説明

ドリルビットマガジン、ドリルビットホルダー、および削岩装置におけるドリルビット交換方法。

本発明は、ドリルビットマガジンと、ドリルビットホルダーと、削岩装置においてドリルビットを交換する方法とに関するものである。マガジン(16)はいくつかのスペース(30)を有し、それぞれのスペースは1つのドリルビットホルダー(22)を受け入れるよう構成されている。ドリルビット(12)はドリルビットホルダーによってマガジン内へ支持される。さらに、マガジンとリテナー(14)との間における移送は、ドリルビットホルダーのみに対して作用することによって行なわれる。ドリルビットホルダーは突出した部品であり、ドリルビットの少なくとも一つの内面(41)に接して支持される。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、削岩機工具用の交換可能なドリルビットを格納することができるマガジンに関するものである。ドリルビットは、工具のドリルロッドにドリルビット交換機によって固定することができる。マガジンはドリルビットを格納する複数のスペースと、可動フレーム部とを有し、ドリルビットを支持するスペースは、ドリルビットをマガジンから取り出したりマガジンへ運び入れたりするために、一回に1つずつ、マガジンの交換ステーションに配置することができる。
【0002】
本発明はさらに、ドリルビットホルダーと、ドリルビットの取り扱い方法とに関するものである。
【0003】
本発明の要旨は、独立請求項の前段部にさらに詳細に記載されている。
【0004】
削岩の際、削岩機は削岩機に接続された工具と共に使用され、工具はその長手軸について回転することができ、また工具を介して衝撃パルスを穿孔すべき岩盤に与え、これにより岩盤を破壊し、ドリル穴をあける。工具は、1つ以上のドリルロッドと、ドリルロッドの最外端部に接続した交換可能なドリルビットとを含んでよい。一般に、ドリルビットの先端には複数のビットボタンが備えられ、ビットボタンは穿孔されている岩盤を穿つ。ドリルビットは、穿孔中に非常に大きな負荷がかかるため、摩耗し、時には損傷もする。したがって、何度もドリルビットを交換して、穿孔の質および効率を確保する必要がある。操作者がドリルビットを手動で交換することは困難で、時間が掛かり、さらに悪いことには危険でもある。したがって、ドリルビット交換機が開発され、交換を機械化してきた。しかし、ドリルビットを格納し取り扱う現在の方法は、ユーザーの要求を完全には満たしていない。たとえば、米国特許第4065845号には、ドリルビットをマガジンのスペース接して配設するドリルビット交換機が開示されているが、これはドリルビットの形状および寸法に対する制約がある。
【発明の簡単な説明】
【0005】
本発明の目的は、ドリルビットを格納し、取り扱う、新規で改善されたマガジンおよびドリルビットホルダーを提供することにある。他の目的は、新規で改善されたドリルビット交換方法を提供することにある。
【0006】
本発明のドリルビットマガジンは、マガジンの各スペースが、別個のドリルビットホルダーを1つずつ脱着可能に受け入れ、かつ連結するよう構成され、格納されたドリルビットは、それぞれ、ドリルビットホルダーによってマガジン内に支持されるよう構成され、ドリルビットホルダーはドリルビットの少なくとも一つの内面に接して支持されるよう構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のドリルビットホルダーは、ドリルビットホルダーがドリルビットの少なくとも一つの内面で支持可能な別個の突出した部品であり、ドリルビットホルダーはドリルビットホルダーを取り扱い、かつ固定する把持部を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の方法は、マガジンとは別個の部品である突出したドリルビットホルダーを各ドリルビットの内側に配設し、交換すべきドリルビットを、それぞれ、その移送および格納中に、ドリルビットホルダーに対して作用することのみによって取り扱い、ドリルロッドおよびドリルビットを互いに連結する前に、ドリルビットホルダーをドリルビットから取り出すことを特徴とする。
【0009】
