説明

ナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬の製剤

ナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬を含む組成物について開示する。本組成物は、成人および小児科患者における喘息の予防および長期的治療に、ならびに成人および小児科患者におけるアレルギー性結膜炎、季節性アレルギー性鼻炎の諸症状の緩和のために有用である。単一の製剤中に、抗ヒスタミン薬とナノ粒子副腎皮質ステロイドとを組み合わせることにより効果が改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、少なくとも1つの抗ヒスタミン薬および少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイドを含む組成物、このような組成物を作製する方法、ならびにこのような組成物を用いる方法を対象とする。本組成物は、成人および小児科患者における喘息の予防および長期的治療において、ならびに成人および小児科患者におけるアレルギー性結膜炎および季節性アレルギー性鼻炎の諸症状の緩和のために有用である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
A.抗ヒスタミン薬に関する背景
抗ヒスタミン薬は、季節性アレルギー性鼻炎の諸症状の治療に、およびアレルギー性結膜炎に伴う眼の掻痒感の治療に有効であることが示されている。抗ヒスタミン薬の例には、以下のものが非限定的に含まれる:塩酸アゼラスチン(OPTIVAR(登録商標))、マレイン酸クロルフェニラミン(CHLOR-TRIMETON(登録商標)、PIRITON(登録商標))、マレイン酸ブロムフェニラミン、ロラタジン(CLARITIN(登録商標)、ALAVERT(登録商標))、アステミゾール(HISMANAL(登録商標))、ジクロフェナク(VOLTAREN(登録商標)、CATAFLAM(登録商標))、テルフェナジン(SELDANE(登録商標))およびそれらの塩、プロドラッグおよびエステルならびにそれらの組み合わせ。その他の例には、以下のものが含まれる:Allent(登録商標)(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Andehist(登録商標)シロップ(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Bromadrine PD(登録商標)(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Bromadrine(登録商標)(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Bromfed(登録商標)(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Bromfed-PD(登録商標)(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Bromfenex(登録商標)(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Bromfenex(登録商標)PD(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Bromphenirqmine-PSE(登録商標)(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Dallergy(登録商標)-JR(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Dexaphen(登録商標)SA(マレイン酸デクスブロムフェニラミンおよび硫酸シュードエフェドリンを含む)、Dimetapp(登録商標)Cold & Fever(マレイン酸ブロムフェニラミン、アセトアミノフェンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Dimetapp(登録商標)エリキシル(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Drixoral(登録商標)Allergy/Sinus(マレイン酸デクスブロムフェニラミン、アセトアミノフェンおよび硫酸シュードエフェドリンを含む)、Drixoral(登録商標)Cold & Allergy(マレイン酸デクスブロムフェニラミンおよび硫酸シュードエフェドリンを含む)、Drixoral(登録商標)Cold & Flu(マレイン酸デクスブロムフェニラミン、アセトアミノフェンおよび硫酸シュードエフェドリンを含む)、Lodrane(登録商標)(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Lodrane(登録商標)LD(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Respahist(登録商標)(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Rondec(登録商標)シロップ(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Ultrabrom(登録商標)(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、およびUltrabrom(登録商標)PD(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)。
【0003】
アレルギー反応では、アレルゲンがマスト細胞および好塩基球上の表面IgE抗体と相互作用して架橋する。ひとたびマスト細胞-抗体-抗原複合体が形成されると、最終的には細胞の脱顆粒ならびにマスト細胞または好塩基球からのヒスタミン(および他の化学メディエーター)の遊離を招く、複雑な一連の事象が起こる。ひとたび遊離されると、ヒスタミンはヒスタミン受容体を通して局所組織または広範囲にわたる組織と反応することができる。
【0004】
ヒスタミンはH1-受容体に対して作用し、掻痒症、血管拡張、低血圧、紅潮、頭痛、頻脈、気管支収縮を生じさせたり、血管透過性を高めたり、痛みを増強したりする。H1-抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンによって媒介されるアレルギー疾患の治療のために臨床的に用いられている。これらの適応症には、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性皮膚疾患(接触皮膚炎)、蕁麻疹、血管性浮腫、掻痒症(アトピー性皮膚炎、刺咬症)、アナフィラキシー反応またはアナフィラキシー様反応―補助的のみ、悪心および嘔吐(第一世代H1-抗ヒスタミン薬)および鎮静状態(第一世代H1-抗ヒスタミン薬)が含まれうる。抗ヒスタミン薬は、アレルギー疾患の性質に基づいて、局所的(皮膚、鼻または眼を介して)または全身的に投与される。
【0005】
第一世代H1-抗ヒスタミン薬には有害な薬物反応が最も高い頻度で伴ってみられる。これはそれらのH1-受容体に対する選択性が比較的乏しいためである。最も頻度の高い有害作用は鎮静である―この「副作用」は多くの一般用(OTC)睡眠補助製剤に利用されている。第一世代H1-抗ヒスタミン薬における頻度の高い他の有害作用には、眩暈、耳鳴、霧視、多幸感、不調和、不安、不眠、振戦、悪心および嘔吐、便秘、下痢、口渇および乾性咳が含まれる。稀な有害作用には、尿閉、心悸亢進、低血圧、頭痛、幻覚および精神病が含まれる。
【0006】
第一世代抗ヒスタミン薬には、ピペロキサム、エチレンジアミン系薬剤(メピラミン(ピリラミン)、アンタゾリン)、エタノールアミン系薬剤(ジフェンヒドラミン、カルビノキサミン、ドキシラミン、クレマスチンおよびジメンヒドリナート)、アルキルアミン系薬剤(フェニラミン、クロレナミン(クロルフェニラミン)、デクスクロルフェニラミン、ブロムフェニラミンおよびトリプロリジン)、ピペラジン系薬剤(シクリジン、ヒドロキシジンおよびメクリジン)、および三環系薬剤(プロメタジン、アリメマジン(トリメプラジン)、シプロヘプタジンおよびアザタジン)が含まれる。
【0007】
より新しい第二世代のH1-抗ヒスタミン薬は末梢ヒスタミンH1-受容体に対してはるかに選択的であり、それに対応して、第一世代の薬剤と比較してはるかに改良された認容性プロフィールを有する。第二世代の薬剤に関して認められる最も頻度の高い有害作用には、眠気、倦怠感、頭痛、悪心および口渇が含まれる。第二世代の抗ヒスタミン薬には、全身用薬剤(アクリバスチン、アステミゾール、セチリジン、ロラタジン、ミゾラスチンおよびテルフェナジン)、局所用薬剤(アゼラスチン、レボカバスチンおよびオロパチジン)が含まれる。
【0008】
第三世代の抗ヒスタミン薬は、有効性を高めながら有害薬物反応も減らすことを意図した、第二世代薬剤の活性エナンチオマー(レボセチリジン、デスロラタジン)または代謝産物(フェキソフェナジン)誘導体である。例えば、フェキソフェナジンは、テルフェナジンと比較して心不整脈のリスク低下がみられる。しかし、それぞれセチリジンまたはロラタジンと比較した、レボセチリジンまたはデスロラタジンの利点についてはほとんど証拠がない。このような抗ヒスタミン薬には、レボセチリジン、デスロラタジンおよびフェキソフェナジンが含まれる。
【0009】
ヒスタミン遊離の他の阻害薬には、クロモグリケート(クロモリン)およびネドクロミル、H2-受容体拮抗薬(シメチジン、ラニチジンおよびファモチジン)、ならびにH3-およびH4-受容体拮抗薬(チオペラミド、クロベンプロピト、インプロミジン)が含まれる。
【0010】
B.副腎皮質ステロイドに関する背景
副腎皮質ステロイドは、予防療法としての喘息の維持療法のため、成人および小児科患者における季節性および通年性のアレルギー性および非アレルギー性鼻炎の鼻症状の管理のため、ならびに季節性アレルギー性結膜炎の徴候および症状の緩和のために有効であることが示されている。
【0011】
1.副腎皮質ステロイドの概要
副腎皮質ステロイドは、副腎皮質(副腎の外層)で天然に産生されるホルモンであるコルチゾールと類縁関係にある薬剤である。副腎皮質ステロイド剤には、ベタメタゾン(Celestone(登録商標))、ブデソニド(Entocort(登録商標)EC)、コルチゾン(Cortone(登録商標))、デキサメタゾン(Decadron(登録商標))、ヒドロコルチゾン(Cortef(登録商標))、メチルプレドニゾロン(Medrol(登録商標))、プレドニゾロン(Prelone(登録商標))、プレドニゾン(Cortan(登録商標)、Deltasone(登録商標)、Liquid Pred(登録商標)、Meticorten(登録商標)、Orasone(登録商標)、Panasol-S(登録商標)、Prednicen-M(登録商標)およびSterapred(登録商標))およびトリアムシノロン(Kenacort(登録商標)、Kenalog(登録商標))が含まれる。
【0012】
副腎皮質ステロイドは、アレルギー作用および炎症作用の引き金となるプロスタグランジンなどの物質の産生を阻止することにより、免疫系に対して作用する。しかし、それらはまた、異物を破壊して免疫系が正しく機能するのを助ける白血球の機能も妨げる。白血球の機能の妨害は、感染に対する感受性の増大という副作用を生じさせる。
【0013】
副腎皮質ステロイドは多くの病状に対して広く用いられている。副腎皮質ステロイドは適用様式の点で用途が広い。それらは経口的に投与すること、静脈内もしくは筋肉内に注射すること、皮膚に対して局所適用すること、または炎症関節内に直接注射することができる。また、副腎皮質ステロイド剤を、喘息もしくは気管支疾患を治療するための吸入器内に、または種々の鼻疾患を治療するための点鼻薬もしくは鼻噴霧薬中に含まれる成分として用いることもできる。副腎皮質ステロイドは他の薬剤とともに用いることができ、短期および長期の使用のために処方される。
【0014】
副腎皮質ステロイドの強力な効果は、コルチゾールの過剰産生を招く副腎の機能障害であるクッシング病によく似た重篤な副作用をもたらす恐れがある。起こりうる副作用の種類は多く、これには食欲亢進および体重増加;胸部、顔面、上背部および胃における脂肪の沈着;腫脹および浮腫を招く水および塩分の貯留;高血圧;糖尿病;黒色および青色の斑;創傷治癒の遅れ;骨粗鬆症;白内障;座瘡;筋力低下;皮膚の菲薄化;感染症に対する感受性の増大;胃潰瘍;発汗亢進;気分変動;抑うつなどの心理的障害;ならびに副腎抑制および副腎クリーゼが含まれる。できるだけ低用量に保つことによって副作用を最小限に抑えることができる。
【0015】
2.吸入用副腎皮質ステロイド
吸入用副腎皮質ステロイドはコルチゾン様の医用製剤である。それれらは喘息の諸症状を防ぐのに役立てるために用いられる。毎日規則的に用いると、吸入用副腎皮質ステロイドは喘息発作の回数および重症度を低下させる。しかし、すでに始まっている喘息発作をそれらが軽減することはない。
【0016】
吸入用副腎皮質ステロイドは、肺および気道の内部のある種の細胞が喘息の原因となる物質を放出するのを防止することによって奏効する。この医用製剤を、気管支拡張薬(狭小化した気道を広げる医用製剤)または口から服用する他の副腎皮質ステロイドなどの他の喘息用医用製剤とともに用いてもよい。現在市販されている吸入用副腎皮質ステロイドの例には、ベクロメタゾン(エアロゾル、吸入用カプセルおよび吸入用粉末);ジプロピオン酸ベクロメタゾンHFA(エアロゾル);ブデソニド(吸入用粉末および吸入用懸濁液);フルニソリド(エアロゾル);およびトリアムシノロン(エアロゾル)が含まれる。
【0017】
C.ナノ粒子活性物質組成物に関する背景
ナノ粒子活性物質組成物は、米国特許第5,145,684号(「684号特許」)に最初に記載されており、非架橋性の表面安定剤が表面に吸着または結合した難溶性の治療薬または診断薬の粒子を含む。ナノ粒子組成物を作製する方法は、例えば、どちらも「Method of Grinding Pharmaceutical Substances」に関する米国特許第5,518,187号および第5,862,999号;「Continuous Method of Grinding Pharmaceutical Substances」に関する米国特許第5,718,388号;ならびに「Process of Preparing Therapeutic Compositions Containing Nanoparticles」に関する米国特許第5,510,118号に記載されている。
【0018】
ナノ粒子活性物質組成物は例えば、以下にも記載されており、これらのすべてが参照により明確に組み入れられる:「Use of Ionic Cloud Point Modifiers to Prevent Particle Aggregation During Sterilization」に関する米国特許第5,298,262号;「Method to Reduce Particle Size Growth During Lyophilization」に関する米国特許第5,302,401号;「X-Ray Contrast Compositions Useful in Medical Imaging」に関する米国特許第5,318,767号;「Novel Formulation For Nanoparticulate X-Ray Blood Pool Contrast Agents Using High Molecular Weight Non-ionic Surfactants」に関する米国特許第5,326,552号;「Method of X-Ray Imaging Using Iodinated Aromatic Propanedioates」に関する米国特許第5,328,404号;「Use of Charged Phospholipids to Reduce Nanoparticle Aggregation」に関する米国特許第5,336,507号;「Formulations Comprising Olin 10-G to Prevent Particle Aggregation and Increase Stability」に関する米国特許第5,340,564号;「Use of Non-Ionic Cloud Point Modifiers to Minimize Nanoparticulate Aggregation During Sterilization」に関する米国特許第5,346,702号;「Preparation and Magnetic Properties of Very Small Magnetic-Dextran Particles」に関する米国特許第5,349,957号;「Use of Purified Surface Modifiers to Prevent Particle Aggregation During Sterilization」に関する米国特許第5,352,459号;「Surface Modified Anticancer Nanoparticles」に関する米国特許第5,399,363号および5,494,683号;「Water Insoluble Non-Magnetic Manganese Particles as Magnetic Resonance Enhancement Agents」に関する米国特許第5,401,492号;「Use of Tyloxapol as a Nanoparticulate Stabilizer」に関する米国特許第5,429,824号;「Method for Making Nanoparticulate X-Ray Blood Pool Contrast Agents Using High Molecular Weight Non-ionic Surfactants」に関する米国特許第5,447,710号;「X-Ray Contrast Compositions Useful in Medical Imaging」に関する米国特許第5,451,393号;「Formulations of Oral Gastrointestinal Diagnostic X-Ray Contrast Agents in Combination with Pharmaceutically Acceptable Clays」に関する米国特許第5,466,440号;「Method of Preparing Nanoparticle Compositions Containing Charged Phospholipids to Reduce Aggregation」に関する米国特許第5,470,583号;「Nanoparticulate Diagnostic Mixed Carbamic Anhydrides as X-Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging」に関する米国特許第5,472,683号;「Nanoparticulate Diagnostic Dimers as X-Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging」に関する米国特許第5,500,204号;「Nanoparticulate NSAID Formulations」に関する米国特許第5,518,738号;「Nanoparticulate Iododipamide Derivatives for Use as X-Ray Contrast Agents」に関する米国特許第5,521,218号;「Nanoparticulate Diagnostic Diatrizoxy Ester X-Ray Contrast Agent for Blood Pool and Lymphatic System Imaging」に関する米国特許第5,525,328号;「Process of Preparing X-Ray Contrast Compositions Containing Nanoparticles」に関する米国特許第5,543,133号;「Surface Modified NSAID Nanoparticles」に関する米国特許第5,552,160号;「Formulations of Compounds as Nanoparticulate Dispersions in Digestible Oils or Fatty Acids」に関する米国特許第5,560,931号;「Polyalkylene Block Copolymers as Surface Modifiers for Nanoparticles」に関する米国特許第5,565,188号;「Sulfated Non-ionic Block Copolymer Surfactant as Stabilizer Coatings for Nanoparticle Compositions」に関する米国特許第5,569,448号;「Formulations of Compounds as Nanoparticulate Dispersions in Digestible Oils or Fatty Acids」に関する米国特許第5,571,536号;「Nanoparticulate Diagnostic Mixed Carboxylic Anydrides as X-Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging」に関する米国特許第5,573,749号;「Diagnostic Imaging X-Ray Contrast Agents」に関する米国特許第5,573,750号;「Redispersible Nanoparticulate Film Matrices With Protective Overcoats」に関する米国特許第5,573,783号;「Site-specific Adhesion Within the GI Tract Using Nanoparticles Stabilized by High Molecular Weight, Linear Poly(ethylene Oxide)Polymers」に関する米国特許第5,580,579号;「Formulations of Oral Gastrointestinal Therapeutic Agents in Combination with Pharmaceutically Acceptable Clays」に関する米国特許第5,585,108号;「Butylene Oxide-Ethylene Oxide Block Copolymers Surfactants as Stabilizer Coatings for Nanoparticulate Compositions」に関する米国特許第5,587,143号;「Milled Naproxen with Hydroxypropyl Cellulose as