説明

ナノインプリント用モールドおよびその製造方法,凹凸構造の製造方法

【課題】 パターンの微細化に対応可能なナノインプリンと用モールドおよびその製造方法ならびにそれを用いた凹凸構造の製造方法を提供する。
【解決手段】 結晶性基板11と、結晶性基板11の一主面11a上に配置された、一主面11aに平行な底面21および一主面11aに非平行な面を含む複数の結晶面22を有する突起構造20とを備えるナノインプリント用モールド10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノインプリント用モールドおよびその製造方法ならびにそれを用いた凹凸構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微細パターン形成技術として、従来の露光装置を使わずに、凹凸構造を有するモールドを基板に押し当てることで実現するナノインプリントの技術が注目されている。ナノインプリントは従来の露光装置を用いた技術に比べ、高解像度であり、優れた寸法制御性を有し、低コストである、という利点を有する。
【0003】
ナノインプリントに使用されるモールドは、石英等の基板をエッチング等により加工して凹凸構造を作ったり、基板上の樹脂膜をエッチング等により加工して凹凸構造を作ったりすることにより製造されていた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−221491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、ナノインプリントの利点を活かし、さらに微細なパターンの加工が求められている。しかしながら、従来のモールド製造方法ではこれらの要望に充分対応することは困難であった。例えば、基板をエッチング等により加工する場合には、nmオーダーの凹凸構造を形成するのは困難であり、特許文献1のように基板上に樹脂膜を形成し露光装置を用いて加工する場合には、露光装置を用いたパターン形成の解像度以上に微細な凹凸構造を形成するのは困難である。
【0006】
本発明は、上述の事情のもとで考え出されたものであって、その目的は、微細なパターン形成に対応できるナノインプリント用モールドおよびその製造方法ならびにそれを用いた凹凸構造の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のナノインプリント用モールドは、結晶性基板と、該結晶性基板の一主面上に配置された、該一主面に平行な底面および前記一主面に非平行な面を含む複数の結晶面を有する突起構造とを備える。
【0008】
また、本発明のナノインプリント用モールドの製造方法は、光透過性を有する結晶性基板の一主面上に、ファセット成長によって透光性を有する突起構造を形成するものである。
【0009】
本発明の凹凸構造の製造方法は、基板の上面に光硬化性材料からなる未硬化層を形成するA工程と、前記未硬化層に上記構成のナノインプリント用モールドの前記突起構造を押し当てるB工程と、前記ナノインプリント用モールドの前記結晶性基板側から光を照射して、前記未硬化層を硬化させて前記突起構造に対応する形状を有する凹凸層とするC工程と、前記凹凸層から前記ナノインプリント用モールドを剥離するD工程とを有するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、微細なパターンに対応できるナノインプリント用モールドおよびその製造方法ならびに凹凸構造の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るナノインプリント用モールドの1つの実施形態の概略構成を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明に係るナノインプリント用モールドの1つの実施形態の概略構成を示す模式的な断面図である。
【図3】本発明に係るナノインプリント用モールドの1つの実施形態の概略構成を示す模式的な断面図である。
【図4】(a)〜(d)はそれぞれ、本発明に係るナノインプリント用モールドの製造方法の一例を示す工程毎の断面図である。
【図5】(a)〜(d)はそれぞれ、本発明に係る凹凸構造の製造方法の各工程を説明する断面図である。
【図6】(a),(b),(c)はそれぞれ、発明に係るナノインプリント用モールドの製造方法およびナノインプリント用モールドの1つの実施形態の概略構成を示す模式的な平面図,それを用いて製造された凹凸構造を示す斜視図である。
【図7】(a),(b)はそれぞれ、本発明に係るナノインプリント用モールドを用いた凹凸構造の製造方法の一例を示す基板およびナノインプリント用モールドの一例を示す模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<ナノインプリント用モールド>
