説明

ナノワイヤ構造体

本発明は、マイクロリアクタシステム又はマイクロ触媒システム内に設置するのに適しているナノワイヤ構造体に関する。ナノワイヤ構造体の製造のために、ナノ細孔内でのナノワイヤの電気化学的堆積を、好ましくは少なくとも、キャップが形成され、好ましくは少なくとも部分的に一体化するまで続けるテンプレートベースの方法を用いる。2つのカバー層を補強した後、テンプレートフィルムの溶解と、溶解したテンプレート材料の除去とによって、2つのカバー層間の構造化空隙をさらす。ここで、2つのカバー層はそのまま残る。したがって、両側がカバー層によって境されていると共に、ナノワイヤによって柱状に貫通されている、カバー層に平行な平面において2次元のオープンセル型である空隙構造を有する、安定したサンドウィッチ状のナノ構造が生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノワイヤ構造体、該ナノワイヤ構造体を製造する方法、及びマイクロリアクタシステム、特にマイクロ触媒システムに関する。
【背景技術】
【0002】
K. Jaehnisch他は、非特許文献1において、化学反応及び分析目的に対するマイクロ構造部品の利点を実証した。それによって、化学合成及び分析に対するこのようなシステムの重要性が増した。従来のリアクタと比較して、これらのマイクロ構造リアクタは、非常に大きな面積・体積比を有し、これは、熱交換性能及び物質輸送の進展に有利な影響を及ぼす(非特許文献2を参照されたい)。
【0003】
マイクロ構造リアクタにおいては、既に多数の既知の反応が実施されており、特に多数の触媒反応も実施されている。ここで、液相反応であるか、気相反応であるか、又は気液相反応であるかは重要ではない。触媒の潜在活性の利用を可能にするために、触媒材料は、様々な幾何形状を有するマイクロ構造システムに一体化される。最も単純な場合を前提とすると、マイクロリアクタを構成するために使用されるリアクタ材料はそれ自体で、触媒活性物質から成る(非特許文献3を参照されたい)。しかしながら、これは、触媒表面をリアクタ壁に限定してしまう。この欠点は部分的に、最適化されている触媒/担体システムによって回避される。大抵の場合、今日のマイクロ構造リアクタは、チャネル内に入れられている小さな粒子又は粉末を含む。
【0004】
しかしながら、触媒繊維、触媒ワイヤ、及び触媒膜も使用される(非特許文献4)。金属ナノ構造体、特に貴金属から成る金属ナノ構造体は、面積と質量との比が大きいことに起因して(これは製造コストがわずかであることに関連している)、不均一触媒において既知である(非特許文献5を参照されたい)。
【0005】
元来、ナノ化学における研究は、等方性金属粒子の調査に集中してきた。したがって、その触媒特性はよく研究されている。しかしながら、今日まで、多数の1次元ナノ構造体も、不均一触媒における使用を考慮した上で分析されてきた。しかし、その固定化は大きな問題である。非特許文献6から、ナノ構造体を担体上に設けるか、又は、たとえばナフィオンのような多孔性材料内に入れることが既知であるが、これは、利用可能な触媒表面を強制的に排除することになる。さらに、拡散プロセスに起因して、触媒活性は触媒材料の分布に依存することに注意する必要がある。したがって、ナノ粒子は確かに表面・体積比を劇的に増大させるが、以下の理由から、このようなリアクタの長期間安定性は比較的低くなってしまう。
1.担体の腐食に起因するナノ粒子の接触の損失
2.溶解及び再度の堆積又はオストワルト熟成
3.表面エネルギーを最小化するためのナノ粒子の凝集
4.ナノ粒子の溶解及び水溶性イオンの移動
【0006】
平行に方向付けられているワイヤアレイ及び管アレイは既に、グルコースセンサとして(非特許文献7)、電極触媒として、たとえばアルコール酸化(非特許文献8)及び水素過酸化物還元(非特許文献9)において使用されている。しかしながら、これらの場合、ナノ構造体は独立して存在しているため、アレイは開いており安定していない。
【0007】
Nielsch他は、非特許文献10において、薄い金属膜からの堆積のためにパルス堆積を使用することを報告している。しかしながら、全体的に見れば、ナノ技術の分野においては、さらなる大きな革新の可能性が依然として存在している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「Chemistry in Microstructured Reactors」(Ang. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 406-446)
【非特許文献2】O. Woerz他著「Microreactors - a New Efficient Tool for Reactor Development」(Chem. Eng. Technol. 2001, 24, 138-142)
【非特許文献3】M. Fichtner著「Microstructured Rhodium Catalysts for the Partial Oxidation of Methane to Syngas under Pressure」(Ind. Eng. Chem. Res. 2001, 40, 3475-3483)
【非特許文献4】G. Veser著「Experimental and Theoretical Investigation of H2 Oxidation in a High-Temperature Catalytic Microreactor」(Chem. Eng. Sei. 2001, 56, 1265-1273)
【非特許文献5】R. Narayanan他著「Catalysis with Transition Metal Nanoparticles in Colloidal Solution: Nanoparticle Shape Dependence and Stability」(J. Chem. Phys. B, 2005, 109, 12663-12676)
【非特許文献6】Z. Chen他「Supportless Pt and PtPd Nanotubes as Electrocatalysts for Oxygen-Reduction Reactions」(Angew. Chem. 2007, 119, S. 4138-4141)
【非特許文献7】J. H. Yuan他著「Highly ordered Platinum-Nanotubule Arrays for Amperometric Glucose Sensing」(Adv. Funct. Mater 2005, 15, 803)
【非特許文献8】H. Wang他著「Pd nanowire arrays as electrocatalysts for ethanol electrooxidation」(Electrochem. Commun. 2007, 9, 1212-1216)
【非特許文献9】H. M. Zhang他「novel electrocatalytic activity in layered Ni-Cu nanowire arrays」(Chem. Commun. 2003, 3022)
【非特許文献10】「Uniform Nickel Deposition into ordered Alumina pores by pulsed electrodeposition」(Adv. Mater. 2000, 12, 582-586)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、広範囲に使用可能な、新規性のあるナノワイヤ構造体を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる課題は、空隙構造を有するナノワイヤ構造体の製造を可能にする方法を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる課題は、比表面積が大きい安定した空隙構造を有すると共に、たとえば触媒要素として適しているナノワイヤ構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の課題は、独立請求項の主題によって解決される。本発明の有利なさらなる構成は、従属請求項において規定されている。
【0013】
ナノワイヤが柱状に貫通する空隙構造が生じるように、2つのカバー層間に配置されるナノワイヤアレイを含むナノワイヤ構造体を製造する方法を提供する。以下のような、いわゆるテンプレートベースの方法を使用する。
【0014】
第1の方法ステップ(a)では、まず、誘電性テンプレートフィルムを用意する。ナノ細孔の生成にどの方法を使用するかに従って、テンプレートフィルムは、たとえば通常のプラスチックフィルム、特にポリマーフィルムとなるが、ガラスフィルム若しくはマイカフィルム又はアルミニウムフィルムとすることもできる。
【0015】
方法ステップ(b)では、テンプレートフィルムの第1の面に、第1の平坦に閉じている導電性カバー層、好ましくは金属層を施す。好ましくは、まず、薄い金属層、たとえば金層をスパッタリングし、続いて、この金層を電気化学的に、たとえば銅層を用いて補強する。これは、最初に比較的薄い層をスパッタリングすることができるという利点を有する。第1の伝導性カバー層は2重の機能を有する。すなわち、該カバー層は、一方では、後続する電気化学的堆積方法のための陰極としての役割を果たし、他方では、後に、生成されるナノワイヤ構造体の安定した閉じているカバー層としての役割を果たす。つまり、該カバー層は、生成されるナノワイヤ構造体の一体化している構成要素として存在し続け、該ナノワイヤ構造体から除去されることはない。
【0016】
方法ステップ(c)では、テンプレートフィルム内に、テンプレートフィルムの表面に対して直角にテンプレートフィルムを完全に貫通する多数のナノ細孔を生成させる。ステップ(b)及び(c)に関して、これらの文字が特別な順序を暗示するようには意図していない。すなわち、これに関して、以下のさらなる説明から明らかであるように、方法順序に対しては様々なオプションが可能である。
【0017】