Dispersion Stabilizer」に関する米国特許第5,591,456号;「Novel Barium Salt Formulations Stabilized by Non-ionic and Anionic Stabilizers」に関する米国特許第5,593,657号;「Sugar Based Surfactant for Nanocrystals」に関する米国特許第5,622,938号;「Improved Formulations of Oral Gastrointestinal Diagnostic X-Ray Contrast Agents and Oral Gastrointestinal Therapeutic Agents」に関する米国特許第5,628,981号;「Nanoparticulate Diagnostic Mixed Carbonic Anhydrides as X-Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging」に関する米国特許第5,643,552号;「Continuous Method of Grinding Pharmaceutical Substances」に関する米国特許第5,718,388号;「Nanoparticles Containing the R(-)Enantiomer of Ibuprofen」に関する米国特許第5,718,919号;「Aerosols Containing Beclomethasone Nanoparticle Dispersions」に関する米国特許第5,747,001号;「Reduction of Intravenously Administered Nanoparticulate Formulation Induced Adverse Physiological Reactions」に関する米国特許第5,834,025号;「Nanocrystalline Formulations of Human Immunodeficiency Virus(HIV) Protease Inhibitors Using Cellulosic Surface Stabilizers」に関する米国特許第6,045,829号;「Methods of Making Nanocrystalline Formulations of Human Immunodeficiency Virus(HIV) Protease Inhibitors Using Cellulosic Surface Stabilizers」に関する米国特許第6,068,858号;「Injectable Formulations of Nanoparticulate Naproxen」に関する米国特許第6,153,225号;「New Solid Dose Form of Nanoparticulate Naproxen」に関する米国特許第6,165,506号;「Methods of Treating Mammals Using Nanocrystalline Formulations of Human Immunodeficiency Virus(HIV) Protease Inhibitors」に関する米国特許第6,221,400号;「Nebulized Aerosols Containing Nanoparticle Dispersions」に関する米国特許第6,264,922号;「Methods for Preventing Crystal Growth and Particle Aggregation in Nanoparticle Compositions」に関する米国特許第6,267,989号;「Use of PEG-Derivatized Lipids as Surface Stabilizers for Nanoparticulate Compositions」に関する米国特許第6,270,806号;「Rapidly Disintegrating Solid Oral Dosage Form」に関する米国特許第6,316,029号;「Solid Dose Nanoparticulate Compositions Comprising a Synergistic Combination of a Polymeric Surface Stabilizer and Dioctyl Sodium Sulfosuccinate」に関する米国特許第6,375,986号;「Bioadhesive Nanoparticulate Compositions Having Cationic Surface Stabilizers」に関する米国特許第6,428,814号;「Small Scale Mill」に関する米国特許第6,431,478号;「Methods for Targeting Drug Delivery to the Upper and/or Lower Gastrointestinal Tract」に関する米国特許第6,432,381号;「Apparatus for Sanitary Wet Milling」に関する米国特許第6,582,285号;「Nanoparticulate Dispersions Comprising a Synergistic Combination of a Polymeric Surface Stabilizer and Dioctyl Sodium Sulfosuccinate」に関する米国特許第6,592,903号;「Nanoparticulate Compositions Comprising Amorphous Cyclosporine」に関する第6,656,504号;「System and Method for Milling Materials」に関する第6,742,734号;「Small Scale Mill and Method Thereof」に関する第6,745,962号;「Liquid droplet aerosols of nanoparticulate drugs」に関する第6,811,767号;「Compositions having a combination of immediate release and controlled release characteristics」に関する第6,908,626号;「Nanoparticulate compositions comprising copolymers of vinyl pyrrolidone and vinyl acetate as surface stabilizers」に関する第6,969,529号;「System and Method for Milling Materials」に関する第6,976,647号;および「Method of Using a Small Scale Mill」に関する第6,991,191号。加えて、「Controlled Release Nanoparticulate Compositions」に関する2002年1月31日に公表された米国特許出願第20020012675 A1号は,ナノ粒子組成物を記載しており、これは参照により明確に組み入れられる。これらの参考文献のいずれも、少なくとも1つの抗ヒスタミン薬と組み合わせたナノ粒子副腎皮質ステロイドの組成物については記載していない。
【0019】
非晶質小粒子組成物は、例えば、「Particulate Composition and Use Thereof as Antimicrobial Agent」に関する米国特許第4,783,484号、「Method for Making Uniformly Sized Particles from Water-Insoluble Organic Compounds」に関する第4,826,689号、「Method for Making Uniformly-Sized Particles From Insoluble Compounds」に関する第4,997,454号、「Ultrasmall, Non-aggregated Porous Particles of Uniform Size for Entrapping Gas Bubbles Within and Methods」に関する第5,741,522号、および「Ultrasmall Porous Particles for Enhancing Ultrasound Back Scatter」に関する第5,776,496号に記載されており、これらはすべて参照により本明細書に明確に組み入れられる。
【0020】
喘息を治療するための改良された組成物である組成物に対しては需要が存在する。現在の抗ヒスタミン組成物および副腎皮質ステロイド組成物には明らかな副作用がある。このため、改良された生物学的利用能およびより低い用量を有する組成物は非常に望ましい。本発明はこれらの需要を満たす。
【発明の開示】
【0021】
発明の概要
本発明は、少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび少なくとも1つの抗ヒスタミン薬を含む組成物を対象とする。ナノ粒子副腎皮質ステロイドは約2000nm未満の有効平均粒径を有する。組成物はまた、ナノ粒子副腎皮質ステロイド薬に対する少なくとも1つの表面安定剤も含みうる。
【0022】
本組成物は、成人および小児科患者における喘息の予防および長期的治療に、ならびに成人および小児科患者におけるアレルギー性結膜炎、季節性アレルギー性鼻炎の諸症状の緩和のために有用である。単一の製剤中にナノ粒子副腎皮質ステロイドと抗ヒスタミン薬とを組み合わせることは有効性の改良をもたらす。加えて、1つの剤形しか必要でなくなるため、患者コンプライアンスが向上する。
【0023】
本発明の1つの態様において、本組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤または担体と組み合わせることができる。
【0024】
任意の適当な剤形が本発明の組成物に使用できる。もう1つの態様において、本発明の組成物は、局所、眼、エアロゾル、鼻腔、または注射用剤形へと製剤化される。
【0025】
本発明の1つの態様においては、少なくとも1つの抗ヒスタミン薬と少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイドとのエアロゾル剤形が記載される。このようなエアロゾル組成物は、抗ヒスタミン薬およナノ粒子び副腎皮質ステロイドの局所投与を可能にし、それは、経口投与と比較して肝臓がより少量の薬物に曝露されることになるため、肝毒性の低下をもたらす。ナノ粒子副腎皮質ステロイド薬は約2000nm未満の有効平均粒径を有する。組成物はまた、ナノ粒子副腎皮質ステロイド薬に対する少なくとも1つの表面安定剤も含みうる。
【0026】
本発明のさらに別の態様において、少なくとも1つの抗ヒスタミン薬と少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイド薬とを含む本発明の組成物は、吸入用、鼻用、局所用または眼用製剤へと製剤化することができる。吸入用製剤は、液体分散体エアロゾルまたは乾燥粉末エアロゾルでありうる。少なくとも1つの抗ヒスタミン薬と少なくとも1つナノ粒子副腎皮質ステロイド薬とを含む、本発明による組成物を一般に利用するネブライザーまたは定量吸入器を介した送達のための液体組成物は、単独でのまたは賦形剤などの他の物質と組み合わされた溶液、懸濁液または分散体の形態にある。本発明による乾燥粉末組成物は、単独でのまたは賦形剤などの他の物質と組み合わされた乾燥粉末の形態にありうる。鼻用製剤は、本発明による組成物の溶液、または適切な溶媒、分散体もしくは懸濁液の形態にありうる。眼用製剤は、溶液、液相の状態にある適切な溶媒、分散体または懸濁液の形態にありうる。
【0027】
本発明のもう1つの局面は、少なくとも1つの抗ヒスタミン薬と少なくとも1つナノ粒子副腎皮質ステロイド薬とを含む組成物が液体中または気体中に分散した、本発明による組成物の分散体に関する。液体分散体は、少なくとも1つの抗ヒスタミン薬、少なくとも1つナノ粒子副腎皮質ステロイド薬、水、乳化剤または表面活性剤などの分散剤、および任意で噴射剤を含む。
【0028】
本発明のもう1つの態様においては、ナノ粒子副腎皮質ステロイド製剤を調製する方法が提供される。本方法は以下を含む:(1)副腎皮質ステロイドを液体分散媒体中に分散させる段階;および(2)副腎皮質ステロイドの粒径を約2000nm未満の有効平均粒径へと機械的に縮小する段階。表面安定剤を、粒径縮小の前、最中または後のいずれかの時点で分散媒体に添加することができる。好ましくは、液体分散媒体のpHは、サイズ縮小工程中は約3〜約8の範囲に維持される。副腎皮質ステロイドの粒径の減少に続いて、少なくとも1つの抗ヒスタミン薬がナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物に添加されうる。
【0029】
本発明のさらにもう1つの局面は、ヒトを含む、困窮している哺乳動物を治療する方法であって、哺乳動物に対して本発明に係る少なくとも1つの抗ヒスタミン薬と少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイドとを含む組成物を投与する段階を含む方法を提供する。本発明の組成物は、成人および小児科患者における喘息、気管支疾患、および鼻腔の疾患の予防および長期的治療に、ならびに成人および小児科患者におけるアレルギー性結膜炎、季節性アレルギー性鼻炎、アレルギー性の皮膚病(接触性皮膚炎)、蕁麻疹、血管浮腫、掻痒(アトピー性皮膚炎、虫刺され)、鎮静、ならびにアナフィラキシー反応およびアナフィラキシー様反応の諸症状の緩和のために有用である。
【0030】
前述の一般的な記載および以下の詳細な記載はどちらも例示的で説明的なものであって、請求される本発明のさらなる説明を提供することを意図していることが理解されるべきである。その他の目的、利点および新規な特徴は、以下の詳細な本発明の説明によって当業者には容易に明らかになると考えられる。
【0031】
発明の詳細な説明
A.概要
本発明による組成物は、少なくとも1つのナノ粒子抗ヒスタミン薬および少なくとも1つの副腎皮質ステロイドを含む。ナノ粒子副腎皮質ステロイド薬は約2000nm未満の有効平均粒径を有する。本組成物はまた、ナノ粒子副腎皮質ステロイドに対する少なくとも1つの表面安定剤も含みうる。
【0032】
任意の抗ヒスタミン薬を、本発明に係る組成物中に含めることができる。例示的な抗ヒスタミン薬には、塩酸アゼラスチン、マレイン酸クロルフェニラミン、マレイン酸ブロムフェニラミン、ロラタジン、アステミゾール、ジクロフェナック、テルフェナジン、およびそれらの塩、プロドラッグ、エステル、ならびにそれらの組み合わせが非限定的に含まれる。
【0033】
任意の副腎皮質ステロイドを、本発明による組成物中に用いることができる。例示的な副腎皮質ステロイドには、フルチカゾン、ブデソニド、トリアムシノロン、モメタゾン、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、デキサメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、フルオシノロン、フルオシノニド、フルニソリド半水和物、フランカルボン酸モメタゾン一水和物およびそれらの組み合わせが非限定的に含まれる。
【0034】
少なくとも1つの抗ヒスタミン薬と少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイド薬とを含む本発明の組成物が従来の副腎皮質ステロイド薬の非ナノ粒子性形状および副腎皮質ステロイド成分を欠く抗ヒスタミン製剤よりも優れている利点には、以下のものが非限定的に含まれる:(1)水溶性の増加;(2)生物学的利用能の増加;(3)生物学的利用能の向上に起因する剤形のサイズまたは容積の減少;(4)生物学的利用能の向上に起因する治療量の減少;(5)望ましくない副作用のリスクの低下;(6)患者の利便性およびコンプライアンスの向上;(7)有害な副作用を伴わずに用いうる用量の増加;(8)成人および小児科患者における喘息のより効果的な予防および治療;ならびに(9)成人および小児科患者におけるアレルギー性結膜炎、および季節性アレルギー性鼻炎の諸症状のより効果的な緩和。
【0035】
本発明はまた、1つまたは複数の無毒性の生理的に許容される担体、補助剤または媒体(まとめて担体と称する)と一緒になった、少なくとも1つの抗ヒスタミン薬と少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイド薬とを含む本発明の組成物も含む。本組成物は、非経口的注射(例えば、静脈内、筋肉内または皮下)、固体、液体もしくはエアロゾルの形態での経口投与、膣、鼻、直腸、耳、眼、局所(粉末、軟膏または液滴)、口腔、槽内、腹腔内または局部への投与などのために製剤化することができる。
【0036】
B.定義
本発明は、本明細書において、以下および本出願の全体にわたって述べられる、いくつかの定義を用いて記載される。
【0037】
「約2000nm未満の有効平均粒径」という用語は、本明細書で用いる場合、副腎皮質ステロイド粒子の重量比で少なくとも50%が、例えば、沈降場流動分画法、光子相関分光法、光散乱法、ディスク遠心分離法、および当業者に公知の他の手法による測定で、約2000nm未満のサイズを有することを意味する。
【0038】
本明細書で用いる「約」は、当業者によって理解されていると考えられ、それが用いられる文脈によってある程度変化すると考えられる。この用語が、それが用いられる文脈からみて、当業者に明白でなく使用されている場合、「約」はその特定の用語を最大で±10%したものを意味すると考えられる。
【0039】
本明細書で用いる場合、「安定な」副腎皮質ステロイド粒子とは、以下のパラメーターのうち1つまたは複数を備えた副腎皮質ステロイド粒子のことを意味するが、それには限定されない:(1)副腎皮質ステロイドの粒子が、粒子間引力が原因で感知しうる程度に凝集または集塊形成することもなく、他の様式で経時的に粒径が有意に増加することもない;(2)副腎皮質ステロイド粒子の物理的構造が、非晶相から結晶相への転換などによって経時的に変化することがない;(3)副腎皮質ステロイド粒子が化学的に安定である;および/または(4)副腎皮質ステロイドが、本発明のナノ粒子の調製の際に副腎皮質ステロイドの融点またはそれを上回る加熱工程にさらされない。
【0040】
「従来の」または「非ナノ粒子」活性物質または抗ヒスタミン薬および/または副腎皮質ステロイドとは、溶解されている、または有効平均粒径が約2000nmを上回る、抗ヒスタミン薬および/または副腎皮質ステロイドなどの活性物質を意味するものとする。本明細書で定義されるナノ粒子活性物質は、約2000nm未満の有効平均粒径を有する。
【0041】
本明細書で用いる「難水溶性薬物」という語句は、水への溶解度が約30mg/ml未満、好ましくは約20mg/ml未満、好ましくは約10mg/ml未満、または約1mg/ml未満である薬物のことを指す。
【0042】
本明細書で用いる場合、「治療的有効量」という語句は、このような治療を必要とする有意な数の対象において、薬物が投与される目的である特定的な薬理反応が得られるような薬物の用量のことを意味する。特定の場合に特定の対象に投与される薬物の治療的有効量は、たとえそのような用量が当業者によって治療的有効量と考えられたとしても、本明細書に記載された病状/疾患の治療において常に有効とは限らないことが強調される。
【0043】
本明細書で用いる「粒子状の」という用語は、そのサイズ、形状または形態にはかかわらず、離散的な粒子、ペレット、ビーズまたは顆粒の存在を特徴とする物質の状態のことを指す。本明細書で用いる「多粒子状の」という用語は、そのサイズ、形状または形態にはかかわらず、多数の離散的または凝集性の粒子、ペレット、ビーズ、顆粒またはそれらの混合物のことを意味する。
【0044】
C.抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物の特徴
本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物には、数多くの向上した薬理特性がある。
【0045】
1.生物学的利用能の増大
本発明の1つの態様において、抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物は、従来の非ナノ粒子性の副腎皮質ステロイド組成物と比較して、同一の活性物質の同一の用量で生物学的利用能の増大を呈し、より少ない用量を必要とする。
【0046】
2.組成物を摂取する対象が摂食状態にあるか空腹状態にあるかによって影響されない、抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物の薬物動態プロフィール
本発明のもう1つの態様において、記載されるのは抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物であり、副腎皮質ステロイド組成物の薬物動態プロフィールは組成物を摂取する対象が摂食状態にあるか空腹状態にあるかによっては実質的に影響されない。このことは、比較の下で摂食状態と空腹状態とに抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を投与した場合、吸収される薬物の量または副腎皮質ステロイド薬吸収の速度に感知しうる差がほとんどまたは全くないことを意味する。
【0047】
食物の影響を実質的に消失させる剤形の恩典には、対象が投与薬剤を確実に食事とともにまたは食事を伴わずに服用することが必要ではないため、対象の利便性が高まり、それによって対象のコンプライアンスが高まることが含まれる。副腎皮質ステロイドに対する対象のコンプライアンスが不良であれば、薬剤が処方される対象となる病状の亢進、すなわちアレルギー性鼻炎の亢進が観察される可能性があるため、このことは重大である。
【0048】
本発明はまた、哺乳動物対象に投与された場合に望ましい薬物動態プロフィールを有する、抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物も提供する。抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物の望ましい薬物動態プロフィールには、好ましくは以下のものが非限定的に含まれる:(1)副腎皮質ステロイドに関するCmaxが、投与後に哺乳動物対象の血漿中でアッセイした場合に、同じ用量で投与された同じ非ナノ粒子副腎皮質ステロイド製剤に関するCmaxよりも大きい;および/または(2)副腎皮質ステロイドに関するAUCが、投与後に哺乳動物対象の血漿中でアッセイした場合に、同じ用量で投与された同じ非ナノ粒子副腎皮質ステロイド製剤に関するAUCよりも大きい;および/または(3)副腎皮質ステロイドに関するTmaxが、投与後に哺乳動物対象の血漿中でアッセイした場合に、同じ用量で投与された同じ非ナノ粒子副腎皮質ステロイド製剤に関するTmaxよりも小さい。望ましい薬物動態プロフィールは、本明細書で用いる場合、副腎皮質ステロイドの初回投与後に測定される薬物動態プロフィールである。
