説明

ナノサイズ金属含有ナノ粒子およびナノ粒子分散体の合成方法

本発明は、核生成および成長工程の時間および空間における分離を温度および体積流量の調節によって達成し、反応および粒子形成を好ましくは適当なマイクロ構造化モジュール式反応器系において開始し、実施することを特徴とする、形態学的に均一で、実質的に単分散の金属含有ナノ粒子の製造方法に関する。マイクロ反応プラントのモジュール化(マイクロ熱交換器、滞留反応器、マイクロミキサーなど)は、化学的およびプロセス工学それぞれのプロセスパラメーターの最適設定および実質的に単分散で、形態学的に均一の金属含有ナノ粒子の製造を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特別な寸法のマイクロ構造化反応モジュール、例えば熱交換器、反応器およびミキサーなどの使用による液相中でのナノスケール半導体粒子(量子ドットまたはナノ結晶としても知られている)の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば触媒作用における、または顔料としての官能性ナノスケール粒子の使用といった従来の分野に加え、最近では、バイオテクノロジー、医薬、セキュリティ技術、コンピュータテクノロジー、電気工学およびエネルギー工学ならびに光学における高度技術用途にますます焦点が置かれている。さらに、種々の可能な用途および使用が材料科学に存在するが、それは官能性ナノ粒子が複合材料に完全に新規な特性を付与するのに役立つからである。生成物特性、とりわけ、粒子形態、粒度、粒度分布、分散体のコロイド安定性の制御および粒子の使用特性は特定の特別な用途に決定的である。特に半導体ナノ粒子の物理化学的特性は、粒度、粒子形態および粒度分布範囲に応じて非常に著しく変化する。従って、粒子特性を具体的に設定することができる制御された合成は特に重要である(T.Trintadeら、Chem.Mater.、2001年、13、第3843〜3858頁;C.Burda他、Chem.Rev.、2005年、105、第1025〜1102頁)。
【0003】
ナノスケール半導体粒子は気相合成を用いて製造することができるが、それは装置の複雑さおよび提案された方法の複雑さに起因して、より多い量を製造するのにほとんど適していない。
【0004】
他の可能な製造方法はナノ粒子半導体粒子の液相合成である。水(水熱法)または有機溶媒(ソルボサーマル法)のいずれかを用いる液相法をバッチ式および連続的に実施し得る。
【0005】
バッチ法は最も広く研究されてきた。この方法は、後に混合される1以上の先駆物質溶液から出発する。とりわけ、用いる溶媒、界面活性剤、用いる先駆物質の型および計量および反応温度が相違する。
【0006】
C.B.Murrayらによって、実質的に単分散分布した半導体ナノ粒子を製造するソルボサーマルバッチ法が最初に記載された(C.B.Murrayら、J.Am.Chem.Soc.、1993年、115、第8706〜8715頁)。 本発明においては、純粋な界面活性剤溶液は合成用の反応媒体として用いる。恒温撹拌槽反応器に不活性雰囲気下で溶液中の先駆物質を初期投入し、所望の温度に過熱する。次いで二次先駆物質溶液を、激しく撹拌しながら同時に温度を低下させて、さらなる先駆物質溶液にできるだけ素早く添加する(「熱射出」法)。
【0007】
C.de Melloらによって、慣習的なプロセス条件および半導体ナノ粒子を合成するための「熱射出」法に用いる溶媒および界面活性剤の概説が与えられた(C.de Melloら、Small、2005年、1、第1152〜1162頁)。
【0008】
半導体ナノ粒子は、制御条件下に粒子形成プロセスを実施するために、通常、配位溶媒(トリオクチルホスフィンオキシド、TOPO)を用いることによってバッチ法により製造される。温度調節された最初の先駆物質溶液に第二先駆物質溶液を計量導入した後(「熱射出」法)、該反応混合物を特定の温度まで冷却するので、成長工程および核生成工程は同時に実施されない(このために、例えばWO2001007689A2、US6872249を参照されたい)。
【0009】
US6576291には、室温で適当な界面活性剤(例えばトリオクチルホスフィン、TOP)を用いる2種の先駆物質溶液の混合、およびその後の360℃まで加熱された純粋な界面活性剤/溶媒混合物への該混合物の急速添加が記載されている。ここでも、該温度は半導体ナノ粒子の制御された遅い成長のために計量導入工程後に275℃まで低下させる。
【0010】
WO1997010175には、コムプロポーショネイション反応による粒子形成に必要な成分からの有機先駆物質の形成がさらに記載されている(リガンドメタセシス)。該先駆物質を界面活性剤/溶媒混合物中に混合した後、反応器の全内容物は、粒子形成に必要な温度である250℃にできるだけ素早く加熱され、30分間該温度で維持される。
【0011】
バッチ法はまた、「コア/シェルナノ粒子」を合成するのに適当であり、コアナノ粒子の合成は上記の方法後、最初に実行される。次いで、第2工程において、約220℃の温度でシェルを合成するために相当する先駆物質溶液を添加する(このために、例えばUS6207229、US6815064を参照されたい)。
【0012】
US6225198には、ナノ粒子の形状の可能性が先駆物質濃度、反応温度ならびに用いる界面活性剤およびバッチ法における先駆物質溶液の特定の特性に影響を受け、その結果、0D構造に加えて1D、2Dおよび3D構造を合成できることも記載されている。
【0013】
とりわけ、極めて均質な反応器中の温度場、安定した反応温度、非常に急速な熱供給および熱消失、ならびに第二先駆物質溶液中に計量導入する場合における効果的な混合は、半導体ナノ粒子の制御された構造に決定的である。不連続法においては、温度制御および混合の質は全反応体積の増加に応じて悪化し、その結果、該プロセスは通常、少量の半導体ナノ粒子(1〜50ml反応混合物)の合成のみを可能とする。従って、より多い量を製造するためには、バッチ合成は同時または連続して、かなりの努力によって実施されなければならない。その後、個々の合成中のプロセスパラメーターの変動によって質の損失が必然的に生じる。
【0014】
極めて単分散の分布を有するナノ粒子を製造するために、「核生成工程」はその後の成長工程から時間において適切に分離される(J.de Melloら、Lab Chip、2004年、4、11N〜15N)。
【0015】
さらに、核生成工程および成長工程を、空間において分離することによって、理想的な特定のパラメーターを正確に調節し、それによって粒子特性を最適に制御することが可能となる。しかしながら、空間における分離はバッチプロセスにおいては不可能である。時間および空間のいずれにおいても分離すべき核生成工程および成長工程を可能とする連続的合成はこれまで開示されていなかったが、これは従来のバッチ操作(バッチ合成)を越えた特有の優位性を示す。
【0016】
さらに、通常用いる界面活性剤および溶媒が合成のコストにかなり寄与するという事実は、これらの半導体ナノ粒子を多量に製造するための他の抑制性要素である。
【0017】
WO2005052996には、バッチ合成用の反応媒体としての熱伝導流体(例えばDowtherm A)の使用が記載されている。これまで時折用いられた非配位性溶媒、例えばオクタデセンなどに加えて、これは再びかなりコストを減少させることができる。
【0018】
半導体ナノ粒子の合成のために連続的に操作される反応器を用いる最初の試みは、油槽中に浸漬され、所要の温度まで加熱された薄い毛細管を使用する。この場合、先駆物質溶液は、配位性溶媒を用いて予備混合され、わずかに高温で330℃まで温度調節された毛細管に供給される(H.Nakamuraら、Lab Chip、2004年、4、第237〜240頁)。しかしながら、均一に温度調節された毛細管を用いることによって、核生成および成長を、時間および空間において互いに十分に分離することができない。