本発明の概念は、ドリルビットの移送および格納中は、突出形状のドリルビットホルダーをこのドリルビットの内側に配し、ドリルビットの少なくとも一つの内面に接して支持することにある。したがって、マガジンに格納されているドリルビットの外面に作用して、マガジンとリテナーとの間を移動させる必要はない。ドリルビットホルダーは、ドリルビットとマガジンとの間、および、ドリルビットと移送装置との間における一種のアダプターである。ドリルビットホルダーは、ドリルビットを工具へ固定する際には関与しないが、脱着可能な独立した移送用および格納用アダプターとして機能することができる。
【0010】
本発明の利点は、ドリルビットホルダーによって、さまざまな形および外寸のドリルビットを難なく格納し、また取り扱うことができることにある。したがって、同じマガジンおよび移送装置を用いてさまざまなドリルビットを取り扱うことができる。これにより、さまざまなドリルビットを用いるドリルビット交換機の機能的適応性が高まる。さらに、これによりコストが節減される。なぜなら、さまざまな穿孔状況に対応した削岩装置において広く利用することができる汎用マガジンおよび移送装置を製造することができるからである。更なる利点は、ドリルビットをリテナーの所望の位置に配設するのが容易になることである。なぜなら、ドリルビットの外周部を移送装置の把持装置もしくは同様なものに接触させないからである。
【0011】
ある実施例の概念は、マガジンのフレーム部が円盤状部品であり、円盤状部品には複数の係止穴が備えられ、係止穴はそれぞれ、1つのドリルビットホルダーを受け入れるよう構成されていることである。それぞれの係止穴は円盤状フレーム部の外周に向けて開口している。ドリルビットホルダーは、係止溝付き係止部を有し、係止溝によって係止穴に対して支持され、交換ステーションにおいて円盤状フレーム部の半径方向に移動することができる。さらに、交換ステーション以外の場所では、ドリルビットホルダーは、その係止用スペースからフレーム部の半径方向に移動することができない。マガジンのこの円盤状フレーム部は回転軸について回転可能であり、交換ステーションに対してドリルビットホルダーを移動させる。
【0012】
ある実施例の概念は、マガジンに格納されたドリルビットを、ドリルビットホルダーのみによってマガジンのフレームへ支持することである。
【0013】
ある実施例の概念は、ドリルビットホルダーは把持部を有し、把持部によって別個のドリルビットホルダーをマガジンに対して脱着可能に係止することである。さらに、ドリルビットホルダーを、把持部を移送装置によって把持することで、マガジンと穿孔中心との間で移動させることができる。
【0014】
ある実施例の概念は、ドリルビットホルダーの把持部がホルダーの自由端部にあることである。
【0015】
ある実施例に概念は、ドリルビットホルダーは、長尺状のアームを含み、アームはその第1の端部に円筒状の把持部を有していることである。把持部は細長い穴を有し、この穴にドリルビット交換機の移送装置の移送ピンを押し込んでドリルビット交換機を取り付けることができる。さらに、把持部の外周には環状係止用溝があり、この溝によってドリルビットホルダーをマガジンに対して係止することができる。
【0016】
ある実施例の概念は、ドリルビットホルダーが長尺状のアームと、ドリルビットの内部接続ねじに対して支持されるよう構成された少なくとも2つの支持用部品を含むことにある。第1の支持用部品はアームに対して動くことができ、第2の支持用部品はこのアームの最外端部にアームに対して動かないよう配設されている。したがって、これらの支持用部品は、第1の支持部品に対してアームを動かすことによって、互いに対して軸方向に距離を置いて設置することができ、また、互いに当接させて設置することができる。
【0017】
ある実施例の概念は、ドリルビットホルダーが少なくとも1つの調節部材を含み、第1の支持部品と第2の支持部品との間の最大軸方向距離を設定して、取り扱われているドリルビットに合わせることにある。調節することによって、さまざまな長さのドリルビットを、ドリルビットの先端部が基本的に互いに同じ高さになるようマガジンにセットすることができる。ドリルビットの先端部は、マガジンにおいて適当な支持板若しくは同様なものに接して軸方向に支持されてよく、これによってドリルビットは、たとえ穿孔装置およびマガジンが下方へ向けられた場合でも、ドリルビットホルダーから外れることはない。さらに、ドリルビットの先端部が基本的に互いに同じ高さになるよう調節され、マガジンがリテナーにある場合、リテナーとマガジンとの間におけるドリルビットの移送は、単純な直線的平行移動によって行なうことができる。
【0018】