【0049】
1つの態様において、好ましい抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物は、同じ用量で投与された非ナノ粒子性の同じ副腎皮質ステロイド製剤との比較薬物動態試験において、非ナノ粒子性副腎皮質ステロイドによって示される副腎皮質ステロイドに対するTmaxの約90%を上回らない、約80%を上回らない、約70%を上回らない、約60%を上回らない、約50%を上回らない、約30%を上回らない、約25%を上回らない、約20%を上回らない、約15%を上回らない、約10%を上回らない、または約5%を上回らない。
【0050】
もう1つの態様において、本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物は、同じ用量で投与された非ナノ粒子性の同じ副腎皮質ステロイド製剤との比較薬物動態試験において、非ナノ粒子性副腎皮質ステロイドによって示される副腎皮質ステロイドに対するCmaxよりも少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、少なくとも約500%、少なくとも約600%、少なくとも約700%、少なくとも約800%、少なくとも約900%、少なくとも約1000%、少なくとも約1100%、少なくとも約1200%、少なくとも約1300%、少なくとも約1400%、少なくとも約1500%、少なくとも約1600%、少なくとも約1700%、少なくとも約1800%、または少なくとも約1900%大きいCmaxを示す。
【0051】
さらにもう1つの態様において、本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物は、同じ用量で投与された非ナノ粒子性の同じ副腎皮質ステロイド製剤との比較薬物動態試験において、非ナノ粒子性副腎皮質ステロイドによって示される副腎皮質ステロイド薬に対するAUCよりも少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約450%、少なくとも約500%、少なくとも約550%、少なくとも約600%、少なくとも約750%、少なくとも約700%、少なくとも約750%、少なくとも約800%、少なくとも約850%、少なくとも約900%、少なくとも約950%、少なくとも約1000%、少なくとも約1050%、少なくとも約1100%、少なくとも約1150%、または少なくとも約1200%大きいAUCを示す。
【0052】
3.比較の下で摂食状態と空腹状態とに投与した時の本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物の生物学的同等性
本発明はまた、空腹状態にある対象に対して投与された場合の副腎皮質ステロイドに対するAUCおよびCmaxが、摂食状態にある対象に対して投与された場合の副腎皮質ステロイドに対するAUCおよびCmaxと生物学的に同等である、少なくとも1つの抗ヒスタミン薬と少なくとも1つナノ粒子副腎皮質ステロイドを含む組成物も包含する。
【0053】
摂食状態と空腹状態とに投与した時の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイドを含む組成物の副腎皮質ステロイドの吸収の違いは、好ましくは約100%未満、約95%未満、約90%未満、約85%未満、約80%未満、約75%未満、約70%未満、約65%未満、約60%未満、約55%未満、約50%未満、約45%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%または約3%未満である。
【0054】
本発明の1つの態様において、本発明は、特に米国食品医用製剤局(U.S. Food and Drug Administration)(USFDA)および対応する欧州規制当局(EMEA)によって提示されているCmaxおよびAUCの指針による定義のように、空腹状態にある対象に対する組成物の副腎皮質ステロイド成分の投与が摂食状態にある対象に対する組成物の副腎皮質ステロイド成分の投与と生物学的に同等である、抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイドを含む。USFDAの指針の下では、AUCおよびCmaxに関する90%信頼区間(CI)が0.80〜1.25の間にあれば、2つの製品または方法は生物学的に同等である(Tmaxの測定は規制目的での生物学的同等性には関係していない)。欧州のEMEA指針に従って2つの化合物または投与条件の間の生物学的同等性を示すためには、AUCに関する90% CIが0.80〜1.25の間であり、かつCmaxに関する90% CIが0.70〜1.43の間になければならない。
【0055】
4.本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物の溶解プロフィール
本発明のさらにもう1つの態様において、本発明の抗ヒスタミン薬/副腎皮質ステロイド組成物は、予想外に劇的な溶解プロフィールを有する。一般に溶解が速いほど作用発現が早くなり、生物学的利用能が大きくなるため、抗ヒスタミン薬および/または副腎皮質ステロイドが急速に溶解することが好ましい。抗ヒスタミン薬および/または副腎皮質ステロイドの溶解プロフィールおよび生物学的利用能を改善するためには、薬物の溶解性を100%に近いレベルに達しうるように高めることが有用である。
【0056】
本発明の抗ヒスタミン薬/副腎皮質ステロイド組成物は、好ましくは、約5分以内に副腎皮質ステロイド組成物の少なくとも約20%が溶解する溶解プロフィールを有する。本発明の他の態様において、副腎皮質ステロイド組成物の少なくとも約30%または少なくとも約40%は約5分以内に溶解する。本発明のさらに他の態様において、副腎皮質ステロイド組成物の少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%または少なくとも約80%は約10分以内に溶解する。さらに、発発明のもう1つの態様においては、副腎皮質ステロイド組成物の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%または少なくとも約100%が約20分以内で溶解する。
【0057】
溶解は識別性のある媒質中で測定することが好ましい。このような溶解媒質は、胃液において極めて異なる溶解プロフィールを有する2つの製品に関して2つの非常に異なる溶解曲線を生成することになり、すなわち溶解媒質は組成物のインビボ溶解性を予測するものである。例示的な溶解媒質には、界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウムを0.025M含む水性媒質がある。溶解した量の決定は、分光学的方法によって行うことができる。溶解の測定には回転ブレード法(欧州薬局方)を用いることができる。
【0058】
5.本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物の再分散プロフィール
本発明の1つの態様において、本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物は、再分散した副腎皮質ステロイド粒子の有効平均粒径が約2ミクロン未満であるように再分散する、粉末を含む固体剤形へと製剤化される。投与時に抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物が組成物の副腎皮質ステロイド成分についてナノ粒子粒径へと再分散しない場合には、その剤形は副腎皮質ステロイドをナノ粒子粒径へと製剤化することによって得られる恩典を失う可能性があるため、このことは重要である。
【0059】
実際に、本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物は、副腎皮質ステロイドの小さな粒径によって恩典を受ける;副腎皮質ステロイドが投与時に小さな粒径へと再分散しないならば、ナノ粒子系の極めて高い表面自由エネルギー、および自由エネルギーを全体的に低下させようとする熱力学的駆動力によって、「凝集塊」または集塊を形成した副腎皮質ステロイド粒子が形成される。そのような集塊形成粒子が形成されると、剤形の生物学的利用能が低下する可能性がある。
【0060】
さらに、本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物は、生物学的に妥当な水性媒質中で再構成/再分散させると再分散した副腎皮質ステロイド粒子の有効平均粒径が約2ミクロン未満になることから実証されているように、ヒトまたは動物などの哺乳動物に投与するとナノ粒子副腎皮質ステロイド粒子の劇的な再分散を示す。このような生物学的に妥当な水性媒質は、媒質の生物学的妥当性の基盤をなす所望のイオン強度およびpHを示す任意の水性媒質であってよい。所望のpHおよびイオン強度とは、人体に認められる生理的条件を表すもののことである。このような生物学的に妥当な水性媒質は、例えば、所望のpHおよびイオン強度を示す、水性電解質溶液または任意の塩、酸もしくは塩基の水溶液、またはこれらの組合せであってよい。
【0061】
生物学的に妥当なpHは当技術分野で周知である。例えば、胃の中では、pHは2よりも幾分下(しかし典型的には1よりも大きい)から最高で4または5までの範囲である。小腸では、pHは4から6までの範囲、結腸では6から8までの範囲でありうる。生物学的に妥当なイオン強度も当技術分野で周知である。絶食状態での胃液のイオン強度は約0.1Mであるが、絶食状態での腸液のイオン強度は約0.14である。例えば、Lindahlら、「Characterization of Fluids from the Stomach and Proximal Jejunum in Men and Women」、Pharm. Res., 14(4): 497-502(1997)を参照されたい。
【0062】
試験溶液のpHおよびイオン強度は、特定の化学的内容よりも決定的に重要であると考えられている。したがって、適切なpHおよびイオン強度の値を、強酸、強塩基、塩、単一または複数の共役酸塩基対(すなわち、弱酸とその酸の対応する塩)、一塩基性および多塩基性の電解質などの数多くの組合せから得ることができる。
【0063】
代表的な電解質溶液は、濃度が約0.001〜約0.1Nの範囲にあるHCl溶液、および濃度が約0.001〜約0.1Mの範囲にあるNaCl溶液、ならびにこれらの混合物でありうるが、それらには限定されない。例えば、電解質溶液は、約0.1Nまたはそれ未満のHCl、約0.01Nまたはそれ未満のHCl、約0.001Nまたはそれ未満のHCl、約0.1Mまたはそれ未満のNaCl、約0.01Mまたはそれ未満のNaCl、約0.001Mまたはそれ未満のNaCl、およびこれらの混合物でありうるが、それらには限定されない。これらの電解質溶液のうち、近位胃腸管のpHおよびイオン強度の条件により、0.01N HClおよび/または0.1M NaClが、絶食状態にあるヒトの生理的条件を最もよく表している。
【0064】
0.001N HCl、0.01N HCl、および0.1N HClの電解質濃度は、それぞれpH3、pH2、およびpH1に対応する。このため、0.01N HCl溶液は胃でみられる典型的な酸性条件をシミュレートする。0.1M NaClの溶液は、胃腸液を含む、身体全体にわたってみられるイオン強度条件の妥当な近似を与えるが、ヒト消化管内での摂食条件をシミュレートするために0.1Mよりも高い濃度を用いてもよい。
【0065】
所望のpHおよびイオン強度を示す、塩、酸、塩基またはこれらの組合せの例示的な溶液には、リン酸/リン酸塩+塩素のナトリウム、カリウムおよびカルシウム塩、酢酸/酢酸塩+塩素のナトリウム、カリウムおよびカルシウム塩、炭酸/重炭酸塩+塩素のナトリウム、カリウムおよびカルシウム塩、ならびにクエン酸/クエン酸塩+塩素のナトリウム、カリウムおよびカルシウム塩が非限定的に含まれる。
【0066】
本発明の他の態様において、再分散した本発明の副腎皮質ステロイド粒子(水性媒質、生物学的に妥当な媒質、または任意のその他の適切な媒質中に再分散したもの)は、光散乱法、顕微鏡法またはその他の適切な方法による測定で、約2000nm未満、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約650nm未満、約600nm未満、約550nm未満、約500nm未満、約450nm未満、約400nm未満、約350nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満または約50nm未満の有効平均粒径を有する。有効平均粒径を測定するのに適したこのような方法は、当業者に公知である。
【0067】
再分散性は、当技術分野で公知である任意の適切な手段を用いて試験することができる。例えば、「Solid Dose Nanoparticulate Compositions Comprising a Synergistic Combination of a Polymeric Surface Stabilizer and Dioctyl Sodium Sulfosuccinate」に関する米国特許第6,375,986号の実施例の項を参照されたい。
【0068】
6.他の活性物質と組み合わせて用いられる抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物
本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物はさらに、喘息、季節性鼻炎または関連した病状を治療するのに有用な1つまたは複数の化合物を含みうる。本発明の組成物はこのような他の活性物質とともに製剤化することができ、または本発明の組成物をこのような活性物質と同時投与すること、もしくは逐次的に投与することもできる。
【0069】
D.組成物
本発明は、少なくとも1つの抗ヒスタミン薬、少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイド、少なくとも1つの表面安定剤を含む組成物を提供する。表面安定剤は、好ましくは、副腎皮質ステロイド粒子の表面に吸着される、またはそれと会合する。本明細書において有用な表面安定剤は、副腎皮質ステロイドの粒子またはそれ自体と化学的に反応しない。好ましくは、表面安定剤の個々の分子は、分子間架橋を本質的に含まない。もう1つの態様において、本発明の組成物は、2種またはそれ以上の表面安定剤を含みうる。
【0070】
本発明はまた、1つまたは複数の無毒性で生理的に許容される担体、補助剤または媒体(まとめて担体と称する)と一緒になった、少なくとも1つの抗ヒスタミン薬および少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイドを含む組成物も含む。本組成物は、経口、肺、直腸、眼部または眼、耳、結腸、非経口的(例えば、静脈内、筋肉内または皮下)、腹腔内注射、槽内、膣内、局所的、口腔、鼻または局部への投与からなる群より選択される投与のために製剤化することができる。本発明の組成物を、液体分散体、固体分散体、液体を満たしたカプセル、ゲル、乾燥粉末エアロゾルおよび液体分散体エアロゾルならびに肺用および鼻用エアロゾルを含むエアロゾル、軟膏、クリーム、凍結乾燥製剤、錠剤、カプセル、多数の粒子を満たしたカプセル、多数の粒子から構成される錠剤、または圧縮錠などの剤形へと製剤化することもできる。本発明の組成物を、制御放出製剤、速溶性製剤、遅延放出製剤、長期放出製剤、パルス放出製剤、または即時放出と制御放出との混合製剤などの剤形へと製剤化することもできる。
【0071】
本発明の抗ヒスタミン薬および副腎皮質ステロイドは、結晶相、非晶相、半結晶相、半非晶相、またはこれらの組み合わせの状態にあることができる。
【0072】
1.抗ヒスタミン薬
任意の抗ヒスタミン薬、塩、プロドラッグ、エステルまたはそれらの組み合わせを、本発明による組成物中に用いることができる。抗ヒスタミン薬の例には、以下のものが非限定的に含まれる:塩酸アゼラスチン(OPTIVAR(登録商標))、マレイン酸クロルフェニラミン(CHLOR-TRIMETON(登録商標)、PIRITON(登録商標))、ロラタジン(CLARITIN(登録商標)、ALAVERT(登録商標))、アステミゾール(HISMANAL(登録商標))、ジクロフェナク(VOLTAIREN(登録商標)、CATAFLAM(登録商標))、テルフェナジン(SELDANE(登録商標))、およびマレイン酸ブロムフェニラミン(例えば、Allent(登録商標)(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Andehist(登録商標)シロップ(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Bromadrine PD(登録商標)(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Bromadrine(登録商標)(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Bromfed(登録商標)(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Bromfed-PD(登録商標)(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Bromfenex(登録商標)(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Bromfenex(登録商標)PD(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Bromphenirqmine-PSE(登録商標)(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Dallergy(登録商標)-JR(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Dexaphen(登録商標)SA(マレイン酸デクスブロムフェニラミンおよび硫酸シュードエフェドリンを含む)、Dimetapp(登録商標)Cold & Fever(マレイン酸ブロムフェニラミン、アセトアミノフェンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Dimetapp(登録商標)エリキシル(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Drixoral(登録商標)Allergy/Sinus(マレイン酸デクスブロムフェニラミン、アセトアミノフェンおよび硫酸シュードエフェドリンを含む)、Drixoral(登録商標)Cold & Allergy(マレイン酸デクスブロムフェニラミンおよび硫酸シュードエフェドリンを含む)、Drixoral(登録商標)Cold & Flu(マレイン酸デクスブロムフェニラミン、アセトアミノフェンおよび硫酸シュードエフェドリンを含む)、Lodrane(登録商標)(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Lodrane(登録商標)LD(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Respahist(登録商標)(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Rondec(登録商標)シロップ(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、Ultrabrom(登録商標)(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)、およびUltrabrom(登録商標)PD(マレイン酸ブロムフェニラミンおよび塩酸シュードエフェドリンを含む)。
【0073】
そのほかの抗ヒスタミン薬には以下のものが含まれる:(i)第一世代抗ヒスタミン薬、これにはピペロキサム、エチレンジアミン系薬剤(メピラミン(ピリラミン)、アンタゾリン)、エタノールアミン系薬剤(ジフェンヒドラミン、カルビノキサミン、ドキシラミン、クレマスチンおよびジメンヒドリナート)、アルキルアミン系薬剤(フェニラミン、クロレナミン(クロルフェニラミン)、デクスクロルフェニラミン、ブロムフェニラミンおよびトリプロリジン)、ピペラジン系薬剤(シクリジン、ヒドロキシジンおよびメクリジン)、および三環系薬剤(プロメタジン、アリメマジン(トリメプラジン)、シプロヘプタジンおよびアザタジン)が含まれる;(ii)第二世代H1-抗ヒスタミン薬、これにはアクリバスチン、アステミゾール、セチリジン、ロラタジン、ミゾラスチン、テルフェナジン、アゼラスチン、レボカバスチンおよびオロパチジンが含まれる;(iii)第三世代抗ヒスタミン薬、これにはレボセチリジン、デスロラタジンおよびフェキソフェナジンが含まれる;(iv)その他のヒスタミン遊離の阻害薬、これにはクロモグリケート(クロモリン)およびネドクロミル、H2-受容体拮抗薬(シメチジン、ラニチジンおよびファモチジン)、ならびにH3-およびH4-受容体拮抗薬(チオペラミド、クロベンプロピト、インプロミジン)が含まれる。
【0074】
2.副腎皮質ステロイド
任意の副腎皮質ステロイドを、本発明による組成物中に用いることができる。例示的な副腎皮質ステロイドには、フルチカゾン、プロピオン酸フルチカゾン、ブデソニド、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、モメタゾン、フルニソリド、フルニソリド半水和物、デキサメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、フルオシノロン、フルオシノニド、ベタメタゾン、モメタゾン、フランカルボン酸モメタゾン一水和物、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾンおよびそれらの組み合わせが非限定的に含まれる。
【0075】
3.表面安定剤
複数の表面安定剤の組み合わせを、本発明の少なくとも1つの抗ヒスタミン薬と少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイドを含む組成物中に用いることができる。適した表面安定剤には、公知の有機および無機の薬学的賦形剤が非限定的に含まれる。このような賦形剤には、種々のポリマー、低分子量オリゴマー、天然物および表面活性剤が含まれる。表面安定剤には、非イオン性、イオン性、陰イオン性、陽イオン性および両性イオン性の表面活性剤が含まれる。
【0076】
