説明

ナノ粒子

本発明はポリマーのUV安定剤として適しているポリマーで修飾されたナノ粒子であって、工程a)において1種または数種のナノ粒子の水溶性前駆体または融液を含有する逆エマルジョンを、疎水性基を有する1種のモノマーおよび親水性基を含有する少なくとも1種のモノマーの統計的共重合体を用いて調製し、工程b)において粒子を製造する方法により得られるナノ粒子に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリマーで修飾されたナノ粒子、かかる粒子の製造方法、およびそのポリマーにおけるUV保護のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
無機ナノ粒子をポリマーマトリックス中へ混和することは、機械的特性、例えばマトリックスの衝撃力に影響を与えるだけでなく、光学的特性、例えば波長依存性透過、色(吸収スペクトル)および屈折率を変更し得る。光学的応用に用いる混合物において、マトリックスの屈折率と異なる屈折率を有する物質の添加は必然的に、光散乱および最終的に光不透過となるため、粒子サイズが重要な役割を果たす。混合物中を通過する、特定の波長の放射強度の低下は無機粒子の直径に大きく依存している。
【0003】
さらに、非常に多くのポリマーがUV放射に敏感であり、ポリマーが実際の使用においてUV安定化されていなければならないことを意味する。原理上安定剤として適している多くの有機フィルターは、残念ながらそれ自身が光に安定でなく、したがって、長期間使用するための適切な材料が依然として求められている。
【0004】
このため、適切な材料はUV領域において吸収しなければならず、可視領域においてできるだけ透明であり、直接ポリマー中に混和される。多くの金属酸化物はUV光を吸収するが、上記の理由ため、可視光領域において機械的または光学的特性を損なうことなく混和することは困難である。
【0005】
ポリマー中に分散させるための適切なナノ材料の開発は、粒子サイズを制御するだけでなく、粒子の表面特性も制御することを要求する。疎水性ポリマーマトリックスを有する親水性粒子の簡単な混合(例えば押出成形による)は、ポリマー全体にわたって粒子の分布が不均一となり、さらに粒子が凝集することとなる。無機粒子をポリマー中へ均一に混和するためには、それらの表面を少なくとも疎水性に修飾しなければならない。さらに、ナノ粒子材料は特に凝集体を形成する傾向を顕著に示し、これは後続の表面処理でも存続する。
【0006】
驚くべきことに、あるランダム共重合体を乳化剤として用いる場合、実質的に凝集体を伴わない適切な表面修飾によりナノ粒子を直接エマルジョンから沈殿させ得ることが見出された。
【0007】
この方法により得られた粒子は、粒子が簡単な方法によりポリマー中に均一に分散し、実質的に可視領域において放射線を吸収しないため、疎水性ポリマー中に混和するのに特に有利である。
【0008】
したがって、本発明は第1にポリマーのUV安定剤として適切なポリマーで修飾されたナノ粒子に関し、工程a)において1種または2種以上のナノ粒子の水溶性前駆体または融液(melt)を含有する逆エマルジョンを疎水性基を含有する少なくとも1種のモノマーおよび親水性基を含有する少なくとも1種のモノマーのランダム共重合体を用いて調製し、工程b)において粒子を製造する方法により得ることができることを特徴とする。
【0009】
本発明はさらにポリマーで修飾されたナノ粒子の製造方法に関し、工程a)において1種または2種以上のナノ粒子の水溶性前駆体または融液を含有する逆エマルジョンを疎水性基を含有する少なくとも1種のモノマーおよび親水性基を含有する少なくとも1種のモノマーのランダム共重合体を用いて調製し、工程b)において粒子を製造することを特徴とする。
【0010】
ナノ粒子製造のためのエマルジョン技術は原則として知られている。したがって、M.P. Pileni; J. Phys. Chem. 1993, 97, 6961-6973は半導体粒子、例えば逆エマルジョン中のCdSe、CdTeおよびZnSの製造を記載している。
【0011】
しかし、無機材料の合成は、反応中に前駆体材料の塩濃度が変動するものの、しばしばエマルジョン中に前駆体材料の高い塩濃度を必要とする。低分子量の界面活性剤はかかる高塩濃度と反応し、結果としてエマルジョンの安定性が危険にさらされる(Paul Kent and Brian R. Saunders; Journal of Colloid and Interface Science 242, 437-442 (2001))。特に、粒子サイズは限られた範囲で制御できるにすぎない(M.-H. Lee, C. Y. Tai, C. H. Lu, Korean J. Chem. Eng. 16, 1999, 818-822)。