ある実施例の概念は、ドリルビットホルダーの第1の支持部品が、ドリルビットの内側に配設することができる円筒形部分と、ドリルビットの背面に接して配設することができるショルダーとを含むことにある。
【0019】
ある実施例の概念は、ドリルビットホルダーの上部がドリルビットの穴の底部に接して支持され、さらにドリルビットを軸方向に支持するよう配設されることにある。したがって、ドリルビットホルダーの一方の支持部品を、軸方向の支持を扱えるよう配設し、もう一方の支持部品を、ドリルビットがドリルビットホルダーに対して平行になるよう支持するよう配設することができる。
【0020】
ある実施例の概念は、ドリルビットホルダーの第1および第2の支持部品を脱着可能な部品にすることによって、これらの支持部品を交換して、そのとき取り扱われているドリルビットに対応させることができることである。
【0021】
ある実施例に概念は、外寸もしくは外形の異なる少なくとも2つのドリルビットを、ドリルビット交換機によって同時に格納し、かつ取り扱うことにある。これらの異なるドリルビットは、同様のドリルビットホルダーによってマガジン内で支持される。大きく異なるドリルビットを、たとえそれが特殊な穿孔状況用であっても、構造に変更を加えることなくマガジンに格納することができる。
【0022】
ある実施例に概念は、ドリルビットホルダーと移送装置の把持部材との間に形状係止部があることにある。形状係止部は、ドリルビットホルダーがマガジンに挿入された時に開く。形状係止部は確実な係止を保証する。形状係止部材の開位置への動きは、移送装置がマガジンの方へ移動した時に機械的に行なうことができ、移送部材がマガジンから離れると、形状係止部材は係止位置へばね部材によって戻ることができる。
【0023】
ある実施例に概念は、ドリルビットホルダーと移送装置の把持部材との間の形状係止部材が、把持部材内に、ドリルビットホルダーの少なくとも1つの係止溝もしくは同様の係止用凹部に嵌るよう構成された、少なくとも1つのばね係止装置を有していることにある。ばね係止装置が係止用凹部から屈曲して離れるのを止める手段、すなわち、ばね係止装置を強化する手段を把持部材内に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
次に、添付の図面を参照して本発明のいくつかの実施例をさらに詳細に説明する。
【図1】リテナーとリテナーに取付けられたドリルビット交換機とを備えた削岩ユニットを有する削岩リグの概略側面図である。
【図2a】ないし
【図2c】ドリルビットの概略斜視図であり、図2bはドリルビット内部の穴の把持方法も示す図である。
【図3】ドリルビット交換機の動作を示す概略上面図である。
【図4】マガジンの概略図である。
【図5】図4のマガジンの概略部分断面詳細図である。
【図6】移送装置の把持部材とドリルビットホルダーとの間の適当な形状係止部の概略側面図である。
【図7】移送装置の把持部材の概略部分側断面図である。
【図8a】および
【図8b】図7に示す把持部材の係止原理を示す概略上面図である。
【図9a】および
【図9b】拡張機械要素によっては把持部材をドリルビットホルダーへ係止する他の構造を示す概略側断面図である。
【0025】
これらの図では、本発明のいくつかの実施例を明瞭にするため簡略化して示す。同様な部分は、これらの図において同一の参照番号で示す。
【発明の詳細な説明】
【0026】
図1に示す削岩リグ1は可動キャリア2を含み、可動キャリアには1つ以上の穿孔用ブーム3が配設され、穿孔用ブームの最外端部には穿孔ユニット4が備えられている。穿孔ユニット4は送りビーム5を含み、送りビーム5は削岩機6を支持し、削岩機6は送り装置7によって穿孔方向Aおよび戻り方向Bに動くことができる。この図において、一点鎖線は穿孔ライン、すなわち、穿孔中心Cを表す。削岩機6は衝撃装置8を含んでよく、衝撃装置によって削岩機6に連結された工具9に衝撃パルスを与える。さらに、削岩機6は回転装置10を含んでよく、回転装置によって工具9をその長手方向の軸を中心に回転させる。穿孔中、工具9は穿孔中心Cにあり、工具はドリルロッド11を含んでよく、ドリルロッドはその最外端部に交換可能なドリルビット12を有する。さらに、いわゆる延長ロッド穿孔においては、複数のドリルロッド11を連結し、長い穴13をあける。岩盤に穴をあける場合、ドリルビット12のビットボタンまたは、岩盤を削る同様の部品が摩耗し、また損傷を受ける可能性もあるため、穿孔中にドリルビット12を交換する。さらに、さまざまな穿孔状況および岩盤の状態に対してさまざまな特殊なビットを用いて削岩および穿孔の質を改善することができる。ドリルビット12は、一般に、ねじ切り接続部によってドリルロッド11へ接続される。