表面安定剤の代表的な例には、以下のものが非限定的に含まれる:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(現在はヒプロメロースとして知られる)、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホサクシネート、ゼラチン、カゼイン、レシチン(ホスファチド)、デキストラン、アラビアゴム、コレステロール、トラガカントゴム、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、グリセロールモノステアレート、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ロウ、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエステル(例えば、セトマクロゴール1000などのマクロゴールエステル)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、Tween20(登録商標)およびTween80(登録商標)(ICI Speciality Chemicals)などの市販のTween(登録商標)類);ポリエチレングリコール(例えば、Carbowax 3550(登録商標)およびCarbowax 934(登録商標)(Union Carbide))、ポリオキシエチレンステアレート、コロイド性二酸化ケイ素、ホスフェート、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、フタル酸ヒプロメロース、非晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンオキシドおよびホルムアルデヒドとの4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノールポリマー(チロキサポール、スペリオン(superione)およびトリトンとしても知られる)、ポロキサマー(例えば、Pluronic F68(登録商標)およびPluronic F108(登録商標)、これらはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーである);ポロキサミン(例えば、Tetronic 908(登録商標)、これはPoloxamine 908(登録商標)としても知られ、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのエチレンジアミンへの逐次添加によって得られる四官能性ブロックコポリマーである(BASF Wyandotte Corporation, Parsippany, N.J.));Tetronic 1508(登録商標)(T-1508)(BASF Wyandotte Corporation);Tritons X-200(登録商標)、これはアルキルアリールポリエーテルスルホネートである(Rohm and Haas);Crodestas F-110(登録商標)、これはステアリン酸スクロースおよびジステアリン酸スクロースの混合物である(Croda Inc.);p-イソノニルフェノキシポリ-(グリシドール)、これはOlin-1OG(登録商標)またはSurfactant 10-G(登録商標)としても知られる(Olin Chemicals, Stamford, CT);Crodestas SL-40(登録商標)(Croda, Inc.);およびSA9OHCO、これはC18H37CH2(CON(CH3)-CH2(CHOH)4(CH2OH)2である(Eastman Kodak Co.);デカノイル-N-メチルグルカミド;n-デシル(-D-グルコピラノシド;n-デシル(-D-マルトピラノシド;n-ドデシル(-D-グルコピラノシド;n-ドデシル(-D-マルトシド;ヘプタノイル-N-メチルグルカミド;n-ヘプチル-(-D-グルコピラノシド;n-ヘプチル(-D-チオグルコシド;n-ヘキシル(-Dグルコピラノシド;ノナノイル-N-メチルグルカミド;n-ノイル(-D-グルコピラノシド;オクタノイル-N-メチルグルカミド;n-オクチル-(-D-グルコピラノシド;オクチル(-D-チオグルコピラノシド;PEG-リン脂質、PEG-コレステロール、PEG-コレステロール誘導体、PEG-ビタミンA、PEG-ビタミンE、リゾチーム、ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルのランダムコポリマーなど。
【0077】
有用な陽イオン性表面活性剤の例には、以下のものが非限定的に含まれる:ポリマー、バイオポリマー、多糖、セルロース化合物、アルギネート、リン脂質、および両イオン性安定剤などの非ポリマー性化合物、ポリ-n-メチルピリジニウム、アントリュルピリジニウムクロリド(anthryul piridinium chloride)、陽イオン性リン脂質、キトサン、ポリリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリブレン、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミド(PMMTMABr)、ヘキシルデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HDMAB)およびポリビニルピロリドン-2-ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチル硫酸。その他の有用な陽イオン性安定剤には、以下のものが非限定的に含まれる:陽イオン性脂質、スルホニウム、ホスホニウムおよび四級アンモニウム化合物、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ベンジル-ジ(2-クロロエチル)エチルアンモニウム、ココナッツトリメチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、ココナッツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、C12-15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、ココナッツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチル硫酸、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリドまたはブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムクロリドまたはブロミド、N-アルキル(C12-18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N-アルキル(C14-18)ジメチル-ベンジルアンモニウムクロリド、N-テトラデシリドメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N-アルキルおよび(C12-14)ジメチル1-ナフチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハロゲン化物、アルキルトリメチルアンモニウム塩およびジアルキル-ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシル化アルキアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩および/またはエトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N-ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N-テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、N-アルキル(C12-14)ジメチル1-ナフチルメチルアンモニウムクロリドおよびドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12,C15,C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド(ALIQUAT 336)、POLYQUAT、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル(脂肪酸のコリンエステルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム化合物(ステアリルトリモニウムクロリドおよびジステアリルジモニウムクロリドなど)、臭化または塩化セチルピリジニウム、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、MIRAPOLおよびALKAQUAT(Alkaril Chemical Company)、アルキルピリジニウム塩;アミン、例えばアルキルアミン、ジアルキルアミン、アルカノールアミン、ポリエチレンポリアミン、N,N-ジアルキルアミノアルキルアクリレート、およびビニルピリジン、アミン塩、例えば酢酸ラウリルアミン、酢酸ステアリルアミン、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリウム塩、アミンオキシド;イミドアゾリニウム塩;プロトン化四級アクリルアミド;メチル化四級ポリマー、例えばポリ[ジアリルジメチルアンモニウムクロリド]およびポリ-[N-メチルビニルピリジウムクロリド];ならびに陽イオン性グアール。
【0078】
このような例示的な陽イオン性表面安定剤およびその他の有用な陽イオン性表面安定剤は、J. Cross and E. Singer、Cationic Surfactants: Analytical and Biological Evaluation(Marcel Dekker, 1994);P. and D. Rubingh (Editor), Cationic Surfactants: Physical Chemistry(Marcel Dekker, 1991);およびJ. Richmond, Cationic Surfactants: Organic Chemistry,(Marcel Dekker, 1990)に記載されている。
【0079】
非ポリマー性表面安定剤は、塩化ベンザルコニウム、カルボニウム化合物、ホスホニウム化合物、オキソニウム化合物、ハロニウム化合物、陽イオン性有機金属化合物、四級リン化合物、ピリジニウム化合物、アニリニウム化合物、アンモニウム化合物、ヒドロキシルアンモニウム化合物、一級アンモニウム化合物、二級アンモニウム化合物、三級アンモニウム化合物、および式NR1R2R3R4(+)の四級アンモニウム化合物といった任意の非ポリマー性化合物である。式NR1R2R3R4(+)の化合物については、以下が該当する:
(i)R1〜R4はどれもCH3ではない;
(ii)R1〜R4の1つがCH3である;
(iii)R1〜R4の3つがCH3である;
(iv)R1〜R4はすべてCH3である;
(v)R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つがC6H5CH2であり、かつR1〜R4の1つが炭素原子7個またはそれ未満のアルキル鎖である;
(vi)R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つがC6H5CH2であり、かつR1〜R4の1つが炭素原子19個またはそれ以上のアルキル鎖である;
(vii)R1〜R4の2つがCH3であり、かつR1〜R4の1つが基C6H5(CH2)nであり、ここでn>1である;
(viii)R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つがC6H5CH2であり、かつR1〜R4の1つが少なくとも1個のヘテロ原子を含む;
(ix)R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つがC6H5CH2であり、かつR1〜R4の1つが少なくとも1個のハロゲンを含む;
(x)R1〜R4の2つがCH3であり、R1〜R4の1つがC6H5CH2であり、かつR1〜R4の1つが少なくとも1個の環状フラグメントを含む;
(xi)R1〜R4の2つがCH3であり、かつR1〜R4の1つがフェニル環である;または
(xii)R1〜R4の2つがCH3であり、かつR1〜R4の2つが純粋に脂肪族フラグメントである。
【0080】
このような化合物には、以下のものが非限定的に含まれる:ベヘンアルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ラウルアルコニウムクロリド、セタルコニウムクロリド、セトリモニウムブロミド、セトリモニウムクロリド、セチルアミンハイドロフルオライド、クロルアリルメタンアミンクロリド(Quaternium-15)、ジステアリルジモニウムクロリド(Quaternium-5)、ドデシルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロリド(Quaternium-14)、Quaternium-22、Quaternium-26、Quaternium-18ヘクトライト、塩酸ジメチルアミノエチルクロリド、塩酸システイン、ジエタノールアンモニウムPOE(10)オレチルエーテルホスフェート、ジエタノールアンモニウムPOE(3)オレイルエーテルホスフェート、タロウアルコニウムクロリド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムベントナイト、ステアラルコニウムクロリド、ドミフェンブロミド、安息香酸デナトニウム、ミリスタルコニウムクロリド、ラウルトリモニウムクロリド、エチレンジアミンジヒドロクロリド、塩酸グアニジン、ピリドキシンHCl、塩酸イオフェタミン、メグルミンハイドロクロリド、メチルベンゼトニウムクロリド、ミルトリモニウムブロミド、オレイルトリモニウムクロリド、ポリクオータニウム-1、塩酸プロカイネ、ココベタイン、ステアラルコニウムベントナイト、ステアラルコニウムヘクトナイト、ステアリルトリヒドロキシエチルプロピレンジアミンジヒドロフルオライド、タロウトリモニウムクロリド、およびヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド。
【0081】
これらの表面安定剤のほとんどは薬学的賦形剤として公知であり、American Pharmaceutical AssociationおよびThe Pharmaceutical Society of Great Britainによって共同で発行された「Handbook of Pharmaceutical Excipients」(The Pharmaceutical Press, 2000)に詳細に記載されており、これは参照により本明細書に明確に組み入れられる。
【0082】
ポビドンポリマー
ポビドンポリマーは、注射用の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド製剤を製剤化するのに用いるための例示的な表面安定剤である。ポビドンポリマーは、ポリビドン、ポビドン(povidonum)、PVPおよびポリビニルピロリドンとしても知られており、Kollidon(登録商標)(BASF Corp.)およびPlasdone(登録商標)(ISP Technologies, Inc.)という商標名で販売されている。それらは多分散性巨大分子であり、化学名は1-エテニル-2-ピロリドンポリマーおよび1-ビニル-2-ピロリドンポリマーである。ポビドンポリマーは平均分子量が約10,000〜約700,000ダルトンの範囲にある一連の製品として商業的に製造されている。哺乳動物に投与される医薬化合物に対する表面修飾物質として有用であるためには、40,000ダルトンを上回る分子量は身体からの排除が困難になると考えられるため、ポビドンポリマーの分子量は約40,000ダルトン未満でなければならない。
【0083】
ポビドンポリマーは、例えば、レッペの工程によって調製され、これは以下を含む:
(1)レッペブタジエン合成によってアセチレンおよびホルムアルデヒドから1,4-ブタンジオールを入手する段階;(2)200゜で1,4-ブタンジオールを銅に対して脱水素させてγ-ブチロラクトンを生成させる段階;および(3)γ-ブチロラクトンをアンモニアと反応させてピロリフォンを生じさせる段階。その後にアセチレンで処理することによってビニルピロリドンモノマーが得られる。重合はH2OおよびNH3の存在下で加熱することによって行われる。The Merck Index, 10th Edition, pp.7581(Merck & Co., Rahway, NJ, 1983)を参照されたい。
【0084】
ポビドンポリマーの製造工程により、鎖の長さが等しくなく、それ故に分子量の異なる分子を含むポリマーが生成される。分子の分子量はそれぞれの具体的な販売グレードに関する平均もしくは平均値の近くでさまざまである。ポリマーの分子量を直接決定することは困難であるため、種々の分子量グレードの分類に最も広く用いられている方法は、粘度の測定に基づくK値によるものである。ポビドンポリマーの種々のグレードのK値は平均分子量の関数を表しており、これは粘度の測定によって得られ、フィッケンチャーの式に従って算出される。
【0085】
分子量の重量平均であるMwは、光散乱法などによって個々の分子の重量を測定する方法によって決定される。表1は、いずれも可溶性である、いくつかの市販のポビドンポリマーに関する分子量データを提示している。
【0086】
(表1)

* 分子量が40,000ダルトンを上回るため、このポビドンポリマーは非経口的に投与(すなわち、注射)しようとする医薬化合物に対する表面安定剤としては有用でない。
** Mvは粘度平均分子量であり、Mnは数平均分子量であり、Mwは重量平均分子量である。MwおよびMnは光散乱法および超遠心法によって決定し、Mvは粘度測定によって決定した。
【0087】
表1に提示されたデータに基づくと、注射用製剤のための例示的で有用な市販のポビドンポリマーには、プラスドン(Plasdone)C-15(登録商標)、コリドン(Kollidon)12PF(登録商標)、コリドン17PF(登録商標)およびコリドン25(登録商標)が非限定的に含まれる。
【0088】
4.ナノ粒子副腎皮質ステロイドの粒径
本明細書で用いる場合、粒径は、当業者に周知の従来の粒径測定手法によって測定された重量平均粒径を基にして決定される。このような手法には、例えば、沈降場流動分画法、光子相関分光法、光散乱法およびディスク遠心沈降法が含まれる。
【0089】
本発明の組成物は、約2000nm(すなわち、2ミクロン)未満の有効平均粒径を有する、少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイドを含む。本発明の他の態様において、副腎皮質ステロイドのナノ粒子は、光散乱法、顕微鏡法またはその他の適切な方法による測定で、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約650nm未満、約600nm未満、約550nm未満、約500nm未満、約450nm未満、約400nm未満、約350nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満または約50nm未満の有効平均粒径を有する。
【0090】
「約2000nm未満の有効平均粒径」とは、副腎皮質ステロイド粒子の重量比で少なくとも50%が、有効平均よりも小さい、すなわち約2000nm未満の粒径を有することを意味する。「有効平均粒径」が約1900nm未満であるならば、上記の手法によって測定した場合に、副腎皮質ステロイド粒子の少なくとも約50%は約1900nm未満のサイズを有する。上記に言及した他の粒径に対しても同じことが成り立つ。他の態様において、副腎皮質ステロイド粒子の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または少なくとも約99%は、有効平均未満、すなわち、約2000nm未満、約1900nm未満、約1800nm未満などの粒径を有する。
【0091】
本発明において、ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物のD50に関する値は、副腎皮質ステロイド粒子の重量比で50%がそれ未満の範囲に収まるような粒径のことである。同様に、D90およびD95とは、副腎皮質ステロイド粒子の重量比でそれぞれ90%、および95%を下回る粒径のことである。
【0092】
5.抗ヒスタミン薬、ナノ粒子副腎皮質ステロイド、および表面安定剤の濃度
抗ヒスタミン薬、副腎皮質ステロイドおよび少なくとも1つの表面安定剤の相対的な量は非常にさまざまであってよい。個々の成分の最適な量は、例えば、選択される具体的な抗ヒスタミン薬、選択される具体的な副腎皮質ステロイド、および選択される表面安定剤の化学的属性、例えば親水性-疎水性バランス(HLB)、融点および安定剤の水溶液の表面張力などに応じて決まる。
【0093】
好ましくは、副腎皮質ステロイドの濃度は、他の賦形剤を含まない副腎皮質ステロイドおよび少なくとも1つの表面安定剤の総計重量を基にして、重量比で約99.5%〜約0.001%、約95%〜約0.1%、または約90%〜約0.5%の範囲でさまざまであってよい。用量および費用効率の見地からは有効成分の濃度が高い方が一般に好ましい。
【0094】
好ましくは、副腎皮質ステロイドに対する表面安定剤の濃度は、他の賦形剤を含めない、副腎皮質ステロイドおよび少なくとも1つの表面安定剤の総計乾燥重量を基にして、重量比で約0.5%〜約99.999%、約5.0%〜約99.9%、または約10%〜約99.5%の範囲でさまざまなであってよい。
【0095】
本発明の1つの態様、特にエアロゾル組成物に関するものにおいて、本発明による組成物中の少なくとも1つの抗ヒスタミン薬の量は重量比で約0.1〜約10%の範囲にあってよく、少なくとも1つの副腎皮質ステロイドの量は重量比で約0.01〜約10%の範囲にあってよい。
【0096】
エアロゾルへと製剤化される場合、本発明の組成物は、抗ヒスタミン薬を、約10mg/mLまたはそれ以上、約100mg/mLまたはそれ以上、約200mg/mLまたはそれ以上、約400mg/mLまたはそれ以上、または約600mg/mLからなる群より選択される濃度で含みうる。
【0097】
エアロゾルとして製剤化される場合、本発明の組成物は、副腎皮質ステロイドを、約10mg/mLまたはそれ以上、約100mg/mLまたはそれ以上、約200mg/mLまたはそれ以上、約400mg/mLまたはそれ以上、または約600mg/mLからなる群より選択される濃度で含みうる。
【0098】
6.その他の薬学的賦形剤
本発明の薬学的組成物はまた、所望の投与経路および剤形に応じて、1つまたは複数の結合剤、充填剤、潤滑剤、懸濁化剤、甘味料、香味剤、保存料、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、および他の賦形剤を含んでもよい。このような賦形剤は当技術分野において公知である。
