説明

ナノサイズのジエン系ポリマーラテックス粒子

本発明は、d90値として測定された60nm未満の粒子径を有するジエン系不飽和ポリマーラテックス粒子、およびこれを製造するための方法に関する。ゲル形成を低減した、ゴムとしてジエン系ポリマーラテックスを使用するための方法、および水素化ポリマーに転換するための方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノサイズのジエン系ポリマーラテックス粒子、このような粒子を製造するための方法、ならびにゴムとしてこれらを使用する方法および水素化ポリマーに転換するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジエン系不飽和ポリマー、例えばアクリロニトリルとブタジエンの重合から製造されるNBRとしても知られているニトリルブタジエンゴムは、当分野においてよく知られている。アクリロニトリルとブタジエンを共重合するための方法は、例えば米国特許第3690349号および米国特許第5770660号に記載されている。製造条件に応じて、このようなポリマーは、水性媒体中のラテックスとして得ることができる。NBRなどの不飽和ジエン系ポリマーは、産業においてさまざまな目的で使用され、さらに、このような不飽和ポリマーを水素化するための方法は、当分野においてよく知られている。
【0003】
ジエン系ポリマー中の炭素-炭素二重結合は、ポリマーを触媒の存在下で水素と有機溶液中で処理することによって、うまく水素化されて、十分に改善された最終用途の特性を有する飽和ポリマーを生成することが知られている。このような方法は、水素化される二重結合に選択的であり、例えば芳香族基またはナフテン基中の二重結合は水素化されず、炭素と窒素もしくは酸素などの他の原子との間の二重結合または三重結合は影響を受けない。この分野には、このような水素化に好適な触媒の多くの例が含まれ、これにはコバルト、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、およびイリジウムに基づく触媒が含まれる。触媒の適性は、必要とされる水素化の程度、水素化反応の速度、ならびにポリマー中のカルボキシル基およびニトリル基などの他の基の存在または不存在に依存する。
【0004】
ジエン系ポリマーの水素化は、有機金属触媒またはいくつかの特別な金属塩触媒および高圧ガス状水素を使用する場合に、非常に成功してきた。このような成功は、溶液水素化、バルク水素化、および直接的なラテックスの水素化で実現されてきた。ジエン系ポリマーの溶液水素化では、ポリマーは最初に有機溶媒中に溶解され、その後水素化が行われ、水素化後に後処理を適用して有機溶媒をリサイクルし、金属触媒を回収する。この分野において、すでに多くの特許および特許出願がされており、例えば米国特許第6410657号、米国特許第6020439号、米国特許第5705571号、米国特許第5057581号、および米国特許第3454644号である。
【0005】
直接的なラテックスの水素化において、触媒は、水素化操作のために直接ジエン系ポリマーのラテックス中に加えられる。多くのジエン系ポリマー、コポリマーまたはターポリマーがエマルション重合法によって製造され、これらは重合反応器から排出されたときにラテックス形態である。したがって、ここ十年間で注目を集めているラテックス形態のジエン系ポリマーを直接水素化することが非常に望ましい。多くの取り組みがこのような方法を実現するために行われている。米国特許第7385010号には、有機金属触媒および高圧ガス状水素を使用することによる、ジエン系ポリマーラテックスを直接水素化する方法が開示されている。
【0006】
バルク水素化において、触媒はジエン系ポリマーと直接混合されるか、または触媒はポリマー中に取り込まれ、その後水素化が適用される。米国特許第7345115号は、有機金属触媒および高圧ガス状水素を使用して、バルク状のジエン系ポリマーを100℃を超える温度で水素化する方法を教示し、このポリマーは粒子としての触媒と直接混合される。
【0007】
上記の方法の大きな特徴は、これらは全て貴金属が含まれる触媒を含み、これらは全て高圧水素を必要とし、かつ、これらは比較的長い反応時間を必要とすることである。
【0008】
