説明

ナノ粒子状メロキシカムおよび制御放出ヒドロコドンを含む組成物

本発明は、患者への投与に際して、二峰性または多峰性で、ヒドロコドンを送達する、多粒子状修飾放出ヒドロコドン組成物と組み合わされた、ナノ粒子状メロキシカム組成物を含む組成物に関する。多粒子状修飾放出組成物は、第一構成要素および少なくとも1つの次なる構成要素を含み;第一構成要素は、ヒドロコドンを含む粒子の第一集団を含み、そして少なくとも1つの次なる構成要素は、ヒドロコドンを含む粒子の第二集団を含み、構成要素の組み合わせが、二峰性または多峰性放出プロフィールを示す。本発明はまた、こうした組み合わせ組成物を含む、固形経口剤形にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
本出願は、2006年6月23日に出願された仮出願第60/815,884号に優先権を請求し、そして本出願は、2006年3月10日に出願された出願第11/372,857号の一部継続出願であり、2004年4月19日に出願された出願第10/827,689号の一部継続出願であり、該出願は、2003年1月30日に出願された出願第10/354,483号、現米国特許第6,793,936号の継続出願であり、該出願は、2002年12月30日に出願された出願第10/331,754号、現米国特許第6,902,742号の継続出願であり、該出願は、2001年5月7日に出願された出願第09/850,425号、現米国特許第6,730,325号の継続出願であり、該出願は、2000年5月8日に出願された出願第09/566,636号、現米国特許第6,228,398号の継続出願であり、該出願は、1999年11月1日に出願された出願第PCT/US99/25632号の継続出願であり、該出願は、1998年11月2日に出願された仮出願第60/106,726号の優先権を請求する。
【0002】
発明の分野
本発明は、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体を含む多粒子状修飾放出組成物と組み合わされた、ナノ粒子状メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体を含む組成物に関する。特に、本発明は、運用中に、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体を、二峰性または多峰性様式で送達する、多粒子状修飾放出組成物と組み合わされた、ナノ粒子状メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体を含む組成物に関する。本発明はさらに、こうした多粒子状制御放出組成物を含む固形経口剤形、ならびにこうした組成物をその必要がある患者に送達するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
A.経口制御放出組成物に関する背景
疾患状態の予防および治療における薬学的化合物の有効性は、剤形から患者への化合物送達の速度および持続期間を含む、多様な要因に応じる。患者において、所定の剤形によって示される送達速度および持続期間の組み合わせは、in vivo放出プロフィールと記載されることも可能であり、そして投与する薬学的化合物に応じて、血漿プロフィールと称される、血漿中の薬学的化合物の濃度および持続期間と関連するであろう。薬学的化合物は、生物学的利用能、ならびに吸収速度および排出速度などの薬物動態学的特性が多様であるため、放出プロフィールおよび生じる血漿プロフィールは、有効な薬剤療法を設計する際に考慮すべき重要な要素となる。
【0004】
剤形の放出プロフィールは、放出の異なる速度および持続期間を示す可能性もあり、そして連続的である可能性もまたパルス的である可能性もある。連続放出プロフィールには、1以上の薬学的化合物が一定速度または可変速度のいずれかで連続して放出される放出プロフィールが含まれ、そしてパルス放出プロフィールには、少なくとも2つの別個の量の1以上の薬学的化合物が、異なる速度で、そして/または異なる時間枠に渡って放出される放出プロフィールが含まれる。任意の所定の薬学的化合物またはこうした化合物の組み合わせに関して、所定の剤形に関する放出プロフィールは、患者において、関連する血漿プロフィールを生じさせる。放出プロフィールに対して適用可能な変数と同様、患者における、関連する血漿プロフィールは、作用の持続期間に渡って、剤形中の薬学的化合物の一定または可変血漿濃度レベルを示す可能性もあり、そして連続的である可能性もまたパルス的である可能性もある。連続血漿プロフィールには、単一の血漿濃度最大値を示す、すべての速度および持続期間の血漿プロフィールが含まれる。パルス血漿プロフィールには、薬学的化合物の少なくとも2つのより高い血漿濃度レベルが、より低い血漿濃度レベルによって分離される血漿プロフィールが含まれる。2つのピークを示すパルス血漿プロフィールは、「二峰性」と記載可能である。
【0005】
剤形の2以上の構成要素が、異なる放出プロフィールを有する場合、全体としての剤形の放出プロフィールは、個々の放出プロフィールの組み合わせである。各構成要素が異なる放出プロフィールを有する、2構成要素の剤形の放出プロフィールは、「二峰性」と記載可能である。各構成要素が異なる放出プロフィールを有する、2より多い構成要素の剤形に関しては、剤形から生じる放出プロフィールは、「多峰性」と記載可能である。用いる薬学的化合物の薬物動態、ならびに剤形の構成要素の特定の放出プロフィールに、少なくとも部分的に応じて、二峰性または多峰性放出プロフィールは、患者において、連続またはパルス血漿プロフィールのいずれかを生じうる。即時放出(IR)剤形を定期的間隔で投与する、慣用的な頻繁な投薬措置は、典型的には、パルス血漿プロフィールを生じさせる。こうした場合、血漿薬剤濃度のピークは各JR用量投与後に観察され、継続する投与時点の間に底値(低薬剤濃度領域)が生じる。こうした投薬措置(および生じるパルス血漿プロフィール)は、該措置に関連して、特定の薬剤療法には有益な、特定の薬理学的および療法的効果を有する可能性もある。例えば、ピーク間の活性成分の血漿濃度の落ち込みによって提供されるウォッシュアウト(wash out)期間は、多様な種類の薬剤に対する患者耐性を減少させるかまたは予防する際に寄与する要因であると考えられてきている。
【0006】
多くの制御放出薬剤配合物は、薬剤化合物のゼロ次放出を生じることを目的とする。実際、慣用的な頻繁な投薬措置に関連する血漿濃度レベルのピークから底値までの変動を最小限にすることが、しばしば、これらの配合物の特定の目的である。しかし、特定の薬剤に関しては、ゼロ次放出薬剤送達系によって達成される一定のまたはほぼ一定の血漿濃度レベルの結果として、パルス系に本質的な療法的および薬理学的効果のいくつかが失われるかまたは減少しうる。したがって、頻繁な投薬の必要性を減少させつつ、頻繁なJR投薬措置の放出を実質的に模倣する、修飾放出組成物または配合物が望ましい。同様に、少なくとも2つの異なる放出プロフィールの利点を合わせて生じる、療法的に有効なパラメーター内の薬物動態学的値を示す血漿プロフィールを達成する、修飾放出組成物または配合物もまた望ましい。
【0007】
Shahら, J Cont. Rel.(1989)9:169−175は、療法剤とともに固形剤形に圧縮された特定の種類のヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテルが、二峰性放出プロフィールを生じうることを開示すると主張する。しかし、1つの供給業者由来のポリマーが二峰性プロフィールを生じる一方、異なる供給源から得られる、ほぼ同一の製品規格を持つ同じポリマーが、非二峰性放出プロフィールを生じることが注目される。
【0008】
Giunchediら, Int. J. Pharm(1991)77:177−181は、ケトプロフェンのパルス放出のための親水性マトリックス多単位配合物の使用を開示する。Giunchediらは、ケトプロフェンが、投薬後、血液から迅速に排除され(血漿半減期1〜3時間)、そしていくつかの治療には、一定の放出よりも薬剤の継続パルスがより有益でありうると解説する。開示される多単位配合物は、ゼラチンカプセル中に配置された4つの同一の親水性マトリックス錠剤を含む。in vivo研究によって、血漿プロフィール中に2つのピークが示されるが、よく明示されるウォッシュアウト期間はなく、そしてピークおよび底値血漿レベル間の変動は小さい。
【0009】
Conteら, Drug Dev. md. Pharm, (1989)15:2583−2596およびEP 0 274 734(Pharmidea Srl)は、継続パルスでのイブプロフェン送達用の三層錠剤の使用を解説する。三層錠剤は、活性成分を含有する第一層、第一層およびさらなる量の活性成分を含有する第三層の間に介在する、半透性物質のバリア層(第二層)で構成される。バリア層および第三層は、不透過性ケーシング中に収納される。第一層は、溶解性の液体と接触すると溶解するが、第三層は、バリア層の溶解または破裂後にしか利用可能でない。こうした錠剤中、活性成分の第一部分は直ちに放出されるはずである。このアプローチはまた、活性成分の2つの部分の送達の相対速度を制御するため、第一および第三層の間に半透性層を提供する必要もある。さらに、半透性層の破裂は、活性成分の第二部分の制御されないダンピングを導き、これは望ましくない可能性もある。
【0010】
米国特許第5,158,777号(E.R. Squibb & Sons Inc.)は、投与後の即時放出に利用可能なさらなるカプトプリルと組み合わされた、溶腸性または遅延放出コーティングpH安定性コア内のカプトプリルを含む配合物を開示する。pH安定性コアを形成するため、エデト酸二ナトリウムなどのキレート剤またはポリソルベート80などの界面活性剤を、単独でまたは緩衝剤と組み合わせて用いる。該組成物は、経口投与後の即時放出に利用可能なある量のカプトプリル、および結腸における放出に利用可能なさらなる量のpH安定性カプトプリルを有する。
【0011】
米国特許第4,728,512号、第4,794,001号および第4,904,476号(American Home Products Corp.)は、3つの別個の放出を提供する調製物に関する。該調製物は、活性薬剤物質を含有する3群のスフェロイドを含有する:第一群のスフェロイドは、コーティングされず、そして摂取に際して迅速に分解して、薬剤物質の最初の用量を放出し;第二群のスフェロイドは、pH感受性コーティングでコーティングされて、第二の用量を提供し;そして第三群のスフェロイドは、pH独立性コーティングでコーティングされて、第三の用量を提供する。該調製物は、前全身性に広範に代謝されるか、または比較的短い排出半減期を有する薬剤物質の反復放出を提供するように設計されている。
【0012】
米国特許第5,837,284号(Mehtaら)は、即時放出粒子および遅延放出粒子を有するメチルフェニデート剤形を開示する。遅延放出は、特定の充填剤と組み合わされたアンモニオメタクリレートpH独立性ポリマーの使用によって提供される。
【0013】
B.ヒドロコドンに関する背景
患者において耐性を生じうる薬剤の典型的な例は、ヒドロコドンである。ヒドロコドンまたはジヒドロコデイノン(Vicodin(登録商標)、Anexsia(登録商標)、Dicodid(登録商標)、Hycodan(登録商標)、Hycomine(登録商標)、Lorcet(登録商標)、Lortab(登録商標)、Norco(登録商標)、Hydroco(登録商標)、Tussionex(登録商標)およびVicoprofen(登録商標)として市販)はまた、4,5a−エポキシ−3−メトキシ−17−メチルモルフィナン−6−オン酒石酸(1:1)水和物(2:5)としても知られ、天然存在オピエート、コデインまたはテバインのいずれかに由来するオピオイドである。該化合物は以下の構造を有する:
【0014】
【化1】

【0015】
ヒドロコドンは、化学式C1821NO、299.368の分子量、および4〜8時間の半減期を有する。
ヒドロコドンは、経口活性麻酔性鎮痛および鎮咳剤である。この薬剤の販売および製造は、近年有意に増加しており、これは転用および違法な使用があるためである。ヒドロコドンは、一般的に、錠剤、カプセルおよびシロップ型で入手可能である。
【0016】
麻酔剤として、ヒドロコドンは、脳および脊髄中のオピオイド受容体に結合することによって、疼痛を和らげる。食品を伴いまたは伴わずに摂取可能である。アルコールとともに摂取すると、眠気が増強されうる。モノアミン酸化酵素阻害剤、ならびに眠気を引き起こす他の薬剤と相互作用しうる。一般的な副作用には、めまい、軽い頭痛、吐き気、眠気、陶酔感、嘔吐、および便秘が含まれる。いくつかのより一般的でない副作用は、アレルギー反応、血液障害、気分の変化、精神的混乱、不安、無気力、排尿困難、尿管痙攣、不規則な呼吸または呼吸抑制および発疹である。
【0017】
ヒドロコドンは、習慣性になる可能性もあり、そして肉体的および精神的依存を導きうる。米国において、純粋なヒドロコドンおよび投薬単位あたり15mgより多くを含有する型は、スケジュールII薬剤と見なされる。アセトアミノフェンまたは別の非規制薬剤と組み合わされて投薬単位あたり15mg以下を含有するものは、ヒドロコドン化合物と呼ばれ、そしてスケジュールIII薬剤と見なされる。ヒドロコドンは、パラセタモール(アセトアミノフェン)、アスピリン、イブプロフェンおよびホマトロピンメチルブロミドなどの他の薬剤と組み合わせて見いだされうる。
【0018】
ヒドロコドン含有製品中にアセトアミノフェンが存在すると、多くの薬剤使用者が過剰な量を摂取するのが阻止される。しかし、熱湯/冷水を用いてアセトアミノフェン部分を抽出し、薬剤の水溶性要素を利用することによって、これを回避する使用者もある。中毒者にとって、過剰な量のアセトアミノフェンを長期間に渡って消費したために肝臓に問題を有することは、珍しいことではなく、24時間のうちに10,000〜15,000ミリグラムのアセトアミノフェンを摂取すると、典型的には、重度の肝臓毒性を生じ、そして一日に15,000〜20,000ミリグラムの範囲の用量は、致死と報告されている。多くの中毒者がオキシコンチンなどの単一実体オピエートしか使用しないのは、この要因のためである。
【0019】
ヒドロコドンの一日消費量は、オピエートに耐性でない患者では、40ミリグラムを超えてはならない。しかし、2006 PDR(Physicians Desk Reference)には、10ミリグラムのヒドロコドンおよび325ミリグラムのApapを含有するNorco 10は、1日あたり最高12錠の投薬量(ヒドロコドン120ミリグラム)で摂取してもよいと明らかに述べられている。こうした多量のヒドロコドンは、オピエート耐性患者にのみ意図され、そしてこうしたレベルへの用量設定は、非常に注意深く監視されなければならない。この制限条件は、各々325ミリグラムのApapを含有する12錠が、患者を4,000mgのApapの24時間FDA最大値にすぐ迫る量にさらすという事実によってのみ制限される。いくつかの特別に合成された製品が、1日あたり最大180mgのヒドロコドンの用量で、慢性疼痛患者にルーチンに投与されている。この薬剤への耐性は、乱用した場合、非常に迅速に増加しうる。このため、中毒者は、ヒドロコドン使用のごく初期に経験した恍惚状態を追求して、しばしば、ひとつかみの丸剤を摂取することによって過剰摂取する。ヒドロコドン過剰投与の症状には、呼吸抑制、極端な眠気、昏睡、昏迷、冷たいおよび/またはじとじとした皮膚、ときに徐脈、および低血圧が含まれる。重度の過剰摂取には、循環虚脱、心停止および/または死が伴いうる。
【0020】
C.メロキシカムに関する背景
メロキシカムは、4−ヒドロキシ−2−メチル−N−(5−メチル−2−チアゾリル)−2−H−1,2−ベンゾチアジン−3−カルボキサミド1,1−ジオキシドとしても知られ、非ステロイド性抗炎症薬剤(NSAID)のエノール酸群のメンバーである。メロキシカムは、以下の化学構造を持つオキシカム誘導体である:
【0021】
【化2】

【0022】
メロキシカムは、C1413の実験式および351.41の分子量を有する。The Physicians' Desk Reference, 第56版, pp.1054(2002);およびThe Merck Index, Ed., pp.1040−1041(Merck & Co. 2001)を参照されたい。メロキシカムは、水に実質的に不溶性であり、強酸および強塩基中ではより高い溶解度が観察される。メタノールには非常にわずかしか可溶性でない。The Physicians' Desk Reference, 第56版, pp.1054。
【0023】
4−ヒドロキシ−2H−l,2−ベンゾチアジン−3−カルボキサミド−1,1−ジオキシド、およびその塩、ならびにこれらの化合物を調製する方法、該化合物を活性成分として含有する薬学的組成物、および該化合物を消炎剤として使用する方法が、米国特許第4,233,299号に論じられる。独国特許第2,756,113号もまた参照されたい。ウマにおけるメロキシカムの薬理学が、Leesら, Brit. Vet. J., 147:97(1991)に論じられ;イヌにおける獣医学的試験が、Hendersonら, Prakt. Tierarzt., 75:179(1994)に論じられ;メロキシカムの物理化学特性が、Tsaiら, Helv. Chim. Acta, 76:842(1993)に論じられ;薬理学、作用機構および臨床的有効性が、Brit. J. Rheumatol., 35(Suppl. l):l−77(1996)に論じられ;そして関節炎における胃腸耐性の臨床試験が、Hawkeyら, Brit. I Rheumatol., 37:937(1998)、およびDequekerら, Brit. J. Rheumatol., 37:946(1998)に論じられる。
【0024】
メロキシカムは、抗炎症、鎮痛、および解熱活性を示す。他のNSAID同様、メロキシカムの主な作用機構は、プロスタグランジン合成減少を生じるシクロオキシゲナーゼ(COX)酵素系の阻害を通じる。The Physicians' Desk Reference, 第56版, pp.1054(2002)を参照されたい。COX酵素系は、少なくとも2つのCOXアイソフォームで構成される。COX−1は、胃腸管および腎臓で恒常的に発現され、そして胃粘膜産生および適切な腎血流に必要なプロスタグランジンの産生に関与する。Vaneら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:2046−2050(1994); Ouletteら, Proc. Natl. Acad. Sci., 98:14583−14588(2001);およびSeibertら, Proc. Natl. Acad. Sci., 91:12013−12017(1994)を参照されたい。対照的に、COX−2は、健康な組織には存在せず、そしてその発現は、特定の炎症状態において誘導される。同上。
【0025】
COX−2によるプロスタグランジンの病的産生は、関節リウマチ、変形性関節症、発熱、ぜんそく、骨吸収、心臓血管疾患、腎毒性、アテローム性動脈硬化症、および低血圧を含む、いくつかのヒト疾患状態に関与する。同上。上昇したプロスタグランジンレベルは、これらの状態に関連する疼痛、硬直、および炎症を引き起こす、炎症促進性シグナルを増進するかまたは延長させる。Smithら, Proc. Natl. Acad. Sci., 95:13313−13318(1998)を参照されたい。
【0026】
メロキシカムは、COX−2を選択的に阻害して、出血、胸焼け、逆流、下痢、吐き気、および腹痛などの胃腸の問題を引き起こすことがより少ないため、伝統的な非選択的NSAIDより勝る。メロキシカムは、COX−2/COX−1阻害比0.09で、COX−2を優先的に阻害する。選択的にCOX−2およびこの酵素が関与するプロスタグランジンの病的産生を阻害することが望ましく、これはNSAIDの療法的鎮痛/抗炎症特性が、炎症部位での誘導性COX−2の阻害によって生じるためである。逆に、胃腸潰瘍および腎不全を含む、NSAIDに対する不都合な薬剤反応の大部分は、恒常的COX−1酵素の阻害から生じる。これは、こうしたCOX−1の阻害の結果、胃粘膜産生および腎血液循環に必要なプロスタグランジンが産生されないためである。Vaneら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:2046(1994); Ouletteら, Proc. Natl. Acad. Sci., 98:14583(2001);およびSeibertら, Proc. Natl. Acad. Sci., 91:12013(1994)を参照されたい。誘導性酵素、COX−2の活性を阻害することによって、プロスタグランジンの生合成を選択的に阻害する化合物は、COX−1阻害に関連する不都合な副作用を伴わずに、抗炎症効果を発揮する。
【0027】
メロキシカムがその商標名で市販されたことがあるかまたは市販されている商標名のいくつかには、MOBIC(登録商標)、MOBEC(登録商標)、MOBICOX(登録商標)、MOVALIS(登録商標)、およびMOVATEC(登録商標)が含まれる。メロキシカムは、有痛性変形性関節症(関節症、変性関節疾患)の対症療法、関節リウマチの対症療法、強直性脊椎炎の対症療法、ならびに疼痛、硬直および炎症を含む変形性関節症の徴候および症状の対症療法に有用であることが示されてきている。
【0028】
米国において、現在市販されているメロキシカムの型は、7.5および15mg錠剤で提供される、MOBIC(登録商標)(Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals, Inc., コネチカット州リッジフィールド)である。単回30mg経口用量の生物学的利用能は、30mg静脈内ボーラス注射に比較した際、89%である。メロキシカムの単回静脈内用量の薬物動態学は、5〜60mgの範囲で用量比例的である。The Physicians' Desk Reference, 第56版, pp.1054(2002)を参照されたい。メロキシカムの多数回経口用量の投与後、薬物動態学は、7.5〜15mgの範囲で用量比例的である。吸収速度または度合いは、多数回用量投与によって影響されない。絶食定常条件下で、平均Cmaxは、4〜5時間以内に達成され、第二のメロキシカム濃度ピークは、投与のおよそ12〜14時間後に生じ、これは、胃腸再循環を示唆する。健康な成人男性における定常状態摂食条件下では、7.5mg錠剤は、1.05μg/mlの平均Cmax、4.9時間のTmax、および20.1時間のt1/2を有する。年配男性および女性における定常状態摂食条件下では、15mg錠剤は、それぞれ、2.3および3.2μg/mlのCmax、それぞれ、5および6時間のTmax、ならびにそれぞれ、21および24時間のt1/2を有する。The Physicians' Desk Reference, 第56版, pp.1054(2002)を参照されたい。
【0029】
メロキシカムは、変形性関節症の徴候および症状の緩和に関してのみ試験され、そしてFDAによって認可されてきたが、関節リウマチ、腰痛、および急性疼痛の徴候および症状を緩和する際に、例えば術後疼痛の治療、戦場の傷から生じる疼痛、および偏頭痛の治療に、有用でありうる。メロキシカムは、炎症に関連するすべての種類の疼痛の治療に、特に有用でありうる。
【0030】
メロキシカムのようなNSAIDは、麻酔鎮痛剤の鎮静および依存特性を伴わずに鎮痛効果を提供するため、疼痛管理に有用である。さらに、メロキシカムはt1/2が長く、このため、麻酔鎮痛剤によっては提供されない、長く続く緩和に有用なものとなっている。しかし、典型的に、作用発現までが長いため、慣用的なメロキシカムを含めた慣用的なNSAIDは、しばしば、急性疼痛の管理には不適切である。
【0031】
メロキシカムは、水に実質的に不溶性であるため、この薬剤の十分な生物学的利用能を達成するのは困難である。メロキシカムの生物学的利用能を増加させる先行技術の方法には、薬剤のシクロデキストリン複合体を形成することによって(米国特許第6,284,269号を参照されたい)、あるいは無機または有機塩基で、メロキシカムの塩を形成することによって(米国特許出願公報第US2002/0035107 A1号)、その溶解度を増加させることが含まれる。
【0032】