【0012】
K. Landfester(Adv. Mater. 2001, 13, No. 10, 765-768)は、金属塩から約150〜約300nmの粒子サイズ範囲のナノ粒子を製造するために、超音波と組み合わせた高分子量の界面活性剤(PEO-PSブロック共重合体)の使用を提案している。
【発明の開示】
【0013】
疎水性基を含有する少なくとも1種のモノマーおよび親水性基を含有する少なくとも1種のモノマーのランダム共重合体を選択することは、粒子サイズおよび粒子サイズ分布を制御することにより逆エマルジョンから無機ナノ粒子の製造を促進する乳化剤の提供を可能にしている。同時に、新規な乳化剤の使用は、個々の粒子がポリマーコーティングにより直接形成されるため、実質的に凝集体の存在しない分散からナノ粒子を単離することを可能にする。さらに、この方法により得られるナノ粒子はポリマー中に特に簡単かつ均一に分散することができ、特に、可視光においてポリマーの透明性の望ましくない欠陥を避けることが実質的に可能である。
【0014】
本発明に従って好ましく用いることができるランダム共重合体は、ランダム共重合体中の疎水性基を含有する構造単位対親水性基を含有する構造単位の重量比が1:2から500:1、好ましくは1:1から100:1の範囲および特に好ましくは7:3から10:1の範囲を示す。ランダム共重合体の重量平均分子量は、通常Mw=1000〜1,000,000g/molの範囲、好ましくは1500〜100,000g/molの範囲、特に好ましくは2000〜40,000g/molの範囲である。
【0015】
特に、式Iに従う共重合体が見出された。
【化1】

【0016】
式中、
XおよびYは従来の非イオン性またはイオン性モノマーの基に相当し、および
は水素または疎水性側鎖、好ましくは少なくとも4個の炭素原子を有し、1個または2個以上、好ましくはすべてのH原子がフッ素原子により置き換えられていてもよい、分枝または非分枝アルキル基から選択される疎水性側鎖を表し、および
は好ましくはホスホン酸塩、スルホン酸塩、ポリオールまたはポリエーテル基を有する親水性側鎖を表し、および
−X−Rおよび−Y−Rはそれぞれ分子内において特定の方法により本発明による要求を満たす複数の異なる意味を有してもよい。特に好ましくは、本発明に従い、−Y−Rがベタイン構造を示すポリマーである。
【0017】
特に好ましくは、代わりにXおよびYが互いに独立して、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−(CH−、フェニレンまたはピリジルを表す、式Iで表されるポリマーである。さらに、少なくとも1つの構造単位が少なくとも1つの4級窒素原子を含有し、Rが好ましくは−(CH−(N(CH)−(CH−SO側鎖または−(CH−(N(CH)−(CH−PO2−側鎖を表し、mが1〜30の整数、好ましくは1〜6、特に好ましくは2を表し、およびnが1〜30の整数、好ましくは1〜8、特に好ましくは3を表すポリマーを採用することができる。
【0018】
使用する特に好ましいランダム共重合体は以下のスキームにより調製することができる:
【化2】

【0019】
所望する量のラウリルメタクリレート(LMA)およびジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)は知られた方法により、好ましくはトルエン中、AIBNを添加することよりフリーラジカルを用いて共重合化する。ベタイン構造は、続いてアミンと1,3−プロパンスルトン(sultone)との反応による既知の方法により得る。
【0020】
好ましく用いる別の共重合体は、スチレン、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ハロゲン化スチレンまたはメトキシスチレンを含有することができるが、これらの例に限定されない。同様に、本発明の別の好ましい実施形態において、使用は少なくとも1つの構造単位がオリゴマーまたはポリマー、好ましくはマクロモノマー(マクロモノマーとしてはポリエステル、ポリオレフィンおよびポリアクリレートが特に好ましい)であることを特徴とするポリマーから構成される。
【0021】
