説明

ナノグリッパ装置

【課題】 試料が把持されたか否かを確実にかつ容易に確認することができ、試料を適切な状態で把持することができるナノグリッパ装置の提供。
【解決手段】 駆動部6には各アーム3を駆動するめの固定電極および可動電極が設けられている。固定電極60aおよび可動電極61aは左側のアーム3を駆動するものであり、可動電極61aは支持部62により台座7に弾性支持されている。同様にアーム3も支持部63により台座7に弾性支持されている。電極60a,61a間に電圧を印加すると、クーロン力により可動電極61aが右側に移動しアーム3を閉駆動する。検出回路91A,91Bにより検出される電極60a,61a間の静電容量および電極60b,61b間の静電容量の変化に基づいて、試料が把持されたか否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小なワークをハンドリングするためのナノグリッパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセス技術を応用したマイクロマシニング技術の発展により、微小機械の研究開発が盛んに行われている。そして、そのようなミクロンオーダーの微小機械を取り扱うために、微小なピンセット(以下ではナノグリッパと称する)が考案されている(例えば、特許文献1参照)。ナノグリッパの開閉を行わせるためのアクチュエータとしては、静電方式、熱方式、圧電方式など種々のものが提案されている。
【0003】
例えば、静電方式のアクチュエータとしては、櫛歯電極を用いる方式のものが知られており、電極に印加される電圧をオン・オフ制御することによりアームを開閉させている。さらに、特許文献1に記載の装置では、往復運動する搬送子を用いてアームを所定量ずつ開閉させるようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−52072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したナノグリッパでは、ミクロンオーダーの試料を把持する場合には、ナノグリッパのアームが試料を把持したか否かは顕微鏡で観察して目視により判断するしかなかった。そのため、確実に把持したか否かの判断が難しく、不確実なまま搬送動作に移行してしまうおそれがあった。
【0006】
また、把持確認が難しいために、試料を把持したにもかかわらず閉動作が継続されてしまう場合もあり、その場合には試料に過大な応力が加わることになる。特に、生物試料のような場合には、閉動作が継続されるとアームの把持力によって試料が過大に変形してしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によるナノグリッパ装置は、開閉自在な一対のアームと、一対のアームを開閉駆動する駆動機構と、一対のアームにより試料を把持したことを検出する把持検出部とを備えたことを特徴とする。
請求項2の発明によるナノグリッパ装置は、開閉自在な一対のアームと、一対のアームを開閉駆動する静電アクチュエータと、静電アクチュエータの静電容量を検出する静電容量検出部と、アームの閉時に、静電容量検出部により検出される静電容量の変化の変曲点を求めて一対のアームにより試料を把持したことを検出する把持検出部とを備えたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項2に記載のナノグリッパ装置において、一対のアームの間隔と静電アクチュエータの静電容量との第1の相関、および静電アクチュエータの印加電圧と静電容量との第2の相関が予め記憶される記憶部と、静電アクチュエータに印加されている電圧および静電容量検出部で検出される静電容量と第1および第2の相関とに基づいて、試料を把持している一対のアームの把持力を演算する演算部とを備えたものである。
請求項4の発明は、請求項2または3に記載のナノグリッパ装置において、一対のアーム、静電アクチュエータおよび静電容量検出部を半導体シリコンプロセス技術により半導体基板に形成したものである。
請求項5の発明は、請求項4に記載のナノグリッパ装置において、一対のアームと静電アクチュエータとは絶縁層を介して連結されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、試料が把持されたか否かを確実にかつ容易に確認することができ、試料を適切な状態で把持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は本発明によるナノグリッパ装置2の概略構成を示す斜視図である。図1に示すナノグリッパ装置2は、半導体プロセス技術を応用したマイクロマシニング技術を利用して半導体基板上に形成されるものであり、ナノグリッパ装置2にはアーム3を保護するガード4が連結部5を介して設けられている。
グリッパ本体2とグリッパ本体2に設けられたアーム3を保護するガード4とを備えている。
【0010】
