説明

ドープ調製方法及び装置並びに溶液製膜方法

【課題】ポリマーと溶媒とからなるドープを均一に加熱し、ドープの濃度や粘度を安定化させる。
【解決手段】熱交換器からなる第1加熱器56に熱媒体として、水蒸気53または水54のいずれかを通して、ドープを加熱する。ドープ流量に基づき単位面積当たりの熱交換量を求め、これに基づき用いる熱媒体を決定する。単位面積当たりの熱交換量が1(J/m/s)以上のときに、水蒸気53によりドープを加熱する。単位面積当たりの熱交換量が1(J/m/s)未満のときに、97℃以下の水54によりドープを加熱する。ドープが低流量のときに水蒸気による加熱を行うことがなくなる。ドレインが熱交換器に滞留するストール現象に起因するウォーターハンマの発生を抑えることができ、ドープを均一に加熱することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーを溶媒に溶解させたドープを調製するドープ調製方法及び装置並びに溶液製膜方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
セルロースエステル、特に57.5%〜62.5%の平均酢化度を有するセルローストリアセテート(以下「TAC」という)から形成されるフィルムは、光学等方性に優れていることから、近年市場が拡大している液晶表示装置の偏光板の保護フィルム等に用いられている。
【0003】
TACフィルムの製造方法としては、例えば特許文献1に記載されているように、溶液製膜方法が良く知られている。溶液製膜方法は、溶融製膜方法などの他の製造方法と比較して、光学的性質などの物性に優れたフィルムを製造することができる。溶液製膜方法では、まずジクロロメタンや酢酸メチルを主溶媒とする混合溶媒に、ポリマー及び、紫外線吸収剤(UV剤)、マット剤、レタデーション制御剤、可塑剤等の各種添加剤を混合してドープ(ポリマー溶液)を調製する。次いで、ドープを流延ダイから支持体上に流延して流延膜を形成する。そして、流延膜が支持体上で自己支持性を有するものとなった後に、支持体から流延膜を湿潤フィルムとして剥ぎ取り、乾燥させた後に製品フィルムとしてロール形態に巻き取る。
【0004】
なお、本明細書において、ポリマーと溶媒とが混合された液をドープと総称し、単にドープというときにはポリマーと溶媒とが混合された液として用いている。また、ポリマーと溶媒との混合状態を厳密に言いたい場合には、ポリマーと溶媒との混合が完全ではないものに対して、粗溶解液または粗溶解ドープといい、分散・混合が進み、溶液製膜において異物などが発生しない程に溶解した状態を原料ドープという。また、原料ドープに必要な添加剤を添加したものも、流延ドープという。
【0005】
ところで、ドープを調製する際には濾過を行い、ドープ内の異物を除去している。また、異物を除去する際に、ドープ中に未溶解物が残っていると、濾過負荷が高くなるため、例えば特許文献1では、セルローストリアセテートを溶媒に溶解させてセルローストリアセテートのうち50〜90重量%が溶媒に溶解した粗溶解液を作り、次にこの粗溶解液を送液しながら加熱しセルローストリアセテートの溶解を促進させてドープを調製している。
【0006】
また、特許文献2では、未溶解物の発生を抑えるために、ドープの送液ポンプの出口側に熱交換器を設け、送液ポンプ入口と熱交換器の出口の温度を適切な範囲に調製するように、熱交換器で冷却している。
【0007】
また、熱交換器内の粗溶解液やドープに温度分布が生じると、溶解に支障をきたす場合がある。特許文献3では、これを解消するために、熱交換器下流側にスタティックミキサを取り付けて、ドープの温度を調製し温度分布が均一になるように攪拌している。
【特許文献1】特開2003−221449号公報
【特許文献2】特開2008−38106号公報
【特許文献3】特開2005−48103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように、熱交換器によるドープの加熱温度をどの範囲へもっていくかということに関して、溶解の観点からの提案はなされているものの、上記の各方法によっても、ドープの濃度または粘度が一定値から振れてしまい、一定に保つことが困難になる場合があり、問題になっていた。ドープの濃度または粘度が一定値から振れてしまうと、例えば濾過器の圧力変動や圧力差圧が変動し易くなり、均一かつ品質の高いドープを安定的に供給することができなくなる。
【0009】