後続の部分ステップ(d1)では、第1のカバー層の内側から開始して、テンプレートフィルム内のナノ細孔内で、電気化学的堆積によってナノワイヤを成長させる。すなわち、ナノ細孔を、第1のカバー層から電気化学的堆積を用いて満たし、ナノワイヤがナノ細孔内で成長する。このために、孔によって貫通されており且つ片側が伝導的に被覆されている誘電性フィルムを電気化学的堆積装置内に設置する。ここで、第1のカバー層が、ナノワイヤの電気化学的堆積過程のための陰極としての役割を果たす。そして、金属イオンの電気化学的堆積を用いて、ナノワイヤをナノ細孔内で成長させる。ナノ細孔内部の金属から成るナノワイヤは、特に直接的に第1のカバー層上で成長する。ここで、ナノワイヤは第1のカバー層と固く一体化する。
【0018】
ナノワイヤ生成のこのような方法は基本的に既知である。たとえば、T. W. Cornelius 他著「Controlled fabrication of poly- and single-crystalline bismuth nanowires」(Nanotechnology 2005, 16, S. 246-249)、並びに、Thomas Walter Corneliusの論文(GSI, 2006)、Florian Maurerの論文(GSI, 2007)、及びShafgat Karimの論文(GSI, 2007)を参照されたい。なお、これらは本明細書に参照により援用される。
【0019】
ただし、これらの方法では、別個のナノワイヤのみが得られる。これとは対照的に、本発明では、以下のような独立した構造体を製造することができる。すなわち、該構造体では、第1のカバー層が得られ、該第1のカバー層はナノワイヤと接合した状態を保ち、加えて、部分ステップ(d2)において、平坦に閉じている導電性の第2のカバー層がテンプレートフィルムの対向する第2の面に施され、該第2のカバー層も同様に、生成されるナノワイヤ構造体の一体的構成要素となる。
【0020】
第2のカバー層は、第1のカバー層と同様に、ナノワイヤと固く一体化し、除去されることはない。したがって、ナノワイヤは、柱アレイのように、2つのカバー層を互いに結合させている。この方法段階においては、第2のカバー層の生成直後では当分の間、テンプレートフィルムはまだ存在しており、2つのカバー層間にサンドウィッチ状態で閉じ込められている。これは、2つのカバー層がテンプレートフィルム上に直接施されるためである。テンプレートフィルムは、この方法段階においては、鉄筋補強におけるように、ナノワイヤによって貫通されている。
【0021】
2つのカバー層と、多量のナノワイヤによって貫通されているテンプレートフィルムとから成るサンドウィッチ状の構成が、2つのカバー層が十分な厚さ、ひいては安定性を有するまで作り上げると、ステップ(e)において、2つのカバー層間のテンプレートフィルムを特に化学的に溶解し、それによって、2つのカバー層間の空隙構造が、ナノワイヤを保持した状態で露出する。テンプレートフィルムがプラスチックフィルムである場合、該テンプレートフィルムは、たとえば溶媒を用いて溶解することができる。たとえばガラス、マイカのような他のフィルムを、たとえばフッ化水素酸(HF)によって溶解する。酸化アルミニウムの溶解には、たとえばNaOHのような希釈塩基で十分である。テンプレートフィルムは溶解時に少なくとも小さな部分に分解され、これらの部分は小さいため、2つのカバー層間の、ナノワイヤによって貫通されている空隙から、カバー層及びナノワイヤに損傷を与えることなく、除去することができる。
【0022】
したがって、テンプレートフィルムを完全に除去した後では、多数のナノワイヤが2つのカバー層を結合すると共に、互いから平行に隔たった状態を保つ、構造的に安定した空隙構成要素が残る。したがって、各ナノワイヤの第1の端部は第1のカバー層と一体的に結合しており、各第2の端部は第2のカバー層と一体的に結合している。したがって、テンプレートフィルムを除去することによって、構造化空隙が2つのカバー層の間に露出する。空隙は、両側がカバー層によって境され、平行なナノワイヤによって、2つのカバー層に対して直角に貫かれている。ナノワイヤ間の且つ2つのカバー層間の複数の空間は、2つのカバー層の平面において互いに結合しており、それによって、カバー層の平面において2次元のオープンセル型の空隙構造が画定される。換言すると、2つの閉じているカバー層と、該2つのカバー層間でサンドウィッチ状に閉じ込められており且つ該カバー層と結合している柱状のナノワイヤアレイとから成る、安定した独立したナノワイヤ構造体が形成される。
【0023】
両側が平坦に閉じているナノワイヤアレイ、又は、ナノワイヤアレイによって貫かれている層状の空隙構造を有するこのナノワイヤ構造体は、たとえばマイクロリアクタの構成要素として、特に不均一触媒のためのマイクロ触媒構成要素として非常に適している。さらに、ナノワイヤ構造体は長期的な安定性が高い。これは、ナノワイヤは、両側が固く固定されており、たとえばマイクロチャネル内に緩く存在していないためである。
【0024】
ナノワイヤアレイと第2のカバー層との間の安定した結合を達成するために、ナノワイヤの電気化学的堆積プロセスは、少なくとも、テンプレートフィルムの第2の面においてナノワイヤ上にキャップが形成されるまで続く。第2のカバー層を生成に関して、さらに、特に以下の2つのオプションを提示する。
【0025】
電気化学的堆積過程を、ナノ細孔を完全に満たした後にさらに続ける。ここで、最初にテンプレートフィルムの第2の面において、キャップがナノワイヤ上で成長する。電気化学的堆積過程をさらに続けていくと、複数のキャップが一体化して平坦に閉じている層を形成し、この平坦に閉じている層は、堆積時間が長くなるにつれて厚くなる。したがって、ナノワイヤの生成又は成長に用いられる電気化学的堆積過程を単に、第2のカバー層が、十分に厚く、安定した、平坦に閉じている層の形態に完全に成長するまで続ければよい。ここで、ナノワイヤ及び第2のカバー層全体は、電気化学的に堆積された材料から成る一体的に成長した構造体を形成する。したがって、部分ステップ(d1)及び(d2)を、同じ導電性材料を用いる同じ電気化学的堆積過程の部分ステップとして、実施する。
【0026】
代替的に、ナノワイヤを生成するための部分ステップ(d1)に従って、電気化学的堆積過程を、テンプレートフィルムの第2の面において、キャップがナノワイヤ上で成長し、キャップが少なくとも部分的に一体化しているが、まだ安定した第2のカバー層が生成されていない段階まで続け、その後になってから一度終了させる。第2のカバー層は、第2の別個の後続する堆積過程にて完成する。ここでは、平坦に閉じているさらなる層を、少なくとも部分的に一体化したキャップ上に堆積し、それによって、少なくとも部分的に一体化したキャップと平坦に閉じているさらなる層とから成る、二層構成の安定した第2のカバー層が生じる。したがって、少なくとも部分的に一体化したキャップは、第2のカバー層の第1の部分層を形成し、該さらなる層は第2のカバー層の第2の部分層を形成する。上記別個の堆積過程は同様に電気化学的堆積とすることができるが、たとえば蒸着又はスパッタリングのようなPVD法を含むことができる。この別個の堆積過程が電気化学的堆積であっても、第2の部分層のために、ナノワイヤ及びキャップのための材料とは別の材料を使用することができる。特に、ナノワイヤ及びキャップを、パルス電気化学的堆積方法によって生成し、第2の部分層を直流法によって電気化学的に堆積することが適していることが分かった。たとえば、ナノワイヤ及びキャップを白金から反転パルス堆積によって生成し、第2の部分層を銅から直流堆積によって生成する。それによって、堆積時間を短縮すると共に材料コストを低減することができる。
【0027】
したがって、第2のカバー層を、部分ステップ(d2)に従って、部分的に又は完全に、導電性材料、好ましくは金属の電気化学的堆積によってテンプレートフィルムの第2の面において生成する。それによって、第2のカバー層がナノワイヤと固く一体化するようになる。
【0028】
したがって、少なくともナノワイヤ及び少なくとも部分的に一体化したキャップを、好ましくはパルス堆積する。パルス堆積は、少なくとも以下のオプションを含む。
1)堆積をパルス堆積によって行う。すなわち、堆積パルスと、堆積が行われない拡散期間とが交互に生じる。
2)堆積を反転パルス堆積によって行う。すなわち、堆積パルスと、陽極逆パルスとが交互に生じる。
【0029】
2つのオプションは、堆積パルス間の間隔中に、電解質溶液において、イオンがナノ細孔内で拡散することができ、それによって、ナノワイヤと、キャップが一体化することによって成る層とが、より均一に成長するようになるという利点を有する。
【0030】
第1のカバー層は、被覆方法によって、たとえばPVD、蒸着又はスパッタリングによって一体的に施すことができる。ただし、好ましくは、第1のカバー層は少なくとも二層で生成される。第1の部分層はPVD、たとえばスパッタリング又は蒸着によって堆積され、この第1の部分層はその後、場合によっては、電気化学的堆積を用いて、別の材料から成る第2の部分層、たとえば金上の銅によって補強される。
【0031】
目下、ナノ細孔をテンプレートフィルム内で生成するのに、2つの基本的に既知である方法が考えられる。1つ目は、イオンビーム誘起エッチングであり、2つ目は、アルミニウムフィルムの陽極酸化処理である。
【0032】
陽極酸化アルミニウムにおけるナノ細孔アレイの製造に関しては、A. P. Li他著「Hexagonal Pore Arrays with a 50-420 nm Interpore Distance Formed by Self-Organization in Anodic Alumina」(Journal of Applied Physics, 84-11, 1998, S. 6023-6026)と、J.W. Diggle、Thomas C. Downie、及びC.W. Gouldingの総説(S. 365-405 DOI: 10.1021/cr60259a005)とを参照されたい。なお、これらは参照により本明細書に援用される。このような陽極酸化アルミニウムテンプレートは、ナノ細孔が六角模様の形態で規則的に配置されているという特別な特性を有する。
【0033】
これに対して、イオンビームによって誘起されるエッチング挙動の変化においては、ナノ細孔の確率分布が得られる。イオントラックエッチングされたテンプレートの製造は、以下の部分ステップによってナノ細孔を生成することを含む。
【0034】
