説明

ドラムブレーキ

【課題】プレス加工によって拡開機構の一対の板状部材が成形され且つ結合されることのできるドラムブレーキを提供する。
【解決手段】(a) レバー部材54は、プレス加工によって成形された一対の板状部材66,68が重ね合わされた状態で構成されたものであり、(b) 板状部材66からプレス加工によって局所的に突出させられた複数の結合突起66bが板状部材68に貫通して形成された結合穴68bに嵌め入れられた状態で先端部66dがかしめ変形させられることにより、板状部材66および板状部材68が相互に結合されるため、拡開機構28のレバー部材54を構成する一対の板状部材66,68は、プレス加工によって成形され、結合突起66bが結合穴68bに嵌め入れられた状態でその先端部66dがプレス加工によってかしめ変形させられ結合されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラムブレーキに関し、特にドラムブレーキの製造コストを安価にするものである。
【背景技術】
【0002】
ドラムブレーキの一種に、たとえば特許文献1、2に示すような、(a) バッキングプレート上に拡開可能に支持され且つリターンスプリングによって一端部が互いに接近する方向に付勢された円弧状を成す一対のブレーキシューと、(b) 本体部材とその本体部材の一端部に回動可能に支持されたレバー部材とを有し、そのレバー部材の一端部と本体部材とがその一対のブレーキシューの一端部間に内接させられた拡開機構と、(c) そのバッキングプレートの裏面からそのバッキングプレートに設けられた挿通孔を通りそのレバー部材の他端部に先端部を掛止するブレーキケーブルとが備えられ、(d) そのブレーキケーブルによりそのレバー部材の他端部がそのバッキングプレート側へ回動させられることによってその拡開機構がその一対のブレーキシューの一端部間を拡大するものがある。
【0003】
上記のような型式のドラムブレーキおいて、上記レバー部材は、プレス加工によって成形された一対の板状部材が重ね合わされた状態で構成されたものであり、一般的にその一対の板状部材の一方および他方は、プロジェクション溶接やスポット溶接等の溶接加工によって相互に結合されるものである。
【特許文献1】特開2006−322563号公報
【特許文献2】特開2001−173692号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなレバー部材の製造方法では、上記一対の板状部材をプレス加工によって成形した後に、その一対の板状部材を結合するために溶接加工が必要となるため、その溶接加工を行うための設備を追加する手間や費用がかかり、上記ドラムブレーキの製造コストを安価にすることが困難になるという問題があった。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的とするところは、プレス加工によって拡開機構の一対の板状部材が成形され且つ結合されることのできるドラムブレーキを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するための請求項1に係る発明の要旨とするところは、(a) バッキングプレート上に拡開可能に支持され且つリターンスプリングによって一端部が互いに接近する方向に付勢された円弧状を成す一対のブレーキシューと、(b) 本体部材とその本体部材の一端部に回動可能に支持されたレバー部材とを有し、そのレバー部材の一端部と本体部材とがその一対のブレーキシューの一端部間に内接させられた拡開機構と、(c) そのバッキングプレートの裏面からそのバッキングプレートに設けられた挿通孔を通りそのレバー部材の他端部に先端部を掛止するブレーキケーブルとを備え、(d) そのブレーキケーブルによりそのレバー部材の他端部がそのバッキングプレート側へ回動させられることによってその拡開機構がその一対のブレーキシューの一端部間を拡大するドラムブレーキであって、(e) 前記レバー部材は、プレス加工によって成形された一対の板状部材が重ね合わされた状態で構成されたものであり、(f) 前記一対の板状部材の一方からプレス加工によって局所的に突出させられた複数の結合突起が他方に貫通して形成された結合穴に嵌め入れられた状態で先端部がかしめ変形させられることにより、その一対の板状部材の一方および他方が相互に結合されていることにある。
【0007】
また、請求項2に係る発明の要旨とするところは、請求項1に係る発明において、(a) 前記本体部材は、前記バッキングプレートに垂直な板状を成して前記レバー部材の両側に隔てられ且つ互いの端部において重なり合う一対の側壁部と、その一対の側壁部の前記バッキングプレートから離れた側の端縁を相互に連結する連結部とを備え、(b) 前記一対の側壁部の一方の端部からプレス加工によって局所的に突き出された結合突起がその一対の側壁部の他方に貫通して形成された結合穴に嵌め入れられた状態で先端部がかしめ変形させられることにより、前記一対の側壁部の端部が相互に結合されていることにある。
【0008】
また、請求項3に係る発明の要旨とするところは、請求項2に係る発明において、(a) 前記一対の側壁部の一端部には、その一対の側壁部の厚み方向に貫通する穴部がそれぞれ備えられ、(b) 前記一対の板状部材には、プレス加工によりその一端部から互いに背反する方向に突き出された円柱状の一対の回動軸部が備えられるものであって、(c) 前記レバー部材は、前記一対の回動軸部が前記穴部にそれぞれ挿通されることによって、前記本体部材の一端部に回動可能に支持されるものである。