また、熱交換器は、最大負荷に合わせた形で処理能力を設計している。熱交換器の伝熱面積は装置固有であって一定であり、可変ではないのに対し、ドープ流量は製膜設備の稼働状態によって変動することがある。特に、近年の製膜における多品種化の要請に応えるためには、同一の製膜設備にて、多数の品種のフィルムを製造する必要がある。また、製膜速度も一定ではなく多様であり、これによりドープの製造速度も一定ではなく多様である。したがって、熱交換器に流れるドープの流量も変化するために、熱負荷が運転状態によって変化する。例えば、ドープの流量が低下したときにこれに対応するために、供給水蒸気の温度や圧力を低下させてしまうと、トラップの作動差圧がなくなり、ドレインの抜けが悪くなって、凝縮水が熱交換器内に滞留し、滞留ドレインと水蒸気が接触して水蒸気が急凝縮するウォーターハンマが発生する。このウォーターハンマが発生した部分では他の部分に比較して温度が低下するため、ドープの温度分布が不均一になることがある。
【0010】
本発明は上記課題を解決するためのものであり、ドープ濃度や粘度を安定化させて均質なドープを調製することができるドープ調製方法及び装置並びに溶液製膜方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、加熱媒体が送られた熱交換器に、溶媒とポリマーとを含む液を通し、前記加熱媒体により前記液を加熱し、ドープを調製するドープ調製方法において、前記液の前記熱交換器による加熱に際し、前記熱交換器の単位面積当たりの熱交換量が一定値以上のときに、前記加熱媒体として水蒸気を用い、前記一定値未満のときに前記加熱媒体として水を用いることを特徴とする。また、本発明は、溶媒とポリマーとを混合させて粗溶解液をつくる粗溶解液作成工程と、加熱媒体が送られた熱交換器を用いて前記粗溶解液を加熱しドープを得る加熱工程と、前記熱交換器の単位面積当たりの熱交換量が一定値以上のときに前記加熱媒体として水蒸気を用い、前記一定値未満のときに前記加熱媒体として水を用いる加熱媒体切替工程とを有することを特徴とする。
【0012】
前記単位面積当たりの熱交換量は、熱交換時の熱交換量/伝熱面積の一定時間当たりの平均値であり、前記一定値は1(J/m/s)であることが好ましい。また、前記水の温度は30℃以上97℃以下であることが好ましい。更に、前記加熱工程後にフラッシュ濃縮法により前記ドープにおける前記ポリマーの濃度を上昇させることが好ましい。加えて、前記ポリマーがセルロースアシレートであることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、上記のドープ調製方法によりドープを調製するドープ調製工程と、前記ドープを流延ダイにより支持体上に流延し、前記支持体上に流延膜を形成する流延工程と、前記流延膜に自己支持性を付与して前記流延膜を前記支持体から湿潤フィルムとして剥がす剥ぎ取り工程と、前記湿潤フィルムを乾燥させる乾燥工程とを有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明のドープ調製装置は、溶媒及びポリマーを含むポリマー液を調製するポリマー液調製ユニットと、加熱媒体を用いて前記ポリマー液を加熱する熱交換器と、前記熱交換器における単位面積当たりの熱交換量が一定値以上のときに前記加熱媒体として水蒸気を前記熱交換器に送り、前記一定値未満のときに前記加熱媒体として水を前記熱交換器に送る加熱媒体切替ユニットとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、熱交換器による加熱に際し、熱交換器の単位面積当たりの熱交換量が一定値以上のときに、加熱媒体として水蒸気を用い、前記一定値未満のときに加熱媒体として水を用いるから、前記熱交換量が一定値未満のときに水蒸気を使用することがなく、ウォーターハンマの発生を抑えることができる。これにより、ドープの温度分布が不均一になることがなく、ポリマー濃度や粘度が一定となる均質なドープが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1に示すように、溶液製膜設備10は、ドープ調製装置11、流延装置12、乾燥装置13及び巻き取り装置14を有している。
【0017】
ドープ調製装置11は、攪拌部15、溶解部16、濾過部17、フラッシュ濃縮部18、貯留部19、及び添加剤直前添加部20を有している。攪拌部15は、攪拌タンク21、貯留タンク22、溶媒投入部23、ポリマー投入部24、添加剤投入部25、コンデンサ26、ポンプ27、コントローラ29を有している。
【0018】
攪拌タンク21は、タンク本体21a、攪拌羽根21b、攪拌モータ21c、及びジャケット21dを有する。コンデンサ26は攪拌タンク21に接続されている。コンデンサ26は、攪拌タンク21で蒸発した溶媒を凝縮し、これを回収する。回収された溶媒は、ドープ調製などに再利用される。
【0019】
溶媒投入部23は、溶媒30が入れられた溶媒タンク31と、計量ポンプ32と、三方切替弁33とを備えており、溶媒30を所定量分だけ計量ポンプ32により攪拌タンク21に送ることができる。三方切替弁33は、溶媒30を直接に攪拌タンク21に送る配管34と、コンデンサ26を介して溶媒30を攪拌タンク21に送る配管35とに選択的に切り替える。
【0020】