ナノグリッパ装置2を使用する際には、連結部5の部分を折って、ガード4をナノグリッパ装置2から外して用いる。アーム3は、駆動部6によって矢印Rで示すように図示左右方向に開閉する。ミクロンオーダーの試料は、アーム3の先端に形成されたグリップ部3aによって把持される。9は回路部であり、後述するように検出回路や演算回路が形成されている。ナノグリッパ装置2は、後述するようにシリコン基板上に半導体プロセス技術を用いて形成される。
【0011】
図2はグリップ部3aの詳細を示す拡大図であり、アーム3の先端部分の厚さを階段状に薄くすることによってグリップ部3aが形成される。ミクロンオーダーの試料を把持するグリップ部3aの幅Wおよび厚さtは、W=1〜30μm、t=1〜25μmのように試料と同程度の寸法に設定される。アーム3による把持作業は顕微鏡視野内で行われるので、試料観察や試料へのアプローチがしやすいように、グリップ部3aの長さLは100μm程度と試料よりもやや長く設定される。アーム3には、上面側を階段状に削除してグリップ部3aが形成される。通常、平坦なステージ上に載置された試料をアーム3により把持するので、アーム3の下面側は平面状とされる。
【0012】
図3はナノグリッパ装置2の詳細を示す平面図である。ナノグリッパ装置2はXYZステージ等の移動機構に装着して用いられる。そして、ナノグリッパ装置2を移動機構に装着した後にガード4を連絡部5の部分から折り、図3に示すようにガード4をナノグリッパ装置2から取り外してから用いる。
【0013】
図3に示すように、台座7上に形成された駆動部6は静電アクチュエータを構成しており、左側のアーム3を駆動するための固定電極60aおよび可動電極61aと、右側のアーム3を駆動するための固定電極60bおよび可動電極61bとを有している。図示上下方向に延在する固定電極60a,60bと可動電極61a,61bとの各対向面は櫛歯形状となっている。可動電極61a,61bは、それぞれ支持部62によって台座7に弾性的に固定されている。
【0014】
固定電極60aの電極端子80と可動電極61aの電極端子81との間に電圧を印加すると、クーロン力によって可動電極61aが図示右方向に移動する。一方、固定電極60bの電極端子82と可動電極61bの電極端子83との間に電圧を印加すると、可動電極61bが図示左方向に移動する。
【0015】
アーム3は支持部63を介して台座7に弾性的に固定されている。アーム3には支持部63を介して電極端子84が接続されており、電極端子84を利用してアーム3に電気的な操作を加えたり、電気的な測定を行うことができる。左側のアーム3は、アーム3の下部に設けられた連結部材8によって左側の可動電極61aに連結されている。同様に、右側のアーム3は、連結部材8によって右側の可動電極61bに連結されている。
【0016】
図4はアーム3と可動電極61aとの連結部分を示す拡大図であり、アーム3は連結部材8を介して可動電極61aに連結されている。なお、アーム3と連結部材8との間、および可動電極61aと連結部材8との間にはそれぞれ絶縁層102が形成されている。可動電極61aがクーロン力により図示右側に移動すると、その動きに同期してアーム3も右側に移動する。
【0017】
一方、図3に示した右側のアーム3、固定電極60b、可動電極61bに関しても左右反転している以外は全く同様の構造となっている。そのため、電極端子82,83に電圧を印加して電極60b、61b間に電位差を与えると、右側のアーム3が図示左方向に移動する。その結果、左右のアーム3が閉じて、グリップ部3aにより試料が把持される。
【0018】
図3において、台座7のアーム3が配設されている領域には溝状の貫通孔7aが形成されており、駆動部6が配設されている領域には矩形状の貫通孔7bが形成されている。アーム3および駆動部6はこれら貫通孔7a,7b上に架け渡されるように支持されている。図5はナノグリッパ装置2の断面形状を説明する図であり、図3のA−A’断面,B−B’断面,C−C’断面およびD−D’断面を示したものである。
【0019】
A−A’断面に示すように、台座7のアーム3の下方には貫通孔7aが形成されている。駆動部6は絶縁層102を介して台座7上に形成されている。同様に、連結部材8により連結されたアーム3および駆動部6(可動電極61a,61b)も絶縁層102を介して台座7上に形成されている。D−D’断面は図3の電極端子80〜84の部分を断面したものであり、電極端子80〜84も絶縁層102を介して台座7上に形成されている。
【0020】
このように、ナノグリッパ装置2は絶縁層を挟んだ上下2つのシリコン層からなる3層構造の基板、例えばSOI(silicon on insulator)基板に形成される。そして、アーム3,駆動部6および電極端子80〜84は同一シリコン層を用いて形成される。なお、ナノグリッパ装置2の製造方法については後述する。
【0021】
《動作説明》
図6は駆動部6を制御する回路部9を示すブロック図であり、駆動部6については図3の左側のアーム3を駆動するための固定電極60aおよび可動電極61aの一部を示した。電極60a,61aは静電アクチュエータを構成しており、図3に示した電極端子80,81に電圧を印加して可動電極61aを駆動する。上述したように、可動電極61aは支持部62により台座7に弾性的に固定されている。