【0019】
種々の他の官能性ナノ粒子も、毛細管反応器中において連続法で製造されてきた。全ての場合において、毛細管は、反応およびその後の粒子形成を開始するために反応溶液を温度調節する働きをする。
【0020】
EP1452225A1には、金、硫化カドミウムおよびセレン化カドミウムのナノ粒子の合成が記載されている。
【0021】
US6179912には、非常に高温で連続的に操作される反応器に先駆物質溶液を導入する前に該溶液を混合するために、配位性溶媒(TOPO)を用いて複数の混合部を用いる、種々の半導体ナノ粒子を調製するための連続法が記載されている。これは容器および混合部分を加熱することが必要であり、用いる溶媒は室温でワックス状固体である。
【0022】
バッチ合成手順と同様に、連続操作において、2つの先駆物質を、予め所要の温度に温度調節した界面活性剤溶液(TOPO)中に計量導入することも可能である(M.Kawaら、J.Nanopart.Res.、2003年、5、第81〜85頁)。
【0023】
US5652192には、温度調節および(熱水的に)加圧した連続操作反応器の使用によって水性相中でナノスケール粒子を合成するための連続法が記載されている。
【0024】
WO2005020659には、ナノ粒子を合成するための構成要素におけるミキサー、加熱部および滞留時間部の組み合わせが記載されている。従って、複数の計量導入所の使用はナノ粒子の被覆も可能とする(コア−シェル粒子の調製)。
【0025】
毛細管プロセス、例えば核生成および成長相の不十分な分離、極端に低い体積流量、反応体流の不十分な混合、層流断面に起因する広範な滞留時間分布およびそれらから得られる広範な粒度分布などの明らかな欠点とのバランスをとるために、「セグメント流(segmented flow)」の概念もまた、官能性ナノ粒子を合成するために用いる(B.K.H.Yenら、Angew.Chem.Int.Ed.、2005年、44、第5447〜5451頁)。これには、連続流反応器中で天然循環に付される分離した反応体積を生成するためにセグメント流体(気体または非混和性液体)を用いることが含まれる。
【0026】
WO1998002237には概して、セグメント流管反応器中での固体粒子の合成のための沈殿反応を実施することが記載されている。ここでは、2つの反応物質の混合は先行してもよいが、セグメント化と同時であってもよい。
【0027】
毛細管反応器中の反応の実施と比べて、セグメント流反応器の使用は極めて狭い粒度分布を有するナノ粒子を生じさせる。しかしながら、ここでも、多量のナノ粒子を製造するために体積流量処理量(ml/分)を増加させる場合には、サイズ分布に対するナノ粒子の質は著しく低下する。さらに、プロセスの複雑度は、セグメント流体を非常に正確にかつ均一に計量導入しなければならないので増大する。これは、実質的にはより高い体積流で不可能である。
【0028】
従って、具体的に調節可能な粒度および粒度分布での多量のナノスケール半導体粒子の費用効率の高い液相合成に適した代替法が必要とされている。これは特に、濃縮されたコロイド安定性(すなわち、特に数時間〜数日までの長い寿命)粒子分散体を再生可能な方法で、工業規模で製造することができ、従来法の上記の欠点を有さない方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】国際公開第2001007689号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6872249号明細書
【特許文献3】米国特許第6576291号明細書
【特許文献4】国際公開第1997010175号パンフレット
【特許文献5】米国特許第6207229号明細書
【特許文献6】米国特許第6815064号明細書
【特許文献7】米国特許第6225198号明細書
【特許文献8】国際公開第2005052996号パンフレット
【特許文献9】欧州特許公開第1452225号明細書
【特許文献10】米国特許第6179912号明細書
【特許文献11】米国特許第5652192号明細書
【特許文献12】国際公開第2005020659号パンフレット
【特許文献13】国際公開第1998002237号パンフレット
【非特許文献】
【0030】
【非特許文献1】T.Trintadeら、Chem.Mater.、2001年、13、第3843〜3858頁
【非特許文献2】C.Burdaら、Chem.Rev.、2005年、105、第1025〜1102頁
【非特許文献3】C.B.Murrayら、J.Am.Chem.Soc.、1993年、115、第8706〜8715頁
【非特許文献4】C.de Melloら、Small、2005年、1、第1152〜1162頁
【非特許文献5】J.de Melloら、Lab Chip、2004年、4、11N〜15N
【非特許文献6】H.Nakamuraら、Lab Chip、2004年、4、第237〜240頁
【非特許文献7】M.Kawaら、J.Nanopart.Res.、2003年、5、第81〜85頁
【非特許文献8】B.K.H.Yenら、Angew.Chem.Int.Ed.、2005年、44、第5447〜5451頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
かかる状況下、本発明の目的は、時間範囲で、特に日範囲での実行時間を可能とする、ナノスケール半導体粒子または他の金属含有官能性ナノ粒子および/またはこれらの分散体を製造するための方法、特に連続法に関する。さらに、該方法は、前記生成物を、所望の品質、すなわち、特定の調節可能な平均粒度、実質的に単分散の粒度分布および所望の粒子形態で、多量に、特にg/時間以上の範囲で提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明の目的は、核生成工程および成長工程が分離温度制御によって、好ましくはマイクロ構造化反応を用いることによって時間および空間に分離される、複数の適当な反応モジュールからなる連続流反応部において本発明による方法によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の方法は、例えばスタティックミキサーを組み込むことによって半径方向が良好で、かつ軸方向が乏しい混合を可能とし、それによって狭い滞留時間分布を設定することが可能となる反応器中で好ましく実施される。本発明による液相法は、従来の反応技術と比べて、極めて正確に調節され、制御される温度および混合条件を可能とするマイクロ反応技術系により好ましく実施される。
【0034】
本発明のために、マイクロ反応技術系は、複数のマイクロ反応技術構成要素からなるモジュール系を意味する。マイクロ反応技術系は通常、少なくとも1つのマイクロ構造化反応器からなる。好適には、本発明による液相法を連続的に実施する。
【0035】
驚くべきことに、上記の方法は、適当な有機溶媒を用いて所望の粒度、粒度分布および粒子形態を有する金属含有ナノ粒子、特に半導体ナノ粒子を、モジュール式のマイクロ反応技術系で連続的に製造できることを見出した。驚くべきことに、適当な溶媒の使用で、相当する先駆物質を、室温またはわずかに高温(特に100℃以下)で予備混合し、反応温度に加熱したマイクロ反応技術系へ、完全に分子レベルに至るまで混合した単一ストランドとして通過させることができる。ストランド、反応ストランドまたは反応部は、本発明による方法にとって、反応モジュールの逐次的系列結合を意味する。
【0036】