ポリマー投入部24は、粉末状のポリマー40が入れられた第1ポリマーサイロ42及び第1送り出し機43と、チップ状ポリマー45が入れられた第2ポリマーサイロ46及び第2送り出し機47とを備えている。各送り出し機43,47は、ポリマー40,45を連続的に送り出す。この送り出し機43,47は計量機能を備えており、ポリマー40,45の送り出し量を計量することができる。また、ポリマー投入部24は、図示は省略したが、加熱器を備えている。加熱器は、例えば乾燥風を送風することにより、ポリマー40,45を所定の温度、例えば80℃に加熱し、ポリマー40,45に含まれる水分量を乾燥により所定範囲以下、例えば2%以下にする。これにより、ドープ調製時の水分量を所定範囲内に制御することができる。なお、ポリマー40,45の温度は前記タンク本体21aの内部温度をT1としたときに、T1+20℃以上T1+100℃以下であることが好ましい。T1+20℃以上とすることにより、ポリマーが膨張しやすく溶解しやすくなる。また、T1+100℃以下とすることにより、ポリマー自体の分解を抑制することができ、品質を維持することができる。
【0021】
添加剤投入部25は、各種添加剤が混合された添加剤液50を収納する添加剤タンク51と計量ポンプ52とを備えており、添加剤液50を所定量分だけ計量ポンプ52により攪拌タンク21に送ることができる。
【0022】
本発明に係るポリマー40,45は特に限定されず、溶液製膜方法に適用可能であれば良い。この中で、セルロースアシレートを使用すれば、透明度が高く、光学特性に優れたフィルムを得ることができるので、偏光板用の保護フィルムや光学補償フィルム等の光学用途として好適である。中でも、セルロースアセテートを使用し、特にアセチル化度の平均値が57.5%〜62.5%のセルローストリアセテートを使用すれば、光学特性に優れたフィルムを得ることができる。上記のアセチル化度とは、セルロース単位重量当りの結合酢酸量を意味し、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験方法)におけるアセチル化度の測定および計算に従って求めることができる。
【0023】
なお、粉末状のTACを使用する場合には、溶媒との相溶性の観点から、その90重量%以上が0.1〜4mmの粒径であることが好ましく、より好ましくは粒径が1〜4mmである。また、フィルム小片からなるTACチップを使用する場合には、同じく溶媒との相溶性の観点から、平均サイズが5mm以上100mm以下のものを使用することが好ましく、より好ましくは10mm以上50mm以下のものがよく、特に好ましくは15mm以上20mm以下のものがよい。
【0024】
溶媒30は、ハロゲン化炭化水素、エステル類、ケトン類、エーテル類、アルコール類等が好適であるが特に限定されず、使用するポリマーとの溶解性等を考慮して適宜選択すれば良い。溶媒30は1種類の化合物であっても良いし、複数の化合物を混合した混合溶媒でも良い。具体的には、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン等)、エステル類(例えば、酢酸メチル、メチルホルメート、エチルアセテート、アミルアセテート、ブチルアセテート等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(例えば、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル等)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール等)等が挙げられる。なお、溶媒30は新規製品の他に、溶液製膜設備の洗浄などに用いたリサイクル液を用いてもよい。
【0025】
各投入部23〜25から攪拌タンク21内に投入された溶媒30、ポリマー40(またはポリマー45)、及び添加剤液50は、攪拌羽根21bにより攪拌される。攪拌羽根21bは攪拌モータ21cによって回転される。この攪拌によって、ポリマー40などの溶質が溶媒30には完全には溶けていない粗溶解液55が得られる。ジャケット21dはタンク本体21a内の粗溶解液55を所定の温度範囲に維持する。なお、攪拌羽根21bの形状や攪拌方法は特に限定されず、効率良く攪拌することができるものであればよい。
【0026】
攪拌タンク21内の粗溶解液55は、ポンプ27により貯留タンク22に送られて一旦貯留される。これにより攪拌タンク21は空になり、粗溶解液55を繰り返し形成する連続バッチ式が可能になる。貯留タンク22は、タンク本体22a、攪拌羽根22b、攪拌モータ22c、及びジャケット22dを有し、粗溶解液55の貯留と攪拌とを行う。この攪拌により粗溶解液55が攪拌され、均一にされる。
【0027】
貯留タンク22内の粗溶解液55はポンプ28を介して、溶解部16の第1加熱器56に送られる。第1加熱器56は、例えば多管式熱交換器から構成されている。この第1加熱器56には、熱媒体切替装置57が接続される。
【0028】