【0022】
回路部9には電極60a,61aに関する検出回路91A、電極60b,61bに関する検出回路91B、演算回路92および記憶回路93が設けられている。電極60a,61aには検出回路91Aを介して外部のDC電源10Aが接続されており、電極60b,61bには検出回路91Bを介してDC電源10Bが接続されている。
【0023】
後述するように、検出回路91Aは電極60a,61a間の静電容量を検出し、検出回路91Bは電極60b,61b間の静電容量を検出する。演算回路92は、各検出回路91A,91Bで検出された静電容量に基づいてアーム3の間隔やアーム3の把持力を算出し、その算出結果はデータとして出力される。演算回路92の演算に必要なデータは記憶回路93に記憶されている。また、演算回路92からはDC電源10A,10Bの出力電圧を制御する制御信号が各々出力され、左右のアーム3は独立して制御される。
【0024】
本実施の形態では、固定電極60aと可動電極61aとの対向部は櫛歯形状になっている。そのため、電極同士の間隔を狭くできるとともに、かつその間隔を維持しつつ移動距離を確保することができる。その結果、駆動電圧を下げることが可能となる。また、上下方向の力については上下対称に働くので相殺され、可動電極61aには左右方向の力のみが作用する。一方、単なる平行平板の場合には、間隔が狭い範囲でしか十分なクーロン力を得ることができず、移動距離を大きくして間隔が広くなるとクーロン力が弱くなり、高い電圧が必要とされる。固定電極60aに形成された櫛歯600と可動電極61aに形成された櫛歯610とは、互い違いに相手方に入り込んでいる。電極60a,61a同士のギャップを1〜数μmオーダーとすることで十分な駆動力を得ることができる。
【0025】
ここで、櫛歯600,610の具体的な設定の一例を記す。アーム3の開閉幅を10μmとした場合、櫛歯600,610の幅が各々3μm、櫛歯600,610間の図示上下方向のギャップ寸法が3μm、櫛歯600,610の長さが15μmで、電極60a,61a間の距離は18μmから28μmの間で変化する。アーム3の開閉幅は、原理的には数十μm程度まで可能である。
【0026】
例えば、固定電極60aに直流電源621のプラス側を接続し、可動電極61aにマイナス側を接続すると、固定電極60aはプラスに帯電し可動電極61aはマイナスに帯電する。そして、マイナス電荷とプラス電荷とのクーロン力により電極60a,61a間に吸引力が働き、支持部62の弾性力に抗して可動電極61aが図示右方向に移動する。その結果、左側のアーム3が図示右方向に駆動される。右側のアーム3に関する動作も左右反転している点を除いて全く同様であり、電極60b,61bに電圧が印加されると右側のアーム3が図示左方向に駆動される。その結果、一対のアーム3が閉じられることになる。
【0027】
図7は、電極60a,61aに印加される電圧Vとアーム3の間隔Dとの関係を定性的に示す図であり、電圧V=0の初期状態におけるアーム3の間隔をD0とする。電極60a,61aの櫛歯部分の各寸法を図27のように設定すると、静電容量Ccomb(x)は可動電極61aの移動距離xの関数として次式(1)で与えられる。なお、式(1)において、εは真空の誘電率、wは各櫛歯の幅、lは櫛歯先端と対向する電極の壁面との初期間隔、lは櫛歯の長さ、gは櫛歯間のギャップ、bは櫛歯の厚み、Vは印加電圧、Nは櫛歯の本数である。
【数1】

【0028】
このとき、電極60a,61a間に蓄えられるエネルギーはCcomb(x)V/2(ジュール)なので、電極60a,61a間に発生するクーロン力Fcomb(x)は次式(2)により与えられる。
【数2】

【0029】
可動電極61aおよびアーム3はそれぞれ支持部62および63により弾性的に支持されているので、電圧Vを印加すると、式(2)のクーロン力Fcomb(x)と支持部62,63の変形による弾性力とが釣り合う位置まで可動電極61aは移動する。すなわち、図7の曲線L1のように、印加電圧Vの大きさに応じてアーム3の間隔Dが変化する。
【0030】
アーム3により試料を把持する際には、顕微鏡視野下において図8(a)に示すようにアーム3の間に試料Sが位置するようにグリッパ本体2(不図示)を移動機構により移動する。その後、印加電圧VをV1,V2の順に大きくすると、図8の(b),(c)に示すようにアーム3の間隔は図7に示すD1,D2のように減少する。そして、印加電圧V3、アーム間隔D3となったときに、試料Sに各アーム3が接触して把持状態となる。
【0031】
《試料把持の検出》
ところで、電極60a,61aの静電容量Ccomb(x)は上述した式(1)で表される。静電容量Ccomb(x)の移動距離xをアーム3の間隔Dで置き換えると、静電容量Cは概略では図9の曲線L2のように変化する。間隔がD1,D2,D3と順に小さくなると、静電容量CはC1,C2,C3と大きくなる。印加電圧Vを増加してアーム3を閉じると静電容量Cが増加するので、印加電圧Vと静電容量Cとの関係は図10に示す曲線L3のようになる。すなわち、電圧Vを印加すると、その値Vの大きさに応じてアーム3の間隔Dと電極60a,61aの静電容量Cが定まる。