【0027】
送りビーム5の先端部には、すなわち、送りビーム5の穿孔方向Aに見て最外端部にリテナー14があり、リテナーはジョーもしくは同様の保持用部材を含み、保持用部材によって、交換可能なドリルビット12を、少なくともドリルロッド11とドリルビット12との間のねじ切り接続部が、削岩機6の回転装置10によってドリルロッドを回転させることによって開けられ、もしくは閉められている間は、動かないように固定することができる。リテナー14は、保持されている工具9が穿孔中心Cに来るよう位置決めしてよい。リテナー14はさまざまな構造をとることができる。
【0028】
送りビーム5の先端部には、リテナー14に接続してドリルビット交換機15も配設されていて、ドリルビット交換機はマガジン16を有し、マガジンには、必要数の、典型的には5ないし10本のドリルビットを備えることができる。マガジン16は回転盤でよく、回転盤には、格納されるドリルビット12を支持するスペースが形成されている。他の選択肢として、マガジン16は、いくつかのスペースを持ったチェーンマガジンもしくはこれに相当する他の適切な構造体でよい。ドリルビット交換機15は、さらに1つ以上の停止用部材17を含んでよく、停止用部材によってドリルビット12を穿孔中心Cの所定の軸方向位置に機械的に停止させてよい。停止用部材17は、たとえばスライドでよく、スライドは、リテナー14の前側から穿孔中心Cへ押し込むことができ、ドリルビット12が交換のためにリテナー14によって動かないように固定される前に、ドリルビット12の先端部がスライドの削岩機6側の面に対して押し付けられる。またさらに、ドリルビット交換機15は、1つ以上の移送装置18を含んでよく、移送装置によって、ドリルビット12をマガジン16からリテナー14へ、またリテナーからドリルビットへ移動させることができる。
【0029】
図2aないし図2cに、さまざまなドリルビット12を示す。これらの図から分かるように、これらのドリルビット12は外見的に全く異なっている。図2aのドリルビット12は、フレーム部12aの外周部分に螺旋溝を有する。これに対して図2bのドリルビット12では、フレーム部12aは滑らかな円筒である。さらに図2cでは、フレーム部12aに溝付きショルダー20がある。ドリルビット12が異なれば、外観が互いに大きく異なっていることがあるため、フレーム部12aを用いてこれらのドリルビット12を扱うのは困難である。あらゆるドリルビットに適した把持部もしくは同様なものを作ることが求められている。他方、ドリルビット12の先端部の頂点もしくは機構部12bを把持することは避けなければならない。なぜなら、この部分には、ドリルビットの最も重要な部分であり、硬質であるが壊れやすいドリルボタン21が備えられているからである。しかし、ドリルビット12を、適当な突出形状もしくはピン様の別個のドリルビットホルダー22によって扱ってよく、このホルダーを、通常ドリルロッド11の接続部を受け入れるよう構成されたドリルビットのフレーム部12aの穴23へ押し込んでよい。このドリルビットホルダー22により、ドリルビット12をマガジンで、および移送中にその機構部12bを損傷することなく取り扱うことができる。
【0030】
図3は、リテナー14に備えられたドリルビット交換機15を示す。この交換機15は移送装置18を含んでよく、移送装置は一種のマニピュレータである。この移送装置18は第1の移送装置18aと第2の移送装置18bとを含んでよく、第1の移送装置と第2の移送装置は、固定部品35によって互いに連結されている。第1の移送装置18aは、第2の移送装置18bと第2の移送装置に一列に連結された把持部材36とを横方向Eに動かすよう構成され、ドリルビット12をマガジン16とリテナー14のジョー25との間で移動させることができる。第2の移送装置18bは、ドリルビットホルダー22をドリルビット穴23に入れたりドリルビット穴から出したりするよう構成されている。ドリルビットホルダー22は細長い部品であり、ドリルビットホルダーの第1の端部は把持部38を含んでよく、把持部には移送装置18の把持部材36が取り付けられていてよく、把持部によってドリルビットホルダー22はマガジン16へ係止される。