まず、市販のプラスチックフィルム、たとえばポリマーフィルムに、エネルギー放射、特に、たとえばダルムシュタット所在の重イオン研究所の加速器施設において利用可能であるような高エネルギーイオンビームを照射する(c1)。照射によって、テンプレートフィルムを貫通する多数の潜在トラックが生じる。該トラックは、フィルムのポリマー構造が、個別の各照射イオンの軌道に沿って破壊されることを特徴とする。エッチングされていない状態では、これらのトラックを「潜在」と呼ぶ。これらのトラックは後に、エッチング技法によって広げられて、視認可能なトラック、すなわちナノ細孔となる(c2)。
【0035】
好ましくは、まず、イオン照射を行い、その後、ただしエッチング前に、第1のカバー層を施す。第1のカバー層をテンプレートフィルム上に施した後で初めて、潜在イオン誘起トラックからナノ細孔をエッチングする。したがって、特に、伝導性金属層をテンプレートフィルム上に施し、該金属層を電気化学的に補強してから、潜在イオントラックに化学エッチングプロセスを受けさせる。このようにして、第1のカバー層の金属が孔内で堆積する可能性を排除する。それによって、生成されるナノワイヤ構造体の機械的安定性を向上させることができる。さらに、孔は正確な円筒形を有し、その両端が狭窄化することはない。
【0036】
したがって、上述の製造方法の結果として、テンプレートフィルムを除去した後に、多数の隣接して配置されているナノワイヤのアレイと、2つの平行して隔たっている、平坦に閉じているカバー層とから成る空隙構造を有するナノワイヤ構造体が得られる。2つのカバー層は、ナノワイヤ構造体の一体的構成要素であり、ナノワイヤから分離することはなく、ナノワイヤと固く結合し続け、正確には、電気化学的堆積過程によって原子/分子レベルで互いに一体化している。
【0037】
したがって、ナノワイヤは、2つのカバー層に対して直角に、該2つのカバー層間で延在し、ナノワイヤは、第1の端部において第1のカバー層と、第2の端部において第2のカバー層と一体化している。それによって、ナノワイヤは、2つのカバー層を互いに固く結合させ、柱アレイのように、2つのカバー層間の距離を規定する。それによって、両側がカバー層によって境されており且つ多数のナノワイヤが柱状に貫通している空隙構造を有する安定したサンドウィッチ状のナノ構造体が生じる。
【0038】
さらに、ナノワイヤ自体は互いから隔たっているため、ナノワイヤ間に、互いに結合している空間が存在する。空隙構造はしたがって、カバー層に平行な平面において、2次元のオープンセル型である。それによって、大きな表面積を形成するナノワイヤの円柱面との相互作用のために、2つのカバー層間で、2次元のオープンセル型の空隙構造を通じて流体を導くことができる。
【0039】
しかしながら、この製造方法によって、生成されるナノワイヤ構造体のさらなる特定の構造特性が生じる。ナノワイヤは、電気化学的に堆積される材料から成長することによって、たとえばX線回折によって調査することができる特定の結晶構造を有することができる。
【0040】
さらに、ナノワイヤは、電気化学的堆積に起因して、両側においてそれぞれのカバー層と直接的に固く一体化している。ナノワイヤの電気化学的堆積を、少なくとも、キャップが成長し、場合によっては一体化するまで続けることによって、ナノワイヤ及び第2のカバー層の少なくとも一部は一体的に成長する。さらにこれは、特に、ナノワイヤがキャップと一体的に成長し、ナノワイヤ及びキャップが少なくとも部分的に互いと一体化する場合に、構造的に検出することができる。またこれは、ナノワイヤの生成に用いられた堆積過程を、キャップの一体化の後に終了させ、それによって、第2のカバー層の第1の部分層を形成し、また、変化した方法パラメータを用いて別個のステップにて、一体化し合っているキャップ上に第2の部分層を堆積する場合も、構造的に検出することができる。このことが該当するのは、カバー層が、異なる材料から成る2つの部分層を含む場合に限られない。
【0041】
ナノワイヤの直径は、好ましくは2000nm以下であり、特に好ましくは500nm以下又は100nm以下である。目下、直径は、10nmまで、又はさらにはより短く製造することができると考えられる。
【0042】
アスペクト比が大きくなればなるほど、ナノワイヤ構造体の活性表面は大きく生成することができる。したがって、ナノワイヤのアスペクト比は、1対50以上、特に好ましくは1対100以上である。
【0043】
2つのカバー層間の距離又はナノワイヤの長さは、テンプレートフィルムの厚さによって規定され、好ましくは200μm以下、特に好ましくは50μm以下である。
【0044】
ナノワイヤの数の面密度は、同様に活性表面に対する尺度であり、好ましくはn/F=10cm−2以上、特に好ましくはn/F=10cm−2以上である。
【0045】
ナノワイヤ構造体の活性表面に対する特定の尺度として、ナノ構造体の面(カバー層の面)及びナノワイヤの長さ(構造化空隙の高さ)当たりのナノワイヤの幾何学的比表面積を挙げることができる。この幾何学的比表面積Aはしたがって以下のようになる。
=πD・n/F
式中、Dはナノワイヤの平均直径であり、n/Fはナノワイヤの面密度である。
【0046】
幾何学的比表面積Aは、少なくとも1mm/(cm μm)とすべきである。しかしながら、より大きな値が好ましい。すなわち、Aは、5mm/(cm μm)以上、20mm/(cm μm)以上、又はさらには100mm/(cm μm)以上である。さらに、場合によっては、値は、1000mm/(cm μm)までとすることができる。
【0047】
反転パルス方法を用いるナノワイヤの製造においては、ナノワイヤは明確な<100>集合組織又は結晶構造を有する。たとえば金のような特定の金属に関しては、可能な限り小さな結晶を生成することが有利であり得る。このために、4nm以下の結晶サイズを達成することが好ましい。既に、一般的には、10nm以下の平均結晶サイズが有利であり得るとされている。
【0048】
結晶集合組織に起因して、表面積の実際の大きさは、滑らかな円柱表面に基づく幾何学的比表面積Aよりも大きく、詳細には、好ましくは約4倍〜5倍である。
【0049】
本発明の特別な一実施の形態によれば、非常に小さいナノワイヤ構造体を製造することもできる。このために、1つ又は複数の開口を備えるマスクを通じてテンプレートフィルムに照射を行い、それによって、マスクの開口の領域においてのみ潜在トラックを生成する。したがって、潜在トラックを備える孤立部分が生じる。テンプレートフィルムの第1の面において第1の陰極面をエッチングして施した後、ナノ細孔内でナノワイヤを、そしてテンプレートフィルムの第2の面においてキャップを、該キャップがテンプレートフィルムの第2の面において孤立して一体化するまで堆積する。引き続いて、孤立して一体化したキャップ上に、孤立部分を互いに結合させる導電層を、複数の孤立部分にまたがって堆積する。この層は後に、第2の陰極層としての役割を果たす。第2の陰極層を生成した後、第1の陰極層を除去し、電気化学的堆積を逆方向に進める。ここで、テンプレートフィルムの第1の面において、キャップをナノワイヤ上に成長させる。この堆積過程を、同様に、キャップが孤立して一体化するまで続ける。続いて、第2の陰極層を除去して、テンプレートフィルムを溶解する。それぞれ一体化したキャップから成るカバー層を両側に備える、多数の孤立したナノワイヤ構造体が生じる。これらの孤立したナノワイヤ構造体は、非常に小さく、たとえば数マイクロメートル〜数十マイクロメートル、場合によっては数百マイクロメートルまでの直径を有するため、本明細書ではマイクロ要素と呼ぶ。
【0050】
さらに、複数の孤立したマイクロ要素を備える複雑な(komplex: complex)構成要素を設計することが可能である。このためには、第2の陰極層を除去しないか又は1つ若しくは複数の新たなカバー層を施し、その後、テンプレートフィルムを溶解する。新たに施されるカバー層(複数可)は、導電性とすることができるか、又は、さらには電気的に絶縁することができる。孤立部分のサイズ及び分布は、照射マスク内の開口によって予め規定される。したがって、多数の予め規定されて配置される、孤立して基板層上に分布するマイクロ要素を含む構成要素を製造することができる。ここで、孤立したマイクロ要素は、照射マスクによって予め規定されるパターンで基板層上に分布しており、基板層と固く結合している。基板層は、特に導電性とすることができるか又は電気的に絶縁することができ、それによって、マイクロ要素は互いに電気的に結合されるか又は互いから電気的に絶縁される。
【0051】
本発明に従って製造されるナノワイヤ構造体に対する特に好ましい利用分野は不均一触媒である。すなわち、1つ又は複数のナノワイヤ構造体は、特にマイクロ触媒のための触媒構成要素としての役割を果たす。このために、1つ又は複数の面において、正面をカバー層で覆い、該カバー層を別のカバー層と一体化させる、すなわち、ナノワイヤ構造体において各正面を一体的に閉じることが有利である。特に簡単には、まず、全正面を閉じ、引き続いて、2つの対向する正面において、カバー層の平面に対して直角にナノワイヤ構造体を切断する。
【0052】
マイクロ触媒は好ましくは、流体供給部及び流体排出部を備えるマイクロ構造システムと、流体供給部と流体排出部との間の触媒要素としての少なくとも1つのナノワイヤ構造体とを含む。それによって、流体供給部から2つのカバー層間の空隙構造内に流体を導き入れ、ナノワイヤ間の空間を通じて導き、流体排出部を通じて空隙構造から排出することができる。ここで、2つのカバー層間のナノワイヤ構造体の2次元のオープンセル型の空隙構造は触媒反応容積を形成し、ナノワイヤの円柱面は触媒活性表面を形成し、該活性表面と流体とが空隙構造内で相互作用する。好ましくは、ナノワイヤは、堆積によって、たとえば白金から多量に形成されているため、触媒要素はバルク触媒要素である。
【0053】
以下において、実施例に基づいて且つ図面を参照してより詳細に本発明を説明する。同じ要素及び同様の要素には部分的に同じ参照符号を付している。様々な実施例の特徴を、特に照射マスクを用いる方法及び用いない方法を互いに組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】ナノワイヤ構造体の製造の概要、すなわち(c1)イオン照射、(b)伝導層の施し、(c2)イオントラックのエッチング、(d1)ナノワイヤの堆積及びキャップ成長、(d2)第2の金属層の堆積、(e)テンプレートの溶解を示す図である。