【0032】
印加電圧をV3にすると、図8(d)のようにアーム3が試料Sに接触する。ところで、試料Sが剛体であると仮定すれば、アーム3が試料Sを把持した後にさらに印加電圧Vを大きくしても、アーム3は閉じる方向に移動できず間隔Dは変化しない。そのため、静電容量Cは図11の破線L4のように値C3で一定となる。一方、生物試料のように変形可能な試料の場合には、印加電圧VがV3よりも大きくなって把持力が大きくなると、アーム3の接触圧によって試料が変形し曲線L5のように静電容量がC3よりも僅かに増加する。いずれの場合にも、曲線L3が曲線L4や曲線L5のように変化する変曲点Pを検出することにより、アーム3が試料Sを把持したか否かを検出することができる。
【0033】
《静電容量Cの検出方法》
次に、検出部623における静電容量Cの検出方法について説明する。ここでは、時定数から求める方法と、発振周波数から求める方法について説明する。最初に、図12を参照して時定数から求める方法について説明する。図12(a)は検出回路を示す図であり、Cは電極60a,61aによるキャパシタである。このキャパシタCと直列に抵抗R1を接続し、電源20により図12(b)に示すような矩形波形の電圧Vinを印加する。そして、キャパシタCの両端の電圧変化を電圧計21によって計測する。
【0034】
図12(a)の回路はRC回路を構成しているので、電圧計21で観測される電圧値Voutは次式(3)で表される。すなわち、電圧計21には図12(c)に示すような電圧波形が計測される。そして、計測された電圧波形から式(3)のCの値が推定される。抵抗値Rは予め分かっているので、算出値CRから静電容量Cが求まる。
Vout=Vin{1−exp(t/CR)} …(3)
【0035】
図13は発振周波数から求める方法を説明する図であり、発振回路を示す図である。回路には、コイル22と位相反転増幅器23が並列接続されており、静電アクチュエータの静電容量が発振回路のパラメータの一部になるように構成する。コイル22の代わりに水晶振動子を用いてもよい。例えば、符号C1,C2,C3で示す位置のいずれかに電極60a,61aによるキャパシタCが接続される。C2の場合には位相反転増幅器23の入力とグランド間にキャパシタCが接続され、C3の場合には位相反転増幅器23の出力とグランド間にキャパシタCが接続される。
【0036】
発振回路から出力される交流信号の周波数、すなわち発振周波数の周波数Foscは、次式(4)で算出される。そして、検出された周波数と式(4)とを用いることに静電容量Cが算出される。電圧Vを変えてアーム開閉を行う際に、周波数Foscを所定時間間隔で逐次検出してそれぞれの静電容量Cを算出することにより、図11に示すような曲線L3が得られる。点Pの位置で試料Sを把持すると、その後に算出される静電容量Cは曲線L4や曲線L5のように変化する。すなわち、周波数Foscから静電容量Cを逐次求めることにより、変曲点Pを検出することができる。
Fosc(Hz)=1/2π(LC)1/2 …(4)
【0037】
《発振回路を用いた場合》
図23は、検出回路91A,91Bとして図13の発振回路を用いた場合の回路部9を示す図である。DC電源10は交流的にはインピーダンスが0Ωに近い値になるため、アクチュエータである固定電極60a,60bと可動電極61a,61bとが短絡され発振回路が動作できなくなる。そこで、DC電源10A,10Bと直列に抵抗R1を設ける。このようにすると、アクチュエータのインピーダンスは抵抗R1の値で決まり、R1を1(MΩ)以上の値に選ぶことで、発振回路を動作させることができる。
【0038】
また、アーム3に外力が作用して固定電極60a,60bと可動電極61a,61bとが接触した場合には、DC電源10A,10Bが短絡されて電極が溶断したり溶接されたりするのが、抵抗R1を設け電流を制限することによってそれらを防止することができる。さらに、発振回路とDC電源10A,10Bとの間には直流遮断用のコンデンサCpが設けられている。コンデンサCpによりDC電源10A,10Bから発振回路に直流電流が流れ込んだり、逆に発振回路からDC電源10A,10Bに直流電流が流れ込んだりするのを防止することができる。そのため、コンデンサCpの静電容量は、駆動部6の静電容量よりも十分大きな値に設定される。
【0039】
上述したように、固定電極60a,60bと可動電極61a,61bとの間の静電容量は発振回路の回路定数の一部をそれぞれ構成している。そのため、各検出回路91A,91Bから出力される交流信号(発振周波数出力)の周波数F1,F2は、固定電極60a,60bと可動電極61a,61bとの間の静電容量の変化に応じて変化する。この交流信号はそれぞれ演算回路92の計数回路920に入力される。
【0040】