さらに、ドリルビットホルダー22はアーム39を含んでよく、アームには2つ以上の支持部品40aおよび40bが配設され、支持部品は、ドリルビット12の穴23の内部にある場合、接続ねじ41に接触して支持されるよう寸法決めされている。さらに、最後尾の第1の支持部品40aは、ショルダー46、フランジ、もしくは同様なものを含んでよく、これによりドリルビット12の背面に接触して支持され、さらにドリルビット12を軸方向に支持することができる。ドリルビットホルダー22を第2の移送装置18bによって穴23へ押し込むと、第1の支持部品40aはドリルビット12の後部に定着し、一方、第2の支持部品40bは、アーム39にしっかりと接続されていて、ドリルビット12の先端部方向にさらに進むことができる。そして、支持部品40aおよび40bは互いに間隔をおいて定着し、これによってドリルビット12は穴23の表面によってしっかりと支持される。支持部品40a、40bが離れていることにより、ドリルビット12は確実にまっすぐに保たれる。ドリルビットホルダー12は調節ねじなどの調節部材45を備えてよく、調節部材によって支持部品40a、40bのH方向の最大間隔を調節することができる。同時に、調節部材45は把持部38と第1の支持部品40aのH方向の間隔に影響を及ぼす。ドリルビット12がその後部でショルダー46によって支持されているので、ドリルビットホルダー22を調節することで、さまざまな長さのドリルビット12の先端部をマガジン16の同じ場所に格納することができる。マガジンをリテナー14に軸方向に設置し、さらにドリルビット12の先端部がマガジンにおいて同じ高さにセットされている場合、マガジン16とリテナー14との間の移送は、第1の移送装置18aを単純な横方向の直線運動Eによって行うことができる。
【0031】
ドリルビット12がジョー25に挟まれると、第2の移送装置18bによってドリルビットホルダー22を後方に、すなわち、戻り方向Bに引張り、これによって支持部品40a、40bは互いに当接して定着し、穴23から出てくる。次いで、ドリルビットホルダー22は第1の移送装置18aによって穿孔中心Cから移動し、ドリルロッド11がドリルビット12に接続され、その後、停止用部材17およびジョー25が開かれる。その後、通常の穿孔を開始することができる。
【0032】
図3はさらに、ドリルビット12を交換する際、ドリルロッド11が穿孔中心Cにおいて戻り方向Bに動かされるところを示す。ドリルロッド11の先端部には接続部43が備えられ、接続部は接続ねじ44を有する。接続ねじは、リテナー14にあるドリルビット12の内部接続ねじ41に接続することができ、接続は、ドリルロッド11を穿孔方向Aに送り、同時にドリルロッド11をその長手軸について削岩機6の回転装置10によって回転させることによって行う。ドリルロッド11に接続されたドリルビット12を取り外すとき、停止用部材17を閉じて、ドリルビット12を停止用部材17に押し付ける。このようにして、ドリルビット12は常に移送装置18およびリテナー14に対して正確に位置決めされる。
【0033】
図4もまた、マガジン16が円盤状のフレーム部50を備えてよいことを示し、円盤状フレーム部を回転軸29について回転させて、必要なドリルビットを選択することができる。マガジン16のフレーム部50の周囲にはいくつかのスペース30があり、このスペースに図2bと図3とに示すドリルビットホルダーと同様のドリルビットホルダー22を脱着可能に配設することができる。フレーム部50をG方向に回すことによって、各スペース50を一度に一つ交換ステーション37にセットすることができ、交換ステーションでは、ドリルビットホルダーとドリルビットホルダーについている適当なドリルビットとを移送装置を用いてマガジンから取り出すか、または、ドリルビットホルダーを空いているスペース30に移送装置によって配設することができる。これらのスペース30は、フレーム部50の外周に対して開口している細長い穴である。保護部51によってフレーム部50の外周を囲い、ドリルビットホルダーが交換ステーション37以外の場所でスペース30から抜け出ることを防止することができる。
【0034】
図5に、図4のマガジン16を詳細に示す。ドリルビットのホルダーの把持部38は円筒形でよく、環状係止溝52、係止溝によって把持部38をマガジンのフレーム部50の細長いスペース30に固定することができる。この図はまた、ドリルビットホルダーがスペース30から円盤状フレーム部の半径方向に滑り出ることを防止する保護部51を示す。