【図2】本発明によるナノワイヤ構造体の立体概略図である。
【図3】電気化学的堆積に使用される堆積装置の立体図である。
【図4】第1のカバー層の堆積のための堆積装置の透明な立体分解図である。
【図5】ナノワイヤ及び第2のカバー層の堆積のための堆積装置の透明な立体分解図である。
【図6】本発明によるナノワイヤ構造体の走査型電子顕微鏡写真(REM)である。
【図7】図6のナノワイヤ構造体の拡大側面図である。
【図8】白金ナノワイヤから成るナノワイヤアレイを備える、2つの正面が開いており且つ2つの正面が閉じているナノワイヤ構造体のREM写真である。
【図9】図8のナノワイヤアレイの拡大REM写真である。
【図10】異なるサイズのキャップを備える、直流下で堆積される白金ナノワイヤアレイのREM写真(縁長さ約350μm)である。
【図11】図10の拡大部分図(縁長さ約100μm)である。
【図12】キャップの空間分布を再現すると共に、キャップの局所的に制限されている成長を示す、直流下で堆積されるPtナノワイヤアレイのREM写真である。
【図13】部分的に拡大した図12の写真である。
【図14】キャップが一体化して密な層となっている、反転パルス下で堆積されるPtナノワイヤアレイのREM写真である。
【図15】図14の拡大部分図である。
【図16】機械的負荷にさらされたPtナノワイヤアレイのREM写真である。
【図17】図16の部分拡大図である。
【図18】貫流モードのためのマイクロ構造体を備えるマイクロリアクタの概略分解図である。
【図19】シャドーマスクの部分拡大図である。
【図20】図19のシャドーマスクの開口の部分拡大図である。
【図21】シャドーマスクを備える、多数の孤立したマイクロ要素ナノワイヤ構造体の製造の概要を示す図である。
【図22】2つのカバー層のうちの1つの方を見たときの、マイクロ要素ナノワイヤ構造体のREM写真である。
【図23】マイクロ要素ナノワイヤ構造体の周囲を斜めに見たときの、図22のマイクロ要素ナノワイヤ構造体のさらなるREM写真である。
【図24】2つのマイクロ要素ナノワイヤ構造体を備えるセンサ素子の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
製造方法の概要
ナノワイヤ構造体の製造は、テンプレートベースの方法に基づく。該方法の部分ステップを図1に概略的に示す。ここでは、明瞭にするために、文字は、好ましくは図1に示す順序、すなわち、(c1)、(b)、(c2)、(d1)、(d2)、(e)で実施される上述の方法ステップに対応する。しかしながら、基本的に、別の順序を使用することも可能であり、たとえば2つの面からエッチングを行い、その後に初めて陰極層を施す部分ステップ(ステップ(b)の前に(c2))も可能である。
【0056】
図1を参照すると、まず、テンプレートフィルム12にイオン14を照射する。ここで、軌道に沿って、テンプレートフィルム12の材料内で潜在イオントラック16を生成させる(c1)。テンプレートフィルム12はこの例では、ポリマーフィルム、より正確にはポリカーボネートフィルムである。
【0057】
続いて、テンプレートフィルム12の第1の面12aにおいて、薄い伝導性の金属層22a、たとえば金をスパッタリングする。該金属層は、第1の部分層を形成する。引き続いて、第1の部分層22aを、第2の部分層24aによって電気化学的に補強し、それによって、後にナノワイヤ堆積のための陰極としての役割を果たす第1のカバー層26aを形成する(b)。第2の部分層24aの電気化学的堆積のためには、テンプレートフィルム12を、図3〜図5に示されている堆積装置82内に嵌め込む。
【0058】
引き続いて、片側だけが被覆されているテンプレートフィルム12を堆積装置82から離し、潜在イオントラック16を化学的にエッチングし、それによって、均一なナノ細孔32を生成する。代替的に、エッチング液を対応する槽88内に注ぎ込み、エッチングの終了後に除去することによって、エッチングプロセスを堆積装置82において行うこともできる。テンプレートフィルムを取り外し、再度組み込む必要はない。ナノ細孔32の直径は、エッチング時間の制御によってコントロールすることができる(c2)。
【0059】
続いて、このようにして用意したテンプレートフィルム12を再び堆積装置82内に嵌め込み、第2の電気化学的プロセスにおいて、所望の金属をナノ細孔32内に堆積する(d1)。ナノワイヤ34がテンプレートフィルム12の第2の面12bにおける孔端32bに到達すると、キャップ36の形成が始まる。適切な条件下では、キャップ36は平坦に一体化し、閉じているが、まだ十分に安定ではない第2の金属層22bを、第1のカバー層、すなわち陰極層に対して平行に形成する(d2)。この金属層は、この例では、第1の部分層22bであり、該部分層の上にさらなる金属層を堆積し、該さらなる金属層が第2の部分層24bを形成する(d2)。第2の部分層24bによって、一体化したキャップが機械的に安定して埋め込まれる。それによって、第1の部分層22b及び第2の部分層24bは共に、第2のカバー層26bを形成する。
【0060】
最後に、ポリマーフィルム12を適切な有機溶媒内で溶解する(e)。それによって製造される本発明によるナノワイヤ構造体1を図2に示す。少なくとも、空隙構造42の方を向いている第2のカバー層26bの内側はここでは、少なくとも部分的に電気化学的に堆積される層22bによって形成される。
【0061】
テンプレートベースの方法は、多数のパラメータに対して意図した通りに影響を及ぼすことができるという利点を提供する。ナノワイヤ34の長さは、使用されるテンプレート12の厚さによって決定され、好ましくは10μm〜100μmであり、特に好ましくは約30μm±50%である。ナノワイヤ34の面密度は、照射によって確定され、アレイの製造のために、好ましくは1・10cm−2〜1・10cm−2である。ナノワイヤ34の直径Dは、エッチングの時間長さによって調整され、約20nm〜2000nmとすることができる。アスペクト比は、1000までの値をとることができる。
【0062】
2つのカバー層26a及び26bの厚さは、それぞれの電気化学的堆積の時間長さによってコントロールされ、十分な安定性が保証されるほどの厚さを有するべきである。好ましくは、該厚さはそれぞれ、約5μm〜10μmである。
【0063】
ナノワイヤのための材料としては、電気化学的堆積に適した金属が考えられる。以下の金属を用いての経験がある:Cu、Au、Bi、Pt、Ag、Cu、Cu/Co多層、BiTe
【0064】
一方では、大きな活性表面を得るために、わずかな直径Dを有するナノワイヤ34が多数存在していることが望ましく、他方では良好な機械的安定性を達成する必要がある。この最適化は、材料に依存し、要求に応じるものである。
【0065】
銅部分層24a及び24bの間に白金ナノワイヤ34を備えるナノワイヤ構造体1のために、たとえば、250nmの直径及び30μmの長さを有する10/cm本のワイヤを有する安定した実施態様を製造した。ここで、アスペクト比は120であった。このような要素は、たとえば触媒要素として適している。
【0066】
ナノワイヤ構造体1の製造のために、ポリマーフィルム12の代わりに、酸化アルミニウムから成る硬いテンプレートフィルムのような他のテンプレートフィルムを使用することができる。この場合、達成可能な孔径は10nm〜200nmである。ここで、密度は、約6.5・10〜1.3・1011cmである。多孔性酸化アルミニウムテンプレートは、規則的に並べられた構造の生成を可能にする。さらに、イオントラックエッチングされるガラス及びマイカフィルムもテンプレートとして考えられる。これらのテンプレートでは、テンプレートの溶解はフッ化水素酸(HF)を用いて行われる。それによって、ワイヤ堆積及び金属層のための金属の種類が幾らか制限される。
【実施例1】
【0067】
ナノワイヤ構造体1の製造のために、30μmの厚さの、円形の(r=1.5cm)ポリカーボネートフィルム12(Makrofol(登録商標))を使用し、該ポリカーボネートフィルムに、11.1MeV/uのエネルギー及び3・10イオン/cm−2のフルエンスで重イオン14を照射した。伝導性金属層22aを施す前に、トラック16に沿ったエッチングの選択性を高めるために、ポリマーフィルム12の各面を、1時間にわたってUV光で照射する。
【0068】
ポリマーフィルム12の第1の面12aにおいて、約30nmの厚さの金層22aをスパッタリングする。CuSO系の電解質溶液(Cupatierbad、Riedel)に基づく銅を、U=−500mVの電圧で定電位堆積することによって該金層を補強する。ここで、銅棒電極が陽極としての役割を果たす(部分層24a)。堆積を30分後に中断する。その後、銅層24aの厚さがおおよそ10μmになる。続いて、60℃で、NaOH溶液(6M)を用いて25分にわたって、テンプレートフィルム12の未処理の面12bからエッチングを行い、脱イオン水によって徹底的に洗浄を行い、それによって、エッチング液の残りを除去する。そして、ナノ細孔を有するテンプレートフィルム12を堆積装置82内に嵌め込む。
【0069】
ナノワイヤ34の堆積を、65℃で、アルカリ性Pt電解質(Pt-OH-Bad、Metakem)を用いて行う。ナノワイヤ34及びキャップ36を生成するために、反転パルス堆積の方法を使用し、それによって、ナノ細孔32内でのゆっくりとした拡散駆動型の物質輸送を補償すると共に、均一的なナノワイヤの成長34及びキャップの成長36を達成する。4秒間にわたるU=−1.3Vの堆積パルスの後に、1秒間にわたる陽極パルスがU=+0.4Vで続く。約80分後に、堆積を停止し、成長をコントロールする。複数のキャップ36は、この時点において、十分に一体化して部分層22bへとなっており、それによって、該部分層上で、銅部分層24bの定電位堆積をU=−500mVで約30分にわたって行うことができる。
【0070】
最後に、ナノワイヤ構造体全体をテンプレートフィルム12と共に、数時間にわたって10mlの塩化メチレンを有する容器内に置くことによって、テンプレート材料を除去する。両側がカバー層によって閉じられている構造体の内部空間38から完全にポリマー残留物を除去するために、溶媒を3回交換する。このようにして製造される、ナノワイヤアレイ35を有するカバー層26a及び26b間の空隙構造42は、走査型電子顕微鏡写真(REM)で図6及び図7において見ることができる。ナノワイヤ34はここでは、おおよそ650nmの直径を有する。