「Ophthalmic Formulation of a Selective Cyclooxygenase−2 Inhibitory Drug」に関して公開された米国特許出願第20020035264号は、薬学的組成物が、約2〜約24時間の有効滞留時間を有するように、目の障害を治療および/または予防するのに有効な濃度の、選択的COX−2阻害薬剤、または水溶性が低い薬剤のナノ粒子、および目からの除去速度を減少させる、目に許容されうる1以上の賦形剤を含有する、目への局所投与に適した、薬学的組成物を記載する。この公開された出願に提供される、こうした、目に許容されうる賦形剤の例には、in situゲル化可能(gellable)水性溶液、懸濁物または溶液/懸濁物を形成する、架橋カルボキシル含有ポリマーが含まれる。米国特許第5,192,535号に記載されるこうした賦形剤は、望ましくない可能性もある。さらに、この開示は、目の配合物に限定され、偏頭痛を治療するための経口迅速作用発現メロキシカム配合物に関する必要性に取り組んでいない。
【0033】
「Selective Cyclooxygenase2 Inhibitors and Vasomodulator Compounds for Generalized Pain and Headache Pain」に関して公開された米国特許出願第20020077328号は、疼痛の治療、改善、予防、または遅延に有用な、選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤の高エネルギー型、血管調節剤、および薬学的に許容されうる賦形剤、キャリアー、または希釈剤を含む療法的組み合わせに言及する。シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤および血管調節剤は、各々、疼痛の治療、予防、改善または遅延に寄与するのに有効な量で存在する。開示される血管調節剤には、血管収縮剤、血管拡張剤、気管支拡張剤、および気管支収縮剤、例えばレニン−アンギオテンシン系アンタゴニスト、ニトロ血管拡張剤、直接血管拡張剤、カルシウムチャネル遮断薬剤、ホスホジエステラーゼ阻害剤、交感神経様作用剤、交感神経遮断剤、および酸化窒素シンターゼ阻害剤が含まれる。こうしたさらなる薬学的剤は、望ましくない副作用を引き起こしうるため、望ましくない可能性もある。
【0034】
D.ナノ粒子状活性剤組成物に関する背景
ナノ粒子状活性剤組成物は、米国特許第5,145,684号(「’684特許」)に最初に記載された、粒子表面上に吸着したかまたは表面と会合した非架橋表面安定剤を有する、ほとんど溶解性でない療法剤または診断剤からなる粒子である。
【0035】
ナノ粒子状活性剤組成物を作製する方法は、例えば、どちらも「Method of Grinding Pharmaceutical Substances」に関する、米国特許第5,518,187号および第5,862,999号;「Continuous Method of Grinding Pharmaceutical Substances」に関する米国特許第5,718,388号;ならびに「Process of Preparing Therapeutic Compositions Containing Nanoparticles」に関する米国特許第5,510,118号に記載される。
【0036】
ナノ粒子状活性剤組成物は、また、例えば、「Use of Ionic Cloud Point Modifiers to Prevent Particle Aggregation During Sterilization」に関する米国特許第5,298,262号;「Method to Reduce Particle Size Growth During Lyophilization」に関する第5,302,401号;「X−Ray Contrast Compositions Useful in Medical Imaging」に関する第5,318,767号;「Novel Formulation For Nanoparticulate X−Ray Blood Pool Contrast Agents Using High Molecular Weight Non−ionic Surfactants」に関する第5,326,552号;「Method of X−Ray Imaging Using lodinated Aromatic Propanedioates」に関する第5,328,404号;「Use of Charged Phospholipids to Reduce Nanoparticle Aggregation」に関する第5,336,507号;「Formulations Comprising Olin 10−G to Prevent Particle Aggregation and Increase Stability」に関する第5,340,564号;「Use of Non−Ionic Cloud Point Modifiers to Minimize Nanoparticulate Aggregation During Sterilization」に関する第5,346,702号;「Preparation and Magnetic Properties of Very Small Magnetic−Dextran Particles」に関する第5,349,957号;「Use of Purified Surface Modifiers to Prevent Particle Aggregation During Sterilization」に関する第5,352,459号;どちらも「Surface Modified Anticancer Nanoparticles」に関する、第5,399,363号および第5,494,683号;「Water Insoluble Non−Magnetic Manganese Particles as Magnetic Resonance Enhancement Agents」に関する第5,401,492号;「Use of Tyloxapol as a Nanoparticulate Stabilizer」に関する第5,429,824号;「Method for Making Nanoparticulate X−Ray Blood Pool Contrast Agents Using High Molecular Weight Non−ionic Surfactants」に関する第5,447,710号;「X−Ray Contrast Compositions Useful in Medical Imaging」に関する第5,451,393号;「Formulations of Oral Gastrointestinal Diagnostic X−Ray Contrast Agents in Combination with Pharmaceutically Acceptable Clays」に関する第5,466,440号;「Method of Preparing Nanoparticle Compositions Containing Charged Phospholipids to Reduce Aggregation」に関する第5,470,583号;「Nanoparticulate Diagnostic Mixed Carbamic Anhydrides as X−Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging」に関する第5,472,683号;「Nanoparticulate Diagnostic Dimers as X−Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging」に関する第5,500,204号;「Nanoparticulate NSAID Formulations」に関する第5,518,738号;「Nanoparticulate lododipamide Derivatives for Use as X−Ray Contrast Agents」に関する第5,521,218号;「Nanoparticulate Diagnostic Diatrizoxy Ester X−Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging」に関する第5,525,328号;「Process of Preparing X−Ray Contrast Compositions Containing Nanoparticles」に関する第5,543,133号;「Surface Modified NSAID Nanoparticles」に関する第5,552,160号;「Formulations of Compounds as Nanoparticulate Dispersions in Digestible Oils or Fatty Acids」に関する第5,560,931号;「Polyalkylene Block Copolymers as Surface Modifiers for Nanoparticles」に関する第5,565,188号;「Sulfated Non−ionic Block Copolymer Surfactant as Stabilizer Coatings for Nanoparticle Compositions」に関する第5,569,448号;「Formulations of Compounds as Nanoparticulate Dispersions in Digestible Oils or Fatty Acids」に関する第5,571,536号;「Nanoparticulate Diagnostic Mixed Carboxylic Anydrides as X−Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging」に関する第5,573,749号;「Diagnostic Imaging X−Ray Contrast Agents」に関する第5,573,750号;「Redispersible Nanoparticulate Film Matrices With Protective Overcoats」に関する第5,573,783号;「Site−specific Adhesion Within the GI Tract Using Nanoparticles Stabilized by High Molecular Weight, Linear Poly(ethylene Oxide) Polymers」に関する第5,580,579号;「Formulations of Oral Gastrointestinal Therapeutic Agents in Combination with Pharmaceutically Acceptable Clays」に関する第5,585,108号;「Butylene Oxide−Ethylene Oxide Block Copolymers Surfactants as Stabilizer Coatings for Nanoparticulate Compositions」に関する第5,587,143号;「Milled Naproxen with Hydroxypropyl Cellulose as Dispersion Stabilizer」に関する第5,591,456号;「Novel Barium Salt Formulations Stabilized by Non−ionic and Anionic Stabilizers」に関する第5,593,657号;「Sugar Based Surfactant for Nanocrystals」に関する第5,622,938号;「Improved Formulations of Oral Gastrointestinal Diagnostic X−Ray Contrast Agents and Oral Gastrointestinal Therapeutic Agents」に関する第5,628,981号;「Nanoparticulate Diagnostic Mixed Carbonic Anhydrides as X−Ray Contrast Agents for Blood Pool and Lymphatic System Imaging」に関する第5,643,552号;「Continuous Method of Grinding Pharmaceutical Substances」に関する第5,718,388号;「Nanoparticles Containing the R(−)Enantiomer of Ibuprofen」に関する第5,718,919号;「Aerosols Containing Beclomethasone Nanoparticle Dispersions」に関する第5,747,001号;「Reduction of Intravenously Administered Nanoparticulate Formulation Induced Adverse Physiological Reactions」に関する第5,834,025号;「Nanocrystalline Formulations of Human Immunodeficiency Virus(HIV) Protease Inhibitors Using Cellulosic Surface Stabilizers」に関する第6,045,829号;「Methods of Making Nanocrystalline Formulations of Human Immunodeficiency Virus(HIV) Protease Inhibitors Using Cellulosic Surface Stabilizers」に関する第6,068,858号;「Injectable Formulations of Nanoparticulate Naproxen」に関する第6,153,225号;「New Solid Dose Form of Nanoparticulate Naproxen」に関する第6,165,506号;「Methods of Treating Mammals Using Nanocrystalline Formulations of Human Immunodeficiency Virus(HIV) Protease Inhibitors」に関する第6,221,400号;「Nebulized Aerosols Containing Nanoparticle Dispersions」に関する第6,264,922号;「Methods for Preventing Crystal Growth and Particle Aggregation in Nanoparticle Compositions」に関する第6,267,


989号;「Use of PEG−Derivatized Lipids as Surface Stabilizers for Nanoparticulate Compositions」に関する第6,270,806号;「Rapidly Disintegrating Solid Oral Dosage Form」に関する第6,316,029号;「Solid Dose Nanoparticulate Compositions Comprising a Synergistic Combination of a Polymeric Surface Stabilizer and Dioctyl Sodium Sulfosuccinate」に関する第6,375,986号;「Bioadhesive Nanoparticulate Compositions Having Cationic Surface Stabilizers」に関する第6,428,814号;「Small Scale Mill」に関する第6,431,478号;「Methods for Targeting Drug Delivery to the Upper and/or Lower Gastrointestinal Tract」に関する第6,432,381号;「Nanoparticulate Dispersions Comprising a Synergistic Combination of a Polymeric Surface Stabilizer and Dioctyl Sodium Sulfosuccinate」に関する第6,592,903号;「Apparatus for sanitary wet milling」に関する第6,582,285号;「Nanoparticulate Compositions Comprising Amorphous Cyclosporine」に関する第6,656,504号;「System and Method for Milling Materials」に関する第6,742,734号;「Small Scale Mill and Method Thereof」に関する第6,745,962号;「Liquid droplet aerosols of nanoparticulate drugs」に関する第6,811,767号;「Compositions having a combination of immediate release and controlled release characteristics」に関する第6,908,626号;「Nanoparticulate compositions comprising copolymers of vinyl pyrrolidone and vinyl acetate as surface stabilizers」に関する第6,969,529号;ならびに「System and Method for Milling Materials」に関する第6,976,647号にも記載され、これらはすべて、本明細書に特に援用される。さらに、「Controlled Release Nanoparticulate Compositions」に関する米国特許公報第20020012675 Al号;「Nanoparticulate Fibrate Formulations」に関する米国特許公報第20050276974号;「Nanoparticulate compositions having a peptide as a surface stabilizer」に関する米国特許公報第20050238725号;「Nanoparticulate megestrol formulations」に関する米国特許公報第20050233001号;「Compositions comprising antibodies and methods of using the same for targeting nanoparticulate active agent delivery」に関する米国特許公報第20050147664号;「Novel metaxalone compositions」に関する米国特許公報第20050063913号;「Novel compositions of sildenafil free base」に関する米国特許公報第20050042177号;「Gel stabilized nanoparticulate active agent compositions」に関する米国特許公報第20050031691号;「Novel glipizide compositions」に関する米国特許公報第20050019412号;「Novel griseofulvin compositions」に関する米国特許公報第20050004049号;「Nanoparticulate topiramate formulations」に関する米国特許公報第20040258758号;「Liquid dosage compositions of stable nanoparticulate active agents」に関する米国特許公報第20040258757号;「Nanoparticulate meloxicam formulations」に関する米国特許公報第20040229038号;「Novel fluticasone formulations」に関する米国特許公報第20040208833号;「Compositions and method for milling materials」に関する米国特許公報第20040195413号;「Solid dosage forms comprising pullulan」に関する米国特許公報第20040156895号;「Novel nimesulide compositions」に関する米国特許公報第米国特許公報第米国特許公報第20040156872号;「Novel triamcinolone compositions」に関する米国特許公報第20040141925号;「Novel nifedipine compositions」に関する米国特許公報第20040115134号;「Low viscosity liquid dosage forms」に関する米国特許公報第20040105889号;「Gamma irradiation of solid nanoparticulate active agents」に関する米国特許公報第20040105778号;「Novel benzoyl peroxide compositions」に関する米国特許公報第20040101566号;「Nanoparticulate beclomethasone dipropionate compositions」に関する米国特許公報第20040057905号;「Nanoparticulate compositions of angiogenesis inhibitors」に関する米国特許公報第20040033267号;「Nanoparticulate sterol formulations and novel sterol combinations」に関する米国特許公報第20040033202号;「Nanoparticulate nystatin formulations」に関する米国特許公報第20040018242号;「Drug delivery systems and methods」に関する米国特許公報第20040015134号;「Nanoparticulate polycosanol formulations & novel polycosanol combinations」に関する米国特許公報第20030232796号;「Fast dissolving dosage forms having reduced friability」に関する米国特許公報第20030215502号;「Nanoparticulate compositions having lysozyme as a surface stabilizer」に関する米国特許公報第20030185869号;「Nanoparticulate compositions of mitogenactivated protein(MAP) kinase inhibitors」に関する米国特許公報第20030181411号;「Compositions having a combination of immediate release and controlled release characteristics」に関する米国特許公報第20030137067号;「Nanoparticulate compositions comprising copolymers of vinyl pyrrolidone and vinyl acetate as surface stabilizers」に関する米国特許公報第20030108616号;「Nanoparticulate insulin」に関する米国特許公報第20030095928号;「Method for high through put screening using a small scale mill or microfluidics」に関する米国特許公報第20030087308号;「Drug delivery systems & methods」に関する米国特許公報第20030023203号;「System and method for milling materials」に関する米国特許公報第20020179758号;および「Apparatus for sanitary wet milling」に関する米国特許公報第20010053664号は、ナノ粒子状活性剤組成物を記載し、そして本明細書に特に援用される。
【0037】
特に、「Nanoparticulate meloxicam formulations」に関する米国特許公報第20040229038号は、ナノ粒子状メロキシカム配合物を記載し、そして本明細書に援用される。
【0038】