図2に示すように、熱媒体切替装置57は、粗溶解液55の流量に応じて熱媒体としての水蒸気53または水54を切り替えて効率のよい加熱処理を行う。このため、熱媒体切替装置57は、水蒸気供給部58と水供給部59と切替バルブ60,61とを有し、これらはコントローラ29によって制御される。コントローラ29には図示しないシステムコントローラから、品種切り替えに際して、ドープ組成データやドープ流量が入力されている。コントローラ29は、ドープ流量に基づき第1加熱器56に熱媒体として水蒸気53を供給するか水54を供給するかを決定する。そして、この決定に基づき切替バルブ60,61を開閉して、決定した熱媒体を第1加熱器56に送り込む。
【0029】
水蒸気供給部58は予め設定されている温度の水蒸気53を供給する。水供給部59も予め設定されている温度の水54を供給する。水蒸気53の温度は、100℃以上250℃以下であることが好ましく、150℃以上200℃以下であることがより好ましい。水蒸気53の温度が100℃未満の場合には、凝縮が起こりやすくなる結果、安定した温度制御が困難となるため好ましくない。一方、水蒸気53の温度が250℃を超えると、水蒸気53の圧力が高くなりすぎるため好ましくない。水54の温度は、30℃以上97℃以下であることが好ましく、70℃以上95℃以下であることがより好ましい。水54の温度が70℃未満の場合には、ポリマーの溶媒への溶解が困難になる結果、ドープを得ることや、フラッシュ濃縮法においてドープ中のポリマー濃度を増大させることが困難となるため、好ましくない。一方、水54の温度が97℃を超えると、キャビテーションが発生しやすくなるため好ましくない。
【0030】
このような熱媒体切替装置57によって、ドープの流量に応じて最適な熱媒体が第1加熱器56に供給されるため、第1加熱器56では、ドープ流量に応じて、ドープを効率良く加熱することができる。しかも、ドープの低流量時に水蒸気加熱をすることがなくなるため、ウォーターハンマの発生が抑えられる。これにより、ウォーターハンマに起因する温度低下部分の発生がなくなり、ドープを均一に加熱することができる。
【0031】
第1加熱器56によるドープの加熱温度は、50〜120℃が好ましく、より好ましくは60〜90℃であり、加熱時間は5〜30分が好ましい。この加熱により、溶液製膜に必要なポリマー40などの溶質は変性することなく完全に溶解し、原料ドープ62が調製される。このようにして調製される原料ドープ62は、セルロースエステルの固形分濃度として14〜24重量%にされる。なお、必要に応じて多管式熱交換器の出口側に、静止型混合器などのインラインミキサを設けてもよい。
【0032】
第1加熱器56により加熱された原料ドープ62は、冷却器63に送られる。冷却器63によって原料ドープ62を構成する主要溶媒の沸点以下にまで冷却される。冷却された原料ドープ62は濾過部17に送られる。なお、必要に応じて、冷却器63は複数段設置してもよい。
【0033】
濾過部17は、切り替えて使用するための複数のフィルタ本体65a〜65dやこれらフィルタ本体65a〜65dの洗浄装置(図示せず)、ポンプ17aなどを備えている。そして、一方のフィルタ本体65a,65bで濾過を行っているときに、他方のフィルタ本体65c,65dの洗浄や交換を行う。これにより、原料ドープ62の連続濾過を可能にしている。濾過方式は特に限定されない。
【0034】
濾過後の原料ドープ62は、フラッシュ濃縮部18に送られる。フラッシュ濃縮部18では、周知のフラッシュ濃縮法によりドープ中のポリマー濃度を高める濃縮処理を行う。フラッシュ濃縮部18は、原料ドープ62を加熱する第2加熱器66と、フラッシュ濃縮を行うフラッシュタンク67とを有する。第2加熱器66も第1加熱器56と同様に構成されており、熱媒体切替装置69を有する。この熱媒体切替装置69によって、第1加熱器56と同様に、熱媒体を用いて、原料ドープ62が均一に加熱される。この熱媒体は、ドープ流量に応じて水蒸気と水とのうちいずれか一方が熱媒体として選択される。したがって、フラッシュタンクに送られるドープの温度にブレがなく、一定温度のドープがフラッシュ濃縮されるため、濃縮後のドープのポリマー濃度を一定にすることができる。そして、フラッシュ濃縮後のドープは、貯留タンクからなる貯留部19に貯留される。なお、フラッシュ濃縮部18は省略してもよい。
【0035】
貯留部19に貯留された原料ドープ62は添加剤直前添加部20に送られる。なお、貯留部19のポンプ19aの下流であって、添加剤直前添加部20のスタティックミキサの上流の任意の位置に、脱泡タンク19bが設けられている。脱泡タンク19bでは、原料ドープ62を所定時間滞留させて脱泡する。これにより原料ドープ62中の気泡量を低減することができる。なお、脱泡タンク19bを設ける代わりに、貯留部19の貯留タンクで脱泡を行ってもよい。
【0036】