これらの貴金属を使用することを避け、高圧下で操作することを避けるために、酸素、空気または過酸化水素などの酸化剤と一緒に還元剤としてヒドラジンまたはヒドラジンの誘導体を使用する、C=C結合の水素化に大きな注目が払われている。C=C結合を飽和するための水素源は、ジイミドが中間体として形成されるレドックス反応の結果として、その後in-situで生成する。米国特許第4452950号において、ラテックスの水素化は、ヒドラジン水和物/過酸化水素(または酸素)のレドックス系を使用して行われ、in situでジイミドを生成する。CuSO4またはFeSO4が触媒として使用される。米国特許第5039737号および米国特許第5442009号は、より改良されたラテックスの水素化方法を提供し、これは、水素化ラテックスをオゾンで処理して、ジイミドの方法を使用するラテックスの水素化中または水素化後に形成する架橋ポリマー鎖を破壊する。米国特許第6552132号には、化合物をラテックスの水素化前、水素化中、または水素化後に加えて、ジイミドの水素化経路を使用する水素化中に形成する架橋を破壊することができることが開示されている。この化合物は、第一級または第二級アミン、ヒドロキシルアミン、イミン、アジン、ヒドラゾン、およびオキシムから選択することができる。米国特許第6635718号には、触媒として少なくとも4の酸化状態の金属原子(例えばTi(IV)、V(V)、Mo(VI)、およびW(VI))を含有する金属化合物の存在下でヒドラジンおよび酸化性化合物を使用することによって、水性分散体の形態の不飽和ポリマーのC=C結合を水素化するための方法が記載されている。Applied Catalysis A: General 276 (2004) 123〜128およびJournal of Applied Polymer Science Vol.96、(2005) 1122〜1125において、ジイミドの水素化経路を利用するニトリルブタジエンゴムラテックスの水素化に関する詳細な調査が提供されており、これは水素化効率および水素化度を試験することに及んでいる。
【0009】
ラテックス粒子の中間相において、およびポリマー相中で副反応が存在することが分かり、これはラジカルを発生してラテックス形態のポリマーの架橋を開始する。ラジカル捕捉剤を使用することによっては、ゲル形成の程度を抑制することの助けとなる証拠は示さなかった。架橋を低減するために開発された方法は存在するが、特に高い水素転換が達成される場合、それでも前述のジイミドの経路はゲル形成の問題に直面している。したがって、得られた水素化ゴム物質は、その巨視的な3次元架橋構造により、加工することが難しく、さらなる使用に適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第3690349号
【特許文献2】米国特許第5770660号
【特許文献3】米国特許第6410657号
【特許文献4】米国特許第6020439号
【特許文献5】米国特許第5705571号
【特許文献6】米国特許第5057581号
【特許文献7】米国特許第3454644号
【特許文献8】米国特許第7385010号
【特許文献9】米国特許第7345115号
【特許文献10】米国特許第4452950号
【特許文献11】米国特許第5039737号
【特許文献12】米国特許第5442009号
【特許文献13】米国特許第6552132号
【特許文献14】米国特許第6635718号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Applied Catalysis A: General 276 (2004) 123〜128
【非特許文献2】Journal of Applied Polymer Science Vol.96、(2005) 1122〜1125
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ゲル形成を低減した、容易に水素化することができる新規なジエン系不飽和ポリマーを提供することが、本発明の目的である。本発明のさらなる目的は、同じ不飽和ポリマーを製造するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ラテックス形態の新規なナノサイズのジエン系不飽和ポリマー粒子を提供し、この粒子は、d90値として測定された、60nm未満、好ましくは40nm未満、より好ましくは30nm未満、最も好ましくは20nmの粒子径を有する。一実施形態において、ジエン系不飽和ポリマーは、アクリロニトリル/ブタジエンポリマーである。
【0014】
さらに、本発明は、
a) 少なくとも1つのジエンD、および任意の少なくとも1つの共重合可能なモノマーAを重合する工程であって、
b) 水性媒体、好ましくは水中で、
c) 界面活性剤、好ましくはアルキルサルフェートの存在下で
重合する工程であって、ここで、
d) ジエンDおよび任意の少なくとも1つの共重合可能なモノマーAは、好ましくはゆっくりとした定常的な供給速度で、水性媒体、重合開始剤および界面活性剤を含む反応器に連続的に入れられる工程
を含む、ラテックス形態のジエン系不飽和ポリマーを製造するための方法を提供する。
【0015】
好ましい一実施形態において、ジエンDおよび任意のモノマーAは、連続的にかつゆっくりと加えられる。加える時間の長さは反応条件に依存し、原則としてモノマーDとAは水相中の液滴中に蓄積され、通常は少なくとも10分である。さらなる好ましい実施形態において、反応器中の水相中の、1質量%未満(水の量に基づく)、好ましくは0.1質量%未満(水の量に基づく)の量の未反応のジエンDと任意のモノマーAが維持される。
【0016】
