説明

ドラムユニット及びこれを備えた画像形成装置

【課題】帯電ユニットに上下方向に衝撃が加わっても該帯電ユニットを確実にロックしてその脱落を防ぐことができるドラムユニットを提供すること。
【解決手段】画像形成装置本体に対して着脱可能であって、感光ドラム3と帯電ユニット4を備え、前記帯電ユニット4をドラムフレーム2内で前記感光ドラム3の長手方向に沿ってスライドさせてこれを着脱するよう構成されたドラムユニット1において、前記ドラムフレーム2の前記帯電ユニット4が挿入される挿入部2Aの内側面にバネ性を有する係合部材17を設け、該係合部材17に前記帯電ユニット4の長手方向端面を係合させることによって帯電ユニット4のスライドをロックするロック機構を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置本体に対して着脱可能なドラムユニットとこれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式によって用紙に画像を形成する複写機やプリンタ等の画像形成装置には、メンテンナスの便等を考慮して感光ドラムや帯電器等をドラムユニットとしてユニット化し、このドラムユニットを画像形成装置本体に対して着脱可能とする構成を採用したものがある。
【0003】
ところで、斯かるドラムユニットには、帯電器やこれのクリーニング装置等を帯電ユニットとしてユニット化し、この帯電ユニットをドラムユニット内で感光ドラムの長手方向に沿ってスライドさせてこれを着脱するよう構成したものがある。このようなドラムユニットにおいては、帯電ユニットのスライドをロックしてドラムユニットからの脱落を防ぐためのロック機構が設けられている。
【0004】
上記ロック機構は、帯電ユニットと感光ドラムの間隔を一定に保つために帯電ユニットに設けられたバネ部材によって、上下動可能に弾性支持されたロック部材を備えており、このロック部材の先端には、ドラムユニットに設けられたリブと係合する段差部を有する係合部材が一体に形成されている。
【0005】
而して、帯電ユニットをドラムフレームに差し込んで組み込む際、ドラムユニットに設けられたリブが、ロック部材の係合部材の先端を乗り越えて段差部と係合し、帯電ユニットの移動を規制する。
【特許文献1】特開平2005−266545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来のロック機構を備えたドラムユニットにおいては、これの着脱時に上下方向の衝撃が加わり、特に、帯電ローラを用いた帯電ユニットにおいては、帯電ローラと帯電クリーニングローラの金属シャフトの重量によってバネ部材がバネの上方への付勢力に抗して沈んでしまい、該ロック部材に形成された係合部材のドラムユニットとの係合が外れて帯電ユニットがドラムユニットから脱落する可能性があった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、帯電ユニットに上下方向に衝撃が加わっても該帯電ユニットを確実にロックしてその脱落を防ぐことができるドラムユニットとこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、画像形成装置本体に対して着脱可能であって、感光ドラムと帯電ユニットを備え、前記帯電ユニットをドラムフレーム内で前記感光ドラムの長手方向に沿ってスライドさせてこれを着脱するよう構成されたドラムユニットにおいて、前記ドラムフレームの前記帯電ユニットが挿入される挿入部の内側面にバネ性を有する係合部材を設け、該係合部材に前記帯電ユニットの長手方向端面を係合させることによって帯電ユニットのスライドをロックするロック機構を構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明において、前記係合部材をアース板金を、くの字状に曲げ成形することによって構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の画像形成装置は、請求項1又は2記載のドラムユニットを本体内に着脱可能に装填して成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ドラムフレームの帯電ユニットが挿入される挿入部の内側面に設けられた係合部材と帯電ユニットの長手方向端面とを係合させることによって帯電ユニットのスライドをロックする方式を採用したため、帯電ユニットの着脱時に上下方向の衝撃が加わっても係合部材と帯電ユニットとの係合が外れることがなく、帯電ユニットのロックが確実になされてその脱落が防がれる。