【0009】
また、請求項4に係る発明の要旨とするところは、請求項2に係る発明において、(a) 前記一対の板状部材の一端部には、その一対の板状部材の厚み方向に貫通する穴部がそれぞれ備えられ、(b) 前記一対の側壁部の一端部には、プレス加工によりその一端部からそれぞれの先端部が接近するように突き出された円柱状の一対の回動軸部が備えられるものであって、(c) 前記レバー部材は、前記一対の回動軸部が前記穴部にそれぞれ挿通されることによって、前記本体部材の一端部に回動可能に支持されていることにある。
【0010】
また、請求項5に係る発明の要旨とするところは、請求項1乃至4のいずれか1に係る発明において、(a) 前記拡開機構は、前記レバー部材に跨設するためにその中央部の両側から前記バッキングプレート側に延長され、その先端部に貫通穴が設けられた一対の取付部と、前記挿通孔に挿通させられた前記ブレーキケーブルの先端部を前記レバー部材の他端部に案内して掛止するために円弧状に湾曲した案内部とを有するケーブル案内部材をさらに備えるものであって、(b) 前記一対の板状部材には、前記ケーブル案内部材を前記レバー部材に取り付けるためにその一対の板状部材の中央部から前記一対の取付部の貫通穴を通るようにプレス加工により突き出された係合突起が備えられていることにある。
【0011】
また、請求項6に係る発明の要旨とするところは、請求項1乃至5のいずれか1に係る発明において、(a) 前記結合穴は、前記結合突起の基端部に向かうほど小径となるテーパ状部を備え、(b) その結合突起の先端部は、そのテーパ状部において前記かしめ変形により拡径されていることにある。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明のドラムブレーキよれば、(e) 前記レバー部材は、プレス加工によって成形された一対の板状部材が重ね合わされた状態で構成されたものであり、(f) 前記一対の板状部材の一方からプレス加工によって局所的に突出させられた複数の結合突起が他方に貫通して形成された結合穴に嵌め入れられた状態で先端部がかしめ変形させられることにより、その一対の板状部材の一方および他方が相互に結合されるため、前記拡開機構のレバー部材を構成する一対の板状部材は、プレス加工によって成形され、前記結合突起が前記結合穴に嵌め入れられた状態でその先端部がプレス加工によってかしめ変形させられ結合されることができる。
【0013】
請求項2に係る発明のドラムブレーキよれば、(a) 前記本体部材は、前記バッキングプレートに垂直な板状を成して前記レバー部材の両側に隔てられ且つ互いの端部において重なり合う一対の側壁部と、その一対の側壁部の前記バッキングプレートから離れた側の端縁を相互に連結する連結部とを備え、(b) 前記一対の側壁部の一方の端部からプレス加工によって局部的に突き出された結合突起がその一対の側壁部の他方に貫通して形成された結合穴に嵌め入れられた状態で先端部がかしめ変形させられることにより、前記一対の側壁部の端部が相互に結合されるため、前記一対の側壁部の端部の一方に備えられた結合突起は、その先端部がプレス加工によってかしめ変形させられることにより前記一対の側壁部の端部を結合するので、従来一対の側壁部の端部を溶接加工によって結合していたものに比べ前記本体部材すなわちドラムブレーキの製造コストを安価にすることができる。
【0014】
また、請求項3に係る発明のドラムブレーキによれば、(a) 前記一対の側壁部の一端部には、その一対の側壁部の厚み方向に貫通する穴部がそれぞれ備えられ、(b) 前記一対の板状部材には、プレス加工によりその一端部から互いに背反する方向に突き出された円柱状の一対の回動軸部が備えられるものであって、(c) 前記レバー部材は、前記一対の回動軸部が前記穴部にそれぞれ挿通されることによって、前記本体部材の一端部に回動可能に支持されるものであるため、前記一対の板状部材に備えられた前記一対の回転軸部は、プレス加工によって前記一対の板状部材の一端部から互いに背反する方向に一体的に突き出されたものであるので、従来レバー部材が本体部材の一端部に回動可能に支持されるために必要とされた部品を減らすことができ、好適にドラムブレーキの製造コストを安価にすることができる。
【0015】
また、請求項4に係る発明のドラムブレーキよれば、(a) 前記一対の板状部材の一端部には、該一対の板状部材の厚み方向に貫通する穴部がそれぞれ備えられ、(b) 前記一対の側壁部の一端部には、プレス加工によりその一端部からそれぞれの先端部が接近するように突き出された円柱状の一対の回動軸部が備えられるものであって、(c) 前記レバー部材は、前記一対の回動軸部が前記穴部にそれぞれ挿通されることによって、前記本体部材の一端部に回動可能に支持されるものであるため、前記一対の側壁部に備えられた前記一対の回転軸部は、プレス加工によって前記一対の側壁部の一端部からそれぞれの先端部が接近するように一体的に突き出されたものであるので、従来レバー部材が本体部材の一端部に回動可能に支持されるために必要とされた部品を減らすことができ、好適にドラムブレーキの製造コストを安価にすることができる。
【0016】