非晶質小粒子組成物は、例えば、「Particulate Composition and Use Thereof as Antimicrobial Agent」に関する米国特許第4,783,484号;「Method for Making Uniformly Sized Particles from Water−Insoluble Organic Compounds」に関する第4,826,689号;「Method for Making Uniformly−Sized Particles From Insoluble Compounds」に関する第4,997,454号;「Ultrasmall, Non−aggregated Porous Particles of Uniform Size for Entrapping Gas Bubbles Within and Methods」に関する第5,741,522号;および「Ultrasmall Porous Particles for Enhancing Ultrasound Back Scatter」に関する第5,776,496号に記載される。前述の特許はすべて、本明細書に援用される。
【0039】
慣用的なヒドロコドン配合物に伴う問題は、これらが習慣性でありうることである。当該技術分野には、こうした副作用を軽減しうる制御放出配合物に関する必要性がある。さらに、当該技術分野には、現存する組み合わせ組成物に対する代替物を提供する、制御放出ヒドロコドンの新規組み合わせ組成物に関する必要性がある。本発明はこれらの必要性を満たす。
【発明の概要】
【0040】
発明の概要
本発明の目的は、患者に投与した際に、二峰性または多峰性放出プロフィールを示す、ヒドロコドンを含む粒子の少なくとも2集団を含む多粒子状修飾放出組成物と組み合わされた、ナノ粒子状メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体を含む組成物を提供することである。
【0041】
本発明の別の目的は、制御放出ヒドロコドン組成物であって、二峰性様式で、該組成物の第一部分、すなわちヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体が、投与に際して即時放出され、そしてヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の第二部分が、最初の遅延期間後に迅速に放出される、前記制御放出ヒドロコドン組成物と組み合わされた、ナノ粒子状メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体を含む組成物を提供することである。
【0042】
本発明の別の目的は、患者に投与した際に、療法的に有効な薬物動態パラメーター内の血漿プロフィールを生じる、二峰性または多峰性放出プロフィールを示す、ヒドロコドンを含む粒子の少なくとも2集団を含む多粒子状修飾放出組成物と組み合わされた、ナノ粒子状メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体を含む組成物を提供することである。
【0043】
本発明のさらなる目的は、患者に投与した際に、パルス放出プロフィールおよび/またはパルス血漿プロフィールを示す、ヒドロコドンを含む粒子の少なくとも2集団を含む多粒子状修飾放出組成物と組み合わされた、ナノ粒子状メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体を含む組成物を提供することである。
【0044】
本発明のさらに別の目的は、患者に投与した際、(1)連続して投与される2以上のJR剤形の投与によって生じる血漿プロフィールと実質的に類似の血漿プロフィールを生じ、そして/または(2)連続して投与される2以上のJR剤形の投与によって生じる薬理学的および療法的効果を実質的に模倣する、ヒドロコドンを含む粒子の少なくとも2集団を含む多粒子状修飾放出組成物と組み合わされた、ナノ粒子状メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体を含む組成物を提供することである。
【0045】
即時放出(IR)剤形を定期的間隔で投与する、慣用的な頻繁な投薬措置は、典型的には、パルス血漿プロフィールを生じさせる。こうした場合、血漿薬剤濃度のピークは、各JR用量投与後に観察され、継続する投与時点の間に、底値(低薬剤濃度領域)が発生する。こうした投薬措置(および生じるパルス血漿プロフィール)は、該措置に関連する特定の薬理学的および療法的効果を有する。例えば、ピーク間の活性成分の血漿濃度の落ち込みによって提供されるウォッシュアウト期間は、多様な種類の薬剤に対する患者耐性を減少させるかまたは予防する際に寄与する要因であると考えられてきている。
【0046】
本発明はさらに、こうしたプロフィールが有益であるならば、連続して投与される2以上のJR剤形の投与によって生じる「ピーク」および「底値」を排除するヒドロコドン血漿プロフィールを、運用中に生じる、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体を含む制御放出組成物と組み合わされた、ナノ粒子状メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体を含む組成物に関する。この種類のプロフィールは、「ゼロ次」送達を可能にする制御放出機構を用いて得られうる。したがって、本発明のさらなる目的は、運用中に、パルス様式またはゼロ次様式で、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体を送達する、制御放出ヒドロコドン組成物と組み合わされた、ナノ粒子状メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体を含む組成物を提供することである。
【0047】
本明細書に開示するものと類似の多粒子状修飾制御放出組成物が、Devaneらに対する米国特許第6,228,398号および第6,730,325号に開示され、そして請求され;これらはどちらも、本明細書に援用される。また、この分野の適切な先行技術もすべて、該特許中に見いだされうる。
【0048】
本発明の別の目的は、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体に対する患者耐性の発展を実質的に減少させるかまたは排除する制御放出組成物と組み合わされた、ナノ粒子状メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体を含む組成物を提供することである。
【0049】
本発明の別の目的は、浸食可能配合物、拡散制御配合物、または浸透圧制御配合物の形で、投薬量を配合することである。本発明の別の目的は、二峰性または多峰性様式でヒドロコドンまたはナノ粒子状メロキシカムを放出可能な制御放出組成物であって、活性剤の第一部分が、即時または遅延後のいずれかで放出されて、薬剤放出のパルスを提供し、そしてそれぞれの遅滞時間後に、ヒドロコドンまたはナノ粒子状メロキシカムの1以上のさらなる部分が放出されて、最大24時間の期間中に、薬剤放出のさらなるパルスを提供する、前記制御放出組成物を提供することである。
【0050】
本発明のさらにさらなる目的は、粒子の第一集団中の1以上の活性成分の量が、組成物中の1以上の活性成分の量の少量の部分であり、そして粒子の1以上のさらなる集団中の1以上の活性成分の量が、組成物中の1以上の活性成分の量の多量の部分である、ヒドロコドンを含む粒子の少なくとも2集団を含む多粒子状修飾放出組成物と組み合わされた、ナノ粒子状メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体を含む組成物を提供することである。
【0051】
本発明のさらにさらなる目的は、本発明の多粒子状修飾放出組成物と組み合わされた、ナノ粒子状メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体を含む組成物を含む固形剤形を提供することである。本発明の好ましい剤形は、固形経口剤形であるが、任意の薬学的に許容されうる剤形を利用してもよい。
【0052】
本発明の別の側面は、本発明記載の組成物、および薬学的に許容されうるキャリアー、ならびにいくつかの所望の賦形剤の任意の1以上を含む、薬学的組成物に関する。
本発明の1つの態様は、ナノ粒子状メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体の薬物動態プロフィールが、メロキシカム組成物を摂取する被験体の摂食状態または絶食状態によって影響されない、ヒドロコドンを含む粒子の少なくとも2集団を含む多粒子状修飾放出組成物と組み合わされた、ナノ粒子状メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体を含む組成物を含む。
【0053】
さらに別の態様において、本発明は、絶食状態にある被験体へのナノ粒子状メロキシカムの投与が、摂食状態にある被験体へのナノ粒子状メロキシカムの投与に生物学的に同等である、ヒドロコドンを含む粒子の少なくとも2集団を含む多粒子状修飾放出組成物と組み合わされた、ナノ粒子状メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体を含む組成物を含む。
【0054】
上記態様のすべてにおいて、ナノ粒子状メロキシカム粒子は、約2000nm未満の有効平均粒子サイズを有し、そして好ましくは、また、メロキシカム粒子の表面上に吸着したかまたは表面と会合した、少なくとも1つの表面安定剤も含む。
【0055】
本発明はさらに、ナノ粒子状メロキシカム組成物を作製する方法を開示する。こうした方法は、メロキシカム粒子の有効平均粒子サイズを、約2000nm未満に減少させる時間および条件下で、少なくとも1つの表面安定剤とメロキシカム粒子を接触させる工程を含む。
【0056】
本発明はまた、限定されるわけではないが、疼痛の治療を含む治療法であって、療法的に有効な量の本発明の組成物を含む剤形を投与して、該剤形に含まれるヒドロコドンの二峰性または多峰性放出を提供する工程を含む、前記治療法にも関する。
【0057】
本発明の他の目的には、運用中、連続して投与される2つの即時放出ヒドロコドン剤形の投与によって生じる血漿プロフィールと実質的に類似の血漿プロフィールを生じる、ヒドロコドンおよびナノ粒子状メロキシカムの1日1回剤形、ならびにこうした剤形の投与に基づく、疼痛状態の予防法および治療法を提供することが含まれる。
【0058】
上記目的は、ヒドロコドン粒子の第一集団を含む第一構成要素、およびヒドロコドン粒子の第二集団を含む第二構成要素または配合物を有する、制御放出組成物と組み合わされた、ナノ粒子状メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体を含む組成物によって達成される。第二構成要素のヒドロコドンを含む粒子は、放出コーティングまたは放出マトリックス物質、あるいは両方を含む、修飾放出構成物質をさらに含む。経口送達後、組成物は、運用中、パルスまたはゼロ次様式で、ヒドロコドンを送達する。本発明の1つの態様において、本発明の組成物は、最大24時間の期間中に、パルスまたはゼロ次様式で、ヒドロコドンを送達する。
【0059】
本発明は、以前よりもより頻繁でない投薬、そして好ましくは1日1回の投与を可能にして、患者利便性およびコンプライアンスを増加させる固形経口投薬配合物からの、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の制御放出送達を利用する。制御放出機構は、好ましくは、限定されるわけではないが、浸食可能配合物、拡散制御配合物、および浸透圧制御配合物を利用するであろう。総用量の一部は、即時放出されて、効果の迅速な作用発現を可能にしてもよい。本発明は、限定されるわけではないが、疼痛状態の治療を含む、ヒドロコドンを必要とするすべての治療に関する、コンプライアンス、そしてしたがって療法的結果を改善するのに有用であろう。
【0060】
好ましい制御放出配合物は、浸食可能配合物、拡散制御配合物、および浸透圧制御配合物である。本発明にしたがって、総用量の一部は、即時放出されて、効果の迅速な作用発現を可能にし、総用量の残りの部分は、延長された期間に渡って放出される。本発明は、ヒドロコドンを必要とするすべての治療に関する、コンプライアンス、そしてしたがって療法的結果を改善するのに有用であろう。
【0061】
前述の一般的な説明、ならびに以下の図面の簡単な説明および詳細な説明は、例であり、そして説明のためのものであり、そして請求されるような本発明のさらなる説明を提供するよう意図される。他の目的、利点、および新規特徴は、本発明の以下の詳細な説明から、当業者には容易に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、ヒドロコドンの20%がIR構成要素中に含有される、10mgヒドロコドン配合物の単回用量シミュレーションを示す。
【図2】図2は、ヒドロコドンの20%がJR構成要素中に含有される、10mgヒドロコドン配合物の単回用量シミュレーションを示す。
【図3】図3は、ヒドロコドンの20%がJR構成要素中に含有される、10mgヒドロコドン配合物の定常状態シミュレーションを示す。
【図4】図4は、ヒドロコドンの20%がJR構成要素中に含有される、10mgヒドロコドン配合物の定常状態シミュレーションを示す。
【図5】図5は、ヒドロコドンの50%がIR構成要素中に含有される、10mgヒドロコドン配合物の単回用量シミュレーションを示す。
【図6】図6は、ヒドロコドンの50%がJR構成要素中に含有される、10mgヒドロコドン配合物の単回用量シミュレーションを示す。
【図7】図7は、ヒドロコドンの50%がJR構成要素中に含有される、10mgヒドロコドン配合物の定常状態シミュレーションを示す。
【図8】図8は、ヒドロコドンの50%がIR構成要素中に含有される、10mgヒドロコドン配合物の定常状態シミュレーションを示す。
【図9】図9は、ヒドロコドンの20%がIR構成要素中に含有される、20〜160mg/日ヒドロコドン配合物(オプション1)の単回用量シミュレーションを示す。
【図10】図10は、ヒドロコドンの20%がJR構成要素中に含有される、20〜160mg/日ヒドロコドン配合物(オプション1)の定常状態シミュレーションを示す。
【図11】図11は、ヒドロコドンの20%がIR構成要素中に含有される、20〜80mg BIDヒドロコドン配合物(オプション3)の単回用量シミュレーションを示す。
【図12】図12は、ヒドロコドンの20%がJR構成要素中に含有される、20〜80mg BIDヒドロコドン配合物(オプション3)の定常状態シミュレーションを示す。
【図13】図13は、ヒドロコドンの50%がJR構成要素中に含有される、20〜160mg/日ヒドロコドン配合物(オプション1)の単回用量シミュレーションを示す。
【図14】図14は、ヒドロコドンの50%がJR構成要素中に含有される、20〜160mg/日ヒドロコドン配合物(オプション1)の定常状態シミュレーションを示す。
【図15】図15は、ヒドロコドンの50%がJR構成要素中に含有される、20〜160mg/日ヒドロコドン配合物(オプション3)の単回用量シミュレーションを示す。
【図16】図16は、ヒドロコドンの50%がJR構成要素中に含有される、20〜160mg/日ヒドロコドン配合物(オプション3)の定常状態シミュレーションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
発明の詳細な説明
本発明の組成物は、(a)ナノ粒子状メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体、および少なくとも1つの表面安定化剤を含む組成物;ならびに(b)ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の経口制御放出組成物を含む。
【0064】
制御放出ヒドロコドンと組み合わされた非制御放出ナノ粒子状メロキシカム組成物の目的は:(1)薬剤相乗効果を通じて、増加した鎮痛を提供すること;および(2)処方された用量より高い用量では、不快な、そしてしばしば安全でない副作用を引き起こすことによって、ヒドロコドンの摂取を制限することの少なくとも2要素である。
【0065】
本発明は、本発明にしたがった組成物を利用して、疼痛軽減が必要な患者を治療する方法を提供する。該方法は、制御放出ヒドロコドン組成物と組み合わされたナノ粒子状メロキシカム組成物を含む、固形経口剤形などの剤形の療法的に有効な量を投与して、ヒドロコドンのパルスまたは二峰性またはゼロ次送達を提供する工程を含む。本発明の利点には、パルス血漿プロフィールから得られる利点をなお維持するか、あるいは「ピーク」対「底値」比を排除するかまたは最小限にしつつ、慣用的な多数回IR投薬措置によって必要とされる投薬頻度を減少させることが含まれる。この投薬頻度の減少は、患者コンプライアンスの観点から、減少した頻度で投与可能な配合物を有する点で好適である。本発明を利用することによって可能になる投薬頻度の減少は、薬剤投与にあたる医療従事者が消費する時間を減少させることによって、健康管理コストを減少させることに寄与するであろう。
【0066】
本発明の1つの態様において、標準的な薬物動態学的実施にしたがったナノ粒子状メロキシカム組成物は、慣用的な非ナノ粒子状メロキシカム剤形よりも、約100%大きい、約90%大きい、約80%大きい、約70%大きい、約60%大きい、約50%大きい、約40%大きい、約30%大きい、約20%大きい、または約10%大きい、生物学的利用能を有する。
【0067】
本発明の組成物は、限定されるわけではないが、経口、直腸、目、非経口(例えば静脈内、筋内、または皮下)、大槽内、肺、膣内、腹腔内、局部(例えば粉末、軟膏または滴)、あるいは頬側または鼻スプレーを含む、任意の慣用的手段を通じて、被験体に投与可能である。本明細書において、用語「被験体」は、動物、好ましくは、ヒトまたは非ヒトを含む哺乳動物を意味するよう用いられる。用語、患者および被験体は、交換可能に使用可能である。
【0068】
非経口注射に適した組成物は、生理学的に許容されうる無菌水性または非水性溶液、分散物、懸濁物またはエマルジョン、および無菌注射可能溶液または分散物に再構成するための無菌粉末を含んでもよい。適切な水性および非水性キャリアー、希釈剤、溶媒、またはビヒクルの例には、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレン−グリコール、グリセロール等)、その適切な混合物、植物油(オリーブ油など)およびオレイン酸エチルなどの注射可能有機エステルが含まれる。例えば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散物の場合は必要な粒子サイズを維持することによって、そして界面活性剤を使用することによって、適切な流動性を維持してもよい。
【0069】
組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分配剤などの佐剤も含有してもよい。パラベン、クロロブタノール(chiorobutanol)、フェノール、ソルビン酸等の多様な抗細菌剤および抗真菌剤によって、微生物増殖の予防を確実にしてもよい。糖、塩化ナトリウム等の等張剤を含むこともまた、望ましい可能性もある。モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの、吸収を遅延させる剤を使用することによって、注射可能薬学的型の吸収延長をもたらしてもよい。
【0070】
経口投与の固形剤形には、限定されるわけではないが、カプセル、錠剤、丸剤、粉末、および顆粒が含まれる。こうした固形剤形において、活性剤は、以下:(a)1以上の不活性賦形剤(またはキャリアー)、例えばクエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム;(b)充填剤または増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸;(c)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアラビアゴム;(d)保湿剤、例えばグリセロール;(e)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定の複合シリケート、および炭酸ナトリウム;(f)溶解遅延剤、例えばパラフィン;(g)吸収加速剤、例えば四級アンモニウム化合物;(h)湿潤剤、例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール;(i)吸着剤、例えばカオリンおよびベントナイト;ならびに(j)潤滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、またはそれらの混合物の少なくとも1つと混合される。カプセル、錠剤、および丸剤に関しては、剤形は緩衝剤もまた含んでもよい。
【0071】
経口投与のための液体剤形には、薬学的に許容されうるエマルジョン、溶液、懸濁物、シロップ、およびエリキシルが含まれる。ヒドロコドンおよびメロキシカムに加えて、液体剤形は、水または他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤などの、当該技術分野で一般的に用いられる不活性希釈剤を含んでもよい。例示的な乳化剤は、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、綿実油、ラッカセイ油、コーン胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油などの油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、あるいはこれらの物質の混合物等である。
【0072】
こうした不活性希釈剤に加えて、組成物にはまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、フレーバー剤、および香料などの佐剤も含まれてもよい。
本明細書において、メロキシカムおよびヒドロコドン投薬量に関する「療法的有効量」は、こうした治療が必要な被験体の有意な数において、ヒドロコドンまたはメロキシカムがそのために投与される、特定の薬理学的応答を提供する、投薬量を意味するものとする。特定の例において、特定の被験体に投与される「療法的有効量」は、こうした投薬量が当業者によって「療法的有効量」と見なされるとしても、本明細書に記載する状態を治療するのに常には有効でないことが強調される。メロキシカムおよびヒドロコドン投薬量が、特定の場合、経口投薬量として、または血中で測定されるような薬剤レベルに関連して、測定されることがさらに理解されるものとする。
【0073】
一般の当業者は、メロキシカムおよびヒドロコドンの有効量が、実験的に決定されてもよく、そして純粋な型で使用されてもよく、あるいは薬学的に許容されうる塩、エステル、またはプロドラッグ型が存在する場合、こうした型で使用されてもよいことを認識するであろう。本発明の組成物中のメロキシカムおよびヒドロコドンの実際の投薬レベルは、特定の組成物および投与法に関して、所望の療法応答を得るのに有効であるメロキシカムおよびヒドロコドンの量を得るため、多様でありうる。したがって、選択される投薬レベルは、所望の療法効果、投与経路、投与されるメロキシカムの強度、所望の治療期間、および他の要因に応じる。
【0074】
投薬単位組成物は、1日用量を構成するのに用いてもよいような、その約数の量を含有してもよい。しかし、任意の特定の患者に対する特定の用量レベルは、多様な要因:達成しようとする細胞または生理学的応答の種類および度合い;使用する特定の剤または組成物の活性;使用する特定の剤または組成物;患者の年齢、体重、全身の健康状態、性別、および食餌;投与時間、投与経路、および剤の排出速度;治療期間;特定の剤と組み合わせて、または同時に用いられる薬剤;ならびに医学業に周知の類似の要因に応じることが理解されるであろう。
【0075】
I.本発明の組成物の制御放出ヒドロコドン構成要素
A.定義
本明細書において、用語「増進剤」は、ヒトなどの動物において、胃腸管(GIT)を渡る正味輸送を促進することによって、活性成分の吸収および/または生物学的利用能を増進可能である化合物を指す。増進剤には、限定されるわけではないが、グリセリドおよびトリグリセリドを含む、中鎖脂肪酸、ならびにその塩、エステル、エーテルおよび誘導体;酸化エチレンと脂肪酸、脂肪性アルコール、アルキルフェノールあるいはソルビタンまたはグリセロール脂肪酸エステルを反応させることによって調製可能なものなどの非イオン性界面活性剤;チトクロムP450阻害剤、P−糖タンパク質阻害剤等;ならびにその混合物が含まれる。