先駆物質の予備混合のための温度は、化学反応および核生成を容器および供給配管中で著しく実施することがないような方法で好ましく選択する。これは、例えば、容器中で先駆物質溶液の色または曇りを監視することによって決定する。さらに、スタティックミキサー装置を有する自動温度調節可能なマイクロ構造化滞留時間反応器との組み合わせでのマイクロ反応技術構成要素における極めて高い熱伝導速度は、半導体ナノ粒子の特定の粒度または粒子形態および狭い粒度分布を生じさせる、時間および空間に分離された核生成工程および成長工程を可能とすることが見出された。次いで、時間および空間に分離された核生成工程および成長工程の制御は、粒度、粒度分布および粒子形態を具体的に調節することを可能とし、それによって、0D構造が球形ナノ粒子であり、1D構造が例えば棒状であり、2D構造が例えば板状であり、3D構造が例えばテトラポッドまたは分枝状ナノ構造である、0D、1D、2Dおよび3D構造の選択的な合成が可能となる。
【0037】
より具体的には、成長工程および複合構造(2Dおよび3D)の合成は、用いる界面活性剤、反応物質および界面活性剤の絶対濃度によって、特定の反応物質同士のモル比によって、特に適当な熱伝導面積と反応体積の比(A/V比)で、核生成中および成長工程中の温度を正確に制御することによって制御できることが見出された。
【0038】
従って、本発明は好適には、反応および粒子形成を、好ましくは適当なマイクロ構造化モジュール反応器系(マイクロ反応技術系)で開始し、実施する、温度および体積流の分離制御が時間および空間において核生成工程および成長工程の分離を生じさせることを特徴とする、特に形態学的に均一で、実質的に単分散分布した金属含有ナノ粒子および/またはナノ粒子分散体の好ましくは連続的な製造方法に関する。マイクロ反応技術系のモジュール化(マイクロ熱交換、マイクロ反応器、マイクロミキサーなど)によって、特定の化学およびプロセス工学のプロセスパラメーターを適切に調節すること、およびそれによって実質的に単分散分布した形態学的に均一なナノ粒子を製造することが可能となる。
【0039】
同時に、本発明による方法によって、これらの多量のナノ粒子の連続的な製造が可能となる(g/時間−kg/時間範囲)。
【0040】
好適には、本発明による方法は、40nmまでの、好適な実施態様においては0.5〜20nmの特性平均粒子寸法、極めて特に好適な実施態様においては1〜10nmの特性寸法を有する粒子を有するナノスケール粒子を製造することができ、該特性寸法は、特性決定寸法、例えばロッドの直径、またはテトラポッドアームの直径を表す。
【0041】
達成することができる粒度分布は通常、±10nm、好ましくは±5nm、特に好適には±2nmの標準偏差を有する。粒度分布は、例えば透過電子顕微鏡像の統計的分析によって確立および評価し得る。
【0042】
本発明による方法によってさらに、球形、および特に非球形の粒子、例えばロッド、プレートまたはテトラポッドなどの粒子特性を設定することが可能となる。より具体的には、本発明による方法によって、±20%、好ましくは±10%、とりわけ±5%の標準偏差を有する特性分布を設定することが可能となる。興味深い特性は、例えばUV〜可視光の吸収最大、屈折率または溶融温度であり得る。
【0043】
ナノ粒子は、界面活性剤を用いて液相中で合成される。粒子表面は、粒子形成プロセスならびにこれらの完成の後、界面活性剤層によって永久的に覆われている。安定化作用の他に、界面活性剤層もまた、さらに加工または取り扱いを可能とするか、またはコロイド安定性粒子分散体を製造するために、ナノ粒子を除去し、ほとんどの有機溶媒(例えばトルエン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、塩化メチレン)に問題なく再分散させることができる。
【0044】
本発明による方法によって、操作の連続様式に起因して、実験室において達成される生成物品質を維持しながら、実験室規模から生産規模に容易に移すことがさらに可能となる。
【0045】
好ましくは、本発明の方法によって、ナノ粒子、特に官能性ナノ粒子、例えば金属酸化物またはコロイド貴金属など、特に好ましくは半導体ナノ粒子(例えばII〜VIまたはIII〜V化合物半導体)を合成することが可能となる。
【0046】
本発明の方法によって、種々の形態(特別な粒子、ロッド、プレート、テトラポッド、コア−シェルまたはドープされたナノ粒子)およびサイズの半導体ナノ粒子(例えばII〜VIまたはIII〜V化合物半導体)を適当な有機反応媒体中で連続的に合成することが可能となる。
【0047】
本発明の方法に用いる反応物質は通常、金属反応物質、例えばCd、Zn、In、Pb、Ga、Cu、Sn、Mn、Fe、Ti、金属酸化物またはこれらの塩など(反応物質1)、およびSe−、Te−、As−、S−、P−、O−含有化合物(反応物質2)である。該反応物質は、本発明による方法により溶解形態(先駆物質溶液)で用いられる。
【0048】
本発明による方法の目的のために、先駆物質溶液は、反応物質、界面活性剤または界面活性剤混合物および有機反応媒体からなる均質な混合物を意味する。
【0049】
先駆物質溶液の製造は通常、界面活性剤を必要とする。
【0050】
長鎖状脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、テトラデカン酸、ウンデカン酸などは、界面活性剤として、および金属反応物質(反応物質1)の相当する先駆物質溶液1を形成するのに特に適している。
【0051】
界面活性剤として、さらなる反応物質(反応物質2)の相当する先駆物質溶液2を形成するのに適当なものは、とりわけ次のものである:
直鎖状または分枝状アルキルホスファン、例えばトリブチルホスファン、トリヘキシルホスファン、トリオクチルホスファン、トリ(tert−ブチル)ホスファン、トリス(トリメチルシリル)ホスファン、
トリ−オクチルホスファンオキシドおよびホスホン酸およびカルボン酸、例えばテトラデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、
第四級アンモニウム化合物およびアミン、例えばセチルトリメチルアンモニウムブロミド
アルキルエーテルカルボキシレートおよび脂肪アミンの塩、
配位基で官能化されたオリゴチオフェン、および
配位基で非対称置換されたペリレン。
【0052】
本発明による方法において、好適なものは、少なくとも270℃の極めて高い沸点を有し、350℃までの温度で分解の兆候を示さない、室温でまたは反応および核生成がわずかに起こる温度で先駆物質溶液の混合を可能とする反応媒体である。
【0053】
好適なものは、反応物質(先駆物質)および界面活性剤をいずれも完全に溶解させる反応媒体である。
【0054】
適当な反応媒体は特に高沸点を有する有機溶媒、例えば以下のものであるが、これらは排他的ではない:
トリ−オクチルホスファンオキシド(TOPO)、
オクタデセン(ODE)、
シリコーン油、
アルキル芳香族化合物、
アルキルフェニルエーテル、
部分水素化ビフェニル、ターフェニルおよびポリフェニルまたはこれらの混合物、および
他の熱変換流体(例えばDiphyl THT、Diphyl DTまたはTherminol 66)。
【0055】
適当な溶媒を用いて、相当する先駆物質溶液を、わずかに高温であるが150℃を越えない、好ましくは120℃を越えない、特に好適には100℃を越えない温度で均質な混合物として初期投入することができ、反応装置へ単一ストランドとして通過させる。本発明においては、化学反応および核生成は、温度調節された容器中よりはむしろ、相当する温度に加熱された反応装置の段階でのみ生じる。
【0056】
あるいは、先駆物質は、効果的な素早い混合を可能とする内部混合装置(例えばマイクロミキサー)を有するミキサーを用いて混合することもできる。
【0057】