駆動部6の固定電極60a,60bおよび可動電極61a,61bに電圧を印加してアーム3を閉じる動作をさせる場合には、図24(a)に示すようにステップ状に電圧を増加させる。タイミングコントロール回路921は時間Δt毎にトリガ信号をDC電源10A,10Bに出力し、DC電源10A,10Bはトリガ信号を受信する毎に電圧をΔVだけ上昇させる。V3は、試料を把持したときの電圧である。
【0041】
図24(a)のようにステップ状に印加電圧が上昇すると、固定電極60a,60bと可動電極61a,61bとの間隔もステップ状に減少し、各静電容量もステップ状に増加する。その結果、検出回路91A,91Bから出力される信号の周波数F1,F2は、図24(b)に示すように時間間隔Δtでステップ状に変化する。タイミングコントロール回路921は、計数回路920による計数のタイミングを図24(b)の時間間隔Δtと同期させるようにトリガ信号を計数回路920に出力する。
【0042】
計数回路920で計数された計数値Fa(図24(c)参照)はいったん記憶回路93に記憶され、次のトリガで計数される計数値Fbと比較判定回路922で比較される。比較判定回路922では、計数値Fbと計数値Faの差分(Fb−Fa)を求め、その差分(Fb−Fa)が所定の閾値より小さいか否かを判定する。そして、閾値よりも小さいと判定されると、試料が把持されたことを示すデータを出力する。ここで、アーム3の移動が停止すると静電容量は一定となるので、原理的には差分(Fb−Fa)はゼロとなるので、ドリフト等を考慮しても値閾値はゼロに近い値となる。
【0043】
従来、ナノグリッパのように微小試料を把持するものでは、目視でしか把持状態を確認することができなかった。しかしながら、本実施の形態では、静電アクチュエータを構成する駆動部6の静電容量Cを検出することによって、試料Sを把持したか否かを確認することができる。さらに、把持を確認した後に、後述するように印加電圧を所定の値に設定することにより過剰な把持力が試料に加わるのを防止することができる。
【0044】
《把持力Gについて》
次に、把持力の算出方法について説明する。ここでは、クーロン力Fcomb(x)の式(2)を用いることにより、アーム3による把持力Gを求める。式(2)はクーロン力を移動距離xで表したものであるが、電圧を印加しない場合のアーム3の間隔は図8に示すようにD0であってD=D0−2xの関係があるので、クーロン力Fを間隔Dを用いて表すと次式(5)のようになる。
【数3】

【0045】
クーロン力Fは印加電圧Vと間隔Dとの関数F(V,D)となっている。印加電圧Vと間隔Dとの関係はクーロン力Fと支持部62,63の弾性力とに依存しており、定性的には図7に示すような関係がある。印加電圧をV3としたときの間隔をD3とすると、そのときのクーロン力F(V3,D3)は支持部62,63の弾性力と釣り合っていることになる。すなわち、間隔D3のときの弾性力はF(V3,D3)に等しく、同様に、間隔D1,D2のときの弾性力はF(V1,D1)、F(V2,V2)に等しい。把持力Gは次式(6)で表され、図8(d)の状態で印加電圧がV3である場合にはG=0である。
(把持力G)=(クーロン力F)−(弾性力) …(6)
【0046】
(試料Sが変形しない場合)
変形しない試料Sの場合、印加電圧を図7のV4に増加すると図11の点P4の状態となる。すなわち、間隔はD3が維持されるので静電容量もC3から変化しない。このときのクーロン力はF(V4,D3)で、弾性力はF(V3,D3)である。式(5)からF(V4,D3)>F(V3,D3)であり、そのときの把持力をG(V4,D3)とすると、式(6)から「G(V4,D3)=F(V4,D3)−F(V3,D3)」となる。
【0047】
よって、印加電圧VがV>V3のときの把持力G(V,D3)は、変曲点P(間隔D3)における弾性力F(V3,D3)を用いて次式(7)のように表される。なお、F(V3,D3)における間隔D3は、図11の変曲点Pが検出されたときの静電容量C3と図9の相関とから求めることができ、V3は静電容量C3と図10の相関とから求めることができる。これらの相関は予め記憶部625に記憶されている。
G(V,D3)=F(V,D3)−F(V3,D3) …(7)
【0048】
(試料Sが変形する場合)
図11の曲線L5で示すように、アーム3で把持した際に試料Sが変形した場合、印加電圧V4では点P5の状態となる。このときに検出される静電容量C5と図9の相関とから、点P5における間隔D5を求めることができる。図11ではC3<C5<C4となっているので、D3<D5<D4である。間隔がD5のときの支持部62,63の弾性力はF(V5,D5)であり、間隔D5および印加電圧V4のときのクーロン力はF(V4,D5)である。V5<V4であるから、式(5)からF(V5,D5)<F(V4,D5)であることが分かる。このときの把持力はクーロン力と弾性力との差=F(V4,D5)−F(V5,D5)で表される。
【0049】
よって、変形する試料Sにおける把持力G(V,D5)は、点P5(間隔D5)における弾性力F(V5,D5)を用いて次式(8)のように表される。なお、V5は静電容量C5と図10の相関とから求めることができる。
G(V,D5)=F(V,D5)−F(V5,D5) …(8)