また、請求項5に係る発明のドラムブレーキによれば、(a) 前記拡開機構は、前記レバー部材に跨設するためにその中央部の両側から前記バッキングプレート側に延長され、その先端部に貫通穴が設けられた一対の取付部と、前記挿通孔に挿通させられた前記ブレーキケーブルの先端部を前記レバー部材の他端部に案内して掛止するために円弧状に湾曲した案内部とを有するケーブル案内部材をさらに備えるものであって、(b) 前記一対の板状部材には、前記ケーブル案内部材を前記レバー部材に取り付けるためにその一対の板状部材の中央部から前記一対の取付部の貫通穴を通るようにプレス加工により突き出された係合突起が備えられているため、前記一対の板状部材に備えられた前記係合突起は、プレス加工によって一対の板状部材の中央部から前記貫通穴を通るように一体的に突き出されたものであるので、従来ケーブル案内部材を前記レバー部材に取り付けるために必要とされた部品を減らすことができ、ドラムブレーキの製造コストを安価にすることができる。
【0017】
また、請求項6に係る発明のドラムブレーキによれば、(a) 前記結合穴は、前記結合突起の基端部に向かうほど小径となるテーパ状部を備え、(b) その結合突起の先端部は、そのテーパ状部において前記かしめ変形により拡径されるため、前記結合突起の先端部は、プレス加工によって前記結合穴内でかしめ変形されるので、その結合突起の先端部が前記結合穴を介して反対側へ突き出ることがなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において、図は簡略化されており、それら各部の寸法等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の一実施例のパーキングブレーキ用ドラムブレーキ(以下、ドラムブレーキという)10が中央部に備えられたデュオサーボ型のドラムインディスクブレーキ12のハット型ディスクおよびキャリパ等を取り外した正面図である。上記ハット型ディスクは、図に示されていない円板状外周部と有底円筒状中央部とによって構成され、その円板状外周部はディスクブレーキの摩擦板として機能し、有底円筒状中央部はブレーキドラム14として機能している。また、ブレーキドラム14は、図1の1点鎖線で示す2つの同心円で表されており、その2つの円のうちのドラムブレーキ10の中心側の円はブレーキドラム14の内周面16を示している。
【0020】
ドラムブレーキ10には、略円板形状を成し、たとえば図示しない車軸管、アクスルハウジング、サスペンション装置などの車体側部材すなわち非回転部材に一体的に固設されたバッキングプレート18が備えられている。このバッキングプレート18の外周部には、上記ハット型ディスクの円板状外周部を保護するためのディスクカバー20が固定されている。
【0021】
また、ドラムブレーキ10には、バッキングプレート18の外周部に凸側が外側になる姿勢で互いに接近離間可能に略対称的に配設された円弧形状の一対のブレーキシュー22,24と、その一対のブレーキシュー22,24の一端部すなわち図1の上端部の間においてバッキングプレート18上に固設されたアンカー部材26と、その一対のブレーキシュー22,24の一端部の間において位置固定に設けられた拡開機構28と、それら一端部を互いに接近する方向に常時付勢して拡開機構28を当接するためのコイル状のリターンスプリング30と、一対のブレーキシュー22,24の他端部すなわち図1の下端部の間に介在させられてアジャストホイール32aの回転に伴って全長が変化させられることによりシュー間隙を調節する間隙調節装置32と、それら下端部間に張設されてそれら下端部を互いに接近する方向に常時付勢して間隙調節装置32を長手方向に挟圧するための中間部分がコイル状のスプリング34とが備えられている。
【0022】
スプリング34の中間部分は間隙調節装置32のアジャストホイール32aに接触されており、アジャストホイール32aが振動等によって回転しないようになっている。それら間隙調節装置32およびスプリング34は、一対のブレーキシュー22,24の他端部間を相対回転可能に連結するものであるので、間隙調節機能を備えた連結装置として機能している。
【0023】
一対のブレーキシュー22,24は、何れも、バッキングプレート18の板面と略平行な平板状を成し且つ図1に示す正面図において全体が円弧形状に湾曲したシューウェブ36,38と、それらの円弧形状を成す外周側端縁に沿って断面が略T字状を成すように一体的に固設された帯板状のシューリム40,42と、それらシューリム40,42の外周面に接着剤などで一体的に固着された摩擦材から成るライニング44,46とを備えてそれぞれ構成されている。また、一対のブレーキシュー22,24は、シューウェブ36およびシューウェブ38の中央部にそれぞれ配設されたシューホールドダウン装置48,50によってバッキングプレート18側へ押圧されることによりそのバッキングプレート18に対して面方向の相対移動可能に保持されている。バッキングプレート18、シューウェブ36,38、シューリム40,42は、いずれも鋼板から打ち抜かれかつ所定の曲げ成形が施されたプレス部品である。
【0024】