【0076】
用語「粒子状」は、本明細書において、そのサイズ、形状または形態にかかわりなく、別個の粒子、ペレット、ビーズまたは顆粒の存在によって特徴付けられる物質の状態を指す。用語「多粒子状」は、本明細書において、そのサイズ、形状または形態にかかわりなく、複数の別個のまたは凝集した粒子、ペレット、ビーズ、顆粒またはその混合物を意味する。
【0077】
用語「修飾放出」は、コーティングまたはコーティング物質に関して本明細書において用いた際、あるいは他の任意の文脈で用いた際、即時放出でない放出を意味し、そして制御放出、持続放出および遅延放出を含むと解釈される。
【0078】
用語「時間遅延」は、本明細書において、組成物の投与および特定の構成要素からのヒドロコドンの放出の間の期間を指す。
用語「遅滞時間」は、本明細書において、1つの構成要素からのヒドロコドン送達および別の構成要素からのヒドロコドンの次なる送達の間の時間を指す。
【0079】
用語「浸食可能」は、本明細書において、体内の物質の作用によって、摩滅、減少、または劣化しうる配合物を指す。
用語「拡散制御」は、本明細書において、例えばより高い濃度の領域からより低い濃度の領域への、自発的な運動の結果として広がることが可能な、配合物を指す。
【0080】
用語「浸透圧制御」は、本明細書において、膜の両側の配合物の濃度を均一にする傾向がある半透膜を通じた、より高い濃度の溶液内への運動の結果として広がることが可能な配合物を指す。
【0081】
B.例示的な態様
本発明にしたがった組成物は、異なるin vivo溶解プロフィールを有する粒子を含む、少なくとも2集団のヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体を含む。
【0082】
多粒子状修飾放出組成物および該組成物から作製された剤形は、ヒドロコドンを含む少なくとも2つの構成要素を含む。1つの態様において、あるとすれば、第二および次なる構成要素からのヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の放出は、第一構成要素および各々の次なる構成要素からのヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の放出の間に遅滞時間があるように修飾されている。運用中のこうした組成物から生じる放出プロフィールにおけるパルスの数は、組成物中のヒドロコドンを含む構成要素の数に応じるであろう。例えば、ヒドロコドンを含む2構成要素を含む組成物は、放出プロフィールにおいて2つのパルスを生じさせ、そしてヒドロコドンを含む3構成要素を含む組成物は、放出プロフィールにおいて3つのパルスを生じさせるであろう。別の態様において、次なる構成要素からの活性成分の放出は、第一構成要素および各々の次なる構成要素からのヒドロコドンの放出が、実質的に投与に際して始まるが、異なる期間に渡り、そして/または異なる速度であるように修飾されている。
【0083】
例えば、制御放出組成物は、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の第一集団を含む第一構成要素、およびヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の第二集団を含む第二構成要素を有してもよい。第二構成要素のヒドロコドンを含む粒子は、修飾放出コーティングでコーティングされている。あるいはまたはさらに、ヒドロコドンを含む粒子の第二集団は、修飾放出マトリックス物質をさらに含む。経口送達後、運用中の組成物は、パルスまたはゼロ次様式で、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体を送達する。
【0084】
本発明の1つの態様において、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体を含む制御放出組成物は、運用中、二峰性またはパルスまたはゼロ次様式で、ヒドロコドンを送達する。こうした組成物は、運用中、2つのJRヒドロコドン用量の連続投与によって得られるものを実質的に模倣する、血漿プロフィールを生じる。
【0085】
本発明は、運用中、こうしたプロフィールが有益であるならば、連続して投与される2以上のJR剤形の投与によって生じる「ピーク」および「底値」を排除するかまたは最小限にする血漿プロフィールを生じる、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体を含む制御放出組成物にさらに関する。この種類のプロフィールは、「ゼロ次」送達を可能にする制御放出機構を用いて、得られうる。
【0086】
本発明の組成物に、任意の適切な剤形を用いてもよい。1つの態様において、本発明は、本発明にしたがった組成物を含む固形経口剤形を提供する。
各構成要素からのヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の送達に関する時間放出特性は、存在してもよい任意の賦形剤またはコーティングを修飾することを含めて、各構成要素の組成を修飾することによって、変化させうる。特に、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の放出は、粒子上に修飾放出コーティングが存在する場合、こうしたコーティングの組成および/または量を変化させることによって制御可能である。1より多い修飾放出構成要素が存在する場合、これらの構成要素の各々に関する修飾放出コーティングは、同じであってもまたは異なってもよい。同様に、修飾放出が、修飾放出マトリックス物質の包含によって容易になる場合、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の放出は、利用する修飾放出マトリックス物質の選択および量によって制御可能である。修飾放出コーティングは、各構成要素中に、各々の特定の構成要素に関して、所望の遅延時間を生じるのに十分な任意の量で、存在してもよい。修飾放出コーティングは、各構成要素中、構成要素間の所望の時間遅滞を生じるのに十分な任意の量で、存在してもよい。
【0087】
各構成要素からのヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の遅滞時間または遅延時間はまた、存在してもよい任意の賦形剤およびコーティングを修飾することを含めて、各構成要素の組成を修飾することによっても、変化させうる。例えば、第一構成要素は、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体が、投与に際して即時放出される、即時放出構成要素であってもよい。あるいは、第一構成要素は、例えば、時間遅延後、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の実質的に全体が即時放出される、時間遅延即時放出構成要素であってもよい。第二構成要素は、例えば、ちょうど記載したような時間遅延即時放出構成要素であってもよいし、あるいは、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体が、延長された期間に渡って、制御された様式で放出される、時間遅延持続放出または延長放出構成要素であってもよい。
【0088】
適切なヒドロコドンにはまた、ヒドロコドンのすべての薬学的に許容されうる塩、酸、エステル、複合体または他の誘導体も含まれ、そして適切なヒドロコドンは、1つの鏡像異性体の形、または鏡像異性体の混合物、ラセミ体もしくは別のものとしてのいずれかで、存在してもよいことが理解されるであろう。
【0089】
各構成要素中のヒドロコドンは、同じであってもまたは異なってもよい。1つの態様において、第一構成要素は、第一のヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体を含み、そして第二構成要素は、第二のヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体を含む。別の態様において、2以上のヒドロコドンを1以上の構成要素内に取り込んでもよい。さらに、組成物の1つの構成要素中に存在するヒドロコドンに、例えば、組成物の別の構成要素中の増進剤化合物または増感剤化合物が付随して、ヒドロコドンの生物学的利用能または療法効果を修飾してもよい。
【0090】
組成物中および該組成物から作製される剤形中に含まれるヒドロコドンの量は、組成物の構成要素を含む異なる粒子集団に渡って、均一にまたは不均一に配分されてもよいし、そして該組成物から作製される剤形中に含まれてもよい。1つの態様において、第一構成要素の粒子中に含まれるヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体は、組成物または剤形中のヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の総量の少量の部分を含み、そして他の構成要素中のヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の量は、組成物または剤形中のヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の総量の多量の部分を含む。2構成要素を含む1つのこうした態様において、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の総量の約20%が、第一構成要素の粒子中に含まれ、そしてヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の総量の約80%が、第二構成要素の粒子中に含まれる。
【0091】
ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体は、好ましくは、約0.1〜約1000mg、約1〜約160mg、または約5〜約80mgの量で、組成物中および剤形中に存在する。組成物および剤形中に含まれる特定のヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体に少なくとも部分的に応じて、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体は、約5〜約80mg、約5〜約60mg、約5〜約40mg、約5〜約20mg、約5〜約10mg、約10〜約80mg、約10〜約60mg、約10〜約40mg、約10〜約20mg、約20〜約80mg、約20〜約60mg、約20〜約40mg、約40〜約80mg、約40〜約60mg、または約60〜約80mgの量で存在する。
【0092】
活性成分がヒドロコドンである場合、好ましくは、活性成分は、組成物中および該組成物から作製される剤形中に、約5〜約160mgの量で存在し;より好ましくは、活性成分は、第一構成要素中に、約10〜約80mgの量で存在する。
【0093】
組成物の各構成要素からのヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の放出プロフィールは、存在してもよい任意の賦形剤またはコーティングを修飾することを含めて、各構成要素の組成を修飾することによって、変化させうる。特に、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の放出は、修飾放出コーティングが存在する場合、粒子に適用されるこうしたコーティングの選択および量によって制御可能である。1より多い修飾放出構成要素が存在する場合、これらの構成要素の各々の修飾放出コーティングは、同じでもまたは異なってもよい。同様に、修飾放出を修飾放出マトリックス物質によって達成する場合、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の放出は、利用する修飾放出マトリックス物質の選択および量によって制御可能である。
【0094】
例えば、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の第二集団に適用される修飾放出コーティングは、活性ヒドロコドンを含む粒子の第一集団からの活性剤の放出、およびヒドロコドンを含む粒子の第二集団からの活性剤の放出の間に遅滞時間を引き起こす。同様に、ヒドロコドンを含む粒子の第二集団中の修飾放出マトリックス物質の存在は、ヒドロコドンを含む粒子の第一集団からのヒドロコドンの放出、およびヒドロコドンを含む粒子の第二集団からのヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の放出の間に遅滞時間を引き起こす。遅滞時間の期間は、修飾放出コーティングの組成および/または量を改変し、そして/または利用する修飾放出マトリックス物質の組成および/または量を改変することによって、変化させうる。したがって、所望の血漿プロフィールを模倣するように、遅滞時間の期間を設計することも可能である。
【0095】
1つの態様において、第一構成要素は、該構成要素中に含まれるヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体が、投与に際して、実質的に即時放出される、即時放出構成要素であってもよい。別の態様において、第一構成要素は、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体が、時間遅延後に、実質的に即時放出される、遅延放出構成要素であってもよい。こうした態様のいずれかにおいて、第二構成要素は、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体が、ある期間に渡って放出されるか、または時間遅延後に実質的に即時放出される、修飾放出構成要素であってもよい。
【0096】
別の態様において、制御放出組成物は、即時放出構成要素および少なくとも1つの修飾放出構成要素を含み、該即時放出構成要素は、ヒドロコドンを含む粒子の第一集団を含み、そして該修飾放出構成要素は、ヒドロコドンを含む粒子の第二および次なる集団を含む。第二および次なる修飾放出構成要素は、制御放出コーティングを含んでもよい。さらにまたはあるいは、第二および次なる修飾放出構成要素は、修飾放出マトリックス物質を含んでもよい。運用中、例えば単一修飾放出構成要素を有するこうした多粒子状修飾放出組成物の投与は、組成物の即時放出構成要素が血漿プロフィールにおいて第一ピークを生じさせ、そして修飾放出構成要素が血漿プロフィールにおいて第二ピークを生じさせる、ヒドロコドンの特徴的なパルス血漿濃度レベルを生じる。1より多い修飾放出構成要素を含む本発明の態様は、血漿プロフィールにおいてさらなるピークを生じさせる。
【0097】
当業者に認識されるであろうように、血漿プロフィールの正確な性質は、上述の要因すべての組み合わせによって影響を受けるであろう。したがって、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体、およびあるとすれば修飾放出コーティングまたは修飾マトリックス物質の量および性質を含む、各構成要素の組成変動によって、患者への投与に際して、多くの血漿プロフィールが生じうる。各構成要素の放出プロフィールに応じて、生じる血漿プロフィールは、二峰性または多峰性である可能性もあり、そして各構成要素に関連する、よく分離され、そして明らかに明示されたピーク(例えば即時放出および遅延放出構成要素の間の遅滞時間が長い場合)、または各構成要素に関連する重ね合わされたピーク(例えば遅滞時間が短い場合)を明示する。例えば、即時放出構成要素および単一の修飾構成要素を有する、多粒子状修飾放出組成物の投与は、組成物の即時放出構成要素が血漿プロフィールにおいて第一ピークを生じさせ、そして修飾放出構成要素が血漿プロフィールにおいて第二ピークを生じさせる、血漿プロフィールを生じうる。1より多い修飾放出構成要素を含む本発明の態様は、血漿プロフィールにおいてさらなるピークを生じさせうる。あるいは、即時放出構成要素および1以上の修飾放出構成要素を有する多粒子状修飾放出組成物の投与は、二峰性または多峰性放出プロフィールを生じさせることも可能であるが、単一ピーク、または組成物中に含有される構成要素の数よりも少ない数のピークを有する血漿プロフィールを生じさせることも可能である。
【0098】
本発明の単一投薬単位の投与から生じる血漿プロフィールは、2以上の投薬単位を投与する必要を伴わずに、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の2以上の部分を送達することが望ましい際に好適である。さらに、いくつかの障害の場合、こうした二峰性血漿プロフィールを有することが特に有用である。例えばヒドロコドンなどの疼痛管理に用いる薬剤化合物を含む態様では、本発明の組成物および剤形は、血漿レベルにおけるピークから底値までの最小の変動を提供することによって、最大24時間の連続鎮痛を提供し、そしてこうした薬剤化合物に関連する副作用を減少させるかまたは排除することも可能である。
【0099】
本発明の実施において、所望の方式で、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の放出を修飾する任意のコーティング物質を用いてもよい。特に、本発明の実施において使用するのに適したコーティング物質には、限定されるわけではないが、ポリマーコーティング物質、例えば、酢酸フタル酸セルロース、セルロースアセテートトリマレテート(trimaletate)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、アンモニオメタクリレートコポリマー、例えば商標Eudragit(登録商標)RSおよびRLのもとに販売されているもの、ポリアクリル酸およびポリアクリレートおよびメタクリレートコポリマー、例えば商標Eudragit(登録商標)SおよびLのもとに販売されているもの、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セラック;ヒドロゲルおよびゲル形成性物質、例えばカルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ナトリウムカルメロース、カルシウムカルメロース、カルボキシメチルデンプンナトリウム、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、デンプン、ならびに水の吸着およびポリマーマトリックスの拡大を促進するように、架橋の度合いが低い、セルロースに基づく架橋ポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、架橋デンプン、微結晶性セルロース、キチン、アミノアクリル−メタクリレートコポリマー(Eudragit(登録商標)RS−PM、Rohm & Haas)、プルラン、コラーゲン、カゼイン、寒天、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、(膨張性親水性ポリマー)ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)(分子量〜5k−5,000k)、ポリビニルピロリドン(分子量〜10k−360k)、陰イオン性および陽イオン性ヒドロゲル、低アセテート残渣を有するポリビニルアルコール、寒天およびカルボキシメチルセルロースの膨張性混合物、無水マレイン酸およびスチレン、エチレン、プロピレンまたはイソブチレンのコポリマー、ペクチン(分子量〜30k−300k)、寒天、アラビアゴム、カラヤ、トラガカント、アルギンおよびグアーなどの多糖、ポリアクリルアミド、Polyox(登録商標)ポリエチレンオキシド(分子量〜100k−5,000k)、AquaKeep(登録商標)アクリレートポリマー、ポリグルカンのジエステル、架橋ポリビニルアルコールおよびポリN−ビニル−2−ピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム(例えばExplotab(登録商標); Edward Mandell C. Ltd.);親水性ポリマー、例えば多糖、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムまたはカルシウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースエーテル、ポリエチレンオキシド(例えばPolyox(登録商標)、Union Carbide)、メチルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、ゼラチン、コラーゲン、デンプン、マルトデキストリン、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酢酸ポリビニル、グリセロール脂肪酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、メタクリル酸のコポリマーまたはメタクリル酸(例えばEudragit(登録商標)、Rohm and Haas)、他のアクリル酸誘導体、ソルビタンエステル、天然ゴム、レシチン、ペクチン、アルギネート、アルギン酸アンモニア、アルギン酸ナトリウム、カルシウム、カリウム、アルギン酸プロピレングリコール、寒天、ならびにアラビアゴム、カラヤ、ローカストビーン、トラガカント、カラギーン、グアー、キサンタン、スクレログルカン(scleroglucan)などのゴム、ならびにその混合物およびブレンドが含まれる。
【0100】
可塑剤、潤滑剤、溶媒等の賦形剤をコーティングに添加してもよい。適切な可塑剤には、例えばアセチル化モノグリセリド;グリコール酸ブチルフタリルブチル;酒石酸ジブチル;フタル酸ジエチル;フタル酸ジメチル;グリコール酸エチルフタリルエチル;グリセリン;プロピレングリコール;トリアセチン;クエン酸塩;トリプロピオイン;ジアセチン;フタル酸ジブチル;アセチルモノグリセリド;ポリエチレングリコール;ヒマシ油;クエン酸トリエチル;ポリ水素アルコール、グリセロール、酢酸エステル、三酢酸グリセロール、クエン酸アセチルトリエチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ブチルオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ブチルオクチル、アゼライン酸ジオクチル、エポキシド化タレート(tallate)、トリイソクチルトリメリテート(triisoctyl trimellitate)、フタル酸ジエチルヘキシル、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−i−オクチルフタレート、ジ−i−デシルフタレート、ジ−n−ウンデシルフタレート、ジ−n−トリデシルフタレート、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、セバシン酸ジブチルが含まれる。
【0101】
修飾放出構成要素が修飾放出マトリックス物質を含む場合、任意の適切な修飾放出マトリックス物質または修飾放出マトリックス物質の適切な組み合わせを用いてもよい。こうした物質は、当業者に知られる。用語「修飾放出マトリックス物質」には、本明細書において、in vitroまたはin vivoで、分散したヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の放出を修飾することが可能な、親水性ポリマー、疎水性ポリマーおよびその混合物が含まれる。本発明の実施に適した修飾放出マトリックス物質には、限定されるわけではないが、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチル−セルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース、ポリエチレンオキシド、メチルセルロースおよびエチルセルロースなどのアルキルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、セルロースアセテートトリメリテート、ポリ酢酸フタル酸ビニル、ポリアルキルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ならびにその混合物が含まれる。
【0102】