【0099】
充填剤の例には、乳糖一水和物、乳糖無水物、および種々のデンプンがある;結合剤の例には、種々のセルロースおよび架橋ポリビニルピロリドン、微結晶性セルロース、例えばAvicel(登録商標)PH101およびAvicel(登録商標)PH102微結晶性セルロース、ならびにケイ化微結晶性セルロース(ProSolv SMCC(商標))がある。
【0100】
圧縮しようとする粉末の流動性に作用する物質を含む、適した潤滑剤には、Aerosil(登録商標)200などのコロイド性二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびシリカゲルがある。
【0101】
甘味料の例には、任意の天然または人工の甘味料、例えばスクロース、キシリトール、サッカリンナトリウム、シクラメート、アスパルテームおよびアセスルファムがある。香味剤の例には、Magnasweet(登録商標)(商標はMAFCO)、バブルガム香料および果実香料などがある。
【0102】
保存料の例には、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸およびその塩、ブチルパラベンなどのパラヒドロキシ安息香酸の他のエステル、エチルアルコールまたはベンジルアルコールなどのアルコール、フェノールなどのフェノール化合物、および塩化ベンザルコニウムなどの四級化合物がある。
【0103】
適した希釈剤には、薬学的に許容される不活性充填剤、例えば微結晶性セルロース、乳糖、二塩基リン酸カルシウム、糖類、および/または前述のいずれかの混合物が含まれる。希釈剤の例には、微結晶性セルロース、例えばAvicel(登録商標)PH101およびAvicel(登録商標)PH102;乳糖、例えば乳糖一水和物、乳糖無水物、およびPharmatose(登録商標)DCL21;二塩基リン酸カルシウム、例えばEmcompress(登録商標);マンニトール;デンプン;ソルビトール;スクロース;およびグルコースがある。
【0104】
適した崩壊剤には、わずかに架橋したポリビニルピロリドン、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、および改質デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グリコールデンプンナトリウム、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0105】
発泡剤の例は、有機酸と炭酸塩または炭酸水素塩というような発泡剤の組合せである。適した有機酸には、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸およびアルギン酸ならびに無水物および酸塩が含まれる。適した炭酸塩および炭酸水素塩には、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウムグリシン、L-リジン炭酸塩、およびアルギニン炭酸塩が含まれる。または、発泡剤の組合せのうち炭酸水素ナトリウム成分のみが存在してもよい。
【0106】
7.本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物のエアロゾル剤形
本発明は、本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物の乾燥粉末エアロゾルおよび本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物の液体分散体エアロゾルを含む。
【0107】
本発明の1つの態様において、水性分散体エアロゾルのための本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を含むエアロゾル小滴、または乾燥粉末エアロゾルのための本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を含む乾燥粉末凝集物は、約100ミクロンよりも小さいかそれと等しい空気力学的質量中位径を有する。本発明の他の態様において、水性分散体エアロゾルのための本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を含むエアロゾル小滴、または乾燥粉末エアロゾルのための本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を含む乾燥粉末凝集物は、(1)約30〜約60ミクロン;(2)約0.1〜約10ミクロン;(3)約2〜約6ミクロン;または(4)約2ミクロン未満の空気力学的質量中位径(MMAD)を有する。
【0108】
本発明の組成物を用いることで、難水溶性または本質的には非水溶性である副腎皮質ステロイドを深部肺(ならびに上肺部)に送達することができる。これは、微粉化された副腎皮質ステロイドを用いては不可能である、または極めて困難である。深部肺送達には、約2ミクロンよりも小さいかそれと等しいMMADが必要である。このような空気力学的径および約1という密度を有する薬物粒子は、約2ミクロンよりも小さいかそれと等しい幾何学的径を有すると考えられる。空気力学的径と幾何学的径との間の関係は、以下の式によって表される:
空気力学的径=幾何学的径(密度)1/2
Edwardsらのcol.11, lines 18-46;およびP. Byron, "Aerosol Formulation, Generation, and Delivery Using Nonmetered Systems," Respiratory Drug Delivery, 144-151の145(CRC Press、1989)を参照のこと。約2ミクロンよりも小さいかそれと等しい幾何学的粒径を、ジェット粉砕、すなわち微粉化された薬物を得るために用いられる工程を用いて実現することは困難または不可能である。本発明は、ナノ粒子サイズの副腎皮質ステロイド粒子を種々のMMADサイズを有する凝集物に組み込み、それによって深部肺送達を含む気道のさまざまな領域への薬物のターゲティングを可能にすることにより、この難題を克服する。
【0109】
深部肺送達は全身投与を意図した薬物にとって必要であるが、それは、深部肺送達が肺胞による血流内への薬物の迅速吸収を可能にし、それ故に迅速な作用発現を可能にするためである。
【0110】
鼻用製剤は、適切な溶媒中に分散した本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物の溶液、または液相中にある抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物と表面安定剤および乾燥粉末との分散体または懸濁液としての形態にあってよい。溶液は、本発明による組成物および適切な溶媒、ならびに任意で1つまたは複数の補助溶媒から構成される。水が典型的な溶媒である。しかし、組成物は単独では水溶性でなくてもよく、そのような場合には溶液を形成させるために1つまたは複数の補助溶媒を用いる必要があると思われる。適した補助溶媒には、短鎖アルコール、特にエタノールが非限定的に含まれる。
【0111】
本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイドエアロゾルは、迅速な鼻吸収を可能にする。鼻粘膜に対して送達されると、このようなエアロゾル組成物は溶解して、薬物の溶解および吸収の前に粘液線毛機構によって排除される可能性のある微粉化された薬物エアロゾル組成物よりも迅速かつ十分に吸収される。
【0112】
鼻用製剤が分散体または懸濁液の形態にあってもよい。これらの種類の製剤において、本発明に係る抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物は、1つまたは複数の懸濁化剤とともに、またはそれを伴わずに活性物質が水中に分散または懸濁化された形態にありうる。適した懸濁化剤には表面活性剤、乳化剤または表面改質剤があり、公知の有機性および無機性の薬学的賦形剤から選択することができる。このような賦形剤には、種々のポリマー、低分子量オリゴマー、天然物および表面活性剤が含まれる。
【0113】
本発明の1つの態様において、水性エアロゾル製剤に関しては、本発明に係る抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物は、約0.05mg/mLから最大で約600mg/mLまでの濃度(各活性物質に関する濃度)で存在する。本発明のもう1つの態様において、乾燥粉末エアロゾル製剤に関しては、本発明に係る抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物は、所望の用量に応じて、約0.05mg/gから最大で約990mg/gまでの濃度(各活性物質に関する濃度)で存在する。水性エアロゾル製剤の場合は抗ヒスタミン薬が約10mg/mLから最大で約600mg/mL、かつ副腎皮質ステロイドが約10mg/mLから最大で約600mg/mLの濃度にあり、乾燥粉末エアロゾル製剤の場合は抗ヒスタミン薬が約10mg/gから最大で約990mg/g、かつ副腎皮質ステロイドが約10mg/gから最大で約990mg/gの濃度にある本発明による組成物を含むものと定義される、濃縮されたナノ粒子副腎皮質ステロイドエアロゾルは、本発明に明確に含まれる。このような製剤は、肺または鼻腔の適切な部位に対する、短期間での、すなわち、従来の肺ネブライザー療法で認められるような最大で4〜20分間という投与時間に対して約15秒未満での効果的な送達を提供する。
【0114】
本発明の他の態様において、エアロゾル剤形は、治療量の抗ヒスタミン薬および副腎皮質ステロイドを、約5分未満、約4分未満、約3分未満、約2分未満、約1分未満、約45秒未満、約30秒未満、約15秒未満または約10秒未満といった期間で送達することができる。
【0115】
a.本発明の組成物の水性エアロゾル
鼻または肺への投与のための抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド分散体の1つの態様は、エアロゾルである。本発明の水性製剤は、少なくとも1つの抗ヒスタミン薬、少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイド、および少なくとも1つの表面安定剤のコロイド分散体を、空気ジェットまたは超音波ネブライザーを用いてエアロゾルとして製剤化される水性媒質中に含む。このような水性エアロゾルの利点は、本発明に係るナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物のサイズを、このような薬物の微粉化された粒子および従来のネブライザーによって生成される液体小滴のサイズと比較することによって最も良く理解することができる。従来の微粉化された材料は一般に直径が約2〜約5ミクロンまたはそれ以上であり、医療用ネブライザーによって生成される液体小滴のサイズとほぼ同じサイズである。これに対して、本発明に係るナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物は、このようなエアロゾル中の小滴よりも実質的に小さい。このため、本発明に係るナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を含むエアロゾルは薬物送達効率を改善する。このようなエアロゾルは、単位用量当たりでより多くの数の副腎皮質ステロイドナノ粒子を含んでおり、少なくとも1つの薬物粒子(すなわち、少なくとも1つの副腎皮質ステロイド粒子)を含むエアロゾル化されたそれぞれの小滴をもたらす。
【0116】
したがって、同じ用量の本発明による組成物の投与を用いると、本発明に係る抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を含むエアロゾル製剤によってカバーされる肺または鼻腔の表面積の方が大きい。
【0117】
これらの水性エアロゾルの使用のもう1つの利点は、それらが、非水溶性の本発明による組成物、例えば、副腎皮質ステロイドを、水性製剤を介して深部肺へと送達することを可能にすることである。従来の微粉化された副腎皮質ステロイドは、ネブライザーによって生成される小滴のサイズにもかかわらず、末梢肺に到達するには大きすぎる。本発明による組成物を含む水性エアロゾルは、極めて小さな(約0.5〜約2ミクロン)水性小滴を生成するネブライザーが、副腎皮質ステロイドのような、ナノ粒子の形態にある難水溶性または非水溶性の活性物質を肺胞へと送達することを可能にする。このようなデバイスの一例はCircular(商標)エアロゾル(Westmed Corp., Tucson, Ariz.)である。
【0118】
本発明に係る水性エアロゾルのさらにもう1つの利点は、本発明による難水溶性または非水溶性のナノ粒子副腎皮質ステロイドを肺に送達するために超音波ネブライザーを用いうることである。従来の微粉化された副腎皮質ステロイドとは異なり、ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物は容易にエアロゾル化されて、優れたインビトロ沈着特性を示す。これらの水性エアロゾルの1つの具体的な利点は、それらが、エアロゾル化された小滴のサイズを制御するために本発明による組成物を含むナノ粒子を極めて細い開口部に通過させる必要のある超音波ネブライザーによって、副腎皮質ステロイドのような非水溶性または難水溶性の活性物質をエアロゾル化することを可能にすることである。従来の薬物材料は孔を塞ぐと考えられるが、このようなナノ粒子ははるかに小さく、孔を難なく通過することができる。
【0119】
本発明の1つの態様においては、本発明の水性エアロゾルの液体分散体小滴の実質的にすべてが、少なくとも1つの抗ヒスタミン薬粒子、少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイド粒子、またはそれらの組み合わせを含む。
【0120】
b.本発明の組成物の乾燥粉末エアロゾル
乾燥粉末吸入製剤は、本発明に係る水性ナノ粒子副腎皮質ステロイド分散体を噴霧乾燥させることによって作製することができる。ナノ粒子副腎皮質ステロイド分散体を噴霧乾燥させる前、その最中、またはその後のいずれかに、少なくとも1つの抗ヒスタミン薬を分散体に加えることができる。または、本発明に係るナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を含む乾燥粉末を、本発明のナノ粒子副腎皮質ステロイド分散体を凍結乾燥させることによって作製することもできる。ナノ粒子副腎皮質ステロイド分散体を凍結乾燥させる前、その最中、その後のいずれかに、少なくとも1つの抗ヒスタミン薬を分散体に加えることができる。噴霧乾燥および凍結乾燥されたナノ粒子粉末の組み合わせは、乾燥粉末吸入器(DPI)および加圧定量吸入器(pMDI)の両方に用いることができる。
【0121】
乾燥粉末の脱凝集およびエアロゾル化を伴う乾燥粉末吸入器(DPI)は、通常、投与薬物を送達するために単位装置を通して吸い込まれる急激な吸気に依拠している。この種のデバイスは、例えば、吸引段および注入段を有する空気圧粉末放出装置を対象とする、Doucheらに対する米国特許第4,807,814号;軸方向空気流管を有する手持ち式粉末分配装置を記載しているSU 628930号(要約書);ベンチュリー絞りの上流に軸方向空気吸入管を有するベンチュリー排出装置を記載している、Fox et al., Powder and Bulk Engineering, pages 33-36(March 1988);折りたたみ式拡張チャンバーを有する手持ち式粉末分配装置を記載しているEP 347 779号;および、薬物用の乾燥粉末送達デバイスを対象とする、Smithらに対する米国特許第5,785,049号に記載されている。これらの参考文献のすべての内容は、参照により本明細書に組み入れられ、薬物用の乾燥粉末送達デバイスを対象としている。
【0122】
また、乾燥粉末吸入製剤をエアロゾル製剤によって送達することもできる。粉末は、本発明に係る抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物の吸入可能な凝集物、または本発明による少なくとも1つの包埋された抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を含む希釈剤の吸入可能な粒子からなってよい。本発明に係る抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を含む粉末は、噴霧乾燥または凍結乾燥(冷凍乾燥)によって水を除去することによって、ナノ粒子の水性分散体から調製することができる。噴霧乾燥または凍結乾燥の前、その最中、またはその後のいずれかに、少なくとも1つの抗ヒスタミン薬をナノ粒子副腎皮質ステロイド分散体に加えることができる。噴霧乾燥の方が凍結乾燥よりも時間および費用がかからず、このため費用効果が高い。
【0123】
乾燥粉末エアロゾル送達デバイスは、意図した量の本発明に係る抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を、厳密に、正確にかつ反復的に送達することができなければならない。さらに、このようなデバイスは、乾燥粉末を吸入可能なサイズの個々の粒子へと十分に分散させることができなければならない。
【0124】
乾燥抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物は、DPIおよびpMDIの両方に用いることができる(本発明において、「乾燥」とは水が約5%未満である組成物のことを指す)。ナノ粒子エアロゾル製剤は、Boschらに対する米国特許第6,811,767号に記載されており、これは参照により本明細書に明確に組み入れられる。
【0125】
本発明の1つの態様においては、乾燥粉末の凝集物の実質的にすべてが、少なくとも1つの抗ヒスタミン薬粒子、少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイド粒子、またはそれらの組み合わせを含む。
【0126】
i.抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を含む噴霧乾燥粉末
本発明に係る抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を含む粉末は、本発明によるナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物および表面安定剤の水性分散体を噴霧乾燥させて、凝集したナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物からなる乾燥粉末を形成させることによって作製することができる。噴霧乾燥の前、その最中、またはその後のいずれかに少なくとも1つの抗ヒスタミン薬をナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物に加えることができる。凝集物は、深部肺送達のために適している約1〜約2ミクロンのサイズを有しうる。噴霧乾燥される分散体中の本発明による組成物の濃度を高めることにより、または噴霧乾燥器によって生成される小滴のサイズを増大させることにより、上部気管支領域または鼻粘膜といった別の送達部位を標的とさせるために凝集物の粒径を増大させることができる。
【0127】
または、本発明によるナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物および表面安定剤の水性分散体が、噴霧乾燥された時にそのそれぞれが少なくとも1つの包埋されたナノ粒子薬物およびそれに付着した表面改質剤を含む吸入可能な希釈剤粒子を形成する、ラクトースまたはマンニトールのような溶解された希釈剤を含むこともできる。希釈剤ナノ粒子は、深部肺送達のために適した約1〜約2ミクロンの粒径を有しうる。さらに、水性分散体中に溶解された希釈剤の濃度を噴霧乾燥の前に高めることにより、または噴霧乾燥器によって生成される小滴の直径を増大させることにより、上部気管支領域または鼻粘膜といった別の送達部位を標的とさせるために希釈剤粒径を増大させることもできる。
【0128】
噴霧乾燥された粉末は、単独で、または凍結乾燥された抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド粉末と組み合わせて、DPIまたはpMDIに用いることができる。さらに、本発明に係る抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を含む噴霧乾燥された粉末を再構成し、ジェット式または超音波式のネブライザーのいずれかに用いて、それぞれの小滴が少なくとも1つの抗ヒスタミン薬粒子、少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイド粒子、またはそれらの組み合わせを含む吸引可能な小滴径を有する水性分散体を生成することもできる。濃縮された抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド分散体を本発明のこれらの局面に用いることもできる。
【0129】
ii.抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を含む凍結乾燥粉末
鼻または肺への送達のために適した粉末を得るために、ナノ粒子分散体の形態にある本発明に係る抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を凍結乾燥させることもできる。凍結乾燥の前、その最中、またはその後のいずれかに少なくとも1つの抗ヒスタミン薬をナノ粒子副腎皮質ステロイド分散体に加えることができる。このような粉末は、表面安定剤を有する、凝集した本発明に係る抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を含みうる。このような凝集物は、吸入可能な範囲内、すなわち約2〜約5ミクロンのサイズを有してよい。鼻粘膜といった別の送達部位を標的とさせるために、より大きな凝集粒子径を得ることができる。
【0130】
適切な粒径の凍結乾燥粉末を、本発明による組成物および表面安定剤の水性分散体を凍結乾燥させることによって得ることもでき、これはラクトースまたはマンニトールのような溶解された希釈剤をさらに含んでもよい。これらの場合に、凍結乾燥粉末は、そのそれぞれが少なくとも1つの包埋された抗ヒスタミン薬粒子、少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイド粒子、またはそれらの組み合わせを含む、希釈剤の吸入可能な粒子から成る。
【0131】