【0050】
実際に把持力を求める場合には、試料Sの変形の有無にかかわらず次のような手順で求める。最初に静電容量を検出し、その静電容量と図9,10の相関から間隔Dおよび電圧Vを求め、求まったD,Vと式(5)とから弾性力を算出する。また、実際の印加電圧Vおよび静電容量から得られる間隔を用いて、実際に作用しているクーロン力を算出する。最後に、クーロン力と弾性力との差を取って把持力を求める。
【0051】
変形が無い場合には静電容量はC3なので弾性力はF(V3,D3)で、実際に作用しているクーロン力はF(V,D3)となり、把持力は式(7)のようになる。一方、変形がある場合には静電容量はC5なので弾性力はF(V5,D5)で、実際に作用しているクーロン力はF(V,D5)となり、把持力は式(8)のようになる。
【0052】
このように、本実施の形態のナノグリッパでは把持力を知ることができるため、試料Sに応じた把持力で作業することができる。このことは、特に生物試料に対しては効果的であり、把持力が過剰となって生物試料を損傷してしまうようなことを防止することができる。
【0053】
図23に示した回路を図25のように変更することにより、把持力を算出するようにする。カウンタ925は、DC電源10A,10Bに出力されたトリガの回数をカウントし、そのカウント数はレジスタ924に格納される。例えば、図26(a)に示すように、印加電圧=0の状態からトリガを9回出力した時点で試料Sがアーム3によって把持される。トリガが出力されるたびに印加電圧はΔVだけ増加される。
【0054】
電圧と駆動部6の変位とにリニアな関係が成り立つ領域では、各ΔVによる移動量をΔdとしたとき、把持するまでのアーム3の移動量は9Δdで算出される(図26(b)参照)。リニアでない場合には、それぞれの和Δd1+Δd2+…+Δdが移動量となる。把持後もさらにトリガ信号を発して印加電圧を増加させると、増加後のカウント数をmとすれば、(m−9)ΔVが把持以後の電圧増分である。この電圧増分から、上述したように把持力を算出することができる。逆に、外部から予め把持力を設定しておき、その設定された把持力となったところで、トリガ出力を停止して把持後の印加電圧の増加を停止するようにしても良い。
【0055】
《ナノグリッパ装置2の製造工程の説明》
次に、SOI(silicon on insulator)基板を用いてナノグリッパ装置2を形成する場合の、製造方法について説明する。なお、以下ではアーム3や駆動部6の部分の形成方法について説明し、回路部9については説明および図示を省略する。回路部9はアーム3や駆動6を構成するものと同一のシリコン層に半導体プロセス技術によって造り込んでも良いし、別に作成した回路素子を台座7上に配置するようにしても良い。ナノグリッパ装置2の形成に用いる基板100としては、図14(a)に示すように<110>方位の単結晶シリコンから成るベース層101、酸化シリコンから成る絶縁層102、<110>方位の単結晶シリコンから成るシリコン層103が順に積層されたシリコン基板が用いられる。
【0056】
シリコン基板100には、SOI基板だけでなく、ガラス基板上に単結晶シリコン層を有する基板や、アモルファスシリコン基板やポリシリコン基板上にSOI層を有する基板なども用いることができる。すなわち、最上層が<110>方位を有するシリコン層103であって、このシリコン層103の下層に絶縁層102が形成されているような層構造を有するシリコン基板であれば、ベース層101を多層構造としてもかまわない。
【0057】
シリコン基板100の各層の厚さの一例を述べると、シリコン層103は25μm、絶縁層102は1μm、ベース層101は300μmである。また、シリコン基板100上における1つのグリッパを形成する領域は縦、横ともに数mmの矩形状をしている。図14(a)に示す工程では、スパッタリング法や真空蒸着法などにより、厚さ約50nmのアルミ層104をシリコン層103の表面に形成する。
【0058】
次に、図14(b)のようにアルミ層104の表面にレジスト105を約2μmの厚さで形成し、フォトリソグラフィによりレジスト105を露光・現像することにより、図14(c)に示すレジストパターン105aを形成する。図17はシリコン基板100の斜視図であり、アルミ層104の上面に、アーム3,ガード4,駆動部6等に対応するレジストパターン105aが形成されている。なお、図14(c)は図7のF−F’断面を示したものである。
【0059】
そして、図14(d)に示すように、このレジストパターン105aをマスクとして混酸液によりアルミ層104をエッチングし、シリコン層103を露出させる。その後、ICP−RIE(Inductively Coupled Plasma - Reactive Ion Etching)によりシリコン層103を垂直方向に異方性エッチングする。このエッチングは絶縁層102が露出するまで行われ、エッチング終了後、硫酸・過酸化水素混合液によりレジストパターン105aおよびアルミ層104を除去する(図15(a)参照)。
【0060】