本発明にしたがった多粒子状修飾放出組成物は、二峰性または多峰性様式で、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の放出を促進する任意の適切な剤形に取り込まれてもよい。典型的には、剤形は、即時放出および修飾放出構成要素を構成する粒子を含む、異なる集団のヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体のブレンドであってもよく、該ブレンドを、硬ゼラチンまたは軟ゼラチンカプセルなどの適切なカプセルに充填してもよい。あるいは、異なる個々の集団のヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体を含む粒子を、小型錠剤内に圧縮し(場合によってさらなる賦形剤とともに)、続いて、該小型錠剤を、適切な比率で、カプセル内に充填してもよい。別の適切な剤形は、多層錠剤のものである。こうした剤形において、多粒子状修飾放出組成物の第一構成要素を1つの層内に圧縮して、第二構成要素を多層錠剤の第二層として続いて添加してもよい。本発明の組成物を含む粒子を含む、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の集団はさらに、発泡性剤形または迅速融解剤形などの迅速に溶解する剤形に含まれてもよい。
【0103】
1つの態様において、本発明の組成物および該組成物から作製される剤形は、第一構成要素中に含まれるヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の実質的にすべてが、第二構成要素からのヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の放出前に放出されるように、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体を放出する。例えば、第一構成要素がIR構成要素を含む場合、第二構成要素からのヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の放出は、JR構成要素中のヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の実質的にすべてが放出されるまで、遅延されてもよい。第二構成要素からのヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の放出は、修飾放出コーティングおよび/または修飾放出マトリックス物質の使用によって、上記に詳述されるように、遅延可能である。
【0104】
投与に際して、制御放出ヒドロコドン組成物によって生じる血漿プロフィールは、連続して投与される2以上のJRヒドロコドン剤形の投与によって生じる血漿プロフィールと実質的に類似でありうるため、本発明の制御放出組成物は、患者耐性が問題となりうる場合に、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体を投与するのに特に有用である。したがって、この制御放出組成物は、組成物中のヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体に対する患者耐性の発展を減少させるかまたは最小限にするのに好適である。
【0105】
ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の第一用量の、患者の系からのウォッシュアウトを促進する投薬措置を提供することによって、患者耐性を最小限にすることが望ましい場合、第二構成要素からのヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の放出は、第一構成要素中に含まれるヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の実質的にすべてが放出されるまで遅延され、そして第一構成要素から放出されるヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の少なくとも部分が患者の系から一掃されるまでさらに遅延される。1つの態様において、組成物の第二構成要素からのヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の放出は、組成物投与後の少なくとも約2時間の期間、完全でないとしても、実質的に遅延される。
【0106】
別の態様において、本発明の組成物および該組成物から作製される剤形は、第一構成要素中に含まれるヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体が、第二構成要素からのヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の放出中に放出されるように、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体を放出する。1つのこうした態様において、組成物の第二構成要素からのヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の放出は、第一構成要素からのヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の放出中に、およびその放出が過ぎてからも生じる。
【0107】
C.制御放出ヒドロコドン組成物の他の種類
本明細書に記載するように、本発明には、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体を、パルスまたはゼロ次様式で送達可能な、多様な種類の制御放出系が含まれる。これらの系には、限定されるわけではないが:ポリマーマトリックス中にヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体を含むフィルム(モノリシック(monolithic)・デバイス);ポリマーによって含有されるヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体(貯留層デバイス);貯留層およびマトリックス・デバイスの形の、ポリマー性コロイド状粒子または微小被包物(微小粒子、ミクロスフェアまたはナノ粒子);多孔デバイス、あるいはヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の放出が浸透圧的に「制御」可能なデバイスを生じるための、親水性および/または浸出可能添加剤、例えば第二のポリマーを含有するポリマーによって含有される、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体(貯留層およびマトリックス・デバイス両方);溶腸コーティング(適切なpHでイオン化し、そして溶解する);(共有)結合した「ペンダント」ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体分子を含む(可溶性)ポリマー;放出速度が動的に制御されるデバイス:例えば浸透圧ポンプが含まれる。
【0108】
本発明の送達機構は、薬剤の放出速度を制御するであろう。いくつかの機構が、一定速度で(ゼロ次)、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体を放出する一方、他のものは、濃度勾配変化または多孔性を導くさらなる浸出などの要因に応じて、時間の関数として変化するであろう。持続放出コーティング中に用いられるポリマーは、必然的に生体適合性であり、そして理想的には生体分解性である。Aquacoat(登録商標)(FMC Corporation, Food & Pharmaceutical Products Division, 米国フィラデルフィア)(ミクロン未満のサイズの、水に基づく偽ラテックス分散物に機械的に球形化されたエチルセルロース)などの天然存在ポリマー、およびまたEudragit(登録商標)(Rohni Pharma, Weiterstadt.)、一連のポリ(アクリレート、メタクリレート)コポリマーなどの合成ポリマーの両方の例が当該技術分野に知られる。
【0109】
1.貯留層デバイス
制御放出に対する典型的なアプローチは、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体を、ポリマーフィルムまたはコーティング内に、完全に(例えばコアとして)被包するかまたは含有することである(すなわち微小カプセルまたはスプレー/全コーティングコア)。
【0110】
拡散プロセスに影響を及ぼしうる多様な要因を貯留層デバイスに容易に適用可能であり(例えば、添加剤の効果、ポリマー官能性(そしてしたがって、シンク溶液(sink−solution)pH)多孔性、フィルムキャスティング条件など)、そしてしたがって、貯留層デバイスの開発には、ポリマーの選択の考慮が重要であるはずである。したがって、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の輸送が溶液拡散機構によるものである貯留層デバイス(およびモノリシック・デバイス)の放出特性のモデル化は、関連する境界条件のために、典型的には、Fick第2法則(非定常状態条件;濃度依存性流動)に対する解が伴う。デバイスが、溶解したヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体を含有する場合、デバイス内の該剤の濃度(活性)(すなわち、放出の駆動力)が減少するにつれて、放出速度は経時的に指数関数的に減少する(すなわち、一次放出)。しかし、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体が飽和懸濁液中にある場合、デバイスがもはや飽和状態でなくなるまで、放出の駆動力は一定に維持される(ゼロ次)。あるいは、放出速度動力学は、脱離制御されてもよく、そして時間の平方根の関数でありうる。
【0111】
錠剤コア(透過物)が被包されていることから、浸透圧の内部増強が可能になり、次いで、該浸透圧が錠剤から透過物を押出すように作用するために、コーティング錠剤の輸送特性は、フリーポリマー・フィルムに比べて増進されうる。
【0112】
ポリ(エチレングリコール)(PEG)含有シリコーンエラストマー中でコーティングされた塩含有錠剤に対する脱イオン水の効果、およびまたフリーフィルムに対する水の効果が研究されている。錠剤からの塩の放出が、コーティングの水和によって形成される水充填孔を通じた拡散、および浸透圧ポンピングの混合であることが見出された。同様のフリーフィルムにおいて大きな膨張が観察されるにもかかわらず、ちょうど10%PEGを含有するフィルムを通じたKCl輸送は、無視できる程度であり、KClの放出に多孔性が必要であり、次いで、「孔通過拡散」によってKClの放出が生じることが示された。ディスク形状のコーティングされた塩錠剤は、脱イオン水中で膨張して、そして内部静水圧が増加した結果、形状が偏球に変化することが見出された:この形状の変化によって、生じる「力」を測定する手段が提供される。予期されうるように、浸透力は、PEG含量レベルの増加とともに減少した。PEGレベルが低いほど、水は水和ポリマーを通じて吸収されることが可能になるが、より高いレベルのPEG含量(20〜40%)でのコーティング溶解から生じる多孔性は、KClの流動によって圧力が緩和されることを可能にする。
【0113】
異なる2つの塩(例えば、KClおよびNaCl)の放出を(独立に)監視することによって、浸透圧ポンピングおよび孔通過拡散の両方が、錠剤からの塩の放出に寄与する相対的な大きさの計算が可能となった。PEGレベルが低いと、低い孔数密度しか生じないため、浸透性流動の度合いが孔通過拡散よりも増加した:20%装填では、両機構がほぼ同等に放出に寄与した。しかし、静水圧の増加によって浸透性流入および浸透圧ポンピングが減少した。PEGの装填がより高いと、水和フィルムはより多孔性になり、そして塩の流出に対する抵抗性がより低くなった。そのため、(より低い装填に比較して)浸透圧ポンピングが高くても、孔通過拡散が主要な放出機構であった。浸透圧放出機構はまた、水溶性コアを含有する微小カプセルに関しても報告されている。
【0114】
2.モノリシック・デバイス(マトリックス・デバイス)
モノリシック(マトリックス)・デバイスは、薬剤の放出を制御するための、おそらく最も一般的なデバイスである。これは、おそらく、該デバイスが、貯留層デバイスに比べて比較的容易に製造され、そして貯留層デバイスの膜の破裂から生じうる、偶発的な高投薬の危険性がないためである。こうしたデバイスにおいて、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体はポリマーマトリックス内の分散物として存在し、そしてこれらは、典型的にはポリマー/薬剤混合物の圧縮によって、あるいは溶解または融解によって形成される。モノリシック・デバイスの投薬量放出特性は、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体がポリマー中に分散しているかまたはポリマー中に溶解しているかに応じて、ポリマーマトリックスにおけるヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の溶解性に、あるいは多孔マトリックスの場合、粒子の孔ネットワーク内のシンク溶液における溶解性に、そしてまた、該ネットワークの屈曲性にも(フィルムの透過性よりも大きな度合いで)依存しうる。薬剤装填が低い(0〜5%W/V)と、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体は、溶液拡散機構(孔が存在しない場合)によって放出されるであろう。装填が高い(5〜10%W/V)と、放出機構は、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体が失われるにつれて、デバイスの表面近くに形成される空隙の存在によって複雑になるであろう:こうした空隙には環境から流体が充填されて、薬剤の放出速度が増加する。
【0115】
透過性を増進する手段として、マトリックス・デバイス(および貯留層デバイス)に可塑剤(例えば、ポリ(エチレングリコール))、または界面活性剤、または佐剤(すなわち、有効性を増加させる成分)を添加するのが一般的である(しかし、その一方、可塑剤は変化しやすい可能性もあり、そして単にフィルム形成を補助するのに役立ち、そしてしたがって、ポリマーペイントコーティングにおいて通常はより望ましい特性である透過性が低下する可能性もある)。多孔性を増加させることによって、PEG装填の関数として、PEGの浸出が(エチルセルロース)フィルムの透過性を直線的に増加させるように作用するが、該フィルムは、バリア特性を維持し、電解質の輸送を可能にしないことが注目された。PEG浸出によって厚みの有効な減少が引き起こされた結果、透過性が増進したと推論された。このことは、時間の関数としての単位面積当たりの累積透過流動、および50%W/VのPEG装填でのフィルム厚の逆数のプロットから実証された:均質な膜における(Fick)溶液拡散型輸送機構に関して予期されるように、プロットは、透過速度およびフィルム厚の逆数の間に直線的関係を示した。時間軸に対するグラフの直線領域の外挿により時間軸上に正の切片が生じ:その大きさはフィルム厚が減少するとゼロ方向に減少した。これらの遅滞時間の変化は、実験の早期段階中の2つの拡散流動の発生(「薬剤」の流動およびまたPEGの流動)に起因すると考えられ、そしてまた、より一般的な遅滞時間中に該フィルム中の透過物の濃度が増加することにもよると考えられた。透過物として用いた場合のカフェインは、負の遅滞時間を示した。この説明は直ちにはできないが、カフェインが該系において低い分配係数を示し、そしてこれが、同様な負の時間遅滞を示したポリエチレンフィルムを通じたアニリン透過の特徴でもあったことが注目された。
【0116】
(疎水性)マトリックス・デバイスに対する界面活性剤の添加の効果が研究されている。界面活性剤が、3つの可能な機構:(i)可溶化の増加、(ii)溶解媒体に対する「湿潤性」の改善、および(iii)界面活性剤浸出の結果としての孔形成により、ヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体の放出速度を増加させうると考えられた。研究した系(ソルビトールにより可塑化したEudragit(登録商標)RL100およびRS100、薬剤としてのフルルビプロフェン、ならびにある範囲の界面活性剤)に関して、錠剤の湿潤が改善されても、薬剤放出は部分的にしか改善されないと結論付けられた(放出は溶解ではなく、制御された拡散であることを示す)が、該効果はEudragit(登録商標)RLよりもEudragit(登録商標)RSに関して高く、一方、放出に対する最大の影響は、マトリックスにおいて「破壊」が形成されるために溶解性が高まり、マトリックス内への溶解媒体のアクセスが可能になる界面活性剤によるものであった。このことは、界面活性剤を含まない場合とは対照的に、界面活性剤を用いた場合、ポリマーラテックスが容易に調製可能であるため、薬剤コーティングに適切でありうるラテックスフィルムの研究に明らかに関連する。2つのポリマーの間には相違が見られ、Eudragit(登録商標)RSのみが、陰イオン性/陽イオン性界面活性剤および薬剤の間の相互作用を示した。これは、ポリマー上の四級アンモニウムイオンのレベルの違いに起因するものであった。
【0117】
薬剤をまったく含有しないポリマー中でコーティングされたポリマー/薬剤マトリックスからなる複合デバイスも存在する。こうしたデバイスは、水性Eudragit(登録商標)ラテックスから構築され、そしてコアからシェルを通じて薬剤が拡散することによってゼロ次放出が生じることが見出された。同様に、薬剤を含有するポリマーコアが製造されているが、このコアは、胃液によって浸食されるシェルによりコーティングされている。薬剤の放出速度は、相対的に直線的であり(シェルを通じた律速拡散プロセスの関数)、そしてシェル厚に反比例するが、コアのみからの放出は経時的に減少することが見出された。
【0118】
3.ミクロスフェア
薬剤が球体のシェル中に分散する中空ミクロスフェア(「ミクロバルーン」)、およびまた非常に多孔であるマトリックス型ミクロスフェア(「ミクロスポンジ」)の調製法が記載されている。ミクロスポンジは、薬剤およびポリマーをエタノール中に溶解することによって、調製された。水を添加すると、エタノールがエマルジョン小滴から拡散して、非常に多孔の粒子が残った。
【0119】
薬剤およびポリマーを含有するエタノール/ジクロロメタンの溶液を調製することによって、中空ミクロスフェアを形成した。水中に注入すると、コアセルベーション型プロセスによって、分散したポリマー/薬剤/溶媒粒子を含有するエマルジョンが形成され、該エマルジョンからエタノール(ポリマーの優れた溶媒)が迅速に拡散して、小滴の表面にポリマーが沈降し、ジクロロメタン中に溶解した薬剤を封入する硬質シェルで覆われた粒子が生じた。この時点で、ジクロロメタンのガス相が粒子内で発生して、シェルを通じて拡散した後に、水性相の表面に泡立つことが観察された。次に、中空球体に減圧下で水を充填し、この水は乾燥の期間により除去することが可能であった。(水中に薬剤は見られなかった。)該ミクロスフェアの示唆される使用としては、胃で用いるための浮遊性薬剤送達デバイスとしての使用があった。
【0120】
4.ペンダント・デバイス
水性エマルジョン重合によって調製されたポリ(アクリレート)エステルラテックス粒子に、鎮痛剤および抗鬱剤などのある範囲の薬剤をエステル連結によって付着させる手段が開発されている。これらのラテックスは、ポリマー末端基がその強酸型に変換されるようにイオン交換樹脂を通過させた場合、エステル連結の加水分解による薬剤放出を「自己触媒する」ことが可能であった。
【0121】
薬剤がポリマーに付着され、そしてまた、ペンダント薬剤が付着したモノマーも合成されている。研究グループは、薬剤が、脆い化学結合によって生体適合性ポリマーに結合している、独自の剤形もまた調製しており、例えば、置換無水物(それ自体、酸塩化物と薬剤:メタクリロイルクロリドおよびメトキシ安息香酸のナトリウム塩の反応により調製される)から調製されるポリ無水物を用いて、第二のポリマー(Eudragit(登録商標)RL)を含むマトリックスを形成し、これは胃液中での加水分解時に薬剤を放出した。薬剤アミンのキャリアーとして用いるのに適したポリマー性シッフ塩基の使用もまた、記載されている。
【0122】
5.腸溶性フィルム
腸溶性コーティングはpH感受性ポリマーからなる。典型的には、ポリマーはカルボキシル化され、そしてpHが低いと水とほとんど相互作用せず(膨張せず)、一方、pHが高いとポリマーがイオン化してポリマーの膨張または溶解が引き起こされる。したがって、胃の酸性環境中で損なわれない(intact)ままである(この環境から薬剤、または薬剤から胃のいずれかを保護する)が、アルカリ性がより高い腸環境中で溶解するように、コーティングを設計することも可能である。
【0123】
6.浸透圧制御デバイス
浸透圧ポンプは、貯留層デバイスに類似であるが、半透膜を通じて周囲媒体から水を吸収するように作用する浸透圧性剤(例えば塩型の活性剤)を含有する。「基本浸透圧ポンプ」と呼ばれる、こうしたデバイスが記載されている。デバイス内に圧力が発生し、この圧力がオリフィスを通じてデバイスの外に活性剤を押し出す(オリフィスのサイズは、浸透圧を減少させ、そしてデバイスの寸法(体積)を変化させる効果を有する、静水圧水頭の構築を防止する一方、溶質拡散を最小限にするように設計される)。デバイスの内部体積が一定のままであり、そしてデバイス中に過剰な固体(飽和溶液)が存在する場合、放出速度は一定のままであり、溶媒取込み体積に等しい体積を送達する。
【0124】
7.電気刺激放出デバイス
例えば、外部電気的刺激が適用された場合に膨張して、pH変化を引き起こす高分子電解質ゲルを用いて、モノリシック・デバイスが調製されている。電流によって放出を調節して、パルス放出プロフィールを生じることも可能であった。
【0125】
8.ヒドロゲル
ヒドロゲルは、薬剤マトリックス中で用いられるほか、多くのバイオメディカル適用における使用が見出されている(例えば、ソフトコンタクトレンズ、および多様な「軟質」インプラント等)。
【0126】
II.本発明の組成物のナノ粒子状メロキシカム構成要素
本発明の組成物は、ナノ粒子状メロキシカム組成物を含む。ナノ粒子状メロキシカム組成物は、約2000nm未満の有効平均粒子サイズを有するメロキシカム粒子、および好ましくは、薬剤表面上に吸着したかまたは該表面と会合した、少なくとも1つの表面安定剤を含む。
【0127】
慣用的な非ナノ粒子状または可溶化剤形のメロキシカムに比較した際の、本発明のナノ粒子状メロキシカム組成物の利点には、限定されるわけではないが:(1)錠剤または他の固形剤形サイズがより小さく;(2)同じ薬理学的効果を得るために必要な薬剤用量がより小さく;(3)生物学的利用能が増加し;(4)絶食状態に対して、摂食状態で投与した際に、メロキシカム組成物の薬物動態プロフィールが実質的に類似であり;(5)絶食状態に対して、摂食状態で投与した際に、メロキシカム組成物が生物学的に同等であり;(6)メロキシカム組成物の溶解速度が増加し;そして(7)感染状態の予防および治療に有用な他の活性剤と組み合わせて、メロキシカム組成物を使用可能であることが含まれる。
【0128】
本発明にはまた、集合的にキャリアーと称される、1以上の非毒性の生理学的に許容されうるキャリアー、佐剤またはビヒクルを伴うナノ粒子状メロキシカム組成物も含まれる。非経口注射(例えば静脈内、筋内、または皮下)、固形、液体、またはエアロゾル型の経口投与、膣、鼻、直腸、目、局部(粉末、軟膏、または滴)、頬側、大槽内、腹腔内、または局所投与等のために、組成物を配合してもよい。
【0129】
本発明の好ましい剤形は、固形剤形であるが、任意の薬学的に許容されうる剤形を利用してもよい。例示的な固形剤形には、限定されるわけではないが、錠剤、カプセル、サシェー、ロゼンジ、粉末、丸剤、または顆粒が含まれ、そして固形剤形は、例えば、迅速融解剤形、制御放出剤形、凍結乾燥剤形、遅延放出剤形、延長放出剤形、パルス放出剤形、即時放出および制御放出の混合剤形、またはその組み合わせであってもよい。固形用量錠剤配合物が好ましい。
【0130】
本発明は、以下に、そして本出願全体に示すような、いくつかの定義を用いて、本明細書に記載される。
用語「有効平均粒子サイズ」は、本明細書において、例えば沈降流分画、光子相関分光、光分散、ディスク遠心分離、および当業者に知られる他の技術によって測定した際、重量により、または他の適切な測定技術により(例えば体積、数等によるなど)、ナノ粒子状メロキシカム粒子の少なくとも約50%が、約2000nm未満のサイズを有することを意味する。
【0131】