無機ナノ粒子のための適切な前駆体は、水溶性金属化合物、好ましくはケイ素、セリウム、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、チタン、鉄、イットリウムおよび/またはジルコニウムの化合物であり、これらの前駆体は、好ましくは対応する金属酸化物粒子を製造するために酸または苛性アルカリ溶液(lye)と反応させるのが好ましい。混合された酸化物は本明細書による簡単な方法において、対応する前駆体を適切に混合することにより得ることができる。当業者は適切な前駆体を困難なく選択し、適切な化合物は対応する目的化合物を水溶液から沈殿させるのに適したすべての化合物である。酸化物の調製に適した前駆体の概要は、例えば、K. Osseo-Asare “Microemulsion-mediated Synthesis of nanosize Oxide Materials” in: Kumar P., Mittal KL, (editors), Handbook of microemulsion science and technology, New York: Marcel Dekker, Inc., pp. 559-573に記載されており、その内容は本願の明示的な開示内容に属する。
【0022】
親水性融液は、本発明の意味においてナノ粒子の前駆体として同様に提供することができる。ナノ粒子を製造するための化学反応はこの場合不可欠ではない。
【0023】
ナノ粒子は、好ましくはケイ素、セリウム、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、チタン、鉄、イットリウムおよび/またはジルコニウムの酸化物または水酸化物から本質的になる。
【0024】
該粒子は、好ましくはMalvern ZETASIZER(動的光散乱)または透過型電子顕微鏡により決定される、3〜200nm、特に20〜80nmおよび特に非常に好ましくは30〜50nmの平均粒子サイズを有する。特に、同様に好ましい本発明の実施形態において、粒子サイズの分布が狭い、すなわち、許容範囲が平均値の100%未満であり、特に好ましくは最大で平均値の50%である。
【0025】
ポリマーのUV保護を目的としたこれらのナノ粒子の使用との関連において、ナノ粒子が300〜500nm、好ましくは400nmまでの範囲で最大吸収を有する場合が特に好ましく、特に好ましいナノ粒子は放射線、特にUV−A領域の放射線を吸収する。
【0026】
乳化方法は種々の方法により行うことができる:上述のように、粒子は通常工程b)において前駆体の反応または融液の冷却により製造する。前駆体は、酸、苛性アルカリ溶液、還元剤または酸化剤を用い、選択した種々の方法に応じて反応させることができる。
【0027】
所望する粒子サイズ範囲の粒子を製造するためには、エマルジョン中の液滴サイズが5〜500nm、好ましくは10〜200nmの場合が特に有利である。既知のシステムにおいて、液滴サイズは当業者に知られている方法で設定し、油相は当業者により個別に反応システムに適合させる。ZnO粒子を製造するために、例えばトルエンおよびシクロヘキサンが油相として好適であることが判明している。
【0028】
ある場合においては、さらに共乳化剤(coemulsifier)、好ましくは非イオン性界面活性剤をランダム共重合体に加えて用いるのが有用である。好ましい共乳化剤は場合によってエトキシル化またはプロポキシル化されており、種々の程度エトキシル化またはプロポキシル化された比較的長鎖のアルカノールまたはアルキルフェノール(例えば0〜50molのアルキレンオキシドを有する付加化合物)である。
【0029】
分散補助剤、好ましくは極性基を含む水溶性、高分子量の有機化合物、例えばポリビニルピロリドン、ビニルプロピオネートまたはアセテートとビニルピロリドンの共重合体、部分鹸化したアクリレートとアクリロニトリルの共重合体、種々の残留アセテート含量を有するポリビニルアルコール、セルロースエーテル、ゼラチン、ブロック共重合体、修飾デンプン、低分子量のカルボキシ−および/またはスルホニル−含有ポリマー、またはこれらの物質の混合物を用いるのが有利な場合もある。
【0030】
特に好ましい保護コロイドは残留アセテート含量が40モル%より低い、特に5〜39モル%のポリビニルアルコール、および/またはビニルエステル含有量が35重量%より低い、特に5〜30重量%のビニルピロリドン−ビニルプロピオネート共重合体である。
【0031】
要求されるナノ粒子の望ましい特性の組合せは、温度、圧力および反応の継続時間等の反応条件を調整することにより、目標とした方法において設定することができる。当業者がこれらのパラメータの対応する設定を得るのは極めて容易である。例えば、多くの目的について大気圧下および室温で作業を行うことができる。
【0032】