添加剤直前添加部20は、図示は省略したが、添加剤液供給部、添加ノズル、スタティックミキサ、及び濾過器を備えており、原料ドープ62中に添加ノズルを介して各品種に必要な添加剤液を添加する。この流延ダイ70(図3参照)の直前で添加する添加剤は、少量添加のものや、ドープ調製の初期段階で添加すると固まりとなって異物になってしまうものが好ましく用いられる。スタティックミキサは添加剤液を原料ドープ62に均一に分散させて、流延ドープ68を調製する。
【0037】
なお、添加剤直前添加部20で添加剤を添加する代わりに、攪拌タンク21で必要な添加剤液を全て混合してもよく、この場合には添加剤の流延ダイ直前添加は省略してもよい。また、攪拌タンク21では、添加剤を添加することなく、この添加剤直前添加部20により必要な添加剤を添加してもよい。
【0038】
図3に示すように、流延装置12は、流延ダイ70と、走行支持体としてのドラム71とを有している。また、乾燥装置13は、テンタ75とローラ乾燥機76とを備えている。巻き取り装置14は、カッタ77及び巻き取り部78を備えている。なお、溶液製膜設備10には、支持用あるいは搬送用のローラ79が必要に応じて適宜備えられ、このローラ79がフィルム80を支持、あるいは搬送する。図1においては、煩雑さを避けるために、用いたローラのうち、一部のみを図示している。
【0039】
流延ドープ68は流延ダイ70からドラム71の周面に向けて吐出される。ドラム71には駆動制御手段(図示せず)が設けられており、この駆動制御手段によりドラム71が所定速度で回転する。ドラム71の周面に吐出した流延ドープ68は、ドラム71の周面上で流延膜となる。この流延膜は、ドラム71が1回転する前に、例えば冷却によりゲル化し自己支持性をもつようになる。なお、支持体としては、ドラム71に代えてバンドを使用することもあり、また、自己支持性の付与も冷却ゲル化の他に乾燥によるものもある。
【0040】
自己支持性をもった流延膜は、フィルム80としてローラにより剥ぎ取られて、さらに下流の工程へ搬送される。剥ぎ取られたフィルム80は、テンタ75に送られ、ここで、幅を規制され、かつ、延伸されながら乾燥される。テンタ75では、複数設けられたピンクリップ(図示せず)が、フィルム80の両側端部(耳部)を保持しながらテンタ軌道(図示せず)に従って走行する。このピンクリップの走行によりフィルム80は搬送されながら、必要に応じて幅方向に延伸が行われる。なお、乾燥によって自己支持性を付与した場合には、耳部は十分な強度を有するので、ピンクリップの代わりに把持クリップ等を用いる場合もある。この場合には、把持クリップは、コントローラ(図示せず)により開閉を自動制御され、この開閉によりフィルム80の保持と保持解除とを制御する。フィルム80を保持したピンクリップは、テンタ75の内部で走行し、その出口付近の所定の保持解除点に到達するとフィルムの保持が解除される。
【0041】
テンタ75を出たフィルム80は、支持あるいは搬送用のローラ79により次工程であるローラ乾燥機76へ送られて、ここで複数のローラ76aにより支持あるいは搬送されながら十分に乾燥される。十分に乾燥された後のフィルム80は、カッタ77により耳部が切断除去され、製品として巻き取り部78で巻き取られる。また、ローラ乾燥機76における搬送を安定化させるために、ピンクリップでの保持により変形した部分を含むフィルム80の耳部が、ローラ乾燥機76内部へ送る前に切断除去される。
【0042】
次に、ドープ調製装置11におけるドープの調製手順を説明する。コントローラ29は、図4に示す処理手順に従いドープを調製する。先ず、バッチ方式で調製する総量に基づき、溶媒30の分配投入量が決定され、これに基づき第1分配量で溶媒30が攪拌タンク21に投入される。次に、モータ21cが回転して、攪拌羽根21bを回転させ、攪拌が開始される。
【0043】
次に、ポリマー投入部24により、ポリマー40が所定の第1投入速度、例えば180kg/分で連続的に投入される。ポリマー投入部24では、加熱器から乾燥風を送風することにより、ポリマーを所定の温度、例えば80℃に加熱し、その含水分量を所定の範囲内に調整している。攪拌タンク21にポリマー40を投入し溶媒30に溶解させる途中では、加熱されたポリマー40による溶媒の温度上昇や、分散による温度上昇によって攪拌タンク21の内圧が上昇する。また、粉末またはチップ状のポリマー40,45を連続的に攪拌タンク21内に投入しているため、攪拌タンク21内でポリマー40,45が乱舞する。この乱舞は、攪拌タンク21の内圧増大に伴い増長し、タンク本体21aの内壁に付着したり、コンデンサ26に侵入したりしてしまう。これら内壁に付着し、またはコンデンサ26に侵入したポリマー40,45はドープ調製用に利用することができないため、目標とする調製濃度に達することができない。しかも、付着量を予測することは困難であるため、調製濃度を一定範囲内に精度よく保つことが困難となる。
【0044】