【0012】
又、帯電ユニットの着脱時に該帯電ユニットをドラムフレーム内でスライドさせる際、帯電ユニットのケースの側面にバネ性を有する係合部材が弾接して帯電ユニットのスライドをガイドするため、帯電ユニットの姿勢が一定に保たれ、該帯電ユニットの着脱をスムーズに行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1及び図2は本発明に係る画像形成装置の斜視図、図3は図2のA部拡大詳細図、図4及び図5は本発明に係るドラムユニットの斜視図、図6は帯電ユニットの斜視図、図7は同帯電ユニットのロック部材の斜視図、図8は同帯電ユニットの係合部材の斜視図、図9は帯電ユニットの着脱動作を示す部分斜視図、図10は同帯電ユニットのロック状態を示す部分斜視図である。
【0015】
図1及び図2に示す画像形成装置はカラーレーザープリンタであって、その矩形ボックス状の装置本体100の前面(図1及び図2の斜め右側が前方)には、装置本体100の下部に設けられた不図示の回動支点を中心として上下に回動して開閉されるフロントカバー101が設けられており、該フロントカバー101は、メンテナンス等が必要な場合には回動支点を中心として前方へ回動されて開かれる。
【0016】
又、装置本体100の正面(左側面)にはサイドカバー102が開閉可能に設けられており、メンテナンス等が必要な場合には、サイドカバー102は図2に示すようにその端部を中心として手前側に回動されて開かれる。そして、装置本体100の上部には、画像が形成された用紙が排出されてストックされるための排紙トレイ103が設けられている。
【0017】
ところで、本実施の形態に係るカラーレーザープリンタはマゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの4色のトナーを用いてフルカラー画像を形成するものであって、その装置本体100の内部には感光ドラム、帯電器、現像装置、転写装置、クリーニング装置(ドラムクリーニング及び帯電クリーニング)、帯電装置、定着装置等の各種プロセス機器が収容されているが、感光ドラム、帯電器、現像装置、転写装置及びクリーニング装置は各色毎に計4組タンデムに配置されている。そして、本実施の形態では、メンテナンスの便等を考慮して、感光ドラムと帯電器及びクリーニング装置は、各色毎にドラムユニット1としてそれぞれユニット化されている。
【0018】
而して、各色毎に設けられた計4組のドラムユニット1(図1には1つのみ図示)は、装置本体100の上部に設けられた排紙トレイ103(図2参照)を取り外して図1に示すように装置本体100の上面を開放した状態で、装置本体100の内部に対して上下方向に着脱される。
【0019】
次に、本発明に係るドラムユニット1について説明する。尚、4組のドラムユニット1の構成は同じであるため、以下、1組のドラムユニットについてのみ説明する。
【0020】
ドラムユニット1は、ドラムフレーム2に像担持体である感光ドラム3、該感光ドラム3を所定の電位に帯電させる帯電器、感光ドラム3の表面をクリーニングするドラムクリーニング及び帯電器をクリーニングする帯電クリーニングを組み込んでユニットとして構成されている。
【0021】
又、本実施の形態では、帯電器と帯電クリーニングは、図6に示すように帯電ユニット4としてユニット化されており、この帯電ユニット4は、ドラムフレーム2に対して長手方向(感光ドラム3の軸方向)に出し入れすることができる。
【0022】
即ち、図5及び図9に示すように、ドラムユニット1のドラムフレーム2には、感光ドラム3の長手方向に沿う挿入部2Aが形成されており、この挿入部2Aはドラムフレーム2の一端面に矩形の開口部2aとして開口しており、図9に示すように、帯電ユニット4は、ドラムフレーム2に形成された挿入部2Aに沿って感光ドラム3の長手方向にスライドさせることによってドラムフレーム2に対して出し入れして着脱することができる。又、装置本体100内にドラムユニット1が装填されて状態で図2に示すようにサイドカバー102を開き、帯電ユニット4だけをドラムユニット1に対して図3に示す矢印方向に着脱することができる。
【0023】
ここで、上記帯電ユニット4は、図6に示すように、帯電器としての帯電ローラ5と帯電クリーニングとしての帯電クリーニングローラ6を帯電ケース7に回転可能に組み込んで構成されており、これらの帯電ローラ5と帯電クリーニングローラ6は不図示のスプリングによって上方に付勢されており、これらの各軸方向一端にはギヤ8,9がそれぞれ結着されている。
【0024】