本発明の方法によって、化学およびプロセス工学のパラメーター(界面活性剤、濃度、モル濃度比、温度、体積流など)を具体的に変化させることによって、粒度、粒度分布および粒子形態を正確に固定することが可能となる。
【0058】
本発明においては、化学パラメーターは、特に、先駆物質溶液の組成物、すなわち、用いる界面活性剤の選択、ならびに互いの反応物質および界面活性剤の濃度およびモル濃度比の決定に関する。
【0059】
本発明による方法の最初の実施態様においては、合成は、温度および濃度に対して完全に均質化された先駆物質溶液のいずれの混合物からも出発して行われ、これはいかなる顕著な反応および特に100℃未満の温度でのいかなる核生成をも示さない。
【0060】
本発明に従えば、先駆物質溶液1として、反応物質の溶液1、少なくとも1つの金属含有反応物質、溶媒および少なくとも1つの界面活性剤1(好ましくは長鎖状脂肪酸)を用いることは好適である。先駆物質溶液2として、Se−、Te−、As−、S−、P−、O−含有化合物の溶液2、溶媒および少なくとも1つの界面活性剤2(好ましくはトリ−アルキルホスファンまたは官能化オリゴチオフェノン)を用いることは好適である。
【0061】
界面活性剤は、先駆物質溶液中において0.1Mと2Mの間、好ましくは0.2Mと1.25Mの間、特に0.4Mと1.0Mの間の濃度で適切に用いられる。
【0062】
先駆物質溶液1中の金属含有反応物質は、0.001Mと2Mの間、好ましくは0.01Mと1.0Mの間、特に0.01Mと0.5Mの間の濃度で適切に用いる。
【0063】
先駆物質溶液2は、Se−、Te−、As−、S−、P−、O−含有化合物を、0.001Mと2Mの間、好ましくは0.01Mと1.0Mの間、特に0.01Mと0.5Mの間の濃度で適切に用いる。
【0064】
新たに製造された先駆物質溶液を用いることは好適である。
【0065】
金属含有反応物質と、先駆物質混合物中の相当するSe−、Te−、As−、S−、P−、O−含有化合物とのモル使用比は適切には、0.5と10.0の間、好ましくは0.7および5.0の間、特に0.9および2.0の間である。
【0066】
先駆物質溶液の反応性を決定する、反応物質1または2と相当する界面活性剤との使用比は、特定の先駆物質混合物中で適切には0.01と1の間、好ましくは0.05と0.8の間、特に0.06と0.5の間である。
【0067】
本発明の方法のさらなる実施態様においては、先駆物質溶液を反応ストランドまたは反応部に従って計量導入する。
【0068】
先駆物質溶液1は適切には、0.01Mと2Mの間、好ましくは0.01Mと1Mの間、特に0.01Mと0.5Mの間の先駆物質溶液中の金属含有反応物質の濃度で、反応ストランドに従って計量導入する。
【0069】
先駆物質溶液2は、0.01Mと2Mの間、好ましくは0.01Mと1Mの間、特に0.01Mと0.5Mの間の先駆物質溶液中の濃度で、適切にはSe−、Te−、As−、S−、P−、O−含有化合物を用いることによって反応ストランドに従って計量導入する。
【0070】
両方の先駆物質溶液の計量導入濃度は、反応器中での新たな核生成または新たな粒子の形成を避けるように選択されなければならない。
【0071】
新たに製造された先駆物質溶液を用いることは好適である。
【0072】
金属含有反応物質と、先駆物質混合物中の相当するSe−、Te−、As−、S−、P−、O−含有化合物との計量導入されたモル使用比は、適切には0.5と10.0の間、好ましくは0.7と5.0の間、特に0.9と2.0の間である。
【0073】
計量導入する際の先駆物質溶液の反応性を決定する、反応物質1または2と相当する界面活性剤の使用比は、特定の先駆物質混合物中においては、適切には0.01および1の間、好ましくは0.05および0.8の間、特に0.06と0.5の間である。
【0074】
適切な場合には、さらなる可溶性物質、例えば低分子量添加剤、塩および界面活性剤などを先駆物質溶液に添加し得る。
【0075】
本発明による方法において、ナノ粒子合成および粒子特性は、プロセス工学パラメーター、例えば実験温度(加熱速度、滞留領域の温度、冷却速度など)、体積流量および滞留時間などを調節および変化させることによって、および混合条件によって制御することもできる。反応ストランドまたは反応部に従うさらなる計量導入所によって、好ましくはマイクロ反応器中および下流反応段階中の先駆物質濃度を具体的に調節および制御することがさらに可能となる。
【0076】
本発明による方法は、適当なマイクロ反応技術構成要素を理想条件下でバッチまたは毛細管反応器中で得る場合と比べて物質中および熱伝導プロセス(W. Ehrfeld他、Microreactors、Wiley−VCH、2000年)中のいずれにおいても極めて高い値を可能とするので、混合および温度開始粒子合成のいずれにも適している。さらに、さらなる先駆物質溶液(出発先駆物質溶液と同一であり得る)を、特定の形態およびナノ粒子のサイズ(例えば分枝状ナノ構造体の合成)を調節するために、または無機シェル(コア−シェルナノ粒子)でナノ粒子を被覆するために、または所望のドーピング反応を実施するために反応ストランドまたは反応部に従ってマイクロミキサーを用いることによって制御された方法で計量導入し得る。
【0077】
粒子形成反応を開始するために、熱は、バッチ式においても、半導体ナノ粒子の連続合成においても「ソルボサーマル」法によって供給されなければならない。
【0078】
温度調節するために、毛細管またはマイクロ反応器を、所望の温度の増加を得るために油槽に設置し得る。マイクロ波技術は、反応溶液を急速に加熱するために用いることもできる。しかしながら、著しく向上した制御された熱伝導およびより急速でより効果的な反応溶液の加熱を供する、マイクロ反応器中に統合されたマイクロ熱交換器または熱交換器を用いることは好適である。このような温度調節装置または混合装置での連続法は、「増大(numbering up)」原理(むしろ「スケールアップ」)に起因して実験室規模から生産規模への製造のスケールアップを著しく簡素化させる、バッチ式または毛細管法を越えた優位性を有する。従って、スケールアップは実験室と比較した生成物品質を維持しながら実施し得る。さらに、用いるマイクロ反応技術モジュールは、異なった温度水準を反応ストランドまたは反応部に従って設定することが可能であり、それによって核生成および成長は、時間および空間に分離される。
【0079】
特に好適には、粒子形成反応を規定された流量条件下、例えば軸方向が乏しく、かつ半径方向が良好な混合、およびそれから得られる狭い滞留時間分布などで、連続的な操作(例えばEhrfeld Mikrotechnik BTS GmbH製のサンドイッチ反応器)で実施することが可能である、統合されたスタティック混合機能を有するマイクロ熱交換器またはマイクロ反応器を用いる。
【0080】
本明細書においては、用語「マイクロ反応器」とは、マイクロ反応器、ミニ反応器、マイクロ熱交換器、ミニミキサーまたはマイクロミキサーと称される、マイクロ構造化された、好ましくは連続操作性の反応器を表すものとして用いられる。これらの例は、マイクロ反応器、マイクロ熱交換器、T−およびY−ミキサーおよび種々の企業(例えばEhrfeld Mikrotechnik BTS GmbH、Institut fuer Mikrotechnik Mainz GmbH、Siemens AG、CPC−Cellulare Process Chemistry Systems GmbH)のマイクロミキサーであり、本発明の目的のための「マイクロ反応器」または「マイクロ構造化」は通常、1μm〜2000μm、特に好適には10μm〜1000μmの特性/決定性幾何学的寸法を有する構成要素を意味する。
【0081】
本発明は、以下の工程:
a)少なくとも1つの反応物質(1および/または2)および少なくとも1つの界面活性剤(1および/または2)を含有する予備混合先駆物質溶液を、0.05ml/分〜500ml/分、好適には0.5ml/分〜250ml/分、とりわけ1.0ml/分〜100ml/分の体積流量処理量でマイクロ反応技術系に注入または通過させる工程、
b)必要に応じて、少なくとも1つのさらなる反応物質(1および/または2)および少なくとも1つの界面活性剤(1および/2)を含有するさらなる先駆物質溶液を適当な混合要素(例えばマイクロミキサー)によって注入または通過させて、反応溶液を得る工程、
c)少なくとも2つの先駆物質溶液を含有する反応溶液を、反応および核生成をかなりの程度に実施する温度まで、好ましくは200℃を越える温度まで急速に加熱することによって化学反応、特に核生成を開始させ、250℃〜400℃、とりわけ260℃〜350℃の温度が好適である工程、
d)滞留時間反応器中で反応溶液を、150℃を越える温度まで温度調節/加熱することによってナノ粒子を制御成長させ、該温度は好ましくは180℃と280℃の間、とりわけ220℃と280℃の間であり、該温度を核生成に必要な温度よりも低くしければならない工程
を特徴とする、ナノ粒子および/またはナノ粒子分散体をマイクロ反応技術系で液相法により製造する方法に関する。
【0082】
とりわけ、本発明の方法の特定の実施態様は、さらなる工程
e)できる限り急速に反応溶液を冷却することによって粒子成長を停止させ(クエンチ)、冷却温度が核生成のための温度および成長温度よりも著しく低く、また、150℃を越えることがない工程
を含んでなる。
【0083】
ナノスケール官能性粒子を製造するための本発明による方法は、全て、例えば図1に表されたマイクロ反応技術成分からなるモジュール式系により好適に実施されるが、これらに限定されない。該系は好適には、不活性ガスでリンスされた少なくとも1つの温度調節可能な容器(1)、マイクロ熱交換器(2)、スタティック混合装置を有する温度調節可能なマイクロ構造化滞留時間反応器(3)、反応溶液を急速に冷却するためのさらなるマイクロ熱交換機(4)、および適切な場合には、オンライン分析測定点からなる。
【0084】
本発明においては、少なくとも1つの先駆物質溶液からなる反応溶液を、ポンプまたは高圧ポンプ、例えばHPLCポンプによって、モジュール式マイクロ反応技術装置またはマイクロ構造化構成要素から構成される装置によって一定流速および極めて低い脈動で送液することが特に好適である。特に好適には、反応工程a)〜e)を実施するための最初の反応ストランドまたは反応部は、不活性ガスでリンスされたさらなる温度調節可能な容器(6)からの新たな先駆物質溶液を最初の反応部を出る反応溶液に計量導入させることができる第2反応部の上流部分にある。体積流量はいずれもマイクロ構造化ミキサー(7)中で好適に混合され、急速にかつ効果的に混合させることが可能である。次いで、新たな先駆物質溶液で強化された反応溶液 をさらなるマイクロ加熱交換器(8)、スタティック混合装置を有する温度調節可能なマイクロ構造化反応器(9)および反応を急速に冷却するためのマイクロ熱交換器(10)へ通過させる。第2反応ストランドはまた、オンライン分析測定点により監視し得る。
【0085】
完全に統合された反応器系(WO2005020659)に比べて、モジュール化構築物は、適切な分離の優位性およびそれによる個々のプロセス段階の精密制御を有し、その結果、粒子特性の特定の制御および調節のより良好な可能性さえも有する。
【0086】
連続操作のために、特定のプロセス工学パラメーター、例えばマイクロ反応器またはモジュールの順序の選択などを定義し、他のもの、例えば反応部に従う温度、体積流量および濃度(計量導入による)などを本発明による方法中で具体的に変化および調節し得る。従って、例えば、該系の平均滞留時間はまた、体積流量を調節することによって制御される。
【0087】
反応ストランドまたは反応部に従う反応溶液の流速または体積流量は適切には、0.05ml/分〜500ml/分、好適には0.5ml/分〜250ml/分、とりわけ1.0ml/分〜100ml/分である。
【0088】
本発明に用いるマイクロ熱交換器は適切には、少なくとも20000m/m、好適には少なくとも25000m/m、とりわけ少なくとも30000m/mの熱伝導面積と反応体積の比(A/V比)を有する。
【0089】
反応溶液を加熱するために用いるマイクロ熱交換器は、200℃未満の温度、好適には250℃〜400℃の温度、とりわけ260℃〜350℃の温度を可能とする。
【0090】
本発明の方法の特定の実施態様においては、工程c)は熱交換器(2)中で実施され、工程c)における温度は、少なくとも20000m/mの熱伝導面積と反応体積の比(A/V比)で好適に達成される。
【0091】
用いるマイクロ熱交換(2)における滞留時間は適切には、0.036秒〜360秒、好適には0.072秒〜36秒、とりわけ0.18秒〜18秒の範囲内である。これは、0.05ml/分〜500ml/分、好適には0.5ml/分〜250ml/分、とりわけ1.0ml/分〜100ml/分の反応溶液の流速/体積流量に相当する。
【0092】
より具体的には、ナノ粒子の形態は、用いる界面活性剤、反応物質と界面活性剤の濃度、および特定の反応成分(反応物質と界面活性剤)の互いのモル使用比によって、ならびに核生成工程および成長工程中の温度および体積流量の制御によって制御することができる。
【0093】
本発明の方法の特定の実施態様においては、核生成(工程c)および粒子成長(工程d)は、反応溶液を急速に冷却(クエンチ)することによって停止させる。該方法においては、150℃未満、特に好適には0〜100℃の温度、とりわけ0〜50℃の反応溶液のための温度を設定することが好適である。
【0094】
本発明の方法の特定の実施態様においては、工程d)はスタティック混合装置を有する温度調節可能なマイクロ構造化反応器内(3)で実施する。適切に用いるスタティック混合装置を有する温度調節可能なマイクロ構造化反応器(3)は、少なくとも800m/m、好適には1000m/m、とりわけ少なくとも1200m/mの熱伝導面積と反応体積の比(A/V比)を有する連続操作反応器である。制御成長のために設定される温度は通常、150℃を越え、好適には180℃と280℃の間、とりわけ220℃と280℃の間である。好適には、反応器(3)中の温度は、工程c)における温度と比べると等しいかまたは低く、少なくとも1000m/mのA/V比で好適に達成される。
【0095】
低方向性および良好な放射状の混合に起因して、スタティック混合装置は最適な熱伝導および狭い滞留時間分布を供する。用いる反応器中の平均滞留時間は適切には、10秒と300秒の間、好適には60秒と600秒の間、とりわけ90秒と1200秒の間である。これは、0.05ml/分〜500ml/分、好適には0.5ml/分〜250ml/分、とりわけ1.0ml/分〜100ml/分の、反応溶液の流速/体積流量に相当する。
【0096】
用いるマイクロ構造化反応器(3)中での滞留時間分布がスタティック混合装置のために管または毛細管中に比べて極めて狭いという事実に起因して、狭い粒度分布を有する特定のナノ粒子を合成することが可能である。反応器(3)は、工程c)で所望のサイズのナノ粒子まで形成されるナノ粒子核の均一な定義された成長に好適に用いられる。本発明においては、該サイズは、化学パラメーターによって、および/または好適には、温度および体積流量によって制御し得る。
【0097】
本発明の方法の特定の実施態様においては、該温度は、工程e)において、好適には、少なくとも20000m/mのA/V比を有する下流のマイクロ熱交換器(4)を用いて素早く低下させる。
【0098】