【0035】
もちろん、ドリルビットホルダー22の把持部38は、マガジンのスペース30や、移送ピンもしくは移送装置の同様の把持部材36のように、他の方式で作ってもよい。
【0036】
マガジン16がチェーンマガジンである場合、可動チェーンがそのフレーム部を形成し、フレーム部にはドリルビットホルダー22を受け入れるためのいくつかの係止用スペースが備えられている。同様に、マガジンのフレーム部もさまざまな形にすることができ、フレーム部は、回転運動ではなく、直線的に動かしてもよい。
【0037】
注目すべきは、ドリルビットホルダー22の支持部品40a、40bはドリルビットの穴23を把持する手段を含んでよいことであり、これにより、送りビーム5が下を向いている場合であっても、ドリルビット12がホルダー22から外れることはない。支持部品40a、40bは、ゴムもしくは同様の弾性材料で作られた止め輪などの摩擦部品を含んでよい。さらに、ドリルビットホルダー22は拡張部を有してよく、拡張部は、圧力媒体の作用もしくは機械的運動の効果によって拡張し、ドリルビット14の穴23の内面を押してよい。
【0038】
図6は、ドリルビットホルダー22を移送装置の把持部材36に係止する構造を非常に簡略化して示す。把持部材36は、ばね係止部材60を備えてよく、ばね係止部材は係止用爪もしくは同様の突起部61を有し、ばね係止部材または突起部は、その係止位置において、ドリルビットホルダー22の把持部38にある穴62の係止溝もしくは同様の係止用凹部内に位置してよい。これによって、各ばね係止部材60と係止用凹部63との間に形状係止部が形成され、ドリルビットホルダー22が誤って把持部材36から外れるのを防止する。ばね係止部材60はそれぞれの係止位置において動かなくなってよく、そのため係止用突起物61は、図6において破線で示すように、係止用凹部から外れることができない。把持部材36は、係止用突起物61を所望の場合に解放する手段を有してよく、これによってドリルビットホルダー22から把持部材36を外すことができる。もちろん、ばね様係止部材60ではなく、形状面で穴62に形状係止する剛性の係止部材を用いることもできる。形状係止部を開閉するための形状係止部材の相対的運動は、たとえば移送装置を動かすことにより機械的に行なうことができ、または、圧力媒体作動式もしくは電気作動式アクチュエータを用いて必要な運動をさせることができる。
【0039】
図7は、フレーム64に固定された2つのばね係止部材60を含む把持部材36を示す。さらにこの把持部材はセンタピン65を有し、センタピンはフレーム64に対して回転可能に配設されている。このセンタピン65には長手方向に溝66が設けられ、これにより、センタピン65はその長手軸について回転して、これらの溝66がばね係止部材60のところに来る位置に向きを変えることができる。次いで、ばね係止部材60は溝66に入り込んでよく、これによってばね係止部材はドリルビットホルダーの係止溝もしくは同様なものから退出することができる。それぞれの係止位置において、ばね係止部材60はセンタピン65の外面に接し、このため、ばね係止部材はドリルビットホルダーの係止溝から抜けることができない。本実施例では、このように、ばね係止部材60はそれぞれの係止位置で動くことができず、これによってドリルビットホルダーと把持部材36との間の形状係止は頑丈になる。ばね係止部材60が溝66の位置にあり、把持部材36がドリルビットホルダーの把持部に押しつけられたとき、ばね係止部材60は溝66方向に曲がり、最終的にドリルビットホルダーの係止溝に押し込まれるまで曲がっていてよい。
【0040】
図8aは、溝66とばね係止部材60とが異なる場所にある状況を、非常に簡略化して示す。移送装置が把持部材36をRの方向に動かすと、第1の合わせ面67がマガジン16内で第2の合わせ面68にぶつかり、これによってセンタピン65の回転運動Sが生じる。この結果、溝66は図8bに示すようにばね係止部材60の位置に定着する。把持部材36をマガジン16から移動させた後、ばね部材はセンタピン65に作用してセンタピンをその固定位置へ回し戻すことができる。
【0041】