図18は、レジストパターン105aおよびアルミ層104を除去した後の基板100を示す斜視図である。絶縁層102上には、同一シリコン層103により立体構造体が形成される。その立体構造体は、アーム3を構成する部分103aと、駆動部6を構成する部分103bと、電極端子80〜84を構成する部分103cと、ガード4を構成する部分103dとから成る。
【0061】
次いで、露出した絶縁層102およびシリコン層103(103a〜103d)を覆うようにレジスト106を塗布する(図15(b)参照)。レジスト106の塗布厚さは10μm程度とする。その後、フォトリソグラフィによりレジスト106にマスクパターンを転写して現像することにより、図19に示すようにアーム構成部103aの先端部分におけるレジスト106が矩形状に除去されたレジストパターン106aを形成する。そして、レジストパターン106aをマスクとしてICP−RIEや通常のRIEなどを行い、アーム構成部103aの先端部分をグリッパの把持対象に合わせた形状および大きさに加工する。
【0062】
次に、図15(c)に示すように基板100を表裏反転させて、スパッタリング法や真空蒸着法によりベース層101の表面にアルミ層107を形成する。アルミ層107の厚さは、約50nmとする。そして、アルミ層107の上にレジスト108を約2μmの厚さに形成した後にフォトリソグラフィによりレジストパターンを形成し、そのレジスト108をマスクに用いてアルミ層107を混酸液によりエッチングする(図16(a)参照)。
【0063】
図20は、レジスト108およびアルミ層107の形状を示す斜視図である。図16(a)は図20のG−G’断面を示したものであり、絶縁層102の図示下側(表面側)にはシリコン層103によるアーム部103aの断面が図示されている。図20から判るように、レジスト108は、図1に示したガード4に対応する部分R1、連結部5に対応する部分R2、台座7に対応する部分R3および図5の連結部材8に対応する部分R4が残っており、逆に図5に示した貫通孔7a,7bに対応する部分が除去されてベース層101が露出している。
【0064】
その後、ベース層101の上に形成されたレジスト108およびアルミ層107をマスクとして、ベース層101をICP−RIEによりエッチングする。ベース層101は異方性エッチングにより垂直方向にエッチングされ、エッチングは絶縁層102が露出するまで行われる。エッチング終了後に、硫酸・過酸化水素混液によりレジスト108,106およびアルミ層107を除去する(図16(b)参照)。
【0065】
図21は、図16(b)に示すベース層101の裏面側を示す図である。エッチングにより、ベース層101には貫通孔7a,7bを有する台座7やガード4,連絡部5および連結部材8が形成される。通常は、基板100上にはガード4が形成されたナノグリッパ装置2が複数形成されるが、このエッチングの工程において、各ナノグリッパ装置2毎に分割されることになる。次いで、台座上に露出している酸化シリコンから成る絶縁層102を、緩衝フッ化水素溶液を用いてエッチングする。その結果、シリコン層103とベース層101とで挟まれた領域を除いて、絶縁層102が除去される(図16(c)参照)。
【0066】
図22はベース層101の表面側を示す斜視図であり、図16(c)は図22のH−H’断面を示したものである。電極部103とベース部101との間には絶縁層102が介在している。その後、図16(d)に示すように、露出しているベース層101の上および各構造体を構成するシリコン層103の上に、真空蒸着法等によりアルミ等からなる導体膜109を形成する。導体膜109の厚さは500nm以下とする。このようにして、図1に示すナノグリッパ装置2が完成するが、把持対象によってはFIBなどの加工装置によりグリップ部3aを追加工しても良い。
【0067】
上述した実施の形態では静電アクチュエータである駆動機構6の静電容量Cを検出して、試料Sをグリップしたことを検出したり、試料Sの寸法を計測したが、アーム3に形成された導電膜109に直流電源621の電圧を印加して、アーム3の静電容量の変化により上述した把持検出や把持力の測定を行うようにしても良い。この場合、駆動部6は静電アクチュエータでなくても良く、例えば、圧電素子や熱膨張を利用した駆動機構であっても良い。また、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
【0068】
以上説明した実施の形態と特許請求の範囲の要素との対応において、駆動部6は駆動機構および静電アクチュエータを、検出回路91および演算回路92は静電容量検出部を、演算回路92は把持検出部をそれぞれ構成する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明によるナノグリッパ装置2の概略構成を示す斜視図である。
【図2】グリップ部3aの詳細を示す拡大図である。
【図3】グリッパ本体2の詳細を示す平面図である。
【図4】アーム3と可動電極61aとの連結部分を示す図である。
【図5】図3のA−A’断面,B−B’断面,C−C’断面およびD−D’断面をそれぞれ示す図である。