10nmの最大特徴的寸法(例えば丸いナノ粒子の場合の直径)を有する上記のナノ粒子を最初の反応部において製造することが好適である。単分散分布した比較的大きいナノ粒子、制御された方法における分枝ナノ構造体、ドープされたナノ粒子またはコア−シェル構造体を製造するために、以下の工程によって最初の反応部で形成されたナノ粒子をさらに処理/変性することは有利である:
f)適当な混合装置(例えばマイクロミキサー)によって少なくとも1つの新たな先駆物質溶液を注入する工程。
g)工程d)および工程e)を繰り返す工程。
【0099】
第2反応部は、理想的な反応条件(温度、滞留時間、濃度など)を設定し、別々に制御することができるので、コア−シェルナノ粒子、ドープされたナノ粒子、ナノロッド、ナノプレート、ナノテトラポッドまたは多分枝状ナノ構造体を製造するのに好適に用いられる。第2反応部(第1部の下流)を用いるによって、多量であるにも拘わらず単分散分布した球形ナノ粒子を製造することも可能となる。
【0100】
工程f)における先駆物質溶液が工程a)およびb)の先駆物質溶液と同一である場合には、より大きなまたは分枝状のナノ構造体(例えばナノロッドまたはナノテトラポッド)を合成することができる。
【0101】
工程f)における先駆物質溶液が工程a)およびb)の先駆物質溶液と同一でない場合には、コア−シェル構造体またはドープされたナノ粒子を形成し得る。この場合には、さらに、種々の材料から多分枝状ナノ構造体を調製することも可能である。
【0102】
好適には、第2反応部は、特性が第1反応部のマイクロ反応技術成分の特性と等しい、工程f)を実施するためのマイクロミキサー、マイクロ構造化熱交換器およびスタティック混合装置を有する温度調節可能なマイクロ構造化反応器ならびに下流に熱交換器を有する。
【0103】
本発明の方法のさらなる実施態様においては、第2反応部は仕上げ部分の上流である。ナノ粒子の一時的な可逆の沈殿に適した溶媒(沈殿剤または抗溶媒)は、容器(11)から取り出され、2つの反応部のいずれか、好ましくは急速かつ効果的な混合を可能とするマイクロ構造化ミキサー(12)を出る反応溶液と混合される。次いでナノスケール粒子は、さらなる工程(13)において除去することができる。
【0104】
第2反応部および仕上げ部分で用いるマイクロミキサーは、10秒未満、好ましくは5秒未満、特に0.5秒未満の混合時間を有する。本明細書においては、混合時間とは反応溶液を均質化するために必要な時間間隔のことである。
【0105】
従って、本発明は同様に、官能性金属ナノ粒子または半導体ナノ粒子(第1反応部)の合成、およびコア−シェルナノ粒子、ドープされたナノ粒子、ナノロッド、ナノプレート、ナノテトラポッドおよび多分枝状ナノ構造体を得るためのさらなる変性(計量導入での第2反応部)ならびに合成ナノ構造体の仕上げ処理(仕上げ処理部)がモジュール式マイクロ反応技術系において統合されていることを特徴とする好適な連続法に関する。
【0106】
過剰の界面活性剤および未反応先駆物質などの溶解した付随物質を除去し得、ナノ粒子分散体は、一般的な方法、例えば限外ろ過、メンブレンろ過、透析および遠心分離などを用いることによって濃縮し得る。さらに、可逆の凝集およびナノ粒子の沈殿の特定の誘導のための適当な溶媒(沈殿剤または抗溶媒)の使用は、反応溶液からの除去を可能とする。
【0107】
本発明の方法のさらなる最適化実施態様においては、これらの分離法を連続的に実施し、その後、既に統合された仕上げ部分が続く。
【0108】
本発明の方法に従えば、ナノ粒子分散体を濃縮し得、適切な場合には、標準的な方法(例えば限外ろ過、メンブレンろ過、透析、遠心分離および蒸発)を用いて精製する。
【0109】
洗浄工程または添加剤の添加は、適切な場合には、コロイド化学安定性およびナノ粒子分散体の用途特性を最適化または具体的に変化させ得る。
【0110】
最後に、ナノ粒子分散体は、適当な溶媒(例えばトルエン、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼンまたは酢酸ブチル)中のナノ粒子を再分散させることによって本発明による方法のさらなる工程により製造し得る。
【0111】
ナノ粒子は、透過型電子顕微鏡(TEM、Philips CM 20)による粒度、粒度分布および粒子形態を決定することを特徴とした。測定法、例えば動的光散乱(流体力学的粒度、Brookhaven BIC−90 Plus)およびUV/VIS顕微鏡(Hewlett Packard Diode Array Spectrophotometer 8452A)はまた、ナノスケール粒子を特性付けるのに適している。
【0112】
該方法は、例えば、触媒、被覆材料、薄物機能層、電子機器用の材料、特定の光学特性を有する材料、太陽電池、バイオラベル、半導体または導体のナノ−およびマイクロ構造体の製造、偽造防止法用の材料のための、染色プラスチック材料のためのおよび特別な特性を有するプラスチック組成物のための、ナノスケール金属含有粒子および半導体粒子およびこれらの分散体または処方物の連続製造に用い得る。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】図1:本発明の方法の略図 図1は、官能性ナノ粒子の連続的な合成を実施するための装置の略図を表す。参照番号:1.反応部 1−先駆物質溶液のための温度調節された容器(溶媒、界面活性剤、先駆物質) 2−マイクロ熱交換器(急速温度上昇) 3−スタティック混合装置を有する温度調節されたマイクロ構造化反応器 4−マイクロ熱交換器(急速温度減少) 5−オンライン分析2.反応部 6−先駆物質溶液のための温度調節された容器(溶媒、界面活性剤、先駆物質) 7−マイクロミキサー 8−マイクロ熱交換器(急速温度上昇) 9−スタティック混合装置を有する温度調節されたマイクロ構造化滞留時間反応器 10−マイクロ熱交換器(急速温度減少)3.仕上げ処理部 11−容器(沈殿剤または抗溶媒) 12−マイクロミキサー 13−分離器(凝集ナノ粒子の除去) 14−適当な溶媒中でのナノ粒子の再分散
【図2】図2:実施例1により製造されたセレン化カドミウム(CdSe)ナノ粒子のTEM像。
【図3】図3:実施例2により製造された分枝状セレン化カドミウム(CdSe)ナノ粒子のTEM像。
【図4】図4:実施例3により製造されたリン化インジウム(InP)ナノ粒子のTEM像。
【図5】図5:実施例4により製造されたテルル化分枝状カドミウム(CdTe)ナノ粒子のTEM像。
【図6】図6:実施例5により製造されたセレン化亜鉛(ZnSe)ナノ粒子のTEM像。
【図7】図7:実施例1により2つの異なった体積流量で製造したトルエン中のCdSeナノ粒子のUV/VISスペクトル。波線は4.6ml/分の体積流量および6.5分の滞留時間τで製造したナノ粒子のスペクトルを示し、実線は9.9ml/分の体積流量および3分の滞留時間τで製造したナノ粒子のスペクトルを示す。ここで、実験温度はマイクロ熱交換器中で260℃および滞留時間反応器中で260℃であった。
【図8】図8:実施例3により2つの異なった体積流量で製造したトルエン中のInPナノ粒子のUV/VISスペクトル。波線は4.6ml/分の体積流量および6.5分の滞留時間τで製造したナノ粒子のスペクトルを示し、実線は9.9ml/分の体積流量および3分の滞留時間τで製造したナノ粒子のスペクトルを示す。ここで、実験温度はマイクロ熱交換器中で300℃および滞留時間反応器中で270℃であった。
【図9】図9:実施例4により2つの異なった体積流量と温度で製造したトルエン中の分枝状CdTeナノ粒子のUV/VISスペクトル。短い黒色波線は9.9ml/分の体積流量および3分の滞留時間τで製造したナノ粒子のスペクトルを示し、長い灰色波線は4.6ml/分の体積流量および6.5分の滞留時間τで製造したナノ粒子のスペクトルを示す。ここで、実験温度はマイクロ熱交換器中で300℃および滞留時間反応器中で230℃であった。 黒色の実線は、9.9ml/分の体積流量および3分の滞留時間τで製造したナノ粒子のスペクトルを示し、灰色の実線は、4.6ml/分の体積流量および6.5分の滞留時間τで製造したナノ粒子のスペクトルを示す。ここで、実験温度はマイクロ熱交換器中で270℃および滞留時間反応器中で200℃であった。