以下、本発明に係るナノインプリント用モールドの一実施形態として、ナノインプリント用モールド10を例示し、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1に示したナノインプリント用モールド10は、結晶性基板11と突起構造20とを備えている。結晶性基板11は一主面11aと他方主面11bとを有する。突起構造20は、一主面11a側に対向する底面21と、少なくとも一主面11aと非平行な面を含む結晶面22とを有する。
【0014】
結晶性基板11は、その一主面11a上に結晶面22を有する突起構造20を成長させることが可能な結晶構造を有する基材であればよい。具体的に、結晶性基板11としては、サファイア(Al)、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(ZnO),シリコンカーバイド(SiC)、シリコン(Si)、二硼化ジルコニウム(ZrB2)などの単結晶体が挙げられる。結晶性基板11の厚みとしては、100〜1000μm程度である。
【0015】
突起構造20は、結晶性基板11の一主面11a上に形成され、一主面11aと平行な底面21と、この底面21を平面視したときの外周から延びる、底面21とは非平行な結晶面22とを含む結晶体である。
【0016】
結晶性基板11上における突起構造20の成長方法としては、分子線エピタキシー(Molecular Beam Epitaxy、略称MBE)法、有機金属エピタキシー(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy、略称MOVPE)法、ハイドライド気相成長(Hydride Vapor Phase Epitaxy、略称HVPE)法、パルスレーザデポジション(Pulse Laser Deposition、略称PLD)法などが用いられる。
【0017】
突起構造20を構成する材料としては、結晶性基板11に成長させることができるよう
な結晶構造および格子定数を有するものであれば特に限定はされない。例えば、結晶性基板11としてサファイアや窒化ガリウムを用いたときには、III族窒化物半導体からなる突起構造20とすればよい。ここで、III族窒化物半導体とは、元素周期律表におけるIII族(13族)元素の窒化物から構成される半導体を意味する。半導体層2を構成するIII族窒化物半導体としては、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウム(InN)などを例示することができ、化学式で例示するとAlGaIn(1−x−y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)と表すことができる。特に窒化ガリウムは硬度が高いため、耐久性の高いナノインプリント用モールド10とすることができる。
【0018】
図1に示す例では、突起構造20の断面形状は三角形となっており、例えばGaNをファセット成長させることにより底面21に対して58°もしくは60°の角度を有するファセット成長面(22)を得ることができる。また、このような突起構造20が複数個あり、その底面21の中心23同士の間隔が一方向において底面の大きさ以上の等間隔dに配列されている。なお、ここで底面21の中心23とは、底面21の平面形状の構造体を仮定したときに、その重心となる位置をいう。
【0019】
このような突起構造20の形成位置は、詳しくは後述するように結晶性基板11上に配置された保護膜31により制御することができる。保護膜31は、突起構造20を形成する際のマスクとしても利用することができ、TiやSiOからなり、開口部を複数有している。この開口部の中心同士の間隔をdとすることにより、配置位置を制御でき、開口部の大きさにより突起構造20の大きさを制御することができる。
【0020】
このようなナノインプリント用モールド10によれば、結晶性基板11と結晶体からなる突起構造20とで構成されることから、硬度が高く、耐久性の高いものとなる。特に、サファイア,GaN(Ga面),GaN(N面)のビッカース硬度は順に22.5GPa,12.2GPa,11.2GPaであることから、結晶性基板11としてサファイアまたはGaNを用い、突起構造20がGaNからなる場合には、従来のモールド材料として用いられる石英やSi等に比べ耐久性の高いものとなる。
【0021】
また、突起構造20は、結晶成長により構成される結晶面により構成される結晶体であることから、結晶成長を制御することでナノメートルオーダーでサイズを制御することができる。これにより、パターンの微細化に対応できるものとなる。さらに、突起構造20は、結晶性基板11上に結晶成長により形成するものであることから、結晶性基板11の一主面11a上の全面に亘り、寸法,一主面11aに対する結晶面22の角度,配置間隔等の精度が優れた突起構造20を形成することができる。すなわち、広範囲に亘り高精度な突起構造20を有するナノインプリント用モールド10を提供することができる。