好ましい変法では、前駆体に対する反応物が乳化した形態である第2のエマルジョンを工程b)において、工程a)からの前駆体エマルジョンと混合する。この2つのエマルジョンによる方法は特に狭い粒子サイズ分布を有する粒子を生成することができる。本発明においては、2つのエマルジョンを超音波の作用により互いに混合するのが特に有利な場合がある。
【0033】
好ましい別の変法では、前駆体エマルジョンをエマルジョンの連続相中に可溶な沈殿剤と工程b)において混合する。次に前駆体含有ミセル中に分散させることにより沈殿させる。例えば、二酸化チタン粒子はピリジンを塩化チタン含有ミセル中に沈殿剤を分散させることにより得ることができ、また銀粒子は長鎖アルデヒドを硝酸銀含有ミセル中に分散させることにより得ることができる。
【0034】
本発明によるナノ粒子は、特にポリマーにおけるUV保護のために用いられる。この出願において、該粒子がUV放射による劣化からポリマー自体を保護するか、またはナノ粒子を含有するポリマー組成物を、例えば保護フィルムの形態において、他の材料に対するUV保護として同様に用いる。したがって、本発明はさらにポリマーのUV安定化のための本発明のナノ粒子の対応する使用、およびポリマーが本発明のナノ粒子を含有することを特徴とする少なくとも1種のポリマーから本質的になるUV−安定化ポリマー組成物に関する。本発明のナノ粒子を良好に混和することのできるポリマーは、特にポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PETP)、ポリイミド(PI)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)または少なくとも上記のポリマーの1つの画分を含有する共重合体である。
【0035】
混和は、ポリマー組成物を調製するための従来の方法により行うことができる。例えば、ポリマー材料は好ましくは押出機または成形機により本発明のナノ粒子と混合することができる。使用するポリマーに応じて、成形機を用いるのも好ましい。
【0036】
本発明の粒子の特別な利点は、ポリマー中へ粒子を均一に分散させるのに従来技術と比較して低エネルギーの投入しか必要しないことにある。
【0037】
本明細書においてポリマーは、ポリマーの分散、例えば塗料等であってもよい。混和は従来の混和操作によって行うことができる。
【0038】
ナノ粒子を含有する本発明によるポリマー組成物は、さらに表面を被覆するのに特に適している。このものは表面またはコーティングの下の材料を、例えばUV放射から保護することができる。以下の例は本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
[実施例]
【0039】
例1:マクロ界面活性剤(macrosurfactant)の合成
第1工程はドデシルメタクリレート(ラウリルメタクリレート;LMA)およびジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)のランダム共重合体の合成を含む。分子量の制御はメルカプトエタノールを添加することにより行うことができる。この方法により得られた共重合体は飽和された基を供給するために1,3−プロパンスルトンにより修飾する。
【0040】
この目的のために、7gのLMAおよび下記の表1に対応する量のDMAEMAをまず12gのトルエン中に導入し、1mlのトルエン中の0.033gのAIBNを添加することにより反応を開始した後、アルゴン雰囲気中、70℃でフリーラジカル重合を行う。重合鎖の成長は2−メルカプトエタノール(表1参照)を添加することにより制御することができる。粗生成ポリマーを洗浄し、凍結乾燥し、さらにV. Butun, C. E. Bennett, M. Vamvakaki, A. B. Lowe, N. C. Billingham, S. P. Armes, J. Mater. Chem., 1997, 7(9), 1693-1695に記載されているように1,3−プロパンスルトンと反応させる。得られたポリマーの特性を表1に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
例2:ZnO粒子の沈殿
ZnO粒子を以下の方法により沈殿させる:
1.それぞれの場合において、1.1gの水中の0.4gのZn(AcO)・2HO(エマルジョン1)および1.35gの水中の0.15gのNaOH(エマルジョン2)からなる逆エマルジョン水溶液を超音波により調製する。エマルジョン1およびエマルジョン2はそれぞれ表1から150mgのランダム共重合体E1〜E5を含有する。