【実施例2】
【0071】
図8及び図9を参照すると、特に、パラメータであるナノワイヤ31の直径及び数が可変であることを示すために、さらなる実施例がもたらされている。18分のエッチング時間では、約250nmの直径を有するナノワイヤ34がもたらされる。面密度(面当たりの数)は10cm−2である。ワイヤの電気化学的堆積のために、再び反転パルス方法を使用した。U=−1.4Vでの40msにわたる堆積パルスの後に、U=−0.1Vでの2msにわたる短い逆パルスと、U=−0.4Vの電圧での100msのパルス間隔とが続いた。これは、約0Vの過電圧に対応する。すなわち、逆パルスの期間中、システムは平衡状態にある。
【0072】
ナノワイヤアレイ35を切断し、平面図において矩形を有するナノワイヤ構造体1を得た。引き続いて、再び、未だテンプレートフィルム12と共にあるナノワイヤ構造体全体に銅層を定電位堆積し、それによって、該ナノワイヤ構造体を、全ての正面においても閉じる。引き続いて、2つの対向する正面において開いており且つ残りの2つの対向する正面において閉じているナノワイヤ構造体1を得るために、ナノワイヤ構造体を2つの短い正面又は縁において切断し、続いてテンプレート12を溶解した。図8及び図9において、上方カバー層26bが正面28を覆うことによって、右側に示されている正面28が流体密封に閉じていることが良く分かる。このナノワイヤ構造体1は、開いている正面において導き入れられると共に、対向する開いている正面において流れ出ることができる、触媒作用を受ける流体を通す触媒要素として非常に適している。
【0073】
電気化学的堆積のための構成
再び図3〜図5を参照すると、多数のナノワイヤ34から成るナノワイヤアレイ35の電気化学的堆積は完全に、図3に示されている堆積装置82において行われる。該堆積装置は、2つの電解槽86及び88を収容する金属キャリッジを押し入れることができる金属ハウジング84から成る。金属の良好な伝熱性に起因して、コントロールされる外部熱供給によって堆積装置を温度調整することが可能である。
【0074】
PCTFEから製造される電解槽86及び88は、互いの方を向いている面においてそれぞれ同じ大きさの円形の開口87及び89を有し、つまみネジ90によって互いに密に圧接することができる。2つの電解槽86及び88間の銅リング92は、電気化学的堆積のために、陰極としての役割を果たすか、又は、第1のカバー層と接触する役割を果たす。
【0075】
図4を参照すると、部分層22aの電気化学的補強のために、イオントラックエッチングされるテンプレートフィルム12が、部分層22a、ここではスパッタリングされた金層22aが環状の銅電極92と良好に接触するように、2つの電解槽86及び88の間に取り付けられる。陰極として使用される銅リングの両側では、電解槽が電解質で満たされる。部分層22aの方を向いている電解槽86内に配置されている第1の陽極94と、制御装置を備える外部電流源とを用いて金層22aの電気化学的補強が行われ、第1のカバー層26aが形成される。
【0076】
テンプレートフィルム12の取り外し、及び、堆積装置82の外側でのナノ細孔32のエッチングの後、テンプレートフィルム12は、再び堆積装置82内に設置される。
【0077】
図5を参照すると、ナノワイヤ34、キャップ36、及び場合によっては、完全な第2のカバー層26bの電気化学的堆積のために、片側が被覆されており且つナノ細孔が設けられたテンプレートフィルム12が、図4におけるように堆積装置82内に再び嵌め込まれ、それによって、第1のカバー層26aがリング電極92と接触する。そして、テンプレートフィルム12の第2の面12bにおいて、第1のカバー層26aに対して背を向けている電解槽88内で、該電解槽内に配置されている第2の陽極96によって堆積が行われる。
【0078】
電気化学的堆積条件の、ナノワイヤ及びキャップの成長に対する影響の調査
ナノワイヤ34を生成するためのパルス堆積方法を用いて、有利には、堆積の各時点において、ナノワイヤの長さを均一にすることができる。これは、完全性及び正確性を期さないならば、直流堆積と比較して拡散層が短く保たれるということによって説明することができる。堆積パルス間の間隔(平衡状態又は逆パルス)においては、金属イオンは拡散することができ、それによって、各堆積パルスの開始時において、電極表面全体にてほとんど同じ集中度が存在するようになり、それによって、成長が均一となる。拡散層はほとんど重なり合うことはなく、表面における不均一性が増大することはない。
【0079】
ここで、パルス堆積方法はさらにキャップ36の狭いサイズ分布を保証するため、パルス堆積方法を少なくともキャップの製造のためにも使用することが有利であることを確認した。
【0080】
キャップ成長を調査するために、直流堆積下での実験と、反転パルス堆積下での実験とを実施及び比較した。
【0081】
直流下での堆積
図10及び図11は、キャップ36の形成後の、直流下で形成されるナノワイヤアレイを示している。すなわち、キャップ成長をより正確に調査するために、製造方法をキャップ36の形成の後中断し、テンプレートフィルム12を完全な第2のカバー層26bを生成することなく除去した。拡大が過度ではないため、キャップ36は、サイズ分布が幾らか均一であるように見える(図10)。しかしながら、キャップ36は確かに部分的に一体化しているが、大きな間隙37がキャップ間に広がっていることがはっきりと分かる。さらに、孤立しているキャップ36も幾つか見られる。
【0082】
これは図11の拡大図においてより明白である。この拡大図はさらに、サイズ分布も暗示している。キャップは、空間的広がりにおいても、また他のキャップ36との接続性においても大きな差異を示している。
【0083】
図12は、同様に、完全な第2のカバー層26bを生成することなくテンプレートフィルム12を除去した後の調査の目的のために、直流下で製造した、より大きな面積のナノワイヤアレイを示している。キャップ36の成長はアレイ上の位置に依存することが分かる。
【0084】
図13の拡大図を参照すると、キャップ36の空間分布は均一ではない。特に、多数のワイヤによって囲まれている、キャップ成長を全く示さない個々の孤立しているキャップ36が見られる。
【0085】
完全性及び正確性を期さないならば、サイズ分布の拡大の主因は、個々のナノ電極(ナノワイヤはこのナノ電極として扱うことができる)の拡散層の重なり合いと言える。ナノワイヤ34がまだナノ細孔32内の深くに存在している場合、金属イオンは、平面拡散によって長距離を進む必要がある。ナノワイヤ34が長く成長すればするほど、孔32においてより高く伸び、孔端32bに近づき、ここで、キャップ成長36が始まる。これに関連して、拡散層はさらに溶液内に達し、他の層と重なり合う確率が高くなる。加えて、拡散が、成長が続くにつれて平面特性からずれていき、最終的には、ナノワイヤ34の長さがポリマーフィルム12の厚さと同じになると、完全に半球拡散とみなされてしまう可能性があることを考慮すべきである。
【0086】
他の電極からの距離がわずかであるナノ電極は、溶液からの金属イオンを巡って争い合い、その結果、比較的孤立している電極よりも成長が遅い。サイズ分布の拡大はしたがって、孔32の配置における偶然性の直接的な結果である。
【0087】
平面拡散及び半球拡散が同時に存在すると、おそらく、成長速度における差異は極値をとるであろう。このことは、ナノワイヤ34が孔端32bに達し、キャップ36を形成し始める一方、ワイヤ34が孔32内において互いに非常に近接して存在し、平面拡散プロセスを受ける場合に見られる。ポリマーフィルム12の表面は自然に起伏を多く有するため、孔32は最初から異なる長さを有する。それによって、ナノワイヤ34は、同じ成長速度でも、その端部に達する時間は異なる。
【0088】
直流堆積下でキャップ36と共に生成されるナノワイヤアレイを、安定したナノワイヤ構造体1の製造のために使用する可能性を除外することはできない。それにもかかわらず、同様にキャップ成長を調査するために、パルス堆積を用いてさらなる実験を実施した。
【0089】
反転パルス堆積
図14及び図15において、反転パルス堆積下で製造された白金ナノワイヤアレイ35を見てとることができる。キャップ36は一体化して、密な閉じている層22bを形成しており、これは、反転パルス堆積によって得られる、より良好なサイズ分布によって可能になる。層22bは、電極表面全体にわたって均一であり、間隙を有しない。なお、第2のカバー層26bがまだ完全に形成されておらず、一体化したキャップ36から成る金属層22bが単に第2のカバー層26bの部分層22bを表すようにするために、この実験においても、完全に一体化したキャップ36から成る金属層22bの形成後に、第2のカバー層26bの堆積過程を完全に実施しなかったことに留意されたい。
【0090】
この未完成のアレイが、たとえばピンセット圧力を加えることによって機械的負荷にさらされると、図16に示すようにキャップ36から形成される層22bは引き裂かれ、金属カバー層間を通じてアレイ内部を見ることが可能になる。図17は、引き裂かれた箇所の部分拡大図を示す。平行に配置されたナノワイヤ34をはっきりと認識することができ、該ナノワイヤは、該ナノワイヤと固く結合している複数の金属層を同じ距離を保ちながらまとめている。
【0091】
直流堆積と比較してキャップ36のサイズ分布が有利により狭くなっていることは、完全性及び正確性を期さないならば、拡散層がより短いということで説明することができる。パルス間の間隔において、金属イオンは拡散することができ、それによって、各堆積パルスの開始時において、電極表面全体にてほとんど同じ集中度が存在するようになり、これは、均一な成長をもたらす。拡散層はほとんど重なり合うことなく、表面における不均一性が増大することはない。
【0092】