【0022】
さらに、ナノインプリント用モールド10によれば、結晶性基板11と結晶体からなる突起構造20とで構成されることから、樹脂等が硬化する温度に比べ融点が高いことから熱硬化タイプのナノインプリントにおいても安定して用いることができる。
【0023】
(変形例1:光透過性材料)
上述のナノインプリント用モールド10において、結晶性基板11および突起構造20を光透過性を有するものとした場合には、結晶性基板11の他方主面11bから光を透過させることができるため、光硬化型のナノインプリントにも対応できるものとなる。
【0024】
このような光透過性を有する結晶性基板11としては、サファイアやGaN等があげられる。同様に光透過性を有する突起構造20としては、突起構造20のサイズにおいて光透過性を有する材料であればよく、例えば、突起構造20がnm〜数μmオーダーの場合
には、GaNを用いることができる。
【0025】
(変形例2:突起構造)
図1に示す例では、断面形状が三角形の突起構造20を例に説明したが、外周が結晶面で構成されれば特に形状は限定されない。突起構造20の形状は、突起構造20の成長方法に依存する場合が多く、例えばファセット成長により、厚み方向における断面形状が三角形や台形のものとしたり、図2に示すナノインプリント用モールド10aのように成長方法を制御して六角形の柱状のものとしたりすることができる。図2において、突起構造20aは、平面視で六角形状の底面21aと、その六角形の各辺から底面21aと垂直に延びる、一主面11aと非平行な面22aおよび底面21aと平行な上面22bの結晶面22と、を有する。このように、結晶面22は、一主面11aと平行な面を有していてもよい。
【0026】
(変形例3:突起構造の配置)
図1に示す例では、突起構造20を複数個規則的に配置した例について説明したが、規則性なく配置してもよいし、突起構造を1つのみ有するものでもよい。
【0027】
(変形例4:結晶性基板)
図1に示す例では、一主面11aは平坦な面であるが、図3に示すナノインプリント用モールド10bのように結晶性基板11Aの一主面11aに凹部24および凸部25を設けても良い。このような凹部24および凸部25はエッチング等により形成することができる。そして、図3に示すように凸部25のみに突起構造20bを形成したり、凹部24のみに突起構造を形成したりしてもよい。このように一主面11a上に凹部24,凸部25を設けることで、突起構造20bをファセット成長などにより成長させることが容易となる。
【0028】
(変形例5:その他)
図1に示す例では、結晶性基板11に接するように突起構造20が配置されているが、両者の間にバッファ層となるような中間層を設けても良い。
【0029】
<ナノインプリント用モールドの製造方法>
次に、図3に示すナノインプリント用モールド10bを例にとり、ナノインプリント用モールドの製造方法について説明する。
【0030】
図4(a)〜(d)はそれぞれ、ナノインプリント用モールド10bの製造方法の一例を示す、工程毎の断面図である。
【0031】
(基板準備工程)
まず、結晶性基板11Aと同様の材料からなる基板110を用意する。基板110は、平面視形状が例えば四角形状などの多角形状または円形状などのものを用いることができる。基板110の厚みは、例えば1μm以上2000μm以下程度である。なお、基板11の厚みとは、基板11の第1主面110aから第2主面110bまでの厚みを指す。基板110の第1主面110aは、平坦な結晶成長面になっており、結晶面が揃っているものを用いることができる。例えば、基板110がサファイアの場合であれば、基板110の結晶面としては、A面、C面またはR面などを用いることができる。また、基板110の第1主面11aを研磨したものを用いてもよい。このような基板110の第1主面11
0aの平坦性は、表面粗さRzが例えば10nm以下に設定されている。なお、基板11の第1主面11aの表面粗さRzとしては、JIS B0601−2001に準拠した最大高さ粗
さRzを用いればよい。
【0032】
表面粗さを測定する方法としては、例えばJIS B0601−2001およびJIS B0633−2001に準拠した方法に則って触針式表面粗さ測定機を用いることができる。また、JIS R1683−2007に準拠した方法に則って原子間力顕微鏡を用いてもよい。
【0033】
このような基板110上に、図4(a)に示すように、レジスト膜50を形成し、その上にマスクパターン40を配置する。マスクパターン40は、石英などの透明体42上に開口部を有するクロム等の遮光体41が配置されている。このマスクパターン40の厚みは、レジスト膜50を構成するレジスト材料によって適宜設定すればよく、例えば0.1μm以上5μm以下に設定されている。そして、このマスクパターン40の上面から光を照射し、レジスト膜50を露光する。
