期測定手段42は、信号機を含む画像データを重ね合わせてOR処理、XOR処理をすることにより点滅周期を測定できる。
【0038】
本実施形態における画像処理装置36は、比較手段44によって、検出された信号機が本来の点滅または単なる点灯・消灯の繰り返しか、脈流などによる本来の点滅ではないものかを判別する。
そこで、画像処理装置36は、信号機の点滅周期が予め閾値記憶手段31に記憶されている閾値以上であれば本来の点滅であり、信号機の点滅周期が閾値未満であれば、本来の点滅ではないと判断する。閾値としては、100ms程度が考えられる。
信号機の点滅周期が閾値未満である場合は、本来的には点滅ではなく点灯として記憶されるべきものである。したがって、画像処理装置36は、信号機が点灯している画像データのみを抽出して記憶手段38に記憶する。
【0039】
なお、信号機の点滅周期が閾値以上である場合には、本来的な点滅または点灯・消灯の繰り返しであるから、画像処理装置36は、点滅状態であるか、点灯状態もしくは消灯状態であるかがわかるように記憶手段38に画像データを記憶する。
かかる場合、画像処理装置36は、所定の抽出タイミングによって画像データを抽出し、抽出した画像データを連続して記憶手段38に記憶させる。
【0040】
信号機の点滅が、本来の点滅ではないとして検出された場合、点灯している画像データを抽出する場合の例については、上述した図5と同じ操作を行うことができる。
すなわち、画像処理装置36の画像データ抽出手段46は、検出された信号機の点滅周期における点灯時の中間点の画像データを抽出するようにする。具体的には、点滅周期測定手段42が点滅周期に合わせてパルス信号を出力するようにし、画像データ抽出手段46はパルス信号の立ち上がりから立ち下がり(立ち下がりから立ち上がりの場合もある)までの中間点で画像データを抽出する。
【0041】
なお、上述してきた各実施形態では、衝撃検出手段34の衝撃検出のタイミングと記憶手段38への記憶タイミングについては特に言及していないが、画像処理装置36は、点滅光源または信号機の検出、点滅周期測定、点滅周期の閾値との比較、画像データの抽出動作を常時実行して画像処理装置36内のメモリに一時的に記憶させておき、一定時間経過したときにこのメモリ内のデータを更新するようにする。そして、実際に事故が起き、衝撃検出手段34が衝撃を検出してから画像処理装置36内のメモリから記憶手段38へ記憶させるように動作してもよい。
【0042】
以上本発明につき好適な実施例を挙げて種々説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明のドライブレコーダの概略構成を説明するブロック図である。
【図2】画像データの重ね合わせについて説明する説明図である。
【図3】重ね合わせる画像データをさらに増やした場合の説明図である。
【図4】OR処理して得られた画像データを、さらに複数重ね合わせる場合の説明図である。
【図5】点灯時の中間点を抽出タイミングとして例について示す説明図である。
【図6】撮像タイミングを不定期にした例について示す説明図である。
【図7】ドライブレコーダの第2の実施形態の概略構成について説明するブロック図である。
【図8】信号機を検出するところについて説明する説明図である。
【図9】信号機を複数検出した場合について示す説明図である。
【符号の説明】
【0044】
30 ドライブレコーダ
31 閾値記憶手段
32 撮像手段
34 衝撃検出手段
36 画像処理装置
38 記憶手段
40 点滅光源検出手段
42 点滅周期測定手段
44 比較手段
46 画像データ抽出手段
48 タイミング制御手段
50 乱数発生手段
52 信号機検出手段
54 信号機形状記憶手段
60 ドライブレコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段と、撮像手段によって撮像された画像データを記憶する記憶手段とを具備するドライブレコーダにおいて、
撮像手段は、撮像のフレームレートが50fpsよりも大きくなるように設定され、
撮像された複数の画像データの中から点滅している光源を検出し、検出された点滅光源の点滅周期を測定し、測定された点滅周期と予め設定された点滅周期の閾値とを比較し、点滅光源の点滅周期が閾値よりも短いことを検出した場合には、撮像された画像データの中から点滅光源が点灯している画像を抽出して記憶手段に記憶させ、点滅光源の点滅周期が閾値以上であることを検出した場合には、撮像された画像データを所定の抽出タイミングで抽出して記憶手段に記憶させる画像処理手段を具備することを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項2】
前記画像処理手段は、
点滅光源の点滅周期が閾値よりも短いことを検出した場合には、点灯開始時と点灯終了時の中間点における画像データを抽出して記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項1記載のドライブレコーダ。
【請求項3】
前記画像処理手段は、
時間的に前の画像データを拡大させるとともに時間的に後の画像データを縮小させ、連続する画像データ同士を重ね合わせて比較することにより点滅光源を検出することを特徴とする請求項1または請求項2記載のドライブレコーダ。
【請求項4】
前記撮像手段におけるフレームレートのタイミングを不定期となるように制御するタイミング制御手段を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項記載のドライブレコーダ。
【請求項5】
撮像手段と、撮像手段によって撮像された画像データを記憶する記憶手段とを具備するドライブレコーダにおいて、
撮像手段は、撮像のフレームレートが50fpsよりも大きくなるように設定され、
信号機の形状を予め記憶してある信号機形状記憶手段が設けられ、
撮像された画像データと予め記憶されている信号機形状とを比較して信号機を検出し、検出された信号機の輝度の変化に基づいて信号機の点滅周期を測定し、測定された点滅周期と予め設定された点滅周期の閾値とを比較し、信号機の点滅周期が閾値よりも短いことを検出した場合には、撮像された画像データの中から信号機が点灯している画像を抽出して記憶手段に記憶させ、信号機の点滅周期が閾値以上であることを検出した場合には、撮像された画像データを所定の抽出タイミングで抽出して記憶手段に記憶させる画像処理手段を具備することを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項6】
前記画像処理手段は、
信号機の点滅周期が閾値よりも短いことを検出した場合には、点灯開始時と点灯終了時との中間点における画像データを抽出して記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項5記載のドライブレコーダ。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−211442(P2008−211442A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−45227(P2007−45227)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000106944)シナノケンシ株式会社 (316)
【Fターム(参考)】