まとめると、特に反転パルス堆積下でのナノワイヤ34及びキャップ36のパルス堆積によって、非常に均一なキャップ成長が可能になったことを確認することができる。ここで、ナノワイヤ34を生成するための電気化学的堆積は、少なくともキャップ36がナノワイヤ上に形成され、該キャップが一体化して平坦な閉じている層22bを形成するまで続行する。引き続いて、安定した第2のカバー層26bが生成されるまで、一体化したキャップ36から成る層22bを補強するために、さらに材料を電気化学的に堆積するか、又は、別個の堆積過程において、一体化したキャップ36が組み込まれる第2の部分層24bを施す。本発明による安定したナノワイヤ構造体1を製造するために、テンプレートフィルム12は特に、その後になってようやく除去される。第2のカバー層26bの厚さは、少なくとも1μmとするべきである。しかしながら、好ましくは、厚さは、5μmよりも大きく、たとえば5μm〜10μmである。同じことが第1のカバー層26aにも該当する。
【0093】
ナノワイヤの構造特性
本発明においては、様々な材料から成るナノワイヤ34の構造特性も調査した。電気化学堆積される材料においては、たとえば、晶子のサイズをコントロールすることが可能である。これは、機械的安定性、熱輸送特性及び電気輸送特性並びに表面積、ひいては触媒活性に対しても効果を有する。したがって、多数の特性に対して意図した通りに影響を与えることができる。
【0094】
特に、ナノワイヤ34の構造を、X線回折を使用して調査した。このために、集合組織を電気化学的堆積条件の作用として分析した。
【0095】
直流下で製造されるPtナノワイヤ34は、明確な<100>集合組織を示す。集合組織係数TC100は2.32であり、その最大値は3である。晶子のサイズは、シェラーの式を用いて白金信号の半値幅から求め、8nmであった。触媒としての使用のためには、晶子のサイズは可能な限り小さいことが望ましい。ここで提示される値は、通常は触媒内で使用されるナノ粒子の範囲内にある。晶子のサイズを、電気化学的堆積条件の変更によってさらに小さくすることができることを前提としている。
【0096】
パルス堆積下で製造したナノワイヤ34を調査すると、特に集合組織は見つからなかった。信号強度は、多結晶白金の信号強度に一致する。
【0097】
最後に、反転パルスで製造したサンプルを分析した。再び明確な<100>集合組織が示され、集合組織係数TC100は4.16である。したがって、晶子は好ましい配向を有し、整列度は83%である。少なくとも50%の整列度が場合によって有利である。
【0098】
異なって製造されたナノワイヤ34のX線回折による特性評価は、堆積条件が集合組織に影響を及ぼすことを示した。したがって、ナノワイヤの構造に意図した通りに影響を与えることができる。過電圧が対応して低く選択されると、さらに単結晶ナノワイヤを製造することができると予期される。
【0099】
ナノワイヤ34の表面は、幾何学的表面積の算定の基礎となる、円柱の滑らかな表面には一致せず、面積を大幅に増大する多数の凹凸を示す。したがって、表面の実際のサイズは通常、特にナノワイヤ34を構築する晶子が非常に小さいため、幾何学的表面積よりも大きい。ナノワイヤアレイ35の表面のより正確なイメージを得るために、サイクリックボルタンメトリー測定を、60℃で0.5MのHSOにおいて、標準水素電極に関して0mV〜1300mVの電位範囲内で実施した。水素の吸着時に伝達される負荷から、容量性電流を考慮して電極表面積を算定する。ナノワイヤアレイ電極のサイクリックボルタンメトリー調査によって、実際の表面積が幾何学的表面積よりも4〜5倍大きいことが明らかになった。
【0100】
用途
触媒のために、本発明による多数のナノワイヤ構造体1を積み重ねてまとめて扱うことが可能である。しかしながら、ナノワイヤ構造体1は寸法に起因して、1mm未満の、大抵は10マイクロメートル〜数百マイクロメートルの内部寸法を有する3次元構造体であるマイクロ構造システム内に個別に組み込むのにも適している。
【0101】
図18は、流体供給部102と流体排出部104との間に本発明によるナノワイヤ構造体1が嵌め込まれているマイクロ触媒100を概略的に示す。このようなマイクロ触媒100においては、気相反応又は液相反応を行うことが考えられる。さらに、気体流又は液体流が、好ましくは圧力をかけられてマイクロ触媒100を通じて導かれる。
【0102】
本発明に従って製造可能なナノワイヤ構造体1は本質的に、2つの金属層間に配置されている全てのナノワイヤの電気的接触をさらに含む。それによって、コントロールされる電圧をナノワイヤ34に印加することができ、ひいては、電極触媒プロセスが可能となる。さらに、この構成要素は、電流測定センサとして使用することができる。
【0103】
照射マスクを用いたマイクロ要素の製造
本発明によれば、テンプレートフィルム12、この例ではポリマーフィルムに、対応するマスク110を通じて重イオンを照射することによって、両側が2つのカバー層26a及び26bによって閉じられている、非常に小さな寸法を有するナノワイヤ構造体又はナノワイヤアレイを生成することができる(図21のステップ(c1))。事前にステップ(c0)において設けられるマスク110、たとえばシャドーマスクが複数の開口112又は孔を有し、各開口112が後のマイクロ要素1aを規定する。マスク110は、照射時にテンプレートフィルム12を覆い、それによって、覆われていない領域、すなわちマスク110の開口112において潜在イオントラック16を形成する。該潜在イオントラックは後にエッチングされてナノ細孔32となる。マイクロ要素1aの輪郭及び形状はしたがって、マスク110によって与えられる。
【0104】
この方法は、特に、上述したようにマイクロ要素1aの形態の多数の非常に小さなナノワイヤ構造体を製造するのに適している。それによって製造可能なマイクロ要素1aは、ナノワイヤと固く一体化している2つのカバー層から成っており、500μm未満の、特に100μmの、そして場合によってはさらに、数マイクロメートルまでの直径を有することができる。直径とは、カバー層26a及び26bに平行な又はナノワイヤ34を横断する平面における寸法を意味する。ここで、たとえばマイクロ要素の直径とマイクロ要素の厚さとのアスペクト比を20:1又は5:1よりも小さくすることができる。マイクロ要素の厚さとは、カバー層26a及び26bの平面に対して直角方向の(概ね2つのカバー層間の距離における)寸法を意味する。
【0105】
図19は、例示的なシャドーマスク110の部分図であり、図20は、穴112の拡大図である。シャドーマスク110の穴112は、この例では50μmの直径を有し、それによって、直径が50μmの丸い領域においてのみナノワイヤ34が電気化学的に堆積され、したがって、約50μmの直径を有するマイクロ要素1aを製造することができる。
【0106】
図22及び図23は、直径が約50μmであり且つ厚さが約30μmである、シャドーマスク110を用いて製造される多数のマイクロ要素1aのうちの1つを示している。このマイクロ要素1aは、両側において平坦に閉じられているカバー層26a及び26bを設けられており、該カバー層はナノワイヤ34と一体化している。テンプレートフィルム12の2つの面12a及び12bにおいて一体化したキャップ36及び126から形成されている閉じている金属層26a及び26bは、内部のナノワイヤアレイ35aよりもわずかに大きい広がりを示す。照射は10イオン/cmで実施した。したがって、50μmの大きさのマイクロ要素1aの金属層26a及び26b間では、約2000本のナノワイヤ34が存在している。
【0107】
この例では、イオン照射のためのシャドーマスク110には、約2000個の穴112がおおよそ0.5cmの堆積面全体に設けられており、それによって、テンプレートフィルム12内の孤立部分116のようなナノワイヤアレイ35aを備える約2000個のマイクロ要素1aを一度で生成することができた。
【0108】
テンプレートフィルム12内にナノワイヤアレイ35aを備える多数のマイクロ要素1aをこのように製造することは、堆積面全体を占める大きなナノワイヤアレイ35の製造よりも費用がかかる。これは、追加のステップを実施するためである。
【0109】
潜在イオントラック16をエッチングしてナノ細孔32を形成する前に、テンプレートフィルム12の第1の面12aに、金属初期層25を施す。初期層25は同様に、ナノワイヤ34の堆積のための一時的な陰極層としての役割を果たす。初期層25に対向する、テンプレートフィルム12の第2の面12bにおいてキャップ36が形成された後、この初期層25を除去し、それによって、複数のマイクロ要素1aを後に分離することができる。特に初期層25がナノワイヤ34とは別の伝導性材料、特に別の金属から成る場合、選択的除去が可能である。
【0110】
さらに、最初に形成されるキャップ36、すなわちテンプレートフィルム12の第2の面12bにおけるキャップを、選択的に除去可能な伝導層、同様に好ましくは金属層によって覆う。該層は、さらなる堆積のための第2の一時的な陰極層118を形成する。第2の陰極層118によって、孤立するように分割される複数のマイクロ要素1aのナノワイヤ34が、第2の面12bにおけるキャップ36を介して互いに電気的に接触し合う。ここで、初期層25が存在していた、テンプレートフィルム12の第1の面12aにおいても、第2のキャップ126をナノワイヤ34上で成長させることができる。テンプレートフィルム12の第1の面12aにおいても、一体化した第2のキャップ126から成る「十分に安定した」金属層がナノワイヤ34の上方で成長すると、第2の一時的な陰極層118を第2の面12bにおいて選択的に除去することができる。続いて、テンプレートフィルム12、この例ではポリマーマトリクスを溶解する。そして、それぞれ一体化したキャップから成るカバー層26a及び26bを両側に有する、マスク穴112のサイズの、別個のマイクロ要素ナノワイヤ構造体1aが生じる。このように製造されるマイクロ要素ナノワイヤ構造体1aの一例を図22及び図23に示す。上述した作業過程において、このマイクロ要素ナノワイヤ構造体1aを多数製造する。
【0111】