【0034】
次に、図4(b)に示すように、レジスト膜50を、マスクパターン40を介して露光・現像処理を行うことで、所望のパターン形状を有するレジストパターン51とする。レジスト膜50を構成するレジスト材料としては、ネガ型、ポジ型を選択可能であるが、この例ではレジスト材料としてネガ型の材料を用いて、マスクパターン40の遮光体41の開口部と略同一形状のパターンを有するレジストパターン51を形成している。
【0035】
次に、図4(c)に示すように、レジストパターン51が形成された基板110に対してリアクティブイオンエッチング(RIE)等の手法を用いてエッチング加工を行い、基板110の第1主面110aのうちレジストパターン51から露出する領域に凹部24を形成する。凹部24の深さはエッチング条件により適宜調整できる。凹部24が所望の深さとなった後に、レジストパターン51を除去し、結晶性基板11Aを得る。
【0036】
ここで、結晶性基板11Aの一主面11aには、凹部24と凸部25とが形成されている。なお、凸部25はレジストパターン51が配置されていた領域であり、基板110の第1主面110aのうちエッチングされずに残った領域を指すものとする。
【0037】
(突起構造形成工程)
次に、図4(d)に示すように、結晶性基板11Aの凸部25上に突起構造20bを成長させる。突起構造20bは、例えばIII−V族半導体からなる材料を用いることができ
る。III−V族半導体としては、III族窒化物半導体、ガリウム燐またはガリウムヒ素などを例示することができる。III族窒化物半導体としては、ボロン、アルミニウム、ガリウ
ムまたはインジウムのうち少なくとも1つの窒化物からなる混晶を用いることができ、例えば窒化ガリウムを用いることができる。本例において、突起構造20bは窒化ガリウムから構成されており、その屈折率は、例えば1.8以上2.7以下に設定される。
【0038】
このような突起構造20bは、有機金属エピタキシー法(MOVPE法)によって成長させることにより形成でき、例えば、アンモニアガスとトリメチルガリウムガスの混合雰囲気中で、結晶性基板11を400℃〜1200℃程度に加熱したサファイアからなる結晶性基板11A上にエピタキシャル成長させる事が出来る。
【0039】
なお、図4(d)に示すように、凸部25上のみに選択的に突起構造20bを成長させるためには、突起構造20bを結晶成長させるときに原料供給ガスを水平方向から供給することにより実現することができる。また、凸部25の上面が凹部24の底面に比べ平坦度が高く且つ結晶性が良好であることからも、凸部25上において選択的に成長するものと推測される。
【0040】
一方で、突起構造20bを成長させるための原料ガスの供給方向等の結晶成長方法の条件を適宜調整することにより、凹部24に突起構造20bを設けることもできる。
【0041】
以上の工程により、ナノインプリント用モールド10bを製造することができる。
【0042】
なお、上記の例においては、突起構造の配置位置を結晶性基板11の一主面11aに凹部24,凸部25を形成することにより制御したが、この方法に限定されるものではない。例えば、図1に示すように、平坦な一主面11a上に開口部を有するTiやSiOからなる保護膜31を形成し、保護膜31の開口部から露出する一主面11a上に突起構造20を成長させてもよい。ここで用いた保護膜31は図1に示すように除去せずにナノインプリント用モールド10の一部として残しておいてもよいし、除去してもよい。
【0043】
<凹凸構造の製造方法>
次に、凹凸構造の製造方法の各工程について図5を用いて説明する。図3において、図1に示すナノインプリント用モールド10を用いている。ここで、ナノインプリントモールド10の保護膜31の図示を省略している。
【0044】
(A工程)
まず、図5(a)に示すように、基板100の上面100aに光硬化性材料からなる未硬化層110を形成する。光硬化性材料としては、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、およびポリイミド樹脂などを基材としたものを用いることができる。そしてこのような光硬化性樹脂を例えばスピンコートなどにより一様の厚みに形成する。
【0045】
(B工程)
次に、図5(b)に示すように、未硬化層110とナノインプリント用モールド10の突起構造20側の面とを対向配置し、未硬化層110とナノインプリント用モールド10の突起構造20とを押し当てる。
【0046】
(C工程)
次に、図5(c)に示すように、ナノインプリント用モールド10の結晶性基板11側(結晶性基板11の他方主面11b)から光を照射して、未硬化層110を硬化させて突起構造20に対応する形状を有する凹凸層120とする。