さらなる好ましい実施形態において、少量のレドックス重合開始剤が使用され、これはモノマーの全量に基づいて、0.05質量%から5質量%、好ましくは0.1質量%から1質量%の範囲である。
【0017】
本発明の目的のために、用語「ジエンDおよび任意の少なくとも1つの共重合可能なモノマーAを連続的に反応器に入れる」は、全てまたはほとんど全ての量の反応物を、反応の非常に初期において、反応器に一緒に入れないことを意味する。この用語は、本質的に同じ供給速度および濃度で反応物を供給することを含み、このような速度が増加することおよび減少することを含む。さらに、この用語は反応中に少量の反応物を加えることを含む。
【0018】
本発明による方法は、60nm未満のd90直径を有する本発明によるナノサイズの粒子を製造するために有用である。
【0019】
本発明の目的のために、d90直径は、90%の粒子が示された値未満の直径を有することを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ジエン系ラテックス粒子は、少なくとも1つのジエンモノマー、好ましくは少なくとも1つの共役モノマーDに基づく。ジエンDは、任意の性質であり得る。一実施形態において、(C4〜C6)共役ジエンが使用される。好ましくは、1,3-ブタジエン、イソプレン、1-メチルブタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、ピペリレン、クロロプレン、またはこれらの混合物である。特に好ましくは、1,3-ブタジエンおよびイソプレンまたはこれらの混合物である。特別に好ましくは、1,3-ブタジエンである。
【0021】
好適な共重合可能なモノマーAには、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、アルファメチルスチレン、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ならびにフマル酸、マレイン酸、アクリル酸およびメタクリル酸から選択される不飽和カルボン酸が含まれる。
【0022】
本発明によると、共役ジエンDは、約15から約100質量%の炭素-炭素二重結合を含むラテックス形態のポリマーを形成する。共重合可能なモノマーAが使用され、スチレンおよびアルファメチルスチレンから選択される場合、スチレンおよび/またはメチルスチレンモノマーは、好ましくは、ポリマーの約15から約60質量%を形成する。他の共重合可能なモノマーAが使用され、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルから選択される場合、アクリロニトリルおよび/またはメタクリロニトリルモノマーは、好ましくはポリマーの約15から約50質量%を形成し、共役ジオレフィンはポリマーの約50から約85質量%を形成する。
【0023】
他の共重合可能なモノマーAが使用され、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル、ならびにさらに不飽和カルボン酸から選択される場合、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルはポリマーの約15から約50質量%を形成し、不飽和カルボン酸はポリマーの約1から約10質量%を形成し、共役ジオレフィンはポリマーの約40から約85質量%を形成する。
【0024】
好ましい製品には、ランダムまたはブロックタイプのスチレン-ブタジエンポリマー、ブタジエン-アクリロニトリルポリマー、およびブタジエン-アクリロニトリル-メタクリル酸ポリマーが含まれる。
【0025】
好ましいブタジエン-アクリロニトリルポリマーは、約25から約45質量%のアクリロニトリル含有量を有する。
【0026】
本発明において使用される特に好適なコポリマーは、ニトリルゴム(「NBR」とも略される)であり、これはα,β-不飽和ニトリル、特に好ましくはアクリロニトリルと、共役ジエン、特に好ましくは1,3-ブタジエンと、任意の1つ以上のさらなる共重合可能なモノマー、例えばα,β-不飽和モノカルボン酸もしくはジカルボン酸、これらのエステルまたはアミドとのコポリマーである。
【0027】
このようなニトリルゴム中のα,β-不飽和モノカルボン酸またはジカルボン酸として、好ましくは、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸およびメタクリル酸である。
【0028】
このようなニトリルゴム中のα,β-不飽和カルボン酸のエステルとして、好ましくは、これらのアルキルエステルおよびアルコキシアルキルエステルを使用するものである。特に好ましいα,β-不飽和カルボン酸のアルキルエステルは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、およびオクチルアクリレートである。特に好ましいα,β-不飽和カルボン酸のアルコキシアルキルエステルは、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、およびメトキシエチル(メタ)アクリレートである。アルキルエステル、例えば上で挙げたものと、アルコキシアルキルエステル、例えば上で挙げた形態のものとの混合物を使用することもできる。