図2に示すように、拡開機構28は、本体部材52と、その本体部材52の一端部に回動可能に支持されたレバー部材54と、そのレバー部材54に取り付けられたケーブル案内部材56とによって構成されており、一対のブレーキシュー22,24の一端部間にそのレバー部材54の一端部と本体部材52とが内接させられている。また、拡開機構28は、レバー部材54の他端部に掛止されたパーキングブレーキケーブル(ブレーキケーブル)58が引っ張られることによって、レバー部材54の他端部がバッキングプレート18側に回動し一対のブレーキシュー22,24の一端部間が拡大するものである。
【0025】
また、図2に示すように、一対のブレーキシュー22,24の一端部間におけるバッキングプレート18の表面18aには、複数本(本実施例では2本)のボルト60によってアンカーブロック62がバッキングプレート18と共に図示されていないアクスルハウジングやサスペンション装置などの車体側部材に一体的に固定されており、拡開機構28は、それらボルト60の頭部60a上に当接することによって支持されている。また、アンカーブロック62およびバッキングプレート18にはパーキングブレーキケーブル58を挿通させるための挿通孔62a,18bが設けられ、これら挿通孔62a,18bにはパーキングブレーキケーブル58を内周側に収容するガイドパイプ64が挿通されかしめ着けられている。
【0026】
図3、4に示すように、レバー部材54は、プレス加工によって所定形状に打ち抜かれた2枚の金属板の端部同士がプレス加工によってパーキングブレーキケーブル58が通る程度の寸法だけ離間するように曲げられた一対の板状部材66,68によって構成されている。ここでいう2枚の金属板の端部とは、一対の板状部材66,68の他端部である。また、レバー部材54の他端部すなわち一対の板状部材66,68の他端部には、パーキングブレーキケーブル58の先端部に固定されたその一対の板状部材66,68の他端部の2枚の金属板の間隔より大きい直径を有した円柱状の掛止部58aが備えられており、パーキングブレーキケーブル58が引っ張られるとその力は上記掛止部58aを介してレバー部材54の他端部に伝えられる。また、レバー部材54の一端部すなわち一対の板状部材66,68の一端部には、ブレーキシュー24のシューウェブ38に係合する係合凹部66a,68aが備えられている。
【0027】
図3、5に示すように、一対の板状部材66,68には、その一方である板状部材66がプレス加工による穴抜きを途中で止めた状態にして凸形状を作るハーフブランキングによって、その板状部材66から突き出された略円柱形状のダボすなわち結合突起66bと、その他方である板状部材68がプレス加工による穴あけによって、その板状部材68の厚み方向に貫通された結合穴68bとが複数(本実施例では6個)備えられており、それぞれの結合突起66bはそれぞれの結合穴68bに嵌め入れられている。
【0028】
結合穴68bには、プレス加工により略円柱形状に穴あけされ、その後テーパ形状のパンチによってプレスされることにより図5に示すような結合突起66bの基端部66cに向かうほど小径になるテーパ状部68cが備えられており、結合突起66bが結合穴68bに嵌め入れられた状態で結合突起66bの先端部66dがプレス加工によってかしめられると、その先端部66dはテーパ状部68cにおいて結合穴68dの板状部材66側の径より大きく塑性変形(かしめ変形)させられる。それにより、一対の板状部材66,68は、結合突起66bの先端部66dおよび結合穴68bのテーパ状部68cによって結合される。図5の一点鎖線は、結合突起66bの先端部66dがプレス加工によってかしめられる前の状態を示すものである。
【0029】
そのため、拡開機構28のレバー部材54を構成する一対の板状部材66,68は、プレス加工によって成形され、結合突起66bが結合穴68bに嵌め入れられた状態でプレス加工によってかしめられて結合されるため、従来レバー部材の製造において一対の板状部材を結合する際に必要とされた溶接加工を省くことができ、その溶接加工を行うための設備を追加する手間や費用を省くことができる。また、結合突起66bおよび結合穴68bは、一対の板状部材66,68にプレス加工によって一体的に成形されたものであるので、レバー部材54の部品点数の増加を抑制することができる。また、結合突起66bの先端部66dは、結合穴68b内のテーパ状部68cでかしめられて拡径するので、結合突起66bの先端部66dが結合穴68bを介して反対側へ突き出ない。
【0030】
本体部材52は、図2、6に示すようにバッキングブレート18に垂直な板状を成してレバー部材54の両側に隔てられ且つ互いの他端部において重なり合う一対の側壁部52a,52bと、その一対の側壁部52a,52bのバッキングプレート18から離れた側の端縁を相互に連結する連結部52cとを有するように、一枚の金属板をプレス加工によって所定形状打ち抜き、その打ち抜かれた金属板をプレス加工による曲げによって成形したものである。
【0031】
また、本体部材52の一対の側壁部52a,52bの他端部には、図2、7に示すように、前記ハーフブランキングによって側壁部52bの他端部から突き出された略円柱形状のダボすなわち結合突起52dと、側壁部52aの他端部がプレス加工による穴あけによってその側壁部52aの厚み方向に貫通された結合穴52eとが複数(本実施例では2個)備えられており、それら結合穴52eには、結合突起52dがそれぞれ嵌め入れられている。また、一対の側壁部52a,52bの他端部には、ブレーキシュー22のシューウェブ36と係合する係合凹部52fが備えられている。