図9aは、把持部材36が、たとえばゴムスリーブなどの拡張する係止部材70によってドリルビットホルダー22に対して係止されている構造を示す。ドリルビットホルダー22は係止用凹部63もしくは係止溝を有してよく、回転部材71が作用し、センタピン72が加圧スリーブ73で係止部材70を押圧した後、係止部材70は、図9bに示すように、係止用凹部または係止溝に横から入り込むことができる。センタピン72と加圧スリーブ73との間に、ピッチの大きいねじ山74を設けてよく、このねじ山はセンタピン72の回転運動を加圧スリーブ73の直線運動に変換する。回転部材71は、図8aおよび図8bにおいて第1の合わせ面67を動かしたのと同様の方法で動かしてよい。もちろん、センタピン72を適当な回転装置で回転させてよい。拡張係止部材70は、圧力を受けて横方向に拡張して係止用凹部63へ押し入るスプリングプレートなどのばね部材でもよい。
【0042】
注目すべきは、図8aないし図9bに示す係止方式は、把持部材36がドリルビットもしくは他の何らかの要素を直接把持する場合にも適用可能である。
【0043】
場合によっては、本願で説明した構成要件を、他の構成要件に関係なく使用してよい。他方、本願で説明した構成要件を必要に応じて組み合わせて、さまざまな組合せを作ってよい。
【0044】
添付の図面および関連する説明は本発明の概念を説明することのみを意図したものである。本発明を、請求の範囲に記載された発明の範囲内で、細部を変更してよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
削岩に使用される複数の交換可能なドリルビットを格納することができ、
可動フレーム部(50)と、
ドリルビット(12)を1つずつ保持するよう構成された複数のスペース(30)と、
少なくとも1つの交換ステーション(37)とを含み、前記フレーム部(50)を
動かすことにより、該交換ステーションに向けて各スペース(30)が一度に動き、これによってドリルビット(12)を該交換ステーション(37)にある空のスペース(30)へ運び込むことができ、また、ドリルビット(12)を該交換ステーション(30)にあるスペース(30)から移動させることができるドリルビットマガジンにおいて、
該マガジン(16)の各スペース(30)は1つの別個のドリルビットホルダー(22)を脱着可能に受け取り、かつ接続するよう構成され、
各格納されたドリルビット(12)は該ドリルビットホルダー(22)によって該マガジン(16)内へ支持されるよう構成され、
該ドリルビットホルダー(22)は前記ドリルビット(12)の少なくとも一つの内面に接して支持されることを特徴とするドリルビットマガジン。
【請求項2】
請求項1に記載のドリルビットマガジンにおいて、
該マガジンの前記フレーム部(50)は複数の係止用穴(30)を備えた円盤状部品であり、それぞれの係止穴は1つのドリルビットホルダー(22)を受け入れるよう構成され、
各係止用穴(30)は該円盤状フレーム部(50)の外周方向に開口し、
前記ドリルビットホルダー(22)は、係止溝(52)を有する把持部(38)を含み、該ドリルビットホルダー(22)は、該係止溝(52)によって前記係止用穴(30)に対して支持され、前記交換ステーション(37)において前記円盤状フレーム部(50)の半径方向に動くことかでき、
該ドリルビットホルダー(22)は、該交換ステーション(37)にない場合、少なくとも1つの保護用部材(51)によって動くことができず、
前記円盤状フレーム部(50)は、前記係止用穴(30)が前記交換ステーション(37)に対して移動するよう回転軸(29)ついて回転可能であることを特徴とするドリルビットマガジン。
【請求項3】
請求項1または2に記載のドリルビットマガジンにおいて、該マガジン(16)に格納されたドリルビット(12)は該マガジンのフレーム部(50)に対して前記ドリルビットホルダー(22)のみによって支持されることを特徴とするドリルビットマガジン。
【請求項4】
削岩において使用される交換可能なドリルビットを取り扱うドリルビットホルダーにおいて、
該ドリルビットホルダー(22)は、ドリルビット(12)の少なくとも一つの内面に接して支持され得る別個の突出形状の部品であり、
該ドリルビットホルダー(22)は、該ドリルビットホルダー(22)を取り扱い、かつ係止する把持部(38)を含むことを特徴とするドリルビットホルダー。
【請求項5】
請求項4に記載のドリルビットホルダーにおいて、
該ドリルビットホルダー(22)は長尺状のアーム(39)を含み、該アーム(39)の第1の端部には円筒形把持部(38)があり、