凍結乾燥粉末は、単独で、または噴霧乾燥された抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド粉末と組み合わせて、DPIまたはpMIに用いることができる。さらに、本発明に係る抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を含む凍結乾燥粉末を再構成し、ジェット式または超音波式のネブライザーのいずれかに用いて、それぞれの小滴が少なくとも1つの抗ヒスタミン薬粒子、少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイド粒子、またはそれらの組み合わせを含む、吸引可能な小滴径を有する水性分散体を発生させることもできる。濃縮された抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド分散体を本発明のこれらの局面に用いることもできる。
【0132】
c.噴射剤を基にしたエアロゾル
本発明のもう1つの態様は、本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を含む、噴射剤を基にしたMDI(定量吸入器)のための工程および組成物を対象とする。このような製剤は、pMDl(加圧定量吸入器)は、(1)離散的な抗ヒスタミン薬粒子、離散的な副腎皮質ステロイドナノ粒子、および表面安定剤、(2)抗ヒスタミン薬、ナノ粒子副腎皮質ステロイド粒子、および表面安定剤の凝集物、(3)包埋された抗ヒスタミン薬およびナノ粒子副腎皮質ステロイド粒子、ならびに表面安定剤を含む運動性希釈剤粒子、または(4)溶媒および/または噴射剤中にある薬物またはそれらの組み合わせの溶液、を含みうる。pMDIは鼻腔、肺の誘導気道または肺胞を標的とするために用いることができる。吸入される副腎皮質ステロイドナノ粒子が従来の微粉化された材料よりも小さく(<2ミクロン)、微粉化された薬物と比較してより大きな粘膜または肺胞の表面積にわたって分布するため、本発明は、従来の製剤と比較して、深部肺領域に対する送達の向上をもたらす。
【0133】
本発明のpMDIで用いられる抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイドは、塩素系または非塩素系の噴射剤を利用することができる。濃縮されたエアロゾル溶液または抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイドエアロゾル製剤をpMDIに使用することもできる。
【0134】
眼用製剤は、適切な溶媒中にある本発明に係る抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物または液相中にあるその分散体もしくは懸濁液および安定剤を含む溶液の形態にあり、その詳細は上に述べている。
【0135】
E.抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド製剤を作製する方法
抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物は、当技術分野で公知である任意の適した方法を用いて作成することができる。ナノ粒子活性物質組成物を作成する方法は、例えば粉砕、均質化、沈殿または超臨界流体粒子生成法を含む。ナノ粒子活性物質組成物を作製する例示的な方法は、米国特許第5,145,684号に記載されている。ナノ粒子活性物質組成物を作製する方法はまた、「Method of Grinding Pharmaceutical Substances」に関する米国特許第5,518,187号;「Continuous Method of Grinding Pharmaceutical Substances」に関する米国特許第5,718,388号;「Method of Grinding Pharmaceutical Substances」に関する米国特許第5,862,999号;「Co-Microprecipitation of Nanoparticulate Pharmaceutical Agents with Crystal Growth Modifiers」に関する米国特許第5,665,331号;「Co-Microprecipitation of Nanoparticulate Pharmaceutical Agents with Crystal Growth Modifiers」に関する米国特許第5,662,883号;「Microprecipitation of Nanoparticulate Pharmaceutical Agents」に関する米国特許第5,560,932号;「Process of Preparing X-Ray Contrast Compositions Containing Nanoparticles」に関する米国特許第5,543,133号;「Method of Preparing Stable Drug Nanoparticles」に関する米国特許第5,534,270号;「Process of Preparing Therapeutic Compositions Containing Nanoparticles」に関する米国特許第5,510,118号;および「Method of Preparing Nanoparticle Compositions Containing Charged Phospholipids to Reduce Aggregation」に関する米国特許第5,470,583号にも記載されており、これらはすべて参照により本明細書に明確に参照として組み入れられる。
【0136】
結果的に得られたナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物または分散体は、少なくとも1つの抗ヒスタミン薬と組み合わされ、続いて、液体分散体、ゲル、エアロゾル、軟膏、クリーム、制御放出製剤、速溶性製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、カプセル、遅延放出製剤、長期放出製剤、パルス放出製剤、即時放出と制御放出との混合製剤などを含む、固体、半固体または液体製剤として利用することができる。
【0137】
本発明のもう1つの局面においては、本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド製剤を調製する方法が提供される。方法は以下の段階を含む:(1)副腎皮質ステロイドの所望の投与量を、その薬物が難溶性である液体分散媒体中に分散させる段階;および(2)副腎皮質ステロイドの粒径を約2000nm未満の有効平均粒径へと機械的に縮小する段階。表面安定剤を、副腎皮質ステロイドの粒径縮小の前、最中または後のいずれかの時点で分散媒に添加することができる。液体分散媒は、サイズ縮小の工程中は生理的pHに、例えば、約3.0〜約8.0の範囲内に;より好ましくは、サイズ縮小の工程中は約5.0〜約7.5の範囲内に維持することができる。好ましくは、サイズ縮小工程のために用いられる分散媒は水性であるが、有効成分が難溶性である任意の分散媒、例えば、ベニバナ油、エタノール、t-ブタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)、ヘキサンまたはグリコールなどを用いることもできる。少なくとも1つの副腎皮質ステロイドの粒径縮小に続いて、少なくとも1つの抗ヒスタミン薬を組成物に添加することができる。
【0138】
粒径縮小法を用いて、副腎皮質ステロイドの粒径を約2000nm未満の有効平均粒径へと縮小させる。副腎皮質ステロイドの粒径縮小のための機械力を提供する有効な方法には、ボールミル粉砕、媒体粉砕、および例えばMicrofluidizer(登録商標)(Microfluidics Corp.)を用いた均質化が含まれる。ボールミル粉砕は、粉砕媒体、薬物、安定剤および液体を用いる低エネルギー粉砕工程である。材料を粉砕容器に入れ、それを、媒体が滝のように落ちて衝突によって薬物の粒径を縮小する最適な速度で回転させる。粒子縮小のためのエネルギーは重力および磨砕媒体の質量によって与えられるため、用いる媒体は高密度でなければならない。少なくとも1つの副腎皮質ステロイドの粒径縮小に続いて、少なくとも1つの抗ヒスタミン薬を組成物に添加することができる。
【0139】
1.粉砕を用いた副腎皮質ステロイドの粒径縮小
媒体粉砕は高エネルギー粉砕工程である。副腎皮質ステロイド、表面安定剤および液体を貯蔵部に入れ、粉砕媒体および回転軸/インペラーを含むチャンバー内で再循環させる。回転軸が粉砕媒体を攪拌し、それが副腎皮質ステロイド粒子を衝突および剪断力にさらし、それによって副腎皮質ステロイドの粒径を縮小させる。
【0140】
副腎皮質ステロイドを、それが本質的に不溶性である液体媒質に添加して、プレミックスを形成させることができる。表面安定剤がプレミックス中に存在してもよく、それを副腎皮質ステロイド分散体に対して粒径縮小後に加えることもできる。プレミックスは、分散体における副腎皮質ステロイドの平均粒径を約2000nm未満に縮小するための機械的手段にそれを供することにより、直接用いることができる。磨砕のためにボールミルを用いる場合にはプレミックスを直接用いることが好ましい。または、副腎皮質ステロイドおよび少なくとも1つの表面安定剤を、裸眼で認められる大きな副腎皮質ステロイド塊が存在しない均質な分散体が観察されるようになるまで、適切な攪拌、例えばコールズ(Cowles)型攪拌機を用いて、液体媒質中に分散させることもできる。磨砕のために再循環性媒体ミルを用いる場合には、プレミックスをこのような粉砕前分散工程に供することが好ましい。
【0141】
副腎皮質ステロイドの粒径を縮小するために適用される機械的手段は、分散ミルの形態をとることができる。適した分散ミルには、ボールミル、磨砕ミル、振動ミル、ならびにサンドミルおよびビーズミルなどの媒体ミルが含まれる。粒径の所望の縮小を得るために必要な粉砕時間が比較的短いため、媒体ミルが好ましい。媒体粉砕のためには、プレミックスの見かけの粘度は約100〜約1000センチポアズであることが好ましく、ボールミル粉砕のためにはプレミックスの見かけの粘度は約1〜最大で約100センチポアズであることが好ましい。このような範囲は、効率的な副腎皮質ステロイド粒径縮小と媒体浸食との間の最適なバランスをもたらす。
【0142】
副腎皮質ステロイド摩砕時間は非常にさまざまであってよく、これは主として、選択した具体的な機械的手段および処理条件によって決まる。ボールミルに関しては、最大で5日間またはそれ以上の処理時間が必要なことがある。または、高剪断媒質ミルを用いると、1日未満の処理時間(1分間から最大で数時間という滞留時間)が可能である。
【0143】
副腎皮質ステロイド粒子は、副腎皮質ステロイド分子が著しくは分解しない温度で、サイズを縮小することができる。約30℃未満から約40℃未満までの処理温度が通常は好ましい。所望であれば、処理装置を従来の冷却装置で冷却することができる。例えば、粉砕チャンバーを氷水中に被覆または浸漬することによる温度の制御が考えられる。一般に、本発明の方法は、周囲温度、および粉砕工程にとって安全および有効な処理圧力の条件下で好都合に行われる。周囲処理圧力はボールミル、摩砕ミルおよび振動ミルに典型的である。
【0144】
粉砕媒体
副腎皮質ステロイド粒径縮小段階のための粉砕媒体は、好ましくは形態が球状または粒子状であって、約3mm未満、より好ましくは約1mm未満の平均サイズを有する硬質媒体から選択することができる。このような媒体は、本発明の粒子に対してより短い処理時間を付与し、粉砕装置に対してよりわずかな摩耗しか与えないことが望ましい。粉砕媒体のための材料の選択が決定的に重要であるとは考えられていない。酸化ジルコニウム、例えばマグネシウムで安定化された95%ZrO、ケイ酸ジルコニウム、セラミック、ステンレス鋼、チタニア、アルミナ、イットリウムで安定化された95%ZrO、ガラス粉砕媒体およびポリマー性粉砕媒体が、例示的な粉砕材料である。
【0145】
粉砕媒体は、本質的にポリマー樹脂または他の適した材料からなる、好ましくは実質的に形状が球形である粒子、例えば、ビーズを含みうる。または、粉砕媒体が、ポリマー樹脂のコーティングが表面に付着したコアを含むこともできる。ポリマー樹脂は約0.8〜約3.0g/cm3の密度を有しうる。
【0146】
一般に、適したポリマー樹脂は、化学的および物理的に不活性であり、金属、溶媒およびモノマーを実質的に含まず、粉砕時に欠けたり砕けたりするのが避けられる程度に十分な硬さおよび破砕性を有する。適したポリマー樹脂には、架橋ポリスチレン、例えばジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレン;スチレンコポリマー;ポリカーボネート;ポリアセタール、例えばDelrin(登録商標)(E.I. du Pont de Nemours and Co.);塩化ビニルポリマーおよびコポリマー;ポリウレタン;ポリアミド;ポリ(テトラフルオロエチレン)、例えば、Teflon(登録商標)(E.I. du Pont de Nemours and Co.)および他のフルオロポリマー;高密度ポリエチレン;ポリプロピレン;セルロースエーテルおよびエステル、例えば酢酸セルロース;ポリヒドロキシメタクリレート;ポリヒドロキシエチルアクリレート;ならびにシリコーン含有ポリマー、例えばポリシロキサンなどが含まれる。ポリマーは生分解性であってもよい。例示的な生分解性ポリマーには、ポリ(ラクチド)、ラクチドとグリコリドとのポリ(グリコリド)コポリマー、ポリアンヒドリド、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(N-アシルヒドロキシプロリン)エステル、ポリ(N-パルミトイルヒドロキシプロリン)エステル、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリ(オルトエステル)、ポリ(カプロラクトン)およびポリ(ホスファゼン)が含まれる。生分解性ポリマーに関しては、媒体それ自体からの不純物が、好都合なことに、体内から排出可能な生物学的に許容される生成物へとインビボで代謝を行うことができる。
【0147】
粉砕媒体は、約0.01〜約3mmのサイズの範囲にあることが好ましい。微粉砕のためには、粉砕媒体は好ましくは約0.02〜約2mm、より好ましくは約0.03〜約1mmのサイズである。
【0148】
好ましい粉砕工程において、副腎皮質ステロイド粒子は連続的に作製される。このような方法は、副腎皮質ステロイド有効成分を粉砕チャンバーに連続的に投入する段階、粒径を縮小するためにチャンバー内で化合物を粉砕媒体と接触させる段階、およびナノ粒子有効成分を粉砕チャンバーから連続的に取り出す段階を含む。
【0149】
粉砕媒体は、粉砕されたナノ粒子副腎皮質ステロイドから、第2の工程で、単純な濾過、メッシュフィルターまたはスクリーンを通してのふるい分けなどによる従来の分離法を用いて分離される。遠心分離などのその他の分離法を用いることもできる。
【0150】
無菌生成物の製造
注射用組成物の開発には、無菌生成物の生産が必要である。本発明の製造工程は、無菌懸濁液のための典型的な公知の製造工程と類似している。典型的な無菌懸濁液製造工程の流れ図は以下の通りである:

【0151】
括弧内の任意での段階によって示されているように、処理のいくつかは粒径縮小の方法および/または滅菌の方法に依存する。例えば、媒体の状態調節は、媒体を用いない粉砕方法には必要でない。化学的および/または物理的不安定性のために最終滅菌が実施可能でないならば、無菌処理を用いることができる。
【0152】
2.均質化を用いた副腎皮質ステロイドの粒径縮小
均質化は粉砕媒体を用いない手法の一つである。副腎皮質ステロイド、表面安定剤および液体(または表面安定剤を粒径縮小の後に加えた薬物および液体)が、Microfluidizer(登録商標)の場合には相互作用チャンバーと呼ばれる処理区域へと進められるプロセスストリームを構成する。処理しようとする生成物はポンプ内に導かれ、その後に押し出される。Microfluidizer(登録商標)の呼び水弁によってポンプから空気が排除される。ひとたびポンプに生成物を充填したところで、呼び水弁を閉じ、生成物を相互作用チャンバーに通させる。相互作用チャンバーの寸法のために、副腎皮質ステロイド粒径縮小の原因となる強力な剪断、衝突およびおよびキャビテーションの力が生じる。具体的には、相互作用チャンバーの内部では、加圧された生成物が2つの流れに分かれ、加速されて極めて高い速度となる。続いて、形成されたジェットが互いに向かって進み、相互作用区域内でぶつかる。その結果生じる生成物は極めて微細で均一な粒径または小滴径を有する。Microfluidizer(登録商標)はまた、生成物の冷却を可能にする熱交換器ともなる。参照により明確に組み入れられる米国特許第5,510,118号は、Microfluidizer(登録商標)を用いる工程に言及している。
【0153】
3.沈殿を用いた副腎皮質ステロイドの粒径縮小
所望のナノ粒子副腎皮質ステロイド分散体を形成させるもう1つの方法は、微量沈殿による。これは、微量の有毒溶媒も溶解した重金属不純物も含まない、1つまたは複数の表面安定剤および1つまたは複数のコロイド安定性増強表面活性剤の存在下で、本発明による組成物のナノ粒子状粒子の安定な分散体を調製する方法である。このような方法は、例えば、(1)本発明に係る副腎皮質ステロイド組成物を適した溶媒中にかき混ぜながら溶解させる段階;(2)段階(1)による配合物を、少なくとも1つの表面安定剤を含む溶液中にかき混ぜながら添加して、透明な溶液を形成させる段階;および(3)段階(2)による配合物を、適切な非溶媒を用いて、かき混ぜながら沈殿させる段階、を含む。本方法の後に、もし存在するならば、形成された何らかの塩を、従来の手段による分散体の透析またはダイアフィルトレーションおよび濃縮によって除去することができる。その結果得られるナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を、少なくとも1つの抗ヒスタミン薬と組み合わせ、続いて、液体ネブライザーで利用、またはDPIもしくはpMDIに用いるための乾燥粉末を形成させるために加工処理することもできる。
【0154】
4.非水性の非加圧粉砕システム
非水性の非加圧粉砕システムにおいては、蒸気圧が室温で約1atmまたはそれ未満であって、ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物が本質的に不溶性である非水性液体が、ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を作製するための湿式粉砕媒体として用いられる。このような工程においては、本発明によるナノ粒子組成物を生成するために、本発明による組成物(ロイコトリエン受容体拮抗薬および任意で副腎皮質ステロイド)および表面安定剤のスラリーを非水性媒体中で粉砕する。適した非水性媒体の例には、エタノール、トリクロロモノフルオロメタン(CFC-11)およびジクロロテトラフルオロエタン(CFC-114)が含まれる。CFC-11を用いることの利点は、それをわずかに低い室温で取り扱えることにあり、一方、CFC-114は蒸発を避けるためにより制御された条件を必要とする。粉砕の完了後に液体媒体を減圧下または加熱下で除去および回収して、乾燥ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を得ることができる。続いてこの乾燥ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を適した容器に詰め込み、最終的な噴射剤を充填することができる。理想的には塩素系炭化水素を含まない、例示的な最終生成物の噴射剤には、HFA-134a(テトラフルオロエタン)およびHFA-227(ヘプタフルオロプロパン)が含まれる。非塩素系噴射剤が環境的な理由から好ましいが、塩素系噴射剤を本発明のこの局面に用いてもよい。
【0155】
5.非水性の加圧式粉砕システム
非水性の加圧式粉砕システムにおいては、蒸気圧が室温で1atmよりも有意に高い非水性液体媒体が、ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を作製するための粉砕工程に用いられる。粉砕媒体が適したハロゲン化炭化水素噴射剤である場合には、その結果得られたナノ粒子副腎皮質ステロイド分散体を(少なくとも1つの抗ヒスタミン薬の添加後)適したpMDI容器に直接詰め込むことができる。または、粉砕媒体を減圧下または加熱下で除去および回収して、ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を含む乾燥組成物を得ることもできる。少なくとも1つの抗ヒスタミン薬の添加に続いて、この組成物を適した容器に詰め込み、pMDIに用いるための適した噴射剤を充填することができる。
【0156】
6.エアロゾル製剤を作製する方法
エアロゾル投与のための、本発明による抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物は、例えば、以下によって作製することができる:
(1)本発明による抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物の水性分散体を霧状にすること、この際、本発明の組成物は少なくとも1つの抗ヒスタミン薬、少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび少なくとも1つの表面安定剤を含み、ナノ粒子副腎皮質ステロイドは粉砕、均質化、沈殿または超臨界流体粒子生成法によって得られる;
(2)少なくとも1つの抗ヒスタミン薬、少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび少なくとも1つの表面安定剤を含む、本発明による抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物の凝集物の乾燥粉末をエアロゾル化すること(エアロゾル化された組成物がさらに希釈剤を含んでもよい)、この際、ナノ粒子副腎皮質ステロイドは粉砕、均質化、沈殿または超臨界流体粒子生成法によって得られる;または
(3)非水性噴射剤中にある、本発明による組成物の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド凝集物の懸濁液をエアロゾル化すること、この際、本発明の組成物は少なくとも1つの抗ヒスタミン薬、少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび少なくとも1つの表面安定剤を含み、ナノ粒子副腎皮質ステロイドは粉砕、均質化、沈殿または超臨界流体粒子生成法によって得られる。本発明によるナノ粒子組成物および表面安定剤の凝集物は、さらに希釈剤を含んでもよいが、非加圧式または加圧式の非水性系中において作製することができる。濃縮されたエアロゾル製剤をこのような方法によって作製することもできる。
【0157】
7.噴霧乾燥された粉末エアロゾル製剤