【0032】
結合穴52eには、プレス加工により略円柱形状に穴あけされ、その後テーパ形状のパンチによってプレスされることにより図7に示すような結合突起52dの基端部52gに向かうほど小径となるテーパ状部52hが備えられており、結合突起52dが結合穴52eに嵌め入れられた状態で結合突起52dの先端部52iがプレス加工によってかしめられるとその先端部52iはテーパ状部52hにおいて結合穴52eの側壁部52b側の径より大きく塑性変形(かしめ変形)させられる。それにより、結合突起52dの先端部52iは側壁部52aの結合穴52eからの取り出しが不能となり、一対の側壁部52a,52bは結合突起52dの先端部52iおよび結合穴52eのテーパ状部52hによって結合される。図7の一点鎖線は、結合突起52dの先端部52iがプレス加工によってかしめられる前の状態を示すものである。
【0033】
これにより、本体部材52は、プレス加工によって成形され、結合突起52dが結合穴52eに嵌め入れられた状態でプレス加工によってかしめられて一対の側壁部52a,52bの他端部が結合されるため、従来本体部材の製造において一対の側壁部52a,52bの他端部を結合する際に必要とされた溶接加工を省くことができ、その溶接加工を行うための設備を追加する手間や費用を省くことができる。また、結合突起52dおよび結合穴52eは、一対の側壁部52a,52bの他端部にプレス加工によって一体的に成形させたものであるので、本体部材52の部品点数の増加を抑制することができる。また、結合突起52dの先端部52iは、結合穴52e内のテーパ状部52hでかしめられて拡径するので、結合突起52dの先端部52iが結合穴52eを介して反対側へ突き出ない。
【0034】
ケーブル案内部材56は、図2、6に示すように、レバー部材54に跨設するようにその中央部の両側からバッキングプレート18側に延長され、その先端部に貫通する貫通穴56aが設けられた一対の取付部56bと挿通穴18b,62aに挿通されたパーキングブレーキケーブル58の掛止部58aをレバー部材54の他端部に案内して掛止するために円弧状に湾曲した案内部56cを有するように一枚の金属板から一体的にプレス成形されたものである。そして、一対の板状部材66,68には、ケーブル案内部材56をレバー部材54に取り付けるためにその一対の板状部材66,68の中央部から一対の取付部56bの貫通穴56aを通るようにプレス加工による絞りにより略円柱状に突き出された係合突起66c,68cが備えられている。これにより、従来レバー部材の中央部に穴をあけたその穴と貫通穴56aとにピンを差し込むことによってケーブル案内部材をレバー部材に取り付けていた拡開機構に比べ拡開機構28はそのピンを省くことができる。
【0035】
図8に示すように、拡開機構28の一端部には、一対の側壁部52a,52bの一端部がプレス加工による穴あけよってその一対の側壁部52a,52bの厚み方向に略円柱状に貫通された穴部52j,52kと、一対の板状部材66,68の一端部がプレス加工による絞りによってそれぞれ互いに背反する方向に突き出された上記穴部52i,52jより僅かに小さい略円柱形状の一対の回転軸部66d,68dとが備えられており、一対の回転軸部66d,68dが穴部52j,52kにそれぞれ挿通されることによってレバー部材54は、本体部材52の一端部に回動可能に支持されるものである。そのため、従来レバー部材の一端部に穴をあけたその穴と穴部52j,52kとに略円柱形状のピンを差し込み、そのピンがその穴と穴部52i,52jとから外れないように防止するストッパーをピンの外周に嵌め込むことによって、レバー部材を本体部材の一端部に回動可能に支持してきた拡開機構に比べ拡開機構28はそのピンおよびストッパーを省くことができる。
【0036】
以上のように構成されたドラムブレーキ10は、パーキングブレーキペダル、パーキングブレーキレバー等の図示されていないブレーキ操作装置が操作されることによって発生するブレーキ操作力によって、パーキングブレーキケーブル58が引っ張られると掛止部58aを介してレバー部材54の他端部が挿通孔62a,18b側に回動させられるので、拡開機構28の係合凹部52fと係合凹部66a,68aとの間隔が拡大する。これにより、一対のブレーキシュー22、24の一端部が拡大され、一対のブレーキシュー22,24のライニング44,46とブレーキドラム14の内周面16とが当接させられる。
【0037】
上記ブレーキ操作装置の操作時に、車輪が回転すなわちブレーキドラム14が回転しようとするとブレーキドラム14の内周面16と当接しているブレーキシュー22および24は、ブレーキドラム14のその回転方向に連れ回されるので、一対のブレーキシュー22,24のどちらか一方がアンカー部材26に受け止められ、ブレーキシュー22および24のライニング44および46がブレーキドラム14の内周面16に強く押し付けられるので、ブレーキドラム14の回転すなわち車輪の回転が制動される。
【0038】
そして、ブレーキ操作力が解除されると一対のブレーキシュー22,24の一端部間はリターンスプリング30の付勢力によって接近し、ブレーキドラム14の内周面16と一対のブレーキシュー22,24のライニング44,46とが離間させられドラムブレーキ10の制動力は解除される。
【0039】