【0029】
本発明による好ましいターポリマーは、アクリロニトリルと、1,3-ブタジエンと、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、n-ブチルアクリレート、およびtert-ブチルアクリレートからなる群から選択される第三のモノマーとのターポリマーである。
【0030】
ポリマーの合成は、ラテックス形態で行うことができる。本発明によって製造されるポリマーは、ラテックスのナノ粒子である。
【0031】
本発明の合成方法は、化学的なレドックス開始剤、例えば過硫酸アンモニウム(APS)の使用により達成することができる。さらなる重合開始剤には、過硫酸カリウム、ジアルキルペルオキシド、またはアゾ化合物などの熱開始剤、ならびに場合によってコール酸塩および好適な還元剤と組み合わされてもよいレドックス開始剤、例えばジイソプロピルベンジン、p-メンタンおよびピナンヒドロペルオキシドなどのアルキルヒドロペルオキシドが含まれる。
【0032】
開始剤は、少量で使用することができる。全モノマーに対するAPSの量は、モノマーの全量に基づいて、0.05質量%から5質量%、好ましくは0.1質量%〜1質量%の範囲である。
【0033】
本発明の合成方法は、好ましくは、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの界面活性剤と一緒に行われる。界面活性剤の量は、使用される全モノマー量に基づいて、約0.1質量%から約15質量%、好ましくは0.1から1質量%であり得る。
【0034】
本発明の好ましい実施形態において、水が媒体として使用される。水の量は、使用されるモノマーの量に基づいて、約2倍から約30倍、好ましくは5倍から10倍である。
【0035】
本発明の合成方法は、温度調整およびモノマー供給および攪拌手段を備えた好適な反応器中で行うことができる。
【0036】
一般的に、本発明によると、本発明に好適な反応温度は、約0℃から約100℃、好ましくは約15℃から約70℃である。
【0037】
本発明の好ましい実施形態によると、反応の過程において、反応時間は、操作条件に応じて、約15分間から約100時間、好ましくは約1時間から20時間である。
【0038】
本発明の好ましい実施形態によると、反応の過程において、モノマー供給時間は、操作条件に応じて、約15分間から約50時間、好ましくは約1時間から10時間である。
【0039】
本発明の好ましい実施形態によると、反応の過程において、モノマー供給が終了した後の攪拌時間は、操作条件に応じて、約15分間から約50時間、好ましくは約1時間から10時間である。
【0040】
本発明の好ましい実施形態によると、反応が終了した場合、所望の程度まで反応容器を冷却することができ(該当する場合)、ポリマーラテックスが得られる。
【0041】
好ましい実施形態において、得られたラテックスは、当分野において知られている添加剤、例えば抗酸化剤と混合されてもよく、凝集を避けるために十分に攪拌されながら凝固および洗浄容器に移されてもよい。続けて、生成物は最終的な脱水装置に供給され、ペレット化され、分割剤でコートされ、好適な乾燥機に移されてもよい。
【0042】
重合は、当分野において知られている反応器中で行われてもよい。一実施形態において、反応器は、攪拌機、重合の進行を測定するための温度検出手段、およびモノマーを連続的に加えるための少なくとも1つの注入口を備えた、少なくとも1つの反応器である。さらに、モノマーの十分なかつ連続的な添加速度を備えるための、反応器の体積比に対して流速を制御する手段が存在する。
【0043】
本発明によって得られるナノサイズのジエン系ポリマーは、一般的に、熱、酸素、およびオゾンによる分解に対する耐性の点で改善された特性を示すゴムまたはゴムの中間体として、より大きい粒子径を有するジエン系ラテックス粒子と同じ技術的用途に使用することができる。
【0044】
さらに、特にアクリロニトリルおよびブタジエンに基づくナノサイズのジエン系ラテックス粒子は、例えばHNBRとして知られている水素化NBRの製造のために、容易に水素化することができる。
【実施例】
【0045】
反応および分析に使用した材料を表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
以下の実施低は、本発明の範囲を例示するものであり、これを限定することを意図しない。
【0048】
(実施例1)
0.1部のKPS、0.5部のSDS、0.05部のn-DDMおよび40部の水を、羽根攪拌機(impeller stirrer)、添加チューブ、および熱電対を備えた300mLのステンレス鋼の高圧反応器(Parr Instruments)に入れた。温度を85℃に上げた後、1.5部のアクリロニトリルと3部のブタジエンとの混合物を、少量ごとに150分間にわたって加えた。モノマー混合物を加えた後、反応混合物を、80〜85℃にさらに20分間保った後、冷却して反応を停止した。