2.エマルジョン1およびエマルジョン2の混合物を超音波処理し、続いて乾燥する。
3.得られた固体を水で洗浄することにより酢酸ナトリウムを精製する。
4.乾燥し、およびトルエン中で撹拌することにより表面が官能基化されたポリマーを乳化剤により再分散する。
【0043】
FT−IR分光法およびX線回折はZnO形態を示す。さらに、酢酸ナトリウムの反射はX線ダイアグラムにおいて検出されない。したがって、例2は合成されたマクロ界面活性剤および酸化亜鉛粒子からなる生成物を与える。
【0044】
【表2】

【0045】
比較例2a:乳化剤ABIL EM90(登録商標)の使用
例1からのランダム共重合体の代わりに商業的に入手可能な乳化剤ABIL EM90(登録商標)(セチルジメチコンコポリオール、Goldschmidt)を用いた例2に記載の方法は安定なエマルジョンを生成しない。得られた粒子は500〜4000nmの直径を示す。
【0046】
例3:ポリマー組成物
PMMAラッカー中に例2−E1からの粒子を混合することにより分散させ、ガラス基板に塗布し、乾燥する。乾燥後のZnO含量は10重量%である。フィルムは実質的にわずかなかすみ(haze)を示す。UV−VIS分光計を用いた測定によりこの印象が確認される。試料は層の厚さに応じて以下の吸収値を示す(透過において失われた入射光線のパーセントを示す)。
【0047】
層の厚さ UV−A(350nm) VIS(400nm)
1.2μm 35% 4%
1.6μm 40% 5%
2.2μm 45% 7%

比較:
(上記PMMAラッカー中のZnO(超純粋、Merck))
2μm 64% 46%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーのUV安定剤として適するポリマーで修飾されたナノ粒子であって、工程a)において1種または2種以上のナノ粒子の水溶性前駆体または融液を含有する逆エマルジョンを、疎水性基を含有する少なくとも1種のモノマーおよび親水性基を含有する少なくとも1種のモノマーのランダム共重合体を用いて調製し、工程b)において粒子を製造する方法により得られることを特徴とする、前記ナノ粒子。
【請求項2】
粒子が、ケイ素、セリウム、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、チタン、鉄、イットリウムおよび/またはジルコニウムの酸化物または水酸化物から本質的になることを特徴とする、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項3】
粒子が、動的光散乱または透過型電子顕微鏡により測定された、3〜200nm、好ましくは20〜80nm、および非常に好ましくは30〜50nmの平均粒子サイズを有し、該粒子サイズの分布が好ましくは狭いことを特徴とする、請求項1または2に記載のナノ粒子。
【請求項4】
吸収極大が300〜500nm、好ましくは400nmまでの範囲であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のナノ粒子。
【請求項5】
ポリマーで修飾されたナノ粒子の製造方法であって、工程a)において1種または2種以上のナノ粒子の水溶性前駆体または融液を含有する逆エマルジョンを、疎水性基を含有する少なくとも1種のモノマーおよび親水性基を含有する少なくとも1種のモノマーのランダム共重合体を用いて調製し、工程b)において粒子を製造することを特徴とする、製造方法。
【請求項6】
前駆体の反応または融液の冷却により粒子を工程b)において製造することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前駆体を酸、塩基、還元剤または酸化剤と反応させることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
エマルジョン中の液滴のサイズが5〜500nm、好ましくは10〜200nmの範囲にあることを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前駆体に対する反応物が乳化した形態である第2のエマルジョンを、工程b)において工程a)からの前駆体エマルジョンと混合する、請求項5〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