本明細書において、「約」は、一般の当業者に理解されるであろうし、そして使用する文脈に応じて、ある程度多様であろう。用いられた文脈に鑑みて、一般の当業者に明らかでない用語の使用がある場合は、「約」は、特定の用語のプラスまたはマイナス最大10%を意味するであろう。
【0132】
安定メロキシカム粒子に関して本明細書で使用する際、「安定な」は、粒子間引力またはそうでなければ粒子サイズの増加のため、粒子が認識可能に凝集(flocculate)または集塊(agglomerate)しないことを意味する。「安定な」は、限定されるわけではないが、以下のパラメーターの1以上を示す:(1)粒子が、粒子間引力、またはそうでなければ経時的な粒子サイズの有意な増加によって、認識可能に凝集または集塊せず;(2)非晶相から結晶相への変換によるなどで、粒子の物理的構造が経時的に改変されず;(3)粒子が化学的に安定であり;そして/または(4)メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体が、本発明のナノ粒子調製において、メロキシカム粒子の融点以上での加熱工程に供されていない。
【0133】
用語「慣用的」または「非ナノ粒子状活性剤」は、可溶化されているか、または約2000nmより大きい有効平均粒子サイズを有する活性剤を意味するものとする。本明細書に定義するようなナノ粒子状活性剤は、約2000nm未満の有効平均粒子サイズを有する。
【0134】
句「ほとんど水溶性でない薬剤」は、本明細書において、約30mg/mi未満、約20mg/mi未満、約10mg/mi未満、または約1mg/mi未満の水中の溶解度を有する薬剤を指す。
【0135】
本明細書において、句「療法的有効量」は、こうした治療を必要とする被験体の有意な数において、そのために薬剤を投与する、特定の薬理学的応答を提供する、薬剤投薬量を意味するものとする。特定の例において、特定の被験体に投与される薬剤の療法的有効量は、こうした投薬量が当業者によって療法的有効量と見なされるとしても、本明細書に記載する状態/疾患を治療する際に常には有効でないことが強調される。
【0136】
A.本発明のナノ粒子状メロキシカムの好ましい特性
1.生物学的利用能の増加
本発明のナノ粒子状メロキシカム配合物は、生物学的利用能の増加を示し、そして先行技術の慣用的な非ナノ粒子状メロキシカム配合物に比較した際、より少ない用量しか必要としない。
【0137】
2.薬物動態プロフィールの改善
本発明はまた、哺乳動物被験体に投与した際に、所望の薬物動態プロフィールを有する、ナノ粒子状メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体組成物も提供する。メロキシカムを含む組成物の所望の薬物動態プロフィールには、限定されるわけではないが:(1)投与後、哺乳動物被験体の血漿中でアッセイした際、好ましくは、同じ投薬量で投与された同じメロキシカムの非ナノ粒子状配合物に関するCmaxよりも大きい、メロキシカムに関するCmax;および/または(2)投与後、哺乳動物被験体の血漿中でアッセイした際、好ましくは、同じ投薬量で投与された同じメロキシカムの非ナノ粒子状配合物に関するAUCよりも大きい、メロキシカムに関するAUC;および/または(3)投与後、哺乳動物被験体の血漿中でアッセイした際、好ましくは、同じ投薬量で投与された同じメロキシカムの非ナノ粒子状配合物に関するTmaxよりも小さい、メロキシカムに関するTmaxが含まれる。本明細書において、所望の薬物動態プロフィールは、メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体の最初の投与後に測定される薬物動態プロフィールである。
【0138】
1つの態様において、ナノ粒子状メロキシカムを含む組成物は、同じ投薬量で投与される同じメロキシカムの非ナノ粒子状配合物との比較薬物動態試験において、非ナノ粒子状メロキシカム配合物によって示されるTmaxの約90%以下、約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、または約5%以下のTmaxを示す。
【0139】
別の態様において、ナノ粒子状メロキシカムを含む組成物は、同じ投薬量で投与される同じメロキシカムの非ナノ粒子状配合物との比較薬物動態試験において、非ナノ粒子状メロキシカム配合物によって示されるCmaxより、少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、少なくとも約500%、少なくとも約600%、少なくとも約700%、少なくとも約800%、少なくとも約900%、少なくとも約1000%、少なくとも約1100%、少なくとも約1200%、少なくとも約1300%、少なくとも約1400%、少なくとも約1500%、少なくとも約1600%、少なくとも約1700%、少なくとも約1800%、または少なくとも約1900%大きいCmaxを示す。
【0140】
さらに別の態様において、ナノ粒子状メロキシカムを含む組成物は、同じ投薬量で投与される同じメロキシカムの非ナノ粒子状配合物との比較薬物動態試験において、非ナノ粒子状メロキシカム配合物によって示されるAUCより、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約125%、少なくとも約150%、少なくとも約175%、少なくとも約200%、少なくとも約225%、少なくとも約250%、少なくとも約275%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約450%、少なくとも約500%、少なくとも約550%、少なくとも約600%、少なくとも約650%、少なくとも約700%、少なくとも約750%、少なくとも約800%、少なくとも約850%、少なくとも約900%、少なくとも約950%、少なくとも約1000%、少なくとも約1050%、少なくとも約1100%、少なくとも約1150%、または少なくとも約1200%大きいAUCを示す。
【0141】
本発明の1つの態様において、メロキシカムのTmaxは、哺乳動物被験体の血漿中でアッセイした際、約6〜約8時間未満である。本発明の他の態様において、メロキシカムのTmaxは、投与後、約6時間未満、約5時間未満、約4時間未満、約3時間未満、約2時間未満、約1時間未満、または約30分間未満である。
【0142】
本明細書において、所望の薬物動態プロフィールは、メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体の最初の用量後に測定される薬物動態プロフィールである。組成物は、本明細書に記載するような、そして当業者に知られるような、任意の方法で配合可能である。
【0143】
3.本発明のメロキシカム組成物の薬物動態プロフィールは、組成物を摂取する被験体の摂食状態または絶食状態によって影響を受けない
本発明は、メロキシカムの薬物動態プロフィールが、組成物を摂取する被験体の摂食状態または絶食状態によって実質的に影響を受けない、メロキシカム組成物を含む。これは、ナノ粒子状メロキシカム組成物を、絶食状態に対して摂食状態で投与した際に、吸収される薬剤の量または薬剤吸収速度に実質的な相違がないことを意味する。
【0144】
食物の影響を実質的に排除する剤形の利点には、被験体利便性の増加が含まれ、それによって、被験体が食品を伴いまたは伴わずのいずれかで用量を摂取することを確実にする必要がないため、被験体のコンプライアンスが増加する。これは、被験体コンプライアンスが劣っていると、薬剤が処方される医学的状態の増加が観察されうるため、重要である。
【0145】
4.絶食状態に対して摂食状態で投与した際の、本発明のメロキシカム組成物の生物学的同等性
本発明はまた、絶食状態にある被験体への組成物投与が、摂食状態にある被験体への組成物投与に生物学的に同等である、ナノ粒子状メロキシカム組成物も含み、提供する。
【0146】
絶食状態に対して摂食状態で投与した際に、本発明のナノ粒子状メロキシカム組成物の吸収(AUC)またはCmaxの相違は、好ましくは、約60%未満、約55%未満、約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、または約3%未満である。
【0147】
本発明の1つの態様において、本発明は、特に米国食品医薬品局および対応する欧州監督官庁(EMEA)によって提供されるCmaxおよびAUC指針によって定義されるように、絶食状態にある被験体への組成物の投与が、摂食状態にある被験体への組成物の投与に生物学的に同等である、ナノ粒子状メロキシカムを含む組成物を含む。米国FDA指針のもとでは、2つの産物または方法は、AUCおよびCmaxの90%信頼区間(CI)が、0.80〜1.25の間である場合、生物学的に同等である(Tmax測定は、規制目的の生物学的同等性には適切でない)。欧州EMEA指針に準じると、2つの化合物または投与条件間の生物学的同等性を示すには、AUCの90%CIは、0.80〜1.25の間でなければならず、そしてCmaxの90%CIは、0.70〜1.43の間でなければならない。
【0148】
5.本発明のメロキシカム組成物の溶解プロフィール
本発明のナノ粒子状メロキシカム組成物は、予期されぬ劇的な溶解プロフィールを有すると提唱される。溶解が迅速であると、一般的により速やかな作用発現およびより大きい生物学的利用能につながるため、投与した活性剤が迅速に溶解することが好ましい。メロキシカムの溶解プロフィールおよび生物学的利用能を改善するため、100%に近いレベルを達成可能であるように、薬剤の溶解を増加させることが有用であろう。
【0149】
本発明のメロキシカム組成物は、好ましくは、約5分以内に少なくとも約20%の組成物が溶解する、溶解プロフィールを有する。本発明の他の態様において、メロキシカム組成物の少なくとも約30%または少なくとも約40%が、約5分以内に溶解する。本発明のさらに他の態様において、メロキシカム組成物の少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%が約10分以内に溶解する。最後に、本発明の別の態様において、好ましくは、メロキシカム組成物の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%が、約20分以内に溶解する。
【0150】
溶解は、好ましくは、区別を示す媒体中で測定される。こうした溶解媒体は、胃液中で非常に異なる溶解プロフィールを有する2つの産物に関して、2つの非常に異なる溶解曲線を生じるであろう;すなわち、溶解媒体は、組成物のin vivo溶解を予測する。例示的な溶解媒体は、0.025Mで界面活性剤、ラウリル硫酸ナトリウムを含有する水性媒体である。溶解する量の決定を、分光光度法によって実行してもよい。回転ブレード法(European Pharmacopoeia)を用いて溶解を測定してもよい。
【0151】
6.本発明のメロキシカム組成物の再分散性プロフィール
本発明のメロキシカム組成物のさらなる特徴は、再分散メロキシカム粒子の有効平均粒子サイズが約2ミクロン未満であるように、組成物が再分散することである。これは、投与に際して、本発明のメロキシカム組成物が、実質的にナノ粒子状粒子サイズに再分散しなかった場合、ナノ粒子状粒子サイズにメロキシカムを配合することによって得られる利益を剤形が失いうるため、重要である。
【0152】
これは、ナノ粒子状活性剤組成物が、活性剤の粒子サイズが小さいことから利益を得るためである;投与に際して、活性剤が小粒子サイズに再分散しないならば、ナノ粒子系の極端に高い表面自由エネルギー、および自由エネルギーの全体的な減少を達成するための熱力学的駆動力のため、「塊」または集塊した活性剤粒子が形成される。こうした集塊粒子が形成されると、剤形の生物学的利用能は、ナノ粒子状活性剤の液体分散型で観察されるものよりはるかに低くなりうる。
【0153】
さらに、生体関連水性媒体中の再構成/再分散によって示されるように、本発明のナノ粒子状メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体組成物は、再分散メロキシカム粒子の有効平均粒子サイズが約2ミクロン未満であるように、ヒトまたは動物などの哺乳動物への投与に際して、ナノ粒子状メロキシカム粒子の劇的な再分散を示す。こうした生体関連水性媒体は、媒体の生体関連性の基礎を形成する、所望のイオン強度およびpHを示す任意の水性媒体であってもよい。所望のpHおよびイオン強度は、ヒトの体内で見られる生理学的条件の代表的なものである。こうした生体関連水性媒体は、例えば、所望のpHおよびイオン強度を示す、任意の塩、酸、または塩基の水性電解質溶液または水性溶液、あるいはその組み合わせであってもよい。
【0154】
生体関連pHは、当該技術分野に周知である。例えば、胃において、pH範囲は、2よりわずかに低い(しかし典型的には1より大きい)値から最大4または5までの範囲である。小腸において、pHは、4〜6の範囲である可能性があり、そして結腸において、6〜8の範囲である可能性がある。生体関連イオン強度もまた、当該技術分野に周知である。絶食状態胃液は、約0.1Mのイオン強度を有し、一方、絶食状態腸液は、約0.14のイオン強度を有する。例えば、Lindahiら, 「Characterization of Fluids from the Stomach and Proximal Jejunum in Men and Women」, Pharm. Res., 14 (4):497−502(1997)を参照されたい。
【0155】
試験溶液のpHおよびイオン強度が、特定の化学含量より重大であると考えられる。したがって、適切なpHおよびイオン強度値は、強酸、強塩基、塩、単一または多数共役酸−塩基対(すなわち弱酸およびその酸に対応する塩)、モノプロトンおよびポリプロトン電解質などの多数の組み合わせを通じて得られうる。
【0156】
代表的な電解質溶液は、限定されるわけではないが、約0.001〜約0.1Mの濃度範囲のHCl溶液、および約0.001〜約0.1Mの濃度範囲のNaCl溶液、ならびにその混合物であってもよい。例えば、電解質溶液は、限定されるわけではないが、約0.1M以下のHCl、約0.01M以下のHCl、約0.001M以下のHCl、約0.1M以下のNaCl、約0.01M以下のNaCl、約0.001M以下のNaCl、およびその混合物であってもよい。これらの電解質溶液のうち、0.01M HClおよび/または0.1M NaClが、近位胃腸管のpHおよびイオン強度条件であるため、絶食ヒト生理学的条件を最もよく代表する。
【0157】
0.001M HCl、0.01M HCl、および0.1M HClの電解質濃度は、それぞれ、pH3、pH2、およびpH1に対応する。したがって、0.01M HCl溶液は、胃に見られる典型的な酸性条件をシミュレートする。0.1M NaCl溶液は、胃腸液を含む、体全体で見られるイオン強度条件の合理的な近似を提供するが、0.1Mより高い濃度を使用して、ヒトGI管内の摂食状態をシミュレートしてもよい。
【0158】
所望のpHおよびイオン強度を示す、塩、酸、塩基またはその組み合わせの例示的な溶液には、限定されるわけではないが、リン酸/リン酸塩+塩化物のナトリウム、カリウムおよびカルシウム塩、酢酸/酢酸塩+塩化物のナトリウム、カリウムおよびカルシウム塩、炭酸/重炭酸塩+塩化物のナトリウム、カリウムおよびカルシウム塩、ならびにクエン酸/クエン酸塩+塩化物のナトリウム、カリウムおよびカルシウム塩が含まれる。
【0159】
本発明の他の態様において、本発明の再分散メロキシカム粒子(水性、生体関連、または任意の他の適切な媒体中に再分散する)は、光分散法、顕微鏡、または他の適切な方法によって測定した際、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満、または約50nm未満の有効平均粒子サイズを有する。
【0160】
B.ナノ粒子状メロキシカム組成物
本発明は、メロキシカム粒子および少なくとも1つの表面安定剤を含む組成物を提供する。表面安定剤は、好ましくは、メロキシカム粒子表面上に吸着するか、または該表面と会合する。本明細書において特に有用な表面安定剤は、好ましくは、ナノ粒子状メロキシカム粒子の表面上に物理的に吸着するかまたは該表面と会合するが、メロキシカム粒子または該表面安定剤自体とは化学的に反応しない。表面安定剤の個々の吸着される分子は、本質的に、分子間架橋を含まない。
【0161】
本発明にはまた、集合的にキャリアーと称される、1以上の非毒性の生理学的に許容されうるキャリアー、佐剤またはビヒクルを伴うメロキシカム組成物も含まれる。非経口注射(例えば静脈内、筋内、または皮下)、固形、液体、またはエアロゾル型の経口投与、膣、鼻、直腸、目、局部(粉末、軟膏、または滴)、頬側、大槽内、腹腔内、または局所投与等のために、組成物を配合してもよい。
【0162】
1.メロキシカム粒子
本発明の組成物は、メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体の粒子を含む。粒子は、結晶相、半結晶相、非晶相、半非晶相、またはその混合物であってもよい。
【0163】
2.表面安定剤
1より多い表面安定剤の組み合わせを本発明に用いてもよい。本発明で使用可能な有用な表面安定剤には、限定されるわけではないが、既知の有機および無機薬学的賦形剤が含まれる。こうした賦形剤には、多様なポリマー、低分子量オリゴマー、天然産物、および界面活性剤が含まれる。例示的な表面安定剤には、非イオン性、イオン性、陰イオン性、陽イオン性、および双性イオン性界面活性剤または化合物が含まれる。
【0164】
表面安定剤の代表的な例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(現在、ヒプロメロースとして知られる)、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホスクシネート、ゼラチン、カゼイン、レシチン(ホスファチド)、デキストラン、アラビアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、セトマクロゴール1000等のマクロゴールエーテル)、ポリオキシエチレン・ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン・ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、Tween20(登録商標)およびTween80(登録商標)(ICI Speciality Chemicals)などの商業的に入手可能なTween(登録商標));ポリエチレングリコール(例えば、Carbowaxs 3550(登録商標)および934(登録商標)(Union Carbide))、ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイド状二酸化ケイ素、ホスフェート、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、フタル酸ヒプロメロース、非晶質セルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、酸化エチレンおよびホルムアルデヒドを伴う4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー(チロキサポール、スペリオン(superione)およびトリトンとしても知られる)、ポロキサマー(例えば、酸化エチレンおよび酸化プロピレンのブロックコポリマーであるPluronics F68(登録商標)およびF108(登録商標));ポロキサミン(例えば、エチレンジアミンへの酸化プロピレンおよび酸化エチレンの逐次添加から得られる四官能性ブロックコポリマーであり、Poloxamine 908(登録商標)としても知られる、Tetronic 908(登録商標)(BASF Wyandotte Corporation, ニュージャージー州パーシッパニー));Tetronic 1508(登録商標)(T−1508)(BASF Wyandotte Corporation)、アルキルアリールポリエーテルスルホネートであるTritons X−200(登録商標)(Rohm and Haas);ステアリン酸スクロースおよびジステアリン酸スクロースの混合物であるCrodestas F−110(登録商標)(Croda Inc.);Olin−1OG(登録商標)またはSurfactant 10−G(登録商標)(Olin Chemicals, コネチカット州スタンフォード)としても知られるp−イソノニルフェノキシポリ−(グリシドール);Crodestas SL−40(登録商標)(Croda, Inc.);およびC1837CH(CON(CH)H(CHOH)(CHOH)であるSA9OHCO(Eastman Kodak Co.);デカノイル−N−メチルグルカミド;n−デシルβ−D−グルコピラノシド;n−デシルβ−マルトピラノシド;n−ドデシルβ−D−グルコピラノシド;n−ドデシルβ−D−マルトシド;ヘプタノイルN−メチルグルカミド;n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド;n−ヘプチルβ−D−チオグルコシド;n−ヘキシルβ−D−グルコピラノシド;ノナノイル−N−メチルグルカミド;n−ノイルβ−D−グルコピラノシド;オクタノイル−Nメチルグルカミド;n−オクチル−β−D−グルコピラノシド;オクチル−D−チオグルコピラノシド;PEGリン脂質、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンE、リゾチーム、ビニルピロリドンおよび酢酸ビニルのランダムコポリマー等が含まれる。
【0165】
有用な陽イオン性表面安定剤の例には、限定されるわけではないが、双性イオン性安定剤、ポリ−n−メチルピリジニウム、塩化アントリルピリジニウム(anthryul pyridinum chloride)、陽イオン性リン脂質、キトサン、ポリリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリブレン、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミドブロミド(PMMTMABr)、ヘキシルデシルトリメチルアンモニウムブロミド(1−IDMAB)、およびポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルサルフェートなどのポリマー、バイオポリマー、多糖、セルロース誘導体、アルギネート、リン脂質、および非ポリマー化合物が含まれる。他の有用な陽イオン性安定剤には、限定されるわけではないが、陽イオン性脂質、スルホニウム、ホスホニウム、および四級アンモニウム化合物、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナッツ塩化または臭化トリメチルアンモニウム、ココナッツ塩化または臭化メチルジヒドロキシエチルアンモニウム、塩化デシルトリエチルアンモニウム、塩化または臭化デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、C12−15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドまたはブロミド、ココナッツ塩化または臭化ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、硫酸ミリスチルトリメチルアンモニウムメチル、塩化または臭化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化または臭化ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウム、N−アルキル(C12−18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14−18)ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、塩化ジメチルジデシルアンモニウム、N−アルキルおよび(C12−14)ジメチルi−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハロゲン化物、アルキル−トリメチルアンモニウム塩およびジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩および/またはエトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、塩化ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウム、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム、クロリド一水和物、N−アルキル(C12−14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリドおよび塩化ドデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルメチルアンモニウム、臭化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、C12、C15、C17トリメチルアンモニウムブロミド、塩化ドデシルベンジルトリエチルアンモニウム、ポリ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、塩化ジメチルアンモニウム、アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、塩化トリセチルメチルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリエチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウム(ALIQUAT336TM)、POLYQUAT 10TM、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、コリンエステル(例えば、脂肪酸のコリンエステル)、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム化合物(例えば、塩化ステアリルトリモニウムおよび塩化ジステアリルジモニウム)、臭化または塩化セチルピリジニウム、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、MIRAPOLTMおよびALKAQUAYTM(Alkaril Chemical Company)、アルキルピリジニウム塩;アミン、例えば、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アルカノールアミン、ポリエチレンポリアミン、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレートおよびビニルピリジン、アミン塩、例えば、酢酸ラウリルアミン、酢酸ステアリルアミン、アルキルピリジニウム塩、およびアルキルイミダゾリウム塩、および酸化アミン;イミドアゾリニウム塩;プロトン化四級アクリルアミド;メチル化四級ポリマー、例えば、ポリ[ジアリルジメチルアンモニウムクロリド]およびポリ−[N−メチルビニルピリジニウムクロリド];ならびに陽イオン性グアーが含まれる。