【実施例】
【0114】
本発明を、以下の実施例によって、これらに限定されることなく例示する。
【0115】
実施例1:CdSeナノ粒子の製造
0.5モルセレン溶液(溶媒トリオクチルホスファン)を調製した(39.5gのセレン/1LのTOP)。第2先駆物質溶液に、オレイン酸/Diphyl THT(1/5の重量比)混合物1リットルあたり0.03モルのカドミウムオキシド(CdO)を溶解させた。完全にCdOを溶解させるために、第2先駆物質溶液を少なくとも220℃で加熱しなければならない。CdO先駆物質溶液を冷却した後、室温でまたはわずかに高温で容器中において1/10重量比で両方の先駆物質溶液を混合することが可能であった。次いで、両方の予備混合先駆物質溶液からなる反応溶液は、HPLC二重ピストンポンプを用いて、モジュール式マイクロ反応技術系(Ehrfeld Mikrotechnik BTS GmbH)によって10ml/分の全体積流量で通過させた。
第1マイクロ熱交換器(逆流マイクロ熱交換器、V≒0.3ml、A≒0.0076m、Ehrfeld Mikrotechnik BTS GmbH)上の温度調節媒体は温度が330℃であり、マイクロ構造化反応器(サンドイッチ反応器、V≒30ml、A≒0.03m、Ehrfeld Mikrotechnik BTS GmbH)用の温度調節媒体は温度が260℃であった。
形成されたナノ粒子を含有する反応溶液(反応溶液の着色により目視可能)を第2マイクロ熱交換器(逆流マイクロ熱交換器または管状温度調節モジュール、Ehrfeld Mikrotechnik BTS GmbH)を用いて50℃に冷却し、生成物容器中に収集した。該ナノ粒子を、ナノ粒子の可逆の凝集を引き起こす溶媒(沈殿剤/抗溶媒、例えばメタノール/プロパノール混合物)を添加することによって取り出した。次いで、浮遊物をトルエン、クロロホルムまたは他の適当な溶媒中での再分散によって取り出した。次いで、ナノ粒子の任意の種類の特性分析が続き得る(TEMおよびUV/VIS分析、図2および7を参照されたい)。
【0116】
実施例2:分枝状CdSeナノ粒子の調製
0.3モルセレニウム溶液(溶媒トリオクチルホスファン)を調製した(25gのセレニウム/1LのTOP)。該溶液に、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)およびDiphyl THTからなる第2界面活性剤溶液を添加した(13gのCTAB/1LのDiphyl THT)。両方の溶液は、1/1重量比で第1先駆物質溶液を形成する。第2先駆物質溶液に、オレイン酸/Diphyl THT(1/4重量比)混合物1リットルあたり0.07モルのカドミウムオキシド(CdO)を溶解させた。完全にCdOを溶解させるために、第2先駆物質溶液を少なくとも220℃で加熱しなければならない。CdO先駆物質溶液を冷却した後、室温でまたはわずかに高温で容器中において1/3重量比で両方の先駆物質溶液を混合することが可能であった。次いで、両方の予備混合先駆物質溶液からなる反応溶液は、HPLC二重ピストンポンプを用いて、モジュール式マイクロ反応技術系(Ehrfeld Mikrotechnik BTS GmbH)によって10ml/分の全体積流量で通過させた。
第1マイクロ熱交換器(逆流熱交換器、V≒0.3ml、A≒0.0076m、Ehrfeld Mikrotechnik BTS GmbH)上の温度調節媒体は温度が330℃であり、マイクロ構造化反応器(サンドイッチ反応器、V≒30ml、A≒0.03m、Ehrfeld Mikrotechnik BTS GmbH)用の温度調節媒体は温度が280℃であった。
形成されたナノ粒子を含有する反応溶液(反応溶液の着色により目視可能)を第2マイクロ熱交換器(逆流マイクロ熱交換器または管状温度調節モジュール、Ehrfeld Mikrotechnik BTS GmbH)を用いて50℃に冷却し、生成物容器中に収集した。該ナノ粒子を、ナノ粒子の可逆の凝集を引き起こす溶媒(沈殿剤/抗溶媒、例えばメタノール/プロパノール混合物)を添加することによって取り出した。次いで、浮遊物を、トルエン、クロロホルムまたは他の適当な溶媒中での再分散によって取り出した。次いで、ナノ粒子の任意の種類の特性分析が続き得る(TEM分析、図3を参照されたい)。
【0117】
実施例3:InPナノ粒子の調製
0.04モルトリス(トリメチルシリル)ホスファン(P(TMS))溶液(溶媒Diphyl THT)を調製した(10gのP(TMS)/1LのDiphyl THT)。第2先駆物質溶液に、オレイン酸/Diphyl THT(1/30重量比)混合物1リットルあたり0.03モルの酢酸インジウム(In(Ac))を溶解させた。完全にIn(Ac)を溶解させるために、第2先駆物質溶液を少なくとも120℃で加熱しなければならない。In(Ac)先駆物質溶液を冷却した後、室温でまたはわずかに高温で容器中において1/2重量比で両方の先駆物質溶液を混合することが可能であった。次いで、両方の予備混合先駆物質溶液からなる反応溶液は、HPLC二重ピストンポンプを用いて、モジュール式マイクロ反応技術系(Ehrfeld Mikrotechnik BTS GmbH)によって10ml/分の全体積流量で通過させた。
第1マイクロ熱交換器(逆流熱交換器、V≒0.3ml、A≒0.0076m、Ehrfeld Mikrotechnik BTS GmbH)上の温度調節媒体は温度が330℃であり、マイクロ構造化反応器(サンドイッチ反応器、V≒30ml、A≒0.03m、Ehrfeld Mikrotechnik BTS GmbH)用の温度調節媒体は温度が270℃であった。
形成されたナノ粒子を含有する反応溶液(反応溶液の着色により目視可能)を第2マイクロ熱交換器(逆流マイクロ熱交換器または管状温度調節モジュール、Ehrfeld Mikrotechnik BTS GmbH)を用いて50℃に冷却し、生成物容器中に収集した。該ナノ粒子を、ナノ粒子の可逆の凝集を引き起こす溶媒(沈殿剤/抗溶媒、例えばメタノール/プロパノール混合物)を添加することによって取り出した。次いで、浮遊物を、トルエン、クロロホルムまたは他の適当な溶媒中での再分散によって取り出した。次いで、ナノ粒子の任意の種類の特性分析が続き得る(TEMおよびUV/VIS分析、図4および8を参照されたい)。
【0118】
実施例4:分枝状CdTeナノ粒子の調製
0.025モルテルリウム(Te)溶液(溶媒Diphyl THT)を調製した(1/28重量比での3.2gのテルリウム/1LのTBP/Diphyl THT混合物)。第2先駆物質溶液に、オレイン酸/Diphyl THT(1/30重量比)混合物1リットルあたり0.025モルの酸化カドミウム(CdO)を溶解させた。完全にCdOを溶解させるために、第2先駆物質溶液を少なくとも220℃で加熱しなければならない。CdO先駆物質溶液を冷却した後、室温でまたはわずかに高温で容器中において両方の先駆物質溶液を混合することが可能であった。次いで、両方の予備混合先駆物質溶液からなる反応溶液は、HPLC二重ピストンポンプを用いて、モジュール式マイクロ反応技術系(Ehrfeld Mikrotechnik BTS GmbH)によって10ml/分の全体積流量で通過させた。
第1マイクロ熱交換器(逆流熱交換器、V≒0.3ml、A≒0.0076m、Ehrfeld Mikrotechnik BTS GmbH)上の温度調節媒体は温度が330℃であり、マイクロ構造化反応器(サンドイッチ反応器、V≒30ml、A≒0.03m、Ehrfeld Mikrotechnik BTS GmbH)用の温度調節媒体は温度が260℃であった。