【0047】
(D工程)
次に、図5(d)に示すように、凹凸層120からナノインプリント用モールド10を剥離する。必要に応じて、さらにRIE等のエッチングを行なってもよい。
【0048】
このような工程により、凹凸構造を形成することができる。
【0049】
次に、本発明に係るナノインプリント用モールドを用いて製造する凹凸構造の一形態について説明する。図1〜3に示すようなナノインプリント用モールドでは、反射防止膜等として機能する凹凸構造を製造することができる。
【0050】
また、ナノインプリント用モールドを製造する際に、結晶性基板11上にマスクとして機能する保護膜31を配置することで、この保護膜31に応じた形状の突起構造を得ることができる。例えば、図6(a)に示すように結晶性基板11上にTiやSiOからなる六角形状の保護膜31aを六角形の中心および各角に配置したものを基本単位とし、この基本単位を多数隙間なく配置する。この場合には、図6(b)に示すように、突起構造20cは、保護膜31aのそれぞれを囲むように形成される。このような突起構造20cを用いた場合には、基板100c上に製造される凹凸層120cは、図6(c)に示すように、保護膜31aに対応する六角形状の上面を有し、この上面と比例形状であり,上面よりも大きく、かつ上面と中心を揃えて配置された底面を有する、いわばマイクロプリズムのような形状とすることができる。これにより、凹凸層120cを、基板100c側か
らの光を取り出すための光取り出し構造として機能させることができる。
【0051】
さらに、図7(a)に示すような、基板100d上に形成された複数の光導波路300において、それぞれの光導波路300が所望の光路長を有するように光導波路300中にミラー350を作成するために用いることもできる。具体的には、図7(b)に示すように、光導波路300の所望の位置に対応する部位に突起構造20dを有するナノインプリント用モールド10dを、光導波路300に押圧すればよい。これにより、所望の箇所にミラー(凹凸構造)350を設けることができる。
【0052】
また、ナノインプリント用モールド10dを光透過性を有するものとした場合には、光導波路300を形成するための光導波路用未硬化層を形成し、ナノインプリント用モールド10dを押し当てた状態で上から露光することにより、光導波路とミラーとを同時に形成することもできる。
【符号の説明】
【0053】
10,10a,10b,10c、10d・・・ナノインプリント用モールド
11・・・結晶性基板
11a・・・一主面
20・・・突起構造
21・・・底面
22・・・結晶面
100・・・基板
100a・・・上面
110・・・未硬化層
120・・・凹凸層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性基板と、
該結晶性基板の一主面上に配置された、該一主面に平行な底面および前記一主面に非平行な面を含む複数の結晶面を有する突起構造とを備えるナノインプリント用モールド。
【請求項2】
前記結晶性基板および前記突起構造は、光透過性を有する、請求項1記載のナノインプリント用モールド。
【請求項3】
前記突起構造は、前記結晶面がファセット成長面である請求項1または2記載のナノインプリント用モールド。
【請求項4】
前記結晶性基板は、サファイアであり、
前記突起構造は、GaNからなる、請求項1乃至3のいずれかに記載のナノインプリント用モールド。
【請求項5】
前記突起構造は、複数個がそれぞれの一方向の並びにおいて前記底面の中心が等間隔に位置するように配置された、請求項1乃至4のいずれかに記載のナノインプリント用モールド。
【請求項6】
光透過性を有する結晶性基板の一主面上に、ファセット成長によって透光性を有する突起構造を形成する、ナノインプリント用モールドの製造方法。
【請求項7】
基板の上面に光硬化性材料からなる未硬化層を形成するA工程と、
前記未硬化層に請求項2乃至5のいずれかに記載のナノインプリント用モールドの前記突起構造を押し当てるB工程と、
前記ナノインプリント用モールドの前記結晶性基板側から光を照射して、前記未硬化層を硬化させて前記突起構造に対応する形状を有する凹凸層とするC工程と、
前記凹凸層から前記ナノインプリント用モールドを剥離するD工程とを有する凹凸構造の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−204601(P2012−204601A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67778(P2011−67778)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】