照射用マスク110の使用によって、さらなる処理を必要とすることなく、ナノワイヤアレイ35aを備える製造済みのマイクロ要素1aを直接一体化のために使用することができるという利点がもたらされる。すなわち、マイクロ要素1aのナノワイヤアレイ35aは、周囲132に沿って、カバー層26a及び26bに平行な平面においてオープンセル型である。このオープンセル型の特徴は、既に堆積時においてもたらされ、それによって、周囲132に沿ったどの箇所においても切断されていない、ナノワイヤアレイ35aを備えるマイクロ要素1aが生成される。したがって、たとえば側面又は側縁134の切断による機械的負荷を回避することができる。図22及び図23において、カバー層26a及び26bが一体化したキャップ126又は36から形成され、これらのカバー層が縁部において幾らか突き出ていることが見てとれる。すなわち、縁部は、自然に成長し一体化するキャップによって形成される。この点で、マイクロ要素ナノワイヤ構造体1aがこの特別な方法で製造されたこと、そして特に、該マイクロ要素ナノワイヤ構造体は縁部において切断されていないことが良く分かる。
【0112】
全てのナノワイヤ34は、両方の面12a及び12bにおいて電気的に接触しているため、ナノワイヤアレイ35aを備えるマイクロ要素1aは、特に小型センサの製造に適している。ワイヤが多数存在しているため、高い感受性だけでなく、高い欠陥許容値も得られるはずである。
【0113】
図24は、たとえば気体流、温度を測定するための、且つ運動センサとしてのセンサ150の一例を示している。センサ150は、第1のマイクロ要素ナノワイヤ構造体1a及び第2のマイクロ要素ナノワイヤ構造体1aを備える少なくとも1つの測定ユニットを備える。これらのマイクロ要素ナノワイヤ構造体1aはそれぞれ、両側においてカバー層26a及び26bを設けられており、2つのナノワイヤ構造体1aのそれぞれは、1つ又は2つのカバー層26a及び26bによって電気的に接触される。2つのナノワイヤ構造体1aは別個に接触される。2つのマイクロ要素ナノワイヤ構造体の間に、加熱素子、たとえば電圧の印加によって加熱可能なマイクロワイヤ152が配置されている。センサ素子150の抵抗の変化は、気体流又は温度変化又は運動変化に対する基準として使用される。
【0114】
上述した実施形態は例示として理解されるべきであり、本発明はこれらの実施形態には限定されず、本発明から離れることなく多様に変更することができることは当業者に明らかである。特に、マイクロ触媒の製造は、本発明によるナノワイヤ構造体に対する多数の利用分野のうちの1つに過ぎない。さらに、特徴が、明細書、特許請求の範囲、図面、又は他の箇所のいずれに開示されているかを問わず、たとえ他の特徴と共に記載されていようとも、個々に本発明の本質的な構成要素を定めるものであることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノワイヤ構造体(1)を製造する方法であって、該ナノワイヤ構造体は、前記ナノワイヤ(34)によって柱状に貫通される空隙構造(42)を形成する、2つのカバー層(26a、26b)間に配置されるナノワイヤアレイ(35)を備え、該方法は、
(a)テンプレートフィルム(12)を用意すること、
(b)第1の平坦に閉じている導電性カバー層(26a)を、前記テンプレートフィルム(12)の第1の面(12a)において施すこと、
(c)多数のナノ細孔(32)を前記テンプレートフィルム(12)内で生成すること、
(d1)導電性材料の電気化学的堆積によって前記ナノ細孔(32)を満たすことによって、前記ナノワイヤ(34)を前記ナノ細孔(32)内で生成することであって、該ナノワイヤ(34)は前記ナノ細孔(32)内で前記第1のカバー層(26a)上で成長する、生成すること、
(d2)第2の平坦に閉じているカバー層(26b)を、前記テンプレートフィルム(12)の前記第2の面(12b)において生成することであって、それによって、前記2つのカバー層(26a、26b)と、前記ナノワイヤ(34)によって貫通されている前記テンプレートフィルム(12)とから成るサンドウィッチ状の構成が生じる、生成すること、
(e)前記テンプレートフィルム(12)を溶解することによって、2つの前記カバー層(26a、26b)間の構造化されている前記空隙(42)を露出させると共に、2つの前記カバー層(26a、26b)間で前記溶解したテンプレート材料を除去することであって、2つの前記カバー層はそのまま残る、露出させると共に除去することを含む、方法。
【請求項2】
部分ステップ(d2)による前記第2のカバー層(26b)は、少なくとも部分的に導電性材料の電気化学的堆積によって前記テンプレートフィルム(12)の前記第2の面(12b)において生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
部分ステップ(d1)に従って、電気化学的堆積過程は、前記ナノ細孔(32)を完全に満たした後に、少なくとも、前記テンプレートフィルム(12)の前記第2の(12b)側においてキャップ(36)が前記ナノワイヤ(34)上で成長し、該キャップ(36)が前記テンプレートフィルム(12)の前記第2の面(12b)において少なくとも部分的に一体化するまで続けられる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
部分ステップ(d1)に従って、電気化学的堆積過程は、前記ナノ細孔(34)を完全に満たした後に、少なくとも、前記テンプレートフィルム(12)の前記第2の面(12b)において前記キャップ(36)が前記ナノワイヤ(34)上で成長し、該キャップ(36)が一体化して平坦に閉じている層(22b)となり、それによって、前記ナノワイヤ(34)及び該平坦に閉じている層(22b)が一体的な構造体として成長するまで続けられ、該平坦に閉じている層(22b)は少なくとも前記第2のカバー層(26b)の部分層を形成する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
部分ステップ(d1)に従って、電気化学的堆積過程を、前記ナノ細孔(32)を完全に満たした後に、少なくとも、前記第2のカバー層(26b)が完全に形成されるまで続けることによって、前記ステップ(d1)及び(d2)は、同じ電気化学的堆積過程の部分ステップとして実施され、前記テンプレートフィルム(12)の前記第2の面(12b)において前記キャップ(36)が前記ナノワイヤ(34)上で成長し、該キャップ(36)が一体化して平坦に閉じている層となり、該平坦に閉じている層が、安定した前記第2のカバー層(26b)が完全に形成されるまでさらに成長し、それによって、前記ナノワイヤ(34)及び前記第2のカバー層(26b)が一体的構造体として成長するか、又は、
部分ステップ(d1)に従って、電気化学的堆積過程は、前記テンプレートフィルム(12)の前記第2の面(12b)において前記キャップ(36)が前記ナノワイヤ(34)上で成長し、該キャップ(36)が少なくとも部分的に一体化するまで続けられ、さらなる後続の堆積過程において、平坦に閉じている層(24b)が少なくとも部分的に一体化している前記キャップ(36)上で堆積され、少なくとも部分的に一体化している前記キャップ(36)と前記平坦に閉じている層(24b)とから成る安定した前記第2のカバー層(26b)が生じる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
部分ステップ(d1)による前記ナノワイヤ(34)の前記電気化学的堆積は、
堆積パルスと堆積が行われない拡散期間とが交互に生じるパルス堆積によって行われるか、又は
堆積パルスと陽極逆パルスとが交互に生じる反転パルス堆積によって行われる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(b)による前記第1のカバー層(26a)を施すことは、
(b1)第1の部分層(22a)をPVDによって堆積する部分ステップと、
(b2)第2の部分層(24a)の前記第1の部分層(22a)上への電気化学的堆積によって該第1の部分層(22a)を補強する部分ステップとを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(c)による前記ナノ細孔(34)を生成することは、
(c1)前記テンプレートフィルム(12)にエネルギー放射(14)を照射する部分ステップであって、前記テンプレートフィルムを貫通する多数の潜在トラック(16)を生成する、照射する部分ステップと、
(c2)前記放射誘起潜在トラック(16)を、エッチング技法を用いて広げることによって、前記ナノ細孔(32)を前記テンプレートフィルム(12)内で生成する部分ステップとを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(c)は、
(c1)前記テンプレートフィルム(12)としてアルミニウムフィルムを用意する部分ステップと、
(c2)前記ナノ細孔(32)を前記アルミニウムフィルム内に陽極酸化処理によって生成する部分ステップとを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ナノワイヤ構造体(1)を製造する方法であって、該ナノワイヤ構造体は、前記ナノワイヤ(34)によって柱状に貫通される空隙構造(42)を形成する、2つのカバー層(26a、26b)間に配置されるナノワイヤアレイ(35)を備え、該方法は、
テンプレートフィルムを用意するステップと(12)、
前記テンプレートフィルムを貫通する多数の潜在トラック(16)を生成するように、エネルギー放射(14)を前記テンプレートフィルムに照射するステップであって、該テンプレートフィルムに対しては、1つ又は複数の開口(112)を備えるマスク(110)を通じて照射が行われ、それによって、前記潜在トラック(16)は、前記マスク(110)の前記開口(112)の領域においてのみ生成される、照射するステップと、
前記テンプレートフィルム(12)の第1の面(12a)において第1の陰極層(25)を施すステップと、
エッチング技法を用いて、前記放射誘起潜在トラック(16)を広げることによって、前記テンプレートフィルム(12)内でナノ細孔(32)を生成するステップと、
前記ナノ細孔(32)を導電性材料の電気化学的堆積によって満たすことによって、前記ナノ細孔内で前記ナノワイヤ(34)を生成するステップであって、前記堆積は、少なくとも、前記第1の面(12a)に対向する、前記テンプレートフィルムの第2の面(12b)においてキャップ(36)が成長するまで実施される、生成するステップと、
前記テンプレートフィルム(12)の前記第1の面(12a)から前記第1の陰極層(25)を除去するステップと、
前記テンプレートフィルム(12)の前記第2の面(12b)において第2の陰極層(118)を施すステップと、