又、前記感光ドラム3は、その内部に挿通するドラム軸10(図5参照)の軸方向両端がドラムフレーム2に回転可能に支持されているが、該ドラム軸10の軸方向一端には図4に示すように大径の駆動ギヤ11が結着されている。
【0025】
更に、図5に示すように、感光ドラム3の軸方向一端にはドラムギヤ12が結着されており、このドラムギヤ12はアイドルギヤ13を介して前記ギヤ9に噛合している。尚、図4において、14は不図示のトナー回収スクリューに駆動力を伝達するためのギヤ、15は不図示のドラムクリーニングローラに駆動力を伝達するためのギヤである。
【0026】
而して、駆動ギヤ11にモータの駆動力が入力されると、感光ドラム3が所定の速度(プロセス速度)で回転駆動され、その表面が帯電ローラ5によって所定の電位に帯電される。そして、表面が帯電された感光ドラム3に不図示のレーザースキャナユニットからレーザー光が照射されると、該感光ドラム3上に静電潜像が形成される。尚、感光ドラム3上に形成された静電潜像は、不図示の現像装置によって現像されてトナー像として顕像化される。
【0027】
又、感光ドラム3の回転はドラムギヤ12からアイドルギヤ13及びギヤ9を経て帯電クリーニングローラ6に伝達され、該帯電クリーニングローラ6が所定の速度で回転して帯電ローラ5の表面をクリーニングする。同様に、感光ドラム3の回転はドラムギヤ12からギヤ8,14,15を経て帯電ローラ5、トナー回収スクリュー、ドラムクリーニングローラにそれぞれ伝達され、これらが所定の速度でそれぞれ回転駆動される。
【0028】
ところで、本実施の形態に係るドラムユニット1には、帯電ユニット4のスライドをロックするための第1のロック機構と第2のロック機構が設けられている。
【0029】
上記第1のロック機構は、図6に示すように、帯電ユニット4の帯電ケース7の一端に上下動可能に設けられたロック部材16を備えており、このロック部材16は、帯電ローラ5及び帯電クリーニングローラ6と共に不図示のスプリングによって上方に付勢されている。
【0030】
上記ロック部材16の幅方向端部には、図7に示すように、縦方向に長い係合部16Aが一体に形成されており、この係合部16Aの先端(上端)にはテーパ面16aが形成されている。又、ロック部材16の外側面には押圧部16Bが一体に形成されている。
【0031】
而して、帯電ユニット4をドラムフレーム2の一端に開口する開口部2aから差し込んでドラムフレーム2の挿入部2Aに沿って奥側に押し込むと、該帯電ユニット4がドラムフレーム2内に組み込まれるが、押し込みの最後にロック部材16の係合部16Aの先端に形成されたテーパ面16aがドラムフレーム2の開口部2aの周縁の一部に形成されたテーパ面2b(図9参照)に係合することによってロック部材16が楔作用によってスプリングの付勢力に抗して押し下げられる。このため、ロック部材16の係合部16Aはドラムフレーム2の開口部2aの周縁を通過することができ、帯電ユニット4が最後まで押し込まれてドラムフレーム2内に完全に収容された時点でロック部材16の係合部16Aとドラムフレーム2の開口部2aの周縁との係合が解除される。このため、ロック部材16はスプリングの付勢力によって上動し、これに形成された係合部16Aがドラムフレーム2の開口部2aの周縁に係合するため、帯電ユニット4のスライドがロックされ、該帯電ユニット4のドラムフレーム2からの脱落が防がれる。
【0032】
又、ドラムフレーム2内に収容されてロック状態にある帯電ユニット4をドラムフレーム2から取り出すには、ロック部材16に形成された押圧部16Bを下方に押圧してこれをスプリングの付勢力に抗して下動させる。すると、ロック部材16に一体に形成された係合部16Aも下動してドラムフレーム2の開口部2aの周縁との係合が解除されて帯電ユニット4のロック状態も解除されるため、帯電ユニット4をそのまま引き出すことができる。
【0033】
他方、第2のロック機構は、図10に詳細に示すように、ドラムユニット2に形成された挿入部2Aの開口部2a近傍の内側面に設けられたバネ性を有する係合部材17を備えている。この係合部材17は、図8に示すように、ブレードアース板金によって構成されており、その一部は切り起こされて内側に曲げられ、この曲げられた部分を更に平面視くの字状に曲げ成形することによって係止バネ部17Aが形成されている。
【0034】
而して、帯電ユニット4をドラムフレーム2の一端に開口する開口部2aから差し込んでドラムフレーム2の挿入部2Aに沿って奥側に押し込むと、該帯電ユニット4がドラムフレーム2内に組み込まれるが、押し込みの最後に該帯電ユニット4の帯電ケース7の端面が係合部材17の係止バネ部17Aの斜面に係合することによって帯電ユニット4のスライドがロックされ、該帯電ユニット4のドラムフレーム2からの脱落が防がれる。