【図6】ナノグリッパ装置2の動作を説明する図である。
【図7】印加電圧Vとアーム3の間隔Dとの関係を定性的に示す図である。
【図8】把持動作時における試料Sとアーム3との位置関係を示す図であり、(a)〜(d)の順に推移する。
【図9】アーム3の間隔Dと静電容量Cとの関係を示す図である。
【図10】印加電圧Vと静電容量Cとの関係を示す図である。
【図11】変曲点Pを示す図である。
【図12】時定数から静電容量Cを求める方法を説明する図であり、(a)は検出回路、(b)は入力電圧波形Vin、(c)は観測電圧波形Voutをそれぞれ示す。
【図13】発振回路を示す図である。
【図14】ナノグリッパ装置2の製造手順を説明する図であり、(a)〜(d)の順に工程が進む。
【図15】図14の工程に続く工程を示す図であり、(a)〜(c)の順に工程が進む。
【図16】図15の工程に続く工程を示す図であり、(a)〜(d)の順に工程が進む。
【図17】図14(c)のシリコン基板100の斜視図である。
【図18】レジストパターン105aおよびアルミ層104を除去した後の基板100を示す斜視図である。
【図19】レジストパターン106aを示す斜視図である。
【図20】図16(a)のレジスト108およびアルミ層107の形状を示す斜視図である。
【図21】図16(b)に示すベース層101の裏面側を示す図である。
【図22】図16(c)のベース層101の表面側を示す斜視図である。
【図23】検出回路91A,91Bに発振回路を用いた場合の回路部9を示す図である。
【図24】アーム3を閉じる動作のときの、(a)印加電圧の変化、(b)発振周波数の変化、(c)計数値の変化をそれぞれ示す図である。
【図25】把持力検出時の演算回路92の構成を示す図である。
【図26】(a)は把持時のアーム3の動作を示す図であり、(b)はそのときの移動量の変化を示す図である。
【図27】電極60a,61aの櫛歯部分の寸法を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
2 ナノグリッパ装置
3 アーム
3a グリップ部
4 ガード
5 連結部
6 駆動部
7 台座
8 連結部材
9 回路部
10A,10B DC電源
60a,60b 固定電極
61a,61b 可動電極
62,63 支持部
80〜84 電極端子
91A,91B 検出回路
92 演算回路
93 記憶回路
600,610 櫛歯
P 変曲点
S 試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉自在な一対のアームと、
前記一対のアームを開閉駆動する駆動機構と、
前記一対のアームにより前記試料を把持したことを検出する把持検出部とを備えたことを特徴とするナノグリッパ装置。
【請求項2】
開閉自在な一対のアームと、
前記一対のアームを開閉駆動する静電アクチュエータと、
前記静電アクチュエータの静電容量を検出する静電容量検出部と、
前記アームの閉時に、前記静電容量検出部により検出される静電容量の変化の変曲点を求めて前記一対のアームにより前記試料を把持したことを検出する把持検出部とを備えたことを特徴とするナノグリッパ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナノグリッパ装置において、
前記一対のアームの間隔と前記静電アクチュエータの静電容量との第1の相関、および前記静電アクチュエータの印加電圧と静電容量との第2の相関が予め記憶される記憶部と、
前記静電アクチュエータに印加されている電圧および前記静電容量検出部で検出される静電容量と前記第1および第2の相関とに基づいて、前記試料を把持している前記一対のアームの把持力を演算する演算部とを備えたことを特徴とするナノグリッパ装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のナノグリッパ装置において、
前記一対のアーム、前記静電アクチュエータおよび前記静電容量検出部を半導体シリコンプロセス技術により半導体基板に形成したことを特徴とするナノグリッパ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のナノグリッパ装置において、
前記一対のアームと前記静電アクチュエータとは絶縁層を介して連結されていることを特徴とするナノグリッパ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2006−26826(P2006−26826A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210566(P2004−210566)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(390022471)アオイ電子株式会社 (85)
【出願人】(503460323)エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 (330)
【Fターム(参考)】