【0166】
こうした例示的な陽イオン性表面安定剤および他の有用な陽イオン性表面安定剤は、J. CrossおよびE. Singer, Cationic Surfactants: Analytical and Biological Evaluation(Marcel Dekker,1994); P.およびD. Rubingh(監修), Cationic Surfactants: Physical Chemistry(Marcel Dekker,1991);およびJ. Richmond, Cationic Surfactants: Organic Chemistry(Marcel Dekker,1990)に記載されている。
【0167】
非ポリマー表面安定剤は、塩化ベンザルコニウム、カルボニウム化合物、ホスホニウム化合物、オキソニウム化合物、ハロニウム化合物、陽イオン性有機金属化合物、四級リン化合物、ピリジニウム化合物、アニリニウム化合物、アンモニウム化合物、ヒドロキシルアンモニウム化合物、一級アンモニウム化合物、二級アンモニウム化合物、三級アンモニウム化合物、および式NR1R2R3RIの四級アンモニウム化合物などの任意の非ポリマー化合物である。式:NR4(+)の化合物に関しては:
(i)R〜RのいずれもCHではないか;
(ii)R〜Rの1つがCHであるか;
(iii)R〜Rの3つがCHであるか;
(iv)R〜RのすべてがCHであるか;
(v)R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの1つがCCHであり、そしてR〜Rの1つが炭素原子7個以下のアルキル鎖であるか;
(vi)R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの1つがCCHであり、そしてR〜Rの1つが炭素原子19個以上のアルキル鎖であるか;
(vii)R〜Rの2つがCHであり、そしてR〜Rの1つがC(CH)基であり、式中、n>1であるか;
(viii)R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの1つがCCHであり、そしてR〜Rの1つが少なくとも1のヘテロ原子を含むか;
(ix)R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの1つがCCHであり、そしてR〜Rの1つが少なくとも1つのハロゲンを含むか;
(x)R〜Rの2つがCHであり、R〜Rの1つがCCHであり、そしてR〜Rの1つが少なくとも1つの環状フラグメントを含むか;
(xi)R〜Rの2つがCHであり、そしてR〜Rの1つがフェニル環であるか;または
(xii)R〜Rの2つがCHであり、そしてR〜Rの2つが純粋な脂肪族フラグメントである。
【0168】
こうした化合物には、限定されるわけではないが、塩化ベヘナルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベヘントリモニウム、塩化ラウラルコニウム、塩化セタルコニウム、臭化セトリモニウム、塩化セトリモニウム、セチルアミンヒドロフルオリド(cethylamine hydrofluoride)、塩化クロルアリルメテナミン(Quatemium−15)、塩化ジステアリルジモニウム(Quatemium−5)、塩化ドデシルジメチルエチルベンジルアンモニウム(Quaternium−14)、Quaternium−22、Quaternium−26、Quatemium−18ヘクトライト、ジメチルアミノエチルクロリド塩酸塩、塩酸システイン、ジエタノールアンモニウムPOE(10)オレチルエーテルホスフェート、ジエタノールアンモニウムPOE(3)オレイルエーテルホスフェート、獣脂塩化アルコニウム、ジメチルジオクタデシルアンモニウムベントナイト、塩化ステアラルコニウム、臭化ドミフェン、安息香酸デナトニウム、塩化ミリスタルコニウム、塩化ラウルトリモニウム、エチレンジアミン二塩酸塩、塩酸グアニジン、ピリドキシンHCl、イオフェタミン塩酸塩、メグルミン塩酸塩、塩化メチルベンゼトニウム、臭化ミルトリモニウム、塩化オレイルトリモニウム、ポリクォータミウム−1、塩酸プロカイン、ココベタイン、ステアラルコニウムベントナイト、ステアラルコニウムヘクトナイト、ステアリルトリヒドロキシエチルプロピレンジアミン・ジヒドロフルオリド、獣脂塩化トリモニウム、および臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムが含まれる。
【0169】
表面安定剤は商業的に入手可能でありそして/または当該技術分野で知られる技術によって調製可能である。これらの表面安定剤の大部分は既知の薬学的賦形剤であり、そして本明細書に特に援用される、American Pharmaceutical AssociationおよびThe Pharmaceutical Society of Great Britainによって合同で出版された、Handbook of Pharmaceutical Excipients(The Pharmaceutical Press,2000)に詳細に記載されている。
【0170】
3.他の薬学的賦形剤
本発明にしたがった薬学的組成物はまた、1以上の結合剤、充填剤、潤滑剤、懸濁剤、甘味料、フレーバー剤、保存剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、および他の賦形剤も含んでもよい。こうした賦形剤が当該技術分野に知られる。
【0171】
充填剤の例は、ラクトース一水和物、無水ラクトース、および多様なデンプンであり;結合剤の例は、多様なセルロースおよび架橋ポリビニルピロリドン、微結晶性セルロース、例えばAvicel(登録商標)PH101およびAvicel(登録商標)PH102、微結晶性セルロース、およびケイ化微結晶性セルロース(ProSolv SMCCTM)である。
【0172】
圧縮しようとする粉末の流動性に作用する剤を含めた、適切な潤滑剤は、Aerosil(登録商標)200などのコロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびシリカゲルである。
【0173】
甘味料の例は、スクロース、キシリトール、ナトリウムサッカリン、シクラメート、アスパルテーム、およびアセスルファム(acsulfame)などの任意の天然または人工甘味料である。フレーバー剤の例は、Magnasweet(登録商標)(MAFCOの商標)、バブルガムフレーバー、およびフルーツフレーバー等である。
【0174】
保存剤の例は、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸およびその塩、ブチルパラベンなどのパラヒドロキシ安息香酸の他のエステル、エチルまたはベンジルアルコールなどのアルコール、フェノールなどのフェノール系化合物、あるいは塩化ベザルコニウムなどの四級化合物である。
【0175】
適切な希釈剤には、微結晶性セルロース、ラクトース、二塩基性リン酸カルシウム、糖類、および/または上記のいずれかの混合物などの薬学的に許容されうる不活性充填剤が含まれる。希釈剤の例には、Avicel(登録商標)PH101およびAvicel(登録商標)PH102などの微結晶性セルロース;ラクトース一水和物、無水ラクトース、およびPharmatose(登録商標)DCL21などのラクトース;Emcompress(登録商標)などの二塩基性リン酸カルシウム;マンニトール;デンプン;ソルビトール;スクロース;ならびにグルコースが含まれる。
【0176】
適切な崩壊剤には、軽度に架橋したポリビニルピロリドン、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、および加工デンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0177】
発泡剤の例は、有機酸および炭酸塩または重炭酸塩などの発泡性カップルである。適切な有機酸には、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸およびアルギン酸、ならびに無水物および酸性塩が含まれる。適切な炭酸塩および重炭酸塩には、例えば、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸グリシンナトリウム、L−リジン炭酸塩、および炭酸アルギニンが含まれる。あるいは、発泡剤カップルの重炭酸ナトリウム構成要素のみが存在してもよい。
【0178】
4.ナノ粒子状メロキシカム粒子サイズ
本発明の組成物は、光分散法、顕微鏡、または他の適切な方法によって測定した際、約2000nm(すなわち2ミクロン)未満、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満、または約50nm未満の有効平均粒子サイズを有するメロキシカム粒子を含む。
【0179】
「約2000nm未満の有効平均粒子サイズ」によって、上述の技術によって測定した際、重量により、または別の適切な測定技術により(例えば体積、数等によるなど)、メロキシカム粒子の少なくとも約50%が、有効平均未満、すなわち約2000nm、1900nm、1800nm未満などの粒子サイズを有することを意味する。本発明の他の態様において、メロキシカム粒子の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%が、有効平均未満、すなわち約2000nm、1900nm、1800nm、1700nm未満などの粒子サイズを有する。
【0180】
本発明において、ナノ粒子状メロキシカム組成物のD50の値は、重量にして、そのサイズより下にメロキシカム粒子の50%が属する粒子サイズである。同様に、D90は、重量にして、そのサイズより下にメロキシカム粒子の90%が属する粒子サイズである。
【0181】
5.メロキシカムおよび表面安定剤の濃度
メロキシカムおよび1以上の表面安定剤の相対量は、非常に多様でありうる。個々の構成要素の最適な量は、例えば、選択した特定のメロキシカム、親水性親油性バランス(HLB)、融点、および安定剤の水溶液の表面張力等に応じうる。
【0182】
メロキシカムの濃度は、他の賦形剤を含まず、メロキシカムおよび少なくとも1つの表面安定剤を合わせた総乾燥重量に基づいて、重量にして、約99.5%〜約0.001%、約95%〜約0.1%、または約90%〜約0.5%で多様でありうる。少なくとも1つの表面安定剤の濃度は、他の賦形剤を含まず、メロキシカムおよび少なくとも1つの表面安定剤を合わせた総乾燥重量に基づいて、重量にして、約0.5%〜約99.999%、約5.0%〜約99.9%、または約10%〜約99.5%で多様でありうる。
【0183】
C.ナノ粒子状メロキシカム組成物を作製する方法
ナノ粒子状メロキシカム組成物は、例えば、製粉、ホモジナイズ、沈降、凍結、またはテンプレート・エマルジョン技術を用いて作製可能である。ナノ粒子状組成物を作製する例示的な方法は、’684特許に記載される。ナノ粒子状組成物を作製する方法はまた、「Method of Grinding Pharmaceutical Substances」に関する米国特許第5,518,187号;「Continuous Method of Grinding Pharmaceutical Substances」に関する米国特許第5,718,388号;「Method of Grinding Pharmaceutical Substances」に関する米国特許第5,862,999号;「CoMicroprecipitation of Nanoparticulate Pharmaceutical Agents with Crystal Growth Modifiers」に関する米国特許第5,665,331号;「Co−Microprecipitation of Nanoparticulate Pharmaceutical Agents with Crystal Growth Modifiers」に関する米国特許第5,662,883号;「Microprecipitation of Nanoparticulate Pharmaceutical Agents」に関する米国特許第5,560,932号;「Process of Preparing X−Ray Contrast Compositions Containing Nanoparticles」に関する米国特許第5,543,133号;「Method of Preparing Stable Drug Nanoparticles」に関する米国特許第5,534,270号;「Process of Preparing Therapeutic Compositions Containing Nanoparticles」に関する米国特許第5,510,118号;および「Method of Preparing Nanoparticle Compositions Containing Charged Phospholipids to Reduce Aggregation」に関する米国特許第5,470,583号にも記載され、これらはすべて、本明細書に特に援用される。
【0184】
生じたナノ粒子状メロキシカム組成物または分散物は、固形または液体投薬配合物、例えば液体分散物、ゲル、エアロゾル、軟膏、クリーム、制御放出配合物、迅速融解配合物、凍結乾燥配合物、錠剤、カプセル、遅延放出配合物、延長放出配合物、パルス放出配合物、即時放出および制御放出の混合配合物等で利用可能である。
【0185】
1.ナノ粒子状メロキシカム分散物を得るための製粉
ナノ粒子状分散物を得るためのメロキシカム製粉は、メロキシカムがほとんど可溶性でない液体分散媒体中にメロキシカム粒子を分散させ、その後、メロキシカムの粒子サイズを、所望の有効平均粒子サイズに減少させる粉砕媒体の存在下で、機械的手段を適用する工程を含む。分散媒体は、例えば、水、ベニバナ油、エタノール、t−ブタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)、ヘキサン、またはグリセロールであってもよい。好ましい分散媒体は、水である。
【0186】
少なくとも1つの表面安定剤の存在下で、メロキシカム粒子のサイズを減少させることも可能である。あるいは、摩耗後に、メロキシカム粒子を、1以上の表面安定剤と接触させてもよい。サイズ減少プロセス中、メロキシカム/表面安定剤組成物に、希釈剤などの他の化合物を添加してもよい。連続して、またはバッチ様式で、分散物を製造してもよい。
【0187】
2.ナノ粒子状メロキシカム組成物を得るための沈降
所望のナノ粒子状メロキシカム組成物を形成する別の方法は、マイクロ沈降による。これは、いかなる微量毒性溶媒または可溶化重金属不純物も含まずに、1以上の表面安定剤および1以上のコロイド安定性増進性表面活性剤の存在下で、ほとんど可溶性でない活性剤の安定分散物を調製する方法である。こうした方法は、例えば:(1)適切な溶媒中にメロキシカムを溶解し;(2)工程(1)由来の配合物を、少なくとも1つの表面安定剤を含む溶液に添加し;そして(3)適切な非溶媒を用いて、工程(2)由来の配合物を沈降させる工程を含む。該方法には、慣用的手段による分散物の透析またはディアフィルトレーションおよび濃縮によって、存在するとすれば、いかなる形成された塩も除去する工程が続いてもよい。
【0188】
3.ナノ粒子状メロキシカム組成物を得るためのホモジナイズ
活性剤ナノ粒子状組成物を調製する、例示的なホモジナイズ法は、「Process of Preparing Therapeutic Compositions Containing Nanoparticles」に関する米国特許第5,510,118号に記載される。こうした方法は、液体分散媒体中に、メロキシカム粒子を分散させ、その後、分散物をホモジナイズに供して、メロキシカムの粒子サイズを、所望の有効平均粒子サイズに減少させる工程を含む。少なくとも1つの表面安定剤の存在下で、メロキシカム粒子のサイズを減少させることも可能である。あるいは、摩耗前または摩耗後のいずれかに、メロキシカム粒子を1以上の表面安定剤と接触させてもよい。サイズ減少プロセス前、該プロセス中、または該プロセス後のいずれかで、希釈剤などの他の化合物を、メロキシカム/表面安定剤組成物に添加してもよい。連続して、またはバッチ様式で、分散物を製造してもよい。
【0189】
4.ナノ粒子状メロキシカム組成物を得るための低温方法論
所望のナノ粒子状メロキシカム組成物を形成する別の方法は、液体内への噴霧凍結(SFL)によるものである。この技術は、安定剤を含むメロキシカムの有機または有機水性溶液を含み、これを液体窒素などの低温液体内に注入する。メロキシカム溶液の小滴は、結晶化および粒子成長を最小限にするのに十分な速度で凍結し、したがって、ナノ構造化メロキシカム粒子が配合される。溶媒系およびプロセシング条件の選択に応じて、ナノ粒子状メロキシカム粒子は、多様な粒子形態を有しうる。単離工程において、メロキシカム粒子の集塊または熟成を回避する条件下で、窒素および溶媒を除去する。
【0190】
また、SFLの補完的な技術として、超迅速凍結(URF)を用いて、非常に増進した表面積を持つ、同等のナノ構造化メロキシカム粒子を生成してもよい。URFは、低温担体上に、安定剤を含むメロキシカムの有機または有機水性溶液を含む。
【0191】
5.ナノ粒子状メロキシカム組成物を得るためのエマルジョン方法論
所望のナノ粒子状メロキシカム組成物を形成する別の方法は、テンプレート・エマルジョンによる。テンプレート・エマルジョンは、制御された粒子サイズ分布および迅速溶解性能を持つ、ナノ構造化メロキシカム粒子を生成する。該方法は、調製され、次いで、メロキシカムおよび安定剤を含む非水性溶液で膨張した、水中油エマルジョンを含む。メロキシカム粒子の粒子サイズ分布は、メロキシカムの装填前のエマルジョン小滴のサイズの直接の結果であり、このプロセスにおいて、この特性を制御し、そして最適化することも可能である。さらに、溶媒および安定剤の選択した使用を通じて、オストワルド熟成を伴わないか、または抑制しつつ、エマルジョン安定性が達成される。続いて、溶媒および水を除去し、そして安定化されたナノ構造化メロキシカム粒子を回収する。プロセシング条件の適切な制御によって、多様なメロキシカム粒子形態を達成可能である。
【0192】
以下の実施例において、別に記載しない限り、すべての割合は重量に基づく重量である。用語「精製水」は、実施例全体で用いられた際、水ろ過系を通過させることによって精製された水を指す。実施例は、例示目的のためのみであり、そして請求項の範囲によって定義されるような、本発明の精神および範囲を制限すると解釈されてはならないことが理解されるものとする。米国特許を含めて、本明細書に同定されるすべての参考文献は、本明細書に完全に援用される。
【0193】
実施例1
本実施例の目的は、本発明の組み合わせ組成物中で使用可能なヒドロコドンを含む、多粒子状修飾放出組成物の調製を記載することである。
【0194】
即時放出構成要素、および修飾放出コーティングを有する修飾放出構成要素を有する、本発明にしたがった多粒子状修飾放出ヒドロコドン組成物を、表1および2に示す配合にしたがって調製する。
【0195】
表1
即時放出構成要素ヒドロコドン溶液
【0196】
【表1】

【0197】
表2
修飾放出構成要素ヒドロコドン溶液
【0198】
【表2】

【0199】
これらの例示的なヒドロコドン配合物において、糖球体(30/35メッシュ)を不活性コアとして提供し、該コアが、配合物中に存在する活性成分および他の賦形剤のキャリアーとして働く。選択した性質およびサイズは、続くコーティングおよび被包プロセスを容易にするため、0.5〜0.6mmのサイズ範囲の平均直径を持つ多粒子を産生する必要性を反映する。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(2910)(Methocal E6 Premium LV)を用いて、即時放出コーティング溶液を調製し、該溶液がJRビーズを産生する糖球体上にコーティングされ、そして結合剤として作用する。二酸化ケイ素(Syloid 244FP)は、IRコーティング溶液(表1)および修飾放出コーティング懸濁物(表2)の調製に用いられる抗接着剤である。
【0200】
タイプBアンモニオメタクリレートコポリマー(Eudragit RS 100)は、配合物に制御放出特性を与え、そしてpH独立性放出特性を示す、速度制御ポリマーである。修飾放出ビーズを製造するため、修飾放出コーティングプロセスにおいて、タルク(Altaic 200)を抗接着剤として用いる。アセトンおよびイソプロピルアルコールは、速度制御ポリマーを溶解してコーティング懸濁物を生じる、2つの溶媒であり、該懸濁物をIRビーズに適用して修飾放出ビーズを形成する。生じたコーティング懸濁物をIRビーズに適用して、修飾放出ビーズを形成する。修飾放出ビーズを、40〜500C/30〜60%RHで、10〜20時間、オーブン中で乾燥させて、残渣溶媒を除去し、そして約3〜6%の水分含量を得る。適切なプロセシング法は、本明細書にその全体が援用される米国特許第6,066,339号にさらに詳述される。
【0201】
表3は、表1および2にしたがって調製された2つの多粒子状修飾放出配合物の溶解プロフィールを示す。これらの結果は、約20%のヒドロコドンが、最初の1時間で放出され、そして約80%のヒドロコドンが、約11時間の期間に渡って放出されることを示す。
【0202】
表3
IR構成要素および修飾放出構成要素を含有する組成物の溶解データ
【0203】
【表3】

【0204】
in vivo研究
ランダム化、単回用量、平行群、プラセボ管理、活性比較剤(active−comparator)研究を実行して、腱膜瘤切除術研究直後、被験体におけるヒドロコドン配合物の安全性、有効性、およびPKを評価した。研究治療は、二酒石酸ヒドロコドン10、20、30、40mgであり、活性比較剤(10mgヒドロコドン/APAP)とマッチさせるかまたはプラセボとマッチさせた。24時間の拘束期間中、115人の被験体(群あたり、およそ17〜21人の被験体)から、ベースラインで、そして最大17のさらなる時点で血液を収集して、ヒドロコドンの血漿中濃度を測定した。以下のPKパラメーターを計算し、そして表4〜6に提示する。