特に、攪拌タンク21では、タンク本体21a内を減圧状態にするように、コンデンサ26側に向けて蒸発した溶媒を吸引しているため、コンデンサ26にポリマーが流出してしまう傾向が強い。更に、この流出分によって、目標とする調製濃度が得られなくなる他に、コンデンサ26の内壁に付着したポリマー40,45によって溶媒30の凝集効率も低下する。
【0045】
このため、攪拌タンク21には内圧測定用の圧力計21eが取り付けられており、この圧力計21eに基づきポリマー40,45の投入速度が決定される。そして、圧力計21eの測定圧力が、ポリマー乱舞限界値、例えば1kPaに達したときに、ポリマー40,45の投入速度を現行の投入速度の半分以下の低速投入速度に切り替える。これにより、攪拌タンク21内の内圧が低下し、ポリマー40,45の乱舞による弊害の影響が抑えられる。すなわち、ポリマー40,45の乱舞が所定の範囲内で抑えられるため、ドープ調製時のポリマー濃度の低下を防止することができる。ここで、ポリマー乱舞限界値は、予め、タンク本体21aの容量、調製総量やポリマー投入量に応じて予め実験等により求められるものであり、この内圧範囲内にしておくことで、ポリマー乱舞による壁面などへのポリマー付着が最小限に抑えられる。
【0046】
以下、ポリマー40,45の投入が完了するまで、攪拌タンク21の内圧を測定し、この測定した内圧が設定値である1kPaを超えたときに、現行の投入速度よりも半分程度の低投入速度に切り換えて、内圧がポリマー乱舞限界値である1kPaを超えることがないようにコントローラ29により制御する。これにより、タンク本体21aの内壁へのポリマー40,45の付着や、コンデンサ26へのポリマー40,45の流出を抑えることができ、ポリマー濃度をほぼ一定に保つことができる。
【0047】
以上のようにして、1バッチ分のポリマー総量分の投入を終了した後に、残りの溶媒を投入して、攪拌を続行する。これにより、ポリマー濃度の低下を招くことなく精度よく粗溶解を行うことができる。残りの溶媒投入は、三方切替弁33を切り替えて、配管35を介してコンデンサ26を経由して攪拌タンク21に送るようにすることで、コンデンサ26内に侵入したポリマー40,45を洗い流して、攪拌タンク21に戻すことができる。
【0048】
なお、前記溶媒30の分配投入における1回目の投入量をV1、2回目の投入量をV2としたときに、分配比(V1/V2)が1以上16以下であることが好ましい。分配比が1より小さいと、初期に投入される溶媒が少なく、濃度が上がり過ぎて、ポリマー40がダマに成りやすく好ましくない。また、分配比が16を超えると、2回目の溶媒投入量が少なくなり、コンデンサ26内のポリマー40,45を洗浄する効果が得られなくなり、好ましくない。
【0049】
また、溶媒30を2回に分配しているが、分解回数は2回以上であればよい。溶媒投入タイミングも、全てのポリマーを投入した後に行う必要はなく、ポリマーの投入中に溶媒を分散して投入してもよい。また、コンデンサ26を介して残りの溶媒30を分散投入する他に、タンク本体21aの内壁に付着したポリマーを洗い流すように、タンク本体21aに対し、残りの溶媒30を分散させて投入してもよい。
【0050】
また、粉末状のポリマー40に代えて、チップ状ポリマー45を用いる場合には、ポリマーサイロ46及び送り出し機47を用いて、チップ状ポリマー45の送り出しが行われる。
【0051】
図1に示すように、貯留タンク22に貯留された粗溶解液55は、ポンプ28を介して第1加熱器56、冷却器63、濾過部17に送られ、加熱とその後に冷却、濾過が行われて、より均質な原料ドープ62が調製される。
【0052】
原料ドープ62は、第2加熱器66及びフラッシュタンク67を有するフラッシュ濃縮部18によって、均質化、高濃度化された後に、貯留部19に貯留される。貯留部19では脱泡が行われる。次に、貯留部19の原料ドープ62は、添加剤直前添加部20に送られて、品種ごとに最適な添加剤液が添加されて、流延ドープ68となる。
【0053】
図2及び図5に示すように、第1加熱器56及び第2加熱器66では、原料ドープ62の流量に応じて熱媒体を切り替える。先ず、コントローラ29はドープ流量Qを取得する。ドープ流量Qは、フィルム品種や製品膜厚に応じて予め決定されるものであり、このドープ流量Qとその変更タイミングをシステムコントローラから取得する。品種切替などでドープが新たな新品種用に切り替えられる場合には、この新品種に合わせて、用いる各種添加剤の種類及びその量が決定される。ドープ調製装置11では、この新品種に適合するドープを作成し、これを流延装置12に送る。
【0054】
熱媒体切替装置57では、ドープの処方切替タイミングの際に、ポンプ28で溶解部16から送り出す粗溶解液55の流量を調節し、新処方のドープ流量とする。このドープ流量の変更があるときに、単位面積当たりの熱交換量Wを算出する。単位面積当たりの熱交換量Wは、熱交換時の熱交換量/伝熱面積から求めることができる。すなわち、単位面積当たりの熱交換量Wは、ドープの流量をQ(m/s)とし、ドープの比熱をCp(J/m・K)とし、温度差(出口温度T2−入口温度T1)をΔT(K)とし、熱交換器のドープと熱媒体との間の伝熱面積をA(m)としたときに、[(Q・Cp・ΔT)/A](J/m/s)から求めることができる。なお、伝熱面積Aとしては特に制限はないが、工業ベースの溶液製膜設備においては10〜150mが好ましく、より好ましくは20〜120mである。