本実施例のドラムブレーキ10によれば、(a) レバー部材54は、プレス加工によって成形された一対の板状部材66,68が重ね合わされた状態で構成されたものであり、(b) 板状部材66からプレス加工によって局所的に突出させられた複数の結合突起66bが板状部材68に貫通して形成された結合穴68bに嵌め入れられた状態で先端部66dがかしめ変形させられることにより、板状部材66および板状部材68が相互に結合されるため、拡開機構28のレバー部材54を構成する一対の板状部材66,68は、プレス加工によって成形され、結合突起66bが結合穴68bに嵌め入れられた状態でその先端部66dがプレス加工によってかしめ変形させられ結合されることができる。
【0040】
また、本実施例のドラムブレーキ10によれば、(a) 本体部材52は、バッキングプレート18に垂直な板状を成してレバー部材54の両側に隔てられ且つ互いの他端部において重なり合う一対の側壁部52a,52bと、その一対の側壁部52a,52bのバッキングプレート18から離れた側の端縁を相互に連結する連結部52cとを備え、(b) 側壁部52bの他端部からプレス加工によって局部的に突き出された結合突起52dが側壁部52aに貫通して形成された結合穴52eに嵌め入れられた状態で先端部52iがかしめ変形させられることにより、一対の側壁部52a,52bの他端部が相互に結合されるため、側壁部52bの他端部に備えられた結合突起52dは、その先端部52iがプレス加工によってかしめ変形させられることにより一対の側壁部52a,52bの他端部を結合するので、従来一対の側壁部の他端部を溶接加工によって結合していたものに比べ本体部材52すなわちドラムブレーキ10の製造コストを安価にすることができる。
【0041】
また、本実施例のドラムブレーキ10によれば、(a) 一対の側壁部52a,52bの一端部には、その一対の側壁部52a,52bの厚み方向に貫通する穴部52j,52kがそれぞれ備えられ、(b) 一対の板状部材52a,52bには、プレス加工によりその一端部から互いに背反する方向に突き出された略円柱状の一対の回動軸部66d,68dが備えられるものであって、(c) レバー部材54は、一対の回動軸部66d,68dが穴部52j,52kにそれぞれ挿通されることによって、本体部材52の一端部に回動可能に支持されるものであるため、一対の板状部材66,68に備えられた一対の回転軸部66d,68dは、プレス加工によって一対の板状部材66,68の一端部から互いに背反する方向に一体的に突き出されたものであるので、従来レバー部材が本体部材の一端部に回動可能に支持されるために必要とされた部品を減らすことができ、好適にドラムブレーキ10の製造コストを安価にすることができる。
【0042】
また、本実施例のドラムブレーキ10によれば、(a) 拡開機構28は、レバー部材54に跨設するためにその中央部の両側からバッキングプレート18側に延長され、その先端部に貫通穴56aが設けられた一対の取付部56bと、挿通孔18b,62aに挿通させられたパーキングブレーキケーブル58の掛止部58aをレバー部材54の他端部に案内して掛止するために円弧状に湾曲した案内部56cとを有するケーブル案内部材56をさらに備えるものであって、(b) 一対の板状部材66,68には、ケーブル案内部材56をレバー部材54に取り付けるためにその一対の板状部材66,68の中央部から一対の取付部56bの貫通穴56aを通るようにプレス加工により突き出された係合突起66c,68cが備えられているため、一対の板状部材66,68に備えられた係合突起66c,68cは、プレス加工によって一対の板状部材66,68の中央部から貫通穴56aを通るように一体的に突き出されたものであるので、従来ケーブル案内部材をレバー部材に取り付けるために必要とされた部品を減らすことができ、ドラムブレーキ10の製造コストを安価にすることができる。
【0043】
また、本実施例のドラムブレーキ10によれば、(a) 結合穴68bは、結合突起66bの基端部66cに向かうほど小径となるテーパ状部68cを備え、(b) その結合突起66bの先端部66dは、そのテーパ状部68cにおいてかしめ変形により拡径されるため、結合突起66bの先端部66dは、プレス加工によって結合穴68b内でかしめ変形されるので、その結合突起66bの先端部66dが結合穴68bを介して反対側へ突き出ることがなくなる。
【実施例2】
【0044】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述した実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
本実施例のドラムブレーキは、一対の回転軸部66d,68dを備えていない以外は前述の実施例の一対の板状部材66,68と同様の一対の板状部材70,72と、穴部52j,52kを備えていない以外は前述の実施例の一対の側壁部52a,52bと同様の一対の側壁部74a,74bとを備えるものであって、それ以外はドラムブレーキ10と同様であり、図9はその一対の板状部材70,72および一対の側壁部74a,74bを説明する図である。
【0046】