【0049】
固形分含有量を重量法によって求め、z平均粒子径を、90Plus粒子径分析計(Brookhaven Instrument Corporation)で動的光散乱法を使用して測定した。数平均粒子径を、Natrac 150 instrument(Microtrac Inc.)で測定した。コポリマー組成物を、IR法を使用して測定した。Bio-Rad FTS 3000X分光計を使用した。赤外のサンプルを、MEK溶液から塩化ナトリウムのディスクへのポリマーフィルムのキャスティングによって調製した。このようにして得られたポリマーの粒子径は、30nmである。
【0050】
(実施例2)
反応温度を90℃とし、反応時間を35分間とし、攪拌時間を25分間とした以外は、実施例1に記載したものと同じ条件および手順を用いた。得られたNBRの粒子径は、19.3nmであった。
【0051】
(実施例3)
n-DDMの量を0.025部とし、反応温度を70℃とし、反応時間を135分間とし、攪拌時間を60分間とした以外は、実施例1に記載したものと同じ条件および手順を用いた。得られたNBRの粒子径は、19.1nmであった。
【0052】
(実施例4)
反応温度を70℃とし、モノマー供給時間を180分間とし、攪拌時間を25分間とした以外は、実施例1に記載したものと同じ条件および手順を用いた。得られたNBRの粒子径は、23.5nmであった。
【0053】
本発明は例示の目的で詳細に記載されたが、このような詳細はその目的のためのみであり、特許請求の範囲によって限定される場合を除いて、本発明の精神および範囲から離れることなく、当業者によって変更され得ることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
d90値として測定された60nm未満の粒子径を有する、ジエン系不飽和ポリマーラテックス粒子。
【請求項2】
アクリロニトリル-ブタジエンポリマーである、請求項1に記載のラテックス粒子。
【請求項3】
a) 少なくとも1つのジエンD、および任意の少なくとも1つの共重合可能なモノマーAを重合する工程であって、
b) 水性媒体、好ましくは水中で、
c) 界面活性剤、好ましくはアルキルサルフェートの存在下で
重合する工程であって、ここで、
d) ジエンDおよび任意の少なくとも1つの共重合可能なモノマーAは、好ましくはゆっくりとした定常的な供給速度で、水性媒体、重合開始剤および界面活性剤を含む反応器に連続的に入れられる工程
を含む、ラテックス形態のジエン系不飽和ポリマーを製造するための方法。
【請求項4】
前記ジエンDが1,3-ブタジエンであり、少なくとも1つの共重合可能なモノマーAが反応される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記共重合可能なモノマーAがアクリロニトリルである、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記重合する工程が、使用される全モノマー量に基づいて、0.1質量%から1質量%の量の界面活性剤の存在下で行われる、請求項3から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
得られたジエン系ラテックス粒子が、d90値として測定された60nm未満の直径を有する、請求項3から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記重合開始剤がレドックス開始剤、好ましくは過硫酸塩である、請求項3から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記界面活性剤がアルキルサルフェートである、請求項3から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項3から9のいずれか一項に規定するジエン系ラテックス粒子が水素化される、不飽和ジエン系ポリマーを水素化するための方法。
【請求項11】
ゴムまたはゴムの中間体としての、請求項1〜10のいずれか一項に規定するポリマーの使用。

【公表番号】特表2013−503232(P2013−503232A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526174(P2012−526174)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際出願番号】PCT/IB2010/053844
【国際公開番号】WO2011/024140
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(510238650)ユニバーシティ オブ ウォータールー (4)
【Fターム(参考)】