【0055】
また、熱媒体として水蒸気53を用いるか水54を用いるかの判定値Wjは、本実施形態では、1(J/m/s)としている。これは、1未満のときに水蒸気加熱によりドープを加熱すると、ウォーターハンマ現象により熱交換器の伝熱部分の一部に低温度領域が発生し、これに起因して、ドープの加熱を均一に行うことができないことによる。
【0056】
この熱交換量Wが判定値Wj以上のときに、熱媒体として水蒸気53を選択し、水蒸気53を第1加熱器56に送り、ドープを水蒸気53により加熱する。本実施形態では判定値Wjが1(J/m/s)以上のときには、水蒸気加熱の方が温度分布にむらがなく、ドープを均一に加熱することができる。また、単位当たりの熱交換量Wが1(J/m/s)未満のときには、第1加熱器56に水54を供給し、水を用いた加熱(以下温水加熱と称する)を行うことにより、水蒸気加熱よりも温度分布にむらがなく、ドープを均一に加熱することができる。なお、判定値Wjは、熱交換器の種類やその材質などで若干異なるが、概ねこの1(J/m/s)を適用することができる。
【0057】
上記実施形態では、システムコントローラでの品種切替指令に基づき、その品種切替タイミング及びドープ流量に基づき第1加熱器56及び第2加熱器66における熱媒体を切り替えているが、システムコントローラからの品種切り替え指令に基づく他に、ドープの流量を流量計で逐次測定し、この測定した流量から一定時間当たりの平均値を求めることにより、熱媒体の切り替えを行ってもよい。この場合には、ドープ流量平均値に基づき、単位面積当たりの熱交換量Wの算出を行い、この熱交換量Wと判定値とに基づき、水蒸気加熱か温水加熱かの切り替えを行ってもよい。なお、水54から水蒸気53、または水蒸気53から水54への切り替え時には、内部に溜まっているドレインや水滴を排除するためにエアブローすることが好ましい。
【0058】
上記実施形態では、第1及び第2加熱器56,66として、多管式熱交換器を用いたが、熱交換機能を有するものであればよい。例えば、この他に、スパイラル式熱交換器、プレート式熱交換器を用いてもよい。スパイラル式熱交換器は、中央部に配置され、相対する半円筒部(骨組みとしても機能する)を軸として、所要の伝熱面積を有する長い伝熱板を渦巻き状に巻き、二つの渦巻き状の流路を形成させたものである。汚れにくくコンパクト性に優れ、高性能である特徴を有する。また、プレート式熱交換器は、金属板をプレス加工したものを、パッキンを間に挟み重ね合わせて構成したものであり、交互に冷却媒体と加熱媒体とを流す流路があり、分解清掃・処理能力の変更が行い易いという特徴を有する。
【0059】
上記実施形態では、熱媒体として、水蒸気53及び水54を用いたが、これに限られず、他の熱媒体を用いてもよい。また、複数の熱媒体を組み合わせて用いてもよい。さらには、水、水蒸気、他の溶液などの温度条件が異なる3種類またはそれ以上の種類を用いてもよい。
【実施例】
【0060】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0061】
[実施例1]
第1加熱器56に対し、セルローストリアセテートドープの流量を65L(リットル)/minとして供給した。第1加熱器56におけるドープの加熱温度を、35℃から90℃に上げた。第1加熱器56における伝熱面積は85mであり、熱媒体として126℃水蒸気、300kg/hrを用いた。単位面積当たりの熱交換量が1以上のときに、熱媒体として水蒸気を用いたものであり、第1加熱器56の出口温度は、90±0.5℃の範囲内に制御することができた。なお、ドープの比熱は、0.35kcal/kg/℃、比重は1.22であった。
【0062】
[実施例2]
実施例1に対し、ドープ流量の55L/minとし、熱媒体として97℃の水、50000kg/hrとした以外は、実施例1と同じ条件とした。単位面積当たりの熱交換量が1未満のときに、熱媒体として水を用いたものであり、第1加熱器の出口温度は、90±0.5℃の範囲内に制御することができ、実施例1と同じ結果が得られた。
【0063】
[比較例1]
実施例1に対し、熱媒体として97℃の水、50000kg/hrとした以外は、実施例1と同じ条件とした。単位面積当たりの熱交換量が1以上のときに、熱媒体として水を用いたものであり、第1加熱器の出口温度は、90±2℃の範囲内になった。温度の触れ幅が大きくなったことが判る。
【0064】
[比較例2]
実施例2に対し、熱媒体として126℃水蒸気、300kg/hrとした以外は、実施例2と同じ条件とした。単位面積当たりの熱交換量が1未満のときに、熱媒体として水蒸気を用いたものであり、第1加熱器の出口温度は、90±3℃の範囲内になった。温度の触れ幅が大きくなったことが判る。