【0205】
表4
【0206】
【表4】

【0207】
(a)NC=計算せず
表5
【0208】
【表5】

【0209】
表6
【0210】
【表6】

【0211】
ヒドロコドン・シミュレーション
本発明のヒドロコドン配合物の研究を実行して、単回用量および定常状態の両方に関して、1日2回の投与のヒドロコドンと関連するプロフィールをシミュレートした。ターゲット用量は、10、20、40、および80mgであり、そしてターゲットとされる最小濃度は、5〜10ng/mlであった。研究の配合物は、即時放出構成要素および修飾放出構成要素を含む2構成要素剤形であり、2構成要素間で、ヒドロコドンが均一に(50/50)または不均一に(20/80)割り当てられた。非分画パラメーターを用いて、単位投入応答の概算値を見いだし、そしてすべてのシミュレーションに関して、一分画モデルが仮定された。
【0212】
5人の成人男性に投与したヒドロコドン10mg経口用量後の非分画パラメーターを以下の表7に示すとおりに報告する。
表7 非分画パラメーター
【0213】
【表7】

【0214】
K10およびV/fは、それぞれ、0.18および334.29Lであると概算された。吸収速度定数k01に関しては、k01の異なる概算値を用いて、いくつかのプロフィールをシミュレートした。二次パラメーター概算値を比較して、以下の表8に示すような適切なkaを同定した。
【0215】
表8 吸収速度定数(ka)の比較
【0216】
【表8】

【0217】
観察される最大濃度および最大濃度までの時間が、上述の先のデータと匹敵することに鑑みて、ka=2が、即時放出ヒドロコドンの吸収速度の最適概算値であるようであった。
【0218】
これらのシミュレーションを実行する際、3つのオプションを同定した。オプション1および2は、一次放出を仮定し、そしてオプション3は、ゼロ次放出を仮定した。これらのシミュレーションの血漿濃度のプロットを図1〜16に示す。
【0219】
実施例2
本実施例の目的は、多様な表面安定剤で安定化されたメロキシカムのナノ粒子分散物を調製することであった。
【0220】
5重量%メロキシカム(Unichem Laboratories, Ltd.)および1重量%安定剤(以下の表9を参照されたい)の水性分散物を、10ccバッチ・チャンバーを備えたNanoMill(登録商標)製粉系(Elan Drug Delivery Inc., ペンシルバニア州キングオブプロシア;例えば「Small Scale Mill」に関する米国特許第6,431,478号を参照されたい)内に装填した。
【0221】
すべての配合物に、以下のNanoMill(登録商標)製粉系パラメーターを用いた:製粉速度=5500rpm;総製粉時間=1時間;ポリマー性製粉媒体タイプ=PolyMillTM200(The Dow Chemicals Co.);およびプロセシングに十分な媒体装填。
【0222】
Horiba LA−9 10粒子サイズ分析装置(Horiba Instruments, カリフォルニア州アービン)を用いて、生じた製粉分散物の粒子サイズ分析を実行した。結果を以下の表9に示す。以下の表において、D50の値は、その値より下に活性剤粒子の50%が属する粒子サイズである。同様に、D90は、その値より下に活性剤粒子の90%が属する粒子サイズである。
【0223】
表9
【0224】
【表9】

【0225】
レシチンおよびリゾチームを除くすべての配合物は、最初の時点で採取され、レシチンおよびリゾチームの最初の粒子サイズは、24時間時点で測定された。
結果は、すべての配合物が、約2000nm未満のD50粒子サイズを有するように、表9に示す表面安定剤の各々を用いて、メロキシカムが、安定ナノ粒子状組成物内に配合可能であることを立証する。表9に示すナノ粒子状メロキシカム組成物は、95〜227nmの範囲の平均粒子サイズを有し、D50およびD90サイズは、それぞれ、89nm〜227nm、および117nm〜322nmの範囲であった。
【0226】
本発明の精神または範囲から逸脱することなく、多様な修飾および変動を本発明の方法および組成物に施してもよいことが当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、付随する請求項およびその同等物の範囲内に属するならば、本発明の修飾および変動を含むと意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)多粒子状修飾放出組成物であって、ヒドロコドンまたはその薬学的に許容されうる塩、その鏡像異性体、その誘導体、あるいはその混合物を含み、そして:
(i)ヒドロコドンを含む粒子の第一集団を含む第一構成要素;および
(ii)少なくとも1つの次なる構成要素であって、次なる構成要素が各々、ヒドロコドンを含む粒子の次なる集団を含み、被験体への経口送達後に、組成物が、二峰性または多峰性様式で、少なくとも1つのヒドロコドンまたはその塩もしくは誘導体を送達するように、ヒドロコドンを含む粒子の少なくとも1つの次なる集団が、修飾放出コーティング、修飾放出マトリックス物質、または修飾放出コーティングおよび修飾放出マトリックス物質の組み合わせをさらに含む、前記の少なくとも1つの次なる構成要素
を含む、前記多粒子状修飾放出組成物;ならびに
(b)ナノ粒子状メロキシカム組成物であって:
(i)約2000nm未満の有効平均粒子サイズを有する、メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体の粒子;および
(ii)少なくとも1つの表面安定剤
を含む、前記ナノ粒子状メロキシカム組成物
を含む、組成物。
【請求項2】
多粒子状修飾放出組成物が、第一構成要素および1つの次なる構成要素を含む、請求項1の組成物。
【請求項3】
第一構成要素が即時放出構成要素であり、そして次なる構成要素が修飾放出構成要素である、請求項2の組成物。
【請求項4】
修飾放出構成要素が修飾放出コーティングを有する粒子を含む、請求項3の組成物。
【請求項5】
修飾放出構成要素が修飾放出マトリックス物質を含む、請求項3の組成物。
【請求項6】
多粒子状修飾放出組成物に関して、ヒドロコドンを含む粒子の第一集団、およびヒドロコドンを含む粒子の少なくとも1つの次なる集団が、同じヒドロコドンを含む、請求項1の組成物。
【請求項7】
多粒子状修飾放出組成物に関して、ヒドロコドンを含む粒子の第一集団、およびヒドロコドンを含む粒子の少なくとも1つの次なる集団が、異なるヒドロコドンを含む、請求項1の組成物。
【請求項8】
多粒子状修飾放出組成物に関して、ヒドロコドンを含む粒子の第一集団が2以上のヒドロコドンを含む、請求項1の組成物。
【請求項9】
多粒子状修飾放出組成物に関して、ヒドロコドンを含む粒子の少なくとも1つの次なる集団が2以上のヒドロコドンを含む、請求項1の組成物。
【請求項10】
多粒子状修飾放出組成物に関して、ヒドロコドンが、実質的に1つの光学的に純粋な鏡像異性体、または鏡像異性体の混合物、ラセミ体もしくは別のものを含む、請求項1の組成物。
【請求項11】
多粒子状修飾放出組成物に関して、少なくとも1つの構成要素が、増進剤(enhancer)をさらに含む、請求項1の組成物。
【請求項12】
多粒子状修飾放出組成物に関して、第一および次なる構成要素中に含まれるヒドロコドンの量が同じである、請求項1の組成物。
【請求項13】
多粒子状修飾放出組成物に関して、第一構成要素中に含まれるヒドロコドンの量が、組成物中に含まれるヒドロコドンの少量の部分であり、そして次なる構成要素中に含まれるヒドロコドンの量が、組成物中に含まれるヒドロコドンの多量の部分である、請求項1の組成物。
【請求項14】
多粒子状修飾放出組成物に関して、ヒドロコドンを含む粒子の第一集団が、組成物中に含まれるヒドロコドンの約10%〜約40%を含み、そしてヒドロコドンを含む粒子の次なる集団が、組成物中に含まれるヒドロコドンの約60%〜約90%を含む、請求項13の組成物。
【請求項15】
多粒子状修飾放出組成物に関して、ヒドロコドンを含む粒子の第一集団が、組成物中に含まれるヒドロコドンの約20%を含み、そしてヒドロコドンを含む粒子の次なる集団が、組成物中に含まれるヒドロコドンの約80%を含む、請求項13の組成物。
【請求項16】
多粒子状修飾放出組成物に関して、ヒドロコドンを含む粒子の第一および次なる集団が、異なる放出プロフィールを有する、請求項1の組成物。
【請求項17】
多粒子状修飾放出組成物に関して、第一構成要素が即時放出構成要素であり、そして少なくとも1つの次なる構成要素が修飾放出構成要素である、請求項1の組成物。
【請求項18】
(a)患者への投与に際して、ヒドロコドンを含む粒子の第一集団から、迅速にヒドロコドンを放出し、そしてヒドロコドンを含む粒子の少なくとも1つの次なる集団から、約12時間以内にヒドロコドンの少なくとも約80%を放出するか;または
(b)患者への投与に際して、ヒドロコドンを含む粒子の第一集団から、迅速にヒドロコドンを放出し、そしてヒドロコドンを含む粒子の少なくとも1つの次なる集団から、約24時間以内にヒドロコドンの少なくとも約80%を放出する
請求項17の組成物。
【請求項19】
多粒子状修飾放出組成物に関して、患者に投与された際のヒドロコドンの放出プロフィールが、ヒドロコドンの即時放出型の2以上の用量の形で投与された、同じヒドロコドンの放出プロフィールを模倣する、請求項1の組成物。
【請求項20】
多粒子状修飾放出組成物に関して、患者に投与された際のヒドロコドンの放出プロフィールが、ヒドロコドンの2以上の用量であって、1つの用量が即時放出プロフィールを有し、そして少なくとも1つの用量が修飾放出プロフィールを有する、前記の2以上の用量の形で投与された、同じヒドロコドンの放出プロフィールを模倣する、請求項1の組成物。
【請求項21】
請求項1の組成物を含む、固形経口剤形。
【請求項22】
多粒子状修飾放出組成物が、硬ゼラチンまたは軟ゼラチンカプセル内に充填された、ヒドロコドンを含む第一および次なる粒子のブレンドを含む、請求項21の剤形。
【請求項23】
多粒子状修飾放出組成物が第一および次なる構成要素を含み、該構成要素が別個に、そして独立に、小型錠剤に圧縮され、そして硬ゼラチンまたは軟ゼラチンカプセル内に充填されている、請求項21の剤形。
【請求項24】
多粒子状修飾放出組成物に関して、第一構成要素が多層錠剤の第一層内に圧縮され、そして少なくとも1つの次なる構成要素が、多層錠剤の次なる層内に圧縮されている、請求項21の剤形。
【請求項25】
多粒子状修飾放出組成物に関して、第一および次なる構成要素が、迅速に溶解する剤形中に取り込まれている、請求項21の剤形。
【請求項26】
迅速に溶解する剤形が、迅速融解錠剤剤形である、請求項25の剤形。
【請求項27】
ヒドロコドンが、約0.1mg〜約1g、または約10mg〜約80mgで存在する、請求項21の剤形。
【請求項28】
(a)約10mgのヒドロコドンを含み、そして約8.9ng/ml±20%の平均ヒドロコドンCmaxを有する;
(b)約10mgのヒドロコドンを含み、そして約5〜約15ng/mlのヒドロコドンCmaxを有する;
(c)約20mgのヒドロコドンを含み、そして約17.9ng/ml±20%の平均ヒドロコドンCmaxを有する;
(d)約20mgのヒドロコドンを含み、そして約10〜約27ng/mlのヒドロコドンCmaxを有する;
(e)約30mgのヒドロコドンを含み、そして約31.7ng/ml±20%の平均ヒドロコドンCmaxを有する;
(f)約30mgのヒドロコドンを含み、そして約16〜約46ng/mlのヒドロコドンCmaxを有する;
(g)約40mgのヒドロコドンを含み、そして約37.5ng/ml±20%の平均ヒドロコドンCmaxを有する;
(h)約40mgのヒドロコドンを含み、そして約28〜約62ng/mlのヒドロコドンCmaxを有する;
(i)約10mg〜約40mgのヒドロコドンを含み、そして約6時間±20%の平均ヒドロコドンTmaxを有する;
(j)約10mg〜約40mgのヒドロコドンを含み、そして約4〜約12時間のヒドロコドンTmaxを有する;
(k)約10mgのヒドロコドンを含み、そして約109ng時間/ml±20%の平均ヒドロコドンAUClastを有する;
(l)約10mgのヒドロコドンを含み、そして約73〜約179ng時間/mlのヒドロコドンAUClastを有する;
(m)約20mgのヒドロコドンを含み、そして約212.9ng時間/ml±20%の平均ヒドロコドンAUClastを有する;
(n)約20mgのヒドロコドンを含み、そして約130〜約377ng時間/mlのヒドロコドンAUClastを有する;
(o)約30mgのヒドロコドンを含み、そして約392.5ng時間/ml±20%の平均ヒドロコドンAUClastを有する;
(p)約30mgのヒドロコドンを含み、そして約177〜約671ng時間/mlのヒドロコドンAUClastを有する;
(q)約40mgのヒドロコドンを含み、そして約464.6ng時間/ml±20%の平均AUClastを有する;
(r)約40mgのヒドロコドンを含み、そして約321〜約712ng時間/mlのヒドロコドンAUClastを有する;
請求項21の剤形。
【請求項29】
ナノ粒子状メロキシカム粒子が、結晶相、非晶相、半結晶相、半非晶相、およびその混合物からなる群より選択される、請求項1の組成物。
【請求項30】
メロキシカム粒子の有効平均粒子サイズが、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約75nm未満、および約50nm未満からなる群より選択される、請求項1の組成物。
【請求項31】
(a)非経口注射、固体、液体またはエアロゾル型の経口投与、膣、鼻、直腸、耳、目、局部、頬側、大槽内、腹腔内、および局所投与からなる群より選択される投与用に;
(b)液体分散、ゲル、サシェー、溶液、エアロゾル、軟膏、錠剤、カプセル、クリーム、およびその混合物からなる群より選択される剤形に
(c)制御放出配合物、迅速融解配合物、凍結乾燥配合物、遅延放出配合物、延長放出配合物、パルス放出配合物、ならびに迅速放出および制御放出混合配合物からなる群より選択される剤形に;または
(d)その任意の組み合わせで
配合される、請求項1の組成物。
【請求項32】
(a)他の賦形剤を含まず、メロキシカムおよび少なくとも1つの表面安定剤を合わせた総乾燥重量に基づいて、メロキシカムが、重量約99.5%〜約0.001%、約95%〜約0.1%、または約90%〜約0.5%からなる量で存在するか;
(b)他の賦形剤を含まず、メロキシカムおよび少なくとも1つの表面安定剤を合わせた総乾燥重量に基づいて、少なくとも1つの表面安定剤が、重量約0.5%〜約99.999%、約5.0%〜約99.9%、または約10%〜約99.5%の量で存在するか;あるいは
(c)その組み合わせである
請求項1の組成物。
【請求項33】
表面安定剤が、非イオン性表面安定剤、陰イオン性表面安定剤、陽イオン性表面安定剤、双性イオン性表面安定剤、およびイオン性表面安定剤からなる群より選択される、請求項1の組成物。
【請求項34】
表面安定剤が、塩化セチルピリジニウム、ゼラチン、カゼイン、ホスファチド、デキストラン、グリセロール、アラビアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセロール、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン・ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、ステアリン酸ポリオキシエチレン、コロイド状二酸化ケイ素、ホスフェート、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、フタル酸ヒプロメロース、非晶質セルロース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸化エチレンおよびホルムアルデヒドを伴う4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー、ポロキサマー;ポロキサミン、荷電リン脂質、ジオクチルスルホスクシネート、スルホコハク酸ナトリウムのジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホン酸アルキルアリールポリエーテル、ステアリン酸スクロースおよびジステアリン酸スクロースの混合物、p−イソノニルフェノキシポリ−(グリシドール)、デカノイル−N−メチルグルカミド;n−デシルβ−D−グルコピラノシド;n−デシルβ−D−マルトピラノシド;n−ドデシル−D−グルコピラノシド;n−ドデシルβ−D−マルトシド;ヘプタノイル−N−メチルグルカミド;n−ヘプチル−β−D−グルコピラノシド;n−ヘプチルβ−D−チオグルコシド;n−ヘキシルβ−D−グルコピラノシド;ノナノイル−N−メチルグルカミド;n−ノイルβ−D−グルコピラノシド;オクタノイル−N−メチルグルカミド;n−オクチル−β−D−グルコピラノシド;オクチルβ−D−チオグルコピラノシド;リゾチーム、PEG−リン脂質、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンE、リゾチーム、酢酸ビニルおよびビニルピロリドンのランダムコポリマー、陽イオン性ポリマー、陽イオン性バイオポリマー、陽イオン性多糖、陽イオン性セルロース誘導体、陽イオン性アルギネート、陽イオン性非ポリマー化合物、陽イオン性リン脂質、陽イオン性脂質、ポリメチルメタクリレートトリメチルアンモニウムブロミド、スルホニウム化合物、ポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレートジメチルサルフェート、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ホスホニウム化合物、四級アンモニウム化合物、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナツ塩化トリメチルアンモニウム、ココナツ臭化トリメチルアンモニウム、ココナツ塩化メチルジヒドロキシエチルアンモニウム、ココナツ臭化メチルジヒドロキシエチルアンモニウム、塩化デシルトリエチルアンモニウム、塩化デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、C12−15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、C12−15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、ココナツ塩化ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、ココナツ臭化ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、硫酸ミリスチルトリメチルアンモニウムメチル、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ラウリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウム、臭化ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウム、N−アルキル(C12−18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14−18)ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、塩化ジメチルジデシルアンモニウム、N−アルキルおよび(C12−14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ハロゲン化トリメチルアンモニウム、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、塩化ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウム、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウム、クロリド一水和物、N−アルキル(C12−14)Vジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、塩化ドデシルジメチルベリジルアンモニウム、塩化ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルメチルアンモニウム、臭化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、塩化ドデシルベンジルトリエチルアンモニウム、ポリ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、塩化ジメチルアンモニウム、アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物、塩化トリセチルメチルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリエチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウム、POLYQUAT 10TM、臭化テトラブチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、コリンエステル、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアラルコニウム化合物、臭化セチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、MIRAPOLTM、ALKAQUATTM、アルキルピリジニウム塩;アミン、アミン塩、酸化アミン、イミドアゾリニウム塩、プロトン化四級アクリルアミド、メチル化四級ポリマー、および陽イオン性グアーからなる群より選択される、請求項1の組成物。
【請求項35】
絶食条件に比較して摂食条件下で投与された際に、有意に異なるメロキシカム吸収レベルを生じない、請求項1の組成物。
【請求項36】
絶食状態にある被験体への組成物の投与が、摂食状態にある被験体への前記組成物の投与と生物学的に同等である、請求項1の組成物。
【請求項37】
「生物学的同等性」が:
(a)CmaxおよびAUCの両方に関する0.80〜1.25の間の90%信頼区間;または
(b)AUCに関する0.80〜1.25の間の90%信頼区間、およびCmaxに関する0.70〜1.43の間の90%信頼区間
によって確立される、請求項36の組成物。
【請求項38】
(a)投与後、哺乳動物被験体の血漿中でアッセイした際、メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体のTmaxが、同じ投薬量で投与した同じメロキシカムの非ナノ粒子状組成物に関するものより低いか;
(b)投与後、哺乳動物被験体の血漿中でアッセイした際、メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体のCmaxが、同じ投薬量で投与した同じメロキシカムの非ナノ粒子状組成物に関するCmaxより高いか;
(c)投与後、哺乳動物被験体の血漿中でアッセイした際、メロキシカムまたはその塩もしくは誘導体のAUCが、同じ投薬量で投与した同じメロキシカムの非ナノ粒子状組成物に関するAUCより高いか;あるいは
(d)その任意の組み合わせである
請求項1の組成物。
【請求項39】
請求項1記載の組成物の療法的有効量を投与する工程を含む、疼痛の治療法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2009−541360(P2009−541360A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516757(P2009−516757)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/072054
【国際公開番号】WO2007/150075
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(507250508)エラン・ファルマ・インターナショナル・リミテッド (23)
【Fターム(参考)】