2つのエマルジョンを互いに超音波の作用により混合することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1種または2種以上の前駆体が水溶性金属化合物、好ましくはケイ素、セリウム、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、チタン、鉄、イットリウムまたはジルコニウムの化合物から選択され、該前駆体を好ましくは酸または苛性アルカリ溶液と反応させることを特徴とする、請求項5〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
共乳化剤、好ましくは非イオン性界面活性剤を用いることを特徴とする、請求項5〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
ランダム共重合体中の疎水性基を含有する構造単位対親水性基を含有する構造単位の重量比が、1:2から500:1の範囲、好ましくは1:1から100:1の範囲および特に好ましくは7:3から10:1の範囲にあり、かつランダム共重合体の重量平均分子量がMw=1000から1,000,000g/molの範囲、好ましくは1500から100,000g/molの範囲および特に好ましくは2000から40,000g/molの範囲にあることを特徴とする、請求項5〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
共重合体が式I
【化1】

式中、
XおよびYは従来の非イオン性またはイオン性モノマーの基に相当し、および
は水素または疎水性側鎖、好ましくは少なくとも4個の炭素原子を有し、1個または2個以上、好ましくはすべてのH原子がフッ素原子により置き換えられていてもよい、分枝または非分枝アルキル基から選択される疎水性側鎖を表し、および
は好ましくはホスホン酸塩、スルホン酸塩、ポリオールまたはポリエーテル基を有する親水性側鎖を表し、および
−X−Rおよび−Y−Rはそれぞれ分子内で複数の異なる意味を有してもよい、
に従うことを特徴とする、請求項5〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
XおよびYが互いに独立して−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−(CH−、フェニレンまたはピリジルを表すことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの構造単位が、少なくとも1つの4級窒素原子を含有し、Rが−(CH−(N(CH)−(CH−SO側鎖または−(CH−(N(CH)−(CH−PO2−側鎖を表し、ここでmは1〜30の整数、好ましくは1〜6、特に好ましくは2を表し、およびnは1〜30の整数、好ましくは1〜8、特に好ましくは3を表すことを特徴とする、請求項5〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの構造単位がオリゴマーまたはポリマーであり、好ましくはマクロモノマーであり、ポリエーテル、ポリオレフィンおよびポリアクリレートがマクロモノマーとして特に好ましいことを特徴とする、請求項5〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
ポリマーのUV安定化のための請求項1〜4のいずれかに記載のナノ粒子の使用。
【請求項19】
ポリマーが、請求項1〜4のいずれかに記載のナノ粒子を含有することを特徴とする、少なくとも1種のポリマーから本質的になるUV−安定化ポリマー組成物。
【請求項20】
ポリマーが、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PETP)、ポリイミド(PI)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)または少なくとも前記ポリマーの1つの画分を有する共重合体であることを特徴とする、請求項19に記載のポリマー。
【請求項21】
ポリマー材料を請求項1〜4のいずれかに記載のナノ粒子と、好ましくは押出機または成形機において、混合することを特徴とする、UV−安定化ポリマー組成物の調製方法。

【公表番号】特表2007−526934(P2007−526934A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549910(P2006−549910)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014283
【国際公開番号】WO2005/070820
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】