前記テンプレートフィルム(12)の前記第1の面(12a)において前記ナノワイヤ(34)上でキャップ(126)を堆積するステップと、
前記テンプレートフィルム(12)の前記第2の面(12b)から前記第2の陰極層(118)を除去するステップと、
前記テンプレートフィルム(12)を溶解することによって、それぞれの前記キャップ(36、126)によって形成される2つの前記カバー層間の構造化されている前記空隙(42)を露出させると共に、2つの前記カバー層間で前記溶解したテンプレート材料を除去するステップであって、2つの該カバー層はそのまま残る、露出させると共に除去するステップとを含む、方法。
【請求項11】
前記マスク(110)は、多数の開口(112)を備えるシャドーマスクであり、該シャドーマスクを通じて照射する場合、多数の孤立して分布する、トラック(16)の群(114)が生成され、それによって、多数の隔たっているナノワイヤ孤立部分(116)が形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の陰極層(118)は、前記テンプレートフィルム(12)の前記第2の面(12b)において前記キャップ(36)上で施され、前記ナノワイヤ孤立部分(116)を一時的に互いに結合させる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
特に、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法に従って製造可能な空隙構造(42)を有するナノワイヤ構造体(1)であって、
多数の隣接して配置されるナノワイヤ(34)から成るアレイ(35)と、
2つの隔たっているカバー層(26a、26b)とを備え、
前記ナノワイヤ(34)は、2つの前記カバー層(26a、26b)に対して直角に、2つの該カバー層(26a、26b)間で延在し、前記ナノワイヤ(34)は第1の端部(34a)において前記第1のカバー層(26a)と、第2の端部(34b)において前記第2のカバー層(26b)と固く結合しており、それによって、前記ナノワイヤ(34)は、2つの前記カバー層(26a、26b)を互いに固く結合させ、2つの前記カバー層(26a、26b)間の前記距離を規定し、
前記ナノワイヤ(34)間に互いに結合し合う空間が存在し、
それによって、両側が前記カバー層(26a、26b)によって境されており、多数の前記ナノワイヤ(34)によって柱状に貫通されていると共に、前記カバー層(26a、26b)に平行な前記平面において2次元のオープンセル型である空隙構造(42)を有する安定したサンドウィッチ状のナノ構造が、2つの前記カバー層(26a、26b)間で流体が前記2次元のオープンセル型の空隙構造(42)を通じて導かれることができるように、画定される、ナノワイヤ構造体。
【請求項14】
ナノワイヤ構造体(1)であって、前記ナノワイヤ(34)は電気化学的に堆積される材料から成長する、請求項13に記載のナノワイヤ構造体。
【請求項15】
ナノワイヤ構造体(1)であって、2つの前記カバー層のうちの一方(26a)は少なくとも二層で形成されている、請求項13又は14に記載のナノワイヤ構造体。
【請求項16】
ナノワイヤ構造体(1)であって、前記ナノワイヤ(34)及び前記第2のカバー層(26b)の少なくとも一部(36/22b)は一体的に成長する、請求項13〜15のいずれか一項に記載のナノワイヤ構造体。
【請求項17】
ナノワイヤ構造体(1)であって、前記ナノワイヤ(34)はキャップ(36)と一体的に成長し、該キャップ(36)は少なくとも部分的に互いに一体化しており、該互いに一体化しているキャップ(36)は、前記第2のカバー層(26b)の第1の部分層(22b)を形成し、前記第2のカバー層(26b)は、前記互いに一体化しているキャップによって形成される前記第1の部分層(22b)上の第2の部分層(24b)を含む、請求項13〜16に記載のナノワイヤ構造体。
【請求項18】
ナノワイヤ構造体(1)であって、前記ナノ構造体の面及び前記ナノワイヤの長さ当たりの、前記ナノワイヤ(34)の前記幾何学的比表面積は、5mm/(cm μm)以上である、請求項13〜17に記載のナノワイヤ構造体。
【請求項19】
ナノワイヤ構造体(1)であって、前記ナノワイヤ(34)は結晶集合組織又は単結晶構造を有する、請求項13〜18のいずれか一項に記載のナノワイヤ構造体。
【請求項20】
ナノワイヤ構造体(1)であって、前記ナノ構造体(1)の少なくとも1つの正面(28)において、2つの前記カバー層(26a、26b)のうちの少なくとも一方が前記正面(28)を覆い、他方のカバー層と結合しており、それによって該正面(28)が閉じられる、請求項13〜19のいずれか一項に記載のナノワイヤ構造体。
【請求項21】
特に、請求項10〜12のいずれか一項に記載の方法に従って製造可能な空隙構造(42)を有するナノワイヤ構造体(1)であって、
多数の隣接して配置されるナノワイヤ(34)から成るアレイ(35)と、
2つの隔たっているカバー層(26a、26b)とを備え、
前記ナノワイヤ(34)は、2つの前記カバー層(26a、26b)に対して直角に、2つの該カバー層(26a、26b)間で延在し、前記ナノワイヤ(34)は第1の端部(34a)において前記第1のカバー層(26a)と、第2の端部(34b)において前記第2のカバー層(26b)と固く結合しており、それによって、前記ナノワイヤ(34)は、2つの前記カバー層(26a、26b)を互いに固く結合させ、2つの前記カバー層(26a、26b)間の前記距離を規定し、
前記ナノワイヤ(34)間に互いに結合し合う空間が存在し、
それによって、両側が前記カバー層(26a、26b)によって境されており、多数の前記ナノワイヤ(34)によって柱状に貫通されいると共に、前記カバー層(26a、26b)に平行な前記平面において2次元のオープンセル型である空隙構造(42)を有する安定したサンドウィッチ状のナノ構造が、2つの前記カバー層(26a、26b)間で流体が前記2次元のオープンセル型の空隙構造(42)を通じて導かれることができるように、画定され、
該ナノワイヤ構造体はマイクロ要素(1a)の形態で形成されている、ナノワイヤ構造体。
【請求項22】
2つの前記カバー層(26a、26b)は、少なくとも部分的に、前記ナノワイヤ(34)の、互いに一体化しているキャップ(126、36)によって形成される、請求項21に記載のナノワイヤ構造体。
【請求項23】
周囲(132)に沿って、前記カバー層(26a、26b)に平行な平面において切断されていないオープンセル型である、請求項21又は22に記載のナノワイヤ構造体。
【請求項24】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法によって製造可能なナノワイヤ構造体。
【請求項25】
マイクロリアクタシステムであって、
流体供給部及び流体排出部を備えるマイクロ構造チャネルシステムと、
前記流体供給部及び前記流体排出部間のリアクタ要素としての、請求項13〜24のいずれか一項に記載の少なくとも1つのナノワイヤ構造体(1)とを、
流体が、前記流体供給部から2つの前記カバー層(26a、26b)間の前記空隙構造(42)内に導き入れられ、前記ナノワイヤ(34)間の前記空間を通じて導かれ、前記流体排出部を通じて前記空隙構造(42)から排出されることができるように備え、
2つの前記カバー層(26a、26b)間の、前記ナノワイヤ構造体(1)の、2次元のオープンセル型である前記空隙構造(42)は前記反応容積を形成し、前記ナノワイヤ(34)の前記円柱面は前記活性表面を形成し、前記流体は該活性表面と前記空隙構造(42)内で流れている間に相互作用する、マイクロリアクタシステム。
【請求項26】
触媒システムであって、
流体供給部及び流体排出部を備えるマイクロ構造チャネルシステムと、
前記流体供給部及び前記流体排出部間の触媒要素としての、請求項13〜24のいずれか一項に記載の少なくとも1つのナノワイヤ構造体(1)とを、
流体が、前記流体供給部から2つの前記カバー層(26a、26b)間の前記空隙構造(42)内に導き入れられ、前記ナノワイヤ(34)間の前記空間を通じて導かれ、前記流体排出部を通じて前記空隙構造(42)から排出されることができるように備え、
2つの前記カバー層(26a、26b)間の、前記ナノワイヤ構造体(1)の、2次元のオープンセル型である前記空隙構造(42)は前記触媒反応容積を形成し、前記ナノワイヤ(34)の前記円柱面は前記触媒活性表面を形成し、前記流体は該触媒活性表面と前記空隙構造(42)内で流れている間に相互作用する、触媒システム。
【請求項27】
前記ナノワイヤ(34)は多量に形成されているため、前記触媒要素は非担持触媒要素である、請求項26に記載の触媒システム。
【請求項28】
特に気体流、温度、又は運動の測定のためのセンサ素子(150)であって、該センサ素子は、特にそれぞれ請求項21〜23のいずれか一項に記載の第1のナノワイヤ構造体(1)及び第2のナノワイヤ構造体(1a)を備える少なくとも1つの測定ユニットであって、前記ナノワイヤ構造体(1、1a)はそれぞれ、それぞれの該ナノワイヤ構造体との接触のために、両側において、前記ナノワイヤ(34)に結合しているカバー層(26a、26b)を備え、前記ナノワイヤ構造体間に加熱素子(152)が配置されている、少なくとも1つの測定ユニットを備える、センサ素子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図18】
image rotate

【図21】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公表番号】特表2011−518945(P2011−518945A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500078(P2011−500078)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/001778
【国際公開番号】WO2009/115228
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(508021624)ゲーエスイー ヘルムホルッツェントゥルム フュア シュヴェリオネンフォルシュンク ゲーエムベーハー (7)
【Fターム(参考)】