【0035】
又、ドラムフレーム2内に収容されてロック状態にある帯電ユニット4をドラムフレーム2から取り出すには、該帯電ユニット4をそのまま引き出せば良い。すると、係合部材17の係止バネ部17Aの斜面に係合していた帯電ケース7の端面が係合バネ部17Aを弾性変形させるため、該端面と係合部材17との係合が解除されて帯電ユニット4のロック状態も解除される。従って、帯電ユニット4をそのまま引き出してドラムフレーム2から取り外すことができる。
【0036】
そして、以上のように帯電ユニット4を感光ドラム3の長手方向にスライドさせてこれを着脱する際、該帯電ユニット4の帯電ケース7の側面には係合部材17のバネ性を有する係止バネ部17Aが弾接して帯電ユニット4のスライドをガイドするため、帯電ユニット4の姿勢が一定に保たれ、該帯電ユニット4の着脱をスムーズに行うことができる。
【0037】
以上のように、本実施の形態では、第1のロック機構に加えて、ドラムフレーム2の帯電ユニット4が挿入される挿入部2Aの内側面に設けられた係合部材17と帯電ユニット4の帯電ケース7の長手方向端面とを係合させることによって帯電ユニット4のスライドをロックする第2のロック機構を設けたため、帯電ユニット4の着脱時に上下方向の衝撃が加わっても係合部材17と帯電ユニット4との係合が外れることがなく、帯電ユニット4のロックが確実になされてその脱落が防がれるという効果が得られる。
【0038】
尚、以上は本発明をカラーレーザープリンタとこれに備えられたドラムユニットに適用した形態について説明したが、本発明は、プリンタの他、複写機やファクシミリ、複合機等の他の任意の画像形成装置及びこれに備えられたドラムユニットに対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る画像形成装置(カラーレーザープリンタ)の斜視図である。
【図2】本発明に係る画像形成装置(カラーレーザープリンタ)の斜視図である。本発明に係るドラムユニットの斜視図である。
【図3】図2のA部拡大詳細図である。
【図4】本発明に係るドラムユニットの斜視図である。
【図5】本発明に係るドラムユニットの斜視図である。
【図6】帯電ユニットの斜視図である。
【図7】帯電ユニットのロック部材の斜視図である。
【図8】帯電ユニットの係合部材の斜視図である。
【図9】帯電ユニットの着脱動作を示す部分斜視図である。
【図10】帯電ユニットのロック状態を示す部分斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ドラムユニット
2 ドラムフレーム
2A ドラムフレームの挿入部
2a ドラムフレームの開口部
2b 開口部のテーパ面
3 感光ドラム
4 帯電ユニット
5 帯電ローラ
6 帯電クリーニングローラ
7 帯電ケース
8,9 ギヤ
10 ドラム軸
11 駆動ギヤ
12 ドラムギヤ
13 アイドルギヤ
14,15 ギヤ
16 ロック部材
16A ロック部材の係合部
16B ロック部材の押圧部
16a 係合部のテーパ面
17 係合部材
17A 係止バネ部
100 画像形成装置本体
101 フロントカバー
102 サイドカバー
103 排紙トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に対して着脱可能であって、感光ドラムと帯電ユニットを備え、前記帯電ユニットをドラムフレーム内で前記感光ドラムの長手方向に沿ってスライドさせてこれを着脱するよう構成されたドラムユニットにおいて、
前記ドラムフレームの前記帯電ユニットが挿入される挿入部の内側面にバネ性を有する係合部材を設け、該係合部材に前記帯電ユニットの長手方向端面を係合させることによって帯電ユニットのスライドをロックするロック機構を構成したことを特徴とするドラムユニット。
【請求項2】
前記係合部材を、アース板金をくの字状に曲げ成形することによって構成したことを特徴とする請求項1記載のドラムユニット。
【請求項3】
請求項1又は2記載のドラムユニットを本体内に着脱可能に装填して成ることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−139605(P2010−139605A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314156(P2008−314156)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】