図9に示すように、本実施例の拡開機構の一端部には、一対の板状部材70,72の一端部がプレス加工による穴あけよってその一対の板状部材70,72の厚み方向に略円柱状に貫通された穴部70a,72aと、一対の側壁部74a,74bの一端部がプレス加工による絞りによってそれぞれの先端部74c,74dが接近するように突き出された略円柱状の一対の回動軸部74e,74fとが備えられており、一対の回転軸部74e,74fが穴部70a,72aにそれぞれ挿通されることによって一対の板状部材70,72すなわち本実施例のレバー部材は、一対の側壁部74a,74bすなわち本実施例の本体部材の一端部に回動可能に支持されるものである。そのため、従来一対の側壁部74a,74bの一端部に穴をあけたその穴と穴部70a,72aとに略円柱形状のピンを差し込み、そのピンが上記穴と穴部70a,72aとから外れないように防止するストッパーをピンの外周に嵌め込むことによって、レバー部材を本体部材の一端部に回動可能に支持してきた拡開機構に比べ本実施例の拡開機構は上記ピンおよびストッパーを省くことができるので本実施例の拡開機構の製造コストを安価にすることができる。
【0047】
本実施例のドラムブレーキによれば、(a) 一対の板状部材70,72の一端部には、その一対の板状部材70,72の厚み方向に貫通する穴部70a,72aがそれぞれ備えられ、(b) 一対の側壁部74a,74bの一端部には、プレス加工によりその一端部からそれぞれの先端部74c,74dが接近するように突き出された略円柱状の一対の回動軸部74e,74fが備えられるものであって、(c) 本実施例のレバー部材は、一対の回動軸部74e,74fが穴部70a,72aにそれぞれ挿通されることによって、本実施例の本体部材の一端部に回動可能に支持されるものであるため、一対の側壁部74a,74bに備えられた一対の回転軸部74e,74fは、プレス加工によって一対の側壁部74a,74bの一端部からそれぞれの先端部74c,74dが接近するように一体的に突き出されたものであるので、従来レバー部材が本体部材の一端部に回動可能に支持されるために必要とされた部品を減らすことができ、好適にドラムブレーキの製造コストを安価にすることができる。
【実施例3】
【0048】
本実施例のドラムブレーキは、一対の回転軸部66d,68dを備えていない以外は実施例1の一対の板状部材66,68と同様の一対の板状部材76,78を備えるものであって、それ以外はドラムブレーキ10と同様であり、図10はその一対の板状部材76,78を説明する図である。
【0049】
図10の一点鎖線に示すように、本実施例の拡開機構の一端部には、始めにプレス加工による穴あけにより下穴をあけ、その後砲弾形状のパンチによりプレスすることによりその下穴の周辺部を立ち上がらせるバーリングによって、一対の板状部材76,78の一端部から互いに背反する方向に突き出された略円筒形状の一対の回動軸部76a,78aが備えられている。そして、その一対の回転軸部76a,78aが一対の側壁部52a,52bの穴部52j,52kにそれぞれ挿通され且つ図10に示す実線のように一対の回動軸部76a,78aの先端部がプレス加工による曲げによって外周側に曲げられることによって、一対の板状部材76,78すなわち本実施例のレバー部材は、本体部材52の一端部に回動可能に支持されるものである。
【0050】
そのため、従来一対の板状部材76,78の一端部に穴をあけたその穴と穴部52j,52kとに略円柱形状のピンを差し込み且つそのピンがその穴と穴部52j,52kとから外れないように防止するストッパーを上記ピンの外周に嵌め込むことによって、レバー部材を本体部材の一端部に回動可能に支持してきた拡開機構に比べ本実施例の拡開機構は上記ピンおよびストッパーを省くことができるので本実施例の拡開機構の製造コストを安価にすることができる。
【0051】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適応される。
【0052】
たとえば、本発明のドラムブレーキ10において、結合突起66b,52dは、ハーフブランキングによって成形させたがそれ以外のプレス加工たとえば絞り等によって成形させても良い。
【0053】
また、本発明のドラムブレーキ10において、結合突起66b,52dは、結合穴68b,52e内のテーパ状部68c,52hにおいて、先端部66d,52iがかしめ変形されて、一対の板状部材66,68および一対の側壁部52a,52b他端部が結合されたが、結合突起66b,52dの先端部が結合穴68b,52eを介して板状部材68や側壁部52aから突き出た状態で先端部がかしめられて、一対の板状部材66,68および一対の側壁部52a,52b他端部が結合されても良い。その際、結合穴68b,52eには、テーパ状部68c,52hが備える必要性がないため結合穴68b,52eの形状を簡単にすることができる。
【0054】
その他一々例示はしないが、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施例のデュオサーボ型ドラムブレーキを示す正面図である。
【図2】図1の実施例のドラムブレーキに備えられた拡開機構の構成を説明するための図1のII-II視断面図である。
【図3】図2のレバー部材を単独で示す図である。
【図4】図3の矢印A方向から見た図である。
【図5】図3のV-V視断面図である。
【図6】図2のVI-VI視断面図である。
【図7】図2の矢印B方向から見た一対の側壁部の他端部の構成を説明する図である。
【図8】拡開機構の一端部の構成を説明する図2のVIII-VIII視断面図である。
【図9】本発明の他の実施例の拡開機構の一端部を説明する図であり、図8に対応するものである。