噴霧乾燥は、液体媒体中での粒径縮小の後に、ナノ粒子状副腎皮質ステロイド粒子を含む粉末を得るために用いられる工程である。一般に、噴霧乾燥は、液体媒体の蒸気圧が室温で約1atm未満である場合に用いられる。噴霧乾燥器は、液体蒸発および粉末収集を可能にするデバイスである。溶液または懸濁液のいずれかである液体試料を噴霧ノズルの中に注ぎ入れる。ノズルは直径が約20〜約100μmの範囲にある試料の小滴を発生させ、それらは続いて担体ガスによって乾燥チャンバーへと輸送される。担体ガスの温度は典型的には約80〜約200℃の間である。小滴は迅速な液体蒸発に供せられて乾燥粒子が残り、それらはサイクロン装置の下にある特殊な貯蔵槽に収集される。
【0158】
液体試料がナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび少なくとも1つの表面安定剤の水性分散体からなる場合には、収集される生成物はナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび表面安定剤の球状凝集物から成ると考えられる。液体試料が、不活性希釈剤材料(ラクトースまたはマンニトールなど)が溶解しているナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび表面安定剤の水性分散体を含む場合には、収集される生成物は、包埋されたナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を含む希釈剤(例えば、ラクトースまたはマンニトール)粒子からなると考えられる。噴霧乾燥の前、その最中、またはその後のいずれかに少なくとも1つの抗ヒスタミン薬をナノ粒子副腎皮質ステロイド分散体に添加することができる。収集される生成物の最終的なサイズは制御可能であり、液体試料中のナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物、抗ヒスタミン薬、および/または希釈剤の濃度、ならびに噴霧乾燥器のノズルによって生成される小滴径に依存する。深部肺送達のためには収集される生成物のサイズは直径約2ミクロン未満であることが望ましく、誘導気道への送達のためには収集される生成物のサイズは直径約2〜約6ミクロンであることが望ましく、鼻送達のためには収集される生成物のサイズは約5〜約100μmであることが好ましい。続いて、収集された生成物を肺または鼻への送達のために従来のDPIに用いること、pMDIに用いるために噴射剤中に分散させること、またはネブライザーで用いるために粒子を水で再構成することができる。
【0159】
場合によっては、最終生成物の計量特性を改良するために、噴霧乾燥された材料に不活性担体を添加することが望ましいことがある。これは特に、噴霧乾燥された粉末が極めて小さい(約5ミクロン未満)か、または意図した用量が極めてわずかであって、そのために用量の計量が難しくなる場合がそうである。一般に、このような担体粒子(増量剤としても知られる)は、肺へと送達されるには大きすぎ、単に口腔および喉に衝突して嚥下される。このような担体は、典型的には、ラクトース、マンニトールまたはトレハロースなどの糖からなる。多糖およびセルロース化合物を含むその他の不活性材料も、単体として有用なことがある。
【0160】
本発明に係る抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を含む噴霧乾燥粉末は、従来のDPIに用いること、pMDIに用いるために噴射剤中に分散させること、またはネブライザーで用いるために液体媒質中に再構成することができる。
【0161】
8.凍結乾燥されたナノ粒子組成物
融点が低いもの(すなわち、約70〜約150℃)、または例えば生物学的製剤などのように、熱によって変性または不安定化する本発明による組成物の場合には、乾燥粉末抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を得るのに昇華の方が蒸発よりも好ましい。これは、噴霧乾燥に伴う高い工程温度が昇華では避けられるためである。さらに、凍結乾燥または凍結乾燥としても知られる昇華は、本発明による組成物、特に生物学的製剤の貯蔵安定性を高める。凍結乾燥粒子もまた、再構成してネブライザーで用いることができる。本発明に係る凍結乾燥された抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイドの凝集物は、鼻または肺への送達のために、乾燥粉末中間体と混ぜ合わせて、または単独でDPIおよびpMDIに用いることができる。
【0162】
昇華は、生成物を凍結すること、および試料を強い減圧条件に供することを含む。これにより、形成された氷を固体状態から蒸気状態へと直接変換することができる。このような工程は非常に効率的であり、このため噴霧乾燥よりも収量が多い。その結果得られる凍結乾燥生成物は、本発明に係る抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を含む。本発明に係る組成物は典型的には凝集状態で存在しており、DPIもしくはpMDIにて、単独でまたは希釈剤材料(ラクトース、マンニトール、その他)とともに吸入(肺または鼻に)のために用いることができ、またはネブライザーで用いるために再構成することができる。
【0163】
F.治療の方法
本発明のさらにもう1つの局面は、喘息、気腫、呼吸窮迫症候群、慢性気管支炎、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患、臓器移植拒絶反応、結核および肺の他の感染症、真菌感染症、後天性免疫不全症候群、癌および鎮吐薬、鎮痛薬、心血管作動薬の全身投与に伴う呼吸器疾病といった呼吸器関連疾病の予防または治療のために、本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物を用いて、ヒトを含む哺乳動物を治療する方法を提供する。本製剤および方法は、投与された本発明による組成物による肺および鼻の表面積のカバー範囲の向上をもたらす。
【0164】
このような方法は、対象に対して、本発明の抗ヒスタミン薬/ナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物の治療的有効量を、任意の適した方法によって投与する段階を含む。
【0165】
1つの態様において、本発明の組成物はエアロゾル剤形によって投与される。本発明のエアロゾルは、水性および乾燥粉末のどちらも、喘息、気腫、呼吸窮迫症候群、慢性気管支炎、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患、臓器移植拒絶反応、結核および肺の他の感染症、真菌感染症、後天性免疫不全症候群、癌および鎮吐薬、鎮痛薬、心血管作動薬の全身投与に伴う呼吸器疾病といった呼吸器関連疾病の治療に特に有用である。本製剤および方法は、投与された本発明による組成物による肺および鼻の表面積のカバー範囲の向上をもたらす。
【0166】
当業者は、抗ヒスタミン薬および副腎皮質ステロイドの有効量は経験的に決定することができ、純粋な形態で、またはそのような形態が存在するならば薬学的に許容される塩、エステルもしくはプロドラッグの形態で使用しうることを理解するであろう。このため、選択される投薬レベルは、所望の治療効果、投与の経路、投与される抗ヒスタミン薬および副腎皮質ステロイドの効力、所望の治療期間およびその他の要因に依存する。
【0167】
単位投薬式組成物は、1日量を構成するために用いられるようなその約数のそのような量を含むことができる。しかし、任意の特定の患者に対する具体的な用量レベルは、以下の種々の要因に依存すると考えられる:実現しようとする細胞反応または生理的反応の種類および程度;使用される具体的な薬剤または組成物の活性;使用される具体的な薬剤または組成物;患者の年齢、体重、全般的健康状態、性別および食事;薬剤の投与時間、投与経路および排泄速度;治療期間;具体的な薬剤と組み合わせて、または同時に用いられる薬物;ならびに医学の技術分野において周知である同様の要因。
【0168】
以下の実施例は、本発明を例示するために示される。しかし、本発明の精神および範囲は、この実施例に記載された具体的な条件または詳細には限定されず、以下の特許請求の範囲のみによって限定されるべきであることが理解されるべきである。米国特許を含む、本明細書に特定されているすべての参考文献は、参照により本明細書に明示的に組み入れられる。
【0169】
製剤成分はすべて商業的に入手した。光散乱式粒径測定は、Horiba LA-910レーザー散乱式粒径分布分析装置(Horiba Instruments, Inc., Irvine, CA)で行った。粒径分布データは体積統計値に基づく。
【0170】
実施例1
この実施例の目的は、トリアムシノロンアセトニドのナノ粒子製剤を調製することであった。
【0171】
トリアムシノロンアセトニド原薬(1.12g)(PMRS)を、8.95gの5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)溶液(Pharmacoat(登録商標)603;Shin-Etsu)、0.24gの5%ドキュセートナトリウム溶液および12.08gのUSP注射用滅菌水と混ぜ合わせた。この粗スラリーを、50mLチャンバーを備えていて0.5mmの架橋ポリスチレン粉砕媒体(PolyMill-500;Dow Chemical)を含むNanoMill-01装置(米国特許第6,431,478号;Elan Drug Delivery(King of Prussia, PA))にて1333rpmで60分間粉砕した(媒体装入率89%)。加工処理の間は、粉砕器のチャンバーの外装を通して冷水(約5℃)を循環させた。
【0172】
回収された分散体の最終的な組成は、5%トリアムシノロンアセトニド、2%HPMCおよび0.05%ドキュセートナトリウムであった(値はすべてw/w比に基づく)。結果として得られた分散体のトリアムシノロンアセトニド平均粒径は294nmであり、D50は282nm、D90は407nm、D95は457nmであった。1分間の超音波処理の後には、分散体のトリアムシノロンアセトニド平均粒径は292nmであり、D50は281nm、D90は401nm、D95は446nmであった。超音波処理後の粒径測定値が同程度であったことは、トリアムシノロンアセトニドの凝集物が存在しないことを意味する。このような凝集物は望ましくない。
【0173】
本実施例は、結果として得られたトリアムシノロンアセトニドのD50粒径が2ミクロン未満であったことから、ナノ粒子トリアムシノロンアセトニド組成物の調製が首尾良く行われたことを示している。
【0174】
実施例2
この実施例の目的は、ブデソニドのナノ粒子製剤を調製することであった。
【0175】
ブデソニド原薬(1.11g)(Sicor Pharmaceuticals, Inc.)を、0.13gのポリソルベート80および21.40gのUSP注射用滅菌水と混ぜ合わせた。この粗スラリーを、50mLチャンバーを備えていて0.5mmの架橋ポリスチレン粉砕媒体(PolyMill-500;Dow Chemical)を含むNanoMill-01装置にて1333rpmで60分間粉砕した(媒体装入率89%)。加工処理の間は、粉砕器のチャンバーの外装を通して冷水(約5℃)を循環させた。
【0176】
回収された分散体の最終的な組成は、5%ブデソニド、0.5%ポリソルベート80であった(値はすべてw/w比に基づく)。結果として得られた分散体のブデソニド平均粒径は287nmであり、D50は277nm、D90は389nm、D95は437nmであった。1分間の超音波処理の後には、分散体のブデソニド平均粒径は327nmであり、D50は318nm、D90は421nm、D95は458nmであった。超音波処理後の粒径測定値が同程度であったことは、ブデソニドの凝集物が存在しないことを意味する。このような凝集物は望ましくない。
【0177】
本実施例は、結果として得られたブデソニドのD50粒径が2ミクロン未満であったことから、ナノ粒子ブデソニド組成物の調製が首尾良く行われたことを示している。
【0178】
実施例3
この実施例の目的は、プロピオン酸フルチカゾンのナノ粒子製剤を調製することであった。
【0179】
プロピオン酸フルチカゾン原薬(1.12g)(Dey Laboratories, Inc.)を、8.95gの5%ポビドン溶液(Plasdone(登録商標)K29-32;ISP)、0.23gの5%ラウリル硫酸ナトリウム溶液および12.09gのUSP注射用滅菌水と混ぜ合わせた。この粗スラリーを、50mLチャンバーを備えていて0.5mmの架橋ポリスチレン粉砕媒体(PolyMill-500;Dow Chemical)を含むNanoMill-01装置にて1333rpmで60分間粉砕した(媒体装入率89%)。加工処理の間は、粉砕器のチャンバーの外装を通して冷水(約5℃)を循環させた。
【0180】
回収された分散体の最終的な組成は、5%プロピオン酸フルチカゾン、2%ポビドンK29-32および0.05%ラウリル硫酸ナトリウムであった(値はすべてw/w比に基づく)。結果として得られた分散体のプロピオン酸フルチカゾン平均粒径は150nmであり、D50は134nm、D90は251nm、D95は298nmであった。1分間の超音波処理の後には、分散体のプロピオン酸フルチカゾン平均粒径は165nmであり、D50は151nm、D90は253nm、D95は291nmであった。超音波処理後の粒径測定値が同程度であったことは、プロピオン酸フルチカゾンの凝集物が存在しないことを意味する。このような凝集物は望ましくない。
【0181】
本実施例は、結果として得られたプロピオン酸フルチカゾンのD50粒径が2ミクロン未満であったことから、ナノ粒子プロピオン酸フルチカゾン組成物の調製が首尾良く行われたことを示している。
【0182】
実施例4
この実施例の目的は、ナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬を含む組成物を調製して、その特徴を調べることであった。
【0183】
ナノ粒子トリアムシノロンアセトニド(0.40g;実施例1)を、1.25%塩酸アゼラスチン溶液(1.60g)と混ぜ合わせて、1%トリアムシノロンアセトニドおよび1%塩酸アゼラスチンを含む2.00gの試料を得た(値はすべてw/w比に基づく)。
【0184】
副腎皮質ステロイドと抗ヒスタミン薬の配合の後に、副腎皮質ステロイドの粒径を測定した。トリアムシノロンアセトニドの初期平均粒径は577nmであり、D50は350nm、D90は1263nm、D95は1811nmであった。1分間の超音波処理の後には、トリアムシノロンアセトニドナノ粒子の平均サイズは425nmであり、D50は333nm、D90は748nm、D95は1034nmであった。
【0185】
この実施例は、2種類の活性物質の配合後にナノ粒子副腎皮質ステロイドが2ミクロン未満のD50粒径を保持していたことから、ナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬を含む組成物の調製が首尾良く行われたことを示している。
【0186】
実施例5
この実施例の目的は、ナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬を含む組成物を調製して、その特徴を調べることであった。
【0187】
ナノ粒子トリアムシノロンアセトニド(0.40g;実施例1)を、1.25%塩酸アゼラスチン溶液(0.16g)および水(1.44g)と混ぜ合わせて、1%トリアムシノロンアセトニドおよび0.1%塩酸アゼラスチンを含む2.00gの試料を得た(値はすべてw/w比に基づく)。
【0188】
副腎皮質ステロイドと抗ヒスタミン薬の配合の後に、副腎皮質ステロイドの粒径を測定した。トリアムシノロンアセトニドの初期平均粒径は990nmであり、D50は312nm、D90は834nm、D95は6527nmであった。1分間の超音波処理の後には、トリアムシノロンアセトニドナノ粒子の平均サイズは309nmであり、D50は295nm、D90は433nm、D95は490nmであった。超音波処理後の粒径測定値が同程度であったことは、プロピオン酸フルチカゾンの凝集物が存在しないことを意味する。このような凝集物は望ましくない。
【0189】
この実施例は、2種類の活性物質の配合後にナノ粒子副腎皮質ステロイドが2ミクロン未満のD50粒径を保持していたことから、ナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬を含む組成物の調製が首尾良く行われたことを示している。しかし、この製剤は、超音波処理前のD90粒径が6527であって1分間の超音波処理後のD90粒径が490nmであり、これは組成物中にトリアムシノロンアセトニドのいくつかの凝集物が存在することを示しているため、実施例4で得られたものほどは好ましくない。
【0190】
実施例6
この実施例の目的は、ナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬を含む組成物を調製して、その特徴を調べることであった。
【0191】
ナノ粒子トリアムシノロンアセトニド(0.10g;実施例1)を、1.25%塩酸アゼラスチン溶液(4.00g)および水(0.90g)と混ぜ合わせて、0.1%トリアムシノロンアセトニドおよび1%塩酸アゼラスチンを含む5.00gの試料を得た(値はすべてw/w比に基づく)。
【0192】
副腎皮質ステロイドと抗ヒスタミン薬の配合の後に、副腎皮質ステロイドの粒径を測定した。トリアムシノロンアセトニドの初期平均粒径は158,669nmであり、D50は129,570nm、D90は363,714nm、D95%は436,656nmであった。1分間の超音波処理の後には、トリアムシノロンアセトニドナノ粒子の平均サイズは642nmであり、D50は318nm、D90は618nm、D95は2132nmであった。超音波処理後の粒径測定値が同程度であったことは、プロピオン酸フルチカゾンの凝集物が存在しないことを意味する。このような凝集物は望ましくない。
【0193】
結果として得られた組成物が、超音波処理前のD50粒径が約2ミクロンを上回る副腎皮質ステロイド組成物を含んでいたため、抗ヒスタミン薬とナノ粒子副腎皮質ステロイドのこの特定の組み合わせは、用いた副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬の濃度では、不首尾に終わった。
【0194】
実施例7
この実施例の目的は、ナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬を含む組成物を調製して、その特徴を調べることであった。
【0195】
ナノ粒子トリアムシノロンアセトニド(0.10g;実施例1)を、1.25%塩酸アゼラスチン溶液(0.40g)および水(4.50g)と混ぜ合わせて、0.1%トリアムシノロンアセトニドおよび0.1%塩酸アゼラスチンを含む5.00gの試料を得た(値はすべてw/w比に基づく)。
【0196】
副腎皮質ステロイドと抗ヒスタミン薬の配合の後に、副腎皮質ステロイドの粒径を測定した。トリアムシノロンアセトニドの初期平均粒径は56,732nmであり、D50は10,634nm、D90は175,996nm、D95は233,293nmであった。1分間の超音波処理の後には、トリアムシノロンアセトニドナノ粒子の平均サイズは599nmであり、D50は307nm、D90は550nm、D95は1277nmであった。
【0197】
結果として得られた組成物が、超音波処理前のD50粒径が約2ミクロンを上回る副腎皮質ステロイド組成物を含んでいたため、抗ヒスタミン薬とナノ粒子副腎皮質ステロイドのこの特定の組み合わせは、用いた副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬の濃度では、不首尾に終わった。
【0198】
実施例8
この実施例の目的は、ナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬を含む組成物を調製して、その特徴を調べることであった。
【0199】
ナノ粒子ブデソニド(0.40g;実施例2)を、1.25%塩酸アゼラスチン溶液(1.60g)と混ぜ合わせて、1%ブデソニドおよび1%塩酸アゼラスチンを含む2.00gの試料を得た(値はすべてw/w比に基づく)。
【0200】
副腎皮質ステロイドと抗ヒスタミン薬の配合の後に、副腎皮質ステロイドの粒径を測定した。ブデソニドの初期平均粒径は306nmであり、D50は292nm、D90は427nm、D95は482nmであった。1分間の超音波処理の後には、ブデソニド粒子の平均サイズは292nmであり、D50は280nm、D90は401nm、D95は446nmであった。
【0201】
この実施例は、2種類の活性物質の配合後にナノ粒子副腎皮質ステロイドが2ミクロン未満のD50粒径を保持していたことから、ナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬を含む組成物の調製が首尾良く行われたことを示している。
【0202】
実施例9
この実施例の目的は、ナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬を含む組成物を調製して、その特徴を調べることであった。
【0203】
ナノ粒子ブデソニド(0.40g;実施例2)を、1.25%塩酸アゼラスチン溶液(0.16g)および水(1.44g)と混ぜ合わせて、1%ブデソニドおよび0.1%塩酸アゼラスチンを含む2.00gの試料を得た(値はすべてw/w比に基づく)。
【0204】
副腎皮質ステロイドと抗ヒスタミン薬の配合の後に、副腎皮質ステロイドの粒径を測定した。ブデソニドの初期平均粒径は291nmであり、D50は279nm、D90は398nm、D95は443nmであった。1分間の超音波処理の後には、ブデソニドナノ粒子の平均サイズは286nmであり、D50は276nm、D90は387nm、D95は435nmであった。
【0205】
この実施例は、2種類の活性物質の配合後にナノ粒子副腎皮質ステロイドが2ミクロン未満のD50粒径を保持していたことから、ナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬を含む組成物の調製が首尾良く行われたことを示している。
【0206】
実施例10
この実施例の目的は、ナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬を含む組成物を調製して、その特徴を調べることであった。
【0207】
ナノ粒子ブデソニド(0.10g;実施例2)を、1.25%塩酸アゼラスチン溶液(4.00g)および水(0.90g)と混ぜ合わせて、0.1%ブデソニドおよび1%塩酸アゼラスチンを含む5.00gの試料を得た(値はすべてw/w比に基づく)。
【0208】
副腎皮質ステロイドと抗ヒスタミン薬の配合の後に、副腎皮質ステロイドの粒径を測定した。ブデソニドの初期平均粒径は116,502nmであり、D50は122,099nm、D90は185,497nm、D95は209,080nmであった。1分間の超音波処理の後には、ブデソニドナノ粒子の平均サイズは303nmであり、D50は289nm、D90は422nm、D95は477nmであった。