該把持部(38)の中心軸には長手方向の穴(54)が設けられ、該穴に対してドリルビット交換機の移送装置(18)が作用し、
該把持部(38)の外面には環状係止溝(52)が設けられ、該係止溝によって前記ドリルビットホルダー(22)を前記マガジン(16)へ係止することができることを特徴とするドリルビットホルダー。
【請求項6】
請求項4または5に記載のドリルビットホルダーにおいて、
該ドリルビットホルダー(22)は、1つの長尺状アーム(39)および少なくとも2つの支持部品(40a、40b)を含み、該支持部品は前記ドリルビット(12)の内部接続ねじ(41)に接して支持されるよう構成され、
第1の支持部品(40a)は、前記アーム(39)に対して動くことができるよう配設され、
第2の支持部品(40b)は、該アーム(3)の最外端部に該アーム(39)に対して動かないよう配設され、
第1の支持部品(40a)および第2の支持部品(40b)は、第1の支持部品(40a)に対して前記アーム(39)を動かすことによって、互いから軸方向に一定の間隔を置いて配置することができ、同様に互いに当接させて配置することができることを特徴とするドリルビットホルダー。
【請求項7】
請求項6に記載のドリルビットホルダーにおいて、
該ドリルビットホルダー(22)は、第1の支持部品(40a)と第2の支持部品(40b)との間の最大軸方向距離を定めて、取り扱われているドリルビット(12)に対応させる少なくとも1つの調節用部材(45)を含むことを特徴とするドリルビットホルダー。
【請求項8】
請求項6または7に記載のドリルビットホルダーにおいて、
第1の支持部品(40a)は、前記ドリルビット(12)の内側に配設することのできる円筒形部分と、該ドリルビット(12)の背面に当接させて配設することのできるショルダー(46)とを含むことを特徴とするドリルビットホルダー。
【請求項9】
請求項6ないし8のいずれかに記載のドリルビットホルダーにおいて、
第1の支持部品(40a)および第2の支持部品(40b)は脱着可能な部品であり、このため第1および第2の支持部品は、そのとき取り扱われているドリルビットに対応するよう交換可能であることを特徴とするドリルビットホルダー。
【請求項10】
複数の交換可能なドリルビット(12)をマガジン(16)に格納し、
ドリルロッド(11)とドリルビット(12)との間の接続を取り外し、
該取り外したドリルビット(12)を移送装置(18)によって前記マガジン(16)に運び込み、
該移送装置(18)を用いて、新しいドリルビット(12)を該マガジンから取り出して穿孔中心(C)へ運び、
ドリルロッド(11)を該新しいドリルビット(12)に接続する、削岩装置におけるドリルビット交換方法において、
各ドリルビット(12)の内側に、前記マガジン(16)とは別個の部品である突出形状のドリルビットホルダー(22)を配設し、
交換すべき各ドリルビット(12)を、移送および格納する際、該ドリルビットホルダー(22)に対して作用することのみによって取り扱い、
前記ドリルロッド(11)と該ドリルビット(12)とを互いに連結する前に、該ドリルビットホルダー(22)を該ドリルビット(12)から取り出すことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記ドリルビットホルダー(22)を、前記ドリルビット(12)の穴(23)の内部接続ねじ(41)に対して支持することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載の方法において、
前記マガジンに、外寸および形状が互いに異なる少なくとも複数のドリルビット(12)を同時に格納し、
該さまざまなドリルビット(12)を、互い類似したドリルビットホルダー(22)によってマガジン(16)内へ支持することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【公表番号】特表2011−525578(P2011−525578A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515496(P2011−515496)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/FI2009/050510
【国際公開番号】WO2009/156575
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】