【図10】本発明の他の実施例の拡開機構の一端部を説明する図であり、図8に対応するものである。
【符号の説明】
【0056】
10:ドラムブレーキ
18:バッキングプレート
18b,62a:挿通孔
22,24:一対のブレーキシュー
28:拡開機構
30:リターンスプリング
52:本体部材
52a,52b:一対の側壁部
52c:連結部
52d:結合突起
52e:結合穴
52g:基端部
52h:テーパ状部
52i:先端部
52j,52k、70a,72a:穴部
54:レバー部材
56:ケーブル案内部材
56a:貫通穴
56b:一対の取付部
56c:案内部
58:パーキングブレーキケーブル(ブレーキケーブル)
66,68:一対の板状部材
66c,68c:係合突起
66d,68d、74e,74f、76a,78a:一対の回動軸部
66b:結合突起
66c:基端部
66d:先端部
68b:結合穴
68c:テーパ状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッキングプレート上に拡開可能に支持され且つリターンスプリングによって一端部が互いに接近する方向に付勢された円弧状を成す一対のブレーキシューと、本体部材と該本体部材の一端部に回動可能に支持されたレバー部材とを有し、該レバー部材の一端部と本体部材とが該一対のブレーキシューの一端部間に内接させられた拡開機構と、該バッキングプレートの裏面から該バッキングプレートに設けられた挿通孔を通り該レバー部材の他端部に先端部を掛止するブレーキケーブルとを備え、該ブレーキケーブルにより該レバー部材の他端部が該バッキングプレート側へ回動させられることによって該拡開機構が該一対のブレーキシューの一端部間を拡大するドラムブレーキであって、
前記レバー部材は、プレス加工によって成形された一対の板状部材が重ね合わされた状態で構成されたものであり、
前記一対の板状部材の一方からプレス加工によって局所的に突出させられた複数の結合突起が他方に貫通して形成された結合穴に嵌め入れられた状態で先端部がかしめ変形させられることにより、該一対の板状部材の一方および他方が相互に結合されていることを特徴とするドラムブレーキ。
【請求項2】
前記本体部材は、前記バッキングプレートに垂直な板状を成して前記レバー部材の両側に隔てられ且つ互いの端部において重なり合う一対の側壁部と、その一対の側壁部の前記バッキングプレートから離れた側の端縁を相互に連結する連結部とを備え、
前記一対の側壁部の一方の端部からプレス加工によって局所的に突き出された結合突起が該一対の側壁部の他方に貫通して形成された結合穴に嵌め入れられた状態で先端部がかしめ変形させられることにより、前記一対の側壁部の端部が相互に結合されているものであることを特徴とする請求項1のドラムブレーキ。
【請求項3】
前記一対の側壁部の一端部には、該一対の側壁部の厚み方向に貫通する穴部がそれぞれ備えられ、
前記一対の板状部材には、プレス加工によりその一端部から互いに背反する方向に突き出された円柱状の一対の回動軸部が備えられるものであって、
前記レバー部材は、前記一対の回動軸部が前記穴部にそれぞれ挿通されることによって、前記本体部材の一端部に回動可能に支持されるものである請求項2のドラムブレーキ。
【請求項4】
前記一対の板状部材の一端部には、該一対の板状部材の厚み方向に貫通する穴部がそれぞれ備えられ、
前記一対の側壁部の一端部には、プレス加工によりその一端部からそれぞれの先端部が接近するように突き出された円柱状の一対の回動軸部が備えられるものであって、
前記レバー部材は、前記一対の回動軸部が前記穴部にそれぞれ挿通されることによって、前記本体部材の一端部に回動可能に支持されるものである請求項2のドラムブレーキ。
【請求項5】
前記拡開機構は、前記レバー部材に跨設するためにその中央部の両側から前記バッキングプレート側に延長され、その先端部に貫通穴が設けられた一対の取付部と、前記挿通孔に挿通させられた前記ブレーキケーブルの先端部を前記レバー部材の他端部に案内して掛止するために円弧状に湾曲した案内部とを有するケーブル案内部材をさらに備えるものであって、
前記一対の板状部材には、前記ケーブル案内部材を前記レバー部材に取り付けるために該一対の板状部材の中央部から前記一対の取付部の貫通穴を通るようにプレス加工により突き出された係合突起が備えられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1のドラムブレーキ。
【請求項6】
前記結合穴は、前記結合突起の基端部に向かうほど小径となるテーパ状部を備え、
該結合突起の先端部は、該テーパ状部において前記かしめ変形により拡径されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1のドラムブレーキ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−24737(P2009−24737A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186232(P2007−186232)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(390005670)豊生ブレーキ工業株式会社 (104)
【Fターム(参考)】