【0209】
結果として得られた組成物が、超音波処理前のD50粒径が約2ミクロンを上回る副腎皮質ステロイド組成物を含んでいたため、抗ヒスタミン薬とナノ粒子副腎皮質ステロイドのこの特定の組み合わせは、用いた副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬の濃度では、不首尾に終わった。
【0210】
実施例11
この実施例の目的は、ナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬を含む組成物を調製して、その特徴を調べることであった。
【0211】
ナノ粒子ブデソニド(0.10g;実施例2)を、1.25%塩酸アゼラスチン溶液(0.40g)および水(4.50g)と混ぜ合わせて、0.1%ブデソニドおよび0.1%塩酸アゼラスチンを含む5.00gの試料を得た(値はすべてw/w比に基づく)。
【0212】
副腎皮質ステロイドと抗ヒスタミン薬の配合の後に、副腎皮質ステロイドの粒径を測定した。ブデソニドの初期平均粒径は308nmであり、D50は294nm、D90は430nm、D95は486nmであった。1分間の超音波処理の後には、ブデソニドナノ粒子の平均サイズは307nmであり、D50は294nm、D90は428nm、D95は482nmであった。
【0213】
この実施例は、2種類の活性物質の配合後にナノ粒子副腎皮質ステロイドが2ミクロン未満のD50粒径を保持していたことから(超音波処理の前および後のいずれも)、ナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬を含む組成物の調製が首尾良く行われたことを示している。
【0214】
実施例12
この実施例の目的は、ナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬を含む組成物を調製して、その特徴を調べることであった。
【0215】
ナノ粒子プロピオン酸フルチカゾン(0.40g;実施例3)を、1.25%塩酸アゼラスチン溶液(1.60g)と混ぜ合わせて、1%プロピオン酸フルチカゾンおよび1%塩酸アゼラスチンを含む2.00gの試料を得た(値はすべてw/w比に基づく)。
【0216】
副腎皮質ステロイドと抗ヒスタミン薬の配合の後に、副腎皮質ステロイドの粒径を測定した。プロピオン酸フルチカゾンの初期平均粒径は2024nmであり、D50は1166nm、D90は5086nm、D95は6360nmであった。1分間の超音波処理の後には、プロピオン酸フルチカゾンナノ粒子の平均サイズは1996nmであり、D50は958nm、D90は5136nm、D95は6475nmであた。
【0217】
結果として得られた組成物が、超音波処理前のD50粒径が約2ミクロンを上回る副腎皮質ステロイド組成物を含んでいたため、抗ヒスタミン薬とナノ粒子副腎皮質ステロイドのこの特定の組み合わせは、用いた副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬の濃度では、不首尾に終わった。
【0218】
実施例13
この実施例の目的は、ナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬を含む組成物を調製して、その特徴を調べることであった。
【0219】
ナノ粒子プロピオン酸フルチカゾン(0.40g;実施例3)を、1.25%塩酸アゼラスチン溶液(0.16g)および水(1.44g)と混ぜ合わせて、1%プロピオン酸フルチカゾンおよび0.1%塩酸アゼラスチンを含む2.00gの試料を得た(値はすべてw/w比に基づく)。
【0220】
副腎皮質ステロイドと抗ヒスタミン薬の配合の後に、副腎皮質ステロイドの粒径を測定した。プロピオン酸フルチカゾンの初期平均粒径は549nmであり、D50は287nm、D90は422nm、D95は552nmであった。1分間の超音波処理の後には、プロピオン酸フルチカゾンナノ粒子の平均サイズは217nmであり、D50は210nm、D90は323nm、D95は362nmであった。
【0221】
この実施例は、2種類の活性物質の配合後にナノ粒子副腎皮質ステロイドが2ミクロン未満のD50粒径を保持していたことから(超音波処理の前および後のいずれも)、ナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬を含む組成物の調製が首尾良く行われたことを示している。
【0222】
実施例14
この実施例の目的は、ナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬を含む組成物を調製して、その特徴を調べることであった。
【0223】
ナノ粒子プロピオン酸フルチカゾン(0.10g;実施例3)を、1.25%塩酸アゼラスチン溶液(4.00g)および水(0.90g)と混ぜ合わせて、0.1%プロピオン酸フルチカゾンおよび1%塩酸アゼラスチンを含む5.00gの試料を得た(値はすべてw/w比に基づく)。
【0224】
副腎皮質ステロイドと抗ヒスタミン薬の配合の後に、副腎皮質ステロイドの粒径を測定した。プロピオン酸フルチカゾンの初期平均粒径は177nmであり、D50は165nm、D90は270nm、D95は306nmであった。1分間の超音波処理の後には、プロピオン酸フルチカゾンナノ粒子の平均サイズは177nmであり、D50は165nm、D90は271nm、D95は307nmであった。
【0225】
この実施例は、2種類の活性物質の配合後にナノ粒子副腎皮質ステロイドが2ミクロン未満のD50粒径を保持していたことから(超音波処理の前および後のいずれも)、ナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬を含む組成物の調製が首尾良く行われたことを示している。
【0226】
実施例15
この実施例の目的は、ナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬を含む組成物を調製して、その特徴を調べることであった。
【0227】
ナノ粒子プロピオン酸フルチカゾン(0.10g;実施例3)を、1.25%塩酸アゼラスチン溶液(0.40g)および水(4.50g)と混ぜ合わせて、0.1%プロピオン酸フルチカゾンおよび0.1%塩酸アゼラスチンを含む5.00gの試料を得た(値はすべてw/w比に基づく)。
【0228】
副腎皮質ステロイドと抗ヒスタミン薬の配合の後に、副腎皮質ステロイドの粒径を測定した。プロピオン酸フルチカゾンの初期平均粒径は1298nmであり、D50は340nm、D90は3752nm、D95は5026nmであった。1分間の超音波処理の後には、プロピオン酸フルチカゾンナノ粒子の平均サイズは1355nmであり、D50は380nm、D90は3769nm、D95は4957nmであった。
【0229】
この実施例は、2種類の活性物質の配合後にナノ粒子副腎皮質ステロイドが2ミクロン未満のD50粒径を保持していたことから(超音波処理の前および後のいずれも)、ナノ粒子副腎皮質ステロイドおよび抗ヒスタミン薬を含む組成物の調製が首尾良く行われたことを示している。
【0230】
当業者には、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、本発明の組成物、方法および使用法にさまざまな修正および変更を加えうることは明らかであろう。したがって、本発明は、本発明の修正および変更を、それらが添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内に収まる限りは含むものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のものを含む組成物:
(a)少なくとも1つの抗ヒスタミン薬;
(b)約2000nm未満の有効平均粒径を有する、少なくとも1つの副腎皮質ステロイド;および
(c)少なくとも1つの副腎皮質ステロイド。
【請求項2】
抗ヒスタミン薬が、塩酸アゼラスチン、マレイン酸クロルフェニラミン、ロラタジン、アステミゾール、ジクロフェナク、テルフェナジン、マレイン酸ブロムフェニラミン、ピペロキサム、エチレンジアミン系薬剤、エタノールアミン系薬剤、アルキルアミン系薬剤、ピペラジン系薬剤、三環系薬剤、アクリバスチン、アステミゾール、セチリジン、ロラタジン、ミゾラスチン、テルフェナジン、アゼラスチン、レボカバスチン、オロパチジン、レボセチリジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、クロモグリケート、ネドクロミル、シメチジン、ラニチジン、ファモチジン、チオペラミド、クロベンプロピト、インプロミジン、塩、プロドラッグ、エステルおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
抗ヒスタミン薬が、メピラミン(ピリラミン)、アンタゾリン、ジフェンヒドラミン、カルビノキサミン、ドキシラミン、クレマスチン、ジメンヒドリナート、フェニラミン、クロレナミン(クロルフェニラミン)、デクスクロルフェニラミン、ブロムフェニラミン、トリプロリジン、シクリジン、ヒドロキシジン、メクリジン、プロメタジン、アリメマジン(トリメプラジン)、シプロヘプタジン、アザタジン、塩、プロドラッグ、エステルおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
副腎皮質ステロイドが、フルチカゾン、プロピオン酸フルチカゾン、ブデソニド、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、モメタゾン、フルニソリド、フルニソリド半水和物、デキサメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、フルオシノロン、フルオシノニド、ベタメタゾン、モメタゾン、フロ酸モメタゾン一水和物、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾンおよびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項記載の組成物。
【請求項5】
副腎皮質ステロイド粒子が、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約650nm未満、約600nm未満、約550nm未満、約500nm未満、約450nm未満、約400nm未満、約350nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満または約50nm未満からなる群より選択されるサイズを有する、請求項1〜4のいずれか一項記載の組成物。
【請求項6】
抗ヒスタミン薬の量が重量比で約0.1〜約10%である、請求項1〜5のいずれか一項記載の組成物。
【請求項7】
副腎皮質ステロイドの量が重量比で約0.01〜約10%の範囲でありうる、請求項1〜6のいずれか一項記載の組成物。
【請求項8】
抗ヒスタミン薬を、約10mg/mLまたはそれ以上、約100mg/mLまたはそれ以上、約200mg/mLまたはそれ以上、約400mg/mLまたはそれ以上、および約600mg/mLからなる群より選択される濃度で含む、請求項1〜7のいずれか一項記載の組成物。
【請求項9】
副腎皮質ステロイドを、約10mg/mLまたはそれ以上、約100mg/mLまたはそれ以上、約200mg/mLまたはそれ以上、約400mg/mLまたはそれ以上、および約600mg/mLからなる群より選択される濃度で含む、請求項1〜8のいずれか一項記載の組成物。
【請求項10】
エアロゾルへと製剤化される組成物であって、かつ:
(a)抗ヒスタミン薬の量が重量比で約0.1〜約10%である;
(b)副腎皮質ステロイドの量が重量比で約0.01〜約10%の範囲でありうる;または
(c)(a)と(b)との組み合わせ、
である、請求項1〜9のいずれか一項記載の組成物。
【請求項11】
エアロゾル剤形へと製剤化される請求項1〜10のいずれか一項記載の組成物であって、エアロゾルが請求項1記載の組成物を含む小滴の液体分散体から形成され、小滴が100ミクロンよりも小さいかそれと等しい、約30〜約60ミクロン、約0.1〜約10ミクロン、約2〜約6ミクロン、および約2ミクロン未満からなる群より選択される空気力学的質量中位径を有する、組成物。
【請求項12】
エアロゾルの液体分散体小滴の実質的にすべてが、(i)少なくとも1つの抗ヒスタミン薬粒子、(ii)少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイド粒子、または(iii)少なくとも1つの抗ヒスタミン薬粒子および少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイド粒子を含む、請求項11記載のエアロゾル組成物。
【請求項13】
水性エアロゾルへと製剤化される請求項1〜12のいずれか一項記載の組成物であって、抗ヒスタミン薬が約0.05mg/mL〜最大で約600mg/mLで存在し、副腎皮質ステロイドが約0.05mg/mL〜最大で約600mg/mLで存在する、組成物。
【請求項14】
エアロゾル剤形へと製剤化される請求項1〜10のいずれか一項記載の組成物であって、エアロゾルが請求項1記載の組成物の凝集物の乾燥粉末から形成され、凝集物が100ミクロンよりも小さいかそれと等しい、約30〜約60ミクロン、約0.1〜約10ミクロン、約2〜約6ミクロン、および約2ミクロン未満からなる群より選択される空気力学的質量中位径を有する、組成物。
【請求項15】
乾燥粉末へと製剤化される請求項1〜10または14のいずれか一項記載の組成物であって、抗ヒスタミン薬が約0.05mg/g〜約990mg/gで存在し、副腎皮質ステロイドが約0.05mg/g〜約990mg/gで存在する、組成物。
【請求項16】
乾燥粉末の凝集物の実質的にすべてが、(i)少なくとも1つの抗ヒスタミン薬粒子、(ii)少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイド粒子、または(iii)少なくとも1つの抗ヒスタミン薬粒子および少なくとも1つのナノ粒子副腎皮質ステロイド粒子を含む、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
エアロゾル剤形へと製剤化される請求項1〜16のいずれか一項記載の組成物であって、約15秒間またはそれ未満での抗ヒスタミン薬およびナノ粒子副腎皮質ステロイド用量のエアロゾル投与のために適している、組成物。
【請求項18】
エアロゾル剤形へと製剤化される請求項1〜17のいずれか一項記載の組成物であって、多回投与吸入器から投与される噴射剤をさらに含む、組成物。
【請求項19】
経口、肺、耳、直腸、眼、眼部、結腸、非経口、槽内、腟内、静脈内、腹腔内、局所、口腔内、鼻および局部への投与からなる群より選択される投与のために製剤化される、請求項1〜18のいずれか一項記載の組成物。
【請求項20】
1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤、担体またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1〜19のいずれか一項記載の組成物。
【請求項21】
表面安定剤が、非イオン性表面安定剤、陰イオン性表面安定剤、陽イオン性表面安定剤、両性イオン性表面安定剤およびイオン性表面安定剤からなる群より選択される、請求項1〜20のいずれか一項記載の組成物。
【請求項22】
少なくとも1つの表面安定剤が、塩化セチルピリジニウム、ゼラチン、カゼイン、ホスファチド、デキストラン、グリセロール、アラビアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、グリセロールモノステアレート、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ロウ、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイド性二酸化ケイ素、ホスフェート、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、フタル酸ヒプロメロース、非晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンオキシドおよびホルムアルデヒドとの4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノールポリマー、ポロキサマー;ポロキサミン、荷電したリン脂質、ジオクチルスルホサクシネート、スルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルアリールポリエーテルスルホネート、ステアリン酸スクロースとジステアリン酸スクロースとの混合物、p-イソノニルフェノキシポリ-(グリシドール)、デカノイル-N-メチルグルカミド;n-デシルβ-D-グルコピラノシド;n-デシルβ-D-マルトピラノシド;n-ドデシルβ-D-グルコピラノシド;n-ドデシルβ-D-マルトシド;ヘプタノイル-N-メチルグルカミド;n-ヘプチル-β-D-グルコピラノシド;n-ヘプチル-β-D-チオグルコシド;n-ヘキシル-β-D-グルコピラノシド;ノナノイル-N-メチルグルカミド;n-ノイルβ-D-グルコピラノシド;オクタノイル-N-メチルグルカミド;n-オクチル-β-D-グルコピラノシド;オクチル-β-D-チオグルコピラノシド;リゾチーム、PEG-リン脂質、PEG-コレステロール、PEG-コレステロール誘導体、PEG-ビタミンA、PEG-ビタミンE、酢酸ビニルとビニルピロリドンとのランダムコポリマー、リゾチーム、陽イオン性ポリマー、陽イオン性バイオポリマー、陽イオン性多糖、陽イオン性セルロース化合物、陽イオン性アルギネート、陽イオン性非ポリマー性化合物、陽イオン性リン脂質、陽イオン性脂質、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミド、スルホニウム化合物、ポリビニルピロリドン-2-ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチル硫酸、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ホスホニウム化合物、四級アンモニウム化合物、ベンジル-ジ(2-クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナッツトリメチルアンモニウムクロリド、ココナッツトリメチルアンモニウムブロミド、ココナッツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナッツメチルジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、C12-15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、C12-15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、ココナッツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナッツジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチル硫酸、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムクロリド、ラウリルジメチル(エテノキシ)4アンモニウムブロミド、N-アルキル(C12-18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N-アルキル(C14-18)ジメチル-ベンジルアンモニウムクロリド、N-テトラデシルイドメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N-アルキルおよび(C12-14)ジメチル1-ナフチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハロゲン化物、アルキル-トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル-ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N-ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N-テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム、クロリド一水和物、N-アルキル(C12-14)ジメチル1-ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリ-ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル、塩化ベンザルコニウム、ステアラルコニウムクロリド化合物、臭化セチルピリジニウム、塩化セチルピリジウム、四級ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、アルキルピリジニウム塩;アミン、アミン塩、アミンオキシド、イミドアゾリニウム塩、プロトン化四級アクリルアミド、メチル化四級ポリマー、および陽イオン性グアールからなる群より選択される、請求項1〜21のいずれか一項記載の組成物。
【請求項23】
医用製剤の製造のための、請求項1〜22のいずれか一項記載の組成物の使用。
【請求項24】
医用製剤を鼻、肺または眼の疾患を治療するために用いることができる、請求項23記載の使用。
【請求項25】
抗ヒスタミン薬およびナノ粒子副腎皮質ステロイドの組成物を作製する方法であって、
(a)少なくとも1つの副腎皮質ステロイドの粒子を、約2,000nm未満の有効平均粒径を有するナノ粒子副腎皮質ステロイド組成物が提供されるのに十分な時間および条件の下で、少なくとも1つの表面安定剤と接触させる段階;ならびに
(b)少なくとも1つの抗ヒスタミン薬を組成物に添加する段階
を含み、
抗ヒスタミン薬の添加後に副腎皮質ステロイドが約2000nm未満の有効平均粒径を保持している、方法。
【請求項26】
接触が、粉砕、均質化、沈殿または超臨界流体操作を含む、請求項25記載の方法。

【公表番号】特表2008−534509(P2008−534509A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503175(P2008−503175)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/010535
【国際公開番号】WO2006/102494
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(507181350)エラン ファーマ インターナショナル リミテッド (18)
【Fターム(参考)】