【0065】
[比較例3]
実施例2に対し、熱媒体として98℃の水、49000kg/hrとした以外は、実施例2と同じ条件とした。単位面積当たりの熱交換量が1未満のときに、熱媒体としてやや温度の高い水を用いたものであり、熱交換器内で蒸発によるキャビテーションが発生し、局部的に温度分布が不均一になった結果、第1加熱器の出口温度は、90±3℃の範囲内になった。温度の触れ幅が大きくなったことが判る。
【0066】
[実施例3]
第2加熱器66に対し、セルローストリアセテートドープの流量を65L(リットル)/minとして供給した。第1加熱器56におけるドープの加熱温度を、35℃から90℃に上げた。第1加熱器56における伝熱面積は85mであり、熱媒体として126℃水蒸気、300kg/hrを用いた。第1加熱器56の出口温度は、90±0.5℃の範囲内に制御することができた。なお、ドープの比熱は、0.35kcal/kg/℃、比重は1.22であった。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明を実施する溶液製膜設備のドープ調製装置を示す概略図である。
【図2】熱媒体切替装置を示す概略図である。
【図3】溶液製膜設備の流延装置、乾燥装置、及び巻き取り装置を示す概略図である。
【図4】本発明の攪拌工程の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の熱媒体切り替えの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
10 溶液製膜設備
11 ドープ調製装置
12 流延装置
18 フラッシュ濃縮部
21 攪拌タンク
22 貯留タンク
56 第1加熱器
66 第2加熱器
62 原料ドープ
68 流延ドープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱媒体が送られた熱交換器に、溶媒とポリマーとを含む液を通し、前記加熱媒体により前記液を加熱し、ドープを調製するドープ調製方法において、
前記液の前記熱交換器による加熱に際し、前記熱交換器の単位面積当たりの熱交換量が一定値以上のときに、前記加熱媒体として水蒸気を用い、前記一定値未満のときに前記加熱媒体として水を用いることを特徴とするドープ調製方法。
【請求項2】
溶媒とポリマーとを混合させて粗溶解液をつくる粗溶解液作成工程と、
加熱媒体が送られた熱交換器を用いて前記粗溶解液を加熱しドープを得る加熱工程と、
前記熱交換器の単位面積当たりの熱交換量が一定値以上のときに前記加熱媒体として水蒸気を用い、前記一定値未満のときに前記加熱媒体として水を用いる加熱媒体切替工程とを有することを特徴とするドープ調製方法。
【請求項3】
前記単位面積当たりの熱交換量は、熱交換時の熱交換量/伝熱面積の一定時間当たりの平均値であり、前記一定値は1(J/m/s)であることを特徴とする請求項1または2記載のドープ調製方法。
【請求項4】
前記水の温度は30℃以上97℃以下であることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載のドープ調製方法。
【請求項5】
前記加熱工程後にフラッシュ濃縮法により前記ドープにおける前記ポリマーの濃度を上昇させることを特徴とする請求項2から4いずれか1項記載のドープ調製方法。
【請求項6】
前記ポリマーがセルロースアシレートであることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載のドープ調製方法。
【請求項7】
請求項1から6いずれか1項記載のドープ調製方法により前記ドープを調製するドープ調製工程と、
前記ドープを流延ダイにより支持体上に流延し、前記支持体上に流延膜を形成する流延工程と、
前記流延膜に自己支持性を付与して前記流延膜を前記支持体から湿潤フィルムとして剥がす剥ぎ取り工程と、
前記湿潤フィルムを乾燥させる乾燥工程と
を有することを特徴とする溶液製膜方法。
【請求項8】
溶媒及びポリマーを含むポリマー液を調製するポリマー液調製ユニットと、
加熱媒体を用いて前記ポリマー液を加熱する熱交換器と、
前記熱交換器における単位面積当たりの熱交換量が一定値以上のときに前記加熱媒体として水蒸気を前記熱交換器に送り、前記一定値未満のときに前記加熱媒体として水を前記熱交換器に送る加熱媒体切替ユニットとを有することを特徴とするドープ調製装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−185022(P2010−185022A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30627(P2009−30627)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】