形成されたナノ粒子を含有する反応溶液(反応溶液の着色により目視可能)を第2マイクロ熱交換器(逆流マイクロ熱交換器または管状温度調節モジュール、Ehrfeld Mikrotechnik BTS GmbH)を用いて50℃に冷却し、生成物容器中に収集した。該ナノ粒子を、ナノ粒子の可逆の凝集を引き起こす溶媒(沈殿剤/抗溶媒、例えばメタノール/プロパノール混合物)を添加することによって取り出した。次いで、浮遊物を、トルエン、クロロホルムまたは他の適当な溶媒中での再分散によって取り出した。次いで、ナノ粒子の任意の種類の特性分析が続き得る(TEMおよびUV/VIS分析、図5および9を参照されたい)。
【0119】
実施例5:ZnSeナノ粒子の調製
1モルセレニウム溶液(溶媒トリオクチルホスファン)を調製し(96gのセレニウム/1LのTOP)、2/1重量比で、Diphyl THTで希釈した。第2先駆物質溶液に、Diphyl THT(1/30重量比)1リットルあたり0.025モルのステアリン酸亜鉛(ZnSt)を溶解させた。完全にZnStを溶解させるために、第2先駆物質溶液を少なくとも200℃で加熱しなければならない。ZnSt先駆物質溶液を冷却した後、室温でまたはわずかに高温(約100℃)で容器中において1/5重量比で両方の先駆物質溶液を混合することが可能であった。次いで、両方の予備混合先駆物質溶液からなる反応溶液は、HPLC二重ピストンポンプを用いて、モジュール式マイクロ反応技術系(Ehrfeld Mikrotechnik BTS GmbH)によって10ml/分の全体積流量で通過させた。
第1マイクロ熱交換器(逆流熱交換器、V≒0.3ml、A≒0.0076m、Ehrfeld Mikrotechnik BTS GmbH)上の温度調節媒体は温度が330℃であり、マイクロ構造化反応器(サンドイッチ反応器、V≒30ml、A≒0.03m、Ehrfeld Mikrotechnik BTS GmbH)用の温度調節媒体は温度が300℃であった。
形成されたナノ粒子を含有する反応溶液(反応溶液の着色により目視可能)を第2マイクロ熱交換器(逆流マイクロ熱交換器または管状温度調節モジュール、Ehrfeld Mikrotechnik BTS GmbH)を用いて50℃に冷却し、生成物容器中に収集した。該ナノ粒子を、ナノ粒子の可逆の凝集を引き起こす溶媒(沈殿剤/抗溶媒、例えばメタノール/プロパノール混合物)を添加することによって取り出した。次いで、浮遊物を、トルエン、クロロホルムまたは他の適当な溶媒中での再分散によって取り出した。次いで、ナノ粒子の任意の種類の特性分析が続き得る(TEM分析、図6を参照されたい)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核生成工程および成長工程を、温度および体積流量を制御することによって時間および空間において分離することを特徴とする、金属含有ナノ粒子および/またはナノ粒子分散体を反応器中で液相法により製造する方法。
【請求項2】
前記方法をマイクロ反応技術系により実施することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法をモジュール式マイクロ反応技術系により実施することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
マイクロ反応器中で液相法により金属含有ナノ粒子および/またはナノ粒子分散体を製造する方法であって、以下の工程:
a)少なくとも1つの反応物質(1および/または2)および少なくとも1つの界面活性剤(1および/または2)を含有する予備混合先駆物質溶液を、0.05ml/分〜500ml/分の体積フロー処理量でマイクロ反応技術系に注入または通過させる工程、
b)必要に応じて、少なくとも1つのさらなる反応物質(1および/または2)および少なくとも1つの界面活性剤(1および/2)を含有するさらなる先駆物質溶液を注入または通過させ、および2つの先駆物質溶液a)およびb)を適当な混合要素(例えばマイクロミキサー)によって混合する工程、
c)少なくとも2つの先駆物質溶液からなる反応溶液を、反応および核生成がかなりの程度まで生じる温度、好ましくは200℃を越える温度まで急速に加熱することによって化学反応、特に核生成を開始する工程、
d)反応溶液を滞留時間反応器中で150℃を越える温度に温度調節/加熱することによってナノ粒子を制御成長させ、該温度を核生成に要する温度よりも低くしなければならない工程
を特徴とする、前記方法。
【請求項5】
工程e)において、粒子成長を、反応溶液を冷却することによって急速停止し、冷却温度は核生成温度および成長温度よりも低いことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
連続的に実施する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
工程c)のための温度上昇を、マイクロ熱交換器中において少なくとも20000m/mの熱伝導面積と反応体積との比(A/V比)で達成することを特徴とする、請求項4〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
マイクロ構造化反応器中での工程d)のための温度を少なくとも1000m/mのA/V比で維持し、その滞留時間分布はスタティック混合内部装置(Mischeinbauten)の使用によって管中または毛細管中よりも極めて狭いことを特徴とする、請求項4〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
工程e)において、マイクロ熱交換器中での粒子成長を、少なくとも20000m/mのA/V比で急速に温度を低下させることによって停止させることを特徴とする、請求項4〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
新たな先駆物質溶液を計量導入し、任意の回数繰り返すことができる工程f)において工程d)を繰り返すことを特徴とする、コア−シェルナノ粒子、ドープされたナノ粒子、ナノロッド、ナノプレート、ナノテトラポッドまたは多分枝状ナノ構造体を合成するための、請求項4〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
調製されたナノ粒子は40nmまでの特性平均粒子寸法および0D、1D、2Dまたは3D構造を有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
粒度分布は標準偏差が±10nmであるか、またはナノ粒子の特性分布は標準偏差が±20nm超えないことを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−510056(P2010−510056A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537505(P2009−537505)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際出願番号】PCT/EP2007/009677
【国際公開番号】WO2008/061632
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(504109610)バイエル・テクノロジー・サービシーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (75)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Technology Services GmbH
【Fターム(参考)】